平成13(ワ)27346 共用施設・設備使用料請求

裁判年月日・裁判所
平成15年9月26日 東京地方裁判所
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判決文本文27,184 文字)

平成15年9月26日判決言渡平成13年(ワ)第27346号共用施設・設備使用料請求事件判決当事者の表示別紙当事者目録記載のとおり 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告らは,原告に対し,それぞれ別紙1「請求金額一覧表」の「請求金額」欄記載の金額及びこれに対する平成13年12月29日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 事案の骨子本件は,原告が被告らに対してA空港の新ターミナルビルが供用開始された平成11年4月9日から,旅客が空港施設使用料を負担する旅客サービス施設使用料制度が導入された前日の平成12年3月14日までの間,被告らは旅客サービス施設使用料制度対象部分を含む共用施設・設備を使用し,経済的利益を得ながら,同制度対象部分の使用料を支払わなかったことにより,同制度対象部分の使用料相当の利益を得,他方これによって原告は同制度対象部分の使用料相当の損失を被ったとして,不当利得返還請求権に基づき,同制度対象部分の使用料相当の利得の返還を求めた事案である。 2 前提となる事実(証拠により認定した事実は各項末尾括弧内に認定に供した証拠を摘示し,その記載のない事実は,当事者間に争いがない。)(1) 当事者ア原告は,旅客サービス施設提供業等を営む株式会社であり,A空港(B県所在)において,空港ビルディングを所有し,同ビルにおいて,航空機を運航する航空会社,一般旅客等に対し,施設・設備を供用している(原告が空港ビルディングの施設・設備を一般旅客等に供用していることについて,甲9の1ないし19)。 所有し,同ビルにおいて,航空機を運航する航空会社,一般旅客等に対し,施設・設備を供用している(原告が空港ビルディングの施設・設備を一般旅客等に供用していることについて,甲9の1ないし19)。 イ被告らは,国際航空運送業を営む外国の会社であるが,日本国内に支店を有し,A空港を使用しており,同空港の国際線旅客ターミナルビルにおいて,原告から施設・設備の供用を受けている。 (2) 新国際線旅客ターミナルビルの新設原告は,従来,被告らを含む航空会社に対し,旧国際線旅客ターミナルビル(以下「旧ターミナルビル」という。)の施設・設備を供用していたが,旧ターミナルビルは旅客需要の増大に対応できず,混雑を極めていた。そこで,旅客需要の増大に対応するため,平成3年度を初年度とする第6次空港整備5カ年計画でA空港の国際線旅客ターミナルビルの整備が計画され,原告においても,これを受けて,平成7年6月16日,新国際線旅客ターミナルビル(以下「新ターミナルビル」という。)の建設を決定し,平成9年5月30日,当時の運輸省の施設設置承認を得た。平成9年6月17日,同ビルの工事が着工され,平成11年4月9日からその供用が開始された。新ターミナルビルは,旧ターミナルビルの増改築による施設ではなく,前記の経緯で新設された施設であり,新ターミナルビルの供用開始に伴い,旧ターミナルビルの供用は中止された。 他方,平成8年12月,第7次空港整備5カ年計画の閣議決定においてC空港新設事業の推進が図られることになり,平成10年5月1日にC空港株式会社が設立され,C空港の平成17年開港目標が明示され,平成11年8月24日,同社が運輸省に平成17年3月19日開港を明示した飛行場設置許可申請をした。したがって,新ターミナルビルの供用期間は,平成17年にC空港の供 空港の平成17年開港目標が明示され,平成11年8月24日,同社が運輸省に平成17年3月19日開港を明示した飛行場設置許可申請をした。したがって,新ターミナルビルの供用期間は,平成17年にC空港の供用が開始するまでである(甲12,13,乙1ないし3及び弁論の全趣旨)。 (3) 新ターミナルビルの施設・設備の区分新ターミナルビルの施設・設備は,有償部分と無償部分に分けられ,有償部分は,専用部分と共用部分に分けられる。専用部分は,航空会社,旅行会社団体カウンター,食堂,売店等,銀行等及び原告がそれぞれ専用する部分である。共用部分については,新ターミナルビル建設前は区分していなかったが,A空港に旅客が空港施設使用料を負担する旅客サービス施設使用料制度(以下「PSFC制度」という。)が採用されてからは,狭義の共用施設・設備部分とPSFCの対象となる共用施設・設備部分に分けることができる(以下,PSFCの対象となる共用施設・設備部分を「PSFC対象部分」といい,これと狭義の共用施設・設備部分を合わせて「広義の共用施設・設備部分」という。)。 別紙2(甲6)及び別紙3(甲7)は,上記の各区分を明確にしたものであり(甲6,7),PSFC対象部分となっているのは,出国待合室,別館の出国待合室,コンコース・固定橋,別館のコンコース・固定橋及びバスラウンジである。 (4) 新ターミナルビルの施設・設備使用料に関する協定締結の経緯ア原告は,平成9年2月25日,被告ら航空会社に対し,新ターミナルビルの共用施設・設備の使用料の概要を説明し,その後Dの下部組織であるEと使用料について協議を6回行った。Eは,A空港にPSFC制度の導入を求めたが,原告は,PSFC制度を導入しているのは,成田空港,関西空港の第1種空港だけであり,A空港のような第2種空港に であるEと使用料について協議を6回行った。Eは,A空港にPSFC制度の導入を求めたが,原告は,PSFC制度を導入しているのは,成田空港,関西空港の第1種空港だけであり,A空港のような第2種空港については,当時,運輸省が定める空港管理規則にPSFC制度導入に関する定めがない上,これを導入した場合には世論の反発があるので,導入するつもりはないとして,共用施設・設備の使用料については,従来どおり,航空会社に負担を求めるとしたため,合意に至らなかった。その後,原告は,Dの要望を受けて,交渉の相手方をFに変更して,使用料について,平成10年12月17日から平成12年4月21日まで計7回協議を重ねたが,協議が調わないうちに,新ターミナルビルが完成し,前記のとおり,平成11年4月9日,その供用が開始された。 原告と被告らは,Fを交渉窓口として,新ターミナルビルの供用開始後も,その共用施設・設備の使用料について協議を重ね,PSFC制度導入を決定してからは,PSFC対象部分をどの部分にするかについても協議を重ね,PSFC対象部分を決定した。しかし,新ターミナルビルの供用開始時からPSFC制度導入までの間のPSFC対象部分の共用施設・設備の使用料の負担について協議が調わないまま,平成12年3月15日,PSFC制度が導入された。 原告及び被告ら航空会社は,PSFC制度導入後も協議を重ねた結果,平成12年4月10日,新ターミナルビルの共用施設・設備に関する使用料協定を締結した(以下,新ターミナルビルの共用施設・設備に関する使用料協定を「新使用料協定」という。)。 原告は,平成12年7月24日,運輸省大阪航空局長に対し使用料の承認を申請し,平成12年11月1日,同局長の承認を得た(甲19,20)。 イ新ターミナルビルが供用開始され 定」という。)。 原告は,平成12年7月24日,運輸省大阪航空局長に対し使用料の承認を申請し,平成12年11月1日,同局長の承認を得た(甲19,20)。 イ新ターミナルビルが供用開始されるまで旧ターミナルビルが供用され,原告及び被告ら航空会社は,旧ターミナルビルの共用施設・設備について使用料協定を締結していたが(以下,旧ターミナルビルの共用施設・設備に関する使用料協定を「旧使用料協定」という。),新ターミナルビルの供用が開始し,旧ターミナルビルの供用が中止されたことに伴い,旧使用料協定は失効した。 新使用料協定には「この協定締結と同時に,下記契約締結日以前に締結したA空港国際線共用施設・設備使用料協定書は無効とする。」との規定があるが,かかる規定は,新ターミナルビルの供用開始に伴い,旧使用料協定が失効したことを確認するものである。 なお,旧使用料協定には,「使用料対象施設の増減その他やむを得ぬ事情を生じた場合は,甲・乙協議のうえ使用料の額を変更することが出来る」との規定があるが,新ターミナルビルが新設され,供用開始されたことにより,旧使用料協定は失効したから,新ターミナルビルの共用施設・設備についてかかる規定が適用されることはない。 (5) 原告によるPSFC対象部分の使用料請求と和解の経緯原告は,各航空会社に対し,平成12年2月6日以降,PSFC対象部分の使用料の支払を請求したが,A空港を利用する航空会社のうち,被告らを除く8社は,原告が55パーセント,航空会社が45パーセントを負担するとの案に応じ,話合いで解決した。 第3 争点及び争点に関する当事者の主張 1 争点(1) 被告らは,PSFC対象部分を占有又は使用し,利得を得ているか否か。 (2) 被告らのPSFC対象部分の使用(利得 話合いで解決した。 第3 争点及び争点に関する当事者の主張 1 争点(1) 被告らは,PSFC対象部分を占有又は使用し,利得を得ているか否か。 (2) 被告らのPSFC対象部分の使用(利得)につき,法律上の原因が認められるか否か。 (3) 原告の損失及びPSFC対象部分の使用料相当額の算定方法(4) 被告らの利得と原告の損失との間に因果関係が認められるか否か。 2 争点に関する当事者の主張(1) 争点(1)(被告らは,PSFC対象部分を占有又は使用し,利得を得ているか否か)についてア原告の主張(ア) 被告らによるPSFC対象部分の占有又は使用被告ら航空会社は,直接的又は旅客を通じて間接的にPSFC対象部分を使用している。すなわち,PSFC対象部分の一つである出発コンコースには,被告らがハンドリング業務を行う設備であるウィケット(搭乗ゲート)が設置され,被告らの係員が搭乗者の確認やセキュリティチェックを行い,被告ら専用の設備(ボーディング・カード・リーダー)も設けられている。バスラウンジも航空会社が直接使用している。出国待合室,固定橋は旅客のための施設であるが,旅客は被告ら航空会社の航空機を利用する旅客であり,旅客が出国待合室を使用することにより航空会社は旅客から航空運賃を受け取り経済的利益を得ているから航空会社は自らの旅客を通じて出国待合室を利用している。 航空会社が航空券面にPSFCの金額を表記して,航空運賃とPSFCを区分して両者を徴収していること自体,PSFC対象部分を航空会社が直接的又は旅客を通じて間接的に使用していることを示している。 (イ) 新使用料協定による対価支払の不存在a 新使用料協定は,新ターミナルビルの狭義の共用施設・設備に限定して 社が直接的又は旅客を通じて間接的に使用していることを示している。 (イ) 新使用料協定による対価支払の不存在a 新使用料協定は,新ターミナルビルの狭義の共用施設・設備に限定してその使用料を協定したことは協定書の文言上明確であり(甲5の第1条参照),PSFC対象部分の共用施設・設備を含む広義の共用施設・設備の使用料の総額を協定したのではない。 b 広義の共用施設・設備部分の使用料について,原告は,広義の共用施設・設備部分の使用料について,被告らと協議をした結果,PSFC対象部分とそれ以外の部分の仕分けについて合意が成立し,PSFC対象部分以外の狭義の共用施設・設備部分の使用料については平成12年4月10日合意が成立した。しかし,被告らは,PSFC制度が始まる前の平成11年4月9日から平成12年3月14日までのPSFC対象部分の使用料相当額の支払をしなかった。そのため,原告と被告らは,新使用料協定を締結した後も,PSFC対象部分の平成11年4月9日から平成12年3月14日までの使用料の額について協議を重ねたが合意に至らなかった。 かかる経緯からも,PSFC対象部分は,新使用料協定の対象から除外されている。 c 旧ターミナルビルの共用施設・設備については,広義の共用施設・設備部分の使用料を航空会社が負担しており,新ターミナルビルのPSFC対象部分も狭義の共用施設・設備部分も,航空会社が共用施設・設備として使用しており,航空会社は各共用施設・設備を利用して営業活動を行い経済的利益を受けており,PSFC対象部分と狭義の共用施設・設備部分の間に特段の差異はない。このように,広義の共用施設・設備部分を使用して営業活動をして経済的利益を得ているのは航空会社であるから,その使用料は本来航空会社が負担す C対象部分と狭義の共用施設・設備部分の間に特段の差異はない。このように,広義の共用施設・設備部分を使用して営業活動をして経済的利益を得ているのは航空会社であるから,その使用料は本来航空会社が負担すべきである。この使用料を旅客に転嫁するか否かは,各航空会社が決めることである。 そして,PSFC対象部分について旅客に使用料を負担させることができるのは,PSFC制度導入によってであり,PSFC制度導入前に旅客に負担させることはできず,平成11年4月9日から平成12年3月14日までの間のPSFC対象部分の使用料は,これらの共用施設・設備を使用した航空会社が負担すべきである。 原告はPSFC制度が導入されるまでの間のPSFC対象部分の使用料は被告ら航空会社から徴収することを前提に金額を被告らと協議していたのであり,旅客から得られたはずの使用料を放棄したのではなく,被告らに対する請求も放棄していない。 イ被告らの主張(ア) 被告らによるPSFC対象部分の占有又は使用の不存在a 国土交通省航空局によれば,PSFC制度とは,旅客から施設使用に伴う対価を直接徴収することであり,新ターミナルビル新設等により発生するコストのうち,専ら旅客の利用に供するとともに旅客利便の向上に資する施設に係るものを対象とするから,PSFC対象部分を実際に使用しているのは旅客であって航空会社ではない。 PSFC対象部分は,出国待合室,別館の出国待合室,コンコース・固定橋,別館のコンコース・固定橋及びバスラウンジであり,いずれも旅客が使用するための施設・設備である。PSFC対象部分は旅客が航空機の発着を待つ場所及び移動に用いる場所として,専ら使用する部分であり,カウンター等航空会社に関連する職員,設備等が存在す いずれも旅客が使用するための施設・設備である。PSFC対象部分は旅客が航空機の発着を待つ場所及び移動に用いる場所として,専ら使用する部分であり,カウンター等航空会社に関連する職員,設備等が存在する場所ではないから,旅客が使用料を負担する部分として地方航空局長の承認が得られた。すなわち,これらの場所を実際に使用しているのは旅客であって,被告ら航空会社ではないし,被告らには,旅客が用いる場所であるPSFC対象部分を使用する意思もない。 bPSFC制度に基づき,空港ビルディングが旅客から使用料を徴収する手続としては,空港ビルディングが旅客から直接使用料を徴収するのではなく,航空券面にPSFC(旅客サービス施設使用料)の金額を表記して航空運賃とPSFCを区分した上,航空会社が空港ビルディングのために航空運賃とともに徴収している。そして,A空港において,PSFC制度導入前に航空運賃がPSFC対象部分の使用料相当額を航空運賃に上乗せして旅客から徴収した事実は存在せず,そして,PSFC制度導入前に航空会社がPSFC対象部分の使用料相当額を航空運賃に上乗せして旅客から徴収した事実も存在しないから,被告らが利得を得ている事実も存在しない。 c 原告及び被告らは,新ターミナルビルのPSFC対象部分を専ら旅客が使用していることを前提に,旅客が使用料を負担する部分とすることに合意した。よって,平成11年4月9日から平成12年3月14日までの期間のPSFC対象部分の使用料は旅客負担部分の対価であり,同対価の支払を免れたとしても,免れたのは旅客であって,被告ら航空会社ではない。 (イ) 新使用料協定による対価の支払a 新使用料協定の意義新使用料協定の協定書の名称は,「A空港国際線旅客ターミナルビル共用施設・ って,被告ら航空会社ではない。 (イ) 新使用料協定による対価の支払a 新使用料協定の意義新使用料協定の協定書の名称は,「A空港国際線旅客ターミナルビル共用施設・設備使用料協定書」であり,その表題,条項のいずれにも,使用料協定が狭義の共用施設・設備部分のみの使用を対象とした又はPSFC対象部分については別途契約を締結することが予定されているといった記載又は示唆がない。また,旧使用料協定の協定書である「A空港国際線共用施設・設備使用料協定書」と比較すると,航空会社負担部分の内訳及び負担部分が異なることを除き,実質的に異なるところはなく,使用料協定を狭義の共用施設・設備部分のみの使用を対象とした又はPSFC対象部分について別途契約を締結することが予定されていたというには,客観的な裏付けを欠く。 そして,新ターミナルビルにおいて広義の共用施設・設備部分全体を航空会社が使用することの客観的対価は,PSFC制度導入の前後を問わず,狭義の共用施設・設備部分の使用料相当額に限られ,仮に被告らがPSFC対象部分の一部を使用している事実があるとしても,被告らは新使用料協定に基づいてPSFC対象部分の使用に対する客観的対価を支払っており,被告らには利得が存在しない。 b 共用施設・設備使用料の定め方航空会社負担部分の施設・設備の内訳は空港ビルごとに異なり,ある空港ビルの航空会社負担部分が他の空港ビルではPSFC対象部分となることもあり,航空会社負担部分の対象の決定は便宜的である。PSFC制度を導入するか,導入した場合PSFC対象部分とその他の共用部分をどのように分けるかは航空会社が負担可能でかつ航空会社に負担させることが客観的に相当な対価を前提に決定される。一般に,空港ビルにおいて航 導入するか,導入した場合PSFC対象部分とその他の共用部分をどのように分けるかは航空会社が負担可能でかつ航空会社に負担させることが客観的に相当な対価を前提に決定される。一般に,空港ビルにおいて航空会社が支払うべき施設使用料は,その総額を勘案し,空港ビルの施設のうち主に航空会社が使用する部分を中心に航空会社が使用料を負担すべき対象部分(航空会社負担部分)を合意によって定め,航空会社は航空会社負担部分についてのみ使用料を負担している。したがって,航空会社が使用料を負担するのは各空港ビルと合意した航空会社負担部分のみであり,その他の共用部分について航空会社が使用料を負担することはなく,使用料協定上の使用料は,共用部分全体について航空会社が支払うべき使用料の総額としての意味を有する。使用料協定は一般の賃貸借とはその性質を異にし,使用料協定において明示的にその対象として記載されていないからといって,そのような施設・設備について航空会社に使用料協定上の使用料に加えて使用料を追加負担する義務はない。 c 原,被告らの認識旧使用料協定と新使用料協定との月額の被告Gの負担額を例にとると,仮に新使用料協定の使用料算定の単価に従って同協定の対象外の共用部分の使用料を負担する場合,年額9億2986万9188円(月額7748万9099円)の同協定上の使用料のほかに,PSFC対象部分の使用料である年額12億1736万9688円(月額1億0144万7474円)が加算され,合計年額21億4723万8876円,月額1億7893万6573円の支払義務まで負うことになる。PSFC対象部分の請求額全額を航空会社に負担させることは過重であり,被告らがかかる高額なPSFC対象部分の使用料についてまで支払う意思は有していなかった。 一方, で負うことになる。PSFC対象部分の請求額全額を航空会社に負担させることは過重であり,被告らがかかる高額なPSFC対象部分の使用料についてまで支払う意思は有していなかった。 一方,原告は,被告ら航空会社に対し,平成12年3月,「国際線ターミナルビルの貸室料・使用料について」と題する書簡を送付し,平成11年4月分から平成12年4月分までの国際線共用施設・設備の使用料を請求しているが,同書簡において共用施設設備使用料の欄に記載されている使用料は,使用料協定書に基づく狭義の共用施設・設備部分の使用料である。原告は上記書簡により,D及びFの同意の上,開業当初から国際線旅客ターミナルビル全体の使用料について新使用料協定に基づく使用料のみを請求し,PSFC制度導入の前後を問わず,航空会社の国際線旅客ターミナルビル全体の使用料としては,新使用料協定に基づく金額で足りることを認めていた。 以上の事実によれば,新使用料協定から,原告と被告らは,狭義の共用施設・設備部分についてのみ使用料を支払うことを合意したものと評価できるから,PSFC制度導入の前後を問わず,PSFC対象部分について被告らが使用料の支払義務を負うことはない。 (2) 争点(2)(被告らのPSFC対象部分の使用(利得)につき,法律上の原因が認められるか否か)についてア原告の主張新ターミナルビルの共用施設・設備の使用料の額について協議がまとまらないことは考えられなかったので,使用料の額について協議が成立することを前提に,新ターミナルビルの供用開始と同時に,原告は被告ら航空会社に対し,新ターミナルビルの共用施設・設備の使用を認め,被告ら航空会社はその使用を開始した。 これを法律的に見れば,遅くとも新ターミナルビル供用開始時である平 と同時に,原告は被告ら航空会社に対し,新ターミナルビルの共用施設・設備の使用を認め,被告ら航空会社はその使用を開始した。 これを法律的に見れば,遅くとも新ターミナルビル供用開始時である平成11年4月9日までに,原告及び被告ら航空会社との間で,新ターミナルビルの共用施設・設備について,原告は被告らに共用施設・設備を使用させ,被告らが共用施設・設備を使用し,使用料の額については双方が協議して定める額とするとの合意,すなわち,使用料の額を協議で定めることを条件とする停止条件付賃貸借契約が成立した。 新ターミナルビルの供用開始後,原告と被告らは,使用料について協議を重ね,PSFC対象部分を除く狭義の共用施設・設備部分の使用料については合意に達し,平成12年4月10日,新ターミナルビルの狭義の共用施設・設備部分の使用料について新使用料協定が締結された。新使用料協定は,狭義の共用施設・設備部分の使用料の額について,同協定が新ターミナルビルの供用開始日である平成11年4月9日に遡って適用されるとしており,これにより,狭義の共用施設・設備部分については,供用開始日に遡って賃貸借契約が効力を生じた。 他方,原告及び被告らは,平成11年4月9日から平成12年3月14日までの間のPSFC対象部分の使用料については,別途協議を続けることとし,協議を重ねたが,合意に至らず,平成13年2月6日以降,原告は各航空会社と個別に交渉したが,被告らとは合意に達せず,本訴提起に至り,PSFC対象部分については,原告と被告らとの間では前記賃貸借契約が効力が発生しないことが確定した。 したがって,被告らは,何ら権原がないのに,PSFC対象部分を使用して,その使用料相当額の利益を得て,原告が損失を被った。 イ被告らの主張 が発生しないことが確定した。 したがって,被告らは,何ら権原がないのに,PSFC対象部分を使用して,その使用料相当額の利益を得て,原告が損失を被った。 イ被告らの主張原告と被告らとの間では,新ターミナルビル開業時である平成11年4月9日の時点で,新ターミナルビルを被告らが使用する旨の合意が有効に成立しており,単に使用料の額を別途協議により定めるものとしていたにすぎず,被告らは,適法に新ターミナルビルを使用していた。 そして,平成12年4月10日に被告らが支払うべき使用料の額が確定し,平成11年4月9日の新ターミナルビル供用開始時に遡って新使用料協定を締結し,被告らは原告に対し,同協定に基づく使用料を支払った。 したがって,原告と航空会社との間で,航空会社が新ターミナルビルを使用することの合意が成立していたので,被告らは広義の共用部分を使用する法律上の原因を有する。 また,仮に被告らがPSFC対象部分の一部を使用しているという利得があるとしても,被告らが客観的対価を既に支払っていることは,前記(2)イ(イ)のとおりである。 (3) 争点(3)(原告の損失及びPSFC対象部分の使用料相当額の算定方法)についてア原告の主張(ア) 原告の損失原告は,前記で主張したPSFC対象部分の使用料相当額について,平成11年4月9日から平成12年3月14日までの間,被告らから徴収できなかったという損失を被った。 (イ) 原告の損失に当たるPSFC対象部分の使用料相当額の算定方法aPSFC対象部分の共用施設・設備と狭義の共用施設・設備とは本質に異ならず,その単価についても相違がない。PSFC対象部分の使用料相当額は新使用料協定対象の狭義の共用施設 額の算定方法aPSFC対象部分の共用施設・設備と狭義の共用施設・設備とは本質に異ならず,その単価についても相違がない。PSFC対象部分の使用料相当額は新使用料協定対象の狭義の共用施設・設備の使用料と同じ単価である。したがって,PSFC対象部分の共用施設・設備の使用料相当額の算定についても,航空会社と協議し,運輸省の承認を得た新使用料協定の単価が基準となる。 また,A空港と同様にPSFC制度が導入されている第2種空港の国際線ビルのH空港の使用料と比較すると,1平方メートル当たりの単価(管理費を含む)は,H空港の9280円(賃料6450円,管理費2830円)に対し,A空港は8786円(賃料6822円,管理費1964円)であり,1便当たりの共用施設・設備の使用料は,H空港の8万1679円に対し,A空港は4万9718円であり,A空港の賃料,使用料はH空港に比較して低額に抑えられており,その単価は相当である。 bPSFC対象部分の使用料相当額は,以下のとおりである。 (a) PSFC対象部分は,別紙4「新国際線旅客ターミナルビルの共用施設・設備一覧表」の「狭義の共用施設・設備」欄記載の施設・設備であり,使用料相当額は,対象部分の面積に賃料単価を乗じた金額から2.5パーセントを減じた額である。2.5パーセントを減じるのは,A空港における定期航空会社以外の臨時便の負担を2.5パーセントとし,これを使用料の対象外とするためである。賃料単価は,新ターミナルビル本館については,月額1平方メートル当たり8786円,新ターミナルビル別館については,月額1平方メートル当たり6613円であり,これらの月額単価は,すでに合意に達している新使用料協定の月額単価と同じである。したがって,使用料相当額の内訳は,出国待合室が2268万5 ル別館については,月額1平方メートル当たり6613円であり,これらの月額単価は,すでに合意に達している新使用料協定の月額単価と同じである。したがって,使用料相当額の内訳は,出国待合室が2268万5237円,別館の出国待合室が877万3480円,コンコース・固定橋が4048万9539円,別館のコンコース・固定橋が1246万3549円,バスラウンジが839万8364円である。 (b) 水道光熱費及び清掃料は,狭義の共用施設・設備とPSFC対象部分の両方の平成10年度の協定金額を基準に,狭義の共用施設・設備とPSFC対象部分の面積割合で按分して算定する。両方の共用施設・設備の合計面積は1万8018. 46平方メートルであり,そのうちPSFC対象部分の面積は1万1648.90平方メートルである。両方の共用施設・設備に係る協定金額は,水道光熱費が1億0894万8000円,清掃料が5548万8000円である。したがって,水道光熱費の月額は572万2695円,清掃料の月額は291万4610円である。 (c) したがって,使用料相当額の月額は,合計で1億0144万7474円となる。 (d) 航空会社の負担割合は,別紙5「負担率一覧表」記載のとおり,前年の旅客数,便数の各実績に基づき,均等10,旅客数45,便数45の割合で負担率を算定している。そして,前記の各施設毎の使用料にそれぞれ各航空会社の負担率を乗じて,各航空会社の各施設毎の使用料を算出し,それを合計したのが各航空会社毎の使用料相当額の月額である。これに,平成11年4月9日から平成12年3月14日までの期間を乗じて,各航空会社毎の合計金額を算出し,これに消費税相当分を加えたものが本件の請求金額である(別紙1「請求金額一覧表」参照)。 イ被告らの主張(ア) 原告の損失旅客 を乗じて,各航空会社毎の合計金額を算出し,これに消費税相当分を加えたものが本件の請求金額である(別紙1「請求金額一覧表」参照)。 イ被告らの主張(ア) 原告の損失旅客からのPSFC対象部分の使用料は,原告が新ターミナルビル供用開始当初からPSFC制度の導入を行わなかったことにより,原告自らが使用料を放棄したのであるから,旅客から使用料を徴収できなかったことは損失に当たらない。 また,原告と航空会社との間でPSFC対象部分の使用料を支払う旨の合意は成立しておらず,広義の共用施設・設備部分全体について航空会社が負担すべき使用料は狭義の共用施設・設備部分の使用料相当額に限られるから,航空会社からPSFC対象部分の使用料を取得できたとする前提が誤っている。さらに,新ターミナルビル開業当初から現在まで被告らの利用形態に変化はなく,被告らが原告所有の施設の利用について何らかの侵害を行った事実はない。 よって,原告に損失は存在しない。 (イ) PSFC対象部分の使用料相当額の算定方法の意義原告の主張は,被告らがPSFC対象部分について別途使用料を負担することを前提としているが,かかる前提は認められない。また,原告は他の空港の使用料との比較をしているが,空港ビルごとに使用料算定の方式が異なり,また,使用料負担対象部分の面積も異なり,使用料総額はおろか,使用料単価の比較をすることは無意味である。使用料協定の使用料単価は便宜的に定められており,この単価に基づいてPSFC対象部分の使用料を支払うことは予定されていない。 さらに,使用料協定は,その実質は,新ターミナルビルに算入する航空会社に課せられる分担金の負担割合を取り決めた協定である。新規参入する航空会社が,使用料協定に加 ことは予定されていない。 さらに,使用料協定は,その実質は,新ターミナルビルに算入する航空会社に課せられる分担金の負担割合を取り決めた協定である。新規参入する航空会社が,使用料協定に加入しない,又は共用施設・設備の幾つかを使用しない,若しくはそれぞれの施設・設備の一部のスペースを使用しないという航空会社側の選択によって共用施設・設備使用料の減額が認められるのではなく,かかる選択自体が許されない。単位面積当たりの賃料単価や共用施設・設備使用料自体も,実質的には独占的な立場にある原告が随意に決定できるため,実際のプロセスとしては,まず原告が航空会社の負担すべき負担可能な金額を決定し,それをもとに航空会社が使用料を負担すべき共用施設・設備を決めて共用施設・設備使用料協定を締結するので,通常の賃貸借契約と明らかに性質が異なり,平方メートル当たりの使用料に実質的な意味はない。原告と被告らとの交渉において,議論の焦点は,共用施設・設備使用料の総額であり単位面積当たりの賃料単価は原告の随意に決定できる単なる計数上の数字にすぎない。 (4) 争点(4)(被告らの利得と原告の損失との間に因果関係が認められるか否か。)についてア原告の主張(ア) 被告らがPSFC対象部分を使用して営業活動を行い,経済的利益を得ながら使用料相当額を支払わなかったため原告が使用料相当額の損失を受けたのであり,原告の損失と被告らの利得には因果関係が存在する。 (イ) PSFC制度は当然に認められるものではなく,PSFC制度を導入するか,これを導入する場合に,その対象施設をどうするか,金額をどうするかは空港ビルディング経営会社が諸般の事情を勘案して決定し,監督官庁に申請し承認を得て初めて導入される。A空港におけるPSFC制度の導入が供用開 入する場合に,その対象施設をどうするか,金額をどうするかは空港ビルディング経営会社が諸般の事情を勘案して決定し,監督官庁に申請し承認を得て初めて導入される。A空港におけるPSFC制度の導入が供用開始後となったからといって,被告らが無償でPSFC対象部分を使用できることにはならない。 (ウ) PSFC制度の導入が原告の責任で遅延した事実はない。すなわち,新ターミナルビル建設の当初,A空港のような第2種空港では制度上PSFC制度は認められていなかった。また,地元の県,市の反対からPSFC制度導入を考えていなかった。しかし,被告ら航空会社の強い要望があり,また,平成11年1月に制度の改正によりA空港のような第2種空港でもPSFC制度の導入が可能となったため,原告は,被告ら航空会社のために,B県やI市等との調整を図り,平成11年12月に運輸省大阪航空局長に対し承認申請し,平成12年1月に承認を得て,同年3月15日からPSFC制度を導入した。PSFC制度導入が現実に可能になったのは,運輸省大阪航空局長から承認が得られた平成12年1月14日である。 イ被告らの主張(ア) 被告らのPSFC対象部分の使用形態及び狭義の共用施設・設備部分の使用料の支払額は,PSFC制度導入の前後で変化はない。被告らがPSFC制度導入前にPSFC対象部分の使用料相当額を旅客から徴収していた事実もない。原告の主張によると,PSFC制度を導入すれば不当利得は成立しないが,PSFC制度を導入しなければ不当利得が成立することになり,不当利得がPSFC制度導入の有無により左右される。被告らのPSFC対象部分の使用形態及び狭義の共用部分の使用料の支払額に変化がないのに,PSFC制度導入の有無により左右されるのは不合理である。 (イ) 原告は,PSF 有無により左右される。被告らのPSFC対象部分の使用形態及び狭義の共用部分の使用料の支払額に変化がないのに,PSFC制度導入の有無により左右されるのは不合理である。 (イ) 原告は,PSFC制度を導入しさえすれば,新ターミナルビル開業当初からPSFC対象部分の使用料を旅客から徴収できたのにもかかわらず,新ターミナルビルの建設が採算性を度外視した杜撰な計画であったため,PSFC制度導入による世論の反発をおそれて,PSFC制度を導入しなかった。 被告ら航空会社は,原告に対してPSFC制度導入の必要性を訴え,原告も,新ターミナルビルの開業の1年近く前からPSFC制度を導入する必要性を認識し,具体的に検討していた。また,国においても,新ターミナルビル開業に合わせて,平成11年1月18日に「価格又は料金の設定又は変更について承認を受けなければならない構内営業の指定に関する告示」を改正して同空港のPSFC制度の導入を可能にしたにもかかわらず,原告は新ターミナルビル開業当初PSFC制度を導入しなかった。 要するに,PSFC制度の導入が遅れたのは,専ら原告の判断の誤りによるものであり,その結果,本来負担すべきPSFC対象部分の使用料の負担を免れた者があるとすれば,それは旅客である。PSFC制度導入の遅延に何の責任もなく,使用料の支払を免れたわけでもない被告らが旅客が免れた使用料を旅客に代わって負担する根拠は存しない。 (ウ) よって,被告らの利得によって原告が損失を被ったとは言えず,原告がPSFC対象部分の使用料を得られなかったことによる損失は,自らPSFC制度を導入しなかったという判断の誤りによるから,被告らの利得により原告の損失が生じたという因果関係は認められない。 (エ) 原告は,自らの判断の誤りでP かったことによる損失は,自らPSFC制度を導入しなかったという判断の誤りによるから,被告らの利得により原告の損失が生じたという因果関係は認められない。 (エ) 原告は,自らの判断の誤りでPSFC制度を導入せず,旅客から使用料を徴収することを放棄したから,原告の判断の誤りの結果旅客から取得できなかった使用料相当額は原告自らが負担すべきであり,被告ら航空会社に転嫁して負担させることは不当である。それにもかかわらず,不当利得を根拠に被告ら航空会社に使用料を請求しうるとすれば,原告の請求は信義則に反し,不当利得返還請求権の濫用である。 第4 争点に対する判断 1 前記第2・2の事実に,証拠(甲4,5,8の1ないし15,10,16,17,19,20,22,乙7ないし10,13,14,15の1及び2)を総合すれば,原告と被告ら航空会社との新ターミナルビルの共用施設・設備の使用料の交渉経過について,以下の事実が認められる。 (1) 原告とEとの交渉経緯ア A空港の新ターミナルビルの建設は,A空港の国際線旅客増加に対応するため,平成3年度を初年度とする第6次空港整備5カ年計画で決定され,平成11年春の完成を目指して総事業費を約200億円とし,土地買収が進められた。他方,平成8年12月に閣議決定された第7次空港整備5カ年計画では,C空港の建設も決まり,同空港が平成17年開港し,定期便が同空港に一元化すれば,A空港の新ターミナルビルは7年程度しか利用されないこととなり,原告が,B県,I市,J鉄道等で構成される第3セクターであることもあって,巨額な投資に批判的な新聞報道も見られた。 イ原告は,平成9年2月25日,Dに対し,新ターミナルビルを建設した場合の共用施設・設備の使用料の概要について説明し,概算で約26億円の使用料の負担を な投資に批判的な新聞報道も見られた。 イ原告は,平成9年2月25日,Dに対し,新ターミナルビルを建設した場合の共用施設・設備の使用料の概要について説明し,概算で約26億円の使用料の負担を求めた。また,原告は,平成9年3月5日,運輸省に対し,新ターミナルビルの建設工事について,施設設置承認申請を行い,同年5月30日,その承認を得て,同年6月17日,同工事に着工した。 ウ原告とDの下部組織であるEは,平成9年12月9日,A空港の共用施設・設備の使用料について,1回目の協議を行った。 原告は,狭義の共用施設・設備部分に加えてPSFC対象部分をも被告ら航空会社が負担することを前提に,試算として,年額26億3396万9000円の使用料を提示し,今後,使用料の引き下げに努力する旨を述べた。 Eは,原告が提示した金額が旧ターミナルビルの使用料年額約5億4000万円の約5倍にも上ぼったことから,使用料の引き下げのために,PSFC制度の導入を提案した。これに対し,原告は,当時,PSFC制度を導入していたのが成田空港及び関西空港の第1種空港のみで,A空港のような第2種空港についてのPSFC制度導入は当時の空港管理規則にその定めがないことから法律上不可能と思われ,また,PSFC制度を導入した場合,世論の反発が予想されるため,導入する予定がない旨を回答した。 エ原告とEは,平成10年3月27日,2回目の協議を行った。原告は,チケットロビーのチェックインカウンターを航空会社負担部分から除外し,共用施設・設備の使用料として,年額25億5396万9000円を提示した。 ところで,H空港においても,このころ,新国際線旅客ターミナルビルの建設が進んでおり,H空港においては,PSFC制度の導入に向けた航空会社とH空港ビル 5億5396万9000円を提示した。 ところで,H空港においても,このころ,新国際線旅客ターミナルビルの建設が進んでおり,H空港においては,PSFC制度の導入に向けた航空会社とH空港ビルディング株式会社との協議も進展していた。そのため,平成10年4月27日に,原告とEとの間で行われた3回目の協議の席上,原告は,H空港においてPSFC制度導入に向けての話が進展していることを踏まえ,今後早急にPSFC制度導入を検討すること,ゴールデンウィーク開けにはA空港ビル内で検討を開始すること,検討結果をEに報告し,導入を決定した場合は,PSFC対象部分に含める施設・設備の検討が必要となることを説明した。 これに対し,Eは,航空会社としては,PSFC制度の導入要請は,原告との共同作業と捉えており,運輸省への働きかけに対し協力していく意向を伝え,H空港では運行している航空会社数が少なく,1社に対する費用負担が高額なため,運航を中止しようとする会社もあり,A空港でもPSFC制度を導入しないと,運航を中止する航空会社が出てくる可能性があることを伝えた。原告も,従来各航空会社やテナントが負担してきた費用を今後も各航空会社が負担するのは難しくなってきていると認める旨を述べた。 オ原告は,Eでの交渉を踏まえ,被告ら航空会社に対し,平成10年6月23日付けの「新国際線旅客ターミナルビルの共用施設使用料等について」と題する書面を送付し,その書面の中で,共用施設・設備の使用料として,年額23億1751万4000円を提示した。 しかし,原告と航空会社との間で使用料について合意は得られず,Dは,原告に対し,平成10年9月29日,今後原告との交渉をFに委ねる旨の申し入れをし,原告はこの申し入れを了承した。 (2) 原告とFとの交渉経緯ア 空会社との間で使用料について合意は得られず,Dは,原告に対し,平成10年9月29日,今後原告との交渉をFに委ねる旨の申し入れをし,原告はこの申し入れを了承した。 (2) 原告とFとの交渉経緯ア新ターミナルビルの供用開始まで(ア) 原告とFは,平成10年12月17日,共用施設・設備の使用料及びPSFC制度導入について,1回目の協議を行った。原告は,共用施設・設備の使用料として,年額23億2500万円を提示し,ソーティングエリア,バゲージクレーム,コンコース・固定橋,バスラウンジ他の諸設備の使用料全額を航空会社が負担することを主張し,PSFCについては,主要株主であるB県及びI市が強く反対しており,法令上不可能なため,導入を考えていない旨を述べた。 これに対し,Fは,PSFC制度を導入しない場合,原告の要求する使用料で運航を継続するのは航空会社には非常に困難であることを伝え,PSFC制度の導入を再検討し,B県及びI市に対し再度交渉することを要求した。 (イ) 平成11年1月18日,「価格又は料金の設定又は変更について承認を受けなければならない構内営業の指定に関する告示」が改正された。改正前においても,法的には,構内営業に関する空港管理規則12条により地方航空局長の承認を受けることにより,「旅客サービス施設提供業」は可能ではあった。しかし,改正前の同告示には,PSFC制度に関する定めはなかったので,当時の運輸省は,PSFC制度の導入のみならず使用料の価格設定自体にも規制を及ぼす目的で,改正により同告示に「旅客サービス施設提供業」という文言が加え,構内営業に関する同規則12条に基づく地方航空局長の承認に加え,「旅客サービス施設提供業」として,PSFC制度の料金の設定又は変更についても地方航空局長の承認を必要とした 提供業」という文言が加え,構内営業に関する同規則12条に基づく地方航空局長の承認に加え,「旅客サービス施設提供業」として,PSFC制度の料金の設定又は変更についても地方航空局長の承認を必要とした。H空港は,同告示の改正を受けて,平成11年5月20日,新国際線ターミナルビルの開業と同時にPSFC制度を導入した。 (ウ) Fは,前記告示の改正を踏まえ,B県に対し,平成11年1月29日,航空会社が新ターミナルビルの増額された施設・設備の使用料の負担が困難であり,運航の継続が難しくなる事情を指摘し,PSFC導入による空港使用料の軽減を要請する内容の書面を提出した。 原告は,Fに対し,平成11年3月ころ,PSFC導入について,原告の主要株主であるB県及びI市と協議しているが,導入には至っていない旨を記載した文書をファックス送信した。 イ新ターミナルビルの供用開始からPSFC導入まで(ア) 平成11年4月9日,新ターミナルビルの供用が開始した。原告と被告らとの間では,共用施設・設備の使用料について合意が成立していなかったため,被告らは,新ターミナルビルの合意が成立するまで,旧ターミナルビルの共用施設・設備の使用料として支払っていた金額を支払い続けた。 (イ) 原告とFは,平成11年6月9日,2回目の協議を行った。原告は,H空港と同様に,出国待合室,コンコース,固定橋,バスラウンジについて,新ターミナルビルにおいてもPSFC制度の対象部分とすることによって,PSFC制度導入を検討すること,共用施設・設備の使用料の航空会社の負担軽減を考慮し,使用料の計算方式を,公共ロビーの従来の航空会社の50パーセント負担を無償にするH方式に変更すること,使用料の総額は,年額23億4000万円で,PSFC対象部分を除く航空会社の の負担軽減を考慮し,使用料の計算方式を,公共ロビーの従来の航空会社の50パーセント負担を無償にするH方式に変更すること,使用料の総額は,年額23億4000万円で,PSFC対象部分を除く航空会社の狭義の共用施設・設備部分の使用料は10億7700万円を提示することを説明した。また,原告は,PSFC制度導入までのPSFC対象部分の使用料につき,航空会社が支払うことを申し入れた。 これに対し,Fは,H方式の導入を了承し,10億7700万円の提示には引き下げを要望し,PSFC対象部分の使用料未収分の負担はできない旨の回答をした。 Fは,原告に対し,平成11年6月28日,「PSFC導入の再要望について」と題する書面をファックスで送付し,PSFC制度導入を要望した。 (ウ) 原告とFは,平成11年7月21日,3回目の協議を行った。原告は,共用施設・設備の使用料の総額を22億6800万円と提示し,狭義の共用施設・設備部分の使用料を10億4600万円と提示した。これに対し,Fは,チェックインロビー,放送設備,ロビー等備品,ランプバス,インフォメーション,旅客搭乗橋(以下「PBB」という。)をPSFC対象部分に加えること,狭義の共用施設・設備部分の使用料を10億円以下に引き下げることを要望した。 (エ) 原告は,平成11年12月20日,運輸省大阪航空局長に対し,PSFC制度の承認を申請し,運輸省大阪航空局長は,原告に対し,平成12年1月14日,PSFC制度を承認した。 (オ) 原告とFは,平成12年1月20日,4回目の協議を行い,その席上,原告は,ロビー備品をPSFC対象部分に含め,狭義の共用施設・設備部分の使用料を年額10億2200万円と提示し,PSFC制度導入前の未収分について航空会社の支払を要求した。 議を行い,その席上,原告は,ロビー備品をPSFC対象部分に含め,狭義の共用施設・設備部分の使用料を年額10億2200万円と提示し,PSFC制度導入前の未収分について航空会社の支払を要求した。 これに対し,Fは,狭義の共用施設・設備部分使用料は概ね納得できるが,PSFC制度導入前の未収分については,未収分の負担に応じない航空会社がある一方,建設時,PSFC制度導入が前提でなかったことを理解し,交渉の余地はありとする航空会社もあり,見解が分かれる旨を回答した。 (カ) 原告とFは,平成12年2月21日,5回目の協議を行った。原告は,PSFC制度導入前の未収分は11億4000万円であり,基本的に全額を請求したいが,協議の余地はあり,8億円台なら検討する旨を述べた。 これに対し,Fは,狭義の共用施設・設備部分使用料及びPBB使用料は了承するが,PSFC制度導入前の未収分の負担については,協議に応じる姿勢を示す会社と拒絶する会社の双方が存在する旨を回答した。 (キ) 原告とFは,平成12年3月2日,6回目の協議を行った。原告は,PSFC制度導入前の未収分については年度内に確定したい旨を述べた。 Fは,狭義の共用施設・設備部分使用料は基本的に全社が了解し,狭義の共用施設・設備部分使用料に関してPSFC制度導入前の未収分の負担と切り離して契約すればよいこと,PSFC制度導入前の未収分については,基本的に応じられないが,航空会社によっては,原告の資金繰り状況等具体的な数字の根拠を示されれば,8億円から8億5000万円で了承する可能性がある旨を回答した。 ウ PSFC制度導入から新使用料協定締結まで平成12年3月15日,PSFC制度が導入された。 Fは,PSFC制度導入前の未収分を8億円と 万円で了承する可能性がある旨を回答した。 ウ PSFC制度導入から新使用料協定締結まで平成12年3月15日,PSFC制度が導入された。 Fは,PSFC制度導入前の未収分を8億円とする原告の提示に対し,平成12年3月19日,①負担について前向きで交渉を継続したいとする会社,②原告が50パーセントないしそれ以上の負担をすれば応じる会社,③航空会社が1割から2割なら応じる会社,④負担に応じられない会社など,異なる意向がある旨を回答した。 Fは,平成12年3月29日,F総会において,10億2200万円の使用料を了承すること,PSFC制度導入前の未収分について協議を継続することを決定した。 原告は,航空会社に対し,平成12年3月ころ,新ターミナルビル開業時に遡り,平成11年4月から平成12年4月までの期間について,Fの総会で承認された使用料と航空会社が実際に支払っていた旧ターミナルビルにおける使用料との差額の支払を請求し,各航空会社は,上記期間の使用料の差額相当額を原告に支払った。 エ新使用料協定締結以後(ア) 原告と被告ら航空会社は,平成12年4月10日,別紙4「新国際線旅客ターミナルビルの共用施設・設備一覧表」の「狭義の共用施設・設備」欄記載の施設・設備の使用に対し,被告らが原告に対して使用料を支払う旨の新使用料協定を締結した。 (イ) 原告とFは,平成12年4月21日,7回目の協議を行った。PSFC制度導入前の未収分について協議したが,各航空会社の意見が分かれ,結論は出なかった。 その後,原告は,PSFC制度導入前の未収分につき,原告の負担分55パーセント,航空会社の負担分を45パーセントとする案で,和解をしてきた。 (ウ) Fは,原告に対し,平成12年5月31日 その後,原告は,PSFC制度導入前の未収分につき,原告の負担分55パーセント,航空会社の負担分を45パーセントとする案で,和解をしてきた。 (ウ) Fは,原告に対し,平成12年5月31日付け書簡で,F会員中には,新ターミナルビル開業と同時にPSFCの徴収を開始できるように手際よく進めたH空港と異なり,原告とその主要株主は,PSFCの必要性を理解するのに時間がかかったことを指摘し,使用料問題が解決しないのは,原告とその主要株主が自ら招いた結果であるとの意見の存在することを示し,会員らの理解を得るためには過去3年間の損益計算書,貸借対照表及び新ターミナルビルの費用明細の公開を要望する旨の文書を送付した。 原告は,これを受けて前記資料をFに送付したが,その後,Fは,再び小委員会等の協議に委ねる旨の文書を送付してきた。原告は,このままでは進展は望めないと判断し,F議長Kに対し,平成12年12月27日,新任のF議長Lに対し,平成13年1月22日,個別交渉に移る旨を通告した。 (エ) 原告は,各航空会社に対し,平成13年2月6日,Fとの交渉を打ち切ったことを通知し,新ターミナルビルの供用開始時である平成11年4月9日からPSFC制度導入前日の平成12年3月14日までのPSFC対象部分の使用料に相当する金員の支払を請求した。 (オ) 原告は,運輸省大阪航空局長に対し,平成12年7月24日,「構内営業(貸室料)料金等の承認(設定・変更)申請書」と題する書面により,「航空会社との賃料交渉が合意に至った」と述べた上で,構内営業に係る料金等の承認を申請し,運輸省大阪航空局長は,原告に対し,平成12年11月1日,前記申請を承認した。 2 以上の認定事実を踏まえて,争点(1)(被告らは,PSFC対象部分を占有又は使用し,利 係る料金等の承認を申請し,運輸省大阪航空局長は,原告に対し,平成12年11月1日,前記申請を承認した。 2 以上の認定事実を踏まえて,争点(1)(被告らは,PSFC対象部分を占有又は使用し,利得を得ているか否か)について判断する。 (1) 証拠(甲7の1ないし7)によれば,新ターミナルビルは,その利用区分,使用料の徴収区分等により,①航空会社施設・設備使用料対象エリア,②PSFC対象エリア,③貸室エリア,④空港ビルエリア,⑤空港ビル+コンセッション,⑥公共ロビー,⑦全体共用エリアに細かく区分されているものと認められる。 本件において,PSFC対象部分となっているのは,第2・2(3)のとおり,出国待合室,別館の出国待合室,コンコース・固定橋,別館のコンコース・固定橋及びバスラウンジであるところ,前記第2・2の事実に,証拠(甲1,5,7の1ないし7及び9の1ないし19)を総合すれば,出国待合室及びコンコースには,一部「ANA」や「JAL」といった被告ら以外の航空会社名が記載されたカウンターが設けられた区画が存在するものの,他の部分では,航空会社名の記載された設備は存在せず,旅客が航空機への移動又は乗り継ぎをするために使用されていること,固定橋には,航空会社が使用する区画は存在せず,旅客が航空機への乗降のために使用されていること,バスラウンジについては,「ANA」や「JAL」といった被告ら以外の航空会社名が記載されたカウンターが設けられた区画が存在するものの,その他の部分では,航空会社名の記載された設備は存在せず,旅客が待ち合わせのために椅子に腰掛けたり,旅客が航空機へ移動したりするために使用されていることが認められ,また,証拠(甲7の1ないし7及び9の1ないし19)によれば,その利用状況は,その利用の排他性の点で,前記貸室エ に椅子に腰掛けたり,旅客が航空機へ移動したりするために使用されていることが認められ,また,証拠(甲7の1ないし7及び9の1ないし19)によれば,その利用状況は,その利用の排他性の点で,前記貸室エリアはもとより,航空会社施設・設備使用料対象エリアとも趣を異にしていると認められる。 (2) これらの事実によると,本件でPSFC対象部分となっている出国待合室,別館の出国待合室,コンコース・固定橋,別館のコンコース・固定橋及びバスラウンジは,旅客が航空機の発着を待つ場所及び移動に用いる場所といえ,本件のPSFC対象部分を実際に使用しているのは旅客であると評価できる。確かに,出国待合室,コンコース及びバスラウンジの中には,「ANA」や「JAL」といった航空会社名が記載されたカウンターの設置された区画が存在するが,被告らの名称の記載された施設が設置された区画が存在しないことからすると,被告らは出国待合室,コンコース及びバスラウンジといった施設を旅客を航空機に搭乗せしめるために持ち回りで交替して使用することはあっても,これらを独占的かつ専用的に使用していると認めることはできない。 そうすると,これらのPSFC対象部分は,専ら旅客が使用するための施設・設備であり,ただ,公共的な施設・設備としての性格も有しているために,一部の区画において,航空会社も使用をしているにすぎない。 ところで,原告は,旅客は被告ら航空会社の航空機を利用する顧客であり,旅客が出国待合室等を使用することにより,被告ら航空会社は,これらを使用していると評価できると主張する。しかしながら,原告も平成15年2月18日付け準備書面(4)において認めるように,原告らが提供するA空港の新ターミナルビルは,道路,鉄道の駅等と同じように公共交通機関の一部を構成する公共的性質を る。しかしながら,原告も平成15年2月18日付け準備書面(4)において認めるように,原告らが提供するA空港の新ターミナルビルは,道路,鉄道の駅等と同じように公共交通機関の一部を構成する公共的性質を有するものであり,そうであるからこそ,第4・1のとおり,原告にはB県,I市が出資しているのであって,地域住民である空港の利用者を被告ら航空会社の顧客とのみ評価することは相当でなく,この点についての原告の主張は失当である。 (3) そもそも,第2・2(3)のとおり,PSFC制度は旅客が空港施設使用料を負担する制度であることからすれば,その対象は,専ら旅客の利用に供するとともに,旅客利便の向上に資する施設であると認められ,そうであれば,前記第4・1で認定したとおりのPSFC対象部分に関する交渉は,新ターミナルビルのうち,どの部分が専ら旅客の利用に供される施設・設備なのかを考慮に入れつつ,進められたと考えられる。そして,第4・1(1)のとおり,C空港の開港との関係で,A空港の新ターミナルビル建設については批判的な新聞報道もなされており,そのため,新ターミナルビルの建設に併せてPSFC制度の導入を進めていたH空港に比して,A空港では原告やその主要株主であるB県,I市が世論の反発をおそれて,PSFC制度の導入については慎重な姿勢を示していたのであって,こうした事実に照らして考えると,原告及びその主要株主らとしても,旅客に十分な説明のできる施設を,その対象に選定していったものと推認できる。 そうすると,原告と被告ら航空会社との両者が最終的に,PSFC対象部分であるとして合意に至った施設・設備については,旅客にその使用料を負担せしめる以上,両者が,専ら旅客の利用に供していると認識した上で合意をしたものと認められる。 また,原告は,平成1 象部分であるとして合意に至った施設・設備については,旅客にその使用料を負担せしめる以上,両者が,専ら旅客の利用に供していると認識した上で合意をしたものと認められる。 また,原告は,平成11年12月20日,運輸省大阪航空局長に対し,原告と航空会社の合意したPSFC対象部分について,PSFC制度の承認を申請し,運輸省大阪航空局長は,原告に対し,平成12年1月14日,PSFC制度を承認したところ,施設の設置・管理者がPSFC制度を導入しようとする場合,航空局としても,対象となる施設や旅客の利用実態をも勘案して,PSFC制度の導入を承認したのであるから,当時の運輸省及び地方航空局長は,本件のPSFC対象部分について,専ら旅客の利用に供する施設・設備であると認識していたものといえる。こうした原告の認識を裏付けるように,原告が運輸省大阪航空局長に宛てた平成12年7月24日付け「構内営業(貸室料)料金等の承認(設定・変更)申請書」(甲19)には,施設使用料対象部分(PSFC対象部分)が新設されたことを指摘した上,「元来,施設使用料はそのメリットを最も享受する航空旅客に直接ご負担頂くものであります」と記載していることが認められる。 ところで,第4・1で判示した事実によれば,旧ターミナルビルにおいては,PSFC制度が導入されておらず,新ターミナルビルにおいてPSFC対象部分に相当する部分については,コンコース・固定橋のように航空会社の負担率が50パーセントと負担割合が軽減されていた部分もあるものの,被告ら航空会社がその使用料を負担していたと認められるけれども,被告らが平成14年11月8日付け第2準備書面で指摘することを踏まえれば,原告が新ターミナルビルの使用料として提示した当初提示した高額な使用料に比して,旧ターミナルビルの使用料は, められるけれども,被告らが平成14年11月8日付け第2準備書面で指摘することを踏まえれば,原告が新ターミナルビルの使用料として提示した当初提示した高額な使用料に比して,旧ターミナルビルの使用料は,約5分の1程度であり,被告らが採算的に見合うのとして,その負担を甘受し,旅客に転嫁していなかったにすぎないと考えられるから,この事実は,PSFC対象部分の利用状況についての先に認定を左右することはできない。 また,原告は,航空会社が航空券面にPSFCの金額を表記して,航空運賃とPSFCを区分して両者を徴収していること自体,PSFC対象部分を航空会社が直接的又は旅客を通じて間接的に使用していることを示していると主張しているが,これは,PSFC制度に基づき,空港ビルディングが旅客から使用料を徴収する手続として,空港ビルディングが旅客から直接使用料を徴収するのではなく,航空券面にPSFC(旅客サービス施設使用料)の金額を表記して航空運賃とPSFCを区分した上,航空会社が空港ビルディングのために航空運賃とともに徴収しているにすぎず,PSFC対象部分を航空会社が直接的又は旅客を通じて間接的に使用していることを示しているとはおよそ認められない。 さらに,PSFC制度は当然に認められるものではなく,PSFC制度を導入するか,これを導入する場合に,その対象施設をどうするか,金額をどうするかは空港ビルディング経営会社が諸般の事情を勘案して決定し,監督官庁に申請し承認を得て初めて導入されるものであり,A空港におけるPSFC制度の導入が供用開始後となったからといって,被告らが無償でPSFC対象部分を使用できることにはならないと主張する。しかし,原告の本訴請求は,被告らがPSFC対象部分を占有,使用し利得を得ていることを前提とするものであるところ,P らといって,被告らが無償でPSFC対象部分を使用できることにはならないと主張する。しかし,原告の本訴請求は,被告らがPSFC対象部分を占有,使用し利得を得ていることを前提とするものであるところ,PSFC対象部分を被告らが占有,使用していると認めるのには疑問があることは,これまで判示したとおりであり,PSFC制度の導入が原告の一存で決められないことをもって,先の認定判断を左右することはできない。むしろ,被告らが指摘するように,原告の主張を前提にする限り,被告らのPSFC対象部分の使用形態及び狭義の共用部分の使用状況に変化がないにもかかわらず,PSFC制度を導入すれば不当利得は成立しないが,PSFC制度を導入しなければ不当利得が成立することになり,不当利得の成否がPSFC制度導入の有無により左右されることになり,不合理の感を否めない。 (4) 以上の事実を前提に考えると,本件全証拠を総合しても,被告らがPSFC対象部分を占有又は使用し,利得を得ていると認めることはできない。したがって,その余の点について判断するまでもなく,被告らがA空港の新ターミナルビルのPSFC対象部分を占有,使用することにより利得を得ていることを前提とする原告の本訴不当利得返還請求は,いずれも理由がない。 (5) 加うるに,新ターミナルビルの供用を被告らに認めたこと自体は,原告の認めるところであり,本訴で被告らが利得したとされるのがPSFC対象部分を占有,使用したことにかかる経済的利益であるというから,本来,本件は契約法理で解決されるべき問題であり,本件について不当利得の法理を用いること自体に疑問がある。また,前記第4・1の認定事実によれば,原告が,交渉開始時,航空事業を営む営利法人である被告らの事業の採算性を軽視し,旧ターミナルビルの使用料の約5倍にも上る 得の法理を用いること自体に疑問がある。また,前記第4・1の認定事実によれば,原告が,交渉開始時,航空事業を営む営利法人である被告らの事業の採算性を軽視し,旧ターミナルビルの使用料の約5倍にも上る巨額な新ターミナルビルの使用料を請求したため,被告ら航空会社は交渉の当初より,PSFC制度の導入を求めたのに対し,原告においては,世論の反発をおそれて,その採用に消極的な姿勢を示していたことに加え,PSFC制度は新ターミナルビルの供用が開始された平成11年4月9日以前の同年1月18日にはA空港に導入することが可能であったのであり,同じころ供用開始を目指していた同じ第2種のH空港が,新ターミナルビルの供用開始と同時にPSFC制度の導入を果たしたことに照らして考えると,PSFC制度の導入が遅れたのは,原告自らの判断や原告に対する出資者であるB県及びI市との交渉経緯にも一因があったことは否定できない。そうであるとすると,原告の被告らに対する不当利得返還請求を認めることは,PSFC制度の導入の遅れの責任を被告らに転嫁することにほかならず,相当でないというべきであって,この観点からも原告の本訴請求は理由がないというべきである。 第5 結論以上によれば,原告の請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとし,訴訟費用の負担について民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第4部裁判長裁判官深見敏正裁判官吉田彩裁判官林啓治郎 裁判官林啓治郎

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