昭和57(オ)619 損害賠償

裁判年月日・裁判所
昭和58年6月7日 最高裁判所第三小法廷 判決 破棄差戻 広島高等裁判所 昭和53(ネ)80
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【DRY-RUN】主    文      原判決を破棄する。      本件を広島高等裁判所に差し戻す。          理    由  上告代理人小笠豊の上告理由二について  一 本件における上告人の主張は、次のと

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判決文本文3,371 文字)

主    文      原判決を破棄する。      本件を広島高等裁判所に差し戻す。          理    由  上告代理人小笠豊の上告理由二について  一 本件における上告人の主張は、次のとおりである。すなわち、(1) 上告人 は、第一審被告Dが代表取締役をしている訴外有限会社E(以下「訴外会社」とい う。)の振出しにかかる第一審判決添付手形目録(二)(三)記載の約束手形八通(以 下「本件手形」という。)、金額合計五八六万九四〇〇円を所持していた。(2)  本件手形は、支払期日に支払場所に呈示されたが、いずれも不渡りとなり、上告人 は、右手形金の支払を受けることができなくなつて、これと同額の損害を被つた。 (3) 訴外会社は、本件手形を振り出した当時既に倒産が予想されていたもので、 第一審被告Dには、代表取締役としての職務執行につき悪意又は重大な過失がある から、有限会社法三〇条ノ三に基づき上告人が被つた前記損害を賠償すべき責任が ある。(4) 一方、第一審被告Dは、原判決添付目録記載の不動産の共有持分権( 以下「本件持分権」という。)を有していたが、昭和五二年八月二四日、実兄であ る訴外Fが代表取締役をしている被上告人にこれを売り渡してその旨の移転登記を 経由し、更に、被上告人は、昭和五二年九月二九日、これを訴外G興産株式会社に 売り渡してその旨の移転登記を経由した。(5) 第一審被告Dは、本件持分権のほ かにはみるべき資産がなく、しかも、訴外会社が不渡手形を出して倒産したのちに 本件持分権を売り渡したもので、右売買は第一審被告Dの債権者を害する詐害行為 にあたる。(6) よつて、上告人は、第一審被告Dに対し、有限会社法三〇条ノ三 に基づく損害賠償として、五八六万九四〇〇円及びこれに対する昭和五三年一月二 四日から右支払ずみまで年五分の割合による遅延損害金の支払 (6) よつて、上告人は、第一審被告Dに対し、有限会社法三〇条ノ三 に基づく損害賠償として、五八六万九四〇〇円及びこれに対する昭和五三年一月二 四日から右支払ずみまで年五分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに、 - 1 - 上告人の第一審被告Dに対する右損害賠償債権を保全するため、第一審被告Dと被 上告人との間の本件持分権の売買契約を取り消し、現物返還に代わる価格賠償とし て、被上告人に対し、上告人の第一審被告Dに対する右債権額と同額の金員の支払 を求める。  二 本件訴訟の経過及び第一、二審判決の内容は、次のとおりである。すなわち、 第一審においては、第一審被告D及び被上告人の双方が口頭弁論期日に出頭しなか つたことから、全く証拠調が行われないまま上告人勝訴の判決が言い渡され、これ に対し、被上告人は控訴を提起したが、第一審被告Dは控訴を提起せず、同被告に 関する部分は第一審で確定した。原審においては、被上告人が上告人の主張事実を 全面的に争つたことから、合計一七回の口頭弁論期日が開かれ、多数の書証が取り 調べられたほか、証人四名及び被上告人代表者の尋問(被上告人代表者は二回)が 行われたが、結局、訴外会社の倒産による上告人の債権回収不能の損害が第一審被 告Dの代表取締役としての職務執行上の悪意又は重大な過失によるものとは本件の 全立証によつても認めることはできないとし、詐害行為取消請求権の基礎となる上 告人の第一審被告Dに対する損害賠償債権そのものが存在しないことを理由として 第一審判決が取り消され、上告人敗訴の判決が言い渡された。  三 ところで、所論は、上告人の第一審被告Dに対する有限会社法三〇条ノ三に 基づく損害賠償債権については、第一審において上告人勝訴の判決が言い渡されて 確定していることから、上告代理人において、被上告人が控訴を提起した原審にお いて 第一審被告Dに対する有限会社法三〇条ノ三に 基づく損害賠償債権については、第一審において上告人勝訴の判決が言い渡されて 確定していることから、上告代理人において、被上告人が控訴を提起した原審にお いても事実上問題にはならないと誤解していたもので、原審のような理由で上告人 敗訴の判決を言い渡すのであれば、釈明権を行使し、右損害賠償債権についての立 証を促すべきである、というのである。そこで検討するのに、本件訴訟は、上告人 の第一審被告Dに対する有限会社法三〇条ノ三に基づく損害賠償債権の支払を求め る請求と上告人の被上告人に対する詐害行為の取消を求める請求とが併合して提起 - 2 - されたもので、上告人の第一審被告Dに対する右請求の内容である損害賠償債権の 存在は、同時に上告人の被上告人に対する詐害行為取消請求の要件にもなつている のであつて、上告人としては、第一審被告Dに対する関係で上告人勝訴の第一審判 決が確定していても、被上告人に対する関係においてはこれと別個に右損害賠償債 権の存在を立証する必要があつたものである。しかるに、本件記録によれば、被上 告人の控訴提起に基づいて行われた原審の審理においては、多数回にわたつて証拠 調が重ねられたにもかかわらず、そこで立証の対象となつているのは、専ら、第一 審被告Dと被上告人との間の売買契約が詐害行為にあたるかどうかという点に限ら れており、上告人の第一審被告Dに対する損害賠償債権が存在するかどうか、とく に第一審被告Dの訴外会社の代表取締役としての職務執行につき悪意又は重大な過 失があつたかどうかについては、全く触れられていないことが明らかである。しか し、このことは、上告代理人において、上告人の第一審被告Dに対する損害賠償債 権の存在について立証の必要があることを認識しながらその立証を怠つたというよ りも、むしろ、右損害賠償 とが明らかである。しか し、このことは、上告代理人において、上告人の第一審被告Dに対する損害賠償債 権の存在について立証の必要があることを認識しながらその立証を怠つたというよ りも、むしろ、右損害賠償債権に関する上告人と第一審被告Dとの間の訴訟におい て上告人勝訴の第一審判決が言い渡されて確定していることから、上告人と被上告 人との間の詐害行為取消請求訴訟においても、既にその存在が確定ずみであるか又 は事実上立証の必要がないと誤解していたものと推認するに難くなく、前記のよう な訴訟の態様及びその経過に鑑みるときは、所論の弁解にも直ちには排斥すること ができないものがあるというべきである。そうだとすると、原審が、多数回にわた つて証拠調をし双方が立証を尽くした詐害行為の成否の点についてはなんらの判断 を示さず、全く立証の対象となつていなかつた上告人の第一審被告Dに対する損害 賠償債権の存否の点をとらえて上告人敗訴の判決をすることは、著しく不相当であ つて、もし右損害賠償債権の存否について判断をするのであれば、よろしく釈明権 を行使し、上告人に対してその立証を促す必要があつたものといわなければならな - 3 - い。したがつて、原判決には、釈明権の行使を怠り、ひいて審理を尽くさなかつた 違法があるといわざるをえず、これと同旨の論旨は理由があるから、原判決はこの 点において破棄を免れない。そして、本件については更に審理を尽くさせる必要が あるから、これを原審に差し戻すのが相当である。  よつて、その余の論旨に対する判断を省略し、民訴法四〇七条一項に従い、裁判 官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。      最高裁判所第三小法廷          裁判長裁判官    横   井   大   三             裁判官    伊   藤   正   己          のとおり判決する。      最高裁判所第三小法廷          裁判長裁判官    横   井   大   三             裁判官    伊   藤   正   己             裁判官    木 戸 口   久   治             裁判官    安   岡   滿   彦 - 4 -

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