【DRY-RUN】主 文 本件控訴を棄却する。 当審における未決勾留日数中百日を本刑に算入する。 当審における訴訟費用は被告人の負担とする。 理 由 本件控
主文 本件控訴を棄却する。 当審における未決勾留日数中百日を本刑に算入する。 当審における訴訟費用は被告人の負担とする。 理由 本件控訴の趣意は、被告人及びその弁護人金井正夫各提出の控訴趣意書に記載してあるとおりであるからこれを茲に引用する。 弁護人の論旨第三点。 憲法は、その第三十七条第三項において、刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができ、被告人自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する旨を規定しており、刑事訴訟法第三十六条、第七十六条、第七十七条、第二百七十二条の諸規定は、右憲法の定むる趣旨に従ごう刑事被告人保護のための規定たることはいうまでもないところであるが、それかといつて刑事被告人に対し刑の言渡を為す際、同人のため選任した国選弁護人に支給した訴訟費用を負担させることのできないものでないことは最高裁判所が、夙に判例(昭和二十四年新(れ)第二五〇号同二十五年六月七日大法廷判決―最高裁判所判例集第四巻第六号九六六頁―)としているところである。所論において、刑事訴訟法第百八十一条は、その本文で、刑の言渡をしたときは、被告人に訴訟費用の全部又は一部を負担させなければならない旨を規定してはいるけれども同条は、更に、その但し書において前記憲法の規定や右一連の刑事訴訟法の規定の趣旨に従がい、被告人が、貧困のため訴訟費用を納付することのできないことが明らかであるときはこの限りでない旨規定しているに拘わらず、原審は、被告人Aの貧困を理由に弁護人を国選しておきながら、その判決において同被告人に対し右国選にかかる弁護人に支給した訴訟費用の負担を命じたのは右諸法規の趣旨に違反するという<要旨>趣旨の主張をしている。然しながら、刑事訴訟法第三十 を国選しておきながら、その判決において同被告人に対し右国選にかかる弁護人に支給した訴訟費用の負担を命じたのは右諸法規の趣旨に違反するという<要旨>趣旨の主張をしている。然しながら、刑事訴訟法第三十六条に被告人が、貧困その他の事由により弁護人を選</要旨>任することができないときは、裁判所はその請求により、被告人のため弁護人を附しなければならないとあるは、被告人の訴訟上の防禦に遺憾なきを期するため、憲法第三十七条第三項の規定するところに従がい、苟めにも、貧困その他の事由により弁護人を選任することができないときは、裁判所において、被告人のため弁護人を附すべき旨を規定したものであつて、この事と、被告人が、訴訟の経過に従がい生じた訴訟費用を負担しなければならないことは自づから別論に属し、前者は、被告人の訴訟における防禦を目的とした規定であり、後者は、その因つて生じた原由が、被告人の非難さるべき犯罪行為つまり被告人の責に帰すべき事由によるものというべき訴訟費用を国の経済的損失に帰すべきでないとするに在るのであるから、裁判所が、一旦被告人の貧困を理由に被告人のため弁護人を国選した事実があるとするも、当該被告人に対し刑の言渡をする際、被告人に右国選弁護人に支給した訴訟費用を負担させるを得ないといういわれはない。ただ然し、刑事訴訟法第百八十一条第一項は、その本文において刑の言渡をしたときは、被告人に訴訟費用の全部又は一部を負担させなければならない旨を規定する一方、その但し書において被告人が、訴訟費用を納付することができないことが明らかであるときは、この限りではない旨規定していて、裁判所はこの規定により被告人が、貧困のため訴訟費用を納付することのできないことが明らかであると認めるときは、被告人に訴訟費用を負担させないことができるわけであるが、原審は被告 はない旨規定していて、裁判所はこの規定により被告人が、貧困のため訴訟費用を納付することのできないことが明らかであると認めるときは、被告人に訴訟費用を負担させないことができるわけであるが、原審は被告人Aに対し刑の言渡をなし、同時に同被告人のため裁判所が選任した国選弁護人に支給した費用その他の訴訟費用の負担を命じているので、原審は、同被告人において貧困のため訴訟費用を納付することのできないことが明らかでないと認めたものと推認せざるを得ない訳合であるけれども、それかといつて、原審が、これが認定に基き、被告人Aに、右国選弁護人に対して支給した訴訟費用の負担を命じたことは、記録によつても明らかなように、先に原審が、同被告人の貧困を理由とする弁護人選任の請求に基き弁護人を国選したことは何等矛盾するものではない。蓋し、斯かる場合、裁判所は、弁護人を選任するにつき、被告人が果して判決の確定後右選任にかかる国選弁護人に支給すべき訴訟費用を納付できるか否かの点まで判断することを要すべきかぎりではないし、原審また決して左様な判断を経た上で弁護人を選任したものとは認められないからである。而して刑事訴訟法第七十六条、第七十七条、第二百七十二条の諸規定も上来説述するところに照らし、被告人に対し刑の言渡をするに際し国選弁護人に対して支給すべき費用を訴訟費用として負担させることとは何等矛盾するものでないことは、自づから明らかである。果して然らば、原審が、被告人に国選弁護人に支給した訴訟費用の負担を命じたことをもつて、貧困な被告人救済のため設けられた憲法第三十七条第三項乃至は前記一連の刑事訴訟法の規定の趣旨に反する違法を敢てしたものであると主張する所論は採用し得べきかぎりではない。 而して、原審証人Bの供述が、被告人Aに対する有罪裁判の資料に供されていないことは洵 前記一連の刑事訴訟法の規定の趣旨に反する違法を敢てしたものであると主張する所論は採用し得べきかぎりではない。 而して、原審証人Bの供述が、被告人Aに対する有罪裁判の資料に供されていないことは洵に所論のとおりであるが、裁判資料に供されなかつた証人の費用を訴訟費用として刑の言渡をうけた被告人に負担させることの違法でないことは、最高裁判所の判例(昭和二十五年(あ)第一五九一号、同二十六年三月八日小法廷判決―最高裁判所判例集第五巻第四号四九五頁―)が明示するところであつて、原審が、被告人Aに対し右証人の費用の一部を訴訟費用として負担せしめたことをもつて違法とする所論もまたその理由がない。 論旨はすべて理由がない。 (その他の判決理由は省略する。)(裁判長判事三宅富士郎判事河原徳治判事遠藤吉彦)
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