- 1 -令和3年4月15日判決言渡令和2年(行コ)第110号 源泉徴収に係る所得税の納税告知処分取消等請求控訴事件(原審 大阪地方裁判所平成30年(行ウ)第80号) 主 文1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 事 実 及 び 理 由第1 控訴の趣旨1 原判決を取り消す。 2 A税務署長が平成28年8月30日付けで控訴人に対してした次の各処分をいずれも取り消す。 (1) 平成25年1月1日から同年12月31日までの課税期間分の消費税及び地方消費税の更正処分のうち納付すべき消費税額につき2453万6800円を超える部分及び納付すべき地方消費税額につき613万4200円を超える部分並びにこれらに係る過少申告加算税の賦課決定処分(2) 平成26年1月1日から同年12月31日までの課税期間分の消費税及び地方消費税の更正処分のうち納付すべき消費税額につき1億3563万4500円を超える部分及び納付すべき地方消費税額につき3554万7800円を超える部分並びにこれらに係る過少申告加算税の賦課決定処分3 A税務署長が平成28年10月27日付けで控訴人に対してした次の各処分をいずれも取り消す。 (1) 平成24年6月,同年7月,同年10月から同年12月までの各月分の源泉徴収に係る所得税の各納税告知処分及びこれらに係る不納付加算税の賦課決定処分(2) 平成25年1月から平成26年12月までの各月分の源泉徴収に係る所- 2 -得税及び復興特別所得税の各納税告知処分並びにこれらに係る不納付加算税の賦課決定処分4 訴訟費用は第1,2審とも被控訴人の負担とする。 第2 事案の概要以下で使用する略称は,特に断らない限り,原判決の例による。 1 控訴人の請求と訴訟 る不納付加算税の賦課決定処分4 訴訟費用は第1,2審とも被控訴人の負担とする。 第2 事案の概要以下で使用する略称は,特に断らない限り,原判決の例による。 1 控訴人の請求と訴訟の経過本件は,控訴人が,所轄税務署長から,消費税・地方消費税の更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分並びに源泉徴収に係る所得税(平成25年1月分以降についてはこれに加えて復興特別所得税)の納税告知処分及び不納付加算税賦課決定処分(いずれについても複数の処分である。)を受けたことから,これらが違法であると主張して,被控訴人に対し,各更正処分の一部及びこれらに係る過少申告加算税の各賦課決定処分並びに各納税告知処分及びこれらに係る不納付加算税の各賦課決定処分の取消しを求めている事案である。 すなわち,控訴人は,平成25年12月課税期間及び平成26年12月課税期間の消費税等(消費税及び地方消費税)の各確定申告において,その取締役副社長が控訴人の資金を用いて購入等をした服飾品,宝飾品等の額を交際接待費等とし,その額を課税仕入れに係る支払対価の額に含めて控除対象仕入税額を計算し,また,その後にした各修正申告において,その購入等の額の一部について,副社長に対する貸付金とするなどして課税仕入れに係る仕入対価の額から除外したところ,A税務署長(処分行政庁)は,控訴人に対し,その購入等はいずれも控訴人から副社長に対する所得税法28条1項に規定する給与等に該当し,課税仕入れに該当しないなどとして,本件各課税期間(平成25年12月課税期間及び平成26年12月課税期間)の消費税等の各更正処分(平成25年12月課税期間消費税等更正処分及び平成26年12月課税期間消費税等更正処分)及びこれらに係る過少申告加算税の各賦課決定処分をし,さらに,その購入等の額が副社長に対 消費税等の各更正処分(平成25年12月課税期間消費税等更正処分及び平成26年12月課税期間消費税等更正処分)及びこれらに係る過少申告加算税の各賦課決定処分をし,さらに,その購入等の額が副社長に対する給与等に該当することを前提として,平- 3 -成24年6月分,同年7月分及び同年10月分から同年12月分までの各月分の源泉所得税(源泉徴収に係る所得税)の各納税告知処分(平成24年分各納税告知処分)並びに平成25年1月分から平成26年12月分までの各月分の源泉所得税等(源泉所得税及び源泉徴収に係る復興特別所得税)の各納税告知処分(平成25・26年分各納税告知処分)並びにこれらに係る不納付加算税の各賦課決定処分をした。控訴人は,① 本件各処分(本件消費税等各更正処分〔平成25年12月課税期間消費税等更正処分及び平成26年12月課税期間消費税等更正処分〕及び本件各納税告知処分〔平成24年分各納税告知処分及び平成25・26年分各納税告知処分〕)の理由の提示に不備があると主張するとともに,② 控訴人の費用負担により副社長が購入した服飾品,宝飾品等は,控訴人が業務上の関係者等への贈答品としたり,業務上購入したりしたものであるから,その購入等の額は給与等に該当せず,各修正申告は正当であり,また,源泉所得税等の徴収納付義務もないと主張し,本件消費税等各更正処分のうち各修正申告における納付すべき税額を超える部分,本件各納税告知処分及び本件各賦課決定処分(本件消費税等各更正処分に係る過少申告加算税の各賦課決定処分及び本件各納税告知処分に係る不納付加算税の各賦課決定処分)の取消しを求めた。 原審は,本件各処分等(本件各処分及び本件各賦課決定処分)はいずれも適法であると判断して,控訴人の請求をいずれも棄却した。 控訴人は,これを不服として控訴し,当審に 決定処分)の取消しを求めた。 原審は,本件各処分等(本件各処分及び本件各賦課決定処分)はいずれも適法であると判断して,控訴人の請求をいずれも棄却した。 控訴人は,これを不服として控訴し,当審において,本件税務調査から本件各処分に至る手続に違法があったから本件各処分は違法であるとの主張を追加した。 2 関係法令の定め等,前提事実並びに本件各処分等の根拠及び適法性に関する被控訴人の主張次のとおり補正するほか,原判決「事実及び理由」第2の2から4まで並びに同別紙1,2及び同別表1から3まで(枝番を含む。)に記載のとおりであ- 4 -るから,これを引用する。 (原判決の補正) (1) 原判決4頁14行目の「所得税」の次に「及び復興特別所得税」を加える。 (2) 原判決7頁1行目の「○○○○」を「○○(○○)○○」に改める。 (3) 原判決10頁1行目の「本件処分等」を「本件各処分等」に改める。 (4) 原判決10頁20行目の「一部却下し,その余を」を「いずれも」に改める。 3 争点(1) 本件各処分の理由提示に本件各処分を取り消すべき違法があるか否か(2) 副社長の本件各購入品等の各購入等の額が副社長に対する給与等に該当するか否か(3) 本件宝飾品等及び本件振替後交際費分の各購入等が課税仕入れに該当するか否か(4) 本件税務調査から本件各処分に至る手続に本件各処分を取り消すべき違法があるか否か4 争点に関する当事者の主張(1) 争点(1)(本件各処分の理由提示に本件各処分を取り消すべき違法があるか否か)についてア 次のとおり補正し,後記イにおいて当審における控訴人の主張を加えるほか,原判決11頁9行目から15頁9行目までに記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正) 否か)についてア 次のとおり補正し,後記イにおいて当審における控訴人の主張を加えるほか,原判決11頁9行目から15頁9行目までに記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)(ア) 原判決11頁12行目の「処分の名宛人」の前に「行政手続法14条1項本文に加え,」を加える。 (イ) 原判決11頁19行目の「課税処分等の通知における」を「課税処- 5 -分等の通知においては,理由を提示しなければならず,また,それが更正である場合には,」に改める。 イ 当審における控訴人の主張(ア) 本件各納税告知処分の理由の提示について本件各納税告知書に記載されている事実で本件服飾品等,本件宝飾品等及び本件振替後交際費分に関するもののうち副社長又は会長が申述したとされる内容は虚偽であり,また,これらの事実によって,なぜ,業務との関連性がないことや副社長の個人用に購入されたことが認められるのか,論理が飛躍しており,判断過程が明確でなく,控訴人においてその判断過程を理解することができない。本件二重計上分に関するものは,なぜ,二重計上という経理上のミスが経済的利益の供与という結論につながるのかが示されておらず,控訴人においてその判断過程を理解することができない。 (イ) 本件消費税等各更正処分の理由の提示について本件消費税等各更正通知書に記載されている事実で控訴人が各修正申告において交際接待費等から「商品」に振り替えた分に関するものは,結論を記載しているにすぎなかったり,結論までの判断過程が示されていなかったり,論理的な根拠事実でなかったりするなど,判断過程を明らかにしていない。各修正申告において「交際接待費」とした分に関するものも,結論のみを示しており,理由提示が不十分である。 (2) 争点(2)(副社長の本件 事実でなかったりするなど,判断過程を明らかにしていない。各修正申告において「交際接待費」とした分に関するものも,結論のみを示しており,理由提示が不十分である。 (2) 争点(2)(副社長の本件各購入品等の各購入等の額が副社長に対する給与等に該当するか否か)についてア 次のとおり補正し,後記イにおいて当審における控訴人の主張を加えるほか,原判決15頁10行目から25頁8行目まで及び同別紙3に記載のとおりであるから,これを引用する。 - 6 -(原判決の補正)(ア) 原判決15頁24行目,17頁8行目及び22頁1行目の「自宅」の次にいずれも「(社宅)」を加える。 (イ) 原判決19頁20,21行目の「掌握していることは必須でない」を「掌握していることを問わずに妥当する」に改める。 イ 当審における控訴人の主張(ア) 副社長は,本件各購入品等の各購入等により控訴人から利益を得たとは認められない。本件は,役員報酬が年1728万円(月144万円)であった副社長に対し,控訴人が2年6か月間で6億7000万円超の莫大な給与等(役員賞与)を支払ったと課税庁が認定する事案である。このような尋常でない莫大な給与等の支払を認定するには,本件服飾品等及び本件宝飾品等について1点ずつ課税要件の充足が認定されるべきである。原判決のように大雑把な推論が許されるならば,課税庁が負うべき立証責任を納税者に転換させるに等しく,租税法律主義の趣旨に反する。 (イ) 本件二重計上分及び本件振替後交際費分については,次の点からも,副社長が控訴人から利益を得たことにならない。 本件二重計上分は,明らかに経理上の過誤にすぎず,これが判明した後,控訴人は,「貸付金」に振り替え,これを含む貸付金について返済計画に従った返済を副社長から受けている。したがって とにならない。 本件二重計上分は,明らかに経理上の過誤にすぎず,これが判明した後,控訴人は,「貸付金」に振り替え,これを含む貸付金について返済計画に従った返済を副社長から受けている。したがって,控訴人は,経理上の過誤によって副社長に現金を交付したにすぎず,後日返還約束をしているのであるから,副社長が利益を得たとはいえない。 仮に現金交付時に利益を得たとしても,貸付金に振り替えて返済されているから,給与等に該当しない。 本件振替後交際費分は,本件服飾品等と同様に,副社長が控訴人の取引関係者への贈答用として購入したものであり,本件服飾品等と同- 7 -じく,副社長は利益を得ておらず,給与等に該当しない。 (ウ) 仮に副社長が利益を得たとしても,給与等に該当しない。控訴人は,副社長が個人的に使用又は所有するための購入を承諾していない。これを覆す事実は被控訴人が立証すべきであるが,本件税務調査においては必要な調査が尽くされておらず,直接証拠はない。控訴人が副社長による経費での私的な購入までを承認していたと認めることは,強引な推論による認定であり誤りである。 (エ) さらに,本件服飾品等の各購入等及び本件二重計上分の精算については,これにより副社長が控訴人から利益を得たと認められるとしても,「貸付金」であるから,本件各納税告知処分のうち「貸付金」に係る処分は取り消されるべきである。 控訴人が,本件服飾品等の各購入等の額及び本件二重計上分の額を交際接待費から貸付金に振り替えたのは,本件税務調査においてこれらが副社長への給与等に当たるのではないかと大阪国税局から指摘される一方,交際接待費であるとの控訴人の説明に対する大阪国税局からの回答がなかなか出てこない状況下で,平成27年12月期の決算を組む必要があったことなどから,経営判断 はないかと大阪国税局から指摘される一方,交際接待費であるとの控訴人の説明に対する大阪国税局からの回答がなかなか出てこない状況下で,平成27年12月期の決算を組む必要があったことなどから,経営判断としてやむなく行ったことである。 法人が役員に何らかの利益を与える場合,この利益を役員に対する給与等とするか,法人に返済すべき貸付金とするかは,原則としてその法人における意思決定の問題である。これを貸付金とすることは,何ら不合理でもなく,課税逃れにも当たらない。この貸付金処理は全株主の承認を得ているから,A税務署長は控訴人の意思決定を尊重すべきである。したがって,「貸付金」に振り替えた分に係る本件各納税告知処分は取り消されるべきである。 (3) 争点(3)(本件宝飾品等及び本件振替後交際費分の各購入等が課税仕入れ- 8 -に該当するか否か)について次のとおり補正するほか,原判決25頁9行目から26頁6行目までに記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)ア 原判決25頁26行目及び26頁3行目の「購入」をいずれも「各購入等」に改める。 イ 原判決26頁2行目の「消費税等の更正処分」を「本件消費税等各更正処分」に改める。 (4) 争点(4)(本件税務調査から本件各処分に至る手続に本件各処分を取り消すべき違法があるか否か)について【控訴人の主張】ア 本件各納税告知処分及びこれらに係る不納付加算税の各賦課決定処分に関するA税務署長の調査等の違法(ア) 本件税務調査のうち,本件各納税告知処分及びこれらに係る不納付加算税の各賦課決定処分(以下「本件各納税告知処分等」という。)に関する実地調査は,平成28年4月15日に控訴人事務所において1回行われたのみであり,しかも,その際,本件各納税告知処分等の前提と 加算税の各賦課決定処分(以下「本件各納税告知処分等」という。)に関する実地調査は,平成28年4月15日に控訴人事務所において1回行われたのみであり,しかも,その際,本件各納税告知処分等の前提となる副社長の給与等については一切調査されなかった。 また,A税務署長は,本件各納税告知処分に関する調査について控訴人に対し平成28年9月1日に事前通知を行っているが,その時点で既に,本件各納税告知処分等を行うことは確定しており,A税務署長は,実質的調査を何ら行うことなく,大阪国税局の調査の結果をそのまま引き継いで処分をした。すなわち,A税務署長は,副社長の給与等に関する調査として,会長への質問調査,副社長への質問調査,本件服飾品等及び本件宝飾品等が保管されている副社長の自宅(社宅)の実地調査等,独自の調査を一切行っていない。にもかかわらず,副- 9 -社長に対する控訴人からの巨額の給与等の支払の事実を認定したのであるから,証拠に基づかない事実認定であり,本件各納税告知処分等は,何らの調査なしに処分をしたに等しいとの評価を受けるものである。したがって,当該職員に質問検査権を付与して,必要かつ十分な証拠収集とこれに基づく的確な事実認定をさせることとした国税通則法74条の2に反する重大な違法がある。 (イ) 加えて,A税務署の職員は,平成28年9月23日に行われた控訴人に対する調査の終了の際の説明においても,29ある各課税期間(平成24年6月,7月,10月~12月,平成25年1月~12月,平成26年1月~12月)についてそれぞれの給与等の額,源泉所得税等の額,不納付加算税の額を説明することはなかった。これは同法74条の11第2項に明らかに反する重大な違法である。 (ウ) 国税収納命令官である税務署長は,納税告知処分をする場合,それに 所得税等の額,不納付加算税の額を説明することはなかった。これは同法74条の11第2項に明らかに反する重大な違法である。 (ウ) 国税収納命令官である税務署長は,納税告知処分をする場合,それに先行して,その国税を徴収する旨の内部的意思決定を行う。すなわち,国税収納金整理資金事務取扱規則8条1項各号所定の事項を調査し,これらの事項が適正であると認めたときは,直ちに徴収の決定を行うとされている。したがって,税務署長が,国税局の職員による調査のみに基づいて調査決定し,これに続く納税告知をすることは違法である。 本件税務調査のうち源泉所得税等に係る29件の調査(29の課税期間に関する調査)は,大阪国税局長に調査権限がなく,A税務署長が行わなければならない。国税収納命令官であるA税務署長が,大阪国税局の調査に基づき調査決定を行った上でした本件各納税告知処分等は違法である。 以上の点は,更正決定については,国税通則法27条が,国税局の当該職員の調査があったときは,税務署長は,当該調査したところに- 10 -基づきこれをすることができると規定しているのに対し,納税告知処分についてはこれに相当する規定が存在しないことからも導かれる。 イ 本件消費税等各更正処分及びこれらに係る過少申告加算税の各賦課決定処分に関し,大阪国税局長が必要かつ重要で実施可能な調査を行わなかった違法本件税務調査において,大阪国税局は,副社長による服飾品等や宝飾品等の購入と同時に,控訴人から副社長に対する現物(購入品)による給与等の支払が行われたと認定し,これに基づき,本件消費税等各更正処分及びこれらに係る過少申告加算税の各賦課決定処分(以下「本件消費税等各更正処分等」という。)が行われた。 副社長に対する質問調査と会長に対する質問調査の結果によれば, づき,本件消費税等各更正処分及びこれらに係る過少申告加算税の各賦課決定処分(以下「本件消費税等各更正処分等」という。)が行われた。 副社長に対する質問調査と会長に対する質問調査の結果によれば,副社長は,服飾品等や宝飾品等を自宅(社宅)に保管していると説明したのに対し,会長は,服飾品等は贈答品で,宝飾品等は商品であると説明しており,説明内容に食違いがあった。また,会長は,贈答品の贈答先を一切明らかにできないと説明し,本件服飾品等の購入代金は使途秘匿金(租税特別措置法62条2項)であると主張していた。大阪国税局の当該職員としては,この状況において,両者の説明の真偽を判断するための証拠の収集として,自宅(社宅)の実地調査を行うべきであり,また,会長から,使途秘匿金を支出した事情とこれに係る控訴人の経営方針や交際接待方針などを具体的に聴取すべきであった。 しかし,大阪国税局の調査担当者は,自宅(社宅)の実地調査を申し入れることも,本件服飾品等及び本件宝飾品等の現物を1点も確認することもなく,会長に対する質問調査において使途秘匿金についての弁明の聴取も一切しなかった。したがって,この調査には,国税局等の当該職員に質問検査権を付与して的確な事実認定と非違の内容の適切な判断を行わせようとした国税通則法74条の2の趣旨を没却する違法があり,- 11 -これに基づいて行われた本件消費税等各更正処分等は違法である。 なお,調査についての裁量が課税庁にあるとしても,本件のように質問検査権の不行使が問題になる場面において,裁量論は,国税局の当該職員による調査実施義務を排斥する理由にならない。 ウ まとめ以上によれば,本件各処分等は,その手続に関する違法により全て取り消されるべきである。 【被控訴人の主張】ア 調査手続の瑕疵が直ち による調査実施義務を排斥する理由にならない。 ウ まとめ以上によれば,本件各処分等は,その手続に関する違法により全て取り消されるべきである。 【被控訴人の主張】ア 調査手続の瑕疵が直ちに処分の違法事由とはならないこと国税の調査の範囲,程度及び手段等は,税務署等の職員の決するところに委ねられており,調査には課税庁等の内部における調査も含まれる。 調査により課税標準の存在が認められる限り課税庁等としては更正決定等をしなければならないのであり,また,更正決定等の取消訴訟においては課税標準の有無が争われ,これについて完全な審査がされる。したがって,調査手続の単なる瑕疵は更正決定等に影響を及ぼさないと解すべきであり,その手続が刑罰法規に触れ,公序良俗に反し,又は社会通念上相当の範囲を超えて濫用にわたるなど重大な違法を帯び,何らの調査なしに更正決定等をしたに等しいとの評価を受ける場合に限り,その手続に基づく当該処分に取消原因があると解すべきである。 イ 本件各納税告知処分等について源泉所得税等の納税義務は法令の定めるところにより自動的に確定するものであり,納税告知処分はその確定した納税義務を前提とする徴収処分である(国税通則法36条)。税務署長等の調査がなければ納付すべき税額が確定せず,その納税義務を前提とする徴収処分をすることができないかのように述べる控訴人の主張は失当である。 また,前記アのとおり,国税の調査には課税庁等の内部における調査- 12 -も含まれ,A税務署長は,控訴人に対する源泉所得税等に係る調査権限をもって,大阪国税局職員による法人税の調査で得られた資料等と,控訴人の源泉徴収簿等の関係資料及び源泉所得税等の納付事績等の,既に収集した資料等を改めて照合及び検討した上で,本件各納税告知処分等をした。調 ,大阪国税局職員による法人税の調査で得られた資料等と,控訴人の源泉徴収簿等の関係資料及び源泉所得税等の納付事績等の,既に収集した資料等を改めて照合及び検討した上で,本件各納税告知処分等をした。調査の終了の際の控訴人に対する説明手続においても,A税務署の調査担当者は,各法定納期限につき,月ごとの給与等の額及び納付すべき源泉所得税等の額等が記載された書面を示しながら,本件各購入品等の各購入等による支出が副社長の個人的経費を負担するもので,副社長に対する給与等に該当すること,その給与等の額,源泉所得税等の額及び月ごとの源泉所得税等に対して不納付加算税が賦課決定されるべきことなどについて国税通則法74条の11の要請を満たす具体的な説明を行っている。したがって,A税務署長の調査手続に何ら違法はなく,本件各納税告知処分等に取消原因はない。 ウ 本件消費税等各更正処分等について前記アのとおり,質問又は検査は,課税庁等がその必要と判断する範囲及び程度において行うことをもって足り,納税義務者に対して直接質問検査をしなければならないものではない。本件消費税等各更正処分等につき,大阪国税局の調査担当者は,必要と判断する範囲及び限度において質問検査権を行使したのであり,控訴人の指摘する調査を行わなかったとしても,そのことをもって当該処分が違法となるものではない。 また,本件税務調査において,会長は,本件各購入品等の代金について貸付金として経理処理しており,これを使途秘匿金であるなどと主張していないから,使途秘匿金に関する控訴人の主張は前提を欠いている。 したがって,大阪国税局長の調査手続に何ら違法はなく,本件消費税等各更正処分等に取消原因はない。 第3 当裁判所の判断- 13 -1 争点(1)(本件各処分の理由提示に本件各処分を取り消すべ したがって,大阪国税局長の調査手続に何ら違法はなく,本件消費税等各更正処分等に取消原因はない。 第3 当裁判所の判断- 13 -1 争点(1)(本件各処分の理由提示に本件各処分を取り消すべき違法があるか否か)について(1) 当裁判所も,本件各処分の理由の提示に本件各処分を取り消すべき違法はないと判断する。その理由は,次のとおり補正し,後記(2)において当審における控訴人の主張に対する判断を加えるほか,原判決「事実及び理由」第3の1に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)ア 原判決27頁8行目の「供与があったと認定」を「供与があったとの認定」に改める。 イ 原判決27頁19行目の「類型」の前に「対象となる購入等の」を加える。 ウ 原判決28頁2行目の「のであるのである」を「のである」に改める。 エ 原判決28頁3行目及び29頁3行目の「名宛人」をいずれも「控訴人」に改める。 オ 原判決28頁4行目,29頁4行目及び26行目の「処分行政庁」をいずれも「行政庁の判断」に改める。 カ 原判決29頁17行目の「不合理」を「不合理又は不当」に改める。 (2) 当審における控訴人の主張に対する判断控訴人は,本件各納税告知処分において提示された理由の判断過程の論理が飛躍しており,これを理解することができないとか,本件消費税等各更正処分において提示された理由が結論のみを示すもので,理由提示が不十分であるなどと主張する。 しかし,副社長による本件各購入品等の各購入等があり,控訴人がその費用負担をしたことについては,控訴人の認識とA税務署長の認識は同一であり,本件各処分においてA税務署長が示す理由は,この事実を前提にしたものとなる。そうすると,その理由の内容となるべきものは,本件各納税告知- 14 - は,控訴人の認識とA税務署長の認識は同一であり,本件各処分においてA税務署長が示す理由は,この事実を前提にしたものとなる。そうすると,その理由の内容となるべきものは,本件各納税告知- 14 -処分においては,上記の費用負担が控訴人から副社長に対する経済的利益の供与であり,それが給与等に該当するという判断と,これを基礎付ける具体的な事実である。また,本件消費税等各更正処分においては,課税売上に関するものとしては,本件各事業年度の法人税の各修正申告において控訴人が「交際接待費」から「貸付金」に振り替えたものにつき,実際には貸付金は存在せず,これに係る受取利息が生じないという判断と,これを基礎付ける具体的な事実であり,課税仕入れに関するものとしては,上記各修正申告において「交際接待費」から「商品」に振り替えたものと「交際接待費」のままとしているものにつき,これらが課税仕入れの対価の額にならないという判断と,これを基礎付ける具体的な事実である。前記(1)で補正の上引用した原判決「事実及び理由」第3の1において説示されているとおり,本件各処分の理由はいずれも,上記の内容に欠けるところはなく,かつ,具体的であるから,行政手続法14条1項本文の要請を満たしているということができる。 控訴人の主張は,本件各処分において提示された理由を曲解するものか,あるいは,理由の提示の違法性をいうのではなく,本件各処分の内容の違法性ないし不当性をいうものといわざるを得ないから,その主張を採用することはできない。 2 認定事実及び事実認定の補足説明争点(2)から(4)までに関係する事実の認定及びその補足説明は,次のとおり補正するほか,原判決「事実及び理由」第3の2(1)及び(2)並びに同別紙2,3及び同別表1-1から1-4までに記載のとおりであ (2)から(4)までに関係する事実の認定及びその補足説明は,次のとおり補正するほか,原判決「事実及び理由」第3の2(1)及び(2)並びに同別紙2,3及び同別表1-1から1-4までに記載のとおりであるから,これを引用する(以下,引用にかかる第3の2(1)の事実〔補正後のもの〕を表示するときは,単に「認定事実」という。)。 (原判決の補正)(1) 原判決35頁25行目の「欄のとおり記載をして」を「欄記載のとおり」- 15 -に改める。 (2) 原判決36頁5行目の「及び」を「又は」に改める。 (3) 原判決36頁18行目の「増額された」を「増額され,そのほか,各年6月に100万円,11月に300万円が支給された」に改める。 (4) 原判決37頁3行目末尾の次に,改行の上,次のとおり加える。 「サ 本件税務調査の経緯について(乙5,9,27.50)(ア) 本件税務調査は,当初,大阪国税局調査第二部によって行われたものであり,遅くとも平成27年8月までに始まった。調査担当者は,その頃,交際接待費とされていた副社長による各購入等について,副社長が当該購入品を転売し,その代金を利得しているのではないかといった質問を控訴人に対してするなどしていたが,そのような転売の事実は認められなかった。 その後,調査が進展し,平成27年12月2日,副社長に対する質問調査が行われ,平成28年4月15日,会長に対する質問調査が行われた。副社長に対する質問調査は,控訴人本社において,控訴人の税務代理権限を有するB税理士(本件の控訴人補佐人税理士)の同席の下,面談して行われたが,面談前から副社長が体調不良を訴えるなどしたため,質問応答記録書を作成して副社長の署名押印を求める手続は行われなかった(乙5)。会長に対する質問調査は,控訴人本社において行 下,面談して行われたが,面談前から副社長が体調不良を訴えるなどしたため,質問応答記録書を作成して副社長の署名押印を求める手続は行われなかった(乙5)。会長に対する質問調査は,控訴人本社において行われ,その結果は質問応答記録書にまとめられてその末尾に会長が署名押印している(乙9)。 控訴人は,この間の平成28年1月7日,本件各事業年度の法人税,本件各課税事業年度の復興特別法人税及び本件各課税期間の消費税等について修正申告をした。 (イ) 大阪国税局の調査担当者は,平成28年6月27日,控訴人本社において,B税理士の同席の下,資料を示しつつ,本件消費税等各更正処分等に関する本件税務調査の調査結果の内容を会長に説明した。 A税務署長は,平成28年8月30日,大阪国税局の当該職員が調査した- 16 -ところに基づいて本件消費税等各更正処分等をした。 (ウ) A税務署長は,平成28年9月1日,控訴人に対し,本件各納税告知処分関係の調査の事前通知を行い,A税務署の職員による調査が始まった。 同税務署の調査担当者は,同月23日,控訴人本社において,B税理士の同席の下,資料を示しつつ,本件各納税告知処分等に関する本件税務調査の調査結果の内容を会長に説明した。そして,A税務署長は,同年10月27日,これらの処分をした。」(5) 原判決38頁2行目末尾の次に,改行の上,次のとおり加える。 「エ 控訴人は,当審においても,副社長に係る調査報告書(乙5)及び会長に係る質問応答記録書(乙9)の信用性を争い,これらに関し,副社長の陳述書(甲30)を提出するほか,副社長の購入先であるそごうC店の外商担当者(D)及びB税理士の陳述書(甲28,29)を提出する。 副社長の陳述書は,上記調査報告書の内容について,些末な点を取り上げ,一つ一つ反論し 出するほか,副社長の購入先であるそごうC店の外商担当者(D)及びB税理士の陳述書(甲28,29)を提出する。 副社長の陳述書は,上記調査報告書の内容について,些末な点を取り上げ,一つ一つ反論しているが,上記調査報告書は,副社長とのやり取りを再現したものであるといっても,必ずしも逐語的に再現したものとは考えられないから,細かな点に副社長の実際の発言との相違があるとしても,それだけでその内容全体の信用性が失われることにならない。また,この陳述書の作成日付は令和2年8月22日であり,質問調査のあった平成27年12月2日から4年半以上が経過しているから,質問調査当時の発言内容を副社長が正確に記憶していたとは考えにくい。この陳述書によって,上記調査報告書の内容の骨格部分の信用性が減殺されることはない。 そごうC店外商担当者及びB税理士の陳述書は,各自の発言が記録された調査報告書(前者につき乙25,後者につき乙24,30)の内容に反論するものであるが,これらも,その内容に照らし,上記各調査報告書の内容の骨格部分の信用性を減殺するものではない(乙51参照)。 控訴人が当審において提出したこれらの証拠を考慮しても,前記 (1)の認- 17 -定事実が覆ることはない。」3 争点(2)(副社長の本件各購入品等の各購入等の額が副社長に対する給与等に該当するか否か)について(1) 当裁判所も,副社長は控訴人の費用負担の下に本件各購入品等の各購入等をしたことにより利益を受けており,これは控訴人の副社長に対する給与等に該当すると判断する。その理由は,次のとおり補正し,後記(2)において当審における控訴人の主張に対する判断を加えるほか,原判決「事実及び理由」第3の2(3)に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)ア 原判 次のとおり補正し,後記(2)において当審における控訴人の主張に対する判断を加えるほか,原判決「事実及び理由」第3の2(3)に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)ア 原判決38頁11行目末尾の次に「本件各購入品等の各購入等についても同様である。」を加える。 イ 原判決38頁15行目の「容認していたもの」を「容認していたからである」に改める。 ウ 原判決40頁6行目の「原告」を「副社長」に改める。 エ 原判決40頁7行目の「可能性がある」を「とみるのが自然である」に改める。 オ 原判決40頁12行目及び41頁13行目の「取引先」をいずれも「取引先等,控訴人の業務に直接関係する者」に改める。 カ 原判決41頁9行目の「社の方針として,」を削る。 キ 原判決41頁14行目の「そもそも」から20行目の「いうべきである。」までを削る。 ク 原判決42頁13行目の「原告は,」及び16行目の「原告が,」を削る。 ケ 原判決43頁16行目の「利得」を「利益」に改める。 コ 原判決44頁17行目の「原告によって」を「控訴人の代表取締役である会長によって」に改める。 - 18 -サ 原判決44頁24行目の「原告による」を「控訴人からの」に改める。 シ 原判決45頁1行目の「法人」の前に「給与等と認められるためには,」を加える。 ス 原判決45頁4行目の「供与者における認識」を「副社長に利益を供与する意思」に改める。 (2) 当審における控訴人の主張に対する判断ア 副社長の権限による各購入等と会長の容認控訴人の取締役である副社長が控訴人の経費を自由に使用することができる立場にあり,本件各購入品等の各購入等が,代表取締役である会長の承認,容認の下に行われたことは,前記(1)で補正の上引用した原判決「事実及 締役である副社長が控訴人の経費を自由に使用することができる立場にあり,本件各購入品等の各購入等が,代表取締役である会長の承認,容認の下に行われたことは,前記(1)で補正の上引用した原判決「事実及び理由」第3の2(3)ア(ア)及びイにおいて説示されているとおりである。 イ 本件各購入品等の各購入等について控訴人がした支出が,交際接待費に当たるか本件各購入品等の各購入等をしたのは副社長であるが,控訴人は,その全てについて費用を負担した上で,それらを交際接待費(一部は雑費,旅費交通費であるが,ここではそれらを含めたものをいう。)として法人税,復興特別法人税及び消費税等の確定申告をした(原判決「事実及び理由」第2の3の前提事実(2),(3)ア参照)。 交際接待費とは,交際費,接待費,機密費その他の費用で,法人が,その得意先,仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待,供応,慰安,贈答その他これらに類する行為のために支出するものであり(租税特別措置法61条の4第4項参照),控訴人は,本件各購入品等の各購入等についての支出は,いずれも,控訴人の事業に関係のある者等に対する贈答のためであると主張している。この控訴人の主張が認められるためには,本件各購入品等が控訴人の事業に関係のある者等に対して- 19 -贈答されたことが認められなければならない。 ところが,控訴人は,贈答先に何らかの迷惑や負担がかかることのないよう,贈答先を秘匿するのが控訴人の方針であると主張し,会長も同様の供述をする。そして,本件税務調査においても,本件訴訟においても,控訴人は贈答先を一切明らかにしておらず,贈答先を特定し得る証拠は存在せず,贈答先をうかがわせる事情すら存在しない。これでは,贈答先が控訴人の事業に関係するかどうかを判断することができないか も,控訴人は贈答先を一切明らかにしておらず,贈答先を特定し得る証拠は存在せず,贈答先をうかがわせる事情すら存在しない。これでは,贈答先が控訴人の事業に関係するかどうかを判断することができないから,本件各購入品等についての控訴人の支出が交際接待費に該当すると認めることはできない。 控訴人が,本件各事業年度の法人税の各修正申告において,「交際接待費」としていたものの大半を「貸付金」(本件服飾品等)又は「商品」(本件宝飾品等)に振り替えたのは,控訴人自身,この理を否定し難いことを認めたからであると理解するほかない。 なお,控訴人は,原審では副社長の証人尋問の申出をしなかったが,当審においてその申出をし,本件各購入品等の各購入等の経緯について明らかにするためにその取調べが必要であると主張する。しかし,副社長は,その作成した陳述書(甲30)において,「この裁判においても,どなたに何をお贈りしたかについては,相手先に迷惑がかかりますので,それだけは絶対に言えません。会長からも絶対に言わないようにと言われています。」(同陳述書9頁)と陳述しているのであるから,その取調べをする必要があるとは認められない。 ウ 本件服飾品等の各購入等及び本件二重計上分について控訴人がした支出が,副社長に対する貸付金に当たるか控訴人が本件各事業年度の法人税の各修正申告において「交際接待費」から「貸付金」に振り替えたもの,すなわち本件服飾品等の各購入等及び本件二重計上分(原判決別紙2参照)について,控訴人は,いずれも- 20 -副社長に対する貸付金であると主張する。 しかし,これらの「貸付金」について副社長が借用証書を作成して控訴人に差し入れたのは,本件税務調査が始まった後で,控訴人が本件各事業年度の法人税について各修正申告をした時期の直前の,平 張する。 しかし,これらの「貸付金」について副社長が借用証書を作成して控訴人に差し入れたのは,本件税務調査が始まった後で,控訴人が本件各事業年度の法人税について各修正申告をした時期の直前の,平成27年12月3日になってからであり(認定事実キ参照),しかも,その借用証書には,「3億2222万1303円(平成25年分1億1393万4592円,平成26年分2億0828万6711円)を借用しました」との記載があるのみで,いつ,いくらを借り入れたのかが判然とせず,あたかもその全額を同日に借り入れたかのような体裁である(乙8,29)。本件服飾品等の各購入等及び本件二重計上分について控訴人がした支出が副社長に対する貸付金といえるためには,その支出があった当時に貸付け及び借入れの合意が成立したと認められなければならないが,上記の借用証書によってこれを認めることはできず,ほかにこれを認めるに足りる証拠も存在しない。そもそも控訴人の主張は,控訴人による支出の当時に貸付金が発生したことを前提とするものではなく,上記のとおり本件各事業年度より後になって貸付金としての書類を整え,経理処理をしたことをもって,貸付金であると主張しているにすぎない。少なくとも本件のような租税法律関係においては,このような事後の書類の作成や経理処理によって,控訴人による支出の当時に貸付金でなかったものが貸付金になるものではない。 エ 本件宝飾品等の各購入等について控訴人が費用を負担したことをもって,控訴人が事業として当該宝飾品等を購入したといえるか本件宝飾品等の各購入等について,控訴人は,本件各事業年度の法人税の各修正申告において「交際接待費」から「商品」に振り替えている。 これが正しいものといえるためには,これらの宝飾品等の各購入等が,控訴人の事業として行われ,当該宝 ,控訴人は,本件各事業年度の法人税の各修正申告において「交際接待費」から「商品」に振り替えている。 これが正しいものといえるためには,これらの宝飾品等の各購入等が,控訴人の事業として行われ,当該宝飾品等が商品として扱われていたこ- 21 -とが認められなければならない。 しかし,前記(1)で補正の上引用した原判決42頁10行目から22行目までにおいて説示されているとおり,控訴人はもともとこれらを「交際接待費」に計上していた上に,本件各事業年度において控訴人が宝石等を販売した実績はなく,本件宝飾品等を控訴人の資産又は商品として取り扱っていた形跡もないのであるから,本件宝飾品等の各購入等が控訴人の事業として行われたと認めることはできない。 オ 推認による認定以上のとおり,取締役である副社長は,控訴人の経費を自由に使用することができる立場に基づき,代表取締役である会長の承認,容認の下,本件各購入品等の各購入等をしており,また,これらに係る控訴人の支出の性格に関する控訴人の主張はいずれも理由がない。 このことを前提にして,前記(1)で補正の上引用した原判決「事実及び理由」第3の2(3)ア(イ)から(オ)までにおいて説示されている本件各購入品等の各購入等に関する事情に基づけば,控訴人の費用負担により行われた本件各購入品等の各購入等について,副社長はこれに相当する利益を控訴人から得ていると推認することができる。控訴人の主張する様々な点を考慮しても,この推認が覆ることはない。そして,副社長の立場,権限及び会長の関与によれば,この利益の供与は給与等に該当すると認めることができる。 控訴人は,本件各購入品等の各購入等についての控訴人の支出は使途秘匿金に該当するとも主張するが,上記のとおりの推認が成り立つ以上,これを使途秘匿金とい は給与等に該当すると認めることができる。 控訴人は,本件各購入品等の各購入等についての控訴人の支出は使途秘匿金に該当するとも主張するが,上記のとおりの推認が成り立つ以上,これを使途秘匿金ということはできない。 4 争点(3)(本件宝飾品等及び本件振替後交際費分の各購入等が課税仕入れに該当するか否か)について当裁判所も,本件宝飾品等及び本件振替後交際費分の各購入等は,課税仕入- 22 -れに該当しないと判断する。その理由は,原判決「事実及び理由」第3の2(4)に記載のとおりであるから,これを引用する。ただし,原判決45頁18行目の「副社長が個人的に行い,その分の利益を得た」を「副社長が個人的な利益を得るために行った」に改める。 5 争点(4)(本件税務調査から本件各処分に至る手続に本件各処分を取り消すべき違法があるか否か)について(1) 本件各納税告知処分等について控訴人は,本件各納税告知処分等について,第1に,これに関する調査が不十分であり,しかも,A税務署長は,大阪国税局の職員による調査を引き継いだだけで実質的な調査を行っていないから,その調査手続は国税通則法74条の2に違反すると主張し,第2に,本件税務調査の終了の際のA税務署の職員による説明は不十分であったから同法74条の11に違反すると主張し,第3に,同法27条の反対解釈等によれば,税務署長が納税告知処分をするためには必ず自ら調査をしなければならないが,A税務署長は独自の調査をしないで本件各納税告知処分等をしたから違法であると主張する。 源泉所得税等の税額は,給与等の支払をする時に,法令の定めに従って自動的に確定するものであり,納税告知処分はその確定した納税義務を前提とする徴収処分である(国税通則法36条)。また,同法第7章の2にいう「国税の調 額は,給与等の支払をする時に,法令の定めに従って自動的に確定するものであり,納税告知処分はその確定した納税義務を前提とする徴収処分である(国税通則法36条)。また,同法第7章の2にいう「国税の調査」には,実地の調査だけでなく,税務署の内部における調査も含まれると解される。以下,これを踏まえて検討する。 控訴人の主張する第1の点については,認定事実サ(本件税務調査の経緯について)によれば,A税務署長は,大阪国税局の職員によって行われた本件税務調査に関する資料その他必要な資料を検討した上で,本件各購入品等の各購入等について,副社長はこれに相当する利益を控訴人から得ていると推認し,これが給与等に該当すると判断して本件各納税告知処分等をしたものと認められる。その検討の過程は,上記のとおり,「国税の調査」に当た- 23 -るから,A税務署長が調査をしないで本件各納税告知処分等をしたとは認められない。また,上記のように推認することができる以上,控訴人が納付すべき源泉所得税等の税額は既に確定していると判断したことになるから,それ以上の調査をするまでもない。控訴人の主張はいずれも採用することができない。 第2の点については,認定事実サによれば,A税務署の調査担当者は,平成28年9月23日,控訴人本社において,B税理士の同席の下,資料を示しつつ,本件各納税告知処分等に関する本件税務調査の調査結果の内容を会長に説明しており,これが国税通則法74条の11に違反するものであったとはいえない。 第3の点については,前記のとおり,A税務署長は,本件各納税告知処分等をするに当たり自ら調査を行ったと認められるから,控訴人の主張は前提を欠く。なお,税務署長による更正又は決定に関し,「国税庁又は国税局の当該職員の調査があったときは,税務署長は,当該調査 告知処分等をするに当たり自ら調査を行ったと認められるから,控訴人の主張は前提を欠く。なお,税務署長による更正又は決定に関し,「国税庁又は国税局の当該職員の調査があったときは,税務署長は,当該調査したところに基づき」これをすることができると規定する国税通則法27条は,更正及び決定が税額を確定する判断作用であることを踏まえたものであると解される。納税告知処分は,前記のとおり,既に確定した納税義務を前提とする徴収処分であり,更正及び決定とは性格が異なるから,同条の反対解釈によって税務署長が納税告知処分をするには必ず自ら調査をしなければならないことが導かれるとする控訴人の主張を採用することはできない。 (2) 本件消費税等各更正処分等について控訴人は,本件税務調査において,大阪国税局の職員は必要な調査を行わなかったから,国税通則法74条の2の趣旨を没却する違法があり,これに基づく本件消費税等各更正処分等は違法であると主張する。 しかし,本件消費税等各更正処分において提示された理由によれば,A税務署長は,大阪国税局の職員が調査したところに基づき本件消費税等各更正- 24 -処分等をするに当たり,課税売上に関するものとして,本件各事業年度の法人税の各修正申告において控訴人が「交際接待費」から「貸付金」に振り替えたものにつき,実際には貸付金は存在せず,これに係る受取利息が生じないと判断し,また,課税仕入れに関するものとして,上記各修正申告において「交際接待費」から「商品」に振り替えたものと「交際接待費」のままとしているものにつき,これらが課税仕入れの対価の額にならないと判断したものと認められる。前記3及び4において説示したとおり,A税務署長がこのように判断したことには十分な根拠があるから,同税務署長が調査を怠ったということはできな 税仕入れの対価の額にならないと判断したものと認められる。前記3及び4において説示したとおり,A税務署長がこのように判断したことには十分な根拠があるから,同税務署長が調査を怠ったということはできない。控訴人の主張は理由がない。 6 結論以上に述べたところに加えて,本件全証拠及び弁論の全趣旨によれば,本件各処分等の根拠及び適法性については,原判決別紙1に記載のとおり認めることができるから,本件各処分等はいずれも適法である。控訴人の請求をいずれも棄却した原判決は相当であり,本件控訴は理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。 大阪高等裁判所第8民事部 裁判長裁判官 山 田 陽 三 裁判官 倉 地 康 弘 裁判官 池 町 知 佐 子
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