平成15年2月28日判決言渡平成11年(ワ)第877号,平成12年(ワ)第151号,平成13年(ワ)第1980号損害賠償等請求事件判決 主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告は,別表記載の原告らに対し,それぞれ別表の「預託金額」欄記載の金員及びこれらに対する同「償還期日」欄記載の日の各翌日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払をせよ。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 3 仮執行宣言第2 事案の概要本件は,原告らが,ゴルフ会員契約の締結に際し預託した入会保証金の返還ないしその相当額の支払及び遅延損害金の支払を訴求する事案である。なお,立証は,本件記録中の証拠関係目録記載のとおりであるから,これを引用する。 1 争いのない事実等(1) 原告らは,それぞれ別表の「入会日」欄記載の日に,キッツゴルフ倶楽部君津コース(平成10年5月にアクアヒルズゴルフクラブと名称が変更された。以下「本件ゴルフクラブ」又は「本件ゴルフ場」という。)の会員となるゴルフ会員契約 (以下「本件入会契約」という。)を締結し,その際,別表の「預託金額」欄記載の入会保証金を預託した。そして,入会保証金の返還については,預託金証書発行の日から10年間据置くものとし,据置期間満了後,各原告からの文書による申出があったときは,入会保証金をその原告に返還するなどとする約定がなされている(2) 本件ゴルフクラブの入会承認通知書及び「入会手続のご案内」と題する書面には,株式会社君津リゾート(以下「君津リゾート」 ,入会保証金をその原告に返還するなどとする約定がなされている(2) 本件ゴルフクラブの入会承認通知書及び「入会手続のご案内」と題する書面には,株式会社君津リゾート(以下「君津リゾート」という。)が文書作成者として明示され,入会手続用の住民票や写真等の書類を君津リゾートに提出するよう指示されており,また,入会金や入会保証金の支払先口座として君津リゾートの銀行口座が指定されている。原告らは,受取人欄を「株式会社君津リゾート」として入会保証金相当額を振込送金し,入会保証金の領収書も君津リゾート名義で発行された(なお,本件入会契約の真実の相手方及び入会保証金の預託先については,後記のとおり,当事者間に争いがある。)。 (3) 原告らは,平成11年5月1日(原告番号1ないし10関係〔原告番号5については,平成2年5月18日入会にかかる分,原告番号8については,平成2年2月28日入会にかかる分〕),平成12年1月28日(原告番号11ないし64関係)及び平成13年9月7日(原告番号5〔平成9年5月9日入会にかかる分〕,8〔平成2年3月9日及び同年5月18 日入会にかかる分〕,65ないし86関係)送達の本件各訴状副本によって,被告に対し,入会保証金を返還するよう申し出た。 (上記の事実は,当事者間に争いがないか,証拠〔甲1(枝番を含む。以下同じ。),3の2,乙4,7ないし11〕及び弁論の全趣旨によって認める。) 2 争点原告らは,入会保証金の返還ないし相当額の支払を被告に訴求しているが,その根拠として,被告が,① 本件入会契約の相手方である,若しくは不法行為責任を負うと主張し(主位的請求),又は,② 商法23条ないしその類推適用若しくは保証契約に基づく責任を負うと主 が,その根拠として,被告が,① 本件入会契約の相手方である,若しくは不法行為責任を負うと主張し(主位的請求),又は,② 商法23条ないしその類推適用若しくは保証契約に基づく責任を負うと主張している(予備的請求)。 (1) 本件入会契約の相手方についてア原告らの主張原告らは,被告との間で本件入会契約を締結し,被告に対して入会保証金を預託した。そして,原告らは,訴状において本件ゴルフクラブを退会する旨の意思表示をしたから,被告に対し,入会保証金の返還を請求する。 イ被告の主張本件入会契約の当事者は君津リゾートと原告らである。 (2) 被告の不法行為責任についてア原告らの主張原告らは,被告ないしキッツグループが本件ゴルフクラブを経営するとの被告の虚偽の説明を信用して本件ゴルフクラブの会員権を購入したのであり,上記説明が虚偽であることを知っていれば会員権を購入しなかったことは明らかである。よって,原告らは,被告に対し,入会金及び入会保証金相当額の損害賠償請求権を有するところ,本件では,入会保証金相当額の損害賠償を求める。 なお,原告らの主張する被告の欺罔行為の具体的内容は以下のとおりである。 ・ゴルフ場の名称を被告の事実上の商号と主要な部分で一致するものとしたこと。 ・当時の被告代表取締役会長が「株式会社北沢バルブ代表取締役」の肩書でゴルフ場の発起人代表を務めたこと。 ・ゴルフ場の諸設備に被告のロゴマークと同一ないし類似のロゴマークを使用させたこと。 ・募集用新聞広告において「一部上場企業・北沢バルブ」「北沢グループのキッツゴルフ倶楽部」と記載させていたこと。 ・ Aが募集時のパンフレットや起工式において被告ないし北沢グループ たこと。 ・募集用新聞広告において「一部上場企業・北沢バルブ」「北沢グループのキッツゴルフ倶楽部」と記載させていたこと。 ・ Aが募集時のパンフレットや起工式において被告ないし北沢グループが建設,運営するゴルフ場であると説明していたこと。 ・銀行関係者,会員権販売業者,ゴルフ場建設業者,被告社員等をして被告の建設,経営するゴルフ場であると説明させていたこと。 イ被告の主張欺罔行為についてはいずれも否認する。なお,契約の相手方が被告であれば,主位的請求である直接契約の主張で足りるし,相手方が君津リゾートであれば,契約に基づいて同社に対して支払うべき入会金と入会保証金を支払ったものであるから,その支払額が損害となるはずがない。 (3) 商法23条の適用ないし類推適用についてア原告らの主張・商法23条の適用について商法23条は,他人の行う営業に関して,自己の氏,氏名,商号の使用を許諾した者(名板貸人)は,自己を営業主だと誤認して取引した相手方に対し,その取引によって生じた債務について,当該他人(名板借人)と連帯してその責任を負わねばならない旨を規定している。 ところで,本件ゴルフ場は,「キッツゴルフ倶楽部君津コース」という名称で会員募集が行われ,平成4年10月のオープンから平成10年5月に名称がアクアヒルズゴルフ倶楽部に変更されるまで,当該名称で運営されていたものであるが,「キッツ」は被告の名称である「北沢」のローマ字表記である「KITAZAWA」を省略した「KITZ」 の日本語読みであり,被告は,遅くとも昭和50年ころより「キッツ」を自己の略称として使用していたため,平成元年12 のローマ字表記である「KITAZAWA」を省略した「KITZ」 の日本語読みであり,被告は,遅くとも昭和50年ころより「キッツ」を自己の略称として使用していたため,平成元年12月ころには「キッツ」が被告を表す名称として事実上の商号となっていた。このような事情からすれば,キッツゴルフ倶楽部は被告の事実上の商号であった「キッツ」と主要な部分で一致する類似の名称であり,ゴルフ場業界において一般にゴルフ場の名称をもってその営業主体が表示されるものと理解されていることからしても,ゴルフ場の経営主体が被告であると誤認させるのに十分な名称であったといえる。また,被告は,平成2年ころから君津リゾートがキッツゴルフ倶楽部という名称を使用していることを知悉しながら,平成7年ころに至るまで何ら異議を述べなかったのであり,君津リゾートに対し,会員募集に先立ってキッツゴルフ倶楽部という名称を使用することを許諾していたといわざるを得ない。そうすると,被告は,君津リゾートに対し,平成元年12月ころ,キッツゴルフ倶楽部の名称を使用して,本件ゴルフ場を開発,会員募集,運営することを明示的に,または少なくとも黙示的に許諾したものというべきである。しかも,本件ゴルフクラブの会報,募集用パンフレット(甲3。以下「本件パンフレット」という。),案内図,看板,表札,封筒,掲示用紙等,本件ゴルフクラブにおけるゴルフ用品のほとんど全てにおいて「キッツゴルフ倶楽部」ないし「KITZGOLFCLUB」と表示されていること,発起人代表を被告の代表取締役会長であったAが務め,募集パンフレットの中で,同人の挨拶として「株式会社北沢バルブを主体とする北沢グルー 「KITZGOLFCLUB」と表示されていること,発起人代表を被告の代表取締役会長であったAが務め,募集パンフレットの中で,同人の挨拶として「株式会社北沢バルブを主体とする北沢グループが,ここに『キッツゴルフ倶楽部』を建設いたす運びとなりました。」「北沢グループの企画力と経営力を結集してまいる所存でございます。」と挨拶し,被告ないし被告を主体とする北沢グループが本件ゴルフクラブを経営することを明確に説明していること,Aは,平成2年5月24日の本件ゴルフ場造成工事の起工式における挨拶においても,「キッツゴルフ倶楽部の経営母体でありますキッツ・グループは,バルブを中心にホテル,リゾート開発,更に美術館を開設する文化事業まで幅広く経営の多角化を進めております。」と挨拶し,平成3年3月15日のクラブハウス起工式や,平成4年10月16日の本件ゴルフ場造成工事の竣工式においても同様の挨拶をし,また募集用の新聞広告においても,「一部上場企業・北沢バルブ」「北沢グループのキッツゴルフ倶楽部」などと広告するなどしたことにより,原告らは,本件ゴルフクラブの経営主体は被告であると誤認した。 そうすると,被告は,商法23条の規定に基づき,原告らに対して入会保証金の返還をすべき義務がある。 ・商法23条の類推適用について本件において,被告が他人のなす営業に関して自己の商号等の使用を許諾していなかったとしても,① 営業主について誤認を生じさせる外観の存在,② 外観作出についての帰責事由,③ 取引相手の誤認,という要件があれば,同条の類推適用が認められるというべきである。そして,以下の各事情からすれば,本件 いて誤認を生じさせる外観の存在,② 外観作出についての帰責事由,③ 取引相手の誤認,という要件があれば,同条の類推適用が認められるというべきである。そして,以下の各事情からすれば,本件では,① 本件ゴルフクラブの会員募集にあたり,その経営主体が被告であるとの誤認を生じさせる外観が存在し,② 上記外観の作出につき被告に帰責性が認められ,③ 原告らは経営主体が被告であると誤認して本件入会契約を締結したものである。 すなわち,会員権購入当時の「キッツゴルフ倶楽部君津コース」というゴルフ場の名称と,「キッツ」という被告の事実上の商号が主要な部分で一致しており,新聞記事に記載された「北沢バルブは多角化経営を推進し,ゴルフ場についても『君津コース』『大多喜コース』『岩間コース』などの開発を推進している」というAの説明にも合致していた。また,ゴルフ場設立時の発起人代表が被告の代表取締役会長であったこと,会員権募集時のパンフレットに被告のものと同一又は酷似するロゴマークが大きく表示されていたこと,募集広告に被告のものと酷似したロゴマークが大きく表示され,バルブの写真入りで「一部上場企業・北沢バルブ」「北沢グループのキッツゴルフ倶楽部」と記載されていたことなども誤認を生じさせる外観といえる。さらに,会員権募集当時,Aら被告の役員や従業員が「本件ゴルフクラブ君津コースは株式会社北沢バルブが建設する」と説明していたこと,会員募集の際,販売業者,提携ローンを扱っている銀行の行員らが被告の建設,経営するゴルフ場であると説明していたこと,被告の本社に電話したところ,被告の従業員から推薦されて販売業者を紹介されたことなども,同様に ンを扱っている銀行の行員らが被告の建設,経営するゴルフ場であると説明していたこと,被告の本社に電話したところ,被告の従業員から推薦されて販売業者を紹介されたことなども,同様に商法23条の類推適用を基礎付けるものといえる。 イ被告の主張・商法23条の適用についてゴルフ場の経営はそのために特に設立されるゴルフ場経営会社によって行われるのが通常であり,ゴルフ会員権を購入するようなゴルフ愛好者においては,そのようなことは周知の事実である。「キッツ」は北沢のローマ字表記である 「KITAZAWA」を省略した「KITZ」の日本語読みであり,被告製品の一部等にロゴとして入れられていたが,被告は,一般消費者とはなじみの薄い商品であるバルブの製造販売を業とする地味なメーカーであり,「キッツ」 が「北沢バルブ」を指すなどという認識は,一般的には存在しなかった。また,ゴルフ会員権購入者は,1000万円を上回る大金を投ずるのであるから,預託先が誰であるかは重大な関心事であるというべきところ,本件の入会保証金預託証書,会員規約,本件パンフレットにおいて,全てゴルフ場の事業主体は君津リゾートであることが明らかとなっている。さらに,原告らは,新聞広告や募集勧誘員の説明等を指摘するが,これらは被告が一切関与しないものであるばかりか,原告らは君津リゾート名義の預託証書を入手し,そのまま10年以上もプレーを続けながら,今になって相手方を誤認していたと主張しているのであり,相手方を誤認したなどおよそ考えられず,万が一そうであったとしても,原告らには重大な過失があったというべきである。 以上のように,本件では営業 していたと主張しているのであり,相手方を誤認したなどおよそ考えられず,万が一そうであったとしても,原告らには重大な過失があったというべきである。 以上のように,本件では営業主を誤認させるような外観自体存在せず,それゆえ,誤認の可能性も現に誤認を生ぜしめた事実もなかったのであり,本件で商法23条が適用される余地はない。 ・商法23条の類推適用についてa 外観についてゴルフ場等のレジャー施設については,別会社である運営会社が経営するというのが広く行き渡っている経営形態であり,ゴルフ愛好家らの常識である。ゴルフ場名にかぶせた呼称から被告の直営方式だと考える者はなく,別会社方式と考えるのが常識である。また,原告ら主張の記事を掲載した新聞は信濃毎日新聞と日経産業新聞であり,一般の会員権購入者が普通に読む性質の新聞ではないし,当該新聞記事は,北沢バルブが直接経営しているという内容ではない。さらに,Aが発起人代表であったことについては,発起人は,個人がなるものであり,会社の役員が発起人になったからといって当該会社がゴルフ場の建設について責任を負うということにはならないし,パンフレット上のロゴマークについては,パンフレットの裏表紙に記載されており,ゴルフ場の経営主体を示すというより,デザインに過ぎず,経営主体識別のための意味合いはない。また,同パンフレットについては,多くの会員はそれを目にしていないか,入会した後に記念として配布されたかであり,商法23条類推適用を基礎付ける事実として不適切である。募集広告については,広告上には,「事業主体/君津リゾート」と明記されており,被 いか,入会した後に記念として配布されたかであり,商法23条類推適用を基礎付ける事実として不適切である。募集広告については,広告上には,「事業主体/君津リゾート」と明記されており,被告とは別会社が事業主体であることが明確になっており,「北沢グループのキッツゴルフ倶楽部」という文言も,「北沢バルブのキッツゴルフ倶楽部」となっていないことから分かるとおり,別会社であることを如実に示している。なお,原告主張の募集広告については,その配布時期や掲載媒体が不明で,一般の購入者が目にするものとはいえず,評価根拠事実として不適切である。また,原告らは,本件パンフレット中のAの発起人代表挨拶をもって,商法23条類推適用を基礎付ける事実とするが,同挨拶は,「北沢バルブを中心とする北沢グループがここにキッツゴルフ倶楽部君津コースを建設いたす運びとなりました」というもので,主語はあくまで「北沢グループ」である。また,販売業者が作成した全ての説明資料には,経営主体は君津リゾートである旨明記されているし,そもそも被告はその作成に一切関知していない。原告ら主張のその他の事実についても,その存在自体認められないか,商法23条類推適用を基礎付ける事実として不適切である。 b 被告の帰責性の不存在ゴルフ場の名称は,君津リゾートが決定したもので,被告の関知するところではない。発起人代表がAであったことも,個人として就任したものであり,会社の代表者としての立場で就任したものでないことは当然である。また,パンフレット,広告,販売業者の説明等に関しては,いずれも日本広販株式会社(以下「日本広販」という。)が行ったもので,被告は全く関知していない。地上げ業者の説明等も被告とは無関係である る。また,パンフレット,広告,販売業者の説明等に関しては,いずれも日本広販株式会社(以下「日本広販」という。)が行ったもので,被告は全く関知していない。地上げ業者の説明等も被告とは無関係である。そして,君津リゾートが「キッツゴルフ倶楽部君津コース」という名称を使用するに当たり,被告を「営業主」と表示したことはなく,常に「事業主体/株式会社君津リゾート」という表示をしていた。 これらによれば,被告には帰責性が存しない。 c 原告らの悪意・重過失(a) パンフレット上の記載原告らが誤信の根拠と主張する本件パンフレットには,「事業主体・・・株式会社君津リゾート」と明記され,同社の代表取締役の名前と所在地,連絡先が明記されている。さらに,入会保証金の支払先として,被告ではなく日本広販が指定されている。 (b) 本件ゴルフクラブの会則(以下「会則」という。)会員らは,「倶楽部会則並びに諸規則承認の上」入会を申し込んでいるものであり,会則は,入会保証金の返還期限等の取扱いのみならず,プレーの権利内容やゴルフ倶楽部の運営方法等,会員らの権利の根底部分を定めており,極めて重要であるところ,会則第2条には,「本倶楽部は,株式会社君津リゾートが所有かつ経営するゴルフ場の施設を利用してゴルフの普及,発展に努め,会員相互の親睦,体位の向上,健康の増進を図ると共に,明朗健全なる社交機関であることを目的とする」と明記されている。 (c) 入会手続のご案内書本件ゴルフクラブの「入会手続のご案内」には,君津リゾートが文書作成者として明示され,住民票や写真等の関係書類を君津リゾートに提出するよう指示している。会員 会手続のご案内書本件ゴルフクラブの「入会手続のご案内」には,君津リゾートが文書作成者として明示され,住民票や写真等の関係書類を君津リゾートに提出するよう指示している。会員らは,これに従って提出を行った。また,入会金や入会保証金の支払先口座として,「株式会社君津リゾート」の銀行口座が指定されている。 (d) ゴルフ場の入会承認通知書や入会保証金の領収書入会資格審査終了後に送付される入会承認通知書は,君津リゾート名が明記された上,同社から発送されている。入会保証金の領収書も君津リゾートから送付されている。 (e) 入会保証金額とその支払方法本件の入会保証金額は1000万円を超えるもので,そのような高額な金員を預託する際には,必要な調査を行うのが通常である。そして,実際に,原告らは入会金と入会保証金の支払いの際に,銀行に赴き,振込用紙に振込先口座として「株式会社君津リゾート」と手書きで記入して送金したものである。 (f) 別会社方式の一般性ゴルフ場の経営は,ほとんどの場合親会社とは別の会社で行われている。例えば,東急グループは,大分東急ゴルフクラブ等「東急」の名の付くゴルフ場を15以上も,系列下の別会社をして経営させているが,いずれも東京急行電鉄自身が経営しているわけではない。特に,本件ゴルフクラブの会員資格を得るためには,少なくとも他の1つのゴルフ場の会員であることが求められているところ,1つでも会員権を有している者は,ゴルフ歴も長く,ゴルフ業界の常識に精通しているものというべきである。そうすると,原告らが,別会社方式でゴルフ 場が経営されていることを知らなかったとい ,1つでも会員権を有している者は,ゴルフ歴も長く,ゴルフ業界の常識に精通しているものというべきである。そうすると,原告らが,別会社方式でゴルフ 場が経営されていることを知らなかったということはあり得ない。 (g) 「キッツ」という呼称の非周知性被告は,バルブという一般人の認知度の低い製品を製造するメーカーであり,企業認知度も低いため,「北沢バルブ」の製品ブランド名であった「キッツ」を知っている一般人は皆無に近い状況であった。原告らは,「キッツゴルフ倶楽部」が「北沢バルブ」の建設,経営に係ると誤信したと主張するが,「キッツ」の意味が全く分からないのみならず,「北沢バルブ」という会社の認知度の著しく低い状況では,その営業かどうかの判断材料すら存在しない。 d 結論以上によれば,原告らにおいて,君津リゾートが経営主体かつ契約の相手方であると認識していたことは疑いの余地がない。仮に経営主体の誤認があったとしても,原告らには重過失がある。 (4) 被告の保証責任についてア原告らの主張被告は,ゴルフ会員権の募集に当たり,本件パンフレットに「株式会社北沢バルブを主体とする北沢グループが,ここに「キッツゴルフ倶楽部君津コース」を建設する運びとなりました」「北沢グループの企画力と経営力を結集してまいる所存でございます。」などと記載している。これは,ゴルフ場運営会社が企画,建設,運営できなかった場合には,被告が代わって企画,建設,運営をするということを表したもので,保証意思の表示に他ならない。そうすると,被告は,本件ゴルフクラブの運営(入会保証金の返還も含む)について保証する旨を明示的に表示しているものといえ ,建設,運営をするということを表したもので,保証意思の表示に他ならない。そうすると,被告は,本件ゴルフクラブの運営(入会保証金の返還も含む)について保証する旨を明示的に表示しているものといえる。また,被告は,君津リゾート及び本件ゴルフクラブの会員権販売を引き受けた日本広販に対し,保証契約締結の権限を与えていたものというべきであり,原告らが上記のような保証文言を承諾して会員契約を締結した以上,被告との間で保証契約が成立したといえる。よって,原告らは同契約に基づいて入会保証金の返還を請求する。 イ被告の主張被告が保証契約締結の代理権を君津リゾートらに与えていたことはない。また,本件パンフレットは,被告の作成にかかるものでも,被告が作成に関与したものでもなく,その文言をみても,被告の保証意思が表れているものとみることはできない。 第3 当裁判所の判断 1 争いのない事実,証拠(甲2,3,6,8,10,14,19,乙4ないし11,16,17,18,20,21,被告代表者本人,証人B)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 (1) 被告は,バルブ及びその他の流体制御又は濾過用機器並びにその付属品の製造販売を業とする,昭和26年設立の株式会社であり,昭和32年から「株式会社北澤バルブ」(昭和50年からは「株式会社北沢バルブ」)の商号で営業を行っていたが,平成4年10月1日,商号を「株式会社キッツ」に変更した。被告は,昭和60年まではAが代表取締役社長を務め,同年からは,Aの娘婿であるCが代表取締役社長,Aが代表取締役会長(平成4年6月からは代表権のない取締役会長)であった。 被告は,昭和40年ころからその製品,包装,会社案内中に「KITAZAWA」を 娘婿であるCが代表取締役社長,Aが代表取締役会長(平成4年6月からは代表権のない取締役会長)であった。 被告は,昭和40年ころからその製品,包装,会社案内中に「KITAZAWA」を短くした「KITZ」の呼称を使用し,昭和40年に商標登録の「KITZ」のロゴマークを製品に表示していた。また,被告は,昭和50年ころからは片仮名の「キッツ」の呼称を併用した。 (2) 被告の関連企業Aの二男であるBら4名は,昭和41年に共同出資により,貸ビル業等を営む北沢商事株式会社(以下「北沢商事」という。)を設立した。 平成2年当時,北沢商事は被告の筆頭株主であったが,被告は北沢商事の株式を保有していなかった。また,株式会社タイムシェアインターナショナル(以下「タイムシェア」という。)は,北沢商事が100%の株式を保有する子会社として昭和51年に設立された株式会社である。 被告は,昭和62年ころから,北沢商事やタイムシェアなどのグループ企業を通じてスキー場等の開発,経営を行い,自らも株式会社ホテル紅やを子会社とするなど,バルブ製造以外にもレジャー事業を展開していた。北沢グループの企業には,ほかに株式会社キッツファイナンス(昭和62年8月設立),株式会社北沢観光(平成元年3月設立。現商号キッツメドウズ)などがあった。 (3) 本件ゴルフ場開場の経緯昭和63年9月14日,被告の代表取締役会長であったAのもとに,タイムシェアから代表取締役会長のD等ら3名が訪れ,被告代表取締役社長のC,被告常務取締役管理本部長のE,同副本部長のFと共に会合が持たれた。その中で,タイムシェアのGは,① 千葉県君津市で開発中のゴルフ場がようやく売却可能な状態となった, 被告代表取締役社長のC,被告常務取締役管理本部長のE,同副本部長のFと共に会合が持たれた。その中で,タイムシェアのGは,① 千葉県君津市で開発中のゴルフ場がようやく売却可能な状態となった,② 開発会社である房総スカイラインカントリークラブは,現在その株式の100%をタイムシェアが保有しており,その全株式を売却する方法で同ゴルフ場を売却する予定である,③ 売却先は既に決まっていて,契約も完了しており,これにより数億円の利益が出る,という話をした。これに対し,Aは,タイムシェアが自らゴルフ場の経営をした方がよいのではないか,株式を売却するとしても,過半数の株式を保有してタイムシェアが経営権を握れるようにした方がよいのではないか,などと述べた。 これを受けて,房総スカイラインカントリークラブへのタイムシェアの出資比率は55%とされ,平成元年12月18 日,商号を君津リゾートとしたうえ,Bが代表取締役に就任し,ゴルフ場の名称はキッツゴルフ倶楽部君津コースとされた。 本件ゴルフクラブについては,平成2年1月16日に縁故募集,同月25日に第1次募集,同年2月17日に第2次募集が行われ,折からのゴルフ会員権人気もあり,同会員権は短期間に完売となった。平成2年5月24日には発起人代表であったA及び被告代表者Cらが出席して本件ゴルフ場造成工事の起工式が行われ,平成4年10月16日にはAらが出席して同工事の竣工式が行わた。本件ゴルフ場は,同月22日に開場した。 (4) 君津リゾートの経営破綻と差止訴訟の提起平成3年3月,北沢商事及び君津リゾートを含む北沢商事の関連会社の経営が破綻状態であり,外部からの財政支援なしにはゴルフ場の開場が困難であることが被告に判明し 経営破綻と差止訴訟の提起平成3年3月,北沢商事及び君津リゾートを含む北沢商事の関連会社の経営が破綻状態であり,外部からの財政支援なしにはゴルフ場の開場が困難であることが被告に判明した。そのため,被告は,平成3年12月から平成4年4月にかけて, 君津リゾートから総額約40億円の資産を買い取り,平成4年5月から同年7月にかけて,被告の子会社である株式会社キッツファイナンスから合計約12億円の融資をし,また,君津リゾートが日本信託銀行から融資を受けた40億円の保証をするという財政支援を実行した。 また,被告は,平成5年3月,「キッツ」等の名称の使用中止等を求める商標権侵害申入書を君津リゾートに送付し,平成7年9月25日には上記商標の使用差止めを求める訴えを東京地方裁判所に提起した。同訴訟は,平成10年3月4日, 被告が君津リゾートに対して3億円の和解金を支払い,君津リゾートは「キッツ」等の名称を使用しないこと,「キッツゴルフ倶楽部」の名称を変更することなどの内容の和解が成立した。その結果,本件ゴルフクラブの名称は,平成10年5 月,「アクアヒルズゴルフコース」となった。 (5) 本件ゴルフクラブの会員募集方法等ア本件パンフレットの記載本件パンフレットの裏表紙には,「KITZGOLFCLUB」の文字が記載されているが,そのうちの「KIT Z」部分は,被告の登録商標と酷似している。 また,計画概要として「母体企業・・・北沢グループ」,事業主体「株式会社君津リゾート」との記載がある。そして,同パンフレットには発起人代表の肩書きでAの挨拶が掲載されており,同人の上半身を写した写真の隣に,以下の内容の挨拶文が記載されている。 君津リゾート」との記載がある。そして,同パンフレットには発起人代表の肩書きでAの挨拶が掲載されており,同人の上半身を写した写真の隣に,以下の内容の挨拶文が記載されている。 「このたび,君津市の地元の皆様並びに市当局,関係各位のご厚意とご協力をいただき,(株)北沢バルブを主体とする北沢グループが,ここに『キッツゴルフ倶楽部君津コース』を建設いたす運びとなりました。『キッツゴルフ倶楽部君津コース』は,当地の恵まれた自然との調和のなかに,クォリティの高い理想的なゴルフ場の開場をめざし,北沢グループの企画力と経営力を結集してまいる所存でございます。」イ新聞広告の記載本件ゴルフクラブの会員募集用新聞広告(甲6。日本広販作成のもの。)には,アと同様,被告の登録商標と酷似した「KITZ」のロゴマークが表示されている。左下隅にはバルブの写真が配され,その横に「明日の流体制御を担う一部上場企業・北沢バルブ」と記載されている。また,右下隅には,「北沢グループのキッツゴルフ倶楽部」との記載の下に,「概要」として本件ゴルフ場の説明があり,「事業主体/株式会社君津リゾート」との記載がある。 ウ入会申込書等の記載本件ゴルフクラブの「個人正会員入会申込書」「入会申込書」にも,ア,イ同様,被告の登録商標と酷似した「KITZ」のロゴマークが表示されている。 エ Aの挨拶Aは,平成2年5月24日の本件ゴルフ場造成工事の起工式において挨拶したが,同人は,その中で「キッツゴルフ倶楽部の経営母体でありますキッツ・グループは,バルブを中心にホテル,リゾート開発,更に美術館を開設する文化事業まで幅広く経営の多角化を進めております。」と述べた。また,同人 「キッツゴルフ倶楽部の経営母体でありますキッツ・グループは,バルブを中心にホテル,リゾート開発,更に美術館を開設する文化事業まで幅広く経営の多角化を進めております。」と述べた。また,同人は,平成3年3月15日のクラブハウス起工式や,平成4年10月16日の本件ゴルフ場造成工事の竣工式においても同様の挨拶をした。 2 争点(1)について原告らは,被告との間で本件入会契約を締結したと主張するので,以下検討する。 会則によれば,本件ゴルフクラブの正会員及び平日会員となるには,会社所定の入会申込書を提出し,理事会及び会社の承認を得た後,会社に対して所定の入会金及び入会保証金を納入するものとされているところ,そこにいう「会社」とは君津リゾートを指すものである(甲3の2,乙4)。また,入会承認通知書及び「入会手続のご案内」と題する書面には,君津リゾートが文書作成者として明示され,住民票や写真等の関係書類を君津リゾートに提出するよう指示されており,入会金や入会保証金の支払先口座として,「株式会社君津リゾート」の銀行口座が指定され,原告らは,実際に受取人欄に「株式会社君津リゾート」と記載して入会保証金相当額を振込送金し,入会保証金の領収書も君津リゾート名義で発行されている(乙7ないし 11)。 そうすると,本件入会契約につき,名義上も実質上も被告が関与した事実は認められず,専ら君津リゾートが主体となっているものといえるから,原告らと本件入会契約を締結したのは,被告ではなく君津リゾートであったというべきである。 3 争点(2)について本件ゴルフクラブの会員募集に当たっての被告の関与が不法行為を構成するかどうかについて検討する。 1で認定した事実によれば,被告は,昭和62年ころから経営の る。 3 争点(2)について本件ゴルフクラブの会員募集に当たっての被告の関与が不法行為を構成するかどうかについて検討する。 1で認定した事実によれば,被告は,昭和62年ころから経営の多角化を目指し,北沢商事やタイムシェアなど北沢グループの企業を通じてスキー場等の開発,経営を行うなど,バルブ製造以外にもレジャー事業を積極的に展開しており,本件ゴルフ場開場の経緯についても,当初ゴルフ場の売却を検討していたタイムシェアに対し,Aにおいてタイムシェアが経営権を握れるようにすべきであると助言し,それに基づいてタイムシェアの子会社である君津リゾートが本件ゴルフクラブを運営するようになったものといえる。そして,本件ゴルフクラブの会員募集の方法についても,ゴルフ場の名称に被告が使用していた 「キッツ」という名称を使用したり,被告のロゴマークと酷似するマークを使用するなど,同倶楽部が北沢グループと密接な関係があることを強調して行われたものというべきである。しかしながら,4の(2)で判断するとおり,会員募集に当たり,その営業主体を誤認させるような外観が作られたことはなかったのであり,上記のような被告の関与は,あくまでも事業主体たる君津リゾートの経済的信用を印象づけるために,同社が被告を含む北沢グループの一員であることを示したものに過ぎないといえる。そうであれば,被告の上記のような営業方法は,当初から君津リゾートを倒産させるつもりで入会保証金を集めたなど特別の事情の窺えない本件においては,違法性を有する行為とはいえない。 よって,被告が不法行為に基づく責任を負うことはない。 4 争点(3)について(1) 商法23条の適用について商法23条は,他人の行う営業に関して,自己の氏,氏名,商号 えない。 よって,被告が不法行為に基づく責任を負うことはない。 4 争点(3)について(1) 商法23条の適用について商法23条は,他人の行う営業に関して,自己の氏,氏名,商号の使用を許諾した者(名板貸人)は,自己を営業主と誤認して取引した相手方に対し,その取引によって生じた債務について,当該他人(名板借人)と連帯してその責任を負わねばならない旨を規定している。この趣旨は,商号が特定の営業について特定の商人を表す名称であり,社会的には当該営業の同一性を表示し,その信用の標的となる機能を営むものであることから,自己の商号(ないしはこれに準じる名称)を使用して営業をなすことを他人に許諾した者は,自己を営業主と誤認して取引をした者に対し,同条所定の責任を負うべきとしているものである。 これを本件についてみると,2で判断したとおり,本件入会契約の原告らの相手方当事者は君津リゾートであり,本件パンフレットや本件ゴルフクラブの入会承認通知書,入会保証金の領収書等本件入会契約に関する各種の文書にも同クラブの事業主体として「君津リゾート」と記載されているのであるから,君津リゾートは自己の商号を使用して営業をしていたものであって,被告の商号その他の名称を使用して営業活動を行っていたわけではない。 そうすると,この点に関する原告らの主張は採用できない。 (2) 商法23条の類推適用について(1)のとおり,君津リゾートが被告の商号その他の名称を使用して営業活動を行っていたということはできないが,① 営業方法等からして,営業主体の誤認を生ぜしめる外観が生じている場合,② そのような外観を作出し又は作出に関与した者は,③ 営業主体を誤認した者に対して商法23条の類推適用により同条の名板貸人と 業方法等からして,営業主体の誤認を生ぜしめる外観が生じている場合,② そのような外観を作出し又は作出に関与した者は,③ 営業主体を誤認した者に対して商法23条の類推適用により同条の名板貸人と同様の責任を負うものというべきである(最高裁平成4年・第1119号同平成7年11月30日第一小法廷判決・民集49巻9号2972頁参照。以下「忠実屋事件判決」という。)。 そこで,まず本件ゴルフクラブの会員募集に関する君津リゾートの営業方法等から,営業主体の誤認を生ぜしめる外観が生じているといえるかについて検討する。 確かに,1で認定したように,① 本件ゴルフ場は,被告が昭和50年ころから使用していた「キッツ」という名称を冠したゴルフクラブであり,②会員募集に当たり重要な意義を有する本件パンフレットや新聞広告,本件入会契約の当事者が必ず目にする入会申込書等の入会契約関係書類には,被告の登録商標であった「KITZ」のロゴマークに酷似したロゴマークが使用されており,③ 被告代表取締役会長であったAは,本件ゴルフクラブの発起人代表に就任し,挨拶のなかで被告を主体とする北沢グループが本件ゴルフクラブを建設する,キッツグループが本件ゴルフクラブの経営母体であるなどと記載,発言している。 しかし,第2の1及び第3の1で認定したように,本件ゴルフクラブの会員募集に当たり作成された本件パンフレットや新聞広告には,本件ゴルフクラブの事業主体として「株式会社君津リゾート」と記載され,会則第2条には本件ゴルフ場が君津リゾートの経営するゴルフ場であると記載されている。また,入会申込みが承認された場合に送付される入会承認通知書は君津リゾート名義で,入会保証金は君津リゾートに対して納入するものとされ(会則第5条),現実にも原 するゴルフ場であると記載されている。また,入会申込みが承認された場合に送付される入会承認通知書は君津リゾート名義で,入会保証金は君津リゾートに対して納入するものとされ(会則第5条),現実にも原告らは君津リゾートを受取人として入会保証金を振込送金している。そうすると,原告らにおいては,本件ゴルフクラブの事業主体が君津リゾートであると認識していたことは明らかである(この点が,本件と忠実屋事件判決の事例との最大の相違点である。)。さらに,預託金制のゴルフ場は,そのために設立されるゴルフ場経営会社によって経営される形態が多く(乙14の1ないし5,弁論の全趣旨),また,前示のとおり,Aの挨拶の中でも「北沢グループ」が本件ゴルフクラブの経営母体であるという言い方はしているものの,被告が経営主体である旨言明しているわけではない(甲19,弁論の全趣旨)。 これらの事情を総合的に考慮すれば,上記①ないし③の各事実により,本件ゴルフクラブが被告を含む北沢グループにおける事業の一環として企画,建設,運営されているとの外観の存在を認めることはできるものの,これは,本件ゴルフクラブの運営会社である君津リゾートの経営力ないし信用性に関する外観であるに過ぎず,営業主体が被告であるとの誤信を生じさせるような外観が存在していたと認めることはできない。原告らは,新聞記事のなかで被告がゴルフ場を建設,経営する旨記載されていることも上記外観の存在を認める方向に働く事情であると主張するが,君津リゾートの営業と無関係の新聞記事の存在が上記外観の存在の裏付けになるということはできない。原告ら主張のその他の事実も,営業主体を誤認させるに足りるものとはいえない。 そうすると,その余の点について判断するまでもなく,この点に関する原告らの主張には になるということはできない。原告ら主張のその他の事実も,営業主体を誤認させるに足りるものとはいえない。 そうすると,その余の点について判断するまでもなく,この点に関する原告らの主張には理由がない。 5 争点(4)について原告らは,本件パンフレット記載のAの挨拶文をもって,被告との間で入会保証金の返還を保証する旨の保証契約が成立していると主張している。しかしながら,本件パンフレット中に被告が会員に対し,入会保証金の返還を保証する旨の明確な記載はなく,同挨拶文の「(株)北沢バルブを主体とする北沢グループが,ここに「キッツゴルフ倶楽部君津コース」を建設いたす運びとなりました」「理想的なゴルフ場の開場をめざし,北沢グループの企画力と経営力を結集してまいる所存でございます。」との文言は,前者は単にゴルフ場建設について述べたにとどまり,保証意思を示したものとは到底いえないし,後者は,「企画力と経営力を結集」するとの抽象的文言に止まっていることからすれば,入会希望者に対する社会儀礼的な挨拶文を記載したものというべきであり,このような文言をもって,原告ら個人に対し,被告が具体的な債務を負担する旨を約した趣旨のものとは到底解することができない。ほかに,原告ら主張のような保証契約の成立を認めるに足る事実はない。 以上によれば,この点に関する原告らの主張には理由がない。 第4 結論以上によれば,原告らの請求はいずれも理由がないのでこれらを棄却し,訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条に従い, 主文のとおり判決する。 千葉地方裁判所民事第三部裁判長裁判官園部秀穂裁判官弓場佳多子裁判官 判決する。 千葉地方裁判所 民事第三部 裁判長 裁判官 園部秀穂 裁判官 弓場佳多子 裁判官 向井邦生 別紙当事者目録省略 別表省略
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