【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理 由 上告代理人今井吉之の上告理由第一について 遺言者の所有に属する特定の不動産が
主文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理由 上告代理人今井吉之の上告理由第一について遺言者の所有に属する特定の不動産が遺贈された場合には、目的不動産の所有権は遺言者の死亡により遺言がその効力を生ずるのと同時に受遺者に移転するのであるから、受遺者は、遺言執行者がある場合でも、所有権に基づく妨害排除として、右不動産について相続人又は第三者のためにされた無効な登記の抹消登記手続を求めることができるものと解するのが相当である(最高裁昭和二八年(オ)第九四三号同三〇年五月一〇日第三小法廷判決・民集九巻六号六五七頁参照)。これと同旨の見解に立つて、被上告人らが本件訴えにつき原告適格を有するとした原審の判断は正当であり、原判決に所論の違法はない。所論引用の判例は、事案を異にし本件に適切でない。論旨は、採用することができない。 同第二について民法一〇一二条一項が「遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。」と規定し、また、同法一〇一三条が「遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない。」と規定しているのは、遺言者の意思を尊重すべきものとし、遺言執行者をして遺言の公正な実現を図らせる目的に出たものであり、右のような法の趣旨からすると、相続人が、同法一〇一三条の規定に違反して、遺贈の目的不動産を第三者に譲渡し又はこれに第三者のため抵当権を設定してその登記をしたとしても、相続人の右処分行為は無効であり、受遺者は、遺贈による目的不動産の所有権取得を登記なくして右処分行為の相手方たる第三者に対抗すること- 1 -ができるものと解するのが相当である(大審院昭和四年(オ)第一六九五 分行為は無効であり、受遺者は、遺贈による目的不動産の所有権取得を登記なくして右処分行為の相手方たる第三者に対抗すること- 1 -ができるものと解するのが相当である(大審院昭和四年(オ)第一六九五号同五年六月一六日判決・民集九巻五五〇頁参照)。そして、前示のような法の趣旨に照らすと、同条にいう「遺言執行者がある場合」とは、遺言執行者として指定された者が就職を承諾する前をも含むものと解するのが相当であるから、相続人による処分行為が遺言執行者として指定された者の就職の承諾前にされた場合であつても、右行為はその効力を生ずるに由ないものというべきである。これと同旨の原審の判断は正当であり、原判決に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。 同第三について所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、又は原審において主張、判断を経ていない事項につき原判決の違法をいうものにすぎず、採用することができない。 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第一小法廷裁判長裁判官高島益郎裁判官角田禮次郎裁判官大内恒夫裁判官佐藤哲郎裁判官四ツ谷巖- 2 - 裁判官四ツ谷巖
▼ クリックして全文を表示