令和6(わ)242 業務上過失傷害被告事件

裁判年月日・裁判所
令和7年4月10日 徳島地方裁判所
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判決文本文1,789 文字)

主文 被告人を禁錮1年6月に処する。 この裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予する。 理由 (罪となるべき事実) 被告人は、徳島県板野郡a町b番地c「認定こども園A」の園長として、同園で保育する園児の安全管理及び同園職員に対する指揮監督等の業務全般を統括する業務に従事していたものであるが、令和4年12月5日午後3時30分頃、同園0歳児クラス室において、同クラス担当の保育教諭であるB、C、D(旧姓E)、F及び同クラス担当の保育教諭補助であるGが、同クラスに所属するH(当時1歳0か月)他13 名の園児らを遊戯させるに当たり、同室には乳幼児の口腔内に入る大きさの積み木(直径2.4㎝、高さ3㎝の円柱形)等の玩具が保管されており、園児らがそれらを口腔内に入れて誤嚥するおそれがあったのであるから、前記積み木等の誤嚥のおそれのある玩具を自ら園児らの手の届かない場所に適切に保管・管理し、前記Bら5名に対してその旨指示し、前記積み木等の誤嚥のおそれのある玩具をあえて園児らの手の 届く場所に保管して遊戯させる場合には、前記Bら5名に対してその間園児らの動静を常時注視するよう指示するなどし、同クラスの園児らによる玩具の誤嚥を防止すべき業務上の注意義務があるのに、これを怠り、これまで同園において誤嚥事故が発生していなかったことから誤嚥事故は起こらないものと軽信し、同室に前記積み木が保管されていることを知りながら、これを適切に保管・管理せず、かつ、前記Bら5名 に対して前記各指示をしなかった過失、同園の主幹保育教諭であるIによる同様の過失、及び、前記Bら5名が、前記積み木を園児らの手の届かない場所に保管せず、かつ、前記積み木をあえて園児らの手の届く場所に保管して遊戯させる間園児らの動静を常時注視しなかった各過失との競合 同様の過失、及び、前記Bら5名が、前記積み木を園児らの手の届かない場所に保管せず、かつ、前記積み木をあえて園児らの手の届く場所に保管して遊戯させる間園児らの動静を常時注視しなかった各過失との競合により、同日午後3時40分頃、同室において、前記Hに、前記積み木を誤嚥させて窒息させ、よって、同人に全治期間不詳の低酸素 性脳症等の傷害を負わせたものである。 (量刑の理由)被告人は、園児らの中には玩具を口に入れようとする子もいたなど、誤嚥事故発生の具体的な危険を十分に認識でき、事故防止のためのマニュアルも作成していたにもかかわらず、これまで特に誤嚥事故がなかったことから、同マニュアルに沿った誤嚥事故防止の措置すら講じることはなかった。このような被告人の判断は、乳幼児を預 かる認定こども園の園長として、あまりにも安易かつ軽率であったといわざるを得ず、誤嚥事故が発生するのも必然で、被告人の過失の程度は重い。さらに、被害結果は極めて重く、多くの可能性に満ちあふれていた被害者に重篤な障害を残し、被害者及びその家族の生活を一変させてしまった。以上によれば、本件事故に対する被告人の刑事責任は重く、被害者の両親が不条理に対する悲痛な心情意見を述べ、被告人に対し て厳しい処罰感情を抱くのも当然である。 一方で、被告人は、本件について素直に認め、県の指導に従って改善結果を報告し、その後に認定こども園の園長を辞任するなどして、内部的な責任を尽くし、今後は一職員として再発防止に努めるなど、本件を真摯に受け止めて反省している。また、被害者に対しては、認定こども園を運営する法人が加入している保険により、損害が全 額賠償される見込みであることは、被害が金銭によって回復できるものではないとはいえ、十分に斟酌しなければならない。 対しては、認定こども園を運営する法人が加入している保険により、損害が全 額賠償される見込みであることは、被害が金銭によって回復できるものではないとはいえ、十分に斟酌しなければならない。 以上によれば、被告人の刑事責任は重いものの、被告人に酌むべき事情も認められる本件において、前科前歴がない被告人に対していきなり実刑を科すことは相当でない。したがって、被告人に対しては、刑の執行を猶予することとし、主文のとおり判 決する。 (求刑・禁錮1年6月)令和7年4月10日徳島地方裁判所刑事部 裁判官細包寛敏

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