平成25(行ウ)20 所得税決定処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成26年10月2日 大阪地方裁判所
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判決文本文77,402 文字)

主文 1 本件訴えのうち,次の部分をいずれも却下する。 (1) A税務署長が,平成23年3月11日付けでした,原告に対する平成20年分の所得税の更正処分のうち,総所得金額623万6429円及び納付すべき税額0円を超えない部分の取消しを求める部分(2) A税務署長が,平成23年3月11日付けでした,原告に対する平成21年分の所得税の更正処分のうち,総所得金額690万円及び納付すべき税額-7万0984円を超えない部分の取消しを求める部分 2 A税務署長が,平成23年3月11日付けでした,原告に対する平成17年分,平成18年分及び平成19年分の所得税の各決定処分及び各無申告加算税賦課決定処分のうち,次の部分をいずれも取り消す。 (1) 平成17年分の所得税について,総所得金額1700万6322円及び納付すべき税額248万3700円を超える部分並びに無申告加算税のうち37万2000円を超える部分(2) 平成18年分の所得税について,総所得金額1311万8793円及び納付すべき税額135万0300円を超える部分並びに無申告加算税のうち24万5000円を超える部分(3) 平成19年分の所得税について,総所得金額1億0736万1627円及び納付すべき税額3889万3900円を超える部分並びに無申告加算税のうち775万3000円を超える部分 3 A税務署長が,平成23年3月11日付けでした,原告に対する平成20年分及び平成21年分の所得税の各更正処分及び各無申告加算税賦課決定処分のうち,次の部分をいずれも取り消す。 (1) 平成20年分の所得税について,総所得金額3247万9559円及び納付すべき税額909万3900円を超える部分並びに無申告加算税のうち179万3000円を超える部 分をいずれも取り消す。 (1) 平成20年分の所得税について,総所得金額3247万9559円及び納付すべき税額909万3900円を超える部分並びに無申告加算税のうち179万3000円を超える部分 (2) 平成21年分の所得税について,総所得金額2030万2510円及び納付すべき税額393万5100円を超える部分並びに無申告加算税のうち77万5000円を超える部分 4 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 5 訴訟費用はこれを10分し,その1を原告の負担とし,その余は被告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 A税務署長が,平成23年3月11日付けでした,原告に対する平成17年分,平成18年分及び平成19年分の所得税の各決定処分及び各無申告加算税賦課決定処分をいずれも取り消す。 2 A税務署長が,平成23年3月11日付けでした,原告に対する平成20年分及び平成21年分の所得税の各更正処分及び各無申告加算税賦課決定処分をいずれも取り消す。 第2 事案の概要本件は,A税務署長が,競馬法に基づき勝馬投票の的中者として原告が受けた払戻金は一時所得に該当するとした上,その総収入金額から的中した勝馬投票券(以下「馬券」という。)の購入金額のみを控除して,原告の所得税につき,平成17年分から平成19年分までについては各決定処分及び各無申告加算税賦課決定処分を,平成20年分及び平成21年分については各更正処分及び各無申告加算税賦課決定処分(以下,平成17年分から平成21年分までを「本件各年分」といい,本件各年分に係る上記各処分を併せて「本件各処分」という。)を行ったのに対し,原告が,主位的に,上記払戻金は雑所得に該当するとした上,その総収入金額から控除される必要経費には, 本件各年分」といい,本件各年分に係る上記各処分を併せて「本件各処分」という。)を行ったのに対し,原告が,主位的に,上記払戻金は雑所得に該当するとした上,その総収入金額から控除される必要経費には,的中した馬券の購入金額だけではなく,外れ馬券を含む馬券の購入総額が含まれると主張するとともに,予備的に,上記払戻金が一時所得に該当するとしても,その総収入金額からは,外れ馬券の購入金額を含む馬券の購入総額が控除されるべきであ ると主張し,本件各処分はいずれも違法である等として,その全部の取消しを求めた事案である。 これに対し,被告は,原告の平成20年分及び平成21年分の所得税のうち原告の申告額を下回る部分につき,主文1項と同旨の本案前の答弁をするとともに,本件各処分はいずれも適法にされたものであるとして,原告の請求を争っている。 1 法令の定め別紙法令の定めのとおり。 2 前提事実(当事者間に争いのない事実及び各項掲記の証拠により容易に認められる事実等)(1) 馬券購入及び払戻金の仕組み等ア馬券の種類,発売方法及び払戻金の計算方法日本中央競馬会(以下「JRA」という。)は,券面金額10円の馬券を券面金額で発売し,かつ,10枚分以上を1枚をもって代表する馬券を発売することができ(競馬法(ただし,平成24年法律第37号による改正前のもの。以下同じ。)5条1項,2項),勝馬投票法については,その種類ごとの勝馬の決定の方法等が定められているところ(競馬法6条,競馬法施行規則6条,7条),勝馬投票法の種類,勝馬の決定の方法等は,次のとおりである。 (ア) 勝馬投票法の種類a 単勝式勝馬投票法1着となった馬を勝馬とする。 b 複勝式勝馬投票法原則として,3着 決定の方法等は,次のとおりである。 (ア) 勝馬投票法の種類a 単勝式勝馬投票法1着となった馬を勝馬とする。 b 複勝式勝馬投票法原則として,3着以内となった馬を勝馬とする。 c 馬番号二連勝単式勝馬投票法1着及び2着となった馬をその順位に従い一組としたものを勝馬とする。 d 馬番号三連勝単式勝馬投票法1着,2着及び3着となった馬をその順位に従い一組としたものを勝馬と する。 e 枠番号二連勝複式勝馬投票法1着及び2着となった馬を一組としたもの(枠番号の組合せ)を勝馬とする。 f 普通馬番号二連勝複式勝馬投票法1着及び2着となった馬を一組としたものを勝馬とする。 g 拡大馬番号二連勝複式勝馬投票法1着及び2着となった馬,1着及び3着となった馬,2着及び3着となった馬をそれぞれ一組としたものを勝馬とする。 h 馬番号三連勝複式勝馬投票法1着,2着及び3着となった馬を一組としたものを勝馬とする。 i 五重勝単勝式勝馬投票法同一の日の五つの競走につき単勝式勝馬投票法により勝馬となったものを一組としたものを勝馬とする。 (イ) 発売方法全国10か所の競馬場の窓口における場内発売及び全国42か所の場外馬券売場における発売のほか,JRAと「日本中央競馬会PAT方式電話投票(A―PAT)に関する協定」(以下「A-PAT約定」という。)又は「日本中央競馬会即PAT方式電話投票に関する約定」を結んだ者は,電話やパーソナルコンピュータを利用したPAT(PersonalAccessTerminal)方式により馬券 約定」という。)又は「日本中央競馬会即PAT方式電話投票に関する約定」を結んだ者は,電話やパーソナルコンピュータを利用したPAT(PersonalAccessTerminal)方式により馬券を購入することができる。 PAT方式によれば,パーソナルコンピュータやWeb機能付き携帯電話,スマートフォンを用いてインターネット経由で馬券の購入を申し込むことができる。A-PATの加入者は,加入時にJRAが指定する銀行にA-PAT専用口座を開設しなければならず,同専用口座では,競馬開催日及びその前後で各銀行が別に指定する時間は,原則として入出金を行うことはできないため, A-PATの加入者は,事前に馬券の購入資金を同専用口座に入金しておく必要があるが,競馬開催日の前日のA-PAT専用口座の残高から,A-PATで購入した馬券の金額を差し引き,確定した払戻金等の金額を加算した額を限度として,馬券の購入ができることとされているため,A-PATで購入した馬券が的中した場合,確定した払戻金等の額を,その後の競走における馬券の購入に充てることができる。A-PATで購入した馬券の購入金額の支払と,的中した馬券に係る払戻金等の振込みは,一節(JRAが競馬を開催する日又は地方競馬の競走に係る馬券の発売を行う日であって,開催日以外の日のうち特に指定する日1日,馬券発売日が2日以上連続する場合は,その連続する馬券発売日を併せた期間,又は馬券発売日(2日以上連続する場合を含む。以下同じ。)と馬券発売日との間の日が土曜日,日曜日若しくは国民の祝日に関する法律に規定する休日である場合は,その前後する馬券発売日を併せた期間をいう。以下同じ。)における購入金の支払及び一節における払戻金等の交付として,その節の直後の銀行営業日にA-PAT専用口座において 法律に規定する休日である場合は,その前後する馬券発売日を併せた期間をいう。以下同じ。)における購入金の支払及び一節における払戻金等の交付として,その節の直後の銀行営業日にA-PAT専用口座において行われ,同口座への入出金の記録は,それぞれの金額が総額で併記される(したがって,A-PAT専用口座を用いた馬券購入のうち,その節における馬券の購入費用の総額及び払戻金の総額は同口座の履歴として記録されることとなる。)。 (ウ) 払戻金の計算方法JRAは,競馬法7条の規定に基づき,各種類の勝馬投票法の勝馬投票の的中者に対し,当該競走に対する馬券の売得金(馬券の発売金額から同法12条の規定により返還すべき金額を控除したもの。以下同じ。)の額を勝馬投票法の種類ごとに区分した金額について,付録に定める算式によって算出した金額を控除,加算等した金額を当該勝馬に対する各馬券にあん分した金額を,払戻金として交付する。ただし,重勝式勝馬投票法の種別であって勝馬の的中の割合が低いものとして農林水産省令で定めるものについての勝馬投票の的中者がない場合における売得金は,その金額から一定の金額が持ち越され,その後最 初に的中者があるものに係る加算金とされる(同法7条2項,9条)。 なお,このように計算された払戻金の総額は,馬券の種類にもよるが,概ね馬券の発売金額の約75%になる。 イ馬券の発売及び払戻金の交付馬券の発売は,その競走に出走すべき馬が確定した後に開始し,その競走の発走の時までに締め切らなければならず(競馬法施行令8条),勝馬投票法の種類ごとの勝馬は,その競走の開催執務委員の着順の宣言により確定し(競馬法施行規則7条8項),勝馬投票の的中者に対しては払戻金が交付される(競馬法7条)。 (2) 原告によ 8条),勝馬投票法の種類ごとの勝馬は,その競走の開催執務委員の着順の宣言により確定し(競馬法施行規則7条8項),勝馬投票の的中者に対しては払戻金が交付される(競馬法7条)。 (2) 原告による馬券の購入及び払戻しの状況ア本件各年分における原告の馬券購入状況原告は,本件各年分において,A-PATの加入者であり,B銀行C支店に原告名義のA-PAT専用口座(以下「本件PAT口座」という。)を開設し,同口座を利用して馬券を購入していた。 原告は,上記の馬券購入に当たっては,インターネットを通じて競馬に関するデータを取得し,当該データに基づいて予想を行うソフトウェア「D」を利用して,所有するパーソナルコンピュータからA-PATによる馬券の購入申込みを行っており,本件PAT口座における本件各年分における原告の馬券の総購入金額は,別表1「原告所有のパーソナルコンピュータに保存されていたデータに基づく差引金額の計算」の「②総購入金額」欄記載のとおりである。 原告は,馬券を購入するに当たり,回収率(合計購入金額に対する合計払戻金の比率をいう。以下同じ。)を高めることを重視して,独自の想定に基づき,多種類の馬券を,PAT口座の残高によって自動的に算定される投票限度額に依拠しつつ回収率が高まる方法で購入することとし,回収率を高めるため,過去のレースにおける様々な記録を取り寄せ,統計的な判断に依拠しながら,その中から導き出せる普遍的要素ないし傾向を分析した。原告は,その分析の結果を一定の抽出条件として反映させるようにコンピュータソフトを設定することにより,当 該条件に見合う購入すべき馬券をコンピュータで自動的に抽出できるようにした上,原告が定めた条件に従った馬券の購入を自動的に行わせた。その際,原告の コンピュータソフトを設定することにより,当 該条件に見合う購入すべき馬券をコンピュータで自動的に抽出できるようにした上,原告が定めた条件に従った馬券の購入を自動的に行わせた。その際,原告の想定においては過去の記録に基づく統計的な判断や普遍的要素ないし傾向が重視されているため,原告は,個別のレースにおける偶発的要素による影響をできるだけ排除するため,条件に見合うレースと馬券がある限り,できるだけ多数のレースにおいて多種類の馬券を網羅的に購入し,これを長期的に繰り返すことを重視した。その結果,原告の馬券購入は,平成17年から平成21年にかけての全競馬場の競走回数のうち,新馬戦及び障害レースを除いた競走回数の65%から95%(平成17年は3063回のうち2014回(65.75%),平成18年は3070回のうち2293回(74.69%),平成19年は3063回のうち2749回(89.75%),平成20年は3057回のうち2923回(95.62%),平成21年は3053回のうち2445回(80.09%))に及び,各節ごとの馬券購入総額は,平成17年5月以降は百万円を超えるようになり,同年10月以降は数百万円単位となることが常態化するようになっていた。 (甲9,16,18,22,乙20)イ本件各年分における払戻金等の状況原告が馬券購入に用いていた上記アのパーソナルコンピュータには,本件各年分において,原告が購入した馬券の種類や金額とともに,的中した馬券に係る払戻金の額が記録されているところ,本件各年分において,同パーソナルコンピュータに保存されている本件PAT口座における取引に基づいて原告が受領した払戻金の額(以下「本件競馬所得」という。)は別表1「原告所有のパーソナルコンピュータに保存されていたデータに基づく差引 ンピュータに保存されている本件PAT口座における取引に基づいて原告が受領した払戻金の額(以下「本件競馬所得」という。)は別表1「原告所有のパーソナルコンピュータに保存されていたデータに基づく差引金額の計算」の「①払戻金」欄記載のとおりであり,当該払戻金に係る的中馬券の購入金額は,同別表の「④的中馬券購入金額」欄記載のとおりである(なお,原告は,別紙「原告の実際の所得金額(原告の主張)」のとおり,E銀行及びF銀行のPAT口座においても,上記アと同様の方法により馬券の購入と払戻金の支払を受けたことを主張してい る。)。 (3) 原告の収入等の状況ア原告は,平成17年から平成21年まで,勤務先から給与を受けながら,上記(2)のとおり,馬券を購入し,払戻金の交付を受けていた。 イ原告は,馬券の購入を事業として行っていたものではない。 (4) 原告の本件各年分における所得税の申告状況ア平成17年分から平成19年分まで原告は,平成17年分から平成19年分までについて,所得税の確定申告書を所轄税務署長に提出していない。 イ平成20年分原告は,平成20年分について,同年分の所得税の法定申告期限である平成21年3月16日までに所得税の確定申告書を所轄税務署長に提出せず,同日が経過した後である平成23年2月10日,国税電子申告・納税システムを利用して,平成20年分の所得税の期限後申告書を所轄税務署長に提出した。 原告が同期限後申告書によって申告した総所得金額及び給与所得並びに納付すべき税額の額は,別表2「課税の経緯」の平成20年分の「確定申告」欄における「総所得金額」欄,「給与所得の金額」欄及び「納付すべき税額」欄記載のとおりであり,馬券の払戻金に係る所得に関 並びに納付すべき税額の額は,別表2「課税の経緯」の平成20年分の「確定申告」欄における「総所得金額」欄,「給与所得の金額」欄及び「納付すべき税額」欄記載のとおりであり,馬券の払戻金に係る所得に関する記載はない。 ウ平成21年分原告は,平成21年分について,同年分の所得税の法定申告期限である平成22年3月15日までに所得税の確定申告書を所轄税務署長に提出せず,同日が経過した後である平成23年2月10日,国税電子申告・納税システムを利用して,平成21年分の所得税の期限後申告書を所轄税務署長に提出した。 原告が同期限後申告書によって申告した総所得金額及び給与所得並びに納付すべき税額の額は,別表2「課税の経緯」の平成21年分の「確定申告」欄における「総所得金額」欄,「給与所得の金額」欄及び「納付すべき税額」欄記載のと おりであり,馬券の払戻金に係る所得に関する記載はない。 (5) 本件各処分ア原告は,平成22年4月以降,馬券の払戻金に関する所得(本件競馬所得)について,平成17年分から平成21年分までの所得税確定申告書を法定の申告期限までに所轄税務署長に対して提出しなかったとして,大阪国税局による税務調査を受け,その結果,A税務署長は,平成23年3月11日付けで,平成17年分から平成19年分までの所得税の各決定処分(以下「本件各決定処分」という。)及び各無申告加算税賦課決定処分並びに平成20年分及び平成21年分の所得税の各更正処分(以下「本件各更正処分」という。)及び各無申告加算税賦課決定処分(以下,本件各年分における各無申告加算税賦課決定処分を併せて「本件各賦課処分」という。)をした(本件各処分)。 イ本件各処分において認定された原告の本件各年分の総所得金額,一時所得の金額 (以下,本件各年分における各無申告加算税賦課決定処分を併せて「本件各賦課処分」という。)をした(本件各処分)。 イ本件各処分において認定された原告の本件各年分の総所得金額,一時所得の金額,納付すべき税額,無申告加算税の額は,別表2「課税の経緯」の「決定処分」欄ないし「更正処分」欄における「総所得金額」欄,「一時所得の金額」欄,「納付すべき税額」欄及び「無申告加算税の額」欄に記載のとおりであり,その計算根拠は,別紙「原告の本件各年分における納付すべき所得税の額の計算根拠(被告の主張)」及び同「本件各賦課処分の根拠(被告の主張)」のとおりである。 (6) 原告が受けたその他の課税処分原告は,上記(5)の所得認定に基づき,豊中市長又は大阪市長から,別紙「原告に対する住民税等の課税処分の額」記載のとおり,課税処分を受けた(甲29)。 (7) 本件訴えに至る経緯ア原告は,平成23年4月6日付けでA税務署長に対し本件各処分への異議を申し立てた。 イ原告は,平成24年2月27日,A税務署長が上記アに対する決定を行わないまま3か月が経過したため,国税不服審判所長に対し,審査請求をした。 ウ国税不服審判所長は,平成24年11月26日付けで,上記イの審査請求を棄 却する旨の裁決をし,同裁決は同月29日ころ,原告に送達された(弁論の全趣旨)。 エ原告は,平成25年1月25日,本件訴えを提起した(顕著な事実)。 (8) 刑事裁判の判決ア原告は,給与所得のほか,馬券の払戻金により収入を得ていたにもかかわらず,平成19年分から平成21年分までの所得税につき法定期限内に申告をしなかった旨の所得税法違反の罪によって起訴され,大阪地方裁判所は,原告が馬券の払戻金により受けた収入が雑所得に当 たにもかかわらず,平成19年分から平成21年分までの所得税につき法定期限内に申告をしなかった旨の所得税法違反の罪によって起訴され,大阪地方裁判所は,原告が馬券の払戻金により受けた収入が雑所得に当たり,馬券購入総額が必要経費として控除される旨を判示した上で,次のとおりの罪となるべき事実を認定し,原告を懲役2月に処するとともに,判決確定の日から2年間執行を猶予する旨の判決(以下「本件刑事地裁判決」という。)をした(甲24)。 (ア) 平成19年分の総所得金額が1億0730万8817円であり,これに対する所得税額が3887万2700円であるにもかかわらず,正当な理由がないのに,同年分の法定申告期限である平成20年3月17日までに確定申告書を提出しなかった。 (イ) 平成20年分の総所得金額が3260万8629円であり,これに対する所得税額が914万5500円であるにもかかわらず,正当な理由がないのに,同年分の法定申告期限である平成21年3月16日までに確定申告書を提出しなかった。 (ウ) 平成21年分の総所得金額が2024万6010円であり,これに対する所得税額が398万3700円であるにもかかわらず,正当な理由がないのに,同年分の法定申告期限である平成22年3月15日までに確定申告書を提出しなかった。 イ検察官は,本件刑事地裁判決に対して控訴したが,大阪高等裁判所も,原告が馬券の払戻金により得ていた収入は雑所得に該当し,馬券の総購入金額を必要経費として控除できる旨を判示し,控訴を棄却する旨の判決(以下「本件刑事高裁 判決」という。)をした(甲48)。 3 争点及びこれに関する当事者の主張(1) 本件競馬所得は,所得税法上,一時所得に該当するか,雑所得に該当するか。 (被告の主 事高裁 判決」という。)をした(甲48)。 3 争点及びこれに関する当事者の主張(1) 本件競馬所得は,所得税法上,一時所得に該当するか,雑所得に該当するか。 (被告の主張)ア一時所得及び雑所得の判断基準(ア) 一時所得に該当するためには,利子所得,配当所得,不動産所得,事業所得,給与所得,退職所得,山林所得及び譲渡所得以外の所得であること(以下「除外要件」という。)を前提として,「営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得」であること(以下「非継続性要件」という。),「労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないもの」であること(以下「非対価性要件」という。)の各要件を具備していることが必要となる。 そして,利子所得ないし譲渡所得に分類される所得については,それぞれの所得の源泉が客観的に存在し,積極的な定義規定が置かれているが,一時所得は,所得の源泉自体が極めて主観的であり,必ずしも計画的・打算的なものといえないところに特色がある。 そのため,非継続性要件を満たすか否かは,所得の基礎に源泉性を認めるに足る継続性,恒常性がないといえるか否かを基準として判断すべきである。なお,「一時の所得」であるという要件は,所得が一時的・偶発的な性質を持つものであることを明確にしたものであるが,一時所得を生ずる行為がたまたま連続した場合であっても,その行為の間に計画的関連性がないときには,その所得が,一時的・偶発的な性質を持つものであることに変わりはない。 非対価性要件は,たとい営利を目的とする継続的行為から生じた所得とはいえない一時的な所得であっても,役務提供の対価(報酬)としての性質をもつ限り偶発的な所得ではないとして,一時所得を一 非対価性要件は,たとい営利を目的とする継続的行為から生じた所得とはいえない一時的な所得であっても,役務提供の対価(報酬)としての性質をもつ限り偶発的な所得ではないとして,一時所得を一時的,偶発的な所得を中心として分類しようとする考え方に基づくものである。 (イ) 雑所得は,所得税法が人の担税力を増加させる経済的利得は全て所得を構成するという包括的所得概念の下,最後に雑所得というバスケット・カテゴリーを設け,他の所得区分に該当しないものは全てこの所得区分で受ける方法を採ったものであるから,その所得が雑所得に当たるか否かは,除外要件を満たすことを前提に,一時所得に当たるか否かで決せられることになる。 イ本件競馬所得の一時所得該当性(ア) 本件競馬所得の発生の態様本件競馬所得に係る収入は,JRAから原告に対して交付された的中馬券に対する払戻金であり,原告が購入した馬券が的中したという事実の発生にある。 (イ) 除外要件本件競馬所得が,利子所得,配当所得,不動産所得,給与所得,退職所得,山林所得,譲渡所得のいずれにも該当しないことは明らかである。 加えて,上記(ア)の発生の態様や,原告が給与所得者であって勤務先に勤務する傍らで競馬が開催される主に土曜日,日曜日に馬券を購入していたこと,競馬はいわゆるギャンブルであって射倖性が強いことからすると,本件競馬所得は,社会通念上,所得税法施行令63条各号に規定する「事業」から生じたものとは認められないから,本件競馬所得は事業所得にも該当しない。 そうすると,本件競馬所得は,除外要件を満たす。 (ウ) 非継続性要件馬券の的中は,競走に出走した競走馬の着順に従って確定する事柄であるところ, は事業所得にも該当しない。 そうすると,本件競馬所得は,除外要件を満たす。 (ウ) 非継続性要件馬券の的中は,競走に出走した競走馬の着順に従って確定する事柄であるところ,競走の結果は,馬や騎手の能力・適性,競走の条件などにも左右されるほか,当日の体調や天候などの偶然の事情にも影響を受けるものであり,一般に射倖性が強いと解されている。また,馬券の的中による払戻金の受領は,原告による馬券購入行為の後に来る,原告の行為が全く関与しない偶然の事象によるものである。加えて,能力が高い馬は勝率が高い一方,オッズが下がり,能力が高くない馬はオッズは高いが勝率が低くなるところ,いずれの場合も, 払戻金は売得金から一定額を控除してあん分するため,儲けることができるのは,ますます偶然でしかない。以上を総合すると,本件競馬所得は偶発的に生じた所得といえる。 また,各競走については,個別に出走馬や競走の条件などが決定されており,さらに,馬が生き物である以上,成長もすれば,衰えることもあり,その成長等の過程も早熟型,晩成型等,馬ごとに異なるものであって,出走馬の能力自体も決して固定されたものではないことからすると,各競走の結果は他の競走の結果に何ら影響を与えるものではなく,各競走は,個々に独立して行われていることとなる。そうすると,購入した馬券が的中するか否かも,個々の競走ごとに独立して発生する事柄であり,相互に関連するものではないから,仮に,複数の競走において購入した馬券が的中したとしても,それによって交付を受けた払戻金に係る所得は,それぞれ偶発的に生じたものであることに変わりはない。 さらに,馬券にはいくつかの種類があるので,1つの競走において購入した複数の種類の馬券が的中することもあり得るが 戻金に係る所得は,それぞれ偶発的に生じたものであることに変わりはない。 さらに,馬券にはいくつかの種類があるので,1つの競走において購入した複数の種類の馬券が的中することもあり得るが,馬券が的中するか否かは,競走の結果すなわち出走馬の着順が確定することによって自動的に決まるものであるから,的中した複数の種類の馬券が相互に影響を与えているわけではなく,個々の馬券について,的中という事実がそれぞれ偶発的に生じたものであることに変わりはなく,このことは,的中した馬券を多額に購入していたとしても同様である。 そして,偶発的な原因が偶々連続して所得が発生したとしても継続的,恒常的な所得とは言い難いことから,「継続的行為」とは,量的な概念ではなくて,質的な概念と解するのが相当であるところ,原告の払戻金に係る収入は,月単位でみれば回収率が100%を割り込んだ月が連続している時期もある上,データの蓄積によって予想が精緻化していったはずである平成20年分及び平成21年分の方が,月単位の回収率が100%を割り込む月数が増えているので あって,この事実は,結局,原告が一定以上に維持しようとした回収率ですら,偶然に左右されるものであることを端的に示している。 以上からすると,購入した馬券が的中したことによって交付を受けた払戻金に係る所得は,仮に,それが複数かつ連続的に生じたものであっても,所得の基礎に源泉性を認めるに足る継続性,恒常性があるとはいえず,非継続性要件を満たす。 これに対し,原告は,所得源泉説にいう所得の基礎の源泉性は継続的な収入,つまり毎年繰り返し収入が生ずるものを所得とするものと解した上で,本件競馬所得に所得源泉性があると主張するが,現行の所得税法における所得の源泉とは,単に所得の発生原因を意味するも 性は継続的な収入,つまり毎年繰り返し収入が生ずるものを所得とするものと解した上で,本件競馬所得に所得源泉性があると主張するが,現行の所得税法における所得の源泉とは,単に所得の発生原因を意味するものであり,源泉という用語に継続性,恒常性のあることが含まれているという理解は正しくない。このことは,同法161条1号を受けた所得税法施行令281条5号が,「国内に源泉のある所得」として,「国内においてした行為に伴い取得する一時所得」を規定していることからも明らかである。そうすると,原告の主張は理由がない。 また,原告は,原告が精緻なシステムを構築した上で馬券を購入したことから継続性がある等とも主張するが,いかに精緻なシステムを構築しても,それが馬券の的中を左右するものではなく,馬券を購入しなければ払戻金が発生することはあり得ないし,他方,精緻なシステムを構築しなくても払戻金を得ることはできるから,システムの構築自体から所得が生じたとは到底いえない。 原告は,馬券の的中を左右することができないからこそ,多数の外れが出ても結果的に一定以上の回収率を維持できるような組合せを模索していたにすぎないのであって(しかも,短期的には必ずしも成功していない。),原告が予想のためのシステムを構築したことは,所得の発生そのものに何ら影響を与えていないから,原告の主張は理由がない。 (エ) 非対価性要件馬券が的中したことによって交付された払戻金は,原告がJRAに対して何 らかの役務を提供した対価として交付されたものではないし,資産を譲渡した対価として交付されたものでもないから,本件競馬所得は,非対価性要件を満たす。 原告は,本件競馬所得は独自のシステムの構築とそれに基づく独特の購入方法によるものであるから,役務の対価 対価として交付されたものでもないから,本件競馬所得は,非対価性要件を満たす。 原告は,本件競馬所得は独自のシステムの構築とそれに基づく独特の購入方法によるものであるから,役務の対価としての性質を有すると主張するが,提供した役務が対価性を有するというためには,当然のことながら,当該所得が役務の提供先から得られるものであることが必要であるところ,原告がいう役務の提供先は専ら原告自身であって,払戻金の支払者であるJRAではない。 そうすると,本件競馬所得に役務の対価としての性質が認められないことは明らかである。 これに対し,原告は,厳密に対価といえない場合であっても広く見返りといえるようなものも対価の性質を有するものに包摂されると主張するが,役務の提供先と金銭を交付する者が全く別である場合には,もはや見返りともいえないから,失当である。 (オ) 学説及び裁判例の理解競馬の払戻金が一時所得に該当することは,一時所得には「懸賞金,競馬の払戻金,(・・・)等が,それに含まれる。」と金子宏東京大学名誉教授が記述するなど,租税法に関する複数の文献で指摘されている。また,本件刑事地裁判決も,「原則として,馬券購入行為については,所得源泉としての継続性,恒常性が認められず,当該行為から生じた所得は一時所得に該当する。」と判示している。 (カ) 馬券の払戻金に係る所得は担税力が低く,一時所得とするのが相当であること一時所得及び雑所得は,所得税法によって積極的な定義付けをすることが困難であり,法の趣旨目的に沿うように解釈すべきであるところ,所得税法が,所得をその源泉ないし性質に応じて利子所得ないし雑所得の10種類に分類し た趣旨は,各種所得の金額の計算においてそれぞれの担 り,法の趣旨目的に沿うように解釈すべきであるところ,所得税法が,所得をその源泉ないし性質に応じて利子所得ないし雑所得の10種類に分類し た趣旨は,各種所得の金額の計算においてそれぞれの担税力の相違を加味しようという考慮に基づくものであると解すべきであるから,担税力がどのようなものと考えられているかについても考慮すべきである。 しかるところ,所得税法34条1項の規定は,戦前の所得源泉説の影響を残すものであり,所得の発生原因に継続性,恒常性が認められない一時所得は担税力が低いとの考慮から,その2分の1のみが課税の対象とされている(所得税法22条2項2号)。そうすると,「営利を目的とする継続的行為から生じた所得」に該当するか否かは,単に,納税者の行為が多数回にわたるか否かという量的な観点から決するべきではなく,所得の発生原因がその他の所得と同程度に,客観的に納税者の担税力を増加させるようなものか否か,すなわち,継続的,恒常的に発生するものか否かという観点も加味して検討すべきである。 本件競馬所得は,たまたまある期間を取り出してみると利益を上げているように見えるが,取り出す期間の長さ等が異なれば利益が上がっていないなど,馬券がたまたま的中するという一時的・偶発的事象により生じるものにすぎないから,その発生原因からして,継続的,恒常的に発生するような所得と同じレベルで納税者の担税力を増加させるようなものであるとはいえず,実質的にみても,一時所得とみることが所得税法の趣旨目的に沿う。 この点,原告は,原告が行った本件PAT口座を用いた競馬取引においては,原告自身が払戻金の全額を得るわけではなく,払戻金と馬券購入代金との決済差額を得るのであるから,原告が払戻金を原資としてその後の競走における馬券購入 行った本件PAT口座を用いた競馬取引においては,原告自身が払戻金の全額を得るわけではなく,払戻金と馬券購入代金との決済差額を得るのであるから,原告が払戻金を原資としてその後の競走における馬券購入をしたという被告の認識は明らかな誤りであり,払戻金の全てが原告の担税力を増加させるものではない等と主張するが,A-PAT口座を用いた場合であっても,馬券購入者は,A-PAT口座を用いた競馬取引において購入した馬券が的中した場合,確定した払戻金の額をその後の競走における馬券の購入に充てることはできるのであるし,払戻金を次のレースの馬券の購入資金に充てるか,それを確保して後日払い戻すかは,当該払戻金を得た者の任意の 判断によるのであるから,原告の主張は事実に反する。 ウ本件競馬所得は雑所得に該当しないこと(ア) 原告は,多種類かつ多数の馬券を購入したことから,本件競馬所得は「営利を目的とする継続的行為から生じた所得」に該当すると主張するが,多種類かつ多数の馬券を購入しているからといって,必ずしも購入した馬券が的中して払戻金の交付が受けられるとは限らず,払戻金を受けることができたのは,購入した馬券が的中したという事実の発生にその原因ないし基礎があるというべきである。 したがって,原告の主張は,競馬の払戻金を得るためには,必然的に購入した馬券が的中するという偶発的な事象を伴うことを看過し,あたかも馬券の購入行為のみから払戻金を獲得することができるかのような誤った認識を前提としているものであり,その前提とする所得の基礎の理解を誤ったものであるから理由がない。 この点,原告は,原告の馬券購入方法の特異性を主張するが,原告の馬券購入方法は,一般的な馬券の購入方法と比べて,何ら特異なものではない。 (イ) 原告が,個 たものであるから理由がない。 この点,原告は,原告の馬券購入方法の特異性を主張するが,原告の馬券購入方法は,一般的な馬券の購入方法と比べて,何ら特異なものではない。 (イ) 原告が,個々のレースをその都度予想するというのではなく,「D」を基に構築したシステムを用いて,利益を得る目的で継続的に馬券を購入していたとしても,それは原告の主観ないし個人的な理由にすぎない。仮に,どのような買い方をしていたかによって,取得する経済的利得の内容は同じであるにもかかわらず所得の区分が変わってくるということになれば,一般的な解釈,すなわち,的中馬券に対する払戻金に係る所得が一時所得であるという解釈によらず,納税者がどのような馬券の購入の仕方をしていたかによる個別的な解釈によって,所得の区分が異なることになるが,そのような考え方は課税の概念を著しく不安定にするものであり,かつ,租税の法的安定性及び予測可能性を著しく害するものであるから,採用し得ない。 (ウ) 原告は,原告の馬券購入行為は資産運用の一種である等と主張するが, 通常,馬券購入者は,それぞれが独自の方法でより多くの分配を得ようとしているのであり,この観点(馬券購入者の意思,目的)から見れば,原告の馬券購入方法も一般的な馬券購入者の馬券購入方法と何ら変わるところはない。そして,馬券購入のシステム等が変わらない以上,馬券購入者が,的中する馬券をどのような方法で予想し,馬券をどのような方法で購入しようとも,そのギャンブルたる性質が変わるものではない。このことは,馬券の購入回数が膨大であり,馬券の購入方法が機械的であったとしても何ら変わるものではない。 以上のとおり,原告の馬券購入はギャンブルの域を出ないのであり,仮に原告が「資産運用」という用語を,ギャンブルなどを含ま 膨大であり,馬券の購入方法が機械的であったとしても何ら変わるものではない。 以上のとおり,原告の馬券購入はギャンブルの域を出ないのであり,仮に原告が「資産運用」という用語を,ギャンブルなどを含まない経済活動による資産の活用という意味で使っているのであれば,原告の主張には理由がないし,仮に原告が,経済活動のようなものに限定せず,広く資産を何らかの形で活用してこれを増やそうとする活動を指して資産運用と言っているのであれば,そのような資産運用に当たるかどうかは,せいぜい営利目的があることを根拠づけるだけであり,所得区分とは無関係である。 (エ) 原告は,先物取引やFX取引に係る所得が雑所得に分類されることから,それとの類似性に照らしても,本件競馬所得は雑所得と分類されるべきであると主張するが,先物取引やFX取引の本質は商品等の売買取引であり,その差金決済に係る取引も,商品等の売りと買いを同時に行う取引である。したがって,差金決済により生ずる損益は,商品等の売却金額と取得価額との差額として生ずる。個々の差金決済による損益は,それぞれが,資産の売却金額相当額から取得価額相当額を差し引いて計算されるものであるから,同損益は「資産の譲渡の対価としての性質を有するもの」に該当すると解することが可能である。その結果,このような損益は,一時所得の非対価性要件を満たさず,雑所得(又は事業所得)に当たると考えられる(なお,差金決済に係る取引においては,実際に商品等の引渡しが行われないため,当該取引により生じた損益を資産の譲渡による所得として譲渡所得に該当するということは困難である。)。 また,先物取引等は,対象とする商品又は外国通貨の売買を行う取引であるから,その本質がギャンブルである競馬における馬券購入行為とは,行為の性質が根本的に するということは困難である。)。 また,先物取引等は,対象とする商品又は外国通貨の売買を行う取引であるから,その本質がギャンブルである競馬における馬券購入行為とは,行為の性質が根本的に異なる。そうすると,先物取引等の差金決済に係る所得は,資産の譲渡の対価としての性質を有することを理由として,一時所得該当性を否定されて雑所得に該当すると解されるのであるから,先物取引等の差金決済に係る所得が本件競馬所得と類似性を有することを根拠として,同所得の所得区分を判断すべきとする原告の主張は理由がない。 (オ) 本件刑事高裁判決は,「営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得」か否かについては,所得源泉性などという概念を媒介とすることなく,行為の態様,規模その他の具体的状況に照らして判断するのが相当であると判示した上,同要件の内容自体からして,行為の本来の性質だけでなく,行われる回数や頻度等の反復性に関する事情を当然に考慮に入れるべきであり,ある一回の行為から生じた行為の性質等に照らして一時所得と解される場合であっても,その行為が一定期間に頻繁に繰り返されることなどによって営利目的性及び継続性が認められれば,異なる所得に区分されることを肯定すべきであるとして,本件競馬所得は雑所得に分類されると判断した。 しかしながら,上記のような単純な文理解釈は誤りであり,文理解釈によって規定の意味内容を明らかにすることが困難な場合に,規定の趣旨目的に照らしてその意味内容を明らかにしなければならないことはいうまでもない。そして,所得は,人の総合的担税力の標識として最も優れており,所得税は基礎控除等の人的諸控除及び累進課税と結びつくことによって,担税力に即した公平な税負担の配分を可能にするのであり,所得税法は,所得をそ て,所得は,人の総合的担税力の標識として最も優れており,所得税は基礎控除等の人的諸控除及び累進課税と結びつくことによって,担税力に即した公平な税負担の配分を可能にするのであり,所得税法は,所得をその源泉ないし性質に応じて,利子所得ないし雑所得の10種類に区分している。これは各種所得の金額の計算においてそれぞれの担税力の相違を加味しようという考慮に基づくものである。一時所得及び雑所得は,全ての利得を課税所得に取り込むための所得という性質上,その内容について積極的な定義づけは困難であり,「営 利を目的とする継続的行為から生じた所得」という要件は,解釈の余地を残すものであるから,所得税法の趣旨目的に照らして,その意味内容を解釈する必要がある。そして,所得の区分に当たっては,所得をその源泉ないし性質に応じて分類し,所得の発生原因に継続性,恒常性が認められない一時所得は,担税力が低いとの考慮から,その2分の1のみが課税の対象とされている(同法22条2項2号)ことを考慮すべきである。しかるところ,本件刑事高裁判決は,所得の性質や同法の趣旨目的を一切考慮していないものであり,その解釈の根拠は乏しい。 (カ) 本件刑事高裁判決は,所得が営利を目的とする継続的行為「から生じた」場合に雑所得となる旨が規定されているにもかかわらず(所得税法34条1項),馬券購入行為の継続性をもって,本件競馬所得が雑所得であると判断している。 しかしながら,「から生じた」という文言の文理からすれば,本件競馬所得は原告による馬券の購入及び購入した馬券の的中によって生じたものであることを踏まえて非継続性要件の該当性を判断すべきところ,そのような所得の発生原因の全体を考慮せず,発生原因の一部分である馬券購入行為のみを取り上げて,「営利を目的とする継続的行為」に該当する であることを踏まえて非継続性要件の該当性を判断すべきところ,そのような所得の発生原因の全体を考慮せず,発生原因の一部分である馬券購入行為のみを取り上げて,「営利を目的とする継続的行為」に該当するか否かで結論を得ようとする判断は,所得税法34条1項の「から生じた」という文言に反しており,文理解釈においても誤っている。 (キ) 本件刑事高裁判決は,購入や払戻しの履歴が記録化され,態様や規模が客観的に明らかになる馬券購入行為については,その払戻金に課税しようとする場合,「営利を目的とする継続的行為から生じた所得」に当たるか,それ以外の「一時の所得」に当たるのかを明確に判断できると判示するが,結局,具体的な基準は明確にはされていない。 (原告の主張)ア 「営利を目的とする継続的行為から生じた所得」に該当すること(ア) 原告の活動の特殊性 原告が行った取引の詳細は,以下のとおりである。 a 中央競馬の概要等中央競馬は,JRAが主催する競馬であり,基本的には毎週土曜日と日曜日に開催される。開催日には,全国10か所の競馬場のうちの2又は3か所で競馬が行われる。 各競馬場では,基本的に1日に12レースが行われ,各レースでは最大18頭の馬が出走する。出走する各馬には,1から18までの馬番号と,1から8までの枠番号が割り当てられ,これらの馬番号や枠番号を用いて勝馬投票が行われる。 b 原告が主に購入していた馬券の種類原告が主に購入していた馬券に係る勝馬投票法は,「馬連」(1着と2着の馬(馬番号)の組み合わせ(着順不問)を当てるもの),「馬単」(1着の馬(馬番号)と2着の馬(馬番号)の両方を当てるもの)及び「3連複」(1着から3着までの3頭の馬(馬番号)の組み合わせ(着順不問)を当 馬番号)の組み合わせ(着順不問)を当てるもの),「馬単」(1着の馬(馬番号)と2着の馬(馬番号)の両方を当てるもの)及び「3連複」(1着から3着までの3頭の馬(馬番号)の組み合わせ(着順不問)を当てるものの3種類である。 c 原告が利用していたサービス原告が使用していた予想ソフト「D」は,有料の競馬データ提供サービスによって提供される競馬データを利用して,馬柱を表示したり,買い目を抽出したりするほか,A-PATを通じて馬券を自動的に購入することなどができる有料のソフトウェアであり,原告は,その諸機能を駆使して,馬券購入行為を行った。 A-PATでは,パーソナルコンピュータ等で馬券を購入することができるところ,原告はB銀行,E銀行及びF銀行に専用口座を開設し,B銀行のPAT口座(本件PAT口座)を主に利用しながら,パーソナルコンピュータを利用して馬券を購入していた。PAT口座の入出金の記録は,節ごとに購入した全馬券の合計金額が出金として記録され,それらの馬券の合計払戻 金(返還金も含む。)が入金として記録される。 d 原告の具体的な馬券購入方法原告は,馬券の購入金額を上回る金額の払戻金を得て,効率よくPAT口座の残高を増やすことができるように,上記各専用口座を用いた馬券購入において,いずれも次のとおり,膨大なデータの取得をツールとして利用しながら,極めて詳細で合理的な調査・研究を行い,回収率を高める要素が認められ,購入金額を超える払戻金の支払が期待できる馬券を抽出し,効率よく残高が増えるように構築した金額式に従って馬券を購入し,その際,原告は,的中率(購入した買い目の数に対する的中した買い目の数の比率をいう。以下同じ。)がどれだけ高くても,回収率が低けれ し,効率よく残高が増えるように構築した金額式に従って馬券を購入し,その際,原告は,的中率(購入した買い目の数に対する的中した買い目の数の比率をいう。以下同じ。)がどれだけ高くても,回収率が低ければ払戻金の総額が増えることは期待できないため,的中率は無視することとし,前走着順のほか,競走馬の血統,騎手,枠順,性別,負担重量といった要素を独自に分析し,インターネットによる馬券購入サービスを利用することにより,パーソナルコンピュータを用いて自動的に,全ての競馬場の,新馬戦と障害レースを除く全てのレースにおいて,極めて多種類かつ多額の馬券を購入し,多数回かつ多額の払戻金の支払を受けることによって,平成17年分から平成21年分までの5年間にわたり,継続して利益を上げた。原告が極めて多種類かつ多数の馬券の購入を繰り返したのは,このような購入を行った方が,個別のレースの結果の影響を小さくして,長期的かつ統計的に見て,利益を上げることを期待できるからであり,このような原告による活動は,正に利益を得ることを目的として継続的に行う経済活動にほかならず,「営利を目的とする継続的行為」に該当し,これによって得られた払戻金は「営利を目的とする継続的行為から生じた所得」に該当する。 ① 過去データの分析予想ソフトには,競馬データ提供サービスによって提供されている過去のデータに基づいて,ユーザが任意に設定した条件に当てはまる買い目を 買った場合の的中率や回収率を計算して表示する機能があるところ,原告は,これらを駆使し,例えば,前走着順と単勝馬券の回収率等の関係を期間を変えるなどして繰り返し分析するなどし,その分析に際しては,回収率が低ければ,払戻の総額が増えると期待できず,長期的に見れば収支のマイナスが大きくなるため,回収率を重視し 券の回収率等の関係を期間を変えるなどして繰り返し分析するなどし,その分析に際しては,回収率が低ければ,払戻の総額が増えると期待できず,長期的に見れば収支のマイナスが大きくなるため,回収率を重視し,的中率は無視するなどし,前走着順のほか,競走馬の血統,騎手,枠順,性別,負担重量といった要素についても,休日を利用して数か月を費やして,分析を繰り返して普遍的な傾向がみられるか否かを判断し,回収率を高める要素として約40のファクターを採用した。 ② ユーザ得点の計算式の作成予想ソフトには,レースに出走する馬ごとに独自の得点を計算し,この得点と独自の抽出条件により馬券の買い目を抽出する機能があり,ユーザは予想ソフトに既定の得点や抽出条件の代わりに,独自に考えた得点(以下「ユーザ得点」という。)や抽出条件(以下「ユーザ抽出条件」という。)を利用して,馬券を抽出することもできるところ,原告は,このような機能を利用し,過去のデータを分析した結果に基づいて,回収率を高める馬に係る馬券を抽出できるよう,ユーザ得点の計算式を作成した。 ③ ユーザ抽出条件の作成原告は,回収率を高めるために約40のファクターを採用し,これに基づいてユーザ得点を設定したことから,得点の高い馬や,その馬の組み合わせに対応する買い目ほど,より高額の払戻金を得ることを期待できる。 原告は,馬券の種類ごとに,ユーザ得点が何点以上であれば,回収率が100%を超え,馬券の購入費用を超える払戻金を得る見込みが高いのかを,過去データを用いて検証し,2頭の馬のユーザ得点の合計に基づいて,回収率が100%を超える合計得点のしきい値を,過去のデータに基づいて決定し,回収率が100%を超える見込みが高い組み合わせに係る馬券を 購入するためのユーザ抽出条件を設定した。 いて,回収率が100%を超える合計得点のしきい値を,過去のデータに基づいて決定し,回収率が100%を超える見込みが高い組み合わせに係る馬券を 購入するためのユーザ抽出条件を設定した。 ④ 金額式の作成予想ソフトを用いれば買い目の購入金額を自由に設定することができるところ,原告は,単勝馬券の金額式を「投票限度額×0.08÷単勝オッズ」と設定し,馬連馬券の金額式を「投票限度額×0.08÷連勝オッズ」と設定した。 上記金額式にいう投票限度額とは,PAT口座の現在の残高であるところ(なお,節の期間中は,PAT口座の残高は実際には変動していないため,馬券の購入や払戻しに応じた,いわば仮想的な残高である。),上記金額式によれば,PAT口座の残高と馬券の購入金額が比例しているため,PAT口座の残高が増えた場合は,これに応じて馬券の購入金額を増やすことができ,PAT口座の残高が減った場合には購入金額を減らし,連敗が続いたとしてもPAT口座がすぐに底をつくことが防がれていた。 また, 上記金額式によれば,購入金額はオッズに反比例しているところ,その理由は,収支のムラを無くすためであった。例えば,2倍のオッズの馬券と100倍のオッズの馬券を同じ金額で購入し続けた場合には,たとい2倍のオッズが2回に1回以上の頻度で的中し,110%の回収率を達成していたとしても,100倍のオッズの馬券が99連敗したとすれば,トータルの回収率は約50%になり,残高が大きく減ってしまう。そのような事態を避けるため,上記のような反比例によって,収支の安定を図っていた。 さらに,上記金額式における係数(0.08)は,原告が過去のデータを利用して,エクセルでシミュレーションを行い,PAT るため,上記のような反比例によって,収支の安定を図っていた。 さらに,上記金額式における係数(0.08)は,原告が過去のデータを利用して,エクセルでシミュレーションを行い,PAT口座の残高が効率よく増える最適値を設定したものである。 ⑤ 自動購入予想ソフトには,ユーザ抽出条件によって抽出された買い目を,A-P ATを用いて自動的に購入する機能があるところ,ユーザは予想ソフトの自動購入機能をオンにしておくことによって,パーソナルコンピュータを操作することなく,馬券を購入することができる。 また,予想ソフトには,競馬データ提供サービスが提供している,レースが始まるまで刻々と変化するオッズや,レースの払戻し情報等,リアルタイムの競馬データを自動的にダウンロードする機能があることから,原告がパーソナルコンピュータの電源を入れたままにしておけば,予想ソフトが自動的にオッズなどの情報をダウンロードし,その情報に基づいて馬券を購入することができた。 そして,原告は,このような自動購入機能を利用して,全ての競馬場の,新馬戦と障害レースを除く全てのレースにおいて,ユーザ抽出条件によって抽出した買い目を,上記金額式によって算出した金額まで購入することにより,極めて多種類かつ多数の馬券の購入を繰り返した。 原告が,多種類かつ多数の馬券の購入を繰り返したのは,このような購入を行うことによって,個別のレースの結果の影響を小さくして,長期的かつ統計的に見て,利益を上げることが期待できるからである。例えば,あるサイコロについて,5の目が出やすい傾向がある場合には,その5の目に数回賭けたとしても,実際の出目の影響を受けて,利益が出るとは限らないが,1万回 益を上げることが期待できるからである。例えば,あるサイコロについて,5の目が出やすい傾向がある場合には,その5の目に数回賭けたとしても,実際の出目の影響を受けて,利益が出るとは限らないが,1万回,10万回と極めて多数回にわたって賭けたとすれば,ほぼ確実に回収率が上がると期待できるのである。 ⑥ 原告の馬券の収支原告は,平成16年に,本件PAT口座に馬券を購入する資金として100万円を入金し,その金員が無くなった時点で馬券の購入を中止することとした。それ以来,追加の入金は一切していない。 (イ) 被告の主張についてa 偶然が作用する独立した行為であるとの主張について 被告は,競馬の各競走の結果は出走馬の持つ能力等に偶然が作用して現れるものであるから,所得を生ずる行為はそれぞれが独立したものであって,所得の源泉性を認めるに足りる継続性,恒常性はないと主張する。 しかしながら,「営利を目的とする継続的行為」とは,そもそも文理上も,利益を目的とする継続的行為であれば足りる。また,競馬の勝馬投票を行う行為は,複数の種類の投票を行わなければ,その的中率や回収率をあげることができないことは当然であり,一般の競馬愛好家もそのような方法を採っていることは常識であるから,個別の馬券の購入が全く独立した行為であるととらえるべきではない。 被告が主張する所得源泉説は,譲渡所得であるとか富くじに当たった場合の臨時的な所得というものは課税の対象にならないとする考え方であるが,現行の所得税法は,一時所得や譲渡所得も課税対象とするとともに,「営利を目的として継続的」に行われるものは,一時所得や譲渡所得以外の所得に分類しているのであるから,被告は所得源泉説にいう所得の源泉を正しく理解していないというほかない。 課税対象とするとともに,「営利を目的として継続的」に行われるものは,一時所得や譲渡所得以外の所得に分類しているのであるから,被告は所得源泉説にいう所得の源泉を正しく理解していないというほかない。 そして,譲渡所得から除外される「営利を目的として継続的に行われる資産の譲渡による所得」に当たるかどうかについては,その年中の売買回数が30回以上で,かつ,売買株数が12万株であるなどの,取引規模及び取引内容等に基づき判定することが確立されているのであり,馬券の購入回数,態様,規模等にかかわらず,所得の区分は絶対に変更されないかのようにいう被告の主張は誤りである。 加えて,被告は,原告が行った行為のうち,馬券購入行為を切り離してとらえて,継続性がないと主張するが,原告は,データ分析に基づくシステムの構築,馬券の自動注文によって,馬券購入をしていたのであって,原告の行為の具体的な内容を見誤るものであって,失当である。 また,金銭を賭けた場合にはギャンブルに該当するとされている囲碁,将 棋,あるいはゴルフにおいても,一定の技量にある者が継続的に賞金を得た場合には,営利を目的とした継続的行為として認められることは明らかであるから,プロの場合には,事業所得になるのである。 b 射倖性が高い行為であるため,営利を目的とするものとは認められないとの主張について被告は,国民生活の中で娯楽と位置付けられ,一般的に射倖性が強いとされている競馬は,一種の集団賭博であるから,社会通念上,競馬を行うことが営利を目的とする継続的行為に当たるとは言い難いと主張する。 しかしながら,本来,射倖性の有無と営利目的とは何ら矛盾するものではない。 また,事業所得における「事業」の概念については,自己の計算と危険において営利を目的とし対価を得て継続 難いと主張する。 しかしながら,本来,射倖性の有無と営利目的とは何ら矛盾するものではない。 また,事業所得における「事業」の概念については,自己の計算と危険において営利を目的とし対価を得て継続的に行う経済活動を指し,活動の規模,態様等種々のファクターを参考として判断すべきであって,最終的には社会通念によって決定されるものであるが,「営利を目的とする行為」に当たるかどうかは,字義どおり,利益を得る目的であれば足りるのであるから,被告が,原告の馬券購入行為について,社会通念上,営利を目的とする行為に当たらないと主張している点は,事業所得における「事業」の概念を社会通念によって判断することと正に混同しているものといわざるを得ない。 そもそも,趣味娯楽に係る所得の典型的なものは,競走馬を所有する馬主の所得であるとされているが,馬主が獲得した賞金は一時所得ではなく,事業所得又は雑所得に分類されている。その理由は,現行の所得税法においては,競走馬の譲渡に係る損失の金額は,その競走馬の保有に係る雑所得の金額から控除するものとし(所得税法施行令200条2項),その競走馬からは,「その規模,収益の状況その他の事情に照らし事業と認められるものの用に供されるものを除く。」(所得税法施行令178条1項)旨が定められているからである。そして,課税実務上は,競走馬の保有に係る所得が事業 所得に該当するかどうかについて,① 登録馬5頭以上の保有,② 過去3年間における登録馬2頭以上の保有,③ 過去3年間における登録馬2頭以上の保有と1年以上の黒字の所得という形式基準を満たす場合には,事業所得に該当するとしている(所得税基本通達27-7)。そうすると,競馬が趣味娯楽であるから,いかなる場合であっても,「営利を目的とする継続的行為」に該当しないとする う形式基準を満たす場合には,事業所得に該当するとしている(所得税基本通達27-7)。そうすると,競馬が趣味娯楽であるから,いかなる場合であっても,「営利を目的とする継続的行為」に該当しないとする被告の主張は,競走馬の保有に関する所得税法の取扱いとも矛盾するものであって,失当である。 c 租税法の複数の文献が馬券の払戻金は一時所得に含まれるとしているとの主張について被告は,金子宏教授の「租税法」に馬券の払戻金が一時所得に含まれると記述されている旨主張するが,それは単なる例示に過ぎず,同教授は,かつて,「賭博による利得が所得税法上何所得に属するか,である。これらの所得が一回的・偶発的なものである場合には,一時所得に属することは疑問の余地がない。問題は,それが継続的に発生した場合である。この場合には,賭博に参加することによって得た利得は雑所得に該当するといえるが,胴元のテラ銭収入については,事業所得になるか雑所得になるのか問題が残る。」と指摘していたところであり,個別の馬券の払戻金の全てが一時所得に該当するかどうかを論じているのではない。 d 所得税基本通達34-1が「馬券の払戻金」は一時所得に該当するとしているとの主張について所得税基本通達は,その前文において,「この所得税基本通達の制定に当たっては(・・・)なるべく画一的な基準を設けることを避け,個々の事案に妥当する弾力的運用を期することにした。したがって,この通達の具体的な運用に当たっては,法令の規定の趣旨,制度の背景のみならず条理,社会通念をも勘案しつつ,個々の具体的事案に妥当する処理を図るように努められたい。」との明確な方針を示している。 そして,同通達は,昭和45年7月1日の制定以来,何らの見直 会通念をも勘案しつつ,個々の具体的事案に妥当する処理を図るように努められたい。」との明確な方針を示している。 そして,同通達は,昭和45年7月1日の制定以来,何らの見直しも行われていないのであるから,結局は,個々のケースに応じて営利性・継続性の有無を判断するほかない。 加えて,通達は,国民に対する拘束力を有する法規範ではないのであるから,通達の定めは,裁判所が行う法律解釈に際し,参考とはなり得るが,それ以上の影響力を持つものではない。 本件では,行為の回数,方法等が変わることによって,行為の内容について質的な変化が生じ,所得の種類が変化しているのであるから,所得税基本通達を単に形式的に当てはめただけの被告の主張は理由がない。 e 納税者がどのような馬券の購入の仕方をしたかによって取得する経済的利得の内容が同じであるのにもかかわらず,その所得の区分が異なってくるような恣意的な解釈は,租税の法的安定性を害するとの主張について課税実務においては,例えば,立退料について,借家権の消滅の対価に相当する部分は譲渡所得の収入金額に該当し(所得税基本通達32-6),それ以外のものは一時所得の収入金額に該当することを明らかにされている(同通達34-17)。 イ非対価性要件を満たさないこと(労務その他の役務の対価としての性質を有すること)原告が行っていた馬券の購入行為は,正に自ら考え出したところの独自のシステムの構築とそれに基づく独特の購入方法によるものである。そうすると,本件競馬所得は,原告の科学的なノウハウの活用,いわば高度な知的活動の結果によるものといえ,偶発的・一時的な所得ではなく,役務の対価としての性質を有するものと評価することができる ある。そうすると,本件競馬所得は,原告の科学的なノウハウの活用,いわば高度な知的活動の結果によるものといえ,偶発的・一時的な所得ではなく,役務の対価としての性質を有するものと評価することができるから,この点からも,一時所得の要件を充足していないことは明らかである。 被告は,原告の役務の提供先は専ら原告であって,JRAではないから役務の対価としての性質は認められない旨主張するが,所得税法においては,「対価」 という用語を使用している箇所が多数あるにもかかわらず,一時所得の規定である所得税法34条1項は「対価」ではなく,敢えて「対価としての性質」と定めている。同じ所得税法内において「対価」と規定するのではなく,敢えて「対価としての性質」とその範囲を拡張して規定していることからすると,その文理に忠実に従うならば,対価としての性質を有するものには,厳密には対価といえなくとも,広く見返りといえるようなものが包摂されると解すべきである。そして,原告が行っていた馬券購入行為は,これまで主張しているとおり,科学的・統計的な分析によってシステマティックになされた積極的な所得稼得活動と評価できるのであって,それにより得られた馬券の払戻金による収入は,ノウハウを活用した投資分析に基づく獲得所得として評価することができるのである。このことからすれば,馬券の払戻が原告の知的活動という役務に密接に関連してなされたものといえ,それは対価としての性質を有するものに該当するものと認められるというべきである。 ウ本件競馬所得は雑所得に該当すること上記ア及びイからすれば,原告が受けた払戻金は,一時所得から除外されるところ,原告が給与所得者であり,馬券の購入を事業として行っていたとは言い難いことからすると,雑所得に区分さ すること上記ア及びイからすれば,原告が受けた払戻金は,一時所得から除外されるところ,原告が給与所得者であり,馬券の購入を事業として行っていたとは言い難いことからすると,雑所得に区分される。 また,いわゆるFX取引(外国為替証拠金取引)は,証拠金を業者に預託し,主に為替決済による通貨の売買を行う取引であるが,同取引によって利益を得られるかどうかは,為替相場の変動という偶発的な要素に左右される面が少なくないものの,課税実務上,同取引の差益については一時所得ではなく,雑所得に区分されている。先物取引も,一般的に投機性が高いことが指摘されているものの,課税実務上,雑所得に区分されている。被告の論理を一貫させるのであれば,先物取引についても,個々の取引に着目して,差金決済により利益を得た場合には,偶発的な利益として,その利益を一時所得とし,当該利益を得た対象となる個別の商品先物の購入代金に該当する金額のみが必要経費となるはずであるが,もと より裁決例において,そのような判断はされていない。このように雑所得に区分される取引との類似性に照らしても,本件競馬所得が雑所得に分類されるべきことは明らかである。 歴史的経緯をみても,第二次世界大戦前において一時所得は課税所得とされておらず,戦後のシャウプ勧告によって課税されることになったが,半額のみについて課税されるという仕組みが現在もとられている。これは,一時的・偶発的な所得は担税力が著しく低いことに基づくものであり,原告が得た払戻金に係る所得のように,長期的かつ統計的な見地に基づいて,原告が馬券の購入システムを構築し,自動的に極めて継続的に多数回にわたって馬券の購入を続けていたというものについては,一時的・偶発的な所得ということはできない。 (2) 本件競馬所得 基づいて,原告が馬券の購入システムを構築し,自動的に極めて継続的に多数回にわたって馬券の購入を続けていたというものについては,一時的・偶発的な所得ということはできない。 (2) 本件競馬所得が一時所得に該当する場合,一時所得の金額の計算上控除する金額は,的中した馬券の購入金額に限られるか,外れ馬券の購入金額も含まれるか。 (被告の主張)ア一時所得の計算上控除される金額所得税法34条2項によれば,一時所得の総収入金額から控除されるのは,「その収入を得るために支出した金額」であり,当該支出した金額の内容も,「その収入を生じた行為をするため(・・・)直接要した金額」又は「その収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額」に限られる。 このように,所得税法が,一時所得の金額の計算上一時所得に係る収入,支出について総体対応計算によることなく,収入を生じた各行為又は各原因ごとに個別対応的に計算し,その反面,収入を生じない行為又は原因に係る支出は控除項目から除かれることを定めた趣旨は,たとえば,ギャンブルの支出は,それによって収入が得られたときはその控除項目としての意味をもつが,その支出は,同時にギャンブルを楽しむための支出,つまり一種の消費支出としての側面があるところ,一時所得に係る支出には多かれ少なかれこのような要素があるものと考えられるから,その支出は,それが収入を生んだ場合に限って控除を認めるとい う建前を採ったものと解される。 イ本件競馬所得の計算上控除されるのは的中した馬券の購入金額に限られること本件競馬所得に係る収入は,JRAから原告に対して交付された的中馬券に対する払戻金であるから,「その収入を得るために支出した金額」とは,当該払戻金の交付を受けることになった行為又は原因ごとに個 と本件競馬所得に係る収入は,JRAから原告に対して交付された的中馬券に対する払戻金であるから,「その収入を得るために支出した金額」とは,当該払戻金の交付を受けることになった行為又は原因ごとに個別対応的に計算された金額,すなわち,当該払戻金の基因となった的中馬券の購入金額に限られるものと解すべきである。 このような解釈は,競馬法が国民に対して健全な娯楽を供与することを目的とするものであり,収入を生まない支出すなわち外れ馬券の購入金額は一種の消費支出としての側面をもつと考えられるため,一時所得の金額の計算上控除することが相当でないと解されることとも合致するものである。 ウ原告の主張(外れ馬券の購入金額を含む馬券の購入総額が控除される)について(ア) 旧所得税法(昭和40年法律第33号による全文改正前の所得税法をいう。以下同じ。)9条1項9号に関する旧所得税基本通達(昭和45年7月1日付け所得税基本通達による廃止前の所得税基本通達をいう。以下同じ。)について原告は,現行所得税法34条2項に相当する旧所得税法9条1項9号に関する通達において,馬券の総購入費用が一時所得から控除される旨規定されていたことを指摘する。 しかしながら,そもそも旧所得税法9条1項9号の規定は,昭和40年法律第33号による全文改正に伴って,現行所得税法34条2項の規定に改正されたのであり,当該改正の趣旨については,「一時所得は,その所得の計算上個別対応の原則に従って計算しなければならないのでありますが,旧所得税における一時所得に関する所得計算の規定は,この点が不明確にすぎるきらいがありました。そこで,今回の改正においてこれを明確にし,一時所得の金額は, その年中の一時所得に係る総収入金額から,その収入を生 所得に関する所得計算の規定は,この点が不明確にすぎるきらいがありました。そこで,今回の改正においてこれを明確にし,一時所得の金額は, その年中の一時所得に係る総収入金額から,その収入を生じた行為をするために支出した金額またはその収入を生じた原因の発生に伴い直接に生じた金額を控除して計算することを想定しました」と説明されていたところである。 そして,上記所得税法の全文改正に続き,所得税基本通達についても全面的な検討が行われた結果,原告が主張する旧所得税基本通達は廃止され,昭和45年7月1日付けで新たに制定された現行の所得税基本通達には,同趣旨の規定は定められなかったのである。 そうすると,旧所得税法の全文改正において一時所得の金額の計算が明確化されたことに伴い,従前の取扱いについて全面的な検討が行われた結果,原告が主張する旧所得税基本通達に係る取扱いは廃止され,収入・支出の個別対応的計算をすべきことが明確化されたと考えるべきであるから,原告の指摘は失当である。 (イ) 投下資本の回収部分に対する課税に当たるとの主張について原告は,外れ馬券の購入費を控除しないことは,投下資本の回収部分に対する課税に当たるから許されないと主張する。 しかしながら,競馬におけるそれぞれの競走は個々に独立して行われるものであるから,馬券の購入行為も競走ごとに別個であることは明らかであって,「その収入を生じた行為をするため(・・・)直接要した金額」という文言に素直に従うならば,ある当たり馬券の競走に参加する行為をするために要した金額というのは,当該馬券の購入費用にほかならず,これに外れ馬券の購入費用も含まれると解することは法解釈の範囲を逸脱しているものといわざるを得ない。 (ウ) 担税 行為をするために要した金額というのは,当該馬券の購入費用にほかならず,これに外れ馬券の購入費用も含まれると解することは法解釈の範囲を逸脱しているものといわざるを得ない。 (ウ) 担税力の増加していない部分に対する課税に当たるとの主張について原告は,払戻金の受領によって納税者の担税力が増加するのは,払戻金の合計額からその年中の馬券の総購入金額を控除した残額についてであり,外れ馬券の総購入費用を控除せずに課税の対象とすることは,担税力の増加していな い部分に対する課税に当たるから許されないと主張する。 しかしながら,払戻金については,各競走における開催執務委員の着順の宣言により,勝馬投票法の種類ごとの勝馬すなわち的中馬券が確定し,公表された金額(倍率)に応じた払戻金を受ける権利が確定するのであるから,着順が宣言された時点において,払戻金から当該的中馬券の購入費用を除いた金額につき担税力が生じていることは明らかである。このような解釈は,「その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は,別段の定めがあるものを除き,その年において収入すべき金額(・・・)とする。」と規定する所得税法36条1項について,いわゆる権利確定主義を採用したものであると解されている(最高裁判所昭和43年(オ)第314号同49年3月8日第二小法廷判決・民集28巻2号186頁参照)ことからも明らかである。 そして,原告は,受け取る権利が確定した払戻金を原資として,原告自身の判断と選択によって,その後の競走における馬券を購入したものであるが,個々の競走が独立している以上,馬券の購入行為も1回1回独立なのであるから,その後の競走における馬券の購入は,また別個のギャンブルを楽しむための支 ,その後の競走における馬券を購入したものであるが,個々の競走が独立している以上,馬券の購入行為も1回1回独立なのであるから,その後の競走における馬券の購入は,また別個のギャンブルを楽しむための支出,つまり消費支出なのであって,結局,原告は,競馬によって得た所得を,別途自らの娯楽のために消費したにすぎず(なお,競馬が娯楽であることは,競馬が広い意味でのギャンブルに該当するという本質からくるものであるため,原告が娯楽としての意図を持っていたか否かという個人の主観は問題とならない。),これを払戻金の合計額から控除せずに課税したとしても,担税力の増加していないところに課税したことにはならない。 (エ) 国税庁長官(当時)の発言について原告は,国税庁長官(当時)が,外れ馬券の購入費用についても払戻金(一時所得)から控除できる旨を発言したと指摘する。 しかしながら,国税庁長官(当時)の上記発言は,現行所得税法34条2項 に基づく現在の取扱いについて述べたものではなく,旧所得税法9条1項9号に関する当時の認識を述べたものであるから,原告の主張は失当である。 すなわち,旧所得税法9条1項9号は,「一時所得の金額は収入を得るために支出した金額を控除して計算する」旨規定しており,当該規定に関する旧所得税基本通達は,「『収入を得るために支出した金額』の範囲は,(・・・)競馬又は競輪の常連のように,常時馬券又は車券を買っているような者については,その年中における払戻金の合計額を総収入金額とし,その年中における買入金の合計額を『収入を得るために支出した金額』として取り扱うも妨げないものとする。」と定めていたが,上記旧所得税法9条1項9号の規定は,上記(ア)のとおり,現行所得税法34条2項の規定に改正され,所得税基本通達についても全面 に支出した金額』として取り扱うも妨げないものとする。」と定めていたが,上記旧所得税法9条1項9号の規定は,上記(ア)のとおり,現行所得税法34条2項の規定に改正され,所得税基本通達についても全面的な検討が行われた結果,上記旧所得税基本通達は廃止され,昭和45年7月1日付けで新たに制定された現行の所得税基本通達には,同趣旨の規定は定められなかった。以上によれば,旧所得税法及び旧所得税基本通達の施行下で国税庁長官が発言したことは,現行所得税法34条2項の解釈に影響を及ぼすことがない。 エ馬券が的中したのと同じレースにおける外れ馬券の購入金額であっても控除の対象とはならないこと(ア) 馬券購入行為をレースごとに捉える考え方について原告が提出した文献(甲26)には,「収入を生じた行為」をレースごとの購入行為と捉え,控除すべき金額を,払戻金が生じたレースにおける馬券購入費用とする考え方が紹介されている。 この考え方は,個々のレースにおける馬券購入行為をレースごとにまとめて一個の行為と捉えているところ,馬券の購入においては,個々の競走ごとにその発売時間が定められ,馬券購入者はその競走の結果を対象として複数の馬券をまとめて購入する場合も多いと考えられ,購入した馬券が的中するか否かは基本的に1回限りで確定する当該競走の結果と同時に決まることなどからする と,一見,このような考え方にもそれなりの理由があるようにみえる。 (イ) しかしながら,所得税法34条2項は,収入金額から控除できる金額について,「その収入を得るために支出した金額(その収入を生じた行為をするため,又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額に限る。)」としているところ,この条文から,直ちに行為を自然観察的・物理的に捉え その収入を得るために支出した金額(その収入を生じた行為をするため,又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額に限る。)」としているところ,この条文から,直ちに行為を自然観察的・物理的に捉えるべきということにはならない。 むしろ,収入を得るための支出かどうかが問題なのであるから,仮に購入行為が自然観察的・物理的にみて一個であったとしても,その支出ないし行為が法的に可分であり,かつ,その支出のうち収入を得るための部分を特定できるのであれば,収入獲得に関係のない支出は,収入金額から控除できる金額には当たらないというべきである。 そもそも,「収入を得るために支出した金額」の範囲を決めるに当たっては,当該行為が自然観察的・物理的にみて一個か否かということは関係がなく,飽くまで,当該収入を得るための支出かどうかという行為の性質によるべきであって,当該支出ごとに,その性質を検討すべきであるから,一括して複数の馬券を購入したとしても,馬券ごとに金額が可分であり,複数の行為を一括して行ったと評価することが可能である上,的中した馬券を購入するために支出した金額を特定できる以上,収入獲得に寄与しなかった支出まで含めて控除することはできないと解すべきである。 よって,レースごとの馬券購入行為をまとめて一個の行為と見ることは相当でないから,払戻金を生じたレースの外れ馬券の購入費用を収入金額から控除すべきではない。 (ウ) 仮に馬券購入行為を自然観察的・物理的にレースごとに一個の行為と捉えたとしても,払戻金の発生と一対一で対応しているのは購入した的中馬券のみであり,したがって,「その収入を生じた原因の発生に伴い直接要した費用」に該当するのは,当該的中馬券の購入費用のみである。 ま と一対一で対応しているのは購入した的中馬券のみであり,したがって,「その収入を生じた原因の発生に伴い直接要した費用」に該当するのは,当該的中馬券の購入費用のみである。 また,払戻金が,的中した馬券を購入していたことによって得ることができたものであり,上記一個の馬券購入行為のうち,外れ馬券の購入に係る部分は,払戻金の発生に何ら貢献していないことからすれば,当該部分に係る金額は,「その収入を生じた行為をするため直接要した金額」に該当するともいえない。 なお,控除できる費用をレースごとに考える上記見解は,馬券購入者の中には,特定のレースにおける特定の勝馬投票法を選んで馬券を購入するに当たり,当該レースで必ず的中馬券を発生させ,なおかつ,レース全体としての収支を黒字にすることを目指して,当該勝馬投票法の買い目のうち,オッズは低いものの的中する可能性が高いと思われる買い目と,的中する可能性は低いと思われる反面オッズが高い買い目を織り交ぜて選び,複数の馬券を購入する競馬愛好者が少なくないことに着目して,同一レースに係る外れ馬券の購入費用は,「その収入を得るために支出した金額」に当たると解するものとも思われる。 しかしながら,1つのレースにおける勝馬投票法にも種々のものがあり,たとえば馬番号三連勝単式勝馬投票法の買い目は4896通り(出走馬が18頭の場合)に上るなど,馬券の選択肢は膨大に上るところ,ほとんどの競馬愛好家は,当該勝馬投票法の買い目のごく一部を複数購入するにすぎないと思われる。 その場合に,いかに当該競馬愛好家が,主観的に「必ず,あるいはできるだけ的中馬券を発生させること」を意図して複数種類の馬券を購入していたとしても,そのことによって的中馬券が発生する可能性が客観的に高まるとは到底認められないのであ が,主観的に「必ず,あるいはできるだけ的中馬券を発生させること」を意図して複数種類の馬券を購入していたとしても,そのことによって的中馬券が発生する可能性が客観的に高まるとは到底認められないのであって,結果的に的中馬券が発生したとしても,そのことに外れ馬券の購入費用が貢献したとは認められないから,これを控除することはできない。 (原告の主張)本件競馬所得が一時所得に該当するとしても,その額の計算においては,外れ馬券を含めた馬券の総購入金額が「その収入を得るために支出した金額」として控除されるべきであり,的中馬券の購入費用のみを控除して原告の一時所得の額を算出 した本件各処分は,以下のとおり,所得税法の解釈・適用を誤ったものであるから違法である。 ア外れ馬券の購入費用を含めた支出がなければ収入が生じなかったこと原告が得た所得は,原告が多数回かつ多額の投資を行い,回収率を高めることで購入金額を上回る払戻金を得ることによって生じたものであり,外れ馬券を含めた多数の馬券の購入がなければ利益は生じなかったのであるから,原告が構築したこのような馬券の収支によって利益を得られる仕組みを前提とすれば,外れ馬券を含めた全ての馬券の購入がなければ所得は生じなかったといえるため,その総収入金額から控除すべき「その収入を得るために支出した金額」は,外れ馬券を含んだ馬券の総購入金額となる。 よって,原告の所得の算定においては,当たり馬券の購入費用のみならず,外れ馬券の購入総額についても,「その収入を得るために支出した金額」として,払戻金の総額から控除されなければならない。 イ旧所得税法9条1項9号に関する旧所得税基本通達について所得税法は23条から35条までにおいて,所得を源泉ないし性質によって1 払戻金の総額から控除されなければならない。 イ旧所得税法9条1項9号に関する旧所得税基本通達について所得税法は23条から35条までにおいて,所得を源泉ないし性質によって10種類に区分し,それぞれについて所得金額の計算方法を定めているところ,これらの計算方法は,個人の収入のうちその者の担税力を増加させる利得に当たる部分を所得とする趣旨に出たものであり,一時所得の所得金額の計算方法を定めた所得税法34条2項も,一時所得に係る収入のうち収入を得るために支出した金額に相当する部分は上記個人の担税力を増加させるものではないことを考慮して,「その収入を得るために支出した金額」を一時所得の金額の計算上控除するとしているものと解すべきである(最高裁判所平成21年(行ヒ)第404号同24年1月13日第二小法廷判決・民集66巻1号1頁,最高裁判所平成23年(行ヒ)第104号,同第105号平成24年1月16日第一小法廷判決・裁判集民事239号555頁各参照)。旧所得税法9条1項9号は「一時所得の金額は収入を得るために支出した金額を控除して計算する」と定め,現行所得税法3 4条2項と類似する規定となっていたところ,当該旧条文に関する旧所得税基本通達においても,「競馬の常連のように,常時馬券を買っているような者については,その年中における払戻金の合計額を総収入金額とし,その年中における買入金の合計額を収入を得るために支出した金額」とする旨が明記されていた。 ウアメリカ合衆国における課税についてアメリカ合衆国においては,ギャンブルで得た利益は雑所得ないしは一時所得に類する「その他の所得」に分類された上,その年度に被ったギャンブルの損失額は,その年度のギャンブルで得た利益を限度に損失として控除することができるものと ャンブルで得た利益は雑所得ないしは一時所得に類する「その他の所得」に分類された上,その年度に被ったギャンブルの損失額は,その年度のギャンブルで得た利益を限度に損失として控除することができるものとされている。このように,払戻金が一時所得に該当するから,いかなる場合も外れ馬券の購入金額は控除の対象にならないというのは,所得税法の解釈において,決して論理必然的に導かれるものではない。 エ担税力が増加した部分を超える課税に当たること被告は,着順が宣言された時点において担税力を生じていることは明らかであるから,その後に生じた馬券購入金額の総額については一時所得の計算において除外することはできないと主張するが,個人所得課税は,所得に税を負担する能力を見出して,個人が所得を獲得した段階で,控除や累進税率の仕組みを通じて,その負担能力を示す暦年ごとの所得の大きさに応じて税負担を求めるものであるから,着順が宣言された時点において,原告の担税力を増加させる利得に当たる部分として,課税の対象となる所得が生じているわけではない。 加えて,原告が行ったA-PATを用いた取引においては,原告自身が払戻金の金額を得るわけではなく,払戻金と馬券の購入代金との決済差額を得るのであり,外れ馬券の購入は必然的に発生するものであって,外れ馬券の購入費を除いた当たり馬券の払戻金のみを抽出して,そこから納税資金をプールしておくということはそもそも不可能であるから,払戻金を原資としてその後の競走における馬券を購入したという被告の認識は,原告が行った競馬に関する取引を全く理解しておらず,明らかな誤りである。 なお,被告は,原告の納税意識が低いために,納税資金をプールしておかなかった等と主張するが,原告に限らず,一般に競馬愛好家は,自ら準備し を全く理解しておらず,明らかな誤りである。 なお,被告は,原告の納税意識が低いために,納税資金をプールしておかなかった等と主張するが,原告に限らず,一般に競馬愛好家は,自ら準備した資金の範囲で馬券を購入するが,払戻金が多く得られて手持ち資金が増えた場合は,その後の馬券の購入費を増やし,より大きな利益を求める場合が多い。もとの手持ち資金の範囲内であれば,損をしても許容できると考える一方,手持ち資金が増えればより大きな利益を得たいと考えるからで,これは人間の心理に即した自然な考え方である。一般的には,繰り返し馬券を購入することによって損失の方が上回っている者の方が多いと推測されるが,そのような場合であっても,別途自らの財産を拠出して納税をしなければならないという意識を持て,ということ自体が不自然である。 オ国税庁長官(当時)の答弁内容被告は,的中馬券の払戻金に係る所得は,いかなる場合でも,一時所得にしかなり得ず,また,外れ馬券の購入費は控除の対象とはならない等と主張するが,昭和45年4月23日に開会された参議院大蔵委員会の議事録によれば,国税庁長官(当時)が,競馬などのギャンブルに対する課税について質問された際,「ギャンブルの所得は一時所得になるわけでございますが,もちろん常習でやっておればそれは事業所得になる場合もございます。よく暴力団等で課税される場合は,事業所得で課税するわけでございます。」と答弁している。さらに,競馬などのギャンブルについての課税対象は,配当される割合が分かるのであるから,きちんと把握できるのではないかとの質問に対し,「通常,一枚の馬券を買わずにいろいろとのものを買っておりますので,つまり,一つ当たるために十枚買っている人もあり,二十枚買っている人もあり,また,そのレースで当たっても次 ではないかとの質問に対し,「通常,一枚の馬券を買わずにいろいろとのものを買っておりますので,つまり,一つ当たるために十枚買っている人もあり,二十枚買っている人もあり,また,そのレースで当たっても次のレースではずれる人もあるということでございますから,総体として考えれば,要するに100馬券を買って,75しか払戻しがないわけでございますから,本質的には総体としては損なわけでございますね。ですから,うまくやった人はどのくらいもうけたかというのは,これは全く事実に基づくので,推計不可能であろ うと思います。」と答弁している。被告が主張するように,外れ馬券が経費とならず,的中馬券の購入費のみが必要経費として算入できるにすぎないのであれば的中馬券を購入した者については,必ず所得が発生することになるはずであるが,国税庁長官の答弁は,他の馬券を購入したり,他のレースで損をしたりする場合があり,総体的には損をしている場合が多いので,所得の推計が困難であるとしているのであり,これは明らかに外れ馬券の購入費も損失として控除できることを前提とした内容である。そうすると,被告の主張は失当である。 (3) 本件競馬所得が雑所得に該当する場合,必要経費として控除される馬券購入費用は,的中した馬券の購入金額に限られるか,外れ馬券の購入金額も含まれるか。 (被告の主張)本件競馬所得が雑所得であるとしても,必要経費として控除される馬券購入費用は的中した馬券の購入金額に限られる。 ア所得税法37条1項の趣旨等所得税法37条1項は,「その年分の不動産所得の金額,事業所得の金額又は雑所得の金額(・・・)の計算上必要経費に算入すべき金額は,別段の定めがあるものを除き,これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直 の不動産所得の金額,事業所得の金額又は雑所得の金額(・・・)の計算上必要経費に算入すべき金額は,別段の定めがあるものを除き,これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費,一般管理費,その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用(・・・)の額とする。」と規定する。そして,売上原価を含む「所得稼得のための直接的必要性を要件として,収入金額と個別額(直接的・客体的)に対応する必要経費」(以下「個別対応費用」という。)と一般管理費を含む「所得稼得業務関連性を要件として,収入金額との一般的(間接的・期間的)に対応する必要経費」(以下「一般対応費用」という。)の2種類の費用を必要経費として定めている。 そして,所得税法37条1項が規定する必要経費とは,それが個別対応費用であるか一般対応費用であるかにかかわらず,所得を生ずべき業務と直接関係するものであり,かつ,当該業務の遂行上必要なものであることを要すると解される。 これを本件競馬所得についてみると,本件競馬所得を生ずべき業務と直接関係し,業務の遂行上必要なものといえるのは,個々の払戻金と直接的な対応関係が認められる費用,すなわち的中した馬券の購入費用に限られるというべきである。 イ外れ馬券の購入費用と的中馬券に対する払戻金との間に直接の対応関係はないこと原告は,馬券の収支によって利益を得るためには,外れ馬券を含めて,極めて多種類かつ多数の馬券を購入することが不可欠の前提であったなどと主張するが,仮に外れ馬券の購入費用が投下資本類似の支出に当たるとしても,必要経費として控除されるための要件である,① 業務との直接関係性は認められず(外れ馬券の購入費用と的中馬券に対する払戻金との間には直接関係性がない),② 入費用が投下資本類似の支出に当たるとしても,必要経費として控除されるための要件である,① 業務との直接関係性は認められず(外れ馬券の購入費用と的中馬券に対する払戻金との間には直接関係性がない),② 業務遂行上の必要性も満たされていないから,外れ馬券の購入費用を必要経費として算入することはできない。 ウ外れ馬券の購入費用は家事上の経費であること競馬は娯楽であるため,馬券の購入費用は家事上の経費(所得税法45条1項1号)としての性質を有する。そのため,必要経費に算入することができるのは,「家事上の経費に関連する経費の主たる部分が(・・・)雑所得を生ずべき業務の遂行上必要であり,かつ,その必要である部分を明らかに区分することができる場合における当該部分に相当する経費」に限られる(所得税法施行令96条1項)。 この点,外れ馬券の購入費用は,そもそも本件競馬所得を生ずる業務の遂行上必要ではなく,必要である部分を明らかに区分することができるものではない。 これに対し,原告は,アメリカ合衆国の連邦所得税においては,ギャンブルの損失をその儲けから控除することができるとされていることを指摘するが,それはアメリカ合衆国においては内国歳入法典にその旨の規定が設けられているためにすぎず,当該損失が必要経費として当然に控除されるものではない。 また,原告は,必要経費は家事費とならない等と主張するが,そもそも家事関 連費は,接待費・交際費などにその例が多いが,必要経費と家事費の性質を併有している費用であって,「雑所得を生ずべき業務の遂行上必要であり,かつ,その必要である部分を明らかに区分することができる場合」(所得税法施行令96条1号)に当該部分に限って必要経費に算入されるのであり,このことは納税者の主観を問わな べき業務の遂行上必要であり,かつ,その必要である部分を明らかに区分することができる場合」(所得税法施行令96条1号)に当該部分に限って必要経費に算入されるのであり,このことは納税者の主観を問わないから,原告の主張は理由がない。 (原告の主張)ア外れ馬券を含めた馬券購入総額が雑所得の「必要経費」として控除されること雑所得の金額は,その年中の雑所得に係る総収入金額から必要経費を控除して計算する(所得税法35条2項2号)。 この点,原告が馬券購入費用と払戻金の収支によって利益を得る仕組みは,長期間の統計的な分析に基づくものであって,極めて多種類かつ多数の馬券を購入することによって,投資した金額に対する回収率を高め,利益を得るというものであり,個別のレースの結果の影響を小さくして,長期的かつ統計的にみて,利益を上げることを期待するためには,外れ馬券を含めて,多数の馬券を購入することが不可欠の前提であった。 そうすると,外れ馬券を含めた馬券の総購入金額が,雑所得を生み出す原資にほかならないから,「雑所得(・・・)の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用」(所得税法37条1項)として,必要経費に該当し,収入から控除されるべきである。 イ外れ馬券の購入費用は家事上の経費に当たるとの主張について被告は,競馬が娯楽であるから,外れ馬券の購入費は家事上の経費としての性質を有する上,本件競馬所得を生ずべき業務の遂行上,外れ馬券の購入が必要であるとはいえず,あるいは,必要である部分を明らかに区分することができるともいえないから,家事上の経費そのものというほかなく,経費として控除できないと主張する。しかしながら,本件競馬所得が雑所得に該当する以上,それが,趣味,娯楽によって得 明らかに区分することができるともいえないから,家事上の経費そのものというほかなく,経費として控除できないと主張する。しかしながら,本件競馬所得が雑所得に該当する以上,それが,趣味,娯楽によって得られたとしても営利を目的とする継続的行為ないしは役務 の対価としての性質を有するものであることには変わりはないから,所得と関連しない家事費と見るべき余地はなく,被告の主張には理由がない。 (4) 本件各処分の適法性(被告の主張)ア本件各決定処分及び本件各更正処分の適法性原告の本件各年分における納付すべき所得税の計算根拠は,別紙「原告の本件各年分における納付すべき所得税の額の計算根拠(被告の主張)」のとおりであり,適正に算定した原告の本件各年分における納付すべき所得税の額は,それぞれ本件各決定処分及び本件各更正処分において納付すべきとされた額(別表2「課税の経緯」の「決定処分」欄ないし「更正処分」欄における「納付すべき税額」欄記載の額)と一致するため,本件各決定処分及び本件各更正処分はいずれも適法である。 イ本件各賦課処分の適法性(ア) 本件各決定処分及び本件各更正処分はいずれも適法であるところ,本件各決定処分及び本件各更正処分により新たに納付すべきとされた税額を基礎として計算した無申告加算税の額の計算根拠は,別紙「本件各賦課処分の根拠(被告の主張)」のとおりであり,当該各金額は,本件各賦課処分における無申告加算税の額と一致するため,本件各賦課処分はいずれも適法である。 (イ) 国税通則法66条1項の無申告加算税は,申告納税制度を維持するためには納税者により期限内に適正な申告が自主的にされることが不可欠であることに鑑みて,申告書の提出が期限内にされなかった場合の行政上の制裁として課さ 条1項の無申告加算税は,申告納税制度を維持するためには納税者により期限内に適正な申告が自主的にされることが不可欠であることに鑑みて,申告書の提出が期限内にされなかった場合の行政上の制裁として課されるものであるから,国税通則法66条1項ただし書の「正当な理由」とは,期限内に申告ができなかったことについて納税者に責められる事由がなく,このような制裁を課することが不当と考えられる事情のある場合をいうものと解すべきであり,納税者の法の不知や法令解釈の誤解により期限内申告書の提出がなかったというような事情は,例えば税法の解釈について期限内申告書を 提出すべき当時国税当局から公表されていた見解がその後に変更された場合や税務職員の誤った指導に従った場合などを除いて,上記正当な理由がある場合に当たらないと解すべきである。 また,国税通則法66条4項は,期限後申告書の提出又は決定があった後に修正申告書の提出又は更正があった場合(同条1項2号)については,同法65条4項の規定を準用する旨規定しており,同項は,過少申告加算税を課す場合において,修正申告又は更正前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて「正当な理由」があると認められるものがある場合には,当該修正申告又は更正により新たに納付すべき税額からその「正当な理由」があると認められる事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除して,過少申告加算税の額を計算する旨を定めている。 そして,過少申告加算税の制度の趣旨及び「正当な理由」の意義については,過少申告加算税は,過少申告による納税義務違反の事実があれば,原則としてその違反者に対し課されるものであり,これによって,当初から適法に申告し納税した納税者との間の客観的不公平の実質的な是正を図ると 過少申告加算税は,過少申告による納税義務違反の事実があれば,原則としてその違反者に対し課されるものであり,これによって,当初から適法に申告し納税した納税者との間の客観的不公平の実質的な是正を図るとともに,過少申告による納税義務違反の発生を防止し,適正な申告納税の実現を図り,もって納税の実を挙げようとする行政上の措置であり,過少申告加算税の上記の趣旨に照らせば,国税通則法65条4項にいう「正当な理由があると認められる」場合とは,真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があり,上記のような過少申告加算税の趣旨に照らしても,なお,納税者に過少申告加算税を賦課することが不当又は酷になる場合をいうものと解するのが相当である(最高裁判所平成17年(行ヒ)第9号同18年4月20日第一小法廷判決・民集60巻4号1611頁参照)。 以上のことからすると,国税通則法66条1項ただし書又は同条4項が準用する同法65条4項に規定する「正当な理由」とは,納税者が,① 期限内申告書を提出しなかったこと又は② 申告漏れとなった所得等が修正申告又は更 正前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて,真に納税者の責めに帰すことのできない客観的な事情があり,加算税の趣旨に照らしても,なお,納税者に加算税を課すことが不当又は酷になる場合をいうものと解することができる。 (ウ) 原告の主張に対してa 原告に正しい所得金額と税額の申告を期待できなかったとの主張について申告納税制度は,納税者自身において正しい所得金額と税額を計算した上で,確定申告を行うことを予定しているので,JRAが,馬券の所得に係る申告や納税の必要性を周知していなかったとしても,原告自身が自主的に正しい申告及び納税をすべき義務を負 所得金額と税額を計算した上で,確定申告を行うことを予定しているので,JRAが,馬券の所得に係る申告や納税の必要性を周知していなかったとしても,原告自身が自主的に正しい申告及び納税をすべき義務を負っていることに変わりはない。 そして,原告は,平成17年頃,競馬の所得を申告しなければならないことを認識していたのであるから,JRAによる周知の有無が,原告が申告納税義務を正しく履行することを阻害する要因になっていないことは明らかである。 b 過酷な課税処分を予見したため確定申告をためらわざるを得なかったことが「正当な理由」に当たるとの主張について原告やその家族にとって巨額の課税処分が行われる原因は,原告自身が,払戻金の一部を納税資金として確保せず,その全てを繰り返し馬券の購入資金に充てたことに原因がある。また,原告が平成17年の時点で仮に課税処分について予見していたというのであれば,その時点では原告が得た払戻金の一部を納税資金として確保することも十分に可能で,馬券の購入規模を縮小ないし廃止することも可能であった。にもかかわらず,原告がそのような対応を行った形跡は一切認められない。 c 馬券の払戻金について公平な課税がされていないことが「正当な理由」に当たるとの主張について納税者の適正な申告納税義務の履行に影響を与えない他の納税者の申告な いし課税の状況が,無申告加算税を課さない「正当な理由」に該当するとは認められない。また,仮に,所得税の納税義務の存否や所得の計算方法の周知,広報が行われていなかったとしても,それによって納税者自身が不明な点を調べたり,税務当局に対して問合せ等を行ったりすることを妨げるものではないから,納税者の適正な申告納税義務の履行を直接阻害 周知,広報が行われていなかったとしても,それによって納税者自身が不明な点を調べたり,税務当局に対して問合せ等を行ったりすることを妨げるものではないから,納税者の適正な申告納税義務の履行を直接阻害することにはならず,原告の主張は理由がない。 (原告の主張)ア所得税法の解釈・適用を著しく誤っていること本件各処分は,原告が受けた払戻金を雑所得に分類すべきところを一時所得に分類した上,的中した馬券の購入費用の控除しか認めなかったものであるから,所得税法の解釈・適用を著しく誤っており,違法である。 また,被告が主張する原告の所得金額は,原告の実際の所得金額(別紙「原告の実際の所得金額(原告の主張)」の「差引金額」欄記載の額)の22倍を超えている上,本件各決定処分及び本件各更正処分に係る各年中の所得税額だけでも,当該年分の実際所得金額を著しく上回るものであるから,担税力のないところに課税が行われたものであって,憲法14条に定める平等原則に基づく課税公平主義に反し,また,原告の財産権を著しく侵害するものであるから憲法29条にも違反する。 そうすると,本件各決定処分及び本件各更正処分並びにこれらを前提とする本件各賦課処分には,課税要件の根幹に関わる重大かつ明白な瑕疵(最高裁判所昭和42年(行ツ)第57号同48年4月26日第一小法廷判決・民集37巻7号629頁参照)があるため,法律上,当然に無効である。 イ法定期限内に申告をしなかった「正当な理由」があること原告は,平成16年に取引を開始し,平成17年に数百万円の利益を上げたため,インターネットで情報を検索した結果,馬券の払戻金については確定申告を行わなければならないことや,払戻金に係る所得については,的中 馬券の購入費用の控除のみが認められる可能 を上げたため,インターネットで情報を検索した結果,馬券の払戻金については確定申告を行わなければならないことや,払戻金に係る所得については,的中 馬券の購入費用の控除のみが認められる可能性があることを知った。しかし,一方で,課税庁の見解に従って確定申告を行えば,過大な納税義務を課せられることとなり(現に,原告は,平成17年分から平成21年分につき,国税と地方税を併せて合計9億9191万0800円もの極めて過大な納税義務を課せられている。),他方で,原告は,外れ馬券も含めた馬券の総購入金額の控除が認められる可能性もあるとの自身の見解に従って確定申告を行えば,過少申告ほ脱犯の罪責を問われる危険性があるという,進退窮まる極めて過酷な状況に置かれ,課税庁から課せられる税金の額も,原告が実際に取得した金額を超え,到底納税できないものとなる危険があることを恐れた。 さらに,馬券の所得に関しどこまでを経費として算入できるかについては,課税の実務上,その取扱いは定まっていなかった上,年間約2兆円以上のJRAの売上げのうち,その約75%が馬券の払戻金とされているにもかかわらず,国税当局もJRAも,これまで確定申告が必要であることを一切周知してこなかった。しかも,競馬による所得の多くは,窓口で払戻金を受け取ったものであり,本来,所得の捕捉が困難である上,国税当局としても,そもそも積極的に捕捉しようとしてきた形跡はなく,事実上,馬券の所得については課税が行われてこなかったというのが実態である。すなわち,課税庁は,通達はもとより,質疑応答事例集,タックスアンサーのほか,確定申告の手引き等においても,何らの取扱いも明記しておらず,収税官吏として原告の質問に当たった大阪国税局の担当官すら,本件を先例,リーディングケースと位置付けたほどである。 確 アンサーのほか,確定申告の手引き等においても,何らの取扱いも明記しておらず,収税官吏として原告の質問に当たった大阪国税局の担当官すら,本件を先例,リーディングケースと位置付けたほどである。 確かに,原告は,原告の見解に従っても,5年間で約1億5000万円の払戻金に係る所得があったため,少なくともこれを所得金額として確定申告を行うべきであり,それをしなかった以上,無申告加算税の賦課は免れないとの考えがあるかも知れない。しかし,単なる無申告であれば,他に「偽りその他不正の行為」がない限り,単純無申告犯が成立するにすぎないが,所 得金額を殊更に過少に記載した内容虚偽の確定申告書を税務署に提出する行為は,単なる所得不申告の不作為にとどまらず,「偽りその他不正の行為」として,いわゆる過少申告ほ脱犯の実行行為となるというのが,最高裁判所の確定した判例である(最高裁判所昭和46年(あ)第1901号同48年3月20日第三小法廷判決・刑集27巻2号138頁参照)。そして,所得税のほ脱犯の法定刑は,当時,5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金(ただし,罰金額については,免れた所得税の額以下まで加算が可能である。)又はその併科であり,極めて重い罰則が用意されている。原告が自身の見解に従って確定申告をした場合,被告の見解によって有罪判決を受けたとすれば,実刑判決すら予想され,かつ,数億円の罰金を科せられる危険性すらあった。 このような状況で,なお原告に確定申告を強いるのは,過酷というほかなく,原告が払戻金に係る所得を法定期限内に申告しなかったことについて国税通則法66条1項ただし書にいう「正当な理由」が認められるというべきであるから,本件各賦課処分は違法である。 第3 当裁判所の判断 1 本案前の答弁について所得税の かったことについて国税通則法66条1項ただし書にいう「正当な理由」が認められるというべきであるから,本件各賦課処分は違法である。 第3 当裁判所の判断 1 本案前の答弁について所得税のように納付すべき税額の確定の手続につき申告納税方式が採られている国税においては,納付すべき税額は,原則として納税者のする申告により確定し(国税通則法15条1項,16条1項1号,2項,所得税法120条1項参照),納税者が申告の内容を自己の利益に変更するためには,更正の請求の方法(国税通則法23条,所得税法152条)によらなければならないものとされている。 そして,申告納税方式が採られている国税において,確定申告書に記載された事項の過誤の是正につき更正の請求という特別の制度が設けられたのは,課税標準等の決定については,最もその間の事情に通じている納税者自身の申告に基づくものとし,その過誤の是正は法律が特に認めた場合に限るものとすることが,租税債務を可及的 速やかに確定させる国家財政上の要請に応ずるものであり,納税者に対しても過当な不利益を強いるおそれがないと考えられるからであると解される。このような更正の請求の制度の趣旨に照らせば,申告に係る納付すべき税額等を更正する処分を受けた納税者は,申告の無効を主張することができるような特段の事情がある場合を除き,当該更正処分のうち申告に係る納付すべき税額又は還付金の額に相当する税額を下回る部分については,上記更正の請求の手続を経ない限り,抗告訴訟において取消しを求めることはできないものというべきである。(最高裁判所昭和38年(オ)第499号同39年10月22日第一小法廷判決・民集18巻8号1762頁参照)これを本件についてみるに,本件各更正処分のうち,① 原告の平成20年分の所得税について,総 最高裁判所昭和38年(オ)第499号同39年10月22日第一小法廷判決・民集18巻8号1762頁参照)これを本件についてみるに,本件各更正処分のうち,① 原告の平成20年分の所得税について,総所得金額623万6429円及び納付すべき税額0円を超えない部分の取消しを求める部分と,② 原告の平成21年分の所得税について,総所得金額690万円及び納付すべき税額-7万0984円を超えない部分の取消しを求める部分は,原告において確定申告書の提出により自ら納税義務の内容を確定させた部分についてその取消しを求めるものであるところ,原告は,平成20年分及び平成21年分の各所得税の確定申告につき更正の請求の手続をしておらず,また,平成20年分及び平成21年分の各所得税の確定申告につき上記特段の事情があることの主張,立証はない。したがって,本件訴えのうち,上記①及び②記載の各部分の取消しを求める部分は,不適法であるといわざるを得ない。 2 争点(1)(本件競馬所得は,所得税法上,一時所得に該当するか,雑所得に該当するか)について(1) 一時所得及び雑所得の区分所得税法34条1項は,一時所得を,「利子所得,配当所得,不動産所得,事業所得,給与所得,退職所得,山林所得及び譲渡所得以外の所得のうち,営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものをいう」と規定し,同法35条1項は,雑所得を,「利子所得,配当所得,不動産所得,事業所得,給与所得,退職所得,山 林所得,譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当しない所得をいう」と規定する。 そこで,本件競馬所得が一時所得であるか,雑所得であるかを区分するには,本件競馬所得が「営利を目的とする継続的行為から 得,譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当しない所得をいう」と規定する。 そこで,本件競馬所得が一時所得であるか,雑所得であるかを区分するには,本件競馬所得が「営利を目的とする継続的行為から生じた所得」に該当するか,あるいは,「労務その他の役務又は資産の譲渡の対価」としての性質を有するか否かが問題となるが,関係法令をみても,これらの要件に関する更なる定義や判断の際に考慮すべき要素等については規定されていない。 もっとも,一時所得に対する課税の沿革をみれば,戦前の所得税法では,一定の所得源泉から生じた利得のみを課税対象とする考え方が支配的で,一時的又は偶発的な所得は課税対象とされていなかったが,昭和22年の所得税法改正において,「営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得」が課税対象とされ,昭和25年に雑所得が課税対象となり,さらに,昭和27年の改正時に,一時所得を偶発的な所得に限定するとの考え方に基づいて,「労務その他の役務の対価たる性質を有しないもの」との文言が追加されたという補充的な所得区分としての特色が認められるし,また,所得税法22条2項2号は一時所得についてはその2分の1に相当する金額のみを課税標準とする旨を規定しているところ,その趣旨は,一時所得の発生が一時的,偶発的であり,担税力が低いことを考慮したものと解されるから,一時所得か否かを区分する上記各要件の解釈,適用は,上記各要件の文理解釈に加えて,一時的,偶発的に生じた所得のみを一時所得として課税の対象とするに至った上記沿革等を踏まえて,行われるべきものと解される。 (2) 「営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得」の該当性ア被告は,的中馬券に対する払戻金に係る所得は,馬券が的中するかについて,出走馬や騎手の能力・適性 のと解される。 (2) 「営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得」の該当性ア被告は,的中馬券に対する払戻金に係る所得は,馬券が的中するかについて,出走馬や騎手の能力・適性,競走の条件等に左右されると共に,当日の体調や天候などの偶然の事情にも影響を受けるものであって射倖性や偶然性が高い上,一時所得を生ずる行為がたまたま連続した場合であっても,各行為が一時的・偶発的性質を有することに変わりはない等として,「営利を目的とする継続的行為から生じた所得」には該当しないと主張する。 確かに,一般的な馬券購入行為が,その性質上,レースごとに(同一の開催日における五つのレースでの勝馬について投票する場合(五重勝単勝式勝馬投票法,前記前提事実(1)イ(ア)i)においては当該五つのレースごとに)馬券の当たり外れや獲得した払戻金の多寡を楽しむという趣味,娯楽の要素を含むものであり,馬券が的中するか否か,あるいは,その的中した場合に得られる払戻金の額等についても偶然の要素が強いことからすれば,そのような一般的な馬券購入行為から生ずる所得は,偶発的,単発的であるといえる。そして,このことは馬券の購入を単に連続して行ったとしても何ら異なることはないから,一般的な馬券購入行為によるものである限り,的中馬券に対する払戻金が「営利を目的とする継続的行為から生じた所得」に該当することはないものと解される。 イしかしながら,原告の馬券購入行為の概要は,前記前提事実(2)アのとおりであって,原告は,本件各年分において,A-PATの加入者であり,B銀行C支店に原告名義のA-PAT専用口座(本件PAT口座)を開設し,同口座を利用して馬券を購入しているところ,その馬券購入に当たっては,インターネットを通じて競馬に関するデータを取得 者であり,B銀行C支店に原告名義のA-PAT専用口座(本件PAT口座)を開設し,同口座を利用して馬券を購入しているところ,その馬券購入に当たっては,インターネットを通じて競馬に関するデータを取得し,当該データに基づいて予想を行うソフトウェア「D」を利用して,所有するパーソナルコンピュータからA-PATによる馬券の購入申込みを行っているが,原告は,馬券を購入するに当たり,回収率を高めることを重視して,独自の想定に基づき,多種類の馬券を,PAT口座の残高によって自動的に算定される投票限度額に依拠しつつ購入することとし,回収率を高めるため,過去のレースにおける様々な記録を取り寄せ,統計的な判断に依拠しながら,その中から導き出せる普遍的要素ないし傾向を分析し,その分析の結果を一定の抽出条件として反映させるようにコンピュータソフトを設定することにより,当該条件に見合う購入すべき馬券をコンピュータで自動的に抽出できるようにした上,原告が定めた条件に従った馬券の購入を自動的に行わせたものであって,その際,原告の想定においては過去の記録に基づく統計的な判断や普遍的要素ないし傾向が重視されているため,原告は,個別のレースにおけ る偶発的要素による影響をできるだけ排除するため,条件に見合うレースと馬券がある限り,できるだけ多数のレースにおいて多種類の馬券を網羅的に購入し,これを長期的に繰り返すことを重視しているというものである。 そして,証拠(甲9,13,17,18,乙14)によれば,原告は,上記回収率を高めるために,以下のような検討,分析等を行い,これに基づいて馬券を購入していたことが認められる。すなわち,原告が利用していたソフトウェア「D」は,的中率よりも回収率を重視した競馬ソフトであり,レースに出走する馬ごとに得点が計算され,そ 行い,これに基づいて馬券を購入していたことが認められる。すなわち,原告が利用していたソフトウェア「D」は,的中率よりも回収率を重視した競馬ソフトであり,レースに出走する馬ごとに得点が計算され,その得点に基づいて独自の抽出条件により馬券の買い目を抽出する機能を有するところ,上記の得点や抽出条件に代えて,ユーザが独自で考えた得点(ユーザ得点)や抽出条件を利用して「D」に馬券を集出させるカスタマイズ機能も備えていた。そして,原告は,「D」が有する過去のデータに基づいてユーザが任意に設定した条件に当てはまる買い目を買った場合の的中率や回収率を計算して表示する機能を利用し,前走着順と回収率の関係についての分析を,分析期間を変えて繰り返し行い,前走着順が5着ないし7着くらいの馬は他の馬と比較して単勝回収率が高いという傾向が普遍的な傾向であるか否かを検討し,それが普遍的な傾向であると結論付けた場合には,前走着順が5着ないし7着の馬の得点(ユーザ得点)がその他の馬の得点よりも相対的に高くなるようにユーザ得点を補正するなどした。その際,的中率がどれだけ高くても回収率が低ければ長期的にみればマイナスが大きくなることから,的中率は無視することとした。さらに原告は,回収率に影響を与え得るファクターは,上記の前走着順以外にも,競走馬の血統や騎手,枠順(外枠か内枠か),性別,負担重量など多数存するとして,これら多数のファクターと回収率の関係を一つずつ検証し,回収率との関係に普遍的な傾向が認められるファクターを見つけ出す作業を行った。原告は,休日を利用して数か月かけて上記のような検証を行い,前走の着順を含め,前走に関する様々なファクターのほか,2走前の着順,3走前の着順や競走馬の属性,馬場の状態等の約40のファクターを採用し,これらのファク ターに基 記のような検証を行い,前走の着順を含め,前走に関する様々なファクターのほか,2走前の着順,3走前の着順や競走馬の属性,馬場の状態等の約40のファクターを採用し,これらのファク ターに基づいてユーザ得点の計算式を補正した。そして原告は,各馬の得点(ユーザ得点)のより高い馬又はそれらの馬の組み合わせに対応する買い目ほど回収率もよくなるはずであるとして,馬券の種類ごとに得点がいくら以上であれば回収率が100%を超える見込みが高いかを過去のデータに基づいて検証し,抽出条件を設定した。その上で原告は,上記抽出条件により抽出されたそれぞれの馬券の購入金額を決めるための金額式を作成したが,その設定に当たっては,収支を安定させるため,オッズに反比例するように購入金額を設定するなどした。このようにして原告は,もっぱら回収率に着目し,多数のレースにおいて多種類の馬券を継続的に購入することによって,想定した回収率に近づけ,収支を安定させ,期待する黒字の収支を実現しようとした。 以上のように,原告が行っていた馬券購入行為は,一般的な馬券購入行為のようにレースごとに特定の馬券の的中や獲得できる払戻金の多寡を検討して利益を獲得しようとするものではなく,もっぱら回収率に注目するものであり,多数のレースにおいて多種類の馬券を継続的に購入することによって,個別のレースにおける当たり外れの偶然性の要素による影響を抑え,想定した回収率に近づけ,収支を安定させ,総体として利益を獲得しようとするものであって,これは個別のレースの枠を超え,上記のとおり多数のレースにおいて多種類の馬券を継続的に購入することによって初めて実現が可能になる性質のものといえる。そして,原告は,これを実行するために,前記前提事実(2)のとおり,過去のデータから独自に抽出した要素によって自動 種類の馬券を継続的に購入することによって初めて実現が可能になる性質のものといえる。そして,原告は,これを実行するために,前記前提事実(2)のとおり,過去のデータから独自に抽出した要素によって自動的に回収率が高くなる投票方法を抽出し,A-PATを用いて,平成17年から平成21年にかけて,全競馬場の新馬戦及び障害レースを除く競走のうち,年にもよるが少ない年でも6割強,多い年であると実に9割強のレースにおいて馬券を網羅的かつ自動的に購入したのであり,その購入金額は平成17年5月以降は各節ごとに百万円を超えるようになり,同年10月以降は各節ごとに数百万円単位となることが常態化するようになっており,その結果,月ごとに見れば赤字となる月もあるが概ね黒字であり,1月から始ま る年単位でみれば,5年間にわたって毎年利益が出る(各年における払戻金の総額が,馬券購入費用の総額を上回る)状況であった。 このような原告の馬券購入行為における個々のレースでの馬券購入は,客観的にみて,一般の馬券購入行為におけるそれとは明らかに意味づけを異にするものであり,利益の獲得方法についても,一般の馬券購入者がレースごとの払戻金の有無を基礎として考えることが多いのに対し,原告は,極めて多種類かつ多レースにおける馬券購入を大前提として,長期的な差引きをもって利益をとらえるという点で相当異なるものであることは明らかである。 そして,そのような原告の馬券購入行為は,後に的中馬券として払戻金の対象となる馬券のみならず,結果として外れ馬券となる馬券の購入行為も含めて,個々のレースの枠を超えた多数のレースにおける継続的な馬券の購入という,一連の継続的行為というべきものであり,これらの一連の行為が,総体として,恒常的に所得を生じさせているものと認められるのであっ 個々のレースの枠を超えた多数のレースにおける継続的な馬券の購入という,一連の継続的行為というべきものであり,これらの一連の行為が,総体として,恒常的に所得を生じさせているものと認められるのであって,この継続的行為によって獲得される払戻金が,偶発的な一時の所得であるということはできない。 ウそうすると,原告の馬券購入行為から生じた所得は,「営利を目的とする継続的行為から生じた所得」といえるのであって,「営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得」には該当しないというべきであるから,所得税法34条1項のその余の要件につき判断するまでもなく,本件競馬所得が一時所得に当たるものとは認められない。 (3) 被告の主張についてア被告は,偶発的な原因が偶々連続して所得が発生したとしても,払戻金の発生は馬券の的中という偶然の結果によって個々のレースごとに生じるのであるから,継続的はなく,恒常的な所得とは言い難いと主張する。 しかしながら,原告が獲得した払戻金の総額は,網羅的に多数のレースにおいて多種類の馬券をほぼ自動的に購入し続けた結果生じたといえるものであり,その一連の馬券購入行為の間に継続的行為としての一連性が認められることは上記 (2)で説示したとおりであるし,原告は,もっぱら回収率に着目し,多数のレースにおいて多種類の馬券を購入することによって,統計的な予測に従えば,全体として払戻金の総額が馬券の総購入費用を上回る結果となって利益が出るとして,これを多数のレースかつ多種類の馬券の購入によって実行したのであるから,この点で一般的な馬券購入行為とは明らかに性質を異にするものと認められ,このような馬券購入行為によって払戻金を受けることは偶発的なものといえないから,被告の主張は理由がない。 なお,被告は,期間の この点で一般的な馬券購入行為とは明らかに性質を異にするものと認められ,このような馬券購入行為によって払戻金を受けることは偶発的なものといえないから,被告の主張は理由がない。 なお,被告は,期間の区切り方によれば総払戻金の額が馬券の総購入費用を上回っていない期間もあるから,原告の所得は偶発的かつ一時のものであり,担税力の低いものであると主張するが,平成17年から平成21年にかけて,1月から始まる年単位でみれば,5年間にわたって毎年利益が出る(各年における払戻金の総額が,馬券購入費用の総額を上回る)状況であったことは,上記(2)イのとおりであり,原告の一連の馬券購入行為を想定した回収率に近づけ,収支を安定させるに足る程度の継続性をもった一定の期間としてみたときに,それが恒常的に所得を生じさせ得るといえる程度に達していたものといえることは明らかであり,被告の主張は理由がない。 イ被告は,取得する経済的利得の内容は同じであるにもかかわらず,馬券購入者の馬券購入行為に対する単なる主観や馬券購入行為の在り方によって,所得の区分が変わってくるということになれば,課税の概念を著しく不安定となり,かつ,租税の法的安定性及び予測可能性が著しく害されるから,採用し得ないと主張する。 しかしながら,原告の馬券購入行為が一般的な馬券購入行為とは明らかに性質を異にするものと認められることは上記説示のとおりであるところ,所得を生み出す馬券購入行為の在り方によって課税区分が異なるものとなることは所得税法の解釈として何ら禁止されるものではないし,上記説示のような原告の馬券購入行為が,単なる原告の主観にとどまらず,客観的な馬券購入行為としても一般的 な馬券購入行為とは明らかに性質を異にするものであることからすれば,そのような原告の馬券購入行為をもって, 券購入行為が,単なる原告の主観にとどまらず,客観的な馬券購入行為としても一般的 な馬券購入行為とは明らかに性質を異にするものであることからすれば,そのような原告の馬券購入行為をもって,一般的な馬券購入行為とは異なる課税区分に当たるとすることが課税の法的安定性や予測可能性を害するものとは到底認められないから,被告の主張は理由がない。 ウ被告は,一時所得及び雑所得は,全ての利得を課税所得に取り込むための所得という性質上,その内容について積極的な定義づけが困難であり,「営利を目的とする継続的行為から生じた所得」という要件は,解釈の余地を残すものであるから,単純な文理解釈は誤りであり,法の趣旨目的に照らして,その意味内容を明らかにすべきところ,所得の区分に当たっては,所得の発生原因に継続性,恒常性が認められないものは一時所得に該当するものとして解釈すべきであると主張する。 しかしながら,一時所得に当たるか否かについて,所得税法34条1項の規定を前提にした解釈をすべきは当然であって,被告の主張がその規定を離れた解釈をすべきというのであれば失当というほかないし,他方,規定の意味内容を検討するに当たって,同法の趣旨目的に照らした解釈をすべきこともまた当然であって,原告の馬券購入行為から生じた所得が一時所得には当たらないとの上記判断も,上記説示のとおり原告の馬券購入行為の性質を認定した上でのものであるから,いずれにせよ,被告の主張は理由がない。 エ被告は,営利を目的とする継続的行為「から生じた所得」といえるか否かを検討する以上,馬券購入行為のみならず馬券の的中をも含めて「営利を目的とする継続的行為」といえなければ文理解釈に反すると主張する。 しかしながら,原告の馬券購入行為は,もっぱら回収率に着目し 討する以上,馬券購入行為のみならず馬券の的中をも含めて「営利を目的とする継続的行為」といえなければ文理解釈に反すると主張する。 しかしながら,原告の馬券購入行為は,もっぱら回収率に着目し,多数のレースにおいて多種類の馬券を継続的に購入することによって,想定した回収率に近づけ,収支を安定させ,期待する黒字の収支を実現しようとするものであって,後に的中馬券として払戻金の対象となる馬券のみならず,結果として外れ馬券となる馬券の購入行為も含めて,個々のレースの枠を超えた多数のレースにおける 継続的な馬券の購入という,一連の継続的行為というべきものであり,これらの一連の行為が,総体として,恒常的に所得を生じさせているものと認められることは上記(2)イで説示したとおりである。このような原告の一連の馬券購入行為については,的中した馬券の購入行為のみならず,外れ馬券となる馬券の購入行為も含めて,「営利を目的とする継続的行為」に当たると解するのが相当であって,馬券購入行為のみならず,馬券の的中(なお,馬券の的中が納税者の「行為」に該当するとは解し得ない。)をも含めるべきである旨の被告の主張は失当である。 (4) 本件競馬所得の所得区分以上に説示したところに加えて,本件競馬所得が,利子所得,配当所得,不動産所得,給与所得,退職所得,山林所得及び譲渡所得のいずれにも該当しないことは明らかであること,馬券購入に係る払戻金の獲得が原告の事業に該当しないことは当事者間で争いがなく(前記前提事実(3)イ),本件競馬所得は事業所得にも該当しないと認められることからすれば,本件競馬所得は,所得税法上,雑所得に分類されるものと認められる。 3 争点(3)(本件競馬所得が雑所得に該当する場合,必要経費として控除される馬券購入費用は,的中 と認められることからすれば,本件競馬所得は,所得税法上,雑所得に分類されるものと認められる。 3 争点(3)(本件競馬所得が雑所得に該当する場合,必要経費として控除される馬券購入費用は,的中した馬券の購入金額に限られるか,外れ馬券の購入金額も含まれるか。)について(1) 本件競馬所得を生ずるための継続的行為における原告の収支の状況は,前記前提事実(2)ア及びイのとおりであるところ,被告は,雑所得の必要経費として控除されるのは,所得を生ずべき業務と直接関係するものであり,かつ,当該業務の遂行上必要なものであることを要するから,個々の払戻金と直接的な対応関係が認められる費用,すなわち的中した馬券の購入費用に限られると主張する。 しかしながら,前記2(2)イで説示したとおり,原告の馬券購入行為は,的中率ではなくもっぱら回収率に注目するものであり,多数のレースにおいて多種類の馬券を継続的に購入することによって,個別のレースにおける当たり外れの偶然性 の要素による影響を抑え,想定した回収率に近づけ,収支を安定させ,総体として利益を獲得しようとするものであって,結果として外れてしまう馬券が多数生じることもむしろ前提とした上で,多種類の馬券を継続的に購入することによって,馬券の総購入費用を上回る払戻金を得ることによって利益を得ようというものであり,これが原告の主観にとどまらず,客観的にも,そのような行為態様がとられているのであるから,的中した馬券の購入費用のみが当該業務の遂行上必要なものであったということはできない。 むしろ,上記のような原告の馬券購入行為を前提とすれば,外れ馬券も含めた馬券の総購入費用が,払戻金を獲得するため「直接に要した費用」に当たると解すべきであるし,少なくとも,払戻金に係る「所得 むしろ,上記のような原告の馬券購入行為を前提とすれば,外れ馬券も含めた馬券の総購入費用が,払戻金を獲得するため「直接に要した費用」に当たると解すべきであるし,少なくとも,払戻金に係る「所得を生ずべき業務について生じた費用」に当たることは明らかであるから,いずれにせよ,払戻金の生じた年中の所得から必要経費として控除することができるものと解するのが相当である。 (2) また,被告は,外れ馬券の購入費用は所得税法45条1項1号の「家事上の経費」あるいは所得税法施行令96条1号にいう家事上の経費に関連する経費の主たる部分が雑所得を生ずべき業務の遂行上必要であり,かつ,その必要である部分を明らかに区分することができる場合における当該部分に相当する経費以外の経費に当たるから,必要経費として算入することができないと主張する。 しかしながら, 上記のとおり,原告の馬券購入行為は,もっぱら回収率に注目し,多数のレースにおいて,多種類の馬券を,網羅的かつ自動的に購入するというものであり,個々のレースごとの当たり外れや払戻金の多寡ではなく,長期的にみて,総購入費用に係る支出額を上回る払戻金総額を受けることを目的としており,客観的にも,そのような態様で行われていたと認められることからすれば,馬券購入費用のうち的中しなかったために払戻金の支払の対象とならなかった費用が,原告の趣味や嗜好,消費生活に用いられたものとは到底認められないから,被告の主張は理由がない。 (3) よって,本件競馬所得に係る所得の計算においては,馬券の総購入金額を必 要経費に算入すべきこととなる。 4 争点(4)(本件各処分の適法性)について(1) 平成17年分から平成19年分までの決定処分(本件各決定処分)の適法性以上によれば,原告 要経費に算入すべきこととなる。 4 争点(4)(本件各処分の適法性)について(1) 平成17年分から平成19年分までの決定処分(本件各決定処分)の適法性以上によれば,原告が各年中に受領した払戻金は雑所得に区分されることになり,各年中の総馬券購入費を控除した額が雑所得の額となるから,各年の払戻金の総額から各年の馬券購入費の総額を控除した額を各年の雑所得の額とすべきところ(所得税法37条1項),被告は,各年の払戻金の総額については所得の額として主張するものの(前記前提事実(5)イ,別紙「原告の本件各年分における納付すべき所得税の額の計算根拠(被告の主張)」の(1)ア(イ)a,(2)ア(イ)a,(3)ア(イ)a,別表1「原告所有のパーソナルコンピュータに保存されていたデータに基づく差引金額の計算」の「①払戻金」欄の各年の総額),控除すべき金額としては,的中馬券の購入費用(別紙「原告の本件各年分における納付すべき所得税の額の計算根拠(被告の主張)」の(1)ア(イ)b,(2)ア(イ)b,(3)ア(イ)b)しか主張していないから,原告の平成17年分から平成19年分までの雑所得の額を被告の主張から確定することはできない。 もっとも,原告は,別紙「原告の実際の所得金額(原告の主張)」記載のとおり,B銀行のPAT口座(本件PAT口座)における取引のほか,E銀行及びF銀行におけるPAT口座における取引も含めた払戻金の総額と,馬券購入費用の総額を自ら認める主張をしている(なお,これら各金額については,証拠(甲42ないし46)によっても,認めることができる。)から,同別紙の「差引金額」欄記載の金額の限度で,これを原告の雑所得の金額と認めるのが相当である(なお,上記E銀行及びF銀行における各PAT口座に係る取引による所得もB銀行 も,認めることができる。)から,同別紙の「差引金額」欄記載の金額の限度で,これを原告の雑所得の金額と認めるのが相当である(なお,上記E銀行及びF銀行における各PAT口座に係る取引による所得もB銀行における本件PAT口座に係る取引による所得(本件競馬所得)と同様に,一時所得ではなく,雑所得に該当するものと認められる。)。 そうすると,原告が本件各年分中の馬券購入行為によって得た所得(以下「原告競馬所得」という。)のうち平成17年分から平成19年分までの額は,別紙「原 告の実際の所得金額(原告の主張)」の「差引金額」欄記載のとおりとなるから,原告の平成17年分から平成19年分までの納付すべき税額は,別紙「原告の納付すべき税額等」の各年分の「エ」のとおり,平成17年分については248万3700円,平成18年分については135万0300円,平成19年分については,3889万3900円であったと認められ,これらの金額は,別表2「課税の経緯」の「決定処分」欄の「納付すべき税額」欄記載の本件各決定処分における平成17年分から平成19年分までの納付すべき税額を下回るから,本件各決定処分は,上記の各年分の納付すべき税額を上回る部分についていずれも違法であり取消しを免れない。 この点,原告は,本件各決定処分には課税要件の根幹に関わる重大かつ明白な瑕疵が認められるとして,本件各決定処分の全体が取り消されるべき旨を主張するが,本件においてA税務署長の判断に所得の発生に関する事実誤認及び法令解釈の誤りがあるとしても,課税要件の根幹に関わる瑕疵とまではいえないし,課税処分の取消訴訟における実体上の審判の対象は,当該課税処分によって確定された税額の適否であり,課税処分における税務署長の所得の源泉の認定等に誤りがあっても,これにより確定され まではいえないし,課税処分の取消訴訟における実体上の審判の対象は,当該課税処分によって確定された税額の適否であり,課税処分における税務署長の所得の源泉の認定等に誤りがあっても,これにより確定された税額が総額において租税法規によって客観的に定まっている税額を上回らなければ,当該課税処分は適法であり,またかかる客観的に定まっている税額を上回る場合には,当該課税処分はその上回る部分のみが違法となるものというべきであるところ(最高裁判所平成2年(行ツ)第155号同4年2月18日第三小法廷判決・民集46巻2号77頁参照),この理は,納付すべき税額だけでも当該年分の実際所得金額を著しく上回る等の事情がある場合であっても何ら異なるものではないから,憲法14条,29条に違反し,無効ないし取り消されるべき重大な瑕疵がある旨の原告の主張はいずれも理由がない。 (2) 平成20年分及び平成21年分の更正処分(本件各更正処分)の適法性平成20年分及び平成21年分についても,原告がこれら各年中に受領した払戻金の総額から各年中の総馬券購入費を控除した額が各年の雑所得の額となるところ, 被告の主張によっては,これを確定することができず,原告の主張によってこれを認めるのが相当であることは上記(1)で説示したとおりである。 そうすると,原告競馬所得のうち平成20年分及び平成21年分の額は,別紙「原告の実際の所得金額(原告の主張)」の「差引金額」欄記載のとおりとなるから,原告の当該各年分の納付すべき税額は,別紙「原告の納付すべき税額等」の当該各年分の「エ」のとおり,平成20年分については909万3900円,平成21年分については393万5100円であったと認められ,これらの金額は,別表2「課税の経緯」の「更正処分」欄の「納付すべき税額」欄記載 「エ」のとおり,平成20年分については909万3900円,平成21年分については393万5100円であったと認められ,これらの金額は,別表2「課税の経緯」の「更正処分」欄の「納付すべき税額」欄記載の本件各更正処分における平成20年分及び平成21年分の納付すべき税額を下回るから,本件各更正処分は,上記の各年分の納付すべき税額を上回る部分についていずれも違法であり取消しを免れない。 この点,原告は,本件各更正処分には課税要件の根幹に関わる瑕疵があるため,その全ての部分につき取り消されるべきである旨を主張するが,上記(1)と同様,原告の主張は理由がない。 (3) 本件各年分の無申告加算税の賦課決定処分(本件各賦課処分)の適法性ア上記(1)及び(2)で説示した原告の本件各年分の納付すべき所得税の額は,別紙「原告の納付すべき税額等」の本件各年分の「エ」のとおりであるところ,原告が平成17年分から平成19年分までの原告競馬所得の申告をせず,国税通則法25条に基づく税務署長による決定がされたこと(同法66条1項1号),平成20年分及び平成21年分については,期限後申告がされたこと(同号)は前記前提事実(4),(5)のとおりであるから,A税務署長が無申告加算税を課したこと自体は適法であるといえるが,その額は,別紙「原告の納付すべき税額等」の本件各年分の「オ」のとおりとなり,いずれも,本件各賦課処分により課された無申告加算税の額を下回るから,本件各賦課処分は,本件各年分で課すべき無申告加算税の額を上回る部分についてはいずれも違法であり,取消しを免れない。 イ以上に対し,原告は,本件については国税通則法66条1項ただし書が規定する「期限内申告書の提出がなかったことについて正当な理由がある」と認められるから,そもそも を免れない。 イ以上に対し,原告は,本件については国税通則法66条1項ただし書が規定する「期限内申告書の提出がなかったことについて正当な理由がある」と認められるから,そもそも無申告加算税を賦課すべき場合に当たらないと主張し,上記「正当な理由」を基礎づける事情として,① 課税庁の見解に従って確定申告を行えば,過大な納税義務を課せられるおそれがある一方,原告の見解に従って確定申告を行えば,単純無申告犯よりも重い過少申告ほ脱犯の罪責を問われる危険性があり,申告自体を躊躇せざるを得なかったこと,② 課税庁は馬券の払戻金に係る所得の取扱いを明確に定めたり,周知したりすることなく,積極的な課税もしていなかったため,期限内申告書の提出を原告に対してのみ求めることは不公平であること等を主張する。 そこで検討するに,無申告加算税は,無申告による納税義務違反の事実があれば,原則としてその違反者に対し課されるものであり,これによって当初から適法に申告し納税した納税者との間の客観的不公平の実質的な是正を図るとともに,無申告による納税義務違反の発生を防止し,適正な申告納税の実現を図り,もって納税の実を挙げようとする行政上の措置であるから,無申告加算税の上記の趣旨に照らせば,国税通則法66条1項ただし書にいう「正当な理由があると認められる場合」とは,真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があり,上記のような無申告加算税の趣旨に照らしても,なお,納税者に無申告加算税を賦課することが不当又は酷になる場合をいうものと解される(なお,国税通則法65条4項が規定する「正当な理由」につき,最高裁判所平成17年(行ヒ)第9号同18年4月20日第一小法廷判決・民集60巻4号1611頁参照)。 これを本件についてみると,納税者は 税通則法65条4項が規定する「正当な理由」につき,最高裁判所平成17年(行ヒ)第9号同18年4月20日第一小法廷判決・民集60巻4号1611頁参照)。 これを本件についてみると,納税者は,仮に所得区分やその計算にあたって控除される費用についての見解が統一されていないとしても,まずは自己の認識に基づいて申告書を提出し,異なる見解に基づき行政処分を受けた場合には不服申立てをするなどして争うべきことが制度上予定されていると解されるから,課税に関する見解が実務上固まっているとはいえないことや重い罪責を負う可能性 があることは,国税徴収法66条1項ただし書が規定する「正当な理由」とはいえないし,課税庁が課税区分等の取扱いについて周知等をしていなかったとしても,原告は,平成17年頃には,競馬の払戻金についても確定申告をしなければならないということを知っていたこと(甲18)からすれば,外れ馬券を経費として認めてもらえない可能性があると考えていたことを考慮しても,本件につき原告が期限内に申告書の提出をしなかったことにつき正当な理由があるとは認められない。なお,証拠(甲18)によれば,原告は,過去に馬券の払戻金を確定申告せずに問題となったケースが見つからなかったことについても期限前申告をしなかった理由として述べているが,他の納税者による申告ないし他の納税者に対する課税の状況についての認識が,真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情に当たるとは到底認められないし,また,たとい過去に問題となったケースがなかったとしても,これをもって,真に納税者(原告)の責めに帰することのできない客観的な事情ということもできない。 そうすると,本件において,本件各年分の原告競馬所得につき,原告が期限前申告書を提出しなかったことについては,いず 真に納税者(原告)の責めに帰することのできない客観的な事情ということもできない。 そうすると,本件において,本件各年分の原告競馬所得につき,原告が期限前申告書を提出しなかったことについては,いずれも上記「正当な理由」があるとは認められない。 なお,本件各賦課処分についても,課税要件の根幹に関わる瑕疵があるとはいえず,その全てを取り消すべきものと解することができないことは上記(1)において説示したとおりである。 5 結論よって,本件訴えのうち,A税務署長がした各更正処分中,原告が自ら所得税に係る申告をした部分についての取消しを求める部分(主文1項(1)及び(2)に記載した部分)は,いずれも不適法であるからこれらを却下し,本件各処分の取消請求のうち,本件各年分中の原告競馬所得を雑所得として計算し,馬券購入総額を必要経費として計算し直した原告の所得税等の額を上回る各部分(主文2項及び3項に記載した部分)の取消しを求める部分はいずれも理由があるからこれらを認容し,その余の 部分についてはいずれも理由がないからこれらを棄却することとし,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法64条本文,61条を適用して主文のとおり判決する。 (別紙) 法令の定め 1 所得区分(1) 所得税法は,所得を,利子所得,配当所得,不動産所得,事業所得,給与所得,退職所得,山林所得,譲渡所得,一時所得及び雑所得の10種類に区分し,これらの所得ごとに所得の金額を計算をする旨規定する(所得税法21条1項1号)。 (2) 所得税法は,一時所得につき,「利子所得,配当所得,不動産所得,事業所得,給与所得,退職所得,山林所得及び譲渡所得以外の所得のうち,営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で (2) 所得税法は,一時所得につき,「利子所得,配当所得,不動産所得,事業所得,給与所得,退職所得,山林所得及び譲渡所得以外の所得のうち,営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものをいう。」と規定する(所得税法34条1項)。 (3) 所得税法は,雑所得につき,「利子所得,配当所得,不動産所得,事業所得,給与所得,退職所得,山林所得,譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当しない所得をいう。」と規定する(所得税法35条1項)。 2 所得の金額の計算方法(1) 所得税法22条2項は,一時所得の金額を他の所得の金額と合計して総所得金額を算出する際は,当該一時所得の金額の2分の1に相当する金額を合計する旨を規定する。 (2) 所得税法34条2項は,「一時所得の金額は,その年中の一時所得に係る総収入金額からその収入を得るために支出した金額(その収入を生じた行為をするため,又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額に限る。)の合計額を控除し,その残額から一時所得の特別控除額を控除した金額とする」旨を規定し, 同条3項は,その特別控除額を最大50万円とする旨規定する。 (3) 所得税法35条2項は,雑所得の金額は,その年中の公的年金等の収入金額から公的年金等控除額を控除した残額と,その年中の雑所得(公的年金等に係るものを除く。)に係る総収入金額から必要経費を控除した金額との合計額とする旨を規定している。そして,ここにいう必要経費とは,別段の定めがあるものを除き,当該雑所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費,一般管理費その他当該雑所得を生ずべき業務について生じた費用(償却費以外の費用 除き,当該雑所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費,一般管理費その他当該雑所得を生ずべき業務について生じた費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする旨が規定されている(同法37条1項)。 所得税法45条1項1号は,居住者が支出し又は納付する家事上の経費及びこれに関連する経費で政令で定めるものの額は,その者の雑所得の金額の計算上,必要経費に算入しない旨規定している。そして,所得税法施行令96条は,上記政令で定める経費として,家事上の経費に関連する経費の主たる部分が雑所得を生ずべき業務の遂行上必要であり,かつ,その必要である部分を明らかに区分することができる場合における当該部分に相当する経費を除く旨規定する。 3 法定申告期限(1) 所得税法120条1項は,居住者は,その年分の総所得金額,退職所得金額及び山林所得金額の合計額が同法第2章第4節(所得控除)の規定による雑損控除その他の控除の額の合計額を超える場合において,当該総所得金額,退職所得金額又は山林所得金額からこれらの控除の額を同法87条第2項(所得控除の順序)の規定に準じて控除した後の金額をそれぞれ課税総所得金額,課税退職所得金額又は課税山林所得金額とみなして同法89条(税率)の規定を適用して計算した場合の所得税の額の合計額が配当控除の額を超えるときは,同法123条1項(確定損失申告)の規定による申告書を提出する場合を除き,第3期(その年の翌年2月16日から3月15日までの期間をいう。)において,税務署長に対し,所定の事項を記載した申告書を提出しなければならないと規定する。 (2) 国税通則法18条1項は,期限内申告書を提出すべきであった者は,その提出期 いう。)において,税務署長に対し,所定の事項を記載した申告書を提出しなければならないと規定する。 (2) 国税通則法18条1項は,期限内申告書を提出すべきであった者は,その提出期限後においても,同法25条(決定)の規定による決定があるまでは,納税申告書を税務署長に提出することができる旨を規定する。 4 無申告加算税に関する法令の定め(1) 国税通則法66条1項は,期限後申告書の提出若しくは同法25条(決定)の規定による決定があった場合(同項1号)又は期限後申告書の提出若しくは上記決定があった後に修正申告書の提出若しくは更正があった場合(同項2号)には,当該納税者に対し,その申告,更正又は決定に基づき同法35条2項の規定により納付すべき税額に100分の15の割合を乗じて計算した金額に相当する無申告加算税を課する旨規定する。 また,同法66条2項(平成18年法律第10号による改正前のもの。同改正の施行日である平成19年1月1日からは,同項と同趣旨の規定として,同改正による同法律第10号附則1条5号ハが適用され,所得税については同日以降に法定申告期限が到来する平成18年分から適用される。)は,国税通則法66条1項に該当する場合において,同項に規定する納付すべき税額が50万円を超えるときは,同項の無申告加算税の額は,同項の規定にかかわらず,同項の規定により計算した金額に,当該超える部分に相当する税額(同項に規定する納付すべき税額が当該超える部分に相当する税額に満たないときは,当該納付すべき税額)に100分の5の割合を乗じて計算した金額を加算した金額とする旨規定する。 (2) 国税通則法66条4項(平成18年法律第10号による改正前は同条2項)は,上記(1)の無申告加算税は,期限内申告書の提出がなかったことについ て計算した金額を加算した金額とする旨規定する。 (2) 国税通則法66条4項(平成18年法律第10号による改正前は同条2項)は,上記(1)の無申告加算税は,期限内申告書の提出がなかったことについて正当な理由があると認められる場合は課さない旨を規定する。 また,国税通則法66条4項(平成18年法律第10号による改正前は同条2項)は,無申告加算税について納付すべき税額の計算の基礎となった事実のうちに,その修正申告又は更正前の税額(還付金の額に相当する税額を含む。)の計算の基礎とされていなかったことについて正当な理由があると認められるものがある場合に は,当該納付すべき税額からその正当な理由があると認められる事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除する旨規定している。 (別紙) 原告の実際の所得金額(原告の主張) 収入(払戻金)支出(購入費用)差引金額平成17年1億0839万9080円9897万4000円942万5080円平成18年5億4370万2140円5億3812万1400円558万0740円平成19年7億6779万0180円6億6737万0700円1億0041万9480円平成20年14億4683万5930円14億2059万2800円2624万3130円平成21年7億9820万8610円7億8480万6100円1340万2510円※ 本件各処分において課税の対象となったB銀行のPAT口座(本件PAT口座)における取引のほか,E銀行及びF銀行におけるPAT口座における取引を含む。 (別紙)原告の本件各年分における納付すべき所得税の額の計算根拠(被告の主張 T口座(本件PAT口座)における取引のほか,E銀行及びF銀行におけるPAT口座における取引を含む。 (別紙)原告の本件各年分における納付すべき所得税の額の計算根拠(被告の主張) (1) 平成17年分ア総所得金額 5570万1552円上記金額は,次の(ア)の給与所得の金額と,(イ)の一時所得の金額(所得税法22条2項2号の規定による2分の1に相当する金額。以下,他の年分の一時所得の金額において同じ。)との合計額である。 (ア) 給与所得の金額 758万1242円上記金額は,原告が勤務先から平成17年中に支払を受けた給与等の収入金額975万6936円から,所得税法28条3項に規定する給与所得控除額を同条2項の規定により控除した残額である。 (イ) 一時所得の金額 4812万0310円上記金額は,次のaの総収入金額から,bの総収入金額を得るために支出した金額を控除し,その残額から所得税法34条3項に規定する一時所得の特別控除額50万円を控除した金額の2分の1に相当する金額である(所得税法22条2項2号)。 a 総収入金額 1億0255万4720円上記金額は,原告がJRAから平成17年中に支払を受けた,的中馬券に係る払戻金額である(別表1の平成17年分の「①払戻金」の「合計」欄)。 b 総収入金額を得るために支出した金額 581万4100円上記金額は,上記aの払戻金に係る的中馬券の購入金額の合計額である(別表1の平成17年分の「④的中馬券購入金額」の「合計」欄)。 イ所得控除の額の合 581万4100円上記金額は,上記aの払戻金に係る的中馬券の購入金額の合計額である(別表1の平成17年分の「④的中馬券購入金額」の「合計」欄)。 イ所得控除の額の合計額 135万1081円上記金額は,原告の平成17年分における所得控除の額の合計額である。 ウ課税される所得金額 5435万円上記金額は,上記アの総所得金額から上記イの所得控除の額の合計額を控除した残額(国税通則法118条1項の規定により1000円未満の端数を切り捨てた後のも の。以下,他の年分の課税される所得金額において同じ。)である。 エ納付すべき所得税の額 1663万6700円上記金額は,次の(ア)の金額から,(イ)及び(ウ)の合計額を控除した金額である。 (ア) 課税される所得金額に対する税額 1761万9500円上記金額は,上記ウの課税される所得金額に対し,所得税法89条1項(平成18年法律第10号による改正前のもの)及び経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律(以下「負担軽減措置法」という。)4条(平成18年法律第10号による廃止前のもの)の規定を適用して算出した金額である。 (イ) 定率減税額 25万円上記金額は,負担軽減措置法6条(平成17年法律第21号による改正前のもの)の規定を適用して算出した金額である。 (ウ) 源泉徴収税額 73万2800円上記金額は,上記ア(ア)の給与等の収入金額に係る源泉徴収税額であ 前のもの)の規定を適用して算出した金額である。 (ウ) 源泉徴収税額 73万2800円上記金額は,上記ア(ア)の給与等の収入金額に係る源泉徴収税額である。 (2) 平成18年分ア総所得金額 2億6122万0953円上記金額は,次の(ア)の給与所得の金額と,(イ)の一時所得の金額との合計額である。 (ア) 給与所得の金額 753万8053円上記金額は,原告が勤務先から平成18年中に支払を受けた給与等の収入金額970万8948円から,所得税法28条3項に規定する給与所得控除額を同条2項の規定により控除した残額である。 (イ) 一時所得の金額 2億5368万2900円上記金額は,次のaの総収入金額から,bの総収入金額を得るために支出した金額を控除し,その残額から所得税法34条3項に規定する一時所得の特別控除額5 0万円を控除した金額の2分の1に相当する金額である(所得税法22条2項2号)。 a 総収入金額 5億2612万7600円上記金額は,原告がJRAから平成18年中に支払を受けた,的中馬券に係る払戻金額である(別表1の平成18年分の「①払戻金」の「合計」欄)。 b 総収入金額を得るために支出した金額 1826万1800円上記金額は,上記aの払戻金に係る的中馬券の購入金額の合計額である(別表1の平成18年分の「④的中馬券購入金額」の「合計」欄)。 イ所得控除の額の合計額 141万9008円上記金額は,原告の平成18年分に 合計額である(別表1の平成18年分の「④的中馬券購入金額」の「合計」欄)。 イ所得控除の額の合計額 141万9008円上記金額は,原告の平成18年分における所得控除の額の合計額である。 ウ課税される所得金額 2億5980万1000円上記金額は,上記アの総所得金額から上記イの所得控除の額の合計額を控除した残額である。 エ納付すべき所得税の額 9270万6900円上記金額は,次の(ア)の金額から,(イ)及び(ウ)の合計額を控除した金額(ただし,国税通則法119条1項の規定により100円未満の端数を切り捨てた後のもの。以下,他の年分の納付すべき所得税の額において同じ。)である。 (ア) 課税される所得金額に対する税額 9363万6370円上記金額は,上記ウの課税される所得金額に対し,所得税法89条1項(ただし,平成18年法律第10号による改正前のもの)及び負担軽減措置法4条(平成18年法律第10号による廃止前のもの)の規定を適用して算出した金額である。 (イ) 定率減税額 12万5000円上記金額は,負担軽減措置法6条(平成18年法律第10号による廃止前のもの)の規定を適用して算出した金額である。 (ウ) 源泉徴収税額 80万4400円上記金額は,上記ア(ア)の給与等の収入金額に係る源泉徴収税額である。 (3) 平成19年分 ア総所得金額 3億7420万0132円上記金額は,次の(ア)の給与所得の金額と,(イ)の一時所得の金 額である。 (3) 平成19年分 ア総所得金額 3億7420万0132円上記金額は,次の(ア)の給与所得の金額と,(イ)の一時所得の金額との合計額である。 (ア) 給与所得の金額 694万2147円上記金額は,原告が勤務先から平成19年中に支払を受けた給与等の収入金額904万6830円から,所得税法28条3項に規定する給与所得控除額を同条2項の規定により控除した残額である。 (イ) 一時所得の金額 3億6725万7985円上記金額は,次のaの総収入金額から,bの総収入金額を得るために支出した金額を控除し,その残額から所得税法34条3項に規定する一時所得の特別控除額50万円を控除した金額の2分の1に相当する金額である(所得税法22条2項2号)。 a 総収入金額 7億6778万1370円上記金額は,原告がJRAから平成19年中に支払を受けた,的中馬券に係る払戻金額である(別表1の平成19年分の「①払戻金」の「合計」欄)。 b 総収入金額を得るために支出した金額 3276万5400円上記金額は,上記aの払戻金に係る的中馬券の購入金額の合計額である(別表1の平成19年分の「④的中馬券購入金額」の「合計」欄)。 イ所得控除の額の合計額 146万9298円上記金額は,原告の平成19年分における所得控除の額の合計額である。 ウ課税される所得金額 3億7273万円上記金額は,上記アの総所得金額から上記イの所得控除の額の合計額を 年分における所得控除の額の合計額である。 ウ課税される所得金額 3億7273万円上記金額は,上記アの総所得金額から上記イの所得控除の額の合計額を控除した残額である。 エ納付すべき所得税の額 1億4562万9100円上記金額は,次の(ア)の金額から(イ)の金額を控除した金額である。 (ア) 課税される所得金額に対する税額 1億4629万6000円上記金額は,上記ウの課税される所得金額に対し,所得税法89条1項の規定を 適用して算出した金額である。 (イ) 源泉徴収税額 66万6900円上記金額は,上記ア(ア)の給与等の収入金額に係る源泉徴収税額である。 (4) 平成20年分ア総所得金額 6億9694万8779円上記金額は,次の(ア)の給与所得の金額と,(イ)の一時所得の金額との合計額である。 (ア) 給与所得の金額 623万6429円上記金額は,原告が平成20年分の所得税の確定申告書に記載した給与所得の金額と同額である。 (イ) 一時所得の金額 6億9071万2350円上記金額は,次のaの総収入金額から,bの総収入金額を得るために支出した金額を控除し,その残額から所得税法34条3項に規定する一時所得の特別控除額50万円を控除した金額の2分の1に相当する金額である(所得税法22条2項2号)。 a 総収入金額 14億4683万5500円上記金額は,原告がJRAから平成20年中 た金額の2分の1に相当する金額である(所得税法22条2項2号)。 a 総収入金額 14億4683万5500円上記金額は,原告がJRAから平成20年中に支払を受けた,的中馬券に係る払戻金額である(別表1の平成20年分の「①払戻金」の「合計」欄)。 b 総収入金額を得るために支出した金額 6491万0800円上記金額は,上記aの払戻金に係る的中馬券の購入金額の合計額である(別表1の平成20年分の「④的中馬券購入金額」の「合計」欄)。 イ所得控除の額の合計額 140万9869円上記金額は,原告が平成20年分における所得税の確定申告書に記載した所得控除の額の合計額と同額である。 ウ課税される所得金額 6億9553万8000円上記金額は,上記アの総所得金額から上記イの所得控除の額の合計額を控除した残額である。 エ納付すべき所得税の額 2億7488万1500円上記金額は,次の(ア)の金額から(イ)の金額を控除した金額である。 (ア) 課税される所得金額に対する税額 2億7541万9200円上記金額は,上記ウの課税される所得金額に対し,所得税法89条1項の規定を適用して算出した金額である。 (イ) 源泉徴収税額 53万7700円上記金額は,原告が平成20年分の所得税の確定申告書に記載した源泉徴収税額と同額である。 (5) 平成21年分ア総所得金額 3億8836万3205円上記金額は,次の(ア)の給与所 得税の確定申告書に記載した源泉徴収税額と同額である。 (5) 平成21年分ア総所得金額 3億8836万3205円上記金額は,次の(ア)の給与所得の金額と,(イ)の一時所得の金額との合計額である。 (ア) 給与所得の金額 690万円上記金額は,原告が平成21年分の所得税の確定申告書に記載した給与所得の金額と同額である。 (イ) 一時所得の金額 3億8146万3205円上記金額は,次のaの総収入金額から,bの総収入金額を得るために支出した金額を控除し,その残額から所得税法34条3項に規定する一時所得の特別控除額50万円を控除した金額の2分の1に相当する金額である(所得税法22条2項2号)。 a 総収入金額 7億9517万6110円上記金額は,原告がJRAから平成21年中に支払を受けた,的中馬券に係る払戻金額である(別表1の平成21年分の「①払戻金」の「合計」欄)。 b 総収入金額を得るために支出した金額 3174万9700円上記金額は,上記aの払戻金に係る的中馬券の購入金額の合計額である(別表1の平成21年分の「④的中馬券購入金額」の「合計」欄)。 イ所得控除の額の合計額 183万0840円 上記金額は,原告が平成21年分の所得税の確定申告書に記載した所得控除の額の合計額と同額である。 ウ課税される所得金額 3億8653万2000円上記金額は,上記アの総所得金額から上記イの所得控除の額の合計額を控除した残額 額の合計額と同額である。 ウ課税される所得金額 3億8653万2000円上記金額は,上記アの総所得金額から上記イの所得控除の額の合計額を控除した残額である。 エ納付すべき所得税の額 1億5115万9500円上記金額は,次の(ア)の金額から(イ)の金額を控除した金額である。 (ア) 課税される所得金額に対する税額 1億5181万6800円上記金額は,上記ウの課税される所得金額に対し,所得税法89条1項の規定を適用して算出した金額である。 (イ) 源泉徴収税額 65万7284円上記金額は,原告が平成21年分の所得税の確定申告書に記載した源泉徴収税額と同額である。 (別紙)本件各賦課処分の根拠(被告の主張) 別紙「原告の本件各年分における納付すべき所得税の額の計算根拠(被告の主張)」のとおり,本件各決定処分及び本件各更正処分はいずれも適法であるところ,本件各決定処分及び本件各更正処分により新たに納付すべき税額を基礎として計算した無申告加算税の額については,次に述べるとおりである。 なお,本件各年分において,原告が期限内申告書を提出しなかったことについて正当な理由があるとは認められず,また,平成20年分及び平成21年分において,原告が本件各更正処分により新たに納付すべきこととなった税額の計算の基礎となった事実のうちに,本件各更正処分前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて,国税通則法66条4項により準用する同法65条4項に規定する正当な理由があると認められる事実もない。 (1) 平成17年分平成17年分の所得税の決定処分により,原告 いなかったことについて,国税通則法66条4項により準用する同法65条4項に規定する正当な理由があると認められる事実もない。 (1) 平成17年分平成17年分の所得税の決定処分により,原告が新たに納付すべきこととなった税額(国税通則法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの。以下,他の年分の新たに納付すべきこととなった税額において同じ。)は,1663万円であるから,当該決定処分に伴って賦課されるべき無申告加算税の額は,国税通則法66条1項の規定に基づき,当該新たに納付すべきこととなった税額1663万に100分の15の割合を乗じて算出した金額249万4500円となる。 なお,平成17年分については,平成18年法律第10号による改正後の国税通則法66条2項の適用はない。 (2) 平成18年分平成18年分の所得税の決定処分により,原告が新たに納付すべきこととなった税額は,9270万円であるから,当該決定処分に伴って賦課されるべき無申告加算税の額は,国税通則法66条1項及び2項の規定に基づき,当該新たに納付すべきこととなった税額9270万円に100分の15の割合を乗じて算出した金額1390万5000 円に,当該新たに納付すべきこととなった税額のうち50万円を超える部分に相当する税額9220万円に100分の5の割合を乗じて計算した金額461万円を加算した1851万5000円となる。 (3) 平成19年分平成19年分の所得税の決定処分により,原告が新たに納付すべきこととなった税額は,1億4562万円であるから,当該決定処分に伴って賦課されるべき無申告加算税の額は,国税通則法66条1項及び2項の規定に基づき,当該新たに納付すべきこととなった税額1億4562万円に100分の15の割合を乗じて算 円であるから,当該決定処分に伴って賦課されるべき無申告加算税の額は,国税通則法66条1項及び2項の規定に基づき,当該新たに納付すべきこととなった税額1億4562万円に100分の15の割合を乗じて算出した金額2184万3000円に,当該新たに納付すべきこととなった税額のうち50万円を超える部分に相当する税額1億4512万円に100分の5の割合を乗じて計算した金額725万6000円を加算した2909万9000円となる。 (4) 平成20年分原告は,平成20年分の所得税につき期限後申告書を提出しているところ,平成20年分の所得税の更正処分により,原告が新たに納付すべきこととなった税額は,2億7488万円であるから,当該更正処分に伴って賦課されるべき無申告加算税の額は,国税通則法66条1項及び2項の規定に基づき,当該新たに納付すべきこととなった税額2億7488万円に100分の15の割合を乗じて算出した金額4123万2000円に,当該新たに納付すべきこととなった税額のうち50万円を超える部分に相当する税額2億7438万円に100分の5の割合を乗じて計算した金額1371万9000円を加算した5495万1000円となる。 (5) 平成21年分原告は,平成21年分の所得税につき期限後申告書を提出しているところ,平成21年分の所得税の更正処分により,原告が新たに納付すべきこととなった税額は,1億5123万円であるから,当該更正処分に伴って賦課されるべき無申告加算税の額は,国税通則法66条1項及び2項の規定に基づき,当該新たに納付すべきこととなった税額1億5123万円に100分の15の割合を乗じて算出した金額2268万4500円 に,当該新たに納付すべきこととなった税額のうち50万円を超える部分に相当する税額1億5073万円に1 税額1億5123万円に100分の15の割合を乗じて算出した金額2268万4500円 に,当該新たに納付すべきこととなった税額のうち50万円を超える部分に相当する税額1億5073万円に100分の5の割合を乗じて計算した金額753万6500円を加算した3022万1000円となる。 (別紙) 原告に対する住民税等の課税処分の額 課税年度(対象となる所得年度)住民税額課税庁平成18年(平成17年)623万4000円大阪府豊中市長平成19年(平成18年)2536万8200円同上平成20年(平成19年)3672万5900円同上平成21年(平成20年)6907万1200円大阪市長平成22年(平成21年)3814万6400円同上 (別紙) 原告の納付すべき税額等 (1) 平成17年分ア総所得金額 1700万6322円上記金額は,次の(ア)の給与所得の金額と,(イ)の雑所得の金額との合計額である。 (ア) 給与所得の金額 758万1242円上記金額は,原告が勤務先から平成17年中に支払を受けた給与等の収入金額975万6936円から,所得税法28条3項に規定する給与所得控除額を同条2項の規定により控除した残額である。 (イ) 雑所得の金額 942万5080円上記金額は,次のaの総収入金額から,bの必要経費を控除した金額である(所得税法37条1項)。 a 総収入金額 1億0839万9080円上記金額は,原告 額は,次のaの総収入金額から,bの必要経費を控除した金額である(所得税法37条1項)。 a 総収入金額 1億0839万9080円上記金額は,原告がJRAから平成17年分中に支払を受けた,的中馬券に係る払戻金額である。 b 必要経費 9897万4000円上記金額は,同年中の馬券購入金額の総額である。 イ所得控除の額の合計額 135万1081円上記金額は,原告の平成17年分における所得控除の額の合計額である。 ウ課税される所得金額 1565万5000円上記金額は,上記アの総所得金額から上記イの所得控除の額の合計額を控除した残額(ただし,国税通則法118条1項の規定により1000円未満の端数を切り捨てた後のもの。以下,他の年分の課税される所得金額において同じ。)である。 エ納付すべき所得税の額 248万3700円上記金額は,次の(ア)の金額から,(イ)及び(ウ)の合計額を控除した金額で ある。 (ア) 課税される所得金額に対する税額 346万6500円上記金額は,上記ウの課税される所得金額に対し,所得税法89条1項(ただし,平成18年法律第10号による改正前のもの)の規定を適用して算出した金額である。 (イ) 定率減税額 25万円上記金額は,負担軽減措置法6条(平成17年法律第21号による改正前のもの)の規定を適用して算出した金額である。 (ウ) 源泉徴収税額 25万円上記金額は,負担軽減措置法6条(平成17年法律第21号による改正前のもの)の規定を適用して算出した金額である。 (ウ) 源泉徴収税額 73万2800円上記金額は,上記ア(ア)の給与等の収入金額に係る源泉徴収税額である。 オ無申告加算税 55万6500円平成17年分の納付すべき所得税の額は上記エのとおりであるところ,附帯税の額を計算する場合に基礎とすべき税額(国税通則法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの。以下,「新たに納付すべきこととなった税額」という。)は248万円であるから,賦課されるべき無申告加算税の額は,国税通則法66条1項の規定に基づき,当該新たに納付すべきこととなった税額に100分の15の割合を乗じて算出した金額37万2000円となる。 なお,平成17年分については,平成18年法律第10号による改正後の国税通則法66条2項の適用はない。 (2) 平成18年分ア総所得金額 1311万8793円上記金額は,次の(ア)の給与所得の金額と,(イ)の雑所得の金額との合計額である。 (ア) 給与所得の金額 753万8053円上記金額は,原告が勤務先から平成18年中に支払を受けた給与等の収入金額970万8948円から,所得税法28条3項に規定する給与所得控除額を同条2項 の規定により控除した残額である。 (イ) 雑所得の金額 558万0740円上記金額は,次のaの総収入金額から,bの必要経費を控除した金額である(所得税法 より控除した残額である。 (イ) 雑所得の金額 558万0740円上記金額は,次のaの総収入金額から,bの必要経費を控除した金額である(所得税法37条1項)。 a 総収入金額 5億4370万2140円上記金額は,原告がJRAから平成18年分中に支払を受けた,的中馬券に係る払戻金額である。 b 必要経費 5億3812万1400円上記金額は,同年中の馬券購入金額の総額である。 イ所得控除の額の合計額 141万9008円上記金額は,原告の平成18年分における所得控除の額の合計額である。 ウ課税される所得金額 1169万9000円上記金額は,上記アの総所得金額から上記イの所得控除の額の合計額を控除した残額である。 エ納付すべき所得税の額 135万0300円上記金額は,次の(ア)の金額から,(イ)及び(ウ)の合計額を控除した金額(ただし,国税通則法119条1項の規定により100円未満の端数を切り捨てた後のもの。以下,他の年分の納付すべき所得税の額において同じ。)である。 (ア) 課税される所得金額に対する税額 227万9700円上記金額は,上記ウの課税される所得金額に対し,所得税法89条1項(ただし,平成18年法律第10号による改正前のもの)の規定を適用して算出した金額である。 (イ) 定率減税額 12万5000円上記金額は,負担軽減措置法6条(平成18年法律第10号による廃 正前のもの)の規定を適用して算出した金額である。 (イ) 定率減税額 12万5000円上記金額は,負担軽減措置法6条(平成18年法律第10号による廃止前のもの)の規定を適用して算出した金額である。 (ウ) 源泉徴収税額 80万4400円 上記金額は,上記ア(ア)の給与等の収入金額に係る源泉徴収税額である。 オ無申告加算税 24万5000円平成18年分の納付すべき所得税の額は上記エのとおりであるところ,賦課されるべき無申告加算税の額は,国税通則法66条1項及び2項の規定に基づき,当該新たに納付すべきこととなった税額135万円に100分の15の割合を乗じて算出した金額20万2500円に,当該新たに納付すべきこととなった税額のうち50万円を超える部分に相当する税額85万円に100分の5の割合を乗じて計算した金額4万2500円を加算した24万5000円となる。 (3) 平成19年分ア総所得金額 1億0736万1627円上記金額は,次の(ア)の給与所得の金額と,(イ)の雑所得の金額との合計額である。 (ア) 給与所得の金額 694万2147円上記金額は,原告が勤務先から平成19年中に支払を受けた給与等の収入金額904万6830円から,所得税法28条3項に規定する給与所得控除額を同条2項の規定により控除した残額である。 (イ) 雑所得の金額 1億0041万9480円上記金額は,次のaの総収入金額から,bの必要経費を控除した金額である(所得税法3 り控除した残額である。 (イ) 雑所得の金額 1億0041万9480円上記金額は,次のaの総収入金額から,bの必要経費を控除した金額である(所得税法37条1項)。 a 総収入金額 7億6779万0180円上記金額は,原告がJRAから平成19年分中に支払を受けた,的中馬券に係る払戻金額である。 b 必要経費 6億6737万0700円上記金額は,同年中の馬券購入金額の総額である。 イ所得控除の額の合計額 146万9298円上記金額は,原告の平成19年分における所得控除の額の合計額である。 ウ課税される所得金額 1億0589万2000円上記金額は,上記アの総所得金額から上記イの所得控除の額の合計額を控除した残額である。 エ納付すべき所得税の額 3889万3900円上記金額は,次の(ア)の金額から(イ)の金額を控除した金額である。 (ア) 課税される所得金額に対する税額 3956万0800円上記金額は,上記ウの課税される所得金額に対し,所得税法89条1項(平成25年法律第5号による改正前のもの)の規定を適用して算出した金額である。 (イ) 源泉徴収税額 66万6900円上記金額は,上記ア(ア)の給与等の収入金額に係る源泉徴収税額である。 オ無申告加算税 775万3000円平成19年分の納付すべき所得税の額は上記エのとおりであるとこ 記ア(ア)の給与等の収入金額に係る源泉徴収税額である。 オ無申告加算税 775万3000円平成19年分の納付すべき所得税の額は上記エのとおりであるところ,賦課されるべき無申告加算税の額は,国税通則法66条1項及び2項の規定に基づき,当該新たに納付すべきこととなった税額3889万円に100分の15の割合を乗じて算出した金額583万3500円に,当該新たに納付すべきこととなった税額のうち50万円を超える部分に相当する税額3839万円に100分の5の割合を乗じて計算した金額191万9500円を加算した775万3000円となる。 (4) 平成20年分ア総所得金額 3247万9559円上記金額は,次の(ア)の給与所得の金額と,(イ)の雑所得の金額との合計額である。 (ア) 給与所得の金額 623万6429円上記金額は,原告が平成20年分の所得税の確定申告書に記載した給与所得の金額と同額である。 (イ) 雑所得の金額 2624万3130円上記金額は,次のaの総収入金額から,bの必要経費を控除した金額である(所 得税法37条1項)。 a 総収入金額 14億4683万5930円上記金額は,原告がJRAから平成20年分中に支払を受けた,的中馬券に係る払戻金額である。 b 必要経費 14億2059万2800円上記金額は,同年中の馬券購入金額の総額である。 イ所得控除の額の合計額 140万9869円上記 14億2059万2800円上記金額は,同年中の馬券購入金額の総額である。 イ所得控除の額の合計額 140万9869円上記金額は,原告の平成20年分における所得税の確定申告書に記載した所得控除の額の合計額と同額である。 ウ課税される所得金額 3106万9000円上記金額は,上記アの総所得金額から上記イの所得控除の額の合計額を控除した残額である。 エ納付すべき所得税の額 909万3900円上記金額は,次の(ア)の金額から(イ)の金額を控除した金額である。 (ア) 課税される所得金額に対する税額 963万1600円上記金額は,上記ウの課税される所得金額に対し,所得税法89条1項(平成25年法律第5号による改正前のもの)の規定を適用して算出した金額である。 (イ) 源泉徴収税額 53万7700円上記金額は,原告が平成20年分の所得税の確定申告書に記載した源泉徴収税額と同額である。 オ無申告加算税 179万3000円原告は,平成20年分の所得税につき期限後申告を提出しているところ,平成20年分の納付すべき所得税の額は上記エのとおりであるため,賦課されるべき無申告加算税の額は,国税通則法66条1項及び2項の規定に基づき,当該新たに納付すべきこととなった税額909万円に100分の15の割合を乗じて算出した金額136万3500円に,当該新たに納付すべきこととなった税額のうち50万円を超える部分 に相当する税額859万円に100分の5の割合を乗じて 9万円に100分の15の割合を乗じて算出した金額136万3500円に,当該新たに納付すべきこととなった税額のうち50万円を超える部分 に相当する税額859万円に100分の5の割合を乗じて計算した金額42万9500円を加算した179万3000円となる。 (5) 平成21年分ア総所得金額 2030万2510円上記金額は,次の(ア)の給与所得の金額と,(イ)の雑所得の金額との合計額である。 (ア) 給与所得の金額 690万円上記金額は,原告が平成21年分の所得税の確定申告書に記載した給与所得の金額と同額である。 (イ) 雑所得の金額 1340万2510円上記金額は,次のaの総収入金額から,bの必要経費を控除した金額である(所得税法37条1項)。 a 総収入金額 7億9820万8610円上記金額は,原告がJRAから平成21年分中に支払を受けた,的中馬券に係る払戻金額である。 b 必要経費 7億8480万6100円上記金額は,同年中の馬券購入金額の総額である。 イ所得控除の額の合計額 183万0840円上記金額は,原告の平成21年分の所得税の確定申告書に記載した所得控除の額の合計額と同額である。 ウ課税される所得金額 1847万1000円上記金額は,上記アの総所得金額から上記イの所得控除の額の合計額を控除した残額である。 エ納付すべき所得税の額 1847万1000円上記金額は,上記アの総所得金額から上記イの所得控除の額の合計額を控除した残額である。 エ納付すべき所得税の額 393万5100円上記金額は,次の(ア)の金額から(イ)の金額を控除した金額である。 (ア) 課税される所得金額に対する税額 459万2400円 上記金額は,上記ウの課税される所得金額に対し,所得税法89条1項の規定を適用して算出した金額である。 (イ) 源泉徴収税額 65万7284円上記金額は,原告が平成21年分の所得税の確定申告書に記載した源泉徴収税額と同額である。 オ無申告加算税 77万5000円原告は,平成21年分の所得税につき期限後申告を提出しているところ,平成21年分の納付すべき所得税の額は上記エのとおりであるため,賦課されるべき無申告加算税の額は,国税通則法66条1項及び2項の規定に基づき,当該新たに納付すべきこととなった税額400万円に100分の15の割合を乗じて算出した金額60万円に,当該新たに納付すべきこととなった税額のうち50万円を超える部分に相当する税額350万円に100分の5の割合を乗じて計算した金額17万5000円を加算した77万5000円となる。

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