平成31年3月8日判決言渡平成28年(行ウ)第91号固定資産価格審査決定取消請求事件 主文 1 E市固定資産評価審査委員会が原告らに対して平成27年9月7日付けでした別紙物件目録記載の家屋について固定資産課税台帳に登録された平成24 年度の価格についての審査の申出に対する決定のうち,価格25億9182万9677円を超える部分を取り消す。 2 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用はこれを2分し,その1を被告の負担とし,その余を原告らの連帯負担とする。 事実及び理由 第1 請求E市固定資産評価審査委員会が原告らに対して平成27年9月7日付けでした別紙物件目録記載の家屋(以下「本件家屋」という。)について固定資産課税台帳に登録された平成24年度の価格についての審査の申出に対する決定 (以下「本件決定」という。)のうち,価格23億0595万3665円を超える部分を取り消す。 第2 事案の概要 1 本件は,本件家屋の共有者である原告らが,E市固定資産評価審査委員会から,本件家屋の平成24年度の価格を28億2688万7728円とする本件 決定を受けたところ,本件家屋の固定資産評価基準によって決定される価格は23億0595万3665円であると主張して,本件決定のうち価格23億0595万3665円を超える部分の取消しを求める事案である。 2 地方税法(以下,単に「法」という。)の定め⑴ 固定資産税の賦課要件 ア固定資産税は,固定資産に対し,当該固定資産所在の市町村において課 する(法342条1項)。 「固定資産」とは,土地,家屋及び償却資産をいう(法341条1号)。 イ固定資産税は,固定資産の所有者に課する(法343条1 該固定資産所在の市町村において課 する(法342条1項)。 「固定資産」とは,土地,家屋及び償却資産をいう(法341条1号)。 イ固定資産税は,固定資産の所有者に課する(法343条1項)。 ここでいう「所有者」とは,家屋については,登記簿又は家屋補充課税台帳に所有者として登記又は登録されている者をいう(法343条2項)。 ウ基準年度に係る賦課期日に所在する家屋に対して課する基準年度の固定資産税の課税標準は,当該家屋の基準年度に係る賦課期日における価格で固定資産課税台帳に登録されたものである(法349条1項)。 「基準年度」とは,昭和36年度以降においては,昭和33年度から起算して3の倍数の年度を経過したごとの年度をいう(法341条6号)。 固定資産税の賦課期日は,当該年度の初日の属する年の1月1日である(法359条)。 「価格」とは,適正な時価をいう(法341条5号)。 ⑵ 固定資産の価格の決定手続ア総務大臣(平成11年法律第160号による法の改正前は,自治大臣。 以下同じ。)は,固定資産の評価の基準並びに評価の実施の方法及び手続である「固定資産評価基準」を定め,これを告示する(法388条1項)。 イ市町村長は,総務大臣が定める固定資産評価基準によって,固定資産の価格を決定し,固定資産課税台帳に登録する(法403条1項,410条1項,411条1項)。 ⑶ 審査手続ア固定資産税の納税者は,固定資産課税台帳に登録された価格(以下「登録価格」という。)に不服がある場合には,固定資産評価審査委員会に審査の申出をすることができる(法432条1項)。 イ固定資産評価審査委員会は,その必要と認める調査その他事実審査を行 い,審査決定をし(法433条1項),審査申 ,固定資産評価審査委員会に審査の申出をすることができる(法432条1項)。 イ固定資産評価審査委員会は,その必要と認める調査その他事実審査を行 い,審査決定をし(法433条1項),審査申出人及び市町村長に通知す る(同条12項)。 ウ通知を受けた市町村長は,登録価格を修正する必要があるときは,登録価格を修正して固定資産課税台帳に登録する(法435条1項)。 エ登録価格の不服については,審査決定の取消しの訴えによってのみ争うことができる(法434条2項)。 3 前提事実(いずれも争いがないか,裁判所に顕著な事実)⑴ 原告らは,平成24年1月1日時点において本件家屋に係る登記簿に共有者として登記されていた者である。 ⑵ア本件家屋は,平成12年12月25日に新築された非木造家屋であり,本件家屋の柱はコンクリート充塡鋼管(以下「CFT」ともいう。)構造 である。 イ本件家屋は,平成24年1月1日時点において,駐車場,店舗,フィットネスクラブ及び事務所という複合的な用途に使用されている。 ⑶ E市長は,本件家屋の平成24年度の価格を28億8340万3754円と決定し,固定資産課税台帳に登録した。なお,平成24年度は,法341 条6号にいう基準年度に当たる。 ⑷ 原告らが審査の申出をしたところ,E市固定資産評価審査委員会は,平成27年9月7日,本件家屋の価格を28億2688万7728円とする決定(本件決定)をした。 ⑸ 原告らは,平成28年2月29日,本件訴えを提起した。 4 争点本件の争点は,本件決定の認定した本件家屋の価格28億2688万7728円が固定資産評価基準によって決定される価格を上回るかであるが,具体的な争点としては,①適用すべき非木造家屋再建築費評点基準表( 本件の争点は,本件決定の認定した本件家屋の価格28億2688万7728円が固定資産評価基準によって決定される価格を上回るかであるが,具体的な争点としては,①適用すべき非木造家屋再建築費評点基準表(争点1),②耐火被覆が施工されていない鉄骨の数量(争点2),③デッキプレート上のコ ンクリートの標準評点数(争点3),④建築設備の規模の補正係数(争点4), ⑤適用すべき経年減点補正率(争点5),⑥本件家屋の評価額(争点6)である。 5 争点に関する当事者の主張⑴ 適用すべき非木造家屋再建築費評点基準表(争点1)について(原告らの主張) ア本件決定は,本件家屋につき「事務所,店舗,百貨店用建物」の非木造家屋再建築費評点基準表を適用しているところ,本件家屋は「工場,倉庫,市場用建物」に最も類似しているといえるから,本件家屋に適用すべき基準表は「工場,倉庫,市場用建物」に係る非木造家屋再建築費評点基準表である。 イ 「工場,倉庫,市場用建物」に係る非木造家屋再建築費評点基準表を適用すると,以下の評点項目に係る標準評点数は,以下の標準評点数に修正されるべきである。 評点項目標準評点数(ア) 動力配線設備 2230点→2130点 (イ) 電灯コンセント配線設備2470点→1940点(ウ) 蛍光灯用器具 2950点→1520点(エ) 白熱灯用器具 1710点→ 990点(オ) 電話配線設備 1140点→ 410点(カ) 給水設備 1380点→ 940点 (キ) 排水設備 1800点→1450点(ク) 衛生器具設備 810点→ 410点(カ) 給水設備 1380点→ 940点 (キ) 排水設備 1800点→1450点(ク) 衛生器具設備 810点→ 390点(ケ) ガス設備 590点→ 190点(コ) 換気設備 4400点→1770点(サ) 仮設工事 4390点→2910点 (シ) その他の工事 2150点→1150点 (被告の主張)本件家屋は,「事務所,店舗,百貨店用建物」に最も類似するから,その非木造家屋再建築費評点基準表を適用した本件決定に違法はない。 ⑵ 耐火被覆が施工されていない鉄骨の数量(争点2)について(原告らの主張) ア主位的主張本件決定は,耐火被覆が施工された鉄骨の使用数量を3501.04t,耐火被覆が施工されていない鉄骨の使用数量を762.37tと認定している。 しかし,本件家屋の4~7階の部分及び8階の事務所部分を除いた部分 の柱に使用された鉄骨には耐火被覆は施工されていないから,被告が耐火被覆が施工された鉄骨に計上した「(店舗棟)本体鉄骨」3494.00tのうち,課税床面積に対する上記部分の床面積の割合で按分した1695.76tについては,耐火被覆が施工されていない鉄骨の標準評点数19万6200点が用いられなければならない。 イ予備的主張上記各階の階高から梁の長さを引くことにより耐火被覆が施工されていない柱の高さを求め,これに各使用鋼材の単位当たり重量を乗じると,耐火被覆が施工されていない鉄骨の重量は227.59tとなる。 したがって,被告が耐火被覆の施工された鉄骨に計上した「(店舗棟) 本 さを求め,これに各使用鋼材の単位当たり重量を乗じると,耐火被覆が施工されていない鉄骨の重量は227.59tとなる。 したがって,被告が耐火被覆の施工された鉄骨に計上した「(店舗棟) 本体鉄骨」3494.00tのうち,227.59tについては,耐火被覆が施工されていない鉄骨の標準評点数19万6200点が用いられなければならない。 (被告の主張)ア一般に,鉄骨造の家屋については鉄骨全てに耐火被覆が施工されている とみることができるが,複合構造の家屋については耐火被覆が施工されて いる部分と耐火被覆が施工されていない部分があることになり,見積書を見ても,耐火被覆○○m2と記載されているだけであって,それが鉄骨何t分に吹き付けられているかが分からないため,これを仕分けることができない。 そこで,被告は,当該家屋の新築当時,耐火被覆が施工されていること が見積書から確認できた場合には,耐火被覆の施工されている部分,すなわち鉄骨造の部分が過半を占めている場合には,これら全ての鉄骨に耐火被覆が施工されているものとして評価していた。このような評価方法にも十分な合理性が認められるというべきである。 イ本件家屋の駐車場部分(4~8階)の階高は,店舗,飲食店,事務所と して利用されている部分の階高より明らかに低いところ,原告らが主位的に主張するように床面積の割合で按分すると,耐火被覆が施工されていない鉄骨の重量は実際の施工量より相当に多くなって,実態とかけ離れてしまう。 また,駐車場のある階も,梁には耐火被覆が施工されているので,これ らの階の鉄骨を全て耐火被覆が施工されていない鉄骨とすることは,実態と乖離する。 ウ原告らの予備的主張は争う。 ⑶ デッキプレート上のコンクリートの標準評点数 が施工されているので,これ らの階の鉄骨を全て耐火被覆が施工されていない鉄骨とすることは,実態と乖離する。 ウ原告らの予備的主張は争う。 ⑶ デッキプレート上のコンクリートの標準評点数(争点3)について(原告らの主張) 本件決定は,本件家屋のデッキプレート上に打設されたコンクリート(以下「コンクリート(DP)」という。)の標準評点数を1万6300点としているところ,コンクリート(無筋)の標準評点数のうち生コンクリートに係る評点数1万1000点をコンクリート(鉄筋)の評点数1万1150点に置き換えた1万6290点(10点未満切り捨て)を用いなければならな い。 (被告の主張)コンクリート(DP)の標準評点数を算出するに当たって,原告らの主張するような評点数の置き換えをした場合には,生コンクリート等の評点数合計の5%である「小運搬・その他」の評点数も,769点から776点に置き換わるから,コンクリート(DP)の標準評点数は1万6300点である。 ⑷ 建築設備の規模の補正係数(争点4)について(原告らの主張)ア固定資産評価基準第2章第3節二5⑴は,非木造家屋の各部分の工事の施工量等が非木造家屋評点基準表の「補正項目及び補正係数」欄の「標準」欄に定められている工事の施工量等と相違する場合においては,当該補正 項目について定められている該当補正係数によって標準点数表を補正するが,補正項目において定められている補正係数の限度内において処理することができないものについては,その実情に応じ補正を必要とする範囲内において,その限度を超えて補正係数を決定するものとする旨規定する。 本件家屋の延べ床面積は3万1644.38m2(電話配線設備の設置 床面積は1万6886.39 じ補正を必要とする範囲内において,その限度を超えて補正係数を決定するものとする旨規定する。 本件家屋の延べ床面積は3万1644.38m2(電話配線設備の設置 床面積は1万6886.39m2,自動車管制装置及び泡消火設備の計算単位は1万4044.57m2,スプリンクラー設備の計算単位は1万3840.14m2)であり,延べ床面積1万m2程度(自動車管制装置及び泡消火設備については延べ床面積1500m2程度)の規模の補正係数0.93(泡消火設備については0.90)によったのでは適切な補正を 行うことができないから,0.93(0.90)の限度を超えて補正係数を決定する必要がある。 イしたがって,本件決定の適用した建築設備の規模の補正係数は,以下のとおり修正されるべきである。 建築設備規模の補正係数 (ア) 動力配線設備 0.93→0.86 (イ) 電灯コンセント配線設備0.93→0.86(ウ) 電話配線設備 0.93→0.90(エ) 自動車管制装置 0.93→0.62(オ) 給水設備 0.93→0.86(カ) 排水設備 0.93→0.86 (キ) 衛生器具設備 0.93→0.86(ク) ガス設備 0.93→0.86(ケ) 火災報知設備 0.93→0.86(コ) 消火栓設備 0.93→0.86(サ) 泡消火設備 0.90→0.50 (シ) スプリンクラー設備 0.93→0.91(被告の主張)本件家屋の規模は,減点補正率の適用が想定されている規 ) 泡消火設備 0.90→0.50 (シ) スプリンクラー設備 0.93→0.91(被告の主張)本件家屋の規模は,減点補正率の適用が想定されている規模を超えてはいるものの,1m2当たりで必ず必要な工事費(固定費用)が相当程度あることを勘案すると,定められた減点補正率で既に十分低い係数となっているの で,0.93(泡消火設備については0.90)の減点補正率より低い補正係数を設定する必要はないと判断したことに違法はない。 ⑸ 適用すべき経年減点補正率(争点5)について(原告らの主張)ア本件決定は,CFT造である本件家屋につき鉄骨鉄筋コンクリート造(以 下「SRC造」ともいう。)の経年減点補正率を適用したが,CFT造家屋に適用すべき経年減点補正率は,鉄骨造(以下「S造」ともいう。)の経年減点補正率であり,本件決定がSRC造の経年減点補正率を適用したのは誤りである。 イ E市長による当初の登録価格はS造の経年減点補正率を適用したもので あったのに対し,本件決定は,SRC造の経年減点補正率を適用した。 本件決定は,当初の登録価格よりも低い価格を認定した,形式的には原告らに有利な裁決であるが,SRC造の経年減点補正率を適用することにより,将来的にはS造の経年減点補正率を適用した場合よりも本件家屋の価格を増額させることを許容するものであり,実質的には原告らに不利な裁決であるから,行政不服審査における一般原則である不利益変更禁止の 原則(行政不服審査法(平成26年法律第68号による改正前のもの)40条5項参照)に照らして許されないというべきである。 ウ本件決定は,E市長による主張の変更を容れて経年減点補正率を変更したものであるが,E市長による主張の変更が 律第68号による改正前のもの)40条5項参照)に照らして許されないというべきである。 ウ本件決定は,E市長による主張の変更を容れて経年減点補正率を変更したものであるが,E市長による主張の変更が認められるのは,当初の登録価格に「重大な錯誤」(法417条1項)があった場合に限られるという べきであり,本件家屋にS造の経年減点補正率を適用することが客観的に重大な誤りといえる場合に限るというべきである。 (被告の主張)ア平成12年当時,CFT造は,特殊な構造方法として,建築基準法上,所管の大臣認定が必要とされていたが,平成14年国土交通省告示第46 4号「コンクリート充填鋼管造の建築物又は建築物の構造部分の構造方法に関する安全上必要な技術的基準を定める件」によって一般的な構造方法となり,大臣認定なしに建築できることになった。 被告は,CFT造についての取扱いが平成14年の国土交通省の告示を境に大きく変更していることから,告示前に建築された家屋についてはS RC造の経年減点補正率を適用し,告示後に建築された家屋についてはS造の経年減点補正率を適用していたが,このような取扱いには合理的な理由がある。 イ不利益変更禁止とは審査請求の対象となった処分を不利益に変更することは許されないというにとどまるところ,本件は不利益変更禁止の原則に 抵触しない。 ウ本件家屋は平成12年12月25日に建築されたCFT造の家屋であるが,被告の評価担当者がその物理的構造をCFT造であると把握できなかったためか,S造と認定し,S造の経年減点補正率を適用していた。審査の過程で,本件家屋がCFT造であると判明したため,SRC造の経年減点補正率を適用すべき旨主張を変更したものである。 審査の申出があり,固定資 し,S造の経年減点補正率を適用していた。審査の過程で,本件家屋がCFT造であると判明したため,SRC造の経年減点補正率を適用すべき旨主張を変更したものである。 審査の申出があり,固定資産の適正な時価を固定資産評価審査委員会が決定する場合には,当初の登録価格が客観的に誤っているかどうかを判断すれば足りるのであり,「重大な錯誤」というような限定はされない。 ⑹ 本件家屋の評価額(争点6)について(原告らの主張) 上記⑴ないし⑸の誤りを修正し,固定資産評価基準に従って本件家屋を評価すると,本件家屋の平成24年度の評価額は23億0595万3665円である。 よって,本件決定のうち,価格23億0595万3665円を超える部分は違法であるから,取消しを求める。 (被告の主張)本件家屋の平成24年度の価格を28億2688万7728円と評価した本件決定に誤りはない。 第3 当裁判所の判断 1 本件の判断枠組み ⑴ 法は,固定資産税の課税標準に係る固定資産の評価の基準並びに評価の実施の方法及び手続の定めを総務大臣の告示に係る固定資産評価基準に委ね(388条1項),市町村長は,固定資産評価基準によって,固定資産の価格を決定しなければならないと定めており(403条1項),これらの法の規定及びその趣旨等に鑑みれば,固定資産税の課税においてこのような全国 一律の統一的な評価基準に従って公平な評価を受ける利益は,適正な時価と の比較の問題とは別にそれ自体が法上保護されるべきものということができるから,家屋の基準年度に係る賦課期日における価格としての登録価格が固定資産評価基準によって決定される価格を上回る場合には,当該家屋の客観的な交換価値としての適正な時価を上回るか否かにかかわらず,そ るから,家屋の基準年度に係る賦課期日における価格としての登録価格が固定資産評価基準によって決定される価格を上回る場合には,当該家屋の客観的な交換価値としての適正な時価を上回るか否かにかかわらず,その登録価格の決定は違法となるものと解される(最高裁平成25年7月12日第二 小法廷判決・民集67巻6号1255頁参照)。 ⑵ そこで,本件決定による本件家屋の価格28億2688万7728円が,「固定資産評価基準によって決定される価格」を上回るか否かを検討する。 本件における平成24年度の価格評価の基準時である平成24年1月1日時点の固定資産評価基準によれば,①家屋の評価は,各個の家屋について 評点数を付設し,当該評点数に評点1点当たりの価額を乗じて各個の家屋の価額を求める方法により,②各個の家屋の評点数は,当該家屋の再建築費評点数を基礎とし,これに家屋の損耗の状況による減点を行って付設する(弁論の全趣旨)。 そして,③在来分の非木造家屋の再建築費評点数は,基準年度の前年度に おける再建築費評点数に再建築費評点補正率を乗じて求めるとされているため(弁論の全趣旨),本件家屋の平成24年1月1日時点における再建築費評点数を求めるに当たっては,本件家屋の最初の評価が行われた平成13年1月1日時点の固定資産評価基準(平成12年自治省告示第217号による改正後のもので,同年自治省告示第306号による改正前のもの。甲11, 乙14,15。以下,この同時点の固定資産評価基準を「評価基準」という。)によって決定される再建築費評点数に,順次,再建築費評点補正率による補正をしたものが用いられることになると解されるから,まず,平成13年1月1日時点における本件家屋の再建築費評点数を算出すべきことになる。 2 適用すべき非木造家屋再 順次,再建築費評点補正率による補正をしたものが用いられることになると解されるから,まず,平成13年1月1日時点における本件家屋の再建築費評点数を算出すべきことになる。 2 適用すべき非木造家屋再建築費評点基準表(争点1)について ⑴ 評価基準によれば,非木造家屋の再建築費評点数を算出する方法としては 「部分別による再建築費評点数の算出方法」と「比準による再建築費評点数の算出方法」とがあるところ(乙15・47頁),E市では,「部分別による再建築費評点数の算出方法」を採用しており,本件決定もこれによっているから,本判決でもこれによることとする。 部分別による再建築費評点数の算出方法によって非木造家屋の再建築費 評点数を求める場合は,当該非木造家屋の構造の区分に応じ,当該非木造家屋について適用すべき非木造家屋評点基準表によって求めるものとし(乙15・47頁),家屋の用途別に,それぞれ非木造家屋評点基準表が定められている(甲11,乙14,乙15・39頁)。 ⑵ 本件決定は,「事務所,店舗,百貨店用建物」の非木造家屋評点基準表の 標準評点数(甲11・254~257,259,263頁)を用いている(甲19・60~61,63~66,68~69頁)。 原告らは,「工場,倉庫,市場用建物」の非木造家屋評点基準表を適用し,その標準評点数(甲11・475~478,480,483頁)を用いるべきであると主張する。 ⑶ 評価基準によれば,非木造家屋の本来の構造により適用すべき非木造家屋評点基準表を定めるものとし,構造等からみて直ちに適用すべき非木造家屋評点基準表を定めることが困難なものについては,当該非木造家屋の構造等からみて最も類似している建物に係る非木造家屋評点基準表を適用するものとされている(乙15・48 らみて直ちに適用すべき非木造家屋評点基準表を定めることが困難なものについては,当該非木造家屋の構造等からみて最も類似している建物に係る非木造家屋評点基準表を適用するものとされている(乙15・48頁)。 本件家屋は,地下1階~地上3階が店舗,4~7階が駐車場,8階のうち一部が事務所,残部が駐車場,9階がフィットネスクラブ,10階のうち一部が事務所,残部がフィットネスクラブとして利用されており(甲3,乙1),このような利用状況は,本件家屋の本来の構造に沿ったものである(甲2,3)。 「事務所,店舗,百貨店用建物」の非木造家屋評点基準表には,「自動車 管制装置」すなわち感知器やカメラ等を使って空車スペース,場内状況等を監視し,案内表示や満車空車の情報を知らせることで誘導員に代わって駐車場内の車の流れを円滑にコントロールする装置が評点項目に設けられ,標準評点数が定められており(乙14・256頁),家屋内に無人駐車場が併設されていることを想定している。現に,本件家屋についても,自動車管制装 置が設けられ,評点数が積算されている(甲19・64頁)。 これに対し,「工場,倉庫,市場用建物」の非木造家屋評点基準表には「自動車管制装置」の評点項目が設けられていない(甲11・477頁)。これは,一般に,工場等に併設される駐車場は,家屋外に設けられたいわゆる青空駐車場が想定され,家屋内に無人駐車場が併設されていることは想定され ていないためと考えられる。 そうすると,屋内無人駐車場を相当程度の床面積割合で併設した複合建物である本件家屋は,「工場,倉庫,市場用建物」よりも「事務所,店舗,百貨店用建物」に類似するものというべきであり,本件家屋の本来の構造に最も類似する「事務所,店舗,百貨店用建物」の非木 した複合建物である本件家屋は,「工場,倉庫,市場用建物」よりも「事務所,店舗,百貨店用建物」に類似するものというべきであり,本件家屋の本来の構造に最も類似する「事務所,店舗,百貨店用建物」の非木造家屋評点基準表を適用 するのが相当である。 ⑷ したがって,本件決定が,本件家屋につき「事務所,店舗,百貨店用建物」の非木造家屋評点基準表を適用したことに違法はない。 3 耐火被覆が施工されていない鉄骨の数量(争点2)について⑴ 評価基準によれば,主体構造部の標準評点数は,鉄骨の使用量が明確な鉄 骨造建物にあっては,原則として196,200×鉄骨使用量(t),耐火被覆がなされている場合は257,630×鉄骨使用量(t)で求めることとされている(乙14・220頁)。 本件家屋の鉄骨の使用量は,4263.41tと明確である(争いがない。)。 ⑵ 本件決定は,上記4263.41tのうち,耐火被覆が施工されていない 鉄骨を762.37t,耐火被覆が施工された鉄骨を3501.04tと認 定して積算している(甲19・58,61頁)。 原告らは,上記762.37tに加え,主位的には床面積の割合で按分した1695.76tを,予備的には柱の高さから計算した227.59tを,耐火被覆が施工されていない鉄骨として積算すべきであると主張する。 ⑶ 本件家屋の竣工図によれば,1~3,9,10階の本柱,1階~塔屋の間 柱,1階~塔屋の梁には耐火被覆を施工し,4~8階の柱には耐火被覆を施工しないものとされており(甲2・A-3の「8.耐火・耐火被覆工事」,A-4の「主要構造部の耐火構造」,SG-1の「鉄骨」の「3.耐火被覆」,SG-4の「CFT柱の耐火被覆」),現に,4~7階及び8階の駐車場部分の柱には耐火被覆は施工されていな 火・耐火被覆工事」,A-4の「主要構造部の耐火構造」,SG-1の「鉄骨」の「3.耐火被覆」,SG-4の「CFT柱の耐火被覆」),現に,4~7階及び8階の駐車場部分の柱には耐火被覆は施工されていない(甲12)。 しかし,この竣工図からは,耐火被覆が施工された鉄骨の重量,耐火被覆が施工されていない鉄骨の重量は明らかでない。 本件家屋に係る請負代金内訳書(乙3)によれば,合計3万3382m2につき耐火被覆が施工されたことが認められるが,この請負代金内訳書からも,耐火被覆が施工された鉄骨の重量,耐火被覆が施工されていない鉄骨の 重量は明らかでない。 ⑷ 被告は,見積書から耐火被覆が施工されていない鉄骨として使用量が明らかなスロープ部分と鉄骨階段A~Dの鉄骨の重量762.37tを除いた3501.04tにつき,耐火被覆のないものが若干あることを認めつつ,その使用量が正確に認定できないことから,全てを耐火被覆が施工された鉄 骨として評価する評価方法にも十分な合理性があると主張する。 しかし,評価基準において鉄骨に耐火被覆が施工されていることは加算要素と位置付けられているのであるから,その正確な使用量を認定できないとしても,その立証責任を納税者側に転換して,耐火被覆の有無が明らかでない部分を全て耐火被覆が施工されたものと推認して課税することは許され ないというべきである。 ⑸ 原告らは,主位的に,被告の自認する上記762.37tに加え,「(店舗棟)本体鉄骨」の重量である3494.00t(甲9・5頁)を課税床面積に対する駐車場部分の床面積の割合で按分した1695.76tを,耐火被覆が施工されていない鉄骨として計算しなければならないと主張する。 自治省資産評価室編「平成12年度固定資産評価基準解 床面積に対する駐車場部分の床面積の割合で按分した1695.76tを,耐火被覆が施工されていない鉄骨として計算しなければならないと主張する。 自治省資産評価室編「平成12年度固定資産評価基準解説(家屋篇)」に よれば,耐火被覆が施工されている部分と,そうでない部分がある場合においては,その施工割合を計算単位の床面積割合において考慮して差し支えないとされている(甲13)。 しかし,本件家屋については,駐車場部分の梁及び間柱については耐火被覆が施工されているのであるから(上記⑶),駐車場部分の床面積の割合に 対応する鉄骨を全て耐火被覆が施工されていない鉄骨として扱うのは相当でないというべきである。 ⑹ア原告らは,予備的に,被告の自認する上記762.37tに加え,上記3494.00t(甲9・5頁)のうち,耐火被覆が施工されていない柱の高さに各使用鋼材の単位当たり重量(甲52)を乗じた227.59t を耐火被覆が施工されていない鉄骨の重量として計算しなければならないと主張する。 イ耐火被覆が施工されていない柱の種類及び本数4~8階の柱には耐火被覆が施工されていないところ(上記⑶),4~7階には,それぞれ,本件家屋の竣工図(甲2)のS-5で「C1」と表 示されている柱(以下,単に「C1」のようにいう。)が15本,C2が4本,C3が13本,C4が10本配置されており(甲2・S-5,S-6,S-25。なお,S-6では,S-5,S-8で「C2」となっている⑨-Ⓓ座標上の柱が「C1」となっているが,「C2」の誤記と認める。),8階の駐車場部分には,C1が12本,C2が4本,C3が13本,C4 が4本配置されている(甲2・A-21,S-6,S-25)。なお,8 階の事務所部分の柱には耐 誤記と認める。),8階の駐車場部分には,C1が12本,C2が4本,C3が13本,C4 が4本配置されている(甲2・A-21,S-6,S-25)。なお,8 階の事務所部分の柱には耐火被覆が施工されている(甲12)。 ウ耐火被覆が施工されていない柱の単位重量C1の寸法及び厚さは4~8階で750×750×22(mm),C2及びC3の寸法及び厚さは,4階で700×700×22(mm),5~8階で700×700×19(mm),C4の寸法及び厚さは,4階で762 φ×19(mm),5~8階で762φ×16(mm)であり,C1~C3はBCP325規格品,C4はSTK490規格品である(甲2・S-25)。 そうすると,これらの鋼管の1m当たりの単位重量は,C1が483(kg/m),C2及びC3が4階で449(kg/m),5~8階で 392(kg/m),C4が4階で348(kg/m),5~8階で294(kg/m)である(甲52)。 エ耐火被覆が施工されていない柱の高さ本件家屋4階の階高は3.7m,5~7階は3.4m,8階は4.6mである(甲2・A-31,S-25)。 4~8階の梁には耐火被覆が施工されているところ,梁と交差している部分の柱については耐火被覆が施工されているものとして計算すると,耐火被覆が施工されていない柱の高さは,階高(その階の柱の高さ)から梁の高さ(梁と交差している部分の柱の高さ)を引いた高さとなる。 4階のC1は,東西方向のG2の梁及び南北方向のG1の梁と交差して いるところ(甲2・S-5),4階のG1,G2の梁の高さは0.85mであるから(甲2・S-26。S-26にはR階にも梁の寸法が記載されているところ,屋上階には天井付近の梁は存在しない 差して いるところ(甲2・S-5),4階のG1,G2の梁の高さは0.85mであるから(甲2・S-26。S-26にはR階にも梁の寸法が記載されているところ,屋上階には天井付近の梁は存在しないから,これは10階天井付近(屋上階床下)の梁であり,同様に,S-26でいう「5階」の梁が4階の梁である。),4階で耐火被覆が施工されていないC1の高さ は,3.7-0.85=2.85mとなる。計算の簡略化のため,他の種 類の梁と交差しているC2~C4も同じ梁の高さとして計算すると,それぞれ,4階で耐火被覆が施工されていない柱の高さは2.85mとなる。 同様に,5~7階の梁の高さを0.85m,8階の梁の高さを1.2m(甲2・S-26)として計算すると,5~7階で耐火被覆が施工されていない柱の高さはそれぞれ2.55m,8階で耐火被覆が施工されていな い柱の高さは3.4mとなる。 オ上記エの耐火被覆が施工されていない柱の高さに上記ウの単位重量を乗じ,これに上記イの柱の本数を乗じると,耐火被覆が施工されていない柱に使用された鉄骨の総重量は227.59tとなる。 カ耐火被覆が施工された鉄骨と耐火被覆が施工されていない鉄骨とでは 標準評点数が異なるのであるから,耐火被覆が施工された鉄骨の重量を直接認定する資料がないとしても,できる限り合理的な推定を用いて耐火被覆が施工された鉄骨の重量を計算すべきである。 上記の原告らの予備的主張に従った計算は合理的な推定による計算といえるから,耐火被覆が施工されていない鉄骨は,上記227.59tに 被告が自認する762.37tを加えた989.96tとして計算するのが相当である。 ⑺ そうすると,耐火被覆が施工されていない鉄骨の重量は989.96tであり,耐火被覆が 227.59tに 被告が自認する762.37tを加えた989.96tとして計算するのが相当である。 ⑺ そうすると,耐火被覆が施工されていない鉄骨の重量は989.96tであり,耐火被覆が施工された鉄骨の重量は,総鉄骨重量4263.41tから上記989.96tを除いた3273.45tである。 ⑻ したがって,これを上回る3501.04tについて耐火被覆が施工された鉄骨として積算した本件決定は違法である。 4 デッキプレート上のコンクリートの標準評点数(争点3)について⑴ 本件家屋のコンクリート(DP)の使用量は4426.00m3である(争いがない。)。 ⑵ 本件決定は,コンクリート(DP)の標準評点数を1万6300点として 積算した(甲19・57~58,61頁)。 原告らは,コンクリート(DP)の標準評点数は1万6290点を用いなければならないと主張する。 ⑶ コンクリート(鉄筋),コンクリート(無筋)の標準評点数は,それぞれ以下のとおりである(甲13・278頁,乙5)。 名称品名単位数量単価小計合計評点数単位当たり標準評点数コンクリート(鉄筋)(1立方メートル当たり)生コンクリートm31.0011,150 11,150 ポンプ打(材工共)式1.001,7801,780 型枠損料(手間共)m25.603,800 21,280 コンクリート足場m21.28 1,152 小運搬・その他式1.00 1,768 合計 37,13037,13037,130コンクリート(無筋)(1立方メートル当たり)生コンクリートm3 搬・その他式1.00 1,768 合計 37,13037,13037,130コンクリート(無筋)(1立方メートル当たり)生コンクリートm31.0011,000 11,000 ポンプ打(材工共)式1.001,7801,780 型枠損料(手間共)m22.001,3002,600 小運搬・その他式1.00 合計 16,14916,14916,140そして,床構造がデッキプレートで鉄筋が使用されている場合には,コンクリート(無筋)の単位当たり標準評点数を使用することとし,そのうち生コンクリートに係る評点数をコンクリート(鉄筋)の単位当たり標準評点数で使用している生コンクリートの評点数に置き換え,新たに単位当たり標準評点数を求めて評点付設することが望ましいとされている(甲14,15, 乙6)。 ⑷ コンクリート(無筋)の単位当たり標準評点数のうち生コンクリートに係る評点数をコンクリート(鉄筋)の単位当たり標準評点数で使用している生 コンクリートの評点数に置き換え,新たに単位当たり標準評点数を求めるに当たり,「小運搬・その他」の評点数につき,原告らは,コンクリート(無筋)の769点をそのまま使用すべきである(そうすると,単位当たり標準評点数は1万6290点となる。)と主張し,被告は,生コンクリート等の評点数の合計の5%である776点とすべきである(そうすると,単位当た り標準評点数は1万6300点となる。)と主張する。 ⑸ア評価基準における使用量が明確な場合の主体構造部等の積算基礎において,各種材料の「小運搬・その他」については,「数量」に「単価」を乗 り標準評点数は1万6300点となる。)と主張する。 ⑸ア評価基準における使用量が明確な場合の主体構造部等の積算基礎において,各種材料の「小運搬・その他」については,「数量」に「単価」を乗じた値ではなく,「単価」欄は空欄であり,「小計」欄の金額は,「小運搬・その他」を除いた評点数の5%又は10%の金額となっている(甲 13,乙6)。 イすなわち,鉄骨の「小運搬・その他」の評点数は,鉄骨(プレート共),リベット及びボルト,工場加工,現場溶接,現場建方,現場塗装の合計17万8370点の10%である1万7837点となっている(甲13,乙6)。 ウ鉄筋の「小運搬・その他」の評点数は,鉄筋,加工組立,ガス圧接の合計9万3200点の5%である4660点となっている(甲13,乙6)。 エコンクリート(鉄筋)の「小運搬・その他」の評点数は,生コンクリート,ポンプ打(材工共),型枠損料(手間共),コンクリート足場の合計3万5362点の5%である1768点となっている(甲13,乙6)。 オコンクリート(無筋)の「小運搬・その他」の評点数は,生コンクリート,ポンプ打(材工共),型枠損料(手間共)の合計1万5380点の5%である769点となっている(甲13,乙6)。 カ人工骨材軽量コンクリートの「小運搬・その他」の評点数は,生コンクリート,ポンプ打(材工共),型枠損料(手間共),コンクリート足場の 合計3万9812点の5%である1990点となっている(甲13,乙6)。 キ天然骨材軽量コンクリートの「小運搬・その他」の評点数は,生コンクリート,ポンプ打(材工共),型枠損料(手間共),コンクリート足場の合計3万8812点の5%である1940点となっている(甲13,乙6)。 ク軽量鉄骨の「小運搬・そ ・その他」の評点数は,生コンクリート,ポンプ打(材工共),型枠損料(手間共),コンクリート足場の合計3万8812点の5%である1940点となっている(甲13,乙6)。 ク軽量鉄骨の「小運搬・その他」の評点数は,軽量形鋼材,ボルト,プレート材,工場加工,現場建方,現場塗装の合計22万0848点の10% である2万2084点となっている(甲13,乙6)。 ケコンクリートブロック造の「小運搬・その他」の評点数は,ブロック,コンクリート(臥梁共),モルタル,鉄筋,積み手間の合計1万0135点の5%である506点となっている(甲13,乙6)。 ⑹ 上記⑸イないしケのとおり,使用量が明確な場合の主体構造部等の積算基 礎における各種材料の「小運搬・その他」の評点数は,各種材料ごとの平均作業費等から算出されたものではなく,「小運搬・その他」を除いた点数の5%又は10%として機械的に算出されており,コンクリート(鉄筋)及びコンクリート(無筋)の「小運搬・その他」の点数も,「小運搬・その他」を除いた点数の5%として機械的に算出されたものと認められる。 そうすると,コンクリート(DP)の評点数を算出するに当たり,コンクリート(無筋)の生コンクリートに係る評点数(1万1000点)をコンクリート(鉄筋)の生コンクリートの評点数(1万1150点)に置き換え,新たに単位当たり標準評点数を算出するに当たり,「小運搬・その他」の評点数についても,「小運搬・その他」を除いた点数の5%として新たに算出 し直すことは,評価基準の趣旨に沿った合理的な算定方法であり,評価基準を適用するに当たり市町村長(及びその審査庁である固定資産評価審査委員会)に与えられた裁量権の範囲を逸脱するものとはいえない。 ⑺ したがって,本件決定が,コンクリート( な算定方法であり,評価基準を適用するに当たり市町村長(及びその審査庁である固定資産評価審査委員会)に与えられた裁量権の範囲を逸脱するものとはいえない。 ⑺ したがって,本件決定が,コンクリート(DP)の「小運搬・その他」の点数は776点であることを前提に,単位当たり標準評点数を1万6300 点として計算したことに違法はない。 5 建築設備の規模の補正係数(争点4)について⑴ 動力配線設備等についてア本件決定は,動力配線設備,電灯コンセント配線設備,給水設備,排水設備,衛生器具設備,ガス設備,火災報知設備,消火栓設備につき,それぞれ規模の補正係数として0.93を用いているところ(甲19・63, 65,66頁),原告らは,それぞれ0.86を用いなければならないと主張する。 イ評価基準によれば,非木造家屋の各部分の工事の施工量等が「補正項目及び補正係数」欄の「標準」欄に定められている工事の施工量等と相違する場合においては,当該補正項目について定められている該当補正係数に よって標準点数表を補正するものとし,補正項目において定められている補正係数の限度内において処理することができないものについては,その実情に応じ補正を必要とする範囲内において,その限度を超えて補正係数を決定するものとされている(乙15・50頁)。 「事務所,店舗,百貨店用建物」の再建築費評点基準表によれば,動力 配線設備,電灯コンセント配線設備,給水設備,排水設備,衛生器具設備,ガス設備,火災報知設備,消火栓設備の規模の補正として,それぞれ,延べ床面積1000m2程度のものには1.05の増点補正率を,3000m2程度のものには1.00の標準の係数を,1万m2程度のものには0.93の減点補正率を乗じるものとされている(乙14 それぞれ,延べ床面積1000m2程度のものには1.05の増点補正率を,3000m2程度のものには1.00の標準の係数を,1万m2程度のものには0.93の減点補正率を乗じるものとされている(乙14・254~25 7,260頁)。 ウ再建築費評点基準表は,標準である3000m2程度のものの3.3倍である1万m2程度のものに0.93の減点補正率を乗じるものとし,これに至らない程度のものについては,規模を標準(補正係数1.00)として評価することを想定しており,3000m2程度と1万m2程度の中間 の規模の家屋について,1.00と0.93の中間的な補正係数を乗じる ことは想定していないものというべきである。 そうすると,0.93の減点補正率を用いる1万m2程度のものの更に3.3倍である3万3000m2程度を超える規模の家屋については,0.93を下回る補正係数について考慮すべきであると解されるが,これに至らない程度のものについては,0.93の減点補正率の範囲内におい て評価することが想定されているものと解される。 本件家屋の延べ床面積は3万1644.38m2であり(争いがない。),いまだ3万3000m2程度に至らない規模のものとの評価が可能であるから,0.93の減点補正率の範囲内において評価することが評価基準に違反するとはいえない。 エしたがって,本件決定が動力配線設備,電灯コンセント配線設備,給水設備,排水設備,衛生器具設備,ガス設備,火災報知設備,消火栓設備の規模の補正係数をそれぞれ0.93としたことに違法はない。 ⑵ 電話配線設備についてア本件決定は,電話配線設備につき規模の補正係数として0.93を用い ているところ(甲19・64頁),原告らは,0.90を用いなければならな ことに違法はない。 ⑵ 電話配線設備についてア本件決定は,電話配線設備につき規模の補正係数として0.93を用い ているところ(甲19・64頁),原告らは,0.90を用いなければならないと主張する。 イ 「事務所,店舗,百貨店用建物」の再建築費評点基準表によれば,電話配線設備の規模の補正は,前記⑴の動力配線設備等と同様,延べ床面積1000m2程度のものには1.05の増点補正率を,3000m2程度の ものには1.00の標準の係数を,1万m2程度のものには0.93の減点補正率を乗じるものとされている(乙14・255頁)。 ウそうすると,電話配線設備の規模の補正係数についても,前記⑴の動力配線設備等と同様に解するのが相当であるところ,本件家屋の延べ床面積は3万1644.38m2(争いがない。),電話配線設備の設置床面積 は1万6886.39m2(弁論の全趣旨)であり,いまだ3万3000 m2程度に至らない規模のものとの評価が可能であるから,0.93の減点補正率の範囲内において評価することが評価基準に違反するとはいえない。 エしたがって,本件決定が電話配線設備の規模の補正係数を0.93としたことに違法はない。 ⑶ 自動車管制装置についてア本件決定は,自動車管制装置につき規模の補正係数として0.93を用いているところ(甲19・64頁),原告らは,0.62を用いなければならないと主張する。 イ 「事務所,店舗,百貨店用建物」の再建築費評点基準表によれば,自動 車管制装置の規模の補正として,駐車場床面積500m2程度のものには1.05の増点補正率を,1000m2程度のものには1.00の標準の係数を,1500m2程度のものには0.93の減点補正率を乗じるものとされている(乙14・256頁) 床面積500m2程度のものには1.05の増点補正率を,1000m2程度のものには1.00の標準の係数を,1500m2程度のものには0.93の減点補正率を乗じるものとされている(乙14・256頁)。 ウ再建築費評点基準表が,標準である1000m2程度のものの1.5倍 である1500m2程度のものに0.93の減点補正率を乗じ,これに至らない程度のものについては,規模を標準(補正係数1.00)として評価することを想定していることから,0.93の減点補正率を用いる1500m2程度のものの更に1.5倍である2250m2程度を超える規模の家屋については,0.93を下回る補正係数を考慮すべきであると解 される。 本件家屋の駐車場床面積は1万4044.57m2であり(弁論の全趣旨),2250m2程度を大きく超える規模のものであるから,0.93を下回る補正係数を考慮すべきである。 エ再建築費評点基準表が規模によって増点補正又は減点補正をすべきであ るとしているのは,延べ床面積が大きくなれば,総工事費は増加するが1 m2当たりに換算すると工事費は減少する傾向が見られ,逆に延べ床面積が小さくなれば,総工事費は減少するが1m2当たりに換算すると工事費は増加する傾向が見られることに着目したものと解されるところ,このような傾向は,自動車管制装置においても同様に妥当するものと解される。 オ総務大臣は,平成26年総務省告示第217号において,固定資産評価 基準を改正し,「事務所,店舗,百貨店用建物」の非木造家屋再建築費評点基準表について,電灯コンセント配線設備,電話配線設備,排水設備,衛生器具設備,ガス設備,消火栓設備については規模の補正自体を削除し,動力配線設備については0.93を,給水設備については0.92を,火 表について,電灯コンセント配線設備,電話配線設備,排水設備,衛生器具設備,ガス設備,消火栓設備については規模の補正自体を削除し,動力配線設備については0.93を,給水設備については0.92を,火災報知設備については0.93を,泡消火設備については0.90を,ス プリンクラー設備については0.93をそれぞれ規模の補正係数の下限とする旨改正しているところ,自動車管制装置については下限の定めを設けていない(乙8・45~47頁)。これは,総務大臣において多数の建築設備について規模の補正を見直した平成26年時点においても,自動車管制装置については規模の増大に応じて1m2当たりの工事費が減少する傾 向が引き続き存在するため,通常の減点補正である0.93を下回る補正係数を決定すべき場面があり得ることを前提としているものといえる。 カ被告は,固定資産評価基準の解説においては,減点補正率を下回る補正係数を決定することもできるが,しなくても構わないとされていると主張する。 しかし,評価基準は,「補正項目において定められている補正係数の限度内において処理することができないものについては,その実情に応じ補正を必要とする範囲内において,その限度を超えて補正係数を決定するものとする。」と定めているのであるから(乙15・50頁),評価基準は,「補正項目において定められている補正係数の限度内において処理するこ とができないもの」に該当する場合には「その限度を超えて補正係数を決 定」することを求めているものというべきであり,特段の事情がない限り,そのような補正係数の決定をしないことは市町村長(及びその審査庁である固定資産評価審査委員会)に与えられた裁量権の範囲を逸脱するものというべきである。 「補正項目において定めら 情がない限り,そのような補正係数の決定をしないことは市町村長(及びその審査庁である固定資産評価審査委員会)に与えられた裁量権の範囲を逸脱するものというべきである。 「補正項目において定められている補正係数の限度内において処理する ことができないもの」に該当するか否かについては,市町村の実情あるいは対象家屋の状況によりある程度の裁量は認められるが,本件家屋の駐車場面積は1万4044.57m2に及び,減点補正率0.93を用いる1500m2程度の駐車場の約9.4倍に及ぶのであるから,このような本件家屋は,0.93の補正係数の限度内において処理することができな いものというべきであり,これを0.93の補正係数の限度内において処理すべきものとすることは,市町村長(及びその審査庁である固定資産評価審査委員会)に与えられた裁量権の範囲を逸脱するものといわざるを得ない。 キ被告は,標準の床面積と減点補正率0.93の床面積との関係から原告 らが導き出した計算式による補正係数を使用すると,面積が大きくなればなるほど1m2当たりの工事費が限りなく0に近くなるというものであり,面積規模に比例した動きを示す工事費の存在を捨象しており相当とはいえないと主張する。 原告らの示す計算式は,自動車管制装置についていえば,標準の 1000m2を基準として,駐車場面積が1.5倍になるごとに補正率0.93を1回乗じるというもので,本件家屋の駐車場面積1万4044. 57m2は,標準の駐車場面積1000m2の1.5の6乗倍強であることから,これに合わせて0.93の6乗倍強である0.62を補正係数とするものである。 この程度であれば,1m2当たりの工事費が0に近いとまではいえず, およそ合理性のない計算方法であるとは に合わせて0.93の6乗倍強である0.62を補正係数とするものである。 この程度であれば,1m2当たりの工事費が0に近いとまではいえず, およそ合理性のない計算方法であるとはいえない。 もっとも,原告らの示す計算方法は,それなりに合理的なものとはいえるが,評価基準に沿った唯一の方法であるとまでは認められないから,本件においては,規模の補正係数を0.62として計算した場合の本件家屋の価格を下限として,これを超える部分を取り消すこととする(本判決の 拘束力は,規模の補正係数として0.93を用いることが違法であることに及ぶが,補正係数を0.62とすべきことにまで及ぶものではなく,取消後の固定資産評価審査委員会の審理において,これ以外の合理的な計算方法により,0.62以上0.93未満の適当な補正係数を適用することを妨げない。)。 ク以上によれば,本件決定が自動車管制装置の規模の補正係数を0.93としたことは,評価基準を適用するに当たり市町村長(及びその審査庁である固定資産評価審査委員会)に与えられた裁量権の範囲を逸脱したものであって,違法である。 ⑷ 泡消火設備について ア本件決定は,泡消火設備につき規模の補正係数として0.90を用いているところ(甲19・67頁),原告らは,0.50を用いなければならないと主張する。 イ 「事務所,店舗,百貨店用建物」の再建築費評点基準表によれば,泡消火設備の規模の補正として,設置部分の延べ床面積500m2程度のもの には1.20の増点補正率を,1000m2程度のものには1.00の標準の係数を,1500m2程度のものには0.90の減点補正率を乗じるものとされている(乙14・260頁)。 ウ本件家屋の泡消火設備設置部分の延べ床面積は1万4044 m2程度のものには1.00の標準の係数を,1500m2程度のものには0.90の減点補正率を乗じるものとされている(乙14・260頁)。 ウ本件家屋の泡消火設備設置部分の延べ床面積は1万4044.57m2であり(弁論の全趣旨),0.90の減点補正率を用いる1500m2程 度のもの(標準である1000m2程度のものの1.5倍程度)の更に 1.5倍である2250m2程度を超える規模のものであるから,前記⑶の自動車管制装置の場合と同様に,0.90を下回る補正係数を考慮すべきであるようにも解される。 エしかし,総務大臣は,前記のとおり,平成26年総務省告示第217号による固定資産評価基準の改正において,「事務所,店舗,百貨店用建物」 の非木造家屋再建築費評点基準表中の泡消火設備の規模の補正係数については0.90を下限とする旨の改正をしている(乙8・47頁)。 このことは,一般に設置床面積の増大に応じて減少傾向を示す1m2当たりの工事費が,泡消火設備については1500m2程度とそれを超える規模とでそれほど変わらない傾向があることを示しているといえ,そのこ とは,本件家屋の最初の評価が行われた平成13年1月1日時点においても同様であったと解される。そうすると,被告において,上記平成26年改正後の固定資産評価基準と同様に,規模の補正係数を0.90を下限として運用していたとしても,それが評価基準を適用するに当たり市町村長(及びその審査庁である固定資産評価審査委員会)に与えられた裁量権の 範囲を逸脱したものとはいえない。 オしたがって,本件決定が泡消火装置の規模の補正係数を0.90としたことに違法があるとまではいえない。 ⑸ スプリンクラー設備についてア本件決定は,スプリンクラー設備につき規模の補正係 。 オしたがって,本件決定が泡消火装置の規模の補正係数を0.90としたことに違法があるとまではいえない。 ⑸ スプリンクラー設備についてア本件決定は,スプリンクラー設備につき規模の補正係数として0.93 を用いているところ(甲19・67頁),原告らは,0.91を用いなければならないと主張する。 イ 「事務所,店舗,百貨店用建物」の再建築費評点基準表によれば,スプリンクラー設備の規模の補正として,設置部分の延べ床面積1000m2程度のものには1.05の増点補正率を,3000m2程度のものには 1.00の標準の係数を,1万m2程度のものには0.93の減点補正率 を乗じるものとされている(乙14・260頁)。 ウ本件家屋のスプリンクラー設備設置部分の延べ床面積は1万3840. 14m2であり(争いがない。),いまだ0.93の減点補正率を用いる1万m2程度のもの(標準である3000m2程度のものの3.3倍程度)の更に3.3倍である3万3000m2程度に至らない規模のものである から,前記⑴の動力配線設備等の場合と同様に,0.93の減点補正率の範囲内において評価することが評価基準に違反するとはいえない。 エしたがって,本件決定がスプリンクラー設備の規模の補正係数を0.93としたことに違法はない。 ⑹ 以上によれば,本件家屋の平成13年度の部分別評点数は,以下のとおり となる(耐火被覆の施工されていない鉄骨の重量を989.96t,耐火被覆が施工された鉄骨の重量を3273.45t,自動車管制装置の規模の補正係数を0.62として計算)。 ア主体構造部 1,743,733,947 点(ア) 軀体 1,612,200,747 点 鉄骨(耐火被覆なし) 196,200 点× 数を0.62として計算)。 ア主体構造部 1,743,733,947 点(ア) 軀体 1,612,200,747 点 鉄骨(耐火被覆なし) 196,200 点×989.96t=194,230,152 点鉄骨(耐火被覆あり) 257,630 点×3273.45t=843,338,923 点鉄筋 129,801,504 点(甲19・61頁)コンクリート(鉄筋) 357,547,048 点(甲19・61頁)コンクリート(DP) 72,143,800 点(甲19・61頁) コンクリート(無筋) 15,139,320 点(甲19・61頁)(イ) 床構造 131,533,200 点(甲19・61頁)イ基礎工事 90,480,648 点(甲19・61頁)ウ外周骨組 8,738,784 点(甲19・61頁)エ間仕切骨組58,456,424 点(甲19・61頁) オ外部仕上 165,827,760 点(甲19・62頁) カ内部仕上 19,023,718 点(甲19・62頁)キ床仕上28,404,905 点(甲19・62頁)ク天井仕上 13,498,428 点(甲19・63頁)ケ屋根仕上 16,258,720 点(甲19・63頁)コ建具139,042,305 点(甲19・63頁) サ特殊設備 1,693,812 点(甲19・63頁)シ建築設備 962,644,531 点(ア) 動力配線設備 41, サ特殊設備 1,693,812 点(甲19・63頁)シ建築設備 962,644,531 点(ア) 動力配線設備 41,612,359 点(甲19・63頁)(イ) 電灯コンセント配線設備57,814,282 点(甲19・63頁)(ウ) 蛍光灯用器具 45,472,383 点(甲19・63頁) (エ) 白熱灯用器具 15,876,187 点(甲19・64頁)(オ) 電話配線設備 7,109,170 点(甲19・64頁)(カ) 自動車管制装置 1,800×14,044.57×0.62×1.00=15,673,740 点(キ) インターホン配線設備649,600 点(甲19・64頁)(ク) 拡声器配線設備 10,114,423 点(甲19・65頁) (ケ) テレビジョン共同聴視設備局所的 2,665,920 点(甲19・65頁)(コ) 給水設備49,776,609 点(甲19・65頁)(サ) 排水設備63,225,471 点(甲19・65頁)(シ) 衛生器具設備 23,828,218 点(甲19・65頁) (ス) ガス設備17,341,120 点(甲19・66頁)(セ) 一般機械排煙 26,250,000 点(甲19・66頁)(ソ) 乗降ロビー及び特別避難階段の附室排煙 11,550,000 点(甲19・66頁)(タ) 火災報知設備 26,250,000 点(甲19・66頁)(ソ) 乗降ロビー及び特別避難階段の附室排煙 11,550,000 点(甲19・66頁)(タ) 火災報知設備 42,846,490 点(甲19・66頁) (チ) 避雷突針設備 1,092,000 点(甲19・66頁) (ツ) 消火栓設備12,056,508 点(甲19・66頁)(テ) 泡消火設備150,038,141 点(甲19・67頁)(ト) スプリンクラー設備 57,920,985 点(甲19・67頁)(ナ) 運搬設備(乗用エレベーター特注インバータ型,非常用エレベーター,人荷用エレベーター中速交流型,エスカレーター特注型) 170,856,390 点(甲19・67~68頁)(ニ) 空調設備(換気設備,換気扇,空調設備個別分散方式パッケージ)138,874,535 点(甲19・68~69頁)ス仮設工事 250,053,890 点(甲19・69頁)セその他工事 68,035,417 点(甲19・69頁) ソ再建築費評点数合計 3,565,893,289 点 6 経年減点補正率について⑴ 本件家屋の平成24年度における再建築費評点数ア前記1⑵のとおり,本件における評価の基準時である平成24年1月1日時点の固定資産評価基準によれば,本件家屋の再建築費評点数は,本件 家屋の最初の評価が行われた平成13年度における再建築費評点数に,順次,再建築費評点補正率を乗じて求められる。 前記5⑹ソのとおり 資産評価基準によれば,本件家屋の再建築費評点数は,本件 家屋の最初の評価が行われた平成13年度における再建築費評点数に,順次,再建築費評点補正率を乗じて求められる。 前記5⑹ソのとおり,本件家屋の平成13年度における再建築費評点数は35億6589万3289点であり,これを本件家屋の延べ床面積3万1644.38m2で除した単位当たり再建築費評点数は11万2686 点である。 イその後の基準年度である平成15年度における再建築費評点補正率は0.96と認められるから(甲5,甲19・69頁),本件家屋の平成15年度における再建築費評点数は,本件決定における計算方法(甲19・69~70頁)に従うと, 112,686 (平成13年度の単位当たり再建築費評点数)×0.96=108,178 点108,178×31,644.38(延べ床面積)=3,423,225,739 点となる。 ウその後の基準年度である平成18年度における再建築費評点補正率は0.95と認められるから(甲5,甲19・70頁),本件家屋の平成1 8年度における再建築費評点数は,本件決定における計算方法に従うと,108,178(平成15年度の単位当たり再建築費評点数)×0.95=102,769点102,769×31,644.38(延べ床面積)=3,252,061,288 点となる。 エその後の基準年度である平成21年度における再建築費評点補正率は1.04と認められるから(甲5,甲19・70頁),本件家屋の平成21年度における再建築費評点数は,本件決定における計算方法に従うと,102,769(平成18年度の単位当たり再建築費評点数)×1.04=106,879点 106,879×3 成21年度における再建築費評点数は,本件決定における計算方法に従うと,102,769(平成18年度の単位当たり再建築費評点数)×1.04=106,879点 106,879×31,644.38(延べ床面積)=3,382,119,690 点となる。 オその後の基準年度である平成24年度における再建築費評点補正率は0.96と認められるから(甲19・70頁),本件家屋の平成24年度における再建築費評点数は,本件決定における計算方法に従うと, 106,879(平成21年度の単位当たり再建築費評点数)×0.96=102,603点102,603×31,644.38(延べ床面積)=3,246,808,321 点となる。 ⑵ 本件家屋に適用すべき経年減点補正率について ア本件における評価の基準時である平成24年1月1日時点の固定資産評 価基準によれば,非木造家屋の評点数は,当該非木造家屋の再建築費評点数を基礎として,これに損耗の状況による減点補正率を乗じて付設する(弁論の全趣旨)。 そして,非木造家屋の損耗の状況による減点補正率は,非木造家屋の構造区分に従い,非木造家屋経年減点補正率基準表に示されている当該非木 造家屋の経年減点補正率によって求めるとされている(弁論の全趣旨)。 イ本件家屋は,駐車場,店舗,フィットネスクラブ及び事務所という複合的な用途に使用されているところ(争いがない。),一般に,家屋が複数の用途に供されている場合の経年減点補正率の適用は,最も大きな床面積を占める用途によるものとされ(甲30・12頁),本件決定に係る審査 手続において,経年減点補正率の適用に当たっての本件家屋の用途は駐車場とすることで争いがなかったから(甲19・30,37頁), 占める用途によるものとされ(甲30・12頁),本件決定に係る審査 手続において,経年減点補正率の適用に当たっての本件家屋の用途は駐車場とすることで争いがなかったから(甲19・30,37頁),平成24年度の非木造家屋経年減点補正率基準表(甲6)中の「工場,倉庫,発電所,変電所,停車場及び車庫用建物」の表を用いることとする。 ウ本件決定は,本件家屋につき,「工場,倉庫,発電所,変電所,停車場 及び車庫用建物」の表の「鉄骨鉄筋コンクリート造,鉄筋コンクリート造」の経過年数12年に対応する経年減点補正率0.7867を適用している(甲19・59~60,70頁)。 これに対して,原告らは,同表の「鉄骨造(骨格材の肉厚が4mmを超えるもの)」の経過年数12年に対応する経年減点補正率0.7257を 適用すべきであると主張する。 エ非木造家屋経年減点補正率基準表は,構造材の区分に応じて経年減点補正率を定めているところ,本件家屋の柱は,コンクリート充塡鋼管(CFT)構造である(争いがない。)。 非木造家屋経年減点補正率基準表は,CFT造に対応する経年減点補正 率を定めていないことから,CFT造の非木造家屋につき,鉄骨鉄筋コン クリート造(SRC造)に類似するものとして「鉄骨鉄筋コンクリート造,鉄筋コンクリート造」の経年減点補正率を適用するか,鉄骨造(S造)に類似するものとして,骨格材の肉厚に応じた「鉄骨造」の経年減点補正率を適用するかが問題となる。 オ CFT(ConcreteFilledsteelTube)造とは,鋼管内にコンクリート を充塡した構造形式で,鋼管とコンクリートの特性を十分に引き出すことにより,従来のS造やRC造(鉄筋コンクリート造),SRC造に比べ耐震,耐火性能に優れた性能を )造とは,鋼管内にコンクリート を充塡した構造形式で,鋼管とコンクリートの特性を十分に引き出すことにより,従来のS造やRC造(鉄筋コンクリート造),SRC造に比べ耐震,耐火性能に優れた性能を発揮するものである(乙12)。 カ経年減点補正率は,建物の耐用年数を参考に定められているところ(甲30),SRC造建物の耐用年数は,鉄筋を被覆するコンクリートの中性 化速度から算定し中性化が終わったときに耐用年数が尽きたものとして定められており,一方,S造建物の耐用年数は,鉄骨は酸化によって漸次肉厚が減少するものであるから,その肉厚が3分の2程度に著減したときに耐用年数が尽きたものとして定められている(甲25)。 CFT柱は,鋼管にコンクリートが充塡されているものの,外気にさら される鋼管外部がコンクリートに覆われているわけではないから,建物の耐用年数の算定に当たり,コンクリートの中性化速度が問題となるわけではなく,SRC造の耐用年数の算定方法よりは,S造の耐用年数の算定方法がより妥当するものと考えられる。 したがって,CFT造の家屋には,S造の経年減点補正率を適用するの が相当である。 キ東京都主税局が平成22年2月に発行した「平成21年基準年度評価実務ガイドブック-家屋-」(甲51)も,CFT造家屋につき,「一般的に施工される充填型(左図)についてはS造として評価する。なお,鋼管をコンクリートで被覆した被覆型(右図)はSRC造として評価するので 注意する。」としているほか,平成26年時点で,札幌市,川崎市,横浜 市,名古屋市及び福岡市も,当該家屋の建築年次を問わず,CFT造の家屋にはS造の経年減点補正率を適用しており(甲49の1~5),宇都宮市も同様の解釈を採用するに至っている(甲50)。 横浜 市,名古屋市及び福岡市も,当該家屋の建築年次を問わず,CFT造の家屋にはS造の経年減点補正率を適用しており(甲49の1~5),宇都宮市も同様の解釈を採用するに至っている(甲50)。 ク建築基準法施行令は,建築物の構造強度につき,鉄骨造(第3章第5節[63条~70条]),鉄筋コンクリート造(第6節[71条~79条]), 鉄骨鉄筋コンクリート造(第6節の2[79条の2~79条の4]),これら以外の構造方法(第7節の2[80条の2・80条の3])に分けて規定しているところ,平成14年国土交通省告示第464号「コンクリート充填鋼管造の建築物又は建築物の構造部分の構造方法に関する安全上必要な技術的基準を定める件」第1は,コンクリート充塡鋼管(CFT)造 の建築物又は建築物の構造部分の構造方法は,鉄骨造(S造)についての規定である建築基準法施行令第3章第5節の規定[63条~70条]によらなければならない旨を規定している(甲26)。 ケ被告自身,本件家屋について,平成13年度から平成21年度まで,S造の経年減点補正率を適用してきており,平成24年度の価格の当初決定 においてもS造の経年減点補正率を適用していたところ,本件決定に係る審査手続において,本件家屋がCFT造であることが確認できたとして,SRC造の経年減点補正率の適用を主張するに至ったものである(甲8・3頁)。 また,被告は,E市に所在する平成14年4月27日新築に係る家屋(F ビル)については,SRC造部分にはSRC造の経年減点補正率を,CFT造部分にはS造の経年減点補正率を適用している(甲6,27~29,弁論の全趣旨)。 コ被告は,本件家屋と所有者が一部重複する,平成12年11月21日新築に係るCFT造の家屋(Hビル)については,平 部分にはS造の経年減点補正率を適用している(甲6,27~29,弁論の全趣旨)。 コ被告は,本件家屋と所有者が一部重複する,平成12年11月21日新築に係るCFT造の家屋(Hビル)については,平成13年度から平成2 2年度までSRC造の経年減点補正率を適用しており,これを違法として 区分所有者らが提起した国家賠償請求の請求棄却判決が確定している(乙9~11)。 しかし,このことは,Hビルの平成13年度から平成22年度までの固定資産税に関し,SRC造の経年減点補正率を適用していたことに国家賠償法上の違法がないことを意味するにとどまり,本件家屋の平成24年度 の固定資産税に関し,SRC造の経年減点補正率を適用することが課税処分として適法であることまで意味するものではない(なお,Hビルの固定資産税に関しては,別件訴訟(東京地裁平成28年(行ウ)第47号)が係属中である。)。 東京高裁平成18年10月11日判決(乙19。原審・東京地裁平成1 7年11月30日判決・乙18)も,東京都中央区に所在するCFT造の家屋につき,東京都が平成2年ないし平成12年の固定資産評価に当たりSRC造と評価したことが明白かつ重大な誤りであると断ずることは困難であり,固定資産税等の賦課決定が一部無効であるとはいえないとして過誤納金返還請求を棄却しているが,当該賦課決定の取消事由の有無につい ては何ら判断がされておらず,また,同事件の控訴人の主張によれば,東京都固定資産評価審査委員会は平成15年度の固定資産評価審査決定においては当該家屋をS造として評価しているというのであり(乙19・2頁),本件家屋の平成24年度の固定資産税に関し,SRC造の経年減点補正率を適用することが本件家屋に係る課税処分として適法であることまで意味 該家屋をS造として評価しているというのであり(乙19・2頁),本件家屋の平成24年度の固定資産税に関し,SRC造の経年減点補正率を適用することが本件家屋に係る課税処分として適法であることまで意味 するものではない。 サ建築学者であるI教授の平成30年11月9日付け意見書(乙20)は,CFT造がS造,RC造,SRC造のいずれかに明白に所属するという決定的な根拠はなく,CFT造の場合,鋼材は原則として12mm厚以上のものを用いて表面には防錆措置を施しており,さらにもし発錆しても外表 面のみから進行する(内部はコンクリートの保護作用が働く)ので,錆に よる構造耐力の低下を考慮することは実質的には不要であるから,上記クの国土交通省告示以前の平成12年に建築されたCFT造の家屋について,SRC造と認定してSRC造・RC造の経年減点補正率を適用したことには相応の合理性があったと考えられる旨を述べる。 しかし,I教授も指摘するとおり,現在の建築技術を前提とした実際の 使用可能年数と経年減点補正率が想定する家屋の耐用年数が乖離していることは,S造,SRC造共通の問題であるから(乙20),CFT造において実質的に錆による構造耐力の低下を考慮する必要がないとの建築技術上の知見が存在することを考慮しても,そのことが直ちに,経年減点補正率を適用する場面において,CFT造がS造よりもSRC造に類似すると 解すべき根拠となるとはいえない。 シ経年減点補正率の定めの趣旨に鑑みれば,経年減点補正率の適用に当たり,CFT造はSRC造よりもS造に類似すると解すべきことは前記のとおりであるから,CFT造の家屋には,当該家屋の新築年度を問わず,S造の経年減点補正率を適用するのが相当である。 そして,本件家屋の柱の骨格 よりもS造に類似すると解すべきことは前記のとおりであるから,CFT造の家屋には,当該家屋の新築年度を問わず,S造の経年減点補正率を適用するのが相当である。 そして,本件家屋の柱の骨格材の肉厚は4mmを超えるから(甲2,弁論の全趣旨),「鉄骨造(骨格材の肉厚が4mmを超えるもの)」の経過年数12年に対応する経年減点補正率0.7257を適用すべきである。 これと異なり,SRC造の経年減点補正率を適用した本件決定は,固定資産評価基準の適用に当たり,適用すべき経年減点補正率を誤ったもので 違法である。 ⑶ そうすると,本件家屋の評点数は,3,246,808,321×0.7257=2,356,208,798 点となる。 ⑷ 平成24年度における評点1点当たりの価額は1.1円と認められるから (甲10・10頁),本件家屋の評価額は, 2,356,208,798×1.1=2,591,829,677 円となる。 7 結論以上によれば,本件決定は,①耐火被覆が施工されていない鉄骨の重量は989.96tと認定すべきであるのに,これより過少な762.37tと認 定し,227.59t分について誤って耐火被覆の施工された鉄骨の重量として評価した点,②自動車管制装置の規模の補正係数として,0.93を下回る補正係数を用いるべきであるのに,誤って0.93を用いた点,③経年減点補正率として,S造の経年減点補正率を適用すべきであるのに,誤ってSRC造の経年減点補正率を適用した点の3点において誤っており,これら3点の誤り により,本件家屋の価格を,「固定資産評価基準によって決定される価格」を上回る28億2688万7728円と決定したものである。 原告らは,本件決定のうち,価格23億05 これら3点の誤り により,本件家屋の価格を,「固定資産評価基準によって決定される価格」を上回る28億2688万7728円と決定したものである。原告らは,本件決定のうち,価格23億0595万3665円を超える部分の取消しを求めているところ,自動車管制装置の規模の補正係数を0.62として計算した場合の本件家屋の価格である25億9182万9677円を超える部分についての取消しを求める部分は理由があるから認容し,その余の部分に係る原告らの請求は理由がないから棄却することとする。よって,主文のとおり判決する。 主文 東京地方裁判所民事第3部 裁判長裁判官古田孝夫 裁判官西村康夫 裁判官味元厚二郎(別紙省略)
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