主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決中,控訴人敗訴部分を取り消す。 2 被控訴人らの請求を棄却する。 第2 事実関係 1 本件は,被控訴人ら及び選定者らが,控訴人に対し,岐阜県情報公開条例に基づき,ゴルフ場開発に関連する公文書等の開示を請求したところ,これらの文書について非公開処分及び部分公開処分がされたので,これらの文書の全部又は一部を公開しないとした処分のうち一部の取消しを求めた事案の控訴審である。原審は,被控訴人ら及び選定者らの請求を一部認容したため,控訴人が控訴した。 2 事実関係は,次のとおり当審における控訴人の補足的主張を付加するほか,原判決の「事実」欄の第3ないし第5記載のとおりであるから,これを引用する。 (1) 各種要望書提出者,訴訟原告の住所及び氏名及び図面・写真において居住地を判別できる情報(原判決別紙Bの1オの非公開情報)のうち,前後に事件番号,請求の趣旨等が記載された訴訟の原告の氏名が記載された部分(非公開部分96)について(原判決の「理由」欄の第2の4)上記訴訟は現在も係属中であって口頭弁論の公開禁止や秘密保護のため訴訟記録の閲覧が制限される可能性があるから,上記情報が同訴訟記録中にあるからといって本件条例6条1項1号ただし書イには該当しない。 (2) 各種提出書類の中の個人の印影(原判決別紙Bの1カの非公開情報)のうち,開発事業者の代表取締役の個人の印鑑による印影(非公開部分555)について(原判決の「理由」欄の第2の5)法人の機関として作成した文書でも,個人の印鑑を捺印した場合は,その印影自体が別個の個人識別情報である。しかも,代表取締役本人は印影までもが公表されることを予定しておらず,また,公開した場合には偽造の恐れも として作成した文書でも,個人の印鑑を捺印した場合は,その印影自体が別個の個人識別情報である。しかも,代表取締役本人は印影までもが公表されることを予定しておらず,また,公開した場合には偽造の恐れもあるから,本件条例6条1項1号本文に該当するというべきである。 (3) 施工業者,関連業者の名称(原判決別紙Bの4イの非公開情報)のうち,住民が県に提出した要望書に記載された残地森林の伐採,廃棄物の埋立てを行ったとされている事業者の名称(非公開部分120,121,125)について(原判決の「理由」欄の第3の2)上記情報は地域住民が当該事業者等において違法な活動を行っていると指摘するものであるところ,その指摘は伝聞によるものであって確定したものではないにもかかわらず,これらを県という公的な機関が公開すれば客観的な事実であると受け入れられる可能性が高く,風評となり,事業者の競争上の地位や社会的評価を低下させて不利益を与える恐れがあり,事業者の正当な利益を損なうことは明らかであるから,本件条例6条1項4号本文に該当するというべきである。 (4) 変更協議にあたっての事業者の説明・回答部分及び県の回答のうち事業者の事業活動に関連する部分(原判決別紙Bの4ウの非公開情報),工期の延長と工事施工者の変更の理由(原判決別紙Bの4オの非公開情報)の中の,①非公開部分12のうち,事業者が変更を予定している施工業者の施行体制,工事の進捗状況と完了予定,②同15のうち,工期変更の検討状況,施工業者の施行体制予定を記載した部分について(原判決の「理由」欄の第3の3)本件条例6条1項4号ただし書ハの定める公益性は,個別の案件について,人の生命,身体又は財産に被害が発生する蓋然性が高い場合に認定されるべきであり,かつ,そのことが確実であることを客観的な資料に基づ 本件条例6条1項4号ただし書ハの定める公益性は,個別の案件について,人の生命,身体又は財産に被害が発生する蓋然性が高い場合に認定されるべきであり,かつ,そのことが確実であることを客観的な資料に基づいて具体的に明らかにしなければならない。さらに,当該情報の開示が同被害から住民の利益を保護するのに積極的に資するものであることが必要である。特に,非公開部分12及び15にかかるaは,森林法の許可内容に従って適法に開発され,完成に至っているものであるから,上記のような公益性が認められないことは明らかである。 (5) 要望書のうち事業者の活動に関する記述(原判決別紙Bの4エの非公開情報,非公開部分35)について(原判決の「理由」欄の第3の4)上記情報は,地域住民がした伝聞による指摘であって確定したものではなく,これを公開すれば風評により事業者の競争上の地位や社会的評価を低下させ,不利益を与える恐れがある。よって,本件条例6条1項4号本文に該当する。 (6) 破産管財人の方針及び事業承継の検討に関する情報(原判決別紙Bの4カの非公開情報),破産会社の概要に関する情報(原判決別紙Bの4キの非公開情報)のうち,非公開部分83,85,87から90まで,94,97,100,101,112,426について(原判決の「理由」欄の第3の5)これらの情報は,事業者の企業秘密である財務状況や営業秘密である取引内容にあたるから,本件条例6条1項4号本文に該当する。 まず,非公開部分83,85及び101には,取引先金融機関及び簿外の負債にかかる債権者の名称と金額が見込みという不確定情報を含めて記載されている。 また,その他の情報についても,事業の承継に関する破産管財人の方針や検討,交渉経過に関する情報が含まれており,これを公開することにより,その事業を引き継ご いう不確定情報を含めて記載されている。 また,その他の情報についても,事業の承継に関する破産管財人の方針や検討,交渉経過に関する情報が含まれており,これを公開することにより,その事業を引き継ごうとする事業者の判断に影響したり,破産管財人の交渉に著しい支障が生じるなどして,破産手続の処理等に大きく影響するおそれがあるから,破産者及び破産財団の競争上の地位その他正当な利益が損なわれる具体的なおそれがある。 さらに,このような情報について,公告が義務付けられたり第三者に閲覧が認められているものでもない。 以上のとおり,これらの情報は公開することにより破産者及び破産財団の競争上の地位その他正当な利益が損なわれる。 (7) 事業見通し及び工期延期の理由等に関する情報(原判決別紙Bの4サの非公開情報)のうち,非公開部分539,549について(原判決の「理由」欄の第3の9)前記(4)のとおりであり,原判決の公益性の判断基準には誤りがあり,上記情報には公益性は認められないから,本件条例6条1項4号ただし書ハには該当しない。 (8) 事業区域内の土地権利に関する情報(原判決別紙Bの4シの非公開情報)のうち,非公開部分557について(原判決の「理由」欄の第3の10)前記(4)のとおりであり,原判決の公益性の判断基準には誤りがあり,上記情報には公益性は認められないから,本件条例6条1項4号ただし書ハには該当しない。 (9) 施設設置協議及び施設の図面,位置(原判決別紙Bの4スの非公開情報,非公開部分158,160から162まで,167)について(原判決の「理由」欄の第3の11)同施設は,どこのゴルフ場にでもあるというものではなく,集客力を大きく左右する経営戦略にかかる施設である。その設置に関する協議内容及び図面は,事業者の技術的なノウハウで 「理由」欄の第3の11)同施設は,どこのゴルフ場にでもあるというものではなく,集客力を大きく左右する経営戦略にかかる施設である。その設置に関する協議内容及び図面は,事業者の技術的なノウハウであるとともに,重要な経営方針に関する情報であり,協議段階のものであるから,事業者は内部管理情報として管理しており,公表を欲しないものである。したがって,公開により事業者の経営戦略が明らかになり,事業者の競争上の地位を低下させ,正当な利益を損なうから,本件条例6条1項4号本文に該当する。 (10) 取締役会議事録(原判決別紙Bの4タの非公開情報,非公開部分337)のうち,工事変更の内容に関する部分について(原判決の「理由」欄の第3の14)前記(4)のとおりであり,原判決の公益性の判断基準には誤りがあり,また,上記情報はbに関するものであるから公益性は認められず,本件条例6条1項4号ただし書ハには該当しない。 (11) 設計明細及び工事工程(原判決別紙Bの4ツの非公開情報,非公開部分343から346まで,350から352まで,375)について(原判決の「理由」欄の第3の16)原判決の「上記の情報は各事業ごとの特殊事情により変化するのが通常であり」とする部分(原判決39頁25,26行目)は,特殊事情の内容が示されていないほか,証拠に基づかない経験則違反の認定である。上記情報は本件条例6条1項4号本文に該当する。 (12) 他県における開発業者の破産事例調査結果(原判決別紙Bの6ウの非公開情報,非公開部分107)について(原判決の「理由」欄の第4の3)事業者の破産という通常ではない場合の対応は,各自治体によってそれぞれ異なり,その内容の重要性は文章の長短では判断できない。また,そこに記載されたような対応が一般的であるとの誤解を生んで,県と各自 事業者の破産という通常ではない場合の対応は,各自治体によってそれぞれ異なり,その内容の重要性は文章の長短では判断できない。また,そこに記載されたような対応が一般的であるとの誤解を生んで,県と各自治体との協力関係,信頼関係が損なわれ,事務事業に支障を生じることになる。よって,上記情報は本件条例6条1項6号に該当する。 (13) 現地調査結果(原判決別紙Bの8アの非公開情報,非公開部分7,74),変更協議に関する県の説明・指導方針(原判決別紙Bの8イの非公開情報)のうち,非公開部分20,26,54,事業者に対する指導事項・回答事項(原判決別紙Bの8オの非公開情報)のうち,非公開部分106,196,198,220,222,227,228,516,564について(原判決の「理由」欄の第6の2,3,5)事業者から聴取する情報は,事業者が自主的に報告するもので法的には報告義務のないものである。そして,これら報告は公表しないことを前提に行われる。このような前提は,指導段階で強制力をもたず,自主的にもたらされた情報を基に任意の行政指導を行うほかはない県において,事業者から情報を入手するための方策として不可欠である。しかるに,これを公にすると,今後,事業者が指導の前提となる経過等の報告をしなくなるなどその協力が得られなくなって,指導に支障を来すから,本件事業及び今後の同種の事業に支障を来すおそれがある。 また,県行政手続条例では,行政指導に関する事実の公表に慎重な取扱いをしていることとの均衡からも,本件においてもこれらの事実は非公開とすべきである。 よって,上記情報は本件条例6条1項8号に該当する。 なお,県が事業者から提供された資料や聴取した内容を全て公開することになると,今後,事業者が県に対し情報を提供することに消極的になることは明らか よって,上記情報は本件条例6条1項8号に該当する。 なお,県が事業者から提供された資料や聴取した内容を全て公開することになると,今後,事業者が県に対し情報を提供することに消極的になることは明らかであり,県の調査等の権限が罰則により担保されていないなど,行政指導が事業者の任意での情報提供に頼らざるを得ない現状では,県における事業者の行政指導全体に影響することになる。 (14) 開発現場の状況に対する問合せ先(原判決別紙Bの8ウの非公開情報,非公開部分91,93,102,425)について(原判決の「理由」欄の第6の4)公開によって生じる軋轢の程度は住民の立場によって異なるから,公開によって情報提供者との信頼関係を損ない,本件事業及び今後の県の同種の情報提供が得られなくなることにより,県の同種の事務事業の円滑な遂行に著しい支障が生ずることは明らかである。 よって,上記情報は本件条例6条1項8号に該当する。 第3 当裁判所の判断当裁判所も被控訴人ら及び選定者らの請求は原判決が認容した限度では理由があるものと判断するが,その理由は,次の1のとおり補正し,同2のとおり当審における控訴人の補足的主張に対する判断を付加するほか,原判決の「理由」欄の第1ないし第6記載のとおりであるから,これを引用する。 1 原判決の補正(1) 原判決19頁1,2行目の「事業を営む個人の当該事業に関する情報」を「法人等に関する情報」に改める。 (2) 同35頁16行目の「非公開処分は違法である」を「非公開処分は適法である」に改める。 (3) 同36頁7行目の「設計図」を「図面」に改める。 (4) 同39頁25行目の「特殊事情」を「個別事情」に改める。 (5) 同49頁12行目から15行目までを次のように改める。 「(2) 前掲各証拠によれば,当該非公開部分には,町の担当 面」に改める。 (4) 同39頁25行目の「特殊事情」を「個別事情」に改める。 (5) 同49頁12行目から15行目までを次のように改める。 「(2) 前掲各証拠によれば,当該非公開部分には,町の担当者から開発現場における防災面の意見を求められたのに対し「開発中及び現在に至るまで防災上危険と感じたことはない。」との回答をした某団体の役職者の役職名及びその居住地に関する情報が記載されているものと認められる。」(6) 同49頁18行目から21行目までを次のように改める。 「 しかし,上記(補正後の原判決49頁12行目から15行目まで)認定にかかる回答者がいかなる団体に属するいかなる役職にある者かは証拠上不明であるが,その回答の経緯からして回答の内容に責任を持ちうる立場の者である可能性も充分にあり,そうであればこのような情報を秘匿する必要がない場合もあり得る。また,甲6の8によればその居住地に関する情報はせいぜい地区ないし地域を示す程度であることが窺える。このような点に,同認定の意見聴取対象事項及び回答内容をも考慮すると,これが公開されることによっていかなる経過や理由でいかなる軋轢が生ずるのか明らかでなく,ただちにそれによって県の将来の同種の事務事業の円滑な執行に著しい支障が生じるものと認めることはできない。」 2 当審における控訴人の補足的主張に対する判断(1) 当審における控訴人の補足的主張(1)について本件条例6条1項1号ただし書イの適用については,当該閲覧にかかる法令等が,その文言上は閲覧等の請求主体を制限しないように見えても,同請求の目的が制限されており実質的には何人にも閲覧等を認める趣旨ではないときにはこれに該当しないと解される(乙1の14頁の9項参照)ところ,訴訟記録中の当事者名の閲覧が制限されるのはごくまれな事態であって 的が制限されており実質的には何人にも閲覧等を認める趣旨ではないときにはこれに該当しないと解される(乙1の14頁の9項参照)ところ,訴訟記録中の当事者名の閲覧が制限されるのはごくまれな事態であって,ゴルフ場にかかる開発許可取消請求たる行政訴訟の原告名の閲覧が制限されることは通常想定しがたいから(甲1参照),同情報については実質的には何人にも閲覧等を認める趣旨ではないときに該当しないことは明らかである。よって,控訴人の上記主張は採用できない。 (2) 同(2)について法人等の代表者が法人等の機関として作成した文書に個人の印鑑を捺印した場合は,個人の印鑑を機関の印鑑として使用したものであり,法人等の代表者もそのように扱われることを当然予想すべきであるから,その印影は法人等に関する情報というべきであって個人情報に当たるものではなく,本件条例6条1項1号本文に該当しない。よって,控訴人の上記主張は採用できない。 (3) 同(3)について本件条例6条1項4号本文は,事業活動の自由を保障するため,公開することにより事業者の競争上の地位その他正当な利益が損なわれると認められる情報は公開しないとする趣旨であり,これに該当する典型例は,当該事業者が獲得し蓄積したノウハウなどの情報であるが,その他にも,公開により当該事業者の社会的評価や信用が損なわれ,事業者の事業活動が損なわれるおそれがある場合も含まれる(乙1の19頁の4項参照)。 そこで,地域住民が違法な活動を行っていると指摘する当該事業者等の名称に関する情報がこれに該当するかを検討するに,このような情報は内容次第では公開により事業者の社会的評価や信用を損うことがありうるが,単に地域住民などの第3者から県に対しそのような情報が寄せられたというに止まり,行政機関として当該事実関係を真実と認めたも 報は内容次第では公開により事業者の社会的評価や信用を損うことがありうるが,単に地域住民などの第3者から県に対しそのような情報が寄せられたというに止まり,行政機関として当該事実関係を真実と認めたものでなければ,その公開により当該事業者の社会的評価や信用が損なわれるおそれの程度は低く,その事業活動が損なわれるおそれがあるとただちに認めるには足りない。また,同情報が真実であれば公開により損なわれる事業者の利益は正当なものとはいえない。そうすると,上記情報が同項4号本文に該当するというには,控訴人において,上記内容の真偽の不確定な情報を公開することにより事業者の正当な利益を損なうことについて,上記の程度以上に具体的な主張立証をする必要があるが,そのような主張立証は充分ではないから,上記情報が同項4号本文に該当するとは認められない。 なお,控訴人は,地域住民等からの事実確認ができない情報を県という公的な機関が公開すれば客観的な事実であると受け入れられる可能性が高く,事業者の正当な利益を損なうことは明らかであるなどと主張するが,単にそのような情報が寄せられたというに止まるものであれば,一般にその公開により当該事業者の社会的評価等が損なわれるおそれの程度は低いものと考えられることは上記説示のとおりである上,場合によっては公開に際し,県としては事実関係を確認していない旨の意見を付することにより,そのような可能性についての危惧を排除する方法なども考えられるから,上記主張は採用できない。 (4) 同(4)について甲95によれば,本件開発行為により土砂の流出又は崩壊,水害等の災害が発生した場合には,これにより周辺住民の一部が直接の被害を受けることが認められる。そして,甲5の1ないし14によれば,aは,後にbと名称変更のうえ完成に至ったものの,そ 流出又は崩壊,水害等の災害が発生した場合には,これにより周辺住民の一部が直接の被害を受けることが認められる。そして,甲5の1ないし14によれば,aは,後にbと名称変更のうえ完成に至ったものの,その経過の中では,工期の変更の他,申請者の代表者の変更及び施工業者の変更が再三にわたりなされ,また,結局は商号変更にとどまったが,一時は事業譲渡による開発許可の承継を申し出ていたなどの事実が認められ,このような事実は,一応完成には至ったものの防災にかかわる工事が適正に行われたかどうかについて疑念を抱かせるものであり,もし災害が発生した場合には一部住民の生命身体に危険を生じることになるから,防災にかかわる工事が適正に行われたかに関連する情報や,防災にかかわる工事の進捗状況等についての情報が公開されることには,公益上の必要性が認められる。なお,控訴人は,aは,森林法の許可内容に従って適法に開発され,完成に至っているから,公益性は認められないと主張するが,その一事をもって防災にかかわる工事が適正に行われたと断定することはできず,上記判断を左右するものではない。 そこで,①非公開部分12のうち,事業者が変更を予定している施工業者の施行体制,工事の進捗状況と完了予定,②同15のうち,工期変更の検討状況,施工業者の施行体制予定を記載した部分について見るに,甲5の3,4及び弁論の全趣旨によると,これらの情報は,事業者が,当初の事業計画を実行できない状況に至ったことから,工事内容(これには防災に関わるものを含むことが窺える。)及び施工業者の変更,工期の延期など事業計画の変更を県に申請するため,予めその概要を説明する中で示した内容にかかる記載であることが認められるのであって,上記のとおり大規模な林地開発に関するこのような情報は,当初の計画が順調に進行してい 業計画の変更を県に申請するため,予めその概要を説明する中で示した内容にかかる記載であることが認められるのであって,上記のとおり大規模な林地開発に関するこのような情報は,当初の計画が順調に進行している場合に比べて格段に災害の発生や環境への悪影響が懸念されることから周辺住民が関心を持って当然であって公共の利益のため公開の必要性が高いというべきである。これに対し,これらを公開することにより事業者が受ける不利益については,上記事業計画の変更が適正に行われているなら公開によりかえって周辺住民の安心と納得が得られるなど事業者の利益となることも考え得るから,このような場合は事業者の事業運営が損なわれるおそれがあるとはいえず,他方,適正でないなら公開により損なわれる事業者の利益は正当なものとはいいがたいのであって,上記情報に関する限り,内部管理情報であるからといって,公開されることにより事業者の正当な利益が損なわれるとはただちには断定しがたい。そこで,これらの情報については,かえって,控訴人において,公開されることにより事業者の正当な利益が損なわれると認めるに足りるだけの具体的な主張立証をなす必要があるところ,これに十分な主張立証は存しない。したがって,上記情報は,事業者に生じることのあるべき不利益を考慮してもなお,公共の利益のために公開することが必要であるといえるから,本件条例6条1項4号ただし書ハに該当する。 これに対し,控訴人は,公益性の存在は,個別の案件について,人の生命,身体又は財産に被害が発生する蓋然性が高い場合に認定されるべきであり,かつ,それが確実であることを客観的な資料に基づいて具体的に明らかにしなければならないなどと主張するが,そのような資料が入手できるのであれば,そもそも情報公開を求める必要はなく,そのように解することは ,それが確実であることを客観的な資料に基づいて具体的に明らかにしなければならないなどと主張するが,そのような資料が入手できるのであれば,そもそも情報公開を求める必要はなく,そのように解することは情報公開制度の趣旨を没却するものといわざるを得ず,上記程度の事情により公益上の必要が存すると一応認めることが相当であり,上記程度の事情が存するにもかかわらず同被害のおそれがないことはむしろ控訴人において立証すべきである。 (5) 同(5)について非公開部分35には,要望書提出者が聞知したというbに関する施工業者の変遷,事業者の資金状況及び地代支払状況が記載されているが,第3者からの不確定情報であることは上記(3)のとおり公開により信用等を損なうおそれの程度は低いことを意味するというべきであって,これらの情報については本件条例6条1項4号本文に該当するとは認められない。 なお,付言すると,これらの情報のうち,施工業者の変遷については上記(4)と同じく,また,事業者の資金繰り等についても事業計画が途中で遂行できなくなり現場が防災措置も不十分なまま放棄されるようなことがないかの判断に重大な影響があるという点でこれと同様であるから,上記のような内容の情報については,公共の利益のために公開することが必要であるのに対し,公開されることにより事業者の正当な利益が損なわれるとはただちに断定しがたく,これらの情報については,控訴人においてさらに公開されることにより事業者の正当な利益が損なわれると認めるに足りるだけの具体的な主張立証をなす必要があるところ,そのような主張立証は存しない。よって,上記情報は,事業者に生じることのあるべき不利益を考慮してもなお,公共の利益のために公開することが必要であり,本件条例6条1項4号ただし書ハに該当するといえるから,いず 主張立証は存しない。よって,上記情報は,事業者に生じることのあるべき不利益を考慮してもなお,公共の利益のために公開することが必要であり,本件条例6条1項4号ただし書ハに該当するといえるから,いずれにせよ非公開処分は違法である。 (6) 同(6)について非公開部分83,85には破産者と取引先との金銭貸借関係が,非公開部分101には簿外の債権者名及び金額が,見込みという不確定情報を含めてそれぞれ記載されているが,それらは破産裁判所の決定内容及び破産管財人が県に説明した内容であることや,甲6の4,9及びこれらの非公開部分の詳細(原判決別紙Bの4カ,キ)に照らしてそれほど詳細な内容が含まれているとは解しがたいことから,その内容が破産手続の処理等に大きな支障を及ぼすものとは容易に考えられないし,また,その中に含まれている不確定情報も,見込みとして記載されているのであるから,これを確定情報として受け取られるおそれは少ないと考えられるのであって,結局その公開が破産財団等の正当な利益を損なうことを認めるに足りる立証はないというべきである。 その他の情報についても,その事業を引き継ごうとして現に交渉中の事業者に関する具体的な交渉内容等が明らかになれば,承継交渉に影響を与え破産財団等の正当な利益が損なわれるおそれもありうるが,上記情報は,破産管財人が県に説明した内容であることや,甲6の5ないし9,甲12の19,甲15及びこれらの非公開部分の詳細(原判決別紙Bの4カ)に照らして,控訴人が主張するような内容が一部含まれているとしても,それはごく概略的なものであることが窺え,具体的な交渉内容等が含まれているとは解しがたいことに鑑みると,それが公開されることによって破産財団等の正当な利益を損なうことを認めるに足りる立証はないというべきである。 なお, であることが窺え,具体的な交渉内容等が含まれているとは解しがたいことに鑑みると,それが公開されることによって破産財団等の正当な利益を損なうことを認めるに足りる立証はないというべきである。 なお,付言すると,これらの情報は,直接・間接に従来の防災工事の施工状況や今後のそれに関わるものであるから,上記(5)と同様の意味で,事業者に生じることのあるべき不利益を考慮してもなお,公共の利益のために公開することが必要であって,本件条例6条1項4号ただし書ハに該当するから,いずれにせよ公開する必要がある。 (7) 同(7)について前記(原判決の「理由」欄の第1の4)事実に,甲8の1ないし22,甲9,甲16の1及び2,甲17の1ないし19,甲90を併せれば,本件開発行為により土砂の流出又は崩壊,水害等の災害が発生した場合には,周辺の一部住民が直接の被害を受ける可能性があること,本件開発行為は,工事が遅延し工事完了日を一度延期したものの,これも徒過した状況であり,この間,無許可工事,残置森林の違法伐採,残土の放置,廃棄物の搬入などの問題が発生し,県などが現地調査の上指導を繰り返してもなかなか改善されず,本件の文書公開請求当時もこのような状況にあったこと,結局,cは開発行為の廃止届を提出したが,その後も防災措置が講じられず県から指示を受けたことが認められ,このような事実によれば,防災工事が適切に行われたかについて多大の疑問を持たざるを得ない状況にあり,災害が発生した場合には一部周辺住民の生命身体に危険を生じることになるから,その防止を求めたり,緊急時の連絡などのため,現場管理体制等についての情報が公開されることについては,公益上の必要性が認められる。そして,非公開部分539,549に記載された情報は,このような現場管理体制等に関するものであって, などのため,現場管理体制等についての情報が公開されることについては,公益上の必要性が認められる。そして,非公開部分539,549に記載された情報は,このような現場管理体制等に関するものであって,上記(4)と同様の意味で,事業者に生じることのあるべき不利益を考慮してもなお,公共の利益のために公開することが必要であるから,本件条例6条1項4号ただし書ハに該当する。 なお,公益性の判断基準に関する控訴人の主張が採用できないことは前記(4)のとおりである。 (8) 同(8)について非公開部分557は,事業者から工期延期の申出がなされ,これに対する判断材料とするため,県が事業者に対し,開発区域の管理体制の現在の状況,現場の施行管理体制,地元対策について,再三報告を求めていたにもかかわらず十分な回答がない状況の中で,事業者がこれら3点についてわずか1行半の文言で回答したものである(甲17の1ないし19)ところ,上記(7)と同様に公益上の必要性が認められる。 また,公益性の判断基準に関する控訴人の主張が採用できないことは前記(4)のとおりである。 よって,上記情報は本件条例6条1項4号ただし書ハに該当する。 (9) 同(9)について非公開部分158,160,161,162,167にかかる施設について,甲8の6,7によれば,これらは県が事業者に対し以前から撤去を求めている野積みした古タイヤの処理方法としてこれを燃料として使用する施設であることは窺えるものの,それが,控訴人が主張するようにゴルフ場の集客力を大きく左右する経営戦略にかかる施設であり,これに関する上記情報を公開することにより事業者の経営戦略が明らかになり,事業者の競争上の地位を低下させるようなものであると認めるに足りる証拠はない。また,控訴人が主張するように非公開情報162の図 れに関する上記情報を公開することにより事業者の経営戦略が明らかになり,事業者の競争上の地位を低下させるようなものであると認めるに足りる証拠はない。また,控訴人が主張するように非公開情報162の図面に事業者の技術的なノウハウが含まれていると認めるに足りる証拠はない。よって,上記情報が本件条例6条1項4号本文に該当するとは認められない。 かえって,野積みした古タイヤの処理方法として考案したこれを燃料として使用する施設については,煤煙の発生などにより周辺住民の健康被害も懸念されるところであり,それがいかなる施設であるのかを明らかにする公益上の必要性が認められ,以上の点に鑑みれば,上記(4)と同様の意味で,事業者に生じることのあるべき不利益を考慮してもなお,公共の利益のために公開することが必要であり,本件条例6条1項4号ただし書ハに該当するから,いずれにせよ非公開事由には該当しない。 (10) 同(10)について甲11の40ないし43からは,非公開部分337のうち上記工事変更の内容に関する部分は,防災に関わる工事に関するものであることが強く窺え,そうであれば,上記(4)と同様に公開されることについて公益上の必要性が認められる一方,公開されることにより事業者の正当な利益が損なわれるとはただちに断定しがたく,上記情報は,事業者に生じることのあるべき不利益を考慮してもなお,公共の利益のために公開することが必要であるから,本件条例6条1項4号ただし書ハに該当するというべきである。 また,この点についてはbに関するものであっても同じであること,さらに,公益性の判断基準に関する控訴人の主張が採用できないことについては前記(4)のとおりである。 (11) 同(11)について他のゴルフ場開発計画においてただちに利用することができるような一般化でき 公益性の判断基準に関する控訴人の主張が採用できないことについては前記(4)のとおりである。 (11) 同(11)について他のゴルフ場開発計画においてただちに利用することができるような一般化できるノウハウや著作権などの知的財産権に属するものはそれ自体が事業者の所有する正当な経済的利益であり,これを保護する必要がある。 これに対し,個別具体的な事業に関する工事内容はこれを作成する際に上記ノウハウ等を適用した部分があったとしても,それ自体からただちにそのもとになるノウハウ等を知りうるとは限らないから,これを公開することにより当然には事業者の正当な利益を害するということはできない。そして,本件において上記情報を他のゴルフ場開発計画においてただちに利用することができると認めるに足りる証拠はないから,これを公開することにより当然には事業者の正当な利益を害するということはできない(なお,地形や設計が同じものでない限り工事工程が各ゴルフ場によって異なることは自明であり,上記情報を他のゴルフ場開発計画においてただちに利用することができるとは考えられない。)。 なお,付言すると,原判決別紙Bの4ツの非公開部分詳細の内容に,甲11の42,43,甲12の7を併せると,これらの情報は,直接・間接に防災に影響しうる工事の工法の変更や今後の施工に関わるものであるから,上記(4)と同様の意味で,事業者に生じることのあるべき不利益を考慮してもなお,公共の利益のために公開することが必要であり,本件条例6条1項4号ただし書ハに該当するから,いずれにせよ公開すべきである。 (12) 同(12)について工事途中で事業者が破産した場合の防災措置への対応方法が各自治体によってそれぞれ異なるものであるとしても,他の自治体においてこれを公表しないことに正当な理由があるとは到底 2) 同(12)について工事途中で事業者が破産した場合の防災措置への対応方法が各自治体によってそれぞれ異なるものであるとしても,他の自治体においてこれを公表しないことに正当な理由があるとは到底解されない。また,県自身この種の情報を秘匿しているとは認められない(甲6の8)。さらに,概括的な情報は,一般に具体性に乏しい内容に止まることが多いと考えられる。したがって,これが本件条例6条1項6号に該当することは通常想定し難く(乙1の22頁5参照),控訴人において他の自治体において公表していないことなど公表により県と各自治体との協力関係,信頼関係が損なわれ,事務事業に支障を生じることを具体的に主張立証すべきであるところ,これはなされていない。 (13) 同(13)について甲5の2及び甲6の1によれば,非公開部分7,74は,工事の進捗状況と訴訟に関する土地の状況という外部から観察することにより認識しうる外形的な事項について,県が行った立入調査により県が直接確認し,事業者から説明を受けた結果であることが認められ,事業者から内部管理情報等を聴取した内容が記載されていると考えることは困難である。次に,非公開部分20,26,54,106,196,198,220,222,227,228,516,564は,県が事業者に既に行った行政指導等の内容である。このような内容の情報は,いずれも,通常,公開により,前記(原判決の「理由」第6の1)のようなおそれを生じるものとは認めがたい。 また,本件の事業者らは,林地の開発行為を行うものであり,知事から継続的な監督を受ける関係にある(森林法10条の3)から,上記のような内容に止まる限り,本件条例にもとづく公開請求に応じて公開したからといって,今後の協力を拒否できるとは解されず,さらに,本件において上記内容の情 ける関係にある(森林法10条の3)から,上記のような内容に止まる限り,本件条例にもとづく公開請求に応じて公開したからといって,今後の協力を拒否できるとは解されず,さらに,本件において上記内容の情報を非公開とすることを条件として事業者から任意に得たとの主張(本件条例6条1項9号参照)や実質的に非公開とすべき理由があるとの具体的な主張立証もない以上,当該または同種の事務事業の執行に著しい支障が生じるおそれがあるとは到底認められない。 なお,県自らが積極的に行政指導の経過を公表する場合と,本件条例にもとづく公開請求に対し非公開事由が存するかとは全く異なる問題である。 その他,控訴人はるる主張するが,事務事業の執行に軽微な支障が生じたとしても公開すべきであること(乙1の25頁趣旨2参照)に照らし,いずれも採用することができない。 (14) 同(14)について前記(補正後の原判決の「理由」欄の第6の4(2))のとおりであり,控訴人が主張するような著しい支障が生ずるおそれがあると認めるに足りる証拠はない。 第4 結論以上のとおりであるから,被控訴人ら及び選定者らの請求を一部認容した原判決は相当であり,本件控訴は理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。 名古屋高等裁判所民事第2部裁判長裁判官熊田士朗裁判官川添利賢裁判官多見谷寿郎
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