平成12(ワ)11380 損害賠償請求

裁判年月日・裁判所
平成14年5月28日 大阪地方裁判所
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判決文本文9,975 文字)

平成12年(ワ)第11380号損害賠償請求事件 主文 1 被告は,原告に対し,金4000万円及びこれに対する平成9年11月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 3 この判決は,1項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求主文同旨第2 事案の概要 1 本件は,原告が,被告から,店舗のシャッターに頭部を打ち付けられ,路面に転倒させられる等の暴行を加えられたため,頭部外傷,頭蓋骨骨折,脳挫傷,急性硬膜外血腫等の傷害を負ったとして,被告に対し,不法行為による損害賠償請求権に基づき, 治療費,休業損害,入通院慰謝料,後遺障害慰謝料,逸失利益及び弁護士費用の合計 7211万7894円の損害金内金4000万円及びこれに対する不法行為の日である平成9年11月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 なお,被告は,原告の訴訟能力に疑問があると主張するが,証人Aの証言及び弁論の全趣旨を総合すると,原告は訴え提起時はもちろんのこと,その後においても訴訟能力を有しているものと認められる。 2 基礎となる事実(証拠を付さない事実は,当事者間で争いがない。)(1) 原告は,昭和38年9月8日生まれの男性である(甲A1,11)。 (2) 原告は,平成9年11月1日午後10時35分頃,兵庫県西宮市B町C番D号所在の「E薬品」(以下「本件店舗」という。)付近路上(以下「本件現場」という。)において,頭部外傷,頭蓋骨骨折,脳挫傷,急性硬膜外血腫等の傷害(以下「本件傷害」という。)を負った(甲A1,3,4,甲B3,6,7,9ないし11)。 3 争点(1) 被告の原告に対する不法行為責任の存否(2) 原告の損害額(3) 過失相殺 外血腫等の傷害(以下「本件傷害」という。)を負った(甲A1,3,4,甲B3,6,7,9ないし11)。 3 争点(1) 被告の原告に対する不法行為責任の存否(2) 原告の損害額(3) 過失相殺等の成否 4 原告の主張(1) 不法行為責任の存否について原告は,平成9年11月1日午後7時頃から,大学時代の友人であるFと,阪急電鉄西宮北口駅近くの焼鳥店及びスナックで飲食し,その帰宅途中,公衆電話から,東京在住の大学時代の友人に電話をかけ,原告がウルトラマンになったという想定で,同人と他愛のない会話をした。 その後,原告とFは,同日午後10時35分頃,上記通話を終え,同駅に向かって歩き始めたところ,原告の上記会話に立腹した被告は,後方から声を掛けて原告らを呼び止めこれに近付いた上,本件現場において,振り向いて被告と向かい合った原告に対し,その胸ぐらを両手でつかみ,「お前ら,ウルトラマンがどうか知らんけどな。なんぼのもんじゃい。」等と言いながら,ほとんど無抵抗の原告の頭部を付近の本件店舗のシャッターに何度も打ち付けたり,原告の片腕を手で掴んで振り回し,原告を路上に転倒させて,その頭部を路面に打ち付けさせる暴行を加えた。 その結果,原告は,本件傷害を負った。 (2) 原告の損害額について原告は,被告の上記(1)の暴行により,本件傷害を負い,次のとおり,合計7211万7894円の損害を被った。 ア  治療費 212万3434円イ  休業損害 616万5000円原告の本件事故当時の日給額は6850円であり,月収は17万1250円を下ることはない。原告は,本件事故後36か月間,就業できなかったから,休業損害は616万5000円である。 (計算式)6,850(日給)×25(日 日給額は6850円であり,月収は17万1250円を下ることはない。原告は,本件事故後36か月間,就業できなかったから,休業損害は616万5000円である。 (計算式)6,850(日給)×25(日数)=171,250(月収)171,250(月収)×36(月)=6,165,000ウ  入通院慰謝料 350万円原告は,本件事故によって,平成9年11月1日から同10年5月15日まで,入院治療を受け,その後も通院治療を余儀なくされており,原告の入通院慰謝料は350万円を下らない。 エ  後遺障害慰謝料 2219万円(ア) 高次脳機能障害とは,交通事故や転落事故などの脳外傷によって脳の構造にひずみが生じ,脳神経細胞のネットワークが切断されることによって惹起される障害であり,具体的には,注意障害,記憶障害,遂行機能障害等の認知障害,行動・情緒障害その他の障害が複合的に生ずるものである。 (イ) 原告は,本件事故によって,高次脳機能障害を負い,後遺障害等級3級に相当する後遺障害を受けた。これに対する慰謝料は2219万円を下らない。 オ  逸失利益 3158万9460円原告は,本訴提起時,満37歳であったが,少なくとも,満67歳まで就労できたところ,本件事故によって,以後就労することができなくなった。したがって,月収を17万1250円とし,労働能力喪失率を100パーセントとして,ライプニッツ方式により,原告の逸失利益の現価を計算すると,3158万9460円となる。 (計算式)171,250(月収)×12(月)×15.372(30年のライプニッツ係数)=31,589,460カ  弁護士費用 算式)171,250(月収)×12(月)×15.372(30年のライプニッツ係数)=31,589,460カ  弁護士費用 655万円キ  アないしカの合計額 7211万7894円 5 被告の主張(1) 不法行為責任の存否について被告は,平成9年11月1日午後10時頃,友人のGを阪急電鉄西宮北口駅まで送る際,公衆電話付近で大声で歌い騒いでいる原告を見つけた。被告とGが,そこを通り抜けようとすると,原告が,被告とGに対し,「お前ら,いやらしいなあ。」と言いながら,被告にぶつかってきた。そのため,被告が,原告に対し,「何や。」と返答したところ,原告は,本件現場において,被告に対し,振り向き様に,「何い。」と言いながら,つかみかかってきた。 そこで,被告は,原告に殴られないようにするために,相手方の身体をつかんだ。 すると,Fが,原告と被告の間に割って入り,被告の頭を鷲づかみにし,原告に加勢してきた。このため,被告は,原告とFを抑えようとしたが,両者はかなり強い力でつかんできたので,両者を抑える際に,本件店舗のシャッターに何度か原告の身体が当たったことがあった。 その後,被告は,その場所から道路の真ん中付近に移動したが,原告は,被告のセーターの袖をつかんで離さないまま,同様に移動し,被告が「離せ。離せ。」と述べても,原告は,離そうとはしなかった。このため,被告は,原告の手を振り払い,その際,原告は,後方の放置自転車にぶつかったが,転倒はしなかった。 以上の経緯であり,被告は,原告と揉み合ったものの,原告に対し,積極的に暴行を加えたことはないから,被告に責任はない。原告の転倒は酩酊による意識悪化が原因である。 (2) 原告の損害額について 。 以上の経緯であり,被告は,原告と揉み合ったものの,原告に対し,積極的に暴行を加えたことはないから,被告に責任はない。原告の転倒は酩酊による意識悪化が原因である。 (2) 原告の損害額についてア  原告の主張するアないしカの損害はすべて不知又は争う。原告の損害の発生及び拡大には原告の泥酔が大きなウエイトを占めている。 イ  原告の症状は治療を継続することにより改善しており,症状が固定したといえるかは疑問である。 ウ  高次脳機能障害は,現在,脳神経外科学会でも認知されているものではなく,その損害内容の確定及び評価には慎重な検討が必要である。また,その各障害の内容は,目に見えないタイプのものであり,民事賠償の根拠としての客観性に欠けている。 (3) 過失相殺等の成否について本件は,原告が,被告及びGにからみ,被告にぶつかってきたことに端を発しており,過失相殺や寄与度減額の法理の根底に存する公平の理念の下に,認容される損害賠償額は大幅に減額されるべきである。 第3 証拠本件記録中の書証目録及び証人等目録の記載を引用する。 第4 当裁判所の判断 1 認定事実第2の2の事実に,証拠(甲A1ないし9,11,30,34ないし56,甲B3 ないし14,乙B1ないし7,証人H,同A,同G,被告本人)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実を認めることができる。 (1) 原告は,昭和38年9月8日に出生し,関西学院大学文学部を中退した後,株式新聞社に約7年間勤務し,平成9年10月22日からは,池田市立図書館に事務補助のアルバイト勤務をしていた。原告は,同年11月1日当時,独身で,両親と同居しており,身長は170センチメートル位で,痩せ型の体型をしていた。 (2) 原告は,平成9年11月1日午後7時頃から同日午後10時頃までの いた。原告は,同年11月1日当時,独身で,両親と同居しており,身長は170センチメートル位で,痩せ型の体型をしていた。 (2) 原告は,平成9年11月1日午後7時頃から同日午後10時頃までの間,大学時代の友人であるFとともに,阪急電鉄西宮北口駅近くの焼鳥店及びスナックで飲食し,この間に,ビール中ジョッキ1杯,酎ハイ2杯及びウイスキー・オンザロック  3杯を飲酒しており,その後,Fとともに,本件店舗付近に設置されていた公衆電話から,東京在住の大学時代の友人に電話をかけたが,当時は,外見からも明らかなほど相当に飲酒酩酊しており,自分がウルトラマンになったという想定で,同人と大声で会話をし,「今関西空港に降りた。これから地球を征服してやる。これからそっちに行く。」などと大声でまくし立てていたものの,歩行に支障がみられる状態にまでは至っていなかった。 (3) 被告は,同日午後7時ころから同日午後10時頃まで,本件店舗に近いちゃんこ料理店で,ラグビーチームの仲間7人とともに飲食し,交際中の女性であるGが先に帰宅することになったため,Gを上記西宮北口駅まで送ろうとして,2人で本件店舗付近を通りかかった。 被告は,その時までに,1人でビール中ジョッキ2杯と焼酎お湯割り6杯位を飲酒していたが,さほど酩酊した状態ではなかった。被告の同チームでのポジションはフォワードであり,当時の体格は,身長が185.6センチメートル,体重が8  0キログラム位であった。 (4) 被告は,同日午後10時30分頃,原告の前を通過しながら,原告が酩酊した姿で,上記の電話を切った後にもウルトラマンになりきった言動をしているのを目撃していた。 原告は,前方を歩行中の被告とGを見かけ,その際,酔った勢いもあ 前を通過しながら,原告が酩酊した姿で,上記の電話を切った後にもウルトラマンになりきった言動をしているのを目撃していた。 原告は,前方を歩行中の被告とGを見かけ,その際,酔った勢いもあって,被告らに対し,「お前ら下品なやつやな。」等と述べたところ,これに立腹した被告から,「ちょっと待て。もう一回言ってみろ。」と呼び止められ,被告とその場でつかみ合いになったが,上記(2)のとおり相当に酩酊していた上,体力的にも被告よりかなり劣っていたため,被告に押され,途中でFが仲裁に入ったものの,そのまま本件店舗前まで移動させられた。 (5) 被告は,同日午後10時35分頃,本件店舗前路上において,原告の胸付近を両手でつかみ,無抵抗の原告の頭部を本件店舗のシャッターに多数回強く打ち付ける暴行を加えた。この間に,原告は,脳震盪を起こし,首が据わらない状態になっており,Fが被告の暴行を止めるために,原告と被告の間に割って入り,何度も「もうよろしいやん。すみません。」等と述べたが,被告は,「ウルトラマンがなんぼのもんじゃい。」等と述べて,上記暴行をやめようとはしなかった。 その後,被告は,原告の片腕をつかんで原告を振り回す等したため,原告は,後方の放置自転車にぶつかり,路上に仰向けの形で転倒した(以下,この一連の暴行を「本件暴行」という。)。 (6) 原告は,同日午後11時20分頃,救急車で医療法人西宮協立脳神経外科病院(以下「西宮協立病院」という。)に搬送されたが,右側頭部に拳大の打撲傷があり,  その直下となる右頭頂部から側頭部にかけて,約10センチメートルの頭蓋骨骨折と,硬膜外血腫が認められた。原告は,搬送時には,少しぼうっとした状態であったものの,受け答えはしっかりして り,  その直下となる右頭頂部から側頭部にかけて,約10センチメートルの頭蓋骨骨折と,硬膜外血腫が認められた。原告は,搬送時には,少しぼうっとした状態であったものの,受け答えはしっかりしており,麻痺は認められず,自立歩行も可能であったが,約3時間後には意識を喪失するに至った。 このため,同病院において,上記血腫を取り除く等の緊急手術が施されたが,上記打撲による右側頭部の硬膜外血腫や対向性損傷による出血のため,原告は,脳圧迫による脳ヘルニアの状態となり,血管が押しつぶされて,脳梗塞を発症したほか,  外傷に伴う脳萎縮等の結果,脳室が拡大するなどの症状(以下「本件症状」という。)  を呈した。 (7) 原告は,平成9年12月24日頃に至って,ようやく意識を回復したが,その後も同10年2月9日まで,西宮協立病院で入院治療を受け,同日から同年5月15  日まで,兵庫県立中央リハビリテーション病院(以下「中央病院」という。)で,  リハビリテーション療法を受けた。 また,平成10年7月1日から同11年2月28日までの間,障害者自立訓練センターに入所し,その後の,同年4月頃,国立障害者兵庫職業訓練校に入学し,1  年間OAシステム科の授業を受け,通学していたが,パソコンの技術を覚えられず,  就職の目処は立たなかったため,卒業後は,自宅に閉じこもるようになった。 その後,平成12年3月16日からまで同13年6月までは,医療法人上島内科医院分院(以下「上島内科医院」という。)や山口クリニックに通院し,後記(10)  の高次脳機能障害に対するリハビリテーション治療を受け,その後は大阪市の療養センターで自立生活に向けての訓練を受けているが,その後も,いっこうに就業のめどが立っていない。 この 0)  の高次脳機能障害に対するリハビリテーション治療を受け,その後は大阪市の療養センターで自立生活に向けての訓練を受けているが,その後も,いっこうに就業のめどが立っていない。 この間に,原告は,大阪府池田市内の公園の清掃及び事務の業務に就いたが,試用期間を経た後,業務に耐えないとの理由で,正式採用されなかった。 (8) 原告は,平成11年10月14日,西宮協立病院において,傷病として,急性硬膜外血腫,脳挫傷,頭蓋骨骨折,脳梗塞等の診断を,後遺障害として,左半盲,左片麻痺の診断を受け,症状固定と診断された。 また,神戸大学医学部附属病院において,平成11年12月2日に,右硝子体混濁,右視神経乳頭蒼白による症状固定との診断を,同12年6月28日には,両視神経乳頭蒼白による両眼4分の1半盲(視野狭窄)と診断された。 さらに,同月29日には,上島内科医院のH医師により,高次脳機能障害による後遺障害等級3級と診断された。 (9) 原告は,平成10年5月21日に,6級の身体障害者手帳の,平成12年7月2  6日には,精神障害2級の障害者手帳の,それぞれ交付を受けた。 (10)高次脳機能障害とは,頭部の外傷等に基づく器質性精神障害であり,注意障害,  記憶障害及び遂行機能障害といった認知障害や,行動・情緒障害がみられるとされている。 原告は,本件症状の結果,記憶力,注意力,計画力等が著しく低下していて,上記の高次脳機能障害に該当する各症状がみられ,本訴提起後も,その症状に改善は認めらないし,今後の大幅な改善は見込めない状況である。 例えば,原告は,カレーライスを食べている途中に,自分がたった今置いたばかりのスプーンの位置を忘れてしまい,別の場所を探したり,買物に行った際も, 今後の大幅な改善は見込めない状況である。 例えば,原告は,カレーライスを食べている途中に,自分がたった今置いたばかりのスプーンの位置を忘れてしまい,別の場所を探したり,買物に行った際も,家族から購入を依頼された商品を購入して帰宅できない等,与えられた指示をすぐに忘れてしまうことがある。また,排便についても,あらかじめ排便をすませることをせず,1日に何回か排便を失敗してしまうこともある。さらに,両眼とも左側4  分の1の視野が狭窄しているため,自動車や自転車の運転は極めて危険であるほか,  左側に置いた自分のコップが目に入らず,右側に置いてある他人のコップを取るなどの行動がみられる。 2 原告の被告に対する不法行為責任の成否について(1) 前記1の認定事実によれば,被告は,原告に対し,本件暴行を加え,その際のいずれかの暴行により,本件傷害を負わせ,その結果,原告は,本件症状を呈して, 高次脳機能障害と称せられる障害を負うに至ったものと認められる。 (2) これに対し,被告は,原告に対し本件傷害を負わせるような暴行を加えていない旨主張し,被告及び証人Gは,本件暴行に係る傷害被告事件の捜査段階及び公判廷並びに本訴口頭弁論期日における尋問において,同主張に沿う供述をしている。 しかしながら,証拠(甲B4,6,7,10)によれば,上記被告事件の証人I は,平成9年11月1日午後10時30分頃,本件店舗前路上で,約9.8メートルの距離から,背の高い白いセーターを着た男が,頭1つくらい背が低く,無抵抗の男の胸ぐらを両手でつかみ,その頭部を本件店舗のシャッターに多数回強く打ち付ける暴行を加えているところや,暴行を受けていた男の腹部に両手を回してかばおうとしている男と暴行を加えている男が上記1(5)記載の言動をし つかみ,その頭部を本件店舗のシャッターに多数回強く打ち付ける暴行を加えているところや,暴行を受けていた男の腹部に両手を回してかばおうとしている男と暴行を加えている男が上記1(5)記載の言動をしているところを目撃しており,その後,本件店舗付近に設置された傷害事件の目撃者の協力を求める掲示板を見て,名乗り出たもので,矯正視力も2.0であることが認められ, 原告及び被告のいずれとも関係がなく,中立な第三者であるほか,その供述内容も一貫しており,また,当事者の服装,体格やその言動に就いての供述は上記1の認定事実に符合していて,極めて正確であることからすれば,その供述は十分に信用することができ,これと符合する同被告事件の証人Fの供述も信用することができるのであって,これらの供述と対比して,これらに反する被告及び証人Gの前記各供述部分は採用できないから,被告の同主張は理由がない。 (3) したがって,被告は,原告に対し,不法行為責任を負うというべきである。 3 原告の損害額について(1) 被告の本件暴行に基づく原告の損害額は,後記アないしカのとおり,原告の請求額を上廻る合計6331万6982円と認められる。 ア  治療費(請求額及び認容額212万3434円)弁論の全趣旨によれば,原告は,本件傷害の治療費として,上記1のとおり西宮協立病院等に入通院するなどして,少なくとも212万3434円を支出したと認められる。 イ  休業損害(請求額616万5000円,認容額437万0300円)証拠(甲A10の1・2,11,12)及び弁論の全趣旨によれば,原告は,  平成9年10月22日以降,日給6850円で池田市立図書館の事務補助のアルバイト勤務をしており,本件暴行を受けて,同年11月1日付けで退職を余儀な 2)及び弁論の全趣旨によれば,原告は,  平成9年10月22日以降,日給6850円で池田市立図書館の事務補助のアルバイト勤務をしており,本件暴行を受けて,同年11月1日付けで退職を余儀なくされたもので,原告は,本件傷害を受けなければ,少なくとも1か月に20日勤務し,高次脳機能障害と診断された平成12年6月29日までの間,同業務あるいは同程度の業務に従事できたと認められるから,原告の休業損害は437万  0300円となる。 (計算式)6850〈日給〉×(20〈日〉×32〈月〉-2〈日〉)=4,370,300ウ  入通院慰謝料(請求額350万円,認容額300万円)上記1認定の原告の症状,入通院の状況に照らすと,原告の入通院慰謝料は 3  00万円をもって相当と認める。 エ  逸失利益(請求額3158万9460円,認容額2563万3248円)上記1認定の原告の症状に照らすと,原告は,高次脳機能障害と診断された平成12年6月29日の時点において,労働能力を100パーセント喪失したと言わざるを得ず,月収を13万7000円(日給6850円の20日分),稼働期間を満67歳までの31年間として,ライプニッツ方式により中間利息を控除して,逸失利益の現価を求めると,2563万3248円となる。 (計算式)137,000(月収)×12(月)×15.592(ライプニッツ係数)=25,633,248オ  後遺障害慰謝料(請求額及び認容額2219万円)上記1認定の原告の後遺障害の内容・程度に鑑みると,原告の後遺障害慰謝料は2219万円をもって相当と認める。 カ  弁護士費用(請求額655万円,認容額600万円)本 9万円)上記1認定の原告の後遺障害の内容・程度に鑑みると,原告の後遺障害慰謝料は2219万円をもって相当と認める。 カ  弁護士費用(請求額655万円,認容額600万円)本件事案の内容,本件訴訟の審理の内容,経過等に鑑みると,弁護士費用は 6  00万円をもって相当と認める。 (2) これに対し,被告は,①原告の損害の発生及び拡大には原告の泥酔が大きなウエイトを占めている,②原告の症状は治療を継続することにより改善しており,症状が固定しているといえるかは疑問である,③高次脳機能障害は,現在,脳神経外科学会で認知されているものではなく,その損害内容の確定及び評価には慎重な検討が必要であり,民事賠償の根拠としての客観性に欠けているなどと主張するが,上記1認定によれば,①原告が飲酒酩酊していたことが特に損害の発生及び拡大に寄与したとはいえないし,②原告の症状は今後も大幅な改善は見込めない状態であり, ③原告の症状を高次脳機能障害と称するか否かは別として,同症状の下では現代社会においては稼働が可能とはいえないから,労働能力を100パーセント喪失した状態にあるといわざるを得ないし,同障害が損害賠償額を定めるに当たって客観性がないということもできない。 したがって,被告の同主張はいずれも理由がない。 4 過失相殺等の成否について被告は,本件は,原告が,被告及びGにからみ,被告にぶつかってきたことに端を発しており,過失相殺や寄与度減額の法理の根底に存する公平の理念の下に,認容される損害賠償額は大幅に減額されるべきであると主張するところ,上記1の認定事実によれば,確かに,原告には本件暴行を誘発した言動があったことは事実であるが,その誘発の程度は軽微なものにすぎず,本件暴行や本件傷害の内容・程度や,原告が被っ あると主張するところ,上記1の認定事実によれば,確かに,原告には本件暴行を誘発した言動があったことは事実であるが,その誘発の程度は軽微なものにすぎず,本件暴行や本件傷害の内容・程度や,原告が被った後遺症の重大性に鑑みると,公平の理念に照らしても,過失相殺等によって原告の損害額を減ずるのは相当とは認められない。 したがって,被告の同主張も採用できない。 第5 結語以上の次第で,原告の本訴請求は理由があるから認容することとし,訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条を,仮執行の宣言につき同法259条1項をそれぞれ適用して,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第24民事部裁判長裁判官山下寬裁判官大竹昭彦裁判官渡部五郎

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