- 1 -主文被告人は無罪。 理由 第1 訴因変更後の公訴事実訴因変更後の本件公訴事実(以下「本件公訴事実」という)は,「被告人は,A(平成22年8月11日生,以下「被害者」という)の実母であり,平成25年4月15日にBと婚姻して,大阪府茨木市a町b番c号の自宅において,両名と居住し,同月24日に被害者と養子縁組をしたBと共に親権者として被害者を監護していたものであるが,Bと共謀の上,平成26年4月頃,前記自宅又はその周辺において,幼年者であり,かつ,先天性ミオパチーにより発育が遅れていた被害者に十分な栄養を与えるとともに,適切な医療措置を受けさせるなどして生存に必要な保護をする責任があったにもかかわらず,その頃までに栄養不良状態に陥っていた同人に対して,同年6月中旬頃までの間,十分な栄養を与えることも,適切な医療措置を受けさせるなどのこともせず,もってその生存に必要な保護をせず,よって,同月15日,前記自宅において,被害者を低栄養に基づく衰弱により死亡させた」というものである。 第2 争点本件の争点は,①被害者が,十分な栄養を与えられなかったために低栄養に基づく衰弱により死亡したものであるか,②被告人において,被害者が十分な栄養を与えられていない状態(生存に必要な保護として,より栄養を与えられるなどの保護を必要とする状態)にあることを認識していたかである。 第3 争点①について証人C医師の供述等の関係各証拠によれば,被害者は,同じ年齢層の子供と比較して,軽い方の2.5%以下になる程に体重が非常に軽く,やせていたこと,皮下脂肪等の体内の脂肪が少なく,脂肪細胞も萎縮しており,脂肪の分解を示す尿中のアセトン濃度も基準値より高かったことに加えて,数か月間のス 方の2.5%以下になる程に体重が非常に軽く,やせていたこと,皮下脂肪等の体内の脂肪が少なく,脂肪細胞も萎縮しており,脂肪の分解を示す尿中のアセトン濃度も基準値より高かったことに加えて,数か月間のス- 2 -トレス反応により出てくるホルモンの影響等によると考えられる胸腺の萎縮が見られることや,栄養状態の指標である血液中のアルブミン値が正常値よりも低いことなど,被害者が相応の期間の栄養不良状態にあったことを根拠付ける事情が多数認められ,窒息をうかがわせるような炎症等のその他の要因を示す所見も見受けられないことから,被害者の死因は低栄養に基づく衰弱死であると考えるのが合理的である。これに対し,弁護人は,被害者は,ミオパチーを原因とする何らかの呼吸障害等によって死亡した可能性がある旨主張するが,証人D医師の供述によれば,途中まで相応に成長していた被害者がミオパチーの影響のみで本件のような急激な体重減少となることは考えられないのであって,栄養不良状態による衰弱等の要素を加味しなければミオパチーのみを理由として突然に呼吸障害等を起こすものともいえず,弁護人の主張を採用することはできない。 第4 争点②について 1 検察官の主張検察官は,被害者の体重減少や体格の変化は外見上明らかであること,食事量の不足は,ニンニクチップや生たまねぎを食べたことがあることなどの被害者の行動から明らかであることなどを前提として,被告人が,①平成26年3月以降,被害者の手足が細くなっていると思っていたこと,②被害者が丸一日食事をしないことや1日2食になることがあったこと,③ニンニクチップや生たまねぎを食べていたことがあったことを知っていたことから,被告人が被害者の体重減少・食事量の異変・空腹の状況について認識しており,④被告人が経鼻チューブをもらいに行 ったこと,③ニンニクチップや生たまねぎを食べていたことがあったことを知っていたことから,被告人が被害者の体重減少・食事量の異変・空腹の状況について認識しており,④被告人が経鼻チューブをもらいに行こうかとBに話したことがあったことから,被告人は食事量が減れば健康を害するかもしれないことを認識していたとし,被告人とBには,より十分な栄養を与えたり医療措置を受けさせたりしなければ被害者が健康を害するかもしれないという程度の認識があった,他方,体重が減少したとは思っていなかった,体格の変化には気づかなかったなどとする被告人- 3 -の弁解は常識に照らして不合理であり信用できないと主張する。 2 当裁判所の判断(1) 当裁判所は,被告人が,本件当時,被害者が十分な栄養を与えられていない状態(生存に必要な保護として,より栄養を与えられるなどの保護を必要とする状態)にあることを認識していたというには合理的な疑いが残ると判断したので,以下,その理由を説明する。 (2) 関係各証拠によれば,被害者は,平成22年8月に出生し,同年12月には乳児重症型先天性ミオパチーと診断されて,平成23年3月まで入院し,退院後も経鼻チューブにより栄養摂取をしていたが,平成25年1月には経鼻チューブを外し,食物のみから栄養をとるようになったこと,出生後,身長,体重は全体として増加しており(ただし,身長については,平均的な成長曲線を上回っていた時期が多かったが,体重については,ほぼそれを下回っており,数か月の間に減少したこともあった),同年10月には身長94㎝,体重11.4㎏となり,歩行ができるようになっていたこと,しかし,平成26年6月15日の死亡時には,身長は前年10月から7㎝増加して101㎝になっていたが,体重については約3㎏減少して約8㎏になっていた 1.4㎏となり,歩行ができるようになっていたこと,しかし,平成26年6月15日の死亡時には,身長は前年10月から7㎝増加して101㎝になっていたが,体重については約3㎏減少して約8㎏になっていたこと,平成26年5月23日に撮影された動画における被害者の姿は,平成25年10月14日に撮影された被害者の写真と比べて明らかに手足が細くなっており,死亡時も同様の状況にあったことなどが認められる。 そして,被告人は,被害者の母親として,本件公訴事実に記載された平成26年4月頃から同年6月中旬頃までの間,被害者と毎日生活しており,入浴させるなどしていたというのであるから,被害者の体格に関する客観的な状態について認識していたことは明らかである。体重については,被告人が自宅で被害者の体重を量っていたものではないことから,正確に把握していたものとまでは認められないが,日常生活の中で被害者や弟を抱き上げるなどする中で,被害者の体重が順調には増加しておらず,やせていることにつ- 4 -いても認識していたものと認められる。 (3) 被害者の体重や体格に関するこれらの事実は,通常であれば,被害者が十分な栄養を与えられていない状態にあり,健康に問題が生じかねない状況にあることの認識を抱かせるに足る事実といえる。しかし,人の健康状態に関する認識は,その体重や体格のみに着目してなされるものではないし,被害者の特性やそれまでの被害者の成長の状況等の前提知識を念頭に置いて被害者を見た場合に,観察状況も踏まえた上で被害者の姿がどのように認識され得るのかといったことも考える必要がある。そして,本件では,そのような観点から,以下の事実を指摘できる。 まず,人の体重や体格については,日々少しずつ変化していくものであることから,数か月の間の状況を写真で比較する も考える必要がある。そして,本件では,そのような観点から,以下の事実を指摘できる。 まず,人の体重や体格については,日々少しずつ変化していくものであることから,数か月の間の状況を写真で比較するなどした場合と比べて,毎日被害者と接している場合には気づきにくい面があることは否定できない。実際に,本件においては,平成26年1月の段階で被告人やBにおいて被害者の体型や手足に関して細いと感じていたとするものの,同年2月20日から22日にかけて被害者を家に泊めた被告人の母親は,被害者が少しやせていると思いながらも健康状態に問題を感じることはなかったとしているのであるから,その頃,被害者が既にやせ始めていたとしても,被告人において被害者の栄養不良状態に気づいたとはいえない。そして,同年3月から6月にかけて被害者に会ったBの家族や被告人の友人らの証言内容に照らしても,被害者の体重や体格が変化していることは短期間で直ぐに分かるようなものであったとはいい難く,また,被害者の体格等から健康上の問題を被告人らに指摘した者も見受けられないのであって,そうした事情に照らせば,被害者の身長や体重について測定をしていなかった被告人が,その変化の程度について正確には認識しにくい面があったこと自体は否定できない。 また,被害者は,ミオパチーにり患していたため筋肉がつきにくく,出生時から体重が平均より軽かったのであるから,そのような前提知識がある者- 5 -とそうでない者との間では,やせ方の異常性に関する認識が異なってしまう可能性もある。現に,被害者が死亡する2週間程前である平成26年6月1日にBの弟の証人Eが被害者を抱っこした際に被害者の弟よりも軽く感じられ,そのことを一緒にいた母親に話したときには,母親は病気のせいで筋肉がつきにくいということを言ったにす 前である平成26年6月1日にBの弟の証人Eが被害者を抱っこした際に被害者の弟よりも軽く感じられ,そのことを一緒にいた母親に話したときには,母親は病気のせいで筋肉がつきにくいということを言ったにすぎない。 さらに,検察官は,被害者の体格について,平成25年10月の写真と平成26年5月23日の動画とを比較しているが,実際の比較では動きのある者同士が対象とされることから,その比較には限界があることにも留意する必要がある。そもそも,人の健康状態を評価するに当たっては,体重や手足の太さの変化のみがその指標となるものではなく,体格の変化には身長の変化も含まれるほか,その人の動きがどのようなものか,どのように動きが変わったかという点についても重要な要素となると考えられる。確かに,本件において,被害者は低栄養に基づく衰弱により死亡しているのであるから,検察官が,その結果からさかのぼって考えて,体重の減少や体格の変化という要素に着目していることは理解できるが,被害者は身長という面では比較的順調に成長していたし(なお,身長が伸びる程には体重が増加しない場合に細身に見えてくること自体は否定し難く,そのように思ったとの被告人の供述も全面的には排斥し得ない側面もある),被害者は,同年6月頃になっても自ら歩いており,衰弱したために,いったんは歩けるようになっていたものが自力で立ったり歩いたりできなくなった,あるいはそのようなことが容易にはできなくなったなど,本件当時,運動能力に関して明らかに異常な状態があったとか,明らかな変化があったという立証はされていない。 もちろん,このような事情を踏まえても,体重が大きく減少したことや体格変化の程度からすると,被告人において,被害者が十分な栄養を与えられていない状態であったと認識していた可能性が否定できるものでは もちろん,このような事情を踏まえても,体重が大きく減少したことや体格変化の程度からすると,被告人において,被害者が十分な栄養を与えられていない状態であったと認識していた可能性が否定できるものではないが,他方で,体重減少や体格変化の状況といった事実のみをもって,被害者の手- 6 -足が細くなっていると思ったものの十分な栄養を与えられていない状態にあるとまでは考えていなかったとする被告人の弁解を直ちに排斥してしまえるとまではいい難い。 (4) そこで,次に,検察官が,体重減少,食事量の異変,空腹等の認識に関する事実として主張する本件前の被害者の行動等について検討する。 アまず,被害者が,平成26年3月以降,丸一日食事をしなかったり,1日2食や1食になったりすることがあったということや,同年4月頃から夜中に炊飯器の米飯を勝手に食べることがあったということは,被害者の食事が不規則になったため,空腹となることがあったことを認識していたことにつながる事実ともいえる。さらに,被告人は,同年3月以降に被害者の手足が細くなったのは不規則な食生活の問題も関係していると考えており,食生活を改善させようと試みたものの,うまくいかなかったというのであって,通常であれば,その後の被害者の健康状態により注意するのが当然であるともいえる。 しかしながら,この点につき,被告人は,被害者が食事をとらない日の翌日にはたくさん食事をとるなどし,2日続けて何も食べない日はなかったので,十分な栄養が取れていないとは考えていなかったなどと述べているところ,C医師は,体重の変化のみにより,その間の食事の状況を推測するのは難しい旨証言しているなど,この供述を明確に否定できる証拠が見当たらない。また,D医師の供述によれば,ミオパチー患者の特性として,胃腸や消化管 体重の変化のみにより,その間の食事の状況を推測するのは難しい旨証言しているなど,この供述を明確に否定できる証拠が見当たらない。また,D医師の供述によれば,ミオパチー患者の特性として,胃腸や消化管の動きが弱く,食べた物を消化吸収するのに時間がかかるため,多量に食べた後食欲がわきにくいことがあったり,疲れすぎて食べる元気がなくなったりすることがあり,食事にむらがある場合があるが,食事を抜くことがあるような食生活を続けることで,その後の食事の機会に多量に食べるだけでは体重が減少していくことがあり得るというのであるから,食事の状況に関する被告人の前記供述を否定できない。 - 7 -なお,検察官は,被害者は死亡の2日前にも食事をしなかったとのBの捜査段階の供述を前提として,被害者に2日連続食べさせていないこともあるから,前記の被告人供述は信用できないと主張する。しかし,Bの前記供述が記載された調書は,本件の直後ではなく,その約半年後に作成されたものであるから,記憶が明確でなかった可能性があり,取調べを受ける過程でメールの内容等から誘導を受けるなどして断定的なものとなった可能性を否定できず,この供述を根拠として被告人の前記供述の信用性を否定することはできない。 また,D医師は,ミオパチー患者の場合,食事を小分けにし,必要に応じて高カロリーの栄養補助食品をとってカバーするなどの注意が必要である旨述べているところ,被告人が医師等からそのような知識を得ていたという事実も認められない。もちろん,幼児が1日何も食べないことがあったとすれば,その翌日に多めに食事をとったとしても心配して健康状態により注意していくべきことが子を思う母親としては当然といえる。しかし,被告人は当時未成年であって,年齢の若い夫と二人での初めての子育てであり,しかも,二 多めに食事をとったとしても心配して健康状態により注意していくべきことが子を思う母親としては当然といえる。しかし,被告人は当時未成年であって,年齢の若い夫と二人での初めての子育てであり,しかも,二人目の子供も育てつつ妊娠もしている中で,被害者の育て方について専門家等に積極的にアドバイスを求めようとしなかった被告人の態度の問題もあり,子育てに対する意識が未熟で余裕もないまま,ミオパチーの子供を育てる上での理解が不十分なものとなっていた可能性を否定できない。 そうすると,前記のような被害者の不規則な食事の状況等が認められるにしても,被告人において事後の食事で栄養をまかなっているため,健康に問題が生じ得るほどの状況にはならないと誤解していた可能性を排斥できず,そのことから直ちに被害者の栄養不良状態に関する認識を認定することはできない。 イまた,ニンニクチップを食べたことについては,それが一度のみという- 8 -ことであって,直ちに慢性的な栄養不良状態の認識につながるものとはいえない。 生たまねぎを食べたことについても,その時期や,その前後の被害者の食事の状況,行動等が明確にはなっておらず,特にその時期がBの述べるような平成26年6月の被害者が死亡する前頃であったならば,被告人において,被害者の空腹の状態が続いていたことを認識していたことを根拠付ける事実とみるには限界がある。 ウさらに,被告人は,被害者が2日以上食事をとらなかったら病院に経鼻チューブをもらいに行くことをBと話をしていたとするところ,これは,被告人らが,被害者の食事が不規則なために健康を害する可能性があることを認識していたことをうかがわせる事情ともいえる。 しかしながら,他方で,この事実は,被告人らが被害者の健康状態に問題が生じ得るようであれば対処をする が不規則なために健康を害する可能性があることを認識していたことをうかがわせる事情ともいえる。 しかしながら,他方で,この事実は,被告人らが被害者の健康状態に問題が生じ得るようであれば対処をする意思を有していたことをうかがわせる事情とも評価することができ,むしろ,被告人らにおいて,被害者が経鼻チューブを必要とするような健康に問題のある状態になっていたと考えてはいなかったことを示すものともいい得る。 エそもそも,本件は,前記アのとおり,被告人らが,被害者に対して意図的に食事を与えていなかったとか,意図的に少量の食事しか与えていなかったとの立証がされた事案ではなく,基本的には食事を与えていたものの,出された食事を被害者が食べようとしなかった場合などに,それを食べさせるなどの努力を十分にせず,医師に相談して他の栄養摂取の方法をとるなどもしなかったことが主たる問題となっている事案と考えられる。そのような中で,本件では,本件公訴事実に記載された実行行為の期間が2か月以上と比較的長期間にわたっている一方,その当時及びそれ以前の日常的な被害者の食生活の状況が詳細には明らかになっていない。また,前記のエピソード自体についても,その時期や内容,前後の状況が十分に把握- 9 -できていないものもある。そうすると,前記のような,その間の数少ないエピソードのみから,当時の食生活全体の状況を適切に把握し,評価するのが容易ではないことは否定できず,前記のエピソードをもって被告人の認識を推認するには限界があるといわざるを得ない。 (5) さらに,被告人は,平成26年3月には毎週のように友人やBの家族らを被害者に会わせて一緒に食事をするなどし,同年4月以降も,同様に友人やBの家族らと複数回会っているところ,その際に被害者を家族らの目から遠ざけるような行 26年3月には毎週のように友人やBの家族らを被害者に会わせて一緒に食事をするなどし,同年4月以降も,同様に友人やBの家族らと複数回会っているところ,その際に被害者を家族らの目から遠ざけるような行動をとっていたとは認められず,このことは,被害者の外見や行動から十分な栄養を与えられていない状態にあることが分かると思っていた者の行動として必ずしも合理的なものとはいい難い。 また,Bが,被害者の動画を撮影して母親に送信し,さらに,被害者が死亡して被告人方の捜査が行われた後の段階においても,被告人の母親にその動画を送信していることについても,同様に考えることができ,被告人らは,動画に写っている被害者の状況に関し,家族に見せても被害者を栄養不良状態にさせているとして咎められるなどするとは思っていなかったのではないかと思わせる事情といえる(この事実は,直接にはBの認識に関する事実といえるが,被害者の育児に関する被告人とBとの意思疎通の状況等からすると,その認識に大きな齟齬があったとは考え難く,被告人の認識をうかがわせる事実としても考慮し得る)。 (6) 以上からすると,被害者の外見等の状況については,当時のその他の事情等にも照らせば,その事実のみにより,被告人において被害者が十分な栄養を与えられていない状態にあるとの認識を有していたと認定することができるようなものであるとまではいえない。これに加えて,本件当時の被害者の行動等を検討しても,検察官が主張するような被害者の認識を前提とすると自然に説明ができるものといえる一方,被告人が被害者について十分な栄養を与えられていない状態だとは考えていなかったとしてもまた,説明が困難- 10 -であるとまではいえない。そうすると,これらを総合しても,被害者について十分な栄養を与えられていない状態とは考 養を与えられていない状態だとは考えていなかったとしてもまた,説明が困難- 10 -であるとまではいえない。そうすると,これらを総合しても,被害者について十分な栄養を与えられていない状態とは考えていなかったとする被告人の主張を排斥することはできない。したがって,母親であるならば,被害者の健康状態について十分留意し,栄養不良状態にあったことに気づくべきであったということはできても,被告人において,被害者が十分な栄養を与えられていない状態(生存に必要な保護として,より栄養を与えられるなどの保護を必要とする状態)にあったと気づいていたと,常識に照らして間違いなくいえるだけの立証が検察官によりなされているとは認め難い。 第5 結論よって,被告人に対する本件公訴事実については,犯罪の証明がないことになるから,刑事訴訟法336条により被告人に対し無罪の言渡しをする。 なお,被告人に対して重過失致死罪の成立を検討する余地はあるものの,公判前整理手続における同罪の取扱いに関する検察官の対応等の事情からすると,本件事案の性質・内容等を踏まえても,当公判廷において証拠調べ終了時に訴因に関する検察官の意向を確認した以上に,当裁判所が検察官に対して訴因変更を勧告し又は命令することが必要となるとはいえず,本訴因について無罪の言渡しをすることとした。 (求刑懲役6年)平成27年12月2日大阪地方裁判所第2刑事部 裁判長裁判官小倉哲浩 裁判官福家康史- 11 - 裁判官札本智広 裁判官札本智広
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