令和5(わ)2194 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反、麻薬及び向精神薬取締法違反、大麻取締法違反、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律違反

裁判年月日・裁判所
令和6年11月7日 名古屋地方裁判所
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判決文本文2,842 文字)

主文 被告人を懲役3年及び罰金80万円に処する。 未決勾留日数中50日をその懲役刑に算入する。 その罰金を完納することができないときは、金5000円を1日に換算した期間被告人を労役場に留置する。 この裁判が確定した日から5年間その懲役刑の執行を猶予する。 名古屋地方検察庁で保管中の覚醒剤2袋(令和5年領第2775号符号1及び4)、大麻1袋(同号符号2)、コカイン1袋(同号符号3)、Δ9-THCH4点(同号符号7-1、10-1、11-1、17-1)、HHC2点(同号符号13-1、15-1)を没収する。 被告人から金1079万円(当該金1079万円は犯罪被害財産の価額)を追徴する。 理由 (罪となるべき事実)第1 被告人は、東京都新宿区甲町乙丁目丙番丁号戊所在のホストクラブ「A」のホストとして接客等の業務に従事していたものであるが、法定の除外事由がないのに、令和3年6月1日頃、同店内において、BがCからだまし取って得た金に由来する現金490万円が混和した犯罪収益等である現金1000万円を、その情を知りながら、Bから飲食代金として受領し、もって犯罪収益等を収受した。 第2 被告人は、前記「A」の責任者として同店の業務全般を統括管理していたD(分離前の相被告人)と共謀の上、法定の除外事由がないのに、同店内において、以下の各行為に及び、もってそれぞれ犯罪収益等を収受した。 1 令和3年10月1日頃、BがCからだまし取って得た金に由来する現金909万円が混和した犯罪収益等である現金1370万円を、その情を知りながら、Bから飲食代金として受領した。 2 令和4年2月25日頃、BがCからだまし取って得た金に由来する現金100 0万円を、その情を知り 収益等である現金1370万円を、その情を知りながら、Bから飲食代金として受領した。 2 令和4年2月25日頃、BがCからだまし取って得た金に由来する現金100 0万円を、その情を知りながら、Bから飲食代金の前受金として受領した。 3 令和4年2月26日頃、BがCからだまし取って得た金に由来する現金480万円を、その情を知りながら、Bから飲食代金の前受金として受領した。 第3 被告人は、令和5年10月23日、東京都新宿区己庚丁目辛番壬-癸号当時の被告人方において、以下の行為に及んだ。 1 みだりに、麻薬であるコカインを含有する白色粉末約0.27グラム(令和5年領第2775号符号3はその鑑定残量)及び大麻を含有する植物片約0. 437グラム(同号符号2はその鑑定残量)を所持するとともに、覚醒剤であるフェニルメチルアミノプロパンの塩類を含有する錠剤約2.127グラム(同号符号1及び4はその鑑定残量)を麻薬であるN・α-ジメチル-3・4-(メチレンジオキシ)フェネチルアミン(別名MDMA)と誤認して所持した。 2 医療等の用途以外の用途に供するため、指定薬物である6a・7・8・10a-テトラヒドロ-6・6・9-トリメチル-6H-ジベンゾ[b・d]ピラン-1-オールの3位に炭素数が6の直鎖状アルキル基が結合するものであって、1位、3位、6位及び9位以外にさらに置換基が結合していない物(通称Δ9-THCH)を含有する液体約3.607グラム(同号符号7-1、10-1、11-1、17-1はその鑑定残量)並びに指定薬物である6a・7・8・9・10・10a-ヘキサヒドロ-6・6・9-トリメチル-3-ペンチル-6H-ジベンゾ[b・d]ピラン-1-オール(通称HHC)を含有する液体約0. 914グラム(同号符号13-1、15-1はその鑑定残量 10・10a-ヘキサヒドロ-6・6・9-トリメチル-3-ペンチル-6H-ジベンゾ[b・d]ピラン-1-オール(通称HHC)を含有する液体約0. 914グラム(同号符号13-1、15-1はその鑑定残量)を所持した。 (量刑の理由)本件は、ホストクラブのホストであった被告人が、被告人を指名する上客の一人から、同人が詐欺によって得た現金であることを知りながら、飲食代金又は前受金の名目で現金を収受した事案4件(第1、第2の1ないし3。第2の1ないし3はホストクラブ責任者との共謀による。)及びコカイン等の薬物を所持した事案(第3)である。 第3について、被告人は、違法薬物を使用することへの興味という安易な動機により、5種類もの違法薬物を自宅に所持しており、それぞれの所持量は多量とはいえないが、被告人と違法薬物との関わりは強いといわざるを得ない。 第1及び第2について、被告人は、前記上客から詐欺のマニュアルを受け取り、SNS上の動画の中で同人の行為が詐欺であると非難されていることを知りながら、自己の売上金額を上げてホストクラブ内での立場を向上させるため、前記上客からの犯罪収益の収受を繰り返し、収受金の約6割を自己の報酬として得ており、動機は身勝手かつ利欲的である。第2において、被告人は共犯者との関係で従属的立場にあったが、果たした役割の重要不可欠性や利得額からすれば、その責任を大きく減じることはできない。犯罪収益に相当する金額は合計2800万円を超え、被告人の行為によって、犯罪収益の出所の特定が困難になるなど犯罪収益の保持、運用が助長されているのであり、結果は重大である。そうすると、弁護人が主張するとおり、第1及び第2は組織的犯罪処罰法の改正前の犯行であり、被告人が前記上客による詐欺の共犯として起訴されていないことを踏まえても れているのであり、結果は重大である。そうすると、弁護人が主張するとおり、第1及び第2は組織的犯罪処罰法の改正前の犯行であり、被告人が前記上客による詐欺の共犯として起訴されていないことを踏まえても、被告人の刑事責任は軽視できない。 他方、被告人は、詐欺被害者に対して、自己利得分にほぼ相当する1800万円を支払っている。そして、被告人に前科がないこと、被告人が、本件各犯行を認め、今後はホストクラブでの仕事はせず、薬物にも手を出さない旨述べるなど、反省の態度を示していること、母親が公判廷で今後の監督を誓約しているなどの事情も認められる。以上の諸事情を勘案し、被告人を主文記載の懲役刑及び罰金刑に処した上、懲役刑については、その執行を猶予するのが相当であると判断した。 なお、追徴については、第2の共犯者や前記上客が損害賠償義務を負っているとしても、現実に損害賠償がなされていない以上、被告人が収受した犯罪収益等のうち犯罪収益に由来する金額から既に損害賠償として支払われた金額を差し引いた額を追徴額とすることが相当である。 よって、主文のとおり判決する。 (求刑懲役3年6月及び罰金100万円、主文同旨の没収、追徴) 令和6年11月7日名古屋地方裁判所刑事第1部 裁判長裁判官森島聡 裁判官平手健太郎 裁判官藤井茜

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