主文 1 本件控訴に基づき,原判決中控訴人ら敗訴部分を取り消す。 2 前項の取消に係る被控訴人らの請求をいずれも棄却する。 3 本件附帯控訴を棄却する。 4 訴訟費用(参加によって生じた費用を含む。)は,第1,2審とも,被控訴人らの負担とする。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 控訴人ら主文同旨 2 被控訴人ら(1) 本件控訴を棄却する。 (2) 原判決中,被控訴人敗訴部分を取り消す。 (3) 控訴人Aは,臼杵市に対し,41万4300円及びこれに対する平成13年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (4) 控訴人Bは,臼杵市に対し,105万4200円及びこれに対する平成13年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (5) 訴訟費用は,第1,2審とも控訴人らの負担とする。 第2 事案の概要 1 本件事案の概要は,以下のとおり当審における当事者双方の主張を補足するほか,原判決の「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」の項中控訴人らと被控訴人らに関する部分に記載のとおりであるからこれを引用する(略称についても,原判決の表示に従う。)。なお,原審で被控訴人らの請求が棄却された原審原告Cについては,控訴がなく原判決が確定した。 2 当事者の主張の補足(1) 控訴人ら及び同訴訟参加人の主張の補足ア敦煌市との友好都市提携協定締結後の第1回中国訪問団から引き継がれてきた本件訪問団は,仏教文化遺跡を中心とする観光行政に力を入れる臼杵市が仏教文化の遺産・自然環境・景観の保護をしながら市行政の運営を進めていく必要があることから,同じ仏教文化遺跡の宝庫である桂林・昆明などを訪れ,その文化・自然に触れることは,これに参加した臼杵市議会議員・市職員のみならず,参加した市民にとっても,同市の今後の観光行政を進 要があることから,同じ仏教文化遺跡の宝庫である桂林・昆明などを訪れ,その文化・自然に触れることは,これに参加した臼杵市議会議員・市職員のみならず,参加した市民にとっても,同市の今後の観光行政を進めるにあたって非常に有益なことといわなければならない。本件訪問団の訪問先は,いずれも「臼杵市総合計画」「ふるさと事業づくり計画」にのっとって市長である控訴人Aが選定した。 ① 西安市友好都市敦煌市には国際空港がなく,中国への入国地である。 西安市は,「長安の都」であり,中国5000年の歴史の縮図といわれ,西安城壁などの歴史遺産の宝庫であり,同市内見学のほか「大雁塔」,ユネスコ世界遺産である世界的遺産「兵馬俑」を訪れた。 ② 敦煌市友好都市としての訪問先である。 ③ 桂林市人口480万人の観光と歴史文化の町であり,訪問団は「七星公園」を訪れ,璃江下りをしている。七星公園は,五百羅漢などの石仏文化の宝庫であり,臼杵市も国宝大日如来を初めとする石仏群が観光資源となっていること,璃江下りでは自然と観光との調和を体験することを目的として,この地を訪れたものである。 ④ 昆明市雲南省の省都である。人口350万人の昆明は,海抜1494メートルの常春の地であり,多民族の都市でもある。国際空港があり,日本への帰国航空便の出発地であった。 本件訪問団は,西山龍門石窟・華亭寺・石林等を訪れている。西山龍門は,色鮮やかな塑像が残されている石窟であり,臼杵市の石仏と同じような石仏があり,石柱が林立する石林は,自然景観を体験するために訪問した。また,本件訪問団は,D出納長,県職員Eなどとともに「1999年開催された世界園芸博覧会会場」である世界園芸博覧園を他の参加者と共に訪れた。ここを訪問先に選定したのは,大分県が「全国都市緑化フェア」を ,本件訪問団は,D出納長,県職員Eなどとともに「1999年開催された世界園芸博覧会会場」である世界園芸博覧園を他の参加者と共に訪れた。ここを訪問先に選定したのは,大分県が「全国都市緑化フェア」を予定していた(平成15年6月開催)ために,世界園芸博の開催された会場が博覧園として保存利用されている実情を把握するためであった。 以上のとおり,本件訪問団は,敦煌市・西安市・桂林市及び昆明市をそれぞれ目的をもって訪れ,参加した臼杵市議会議員,これに随行した議会事務局職員H,団長である臼杵市長に随行しかつ研修目的で参加したF,名誉団長Dに随行した県職員Iは,本件訪問先について具体的内容と視察した感想・評価を記載した報告書(復命書)を提出した。 本件訪問団は,多面的な国際交流を通じて市民の国際感覚を高めるという臼杵市の行政の基本方針のもとに,市民レベルを通じて友好都市である敦煌市との一層の有効・親善を促進すること,並びにこの訪問の機会を利用して敦煌市のみならず,中国の歴史的遺産と自然を有する西安・桂林・昆明を訪問することにより,中国の歴史・文化・自然・暮らしなどを理解して国際交流に資すること及び参加者の国際感覚を養い,国際的視野を広げることを目的とするものである。 このような中国各都市を訪問することによって,控訴人Aは臼杵市長として,控訴人Bは市議会議長として,他の議員,職員らは市における各公的職責の担い手の立場から,訪問団に参加した市民は地域住民の立場から,それぞれ観光立市の臼杵市を考え一体となって観光を柱とするまちづくりをしようとするものである。 本件訪問団に参加することについて,西安以降の旅程を私的観光旅行とする原判決の判断は,観光を単なる「物見遊山」とする誤った認識を前提とするものである。本件訪問団に参加した臼杵市長,市議会 ある。 本件訪問団に参加することについて,西安以降の旅程を私的観光旅行とする原判決の判断は,観光を単なる「物見遊山」とする誤った認識を前提とするものである。本件訪問団に参加した臼杵市長,市議会議長及び議員,同市職員が個人的遊興目的で行動したことはない。臼杵市長が本件訪問団長として参加したこと,職員(市議会事務局員1名を含む)に随行を命じたこと,臼杵市議会が控訴人B外5名を派遣したことは,社会通念上相当性を欠き,裁量の範囲を逸脱しているものとはいえない。 イ 「観光立国」について国は,平成15年7月31日に「観光立国行動計画」を決定した。「住んでよし,訪れてよしの国づくり」を実現するための戦略,行動計画であり,工業立国や貿易立国などへの一辺倒から脱却する必要性を訴え,「観光」を単なる「物見遊山」とする古くさい考え方を改め,「国民に価値の転換を求める」ものである。臼杵市は,同計画においても「歴史的たたずまいを継承した街並み・まちづくり協議会参加自治体」とされている。 「観光産業」の地域に及ぼす経済的効果は計り知れない。国土交通省の旅行消費の経済的効果(2000年)についての調査報告によれば,その生産波及効果は53.8兆円,雇用創出効果は422.2万人とされている。大分県の宿泊観光客数だけをみても,平成12年の同県内の宿泊客は804万人であり,消費額を1人2万円としても1600億円となる。 ウ原判決は,本件出張の市長の随行員2名のうち1名の職員については随行の必要性がないとしたが,本件訪問を企画担当した臼杵市として,市民参加者約170名の訪問団の世話役には2名の職員は必要であり,2名の職員を訪問団の世話役を兼ねて市長に随行させたことが,市長の裁量の範囲を逸脱したものとはいえない。 (2) 被控訴人らの主張の補足ア(ア) 本件 名の訪問団の世話役には2名の職員は必要であり,2名の職員を訪問団の世話役を兼ねて市長に随行させたことが,市長の裁量の範囲を逸脱したものとはいえない。 (2) 被控訴人らの主張の補足ア(ア) 本件訪問を企画した「臼杵市敦煌市友好協会(敦煌会)」は,完全な私的団体である。敦煌会の会員は,過去に「市民の翼」に参加した市民ということで,控訴人Aもその資格から会員であった。 本件訪問に際して,中国のどの都市を訪問するかなどの日程を決める話合いは,敦煌会の事務局でなされ(市役所内で訪問地の選定を協議したことはない。),控訴人A以外の市職員は出席したことがなく,控訴人Aは敦煌会の会員という立場から,過去の私的訪問の経験に基づいて訪問地について意見を述べたものであり,訪問先の選定は観光行政等の高度な観点から専門的に判断されたものとはいえず,控訴人Aの個人的知識に基づくものといえる。 以上のように,本件訪問団は,民間の任意団体の敦煌会の企画した旅行に市が便乗したという形態なのであり,訪問自体の意義,目的などについて,控訴人らが主張するような行政間の国際交流とか,観光行政の進展などといった意義,目的を主張できる前提を欠いている。 (イ) 今回の旅行については募集要項には100名という募集人員が記載されていたが,実際には旅行代理店Jが大分市や津久見市でも多数募集したことから約170名の参加者となっており,70名位は臼杵市民以外の参加である。したがって,本件訪問団全体の性質は,臼杵市の国際交流や観光行政の発展などといった意義,目的を体現するようなものとはなり得ない,「物見遊山」の観光団といわざるを得ない。 (ウ) 臼杵市当局は過去2回行われた中国旅行について,アンケート調査などの追跡調査を行ったこともなく,また,その後の臼杵市の観光客数は減少の一途 り得ない,「物見遊山」の観光団といわざるを得ない。 (ウ) 臼杵市当局は過去2回行われた中国旅行について,アンケート調査などの追跡調査を行ったこともなく,また,その後の臼杵市の観光客数は減少の一途を辿っており,何ら観光行政に生かされた形跡はなく,本件訪問についても,それまでと変わらず,観光行政にいかそうとする特別な工夫はなされていない。 (エ) 控訴人らは,敦煌市人民政府対外友好協会会長からの訪問要請があったといい,同人からの書面(丙37の2)には「投資」を求める表現が多用されているが,臼杵市から敦煌市に対して何らかの投資をする予定も,計画も存在しない。 (オ) したがって,本件訪問に参加した市長らの公式訪問団員ら(但し,市長に必要な随行員として認められた分は1名のみ)に関する旅費の支出のうち,敦煌市を経て西安市に到着するまでの部分について,基本的に合理的裁量の範囲内であるとした原判決の判断は明らかに誤っているから,取り消されなければならない。 イ控訴人Aは,Fについては,本件訪問団の企画の担当者であり,窓口になっていた者であるから同行させたとし,Gについては,臼杵市生涯現役のまちづくり実行委員会のメンバーであり,有能な若手職員であること,及び訪問団の人数が多いので世話をする者が2名必要であると考えて同行させたとする。 しかし,本件訪問団には旅行代理店Jの添乗員が多数随行していたから,世話役として市職員を2名も市長の随行員とする必要はないうえ,Fが第4次臼杵市総合計画検討委員会の事務局員であるといっても,結局敦煌訪問が総合計画に具体的に反映されている事実は全く認められないし,Gが生涯現役のまちづくり実行委員会のメンバーであるといっても,同委員会のメンバーは34名もいるのであるから,Gを選んだ根拠はこじつけに過ぎない。 控訴 反映されている事実は全く認められないし,Gが生涯現役のまちづくり実行委員会のメンバーであるといっても,同委員会のメンバーは34名もいるのであるから,Gを選んだ根拠はこじつけに過ぎない。 控訴人Aは,中国旅行に行くことによって,将来有意な人材が育つという意味で,「研修」の意味もあるというが,そのような漠然とした内容で職員を無限定に公費で海外旅行させて経験を積ませることが公務であるといえないことは,地方財政法上行政に求められる効率性,必要最小限度性の要請からいって当然のことである。そして,Gについては,復命書の提出もないのであり,研修としての実質も備えていないというべきである。 したがって,市長につき2名もの随行職員の同行の必要性は認められない。 ウアで述べたように,本件訪問全体に公務性が認められない以上,議員の参加についても,公費の支出は全額違法と判断すべきであり,西安空港以降の日程のみ公務性がないことを前提に,議員への公費の支出を有効とした原判決は不当である。 第3 当裁判所の判断 1 本件支出の必要最小限度性(争点(1))について(1) 地方公共団体の支出は,支出の目的を達成するため必要最小限度であることを要求される(地方自治法2条14項,地方財政法4条1項)が,普通地方公共団体の長は,当該普通地方公共団体を代表する職務を有する独任制の執行機関として,その権能を適切に果たすために合理的な必要性があるときは,自ら,国内や海外に出張を行うことができ,出張目的や出張先,出張内容等の決定については,原則的に長の合理的な裁量に委ねられていると解すべきであり,長の行う出張についての必要性や出張内容の相当性等についての長の判断は,出張の目的,動機,態様等に照らし,これが著しく妥当性を欠き,裁量権を逸脱又は濫用したと判断される場合に限り違 解すべきであり,長の行う出張についての必要性や出張内容の相当性等についての長の判断は,出張の目的,動機,態様等に照らし,これが著しく妥当性を欠き,裁量権を逸脱又は濫用したと判断される場合に限り違法となると解すべきであることは,原判決説示のとおりである。また,普通地方公共団体の議会は,当該普通地方公共団体の議決機関として,その機能を適切に果たすために合理的な必要性がある場合には,その裁量により構成員である議員を国内や海外に派遣することができ,この裁量権の行使に逸脱又は濫用があるときに限り,議会による議員派遣の決定が違法となるものと解せられる(最高裁昭和63年3月10日判決・裁判集民事153号491頁,最高裁平成9年9月30日判決・裁時1205号1頁参照)ことも原判決説示のとおりである(原判決の説示は「事実及び理由」欄の「第3 争点に対する判断」の1(1)項)。 したがって,まず,市長である控訴人A及び議長である控訴人B外議員5名が,本件訪問団と同行した中国各都市への本件出張が,市長及び議会の裁量権を逸脱又は濫用した違法なものであるか否かを検討する。 (2)ア本件訪問団の目的,敦煌市等を訪問することとなった経緯,控訴人A及び本件議員らが本件出張をした経緯,並びに,同人らの西安空港に到着するまでの日程については原判決「事実及び理由」欄の第3の1(2)アの項(22頁25行目冒頭から25頁7行目末尾まで)に認定のとおりであるから,これを引用する。 イ上記認定事実によれば,本件出張のうち臼杵市を出発して敦煌市での日程を終え西安空港に到着するまでの日程は,敦煌市人民政府対外友好協会会長から,臼杵市長である控訴人A宛に訪問要請があり,これを受けて従前の交流の経緯もふまえて,臼杵市において,友好都市である敦煌市との交流をより深めるため, までの日程は,敦煌市人民政府対外友好協会会長から,臼杵市長である控訴人A宛に訪問要請があり,これを受けて従前の交流の経緯もふまえて,臼杵市において,友好都市である敦煌市との交流をより深めるため,市民を帯同して市長及び議員を派遣することとしたものであり,本件出張の目的は,控訴人Aについては主として敦煌市との国際交流,副次的にはオランダとの国際交流であり,本件議員らについては敦煌市との国際交流であったこと,過去2回行われた「市民の翼」方式の敦煌市親善訪問団にも臼杵市長が団長,臼杵市議会議長が副団長として参加したこと,過去,敦煌市側が臼杵市を訪問した際にも,敦煌市副市長等の高官が訪れていることを考え合わせれば,敦煌市及びオランダに対する社交的儀礼からしても,臼杵市から市長,市議会議長という高官及び市民の代表ともいうべき市議会議員が赴くことは,合理的裁量の範囲内の行為として是認できるものというべきであり,これを裁量権を逸脱又は濫用し違法と評価できないものであることは,原判決説示のとおり(原判決前記第3の(2)イ項)である。 ウ被控訴人らは,本件出張は,私的団体である敦煌会の企画した観光旅行に臼杵市が便乗したものであり,控訴人Aもその会員として参加したに過ぎず,訪問自体の意義,目的などについて,控訴人らが述べるような行政間の国際交流とか,観光行政の進展などといった意義,目的を主張する前提を欠いている,と主張するが,上記認定の,本件出張が敦煌市人民政府対外友好協会会長からの要請に基づくものであること,臼杵市と敦煌市が友好都市関係にあること,従前の敦煌市との国際交流の経緯,現に敦煌市において,控訴人ら本件公式訪問団員らが,敦煌市主宰の歓迎・交流会に出席し,敦煌市人民政府を表敬訪問し,その際,控訴人Aが臼杵市長として挨拶をし,敦煌市幹部と懇談 煌市との国際交流の経緯,現に敦煌市において,控訴人ら本件公式訪問団員らが,敦煌市主宰の歓迎・交流会に出席し,敦煌市人民政府を表敬訪問し,その際,控訴人Aが臼杵市長として挨拶をし,敦煌市幹部と懇談・意見交換を行い,答礼夕食会を開催したこと,に照らすと,本件出張のうち敦煌市を経て西安空港に到着するまでの日程が,私的団体である敦煌会の企画に便乗した,国際交流・観光行政といった行政目的を欠くものということはできない。 (3) 次に,西安空港到着以降の日程について検討する。 ア上記認定事実(原判決「事実及び理由」欄の第3の1(2)アの項の他,第2の1項「争いのない事実等〔3頁14行目冒頭から7頁3行目末尾まで〕」も含む。),証拠(乙9,丙2,4,16ないし20,丙22の1ないし5,丙23,24,32,33,原審証人F,当審における控訴人A本人)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 (ア) 臼杵市は,臼杵市総合計画基本計画において,国際交流についての基本方針を策定し,各種レベルでの姉妹都市や友好都市との都市間交流等の国際交流を積極的に推進してきた。また,行政職員などの海外研修も積極的に実施してきた。 (イ) そのような市の基本計画に基づき,臼杵市は敦煌市との間で,それぞれの臼杵石仏,莫高窟という石造文化を契機として平成6年9月27日に「日本国臼杵市と中華人民共和国敦煌市との友好都市提携協定書」の調印を行った後,多数の市民が参加する国際交流を企画立案し,まず,臼杵市と敦煌市友好都市提携1周年を記念し,平成7年10月,市民の応募による親善訪問団「市民の翼」を結成し,敦煌市を訪問した(第1次親善訪問団)。この親善訪問団の団長には臼杵市長が,副団長には臼杵市議会議長がそれぞれ就任し,訪問団が敦煌市を訪問した。臼杵市は,この親善訪問を 訪問団「市民の翼」を結成し,敦煌市を訪問した(第1次親善訪問団)。この親善訪問団の団長には臼杵市長が,副団長には臼杵市議会議長がそれぞれ就任し,訪問団が敦煌市を訪問した。臼杵市は,この親善訪問を市民にとって魅力的なものとするために,敦煌市の他,蘭州及び北京訪問の日程も付加し,この親善訪問団は,蘭州においては市内観光を,北京においては万里の長城,明の十三稜の見学を行った。 さらに,臼杵市は,平成10年8月,第2次親善訪問を施行した。この親善訪問の旅には,敦煌市の他,西安及び洛陽訪問の日程が付加されており,訪問団は,西安においては華清池,兵馬俑抗見学,市内観光,洛陽においては竜門石窟,関林堂,黄河見学,市内観光等を行った。 (ウ) 大分県も,国際交流の基本方針として,多様なローカル外交の推進を標榜し,その地方公共団体によるものの例として,臼杵市の市民訪問団派遣を挙げている。 (エ) 平成12年ころから,経済界や国においても,観光に対する見直しが図られるようになり,自然環境や歴史遺産に配慮した持続可能な環境を推進すべく,文化遺産保全や景観保存のための取組みの強化がいわれるようになった。このような環境を前提とし,また,東九州自動車道が津久見市まで延長される予定であること,近年,国内外から臼杵市へ訪れる観光客が増加したこと,臼杵市には国宝臼杵磨崖仏や古い街並みがあり,これらが観光資源になると期待できることから,臼杵市は,観光行政に力を入れることとなった。 (オ) 本件訪問の際の西安空港到着以降の訪問都市の選択については,控訴人Aが市長就任前に多数回中国を訪問した経験に基づいて提案し,日程については,控訴人A,第1,2次親善訪問団の団員によって組織された敦煌会及び旅行代理店Jと相談のうえ決定した。 (カ) 本件訪問団の西安空港到着以降の日程 回中国を訪問した経験に基づいて提案し,日程については,控訴人A,第1,2次親善訪問団の団員によって組織された敦煌会及び旅行代理店Jと相談のうえ決定した。 (カ) 本件訪問団の西安空港到着以降の日程は,原判決「事実及び理由」欄の第2の1(2)イ(ウ)ないし(ク)項(5頁4行目冒頭から6頁7行目末尾まで)のとおりであり,概ね,以下のとおりである。 平成12年9月29日控訴人Aを除く本件訪問団員は,西安空港到着以降,西安市内観光をした。 9月30日控訴人Aを除く本件訪問団は,西安市内観光の後,夕方,航空機で西安から桂林へ移動し,控訴人Aは,敦煌から西安へ向かい,西安で他の訪問団員と合流して,桂林へ移動した。 10月1日本件訪問団全員で,終日桂林市内を視察し,七星公園(五百羅漢など石仏文化の宝庫)の見学,漓江下りの船に乗船等をした。 10月2日午前11時ころ,桂林発の航空機で昆明へ移動し,午後,世界園芸博覧園を視察し,その後,西山龍門石窟(色鮮やかな塑像・石仏が残されている石窟),華亭寺等を視察した。 10月3日F,G,Hは,昆明市内において終日フリータイムをとり,控訴人Aその他の公式訪問団員は,他の一般市民参加者と共にオプショナルツアーであった昆明博物館,石林コースに参加した。夜は,本件訪問団全員によるさよならパーティーが施行された。 10月4日午前11時,昆明発の航空機(チャーター便)で大分空港へ向かい,午後6時30分,臼杵市役所において解団式が施行された後,本件訪問団は解散した。 (キ) 本件公式訪問団員らの支出命令書の用務欄には,控訴人A,F及びG分については,「敦煌市親善訪問」,控訴人Bその他の議員らの分及びH分については,「敦煌市親善訪問『臼杵市民の翼』」との記載がなされている。 イ上記のと 支出命令書の用務欄には,控訴人A,F及びG分については,「敦煌市親善訪問」,控訴人Bその他の議員らの分及びH分については,「敦煌市親善訪問『臼杵市民の翼』」との記載がなされている。 イ上記のとおり,西安空港到着以降の日程は,控訴人A,第1,2次親善訪問団の団員で構成された敦煌会の会員及び旅行代理店Jの社員で立案され,決定されたものであり,公的機関に対する訪問などの日程が入っていなかったことが認められる。しかしながら,上記のとおり,臼杵市は,各種のレベルでの国際交流を標榜しており,市民を募った「市民の翼」方式での敦煌市親善訪問はその中心的存在であって,本件訪問団による中国訪問もその臼杵市の施策の一環として行われたものであること,大分県もこの施策を後押ししていたこと,本件訪問団の前に行われた第1,2次親善訪問団においても,旅程を魅力的なものにし,多数の市民が参加するよう他都市の訪問を行っていたこと,本件出張が行われた平成12年ころには,国全体の観光のあり方が見直され,そのような潮流の中で,臼杵市も,自然環境と歴史遺産を生かした観光産業の発展を市の施策の1つとして取り入れていくことを今後の課題としており,そのために,市長及び市議会議員はいずれも機会があれば,他の同様の観光都市を視察する必要があったこと,桂林市及び昆明市の訪問が上記敦煌市の親善訪問と同一の機会を利用して行われたものであること,敦煌に次いで訪問した西安市(敦煌から直行して帰国するとしても,航空便を利用するためには同地まで引き返すことは避けられなかった。),桂林市及び昆明市において本件訪問団は,いずれも自然環境や歴史遺産などを生かした地を訪問していること,市長である控訴人Aを含めた本件公式訪問団の団員は一部を除いて常に市民と共に行動し,市民の意見に耳を傾けることが可能な状 本件訪問団は,いずれも自然環境や歴史遺産などを生かした地を訪問していること,市長である控訴人Aを含めた本件公式訪問団の団員は一部を除いて常に市民と共に行動し,市民の意見に耳を傾けることが可能な状態にあったこと,が認められる。これらの事実に照らすと,西安空港到着以降の日程に中国の公的機関に対する訪問などの予定がなく,その限りでは一般の観光旅行と変わらない日程であったとしても,そのことのみから市長である控訴人A及び控訴人Bその他の議員らの本件出張の公的意義が失われたということは相当でなく,本件訪問ないし出張の主たる目的が前記のような敦煌市における公式行事への参加を目的とするものであったこと,臼杵市における観光行政の発展という見地から敦煌市への訪問を機会に市民とともに中国各都市への訪問ないし出張が計画実施されたものであることなど前記認定のような諸事情を総合して判断すると,西安市到着以降昆明市までの本件出張も,必要かつ合理的範囲で行われたものと評価することができ,それが市長及び議会の裁量権を逸脱又は濫用した違法なものということはできない。 (4) 原判決認定のとおり(「事実及び理由」欄の第2の1(3)項〔6頁8行目から18行目まで〕),本件出張に関する旅費として控訴人Aに合計30万0900円,同Bに合計30万0900円,同控訴人以外の本件公式訪問団の議員ら各人にそれぞれ13万円が支出されたものであり,この必要最小限度性について検討する。 証拠(甲3の2,丙30の1ないし4)及び弁論の全趣旨によれば,控訴人Aに対する支給旅費は,本件訪問団と同一旅程によるところから,旅行代理店Jの企画した旅行代金24万8000円に日当・旅行雑費を加算した金額を支給されたものであること,旅費の支給額については,臼杵市における市長,助役及び収入役の給与並び 旅程によるところから,旅行代理店Jの企画した旅行代金24万8000円に日当・旅行雑費を加算した金額を支給されたものであること,旅費の支給額については,臼杵市における市長,助役及び収入役の給与並びに旅費に関する条例6条,臼杵市職員の旅費に関する条例31条により,国家公務員の例により規則で定めるとされており,かつ,市長は,同施行規則5条により,「市長,助役,収入役,教育長,議会の議員及び各種委員会の委員」については国家公務員等の旅費に関する法律(以下「旅費法」という。)別表第2の指定職の職務にある者の支給区分によるものと規定されていること,控訴人Aに関して本件出張についての通常の計算方法による旅費を算定すると,旅費法によれば,航空賃(ビジネスクラス)実費28万6700円(18条)及び日当1日あたり5100円,宿泊料1日当たり1万5500円(20条,21条)の合計44万8100円を支給すべきところ,本件訪問団とその旅程の大部分が同一行動となることから,控訴人Aには旅費法による算定金額限度内の30万0900円が支給されたものであることが認められる。したがって,控訴人Aに対する本件出張に関する本件支出は必要最小限度性を充たすものといえる。 弁論の全趣旨によれば,控訴人Aの場合と同様に,控訴人Bにも本件訪問団の一般参加者の旅行代金24万8000円に日当・旅行雑費が加算された30万0900円が支給されたものである。臼杵市議会議員報酬及び費用弁償条例(丙30の5)5条は,「市議会議員職務のため市外に出張したときは,市長,助役及び収入役の給与並びに旅費に関する条例第6条に規定する市長と同額を支給する。」と規定されているため,市議会議長である控訴人Bの旅費については,同Aと同様の金額が支給されることになるところ,控訴人Bにも上記金額が支給されたも 関する条例第6条に規定する市長と同額を支給する。」と規定されているため,市議会議長である控訴人Bの旅費については,同Aと同様の金額が支給されることになるところ,控訴人Bにも上記金額が支給されたものであるから,控訴人Bに対する本件出張に関する本件支出は必要最小限度性を充たすものというべきである。 控訴人Bを除く本件議員らには,平成12年8月18日,議会運営委員会において,本件出張に際して公費負担を13万円の限度で打ちきりとすると決定し,同年9月22日の本会議で可決のうえ,それぞれ13万円を支給したものである。この額は,上記臼杵市議会議員報酬及び費用条例5条による旅費によって算出される金額(控訴人Aに関する算出額と同額となる。)に照らしても必要最小限度性を充たすものである。 (5) したがって,控訴人A及び本件議員らに対する本件出張に関する本件支出が,地方自治法2条14項,地方財政法4条1項に反し,違法であるということはできない。 2 随行職員(F,G及びH)及び本件土産代の本件支出の適法性(争点(2))について(1) 随行職員の本件出張旅費の支出の適法性についてア上記1認定のとおり,控訴人A及び議員らの本件出張は,全日程にわたって公務としての性質を有し,控訴人A及び本件議員らの地位の重要性並びに臼杵市及び同市議会との連絡体制確保の要請等を考えると,市長部局及び市議会それぞれにつき随行員を同行する必要性があったと認められる。特に,控訴人Aの市長という立場に照らせば,臼杵市に変事が生じた場合等に諸事務の処理と連絡の両方について24時間体制で対応する必要性があることは社会通念に照らして容易に予想できることであり,また,本件訪問には多くの市民が同行しており,市当局として同人らとの交流を図る必要性もあったことなどを考え合わせると,随行 で対応する必要性があることは社会通念に照らして容易に予想できることであり,また,本件訪問には多くの市民が同行しており,市当局として同人らとの交流を図る必要性もあったことなどを考え合わせると,随行員を2名にする必要がなかったとまではいえず,市当局の随行員を1名にするか2名にするかは,市長の裁量に任されてよい事項というべきである。したがって,市長である控訴人AについてのF及びGの2名の市職員の,本件議員らについてのHの随行は,いずれも必要かつ合理的範囲内のものと評価することができ,市長及び市議会の裁量権を逸脱又は濫用した違法なものということはできない。 イ当事者双方は,それぞれF及びGの所属部署と研修の必要性について主張しているが,市長である控訴人Aに2名の随行員が必要であったことは上記のとおりであり,その連絡体制確保という目的に研修などの目的を付加し,随行員にどのような人選を行うかはまさに市長の行政裁量に属する事項であって,その裁量権を著しく逸脱した濫用的な人選をしていない限り,当該随行員についての出張命令を違法ということはできないところ,Fは,本件出張当時,総務部企画財政課総合企画係主任であり,総務部企画財政課は臼杵市の総合計画に関する庶務を担当し,本件訪問団への参加希望者等の相談窓口にもなっていた部署であり,Fも本件訪問団の企画立案に関わっていた者であって(甲5の2,丙41,原審証人F,当審における控訴人A本人),Fについて本件出張を命じたことについて裁量権の逸脱や濫用的な人選を窺わせるような事情を認めることはできない。また,Gについても,市民部健康課企画管理係主事であった者であり,臼杵市のまちづくりに関する第4次総合計画の策定にも携わっていたことが認められ(丙41,当審における控訴人A本人),同人に本件出張を命じたことに いても,市民部健康課企画管理係主事であった者であり,臼杵市のまちづくりに関する第4次総合計画の策定にも携わっていたことが認められ(丙41,当審における控訴人A本人),同人に本件出張を命じたことについて裁量権の逸脱や濫用的な人選を窺わせるような事情はない。 ウ原判決判示のとおり(「事実及び理由」欄の第2の1(3)項〔6頁8行目から10行目まで〕),本件出張に関して,旅費日当として,Fに29万1800円,Gに28万7600円が,Hに29万1800円が支出されている。 市長部局のF及びGに対する旅費は,本件訪問団と同一日程によるところから,旅行代理店Jの旅行代金24万8000円に日当・旅行雑費が加算された金額が支給されたものである(甲3の5・8,弁論の全趣旨)。 臼杵市職員の外国旅行については,前記臼杵市職員の旅費に関する条例31条により,国家公務員の例により規則で定めるとされており,同施行規則5条により,Fを旅費法別表第2の国家公務員行政職(一)4級に,Gを同3級に格付けして計算すると,Fには,航空賃(エコノミークラス)実費24万8700円(18条)及び日当1日あたり3800円,宿泊料1日当たり1万1600円(20条,21条),支度料5万3900円(39条)の合計42万7600円を支給すべきであり,Cには,航空賃(エコノミークラス)実費24万8700円及び日当1日あたり3200円,宿泊料1日当たり9700円,支度料5万3900円の合計41万0100円を支給すべきであるところ,両名にはいずれも旅費法に基づき算出される通常の場合の支給額を下回る旅費が支給されたものであるから,F及びGに対する本件出張に関する支出は必要最小限度性を充たすものである。 議会事務局のHについても,Fと同様であり(甲5の11,弁論の全趣旨),Hに対する本 旅費が支給されたものであるから,F及びGに対する本件出張に関する支出は必要最小限度性を充たすものである。 議会事務局のHについても,Fと同様であり(甲5の11,弁論の全趣旨),Hに対する本件出張に関する本件支出は必要最小限度性を充たすものというべきである。 エしたがって,上記随行員に対する本件出張に関する支出が地方自治法2条14項,地方財政法4条1項に反し,違法であるということはできない。 (2) 本件土産品代の支出について本件土産品代の支出が地方自治法2条14項,地方財政法4条1項に違反しないことは,原判決説示のとおりであるから,原判決の本件土産品代の支出に関する判示部分(「事実及び理由」欄の第2の1(3)項〔30頁5行目冒頭から12行目末尾まで〕)を引用する。 第4 結論以上の次第で,本件公式訪問団員らの中国各都市の出張旅費等の支出はいずれも違法なものとはいえず,被控訴人らの請求は理由がないから,本件控訴に基づき,これと異なる原判決中控訴人ら敗訴部分を取り消し,取消に係る被控訴人らの請求を棄却し,本件附帯控訴は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 (平成16年1月29日口頭弁論終結)福岡高等裁判所第五民事部裁判長裁判官湯地紘一郎裁判官岩木宰裁判官坂田千絵
▼ クリックして全文を表示