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昭和42(行ケ)148 審決取消請求事件

裁判所

昭和44年6月26日 東京高等裁判所 その他

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5,971 文字

主文 特許庁が、昭和四二年六月二三日、同庁昭和三九年抗告審判第三五七号事件についてした審決を取り消す。訴訟費用は被告の負担とする。事実 第一、当事者の求めた裁判原告訴訟復代理人は主文同旨の判決を求め、被告指定代理人は「原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。」との判決を求めた。第二、請求原因一、特許庁における手続の経緯原告は、昭和三四年一一月二五日、「絞り開口を光によるかまたは手で制御して調整する写真カメラの装置」という名称の発明について特許出願し、昭和三七年四月一一日出願公告がなされた。これに対し株式会社ヤシカから特許異議の申立がなされたので、原告は昭和三八年二月一日特許異議答弁書を提出し、最初の明細書を同答弁書添附の訂正書案のように訂正する用意がある旨申立てた。これに対し、特許庁審査官は、昭和三八年二月二〇日、旧特許法第七五条第五項により、原告に対し、右訂正書案のとおりの訂正書を訂正命令発送の日(同年四月二日)から三箇月以内、すなわち同年七月二日までに差出すことを命じた。原告は、右期日までに準備ができなかつたので、右同日訂正書の提出期間を同年八月二日まで延長されたい旨の期間延長願を提出し、同年八月二日訂正明細書を提出し、いずれも受理された。しかるに、審査官は、前記訂正書提出期間満了の日(同年八月二日)より前である同年七月三一日、訂正前の明細書にもとづき、前記特許異議の申立は理由がある旨の決定をするとともに、「この出願は株式会社ヤシカの特許異議申立に対する特許異議の決定に記載した理由によつてこれを拒絶すべきものと認める。」とのみ記載した拒絶査定をした。特許庁長官は右拒絶査定に対する抗告審判請求期間を二箇月延長したうえ、同年八月二八日原告に対し右拒絶査定の謄本を書留郵便により(旧特許 これを拒絶すべきものと認める。」とのみ記載した拒絶査定をした。特許庁長官は右拒絶査定に対する抗告審判請求期間を二箇月延長したうえ、同年八月二八日原告に対し右拒絶査定の謄本を書留郵便により(旧特許法施行規則第一九条第二項)送達したが、前記特許異議決定の謄本は原告に送付(右施行規則第四八条第二項)しなかつた。 求期間を二箇月延長したうえ、同年八月二八日原告に対し右拒絶査定の謄本を書留郵便により(旧特許 これを拒絶すべきものと認める。」とのみ記載した拒絶査定をした。特許庁長官は右拒絶査定に対する抗告審判請求期間を二箇月延長したうえ、同年八月二八日原告に対し右拒絶査定の謄本を書留郵便により(旧特許法施行規則第一九条第二項)送達したが、前記特許異議決定の謄本は原告に送付(右施行規則第四八条第二項)しなかつた。そこで、原告は、翌二九日前記拒絶査定謄本を審査官に返戻し、審査官はこれを受領した。原告はその後訂正申立書にもとづく出願に対する査定を待つていたところ、特許庁長官は、昭和三九年一〇月一〇日、前記訂正明細書は異議決定後の差出であるから受理しない旨の処分を行い、同月二一日原告にその旨通知した。原告は事の意外に驚き担当審査官と交渉したところ、特許庁長官は、同年一一月二八日、原告に対し、前記特許異議の決定謄本を送付するとともに、前記拒絶査定謄本を改めて送達した。そこで原告は、右送達を受けた日から三〇日以内である同年一二月一四日抗告審判を請求した(同年抗告審判第三五七号)。特許庁はこれに対し昭和四二年六月二三日「本件抗告審判の請求を却下する。」との審決をし、その謄本はその頃原告に送達された(なお審決に対する出訴期間は昭和四二年一二月八日まで延長された。)。二、本件審決理由の要点本件拒絶査定謄本は昭和三八年八月二八日原告に送達された。旧特許法施行規則第四八条は、査定の謄本は出願人に送達すべき旨規定しているにもかかわらず、特許異議の決定謄本は送付すれば足りる旨規定している点からみれば、右決定謄本が拒絶査定謄本に添附されていなかつたとしても、これをもつて拒絶査定謄本の送達がその効力を生じないとすることはできない。その後昭和三九年一一月二七日両謄本が再送されているが、これによつて査定が取り消されて新たな査定がなされたものとも、また査定謄本の送達がこ 絶査定謄本の送達がその効力を生じないとすることはできない。その後昭和三九年一一月二七日両謄本が再送されているが、これによつて査定が取り消されて新たな査定がなされたものとも、また査定謄本の送達がこの日に初めてなされたものとも認めることはできない。したがつて、本件拒絶査定に対する抗告審判の請求は、前記送達の日から三〇日と二箇月以内である昭和三八年一一月二七日までになされなければならない。 本の送達がこ 絶査定謄本の送達がその効力を生じないとすることはできない。その後昭和三九年一一月二七日両謄本が再送されているが、これによつて査定が取り消されて新たな査定がなされたものとも、また査定謄本の送達がこの日に初めてなされたものとも認めることはできない。したがつて、本件拒絶査定に対する抗告審判の請求は、前記送達の日から三〇日と二箇月以内である昭和三八年一一月二七日までになされなければならない。しかるに、本件抗告審判の請求は、昭和三九年一二月一四日になされたものであるから、法定期間経過後の不適法な請求である。三、本件審決を取り消すべき事由(一) 原告は、昭和三八年八月二日訂正明細書を適法に提出したから、これにより出願の当初に遡つて訂正明細書のとおりの出願がなされたことになる。したがつて、審査官はこの訂正された出願について審査および査定をしなければならず、その査定謄本こそ本件における「送達すべき書類」にほかならない。しかるに、審査官は訂正前の出願について拒絶査定をし、特許庁長官はその謄本を原告に送達したのであるから、本件においては「送達すべき書類」の送達はされなかつたのである。(二) 旧特許法第八一条は、「査定ニハ理由ヲ附スヘシ」と規定している。ところが、昭和三八年八月二八日に原告に送達された拒絶査定謄本には、出願拒絶の理由は特許異議決定記載の理由のとおりと記載されているのにかかわらず、その特許異議決定の謄本は原告に送付されなかつた。したがつて、原告に送達された本件拒絶査定謄本は理由の記載が全く欠けており、このような謄本が送達されても拒絶査定送達の効力は生じない。(三) 原告に対し昭和三八年八月二八日にされた拒絶査定謄本の送達は、撤回されたものである。すなわち、原告代理人が翌二九日に右謄本を特許庁審査官に返戻し、審査官がこれを受領したことに 力は生じない。(三) 原告に対し昭和三八年八月二八日にされた拒絶査定謄本の送達は、撤回されたものである。すなわち、原告代理人が翌二九日に右謄本を特許庁審査官に返戻し、審査官がこれを受領したことにより、右送達は撤回されたものである。仮にそうでないとしても、特許庁長官が昭和三九年一一月二八日右拒絶査定謄本を改めて原告に送達したことにより、前記昭和三八年八月二八日になされた送達は撤回されたものである。第三、被告の答弁本件の特許庁における手続の経緯(ただし、特許庁が昭和三八年七月二日原告の訂正書提出期間延長願を、同年八月二日原告の訂正明細書を受理したことを除く。 戻し、審査官がこれを受領したことにより、右送達は撤回されたものである。仮にそうでないとしても、特許庁長官が昭和三九年一一月二八日右拒絶査定謄本を改めて原告に送達したことにより、前記昭和三八年八月二八日になされた送達は撤回されたものである。第三、被告の答弁本件の特許庁における手続の経緯(ただし、特許庁が昭和三八年七月二日原告の訂正書提出期間延長願を、同年八月二日原告の訂正明細書を受理したことを除く。)および本件審決理由の要点が原告主張のとおりであることは認める。本件審決には原告主張の違法はない。すなわち、本件拒絶査定謄本の送達が昭和三八年八月二八日になされたことは明らかであるから、たとえその査定の理由が具体的に示されていなかつたとしても、拒絶査定の効力は送達の日に発生し、これに対する抗告審判の請求期間もその日から進行する。拒絶査定に理由が附されていないから違法であるとの主張は、抗告審判の請求を法定期間内にした場合にはじめて主張し得るところであつて、法定期間経過後は主張し得ないものである。また、拒絶査定の取消は抗告審判の審決によるほか途がなく、審査官の単なる言明によつてこれを取り消すことはできないばかりでなく、特許庁長官は本件拒絶査定謄本を昭和三九年一一月二八日改めて原告に送達したのではなく、原告の言い分に従つて一時特許庁で保管していた右謄本を送付もれのあつた特許異議決定の謄本と同封して原告に便宜返送したに過ぎない。したがつて、前記昭和三八年八月二八日になされた送達は撤回されたものではない。第四、証拠関係(省略) 理由 一、次の事実は当事者間に争がない 封して原告に便宜返送したに過ぎない。したがつて、前記昭和三八年八月二八日になされた送達は撤回されたものではない。第四、証拠関係(省略) 理由 一、次の事実は当事者間に争がない。原告は、昭和三四年一一月二五日その主張の発明につき特許出願し、昭和三七年四月一一日出願公告がなされたところ、株式会社ヤシカから特許異議の申立がなされた。特許庁審査官は、昭和三八年七月三一日、右特許異議の申立は理由がある旨の決定をするとともに、原告の特許出願につき、「この出願は株式会社ヤシカの特許異議申立に対する特許異議の決定に記載した理由によつてこれを拒絶すべきものと認める。」との拒絶査定をした。右拒絶査定の謄本は同年八月二八日原告に送達されたが、右特許異議決定の謄本は、昭和三九年一一月二八日に至つてはじめて原告に送付された。 議の申立がなされた。特許庁審査官は、昭和三八年七月三一日、右特許異議の申立は理由がある旨の決定をするとともに、原告の特許出願につき、「この出願は株式会社ヤシカの特許異議申立に対する特許異議の決定に記載した理由によつてこれを拒絶すべきものと認める。」との拒絶査定をした。右拒絶査定の謄本は同年八月二八日原告に送達されたが、右特許異議決定の謄本は、昭和三九年一一月二八日に至つてはじめて原告に送付された。原告は右同日から三〇日以内である同年一二月一四日抗告審判を請求した(同年抗告審判第三五七号)。特許庁はこれに対し昭和四二年六月二三日原告主張の理由にもとづき、「本件抗告審判の請求を却下する。」との審決をし、その謄本はその頃原告に送達された。(なお審決に対する出訴期間は昭和四二年一二月七日まで延長された。)二、前叙の事実関係のもとにおいて、本件拒絶査定に対する抗告審判の請求期間はいつから進行をはじめるかについて次に判断する。拒絶査定に対する抗告審判の請求期間は、拒絶査定送達の日から進行を始める(大正一〇年法律第九六号特許法(以下「旧特許法」という。)第一〇九条)。そして、拒絶査定があつたときは、特許庁長官はその謄本を出願人に送達しなければならないところ(同法第八二条、同法施行規則第四八条第一項)、その謄本は拒絶査定全部の謄本でなければならないことは勿論である。ところで、旧特許法第八一条、同法施行規則第四七条第一項 に送達しなければならないところ(同法第八二条、同法施行規則第四八条第一項)、その謄本は拒絶査定全部の謄本でなければならないことは勿論である。ところで、旧特許法第八一条、同法施行規則第四七条第一項第五号によれば、拒絶査定には主文のみならず理由をも記載しなければならない。右の規定はもとより訓示規定ではないから、査定に理由の記載を全く欠くことは許されないが、理由記載の方法、程度は一応特許庁の裁量に委ねられているものと解すべきである。したがつて、本件のように、拒絶査定には理由の内容を記載せず、特許異議決定記載の理由を全部引用することも違法とはいえない。しかし、この場合は、拒絶査定だけでは出願人はいかなる理由によつて出願を拒絶されたのかを全く知り得ないから、特許異議決定記載の理由が実質上拒絶査定の一部をなすと解するのが相当である。そうだとすると、拒絶査定の謄本だけが出願人に送達されても、特許異議決定の謄本が送付(旧特許法施行規則第四八条第二項)されない限り、実質上の拒絶査定の全部が送達されたとはいえないというべきであるから、拒絶査定の謄本のみの送達によつては抗告審判の請求期間は進行を始めない。 なる理由によつて出願を拒絶されたのかを全く知り得ないから、特許異議決定記載の理由が実質上拒絶査定の一部をなすと解するのが相当である。そうだとすると、拒絶査定の謄本だけが出願人に送達されても、特許異議決定の謄本が送付(旧特許法施行規則第四八条第二項)されない限り、実質上の拒絶査定の全部が送達されたとはいえないというべきであるから、拒絶査定の謄本のみの送達によつては抗告審判の請求期間は進行を始めない。そして、拒絶査定の全部の謄本が同時に送達されなければならないと解する必要はないから、右の場合拒絶査定謄本の送達の後に、特許異議決定の謄本が送付され拒絶査定の受送達者がこれを受領すれば、その時から抗告審判の請求期間は進行を始めると解すべきである。本件においては、昭和三八年八月二八日に拒絶査定謄本が原告に送達された当時は、特許異議決定の謄本はまだ送付されていなかつたのであるから、抗告審判の請求期間が進行を始めるのはその日からではなく、特許異議決定の謄本を原告が受領した昭和三九年一一月二八日からであるといわねばならない。三、そうだとすると、前叙のとおり原告 たのであるから、抗告審判の請求期間が進行を始めるのはその日からではなく、特許異議決定の謄本を原告が受領した昭和三九年一一月二八日からであるといわねばならない。三、そうだとすると、前叙のとおり原告は前記昭和三九年一一月二八日から三〇日以内である同年一二月一四日抗告審判を請求したのであるから、本件抗告審判の請求が適法であることは明らかである。したがつて、右と見解を異にし、昭和三八年八月二八日から抗告審判の請求期間が進行を始めるものと解し、本件抗告審判の請求を不適法として却下した本件審決は違法であつて取消を免れない。四、よつて原告の請求を認容し、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法第七条、民事訴訟法第八九条を適用して主文のとおり判決する。(裁判官服部高顕荒木秀一滝川叡一)

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