平成11(行コ)26 公文書非公開決定処分取消請求控訴事件(原審・京都地方裁判所平成9年(行ウ)第2号,同第3号)

裁判年月日・裁判所
平成11年7月28日 大阪高等裁判所 情報公開
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判決文本文7,267 文字)

- 1 -主文一本件控訴をいずれも棄却する。 二控訴費用は控訴人らの負担とする。 事実及び理由 第一当事者の求めた裁判一控訴人ら 原判決中控訴人ら敗訴部分を取り消す。 被控訴人の請求を棄却する。 訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。 二被控訴人主文同旨第二事案の概要一事案の概要は、原判決六頁二行目の「1記載の文書」を「1記載の文書(以下「目録㈠の文書」ということもある」と、同七行目の「1から28記載の各文。)書」を「1から28記載の各文書(以下、各別に「目録㈡1の文書」などと番号のみで呼称することもある」とそれぞれ改め、次項のとおり加えるほかは、原。)判決の「事実及び理由」の「第二事案の概要(原判決四頁七行目から二四頁六」行目まで)記載のとおりであるから、これを引用する。 二控訴人らの主張 八条一号該当性について本件において、被控訴人が公開を求めている各会合に出席した相手方の氏名及び職名は、いずれも個人識別情報に当たるところ、条例八条各号に定める非公開事由に該当するかどうかの判断に当たっては、次の点が考慮されなければならない。 すなわち、条例三条には、個人に関する情報の保護については、最大限の配慮をすべき旨定められている。そして、本件条例解釈の指針である公文書公開- 2 -(「」。)、、、・個人情報保護事務の手引以下本件手引というによれば職業趣味資格、団体加入状況、行事参加状況などが保護すべき個人に関する情報とされている一方、同条に該当せず、公開の対象となると考えられるものとして、⑴法令の規定により、何人でも閲覧することができるとされている情報、⑵個人が公表することについて了承し、又は公表することを前提として提供した情報、⑶個人が自主的に公表した と考えられるものとして、⑴法令の規定により、何人でも閲覧することができるとされている情報、⑵個人が公表することについて了承し、又は公表することを前提として提供した情報、⑶個人が自主的に公表した資料等から、他人が誰でも知り得る情報、が挙げられているところ、前記の参加者の氏名、職業は、右⑴ないし⑶の公開の対象となし得る情報には当たらない上に、右氏名、職業が明らかになれば、結局右手引に記載されている典型的プライバシーが侵害される結果となる。 したがって、相手方の氏名及び職名は、条例八条一号の非公開事由に該当する。 八条四号該当性について本件非公開にかかる相手方の考え方、主張、学説、意見などは、それらの周辺の者、学界、教育界、教育関係者には周知となっている。特定の行政庁の考え方も同様である。 このような、会合に出席した相手方の氏名、職名等を公開すると、京都市の施策や活動が当該相手方の意見だけを参考にしているとか、当該相手方の意見が控訴人の施策になるとの誤解を関係者や市民に与えかねない。 したがって、相手方の氏名及び職名は条例八条四号に該当する。 八条七号該当性について各公文書につき、前記2のような誤解が生じるのであるから、その場合京都市の今後の事務事業の公正、適切な執行に著しい支障が生じる。 したがって、相手方の氏名及び職名は条例八条七号に該当する。 第三 判断 一当裁判所も、被控訴人の控訴人教育委員会に対する本訴請求は、理由があるから認容すべきであり、控訴人市長に対する本訴請求は、同控訴人に対し、平成八- 3 -年一〇月一五日付けでした公文書一部非公開決定について、振込先銀行名、口座番号及び印影に関する部分を除き、その取消しを求める限度で理由があるから認容すべきであり、その余は失当であるから棄却すべきであると判断する。 その理由は 文書一部非公開決定について、振込先銀行名、口座番号及び印影に関する部分を除き、その取消しを求める限度で理由があるから認容すべきであり、その余は失当であるから棄却すべきであると判断する。 その理由は、次のとおり改めるほかは、原判決の「第三当裁判所の判断一な」()、いし四原判決二四頁八行目から三三頁一〇行目まで記載のとおりであるからこれを引用する。 原判決二四頁七行目の次に行を改めて、次のとおり加える。 「I条例が定める非公開事由該当性を判断するに当たり考慮すべき点について一本件各文書は、いずれも控訴人市長又は控訴人教育委員会が実施した飲食を伴う懇談会等の支出決定書であり、非公開とされた部分は、相手方出席者の氏名、職名であり、条例八条一号、四号又は七号に該当することを非公開事由とするものである。 二ところで、条例は、その前文において、公文書の公開を請求する権利を保障することにより市民の知る権利を具体化する旨宣言し、一条で、条例の趣旨を、公文書の公開を請求する権利を保障するとともに、京都市の公文書の公開に関し必要な事項等を定めること、三条で、実施機関の責務として、実施機関は、条例の解釈及び運用に当たっては、公文書の公開を請求する市民の権利を十分に尊重すべきことを規定している。 また、京都市における、条例の内部運用指針である本件手引には、条例の意義として、市民は、行政情報の公開請求権を有し、同市が公開義務を負うこと、行政情報は公開を原則とし、例外的に非公開とすることができる情報は必要最小限にとどめる旨記載されている(甲五。 )、、これらの条例の宣言文言規定の趣旨及び本件手引の記載に鑑みると非公開事由条項の解釈及びそれらへの該当性の有無を検討するに当たっては、これらの趣旨、目的に加えて本件手引の該当箇所をも参酌した上- 、これらの条例の宣言文言規定の趣旨及び本件手引の記載に鑑みると非公開事由条項の解釈及びそれらへの該当性の有無を検討するに当たっては、これらの趣旨、目的に加えて本件手引の該当箇所をも参酌した上- 4 -合理的な判断がなされることを要し、いやしくも、右非公開事由条項を拡張して解釈することにより市民の右公開請求権を不当に制限することのないようにすべきである。 そして、控訴人らは、公開請求の対象である文書の内容を把握しており、また行政事務を担当する立場にある者として、これら非公開事由の、、、有無を判断し得る立場にあるのであるからそれらの主張立証責任は控訴人らにあると解するのが相当である。 このような見地に立って、以下各別に検討することとする。 Ⅱ本件各文書の非公開の当否について」 原判決二五頁三行目から二七頁二行目までを次のとおり改める。 「3条例八条一号は「個人に関する情報で、他人が識別され、又は識別され、得るもの」のうち「公開しないことが正当であると認められるもの」につ、いてのみ非公開とすることができる旨定めているところ、右正当性の判断は、当該個人識別情報を公開されることによって個人が侵害されるべき利益の性質・内容、当該個人が控訴人市長又は控訴人教育委員会開催の協議・懇談会に公務として、あるいは公の立場で出席していたのか、それともあくまでも私的な交際として出席していたにとどまるのかなどを総合的に検討してなされなければならない。 これを本件についてみることとする。 ㈠目録㈡1,3、5、11、15、16(関係行政庁職員に関する部分、)26ないし28の各文書に記載の出席者の氏名、職名について、控訴人教育委員会は条例八条一号に該当すると主張するので検討するに、これら文書における相手方は、いずれも京都市以外の関係行政庁 る部分、)26ないし28の各文書に記載の出席者の氏名、職名について、控訴人教育委員会は条例八条一号に該当すると主張するので検討するに、これら文書における相手方は、いずれも京都市以外の関係行政庁職員として、公務の立場で、京都市あるいは控訴人教育委員会開催の、公の事務である協議・懇談会等に出席したものであり、右各文書における氏名、職名は、当該公務への出席者の識別・特定のための機能以上に、個人の人格利益にわた- 5 -る情報を表明しているものとはいえない。 ㈡右㈠以外の目録㈡の各文書及び目録㈡16の文書中学識経験者の職名、氏名に関する部分について、控訴人教育委員会は条例八条一号に該当すると主張するので検討するに、これらの出席者らは、いずれも民間人であるが「京都市教職員互助組合事務長(目録㈡2の文書「野外教育施設地、」)、元代表(目録㈡4の文書「学習センター講師(目録㈡6の文書)など」)、」として、対外的、社会活動における公の立場で、公の事務である京都市、控訴人教育委員会開催の協議・懇談会等に出席したものであるから、右各文書における氏名、職名は、当該公務への出席者の識別・特定のための機、。 能以上に個人の人格利益にわたる情報を表明しているものとはいえない㈢右で認定説示のとおり、これら各文書における相手方である公務員及び民間人らによる控訴人らの開催した協議・懇談会等への出席は、いずれも公務として、あるいは公の立場での活動であり、地方公共団体の首長主催の懇談会等に私人として出席し、あるいは右首長から慶弔、見舞いなどの目的で個人として金品を受ける場合における相手方とは本質的に異なり、前記各文書における氏名、職名を公開することによる個人の利益侵害の問題は生じないものといわなければならない。 したがって、これらの個人の職 個人として金品を受ける場合における相手方とは本質的に異なり、前記各文書における氏名、職名を公開することによる個人の利益侵害の問題は生じないものといわなければならない。 したがって、これらの個人の職名及び氏名は、条例八条一号にいう「公開しないことが正当であると認められるもの」には該当しないと解するのが相当である。 控訴人らは、右氏名、職名が本件手引三四頁[運用]2⑴ないし⑶の情報に当たらないことをもって、同号該当性を肯定すべきであると主張するけれども、本件手引が右[運用]1において、戸籍的事項、経歴などについても、同号に該当するかどうかの判断を要するとしてなお公開の余地を残していることと、右で認定説示したところに照らして、採用できない」。 原判決二八頁五行目から八行目までを次のとおり改める。 - 6 -「1㈠目録㈠の文書、目録㈡1ないし3、5、11、15ないし17、26ないし28の各文書に記載された相手方の氏名及び職名並びに相手方の名称は、条例八条四号の「市と国等との間における協議等により行う事務に関して作成した情報」に該当することは、明らかである。 ㈡ところで、本件手引(乙四)によれば、同号は、京都市と国等との協力関係、信頼関係を継続的に維持するため、公開することによりこれらの関係が損なわれ、当該又は以後の事務事業の実施に著しい支障を生じると認められる情報が記録された公文書について、非公開とすることを定めたものである。 右手引は、本号に該当するかどうかの判断を要する情報の具体例として次のようなものを指摘している。 ⑴京都市の事務事業の実施に関し、国等との協議に際して作成し、又は取得した情報で、国等との協力関係を確保するため、非公開とする必要があるもの。 ⑵国等に依頼し、提供を受けた情報又は国等からの通知等として取得した情 の実施に関し、国等との協議に際して作成し、又は取得した情報で、国等との協力関係を確保するため、非公開とする必要があるもの。 ⑵国等に依頼し、提供を受けた情報又は国等からの通知等として取得した情報で、国等との協力関係を確保するため、非公開とする必要があるもの。 ⑶国等の依頼による調査等で、国等に先行して公表してはならない旨の指示があるもの。 ⑷国等の行う検査、観察等に関する情報で、国等において公開していないものなど。 ㈢右㈠記載の各文書は、右㈡⑴記載の、国等との協議に際して作成し、又は取得した情報、同⑵記載の国等に依頼し、提供を受けた情報又は国等からの通知等として取得した情報、及び同⑶記載の国等の依頼による調査等のいずれにも該当しない。 ㈣前記㈠の文書のように、京都市の事務事業の実施のために行った協議会- 7 -等に係る支出文書は、右懇談会等が事業の施行のために必要な事項についての関係者との内密の協議を目的として行われたものであることの判断を可能とする程度に会合の趣旨、目的等の具体的な事実が主張立証されない限り、右各文書の公開により、条例八条四号に定める当該国等との協力関係又は信頼関係を損なうと断ずることはできないというべきところ(最高)、裁判所第三小法廷平成六年二月八日判決・民集四八巻二号二五五頁参照本件協議会等は、その趣旨、内容等に鑑みると、その開催を内密にすることが合理的に要請されているものと認めることはできないし、右各文書が本件手引における㈡記載の要判断事例にも該当しないことは、前記㈢で認定のとおりである。 右の認定、説示のもとでは、本件において、右の主張立証がなされているということはできない。 なお、京都市及び控訴人らがその開催に当たって部外秘としたとの一事をもって、右懇談会等が右内密の協議を目的として行われた 示のもとでは、本件において、右の主張立証がなされているということはできない。 なお、京都市及び控訴人らがその開催に当たって部外秘としたとの一事をもって、右懇談会等が右内密の協議を目的として行われた場合に当たるとすることができないことは論をまたない」。 原判決三〇頁九行目から三一頁三行目までを次のとおり改める。 「5したがって、相手方の氏名及び職名並びに相手方の名称は、条例八条四号に該当しない」。 原判決三一頁一〇行目から三二頁二行目までを次のとおり改める。 「2㈠目録㈠の文書、目録㈡1ないし21、24ないし28の各文書に記載された相手方の氏名及び職名が、市長の予算執行に関する事務にかかるものとして、条例八条七号の「本市が行うその他の事務事業に関する情報」に該当することは明らかである。 ㈡ところで、本件手引(乙四)によれば、右「その他の事務事業」とは、京都市又は国等が行うあらゆる事務事業をいい、同号で例示したもの以外に監督、検査、監査、契約等がある旨記載されており、また、同号が京都- 8 -市や国等が執行している多種多様な事務事業のすべてにわたる包括的な規定であることから、その運用に当たっては、条例の目的に従いできるだけ限定して解釈し、厳格に適用すべきことが指摘されている。 右手引は、同号に該当するかどうかの判断を要する情報の具体例として次のようなものを指摘している。 ⑴訴訟その他争訟事案に対する処理方針、準備書面の案の内容⑵設計金額、入札予定価格等の入札に関するもの⑶職員採用試験等の問題、採点基準に関するもの⑷用地買収計画、売買契約の内容、交渉の記録⑸未発表の実験、研究の内容に関するものなど㈢右㈠記載の各文書は、右㈡記載の監督、検査、監査、契約等及び⑴ないし⑸記載の各情報のいずれにも該当しない。 ㈣前記 計画、売買契約の内容、交渉の記録⑸未発表の実験、研究の内容に関するものなど㈢右㈠記載の各文書は、右㈡記載の監督、検査、監査、契約等及び⑴ないし⑸記載の各情報のいずれにも該当しない。 ㈣前記㈠の文書のように、京都市の事務事業の実施のために行った協議会等にかかる支出文書は、右懇談会等が事業の執行のために必要な事項についての関係者との内密の協議を目的として行われたものであることの判断を可能とする程度に会合の趣旨、目的等の具体的な事実を主張立証しない限り、右各文書の公開により、条例八条七号アないしエに定める各事由に該当すると断ずることはできないというべきところ(前記最高裁判所判決参照、本件協議会等は、その趣旨、内容等に鑑みると、その開催を内密)にすることが合理的に要請されているものと認めることはできないし、右各文書が本件手引における㈡記載の要判断事例にも該当しないことは、前記㈢で認定のとおりである。 右の認定、説示のもとでは、本件において、右主張立証がなされているということはできない。 なお、京都市及び控訴人らがその開催に当たって部外秘としたとの一事をもって、右懇談会等が右内密の協議を目的として行われた場合に当たる- 9 -とすることができないことは論をまたない」。 原判決三三頁七行目から一〇行目までを次のとおり改める。 「4したがって、相手方の氏名及び職名は、条例八条七号に該当しない」。 原判決三三頁一〇行目の次に行を改めて次のとおり加える。 「五以上のとおり、本件公文書のうち、振込先銀行名、口座番号及び印影に関する部分を除き、その余の記載部分を非公開とした本件処分は、その限度で違法として取消しを免れない」。 二以上によれば、被控訴人の控訴人教育委員会に対する本訴請求は、理由があるから認容すべきであり、控訴人市長に 、その余の記載部分を非公開とした本件処分は、その限度で違法として取消しを免れない」。 二以上によれば、被控訴人の控訴人教育委員会に対する本訴請求は、理由があるから認容すべきであり、控訴人市長に対する本訴請求は、同控訴人に対し、平成八年一〇月一五日付けでした公文書一部非公開決定について、振込先銀行名、口座番号及び印影に関する部分を除き、その取消しを求める限度で理由があるから認容すべきであり、その余は失当であるから棄却すべきところ、これと同旨の原判決は相当である。 よって、本件各控訴は理由がないからこれを棄却することとし、控訴費用の負担につき民訴法六七条一項、六一条、六五条一項を適用して、主文のとおり判決する。 大阪高等裁判所第九民事部裁判長裁判官根本眞裁判官鎌田義勝裁判官島田清次郎

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