平成18(行ケ)10247 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成19年7月25日 知的財産高等裁判所 3部 判決 請求棄却
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判決文本文17,545 文字)

- 1 -平成19年7月25日判決言渡平成18年(行ケ)第10247号審決取消請求事件平成19年7月9日口頭弁論終結判決原告日立化成工業株式会社訴訟代理人弁護士尾関孝彰訴訟代理人弁理士清水義憲同赤堀龍吾同城戸博兒被告特許庁長官肥塚雅博指定代理人井上彌一同徳永英男同大場義則同西川和子主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1請求特許庁が不服2005-8462号事件について平成18年4月10日にした審決を取り消す。 第2争いのない事実 特許庁における手続の経緯原告は,平成15年3月13日に出願した特願2003-68544号(以下,この出願を「原出願」といい,その願書に最初に添付した明細書及び図面を原出願当初明細書等というの一部を分割して平成16年10月19「」。),- 2 -日に,発明の名称を「シリカ系被膜形成用組成物,シリカ系被膜及びその形成方法,並びにシリカ系被膜を備える電子部品」とする新たな特許出願(特願2004-304676号以下本願というをしたその後原告は平,「」。)。 ,,成17年1月31日付けで本願に係る明細書特許請求の範囲を含むを補正(。)する手続補正をした(以下,この補正後の本願に係る明細書及び図面を「本願」。),(「」。)明細書というが同年3月28日付けで拒絶査定以下原査定という。 ,,,,を受けたそこで原告は平成17年5月6日拒絶査定不服審判を請求し上記審判請求は不服2005-8462号事件以下本件審判というと(「」。)して特許庁に係属した特許庁は審理の結果平成 そこで原告は平成17年5月6日拒絶査定不服審判を請求し上記審判請求は不服2005-8462号事件以下本件審判というと(「」。)して特許庁に係属した特許庁は審理の結果平成18年4月10日本件。 ,,,「,。」(,「」。),審判の請求は成り立たないとの審決以下単に審決というをし同年4月25日,その謄本を原告に送達した。 特許請求の範囲,(,本願明細書の特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである以下この発明を「本願発明1」という。 。)「請求項1】【(a)成分:下記一般式(1;)RSiX…(1) n4-n式中RはH原子若しくはF原子又はB原子N原子Al原子P原[,,,,, 子,Si原子,Ge原子若しくはTi原子を含む基,又は炭素数1~20の有機基を示し,Xは加水分解性基を示し,nは0~2の整数を示す。但し,nが2のとき各Rは同一でも異なっていてもよくnが0~2のとき各,,, Xは同一でも異なっていてもよい,。]で表される化合物を加水分解縮合して得られるシロキサン樹脂と,(b)成分:少なくとも1種の非プロトン性溶媒を含む有機溶媒と,を含有してなるシリカ系被膜形成用組成物であって,前記非プロトン性溶媒が,2価アルコールのジアルキルエーテルを含む,- 3 -シリカ系被膜形成用組成物」。 なお,本願発明1の発明特定事項について,便宜的に要約すれば,次のとおりである。 ①一般式(1)で表される化合物を加水分解縮合して得られるシロキサン樹脂(以下「a)成分」という)を含有すること。 (。 ②非プロトン性溶媒が2価アルコールのジアルキルエーテルである少なく(「()」。)とも1種の非プロトン性溶 合して得られるシロキサン樹脂(以下「a)成分」という)を含有すること。 (。 ②非プロトン性溶媒が2価アルコールのジアルキルエーテルである少なく(「()」。)とも1種の非プロトン性溶媒を含む有機溶媒以下b成分というを含有すること。 ③シリカ系被膜形成用組成物であること。 審決の理由別紙審決書写しのとおりである。要するに,本願発明1は原出願当初明細書等に記載した事項の範囲内でないものを含んでいるから,本願について出願日の遡及は認められず,願書を提出した平成16年10月19日がその出願日とされるところ,本願発明1は,本願の出願日の前である同年10月7日に頒布された刊行物である特開2004-277501号公報(原出願の公開公報,「」。)(「」。)以下刊行物1というに記載された発明以下刊行物1発明というに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない,というものである。 第3取消事由に係る原告の主張審決は分割要件に関する認定判断を誤ったものであり取消事由1仮に,(),そうでないとしても,本願発明1と刊行物1発明との対比に当たり,認定判断を誤ったものである(取消事由2)から,違法として,取り消されるべきである。 取消事由1(分割要件に関する認定判断の誤り)(1)本願発明1の要旨認定の誤り審決は本願発明1は一般式 で表される化合物を加水分解縮合し,「,()- 4 -て得られるシロキサン樹脂a成分と非プロトン性溶媒が2価アルコー(())ルのジアルキルエーテルである少なくとも1種の非プロトン性溶媒を含む有機溶媒b成分を含有してなるシリカ系被膜形成用組成物と特定された(()) と非プロトン性溶媒が2価アルコー(())ルのジアルキルエーテルである少なくとも1種の非プロトン性溶媒を含む有機溶媒b成分を含有してなるシリカ系被膜形成用組成物と特定された(())ものでありつまり本願発明1はオニウム塩c成分を含まないシ,,,(())リカ系被膜形成用組成物である審決書2頁末行~3頁5行本願発明1」(),「は,一般式(1)で表される化合物を加水分解縮合して得られるシロキサン樹脂a成分と非プロトン性溶媒が2価アルコールのジアルキルエーテ(())ルである少なくとも1種の非プロトン性溶媒を含む有機溶媒b成分と(())を含有するシリカ系被膜形成用組成物であり,つまり(c)成分であるオニウム塩を必須の発明特定事項として含むことを前提としていないc成分,()であるオニウム塩を含まないシリカ系被膜形成用組成物である(審決書7。」頁31行~37行)と認定した。 しかし,本願発明1は,オニウム塩(以下「c)成分」という)を含ま(。 ないシリカ系被膜形成用組成物ではなく,これを必須成分としないシリカ系被膜形成用組成物であるから,審決の上記認定は誤りである。 (2)原出願当初明細書等の記載事項の認定の誤り審決は「原出願当初明細書等に記載の発明は(c)成分であるオニウム,,塩を必須の発明特定事項として含むことを前提としたa成分とb成,()()分と(c)成分を含む少なくとも三成分からなるシリカ系被膜形成用組成物が記載されている(審決書7頁27行~30行「原出願当初明細書等に」),はシリカ系被膜形成用組成物の具体例としてはa成分とb成分と,,()()()(,),c成分を含有したもののみが記載されている実施 「原出願当初明細書等に」),はシリカ系被膜形成用組成物の具体例としてはa成分とb成分と,,()()()(,),c成分を含有したもののみが記載されている実施例1 にすぎず(c)成分を含まない(a)成分と(b)成分を含むシリカ系被膜形成用組成物の具体的な例は実施例にも詳細な説明にも何も示されていない審,,。」(決書7頁末行~8頁4行)と認定した。 しかし,以下のとおり,原出願当初明細書等の全体の記載及びその出願時- 5 -,(),()()の技術常識に照らせばc成分を必須な成分とせずにa成分及びb成分を含有するシリカ系被膜形成用組成物は,原出願当初明細書等の記載から自明な事項であるから,審決の上記認定は誤りである。 ア段落00130024の記載によればa成分が必須成分で【】,【】,()あることは明らかでありまたb成分は必須成分であり特徴的な,,(),,成分であるとされているが(c)成分については「更に含有する」とさ,,れているにとどまる。 イ段落0014にはa成分及びb成分により低誘電性及び【】,()(),機械的強度の効果が奏される旨記載されているがc成分を含有しない,()場合にも同様の効果が奏されることを否定するものではない。 ウ段落【0070】における(c)成分の含有量の記載は,単に好ましい範囲を示すものにすぎない。 【】【】,,(),()エ段落0087~0098には実施例としてa成分b(),()成分及びc成分を含有する組成物が記載されているが必ずしもc成分が必須であるとはいえない実施例は上記3成分に加えd成分。 ,,( は実施例としてa成分b(),()成分及びc成分を含有する組成物が記載されているが必ずしもc成分が必須であるとはいえない実施例は上記3成分に加えd成分。 ,,()としてポリピレングリコールを含有し,さらにマレイン酸を含有するが,()。(),審決もd成分やマレイン酸を必須成分とはしていないc成分は,,ごく微量でありマレイン酸と同様に触媒的作用を有するものであるから(c)成分を含有しなくても,シリカ系被覆が形成可能であることは容易に認識することができる。 オ審決も「シロキサン樹脂を含有するシリカ系被膜形成用組成物におい,て,低誘電性及び充分な機械的強度を有するようになるのは,上記シロキサン樹脂と非プロトン性溶媒を使用したことに主に起因していると刊行物1(判決注:原出願当初明細書等と同内容)に一応示唆されている(審。 」決書11頁29行~32行)と説示し,原出願当初明細書等に(a)成分と(b)成分とを含有することによる効果が示唆されていることを認めて- 6 -いる。 カ段落【0025【0040】及び【0054】の記載も,上記解釈を】,。 ,【】,()支持するものであるすなわち段落0025の記載によればa成分がないとシリカ系被覆は形成できないものであり,段落【0040】,(),(),()の記載によればb成分はa成分を溶解する成分であってa成分と組み合わせて用いられるということができる。そして,段落【00 のc成分はシリカ系被膜形成用組成物の安定性を高めると共】「(),に,シリカ系被膜の電気特性及び機械特性をより向上させる機能を有す。」,(),()るとの記載はc成分を含有するシリカ系被膜形成用組成物と 形成用組成物の安定性を高めると共】「(),に,シリカ系被膜の電気特性及び機械特性をより向上させる機能を有す。」,(),()るとの記載はc成分を含有するシリカ系被膜形成用組成物とc成分を含有しないシリカ系被膜形成用組成物とを対比しているものと解されるからc成分が含まれていない組成物も原出願当初明細書等の記載,()から自明である。 キ段落0031~0033等にはa成分の原料である化合物【】【】,(),【】【】()の具体例が記載されており段落0044~0047等にはb成分の具体例が記載されておりc成分を必須な成分としないa成,()()分と(b)成分を含むシリカ系被膜形成用組成物の具体的な例も,原出願当初明細書等に記載されているといえる。 (3)小括以上のとおりであるから,審決の「原出願当初明細書等には,本願発明1の(c)成分であるオニウム塩を含有しない,一般式(1)で表される化合物を加水分解縮合して得られるシロキサン樹脂a成分と非プロトン性(())溶媒が2価アルコールのジアルキルエーテルである少なくとも1種の非プロトン性溶媒を含む有機溶媒b成分を含有する本願発明1のシリカ系被(())膜形成用組成物は記載されておらず,本願発明1は原出願当初明細書等に記」()載した事項の範囲内でないものを含んでいる審決書8頁25行~31行との認定判断は誤りであり,この誤りが審決の結論に影響することは明らか- 7 -である。 取消事由2(本願発明1と刊行物1発明との対比の誤り),,仮に本願の出願日が原出願の出願日まで遡及しないとしても本願発明1が刊行物1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないことは明らか 願発明1と刊行物1発明との対比の誤り),,仮に本願の出願日が原出願の出願日まで遡及しないとしても本願発明1が刊行物1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないことは明らかであるから,審決は取消しを免れない。なお,本訴において,被告が,本願発明1は刊行物1発明と同一であるとの主張をすることは,許されない。 ,,(),(),(1)刊行物1発明は審決が認定するようにa成分b成分に加え更に(c)成分(オニウム塩)が発明特定事項として付け加えられている点で,本願発明1と相違する。 しかるところ本願発明1はc成分を含有しなくても本願明細書の,,(),段落【0014】に記載のとおり,低誘電性及び充分な機械的強度を有するとの作用効果を奏するものである(a)成分(b)成分及び(c)成分を。 ,,,含有することにより上記作用効果を奏するとした刊行物1発明に基づいて(c)成分を必須成分として含有しない本願発明1に想到することは,当業者といえども容易にできたとはいえない。 (2)被告は本願発明1はc成分を含有する組成物の発明をも包含してお,()り,その部分については刊行物1発明と同一である旨主張する。 しかし,本願発明1が(c)成分を含有する場合があるとの点は,審決に基づかない主張である。また,本願発明1が刊行物1発明と同一であるとの点は,新規性欠如の主張であるが,新規性と進歩性とは互いに独立した異なる拒絶理由である。 したがって,被告の上記主張は,審決の理由を変更するものであり,許されない。 第4取消事由に係る被告の反論審決の認定判断に誤りはなく,原告主張の取消事由は理由がない。 - 8 - 取消事由1(分割要件に関する認定判断の誤り)(1)本願発明1の要旨認定の誤り れない。 第4取消事由に係る被告の反論審決の認定判断に誤りはなく,原告主張の取消事由は理由がない。 - 8 - 取消事由1(分割要件に関する認定判断の誤り)(1)本願発明1の要旨認定の誤りについて本願発明1は,原出願当初明細書等の特許請求の範囲から(c)成分を必須とするとの要件を削除したものであり,組成物の範囲を(c)成分を含有しないものにまで拡大したものである審決は本願発明1のうちc成。 ,,()分を含有しないものが,原出願当初明細書等に記載した事項の範囲内でないと認定判断したものであるから審決が本願発明1のうちc成分を含,,,()有するものに言及していないことは,審決における分割要件の認定判断に影響するものではない。 なお,本願明細書の請求項1には,特に(c)成分が任意成分であるとの記載はないから本願発明1について原告主張のようにc成分を必須,,,()成分として含まないシリカ系被膜形成用組成物と認定すべきものではない。 (2)原出願当初明細書等の記載事項の認定の誤りについて原出願当初明細書等には,次のとおり,低誘電性に優れるとともに,充分な機械的強度を有し,従来に比して低温,短時間で硬化可能なシリカ系被膜の形成を可能とする目的でa成分とb成分とc成分とを含むシ,()()()リカ系被膜形成用組成物が記載されているにとどまりc成分を含有しな,()い組成物は記載されていない。 ア段落【0013】には,低誘電性に優れ,充分な機械的強度を有し,従来に比して低温かつ短時間での硬化が可能なシリカ系被膜を形成する要件はa成分b成分c成分の3つであることが記載されている,(),(),()からc成分が発明の課題目的を達成するために必須 短時間での硬化が可能なシリカ系被膜を形成する要件はa成分b成分c成分の3つであることが記載されている,(),(),()からc成分が発明の課題目的を達成するために必須とされている,(),,ことは明らかである。また,段落【0024】の記載は,あくまで(a)成分b成分及びc成分を含有する組成物であることを前提とする,()()ものであり(c)が必須成分でないということはできない。 ,イ段落【0005】~【0010】には,発明の解決しようとする課題と- 9 -して,低誘電性に優れるとともに,充分な機械的強度を有し,従来に比して低温,短時間で効果可能なシリカ系被膜を形成できる組成物の提供が記。 ,【】,【】,【】載されているしかるところ段落001900540058及び0070の記載によればc成分の配合の有無により低誘電【】,(),性及び機械的強度が影響を受けることは明らかであり,段落【0014】には(c)成分を含有しない組成物は(c)成分を含有する組成物より,,。 ,(),劣ることが示されているそうするとc成分を含有しない組成物は原出願当初明細書等に記載された課題,目的を達成することができない。 ,(),ウ原出願当初明細書等の特許請求の範囲に記載された発明はa成分(b)成分及び(c)成分を含有するシリカ系被覆形成用組成物の発明であり,発明の詳細な説明も,専らその発明を説明するために記載されているものであるから,段落【0070】における(c)成分の含有量の下限値の記載はc成分を含有する場合について記載されているものと解す,()べきであるしかもc成分の含有量が下限値以下ではシリカ系被膜。 ,(),,,( ける(c)成分の含有量の下限値の記載はc成分を含有する場合について記載されているものと解す,()べきであるしかもc成分の含有量が下限値以下ではシリカ系被膜。 ,(),,,()の電気特性機械特性が劣る傾向にあることが記載されているからc,。 成分の含有量は単に好ましい数値範囲として示されているものではないエ(c)成分を含まない組成物の各成分については,何ら説明がされていない。 (3)小括以上のとおりであるから本願発明1は原出願当初明細書等に記載した事,「」,。 項の範囲内でないものを含んでいるとした審決の認定判断に誤りはない 取消事由2(本願発明1と刊行物1発明との対比の誤り)について,,,,本願発明1には刊行物1発明と同一の発明が含まれまた本願発明1は刊行物1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (1)本願発明1はc成分を含有とする組成物の発明をも包含しておりそ(),の部分については刊行物1発明と同一であることは明らかである。 - 10 -(2)原告は,本願発明1は(c)成分を含有しなくても,本願明細書の段落,【0014】に記載された作用効果を奏する旨主張する。 ,(),(),()()しかしc成分を含有しない場合にa成分b成分及びc成分を含有することにより得られる低誘電性及び充分な機械的強度と同等の効果が得られているとはいえない。 そして,刊行物1には,シリカ系被膜形成用組成物において,低誘電性及び充分な機械的強度を有するようになるのはa成分及びb成分を使,()()用したことに主に起因していることが示唆されている。 そうすると,層間絶縁膜等の絶縁膜に要求されている所望の低誘電率と充分な機械 度を有するようになるのはa成分及びb成分を使,()()用したことに主に起因していることが示唆されている。 そうすると,層間絶縁膜等の絶縁膜に要求されている所望の低誘電率と充分な機械的強度や低温,短時間で硬化可能なシリカ系被膜を形成することを必要としなければ,刊行物1発明から(c)成分を除いた組成物に想到することは,当業者には格別困難ではなく,格別顕著な効果を奏するものでもない。したがって,本願発明1は,刊行物1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものというべきである。 第5当裁判所の判断当裁判所は,本願発明1は原出願当初明細書等に記載した事項の範囲内でないものを含んでいるから,本願について出願日の遡及は認められず,また,本願発明1は刊行物1発明と同一の発明を含んでいるから,特許法29条1項3号の規定により特許を受けることができないものであり,本願を拒絶すべきものとした審決は,その結論において相当であるから,原告の請求を棄却すべきものと考える。その理由は,以下のとおりである。 取消事由1(分割要件に関する認定判断の誤り)について(1)本願発明1の要旨認定の誤りについてア本願明細書(甲1,2)の特許請求の範囲の請求項1の記載は,前記第 2のとおりであるから本願発明1はa成分とb成分とを含,,,()()有するシリカ系被膜形成用組成物であることが規定されているにとどま- 11 -り(a)成分(b)成分以外の成分を含有することが要件とされていな,,いことは明らかである。 もっとも,請求項1には(a)成分(b)成分の含有量や含有割合は,,規定されておらず,上記2成分以外の成分を含有しない旨の限定はないか,「」,,らシリカ系被膜形成用組成物との要件を充足する限り本 求項1には(a)成分(b)成分の含有量や含有割合は,,規定されておらず,上記2成分以外の成分を含有しない旨の限定はないか,「」,,らシリカ系被膜形成用組成物との要件を充足する限り本願発明1は(a)成分(b)成分以外の成分(例えば(c)成分)を含有すること,,は妨げられないものというべきであるこのことは本願明細書の段落0。 ,【057】~【0061】において,それぞれ(c)成分,250~500(「()」℃の加熱温度で熱分解又は揮発する空隙形成用化合物以下d成分というが任意成分として説明され段落0089~0101に。),【】【】おいてc成分及びd成分を含有する組成物が実施例として記載,()(),されていることに照らしても,明らかである。 ,,()(),()そうすると本願発明1には①a成分及びb成分を含有しc(「」。),(),()成分を含有しない態様以下態様①というと②a成分b成分及びc成分を含有する態様以下態様②というの双方が含()(「」。)まれるというべきである。 イ審決は,その全体の構成からみて,本願発明1が上記ア記載の態様①に,,「,限定され上記ア記載の態様②を含まないという趣旨で本願発明1は(())」……オニウム塩c成分を含まないシリカ系被膜形成用組成物である(審決書2頁末行~3頁5行「本願発明1は,……(c)成分であるオ),ニウム塩を含まないシリカ系被膜形成用組成物である(審決書7頁31。」行~37行)と説示したものと解されるから,本願発明1の要旨の認定を誤っているといわざるを得ない。 しかし後記(2)のとおり本願発明1のうち態様①は原出願当初明細 成物である(審決書7頁31。」行~37行)と説示したものと解されるから,本願発明1の要旨の認定を誤っているといわざるを得ない。 しかし後記(2)のとおり本願発明1のうち態様①は原出願当初明細書,,等に記載の事項の範囲内でないから,本願発明1が原出願当初明細書等に記載の事項の範囲内でないとした審決の認定判断には結局誤りはなく,審- 12 -決が,本願発明1の要旨が上記ア①の態様に限定されるとした点は,分割要件を満たしていないとの結論に影響するものではない。 (2)原出願当初明細書等の記載事項の認定の誤りについてア原出願当初明細書等(甲3)には,次の各記載がある。 (ア)「請求項1】(a)成分:下記一般式(1;【)RSiX…(1) n4-n[,,,,,式中RはH原子若しくはF原子又はB原子N原子Al原子 P原子,Si原子,Ge原子若しくはTi原子を含む基,又は炭素数1~20の有機基を示し,Xは加水分解性基を示し,nは0~2の整数を示す但しnが2のとき各Rは同一でも異なっていてもよくnが。 ,,, 0~2のとき,各Xは同一でも異なっていてもよい,。]で表される化合物を加水分解縮合して得られるシロキサン樹脂と,(b)成分:少なくとも1種の非プロトン性溶媒を含む有機溶媒と,(c)成分:オニウム塩と,を含有してなるシリカ系被膜形成用組成物。 【請求項2】前記非プロトン性溶媒が,2価アルコールのジアルキルエ-テル,……からなる群より選ばれる少なくとも1種の非プロトン性溶媒を含む,請求項1記載のシリカ系被膜形成用組成物」。 (イ)「0005】【【発明が解決しようとする課題】……電子デバイス部品の絶縁材料に対して,耐熱性,機械特性等の他,更なる低比誘電率と熱処理工程 ,請求項1記載のシリカ系被膜形成用組成物」。 (イ)「0005】【【発明が解決しようとする課題】……電子デバイス部品の絶縁材料に対して,耐熱性,機械特性等の他,更なる低比誘電率と熱処理工程の短縮が求められている」。 (ウ)「0010】【そこで,本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり,低誘電性に優れると共に,充分な機械的強度を有し,従来に比して低温,短時間で硬化可能なシリカ系被膜を形成できるシリカ系被膜形成用組成物,か- 13 -かる組成物からなるシリカ系被膜及びその形成方法,並びにかかるシリカ系被膜を備える電子部品を提供することを目的とする」。 (エ)「0012】【すなわち,本発明は(a)成分:下記一般式(1;,)RSiX…(1) n4-n[,,,,,式中RはH原子若しくはF原子又はB原子N原子Al原子 P原子,Si原子,Ge原子若しくはTi原子を含む基,又は炭素数1~20の有機基を示し,Xは加水分解性基を示し,nは0~2の整数を示す但しnが2のとき各Rは同一でも異なっていてもよくnが。 ,,, 0~2のとき,各Xは同一でも異なっていてもよい,。],()で表される化合物を加水分解縮合して得られるシロキサン樹脂とb成分:少なくとも1種の非プロトン性溶媒を含む有機溶媒とc成分,():オニウム塩と,を含有してなるシリカ系被膜形成用組成物を提供する」。 (オ)「0013】【本発明のシリカ系被膜形成用組成物は,被膜形成成分として上記構成のシロキサン樹脂を含み,シロキサン樹脂を溶解させる有機溶媒成分として非プロトン性溶媒を必須成分とし,オニウム塩を更に含有することから,低誘電性,特に高周波領域(100kHz以上の高周波領域で,例えば1MHz 樹脂を含み,シロキサン樹脂を溶解させる有機溶媒成分として非プロトン性溶媒を必須成分とし,オニウム塩を更に含有することから,低誘電性,特に高周波領域(100kHz以上の高周波領域で,例えば1MHz)における低誘電性に優れると共に,充分な機械的強度を有し,従来に比して低温且つ短時間で硬化可能なシリカ系被膜を形成できるようになる。また,上記組成物の低温且つ短時間での硬化が可能となることから,被膜形成プロセスにおける入熱量も軽減される。したがって,配線層等の劣化や基板の反り等の問題も解消できる。さらに,被膜の膜厚の均一性も向上させることができる」。 (カ)「0014】【- 14 -上記効果が生じる要因は必ずしも明らかではないが,シリカ系被膜が低誘電性及び充分な機械的強度を有するようになるのは,上記シロキサン樹脂と非プロトン性溶媒を使用したことに主に起因しており,低温且つ短時間での硬化が可能となるのは,非プロトン性溶媒とオニウム塩を使用したことに主に起因しているものと推測される。また,被膜の膜厚の均一性の向上は,非プロトン性溶媒を使用したことに主に起因していると考えられる」。 (キ)「0015】【また,上記非プロトン性溶媒は,2価アルコールのジアルキルエ-テル,……からなる群より選ばれる少なくとも1種の非プロトン性溶媒を含むことが好ましく,…… 」。 (ク)「0054】【〈c)成分〉((c)成分は,シリカ系被膜形成用組成物の安定性を高めると共に,シリカ系被膜の電気特性及び機械特性をより向上させる機能を有する。 さらにa成分の縮合反応を加速して硬化温度の低温化と短時間化を,()可能とし,機械強度の低下をより一層抑制する機能も備える」。 (ケ)「0058】【なお,オニウム塩を含有することによって効果が奏される の縮合反応を加速して硬化温度の低温化と短時間化を,()可能とし,機械強度の低下をより一層抑制する機能も備える」。 (ケ)「0058】【なお,オニウム塩を含有することによって効果が奏されるメカニズムの詳細は,未だ不明な点があるものの,オニウム塩によって脱水縮合反応が促進されてシロキサン結合の密度が増加し,さらに残留するシラノール基が減少するため,機械強度及び誘電特性が向上するといった機構によるものと推定される。但し,作用はこれに限定されない」。 (コ)「0070】【(c)成分の含有量は,本発明のシリカ系被膜形成用組成物の全重量基準で0.001ppm~5質量%であることが好ましく,0.01p- 15 -pm~1質量%であるとより好ましく,0.1ppm~0.5質量%であると一層好ましい。この含有量が0.001ppm未満であると,最終的に得られるシリカ系被膜の電気特性,機械特性が劣る傾向にある。 一方,この含有量が5%を超えると,組成物の安定性,成膜性等が劣る傾向にあると共に,シリカ系被膜の電気特性及びプロセス適合性が低下する傾向にあるなおc成分であるオニウム塩は必要に応じて水。 ,(),や溶媒に溶解又は希釈してから,所望の濃度となるように添加することができる。 イ前記ア(ア)~(コ)の各記載を総合すると,原出願当初明細書等には,電子デバイス部品の絶縁材料における耐熱性,機械特性等のほか,更なる低(),(),()比誘電率と熱処理工程の短縮を課題とし前記ア(イ)a成分b成分及び(c)成分を含有することを課題解決の手段とする発明(前記ア(ア),(エ),(キ))が記載されているところ,この発明は,低誘電性に優れ,充分な機械的強度を有し,低温・短時間で硬化可能なシリカ系被膜を形成することを目的ない を課題解決の手段とする発明(前記ア(ア),(エ),(キ))が記載されているところ,この発明は,低誘電性に優れ,充分な機械的強度を有し,低温・短時間で硬化可能なシリカ系被膜を形成することを目的ないし効果とし(前記ア(ウ),(オ)(c)成分は,),低温・短時間での硬化を可能とし前記ア(カ)シリカ系被膜形成用組成(),物の安定性を高めるとともに,シリカ系被膜の電気特性及び機械特性をより向上させ,さらに,硬化温度の低温化と短時間化を可能とし,機械強度の低下をより一層抑制し前記ア(ク)機械強度及び誘電特性が向上する(),こと(前記ア(ケ))等に寄与するものであって,含有量が0.001ppm未満であると,最終的に得られるシリカ系被膜の電気特性,機械特性が劣る傾向にあるとされていること(前記ア(コ))が認められる。 そうするとc成分は耐熱性機械特性等のほか更なる低比誘電,(),,,率と熱処理工程の短縮という,上記発明が解決しようとする課題との関係で,重要な役割を果たすものとされていることは明らかである。そして,(c)成分を含まない組成物が,上記課題を解決するに足る充分な性能を- 16 -有するものであることは,原出願当初明細書等を精査しても,これを把握することはできない。 ,,,(),したがって原出願当初明細書等には本願発明1のうちa成分b成分及びc成分を含有する態様前記(1)ア記載の態様②は記()()(),,()(),載されているが本願発明1のうちa成分及びb成分を含有しc成分を含有しない態様前記(1)ア記載の態様①が記載されている()()ということはできない。 ウ原告は,本願発明1のうち(a)成分及び(b)成分を含有し(c),, 成分を含有しc成分を含有しない態様前記(1)ア記載の態様①が記載されている()()ということはできない。 ウ原告は,本願発明1のうち(a)成分及び(b)成分を含有し(c),,成分を含有しない態様(態様①)は,原出願当初明細書等の記載から自明,,【】,【】,な事項であると主張しその根拠として①段落00130014【0024【0025【0040】及び【0054】等の記載,②実】,】,施例としてa成分b成分及びc成分に加えd成分やマ,(),()(),()レイン酸を含有する組成物が記載されているがd成分やマレイン酸は,()必須成分とされていないこと③段落0031~0033等 ,【】【】,【 ~0047等にそれぞれa成分b成分の具体例が】【】,(),(),,()()記載されていること④審決が原出願当初明細書等にa成分とb成分とを含有することによる効果が示唆されているとしていること等を指摘する。 まず原出願当初明細書等の上記①の記載からはb成分が重要な意,,()義を有することが認められるもののc成分に比べてb成分の重要,()()度がより強く認識されているからといってc成分を含有しない発明が,()記載されていることにはならない。 また,確かに,実施例の組成物が含有する(d)成分やマレイン酸が任意成分であることは,原出願当初明細書等に明示的に記載されているが,任意成分であるとの記載がない(c)成分を,これらと同列に扱うことができないことは明らかである。 - 17 -そして,原出願当初明細書等の上記③の記載は(a)成分(b)成分,,,,となり得る化合 分であるとの記載がない(c)成分を,これらと同列に扱うことができないことは明らかである。 - 17 -そして,原出願当初明細書等の上記③の記載は(a)成分(b)成分,,,,となり得る化合物の例を列挙するものであるが原出願当初明細書等にはa成分及びb成分を含有しc成分を含有しない組成物につい()(),()て記載されていないことは,前記イのとおりであり,かかる組成物の各成分となり得る化合物の例が記載されているということはできない。 なお,原告が指摘するとおり,審決は,原出願当初明細書等に(a)成分と(b)成分とを含有することによる効果が示唆されているとしているがすでに説示したとおり原出願当初明細書等ではc成分が課題と,,,()の関係で重要な役割を果たすものとされておりc成分を含まない組成,()物が課題を解決するに足る充分な性能を有することは,原出願当初明細書等から把握することができない。 以上のとおりであるから,原告の主張は採用することができない。 (3)小括以上検討したところによれば,審決には,本願発明1の要旨認定に誤りがあるものの,本願発明1は原出願当初明細書等に記載した事項の範囲内でないもの(態様①)を含んでいるから,本願について出願日の遡及は認められないとした審決の判断には,結局のところ誤りはなく,原告主張の取消事由1は理由がない。 取消事由2(本願発明1と刊行物1発明との対比の誤り)について,,,()(),()(1)本訴において被告は本願発明1はa成分とb成分のほかc成分をも含有するシリカ系被膜形成用組成物をも含み,その部分において刊行物1発明と重複するから,本願発明1と刊行物1発明とは同一の発明である旨主張する。この点に関し,原告は,審決取消訴 分のほかc成分をも含有するシリカ系被膜形成用組成物をも含み,その部分において刊行物1発明と重複するから,本願発明1と刊行物1発明とは同一の発明である旨主張する。この点に関し,原告は,審決取消訴訟において,審決において判断されなかった理由を主張することは許されず,特許法29条1項(新規性欠如)と同条2項(進歩性欠如)とは互いに独立した異なる理由であるから,本訴において,被告が,本願発明1と刊行物1発明とが同一であると- 18 -主張することは,許されない旨主張するので,検討する。 特許無効審判の審決に対する取消訴訟においては,審判で審理判断されなかった公知事実を主張することは許されず,拒絶査定不服審判の審決に対する取消訴訟においても,同様に解すべきものであるから(最高裁昭和42年()),行ツ第28号同51年3月10日大法廷判決・民集30巻2号79頁拒絶査定不服審判において特許法29条1項各号に掲げる発明に該当するものとして審理されなかった事実については,取消訴訟において,これを同条1項各号に掲げる発明として主張することは許されない。しかしながら,審判において審理された公知事実に関する限り,審判の対象とされた発明との一致点・相違点について審決と異なる主張をすること,あるいは,複数の公知事実が審理判断されている場合にあっては,その組合わせにつき審決と異なる主張をすることなどは,それだけで直ちに審判で審理判断された公知事実との対比の枠を超えるということはできないから,取消訴訟においてこれらを主張することが常に許されないとすることはできない。 出願に係る発明につき,審判手続において公知事実から当業者が容易に想到することができるとして特許法29条2項に該当するものとして拒絶査定が維持された場合に,当該審決に対する取消訴訟において,被 い。 出願に係る発明につき,審判手続において公知事実から当業者が容易に想到することができるとして特許法29条2項に該当するものとして拒絶査定が維持された場合に,当該審決に対する取消訴訟において,被告が出願に係る発明は当該事実との関係で同条1項に該当すると主張することは,審判官が,出願に係る発明と当該公知事実との相違点を特に指摘し,そのために出願人が補正を行う機会を逸したことが認められるなどの特段の事情が存在しない限り,許されるというべきである。けだし,特許法が,特許出願に対する拒絶査定の処分が誤ってされた場合における是正手続として,一般の行政処分の場合とは異なり,常に審判官による審判の手続の経由を要求するとともに,取消訴訟は拒絶査定不服審判の審決に対してのみこれを認め,審決訴訟においては審決の違法性の有無を争わせるにとどめる一方で,第一審を東京高等裁判所の専属管轄とし(知的財産高等裁判所設置法により,東京高等- 19 -裁判所の特別の支部である知的財産高等裁判所がこれを取り扱う,事実審。)を一審級省略している趣旨は,出願人に対し,専門的知識経験を有する審判官による前審判断経由の利益を与えつつ,審判手続において,出願人の関与の下に十分な審理がなされることを期待したものにほかならないところ,上記の場合には,出願に係る発明と審判手続において審理された公知事実については,既に,出願人の関与の下に,審判官による判断がなされているからである。そして,この場合には,取消訴訟において新たな相違点についての判断が必要となるものではなく,出願に係る発明と既に審判手続において審理された公知事実との同一性を判断することは,改めて専門知見の下における判断を経る必要があるものとはいえない。 本件においては,原査定における拒絶の理由は,本願発明1は,刊行物 既に審判手続において審理された公知事実との同一性を判断することは,改めて専門知見の下における判断を経る必要があるものとはいえない。 本件においては,原査定における拒絶の理由は,本願発明1は,刊行物1発明と同一であるか,又は同発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法29条1項3号又は同条2項の規定により特許を受けることができないというものであった。したがって,本願発明1が刊行物1発明と同一であるとの本訴における被告主張は,審判手続において審,,理判断された公知事実である刊行物1発明の枠を超えるものではなくまた原告は,本願発明1と刊行物1発明との同一性との関連において,審判手続において意見を陳述し,特許請求の範囲等の補正を行う機会があったというべきである。 以上によれば,本訴において,被告が,本願発明1と刊行物1発明とが同一の発明である旨主張することは,許されると解するのが相当である。 (2)刊行物1は原出願の公開公報であって原出願当初明細書等と同一の内,,容であるから,本願発明1のうち(a)成分(b)成分及び(c)成分を,,含有する態様前記1(1)ア記載の態様②が刊行物1発明と同一であること()は,前記1で説示したところに照らし,明らかである。 そうすると,本願発明1は刊行物1発明と同一の発明を含んでいるから,- 20 -特許法29条1項3号の規定により特許を受けることができないものというべきである。 したがって,本願を拒絶すべきものとした審決は,その結論において相当というべきである。 (3)なお前記1で説示したところに照らせば刊行物1には本願発明1の,,,うち(a)成分及び(b)成分を含有し(c)成分を含有しない態様(前,,記1(1)ア記載の態様①)は記載されてい )なお前記1で説示したところに照らせば刊行物1には本願発明1の,,,うち(a)成分及び(b)成分を含有し(c)成分を含有しない態様(前,,記1(1)ア記載の態様①)は記載されていないが(b)成分を含有すること,により,低誘電性及び機械的強度についてある程度の効果が期待できることが理解できるから,当業者であれば,低温・短時間での硬化の改善を解決すべき課題としない場合にはc成分を含有しない構成を採用し形成され,(),るシリカ系被膜の誘電性と機械的強度が実用に耐えるものであるか否かを確認することに格別の困難性は認められないというべきであり,また,本願明細書の段落【0070(刊行物1も同じ)の記載によれば(c)成分を含】,有しない組成物はc成分を含有する組成物に比べ電気特性及び機械特,(),性において劣ることは明らかであって,顕著な効果を奏するものということもできない。 ,,()(),()そうすると本願発明1のうちa成分及びb成分を含有しc成分を含有しない態様は,刊行物1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものというべきである。 したがって,本願発明1について,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないとした審決の判断についても,これを是認し得るものである。 (4)以上によればいずれにしても原告主張の取消事由2は理由がないとい,,うべきである。 結論 上記検討したところによれば,原告主張の取消事由はいずれも理由がなく,- 21 -その他,審決に,これを取り消すべき誤りがあるとも認められない。 よって,原告の本訴請求は理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第3部裁判長裁判官三村量一 決に,これを取り消すべき誤りがあるとも認められない。 よって,原告の本訴請求は理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第3部裁判長裁判官三村量一裁判官嶋末和秀裁判官上田洋幸

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