平成26年10月31日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成25年(ワ)第9658号損害賠償請求事件口頭弁論終結日平成26年9月3日判決愛知県海部郡<以下略>原告株式会社ムラアーカム愛知県大府市<以下略>原告 A上記2名訴訟代理人弁護士重長孝志同渡邊兼也同加藤幸英同真家茂樹上記2名補佐人弁理士宇佐見 忠 男名古屋市<以下略>被告太平産業株式会社同訴訟代理人弁護士今村憲治同林 宗範同松川正紀同進藤裕史同小泉 友補佐人弁理士飯田昭夫 主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実 及び理由第1 請求 被告は,原告らに対し,1億円及びこれに対する平成25年5月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,発明の名称を「建設廃泥の処理方法」とする特許(特許第3448321号。以下「本件特許」という。)に係る特許権(以下「「本件特許権」という。)を共有していた原告らが,被告に対し 事案の概要本件は,発明の名称を「建設廃泥の処理方法」とする特許(特許第3448321号。以下「本件特許」という。)に係る特許権(以下「「本件特許権」という。)を共有していた原告らが,被告に対し,被告の行っていた建設廃泥の処理方法は,本件特許に係る発明の技術的範囲に属すると主張して,特許権侵害の不法行為責任に基づき,一部請求として,損害賠償金1億円及びこれに対する平成25年5月9日(本件訴状送達の日)から支払済みまでの民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 被告は,上記方法が上記発明の技術的範囲に含まれず,本件特許は特許無効審判により無効とされるべきものと認められるとして,争った(なお,被告が本訴において具体的に主張した無効事由は,後記第3の1の(2)の「被告の主張」欄に摘示したとおりであり,被告が特許庁に請求した特許無効審判における主張〔乙38参照〕と同一ではない。)。 1 前提事実等(証拠等を付記しない事実関係は,当事者間に争いがない。)(1) 当事者等ア原告株式会社ムラアーカム(平成16年12月24日,株式会社ムラカムから商号変更〔甲1〕。)は,産業廃棄物処理業等を業とする株式会社である。 イ被告は,産業廃棄物の中間処理を業とする株式会社である。 (2) 本件特許権原告らは,次の内容の本件特許権を共有していた。なお,原告らの特許権の共有持分は1対1である。 特許番号特許第3448321号発明の名称建設廃泥の処理方法 出願日平成5年9月1日出願番号特願平5-242022号登録日平成15年7月4日(3) 発明の内容等ア本件特許に係る明細書(以下,図面と併せて,「本件明細書」という。 参照の便宜のため,同特許の特許公報の写し〔甲20〕を本判決 2022号登録日平成15年7月4日(3) 発明の内容等ア本件特許に係る明細書(以下,図面と併せて,「本件明細書」という。 参照の便宜のため,同特許の特許公報の写し〔甲20〕を本判決末尾に別添1として添付する。)の特許請求の範囲における請求項1の記載は,次のとおりである。 「建設廃泥を回転粗篩機に投入し,該粗篩機内で水をシャワーして篩別し,該粗篩機を通過しない粗粒分はそのまゝコンクリート等の骨材とし,該粗篩機の通過分は震動篩上に受けて該震動篩を通過しない中粗粒分はそのまゝコンクリート等の骨材とし,該震動篩の通過分は遠心分離されて細粒分を分別し,該細粒分はセメントと混合し,該混合物を粒状に成形してコンクリート等の骨材とすることを特徴とする建設廃泥の処理方法」イ本件特許の請求項1記載の発明(以下「本件発明」という。)を構成要件に分説すると,次のとおりである。 A 建設廃泥を回転粗篩機に投入し,該粗篩機内で水をシャワーして篩別し,B 該粗篩機を通過しない粗粒分はそのまゝコンクリート等の骨材とし,C 該粗篩機の通過分は震動篩上に受けて該震動篩を通過しない中粗粒分はそのまゝコンクリート等の骨材とし,D 該震動篩の通過分は遠心分離されて細粒分を分別し,E 該細粒分はセメントと混合し,該混合物を粒状に成形してコンクリート等の骨材とするF ことを特徴とする建設廃泥の処理方法(4) 被告の行為等 ア被告は,愛知県豊田市田籾町広久手614番35,614番194において(甲3),建設廃泥の処理を行っており(以下,その処理方法を「本件処理方法」ということがある。なお,後記のとおり,具体的な処理方法には争いがある。),平成21年,平成22年及び平成23年の処理量は,それぞれ,52万9734トン,14万26 ,その処理方法を「本件処理方法」ということがある。なお,後記のとおり,具体的な処理方法には争いがある。),平成21年,平成22年及び平成23年の処理量は,それぞれ,52万9734トン,14万2667トン及び22万2284トンである。 イ被告による本件処理方法は,本件発明の構成要件A及びFを充足する。 2 争点(1) 本件特許権の侵害の成否ア本件処理方法が本件発明の技術的範囲に属するか- 構成要件BないしEの充足性イ本件特許は特許無効審判により無効にされるべきものか- 乙3号証等に基づく進歩性欠如の成否(2) 損害額第3 争点に対する当事者の主張 1 争点(1)(本件特許権の侵害の成否)について(1) 争点(1)ア(本件処理方法が本件発明の技術的範囲に属するか-構成要件BないしEの充足性)について(原告らの主張)ア本件処理方法について本件処理方法の具体的態様は,別紙原告主張方法目録記載のとおりである(以下「原告主張方法」という。)。 イ構成要件Bについて(ア) 「コンクリート等の骨材とし」a 骨材とは,「砂・砂利・砕砂,砕石その他これに類する粒状材料」をいい(甲23),砂・砂利等が「土木・建設産業の基礎資材」とし て用いられる場合に,骨材と呼称される(甲24)。 そして,骨材は,コンクリートやアスファルトの基礎資材として使用されることが多いが,これに限らず土木・建設産業の基礎資材として多種多様な用途に使用される。 以上のとおり,「コンクリート等の骨材とし」とは,コンクリートに限られず,土木・建設産業の基礎資材とする,という意味である。 b 被告は,篩別された粒径5mm以上の「砂利」を第2種改良土の基礎資材としている(原告主張方法b)以上,「コンクリート等の骨材とし」の られず,土木・建設産業の基礎資材とする,という意味である。 b 被告は,篩別された粒径5mm以上の「砂利」を第2種改良土の基礎資材としている(原告主張方法b)以上,「コンクリート等の骨材とし」の要件を充足することは明らかである。 また,被告は,「砂利」を暗渠排水用の基礎資材としても使用しており,この点からも「コンクリート等の骨材とし」の要件を充足する。 (イ) 「そのまゝ」被告は,粗粒分について,造粒固化工程に混ぜて改良土にし,更に振動篩を通した一部を篩改良土としていることから,粗粒分を「そのまゝ」コンクリート等の骨材としているわけではないと主張する。 しかし,例えばコンクリートを作る際には当然のことながら砂利等の骨材を水やセメントと混錬する等の工程が必要となるのであり,このような工程を経ようが,砂利は他ならぬコンクリートの「骨材」そのものであって,改良土又は篩改良土を作る場合にも,その骨材とする前提として,粗粒分自体に加工等を行うことはない以上,造粒固化工程等を経ようが,粗粒分を「そのまゝ」改良土又は篩改良土の骨材としていることは明らかである。 (ウ) よって,本件処理方法は,本件発明の構成要件Bを充足する。 ウ構成要件Cについて(ア) 本件処理方法は,原告主張方法cのとおり,トロンメルの通過分を,ハイメッシュセパレーター上に受ける工程を有しているが(甲5),被 告が用いている氣工社製のハイメッシュセパレーターは,脱水スクリーンという篩を振動(震動)モーターによって振動させて篩別する装置である「振動篩」と,分級機とを組み合わせた装置である(甲13ないし15)。 そして,本件処理方法では,ハイメッシュセパレーターを通過しない「砂」(中粗粒分)を,そのまま第2種改良土及びタイヘイリサイクルソイル(流動化処理土 組み合わせた装置である(甲13ないし15)。 そして,本件処理方法では,ハイメッシュセパレーターを通過しない「砂」(中粗粒分)を,そのまま第2種改良土及びタイヘイリサイクルソイル(流動化処理土)の基礎資材として使用しているから,「コンクリート等の骨材とし」の要件も充足することは明らかである。 また,濾過砂・下水管埋め戻し材の基礎資材としての利用も,「コンクリート等の骨材とし」の要件を充足する。 以上より,原告主張方法cのハイメッシュセパレーターは構成要件Cの「震動篩」に該当し,当該ハイメッシュセパレーターを通過しない中粗粒分をそのままコンクリート等の骨材とする処理を行っていることから,本件処理方法は構成要件Cを充足する。 (イ) 被告は,第2のトロンメルの網目(篩)を通過した泥水は,回転式分級機と振動篩式脱水機(脱水スクリーン)から構成されるハイメッシュセパレーターに移送され,回転式分級機にて0.075mm~5mmの排出物である砂に分級され,振動篩式脱水機は脱水のために使用されているにすぎず,本件処理方法には篩分け用に使用される振動篩に該当するものはないと主張する。 しかしながら,ハイメッシュセパレーターにおける回転式分級機は,砂を移送・掻き上げて,これを振動篩に投入する機能しか有しておらず,0.075mm以上の砂(中粗粒分)を分級しているのは,他ならぬ振動篩であって,ハイメッシュセパレーターの振動篩が分級装置であることは明らかである。 また,脱水とは,水と微砂等のすべてを完全に分離させるものでは なく,脱水した水には当然に一定の大きさ以下の微砂等が含まれており,本件においても振動篩式脱水機を通過した汚泥には0.075㎜未満の細粒分が含まれていることは争いがないため,物理学的には,脱水も篩別(分級)に他ならない。 に一定の大きさ以下の微砂等が含まれており,本件においても振動篩式脱水機を通過した汚泥には0.075㎜未満の細粒分が含まれていることは争いがないため,物理学的には,脱水も篩別(分級)に他ならない。 エ構成要件Dについて(ア) 本件処理方法においては,原告主張方法dのとおり,ハイメッシュセパレーターの通過分を,マッドセパマシンという装置に移し,細粒分(シルト)を分別する工程を有しているが(甲6,16),マッドセパマシンとは遠心分離機を搭載した分級機(甲17)である。 以上より,本件処理方法は,ハイメッシュセパレーターの通過分を遠心分離して細粒分を分別する処理を行っていることから,構成要件Dを充足する。 (イ) これに対し,被告は,本件処理方法においてマッドセパマシンを使用していることを否認する。 しかし,被告がマッドセパマシンを使用していることは,①被告が豊田市長に対し,平成22年3月に提出した産業廃棄物処理業の事業範囲変更許可申請書に添付されている同月25日付け「建設汚泥処理フロー図」(甲22・2枚目)において,マッドセパマシンによって10μm以上75μm未満の「シルト」を分別する旨記載されていること,②被告は,マッドセパマシンを使用しなくなったことについて変更の許可を受けることも,変更の届け出もしていないこと,③被告は,被告のインターネットホームページでも,マッドセパマシンを使用している旨記載し続けていること,④被告は,マッドセパマシンを使用していないことの理由として,マッドセパマシンを導入後,実証実験を行ったところ,作業効率が悪いことが判明したためなどと主張しているが,不自然であること,⑤被告が工事を受託した際に委託者に提出した書類(甲32な いし34,36ないし40)によれば,被告がシルトのみを分級する処 が悪いことが判明したためなどと主張しているが,不自然であること,⑤被告が工事を受託した際に委託者に提出した書類(甲32な いし34,36ないし40)によれば,被告がシルトのみを分級する処理を行っていることが明らかであること,⑥平成21年10月以降に作られたと考えられる被告のパンフレット(甲35)においても,マッドセパマシンを使用してシルトを分級していることが記載されていること,⑦被告が遠心分離器を用いてシルトを分級することを内容とする発明について特許権を有していることから明らかである。 オ構成要件Eについて本件処理方法では,原告主張方法eのとおり,遠心分離機により分級されたシルトは,セメントと混合して(甲7・2枚目,甲18,甲19,甲32,甲33,甲35・6頁「DMP-70」参照),当該混合物を粒状に成形し,これをタイヘイリサイクルソイル等の骨材としている(甲6,甲22・2枚目「混練処理」図)。 よって,本件処理方法は,構成要件Eを充足している。 被告が主張するような,脱水ケーキをそのまま売却するといった利用方法は,被告のインターネットホームページ(甲5,6)にもパンフレット(甲35)にも記載されていない。 (被告の主張)ア本件処理方法について本件処理方法が別紙原告主張方法目録記載の方法(原告主張方法)のとおりであるとの原告らの主張は,否認する。本件処理方法の具体的な手順は,別紙被告主張方法目録記載の方法(以下「被告主張方法」という。)のとおりである。 イ構成要件Bについて(ア) 「コンクリート等の骨材とし」a まず,本件発明にいう「コンクリート等」については,普通コンクリート・舗装コンクリート・軽量コンクリート・高強度コンクリート のような種類のコンクリートの総称なのか,レデーミクスト 」a まず,本件発明にいう「コンクリート等」については,普通コンクリート・舗装コンクリート・軽量コンクリート・高強度コンクリート のような種類のコンクリートの総称なのか,レデーミクストコンクリート・現場練コンクリートの総称なのか,セメントコンクリート・アスファルトコンクリートの総称なのかそれ以外を意味するのか,あるいはコンクリートと同質であるがコンクリートと称されないものを含めるために「等」としたのかを理解することができず,特許請求の範囲の記載を一義的に解釈することができない。また,発明の詳細な説明においても「コンクリート」以外は記載されていない。したがって,「コンクリート等」は,「コンクリート」を意味すると限定して解釈すべきである(東京地裁平成17年12月27日判決〔判例タイムズ1228号301頁〕参照)。 次に,原告らは,「骨材」に関して,「コンクリートに限らず土木・建築産業の基礎資材である」と主張しているが,発明の詳細な説明には,土木・建築産業の基礎資材として使用する旨の開示はどこにも存在しない。すなわち,発明の詳細な説明に開示されているのは,建設廃泥の処理方法にすぎず,その骨材の使用範囲に関する説明はない。 このように,特許請求の範囲の記載における「コンクリート等の骨材」の意味が一義的でなく,かつ,発明の詳細な説明にも「コンクリート用の骨材」以外の開示がないので,その意味は「コンクリート用の骨材」と限定して解釈すべきである。 原告らが主張するように,コンクリートに限られず,およそ土木・建築産業の基礎資材とする意味であれば,「コンクリート等の」と記載する必要がなく,原告らのような解釈は成り立たない。 b 被告は,第2のトロンメルの網目を通過しない5~40mmの排出物は,自社工事用資材(暗渠排水用)として利 であれば,「コンクリート等の」と記載する必要がなく,原告らのような解釈は成り立たない。 b 被告は,第2のトロンメルの網目を通過しない5~40mmの排出物は,自社工事用資材(暗渠排水用)として利用するか,砂利として販売しており,「コンクリート等の骨材」とはしていない。 また,被告は,40mm以上の粗粒分を造粒固化工程に混ぜて改良土にし,更に振動篩を通した一部を篩改良土としているのであるから,やはり「コンクリート等の骨材」とはしていない。 (イ) 「そのまゝ」a 「そのまゝ」の文字の解釈について本件明細書の発明の詳細な説明には何ら記載がないので,通常の意味に解釈すべきであり,「そのまゝ」とは,何ら処理することなく「そのまゝ」と解釈するのが常識である。構成要件Eでは,「該細粒分はセメントと混合し,該混合物を粒状に成型してコンクリート等の骨材とする」と記載されているが,仮に,原告らの主張どおりであれば,「セメントと混合し」という要件は技術常識であり,限定の意味のない要件となってしまうことからも,上記解釈が支持されるべきである。 また,出願当初の特許請求の範囲には,「そのまゝ」という文言は記載されていなかったところ,原告らは,拒絶理由を解消するために,「そのまゝ」の要件を,平成14年11月28日付け手続補正書にて,特許請求の範囲に特別に追加したのであり,「そのまゝ」は,本件発明を限定する要件である。それにもかかわらず,手続補正において特許請求の範囲を限定した事項を,権利取得後,あたかもそのような限定がなかったかのように主張することは,許されない(禁反言の原則)。 b 被告は,40mm以上の粗粒分を造粒固化工程に混ぜて改良土にし,更に振動篩を通した一部を篩改良土としているのであるから,本件処理方法は,「そのまゝ」を充 ことは,許されない(禁反言の原則)。 b 被告は,40mm以上の粗粒分を造粒固化工程に混ぜて改良土にし,更に振動篩を通した一部を篩改良土としているのであるから,本件処理方法は,「そのまゝ」を充足しない。 ウ構成要件Cについて(ア) 「そのまゝコンクリート等の骨材とし」被告は,被告主張方法cのとおり,本件処理方法のハイメッシュセ パレーターを使用した工程で,通過しなかった0.075~5mmのものを「砂」と分類し,甲6号証に書いてあるとおり,濾過砂や下水管埋め戻し材として使用している。 よって,この「砂」は,原告らが主張するようなコンクリート用には使用されておらず,骨材として使用はしていない。 (イ) 「震動篩」原告らは,構成要件Cの「震動篩」を分級装置に位置づけている。 しかし,被告が利用している「ハイメッシュセパレーター」という装置は「スパイラル式(回転式)分級機」と「振動(震動)篩式脱水機」から構成されるものであるから(乙11),構成要件Cの「震動篩」に該当する部分は脱水装置にあたる。また,本件発明の振動(震動)篩の意味であるが,発明の詳細な説明によれば「2mm目の振動篩」のみ記載されているのに対し,ハイメッシュセパレーターは0. 074mm目であり,その篩の目の大きさは大きく異なり,一般常識としても砂の分級ではなく水分を除く脱水の意味にしか解釈されないものである。 また,原告らは,ハイメッシュセパレーターで「砂」が選別されているから構成要件Cの震動篩に該当すると主張する。しかし,「砂」は,ハイメッシュセパレーターの「回転式分級機」によって選別されるのであって,「震動篩」で選別されるものではない。 (ウ) よって,本件処理方法は,本件発明の構成要件Cを充足しない。 エ構成要件Dについて(ア) ーターの「回転式分級機」によって選別されるのであって,「震動篩」で選別されるものではない。 (ウ) よって,本件処理方法は,本件発明の構成要件Cを充足しない。 エ構成要件Dについて(ア) 被告は,マッドセパマシンを1台購入したが,以下のとおり,結局これは使っていない。 すなわち,被告は,平成22年3月にマッドセパマシンを設置し,豊田市役所への届出を済ませたが,人手不足等の理由により,稼働は させずに実証実験を同年9月~10月に実施した(乙16・資料3~5)。 実証実験の結果,マッドセパマシンは作業効率及び費用対効果が悪く,さらに,排出されたシルト分にはセメントが多く含まれておりシルト分が硬化・団粒化してしまうことで作業性が悪く,リサイクル品としての利用には不適合であることが判明した。また販売先と期待していた製陶会社へのリサーチの結果,想定より少ない量の販売しか見込めないことがわかった。 そのため,被告はマッドセパマシンの使用を断念することとした。 (イ) 被告がマッドセパマシンを使用していないことは,アワメーターの数値により明確となっている。 実証実験の最終日は平成22年10月5日であり(乙16・資料5),同日終業時のアワメーターの数値を計算すると,1万2672. 5時間となる。 現在(平成25年7月5日)のアワメーターの数値は写真(乙16・資料6‐①~6‐④)のように1万2672時間となっており,平成22年の実証実験以後ほぼ稼働していないことが明確になっている。 なお,被告が導入したマッドセパマシンは中古品のため,導入時のアワメーターは乙16号証の資料5の「9/7」の行の「終業時アワメーター」に記載のある「12648.8」時間程度であった。 (ウ) 被告がマッドセパマシンを使用していないことは,乙30な ,導入時のアワメーターは乙16号証の資料5の「9/7」の行の「終業時アワメーター」に記載のある「12648.8」時間程度であった。 (ウ) 被告がマッドセパマシンを使用していないことは,乙30ないし33号証からも明らかである。すなわち,平成22年3月25日当時と異なり,現在では,マッドセパマシンの下のタンクの配管は汚水ピットと繋がっておらず,排出側の配管の先端部分は地面で野ざらしになっている。また,排水側(処理後)のタンク内には草が生え,全く 使われていない状況となっている。さらに,電源も撤去され存在しない。 (エ) 以上のとおり,被告のホームページや豊田市役所への届出の上では,マッドセパマシンを使用しているようになってはいるが,実際は実証実験以外での稼働は行っていない。 したがって,被告はマッドセパマシンを使用していないから,本件処理方法は構成要件Dを充足しない。 オ構成要件Eについて被告は,マッドセパマシンを使用しておらず,本件処理方法には,シルトを分級する工程は存在せず,よって,シルトをセメントと混合する工程もなく,該混合物を粒状に成形してコンクリート等の骨材にすることもない。 被告は,スラリー(濃い混合泥水)をフィルタープレスで圧縮脱水した後の脱水ケーキをそのまま売却するか,脱水ケーキをタイヘイリサイクルソイル(TRS)としての流動化処理土の原料や改良土の含水調整に利用している。 (2) 争点(1)イ(本件特許は特許無効審判により無効にされるべきものか-乙3号証等に基づく進歩性欠如の成否)(被告の主張)ア乙3発明の内容本件特許の出願前に頒布された刊行物である特開平2-14858号公報(以下「乙3文献」といい,同文献記載の発明を「乙3発明」という。)には,次の発明が記載されている。 ( ア乙3発明の内容本件特許の出願前に頒布された刊行物である特開平2-14858号公報(以下「乙3文献」といい,同文献記載の発明を「乙3発明」という。)には,次の発明が記載されている。 (ア) 乙3文献3頁左上欄4行~16行には,本件発明の構成要件A及びBに相当する構成が記載されている。 仮にそうでないとしても,1953年当時の鐘打鉱山の歴史を示す資 料(乙22)や,昭和39年9月1日発行の「窯業協会誌」(乙20)の記載からすれば,鉱物資源,リサイクル資源を扱う技術分野では石等の大きさの選別方法として,水洗トロンメルで選別した物を更に篩を振動させて選別することは誰もが知る古い時代からの周知方法である。また株式会社丸福は,平成3年10月1日に設置した産業廃棄物処理施設において,MARUHUKUPLANTRECYCLESYSTEMとして,清水を使用するトロンメルから分級機,そしてシックナー,スラリー糟を介してフィルタープレスを使用している(乙23ないし乙26)。 以上のとおり,乙3発明の回転スクリューを水洗トロンメルに置き換えて考えることは周知であり,事実上同一である。 (イ) 本件発明の構成要件Cに対応する記載として,乙3文献3頁左上欄17行~同頁左下欄1行には,振動篩ではないが篩に相当するものが記載されている。 (ウ) 本件発明の構成要件Dに対応する記載として,乙3文献3頁左下欄8行~14行には,遠心分離という方法ではないが,フィルタープレスという方法が記載されている。 (エ) 本件発明の構成要件Eに対応する記載として,乙3文献4頁左上欄19行~4頁右上欄1行には,「該細粒分はセメントと混合し,該混合物を粒状に成形してコンクリート等の骨材とする」とは異なるが,選別した最終物を粒状に活用することが記載さ 載として,乙3文献4頁左上欄19行~4頁右上欄1行には,「該細粒分はセメントと混合し,該混合物を粒状に成形してコンクリート等の骨材とする」とは異なるが,選別した最終物を粒状に活用することが記載されている。 イ本件発明と乙3発明との対比本件発明と乙3発明とを比較すると,(A)両者は廃泥を回転粗篩機(回転スクリ-ン)に投入して水をシャワーして篩別する(泥土を洗い落とす)点と,(B)粗篩機(回転スクリーン)を通過しない粗粒分(細骨材)はそのまま骨材とする点において共通するが,以下の点で相違する。 (ア) 本件発明の構成要件Cの通過分は振動篩上に受けて該震動篩を通過しない中粗粒分はそのまゝコンクリート等の骨材とすることに対し,乙3発明では振動しない選別網を用いている点(イ) 本件発明の構成要件Dでは振動篩の通過分は遠心分離されて細粒分を分別するのに対し,乙3発明では遠心分離でなくフィルタープレスが用いられている点(ウ) 本件発明の構成要件Eでは,遠心分離された細粒分はセメントと混合し,該混合物を粒状に成形してコンクリート等の骨材とするのに対し,乙3発明ではセメントを混合することなく焼結体を製造する点ウ相違点の検討(ア) 相違点(ア)について乙3発明で示される回転スクリーンに相当する分級脱水機で振動スクリーンを備えたものが実公平3-1069号公報(以下「乙11文献」という。)に記載されており,選別網を無振動の網にするか,振動タイプのものにするかは当業者が自由に選択できたものである。そのことは,乙11文献の3頁5欄7行~15行の記載並びに第1図及び第2図から明白であり,置き換えは自明の範囲内といえる。 (イ) 相違点(イ)について本件明細書の記載(甲20・2頁4欄11行以下を参照)に照らせば,構成要件 7行~15行の記載並びに第1図及び第2図から明白であり,置き換えは自明の範囲内といえる。 (イ) 相違点(イ)について本件明細書の記載(甲20・2頁4欄11行以下を参照)に照らせば,構成要件Dにおける遠心分離は脱水を目的とするものといえる。 連続地中壁工法に関するよく知られた一般的な書籍である社団法人土質工学会発行「連続地中壁工法」(発行日昭和63年7月15日。以下「乙14文献」という。)において,固液分離・脱水処理の基本フローを示す図―8.6で,強制脱水の処理技術として,遠心の例としてマッドセパマシン,加圧の例としてフィルタープレスが掲載され,それぞれの構造図が図―8.9,図―8.10に記載されていることからすれば, 乙3発明のフィルターを遠心分離に置き換えることは当業者にとって自由に選択できる自明の事項にすぎない。 原告らは,フィルタープレスと構成要件Dの遠心分離とについて,技術面における作用効果上の差異を主張しているが,そのようなことは本件明細書の発明の詳細な説明には何ら開示していない。発明の詳細な説明では,単に「【0008】本実施例以外,細粒分(1C)の脱水はフィルタープレスによって行ってもよいが,遠心分離器の方が脱水効率は良好である。」との記載しかしておらず,自由選択によるものと理解できる。 (ウ) 相違点(ウ)について特開平2-137750号公開公報(以下「乙5文献」という。)には,「砕砂の製造工程にて発生した微粉末に対して水分を調整し,適当量のセメントを添加して均一に混練した後,加圧成型して密実な硬化体とし,これを適度に破砕して細骨材とすること」(1頁右欄19行~2頁左上欄3行)と記載されている。この微粉末は,乙3発明でいう脱水した泥土に置き換えることができ,また,乙5文献に記載の技術が当業界 とし,これを適度に破砕して細骨材とすること」(1頁右欄19行~2頁左上欄3行)と記載されている。この微粉末は,乙3発明でいう脱水した泥土に置き換えることができ,また,乙5文献に記載の技術が当業界で周知な技術であることは,審査官が拒絶理由でのべていることからも明白である。 したがって,乙3発明における泥土を焼結する代わりに,セメントと混合し,該混合物を粒状に成形してコンクリート等の骨材とすることは,当業者として自由選択ができる自明の事項にすぎない。 このように,本件特許発明の最終段階の構成要件E,言いかえればA~Eと連続する最後の工程も,出願前公知の技術と作用効果を同じくするものであり,構成要件AないしDと連続した工程にすることにより特別の効果が生じたものではない。本件発明は,従来技術が有する各工程の効果を単に積み重ねた以上の効果を奏するものではないの である。 エ小括以上のとおりであるから,本件発明は,当業者が乙3発明並びに乙11文献,乙14文献及び乙5文献記載の事項に基づいて容易に発明することができたものであって,進歩性を欠くものであり,したがって,本件特許は,特許無効審判により無効とされるべきものと認められる。 (原告らの主張)ア被告の主張は争う。 イ構成要件A及びBについて(ア) 被告は,乙3発明のうち,「Bは泥土の懸濁手段で,粗骨材3を除かれて前記コンベア5により移送される排土に対して,散水口6より散水しながら回転スクリュー7により攪拌して,後記する細骨材に付着する泥土を洗い流し,細骨材と分離すると共に,泥土の懸濁液を生成させてこれを後記する排出口8から送り出させる。」との部分(以下「(b)工程」という。)及び「Cは細骨材の選別手段で,前記懸濁手段Bの排出口8から落下する泥土の懸濁液を二次 共に,泥土の懸濁液を生成させてこれを後記する排出口8から送り出させる。」との部分(以下「(b)工程」という。)及び「Cは細骨材の選別手段で,前記懸濁手段Bの排出口8から落下する泥土の懸濁液を二次選別網9に受け,その網目aを通過しない50~100mmの細骨材は,二次選別網9の終端よりクラッシャー10へ送り,40~50mmに破砕して細骨材溜11に落し」と記載された部分(以下「(c)工程」という。)が本件発明の構成要件A及びBと一致すると主張している。 (イ) しかしながら,(b)工程と(c)工程とは全く別の工程であり,(b)工程は泥土の懸濁手段(工程)で,回転スクリューにより細骨材の泥土を洗い流すだけであり,篩別をするものではなく(補足すると回転スクリューは回転粗篩機ではない。),(c)工程で,(b)工程で生成した懸濁液から細骨材を選別(篩別)するというものである。 これに対して,構成要件Aの回転粗篩機というのは,「破砕した岩石 などの粗い粒子を,回転させてふるい分ける円筒形または多角筒形のふるい」であり(甲25),回転させることによって粗粒分を篩別するものである。 したがって,構成要件Aと(b)工程及び(c)工程とでは,その方法・作用・効果が全く異なっていることは明らかである。 (ウ) また,構成要件Bは,当該回転粗篩機を通過しない粗粒分をそのままコンクリート等の骨材とすることを要素とするところ,乙3発明においては,そもそも回転粗篩機は存在せず,回転スクリューによって攪拌した懸濁液はすべて排水口8から落下するのである。 (エ) したがって,構成要件A及びBと,(b)工程及び(c)工程とが一致していないことはいうまでもないが,構成要件A及びBと,(b)工程及び(c)工程とが,方法・作用・効果において全く異なっており,乙 ) したがって,構成要件A及びBと,(b)工程及び(c)工程とが一致していないことはいうまでもないが,構成要件A及びBと,(b)工程及び(c)工程とが,方法・作用・効果において全く異なっており,乙3文献に記載された(b)工程及び(c)工程から,構成要件A及びBに容易に想到できるはずがないことは明らかである。 なお,被告は,構成要件A及びBと,(b)工程及び(c)工程とを,それぞれ分けることなく考えれば,同一の効果が得られるということを言わんとしている可能性もあるが,例えば,建設汚泥に多分に含まれる粘土質の泥土は,回転スクリューにより攪拌させても中々骨材と泥土とが分離されず,乙3発明では,粘土質の泥土のまま(c)工程に移行して,結局(c)工程の選別網を通過することはできないばかりか,当該選別網を詰まらせる結果となるのに対し,本件発明においては,回転粗篩機内において,粘土質の泥土も骨材と泥土とに分離されて篩別されるまで留まる点等において,大きく効果は異なっている。 ウ構成要件Cについて(ア) 被告は,乙3発明には,振動篩ではないが篩に相当するものが記載されていると主張する。 しかし,乙3発明では,螺旋状傾斜板を用いて,沈降分離した砂利や砂をかきあげることによって水切りするためのスパイラルウォッシャーと呼ばれる装置が使用されているのであって(甲26),振動篩とは,原理も方法も効果も全く異なる装置であり,篩すらついていない。また,乙3発明で用いられている選別網は,被告の主張の構成を前提とすれば,構成要件A及びBに対応させるべきものである。さらに,構成要件Cは,振動篩を通過しない中粗粒分をそのままコンクリート等の骨材とすることも要素とするところ,乙3発明においては,構成要件Cの当該部分に対応する工程は全く存在しない。 ものである。さらに,構成要件Cは,振動篩を通過しない中粗粒分をそのままコンクリート等の骨材とすることも要素とするところ,乙3発明においては,構成要件Cの当該部分に対応する工程は全く存在しない。 以上のとおり,乙3発明は,本件発明の構成要件Cとは全く対応していないことは明らかである。 (イ) 乙3発明の回転スクリューは,細骨材の泥土を洗い流す装置であるのに対し,乙11文献記載の分級脱水機は,「沈殿槽の底に沈降した砂を移送する数条のスパイラル羽根と,このスパイラル羽根の終端にあって,移送されてきた砂を掻き上げる環状に配設された掻き上げパケットからなる水平スパイラル型分級機」(乙11・1頁等)であり,要するに沈降した砂を移送・掻き上げるための装置であって,細骨材の泥土を洗い流す装置ではない。したがって,乙11文献記載の分級脱水機と乙3発明の回転スクリューとは,目的・作用・効果が全く異なる装置で,乙11文献記載の分級脱水機が回転スクリューに相当するものでないことは明らかであって,乙11文献記載の分級脱水機と振動篩の組合せは,乙3発明の回転スクリューと選別網との置き換え自体を想起することすらない。 エ構成要件D及びEについて(ア) 被告は,乙3発明のフィルタープレスが構成要件Dの遠心分離と対応すると主張する。 しかし,構成要件Dの遠心分離と,乙3発明のフィルタープレスとは,目的を全く異にし,全く対応していない工程であることが分かる。 すなわち,本件発明は,震動篩の通過分を遠心分離させて細粒分を分別し(構成要件D),当該細粒分をセメントと混合し,当該混合物を粒状に成形してコンクリート等の骨材とする(構成要件E)のであって,要するに,セメントと混合するための細粒分を分別させるために,遠心分離させるのであって,脱水のため をセメントと混合し,当該混合物を粒状に成形してコンクリート等の骨材とする(構成要件E)のであって,要するに,セメントと混合するための細粒分を分別させるために,遠心分離させるのであって,脱水のために遠心分離させるのではない。 これに対して,乙3発明では,細粒分を分別させるためにフィルタープレスを行うのではなく,焼成材を作成するための泥土を作成するために脱水をしているのであり,正に脱水の目的でフィルタープレスを行っているのである。 したがって,構成要件Dと乙3発明とは,これに続く工程からは,目的・作用・効果を全く異にしており,対応関係にないことは明らかである。 (イ) 被告は,乙14文献において,脱水の方法として遠心分離とフィルタープレスのどちらかを採用できることが示されていることから,乙3発明のフィルタープレスを遠心分離器に置き換えることは当業者にとって自由に選択できると主張している。 しかしながら,前述したとおり,構成要件Dの遠心分離は,脱水の目的ではなく,細粒分を分別することを目的としているのに対し,乙3発明のフィルタープレスは,正に脱水を目的としているのであって,その作用・効果も異なっている。 そのため,乙3発明のフィルタープレスを遠心分離器に置き換えることは想定されるものではない。 さらに付言すると,乙3発明のフィルタープレスは,焼成材を作成する前段階として,その材料となる泥土を脱水するために使用されている のであり,そのためには,脱水効果は高ければ高い方が良い。 また,建設汚泥は,排出場所等によって土質が全く異なり,また,脱水した泥土には性状の異なる様々な物質が混合しているため,実際には,商品となり得るような焼成材を作成することは著しく困難であり,本件特許出願以前においては,細粒分はフィルタープレスによ り,また,脱水した泥土には性状の異なる様々な物質が混合しているため,実際には,商品となり得るような焼成材を作成することは著しく困難であり,本件特許出願以前においては,細粒分はフィルタープレスによって脱水の上で埋め立て処分されていたのであるが(本件明細書の「従来の技術」欄参照),この場合においても,体積を少なくするためには,脱水効果は高ければ高い方が良い。 そして,フィルタープレスの方が圧倒的に脱水効果は高く,遠心分離器は「分離しにくい固体と液体を分離」させる際に効果を発揮するにすぎない(甲29)。 したがって,乙3発明のフィルタープレスを,わざわざ脱水効果の低い遠心分離器に置き換えることは,あり得ないのである。 (ウ) 構成要件Eについて被告は,乙5文献に,砕砂の製造工程にて発生した微粉末に適当量のセメントを添加して均一に混練した後,加圧成形して密実な硬化体とし,これを適度に破砕して細骨材とする方法が記載されており,当該微粉末を乙3発明の脱水した泥土に置き換えることができることから,乙3発明における泥土の焼結方法の代わりに,セメントと混合して該混合物を粒状に成形してコンクリート等の骨材とすることは当業者が自由選択ができる自明の事項であると主張する。 しかしながら,前述したとおり,乙3発明の脱水した泥土を焼結して焼成材を作成する工程と本件発明の構成要件Eの細粒分をセメントと混合し,当該混合物を粒状に成形してコンクリート等の骨材とする工程とが,その目的・作用・効果において全く異なっており,対応関係になどないことは明らかである。 また,乙5文献の技術は,水を含まない微粉末を,セメントと混合して,硬化体とし,これを破砕して細骨材とする方法であるのに対し,構成要件Eは,遠心分離により分別された水を含む細粒分を,セメン また,乙5文献の技術は,水を含まない微粉末を,セメントと混合して,硬化体とし,これを破砕して細骨材とする方法であるのに対し,構成要件Eは,遠心分離により分別された水を含む細粒分を,セメントと混合し,これを粒状に成形してコンクリート等の骨材とする方法であって,混合物を硬化体とすることも,これを破砕することも必要でなく,乙5文献記載の技術と構成要件Eとは,全く異なる技術・方法である。 オ以上のとおり,本件発明は被告の主張に係る公知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたはずがないことは明らかであり,本件特許は特許無効審判により無効とされるべきものとは認められない。 2 争点(2)(損害額)について(原告らの主張)(1) 平成21年ないし平成23年の建設廃泥の処理に係る損害額ア建設廃泥の処理量被告は,平成20年12月10日に分級設備を設置して以後(甲3),本件処理方法を使用し,平成21年ないし平成23年の間に合計89万4685トンの建設廃泥の処理を行っている(前記前提事実等(4)ア)。 イ被告が受領した処理費用(ア) 建設廃泥の処理を受託する場合の処理単価は,砂と,シルト及び粘土との比率で異なってくるものの,被告が,本件処理方法を使用して建設廃泥の処理を受託する場合の1.6トン(1立方メートル)当たりの平均単価は5000円を下らない(甲10・2枚目「汚泥区分」の「泥土(非自硬性)」の上段部の「砂:シルト・粘土比」「5:5」参照)。 (イ) よって,被告が,被告方法を使用して上記建設廃泥を処理した際に,委託先より受領した処理費用は,下記の計算式のとおり,27億9589万0625円を下らない。 [計算式]894,685トン÷1.6トン×5000円 =2,795,890,625円ウ建 先より受領した処理費用は,下記の計算式のとおり,27億9589万0625円を下らない。 [計算式]894,685トン÷1.6トン×5000円 =2,795,890,625円ウ建設廃泥処理の利益率建設廃泥の処理費用から建設廃泥を処分するための経費を控除した利益率は,少なく見積もっても30パーセントを下らない。 エ小括したがって,被告が,平成21年から平成23年にかけて本件処理方法を使用して得た利益は,下記計算式のとおり,8億3876万7187円を下らず,特許法102条2項に基づき,当該利益額が原告らの損害額と推定される。 [計算式]2,795,890,625円×30パーセント=838,767,187円(2) 平成24年及び平成25年の建設廃泥の処理に係る損害額被告は,平成24年以後も,現在に至るまで,本件処理方法を使用しているところ,平成21年ないし平成23年の実績からすれば,本件処理方法を使用して建設廃泥を処理したことにより得た利益は,年間2億7958万9062円を下らないと推測され(8億3876万7187円(平成21年ないし23年の利益額)÷3年間),したがって,被告は,平成24年1月から平成25年3月までの間に本件処理方法を使用して,3億4948万6327円(2億7958万9062円÷12ヶ月×15ヶ月)の利益を得たものと考えられ,原告らには同額の損害が生じている。 (3) 一部請求以上のとおり,平成21年1月から平成25年3月までの間に,被告が本件処理方法を使用して原告らの本件特許権を侵害したことによって,原告らに生じた損害額は,合計11億8825万3514円を下らない。 被告の規模等に鑑み,原告らは被告に対し,本訴において,上記11億8825万3514円のうち,1億円の支払を求める ことによって,原告らに生じた損害額は,合計11億8825万3514円を下らない。 被告の規模等に鑑み,原告らは被告に対し,本訴において,上記11億8825万3514円のうち,1億円の支払を求める次第である。 (被告の主張)原告らの主張は争う。 第4 当裁判所の判断 1 争点(1)ア(本件処理方法が本件発明の技術的範囲に属するか-構成要件BないしEの充足性)について(1) 構成要件Bについてア 「コンクリート等の骨材とし」(ア) 「コンクリート等の骨材」の意味について,原告らは,コンクリートに限られず,土木・建築産業の基礎資材に用いる砂利・砂を意味する旨主張し,被告は,コンクリート用の骨材と限定して解釈すべきである旨主張する。 (イ) 「骨材」とは,一般に,「セメントとまぜてモルタル・コンクリートなどを作る,砂・砂利の類の総称」(広辞苑第3版)を意味するとされている。そうすると,「骨材」自体の意味に,セメントと混ぜて作られるモルタルやコンクリートという使用範囲が含まれているといえる。 さらに,本件発明は「骨材」の用途を「コンクリート等の」と限定しているのであるから,「コンクリート等の骨材」とは,コンクリートや,それに類似するモルタルなどを作るための砂や砂利を意味すると解するのが相当であり,そのように解釈することは,本件明細書の記載と整合こそすれ,これと矛盾するものではない。 なお,原告らがその主張の根拠とする甲23号証には,「骨材」について,「砂・砂利・砕石その他これに類似する粒状材料」との記載があるものの,同号証が「第3版道路用語辞典」であることからすると,材料の用途はコンクリートやアスファルトといった道路舗装用の材料に用いられるものであることを当然の前提としていると解される。甲24号証について 同号証が「第3版道路用語辞典」であることからすると,材料の用途はコンクリートやアスファルトといった道路舗装用の材料に用いられるものであることを当然の前提としていると解される。甲24号証についても,「土木・建設産業の基礎資材」との記載に続いて, 「用途としては,コンクリート用,道路用,アスファルトコンクリート用,鉄道用など」との記載があることからすれば,コンクリートや,それに類似するモルタルなどを作るための砂や砂利という上記解釈と矛盾するものではない。また,仮に「骨材」が,広義には建設・土木産業一般の基礎資材に用いる砂・砂利を含む語であるとしても,本件発明が,「コンクリート等の」との限定を付している以上,「コンクリート等の骨材」とは,上記のとおり,コンクリートや,それに類似するモルタルなどを作るための砂や砂利と解すべきである。 (ウ) 本件処理方法において,トロンメルの編目を通過しなかった砂利が,少なくとも暗渠排水資材として利用されていることは争いがない。しかるに,暗渠排水資材が,コンクリートや,それに類似するモルタルなどと異なることは明らかである(甲6)。 また,甲22号証によれば,本件処理方法において,トロンメルの編目を通過しなかった砂利が,第2種改良土の原料として利用されていることも認められるが,第2種改良土は,コンクリートやそれに類似するモルタルなどとは異なるものと考えられる(甲6)。 イ 「そのまゝ」仮に第2種改良土が「コンクリート等」といえるとしても,以下のとおり,本件処理方法において,トロンメルの編目を通過しなかった砂利を「そのまゝ」コンクリート等の骨材としているとはいえない。 (ア) 原告らは,「そのまゝ」とは,粗粒分自体に加工等を行うことなく,「コンクリート等の骨材」とすることを意味すると主張し なかった砂利を「そのまゝ」コンクリート等の骨材としているとはいえない。 (ア) 原告らは,「そのまゝ」とは,粗粒分自体に加工等を行うことなく,「コンクリート等の骨材」とすることを意味すると主張していると解される。これに対し,被告は,何ら処理をせず「コンクリート等の骨材」とすることを意味すると主張する。 (イ)a 「そのまゝ」とは,一般に,「状態に変化のないこと。あるがまま」(広辞苑第3版)を意味する。したがって,構成要件Bの「該粗 篩機を通過しない粗粒分はそのまゝコンクリート等の骨材とし,」とは,「粗篩機を通過しない粗粒分」を,状態を変化させることなく「コンクリート等の骨材」とすることを意味すると解するのが自然である。 b また,本件明細書には,以下の記載がある。 (a)「該粗篩機を通過しない粗粒分はそのまゝコンクリート等の骨材とし,」(構成要件B),「該粗篩機の通過分は震動篩上に受けて該震動篩を通過しない中粗粒分はそのまゝコンクリート等の骨材とし,」(構成要件C),「該細粒分はセメントと混合し,該混合物を粒状に成形してコンクリート等の骨材とする」(構成要件E)(b)「【従来の技術】例えば建設工事において,シールド工法によってトンネルを掘設する場合には多量の建設廃泥が排出される。従来は該建設廃泥は粗粒分と細粒分とに篩別し,粗粒分はコンクリート等の骨材とし,細粒分はフィルタープレス等によって脱水の上で埋立て処分を行なっている。」(段落【0002】),「【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来の建設廃泥処理方法では,細粒分は脱水の上で埋立て処分を行なっているので,脱水と云う手間をかけても細粒分を有効に利用しているとは云えない。」(段落【0003】)(c)「【作用】本発明では建設廃泥(1)を粗粒分(1A は,細粒分は脱水の上で埋立て処分を行なっているので,脱水と云う手間をかけても細粒分を有効に利用しているとは云えない。」(段落【0003】)(c)「【作用】本発明では建設廃泥(1)を粗粒分(1A)と細粒分(1C)とに分け,粗粒分(1A)は従来通りコンクリート等の骨材とし,更に細粒分(1C)もセメントと混合して該混合物を粒状に成形すれば,該細粒分(1C)は該セメントをバインダーとして硬化してコンクリート等の骨材として使用出来る。」(段落【0005】)(d)「【実施例】本発明を図1~図3に示す一実施例によって説明すれば,建設廃泥(1)はホッパー(2)から50mm目の回転粗篩機(3) に投入され,該粗篩機(3)内でシャワーノズル(4)によって水をシャワーされつゝ篩別され,該粗篩機(3)を通過しない粗粒分(1A)は該粗篩機(3)の端末からコンベア(5)上に受止され受器(6)に備蓄される。該粗粒分(1A)はコンクリート骨材としてそのまゝ利用される。 上記回転粗篩機(3)の通過分は2mm目の震動篩(7)上に流下し,該震動篩(7)を通過しない中粗粒分(1B)は該震動篩(7)の端末からコンベア(8)上に落下し受器(9)に備蓄される。該中粗粒分(1B)もコンクリート骨材としてそのまゝ利用される。」(段落【0006】)(7)の通過分はスラリー樽(10)に備蓄され,バルブ(12)を付した排出パイプ(11)から遠心分離器(13)に移されて細粒分(1C)が分別される。このようにして分別された細粒分(1C)には通常50~60重量%の水分が含まれており,これにセメントを混合して混練する。セメント混合量は通常上記分別された細粒分(1C)の固形分100重量部に対し5~15重量部の範囲とされる。上記細粒分(1C)とセメントとの混練物(1D)はコンベア これにセメントを混合して混練する。セメント混合量は通常上記分別された細粒分(1C)の固形分100重量部に対し5~15重量部の範囲とされる。上記細粒分(1C)とセメントとの混練物(1D)はコンベア(14)上に移されゴム被覆ローラー(15)により圧縮成形される。…このようにして得られた硬化成形物(1E)はコンクリート骨材として利用される。」(段落【0007】),「本実施例以外,細粒分(1C)の脱水はフィルタープレスによって行なってもよいが,遠心分離器(13)の方が脱水効率は良好である。また細粒分(1C)とセメントとの混練物(1D)の成形は通常の震動式造粒器等を用いてもよい。また細粒分(1C)とセメントとの混練物(1D)には更にケイ砂,ケイ石砂等のシリカ成分やフライアッシュ,高炉スラグ,ベンナイト等の充填材や増粘材が混合されてもよい。」(段落【0008】)(f)「【発明の効果】したがって本発明では建設廃泥の細粒分まで高度利用することが出来る。」(段落【0009】) c 以上の記載によれば,本件発明は,従来の建設廃泥処理方法では,粗粒分はコンクリート等の骨材として利用されていたが,細粒分は脱水という手間をかけながら有効に利用できていないという課題を解決するため(前記b(b)),粗粒分は従来どおりコンクリート等の骨材とする一方,細粒分はセメントと混合して該混合物を粒状に成形して,該セメントをバインダーとして該細粒分を硬化してコンクリート等の骨材として使用出来るようにすることで,細粒分を高度利用することができるようにすること(前記b(c)(f))を内容とする発明ということができる。 しかるところ,セメントと混合した上で粒状化させて硬化させるという,その状態を変化させる処理を行っている細粒分については,その処理に対応する構 (c)(f))を内容とする発明ということができる。 しかるところ,セメントと混合した上で粒状化させて硬化させるという,その状態を変化させる処理を行っている細粒分については,その処理に対応する構成要件Eに,「そのまゝ」との限定がない(前記b(a))。 他方,回転粗篩機を通過しない粗粒分及び震動篩を通過しない中粗粒分については,「従来どおりコンクリート等の骨材」とするとされ(前記b(c)),実施例においても,「端末からコンベア上に受止され受器に備蓄され」,「コンクリート骨材としてそのまゝ利用される」(前記b(d))と記載されているのみで,その状態を変化させる処理は行われていない。そして,当該処理に対応する構成要件B及びCにおいては,「そのまゝ」との限定がされている(前記b(a))d 以上のとおり,「そのまま」という言葉の通常の意味(前記a)に加え,本件発明の目的並びに本件明細書に記載された粗粒分と細粒分に対する処理の違い及びそれに対応する構成要件B・CとEとで「そのまゝ」との限定の有無に違いがあること考慮すると,粗粒分の処理に関する構成要件Bにおける「そのまゝ」とは,構成要件Eにおける細粒分の処理のように,粒状に成形するといった粗粒分の状態を変化 させる処理をすることなく,「コンクリート等の骨材」とすることを意味すると解される。 (ウ) そうすると,仮に,第2種改良土が「コンクリート等」にあたるとしても,本件処理方法では,第2種改良土の製造にあたって,トロンメルの編目を通過しなかった砂利に対し,固化剤を投入して混合撹拌するという造粒固化処理を行っていると認められる(甲6,22)ところ,同処理は砂利の状態を変化させる処理と考えられるから,本件処理方法は,トロンメルの編目を通過しなかった砂利を「そのまゝ」第2種改良土 という造粒固化処理を行っていると認められる(甲6,22)ところ,同処理は砂利の状態を変化させる処理と考えられるから,本件処理方法は,トロンメルの編目を通過しなかった砂利を「そのまゝ」第2種改良土としているとはいえない。 ウ小括原告らは,本件処理方法では,トロンメルを通過しなかった砂利を,第2種改良土又は暗渠排水用に利用するか,骨材として販売していると主張している(原告主張方法b)。 これらの利用方法のうち,「骨材として販売」というのが具体的にどのような態様を意味するのか不明であるが,仮に被告が認める砂利としての販売(被告主張方法b)を意味するものであれば,当該砂利が,コンクリートや,それに類似するモルタルなど用に販売されているのか証拠上不明である上,販売先がそれらの製造に使用しているとしても,それは被告自身の行為ではない。 また,前記アのとおり,暗渠排水用資材及び第2種改良土としての利用は,「コンクリート等の骨材とし」を充足しない。 したがって,本件処理方法は,構成要件Bを充足しない。 (2) 構成要件Cについてア 「コンクリート等の骨材とし」(ア) 構成要件Bにおけると同様,「コンクリート等の骨材とし」とは,中粗粒分を,コンクリートや,それに類似するモルタルなどを作るため の砂や砂利として用いることを意味するものと解される。 (イ) 被告は,ハイメッシュセパレーターから排出された砂をタイヘイリサイクルソイルの原料としている(争いがない)。タイヘイリサイクルソイルとは,「骨材として砂,シルト・粘土分を利用して製造するモルタル」(甲18)であり,「コンクリート等」に該当する。 したがって,本件処理方法において,ハイメッシュセパレーターから排出された砂をタイヘイリサイクルソイルの原料としている点は,「コン するモルタル」(甲18)であり,「コンクリート等」に該当する。 したがって,本件処理方法において,ハイメッシュセパレーターから排出された砂をタイヘイリサイクルソイルの原料としている点は,「コンクリート等の骨材とし」に該当する。 (ウ) 他方,被告は,ハイメッシュセパレーターから排出された砂を濾過砂及び下水管埋め戻し材の原料としても利用しているところ(争いがない),当該利用方法は,コンクリートや,それに類似するモルタルなどを作るための砂や砂利の利用と異なることは明らかである。 また,被告は,ハイメッシュセパレーターから排出された砂を第2種改良土の原料として利用していると認められる(甲22)が,当該利用方法が「コンクリート等の骨材とし」を充足しないことは,構成要件Bと同様である。 したがって,本件処理方法において,ハイメッシュセパレーターから排出された砂を濾過砂,下水管埋め戻し材及び第2種改良土の原料としている点は,「コンクリート等の骨材」とするものとはいえない。 イ 「該粗篩機の通過分は震動篩上に受けて」(ア) 本件処理方法において,トロンメルの通過分をハイメッシュセパレーターで受けること,ハイメッシュセパレーターは回転式分級機と振動篩からなり,まず回転式分級機でトロンメルを通過した砂をかき上げ,それを振動篩に投入することは争いがない。 原告らは,回転式分級機は砂を移送・かき上げて,これを振動篩に投入する機能しか有しておらず,中粗粒分を分級しているのは振動篩であ り,かつ,本件処理方法における振動篩は構成要件Cの「震動篩」に該当すると主張する。これに対し,被告は,回転式分級機は分級装置に該当するから本件処理方法は「粗篩機の通過分」を「震動篩に受けて」いるとはいえない,またハイメッシュセパレーターの振動篩は脱水装置 に該当すると主張する。これに対し,被告は,回転式分級機は分級装置に該当するから本件処理方法は「粗篩機の通過分」を「震動篩に受けて」いるとはいえない,またハイメッシュセパレーターの振動篩は脱水装置であって,構成要件Cの「震動篩」には該当しないと主張するものと解される。 (イ) 「該粗篩機の通過分は震動篩上に受けて」の意味については,「粗篩機」の通過分につき,次に「震動篩」による分級処理を行うことを意味し,「粗篩機」と「震動篩」の間に別個の分級処理が行われる場合はこれにあたらないと解するのが自然であり,原告もこの点を特段争うものではないと解される。 本件発明の技術的意義に照らして検討しても,本件発明は,前記(1)イ(イ)cのとおり,建設廃泥,特に細粒分を有効活用することを目的とする方法の発明であり,特許請求の範囲において,どのような分級手段をどのような順番で用いるかについて明確に規定している。また,本件明細書には,分級手段として,回転粗篩機(3),震動篩(7)及び遠心分離器(13)又はフィルタープレスのみが記載され,それ以外の分級手段を用いることについては記載も示唆もない。 したがって,本件発明において,「粗篩機」と「震動篩」との間に他の分級手段を設けることは想定されていないというべきである。 (ウ) 本件処理方法で用いられているハイメッシュセパレーターの回転式分級機は,沈降槽に沈んだ砂をスパイラル羽で移送し,バケットでかき上げて,振動篩式脱水機に投入する機能を有するものであるが,そのパンフレット(乙9)には,スパイラル羽で微砂を回収し,掻き上げバケットで1次脱水も合わせて行う旨記載されている。また,ハイメッシュセパレーターの製造元であると考えられる株式会社氣工社の特許出願に 係る公開特許公報には,回転式分級機のみで ,掻き上げバケットで1次脱水も合わせて行う旨記載されている。また,ハイメッシュセパレーターの製造元であると考えられる株式会社氣工社の特許出願に 係る公開特許公報には,回転式分級機のみでも砂を分級採取することができる旨記載されている(乙19・段落【0002】,【0005】)。 これらによれば,回転式分級機は,砂を移送・かき上げるのみでなく,砂混じりの泥水から,砂を分別する分級機能を有していると認められる。 回転式分級機が「震動篩」に該当しないことは明らかであるから,本件処理方法においては,「粗篩機」と「震動篩」との間に他の分級手段が設けられていることとなる。 なお,振動篩式脱水機は,0.075mm未満の砂を,0.075mm以上の砂と分級する機能を有しているというべきであるから,「震動篩」に該当する。 (エ) したがって,本件処理方法は,構成要件Cの「粗篩機の通過分は震動篩上に受けて」を充足しない。 ウ小括原告らは,本件処理方法では,ハイメッシュセパレーターから排出された砂を第2種改良土,タイヘイリサイクルソイル,濾過砂・下水管埋め戻し材として利用しているか骨材として販売している旨主張する。 しかるに,「骨材として販売」の意味が不明であり,また,いずれにせよ本件発明の「コンクリート等の骨材とし」を充足しないことは,前記(1)と同様である。 また,本件発明における濾過砂・下水管埋め戻し材及び第2種改良土としての利用は,「コンクリート等の骨材とし」を充足しない。 さらに,ハイメッシュセパレーターから排出された砂をどのように利用するかにかかわらず,本件処理方法は,トロンメルの通過分をハイメッシュセパレーターの回転式分級機で受けることから,「粗篩機の通過分は震動篩上に受けて」を充足しない。 したがって,本件処理方法は, するかにかかわらず,本件処理方法は,トロンメルの通過分をハイメッシュセパレーターの回転式分級機で受けることから,「粗篩機の通過分は震動篩上に受けて」を充足しない。 したがって,本件処理方法は,構成要件Cを充足しない。 (3) 構成要件Eについてア原告らは,本件処理方法においては,遠心分離機により分級されたシルトをセメントと混合して,当該混合物を粒状に成形し,これをタイヘイリサイクルソイル等の骨材としているから,構成要件Eを充足する旨主張する。 これに対し,被告は,本件処理方法において,遠心分離機によりシルトを分級する工程の存在自体を否認すると共に,シルトをセメントと混合する工程もなく,該混合物を粒状に成形してコンクリート等の骨材にすることもないと主張する。 イ原告らは,その主張の根拠として,種々の証拠(甲6,甲7・2枚目,甲18,甲19,甲22,甲32,甲33,甲35・6頁)をあげる。 しかし,これらの証拠から,被告がシルトをセメントと混練してモルタルの一種であるタイヘイリサイクルソイルの原料として利用していることは認められるとしても,セメントと混合したシルトに対し,ゴム被覆ローラーによる圧縮成形(段落【0007】)や通常の震動式造粒器の使用(段落【0008】)など,粒状に成形する処理を行っているとは認められず(なお,甲22からは,シルトに対して混練処理を行っていることが認定できるとしても,造粒固化処理を行っていることは認定できない。),ほかにシルトとセメントの「混合物が粒状に成形」されていると認めるに足りる証拠はない。 ウしたがって,本件処理方法が構成要件Eを充足するということはできない。 (4) 総括以上のとおり,本件処理方法は,少なくとも本件発明の構成要件B,C及びEを充足するということが はない。ウしたがって,本件処理方法が構成要件Eを充足するということはできない。(4) 総括以上のとおり,本件処理方法は,少なくとも本件発明の構成要件B,C及びEを充足するということができない。2 以上によれば,原告らの請求は,その余の点について判断するまでもなく,理由がない。 第5 結論 よって,原告らの請求をいずれも棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第29部 裁判長裁判官 嶋末和秀 裁判官 西村康夫 裁判官 石神有吾
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