主文 1 麻布税務署長が原告に対し平成6年3月28日付けでした、原告の平成4年1月1日から同年12月31日までの事業年度以降の青色申告承認取消処分、同事業年度の法人税の更正処分及び重加算税賦課決定処分並びに同事業年度の法人特別税の更正処分及び重加算税賦課決定処分をいずれも取り消す。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求主文同旨第2 事案の概要 1 事案の要旨本件は、原告が平成4年12月21日に、海外の子会社に対し25億6000万円を送金し、それを特別損失として確定申告を行ったことについて、麻布税務署長が、同送金は、計画的に外形的体裁を構築して事実を仮装し、海外投資特別損勘定により処理したにすぎないものであるとして、原告の平成4年1月1日から同年12月31日の事業年度(以下「平成4年12月期」という。)以降の法人税の青色申告承認取消処分(以下「本件取消処分」という。)を行うとともに同事業年度における法人税及び法人特別税についてそれぞれ更正処分(以下あわせて「本件各更正処分」という。)及び重加算税賦課決定(以下あわせて「本件各賦課決定」といい、本件各更正処分とあわせて「本件各更正処分等」という。)をしたので、これを違法として上記各処分の取消しを求めるものである。 被告の主張する上記仮装の内容は、原告の属するグループ内の海外法人の中に多額の損失を有する赤字会社があったところ、当該グループにおいてはその損失を原告に負担させようと考え、まず、その前年に原告がグループ内の休眠会社に多額の出資をしてこれを子会社とした上、同社が赤字会社の子会社を不当に高額で買い取った後、原告が自己の上記子会社に対して損失負担金を支出し、あた うと考え、まず、その前年に原告がグループ内の休眠会社に多額の出資をしてこれを子会社とした上、同社が赤字会社の子会社を不当に高額で買い取った後、原告が自己の上記子会社に対して損失負担金を支出し、あたかも原告が親会社としての責任に基づいて損失負担金を支出したごとく仮装したというものである。 2 法規等の定め(1) 国外関連者に対する寄付金の損金不算入ア租税特別措置法66条の5第3項法人が各事業年度において支出した寄付金の額(法人税法第37条第6項に規定する寄付金の額をいい、同条第1項の規定の適用を受けたものを除く。以下この条において同じ。)のうち当該法人に係る国外関連者に対するもの(同法141条第1号から第3号までに掲げる外国法人に該当する国外関連者に対する寄付金の額で当該外国関連者の各事業年度の所得の金額の計算上益金の額に算入されるものを除く。)は、当該法人の各事業年度の所得の金額(同法第102条第1項第1号に規定する所得の金額を含む。)の計算上、損金の額に算入しない。この場合において、当該法人に対する同法第37条の規定の適用については、同条第2項中「前項」とあるのは、「前項及び租税特別措置法66条の5第3項(国外関連者との取引にかかる課税の特例)」とする。 イ青色申告及びその承認取消し(ア) 法人税法121条1項は、内国法人は、納税地の所轄税務署長の承認を受けた場合には、中間申告書、確定申告書及び清算事業年度予納申告書並びにこれらの申告書に係る修正申告書を青色の申告書により提出することができるとする。 (イ) 同法127条は、同法121条1項(青色申告)の承認を受けた内国法人につき次の各号の一に該当する事実がある場合には、納税地の所轄税務署長 により提出することができるとする。 (イ) 同法127条は、同法121条1項(青色申告)の承認を受けた内国法人につき次の各号の一に該当する事実がある場合には、納税地の所轄税務署長は、当該各号に掲げる事業年度までさかのぼって、その承認を取り消すことができる。この場合において、その取消しがあったときは、当該事業年度開始の日以後その内国法人が提出したその承認に係る青色申告書(納付すべき義務が同日前に成立した法人税に係るものは除く。)は、青色申告書以外の申告書とみなすと定め、各号の三として、その事業年度に係る帳簿書類に取引の全部又は一部を隠ぺいし又は仮装して記載し、その他その記載事項の全体についてその真実性を疑うに足りる相当の理由があることとし、同号の事業年度として当該事業年度を掲げる。 (ウ) 同法130条2項は、税務署長は、内国法人の提出した青色申告書に係る法人税の課税標準又は欠損金額の更正をする場合には、その更正に係る国税通則法28条2項(更正通知書の記載事項)に規定する更正通知書にその更正の理由を附記しなければならないとする。 ウ法人特別税(ア) 法人特別税は、我が国の財政の現状にかんがみ、臨時の措置として課税された(法人特別税法1条)ものであり、指定期間内(平成4年4月1日から平成6年3月31日まで、同法2条4号)に終了する事業年度(課税事業年度、同法7条1項)における基準法人税額(法人の法人税の課税標準である各事業年度の所得の金額につき、法人税法その他の法人税の税額の計算に関する法令の規定により計算した法人税の額、同法6条)から400万円を控除した残額を課税標準法人税額として(同法9条2項)、同額に100分の2.5を乗じた金額を法人特別税額として賦課する旨を定めている( 法令の規定により計算した法人税の額、同法6条)から400万円を控除した残額を課税標準法人税額として(同法9条2項)、同額に100分の2.5を乗じた金額を法人特別税額として賦課する旨を定めている(同法10条)。 (イ) 法人が青色申告の承認を受けている場合には、法人特別税申告書についても青色の申告書により提出することができるものとされ(同法15条1項)、同規定による青色の申告書に係る法人特別税については、前記イ(ウ)の法人税法130条2項の規定を準用するものとする(法人特別税法15条2項)。 3 本件各訴えに至る経緯平成4年12月期の法人税の更正処分等に至る経緯は別表1、平成4年12月期の法人特別税の更正処分等に至る経緯は別表2、本件取消処分に至る経緯は別表3記載のとおりであり、これらの計算関係自体については当事者間に争いがない。 4 前提事実(認定根拠を掲記しない事実は当事者間に争いがない。)(1) 当事者原告は、平成4年12月期当時、東京都港区α2番39号に本店を置き貿易及び機械製造業を営む法人であった。原告の商号は、平成4年3月31日まではガデリウス株式会社であったが、同年4月1日以降はエービービー・ガデリウス株式会社に、平成7年4月13日以降はエービービー株式会社に、平成11年8月1日以降はエービービーアルストムパワー株式会社に、平成12年7月1日以降はアルストムパワー株式会社に、平成13年10月1日以降はアルストム株式会社にそれぞれ変更している。 原告は、平成11年6月25日、本店を神戸市β3番4号に移転し、それにより、原告の納税地を所轄する税務署長は麻布税務署長から神戸税務署長となった。 (2) 原告の関連会社原告の親会社は、Gad 6月25日、本店を神戸市β3番4号に移転し、それにより、原告の納税地を所轄する税務署長は麻布税務署長から神戸税務署長となった。 (2) 原告の関連会社原告の親会社は、GadeliusuAB(以下「GAB」という。)であり、原告の祖父会社は、SvenskaFlaltfabrikenAB(以下「フレクト」という。)であり、原告の曾祖父会社は、ABBAseaBrownBoveriLtd(以下「ABB」という。)である。そして、原告の兄弟会社(GABの子会社)として、GadeliusElektoronikAB(以下「GES」という。)がある。 (3) 損失負担金支出に至までの経緯ア原告は、平成3年9月26日、フレクトの子会社で休眠会社であったFlactKontorsserviceiStockholmAktiebolag(資本金5万クローネ)を資本金と同額で買い取って自己の子会社とし、翌27日に同社の商号をGadeliusNordicAB(以下「GNAB」という。)とした。同買収と商号変更は、同年10月22日の原告の取締役会で承認可決された。 イ原告は、平成3年11月1日、太陽神戸三井銀行(当時)霞ヶ関支店から、株式取得代金5万クローネ及び増資払込金4995万クローネの合計5000万クローネ(10億6000万円)を、SKANDI-NAVISKAENSKILDABANKENのGNABの口座(以下「本件GNAB口座」という。)に送金した。 ウ原告は、同年12月3日、GNABと貸付金額5億円とする金銭消費貸借契約を締結し、同日同契約に基づき2225万1891.42クローネ(5億円)を三菱銀行(当時)新橋支店から本件GNAB口座に送金した。 月3日、GNABと貸付金額5億円とする金銭消費貸借契約を締結し、同日同契約に基づき2225万1891.42クローネ(5億円)を三菱銀行(当時)新橋支店から本件GNAB口座に送金した。 エ GNABは、同月10日に、GESの子会社であるGadeliusTelecomAB(以下「GTS」という。)、TH:SElektronikAB(Sweden)(以下「GTHS」という。)、GadeliusOY(Finland)(以下「GFI」という。)、GadeliusElektronikA/S(Norway)(以下「GNO」という。)、GadeliusTelecomA/S(Denmark)(以下「GDK」という。)、GadeliusTahonikOy(Finland)(以下「GTHF」という。)の6社(以下「本件子会社6社」という。)をGESから簿価の3479万9000クローネで買収した。 オ GESは、同日、1450万クローネをGTSへ送金するなど本件子会社に合計2600万クローネを送金し、本件各子会社のへのコントリビューションとして処理し、各社の損失補填に充てた。 カ GNABは、同月13日、THSの子会社(GESの孫会社)であるTahonikA/S(Norway)(以下「GTHN」)、GadeliusDataSystemAB(Sweden)(以下「GDS」という。)の2社(以下、本件子会社6社と併せて「本件子会社8社」という。)をTHSから簿価の142万5000クローネで買収した。 キ GNABは、同月20日、GESがGTHSの株式を旧株式から取得した際に、旧株主に支払を約束した利益の分配金(GNABがGTHS株式を購入する前にGESとGTHSの旧株主との間でGTHSの利益の キ GNABは、同月20日、GESがGTHSの株式を旧株式から取得した際に、旧株主に支払を約束した利益の分配金(GNABがGTHS株式を購入する前にGESとGTHSの旧株主との間でGTHSの利益の3分の2を旧株主に支払うことが約束されていたところ、平成元年ないし平成3年分の未払金があった。)794万4000クローネ(約1億7000万円)を負担した。 ク GNABは、平成4年5月から6月にかけて、本件子会社8社のうち5社に、キャピタルインジェクションとして、以下のとおり合計1199万6000クローネ(約2億5000万円)を支払った。 (ア) GFI 225万5000クローネ(イ) GDK 269万6000クローネ(ウ) GTHS 238万2000クローネ(エ) GTHF 66万3000クローネ(オ) GDS 400万0000クローネケ GNABは、クのキャピタルインジェクションの後、本件子会社8社のうちのGTSを除く7社の株式を、同7社の代表者等にほぼ無償で売却した。 コ GNAB及びGTSが平成4年10月末日時点での仮決算を行ったところ、GNABが6205万5000クローネ、GTSが3113万6000クローネ、両者合わせて1億1977万5000クローネの損失を計上した。 サ原告は、同年12月15日、GABとの間で株式売買契約を締結し、GNABの全株式50万株を5000万クローネ(約10億円)で売却した。 シ原告は、同月21日、GNABへ25億6000万円(1億1928万3000クローネ)を送金し、全額を仮 締結し、GNABの全株式50万株を5000万クローネ(約10億円)で売却した。 シ原告は、同月21日、GNABへ25億6000万円(1億1928万3000クローネ)を送金し、全額を仮払金勘定に計上した(以下この金員を「本件損失負担金」という。)。 ス GNABは、翌22日、原告に対し、原告が平成3年12月3日に貸し付けた5億円を返済した。そして、GNABは、従来からの借入金の返済として利息を含めて約10億6000万円を使い、また、新たにGABに対する貸付金として、10億円を送金した。 また、同日、GABは、原告にGNABの売却代金として10億円、借入金の返済として10億円及びその利息として5273万9721円を送金した。 セ原告は、平成4年12月31日、仮払金勘定に計上した25億6000万円について、特別損失勘定に振り替えた。 ソ平成4年度12月期の決算において、GNABは、株式の売却損等7469万9000クローネ(約15億円)、GTSは、5293万7000クローネ、両者合わせて1億2790万6000クローネの損失を計上したが、原告から上記シのキャピタルインジェクション及びABBからの7309万8000クローネのコントリビューションを得た結果、前年繰越損失を控除後のGNABの損益は1億2003万6000クローネとなり、GNABは、1億1003万6000クローネをGABへ配当した。 第3 当事者の主張 1 被告(1) 被告主張の骨子本件損失負担金は、GES及び本件子会社8社の経営が危機的状態にあり、多額の損失及び借入金などの債務が生じていたところ、事業の整理・撤退が必要となり、かかる資金の負担をGESの親会社であるGAB及び祖父会社であるフ GES及び本件子会社8社の経営が危機的状態にあり、多額の損失及び借入金などの債務が生じていたところ、事業の整理・撤退が必要となり、かかる資金の負担をGESの親会社であるGAB及び祖父会社であるフレクトに依頼したがこれに応じないこととなり、グループ内において当時最も資金力を有していた原告が負担することとなった。ところが、原告がこの資金を負担すると、原告は、GESの単なる兄弟会社であり、経済的・社会的にこれを負担し責任を負う立場にないことから、この負担は、国外関連会社に対する寄付金となり、原告の損金とならないことを承知していた。 そこで、本件損失負担金を原告の損金とするために、休眠会社であるGNABを買い取り、これに多額の資金投資・貸付けを行い、GNABを介してこの資金により本件子会社8社を高額で買い取るなどの取引をし、適正な取引であるかのように糊塗するための事業計画・収益予想などの工作を行った上、前記第2、4(3)サないしセのとおりの処理を行ったものである。 したがって、第1に、本件各取引は、原告が本件子会社8社に買収価格に見合う価値がないばかりか最終的には総額1億1203万クローネの損失を受けることを予想した上、その損失を本来負担すべきGESに代わって負担する意図の下に行ったものであり、単なる外国関連会社の寄付金の支出にすぎないにもかかわらず、これを出資、貸付け及び損失負担金として支出したかのように仮装し、その旨の帳簿処理をしたのであるから、課税標準の基礎となる事実を仮装し、かつ、帳簿書類に取引を仮装して記載したものである。また、第2に、本件損失負担金25億6000万円は、先に貸付金及び出資金として送金済の同額の金員をいったん送金した上、全て自己に還流させたものであるところ、先に送金済みの25億6000万円 である。また、第2に、本件損失負担金25億6000万円は、先に貸付金及び出資金として送金済の同額の金員をいったん送金した上、全て自己に還流させたものであるところ、先に送金済みの25億6000万円は、平成4年12月21日の時点で損金に算入することはできないものであったにもかかわらず、これを損金化しようとの動機に基づき再度送金して還流させ、損金経理であるかのように仮装させたものであって、課税標準の基礎となる事実を仮装し、かつ、帳簿書類に取引を仮装して記載したものである。 (2) 書簡と一連の行為ア休眠会社を買収するまでの状況(ア) GESの社長であるP1は、平成3年9月13日、当時の原告の代表取締役であるP2に乙第2号証の書簡(以下「書簡1」という。)を宛てた。書簡1によれば、原告がGESの子会社を買い取るに当たり、その数ヶ月後にこれらの子会社を売却する際、税務上損失として認められる額が最高となるような額で買い取ることを検討していたことが判明する。 (イ) 原告のグループコントローラーの職にあったP3は、同月17日、P1及びP2に乙第3号証(以下「書簡2」という。)の書簡を宛てた。書簡2によれば、GESには、損益計算書上の膨大な損失とフレクトからの多額の借入金の問題があること、GESの損失補填の方策としてGESの子会社の株式を原告が高額で取得することが考えられるが、この方法によると両者が資本系列上のグループ内にあることから、株式の高額取得の理由を我が国の税務当局に説明するために適当な理由、すなわち将来的な収益力・事業計画を備えなければならないこと、子会社の収益力と事業計画は税務当局に高額での株式譲渡の背景を説明することのみを目的として作成することなどを検討していたことが判明する。 わち将来的な収益力・事業計画を備えなければならないこと、子会社の収益力と事業計画は税務当局に高額での株式譲渡の背景を説明することのみを目的として作成することなどを検討していたことが判明する。 (ウ) P3は、同月21日、フレクトの副社長P4及びP2に乙第4号証の書簡(以下「書簡3」という。)を宛てた。書簡3によれば、原告がGESの子会社を買い取り、その後1ないし2ヶ月後にさらに資本投入による損失補填の方法を採ると、関係当局に対する増資の理由説明が不可能であり、さらに翌年に原告が子会社を売却すると、我が国の税務当局が、海外の損失を日本に移転し、原告の利益を圧縮したと判断し、税務上の罰則を科すおそれがあることから、原告がフレクトの休眠会社を取得するか又は新会社を設立して、これに多額の資本投入及び貸し付けをし、この資金を基にGESが負担しているGTHSの旧株主への未払金を払うとともに、新会社がGESの子会社を買い取り、子会社の損失を補填する方法を検討していたことが判明する。 (エ) GESのP5は、同月25日、P3に乙第5号証の書簡(以下「書簡4」という。)を宛てた。書簡4によれば、GESの子会社には多額の損失があり、この損失は、子会社を売却する前にGESがこれを補填する必要があるが、フレクトにはこの資金を提供する意思がなく、原告がこの資金を提供した後、GESが子会社を清算した場合、原告においてこの資金提供が損金として認められるかが問題となること、スウェーデンにおけるGESの子会社の株式の評価について、資本金と非課税引当金から繰延税を差し引いて計算したところで約1500万クローネであることなどを検討していたことが判明する。 (オ) 前記(ア)ないし(エ)の事実及び各書簡並びに前記第2、4(3)アの 当金から繰延税を差し引いて計算したところで約1500万クローネであることなどを検討していたことが判明する。 (オ) 前記(ア)ないし(エ)の事実及び各書簡並びに前記第2、4(3)アの事実を総合して検討すると、以下の事実が認められる。 GES、フレクト及び原告は、GNABを買い取るまでの段階において、GESの膨大な損失及び多額の借入金の処理を基本的問題として、この解決策をさまざまな観点から模索・検討していたが、その検討内容は、資本系列上GESの親会社であるGAB及び祖父会社であるフレクトがその資金手当てをできないことから、原告がGESの子会社を高額で買い取ることによりGESに資金手当てをし、原告はその数ヶ月後に損失が最大となるような額をもって子会社株式を売却し、原告の損金とする税務処理を行うというものであった。 ところが、原告がGESの子会社を高額で取得すると、両者は資本系列上のグループ内にあることから、我が国の税務上意識的に損失を原告に移転したとして、原告に税務上の罰則を課されることをおそれ、これを我が国の税務当局に説明することを目的とした子会社の将来的な収益力の予想・事業計画の作成をする必要があると考え、原告がフレクトの休眠会社を買い取ってこれを介してGES等に資金援助をするという方法を採ることとした。なお、この際には、GESの子会社の多額の損失を補う資金の調達方法、子会社の株式の評価についても検討している。 すなわち、通常の事業投資であれば事前に事業計画を検討し、将来の収益予想を図り、その結果に基づいて投資の可否を決定するのが当然であるところ、原告はGESの子会社を買い取るに当たり、このような事前の検討を全くすることなく、かえって我が国の税務当局向けの事 将来の収益予想を図り、その結果に基づいて投資の可否を決定するのが当然であるところ、原告はGESの子会社を買い取るに当たり、このような事前の検討を全くすることなく、かえって我が国の税務当局向けの事業計画等の文書を作成しようとしていたことが明らかである。 イ GNABの買取り以降本件損失負担金を支出するまでの状況(ア) KPMGピートマーウィック事務所(以下「ピートマーウィック事務所」という。)のP6は、原告の事業管理部長P7に乙第6号証の書簡(以下「書簡5」という。)を宛てた。書簡5によれば、原告は、GNABを買い取りその後の一連の取引により総額1億1200万クローネの損失を被ることを予測し、この損失をそのまま原告の投資損失として計上すると、我が国の税務当局から、当該損失はグループ内取引で生じた損失であり、取得前から予想していたものであるから損金とならないと指摘されると考え、この投資損失について寄付の意図ではなかったことを立証するための証拠書類を準備する必要があると考えたこと、またピートマーウィック事務所は、この損失を損金とすることは困難と承知しながらも、損金とするための工作資料の提供を求めたことが判明する。 (イ) P7は、同年9月14日、ABBのP8に乙第7号証の書簡(以下「書簡6」という。)を宛てた。書簡6によれば、子会社売却による損失を原告の損失とし原告の利益を圧縮する税金効果を最大限にする意向があるが、日本の税務当局がこの損失を原告の損失を認めるとは到底思われないことから、GESの子会社を買い取った時点では正当な価額であったことを立証する必要があり、そのための関連事実をまとめる作業過程に着手したこと、その過程においてピートマーウィック事務所と連絡をとり、資料を同事務所に提出して同事務 い取った時点では正当な価額であったことを立証する必要があり、そのための関連事実をまとめる作業過程に着手したこと、その過程においてピートマーウィック事務所と連絡をとり、資料を同事務所に提出して同事務所から「決定的な」意見を求め、その後は誰かが最終的な戦略を承認・決定する必要があることを検討していることがうかがわれる。 (ウ) AGC-CFC/MHo/NaT/HiL(原告の財務部)は、同年10月12日、P7に乙第8号証の書簡(以下「書簡7」という。)を宛てた。書簡7によれば、原告がGNABへの長期貸付金及び資本投資の計1億2000万クローネについて特別損失として計上する予定であるとし、特別損失1億2000万クローネは、損金とならないと考えていたことが明らかとなる。 (エ) P7は、同年11月23日、P5に乙第9号証の書簡(以下「書簡8」という。)を宛てた。書簡8によれば、原告としては、GNABの損失を手当てするための資金が多額にのぼることを問題としながら、さらにこの時点でGES等の損失補填については、すでに多すぎるほどの問題点が山積していることを指摘していることが明らかとなる。 (オ) P6は、同年12月1日、P7に乙第10号証の書簡(以下「書簡9」という。)を宛てた。書簡9によれば、原告が負担することとしている当該投資損失を正当化するために、我が国の税務当局からの予想される質問に対処するための追加情報を早期に入手し、そして、この損失が原告の損失であることを現実化するために、GNAB株式を無価値で他者に売却せず、同月31日までにGNABを清算する案が提案されたことがうかがわれる。 (カ) P7は、同月4日、ABBのP9に乙第11号証の書簡(以下「書簡10」という。)を宛てた。書簡 売却せず、同月31日までにGNABを清算する案が提案されたことがうかがわれる。 (カ) P7は、同月4日、ABBのP9に乙第11号証の書簡(以下「書簡10」という。)を宛てた。書簡10によれば、ピートマーウィック事務所から提言があり、これに従うと従前の戦略を完全に変更することとなる旨がうかがわれる。 (キ) P6は、同月8日、P7に乙第12号証の書簡(以下「書簡11」という。)を宛てた。書簡11によれば、GNABが存続すると、我が国の税務当局は財務状態が好転する可能性があるとして貸倒損失を認めないと思われるので、GNABを清算すべきであること、原告のGNABへの追加投資(GABから貸付金を移転することによる)は、それがGNABの清算に関連して、原告のGNABへの投資による追加損失に歯止めをかけるためのものであるならば損金として認められる可能性があるが、追加投資が別の関係会社に補償するためのものであれば、貸付金の移転は税務上認められないこと等を検討していたことがうかがわれる。 (ク) 前記(ア)ないし(キ)の各書簡によれば、原告は、GNABを買い取り、その後の一連の取引により総額1億1200万クローネの損失を被ることを予測し、原告の関連会社及び会計事務所は、当該損失を原告の損金とすることは困難であると承知しつつ、これを損金とするための工作資料を収集することとし、右に係る全情報を会計事務所に提出して、同事務所から「決定的な」意見を求め、その後は、誰かが最終的な戦略を承認・決定する必要があるとした。ところが、その過程において原告は、「税務当局に対して大きな問題を抱えていることを忘れつつあり、税務当局が認識する上で、大きな問題となるような構造を構築しつつあるような気がしてならない。GES等の損失補 が、その過程において原告は、「税務当局に対して大きな問題を抱えていることを忘れつつあり、税務当局が認識する上で、大きな問題となるような構造を構築しつつあるような気がしてならない。GES等の損失補填については、すでに多すぎるほどの問題点が山積しており、これらをさらに複雑化することにより、原告の状況が容易になったのではないことは明らかです」とかえりみていたのである。なお、会計事務所からこの損失が原告の損金であることを現実化するために、GNAB株式を無価値で他者に売却せず、平成4年12月31日までにGNABを清算する提案がされ、この提案に従うと従前の戦略を完全に変更することになると考えた。 (ケ) 前記の各書簡に前記第2、4(3)イないしケの事実を総合すれば、GNABを買い取りその後一連の取引による総額1億1200万クローネの損失を原告が負担することとしたが、この損失をそのまま原告の投資損失として計上すると、我が国の税務当局から、当該損失はグループ内取引で生じた損失であり、この損失は取得前から予想できていたものであるから損金とならないと指摘されることを十分予測した上でさまざまな工作を図っていたことが明らかである。 ウ本件損失負担金を支出した後の状況(ア) GNABの損失の内容aGNABは、前記第2、4(3)ソのとおり、平成4年12月期の株式売却損等7469万7000クローネ(約15億円)の特別損失を計上しているが、その内訳は、①本件子会社8社のうちGTSを除く7社の株式の売却損として5204万3000クローネ(約11億1000万円)、②BSAB株式売却損として900万クローネ(約1億9000万円)、③GTS株式評価損として358万クローネ(約8000万円)、④営業休止費用と 5204万3000クローネ(約11億1000万円)、②BSAB株式売却損として900万クローネ(約1億9000万円)、③GTS株式評価損として358万クローネ(約8000万円)、④営業休止費用として1007万4000クローネ(約2億2000万円)である。 (a) ①の関連7社株式売却損について本件子会社のうちのGTSを除く7社への投資総額が5204万3000クローネとなっているところ、この株式を無価値として売却したことによる損失である。 (b) ②のBSAB株式売却損についてⅰ 売却損計上の経緯GESは、平成3年前半までSCABとの取引商品について不良在庫を抱え、さらに同社との契約による一定量の発注義務を負っていた。そこで、この解決策として、GESはSCABとの取引の契約条件の任意の取消し・変更のための交渉を行い、両者の法律上の関係を変更することに合意していた。 そこで、両者は、平成3年10月1日、前記合意について次の内容を含む契約書をかわした(乙14号証の訳文4ないし7頁)① GESは、平成3年10月1日に2400万クローネをSCABに支払う。 ② 両社各50%の出資による合弁会社を設立する。設立に際し、GESは600万クローネを現金で、400万クローネを商品で提供する。SCABは、両者で新たに締結する契約に従って独占販売権を付与することにより、1000万クローネを提供する。 ③ GESが平成3年12月1日までに②の資本を提供しなかった場合には、SCABは、特約店契約の 従って独占販売権を付与することにより、1000万クローネを提供する。 ③ GESが平成3年12月1日までに②の資本を提供しなかった場合には、SCABは、特約店契約の対象となっている商品を新しい販売会社で意図したテリトリーである北欧諸国で自らマーケティングと販売を開始する権利を有し、GESがその時点で有する商品の在庫を販売する権利は直ちに終結する。 右契約に基づき、GESは、SCABに①の2400万クローネを支払ったが、②による合弁会社は設立されなかった。しかし、これに代えて、同年12月16日、GNABは、SCABの100%出資の子会社であるBEABと共同出資をして、BSABを設立した。 BSABは、平成3年12月16日、GNABが600万クローネを現金で、400万クローネをGESから取得した商品で提供し、BEABは、100万クローネを金銭等の経済的出資ではなく技術で提供することとして設立されたものである。 その後、GNABは、平成4年9月1日、BSABの出資持分のすべてをBEABに100万クローネで売却し、900万クローネの株式売却損を平成4年12月期に計上した。 ⅱ 売却損にかかる評価そもそもBSABの設立は、将来に向けた通常の事業投資ではなく、GES及びSCABの契約解除のための義務であり条件とみなされるべきものであった。このことは、BSABの設立の約2ヶ月後である平成4年2月6日にGESの社長P1ほか2名によりBSAB設立の趣旨が上記のものであることが確認されている(乙第15号証の訳文1頁の10及び11行目)ことから明らかである。 の約2ヶ月後である平成4年2月6日にGESの社長P1ほか2名によりBSAB設立の趣旨が上記のものであることが確認されている(乙第15号証の訳文1頁の10及び11行目)ことから明らかである。 すなわち、GNABは、GESがSCABに負っている契約解除のための解決金をGESに代わってBSAB設立・投資という仮装の行為を作り上げることにより支出したものであり、このことは何らの経済的合理性がないにもかかわらずされたものであることが認められる。 (c) ③のGTS株式評価損についてGTSへの投資が412万1000クローネと計上されているところ、54万1000クローネと評価して差額の358万クローネを評価損として計上したものである。 b そして、本件損失負担金25億6000万円は、GNABに対し、名目上は増資資金及び事務所経費として送金されているが、それらはいずれも単に名目的なものにすぎず、実際には、原告、ABBスイス及びABBスウェーデンの責任者によって平成4年8月ころに開かれたミーティングにおいてGNABの累積欠損を原告が負担する旨の合意に基づいて支払われたものであり、GNABの損失と本件損失負担金とは密接に関連している。 (イ) P7は、平成5年1月12日、ABBのP10他に、乙第13号証の書簡(以下「書簡12」という。)を宛てた。書簡12によれば、原告はGNABを買い取った後の一連の取引により、平成4年末において総額2090万米ドルの損失が生じるという複雑な税務問題を抱えており、これを特別損失として計上していること、我が国の国税当局はこれを否認すると思われ、この金額の申告について悩んでおり、損金計上しないと少なくとも、 ドルの損失が生じるという複雑な税務問題を抱えており、これを特別損失として計上していること、我が国の国税当局はこれを否認すると思われ、この金額の申告について悩んでおり、損金計上しないと少なくとも、名目上何も得られないとして苦慮していることがうかがわれる。 (ウ) 前記(イ)の書簡及び前記第2、4(3)クないしスによれば、原告は、本件損失負担金25億6000万円を損金計上したが、これについては我が国の税務上複雑な問題を抱えており、税務当局はこの損失を否認すると考えつつ、GABにGNAB株式を簿価の10億円で売却した。一方、GNABは、原告から受領した本件損失負担金25億6000万円について、受領直後にGABに20億5273万9721円を、原告に5億0783万8114円をそれぞれ送金し、GES及びその子会社の事業の整理撤退が終了したことから、原告は、GNABへの送金額を特別損失として計上した。また、GABは、GNABから受領した右20億5273万9721円を受領と同時に原告への借入金の返済及びGNAB株式購入代金として送金したと認められる。 エ小括各書簡の内容を総合すれば、原告の行った一連の行為は、休眠会社を買い取った上で、当該休眠会社に業績不振の兄弟会社の子会社を高額で買収させ(買収前にGESが損失を補填したかどうかはともかくとして)、損失補填を行った後、当該休眠会社を低価格で売却するというものである。そして、原告及び関連会社の幹部並びに監査法人の間でやりとりされた書簡1ないし12は、大筋において事実とよく符合することが認められ、かつ、それらの行為が、買い取った休眠会社の売却という行為を含めて僅か1年ほどの間に行われていることが認められる以上、その意図が一連の書簡の意図する本来GESが負 事実とよく符合することが認められ、かつ、それらの行為が、買い取った休眠会社の売却という行為を含めて僅か1年ほどの間に行われていることが認められる以上、その意図が一連の書簡の意図する本来GESが負担する損失を原告が補填することであると判断するのは至極当然なことである。 いやしくも、これらの現行の企業グループの幹部及び監査法人が、実現もしない単なるアイデアにすぎないような事柄について、このような長期にわたって検討を重ねていったものとは到底考えられない。 そして、一連の行為の中心的存在ともいうべきGNABは、①同社の平成3年及び平成4年の「請求済売上高」が0であり、事業活動はしていないこと並びに②同社の経営担当取締役が書簡4の発信人及び書簡8の受信人であるGESのP5であり、また、同社の税務申告書の署名欄に同人と並んで書簡1の発信者であるGESのP1の名前もみられるとおり、当該一連の行為の関係者により運営されていること、さらに、③本件子会社8社のうちGTSを除いた7社を取得後半年余りのわずかな期間で無償に近い金額で売却していることを合わせ考えると、原告がGNABを通した本件子会社8社の健全な事業経営を目指していたとは考えられず、むしろGNABが本件子会社8社の株式を取得した当初から引き継いだ本件子会社8社の事業を整理することを目的としていたにすぎないものと考えるのが自然であるのであって、我が国からの資金援助の窓口及び本件損失負担金の支出先として利用する以外の必然性は見い出し難く、原告は当初GESに対する資金援助を意図していたところ、スウェーデンのコントリビューション制度(親子会社間の損益通算制度)を利用しようとする場合、スウェーデン法人ではない原告が直接資金援助したのでは制度の対象とならないが、スウェーデ 図していたところ、スウェーデンのコントリビューション制度(親子会社間の損益通算制度)を利用しようとする場合、スウェーデン法人ではない原告が直接資金援助したのでは制度の対象とならないが、スウェーデン法人であるならば事業会社でなくともその対象となるから、GNABにGES等の損失を終結させれば個々の子会社等に発生した損失事由との関係が薄くなるとともに損失額も多額になり、税務当局に対する説明が容易になることや、GNABを介して資金を注入すれば、個々の子会社に資金を直接注入するよりも資金の流れを曖昧にできるというメリットがあることも十分考慮していたものであって、GNABを実体のある通常の法人とみることはできず、原告のダミー法人であると認められ、同社の行う行為は、原告の意のままにされた行為であると認められる。 そうすると、原告は、関係当事者の合意の下に、実体のないGNABを子会社として当該一連の行為を実行させ、スウェーデン税法上のコントリビューション制度(親子会社間の損益通算制度)を利用するためのダミー法人として利用し、最終的には子会社とした同社の行為を原告自身の行為として、同社の負担したとする損失25億6000万円を自らの損失としようとしたものというほかない。 (3) 資金還流による仮装についてア原告のGNABに対する出資金及び貸付金並びにGABに対する貸付金が、平成4年末の時点において、それ自体損失処理できないものであったこと(ア) まず、株式の評価損を損金に算入し得るか否かについては、法人税法33条1項は、これを原則として禁じつつ、同条2項で例外的に損金算入を許す場合を定めている。これを受けて、同法施行令68条、法人税基本通達(以下「法基通」という。)9-1-9、9-1-10等に具体的 33条1項は、これを原則として禁じつつ、同条2項で例外的に損金算入を許す場合を定めている。これを受けて、同法施行令68条、法人税基本通達(以下「法基通」という。)9-1-9、9-1-10等に具体的基準が定められている。これらによると、GNAB株式の消却損を損金に算入し得るか否かは、平成4年末の時点において、その価額が帳簿価額の概ね50パーセント相当額を下回ることとなり、かつ、近い将来その価額の回復が見込まれない状況であったか否かによることとなる。 GNABの純資産額は、当初を大幅に下回っているものの、GNABが依然として1億0944万クローネの資産を有していることからすると、同社の資産状態が著しく悪化したといえるかには疑問があり、たとえ資産状態が帳簿価額の50パーセントを下回っていても、新設法人において営業の1年目に赤字になったからといって、その状態が継続するものとはいえず、近い将来にその回復が見込まれないとの要件に該当しない。 したがって、原告は、GNABへの出資金自体を平成4年末の時点で消却して損金処理することはできない状態であった。 (イ) 貸付金につき貸倒損失として損金算入しうるか否かは、法基通9-6-1及び9-6-2が定めているところであるが、いずれにしても全額回収不能の状態が生じていることが必要とされているところである。しかし、GABについては、そのような状況が生じないことはもちろん、GNABについて債務超過状態ではあるものの貸金全額の回収が不能であったとは認め難いから、両社の貸付金を平成4年末の時点で貸倒損失として損金処理することはできなかったといわざるを得ない。 また、GNABに対する貸付金については、子会社等を整理する場合の損失負担金に関 の貸付金を平成4年末の時点で貸倒損失として損金処理することはできなかったといわざるを得ない。 また、GNABに対する貸付金については、子会社等を整理する場合の損失負担金に関する法基通9-4-1の適用が問題となるが、前記(2)で主張した諸事情に照らすと、原告がこの貸付金を放棄することは、同通達にいう「やむを得ず、その負担又は放棄するに至った」ものとはいえず、損金の額には算入されない。 イ本件損失負担金の寄付金該当性原告は本件損失負担金は法基通9-4-1の適用により損金と認められるべき旨主張する。しかし、同通達にいう「やむを得ず」、「相当の理由」との要件は、事業関連性、直接性、明白性及び非裁量性の要件を示すものであるところ、本件損失負担金については、次に述べる諸事情からしてこれらの要件を満たすものではない。 (ア) 「子会社等の解散、経営権の譲渡等」(子会社からの撤退)について、原告は、GNABの株式を売却したものの、売却先は原告の親会社であるGABであり、GNABは現在も原告と同じグループの法人として存在しているのであるから、実質的にみれば、本件損失負担金の支出が子会社からの撤退に伴って行われたものであるとはいえない。 当該譲渡は、原告とGABが同一グループに属する別法人であることを利用して、法基通9-4-1の適用を受けるために、子会社の経営権を譲渡したという形式を整えたものにすぎず、そもそも法基通9-4-1の適用外である。 この点、原告は、GNABは、GABの完全子会社となったことによってスウェーデン法人となり、ABBよりコントリビューションを受けられるようになったのであるから、原告からGABへの譲渡には意味がある旨主張する 原告は、GNABは、GABの完全子会社となったことによってスウェーデン法人となり、ABBよりコントリビューションを受けられるようになったのであるから、原告からGABへの譲渡には意味がある旨主張する。 しかしながら、GNABがそもそも実体のない休眠会社であり、譲渡時も休業中であったことからすれば、GABにとって、GNABを取得しなければならない理由はない。原告は、欧州には休眠会社が多数存在し、休眠会社の売買は日常茶飯事であると主張するものであるから、GNABも休眠会社としておけば足りたはずである。 このように、原告及びGABが、GNABを休眠会社とする最も簡便な方法を採らなかったことは非裁量性の要件を欠くことになるし、わざわざ原告にGNABの損失補填をさせ、これを取得するという迂遠な方法を選択したのは、原告に税務上の損失を発生させること及び資金循環によりGABの原告に対する借入金を消滅させる目的であったと推認され、事業関連性の要件も満たさないというべきである。 (イ) 「その損失負担等をしなければ今後より大きな損失を蒙ること」については、本件損失負担金の支出時において、既に本件子会社7社は売却され、GTSは休業状態であったのであり、このような状況において、原告に将来いかなる損失が発生する見通しであったか不明である。 むしろ、P6からP7に宛てた書簡11に、「原告のGNABへの追加投資は、もしそれがGNABの清算に関連して、GNABへの投資による追加投資に歯止めをかけるためのものであるならば、正当化されるかもしれません。しかし、追加投資が別の関係会社に補償するためのものであれば、貸付金の移転は税務上認められない」と記載されていること等からすれば、本件損失負担金の ためのものであるならば、正当化されるかもしれません。しかし、追加投資が別の関係会社に補償するためのものであれば、貸付金の移転は税務上認められない」と記載されていること等からすれば、本件損失負担金の支出は、我が国の税務対策のために安易格好の手段として行われたものであって、将来のより大きな損失を避けるため、やむを得ずとった処置とは考えられない。 (ウ) さらに、原告は、グループ会社の金融機関であるトレジャリーセンターがGNABに対し約10億6000万円の債権を有していたと主張するところ、GNABの損失負担に際して、原告とトレジャリーセンターとの間で、合理的な再建計画が策定されていたことはないし、原告のみがGNABの債務全てを負担し、しかも、その中にはGNABのトレジャリーセンターに対する約10億6000万円の債務も含まれていたのであって、このような損失負担が「やむを得ず」行われたものとは到底いえないし、これについて「相当な理由」があるともいえない。 なお、トレジャリーセンターとの協議の有無について、原告の税務担当者であるP11は、各種協議を行っていたと述べるが、これによっても原告が単独でGNABの損失を負担しなければならない理由はないし、その後に交わされた書簡に、特別損失が1億2000万クローネとなり税金の控除の対象とはならないこと(書簡7)、GNABの全損失は、いかなる状況においても原告が支払うものであること(書簡8)、GNABへの投資の償却にかかる損失を現実化するためにはGNABを売却するよりも清算することを推奨すること(書簡9)などが記載されていることからすれば、原告を含むグループ内で行われた各種協議は、損失負担割合等を決定するためのものではなく、原告の損失負担にかかる租税回避行為が我が国の課税 を推奨すること(書簡9)などが記載されていることからすれば、原告を含むグループ内で行われた各種協議は、損失負担割合等を決定するためのものではなく、原告の損失負担にかかる租税回避行為が我が国の課税庁に否認されないことを目的としたものであったことは明らかである。 (エ) 原告は、GNABをそのまま放置すれば、スウェーデン商法に定める強制解散に至ることは必至であり、解散命令を受けた会社の親会社はもとより、その企業グループに属する全ての会社が世間的評価を失墜することになるにつながると主張する。 しかし、原告がその根拠として提出したABBグループの顧問弁護士の意見書によれば、子会社が強制解散させられた場合、「グループ会社が拘束されているという事実により強制的な法的規制が課せられることはありません。」と述べられており、子会社の強制解散により何らかの法的規制や制裁が発生しないことは明らかである。 また、社会的信頼失墜についても「弁護士がそれに付き意見を表明すべきことではありません。」と前置きしつつ、スウェーデンに限られない一般論が述べられているにすぎず、子会社が強制解散させられた場合には、我が国において子会社が倒産した場合より大きな社会的失墜を招くということをいうものではない。 さらに、そもそも、上記意見書は、ABBグループの顧問弁護士の手によるものであり、この程度の証拠によって、法規通9-4-1及び寄付金非該当の要件である非裁量性を基礎付けることは到底できない。 ウ小括以上のとおり、本件損失負担金の支出が法基通9-4-1及び寄付金非該当の要件を満たす旨の立証は全く不十分といわざるを得ず、本件損失負担金は寄付金に該当するし、原告は、当初 小括以上のとおり、本件損失負担金の支出が法基通9-4-1及び寄付金非該当の要件を満たす旨の立証は全く不十分といわざるを得ず、本件損失負担金は寄付金に該当するし、原告は、当初送金分25億6000万円が平成4年12月2日の時点で損金の額に算入できなかったことから、本件損失負担金を再度送金、還流させ、これが損金経理できるかのごとく仮装したものにほかならない。 (4) 法人税法127条1項3号の事由の存在ア法人税法127条1項3号にいう隠ぺい・仮装の意義は、重加算税の場合のそれと同義であると解されるところ、最高裁判所平成7年4月28日判決の判示によれば、過少申告の意図を実現するための特段の行動があり、その行動によってその意図が外部からもうかがい得るような場合には、隠ぺい仮装と評価すべき行為が存在するものとして重加算税の賦課要件が満たされるものであって、法人税法127条1項3号の適用に当たっても、過少申告の意図を実現するための特段行動があり、その行動によってその意図が外部からもうかがい得るような場合には、当該行動をもって隠ぺい・仮装と評価することができ、これが帳簿上に記載されていれば、同号の要件を満たすのであり、帳簿書類に記載された行為の私法上の効力の有無は問題とならないというべきである。また、法人税法127条1項3号後段である「記載事項の全体についてその真実性を疑うに足りる相当の理由がある」というのは、仮に隠ぺい・仮装が認められなくても、帳簿の随所に脱漏や過誤があるなど、帳簿全体が信頼性に欠ける場合を意味するものと解される。 したがって、法人が私法上の効力までは否定することができない取引行為をした場合、当該法人がその帳簿書類に当該行為に即した記載をしたとしても、それが真実の経済的実 るものと解される。 したがって、法人が私法上の効力までは否定することができない取引行為をした場合、当該法人がその帳簿書類に当該行為に即した記載をしたとしても、それが真実の経済的実質を反映していない限りにおいては、仮装たるを免れず、法人税法127条1項3号に該当する行為といえる。 イそして、租税回避の目的のために形を変え課税要件事実を充足させないような行為については、租税回避のスキームであることを踏まえ、その外形よりは、経済的実質に着目すべきであり、本件一連の取引を全体として把握した場合における取引の動機・目的、取引に至る経緯や取引の前後の経済的効果等が重要な要素として勘案されるべきであり、本件において、原告は、兄弟会社GESが本来負担すべき費用を肩代わりした場合、本件一連の行為が行われていなければ原告に租税特別措置法66条の4により課税関係が生じるところ、原告の税負担を回避ないし軽減するために、グループ内企業内における資金の移転や企業の譲渡が融通無碍になし得ることを利用し考案した一連の取引を実行し、帳簿書類にその事実を記帳して法基通9-4-1に合致させ、課税要件の充足を免れたものであり、「法人税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)」(以下「事務運営指針」という。)第1賦課基準の1(2)②の「帳簿書類の改ざん(偽造及び変造を含む。以下同じ。)、帳簿書類への虚偽記載、相手方との通謀により虚偽の証ひょう書類の作成、帳簿書類の意図的な集計違算その他の方法により仮装の処理を行っていること」に該当する。 2 原告(1) 本件損失負担金の寄付金該当性ア原告の行為計算が正当であること(ア) 原告がGNABを立ち上げた経緯原告の兄弟会社GESグルー (1) 本件損失負担金の寄付金該当性ア原告の行為計算が正当であること(ア) 原告がGNABを立ち上げた経緯原告の兄弟会社GESグループは、三菱電機株式会社の移動電話機など電子機器を輸入し販売する等の北欧における事業展開を行っていた。GESグループの北欧事業は昭和63年までは順調かつ好調であったが、平成元年に新規に取扱いを始めた商品が不成功に終わり、また、三菱電機製の移動電話機の販売実績も形式の陳腐化などにより利益が上がらなくなり、さらに、北欧地域の経済事情悪化のため業況は急速に悪化に転じた。このような状況からガデリウスグループは、平成3年6月の時点において、事業の再編を迫られることになった。 グループでは各社の事業内容を洗い直し、選別再編し、不採算部門は切り捨て、採算に合う部門を残すことを求められ、原告は、移動電話機について、三菱電機と苦境打開のための協議を重ねていたため、グループ再編構想の中で原告による北欧事業投資が行われることとなった。同時に不採算部門は切り捨てられ、移動電話、電子機器部品、データ周辺機器等は将来利益を上げる可能性のある事業として残され、現に生じている損失については親会社であるGESにおいて損失を補填し、新たに原告がGNABを立ち上げ、これに集約させることとしたのである。 そこで、当時の多くのエコノミストの経済予測では、当時はすでに景気の底であり、景気の先行きは必ず持ち直すとの見通しであり、また、三菱電機の画期的な小型移動電話機器が、平成3年末遅くとも平成4年に入って間もなく市場に投入されると聞いていたことから、原告は、以下の条件でその要請に沿うべく企画を立てた。 ① 原告は、GESグループ 移動電話機器が、平成3年末遅くとも平成4年に入って間もなく市場に投入されると聞いていたことから、原告は、以下の条件でその要請に沿うべく企画を立てた。 ① 原告は、GESグループの親会社となる。親会社として利益を享受することもあるし、逆にリスクを負うこともある。 ② GESグループ8社について、それぞれ展開している事業部門を分析し、収益の上がる見込みのない事業部門は切り捨ててGESの下に残すこととし、有望と思われる事業部門のみを抽出し、原告がこれを買収する。 ③ 8社の買収価格はGESの簿価とする。ただし、その簿価が正当な取引価格を下回っている場合は、GESはその差額をグループコントリビューションにより各社に提供する。 以上の条件がすべて満たされたため、原告は、GESの子会社6社及び孫会社2社の合計8社のうち有望事業部門のみを買収したものである。その際は、次に述べる手法によった。 ① 原告は、スウェーデンにおける休眠会社の買収をし、これを社名変更し、さらに増資資金として10億6000万円を出資提供し、これをGNABとして子会社とする。そして、同社に5億円を貸し付け、合計15億6000万円の資金を提供し、これをもってGNABは8社の株式を取得し、GNABを通じ原告の支配下においた。 ② 原告が、スウェーデンに所在する管理統括持株会社GNABによるGESの子会社に対する間接支配の手段を取ることにより、スウェーデン税制、すなわち同国のグループ内の損益通算を認める規定によってグループ間の損益通算が利用可能となった。 このようにして、スウェーデンにおける事業を再編し、平成3年11月1日に発足した原告の子会社GN ループ内の損益通算を認める規定によってグループ間の損益通算が利用可能となった。 このようにして、スウェーデンにおける事業を再編し、平成3年11月1日に発足した原告の子会社GNABは、8社の子会社を実働部隊として事業を開始し、平成3年11月1日から平成3年12月31日までの財務諸表(甲第12号証)が作成されており、それは、この2ヶ月間の事業展開の結果であるといえる。また、平成4年から6年までの事業計画書(甲第13号証)が三菱電機の主導で作成され、実行予算を組み(甲第14号証)、それを基にして北欧地域における統括会社として、事業展開を行うこととなっていた(被告は、GNABが事業活動をしていない点をとらえてダミー会社と呼んでいるが、これは、持株会社制度が十分に導入されていなかった我が国の当時の感覚を示すものである。欧州各国においては、持株会社は事業運営上必須の方便として広く用いられており、原告は、GNABを欧州におけるガデリウスグループのスウェーデンでの拠点と位置づけ、それなりの責務を負わせて会社の運営を行っていたものであって、GNABを指して実体のないものと断定するのは被告の甚だしい誤解・誤認といわざるを得ない。)。 つまり、ガデリウスグループにおける事業の再編は、平成4年前半は、ほぼ収支見合いで、後半は大いに利益を上げるという図式で成り立っていた。 (イ) GESの子会社8社に対する損失補填及びその買入価格aGESが本件子会社8社に対して行った損失補填GESは、子会社を売却するに当たり2600万クローネの損失補填を行っているが、これはGNABとGESの間で合意されたものである。GESがこの金額を了承したのは、GESの子会社は平成2年末 GESは、子会社を売却するに当たり2600万クローネの損失補填を行っているが、これはGNABとGESの間で合意されたものである。GESがこの金額を了承したのは、GESの子会社は平成2年末までは業績が順調であり、各社にかなりの内部留保があったものの、スウェーデン経済が暴落し、急激な不況が進行したため、平成3年(1991年1月から12月まで)の予想損失について、同年11月20日ころその額を推定し、これが2600万クローネであったため、その額の填補を行ったものである。 GESは、2600万クローネを子会社に填補してからGNABに簿価で売却したわけであるから、結局のところ、簿価から2600万クローネ値引きして売却したのと同じことである。 b 本件子会社8社のGNABの取得が高額買取りでないこと株式の価格は、企業の純資産価額と連動して動くものではなく、その決定要因は企業の将来性の予想に基づいてされるものである。また、株価の評価は特定の価格というよりも合理的な範囲の幅に含まれる価額というべきであり、常に相対的な評価額というべきものである。この観点からすれば、本件子会社8社の株式の評価額は合理的な範囲に含まれ、適正な評価額といえるものである。 平成3年11月22日に、本件子会社6社の売却条件が合意されたが、この合意によれば、売買の金額は一応GESの簿価とし、ただし、その簿価は平成3年度の子会社に発生した損失をGESが補填して適正とみなされる価額まで復元したものをGNABに買い取らせるというものである。すなわち、ガデリウスグループ相互間では、株式移転は売買時の簿価で行うという制約があるため、GESの子会社の株式の簿価を減額して買い取ることをせずに、 たものをGNABに買い取らせるというものである。すなわち、ガデリウスグループ相互間では、株式移転は売買時の簿価で行うという制約があるため、GESの子会社の株式の簿価を減額して買い取ることをせずに、GESが損失を補填することで問題を解決したのである。加えて子会社8社の株式評価についての会計処理は、会計士検査(甲第12号証)によって、正当性を承認されている。 c 原告が負担すべき損失であったこと本件損失負担金は、GNABが強制解散の規定に抵触することを避けるために法人税基本通達9-4-1による損失負担として支出したものである。 (a) GNABが損失を被るに至った経緯GNABグループは再編時のもくろみに反して、平成4年夏ごろまでの短期間に多額の損失が見込まれることとなった。すなわち、他社の移動電話が北欧市場を席巻し、性能面で到底及びも付かず、加えて、北欧特にスウェーデン経済が大混乱に陥り、原告が本腰を入れて取り組んだ北欧事業は壊滅的な打撃を受けることとなった。そして、三菱との合弁計画も失敗に帰した。同年5月から6月にかけて、スウェーデンの電話通信部門の在庫品及び設備を三菱に売却したものの、平成4年10月31日の仮決算時においては、25億6000万円(1億1977万クローネ)の欠損金を計上せざるを得ない状況に陥った。 その結果、平成4年10月の時点で、GNABは、そのまま推移すれば損失がますます拡大するおそれが生じ、結局GNABを整理することがそれらを回避する最善の措置であると判断され、GNAB及びその子会社GTSの整理を行うこととしたものである。 すなわち、スウェーデン商法は、会社の純資 Bを整理することがそれらを回避する最善の措置であると判断され、GNAB及びその子会社GTSの整理を行うこととしたものである。 すなわち、スウェーデン商法は、会社の純資産が払込資本金の半分以下になって猶予期間内に回復しない場合には、強制解散の規定が適用されることとなり、これを避ける方法としてキャピタルインジェクションを行うのが通常であるから、原告もまたこれによってGNABの強制解散を回避した上、最終的にはGNABをGABに譲渡することで整理を終結した。 そこで、原告は、GNABが平成4年10月31日当時において行った仮決算に基づき、その際に計上された損失予想額である25億6000万円を子会社等の整理について負担する損失として支出し、平成4年12月期の損金としたものである。 (b) ABBトレジャリーセンターに対する債務弁済本件損失負担金の使途は、第2、4(3)ス記載のとおりであるが、GNABが返済した10億6000万円は、GTSがABBグループの金融部門であるABBトレジャリーセンターから借り入れたものであり、GTSがGNABの子会社となったことから、GNABグループの負担となったものである。 GNABのトレジャリーセンターに対する10億6000万円の借入金の返済について、原告が損失を負担したことについては、ABBグループ内の法人であるとはいえ、別法人であり、GNAB設立時にGTSを買収した当時からGTSがすでに負担していた債務であるから、損失負担として親会社である原告が弁済しなければならないことは当然である。なぜならGNABを立ち上げ、それによって獲得される利益は100%原告が取得するが、その反対 すでに負担していた債務であるから、損失負担として親会社である原告が弁済しなければならないことは当然である。なぜならGNABを立ち上げ、それによって獲得される利益は100%原告が取得するが、その反対にリスクは負わないということは許されるべくもないからである。GTSは、借入金もあったが、買収時には借入金に見合う資産をもっていたのであるから、高価買入れとの批判も当たらない。 (c) SCABについてGESは、SCABとの間で、代理店取引契約の解除のための合意書の条件として2400万クローネを支払うこととなっており、GESはこれを自ら支払った。また、その合意書の中で合弁会社設立に関する権利を留保していたが、GESにおいてその権利を行使するか否かは全く自由であった。GESは子会社設立による事業継続は行わず、その権利をGNABに委ねた。 GNABは、SCABの電信事業部門が有望であると考え、合弁会社BSABの設立に参加した。GNABの出資は1000万クローネ(現金600万クローネ、商品400万クローネ)で、GNABは、こうしてBSABの共同経営に乗り出したのであるが、結局、スウェーデンの経済大恐慌に見舞われ、GNABとしては、そのまま経営に引き込まれていては損害が重なるだけであると判断し、その出資権1000万クローネを100万クローネで共同出資者であるBEABに譲渡せざるを得ないこととなり、900万クローネの損切りをした。 GESの契約解除料2400万クローネは、GESの支払義務の履行であり、BEABとの合弁会社による損切りはGNABの負担すべき損失であった。したがって、GNABは、GESの損失を負担したものではない。 イ 400万クローネは、GESの支払義務の履行であり、BEABとの合弁会社による損切りはGNABの負担すべき損失であった。したがって、GNABは、GESの損失を負担したものではない。 イ書簡について書簡1ないし11は、被告が原告の神戸支店を調査した際に収集したものであるが、これらの文書は社内秘扱いの極秘文書でもなく、また、拘束性のある会議文書でもない、単なる電話代わりに取り交わした文書の集積にすぎないファックス文書の一部である。そのような私文書には単なるアイデアや意見もあるであろうし、社としてこれを取り上げる資料とはし得ないものである。 (ア) 書簡1ないし書簡4これらの書面は、いずれも被告主張を裏付ける証拠たり得ないものである。書簡1は平成3年9月13日、書簡2は同年9月17日、書簡3は同年9月25日、書簡4が同年9月25日付けであり、P1、P3、P5らの間で取り交わされたものであるが、北欧事業において生じつつあったABBグループの営業損を如何に処理し、再度北欧事業を活性化させるかの意見交換に関する書面にすぎず、特に書簡1及び2は受取人の賛成が得られず、その内容は全く採用されなかったのであり、その後書簡3、4により徐々に意見が集約されたものの、それらも採用に至らず、これらの意見交換の結果、甲第7号証に示されている結論をみたというべきである。 (イ) 書簡5、書簡9及び書簡11これらは、平成4年8月当時原告に財務担当職員として赴任してきたP7とP6との間で取り交わされた書簡であるが、P7は、その直前までABBグループ内でサウジアラビアにある会社の責任者であった。前記各書簡が作成された当時、P7は赴任直後で、原告会社の経理状況・財務内 7とP6との間で取り交わされた書簡であるが、P7は、その直前までABBグループ内でサウジアラビアにある会社の責任者であった。前記各書簡が作成された当時、P7は赴任直後で、原告会社の経理状況・財務内容に対する理解が十分ではなかったし、加えてGNABに関する資料はスウェーデンにあり、その資料のうちどの部分を送付するかについても意見の齟齬をきたすことが多く、P6も多いに苦労していた。P7としても、前後の事情がよくわからない間に取り交わされた文書である。 また、被告は、書簡5にもとづき、P6が既に損金として処理すべきでないものであるとの認識を持ちながら、損金を装うための工作をしようとしていたかのように主張するが、同書簡の文面からは少なくともそのように理解することはできず、むしろ、P6は、適切な資料がなければ損金とはみなされないとの専門家として当然の意見を述べているにすぎない。 (ウ) 書簡6ないし書簡8、書簡10、書簡12a 書簡6P7は、当時(平成4年8月)、原告の財務・経理状況がよくわからず、GNABの北欧事業での損失に関し、いかに経理処理するかについて、P6や経理担当者からの度重なる状況の説明の要請や資料の提出に苦労を重ねており、そのような状況を報告し、今後の方針について承認を受けようとしたのが本書面である。 「日本の税務当局が、我々のコストを税務上許される費用と認めるとは到底思われません」というのは、説明資料が不足している状況を前提として、ABB本部や原告会社の上層部に問題の提起と注意の喚起を行ったにすぎない。 b 書簡7原告がGNABを立ち上げ、引き受けた後、同社について生じた北 て、ABB本部や原告会社の上層部に問題の提起と注意の喚起を行ったにすぎない。 b 書簡7原告がGNABを立ち上げ、引き受けた後、同社について生じた北欧事業の損失についてどのように報告するかとの点で、P7から質問を受けたことに対して、レポートシステムの担当者であるP12が返答しているファックス文書の一部である。 P7に対しては、損失の具体的内容とその基になる資料を入手するよう要請しており、それらの資料が揃わない限り税務上損金として計上できない旨を常に注意してきており、そのような状況での文書である。 その内容は、資料が揃わない限りは特別損失120百万クローネが損金とならないということを意味するにすぎず、損金にならないと考えていたと断定するのは誤りというほかない。 c 書簡8本書簡の中でP7は「ノルディックの経営については、すでに多すぎるほどの問題が山積しています」と記載しているが、これは、GESの損失補填について言及したものではなく、原告によるGNABの経営のことを述べたものであり、原告はGESの損失補填は行っていない。 d 書簡10書簡9の提案を受け、P7がABBスウェーデンのP9に宛てた文書であるが、清算など考えていなかったP7が「この提案に従うと、従前の戦略を完全に変更することになる」と述べているのであり、結果としてGNABにキャピタルインジェクションを行い、簿価でGABを売却し代金を得るという方法を採り、清算をせず売却処分をして、問題に決着をつけたものである。 e 書簡12本書簡の宛先は、ABBの中核 い、簿価でGABを売却し代金を得るという方法を採り、清算をせず売却処分をして、問題に決着をつけたものである。 e 書簡12本書簡の宛先は、ABBの中核に位置しているが原告の税務問題等には知識も関心もない者であり、P7がいわば責任逃れ・保身のために作成した色彩の強い書簡というべきである。 (エ) 前記の各書簡に対する反論により、書簡1ないし書簡12では被告の主張の証拠になり得ないことは鮮明である。また、上記の書簡は、被告が原告の神戸支店を調査した際に収集したものであるが、社内秘扱いの極秘文書でもなく、拘束性のある会議文書でもなく、単なる電話の代わりとして取り交わした文書の集積にすぎないファックス文書の中から一部を取り上げ、これに基づいて独断的なストーリーを構築し、原告に不正行為の意図ありと主張しているものであり、全くの的はずれというほかない。そのような私文書には、単なるアイデアもあるだろうし、意見もあるのであり、社として取り上げる資料とはなし得ないものである。 ウ金銭の還流との主張について(ア) 本件損失負担金の流れについての誤認a 被告は、GNABの株式の売買代金が10億円ではなく10億6000万円であるというが、株式譲渡代金は10億円で、原告は、そのGNABの簿価10億6000万円との差額6000万円を株式売却損に計上している。要するに、被告の主張は単にキャッシュフローのみに着目して立論したものであり(92年12月21日に25億6000万円送金したものが、92年12月22日に25億6057万7835円戻ってきたという点のみに幻惑されたもの)、それの個々が示す原告の行為計算の会計的内容について考慮を払おうとしない。原告の行為計 00万円送金したものが、92年12月22日に25億6057万7835円戻ってきたという点のみに幻惑されたもの)、それの個々が示す原告の行為計算の会計的内容について考慮を払おうとしない。原告の行為計算は、GNABの資本金10億円に対応する資産が皆無なので、原告がGNABに対し、キャピタルインジェクションにより資金を注入し、資本金に見合う資産を回復したGNABを、原告はGABに実質価額10億円を対価10億円として売却したものである。もちろん原告は代金10億円をGABより領収した。 b 被告の主張に係る原告のGABに対する貸付債権は、原告が平成元年12月1日にGABに対して10億円を貸し付けた金員を指すものであり、本件とは全く関係がない。これを本件に関連のあるものとして本件の入金の仕訳に持ち込むこと自体が間違いであり、それを前提にすると被告の還流の主張は誤りといわざるを得ない。 (イ) 被告による仕訳整理の誤り被告の還流論の主張は、被告が、すべての仕訳を総括して出した下記の仕訳に基づくものによると思われる。 (借)特別損失 2,560,000,000 (貸)貸付金 1,500,000,000投資有価証券 1,060,000,000すなわち、貸付金15億円は、10億円がGABに対するもの、5億円がGNABに対するものと主張している。同じく投資有価証券は、原告が放棄あるいは贈与したGNABの株式を指すというようである。 しかし、上記の仕訳は、同額のもののみならずほぼ同額のものを相殺するというずさんな処理を行っている上、株式売却損と受取利息を金額が近似しているからといって貸借 いうようである。 しかし、上記の仕訳は、同額のもののみならずほぼ同額のものを相殺するというずさんな処理を行っている上、株式売却損と受取利息を金額が近似しているからといって貸借相殺したものであり、さらには、本件インジェクションと関連のない入金を関係あるかのごとく挿入しているなど、誤った処理を行っているものである。正しい仕訳は以下のとおりとなる。 (借)特別損失 2,560,000,000 (貸)当座預金 1,060,000,000貸付金 500,000,000株式売却損 60,000,000 投資有価証券 1,060,000,000(2) 法人税法127条3号該当事実の不存在ア原告の行為計算は適正であり、原告の行為計算には仮装はない。したがって、本件取消処分は違法であり、それを前提にした本件各更正処分等も違法ということになる。 イ仮に、原告の行為計算が適正を欠くものであったとしても、原告の行為は私法上の効力が認められないものとまではいえず、法人税法127条3号の「隠蔽又は仮装」に該当する行為が存したとはいえない。すなわち、国税庁は、平成12年7月3日付けで、法人税の重加算税についての事務運営指針とともに、青色申告の承認取消しについての事務運営指針を公表し、前者によりこれまで具体的な例示がなかった「隠蔽・仮装」についての取扱基準の整備を行ったところ、当該法人がその帳簿書類に当該行為に即した記載を行っていた場合については、前記の法人税の重加算税の事務運営指針に列挙された例示にも該当しないものというべきところ、青色申告承認の取消しに当たっては、その取消しにより不利益の重大性に 為に即した記載を行っていた場合については、前記の法人税の重加算税の事務運営指針に列挙された例示にも該当しないものというべきところ、青色申告承認の取消しに当たっては、その取消しにより不利益の重大性にかんがみれば、より悪質なものを対象とすべきことは言うまでもなく、仮装に該当する行為は存しない。 (3) 理由附記の違法法人税法130条により、青色申告書にかかる法人税に係る課税標準又は欠損金額の更正をする場合には、その更正の理由を附記することが義務付けられているところ、本件においては、前記(2)のとおり、本件取消処分が違法であるから、本来であれば更正に当たり理由附記を行わなければならない場合であり、にもかかわらず理由附記が行われていないのは違法である。 第4 争点及びこれに関する裁判所の判断本件の争点は、①本件損失負担金が寄付金に該当するか(争点1)、②原告に法人税法127条3号(青色申告承認取消し)の要件に該当する仮装を行ったといえるか(争点2)、③本件各更正処分等に理由附記の違法があるといえるか(争点3)である。 当裁判所は、後記2及び3のとおり、原告が法人税法127条3号に該当する仮装行為を行ったとは認められないから本件取消処分は違法であり、その結果、理由附記をしないままでされた本件各更正処分は違法なものとなり、本件各更正処分を前提とする本件各賦課決定処分もまた違法なものとして取消しを免れないと判断するものであるから、本来、争点1に関する判断は必要がないこととなるが、本件の審理経過にかんがみ、念のため1において争点1に関する判断を示すこととする。 1 争点1(本件損失負担金の寄付金該当性)(1) 本件各取引における原告の意図についてア書簡等により認められる本件取引の意図 争点1に関する判断を示すこととする。 1 争点1(本件損失負担金の寄付金該当性)(1) 本件各取引における原告の意図についてア書簡等により認められる本件取引の意図(ア) これらの書簡の内容を検討するに当たっては、まず、これらが決裁文書等の意思決定の内容を記載したものではなく、あくまで書簡であって意思決定に至る以前の検討過程を示すものにすぎないことに留意すべきである。すなわち、このような文書の性格からすると、その内容のすべてを原告の意図したところと一致するとみるのは早計であり、それらの中には検討はしたものの、結局採用に至らなかった事項も含まれている可能性も相当程度存することを念頭に置き、原告の外形的な行動と比較しながら、その意図を示す部分があるか否かを慎重に検討しなければならないのである。 (イ)a 平成3年中に発信された書簡1ないし4(乙第2号証ないし第5号証)中、①平成3年9月13日にGESの社長であるP1から原告の代表取締役であるP2に宛てられた書簡1(乙2)には、GESの全子会社を公正な市場価格で評価した上、原告がこれら損失を税務上控除できるよう最高額(この額については原告が平成4年初頭に子会社を売却した場合に日本の税務当局が認める最高額を原告が計上できる損失額と対比させて調べるよう指示がされている。)で譲り受け、さらに子会社が取扱う新しい電話機の販売状況次第で定まる額の資本投入する旨の計画がされており、この計画が原告のグループコントローラーであるP3がすでに提案した案に沿ったものである旨の記載がされ、②同月17日にP3からP1及びP2に宛てられた書簡2(乙3)には、GESにおける損益計算書上の膨大な損失額とフレクト、GABからの借入金が問題 ものである旨の記載がされ、②同月17日にP3からP1及びP2に宛てられた書簡2(乙3)には、GESにおける損益計算書上の膨大な損失額とフレクト、GABからの借入金が問題となっており、その解決策として数通りの方法を提示した上、その中ではGES子会社の株式を原告に譲渡する方法が最善であるとして(資本の追加投入も可能である旨を指摘している。)、その方法を採るに当たっては、グループ内での子会社譲渡を説明するための理由、例えば事業計画に沿って原告の下に事業活動を集中するといったもの(この事業計画と予想収益は高額での株式譲渡の背景を説明するものである。)、また、原告がGES子会社の株式を2、3年保有することを準備しなければならないとして、準備担当責任者を具体的に決定する旨の記載がされ、③同月21日にP3からフレクトの副社長であるP4及びP2に宛てられた書簡3(乙4)には、P4から提案された、原告が子会社を高額で買い取り、増資により損失を填補し、翌年にそれを売却する方法では、損失の持ち込みと認定され税務上の問題が生じるため、フレクトの休眠会社を購入しこれに4500万クローネの資本投入を行うか、4500万クローネで新会社を設立し、その会社がGESの子会社を3500万クローネで購入し、THS株式に関する1000万クローネを支払った上、原告が上記休眠会社若しくは新会社に貸付を行い、株主としてその損失を補填する方法を提案し、すでにP1らから積極的な反応を得ており、P4やP2から承認が得られ次第具体的な行動を起こすとして、詳細な日程を定めた予定表が記載され、④同月25日にP3からP5に宛てられた書簡4(乙5)には、GESが売却する以前に子会社に補填すべき損失の額について具体的に すとして、詳細な日程を定めた予定表が記載され、④同月25日にP3からP5に宛てられた書簡4(乙5)には、GESが売却する以前に子会社に補填すべき損失の額について具体的に記載がされているところである。 b 上記各書簡の内容によれば、GES及び本件子会社8社の経営が危機的状態にあり、多額の損失及び借入金等の債務が生じていたところ、原告が、その事業の整理及び撤退のために本件子会社8社を高額で買い取ることでその損失を補填することを計画し(もっとも、その一部はGESが自ら事前に補填することが前提となっている。)、親会社であるフレクトの休眠子会社を取得して、同社を介して上記の計画を行おうとしてきたものであると認められ、この限度においては、本件取引についての原告の意図に関する被告の主張に沿うものである。 c 被告は、これらの書簡から原告が上記一連の取引の数ヶ月後には損失が最大となるような額で子会社株式を売却して損金処理を行う意図であったことが読み取れるとしている。 しかし、書簡1においては、原告がGESから直接取得した子会社株式を翌年度には売却する前提で検討が進められていたことが認められるが、既に書簡2においては、原告がこれらを2、3年は保有しなければならないとの指摘がされ、書簡1においてもGESの子会社が今後新しい電話機についての営業活動を行うことが前提とされていることからすると、上記の記載を総合すると、原告は、結局、少なくとも2、3年は原告の株主としての監督の下に各子会社が営業活動を継続せざるを得ないと考えるに至ったのであって、それによって発生する損益は、もはやGESとは何らの関わり合いもなく、すべて原告が新たに自己の責任において負担すべきものと考えてい 各子会社が営業活動を継続せざるを得ないと考えるに至ったのであって、それによって発生する損益は、もはやGESとは何らの関わり合いもなく、すべて原告が新たに自己の責任において負担すべきものと考えていたとうかがわれる。そして、書簡3及び4には原告による子会社の処理には何ら触れられていない上、GESから懸案として引き継いだSCABとの取引関係については、被告が前記第3、1(2)ウa(b)ⅰで主張するとおりの経過で推移したのであるが、原告又はGNABは、この点についてSCABやGESから出資を義務付けられる立場にあったとは認められないにもかかわらず、自らの判断で1000万クローネを出資して合弁会社を設立し、SCABの商品の販売に参加しているものであって、これによる損益もまたGESとはかかわり合いのないものであって原告が新たに自己の責任において負担すべきものといわざるを得ない。 これらによると、原告は、GESへの損失負担の意思を有しつつも、これとともに新たに子会社となったGNABを通じて自らの監督の下に営業を継続する意思をも有していたことがうかがわれるのであり、このことは、次の(ウ)aで検討する平成4年以降の書簡の内容にも符合するところである。 (ウ)a 平成4年以降に発信された書簡5ないし12の内容をみると、GNABの損失が想定外に拡大し、その処理に関し税務上不利な事態が起こりうるという予想外の事態に狼狽している様子が見て取れるところであり、税務上不利な事態を避けるためにあわてて対策を考えているものと認められる。特に書簡12(乙13)においてはP7がABBの本社に対して、原告がGNABに投資を行ったものの、買収後、事業は惨憺たるものであり、GNABの損失が平成4年末に約2090万米ドルに達し、原告がこれ 特に書簡12(乙13)においてはP7がABBの本社に対して、原告がGNABに投資を行ったものの、買収後、事業は惨憺たるものであり、GNABの損失が平成4年末に約2090万米ドルに達し、原告がこれを支払わなければならず、その支払いに伴い発生する税金の問題について大きな問題を抱えている旨の記載があるところ、同書簡は、その作成が本件損失負担金の支出も終わっている平成5年1月にされ、実際に行われた本件損失負担金の支出を踏まえ、これが大きな税務問題となることを本社に報告し、助言を求める内容になっている。これらの書簡にみられる狼狽した様子からは、本件損失負担金の支出が当初から企図されていたものとは到底認められないところである。 b また、甲第31号証、乙第49号証ないし第52号証の三菱電機との交渉の経緯によれば、原告らグループにおける三菱関連の部門につき、三菱との合弁で事業が継続されることも念頭に置いた交渉が行われていたものであり、原告らが三菱関連の事業を行うことを前提としてGNABを取得したことはもちろん、前記の交渉の経過いかんによっては相当長期間にわたってGNABが存続することも考えられていたというべきである。そして、前記各証拠によれば、平成4年1月までは、三菱関連事業の将来の問題と三菱製品の技術的問題が事業からの撤退と並行して検討されていたものと認められ、後者の問題については三菱側において解決が図られたとして、原告グループにおいてもこれに満足していた様子が認められ、この段階に至っても、その後発生したような大幅な損失が発生するとの確定的な認識は存しなかったものと認められる。 c これによれば、原告は、平成3年にGNABを取得し、同社をしてGESを取得することを計画した時点において、GESの子会社において 確定的な認識は存しなかったものと認められる。 c これによれば、原告は、平成3年にGNABを取得し、同社をしてGESを取得することを計画した時点において、GESの子会社において、多額の損失が発生するリスクは認識していたものの、自ら同社の事業を継続することによってこの問題に対処しようと考えていたものと認められ、平成4年に至って実際に発生したような多額の損害が発生することまでを念頭においていたとは認め難い。 (エ) 小括以上を総合すると、原告が、GNABに対する出資を行った時点において、フレクトの子会社を買い取った上、その会社に貸付や出資を行った上、その会社にGESの子会社を買い取らせることによりGESの損失を補填しようとの意図を持っていたことは認められるものの、原告としては、その時点においては、GES子会社による三菱関連の事業を継続した上、原告及びGNABにおいてできるだけ損失の回復を図るとともに、三菱電機との間において交渉を行い、事業を立て直しその継続を図るか、それが困難になった場合においても、早くとも2、3年後を念頭においた適切な時期に有利な形で本件各子会社8社及びGNABの処理を図る意図であったと認められる。すなわち、その時点で、さらに、損害が発生すればそれを負担せざるを得ない可能性があるとは認識していたものの、後にGNABに生じた1億1200万クローネの損失のような多額の損失が発生することを想定し、それをも原告において負担するものと考えて計画的に行動していたと認めるのは困難である。 (2) 本件取引の評価ア各項掲記の証拠によれば以下の事実が認められる。 (ア) GNABの本件子会社買い取り価格の評価a 買取価格についての評価 る。 (2) 本件取引の評価ア各項掲記の証拠によれば以下の事実が認められる。 (ア) GNABの本件子会社買い取り価格の評価a 買取価格についての評価GNABは、平成3年12月10日に、本件子会社6社をGESから3479万9000クローネで、同月13日に本件子会社2社をGTHSから142万5000クローネでそれぞれ買収して、本件子会社8社を自らの子会社とし、GESがGTHSの株式を旧株主から取得した際に旧株主に支払いを約束した利益分配金を794万4000クローネを負担し、同月20日に支払を行っていることは当事者間に争いがない(前記第2、4、(3)エ、カ、キ)。 以上によれば、GNABが本件子会社8社を子会社とするために実質的に要した費用(すなわち、本件子会社の譲渡によりGESが得た金額)は3479万9000クローネと794万4000クローネの合計4274万3000クローネであるというべきである。この点につき、被告は、THSからの142万5000クローネをも合計した4416万8000クローネであると主張するが、前記約142万5000クローネは、GESから約3479万クローネで買収した子会社の1社であるTHSに対して支払われたものであり、GESからの本件子会社6社の取得によりすでに孫会社となっていた本件子会社2社を子会社とするために自らの子会社であるTHSに支払われたものであるから、GNABが用した費用ではあるものの、GESとの関係における(被告のいうGESの損失を補填するために支払われたものとしての)本件子会社の買取代金として算入するのは適切とはいえない。 bGESによる損失補填額甲第20号証によれば、GESは、 を補填するために支払われたものとしての)本件子会社の買取代金として算入するのは適切とはいえない。 bGESによる損失補填額甲第20号証によれば、GESは、平成3年12月10日にGDKに200万クローネ、GNOに250万クローネ、GFIに280万クローネ、GTHFに420万クローネ、GTSに1450万クローネの合計2600万クローネの損失補填を行っている事実が認められる(GESが損失補填をいつ行ったと評価すべきかについては争いがある。)。 c(a) 弁論の全趣旨によれば、平成3年12月31日における本件子会社8社の資本の合計は、GTSが55万8000クローネ、GTNが237万5000クローネ、GTDが24万クローネ、GDFが68万2000クローネ、THSが279万クローネ、GTHNが257万7000クローネ、GTHFが25万2000クローネ、GDSが5万クローネであり、合計952万4000クローネである(原告第10準備書面添付別紙1及び2参照)と認められる。 (b) 乙第5号証(書簡4)においてはP5がP3との間で、本件子会社8社の適正な金額を検討しており、同書簡が作成された平成3年9月においても約1500万クローネであると算出している。同金額はGESによる損失補填分を除いた金額であり、同書簡の時点において損失補填額は2100万クローネとされていた。 (c) 甲第15号証の1によれば、平成4年1月末の本件子会社8社の純資産額が、GTSが△636万9000クローネ、GTNが245万3000クローネ、GTDが38万7000クローネ、GDFが△3000クローネで、THSが144万0000クローネ、GTHNが280万8000クローネ、GTHFが38万 0クローネ、GTNが245万3000クローネ、GTDが38万7000クローネ、GDFが△3000クローネで、THSが144万0000クローネ、GTHNが280万8000クローネ、GTHFが38万8000クローネ、GDSが△13万3000クローネであり合計97万1000クローネであると認められる。 dGNABは、平成3年12月13日にGTHSに対して子会社買収代金として142万5000クローネを支払っており、同日以降の本件子会社の価値を換算するに当たっては、この代金は差し引かれるべきものといえる。 e 以上により、GESからの2600万クローネの損失補填を前提とした場合に、本件子会社8社の買入れが会社の価値に見合った価格でされたものと評価し得るものかについて検討する。確かに、純資産額が企業の実価値や売買価格を直接示すものでないことは原告の指摘のとおりであるが、損失補填がされた平成3年12月10日からわずか20日後である12月末日の本件子会社8社の資本総額952万4000クローネとGNABの本件子会社8社の実質的な買取価格4274万3000クローネとの間にはいかにも乖離があるといわなければならず、さらに、GTHSの資産の中にはTHSに対して支払われた142万5000クローネも含まれているのであるから、それを差し引いた場合にはさらに大きな乖離があるものといわなければならない。また、平成3年9月の時点において、GESの損失負担分を除いた売買価格は約1500万クローネであるとP5が述べており、それに、本件で実際にされた損失補填分を加えた場合、約4100万クローネとなり、この金額を前提とすると、前記買取価格は相当なものであったといえないこともないが、当時の損失額の予測が2100万クローネとされていたところ、補填が行 失補填分を加えた場合、約4100万クローネとなり、この金額を前提とすると、前記買取価格は相当なものであったといえないこともないが、当時の損失額の予測が2100万クローネとされていたところ、補填が行われた際の実際の純損失が2863万1000クローネとなっていることを考慮すれば、9月から本件子会社6社の売買が行われた12月までの間に本件子会社の価値も大幅に下がっていたものと考えられ、それを考慮すれば、平成3年12月の時点では、仮に損失補填分2600万クローネを加えたとしても4100万クローネの価値があったとは考え難く、この金額をもとに、GNABの買取価格が適正であったみることは困難である。そして、他に会社の客観的価値を表す指標を認めるに足りる証拠はない。 以上によれば、GNABが本件子会社8社の買取に当たってGESが行った2600万クローネの損失補填が客観的に損失の補填に十分であったかはともかく、GESが行った前記損失補填を前提にして評価した場合、GNABによる買取価格は高額と評価せざるを得ない。 (イ) 平成3年(1991年)6月におけるFederationofSwedishIndustries作成のNORDICECONOMICOUTLOOK(北欧経済展望、甲16の1)によれば、同時期において、1991年の北欧地域全体における国内需要合計△1.0パーセント、国内総生産△0.2パーセント、スウェーデンにおける国内需要△0. 8パーセント、国内総生産△1.1パーセントと予測されていたところ、同年12月における同誌(甲16の2)によれば、同時期において、1991年の北欧地域全体における国内総需要合計△2.0パーセント、国内総生産△0.9パーセントと、スウェーデン国内における国内需要△2.3パーセント、国 同誌(甲16の2)によれば、同時期において、1991年の北欧地域全体における国内総需要合計△2.0パーセント、国内総生産△0.9パーセントと、スウェーデン国内における国内需要△2.3パーセント、国内総生産△1.4パーセントと予想されており、平成3年当時のスウェーデンにおいて、全体として経済が停滞している上、半年間の比較においても経済数値の予測が大幅に落ち込み、さらなる下降の傾向にあったことが認められる。 イ前記アの事実及び前記(1)により認められる原告の本件取引の意図にかんがみれば、原告は、本件取引において、子会社株式の購入額から純資産額を控除した金額についてGESに対して損失補填をする意図をもって、本件子会社8社の株式を取得したものと認められる。すなわち、前記アで認定のとおり、GNABによりGESに対して支払われた本件各子会社8社の買収価格のうち同8社の純資産額を超えて支払われた部分(もっとも、その金額は、本件各子会社8社の譲渡時点での純資産額が明らかではないため、厳密には特定できない。)については、原告において本来GESが負担すべき損失を負担したというべきである。 他方、平成14年6月に至り、GNABにおいて本件子会社のうちGTSを除く7社を売却した上、同年12月にGNAB株式をGABに対して売却し、原告がGNABに対して25億6000万円を送付したのは、子会社であるGNABが事業を行おうとしたものの、予想外の業績不振が生じ、1年に満たない間に債務超過に陥るという事態に至ったため、これ以上の損害の拡大を防ぐ必要性から行ったものと評価するべきであり、原告において、これを、平成3年12月において予想し、そうすることを意図していたとは認められない。 ウこの点について、被告は、GNABの請求済売上高が0である ったものと評価するべきであり、原告において、これを、平成3年12月において予想し、そうすることを意図していたとは認められない。 ウこの点について、被告は、GNABの請求済売上高が0であること、一連の行為の関係者により会社が運営されていること、GTS以外の7社の子会社が取得後半年余りで売却されていることから、原告が本件子会社8社を健全に事業経営しようとしていたとは認められない旨主張する。 しかし、GNABは、本件子会社8社の統括会社であり、具体的な売上がないとしても、それが本件各子会社の事業を行っていないことを基礎付ける事実とはならないし、甲第13号証及び甲第14号証によれば平成4年から6年までの事業計画書が三菱電機の主導によって作成され、その事業を行うための予算が組まれており、また、前記のとおり、原告グループと三菱電機との間では、合弁企業の設立による事業の継続を前提とした交渉が行われていたものである。また、GNABが本件子会社を保有した期間が短いということは確かに被告の指摘するとおりであるが、前記のスウェーデン経済の状況や三菱電機との交渉の経過にかんがみれば、そのような短期間に会社を手放さざるを得なくなったこともそれほど不自然なこととはいえず、本件子会社8社が当初から全く事業を行う予定がなかったということはできない。 (3) 本件損失負担金の寄付金該当性ア証拠(甲第6号証の1ないし3、43)によれば、以下の事実が認められる。 (ア) スウェーデンの会社法においては、会社の純資産が払込資本金の半額を下回ると想定される根拠がある場合には、取締役会は遅滞なく特別の貸借対照表を作成し、これを監査役に調査させなければならない。その結果、貸借対照表が、その会社の純資産が払込資本金の半額に満たないこ を下回ると想定される根拠がある場合には、取締役会は遅滞なく特別の貸借対照表を作成し、これを監査役に調査させなければならない。その結果、貸借対照表が、その会社の純資産が払込資本金の半額に満たないことを示している場合には、取締役会はできるだけ速やかに株主総会に会社の解散決議を付託しなければならず、付託から8ヶ月以内に開催される株主総会が監査役により調査された株主総会当日現在の会社純資産が払込資本金に達していることを示す貸借対照表を承認しない限り、株主総会が会社の解散を決議しない場合には、取締役会は地方裁判所に会社の解散命令を申請しなければならず、その申請がされた場合、裁判所は、当該会社の純資産が払込資本金に達していることを示す貸借対照表が、監査役により調査され、かつ株主総会により承認されたことが裁判所の手続中に証明されない限り、会社に解散を命じる(以下、本制度を「強制解散制度」という。)こととなる。 (イ) 子会社が強制解散制度による強制解散を受けた際、親会社や親会社グループに強制的な法的規制が課せられることはないものの、強制解散制度は、十分な資金に支えられない事業を継続させないことを目的としてものであるから、長期間名声を確立しているいかなるグループにおいても、子会社の一つが損失を被った事実によりその子会社の強制解散手続きを受け入れた場合、そのグループの価値ある有利な地位を危険にさらされることは避けられない。 イ被告は、本件損失負担金は、本来損失処理し得ないGNABに対する出資金や貸付金について、再度GNABに対して送金を行い、これを還流させることにより損金に算入したものである旨主張する。そこで、本件損失負担金の使途ごとに、それらが本来損失処理をし得ないものか否かを検討する。 (ア) 原告のGNABに対する 、これを還流させることにより損金に算入したものである旨主張する。そこで、本件損失負担金の使途ごとに、それらが本来損失処理をし得ないものか否かを検討する。 (ア) 原告のGNABに対する出資金について原告が、GNABを取得した時点において、これを本来GESが負担をすべき損失を原告において負担するが近い将来に確実に破綻することを予測し、それによる損失を損金として処理する意図を持っていたとした場合においては、この出資そのものが経済的合理性を欠くものであり、損金に算入することができないこととなると考えられるが、前記のとおり、原告がそのような意図を持っていたとは認められず、原告としては、GNABをして本件子会社8社による事業を継続しようとしていたところ、意に反して事業が継続できなかったものであるから、平成3年11月1日にした出資そのものは経済的合理性が否定されるほどのものではないと認められる。 そして、本件損失負担金を支出した平成4年末の時点において、これらの出資金について損金処理をすることが可能であるかについて検討するに、株式の評価損を損金に算入することについては、同法施行令68条第2号ロに規定する「有価証券を発行する法人の資産状態が著しく悪化したこと」との定めを受けて出された法基通9-1-9及び9-1-10に定めがあり、「当該事業年度終了の日における当該有価証券の発行法人の1株または1口当たりの純資産価額が当該証券を取得したときの当該発行法人の1株または1口当たりの純資産価額に比して概ね50パーセント以上下回ることとなったこと」とされている。そして、GNABの純資産額は、平成4年12月末において、当初を大幅に下回り債務超過の状態になっていることは被告も認めるところであり、その時点においては、既 以上下回ることとなったこと」とされている。そして、GNABの純資産額は、平成4年12月末において、当初を大幅に下回り債務超過の状態になっていることは被告も認めるところであり、その時点においては、既に、三菱事業を断念し、子会社8社のうちGTSを除く7社を売却していたものであって、その状態が近い将来に回復が見込まれるとはいえないところであるから(GNABは、その後、原告やABBによる損失負担により、1億0944万クローネの資産を有していることとなるが、これは、強制解散制度による解散を避けるため、原告がGNABをGABに処分する前提として資本額に満つるまで損失を負担したものであるから、これをもってGNABの資産が充実しており、出資の償却が認められないとするのは本末転倒である。)、原告としては、平成4年末の時点で出資金自体を償却して、損金処理を行うこともできたものと認められる。 (イ) 原告のGNABに対する貸付金について本件損失負担金を支出した平成4年末の時点において、原告はGNABに対して5億円の貸付金を有していたが、その時点において、その貸付金について損金処理をすることが可能であるかが問題となる。法人の有する金銭債権につき貸倒損失として損金に算入し得るかについては、法基通9-6-1及び9-6-2に定めがあり、9-6-2には「債務者の資産状況、支払能力等からみてその全額が回収できないことが明らかとなった場合には、その明らかになった事業年度において貸倒れとして損金経理することができる」とされている。また、子会社を整理する場合の損失負担については、法基通9-4-1において「法人がその子会社等の解散・経営権の譲渡等に伴い当該子会社等のために債務の引き受けその他損失の負担または債権放棄等をした場合において、その損失負 る場合の損失負担については、法基通9-4-1において「法人がその子会社等の解散・経営権の譲渡等に伴い当該子会社等のために債務の引き受けその他損失の負担または債権放棄等をした場合において、その損失負担等をしなければ今後より大きな損失を被ることになることが社会通念上明らかであると認められるためやむを得ずその損失負担等をするに至った等そのことについて相当な理由があると認められるときは、その損失負担等により供与する経済的利益の額は、寄付金の額に該当しない」ものとされる。そして、前記のとおり、GNABは、平成4年12月末において当初の資産額を大幅に下回り、回復の見込みがないことは前記のとおりであるから、この時点において、原告の債権は回収不能なものであったと認められるし、前記の強制解散制度の存在を前提とすると、原告がその債権を放棄することについては、それを行わなければ今後より大きな損失を被ることになることが明らかでありやむを得ずしたものと認められ、原告のGNABに対する貸付金は、平成4年12月末の時点において貸付金自体を貸倒損失として、損金処理を行うこともできたものと認められる。 (ウ) そうすると、原告の本件損失負担金の支出のうち15億円については、本来株式の償却や貸倒損失として損金処理が可能であった支出を強制解散制度による強制解散を避けるために、資本を充実させるために支出を行う方法が採られたものとみるべきであり、これは、本来、損金処理できないものについて資金の還流をしたものというよりは、むしろ、本来損金処理が可能なものについて、スウェーデン法の制限上、いったん送金をした上で貸金の返済を受けるという方法を取ったものとみるべきである。 ウ他方、送金額の残りである10億6000万円については、トレジャリーセンターに対する債務の ン法の制限上、いったん送金をした上で貸金の返済を受けるという方法を取ったものとみるべきである。 ウ他方、送金額の残りである10億6000万円については、トレジャリーセンターに対する債務の弁済に用いられたものと認められるが、トレジャリーセンターが原告グループ内の企業であることにかんがみれば、原告が無条件で全額これを負担することに無理があるのはもちろん、トレジャリーセンターとの関係等に基づいて原告が負担する特段の合理的根拠がない以上は、原告において負担すべきものではないというべきであるところ、本件において、そのような特段の根拠が存することを認めるに足りる証拠はなく、これについては、本来原告が負担する必要がないものについて、原告が損失負担金を送金したものといえる。 エ以上によれば、本件損失負担金25億6000万円のうち、15億円分については、寄付金には該当しないものというべきであるが、残りの10億6000万円については、寄付金に該当するものといわざるを得ない。 (4) 結論そうすると、本件更正は、本件損失負担金の支出について、その全額を寄付金としている点について誤りがあるといわざるを得ない。 2 争点2(隠ぺい・仮装が存在したか否か)(1) 法人税法127条1項3号の「隠ぺい又は仮装」の意義法人税法127条1項3号は、青色申告承認の取消事由として「その年における帳簿書類に取引の全部又は一部を隠ぺいし又は仮装して記載し、その他その記載事項の全体についてその真実性を疑うに足りる相当の理由があること」を挙げている。そして、「隠ぺい」とは課税要件に該当する真実の一部を隠すことをいい、「仮装」とは、存在しない課税事実が存在するように見せかけることをいうものと解され、いずれも行為の意味を認識し と」を挙げている。そして、「隠ぺい」とは課税要件に該当する真実の一部を隠すことをいい、「仮装」とは、存在しない課税事実が存在するように見せかけることをいうものと解され、いずれも行為の意味を認識しながら故意に行うことを要すると考えられる。 そして、帳簿書類は、本来、その記主の私法上の取引内容とその効果を忠実に表すように記載すべきものであるから、実際に行われた行為が私法上無効なものならば格別、私法上有効である以上は、たとえそれが税法上の観点から別個の評価を受けるものであるとしても、私法上の効果に忠実な記載をすべきものである。 このような意味で正確な帳簿が作成されているならば、課税庁としても、納税者の行った私法上の取引行為の全体像を正確に把握することができるのであるから、納税者に対してはこのような帳簿の作成を求めることで満足すべきであり、それ以上に税法上の評価をも考慮に入れた帳簿の作成を求めることは、納税者に対し自己の行う私的な取引行為のすべてに税法的な観点からの考慮を求めるものであって、不当かつ過大な要求といわざるを得ない。青色申告制度が前提とする帳簿書類の正確性も、以上の観点から理解すべきものであって、当該納税者の行った私法上の取引行為につき、その内容及び効果が正確に記載されていれば足りるものと解すべきである。 したがって、納税者がある行為を行い、それについて、納税者が選択した法形式に従って帳簿への記帳を行った場合においては、その行為そのものが法形式に応じた私法上の効果を失わない限り、その記載は、仮装には当たらないというべきである。当該行為が経済的合理性を欠くものであったとしても、納税者がそれをそのままの法形式に従って記載した場合には、課税庁としては、その記載から経済的合理性の有無や課税に当たって私法上のそれ うべきである。当該行為が経済的合理性を欠くものであったとしても、納税者がそれをそのままの法形式に従って記載した場合には、課税庁としては、その記載から経済的合理性の有無や課税に当たって私法上のそれとは別個の評価をすべきか否かを判断することができるのであるから、青色申告による特典が与えられる前提としての帳簿の整備と正確な記録を行うことについて何ら欠ける点はないからである。 (2) 本件で仮装が存在したといえるか被告は、本件において、①原告がGESに生じた損失を原告のものとして仮装したこと、②送金とその還流によって損金処理ができるように仮装したことの2点をもって、法人税法127条1項3号の「仮装」が存した旨の主張をする。 しかし、いずれの点についても、被告は、原告の行った一連の行為の私法上の行為の効力が否定されるべきものとは主張していないし、原告の帳簿の記載が私法上の行為の内容及びその効力と異なったものであるとも主張していない。そうであるとすると、被告の主張は、法人税法127条1項3号に該当する具体的事実を主張していないといわざるを得ず、それ自体失当である(なお、①の点については、前記1で判示のとおり、被告主張の損失のうちその一部についてはその主張のとおり、GESに生じた損失を原告のものとする行為を行っているものであるが当該行為自体は平成4年12月期に行われたものではないから、本件取消処分の根拠となり得るものではない。被告は、本件各取引が一連のものであり、本件損失負担金の支出をもって、その一連の取引が終了したものと評価し得ることを前提としているようであるが、本件においては、前記1で説示したとおり、当初の子会社の買取と本件損失負担金の支出は別の段階の取引であるとみるべきであり、子会社の買取は平成3年12月期 評価し得ることを前提としているようであるが、本件においては、前記1で説示したとおり、当初の子会社の買取と本件損失負担金の支出は別の段階の取引であるとみるべきであり、子会社の買取は平成3年12月期に帰属するものといわざるを得ない。)。 3 結論そうすると、その余の点について判断するまでもなく、本件取消処分は違法であるものといわざるを得ず、それによれば、前記1の点について考慮するまでもなく、本件各更正処分は、青色申告の承認を受けた者に対して理由附記をしないでしたものである点において違法であり、本件各賦課決定処分は違法な本件各更正処分を前提にしている点で違法なものといわざるを得ない。 第5 結論以上によれば、本件取消処分及び本件各更正処分等はいずれも違法であり、原告の請求はいずれも理由があるからこれを認容することとし、訴訟費用の負担につき、行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条を適用して、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第3部裁判長裁判官藤山雅行 裁判官廣澤諭 裁判官 加藤晴子
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