平成15(ワ)2579 解雇無効確認等請求事件(通称 医療法人社団恵和会介護員雇止)

裁判年月日・裁判所
平成16年11月10日 札幌地方裁判所
ファイル
hanrei-pdf-8589.txt

判決文本文10,861 文字)

主文 1 原告が,被告に対し,雇用契約上の権利を有する地位にあることを確認する。 2 被告は,原告に対し,別紙認定未払賃金等一覧表「未払額」欄記載の各金員及びこれに対する同表「支給日」欄記載の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告は,原告に対し,平成15年11月20日以降本判決確定に至るまで,毎月20日限り金17万0266円,毎年4月10日限り金4万0264円,毎年6月10日限り金7万2650円,毎年10月20日限り金2万1816円,毎年12月10日限り金7万2650円を支払え。 4 被告は,原告に対し,金25万円及びこれに対する平成14年8月7日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 5 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 6 訴訟費用は,これを5分し,その1を原告の負担とし,その余は被告の負担とする。 7 この判決は,第2項から第4項までに限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 主文第1項同旨 2 被告は,原告に対し,別紙請求未払賃金等一覧表「未払額」欄記載の各金員及びこれに対する同表「支給日」欄記載の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 主文第3項同旨 4 被告は,原告に対し,金150万円及びこれに対する平成14年8月7日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,原告が,被告に対し,雇止めの無効を主張して,雇用契約上の地位の確認と賃金等の支払を求めるとともに,雇止めによって原告が精神的苦痛を受けたと主張して,慰謝料等の支払を求めた事案である。 1 争いのない事実等(1) 被告は,病院及び老人保健施設の経営を目的とする医療法人であり,札幌市a に,雇止めによって原告が精神的苦痛を受けたと主張して,慰謝料等の支払を求めた事案である。 1 争いのない事実等(1) 被告は,病院及び老人保健施設の経営を目的とする医療法人であり,札幌市a区bc番地dにおいてA病院(以下「本件病院」という。)を設置し,経営している。 本件病院は,平成14年6月1日現在,308名の職員が在籍し,そのうち介護員は128名である(甲5)。 (2) 原告は,平成10年5月8日,被告から最初の3か月は試用期間でその後1年ごとに契約を更新する旨説明され,被告との間で準職員待遇で労働契約を締結し(以下「本件労働契約」という。),本件病院の介護員として雇用された。 原告は,平成13年4月,医療法人社団恵和会労働組合(以下「本件組合」という。)に加入し,同年6月27日から執行委員を務めている(甲16,弁論の全趣旨)。 (3) 本件労働契約は,その後,平成10年8月初めころ,平成11年8月8日,平成12年8月8日及び平成13年8月8日に契約更新された。 (4) 原告は,平成14年6月13日,所属長であった本件病院5病棟B師長(以下「B」という。)から本件労働契約を更新しないとの内示を受けた。Bは,その理由として口頭で要旨,笑顔がない,患者や他の部署から苦情が出ている,不満そうなオーラが出ている,と言った。 (5) 被告は,原告に対し,平成14年6月25日付け文書で,本件労働契約について,同年8月7日を満了日として労働契約期間満了の通知をし,雇止め(以下「本件雇止め」という。)の意思表示をした。 (6) 原告の給与,賞与,燃料手当及び決算手当(以下併せて「賃金等」という。)の受給実績は,以下のとおりである。 ア原告は,給与として当月1日から当月末日までの分を翌月20日に支給を受けて (6) 原告の給与,賞与,燃料手当及び決算手当(以下併せて「賃金等」という。)の受給実績は,以下のとおりである。 ア原告は,給与として当月1日から当月末日までの分を翌月20日に支給を受けており,その内訳は,基本給,職務手当,深夜割増,当直手当であった。原告の基本給は,平成14年6月分は14万0300円,同年7月分は13万4200円,同年8月分は14万0300円であり,上記3か月の平均基本給は,13万8266円であった。また,原告は,職務手当として月額8000円,深夜割増として月額8000円,当直手当として月額1万6000円の支給を受けていた。 被告は,原告に対し,平成14年9月20日,同月分給与として総額4万4507円,控除後4万0940円を支給した。 イ原告は,毎年6月10日及び12月10日を支給日として賞与の支給を受けており,平成14年6月10日,夏季賞与として7万2650円の支給を受けた(甲13の1,16)。 ウ原告は,毎年10月20日を支給日として燃料手当の支給を受けており,平成10年度は2万3712円,平成11年度は2万1816円,平成12年度は2万3633円,平成13年度は2万4493円の支給を受けた。 エ原告は,毎年4月10日を支給日として決算手当の支給を受けており,平成12年度は4万0496円,平成13年度は4万0346円,平成14年度は4万0264円の支給を受けた。 2 争点(1) 本件雇止めの適法性ア原告の主張(主位的主張)本件労働契約は,その締結当初において,少なくとも試用期間3か月と更新後の契約期間1年の計1年3か月の期間の雇用を前提とした契約といえるから,平成15年改正前の労働基準法14条,13条により,1年を超える期間の定めは無効とさ において,少なくとも試用期間3か月と更新後の契約期間1年の計1年3か月の期間の雇用を前提とした契約といえるから,平成15年改正前の労働基準法14条,13条により,1年を超える期間の定めは無効とされ,期間の定めのない労働契約である。 (予備的主張)仮に,本件労働契約が,1年を単位とする有期契約であったとしても,本件労働契約は,契約締結の経緯,定年が60歳と定められていること,本件病院の介護員は全員準職員であり,期間満了の度に退職,新規職員の採用を繰り返すとするならば病院経営が成り立たないこと,現に大多数の準職員が更新を繰り返していることなどから,特段の事情がない限り,更新が予定されているといえる。したがって,雇止めにするには高度の合理性が必要であり,合理性なき雇止めは権利の濫用として無効とされる。被告は,原告の勤務態度等について,笑顔がない,苦情が出ている,不満そうなオーラが出ていると抽象的な指摘をするに止まっていること,原告は,被告から懲戒処分を受けたことがないこと,原告は,他の介護員からの信頼も厚く,笑顔で介護に臨んでいることからすれば,本件雇止めには合理性が認められない。 イ被告の主張(主位的主張に対し)本件労働契約は,当初の3か月間は試用期間であり,その後は1年ごとの契約である。 (予備的主張に対し)原告は,態度においては,重点的に研修等により強調されている接遇の点に関し,笑顔がない,無愛想,礼節を欠くなどの介護員としての不適格性が存する。また,業務においても,患者よりも自らの作業優先で,手早いが雑であるという介護員としての不適格性が存する。原告は,上記の事柄について,所属長との面談においても,素直に受け止める姿勢に欠けていた。 さらに,被告は,平成14 自らの作業優先で,手早いが雑であるという介護員としての不適格性が存する。原告は,上記の事柄について,所属長との面談においても,素直に受け止める姿勢に欠けていた。 さらに,被告は,平成14年4月5日に介護員に対する説明会を開催し,医療法の改正により,患者3名につき1名を要するとされていた介護員が,平成15年4月から患者4名につき1名の介護員で足りることとされ定員減があるので,より良い介護員に残ってもらいたい旨説明をしていた。 上記の状況下において,被告は定められた手続に従い,1次考課,2次考課を経たうえで,労務委員会による検討を経て,本件雇止めに至ったものであるから,本件雇止めには合理性がある。 (2) 本件雇止めの不法行為該当性ア原告の主張本件雇止めは,笑顔がない,不満そうなオーラが出ているなどを理由とするけれども,これらを裏付ける事実はなく,原告の容貌や人格に対する中傷をもってその生活基盤を突然失わせたものである。また,本件雇止めは,本件組合執行委員(副委員長)として積極的に活動する原告を嫌悪し,その排除を企図したものであるから,組合に対する団結権の侵害であると同時に,原告の思想信条の自由,組合活動の自由に対する侵害でもある。 したがって,原告が受けた精神的苦痛の慰謝料としては100万円が相当であり,弁護士費用として50万円を請求する。 イ被告の主張否認する。 第3 争点に対する判断 1 争点(1)(本件雇止めの適法性)について(1) 後掲(段落末尾に掲記)の証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の各事実を認めることができる。 ア原告は,平成10年3月,専門学校の医療秘書科を卒業し,同月末ころ,本件病院の採用面接を受けた。原告は,同年5月8日,本件病院のC 弁論の全趣旨によれば,以下の各事実を認めることができる。 ア原告は,平成10年3月,専門学校の医療秘書科を卒業し,同月末ころ,本件病院の採用面接を受けた。原告は,同年5月8日,本件病院のC総務部長(当時,以下「C」という。)から契約内容の説明を受けた。Cは,原告に対し,被告の準職員就業規則を示し,介護員は準職員であること,定年は60歳であること,最初の3か月は試用期間であり何事もなければ1年ごとに契約を更新することを説明した。原告は,上記説明を聞いて,初めて準職員としての採用であることを知ったものの,一生懸命働けば,正職員と同様に定年まで勤務することができると考え,本件労働契約を締結した(甲16,原告本人)。 イ被告の就業規則は,正職員と準職員の2種類があり,両就業規則には,就業時間は1か月を平均し1週40時間以内,1日の所定就業時間を8時間以内とし,業務の都合により,労働協定の範囲内において,時間外又は休日勤務をさせることがある旨の同じ規定があり,また,定年退職について,満60歳(医師職においては満65歳)をもって定年とする旨の同趣旨の規定がある。本件病院の介護員は,全員,準職員として雇用され,その多くが契約更新を重ねている(甲1,2,16,乙1,2,原告本人,弁論の全趣旨)。 ウ本件労働契約は,その後,平成10年8月初めころ,平成11年8月8日,平成12年8月8日及び平成13年8月8日に契約期間を1年として契約更新された。 原告の労働条件は,本件病院における介護業務に従事すること,早番(8時から16時まで),遅番(10時45分から18時45分まで),夜勤(17時から翌日9時30分まで)の3交代制,休憩時間60分,時間外労働有り,休日非定例(月当り8日),年次有給休暇有り,日給6100円,60歳の定年制等であった 時45分から18時45分まで),夜勤(17時から翌日9時30分まで)の3交代制,休憩時間60分,時間外労働有り,休日非定例(月当り8日),年次有給休暇有り,日給6100円,60歳の定年制等であった(甲16,乙5の1,5の2,原告本人)。 エ平成13年5月に実施された1次考課の結果,原告は,業務の範囲を拡大するために意欲的に取り組んだか,患者に明るく親切に対応したか,介護員として患者の声に誠実に耳を傾けたか,の3点の考課内容についてやや劣る,患者の状態を正確にとらえ文章化する能力を有しているか,看護婦の指示に従って患者に対し正確な措置をほどこすことができたか,医療機器をその操作マニュアルに従って正しく操作したか,の3点の考課内容について良い,その他22点の考課内容についてやや良いとされ,合計74点(合格点70点)とされた。そして,同年8月に実施された継続雇用契約考課の結果,当時の所属長であったDは,「声掛けも大部される様になり積極性も出て来ています。」,「もう少し,笑顔と明るさを持った対応される事を望みます。」などとし,継続雇用可とし,部責任者であったEは,「まだ礼節に欠ける所が多々見られる。」などとした。また,同年12月に実施された1次考課の結果は,原告は,86.5点であった(乙4の1,4の2,6の1)。 オ平成14年4月1日から原告の所属長になったBは,同月21日,原告に対し,ボーナス査定の面談の際,笑顔がない,患者や他の部署から苦情が出ているなどと指摘し,勤務態度を改善するように注意し,1次考課(同年6月実施分)について,合計68.5点であり,合格点をクリアしていない旨伝えた。当該考課の結果(同年5月13日記載)では,原告は,患者に明るく親切に対応したか,の考課内容について劣る,業務の範囲を拡大するために意欲的に取 合計68.5点であり,合格点をクリアしていない旨伝えた。当該考課の結果(同年5月13日記載)では,原告は,患者に明るく親切に対応したか,の考課内容について劣る,業務の範囲を拡大するために意欲的に取り組んだか,患者の生活指導に積極的に取り組んだか,薬品に関する知識があるか,患者の状況,容態に応じて適切な措置がとれるか,の4点の考課内容についてやや劣る,その他23点の考課内容についてやや良いとされた(甲16,乙6の1,6の2,7,証人B,原告本人)。 カ Bは,平成14年6月7日,原告に関する1次考課(同年8月実施分)について,合計58点とし,他部門職員との人間関係にも十分配慮したか,日頃から職員の和とチームワークを大切にしたか,業務の範囲を拡大するために意欲的に取り組んだか,患者に明るく親切に対応したか,の4点の考課内容について劣る,所属長,看護婦の指示命令や注意をよく守ったか,介護業務に誠実かつ積極的に取り組んだか,患者の生活指導に積極的に取り組んだか,介護員として患者の声に誠実に耳を傾けたか,介護員業務の遂行に必要な知識を持っているか,薬品に関する知識があるか,介護業務を正確に行える技術を持っているか,介護業務に関して判断の誤りや遅れはなかったか,介護業務を正確に行ったか,の9点の考課内容についてやや劣る,その他15点の考課内容についてやや良い,と考課表に記載した。そして,原告の次期雇用契約考課(同年8月実施分)について,Bは,同年6月13日,「態度的考課として前回笑顔がなく何か不満そうな顔表情はマイナスであることを注意指導してあったが,その後も変りなく,他部門・他・実習生からも同印象を受けている。」「業務上においても“疲れ”のような態度か“やる気”を感じられないような態度がある。言葉が出る。業務上協力することもありリーダー たが,その後も変りなく,他部門・他・実習生からも同印象を受けている。」「業務上においても“疲れ”のような態度か“やる気”を感じられないような態度がある。言葉が出る。業務上協力することもありリーダーへの協力もある時もある。手早さがあっても雑であったりもする。何よりも介護者として大切である介護・患者様に対する姿勢,介護の心暖さを感じられなかったり,患者様中心の介護ではなく,そして大事な礼節,接遇においては他者評価も良い印象になっていないことは大きな問題であり介護者としての資質を問われること,基本的なこと,以前にも指導が入っていても改善がみられないことから今回で契約終了を希望します。」とする所見を,上記Eは,同月14日,「介護福祉士の資格を取得し,経験を重ねて来ているが,何度,礼節(特に笑顔の不足)を注意されても改善されていない。何が患者さんにとってホット安堵できる行為か,求められているかが分かっていない。理解し,直そうとする謙虚な姿勢があまりにも薄い。介護職の資質が低すぎると判断する。」とする所見をそれぞれ考課表に記載した。被告は,同月18日,労務委員会において,人事考課において最低評価である劣るが4項目,しかも患者対応の項目で最低の評価を受けており,かつ,原告に改善が見込めない状況であることを理由として,次期は本件労働契約を更新しない旨決定した(乙11から13まで,証人B)。 キ原告は,被告から1度も懲戒処分を受けたことはない(甲16,証人B)。 ク原告は,平成14年8月7日,本件雇止めにより被告から退職されたものとして扱われた(甲16,弁論の全趣旨)。 (2) 争いのない事実等に加え,上記(1)において認定した各事実に基づいて検討する。 アまず,原告は,本件労働契約は,その締結当初において,少なくとも試用期間3 甲16,弁論の全趣旨)。 (2) 争いのない事実等に加え,上記(1)において認定した各事実に基づいて検討する。 アまず,原告は,本件労働契約は,その締結当初において,少なくとも試用期間3か月と更新後の契約期間1年の計1年3か月の期間の雇用を前提とした契約といえると主張する(強行法規違反で期間の定めのない契約になると主張する。)。しかし,原告は,平成10年5月8日,Cから,最初の3か月は試用期間であり何事もなければ1年ごとに契約を更新することの説明を受けたうえで,本件労働契約を締結し,同年8月初めころ,契約期間を1年として契約更新しているから,原告の主張は理由がない。 イところで,原告は,本件労働契約の契約更新を重ね,平成14年8月7日までの4年3か月間,本件病院において介護員として勤務していること,本件病院の介護員の多くが契約更新を重ねていることに照らせば,原告は,本件労働契約は当然に更新されるとの期待を有していたといえる。また,介護員は,その全員が準職員であるけれども,本件病院の職員の4割以上の人数を占め,準職員の労働条件は,就業時間や定年退職の面において,看護師等の正職員とほとんど差異はないことに照らせば,被告は,介護員を長期間雇用することを意図としていたといえる。したがって,原告が継続雇用の期待を持つ状況にあったといえるから,本件労働契約は,実質的に期間の定めのない労働契約と異ならないというべきであり,本件雇止めが著しく合理性,相当性を欠く場合は,解雇に関する法理を類推し,権利の濫用として無効であると解される。 ウそこで,更に検討するに,被告は,原告は,態度及び業務において,介護員としての不適格性が存し,上記の事柄について素直に受け止める姿勢に欠けていた旨主張する。そして,平成14年4月1日から原告の所 ウそこで,更に検討するに,被告は,原告は,態度及び業務において,介護員としての不適格性が存し,上記の事柄について素直に受け止める姿勢に欠けていた旨主張する。そして,平成14年4月1日から原告の所属長になったBは,原告に関する1次考課について,同月13日,68.5点,同年6月7日,58点とし,労務委員会は,同月18日,人事考課において最低評価である劣るが4項目,しかも患者対応の項目で最低の評価を受けており,かつ,原告に改善が見込めない状況であるとして,本件雇止めを決定している。しかし,原告は,平成13年における1次考課の結果では,74点,86.5点で,合格点の70点に達し,勤務成績が向上していたことに照らせば,所属長の交替による評価基準の相異が窺われる。また,Bらが主として問題とする点は,笑顔がないなどとする多分に主観的な事柄であり,原告の介護員としての不適格性について直ちには断じ難い。さらに,原告がBから勤務態度について注意を受けてから本件雇止めが決定されるまでの期間が2か月程度であること,原告はこれまで1度も被告から懲戒処分を受けたことがないことなどを考慮すれば,本件雇止めは,原告にとって過酷であって,著しく合理性,相当性を欠くといわざるを得ない。したがって,本件雇止めは,権利の濫用であり,無効であるから,地位確認の請求は理由がある。 エこれに対し,被告の主張に沿う証拠として,原告に関する人事考課の資料(枝番号を含めて乙6から13まで)のほか,本件病院の職員や患者の家族の陳述書等(枝番号を含めて乙14から33まで)があるけれども,原告の勤務態度等について,印象に基づく記載や具体的な事例でも何かを頼んだ際に断られたことがあるなどという記載に過ぎず,本件雇止めの合理性,相当性に該当する事実を認めることはできない。なお,被告は 原告の勤務態度等について,印象に基づく記載や具体的な事例でも何かを頼んだ際に断られたことがあるなどという記載に過ぎず,本件雇止めの合理性,相当性に該当する事実を認めることはできない。なお,被告は,医療法の改正により,患者3名につき1名を要するとされていた介護員が,平成15年4月から患者4名につき1名の介護員で足りることとされ定員減がある旨主張するけれども,これのみをもって本件雇止めの合理性,相当性の理由とすることはできない。 (3) 続いて,賃金等の支払請求について検討する。 ア賃金等の支給額及び支給日について(ア) 給与について争いのない事実等のとおり,原告は,給与として当月分を翌月20日に支給を受けており,原告の基本給は,平成14年6月分から同年8月分までの3か月平均では13万8266円であり,職務手当として月額8000円,深夜割増として月額8000円,当直手当として月額1万6000円の支給を受けていたから,原告が支給を受けるべき給与は月額17万0266円と認められる。 (イ) 賞与について争いのない事実等のとおり,原告は,毎年6月10日及び12月10日を支給日として賞与の支給を受けており,平成14年6月10日,夏季賞与として7万2650円の支給を受けていたから,原告が支給を受けるべき賞与は各支給日において7万2650円と認められる。 (ウ) 燃料手当について争いのない事実等のとおり,原告は,毎年10月20日を支給日として燃料手当の支給を受けており,平成10年度は2万3712円,平成11年度は2万1816円,平成12年度は2万3633円,平成13年度は2万4493円の支給を受けていたから,原告が支給を受けるべき燃料手当は少なくとも2万1816円と認められる。 3712円,平成11年度は2万1816円,平成12年度は2万3633円,平成13年度は2万4493円の支給を受けていたから,原告が支給を受けるべき燃料手当は少なくとも2万1816円と認められる。 (エ) 決算手当について争いのない事実等のとおり,原告は,毎年4月10日を支給日として決算手当の支給を受けており,平成12年度は4万0496円,平成13年度は4万0346円,平成14年度は4万0264円の支給を受けていたから,原告が支給を受けるべき決算手当は少なくとも4万0264円と認められる。 イ未払賃金等の支払請求(請求第2項)について(ア) 上記アによれば,平成14年9月分給与を除いて,未払賃金等の未払額及び支給日は,別紙請求未払賃金等一覧表2から19までのとおり認められる(別紙認定未払賃金等一覧表2から19までは,別紙請求未払賃金等一覧表2から19までと同一である。)。 (イ) 平成14年9月分給与については,争いのない事実等のとおり,被告は,原告に対し,同月20日,同月分給与として総額4万4507円,控除後4万0940円を支給している。そして,上記支給は任意にされたものであり,源泉徴収等の控除を否定すべき理由はないから,同月分給与として4万4507円が支給されたと解すべきであり,また,上記ア(ア)によれば,原告が支給を受けるべき給与は月額17万0266円であるから(支給日は同月20日である。),これから4万4507円を控除した12万5759円が未払額であると認められる。 (ウ) したがって,未払賃金等の支払請求は,別紙認定未払賃金等一覧表「未払額」欄記載の各金員及びこれに対する同表「支給日」欄記載の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払 ウ) したがって,未払賃金等の支払請求は,別紙認定未払賃金等一覧表「未払額」欄記載の各金員及びこれに対する同表「支給日」欄記載の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。 ウ上記イ以外の賃金等の支払請求(請求第3項)について原告は,平成15年11月20日以降本判決確定に至るまでに支給日が到来する賃金等についても支払を請求する。本件口頭弁論終結日の翌日以降本判決確定に至るまでに支給日が到来する賃金等については将来請求となるけれども,争いのない事実等に加え,上記(1)において認定した本件の経緯及び被告の対応に照らせば,将来請求の必要性はあるというべきである。 そして,賃金等の支給額及び支給日は上記アのとおりであるから,上記イ以外の賃金等の支払請求は理由がある。 2 争点(2)(本件雇止めの不法行為該当性)について(1) まず,原告は,本件雇止めは,原告の容貌や人格に対する中傷をもってその生活基盤を突然失わせたものである旨主張する。上記1のとおり,被告は,本件雇止めにおいて,主として笑顔がないなどとする点を問題にする。しかし,これらは多分に主観的な事柄であって,これらを主に問題とする限り,雇止めの事由としては合理性に疑問があるといわざるを得ない。しかるに,被告は,本件雇止めをしているから,この点において,本件雇止めは不法行為に該当すると解される。 また,原告は,本件雇止めは,本件組合執行委員として積極的に活動する原告を嫌悪し,その排除を企図した旨主張するけれども,これを認めるに足りる証拠はない。 (2) そして,本件に現われた事情を考慮すると,慰謝料としては20万円が相当であり,被告が負担すべき弁護士費用としては5万円が相当である。 (3) したがって を認めるに足りる証拠はない。 (2) そして,本件に現われた事情を考慮すると,慰謝料としては20万円が相当であり,被告が負担すべき弁護士費用としては5万円が相当である。 (3) したがって,不法行為に基づく損害賠償請求は,25万円及びこれに対する不法行為の日である平成14年8月7日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。 第4 結論よって,主文のとおり判決する。 札幌地方裁判所民事第3部裁判官小川雅敏

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る