令和4(行ウ)67 通知処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
令和6年7月18日 名古屋地方裁判所
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判決文本文22,131 文字)

令和6年7月18日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和4年(行ウ)第67号通知処分取消請求事件口頭弁論終結日令和6年5月23日判決主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 熱田税務署長が令和元年10月15日付けでした、原告の平成25年4月1 日から平成26年3月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正の請求に対する更正をすべき理由がない旨の通知処分を取り消す。 2 熱田税務署長が令和2年5月13日付けでした、原告の平成26年4月1日から平成27年3月31日まで、平成27年4月1日から平成28年3月31日まで及び平成28年4月1日から平成29年3月31日までの各課税期間の消費税及 び地方消費税の各更正の請求に対する更正をすべき理由がない旨の各通知処分を取り消す。 第2 事案の概要(以下において用いる略語は、別紙略語一覧のとおりとする。)本件は、社会福祉法人である原告が、本件各課税期間の消費税等に係る確定申告について、原告が提供する本件各福祉サービスを利用して生産活動に従事する利用 者に対し支払った本件工賃を消費税法上の課税仕入れに係る支払対価の額に計上すべきであるとして、本件各更正の請求をしたところ、処分行政庁から、更正をすべき理由がない旨の本件各通知処分を受けたことから、被告を相手として、本件各通知処分の取消しを求める事案である。 1 関係法令等の定め (1) 消費税法 ア消費税法2条1項(平成27年9月30日以前に行った資産の譲渡等については、平成27年法律第9号による改正前のもの、平成27年10月1日以後に行った資産の譲渡等については、平成28年法律第15 ア消費税法2条1項(平成27年9月30日以前に行った資産の譲渡等については、平成27年法律第9号による改正前のもの、平成27年10月1日以後に行った資産の譲渡等については、平成28年法律第15号による改正前のもの。 以下、同項について同じ。)8号は、資産の譲渡等とは、事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供をいう旨を、同項9号は、課税資産 の譲渡等とは、資産の譲渡等のうち、同法6条1項の規定により消費税を課さないこととされるもの以外のものをいう旨をそれぞれ規定する。 イ消費税法2条1項12号は、課税仕入れとは、事業者が、事業として他の者から資産を譲り受け、若しくは借り受け、又は役務の提供(所得税法28条1項に規定する給与等を対価とする役務の提供を除く。)を受けること(当該他の者 が事業として当該資産を譲り渡し、若しくは貸し付け、又は当該役務の提供をしたとした場合に課税資産の譲渡等に該当することとなるもので、法律又は条約の規定により消費税が免除されるもの以外のものに限る。)をいう旨を規定する。 ウ消費税法6条1項(平成28年法律第15号による改正前のもの。以下、同項について同じ。)は、国内において行われる資産の譲渡等のうち、別表第一に 掲げるものには消費税を課さない旨を規定し、これを受けて同法別表第一7号ロは、消費税を課さない資産の譲渡等の一つとして、社会福祉法2条に規定する社会福祉事業として行われる資産の譲渡等(社会福祉法2条3項4号の2に規定する障害福祉サービス事業(障害者総合支援法5条7項、13項又は14項に規定する生活介護、就労移行支援又は就労継続支援を行う事業に限る。)において生産活動として の作業に基づき行われるもの及び政令で定めるものを除く。)を規定する。 エ消費税法 3項又は14項に規定する生活介護、就労移行支援又は就労継続支援を行う事業に限る。)において生産活動として の作業に基づき行われるもの及び政令で定めるものを除く。)を規定する。 エ消費税法30条(平成26年3月31日以前に行った課税仕入れについては、平成24年法律第68号2条による改正前のもの、平成26年4月1日以後平成27年9月30日以前に行った課税仕入れについては、平成27年法律第9号による改正前のもの、平成27年10月1日以後に行った課税仕入れについては、 平成27年法律第9号による改正後の平成24年法律第68号3条による改正前の もの。以下、同条について同じ。)1項柱書及び1号は、事業者が、国内において課税仕入れを行った場合は、当該課税仕入れを行った日の属する課税期間の課税標準額に対する消費税額から、当該課税期間中に国内において行った課税仕入れに係る消費税額(当該課税仕入れに係る支払対価の額に108分の6.3(平成24年法律第68号2条による改正前は105分の4)を乗じて算出した金額をいう。) の合計額を控除する旨を規定し、同条6項は、課税仕入れに係る支払対価の額とは、課税仕入れの対価の額(対価として支払い、又は支払うべき一切の金銭又は金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益の額とし、当該課税仕入れに係る役務の提供等を行う事業者に課されるべき消費税額及び当該消費税額を課税標準として課されるべき地方消費税額に相当する額を含む。)をいう旨を規定する。 (2) 障害者総合支援法ア障害者総合支援法5条1項(平成28年法律第65号による改正前のもの。ただし、平成26年3月31日以前については平成24年法律第51号による改正前のもの。)は、「障害福祉サービス」とは、生活介護、就労移行支援、就労 条1項(平成28年法律第65号による改正前のもの。ただし、平成26年3月31日以前については平成24年法律第51号による改正前のもの。)は、「障害福祉サービス」とは、生活介護、就労移行支援、就労継続支援等をいい、「障害福祉サービス事業」とは、障害福祉サービスを行う事業 をいう旨を規定する。 同条7項は、「生活介護」とは、常時介護を要する障害者につき、主として昼間において、障害者支援施設等において行われる入浴、排せつ又は食事の介護、創作的活動又は生産活動の機会の提供その他の厚生労働省令で定める便宜を供与することをいう旨を規定する。 同条13項(平成24年法律第51号による改正前は同条14項。以下、同項について同じ。)は、「就労移行支援」とは、就労を希望する障害者につき、厚生労働省令で定める期間にわたり、生産活動その他の活動の機会の提供を通じて、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の厚生労働省令で定める便宜を供与することをいう旨を規定する。 同条14項(平成24年法律第51号による改正前は同条15項。以下、同項に ついて同じ。)は、「就労継続支援」とは、通常の事業所に雇用されることが困難な障害者につき、就労の機会を提供するとともに、生産活動その他の活動の機会の提供を通じて、その知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の厚生労働省令で定める便宜を供与することをいう旨を規定する。 イ障害者総合支援法19条1項は、介護給付費、訓練等給付費等の支給を 受けようとする障害者等は、市町村の介護給付費等を支給する旨の決定 (支給決定)を受けなければならない旨を規定する。 ウ障害者総合支援法28条1項は、介護給付費等を支給する障害福祉サービスとして同項6号で生活介護を規定し、同条2項は、 付費等を支給する旨の決定 (支給決定)を受けなければならない旨を規定する。 ウ障害者総合支援法28条1項は、介護給付費等を支給する障害福祉サービスとして同項6号で生活介護を規定し、同条2項は、訓練等給付費等を支給する障害福祉サービスとして同項2号で就労移行支援、同項3号で就労継続支援を規定 する。 エ障害者総合支援法29条1項は、市町村は、同法19条1項の規定により支給決定を受けた障害者等(支給決定障害者等)が、都道府県知事が指定する障害福祉サービス事業を行う者(指定障害福祉サービス事業者)から当該指定に係る障害福祉サービス(指定障害福祉サービス)を受けたときは、厚生労働省令で定め るところにより、当該支給決定障害者等に対し、当該指定障害福祉サービスに要した費用(食事の提供に要する費用、居住若しくは滞在に要する費用その他の日常生活に要する費用又は創作的活動若しくは生産活動に要する費用のうち厚生労働省令で定める費用(特定費用)を除く。)について、介護給付費又は訓練等給付費を支給する旨を規定する。 オ障害者総合支援法43条2項は、指定障害福祉サービス事業者は、都道府県の条例で定める指定障害福祉サービスの事業の設備及び運営に関する基準に従い、指定障害福祉サービスを提供しなければならない旨を規定する。 (3) 総合支援法施行規則ア総合支援法施行規則2条の6は、生活介護の厚生労働省令で定める便宜 は、入浴、排せつ及び食事等の介護、調理、洗濯及び掃除等の家事、生活等に関す る相談及び助言その他の必要な日常生活上の支援並びに創作的活動及び生産活動の機会の提供その他の身体機能又は生活能力の向上のために必要な支援とする旨を規定する。 イ総合支援法施行規則6条の9(平成30年厚生労働省令第31号に 日常生活上の支援並びに創作的活動及び生産活動の機会の提供その他の身体機能又は生活能力の向上のために必要な支援とする旨を規定する。 イ総合支援法施行規則6条の9(平成30年厚生労働省令第31号による改正前のもの。ただし、平成26年3月31日以前は平成25年厚生労働省令第1 24号による改正前のもの。)は、就労移行支援の厚生労働省令で定める便宜は、就労を希望する65歳未満の障害者であって、通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれるものにつき、生産活動、職場体験その他の活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練、求職活動に関する支援、その適性に応じた職場の開拓、就職後における職場への定着のために必要な相談そ の他の必要な支援とする旨を規定する。 ウ総合支援法施行規則6条の10(平成26年3月31日以前は平成25年厚生労働省令第124号による改正前のもの。)は、就労継続支援の厚生労働省令で定める便宜について、次に掲げる区分に応じて定める便宜とする旨を規定する。 (ア) 就労継続支援A型(第1 号) 通常の事業所に雇用されることが困難であって、雇用契約に基づく就労が可能である者に対して行う雇用契約の締結等による就労の機会の提供及び生産活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の必要な支援(イ) 就労継続支援B型(第2号) 通常の事業所に雇用されることが困難であって、雇用契約に基づく就労が困難である者に対して行う就労の機会の提供及び生産活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の必要な支援(4) 総合支援法事業基準障害者総合支援法43条等の規定に基づき定められている総合支援法事業基準の 規定 提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の必要な支援(4) 総合支援法事業基準障害者総合支援法43条等の規定に基づき定められている総合支援法事業基準の 規定は次のとおりである。 ア趣旨総合支援法事業基準1条は、障害者総合支援法43条3項等の厚生労働省令で定める基準は次の各号に掲げる基準に応じ、それぞれ当該各号の定める規定による基準とする旨を規定し、同事業基準1条7号(平成30年厚生労働省令第2号による改正前のもの。ただし、平成26年3月31日以前は平成25年厚生労働省令第1 24号による改正前のもの。)は、障害者総合支援法43条2項の規定により、同条3項3号に掲げる事項について都道府県が条例で定めるに当たって従うべき基準として、同事業基準85条、190条、192条、201条等を掲げる。 また、同事業基準1条9号(平成30年厚生労働省令第2号による改正前のもの。)は、障害者総合支援法43条2項等の規定により、同条3項各号に掲げる事項以外 の事項について、都道府県が条例で定めるに当たって参酌すべき基準は、同事業基準に定める基準のうち、同事業基準1条1号ないし8号に定める規定による基準以外のものである旨を規定する。 イ生活介護(ア) 利用者負担額等の受領 総合支援法事業基準82条1項は、生活介護に係る指定障害福祉サービス(指定生活介護)の事業を行う者(指定生活介護事業者)は、指定生活介護を提供した際は、支給決定障害者から当該指定生活介護に係る利用者負担額(同事業基準2条12号)の支払を受けるものとする旨を規定する。 (イ) 生産活動 総合支援法事業基準84条1 項は、指定生活介護事業者は、生産活動の機会の提供に当たっては、地域の実情並びに製品及び 2条12号)の支払を受けるものとする旨を規定する。 (イ) 生産活動 総合支援法事業基準84条1 項は、指定生活介護事業者は、生産活動の機会の提供に当たっては、地域の実情並びに製品及びサービスの需給状況等を考慮して行うように努めなければならない旨を、同条2項は、生産活動に従事する者の作業時間、作業量等がその者に過重な負担とならないように配慮しなければならない旨を、同条3項は、生産活動の能率の向上が図られるよう、利用者の障害の特性等を踏まえ た工夫を行わなければならない旨をそれぞれ規定する。 (ウ) 工賃の支払総合支援法事業基準85条は、指定生活介護事業者は、生産活動に従事している者に、生産活動に係る事業の収入から生産活動に係る事業に必要な経費を控除した額に相当する金額を工賃として支払わなければならない旨を規定する。 ウ就労移行支援 総合支援法事業基準184条(平成30年厚生労働省令第2号による改正前のもの。ただし、平成26年3月31日以前は平成25年厚生労働省令第124号による改正前のもの。)は、同事業基準84条、85条、159条(利用者負担額等の受領)等の規定は、就労移行支援に係る指定障害福祉サービス(指定就労移行支援)の事業について準用する旨を規定する。 エ就労継続支援A型総合支援法事業基準190条1項は、就労継続支援A型に係る指定障害福祉サービス(指定就労継続支援A型)の事業を行う者(指定就労継続支援A型事業者)は、指定就労継続支援A型の提供に当たっては、利用者(同事業基準2条1号)と雇用契約を締結しなければならない旨を規定する。 同事業基準192条2項(平成29年厚生労働省令第5号による改正前のもの。)は、指定就労継続支援A型事業者は、生産活動に係る事業の収入 号)と雇用契約を締結しなければならない旨を規定する。 同事業基準192条2項(平成29年厚生労働省令第5号による改正前のもの。)は、指定就労継続支援A型事業者は、生産活動に係る事業の収入から生産活動に係る事業に必要な経費を控除した額に相当する金額を工賃として支払わなければならない旨を規定する。 同事業基準197条(平成29年厚生労働省令第5号による改正前のもの。)は、 同事業基準159条等の規定は、指定就労継続支援A型の事業について準用する旨を規定する。 オ就労継続支援B型総合支援法事業基準201条1項は、就労継続支援B型に係る指定障害福祉サービス(指定就労継続支援B型)の事業を行う者(指定就労継続支援B型事業者)は、 利用者に、生産活動に係る事業の収入から生産活動に係る事業に必要な経費を控除 した額に相当する金額を工賃として支払わなければならない旨を、同条2項は、同条1項の規定により利用者それぞれに対し支払われる1月当たりの工賃の平均額は、3000円を下回ってはならない旨をそれぞれ規定する。 同事業基準202条は、同事業基準84条、159条等の規定は、指定就労継続支援B型の事業について準用する旨を規定する。 2 前提事実(争いのない事実及び証拠等により容易に認められる事実。なお、証拠を摘示する場合には、特に記載のない限り、枝番を含むものとする。)(1) 当事者原告は、障害を持つ利用者が自立した日常生活を地域社会において営むことができるよう支援することなどを目的として、昭和47年3月に設立された社会福祉法 人である。 原告は、平成25年4月1日から平成29年3月31日までの間、いずれも名古屋市内又は愛知県内(名古屋市以外)に所在し、障害者総合支援法29条1項の指定を受 設立された社会福祉法 人である。 原告は、平成25年4月1日から平成29年3月31日までの間、いずれも名古屋市内又は愛知県内(名古屋市以外)に所在し、障害者総合支援法29条1項の指定を受けた13の事業所(本件各事業所)において、同指定に係る生活介護、就労移行支援及び就労継続支援B型(就労継続支援B型等)の各障害福祉サービス(本 件各福祉サービス)に係る事業を行っていた。 (2) 利用者による生産活動及び本件工賃の支払ア原告は、本件各事業所において、利用者に対して本件各福祉サービスを提供する一方、希望する利用者に生産活動の場を提供し、当該利用者が提供する役務によって生産した商品を市場で売却するなどし、その売却益等のうちの一定部分 を本件工賃として利用者に支払っている。 イ原告は、本件各課税年度において、別紙生産活動一覧のとおり、本件各事業所ごとに各「サービス区分」欄記載の各福祉サービスを提供し、生産活動に従事した利用者に対し、本件工賃を支払った。 なお、本件各課税年度において、本件各事業所の利用者が従事した生産活動の内 容は、同一覧の「作業グループ」及び「作業内容」欄記載のとおりであった。 (3) 本件訴訟に至る経緯ア原告は、本件各課税期間の消費税等について、各法定申告期限内に、別表の「確定申告」欄のとおり記載した確定申告書を提出した。原告は、これらの確定申告において、本件各課税期間に支払った本件工賃の額を課税仕入れに係る支払対価の額に含めていなかった。 イ原告は、令和元年5月30日、平成26年3月課税期間の消費税等について、本件各福祉サービスを利用して生産活動に従事する利用者に対し支払った本件工賃を消費税法上の課税仕入れに係る支払対価の額に計上していな は、令和元年5月30日、平成26年3月課税期間の消費税等について、本件各福祉サービスを利用して生産活動に従事する利用者に対し支払った本件工賃を消費税法上の課税仕入れに係る支払対価の額に計上していなかったとして、別表の「更正の請求」欄のとおり、同期間中に支払った本件工賃の額に応じた消費税額を「控除税額」に加算して、納付すべき消費税額等を算定すべき旨の更正の請 求をした。(乙3の1)ウ処分行政庁(熱田税務署長)は、令和元年10月15日付けで、前記イの更正の請求に対し、更正をすべき理由がない旨の通知処分をした。 エ原告は、令和2年1月10日付けで、再調査審理庁(熱田税務署長)に対し、前記ウの通知処分の取消しを求める再調査の請求をした。 オ原告は、令和2年2月28日、平成27年3月課税期間、平成28年3月課税期間及び平成29年3月課税期間の消費税等について、前記イと同様の理由で、それぞれ別表の「更正の請求」欄のとおり、各期間中に支払った本件工賃の額に応じた消費税額を「控除税額」に加算して、納付すべき消費税額等を算定すべき旨の各更正の請求をした。(乙3の2~4) カ再調査審理庁は、令和2年4月9日付けで、前記エの再調査の請求を棄却する旨の再調査決定をした。 キ原告は、令和2年4月27日、国税不服審判所長に対し、再調査決定を経た後の前記ウの通知処分の取消しを求める審査請求をした。 ク処分行政庁は、令和2年5月13日付けで、前記オの各更正の請求に対 し、更正をすべき理由がない旨の各通知処分をした。 ケ原告は、令和2年6月2日、国税不服審判所長に対し、前記クの各通知処分の取消しを求める審査請求をし、同審査請求は前記キの審査請求と併合 き理由がない旨の各通知処分をした。 ケ原告は、令和2年6月2日、国税不服審判所長に対し、前記クの各通知処分の取消しを求める審査請求をし、同審査請求は前記キの審査請求と併合された。 コ国税不服審判所長は、令和4年2月4日付けで、前記ケで併合された各審査請求をいずれも棄却する旨の裁決をした。 サ原告は、令和4年7月19日、本件訴えを提起した。 3 争点及びこれに関する当事者の主張本件の争点は、本件工賃が消費税法30条1項に規定する課税仕入れに係る支払対価に該当するかであり、これに関する当事者の主張は以下のとおりである。 (原告の主張)(1) 本件工賃は、利用者が行った生産活動に係る就労の時間、日数、能力等に よって支払われるものであり、「役務の提供」(消費税法2条1 項12号)に対する対価であるから、原告が本件各課税期間において支払った本件工賃は、本件各課税期間の課税仕入れに対する支払対価の額に該当する。利用者が行う生産活動に係る作業は、社会的に有用な活動であり、一般経済社会において相応の評価を受けており、その実態、作業の性質、社会において占める位置からして、正に「役務の提供」 である。 (2) 本件工賃が生産活動によって生じたという対応関係は不要であることア被告が主張する「本件工賃が生産活動によって生じたという対応関係」は条文上要求されておらず、いかなる関係を意味するのか判然とせず、納税者に不利な限定解釈であるから、課税要件法定主義、課税要件明確主義、租税法の解釈原 理に反し、許されない。 イ仮に対応関係が必要であるとしても、当該個別具体的な役務提供があることを条件として当該経済的利益が収受されるといい得る対応関係があれば、それ以上の要件は要求 理に反し、許されない。 イ仮に対応関係が必要であるとしても、当該個別具体的な役務提供があることを条件として当該経済的利益が収受されるといい得る対応関係があれば、それ以上の要件は要求されていないものと解するのが相当である。 本件において、生産活動に従事しない利用者には工賃は一切支払われていないか ら、生産活動への従事と本件工賃の支払との間には、上記対応関係が存在している。 (3) 本件工賃が生産活動によって生じたという対応関係があること仮に、被告が主張する「本件工賃が生産活動によって生じたという対応関係」を前提としたとしても、以下のとおり、当該要件を充足する。 ア就労継続支援B型等においては、利用者が、障害福祉サービスを利用するにあたり、介護を受けることに加えて生産活動に従事することを選択して利用契 約(準委任契約)を締結した場合のみ、生産活動に従事し、工賃の支払を受けることができるところ、生産活動はあくまでも事業として行われるため、事業者及び利用者の双方に契約内容の遵守が求められ、利用者は、その能力に応じて、利用契約で定められた時間、内容の生産活動に能動的、積極的に取り組むことが制度上予定され、工賃は利用契約及び利用者による実際の就労に基づき、その対価として支払 われるものであるから、これらが障害福祉サービスの一環として行われるものとはいえない。 イ原告においては、利用者の経験、技能、意欲等によって賃金単価に差異が設けられており、利用者それぞれによって異なる賃金単価に作業時間を乗じて計算した賃金を収受しており、こうした実情からすれば、本件工賃は利用者自身の働 きによって獲得しているものであって分配などではなく、また、事業者が生産活動に係る事業から利益を享受することが予定 算した賃金を収受しており、こうした実情からすれば、本件工賃は利用者自身の働 きによって獲得しているものであって分配などではなく、また、事業者が生産活動に係る事業から利益を享受することが予定されていないとしても、事業者は、利用者の働きによって市場で売却可能なサービスや物品を作出し、これを市場で売却して売上を得ていることも考慮すれば、生産活動が障害福祉サービスの一環として行われるものではなく、利用者による役務の提供であることは明らかである。 ウ社会福祉法人会計基準運用通知の別紙である就労支援事業製造原価明細書において、「利用者工賃」は「労務費」という勘定科目に含まれているところ、これは本件工賃が売上に対応する費用(対価)であることを当然の前提とするものであり、同通知が利用者による役務提供と本件工賃の対応関係を認めていることの現れである。 エ総合支援法事業基準における就労継続支援A型と同B型の規定を比較し た場合、「賃金」と「工賃」という文言を除きほぼ同一の文言で規定されており、就労継続支援A型と同B型で異なるのは、雇用契約を結ぶかどうかの法形式の違いにすぎない。同事業基準192条3項の規定は、就労継続支援B型の利用者が、雇用契約を締結せずに就労継続支援A型を利用する場合に適用されるものであり、国が就労継続支援A型による役務提供と、就労継続支援B型による役務提供を同一の ものと捉えていることを前提にするから、本件工賃は就労継続支援A型の賃金と同じく対価性が認められるべきである。 オ消費税法上、障害福祉サービス事業における利用者の生産活動としての作業に基づいて行われる資産の譲渡等は、非課税とされる社会福祉事業の範囲から除かれて課税対象とされていることに照らせば、当該事業における工賃も収入に対 祉サービス事業における利用者の生産活動としての作業に基づいて行われる資産の譲渡等は、非課税とされる社会福祉事業の範囲から除かれて課税対象とされていることに照らせば、当該事業における工賃も収入に対 応する原価として課税取引として取り扱うのが筋であり、こうすることによって首尾一貫した課税関係が行われることになる。 カ以上のとおり、本件工賃の支払は、利用者の生産活動への従事に対する報酬であるから、本件工賃は生産活動による成果物の販売代金に転嫁可能な程度に結びついているといえ、本件工賃が生産活動によって生じたという対応関係が認め られる。 (4) よって、本件工賃は、課税仕入れに係る支払対価に該当する。 (被告の主張)(1) 本件工賃が生産活動によって生じたという対応関係が必要であること消費税は、消費税法2条1項8号で定義される「資産の譲渡等」を課税対象とし、 課税標準額に対する消費税額から課税仕入れに係る消費税額を控除することにより、課税の累積を排除する仕組みがとられている。この課税の仕組みは、消費税が消費そのものにではなく消費支出に担税力を求めて課税する付加価値税の類型に属する多段階一般消費税として規定されていることを反映したものである。 このような、消費税の性格及び課税の仕組みからすれば、消費税法は、ある支払 (経済的利益の収受)が転嫁が可能なほどに個別具体的な役務の提供等と結びつい ている場合に課税対象とする趣旨であると考えられることから、消費税法2条1項8号の「対価を得て行われる…役務の提供」とは、具体的役務提供によって支払が生じたという対応関係が認められるような役務の提供を意味し、その対応関係については、支払義務及び内容が個別具体的な役務提供との関係でどのように定められているかを踏 とは、具体的役務提供によって支払が生じたという対応関係が認められるような役務の提供を意味し、その対応関係については、支払義務及び内容が個別具体的な役務提供との関係でどのように定められているかを踏まえて判断されるものと解され、無償による役務の提供は資産の譲渡 等に該当しないと解される。 そうすると、本件において重要なのは本件工賃が利用者の生産活動によって生じたという対応関係が認められるか否かであり、生産活動への従事が「役務の提供」に当たるか否かではなく、生産活動が有用であるかは結論に影響を与えないというべきである。 (2) 本件工賃が生産活動によって生じたという対応関係は認められないことア就労継続支援B型等においては、就労継続支援A型と異なり、利用契約に加え、生産活動への従事について別個の契約を締結することは制度上予定されておらず、指定障害福祉サービス事業者と利用者は、利用契約による基本的な枠組みのとおりの法律関係に立つものであることから、生産活動の機会の提供は、利用契 約によって、利用者の知識及び能力の向上のために必要な訓練等の便宜供与として提供されるものであり、生産活動への従事は利用者自身の訓練等として、障害福祉サービスの一環として行われるものである。 イまた、就労継続支援B型等の利用者は、生産活動に従事する法的義務を負わず、従事する場合も作業時間や作業量等は利用者の自由であり何ら制約を受け ないのに対し、指定障害福祉サービス事業者には様々な法的義務が課せられていることからも、利用者の生産活動への従事が、指定障害福祉サービス事業者が主体となって行う障害福祉サービスの一環であるといえる。 ウさらに、工賃は、生産活動に係る事業の収入から生産活動に係る事業に必要な経費を控除した残額について、指定障害福 定障害福祉サービス事業者が主体となって行う障害福祉サービスの一環であるといえる。 ウさらに、工賃は、生産活動に係る事業の収入から生産活動に係る事業に必要な経費を控除した残額について、指定障害福祉サービス事業者に利益を享受さ せることなく就労継続支援B型等の各利用者に分配するもので、制度上、各利用者 への分配額を、作業時間や作業量、作業内容等と比例させることが必要とされていないことからも、利用者が生産活動に従事して役務を提供した対価として工賃を受領しているとはいえず、工賃支払を含む生産活動の機会が障害福祉サービスの一環として提供されているといえる。 エ以上のとおり、指定障害福祉サービス事業者は、障害福祉サービスの一 環として工賃支払を含む生産活動の機会を提供しているのであって、工賃支払と生産活動への従事が対応しているものではないことからすると、工賃は、障害福祉サービスの一部分を構成するにすぎない。そのため、本件工賃は、生産活動による成果物の販売代金に転嫁可能な程度に生産活動への従事と結びついておらず、対応関係は認められない。 また、工賃は、生産活動に係る事業の収入から生産活動に係る事業に必要な経費を控除した残額を生産活動に従事した各利用者に内部的に分配する性質のものであるということからしても、外注費等と異なり成果物の販売代金に転嫁する必要がある支出には当たらないため、生産活動への従事との対応関係は認められない。 (3) よって、本件工賃は、課税仕入れに係る支払対価に該当しない。 第3 当裁判所の判断 1 消費税の仕組み及び性格消費税法は、事業を行う個人及び法人(事業者)が行った資産の譲渡等を消費税の課税対象とし(4条1項)、この資産の譲渡等とは、事業として対価を得て行われる資産の 判断 1 消費税の仕組み及び性格消費税法は、事業を行う個人及び法人(事業者)が行った資産の譲渡等を消費税の課税対象とし(4条1項)、この資産の譲渡等とは、事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供をいうものとしている(2条1項8号)。 また、資産の譲渡等のうち同法6条1項の規定により消費税を課さないとされるもの以外のもの(課税資産の譲渡等)に係る消費税の課税標準は、課税資産の譲渡等の対価の額とし(28条2項)、ただし、事業者は、事業として他の者から資産を譲り受け、若しくは借り受け、又は役務の提供を受けた者(課税仕入れ)については、課税標準額に対する消費税額から、当該課税仕入れに係る消費税額を控除する こととしている(30条)。 以上のとおり、消費税等は、消費に広く薄く負担を求めるという観点から、ほとんどすべての国内取引や外国貨物を課税対象として、一定の税率で課税される間接税として設定され、事業者に負担を求めるのでなく、税金分は事業者の販売する物品やサービスの価格に上乗せされて次々と転嫁され、最終的には消費者に負担を求めるものとされ、生産、流通の各過程で多重に課税されることを避けるため、売上 に係る消費税額から仕入れに係る消費税額を控除することにより、税が累積しないような仕組みがとられている。このような課税の仕組みは、消費税が消費そのものにではなく消費支出に担税力を求めて課税する、付加価値税の類型に属する多段階一般消費税として規定されていることを反映したものである。 2 「課税仕入れ」等の意義 (1) 消費税法は、「課税仕入れ」について、事業として他の者から資産を譲り受け、若しくは借り受け、又は役務の提供を受けること(他の者が事業として役務の提供等をしたとした場合に 」等の意義 (1) 消費税法は、「課税仕入れ」について、事業として他の者から資産を譲り受け、若しくは借り受け、又は役務の提供を受けること(他の者が事業として役務の提供等をしたとした場合に課税資産の譲渡等に該当するもの)と定める(2条1項12号)から、ある支払が課税仕入れに係る支払対価に該当するためには、当該支払を受ける者が事業として役務の提供等をしたとした場合に、当該支払が当該役務 提供等の「対価」(同項8号)と認められる必要がある。 そして、上記説示した消費税の性格及び課税の仕組みからすれば、消費税法は、ある支払が転嫁が可能な程度に個別具体的な役務の提供等と結びついている場合に課税対象とする趣旨であり、同号の「対価を得て行われる・・・役務の提供」とは、具体的役務提供によって支払が生じたという対応関係が認められるような役務の提 供を意味するものと解される。 したがって、ある支払が課税仕入れに係る支払対価として仕入額控除の対象となるのは、当該支払が個別具体的な役務の提供を受けたことによって生じたという対応関係が認められることが必要となるというべきである。 (2) この点、原告は、収受される経済的利益が消費税の課税要件としての資産 の譲渡等における「対価」に該当するためには、当該個別具体的な役務提供がある ことを条件として当該経済的利益が収受されるといい得る対応関係があれば足り、それ以上の要件は要求されていない旨主張する。しかしながら、上記説示した消費税の性格及び課税の仕組みに鑑みると、役務の提供の機会に収受される経済的利益と当該役務の提供との間に原告の主張するような条件関係が存するとしても、転嫁可能な程度に個別具体的な役務の提供と結びついていない場合には、これを課税仕 入れに係る支払対価と 収受される経済的利益と当該役務の提供との間に原告の主張するような条件関係が存するとしても、転嫁可能な程度に個別具体的な役務の提供と結びついていない場合には、これを課税仕 入れに係る支払対価として税の累積を排除する必要はないから、当該経済的利益が当該役務の提供の反対給付としての性質を有しない場合には、当該経済的利益の収受は役務の提供の対価には該当しないというべきであり、原告の上記主張を採用することはできない。 なお、原告は、「本件工賃が生産活動によって生じたという対応関係」は条文上要 求されていないことなどから、これを要求することは、課税要件法定主義、課税要件明確主義、租税法の解釈原理に反する旨主張するが、租税法であってもその規定の意味内容を解釈によって明らかにすることが許されるのは当然であり、また、上記要件が不明確であるともいえないから、課税要件法定主義等に反するとはいえず、原告の主張を採用することはできない。 3 争点(本件工賃が消費税法30条1項に規定する課税仕入れに係る支払対価に該当するか。)について上記2で説示したところを踏まえて、本件工賃が消費税法30条1項に規定する課税仕入れに係る支払対価に該当するか否かを検討する。 (1) 本件各事業所における生産活動の位置付け 障害者総合支援法によれば、指定障害福祉サービス事業者は、利用者に対して条例で定める設備、運営に関する基準に従い障害福祉サービスを提供しなければならないとされ(43条2項)、利用者は、市町村の介護給付費、訓練等給付費等を支給する旨の決定を受けた上で、指定障害福祉サービス事業者から障害福祉サービスを受けるとされており(19条1項、28条1項6号、同条2項2号及び3号、2 9条1項)、原告の利用契約書(甲2)においても、利用者 を受けた上で、指定障害福祉サービス事業者から障害福祉サービスを受けるとされており(19条1項、28条1項6号、同条2項2号及び3号、2 9条1項)、原告の利用契約書(甲2)においても、利用者が本件各事業所の提供す る障害福祉サービス等を受け、それに対する利用料金を原告に支払うとされていることからすれば、原告と本件各事業所の利用者との関係は、利用契約に基づいて原告が本件各福祉サービスを供与しその対価を受け、利用者が対価を支払って本件各福祉サービスの提供を受けるものといえる。 そして、同法によれば、障害福祉サービスには生活介護、就労移行支援及び就労 継続支援が含まれ(5条1項)、生活介護とは、障害者支援施設等において行われる入浴、排せつ又は食事の介護、創作的活動又は生産活動の機会の提供その他の便宜を供与することとされ(同条7項、総合支援法施行規則2条の6)、就労移行支援とは、就労を希望する障害者につき、生産活動その他の活動の機会の提供を通じて、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の便宜を供与する こととされ(5条13項、同施行規則6条の9)、就労継続支援とは、通常の事業所に雇用されることが困難な障害者につき、就労の機会を提供するとともに、生産活動その他の活動の機会を通じて、その知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の便宜を供与することとされており(5条14項、同施行規則6条の10)、生産活動の機会の提供は、事業者が利用者に対して供与すべき便宜の一つとして法 律上義務付けられているが、他方、利用者において生産活動に従事することは法律上義務付けられていない。 また、事業者には、総合支援法事業基準により、生産活動の機会の提供に当たって、地域の実情並びに製品及びサービスの需給状況等を考慮 利用者において生産活動に従事することは法律上義務付けられていない。 また、事業者には、総合支援法事業基準により、生産活動の機会の提供に当たって、地域の実情並びに製品及びサービスの需給状況等を考慮し、生産活動に従事する者の作業時間、作業量等がその者に過重な負担とならないように配慮し、利用者 の障害の特性等を踏まえた工夫を行わなければならないといった法的義務が課せられ(84条、184条、202条)、平成18年課長通知(乙17)においても、就労継続支援B型の利用者に対して留意すべき事項として、利用者の出欠、作業時間、作業量等が利用者の自由であること、各障害者の作業量が予約された日に完成されなかった場合にも、工賃の減額、作業員の割当の停止、資格剥奪等の制裁を課 さないものであること、生産活動において実施する支援は、作業に対する技術的指 導に限られ、指揮監督に関するものは行わないこと、利用者の技能に応じて工賃の差別が設けられていないことが挙げられていることなどによれば、利用者はあくまでも生産活動の機会の提供という障害福祉サービスを受ける立場にあるというべきであり、現に、利用契約書(甲2)においても、原告が提供する障害福祉サービスの内容として、「生産活動の機会の提供(生産活動にともなう工賃支払含)」と記 載され(第4条)、原告の運営規程(甲1)や重要事項説明書(甲3)にも同旨の記載がされている。 以上によれば、本件各作業所の利用者は、原告により提供される本件各福祉サービス利用の一環として、自らの知識及び能力の向上等のための訓練として生産活動に従事しているというべきである。 (2) 本件工賃の位置付け総合支援法事業基準によれば、指定障害福祉サービス事業者は、生産活動に従事した就労継続支援B型等の利 訓練として生産活動に従事しているというべきである。 (2) 本件工賃の位置付け総合支援法事業基準によれば、指定障害福祉サービス事業者は、生産活動に従事した就労継続支援B型等の利用者に対し、生産活動に係る事業の収入から生産活動に係る事業に必要な経費を控除した額に相当する金額を工賃として支払わなければならないとされ(85条、184条、201条)、指定障害福祉サービス事業者が 生産活動に係る事業から利益を収受することは予定されていない。 他方、上記のとおり平成18年課長通知(乙17)において、作業量等は利用者の自由であり、利用者の技能に応じた工賃の差別は設けず、作業量に伴う工賃の減額等もしないことに留意する旨が通知されていることからすれば、就労継続支援B型等の利用者は、その作業内容や作業量にかかわらず、生産活動に従事したことを もって、生産活動に係る事業の収入から生産活動に係る事業に必要な経費を控除した残額について、工賃として支払を受けることができる。 また、利用契約書(甲2)においても、原告が提供する障害福祉サービスの内容として「生産活動の機会の提供(生産活動にともなう工賃支払含)」と記載され、工賃支払について、原告が利用者に提供すべき障害福祉サービスの一つである生産 活動の機会の提供に含まれているとの理解が示されている。 以上によれば、本件各事業所の利用者は、原告との間で、請負、委任等の契約を締結して生産活動に従事し、原告に役務を提供した反対給付として本件工賃を受領しているのではなく、原告による本件各福祉サービスの一環として、生産活動に係る事業の収入から生産活動に係る事業に必要な経費を控除した残額(剰余金)の分配として本件工賃を受領していると認めるのが相当である。 (3) 小 よる本件各福祉サービスの一環として、生産活動に係る事業の収入から生産活動に係る事業に必要な経費を控除した残額(剰余金)の分配として本件工賃を受領していると認めるのが相当である。 (3) 小括以上のとおり、原告は、本件各福祉サービスの一環として、本件各事業所の利用者に対し、工賃支払を含む生産活動の機会を提供しているものであって、本件工賃は生産活動による成果物の販売代金に転嫁可能な程度に生産活動への従事と結びついているとはいえないから、本件工賃の支払が利用者による役務の提供に対する反 対給付であるとは認められず、本件工賃の支払は、生産活動への従事に伴う役務の提供を受けたことに対応しているとはいえない。したがって、本件工賃が消費税法30条1項に規定する課税仕入れに係る支払対価に該当すると認めることはできない。 (4) 原告の主張について ア原告は、本件工賃は利用契約及び利用者による実際の就労に基づき、その対価として支払われるものであるから、これらが障害福祉サービスの一環として行われるものとはいえない旨主張し、これに沿う証拠(甲17、20、48~51)を提出する。この点、当裁判所としても、本件各事業所の利用者らが真摯に生産活動に従事し、その結果として本件工賃の支払を受け、当該生産活動の成果が社会的 に有用であること自体を否定するものではないが、本件においては、本件工賃が消費税法上の課税仕入れに係る支払対価に該当するか否かという税法上の取扱いが争点となっており、その判断の前提となる就業継続支援B型等における生産活動及び工賃の法的位置付けについては、障害者総合支援法及び関係法令によって規定されているのであるから、本件各事業所における利用者らの生産活動の実態やこれに対 する社会的な評価そのものが、当該争点の 工賃の法的位置付けについては、障害者総合支援法及び関係法令によって規定されているのであるから、本件各事業所における利用者らの生産活動の実態やこれに対 する社会的な評価そのものが、当該争点の判断に直接影響を及ぼすものとはいえず、 原告の上記主張によっても上記(3)の結論が左右されるものとはいえない。 イ次に、原告は、本件各事業所の利用者は、経験、技能、意欲等に応じた異なる賃金単価に作業時間を乗じて計算した賃金を収受し(甲7~10)、また、指定障害福祉サービス事業者は、利用者の働きによって作出されたサービスや物品を市場で売却して売上を得ているから、生産活動が障害福祉サービスの一環として 行われるものではない旨主張する。 しかしながら、原告において本件工賃の支払額を利用者の作業時間や能力に応じて決定しているとしても、それは単に利用者間の工賃の分配方法を定めたもので、生産活動に係る事業の収入から生産活動に係る事業に必要な経費を控除した額に相当する金額を工賃として支払うという枠組みの中での原告の内部的な取扱いにすぎ ず、同取扱いによって障害者総合支援法その他の関係法令に従って定められた工賃の法的性質に影響が生じるものとはいえず、また、生産活動が事業として行われることをもって利用者による生産活動の法的性質が決定されるという関係にあるとも認められないから、原告の主張を採用することはできない。 ウまた、原告は、社会福祉法人会計基準運用通知の別紙である就労支援事 業製造原価明細書(甲21)において、「利用者工賃」が「労務費」という勘定科目に含まれていることをもって、同通知が利用者による役務提供と本件工賃の対応関係を認めていることの現れである旨主張するが、同通知は会計上の取扱いを定めたものにすぎず、そのことが消 務費」という勘定科目に含まれていることをもって、同通知が利用者による役務提供と本件工賃の対応関係を認めていることの現れである旨主張するが、同通知は会計上の取扱いを定めたものにすぎず、そのことが消費税法上の課税仕入れに係る支払対価に該当するか否かという税法上の取扱いに直結するものとはいえず、総合支援法事業基準におい て、工賃は生産活動に係る事業の収入から生産活動に係る事業に必要な経費を控除した額に相当する金額を支払うこととされ(85条、184条、201条)、生産活動に係る事業に必要な経費を構成するものとはされていないことも考慮すると、原告の主張を採用することはできない。 エさらに、原告は、総合支援法事業基準において就労継続支援A型と同B 型の違いは雇用契約の有無のみであることなどから、本件工賃は就労継続支援A型 の賃金と同じく対価性が認められるべきである旨主張する。 しかしながら、雇用契約の有無は、賃金と工賃の法的性質の相違を基礎づける最も重要な点であるといえ、就労継続支援B型の利用者は、雇用契約を締結せず、生産活動に従事する義務を負わないことから、雇用契約を締結する就労継続支援A型の利用者とは異なり、障害福祉サービスの一環として工賃支払を含む生産活動の機 会の提供を受けているといえるのであって、その他の文言がほぼ同一であることをもって、就労継続支援A型による役務提供と就労継続支援B型による役務提供とを同一視することはできないから、原告の主張を採用することはできない。 オ加えて、原告は、生産活動としての作業に基づいて行われる資産の譲渡等が課税対象とされていることに照らせば、本件工賃も収入に対応する原価として 課税取引として取り扱うのが筋である旨主張する。 しかしながら、就労継続支援B型等を含む 基づいて行われる資産の譲渡等が課税対象とされていることに照らせば、本件工賃も収入に対応する原価として 課税取引として取り扱うのが筋である旨主張する。 しかしながら、就労継続支援B型等を含む障害福祉事業全体が非課税とされている中で、同事業における利用者の生産活動としての作業に基づいて行われる資産の譲渡等については、非課税とされる社会福祉事業の範囲から除かれ、課税対象とされている(消費税法6条1項、別表第一7号ロ)のは、当該資産の譲渡等を非課税 とすると、これらを購入した事業者にとっては課税仕入れに該当せず、仕入れに係る消費税額の控除の対象とはならないことから、これらの事業を行う事業者が取引から排除されるという状況が生じてきたこと等を考慮し、課税することとされたものであって、工賃支払を含む生産活動の機会の提供について、このような特別な社会政策的配慮をしなければならない事情はうかがわれない。 また、原告は、利用者に本件工賃を支払うに当たり消費税相当額を負担していないから、生産活動の成果物の支払対価に対する消費税の全額を納付することになっても当然であり、事業者間の取引における課税の累積を排除するという仕入税額控除の趣旨が妥当するともいえないから、本件工賃を収入に対応する原価として課税取引として取り扱うのが筋であるともいえない。 したがって、原告の上記主張を採用することはできない。 カその他、原告が縷々主張する点についても、いずれも本件工賃が課税仕入れに係る支払対価に該当する根拠になるものとは認められない。 4 本件各通知処分の適法性原告は、本件各通知処分の取消しを求めるに当たり、本件各課税期間に係る確定申告書に記載された事実(前提事実(3)ア)が真実と異なることを主張立証すべきと ころ 。 4 本件各通知処分の適法性原告は、本件各通知処分の取消しを求めるに当たり、本件各課税期間に係る確定申告書に記載された事実(前提事実(3)ア)が真実と異なることを主張立証すべきと ころ、前記3で説示したとおり、本件工賃は原告の課税仕入れに係る支払対価に該当するとは認められないから、本件各課税期間に係る確定申告書における控除対象仕入税額に誤りがあるとは認められず、ほかに同確定申告書記載の事実が真実と異なることをうかがわせる具体的な事情があるともいえない。 したがって、本件各通知処分はいずれも適法である。 第4 結論以上によれば、原告の請求はいずれも理由がないからこれらを棄却することとし、主文のとおり判決する。 名古屋地方裁判所民事第9部 裁判長裁判官剱持 亮 裁判官小野啓介 裁判官西尾信員 (別紙)指定代理人目録省略以上 (別紙)略語一覧(順不同)・消費税等消費税及び地方消費税・障害者総合支援法障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律 ・総合支援法施行規則障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行規則・総合支援法事業基準障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171 号)(乙6)・社会福祉法人会計基準運用通知社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の取扱いについて(平成28年3月31日雇児発0331第15号ほか、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長ほか連名 ・社会福祉法人会計基準運用通知社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の取扱いについて(平成28年3月31日雇児発0331第15号ほか、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長ほか連名通知)(乙21) ・平成18年課長通知 「就労継続支援事業利用者の労働者性に関する留意事項について」(平成18年10月2日障障発第1002003号厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課長通知、平成25年3月29日障障発0329第7号による改正後のもの)(乙17) ・平成26年3月課税期間平成25年4月1日から平成26年3月31日までの課税期間・平成27年3月課税期間平成26年4月1日から平成27年3月31日までの課税期間・平成28年3月課税期間平成27年4月1日から平成28年3月31日までの 課税期間 ・平成29年3月課税期間平成28年4月1日から平成29年3月31日までの課税期間・本件各課税期間平成26年3月課税期間、平成27年3月課税期間、平成28年3月課税期間及び平成29年3月課税期間・本件各更正の請求原告の処分行政庁に対する本件各課税期間の消費税等に係 る更正の請求・本件各通知処分処分行政庁が原告に対してした本件各更正の請求に対して更正をすべき理由がない旨の各通知処分・本件各事業所原告が、本件各課税期間において、名古屋市内又は愛知県内(名古屋市以外)で障害福祉サービスを行っていた13 の事業所(ゆたか作業所、みのり共同作業所、なるみ作業所、ゆたか希望の家、つゆはし作業所、リサイクルみなみ作業所、トライズ、ふれあい共同作業所、リサイクル港作業所、ワークセンターフレンズ星崎、あかつき共同作業所、第2ゆたか希望の家及びグループ 作業所、ゆたか希望の家、つゆはし作業所、リサイクルみなみ作業所、トライズ、ふれあい共同作業所、リサイクル港作業所、ワークセンターフレンズ星崎、あかつき共同作業所、第2ゆたか希望の家及びグループハウスなぐら) ・就労継続支援B型等生活介護、就労移行支援及び就労継続支援B型・本件各福祉サービス原告が提供する就労継続支援B型等の各障害福祉サービス・本件工賃原告が、生産活動に従事したサービスの利用者に対して支払う工賃・利用契約書 「指定障害福祉サービスゆたか作業所」(生活介護・就 労継続支援B)利用契約書(甲2)以上

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