主文 一原判決を次のとおり変更する。 1 控訴人が被控訴人らに対し平成8年7月17日付けでした原判決添付別紙目録一ないし三の各1記載の各土地の固定資産課税台帳に登録された平成6年度の価格についての審査の申出に対する決定のうち、同目録一の1記載の土地の価格が5799万8640円を超える部分、同目録二の1記載の土地の価格が3億3893万7200円を超える部分、同目録三の1記載の土地の価格が13億1806万1920円を超える部分について審査の申出を棄却した部分を取り消す。 2 被控訴人らのその余の請求を棄却する。 二訴訟費用は、第1、2審を通じてこれを10分し、その1を控訴人の負担とし、その余を被控訴人らの負担とする。 事実及び理由 第一控訴の趣旨一原判決を取り消す。 二被控訴人らの請求を棄却する。 第二事案の概要一事案の概要は、原判決8頁11行目の「本件各土地」を「原判決添付別紙目録一ないし三の各1記載の土地(以下、これらの土地を「本件各土地」と総称し、個々の土地を順次「本件土地1」、「本件土地2」及び「本件土地3」という。)」に、同10頁7行目の「法」を「地方税法(以下「法」という。)」に、同45頁10行目、同47頁1行目、同50頁9行目、同51頁1行目、同6行目、同8行目、同12行目、同52頁6行目、同8行目及び同54頁末行の各「原告」をいずれも「被控訴人ら」にそれぞれ改め、控訴人の当審における補充主張及び新主張を次項のとおり加えるほかは、原判決「事実及び理由」欄中の「第二事案の概要」に記載のとおりであるから、これを引用する。 二控訴人の当審における主張 1 「適正な時価」の算定基準日について原判決は、法は土地課税台帳に登録すべき価格を基準年度に係る賦課期日における価格としているのであるから、この登 これを引用する。 二控訴人の当審における主張 1 「適正な時価」の算定基準日について原判決は、法は土地課税台帳に登録すべき価格を基準年度に係る賦課期日における価格としているのであるから、この登録価格は、賦課期日である当該年度の初日の属する年の1月1日(本件では、平成6年1月1日)時点を基準日として、同日における客観的時価をもって算定すべきであって、これと異なる時点における客観的時価をもって賦課期日における価格とみなすことは許されないと判示している。 しかし、法第349条第1項は、「登録価格」を「基準年度に係る賦課期日における価格」と規定しているのではなく、「課税標準」を「基準年度に係る賦課期日における価格で土地課税台帳等に登録されたもの」と規定している。このように、課税標準を、基準年度に係る賦課期日における価格ではなく、基準年度に係る賦課期日における価格で「土地課税台帳等に登録された価格」としているのは、法が、土地課税台帳等に価格を登録するに当たり市町村長(特別区においては都知事)に評価事務に係る種々の手続を履践するよう求め、他方において、固定資産の価格を毎年2月末日までに決定しなければならないとしている(第410条)ことからすると、市町村長が上記手続を履践した上で、2月末日までに土地課税台帳等に価格を登録することができるようにする趣旨であると解されるから、「適正な時価」の算定基準日は、賦課期日から評価事務に要する一定期間を遡った過去の時点に求めれば足りるというべきである。 したがって、平成6年度の評価替えにおける価格算定の基準日を評価事務に要する一定期間を遡った相当な時点である平成4年7月1日としたこと(なお、同日から平成5年1月1日までの時点修正も併せて行っている。)は、法が当然に予定していることであって、適法ということがで 務に要する一定期間を遡った相当な時点である平成4年7月1日としたこと(なお、同日から平成5年1月1日までの時点修正も併せて行っている。)は、法が当然に予定していることであって、適法ということができる。 2 本件各土地の「適正な時価」について(一) 原判決は、標準宅地aについては、平成5年1月1日から平成6年1月1日までの間に、7割評価通達(自治事務次官の依命通達「固定資産評価基準の取扱いについて」昭和38年12月25日自治乙固発第30号を一部改正する旨の通知(平成4年1月22日自治固第3号))に従った場合に生ずる3割の評価誤差の許容範囲を超える33.9パーセントの地価下落があった旨判示している。 しかし、乙第41、第42号証の各1ないし3、第45号証の1、2及び第46号証の1ないし3によれば、本件各土地の上記期間の地価下落率は31.5パーセントにとどまっている。また、適正な時価とは、正常な条件の下における取引価格であるから、ある一点を示す固定的なものではなく、ある程度(10パーセントから20パーセント)の幅を持った価格帯に存する価格を指すと解すべきであり、そうとすれば、上記地価下落率が30パーセントを超えているとしても、本件各土地の登録価格が直ちに違法になるわけではない。 仮に、標準宅地aの上記期間の地価下落率が31.5パーセントであり、30パーセントを超える部分が違法となるとしても、別表記載のとおり、本件土地1の評価額が6022万1700円、本件土地2の評価額が3億5192万8500円、本件土地3の評価額が13億6858万2600円と算定されるから、本件決定は、上記各金額を超える部分のみが取り消されるべきである。 (二) なお、原判決は、標準宅地bの平成4年7月1日から平成5年1月1日までの地価下落率に関し、本件決定が、標準宅地 定されるから、本件決定は、上記各金額を超える部分のみが取り消されるべきである。 (二) なお、原判決は、標準宅地bの平成4年7月1日から平成5年1月1日までの地価下落率に関し、本件決定が、標準宅地bに沿接する正面路線の固定資産路線価と相続税路線価との比を、適正な比とされる7対8にするために、上記期間の時点修正率で調整して、時点修正率をマイナス7.2パーセントとしたことについて、上記時点修正率を採用することは客観的時価の評価の見地から是認することはできないとして、上記期間における地価下落率を12.2パー1セントと認めるのが相当である旨判示している。 しかし、平成6基準年度の評価替えは、公的土地評価相互の均衡と適正化を図ることが主要な目的の一つであったことからして、評価に際しては、地価公示価格はもとより、相続税路線価との均衡を保つことが極めて重要であるというべきである。そうだとすると、標準宅地について平成5年予定相続税路線価と平成6年度予定固定資産税路線価について地価公示価格に対して概ね7対8、両者の関係が87.5パーセントとなるように調整することが不可欠であるから、相続税路線価との調整という要素を加味した下落率をもって客観的時価の下落率の資料とすることを不相当とする原判決の判示は失当というべきである。 3 固定資産評価審査委員会(以下「審査委員会」という。)の違法な審査決定とその取消判決の関係について(新主張)原判決は、本件各土地の固定資産税評価額が「適正な時価」を上回るときには、本件決定は違法であり、その全部を取り消すべきである旨判示している。 しかし、本件訴訟は、本件決定の登録価格の適否を判断するものであって、適正な時価を超える部分のみを取り消す一部取消判決をしたとしても、取消判決の拘束力(行政事件訴訟法第33条第1項)によって る。 しかし、本件訴訟は、本件決定の登録価格の適否を判断するものであって、適正な時価を超える部分のみを取り消す一部取消判決をしたとしても、取消判決の拘束力(行政事件訴訟法第33条第1項)によって、「その他の関係行政庁」である市町村長は審査決定と同様な措置をとること義務づけられていること、原判決のように解すると、事件が裁判所と審査委員会との間を往復することになって紛争が永続化するのみならず、是正すべき評定方法が一義的に明らかにならず、場合によっては紛争の抜本的解決を図ることができなくなることなどに鑑みると、一部取消判決を認めるべきである。 第三当裁判所の判断一当裁判所も、本件決定は、本件土地1の価格を5799万8640円を上回る6138万3000円と認定した点において、本件土地2の価格を3億3893万7200円を上回る3億5871万5000円と認定した点において、本件土地3の価格を13億1806万1920円を上回る13億9497万4000円と認定した点において、いずれも違法であると判断する。その理由は、原判決81頁3行目、同82頁2行目及び同8行目の各「原告」をいずれも「被控訴人ら」に、同112頁1行目の「違法であり」から同2行目の「判決する」までを「違法である」にそれぞれ改め、控訴人の当審における主張に対する判断を次項のとおり加えるほかは、原判決「事実及び理由」欄中の「第三争点に対する判断」に記載のとおりであるから、これを引用する。 二控訴人の当審における主張に対する判断 1 「適正な時価」の算定基準日について控訴人は、「法第349条第1項が、土地について課する基準年度の固定資産の「課税標準」を「基準年度に係る賦課期日における価格で土地課税台帳等に登録されたもの」と規定しているのは、法が、土地課税台帳等に価格を登録するに 49条第1項が、土地について課する基準年度の固定資産の「課税標準」を「基準年度に係る賦課期日における価格で土地課税台帳等に登録されたもの」と規定しているのは、法が、土地課税台帳等に価格を登録するに当たり市町村長(特別区においては都知事)に評価事務に係る種々の手続を履践するよう求め、他方において、固定資産の価格を毎年2月末日までに決定しなければならないとしていることからすると、市町村長が上記手続を履践した上で上記期限までに土地課税台帳等に価格を登録することができるようにする趣旨であると解されるから、「適正な時価」の算定基準日は賦課期日から評価事務に要する一定期間を遡った過去の時点に求めれば足りる」と主張する。 法は、土地に対して課する固定資産税の課税標準を、基準年度に係る賦課期日における価格で土地課税台帳等に登録されたものとし(第349条第1項)、この「価格」とは「適正な時価」であるとしており(第341条第5号)、固定資産税が土地の所有という事実に着目して課される財産税であることに照らすと、上記「価格」あるいは「適正な価格」は、当該土地の交換価値に着目したもので、正常な条件の下に成立する土地の取引価格すなわち客観的交換価値(客観的時価)をいうものと解される。そして、法第349条第1項が、課税標準を「基準年度に係る賦課期日における価格で土地課税台帳等に登録されたもの」とすると定めているのは、文言上、基準年度に係る賦課期日(本件では、平成6年1月1日)における「価格」、すなわち上記のような意義における「適正な時価」を土地課税台帳等に登録し、その価格をもって課税標準とする趣旨であることが明らかである。 もっとも、法第410条は、市町村長が毎年2月末日までに固定資産の価格等を決定すべきものと定めているところ、大量に存在する課税対象となる固定資 格をもって課税標準とする趣旨であることが明らかである。 もっとも、法第410条は、市町村長が毎年2月末日までに固定資産の価格等を決定すべきものと定めているところ、大量に存在する課税対象となる固定資産につき、2か月間のうちに評価事務のすべてを行うことは困難であるから、賦課期日における価格算定の資料とするための標準宅地等の価格算定については、賦課期日から評価事務に要する相当な期間を遡った時点を価格調査の基準日とすることまでを法が禁止しているものとは解されないが、そのことから、賦課期日以外の特定の日をもって賦課期日における価格とみなすことまで許容するものと解することはできない。 控訴人の前記主張は、採用することができない。 2 本件各土地の「適正な時価」について(一) 控訴人は、「本件各土地の平成5年1月1日から平成6年1月1日までの地価下落率は31.5パーセントにとどまっているところ、適正な時価とはある一点を示す固定的なものではなく、ある程度(10パーセントから20パーセント)の幅を持った価格帯に存する価格を指すと解すべきであるから、上記地価下落率が30パーセントを超えているとしても、本件各土地の登録価格が直ちに違法になるわけではない」と主張する。 しかしながら、前述のように、「適正な時価」とは、正常な条件の下に成立する当該土地の取引価格すなわち客観的な交換価値(客観的時価)をいうものと解すべきであり、それを土地課税台帳等に記載して固定資産税の課税標準とする以上、特定の金額をもった価格でなければならないことはいうまでもないところである。もっとも、法は、固定資産の評価については評価基準によることを求めている(法第403条第1項)ところ、評価基準は、各筆の土地を個別評価することなく、諸制約の下において大量の土地について可及的に適正な時価を も、法は、固定資産の評価については評価基準によることを求めている(法第403条第1項)ところ、評価基準は、各筆の土地を個別評価することなく、諸制約の下において大量の土地について可及的に適正な時価を評価する技術的方法と基準を定めるものであって、宅地の評価についてみれば、個別鑑定と同様の方法で標準宅地の客観的時価を算定し、価格形成要因の主要なものに関する補正等を加えて、対象土地の価格を比準評定するものである。たしかに、控訴人が指摘するとおり、実際の土地取引においては、売り手と買い手の力関係等により、適正と思われる価格水準を多少上下して取引が行われるのが通常であり、その意味において、土地の取引価格には一定の幅があるということができるけれども、評価基準においては、標準宅地の客観的時価算定の一手法としての取引事例比較法による評価に当たり、個別の取引に伴う事情の補正を行うなど、個別事情を捨象して客観的時価の算定を行うものとしているのである。また、取扱通達も、土地の評価は、売買実例価額から求める正常売買価格に基づいて適正な時価を評定する方法によることとし、現実の売買実例価額に正常と認められない条件がある場合においてはこれを修正して求められる正常売買価格によるものとしているところである。 もっとも、前述のように、評価基準が、各筆の土地を個別評価することなく、諸制約の下において大量の土地について可及的に適正な時価を評価する技術的方法と基準を定めるものであるという性質上、標準宅地の評定及び評価基準による比準の手続に過誤がないとしても、個別的な評価と同様の正確性を有しないことはやむを得ないところであり、評価基準による評価と客観的時価とが一致しない場合が生じることも当然に予想されているものというべきである。そうだとすれば、少なくとも評価基準等による評価額 を有しないことはやむを得ないところであり、評価基準による評価と客観的時価とが一致しない場合が生じることも当然に予想されているものというべきである。そうだとすれば、少なくとも評価基準等による評価額が客観的時価を超えるという事態が生じないように、あらかじめ減額した数値をもって、計算の基礎となる標準宅地の「適正な時価」として扱うことは、合理的な方法であるというべきであり、また、評価手続上、賦課期日における時価が予測値にならざるを得ず、あらかじめ定められた評価基準日から賦課期日までの間に地価が下落する可能性も排除できないことからしても、あらかじめ「適正な時価」を控え目に評定する一般的な負担軽減方法を定めておくことも、固定資産の価格を「適正な時価」と定めた法の趣旨に反しない限度で許されるものというべきである。その意味では、公示価格の算定と同様の方法で評価した標準宅地の価格のおよそ7割をもってその適正な時価として扱うことも、法が禁じるものではなく、7割評価通達にはこのような趣旨において合理性が認められるというべきである。 したがって、評価基準等を適正に適用し、7割評価による修正を経て算定された価格が賦課期日における客観的時価を上回らない限り、この点で、審査委員会が行った決定に違法があるとはいえないが、このようにして算出された価格を対象土地の適正な時価として登録した以上、その登録価格が賦課期日における当該土地の客観的時価を上回るときは、その限度において登録価格の決定は違法となるというべきである。 なお、控訴人は、乙第41、第42号証の各1ないし3などを基に、本件各土地の平成5年1月1日から平成6年1月1日までの地価下落率を算定するに当たっては、本件各土地から半径500メートル以内及び半径1キロメートル以内にある地価公示地及び東京都基準地の地価 基に、本件各土地の平成5年1月1日から平成6年1月1日までの地価下落率を算定するに当たっては、本件各土地から半径500メートル以内及び半径1キロメートル以内にある地価公示地及び東京都基準地の地価下落率によるべきであるとし、それによれば、同期間内の地価下落率は31.5パーセントにとどまる旨主張する。しかし、原判決は、標準宅地aの鑑定評価に当たり同土地の規準価格算定の基礎とされた地価公示地・渋谷5-12(渋谷区α213番)の公示価格が、上記期間内に33.9パーセント下落しているところ、地価公示制度の目的や地価公示地選定及び公示価格算定の仕組みに照らし、地価公示価格は当該土地の基準日における正常取引価格に極めて近似するものと解することができ、標準宅地aと同公示地の近接性及び状況の類似性に照らせば、標準宅地aについても、同期間内に33.9パーセントの地価下落があったものと推認するのが相当であると認定しているのであるが、これに対し、前記各証拠によれば、控訴人が挙げる地価公示地及び東京都基準地のうち、標準宅地aに最も近接し、状況に類似性があると認められるのは、前記地価公示地・渋谷5-12であって、それ以外の地価公示地及び東京都基準地は、いずれも標準宅地aとの近接性及び状況の類似性において劣るものであることが認められる。そうすると、前記各証拠をもってしても、原判決の上記認定を左右するに足りないものというべきであり、標準宅地aについては、平成5年1月1日から平成6年1月1日までの間に、7割評価通達に従った場合に生じる3割の評価誤差の許容範囲を超える地価下落があったと認めるのが相当である。 控訴人の前記主張は、採用することができない。 (二) 控訴人は、標準宅地bの平成4年7月1日から平成5年1月1日までの地価下落率に関し、本件決定が、標準宅地bに沿 があったと認めるのが相当である。 控訴人の前記主張は、採用することができない。 (二) 控訴人は、標準宅地bの平成4年7月1日から平成5年1月1日までの地価下落率に関し、本件決定が、標準宅地bに沿接する正面路線の固定資産路線価と相続税路線価との比を、適正な比とされる7対8にするために、同期間の時点修正率を調整し、マイナス7.2パーセントと決定したことについて、客観的時価の評価の見地から是認することができないとした原判決の判断は不当であると主張する。 しかし、公的土地評価相互間の均衡と適正化を図るという行政的配慮は理解し得るとしても、前述のとおり、固定資産税の課税標準又はその算定の基礎となる土地の「適正な時価」は、正常な条件の下に成立する当該土地の取引価格すなわち客観的な交換価値(客観的時価)をいうものであり、登録価格がこの客観的時価を上回るときは、登録価格の決定は、その上回る限度において正当とすることはできないのであって、この時価の鑑定という観点からみると、客観的な価格変動そのものとは異なる相続税路線価との調整という要素をもって、価格評価の専門家である不動産鑑定士の評価に修正を加えることを是認することはできないというべきである。 控訴人の前記主張は、採用することができない。 3 審査委員会の違法な審査決定とその取消判決の関係について控訴人は、本件各土地の固定資産税評価額が「適正な時価」を上回るときには、本件決定のうち上記上回る部分に係る部分を取り消す旨の一部取消判決をするべきであると主張するので、検討する。 本件訴訟は、被控訴人らが、本件各土地の固定資産課税台帳に登録された平成6年度の価格(いずれも被控訴人らの審査の申出に対する控訴人の本件決定により変更されたもの)が「適正な時価」を上回ると主張して、その全部又は一部(上記上回る 各土地の固定資産課税台帳に登録された平成6年度の価格(いずれも被控訴人らの審査の申出に対する控訴人の本件決定により変更されたもの)が「適正な時価」を上回ると主張して、その全部又は一部(上記上回る部分に係る部分)の取消しを選択的に求めているものである。原判決は、前判示のとおり、本件各土地の固定資産課税台帳に登録すべき平成6年度の価格は、本件土地1が5799万8640円、本件土地2が3億3893万7200円、本件土地3が13億1806万1920円とすべきであると判断した上、本件決定により変更された上記登録価格はいずれも上記各金額を超えているとして、本件決定を全部取り消す旨の判決をした。 たしかに、法には、審査委員会が審査決定をした場合における登録価格等の修正手続についての規定(第435条)はあるが、審査決定の取消判決が確定した場合の手続についての規定はない。しかし、裁判所が、争いのある土地の登録価格について、法及び評価基準等を正しく適用した結果として、特定の金額をもって適正な時価を認定し、審査決定中その金額を超える部分のみを取り消す一部取消判決をした場合には、取消判決の拘束力(行政事件訴訟法第33条第1項)によって、市町村長は審査決定場合と同様の措置をとること義務づけられるものと解されるのであって、改めて審査委員会の審査決定を介在させる必要性はないし、介在させないことによって特に不都合が生ずるとも考えられず、むしろ、紛争の早期解決につながるものと考えられる。そうすると、違法の理由が審査手続の違法である場合や、例えば、標準宅地の評定方法そのものに過誤があってその再施を要するなど、内容の違法であっても例外的に審査委員会に審査のやり直しを求めるのが相当である場合は別として、本件のような場合には、審査決定のうち、裁判所の認定に係る適正な価格を に過誤があってその再施を要するなど、内容の違法であっても例外的に審査委員会に審査のやり直しを求めるのが相当である場合は別として、本件のような場合には、審査決定のうち、裁判所の認定に係る適正な価格を超える部分について審査の申出を棄却した部分のみを違法として取り消せば足りるというべきである。 したがって、本件決定については、原判決の認定に係る前記各価格を超える部分について審査の申出を棄却した部分のみを取り消すべきである。 第四結論以上によれば、原判決は上記判断と抵触する限度で相当ではないから、主文第一項のとおり変更することとし、訴訟費用の負担について民事訴訟法第67条第2項、第61条、第64条本文、第65条第1項本文を適用して、主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第5民事部裁判長裁判官魚住庸夫裁判官飯田敏彦裁判官菅野博之
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