平成12(行ウ)74 損害賠償請求

裁判年月日・裁判所
平成14年9月26日 大阪地方裁判所
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判決文本文34,371 文字)

判決 主文 1 被告Aは,大阪市に対し,3万8660円及びこれに対する平成12年8月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告Bは,大阪市に対し,3780円及びこれに対する平成12年8月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告Cは,大阪市に対し,7220円及びこれに対する平成12年9月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 原告らの被告A及び同Bに対するその余の請求並びに被告D及び同Eに対する請求をいずれも棄却する。 5 訴訟費用は,原告らに生じた費用の5分の1と被告Aに生じた費用の3分の1を同被告の負担とし,原告らに生じた費用の10分の1と被告Bに生じた費用の2分の1を同被告の負担とし,原告らに生じた費用の10分の1と被告Cに生じた費用を同被告の負担とし,その余の全費用を原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告らは,大阪市に対し,それぞれ別紙タクシー乗車券使用状況一覧の各被告分合計額欄記載の金額及びこれに対する被告D,同E及び同Aは平成12年8月18日から,被告Iは平成12年8月22日から,被告Cは平成12年9月15日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,大阪市の職員である被告らのタクシー乗車券の使用が違法であるとして,大阪市の住民である原告らが大阪府に代位して,被告らに対し,不法行為又は不当利得を原因として,タクシー利用代金合計14万6420円の支払を求めた事案である。 1 前提事実(争いのない事実及び証拠等により容易に認められる事実)(1) 当事者ア原告らは,いず として,タクシー利用代金合計14万6420円の支払を求めた事案である。 1 前提事実(争いのない事実及び証拠等により容易に認められる事実)(1) 当事者ア原告らは,いずれも大阪市の住民である。 イ被告らは,いずれも大阪市の職員であり,平成11年当時,被告Dは大阪市建設局此花区画整理事務所(以下「本件事務所」という。)の所長として,被告Eは本件事務所の工務担当職員として,被告Aは本件事務所の工務担当主査として,被告Bは本件事務所の工務担当職員として,被告Cは大阪市建設局区画整理部事業企画課主査として勤務していた者である。 本件事務所は,ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(以下「USJ」という。)の誘致に関連する此花臨海地区の整備を行うため,大阪市の施行する大阪都市計画事業此花西部臨海地区土地区画整理事業(以下「此花事業」という。)を担当した事務所である。 (2) タクシー乗車券の取扱いに関する実施要領(以下「実施要領」という。)大阪市においては,タクシー乗車券の取扱いについて実施要領を定めており,そのうち本件に関係する主な規定としては,次のとおりである。 ア 1条(目的)この要領は,タクシー乗車券を適正に管理・運用することにより,本市予算の効率的な執行を行い,事務事業の円滑な推進を図ることを目的とする。 イ 3条(タクシー乗車券)1項省略2項タクシー乗車券を利用する所属の長(以下「所属長」という。)は,タクシー乗車券を必要とするときは,別記様式2(省略)の「タクシー乗車券管理換請求書」により総務局長に請求するものとする。 3項省略 所属の長(以下「所属長」という。)は,タクシー乗車券を必要とするときは,別記様式2(省略)の「タクシー乗車券管理換請求書」により総務局長に請求するものとする。 3項省略ウ 4条(タクシー乗車券統括取扱責任者等の設置)1項所属長は,所属にタクシー乗車券統括取扱責任者(以下「統括責任者」という。)を設置しなければならない。 2項統括責任者は,所属の庶務担当課長をもって充てる。 3項所属長は,必要と認める箇所にタクシー乗車券取扱責任者(以下「取扱責任者」という。)を設置するものとする。 4項取扱責任者は,部,課又は事業所の庶務担当課長,庶務担当係長又はこれらに準ずる職員のうちから,所属長が命ずるものとする。 5項省略エ 6条(交付)1項タクシー乗車券の交付を受けようとする者は,交付簿に必要事項を記入し,取扱責任者に申請しなければならない。 2項取扱責任者は,前項の規定による申請があったときは,次の各号の1に該当する場合に限り,必要最小限の枚数のタクシー乗車券を交付することができる。 1号事務事業の遂行にあたり緊急を要し,他の交通手段によりがたいとき2号容量の大きな書類・物品等を搬送しなければならない場合で,郵便等によりがたいとき3号本市が必要とする講師等を招き,その送迎などのためやむを得ないと認められるとき4号その他所属長又は統括責任者が特に必要があると認めたときオ 7条(使用者等の責 が必要とする講師等を招き,その送迎などのためやむを得ないと認められるとき4号その他所属長又は統括責任者が特に必要があると認めたときオ 7条(使用者等の責務)1~3項省略4項使用者は,タクシー乗車券の使用後,タクシー乗車券左片を取扱責任者に提出し,使用結果を報告しなければならない。 5項省略6項タクシー乗車券の交付を受けた者は,所属長又は統括責任者が特に必要と認めた場合を除き,他の者にタクシー乗車券を使用させてはならない。 7項タクシー乗車券が不正に使用されたときは,当該タクシー乗車券の交付を受けた者が,その責めを負わなければならない。 カ 9条(総務局における事務処理)総務局においては,各協会から1月ごとに提出される使用済のタクシー乗車券(以下「使用済乗車券」という。)請求書及び明細書について,次により事務処理を行わなければならない。 1号使用済乗車券の所属コード及び分類コードを点検するとともに,所属別及びタクシー会社別の集計表並びに明細表を作成し,請求書及び明細書の金額を確認すること2号前号の規定により作成した所属別集計表を各所属に送付するとともに,使用済乗車券を所属別に分類し,各所属に送付すること3号請求金額を確認後,速やかに支出命令書を作成して収入役室に送付するとともに,所属ごとに使用件数及び使用金額を整理し,別記様式8(省略)の「振替依頼書」を各所属に送付することキ 11条(予算管理)1項所属長は,タク 送付するとともに,所属ごとに使用件数及び使用金額を整理し,別記様式8(省略)の「振替依頼書」を各所属に送付することキ 11条(予算管理)1項所属長は,タクシー乗車券の交付及び経費の支出に当たっては,統括責任者及び取扱責任者にその内容を厳正に審査させるとともに,常に効率的な予算執行を指導・徹底し,毎月その使用状況等について統括責任者に報告をさせなければならない。 2項所属長は,通信運搬費のうちタクシー乗車券の執行額を3か月ごとに財政局長に報告しなければならない。 (3) 監査請求原告らは,平成12年5月8日,大阪市監査委員に対し,平成11年度の本件事務所における合計121件106万3290円のタクシー乗車券の使用が違法であるとして監査請求を行ったところ,53件44万5960円については監査請求前の同年4月13日に,8件2万1200円については監査請求後の同年6月9日に,それぞれ大阪市に返還された。残る60件59万6130円につき,大阪市監査委員は,同年7月6日,9件9万0170円については不適切であるとして返還措置を求めたが,別紙タクシー乗車券使用状況一覧記載の使用分(以下「本件各使用」という。)を含むその余の請求については不適切なものではないとして,一部棄却した。 2 争点(1) 実施要領の位置づけ及び実施要領違反の効果(2) 被告Dのタクシー乗車券使用の違法性(3) 被告Eのタクシー乗車券使用の違法性(4) 被告Aのタクシー乗車券使用の違法性(5) 被告Bのタクシー乗車券使用の違法性(6) 被告Cのタクシー乗車券使用の違法性 3 争点に関する当事者の主張(1) 実施要領の位置 Aのタクシー乗車券使用の違法性(5) 被告Bのタクシー乗車券使用の違法性(6) 被告Cのタクシー乗車券使用の違法性 3 争点に関する当事者の主張(1) 実施要領の位置づけ及び実施要領違反の効果(原告らの主張)大阪市は,タクシー乗車券の取扱いについて,実施要領を定め,「タクシー乗車券を適正に管理・運用することにより,本市予算の効率的な執行を行い,事務事業の円滑な推進を図」らしめている(1条)。すなわち,タクシー乗車券は,その利用により必然的に公金の支出を伴うものであり,その利用態様如何によっては実質的負担者である大阪市,ひいては大阪市民に負担が及ぶ性質のものである。 これを端的に示すのが,大阪市において平成元年ころに相次いで指摘されたいわゆる公金乱脈事件であり,ここで食料費等の乱脈使用の実態が明らかにされて市民から厳しい批判を受けるとともに,タクシー乗車券の不正使用も指摘されるに至った。そこで,大阪市では平成元年に「市政運営の刷新・適正化についての緊急提言」を発表し,タクシー乗車券の適正使用と管理体制の強化を決定し,これを受けてこの実施要領が制定,実施されたものである。 このようにして制定,実施された実施要領は,大阪市におけるタクシー乗車券の使用に際して,厳格に遵守すべき法規範として制定されたものであり,大阪市職員は,実施要領に従ってタクシー乗車券を使用する義務を負うのであって,かかる義務に違反した使用は,そのことのみをもって違法と判断されるべきである。 このことは,本件被告らによるタクシー乗車券の不正使用が明るみに出たことを受けて,大阪市総務局長名で「タクシー乗車券の使用の適正化について」との通知が出され,その中で,「タクシー乗車券の取り扱いに関する実 とは,本件被告らによるタクシー乗車券の不正使用が明るみに出たことを受けて,大阪市総務局長名で「タクシー乗車券の使用の適正化について」との通知が出され,その中で,「タクシー乗車券の取り扱いに関する実施要領の遵守について万全を期すため,改めて,職員一人ひとりに対し同要領の趣旨の徹底を図るとともに,統括責任者並びに取扱責任者である職員に対しては,職員の指導監督に遺漏なきよう一層の指導」を行うよう求めていることにも顕著に顕れているところである。 本件事務所では,使用目的を特定せずに複数枚のタクシー乗車券を交付し,使用後の報告や確認も極めて杜撰で,他人に使用させるなど実施要領の意義を根本から没却する不正使用が行われており,本件各使用は違法なものである。 (被告らの主張)大阪市においては,地方公共団体における財務のうち,収入,支出における現実の収支の執行手続,決算,現金,有価証券などの取扱いに関する事務である会計事務について,大阪市会計規則(昭和39年大阪市規則第14号。以下「会計規則」という。)を制定している。会計規則上,タクシー乗車券について明示的に定めた規定はなく,また,会計規則と実施要領との関係についても規定上は明確ではない。 しかし,タクシー乗車券は,通常の備品,消耗品,材料などとは違い,金券に類する物品であり慎重な取扱いが求められることから,「タクシー乗車券を適正に管理・運用すること」が求められ,実施要領が規則と同レベルで市長決裁として別途定められ,タクシー乗車券について,その契約,作成,管理換え,保管,交付手続,使用者等の責務,事務処理などを規定し,これらの規定に基づいてタクシー乗車券にかかる事務が取り扱われていること,また,文書取扱上も物品として位置づけられていること,物品に 管理換え,保管,交付手続,使用者等の責務,事務処理などを規定し,これらの規定に基づいてタクシー乗車券にかかる事務が取り扱われていること,また,文書取扱上も物品として位置づけられていること,物品に係る会計規則の各規定と実施要領の各規定との間に類似性が見受けられることを総合的に勘案すると,実質的に見て実務上,実施要領が会計規則の特則的な機能を有していると考えることができる。 なお,実施要領6条2項4号該当性の判断権者について,実施要領の文言上は「所属長又は統括責任者」となっており,大阪市建設局においては,所属長は建設局長,統括責任者は管理部庶務課長となる。しかし,大阪市建設局は,約3000人近くの職員が大阪駅前第2ビルを初めとして市内各所におかれている事業所において業務を行っており,本件事務所もその事業所の一つとして業務を行っている。このように多数の職員が多種多様な業務を市内各所において行っているのが実態であり,個々の職員がタクシー乗車券を使用するに当たって,6条2項4号該当性の判断を逐一所属長又は統括責任者が行うことは実態に適しないものであり,それぞれの業務実態を直接把握している事業所等において当該該当性の判断を行っているのが実情である。 本件事務所においても,同事務所の責任者である所長が事実上の責任者として各使用につき当該該当性の判断を行っており,本件各使用は業務上の必要性に基づく正当なものであり,実施要領に違反しない。 (2) 被告Dのタクシー乗車券使用の違法性(原告らの主張)被告Dが本件事務所から帰宅する際,最終電車となるのはJR環状線弁天町駅午前0時発であり,大阪駅で乗り換えてJR神戸線西明石行きの最終電車(大阪駅発午前0時26分発)に乗って立花駅で下車すれば,電車による帰宅が可能 所から帰宅する際,最終電車となるのはJR環状線弁天町駅午前0時発であり,大阪駅で乗り換えてJR神戸線西明石行きの最終電車(大阪駅発午前0時26分発)に乗って立花駅で下車すれば,電車による帰宅が可能である。 被告Dは,平成11年8月25日及び同年11月8日,タクシー乗車券を使用(別紙タクシー乗車券使用状況一覧の記載の順序に従い,「請求対象1」,「請求対象2」という。以下,同じ。)したものであるが,同被告が深夜まで事務所に残って業務を行っていたことを示す客観的資料はなく,同被告の退庁時刻が午前0時ころという事実は疑わしい。 仮に,被告Dが午前0時ころまで事務所に残っていたとしても,少なくともJR大阪駅までタクシーで行けば,大阪駅発の最終電車に間に合うはずであって,自宅までの遠距離についてタクシーを利用し,4000円以上もの高額のタクシー料金を公金で支払う必要は全くない。 そもそも,午前0時の電車に乗れば間に合うことは分かっていたはずであり,タクシーを利用せずに仕事を処理するべきであって,わざわざタクシーを使用し,公金からその費用を支出することは実施要領6条2項1号にいう「事務事業の遂行に当たり緊急を要し,他の交通手段によりがたいとき」には当たらず,違法である。 (被告Dの主張)請求対象1及び2については,いずれも被告Dが翌日午前0時ころという深夜まで本件事務所において超過勤務を行い,JR環状線弁天町駅午前0時発の最終電車に乗車することは不可能であったために,実施要領6条2項4号「その他所属長又は統括責任者が特に必要があると認めたとき」に該当するものと判断して,タクシー乗車券を使用したものである。 すなわち,被告Dは,当時本件事務所の所長であったところ,請 「その他所属長又は統括責任者が特に必要があると認めたとき」に該当するものと判断して,タクシー乗車券を使用したものである。 すなわち,被告Dは,当時本件事務所の所長であったところ,請求対象1(平成11年8月25日)については,同月27日に建設省において実施計画変更協議を行うこととなっていたため,同協議についての打合せ業務を被告Aと共に行ったものであり,請求対象2(同年11月8日)については,大阪市予算要求のヒアリングを控えて予算要求内容についての打合せ及び資料整理業務を行ったものである。 したがって,請求対象1及び2は,いずれも通常の交通機関が利用できない場合にタクシー乗車券を使用したものであり,社会常識から見て十分に許容されるものと考えられるから,実施要領に適合した正当な利用として認められるものであり,適法である。 原告は,請求対象1及び2について,タクシー乗車券を使用せずに仕事を処理すべきであると主張するが,必要な業務に従事した結果として,超過勤務終了時刻が上記のとおりとなったものであって,受け入れられない。また,原告は,最終電車に乗り遅れてもJR大阪駅までタクシーを使用すればよいとも主張するが,このような通常とは異なる通勤経路による帰宅についての認識はしていないのであって,妥当でない。 (3) 被告Eのタクシー乗車券使用の違法性(原告らの主張)被告Eが本件事務所から帰宅する場合,最終電車となるのはJR環状線弁天町駅午前0時発であり,乗り換えてJR宝塚線北伊丹駅で下車すれば電車による帰宅が可能である。 被告Eは,平成11年6月29日(請求対象3)及び平成11年12月2日(請求対象4),タクシー乗車券を使用したものであるが,同被告が深夜まで で下車すれば電車による帰宅が可能である。 被告Eは,平成11年6月29日(請求対象3)及び平成11年12月2日(請求対象4),タクシー乗車券を使用したものであるが,同被告が深夜まで事務所に残って業務を行っていたことを示す客観的資料はなく,同被告の退庁時刻が午前0時という事実は疑わしい。 仮に被告Eが午前0時まで事務所に残っていたとしても,少なくとも午前0時26分JR北新地駅発の電車があり,北新地駅又は弁天町駅に近いJR海老江駅までタクシーで行けば,十分最終電車に間に合うはずであって,自宅までの遠距離についてタクシーを利用し,6500円もの高額のタクシー料金を公金で支払う必要は全くない。 そもそも,午前0時の電車に乗れば間に合うことは分かっていたはずであり,タクシーを利用せずに仕事を処理するべきであって,わざわざタクシーを使用し,公金からその費用を支出することは違法である。 (被告Eの主張)請求対象3及び4については,当時被告Eは此花事業に伴う工事の連絡調整業務を担当する本件事務所係員であったところ,いずれも同被告が翌日午前0時ころという深夜まで本件事務所において超過勤務を行い,JR環状線弁天町駅午前0時発の最終電車に乗車することは不可能であったために,実施要領6条2項4号「その他所属長又は統括責任者が特に必要があると認めたとき」に該当するものと判断して,タクシー乗車券を使用したものである。 したがって,請求対象3及び4は,いずれも通常の交通機関が利用できない場合にタクシー乗車券を使用したものであり,社会常識から見て十分に許容されるものと考えられるから,実施要領に適合した正当な利用として認められるものであり,適法である。 原告は,タクシ 場合にタクシー乗車券を使用したものであり,社会常識から見て十分に許容されるものと考えられるから,実施要領に適合した正当な利用として認められるものであり,適法である。 原告は,タクシー乗車券を使用せずに仕事を処理すべきであると主張するが,必要な業務に従事した結果として,超過勤務終了時刻が上記のとおりとなったものであって,受け入れられない。また,原告は,最終電車に乗り遅れてもJR北新地駅やJR海老江駅までタクシーを使用すればよいとも主張するが,このような通常とは異なる通勤経路による帰宅についての認識はしていないのであって,妥当でない。 (4) 被告Aのタクシー乗車券使用の違法性(原告らの主張)被告Aが本件事務所から帰宅する際,最終電車となるのはJR環状線弁天町駅午前0時発であり,新今宮駅で乗り換えて泉北高速鉄道の最終電車(新今宮駅午前0時12分発)に乗って泉ヶ丘駅で下車すれば,電車による帰宅が可能である。 被告Aは,平成11年6月2日(請求対象5),同年6月15日(請求対象6),同年7月5日(請求対象7),同年7月14日(請求対象8),同年7月15日(請求対象9),同年7月16日(請求対象10),同年7月20日(請求対象11),同年7月21日(請求対象12),同年8月10日(請求対象13),同年8月17日(請求対象14),同年10月25日(請求対象15)のそれぞれにタクシー乗車券を使用したものである。 このうち,請求対象5及び6については,退庁時刻は午前0時過ぎあるいは午後11時59分に退庁し施錠したとされているが,仮に事実であるとしても,午前0時発が最終電車であることが分かっていたはずであるから,タクシーを利用せずに仕事を処理するべきであって,わざわざタクシ は午後11時59分に退庁し施錠したとされているが,仮に事実であるとしても,午前0時発が最終電車であることが分かっていたはずであるから,タクシーを利用せずに仕事を処理するべきであって,わざわざタクシーを使用し,公金からその費用を支出することは実施要領6条2項1号にいう「事務事業の遂行に当たり緊急を要し,他の交通手段によりがたいとき」には当たらず,違法である。 請求対象7及び8については,被告Aが退庁したのは午後11時過ぎであり,最終電車まで1時間近くも余裕があるのであるから,タクシー乗車券を使用する必要性は全くなく,その使用は違法である。 請求対象9及び10については,退庁時刻は午前0時過ぎとなっているが,請求対象5及び6と同様タクシー乗車券を使用する必要性は認められず,その使用は違法である。 請求対象11,12及び13については退庁し施錠した時刻がそれぞれ午後11時31分,午後11時44分,午後11時25分ころとなっているが,いずれも最終電車まで十分に時間があり,タクシー乗車券を使用する必要性は全くなく,その使用は違法である。 請求対象14については,退庁時刻は午前0時過ぎとなっているが,請求対象5及び6と同様タクシー乗車券を使用する必要性は認められず,その使用は違法である。 請求対象15については,退庁時刻は午後11時40分ころになっているが,これも最終電車までは十分時間があり,タクシー乗車券の使用は違法である。 (被告Aの主張)請求対象5から15までのいずれについても,被告Aは当時此花事業に伴う工事の連絡調整業務を担当する本件事務所主査であったところ,同被告が深夜まで当該事務所において超過勤務を行ったものであり,いずれについても実施要 15までのいずれについても,被告Aは当時此花事業に伴う工事の連絡調整業務を担当する本件事務所主査であったところ,同被告が深夜まで当該事務所において超過勤務を行ったものであり,いずれについても実施要領6条2項4号に該当すると判断してタクシー乗車券を使用したものである。 すなわち,請求対象5(6月2日)については,同月4日に建設省において実施計画変更等の協議を行うこととなっていたため,3日午前0時過ぎまで,実施計画変更資料等作成業務を行ったものである。 請求対象6については,6月28日に建設省において平成11年度補助金交付申請等の協議を行うこととなっていたため,補助金交付申請等作成業務を行い,午後11時59分に施錠・退庁したものである。 請求対象7及び8については,7月2日に行った建設省での実施計画変更等の協議結果を受けて,問題点等を整理する必要があったため,午後11時過ぎまで実施計画変更資料等作成業務を行ったものである。 請求対象9及び10については,請求対象7及び8と同様の理由により,連日にわたって翌日午前0時過ぎまで実施計画変更資料等作成業務を行ったものである。 請求対象11については,休日であったが出勤し,請求対象7から10までと同様の理由により実施計画変更資料等作成業務を行い,午後11時31分に施錠・退庁したものであり,請求対象12についても,前日に引き続いて実施計画変更資料等作成業務を行い,午後11時44分に施錠・退庁したものである。 請求対象13については,7月29日に行った建設省での実施計画変更等の協議結果を受けて問題点等を整理し,8月27日に予定していた建設省における実施計画変更等の協議の準備のため,午後11時25分ころまで実施計画変 については,7月29日に行った建設省での実施計画変更等の協議結果を受けて問題点等を整理し,8月27日に予定していた建設省における実施計画変更等の協議の準備のため,午後11時25分ころまで実施計画変更資料等作成業務を行ったものであり,請求対象14についても同様の理由により,翌日午前0時過ぎまで同業務を行ったものである。 請求対象15については,市予算要求調書の提出時期を控え,午後11時40分ころまで市予算要求関係資料作成業務を行ったものである。 なお,被告Aの通常の通勤経路において,JR環状線弁天町駅午後11時46分発を利用すれば,南海高野線新今宮駅午前0時12分発の準急電車に間に合う。しかし,同準急電車は,南海電鉄と相互乗り入れをしている泉北高速鉄道には直通しないため,堺東駅で各駅停車電車に,中百舌鳥駅で泉北高速鉄道の電車にと,2回にわたる乗換えを余儀なくされる。また,泉北高速鉄道泉ヶ丘駅から自宅までは丘陵地で坂道が多い道で徒歩約30分の距離にあるため,同駅からはさらに南海バスを利用しているところ,同バスの最終バスは泉ヶ丘駅午後11時13分発である。このため,同被告は,最終バスが利用できない場合においては,泉北高速鉄道に直通する南海高野線新今宮駅午後11時17分発の準急電車を専ら利用していたものである。 被告Aとしては深夜の交通機関の最終便について上記のとおりの認識を有していたものであるが,仮に最終電車がJR環状線弁天町駅午後11時46分発であるとしても,請求対象5,6,9,10,12,14及び15の各場合は,当該最終電車を利用することが不可能な場合であり,この場合にタクシー乗車券を使用して職場から自宅まで帰宅することは,社会常識から見て十分に許容されるものと考えられるから,実施要領に適合 の各場合は,当該最終電車を利用することが不可能な場合であり,この場合にタクシー乗車券を使用して職場から自宅まで帰宅することは,社会常識から見て十分に許容されるものと考えられるから,実施要領に適合した正当な利用として認められるものであり,原告らの主張は失当である。また,請求対象7,8,11及び13については,JR環状線弁天町駅午後11時46分発の電車の利用が可能ではあるが,深夜に及ぶ超過勤務の慢性化状況により疲労困憊であったものであり,被告Aの健康面や安全面を考慮すれば,タクシー乗車券を使用して職場から自宅まで帰宅することは,社会常識から見て十分に許容されるものと考えられるから,実施要領に照らして違法とはいえず,原告らの主張は失当である。 (5) 被告Bのタクシー乗車券使用の違法性(原告らの主張)被告Bが本件事務所から帰宅する場合,最終電車となるのは地下鉄中央線弁天町駅午後11時45分発であり,深江橋駅で下車すれば電車による帰宅が可能である。 被告Bは,平成11年4月3日(請求対象16),タクシー乗車券を使用したものであるが,同被告の退庁時刻が仮に午後11時50分ころであったとしても,午後11時45分の電車に乗れば間に合うことは分かっていたはずであり,タクシー乗車券を利用せずに仕事を処理するべきであって,わざわざタクシーを使用し,公金からその費用を支出することは違法である。 また,被告Bは,平成11年8月11日(請求対象17),タクシー乗車券を使用したものであるが,同被告が同日退庁し施錠した時刻は午後11時25分であり,事務所から弁天町駅まで徒歩2分半であり,最終電車までは十分に時間があるから,タクシー乗車券の使用は違法である。 (被告Bの主張) 庁し施錠した時刻は午後11時25分であり,事務所から弁天町駅まで徒歩2分半であり,最終電車までは十分に時間があるから,タクシー乗車券の使用は違法である。 (被告Bの主張)請求対象16及び17については,当時被告Eは此花事業に伴う工事の連絡調整業務を担当する本件事務所係員であったところ,いずれも同被告が深夜まで本件事務所において超過勤務を行い,実施要領6条2項4号「その他所属長又は統括責任者が特に必要があると認めたとき」に該当するものと判断して,タクシー乗車券を使用したものである。 すなわち,請求対象16については,平成11年度国庫補助金申請時期を控え,午後11時50分ころまで国庫補助金申請資料作成業務を行っていたものであり,地下鉄中央線弁天町駅午後11時45分発の最終電車に乗車することは不可能となったものである。 したがって,請求対象16は,通常の交通機関が利用できない場合にタクシー乗車券を使用したものであり,社会常識から見て十分に許容されるものと考えられるから,実施要領に適合した正当な利用として認められるものであり,適法である。 原告は,タクシー乗車券を使用せずに仕事を処理すべきであると主張するが,必要な業務に従事した結果として,超過勤務終了時刻が上記のとおりとなったものであって,受け入れられない。 また,請求対象17については,被告Aの請求対象13及び14と同様の理由により,実施計画変更資料等作成業務を行い,午後11時25分に施錠・退庁したものであるが,同年8月の延べ超過勤務時間が100時間に達するという連日連夜にわたる超過勤務が慢性化する状況にあり,被告Bは疲労困憊であったものであり,同被告の健康面や安全面を考慮すれば,タクシー乗車券を使用して 同年8月の延べ超過勤務時間が100時間に達するという連日連夜にわたる超過勤務が慢性化する状況にあり,被告Bは疲労困憊であったものであり,同被告の健康面や安全面を考慮すれば,タクシー乗車券を使用して職場から自宅まで帰宅することは,社会常識から見て十分に許容されるものと考えられるから,実施要領に照らして違法とはいえず,原告らの主張は失当である。 (6) 被告Cのタクシー乗車券使用の違法性(原告らの主張)被告Cが勤務先である大阪駅前第2ビル内の建設局から帰宅する場合,最終電車となるのは阪急梅田駅午後11時43分発であり,阪急千里線山田駅で下車すれば電車による帰宅が可能である。 被告Cは,平成11年6月21日(請求対象18),タクシー乗車券を使用したものであるが,同被告がタクシー乗車券を使用したのは,同日の午後10時半ころであって,十分最終電車に間に合い,タクシー乗車券を使用する必要性は全くなかったものであるから,違法である。 また,実施要領においては,「タクシー券の交付を受けた者は,所属長又は統括責任者が特に必要と認めた場合を除き,他の者にタクシー券を使用させてはならない。」とされているところ,被告Cが使用したタクシー乗車券は,本件事務所所属のI主幹が持っていたものであるから,被告Cの請求対象18の使用はこの点においても不正である。 (被告Cの主張)請求対象18については,被告Cは当時大阪市建設局区画整理部事業企画課主査であったところ,タクシー乗車券を使用した6月21日の翌日に予定されていた業務に使用する資料が風呂敷包み2個分程度の量があったために,実施要領6条2項2号「容量の大きな書類・物品等を搬送しなければならない場合で,郵便等によりがたいとき」に該 21日の翌日に予定されていた業務に使用する資料が風呂敷包み2個分程度の量があったために,実施要領6条2項2号「容量の大きな書類・物品等を搬送しなければならない場合で,郵便等によりがたいとき」に該当するものと判断して,タクシー乗車券を使用したものである。 すなわち,被告Cは,同年6月22日の午前9時において,大阪区西区にある大阪市公文書館に自宅から直接赴き,業務を行うことになっていた。そのため,使用日に当該業務のかつての担当者であり事情をよく知るI此花事務所主幹から建設局区画整理部内の事務室において,資料をもとに説明を受け,午後10時30分ころに退庁したものである。これらの資料は担当する事業の関連ファイルや図面類,法令集など風呂敷包み2個分程度の量があり,翌日の業務に必要なものであったものであった。 したがって,請求対象18は,実施要領の要件に適合したものであり,原告らの主張は失当である。 第3 当裁判所の判断 1 証拠(甲1,3~8,11,12,乙1,3(書証は特記しない限り枝番を含む。),被告D本人)及び弁論の全趣旨によると,以下の事実が認められる。 (1) 本件事務所の概要ア本件事務所の所在地等本件事務所は,大阪市港区弁天町所在のビルの11階にあり,職員数が所長1名,主幹4名,主査7名,係員19名の合計31名の事務所である。 イ此花事業の内容本件事務所が担当する此花事業は,大阪市臨海地域の都市構造再編の一環として,此花西部臨海地区における工場を移転・集約し,研究・開発など新たな産業への転換を図るとともに,道路,公園及び緑地等の整備を行い,新しい都市空間の創造を目指すことを目的として,平成7年度から施行され,平成13年度に完 における工場を移転・集約し,研究・開発など新たな産業への転換を図るとともに,道路,公園及び緑地等の整備を行い,新しい都市空間の創造を目指すことを目的として,平成7年度から施行され,平成13年度に完了することを予定していた。 此花事業は,施行地区面積が156.2ヘクタール,総事業費が969億円,公共施設整備計画としては,道路が総延長8キロメートル,面積約20万1700平方メートル,公園,緑地が合計11万3100平方メートルに及ぶ規模の事業であった。 ウ本件事務所の繁忙状況本件事務所の設立された平成7年度には,此花事業のうち,仮換地指定に関する事業が中心に行われ,その後,平成8年度及び同9年度には建物の移転に関する事業が中心に行われ,平成10年度及び同11年度には工事のための連絡調整に関する事業が中心に行われた。 平成11年度には,建物の移転の進捗率,道路の整備進捗率並びに上下水道管及びガス管等の埋設物の進捗率を総合的に勘案して,事業全体の約3割の業務が行われ,道路に限れば,平成11年度において全体の約半分の道路整備が行われた。また,平成11年度には,事業の質を高めるために,事業費全体として28億円の総事業費を補助対象枠とする事業変更が行われた。そのため,平成11年当時,本件事務所のうち工務及び工事を担当する係が繁忙状態にあり,担当者によっては,1か月当たり200時間を超える超過勤務を行う者もいた。また,同年10月には事業の計画及び施行管理を直接担当している部門に欠員が生じたこともあって,特定の職員に超過勤務が偏った状況となっていた。 本件事務所の職員は,昼間はそれぞれ現場に出払っており,職員同士の打合せや協議は,午後5時以降の超過勤務時間帯に行わ こともあって,特定の職員に超過勤務が偏った状況となっていた。 本件事務所の職員は,昼間はそれぞれ現場に出払っており,職員同士の打合せや協議は,午後5時以降の超過勤務時間帯に行われることが多く,このことも超過勤務が多くなる一因となっていた。 なお,大阪市においては,超過勤務は超過勤務命令簿により行うこととされているが,「係長級の職員に対する超過勤務命令等の取扱について」(平成6年4月1日総務第4号)により,超過勤務命令簿に記載できる超過勤務の上限が定められているため,実際に事務処理に要した超過勤務の全てについて超過勤務命令簿に記載したわけではなく,超過勤務命令簿の記載を相当超える超過勤務がなされる状況にあった。 エ本件事務所の入退室管理本件事務所は,民間の賃貸オフィスビル内にあり,職員全員が所持するIDカードによって,開錠及び施錠が行われ,その時間及びIDカード番号は,同ビルを管理するオーク管理株式会社のセキュリティシステムにその都度記録されることとなっている。 オ本件事務所におけるタクシー乗車券の使用頻度本件事務所は,此花事業の現場に近い大阪市港区弁天町に設置されているが,事業地域の交通の便が悪く,公用車も配置されていないことから,業務遂行にタクシーを利用することが多く,また,繁忙時には超過勤務が深夜に及ぶ場合も多く,公共交通機関が利用できない場合の帰宅にタクシー乗車券が多く使用される状況にあった。 (2) 実施要領によるタクシー乗車券の使用手続実施要領(乙3)は,タクシー乗車券の使用手続に関して,概ね次のとおり定めている。 ア大阪市総務局長は,大阪府下の各タクシー協会とタクシー乗車券に関す 乗車券の使用手続実施要領(乙3)は,タクシー乗車券の使用手続に関して,概ね次のとおり定めている。 ア大阪市総務局長は,大阪府下の各タクシー協会とタクシー乗車券に関する契約を行い(2条),一括して大阪市のタクシー乗車券を作成する(3条1項)。 タクシー乗車券を利用する所属の長は,タクシー乗車券を必要とするときは,総務局長に請求してタクシー乗車券の管理換えを受ける(3条2項)。 イ所属長は,所属に統括責任者を設置する(4条1項)とともに,必要と認める箇所に取扱責任者を設置し(4条3項),統括責任者に「タクシー乗車券保管換台帳」を作成させて保管させる(5条1項)。なお,本件事務所については,実施要領にいう「所属長」は建設局長,「統括責任者」は建設局管理部庶務課長,「取扱責任者」は本件事務所庶務係長である。 取扱責任者は,統括責任者に請求して保管換えを受ける(5条2項)。 取扱責任者は,保管換えを受けたタクシー乗車券について「タクシー乗車券交付申請・交付整理簿」(以下「交付簿」という。)を作成するとともに,個々のタクシー乗車券に認め印を押印し,所属コード及び分類コードを記入の上,保管する(5条3項)。 ウタクシー乗車券の交付を受けようとする者は,取扱責任者に対し,交付簿に必要事項を記入して申請する(6条1項)。取扱責任者は,6条2項に定める事由に該当する場合に,必要最小限の枚数のタクシー乗車券を交付する。 エタクシー乗車券を使用する者は,タクシーの降車に際し,タクシー乗車券の右片及び左片の記入事項を記入した上,右片を運転手に手渡し(7条2項),左片を取扱責任者に提出して使用結果を報告する(7条4項)。 タクシー乗車券を使 降車に際し,タクシー乗車券の右片及び左片の記入事項を記入した上,右片を運転手に手渡し(7条2項),左片を取扱責任者に提出して使用結果を報告する(7条4項)。 タクシー乗車券を使用した者から報告を受けた取扱責任者は,報告内容と交付簿を照合して点検を行い,金額などの必要事項を交付簿に記入する(8条1項)。取扱責任者は,点検によって記入内容が異なるとの疑いがあるときは,その理由を使用者から聞き,必要があると認めるときは,その旨を統括責任者に報告する(8条2項)。 オ総務局は,各タクシー協会から1月ごとに提出される使用済乗車券の所属コード及び分類コードを点検するとともに,所属別及びタクシー会社別の集計表並びに明細書を作成し,使用済乗車券及び集計表を各所属に送付する。また,支出命令書を作成して収入役室に送付するとともに,所属ごとに使用件数及び使用金額を整理して「振替依頼書」を作成して各所属に送付する(9条)。 カ統括責任者は,送付を受けた所属別集計表及び使用済乗車券について取扱責任者に交付簿との照合など個々に審査させ,適正に使用されたものであることを確認の上,「振替金額報告書」を総務局に送付する。また,振替依頼書をもとに,振替命令書(貸方)を作成し,総務局に送付する(10条)。 キ所属長は,タクシー乗車券の交付及び経費の支出について,統括責任者及び取扱責任者にその内容を厳正に審査させるとともに,常に効率的な予算執行を指導・徹底し,毎月その使用状況等について統括責任者に報告をさせなければならない(11条1項)とともに,通信運搬費のうちタクシー乗車券の執行額を3か月ごとに財政局長に報告しなければならない(11条2項)。 (3) 本件事務所におけるタクシー乗車券の使用状況ア 11条1項)とともに,通信運搬費のうちタクシー乗車券の執行額を3か月ごとに財政局長に報告しなければならない(11条2項)。 (3) 本件事務所におけるタクシー乗車券の使用状況ア交付時実施要領上は,タクシー乗車券の交付を申請する際,交付簿に乗車券番号,係名,使用者名,請求年月日及び目的等を記入し請求印を押印することとされているが,本件事務所においては,目的等の記入欄につき,記入しないままに交付の申請がなされ,また,一度に複数枚のタクシー乗車券が交付されることもあった。 イ使用時実施要領上,タクシー乗車券を使用する際,タクシー乗車券の使用者は,使用者氏名,乗車地,経由地,降車地及び使用日時を記入することとされているが,本件事務所においては,使用日時の欄に乗車時刻を記入する者と降車時刻を記入する者がいた。なお,タクシー乗車券の様式上,使用日時については分単位ではなく,時単位での記入となっている。 ウ使用後本件事務所においては,タクシー乗車券を使用した後,タクシー乗車券の左片が提出され,交付簿との照合,点検の後,金額などの必要事項が記入されていたものの,交付簿に目的等については記入されていなかった。また,使用済乗車券と交付簿との照合について,取扱責任者名による照合報告書は存在したものの,適正に使用されたものかどうかについての審査は十分にはなされていなかった。 2 実施要領の位置づけ及び実施要領違反の効果(争点(1))原告らは,実施要領が大阪市におけるタクシー乗車券の使用に当たって厳格に遵守すべき法規範として制定されたものであり,大阪市職員が実施要領に従ってタクシー乗車券を使用する義務を負うから,この義務に違反した使用は 実施要領が大阪市におけるタクシー乗車券の使用に当たって厳格に遵守すべき法規範として制定されたものであり,大阪市職員が実施要領に従ってタクシー乗車券を使用する義務を負うから,この義務に違反した使用は,そのことのみをもって違法と判断されるべきであると主張する。 (1) 原告らが主張するように,大阪市において,平成元年12月に「市政運営の刷新・適正化についての緊急提言」においてタクシー乗車券の適正な使用と管理体制の強化が求められ(甲8),実施要領がその直後である平成2年4月1日から実施されたことが認められ(乙3),実施要領がタクシー乗車券を適正に管理・運用することにより,大阪市の予算の効率的な運営を行い,事務事業の円滑な推進を図ることを目的とする(実施要領1条)ものであるからすると,大阪市の職員がタクシー乗車券を使用するに当たって実施要領を遵守すべきことは当然である。 しかし,実施要領は,何らかの法令による委任を受けて定められたものではなく,その法形式からしてもタクシー乗車券の取扱いに関する大阪市の内部規律として定められたものにすぎない。したがって,タクシー乗車券の使用が実施要領に反したからといって,それ自体で直ちに法令に違反する違法な使用であり,当該タクシー乗車券に係る支出が財務会計上違法となると解することはできない。 (2) 実施要領11条2項は「所属長は,通信運搬費のうちタクシー乗車券の執行額を3か月ごとに財政局長に報告しなければならない。」と規定しており,使用されたタクシー乗車券に係るタクシー会社への支払は,通信運搬費の支出として会計処理されているものと認められる。したがって,タクシー乗車券の使用の適否の問題は,結局のところ,当該使用に係る通信運搬費の支出が財務会計上違法であるかどうかの問題として検討すべ 搬費の支出として会計処理されているものと認められる。したがって,タクシー乗車券の使用の適否の問題は,結局のところ,当該使用に係る通信運搬費の支出が財務会計上違法であるかどうかの問題として検討すべきものであり,タクシー乗車券の使用に係る支出が財務会計法規に照らして違法である場合には,当該タクシー乗車券の使用によって利益を受けた者は,乗車料金相当額につき大阪市に対して不当利得返還義務を負うと解される。 (3) 普通地方公共団体は,その事務を処理するために必要な経費を支弁するものであるから(地方自治法232条1項),具体的な公金の支出が普通地方公共団体の事務処理のために必要と認められない場合には,当該支出は地方自治法232条1項に反し,違法というべきである。また,普通地方公共団体は,その事務を処理するに当たっては,最小の経費で最大の効果を上げるようにしなければならず(同法2条13項),経費が当該普通地方公共団体の住民の公租公課によって賄われるものであるから,その目的を達成するために必要かつ最小の限度を超えて支出してはならない(地方財政法4条1項)とされているところ,事務処理のために必要とされるものであっても,予算執行時における地域住民の生活水準や一般的経済観念等に照らし,この限度を超えると判断される支出については違法というべきである。 そして,前記の実施要領の制定経緯,目的,内容からすると,タクシー乗車券の使用が実施要領に定める使用の要件及び手続を満たしているかどうかも当該使用に係る支出の違法性の判断に当たって一要素として考慮すべきものと考えられる。 (4) 以上の見解を前提として,請求対象1~18の各タクシー乗車券の使用及び当該タクシー乗車券に係る経費の支出の違法性の有無を検討する。 3 被告Dのタクシ 慮すべきものと考えられる。 (4) 以上の見解を前提として,請求対象1~18の各タクシー乗車券の使用及び当該タクシー乗車券に係る経費の支出の違法性の有無を検討する。 3 被告Dのタクシー乗車券使用の違法性(争点(2))(1) 前提事実,証拠(甲1,5,6,11,12,乙4,6,8~11,被告E本人,被告D本人)及び弁論の全趣旨によれば,被告Dのタクシー乗車券の使用について,以下の事実が認められる。 ア被告Dは,平成11年4月1日から本件事務所において同事務所の所長として勤務している者である。 イ被告Dの自宅は,JR神戸線立花駅が最寄り駅であり,本件事務所から帰宅する場合,徒歩でJR環状線弁天町駅まで向かい,同駅で乗車し,大阪駅でJR神戸線に乗り換えてJR神戸線立花駅まで行き,同駅で下車して市バスに乗って帰宅することになる。JR環状線弁天町発の最終便は午前0時発であり,JR神戸線立花駅発の市バスの最終便は午後10時29分発である。 ウ被告Dは,タクシー乗車券を一度に5枚まとめて受け取っていた。被告Dは,各企業体や建設局との調整のために勤務時間帯にタクシー乗車券を使用することが多く,1日で5枚以上のタクシー乗車券を必要とすることもあった。 被告Dは,受け取ったタクシー乗車券を他の職員に渡すこともあった。 エ被告Dは,平成11年8月25日,同月27日に建設省と実施計画の変更について協議を行うことを予定していたところ,その前提として同月26日に大阪市の区画整理部連絡課との協議を行うことが必要であり,そのために被告Aと打合せを行って,午前0時過ぎまで残業をした。 被告Dは,午前0時過ぎに退庁し,この時点では最終電車が発車した後であったので 絡課との協議を行うことが必要であり,そのために被告Aと打合せを行って,午前0時過ぎまで残業をした。 被告Dは,午前0時過ぎに退庁し,この時点では最終電車が発車した後であったので,持っていたタクシー乗車券を使用して(請求対象1),帰宅した。 この際のタクシー乗車料金は,4340円であった。 オ被告Dは,平成11年11月8日,翌日に予定されていた大阪市予算要求ヒアリングに備えて,予算要求内容について被告A及び被告Bと打合せを行い,その資料の整理をするために,午前0時過ぎまで残業をした。 被告Dは,午前0時過ぎに退庁し,この時点では最終電車が発車した後であったので,持っていたタクシー乗車券を使用して(請求対象2),帰宅した。 この際のタクシー乗車料金は,4180円であった。 カ被告Dは,本件監査請求の結果が出る前に61件のタクシー乗車券の使用分合計約46万7000円を自主的に大阪市に返還し,また,本件監査結果において,平成11年10月25日のタクシー乗車券の使用について不適切であると指摘され,同タクシー乗車料金を大阪市に返還した。被告Dが自主的に返還したタクシー乗車券の使用分は,超過勤務であっても最終電車に間に合う時間帯にタクシー乗車券を使用したり,超過勤務の後に飲食を伴う打合せを行い,結果として深夜になってタクシー乗車券を使用したものであった。 (2) なお,証人Fは,請求対象1及び2について,被告DがGと酒を飲んだ後にタクシーで帰宅したものであるとGから聞いた旨供述する。しかし,同証人の供述は,Dが酒を飲んでいたところを直接見分したとするものではないし,被告Dが午前0時過ぎまで残業を行っていたことについては,被告B,被告A及び被告Eも認めるところであり,証人Fの供述は採用 証人の供述は,Dが酒を飲んでいたところを直接見分したとするものではないし,被告Dが午前0時過ぎまで残業を行っていたことについては,被告B,被告A及び被告Eも認めるところであり,証人Fの供述は採用できない。 (3) 以上の事実からすれば,本件で対象となった被告Dの請求対象1及び2のタクシー乗車券の使用は,いずれも被告Dが担当する職務の処理のために残業し,最終電車に間に合わなくなり,帰宅のために使用されたものである。とすれば,他に公共交通機関がない以上,自宅に帰宅するためにはタクシーを利用せざるを得ないから,タクシー利用料金を通信運搬費として支出することは大阪市の事務処理のために必要であったというべきである。そして,最終電車の発車した後に自宅に帰宅するために約4000円のタクシー乗車料金の支出をすることが社会通念からして最小の限度を越えたものとは認められないので,請求対象1及び2のタクシー乗車料金の支出は違法とはいえない。 なお,原告らは,退庁時刻が午前0時過ぎであっても,JR大阪駅までタクシーを利用すれば,同駅発の最終便に乗車することができるのであるから,請求対象1及び2のタクシー乗車券の使用は必要性がないと主張するが,道路の渋滞状況によっては常にJR大阪駅発の最終便に間に合うかどうかは不明な上,通常の帰宅経路とは異なる交通手段を含めて公共交通機関による帰宅の可能性を検討すべきであるとはいえないから,原告らの主張は採用できない。 また,原告らは,被告Dとしては最終電車の発車時刻に間に合うように仕事を処理すべきであるとも主張するが,残業の必要もないのにタクシー乗車券を利用して帰宅するために形式上残業を装ったような事情のある場合は格別,被告Dに仕事の処理を最終電車の発車時刻に間に合わせることができたこと きであるとも主張するが,残業の必要もないのにタクシー乗車券を利用して帰宅するために形式上残業を装ったような事情のある場合は格別,被告Dに仕事の処理を最終電車の発車時刻に間に合わせることができたことを認める証拠はなく,原告らの主張は採用できない。 したがって,被告Dの請求対象1及び2のタクシー乗車券の使用は,違法なものとはいえないから,被告Dに対する請求には理由がない。 4 被告Eのタクシー乗車券使用の違法性(争点(3))(1) 証拠(甲1,乙4,10,被告E本人)及び弁論の全趣旨からすると,被告Eのタクシー乗車券の使用について,以下の事実が認められる。 ア被告Eは,平成7年5月から本件事務所に勤務しており,工務担当係員として,道路工事等に伴う調整業務を主に担当している。 イ被告Eの自宅は,JR宝塚線北伊丹駅が最寄り駅であり,本件事務所から帰宅する場合,徒歩でJR環状線弁天町駅に向かい,同駅から乗車し,大阪駅でJR宝塚線に乗り換えて北伊丹駅まで行き,同駅から約6分間歩くことになる。JR環状線弁天町駅発の最終便は午前0時発である。 ウ被告Eは,平成11年当時,1か月当たり30から40時間の超過勤務を行っていた。 同被告は,タクシー乗車券の交付を受ける際,現場の往復に使用するために2枚ずつ受け取ることが多かった。 エ被告Eは,平成11年6月29日,当日の朝から降り続いた大雨によってJR桜島線が冠水するおそれがあったために,一日中此花事業の現場において,ポンプの設置や土嚢積み等の浸水対策を行っていた。現場における対応は,夜までに完了したものの,雨が夜になっても降りやまず,引き続き現場の監視が必要な状況であったために,被告Eは,被告A等工務担当の職員 ンプの設置や土嚢積み等の浸水対策を行っていた。現場における対応は,夜までに完了したものの,雨が夜になっても降りやまず,引き続き現場の監視が必要な状況であったために,被告Eは,被告A等工務担当の職員4名及び工事担当の職員2名と共に本件事務所に残って待機していた。 被告Eは,昼間にできなかった工事調整に伴う資料を作成しながら待機していたところ,午前0時ころになって,雨足が弱まったので,現場状況を再度確認した上で,他の2名の職員とともに帰宅することとし,午前0時30分ころ退庁した。この時点では,午前0時発の最終電車が発車した後であったので,被告Eは,持っていたタクシー乗車券を使用して(請求対象3),帰宅した。この際のタクシー乗車料金は,6500円であった。 オ平成11年10月14日から12月8日までの間,平成11年度の定期監査(建設局街路部・区画整理部所轄土木工事の施行状況)が実施され,被告Eが設計・監督を担当した工事についても監査の対象となった。そのため,被告Eは,平成11年12月1日,積算根拠及び出来高に関する資料整理や監査担当者に対する説明用の資料作り等のために午前0時過ぎころまで残業をした。被告Eは,午前0時7分に被告Bに本件事務所の施錠をしてもらい,同被告とともに退庁した。被告Eが退庁した時刻においては,午前0時発の最終電車が発車した後であり,被告Eは,持っていたタクシー乗車券を使用して(請求対象4),帰宅した。この際のタクシー乗車料金は,8720円であった。 カ被告Eは,本件監査請求の前に1件のタクシー乗車券使用分についてタクシー乗車料金を大阪市に自主的に返還し,また,本件監査結果において,1件のタクシー乗車券の使用について不適切であるとの指摘を受け,タクシー乗車料金を大阪市に返還し のタクシー乗車券使用分についてタクシー乗車料金を大阪市に自主的に返還し,また,本件監査結果において,1件のタクシー乗車券の使用について不適切であるとの指摘を受け,タクシー乗車料金を大阪市に返還した。自主的に返還した事案については,インフルエンザのために体調が不良であり,忘年会の途中で自宅に帰宅したものであった。また,監査結果において不適切であると指摘を受けたものは,大阪駅前第2ビルにある建設局街路部において打合せをした後,まだ最終電車に間に合う午後11時30分ころにタクシー乗車券を使用したというものであった。 (2) 以上によれば,本件で対象となった被告Eの請求対象3及び4のタクシー乗車券の使用は,いずれも被告Eが担当する職務の処理のために残業し,最終電車に間に合わなくなり,帰宅のために使用されたものである。とすれば,他に公共交通機関がない以上,タクシー乗車券を使用して帰宅することは事務を処理するために必要であるといえるし,社会通念に照らし,最終電車の発車した後に自宅に帰宅するために約6000円から8000円のタクシー乗車料金の支出をすることが最小の限度を越えたものとは認められないので,請求対象3及び4のタクシー乗車料金の支出は,違法とはいえない。 なお,原告らは,退庁時刻が午前0時過ぎであっても,JR北新地駅又は海老江駅までタクシーを利用すれば電車で帰宅できるのであるから,請求対象3及び4のタクシー乗車券の使用は必要性がないと主張するが,道路の渋滞状況によっては常にJR北新地駅又は海老江駅発の最終便に間に合うかどうかは不明な上,通常の帰宅経路とは異なる交通手段を含めて公共交通機関による帰宅の可能性を検討すべきであるとはいえないから,原告らの主張は採用できない。 また,原告らは,被告Eとしては最終 不明な上,通常の帰宅経路とは異なる交通手段を含めて公共交通機関による帰宅の可能性を検討すべきであるとはいえないから,原告らの主張は採用できない。 また,原告らは,被告Eとしては最終電車の発車時刻に間に合うように仕事を処理すべきであるとも主張するが,被告Eに仕事の処理を最終電車の発車時刻に間に合わせることができたことを認める証拠はなく,原告らの主張は採用できない。 したがって,被告Eの請求対象3及び4のタクシー乗車券の使用は,違法なものとはいえないから,被告Eに対する請求は理由がない。 5 被告Aのタクシー乗車券使用の違法性(争点(4))(1) 証拠(甲1,乙9,10,被告A本人)及び弁論の全趣旨からすると,被告Aのタクシー乗車券の使用について,以下の事実が認められる。 ア被告Aは,平成11年当時,本件事務所において工務担当主査として勤務し,係員3名と共に此花事業における予算の執行管理,事業執行における関係先との連絡調整等を主な業務として担当していた。 イ被告Aの自宅は,泉北高速鉄道線泉ヶ丘駅が最寄り駅であり,本件事務所から帰宅する場合,徒歩でJR環状線弁天町駅に向かい,同駅で乗車して新今宮駅で南海電鉄に乗り換え,中百舌鳥駅で泉北高速鉄道線に乗り換え,同線の泉ヶ丘駅で下車し,同駅から南海バスに乗るか,徒歩で約30分歩いて帰宅することになる。それぞれの交通機関の最終便は,JR環状線の弁天町駅発が午後11時46分に発車する電車となり,南海電車の新今宮駅発が午前0時12分発の南海高野線三日市町行きとなり,泉北高速鉄道線泉ヶ丘駅発の南海バスが午後11時13分発である。 原告らは,弁天町駅午前0時発が最終電車である旨主張するが,新今宮駅で南海電車の最終便に確実 三日市町行きとなり,泉北高速鉄道線泉ヶ丘駅発の南海バスが午後11時13分発である。 原告らは,弁天町駅午前0時発が最終電車である旨主張するが,新今宮駅で南海電車の最終便に確実に乗り換えられることを認めるに足りる証拠はなく,上記主張を採用することはできない。 なお,JR環状線の弁天町駅を午後11時46分に発車する電車を利用した場合,南海新今宮駅で南海高野線三日市町行きに乗り換えた後,堺東駅で南海高野線千代田行き各駅停車電車に,中百舌鳥駅で泉北高速鉄道線の電車にそれぞれ乗り換える必要があり,2度の乗換えが必要となる上,時間を要することになる。 また,泉北高速鉄道線泉ヶ丘駅で下車した後も南海バスの最終便が発車した後であるので,坂道を約30分間歩くことになり,帰宅の時間が午前1時を過ぎることとなる。そこで,被告Aは,専ら泉北高速鉄道線と直接乗り入れをしている泉北和泉中央行き準急電車である新今宮駅発午後11時17分を最終便として利用していた。 ウ平成11年当時,此花事業は工事の連絡調整を中心に事業が行われていた。このため,被告Aは繁忙状態にあり,平成11年6月の超勤時間は116時間(うち徹夜が3日)であり,その他に3日休日出勤をして49時間の勤務(うち徹夜が2日)をしたため,あわせて165時間の超過勤務を行った。また,同年7月の超勤時間は132時間(うち徹夜が4日)であり,その他に4日休日出勤をして60時間の勤務(うち徹夜が1日)をしたため,あわせて192時間の超過勤務を行った。同年8月については,超勤時間が85時間(うち徹夜が2日)であり,その他に3日休日出勤をして24時間の勤務をしたため,あわせて109時間の超過勤務を行った。さらに,同年10月については,超勤時間は62時間(うち徹夜が 勤時間が85時間(うち徹夜が2日)であり,その他に3日休日出勤をして24時間の勤務をしたため,あわせて109時間の超過勤務を行った。さらに,同年10月については,超勤時間は62時間(うち徹夜が1日)であり,その他に2日休日出勤をして8時間の勤務をしたため,あわせて70時間の超過勤務を行った。 エ被告Aは,タクシー乗車券の交付を受ける際には,2,3枚まとめて交付を受けることが多かった。 オ被告Aは,平成11年6月2日,同月4日に建設省と協議予定の実施計画変更協議資料(「ふるさとの顔づくり計画」について)を作成するため,被告Bと午前0時過ぎまで残業を行った。当該資料は,建設省の窓口である連絡課連絡係長と同月5日に下打合せの資料として使用する予定であり,同月2日中に資料をまとめる必要があった。 被告Aは,午前0時過ぎに退庁し,その時点においては最終電車が発車した後であったので,持っていたタクシー乗車券を使用して(請求対象5),帰宅した。この際のタクシー乗車料金は,9970円であった。 カ被告Aは,平成11年6月15日,同月28日に建設省と協議を予定していた実施計画変更協議(「平成11年度補助金交付申請」について)の関係資料を作成するため,午前0時ころまで残業を行った。 被告Aは,午後11時59分に自分で施錠をし,退庁し,その時点において最終電車が発車した後であったので,持っていたタクシー乗車券を使用して(請求対象6),帰宅した。この際のタクシー乗車料金は,9970円であった。 キ被告Aは,平成11年7月5日,同月2日の建設省との実施計画変更協議における指示事項に対する資料を作成するため,午後11時過ぎまで残業を行った。 被告Aは, た。 キ被告Aは,平成11年7月5日,同月2日の建設省との実施計画変更協議における指示事項に対する資料を作成するため,午後11時過ぎまで残業を行った。 被告Aは,Eに午後11時13分に本件事務所の施錠をしてもらい,退庁した。最終電車には間に合う時刻であったが,被告Aは,その前の週に2度建設省で協議のために出張し,また,そのための資料作成のために連日深夜に及ぶ超過勤務を行っていたこともあり,タクシー乗車券を使用して(請求対象7),帰宅した。この際のタクシー乗車料金は,8940円であった。 ク被告Aは,平成11年7月14日,同月29日に予定されていた建設省との実施計画変更協議の資料を作成するため,午後11時過ぎまで残業を行った。 被告Aは,被告Bに午後11時5分に本件事務所の施錠をしてもらい,退庁した。最終電車には間に合う時刻であったが,実施計画変更協議の資料を作成するため連日深夜に及ぶ超過勤務が続き,その前日には午前3時半過ぎまで業務を行って,三井アーバンホテルに宿泊したこともあって,タクシー乗車券を使用して(請求対象8),帰宅した。この際のタクシー乗車料金は,9970円であった。 ケ被告Aは,平成11年7月15日,前日と同様,建設省との実施計画変更協議の資料を作成するため,午前0時過ぎまで残業を行い,退庁した。その時点においては最終電車が発車した後であったので,持っていたタクシー乗車券を使用して(請求対象9),帰宅した。この際のタクシー乗車料金は,9970円であった。 コ被告Aは,平成11年7月16日,前日と同様,建設省との実施計画変更協議の資料を作成し,また,その内容について福岡及び被告Bと打合せをするため,午前0時ころまで残業を行った。 コ被告Aは,平成11年7月16日,前日と同様,建設省との実施計画変更協議の資料を作成し,また,その内容について福岡及び被告Bと打合せをするため,午前0時ころまで残業を行った。 被告Aは,被告Bに午前0時2分に本件事務所の施錠をしてもらい,退庁したが,その時点においては最終電車が発車した後であったので,持っていたタクシー乗車券を使用して(請求対象10),帰宅した。この際のタクシー乗車料金は,9990円であった。 サ被告Aは,平成11年7月20日,祝日であったが,同月29日に予定された建設省との実施計画変更協議の資料を作成するため午前9時に出勤し,午後11時半まで残業を行った。 被告Aは,午後11時31分に自分で施錠し,退庁した。退庁した時点において,南海電鉄高野線の最終の普通電車午前0時2分発(休日ダイヤ)には間に合う時間であったが,最終急行電車午後11時30分発は発車したあとであり,また,前日も午前2時過ぎまで超過勤務を行い,連日連夜の超過勤務をしていたこともあり,持っていたタクシー乗車券を使用して(請求対象11),帰宅した。この際のタクシー乗車料金は,9760円であった。 シ被告Aは,平成11年7月21日,建設省との実施計画変更協議の資料を作成し,資料の内容について福岡と午後11時半過ぎまで打合せをして残業をした。 被告Aは,午後11時44分に自分で本件事務所の施錠をし,退庁したが,その時点においては最終電車が発車した後であったので,タクシー乗車券を使用して(請求対象12),帰宅した。この際のタクシー乗車料金は,9600円であった。 ス被告Aは,平成11年8月10日,同月27日に予定していた建設省との実施計画変更協議の資 車券を使用して(請求対象12),帰宅した。この際のタクシー乗車料金は,9600円であった。 ス被告Aは,平成11年8月10日,同月27日に予定していた建設省との実施計画変更協議の資料を作成するため,午後11時半近くまで残業をした。 被告Aは,被告Bに午後11時25分に本件事務所の施錠をしてもらい,退庁した。最終電車には間に合う時刻であったが,雷を伴う大雨が降っており,また,連日連夜の超過勤務をしていたため,持っていたタクシー乗車券を使用して(請求対象13),帰宅した。この際のタクシー乗車料金は,9990円であった。 セ被告Aは,平成11年8月16日,同月27日に予定された建設省との実施計画変更協議の資料を作成するため,被告Bと午前0時過ぎまで残業をした。 被告Aは,被告Bに午前0時11分に本件事務所の施錠をしてもらい,退庁したが,この時点において最終電車が発車した後であったので,持っていたタクシー乗車券を使用して(請求対象14),帰宅した。この際のタクシー乗車料金は,9990円であった。 ソ被告Aは,平成11年10月25日,平成12年度の大阪市予算要求に関する資料の作成のため,被告Bとともに午後11時半過ぎころまで残業をした。 被告Aは,被告Bに午後11時43分に本件事務所の施錠をしてもらい,退庁したが,最終電車に間に合わなかったので,持っていたタクシー乗車券を使用して(請求対象15),帰宅した。この際のタクシー乗車料金は,9990円であった。 タ被告Aは,本件監査請求において,使用が不適切であると指摘されたタクシー乗車券の使用はなく,また,その他にも自主的にタクシー乗車料金を返還したものはない。 (2) 以上によれば タ被告Aは,本件監査請求において,使用が不適切であると指摘されたタクシー乗車券の使用はなく,また,その他にも自主的にタクシー乗車料金を返還したものはない。 (2) 以上によれば,請求対象5,6,9,10,12,14及び15のタクシー乗車券の各使用は,いずれも被告Aが担当する職務の処理のために残業し,最終電車に間に合わなくなり,帰宅のために使用されたものである。とすれば,他に公共交通機関がない以上,タクシー乗車券を使用して帰宅することは事務を処理するために必要であるといえるし,社会通念に照らし,最終電車の発車した後に自宅に帰宅するために約1万円のタクシー乗車料金の支出をすることが最小の限度を越えたものとは認められないので,請求対象5,6,9,10,12,14及び15のタクシー乗車料金の支出は違法とはいえない。 これに対し,請求対象7,8,11及び13のタクシー乗車券の各使用は,いずれも被告Aの最終電車に間に合う時間帯に使用されたものである。確かに,平成11年当時,被告Aが1か月当たり約100から200時間にも及ぶ超過勤務を連日にわたって行い,また休日にも出勤をして徹夜の業務を行うという繁忙状況にあったことが認められ,タクシー乗車券を使用しなければ通常の通勤以上に電車の乗換えを必要とし,徒歩で約30分間歩く必要があるなど体力的・精神的に負担がかかることは推認される。しかし,被告Aは,通常の通勤経路に必要な公共交通機関の交通費の支給を受けていると推認されるところ,公共交通機関による帰宅が可能な時間帯であるにもかかわらず,なおタクシーを利用して帰宅することが必要であるというためには,体調不良により公共交通機関による帰宅が困難であるというような特別の事情が必要であるというべきである。 本件にお らず,なおタクシーを利用して帰宅することが必要であるというためには,体調不良により公共交通機関による帰宅が困難であるというような特別の事情が必要であるというべきである。 本件において,上記特別の事情が存在したことを裏付ける客観的な証拠はない。また,実施要領は,取扱責任者が6条2項所定の要件該当性を確認してタクシー乗車券を交付する旨定めており,特別の事情により最終便に間に合う時刻にタクシー乗車券を使用する必要がある場合にも,取扱責任者にその旨を申告して事前の審査を受けるべきところ,被告Aがそのような申告をしてタクシー乗車券の交付を受けた事実は認められない。かえって,本件事務所においては,実施要領所定の事前審査が十分行われずに漫然とタクシー乗車券が交付され,残業後の帰宅の際にタクシー乗車券を使用するか否かは各職員の判断にゆだねられている実情にあったと認められるが,このような取扱いは,実施要領の定めを大きく逸脱するものといわざるを得ない。以上の点に照らすと,請求対象7,8,11及び13のタクシー乗車券使用に係る経費の支出は違法というべきである。 したがって,被告Aは,請求対象7,8,11及び13のタクシー乗車料金相当額合計3万8660円を不当利得したものであり,大阪市に対して同額の不当利得返還義務を負うといわざるを得ない。 6 被告Bのタクシー乗車券使用の違法性(争点(5))(1) 証拠(甲1,乙7,10,被告B本人)及び弁論の全趣旨からすると,被告Bのタクシー乗車券の使用について,以下の事実が認められる。 ア被告Bは,平成8年4月に採用されて以来,本件事務所に配属され,工務担当の係員として勤務している。 被告Bは,平成11年4月の人事異動により被告Aが直属の上司と 。 ア被告Bは,平成8年4月に採用されて以来,本件事務所に配属され,工務担当の係員として勤務している。 被告Bは,平成11年4月の人事異動により被告Aが直属の上司となり,予算の執行管理や事業関係先との調整業務等の通常業務の外に,此花事業の実施計画の変更業務やUSJ周辺道路の整備のグレードアップについて建設省と協議するための資料作成等を担当していた。 イ被告Bの自宅は,地下鉄中央線深江橋駅が最寄り駅であり,本件事務所から帰宅する場合,徒歩で地下鉄中央線弁天町駅に行き,同駅から地下鉄で深江橋駅まで行き,同駅から約5分間歩くことになる。全体の通勤時間は,徒歩の時間を入れて約30分であり,タクシーを利用して帰宅した場合でも,本件事務所から自宅までは約30分である。地下鉄の最終便は,弁天町駅午後11時45分発である。 ウ平成11年当時,被告Bは,超過勤務命令簿に記載されているよりも多く,1か月当たり70から80時間の残業を行っており,日曜に出勤したこともあった。 エ被告Bは,平成11年当時,深夜帰宅の際にタクシー乗車券を使用することが多く,一度に2,3枚まとめてタクシー乗車券の交付を受けており,同年6月ころには,連日タクシー乗車券を使用して帰宅していた。 オ被告Bの所属する本件事務所の工務担当は,毎年4月ころが補助金交付申請書及びその他の業務が重なり深夜まで勤務することが多くなる時期である上に,平成11年は,USJ周辺の道路の整備内容についての建設省との協議資料の作成業務が重なっており,繁忙状態が続いていた。 被告Bは,平成11年4月3日,Hと共に,平成11年度建設省補助金交付申請書及びUSJ周辺道路の整備内容についての建設省との協議資料を作 業務が重なっており,繁忙状態が続いていた。 被告Bは,平成11年4月3日,Hと共に,平成11年度建設省補助金交付申請書及びUSJ周辺道路の整備内容についての建設省との協議資料を作成していた。これらの作業の区切りがついたのは,午後11時45分過ぎころであり,その時点において最終電車には間に合わなかった。被告Bは,Hから帰宅しないかと声をかけられて,後かたづけと身支度をし,Hに本件事務所の施錠をしてもらってから午前0時ころに退庁した。そして,被告Bは,持っていたタクシー乗車券を使用して(請求対象16),帰宅した。この際のタクシー乗車料金は,3540円であった。 カ平成11年8月ころ,本件事務所においては,此花事業の実施計画の変更を検討していた。実施計画の変更は,当初の計画と既に過年度において実施された事業内容の修正を行うとともに,今後の事業実施の計画や事業財源の確保を図るために行うもので,建設省と繰り返し協議を行い,それに伴って大阪市の予算担当課との調整が必要となる。しかし,実施計画の変更業務については,被告Aと被告Bの二人がほとんど担当していたため,連日にわたり超過勤務が続いたり,場合によっては徹夜をせざるを得ないなど繁忙状態が常態化していた。 被告Bは,平成11年8月10日,被告Aと共に,同月27日に建設省と実施計画の変更を協議するための資料を作成していた。作業の区切りがついたのは,午後11時半近くであり,被告Bは,午後11時25分に本件事務所の施錠をし,退庁した。この時点において,最終電車には間に合う時間帯であったが,雷を伴う大雨が降っており,被告Bは,タクシー乗車券を使用して(請求対象17),帰宅した。この際のタクシー乗車料金は,3780円であった。 キ被告Bは,本件 は間に合う時間帯であったが,雷を伴う大雨が降っており,被告Bは,タクシー乗車券を使用して(請求対象17),帰宅した。この際のタクシー乗車料金は,3780円であった。 キ被告Bは,本件監査結果において,同年5月21日及び12月3日の2件のタクシー乗車券の使用について不適切であるとの指摘を受け,タクシー乗車代金を大阪市に返還した。本件監査結果において不適切との指摘を受けた使用は,最終電車に間に合う時間帯にタクシー乗車券を使用したものであった。 (2) 以上によれば,本件で対象となったもののうち,請求対象16については,被告Bが担当する職務の処理のため残業し,最終電車に間に合わなくなり,帰宅のために使用されたものである。とすれば,他に公共交通機関がない以上,タクシー乗車券を使用して帰宅することは事務を処理するために必要であるといえるし,社会通念に照らし,最終電車の発車した後に自宅に帰宅するために約3500円のタクシー乗車料金の支出をすることが最小の限度を越えたものとは認められない。 これに対して,請求対象17のタクシー乗車券の使用は,最終電車に間に合う時間帯に使用されたものである。確かに,平成11年当時,被告Bが1か月当たり約70から80時間にも及ぶ超過勤務を連日にわたって行い,また休日にも出勤をしたり,徹夜の業務を行うという繁忙状況にあったことは認められる。しかし,被告Bは,通常の通勤経路に必要な公共交通機関の交通費の支給を受けていると推認されるところ,公共交通機関による帰宅が可能な時間帯であるにもかかわらず,なおタクシーを利用して帰宅することが必要であるというためには,体調不良により公共交通機関による帰宅が困難であるというような特別の事情が必要であるというべきである。本件において,上記特別の事情が存在 なおタクシーを利用して帰宅することが必要であるというためには,体調不良により公共交通機関による帰宅が困難であるというような特別の事情が必要であるというべきである。本件において,上記特別の事情が存在したことを裏付ける客観的な証拠はなく,被告Bが特別の事情を申告してタクシー乗車券の交付を受けた事実も認められない。したがって,請求対象17のタクシー乗車券使用に係る経費の支出は違法というべきである。 したがって,被告Bは,請求対象17のタクシー乗車料金3780円を不当利得したものであり,大阪市に対して同額の不当利得返還義務を負うといわざるを得ない。 7 被告Cのタクシー乗車券使用の違法性(争点(6))(1) 証拠(甲1,6,乙5,11,被告C本人)及び弁論の全趣旨からすると,被告Cのタクシー乗車券の使用について,以下の事実が認められる。 ア被告Cは,平成8年4月から平成12年4月まで,大阪市区画整理部事業企画課主査として勤務していた。 同課の事業内容は,土地区画整理事業及び再開発事業に係る調査及び計画に関すること,土地区画整理事業及び再開発事業に関連する事業に関すること及び新規の土地区画整理事業及び再開発事業の実施の推進に関することとなっていた。 被告Cは,同課の事業内容のうち,大阪市淀川区の三国東地区土地区画整理事業推進に関する業務を主に担当していた。 イ被告Cの自宅は,阪急電鉄千里線山田駅が最寄り駅であり,被告Cが勤務している大阪駅前第2ビル内の建設局から帰宅する場合,建設局から阪急電鉄梅田駅まで徒歩で行き,同駅から阪急電車千里線で山田駅まで乗車し,同駅から阪急バスに乗るか自宅まで20分弱の間歩くことになる。各交通機関の最終便の発車時刻は,阪急電 帰宅する場合,建設局から阪急電鉄梅田駅まで徒歩で行き,同駅から阪急電車千里線で山田駅まで乗車し,同駅から阪急バスに乗るか自宅まで20分弱の間歩くことになる。各交通機関の最終便の発車時刻は,阪急電鉄梅田駅発の最終電車が午後11時43分発であり,山田駅発の阪急バスが午後10時ころである。 ウ被告Cは,平成11年2月26日付けで地元の権利者から出された三国東地区土地区画整理事業に関連する公文書公開請求の処理を担当しており,公文書公開の日は同年6月22日と指定されていた。当該公文書公開請求には15項目に及ぶ同事業に関する質問が記載されており,これに対する回答も必要であった。 被告Cは,本件事務所のI主幹が以前に事業企画課の主査として三国東地区土地区画整理事業の当初から地元協議の窓口を担当していたため,同人に当該権利者との交渉経過及び当該権利者の考え方を教えるよう依頼した。 エ平成11年6月21日,被告Cは,大阪駅前第2ビル内の事業企画課において,午後8時30分ころからIと打合せを始め,午後10時30分ころ打合せを終了した。 オ被告Cは,Iとの打合せの際,公文書公開日当日用意しなければならない資料についても検討したが,その結果,当該権利者からの15項目の質問に対応する説明の内容についての参考資料として,事業企画課に備え置かれていた資料を持参することとした。被告Cは,公文書公開日は自宅から公文書館に直接向かうことにしていたので,これらの資料を自宅に持ち帰ることとした。なお,公文書館は大阪市西区にあり,被告Cの勤務する大阪市区画整理部からは約30分ほどで移動できる。 カ被告CがIとの打合せを終えた午後10時半ころの時点において,被告Cが通勤経路としている山田駅の阪急バスが既に運 り,被告Cの勤務する大阪市区画整理部からは約30分ほどで移動できる。 カ被告CがIとの打合せを終えた午後10時半ころの時点において,被告Cが通勤経路としている山田駅の阪急バスが既に運行を終了していた。また,被告Cの所属する大阪市区画整理部事業企画課のタクシー乗車券の取扱責任者が既に退庁しており,その時点においてはタクシー乗車券の交付を受けることができなかった。 被告Cは,本件事務所の主幹であったIから同人が所持していたタクシー乗車券を受け取り,そのタクシー乗車券によって,大阪駅前第2ビルから自宅までタクシーを利用して(請求対象18)帰宅した。この際のタクシー乗車代金は,7220円であった。 キ被告Cは,同年6月22日,前日自宅に持ち帰った資料と共に同被告の息子の乗用車で公文書館まで送ってもらい,大阪市西区にある公文書館に到着した。被告Cは,同日の午前中,文書公開請求をした地元権利者と応対し,その後,J主幹と2人で電車で帰庁した。 (2) 被告Cは,翌日の公文書公開に対応するために風呂敷包み2個分の大量の資料を持ち帰る必要があった旨供述する。しかし,同被告が持ち帰った資料の内容及びその必要性を裏付ける的確な証拠はなく,同被告の供述を直ちに採用することはできない。また,仮に大量の資料を6月22日に公文書館で使用する必要があったとしても,公文書館は被告Cの勤務する区画整理部からは約30分で移動することができる距離にあるのであり,現に公文書館からはJ主幹と2人で電車で帰庁していることに照らせば,22日の朝出勤した後,本件資料を持って公文書館に行くことも可能と考えられ,以上の点に照らせば,タクシー乗車券を使用する必要性を認めることはできないというべきである。 また,請求対象1 2日の朝出勤した後,本件資料を持って公文書館に行くことも可能と考えられ,以上の点に照らせば,タクシー乗車券を使用する必要性を認めることはできないというべきである。 また,請求対象18のタクシー乗車券は,本件事務所所属のIが交付を受けたものを他部署所属の被告Cに交付して使用させたと認められるが,実施要領は,交付を受けたタクシー乗車券を他の者に使用させることを原則として禁じており(7条6項),使用後の取扱責任者の照合,点検の際にそのような使用は適正を欠くものとして是正することが予定されている(8条2項,10条)。にもかかわらず,請求対象18については他者使用の点が看過され,適正な使用として処理されているが,このような処理は実施要領の定めを大きく逸脱するものといわざるを得ない。 以上の点に照らすと,請求対象18のタクシー乗車券使用に係る経費の支出は違法であり,被告Cは,請求対象18のタクシー乗車料金7220円につき大阪市に対して同額の不当利得返還義務を負うといわざるを得ない。 8 結論以上によれば,原告らの請求は,主文第1ないし第3項記載の限度で理由があるからその限度でこれを認容し,その余の請求は理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条,64条本文,65条1項を適用し,仮執行宣言については,相当でないからこれを付さないこととし,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第7民事部裁判長裁判官山下郁夫 郁夫 裁判官 山田明 裁判官 畑佳秀 別紙 タクシー乗車券使用状況一覧(省略)

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