主文 1 原告P1,原告P2,原告P3,原告P4,原告P5,原告P6,原告P7,原告P8,原告P9,原告P10及び原告P11の請求をいずれも棄却する。 2 本件訴えのうちその余の原告らの請求に係る部分を却下する。 3 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求処分行政庁が平成21年12月22日付けで株式会社P12に対してした都市計画法29条に基づく開発許可処分(○指令住開指第○号)を取り消す。 第2 事案の概要 1 事案の要旨本件は,処分行政庁が都市計画法29条1項に基づき別紙物件目録記載の各土地(別紙見取図1の赤線で囲まれた部分。以下「本件開発区域」という。)における開発行為を許可(以下「本件開発許可」という。)したところ,本件開発区域の景観保全等を目的として設立された一般社団法人及び本件開発区域の周辺住民である原告らが,本件開発許可の取消しを求めた事案である。 2 関係法令の定め本件に関係する法令の規定は,別紙「関係法令の定め」のとおりである(同別紙において定めた略称等は,以下の本文においても用いることとする。)。 3 前提事実(証拠等の掲記がない事実は,当事者間に争いがない。)(1) 原告らア別紙原告目録2記載11の原告(以下「原告P13協議会」という。)は,平成21年12月16日,本件開発区域及びその周辺に存在する「P14」の景観や良好な自然環境を保全かつ活用する事業を行い,公共の福祉に寄与することを目的として設立された一般社団法人である。 イ原告P13協議会以外の原告らは,いずれも本件開発区域の近隣や,本件開発区域が所在する名古屋市α区内又は同区に隣接する同市β区内に居住する住民である。 ウ原告P13協議会以外の原告らと本件開発区域との位 協議会以外の原告らは,いずれも本件開発区域の近隣や,本件開発区域が所在する名古屋市α区内又は同区に隣接する同市β区内に居住する住民である。 ウ原告P13協議会以外の原告らと本件開発区域との位置関係は,別紙見取図1ないし3のとおりである。 (2) 本件開発許可に至る経緯等ア株式会社P12(以下「P12」という。)は,平成21年4月27日,処分行政庁に対し,法29条1項に基づき,次の内容の開発行為の許可を申請(以下「本件許可申請」という。)し,同年12月22日,本件許可申請に係る開発行為(以下「本件開発行為」という。)を許可する旨の本件開発許可を受けた。(甲15,乙4)(ア) 本件開発区域の面積 4万9256.69㎡(イ) 予定建築物等の用途専用住宅(宅地分譲)161戸(ウ) 工事施行者株式会社P15イその後,P12は,処分行政庁に対し,工事施行者の変更に係る許可申請を行い,平成22年5月28日,工事施行者を株式会社P15から株式会社P16(以下「P16」という。)へ変更する旨の変更許可(○指令住開指第○号の○)を受け,さらに平成23年5月11日には,工事施行者をP16からP17株式会社(以下「P17」という。)へ変更する旨の変更許可(○指令住開指第○号の○)を受けた。(甲98,乙46,47,弁論の全趣旨)(3) 本件開発許可に対する審査請求ア別紙原告目録1記載の原告らは,平成22年2月18日,名古屋市開発審査会に対し,本件開発許可の取消しを求めて審査請求をしたが(以下「本件審査請求」という。),同審査会は,同年5月20日,本件審査請求をいずれも却下する旨の裁決をした。 イ別紙原告目録2記載の原告らは,いずれも本件開発許可に対する審査請求を していない。 (4) という。),同審査会は,同年5月20日,本件審査請求をいずれも却下する旨の裁決をした。 イ別紙原告目録2記載の原告らは,いずれも本件開発許可に対する審査請求を していない。 (4) 本件訴えの提起原告らは,平成22年8月3日,本件訴えを提起した。 (5) 被告における開発行為の許可に関する審査基準等ア被告は,平成20年12月,法29条1項所定の開発許可に関して,名古屋市開発行為の許可等に関する運用基準(以下「本件運用基準」という。)を定めた。本件に関係する本件運用基準の定めは,別紙「名古屋市開発行為の許可等に関する運用基準」のとおりである。(甲1)イ被告は,平成20年4月,宅地造成等規制法8条所定の宅地造成工事規制区域内における宅地造成工事許可に関して,「宅地造成工事技術指針」(以下「本件技術指針」という。)を定めた。本件開発区域は,宅地造成工事規制区域内にあるところ,本件に関係する本件技術指針の定めは,別紙「宅地造成工事技術指針」のとおりである。(乙9,弁論の全趣旨) 4 争点本件の争点は,次のとおりである。 (1) 本件訴えの適法性(本案前の争点)ア審査請求前置の有無イ原告適格の有無(2) 本件開発許可の適法性(本案の争点)ア道路に関する基準違反(法33条1項2号違反等)の有無(ア) 接続先道路の幅員について(イ) 工事車両の幅及び通行等について(ウ) 開発区域内の道路の勾配についてイ法33条1項3号違反の有無ウ法33条1項7号違反の有無エ法33条1項8号違反の有無 オ法33条1項9号違反の有無カ法33条1項12号違反の有無キ法33条1項13号違反の有無ク法30条及び33条違反の有無 エ法33条1項8号違反の有無 オ法33条1項9号違反の有無カ法33条1項12号違反の有無キ法33条1項13号違反の有無ク法30条及び33条違反の有無ケ開発区域の隣地所有者の財産権侵害 5 当事者の主張(1) 本件訴えの適法性(本案前の争点)について(原告らの主張)ア審査請求前置の有無について(ア) 別紙原告目録2記載の原告らは,本件開発許可に対する審査請求を経ていないが,このうち原告P13協議会以外の原告らは,本件審査請求を行った別紙原告目録1記載の原告らの近隣に居住する者であり,また,これら原告らと同様に原告P13協議会の会員であるから,本件審査請求を経た原告らと一体的な利害関係を有する。 (イ) 原告P13協議会についても,本件開発許可に対する審査請求を経ていないが,その代表者である原告P2は,本件審査請求を経ているから,同原告と一体的な利害関係を有する。 (ウ) 以上によると,別紙原告目録1記載の原告らがした本件審査請求は,実質的には,別紙原告目録2記載の原告らのための審査請求でもあると評価することができるから,同原告らの本件訴えは,適法である。 イ原告適格の有無について(ア) 法33条1項2号は,道路が環境の保全上,災害の防止上,通行の安全上又は事業活動の効率上支障がないような規模及び構造で適当に配置されることを開発許可の許可要件として定めているところ,上記規定は,消防車の進入困難による延焼の被害や,開発行為に伴う交通量の増加によって大気汚染,騒音,振動,通行の危険等の被害を受けるおそれのある周辺住民に対し,そのような被害を受けないと いう利益を個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むというべきである。 原告ら 音,振動,通行の危険等の被害を受けるおそれのある周辺住民に対し,そのような被害を受けないと いう利益を個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むというべきである。 原告ら,とりわけ本件開発区域の進入口付近に居住している原告P11及び原告P18は,消防車の進入困難による延焼の被害や,本件開発区域における開発行為(以下「本件開発行為」という。)による交通量の増加によって大気汚染,騒音,振動,渋滞,通行の危険等の被害を受けることが想定される範囲の地域に居住しているから,本件開発許可の取消しを求める原告適格を有する。 (イ) 法33条1項3号は,排水路その他の排水施設が下水の排出によって開発区域及びその周辺の地域に溢水等による被害が生じないような構造及び能力で適当に配置されるように設計が定められていることを開発許可の許可要件として定めているところ,上記規定は,開発区域における溢水等が発生した場合に,これによる直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に居住する周辺住民に対し,そのような被害を受けないという利益を個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むというべきである。 原告P11及び原告P18の各居宅は,本件開発区域よりも低い場所にあり,大雨の際には,本件開発区域の西側境界部分に設置されている○号道路(別紙「道路位置図」参照)の側溝から流れ出た水による洪水被害を受けるおそれがあるから,本件開発許可の取消しを求める原告適格を有する。 (ウ) 法33条1項7号は,崖崩れ等による被害が直接的に及ぶことが想定される開発区域内外の一定範囲の地域の住民の生命,身体の安全等を個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むものと解すべきであり,開発区域内の土地が崖崩れのおそれが多い土地等に当たる 定される開発区域内外の一定範囲の地域の住民の生命,身体の安全等を個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むものと解すべきであり,開発区域内の土地が崖崩れのおそれが多い土地等に当たる場合には,崖崩れ等による直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に居住する者は,開発許可の取消しを求める原告適格を有する(最高裁平成6年(行ツ)第189号同9年1月28日第三小法廷判決・民集51巻1号250頁)。 本件開発区域の西側隣接地には,○号道路に沿って擁壁が設置されているとこ ろ,上記隣接地上に建設されているP19やその周辺に居住する原告P1,原告P4,原告P5,原告P6,原告P7,原告P8,原告P9,原告P10,原告P20,原告P21,原告P22,原告P23,原告P24及び原告P25は,本件開発許可に係る工事の影響で上記擁壁が倒壊して崖崩れ等の被害を受ける可能性がある。また,本件開発区域の土地は,N値が1に近い軟弱な地盤で,砂防指定地及び宅地造成規制区域に指定されている上,本件開発行為によって傾斜角度の急な箇所が出現する予定であるから,崖崩れ等のおそれが多い土地に当たるところ,原告P11,原告P18,原告P2,原告P3,原告P26,原告P27及び原告P28の各居宅は,本件開発区域よりも低い場所にあるから,崖崩れ等の被害を受ける危険性が高い。さらに,本件開発区域の西側隣接地上にあるP19の西側の土地は,急傾斜地崩壊危険区域に指定されているところ,この土地が崩落等した場合,本件開発区域の南西側に位置する低い土地上にある原告P11及び原告P18の各居宅には,土砂災害が及ぶおそれがある。したがって,上記原告らは,いずれも本件開発許可の取消しを求める原告適格を有する。 (エ) 法33条1項9号は,開発区域及びその周辺の地域に び原告P18の各居宅には,土砂災害が及ぶおそれがある。したがって,上記原告らは,いずれも本件開発許可の取消しを求める原告適格を有する。 (エ) 法33条1項9号は,開発区域及びその周辺の地域における環境を保全するため,開発区域における植物の生育の確保上必要な樹木の保存,表土の保全その他の必要な措置が講ぜられるように設計が定められていることを開発許可の許可要件として定めているところ,上記規定は,開発区域における緑地の破壊によって良好な環境を享受する利益に直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に居住する周辺住民に対し,そのような被害を受けないという利益を個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むというべきである。また,生物多様性基本法,環境基本法,都市緑地法,名古屋市環境基本条例といった法の関係法令の趣旨,目的からも,上記のような環境を享受する利益が個別的利益として保護されていると解すべきである。 原告らは,いずれも本件開発区域における緑地の破壊によって良好な環境を享受する利益に直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に居住しているか ら,本件開発許可の取消しを求める原告適格を有する。 (オ) 憲法が定める財産権の保障や,法が採用する開発許可制度の趣旨ないし目的等に照らすと,法は,開発区域の周辺住民に対し,その土地所有権が開発行為によって侵害されないという利益を個々人の個別的利益として保護すべきものとする趣旨を含むというべきである。 原告P2及び原告P3は,本件開発区域の隣接地を所有するところ,本件開発区域の土地との境界が確定しておらず,本件開発行為によって所有地を侵害されるおそれがあるから,本件開発行為の取消しを求める原告適格を有する。 (被告の主張)ア審査請求前置の有無について 発区域の土地との境界が確定しておらず,本件開発行為によって所有地を侵害されるおそれがあるから,本件開発行為の取消しを求める原告適格を有する。 (被告の主張)ア審査請求前置の有無について別紙原告目録2記載の原告らは,いずれも審査請求前置の要件を満たしていないから,同原告らの訴えはいずれも不適法である。 イ原告適格の有無について(ア) 法33条1項2号は,開発区域内の住民の利益を保護する規定であり,開発区域外の住民の利益を個別的利益として保護する趣旨を含むものではない。 また,本件開発区域は,既に開発の進んだ住宅地に連たんする場所にあり,新たに約160戸程度の住宅が建設されたとしても,それによって交通量が増加し,渋滞,自動車の騒音や振動の増加,排気ガスによる大気汚染等の被害が発生するとは考え難い。 (イ) 原告P11は,本件開発区域の南西部分から幅員6mの道路を挟んだ場所に居住しているところ,本件開発区域の地形は当該道路から北東に向かって約5%のなだらかな勾配となっているにすぎないから,原告P11宅が本件開発行為により水害の被害を受けるおそれがあるとは認め難い。原告P11宅に近接し,本件開発区域から道路等を挟んで約20m離れた場所に居住する原告P18についても同様である。 (ウ) 本件開発区域周辺は,宅地造成工事規制区域に指定されている。このため, 本件開発区域の西側隣接地の既存擁壁は,宅地造成等規制法所定の基準に従って許可を得た上で設置されているから,本件開発許可に基づき,その周辺で新たに擁壁を設置する工事をした程度で倒壊するなど到底考え難い。仮に既存の擁壁が上記基準を満たしておらず,本件開発許可に係る工事が行われた際に倒壊するような事態が生じたとしても,それは既存の擁壁自体の強度に問題があるの 工事をした程度で倒壊するなど到底考え難い。仮に既存の擁壁が上記基準を満たしておらず,本件開発許可に係る工事が行われた際に倒壊するような事態が生じたとしても,それは既存の擁壁自体の強度に問題があるのであって,本件開発行為とは直接関係がない。 原告P11,原告P18,原告P2,原告P3及び原告P26は,本件開発区域の近隣に居住するものの,本件開発区域から上記各原告らの居住地への勾配はなだらかであるから,本件開発行為により崖崩れの直接的な被害を受けるおそれがあるということはできない。その余の原告らについては,本件開発区域から離れた場所や本件開発区域より地盤高の高い区域に居住しているから,本件開発行為により崖崩れの直接的な被害を受けるおそれはない。 (エ) 法が,開発区域の周辺住民に対して良好な環境を享受する利益を個々人の個別的利益として保護すべきものとする趣旨を含むものであると解することはできない。 (オ) 法29条1項の開発許可に係る基準を定めた法33条,34条のほか,施行令及び施行規則等その下位法令をみても,法が開発区域の周辺住民の財産権を保護する趣旨を含むものであると解することはできない。 (2) 本件開発許可の適法性(本案の争点)(原告らの主張)ア道路に関する基準違反(法33条1項2号違反等)の有無について(ア) 接続先道路の幅員について法33条2項を受けて同条1項2号の技術的細目を定める施行令25条は,4号において,開発区域内の主要な道路は,開発区域外の幅員9m(主として住宅の建築の用に供する目的で行う開発行為にあっては,6.5m)以上の道路(開発区域の周辺の道路の状況によりやむを得ないと認められるときは,車両の通行に支障が ない道路)に接続していることを要するとしている。また,施行令25条 発行為にあっては,6.5m)以上の道路(開発区域の周辺の道路の状況によりやむを得ないと認められるときは,車両の通行に支障が ない道路)に接続していることを要するとしている。また,施行令25条は,1号において,道路は,都市計画において定められた道路及び開発区域外の道路の機能を阻害することなく,かつ,開発区域外にある道路と接続する必要があるときは,当該道路と接続してこれらの道路の機能が有効に発揮されるように設計されていることを要するものとしており,本件運用基準第24の1は,施行令25条1号により道路の機能が有効に発揮するため開発区域の面積が0.3ha 以上の開発行為においては,原則として開発区域内の道路が開発区域外の道路に2か所以上で接続するよう設計することを要するとしている。 上記各規定によると,本件開発区域は,開発区域内の主要な道路が2か所以上で幅員6.5m以上の開発区域外道路に接続していなければならないというべきである。ところが,本件開発区域における主要な道路である○号道路と○号道路(別紙「道路位置図」参照)が接続している開発区域外の道路は,いずれも幅員が6mしかないから,上記各規定の要件を満たさない。 (イ) 工事車両の幅及び通行等について道路法47条1項,2項,車両制限令5条2項によると,市街地区域内の道路を通行する車両の幅は,当該道路の車道の幅員から0.5mを減じたものの2分の1を超えないものでなければならないものとされており,また,車両制限令9条によると,歩道,自転車道又は自転車歩行者道のいずれをも有しない道路を通行する自動車は,その車輪が路肩(路肩が明らかでない道路にあっては,路端から車道寄りの0.5mの幅の道路の部分)にはみ出してはならないものとされている。 ところが,本件開発許可に係る工事の開始後, する自動車は,その車輪が路肩(路肩が明らかでない道路にあっては,路端から車道寄りの0.5mの幅の道路の部分)にはみ出してはならないものとされている。 ところが,本件開発許可に係る工事の開始後,本件開発区域の進入路には,上記車幅制限を超える工事車両が道路法47条の2所定の通行許可を受けずに多数走行しているから,本件開発行為は,上記各規定に違反する。 (ウ) 開発区域内の道路の勾配について法33条2項,施行令29条を受けて法33条1項2号の技術的細目を定める施行規則24条3号は,「道路の縦断勾配は9%以下であること。ただし,地形等に よりやむを得ないと認められる場合は,小区間に限り,12%以下とすることができる。」旨規定している。 ところが,本件開発区域における主要な道路である○号道路(別紙「道路位置図」参照)は,半分以上の区間で縦断勾配が9.58%となっているから,上記要件を満たさない。 イ法33条1項3号違反の有無について本件開発区域では,その中央部に調整池が設置され,その北東角及び南西角から雨水が流れ込む仕組みになっているが,調整池への流水の経路となっている道路脇の排水路(側溝)の勾配が緩やかであるため,雨水が調整池に流入せずに,本件開発区域の南側に流れ出る可能性がある。 また,本件開発区域周辺では,1時間当たりの最大雨量が本件開発区域に設置される排水路の放流能力を超えた年があり,また,10分当たりの最大雨量はほぼ毎年16㎜を超えているところ,この数値は,本件許可申請が前提としている降雨強度(毎時80㎜)を10分当たりに換算した数値(13.3㎜)を上回っているから,安全な放流は望めない。本件許可申請においては,流出係数を0.9として流量計算が行われているが,本件開発区域では,舗装の上で,住戸が密集 を10分当たりに換算した数値(13.3㎜)を上回っているから,安全な放流は望めない。本件許可申請においては,流出係数を0.9として流量計算が行われているが,本件開発区域では,舗装の上で,住戸が密集して建てられるため,土地全体が不浸透性を帯びることになるから,流出係数を1.0として流量計算を行うべきである。また,本件開発区域に設置される○号道路と○号道路,○号道路と○号道路及び○号道路と○号道路の各接続地点では,排水路を流れる雨水が集水枡を経る際,水平な流れから垂直な流れに変化するのに伴う摩擦が生じるが,本件許可申請では,この摩擦が設計上全く考慮されていない。さらに,○号道路と○号道路及び○号道路と○号道路の各接続地点については,複数の排水管が合流することによって発生する問題点が想定されていない。 以上のとおり,本件開発許可は,法33条1項3号所定の排水設備に関する基準を満たしていない。 ウ法33条1項7号違反の有無について 本件開発許可には,①本件開発区域の西側隣接地に設置されている既存擁壁が,本件開発許可に係る工事の影響で倒壊して崖崩れが発生するおそれがある,②本件開発区域の土地は,N値が1に近い軟弱な地盤で,砂防指定地及び宅地造成規制区域に指定されている上,本件開発行為によって傾斜角度の急な箇所が出現する予定であるから,本件開発区域やその周辺で崖崩れ等が発生するおそれがある,③本件開発区域には,急傾斜地崩壊危険箇所が含まれるにもかかわらず,この点が考慮されていない,④本件開発許可に係る工事においては,本件開発許可の許可条件とされた30㎝ごとの締め固めが履践されていない,という問題点がある。したがって,本件開発許可は,法33条1項7号所定の崖崩れ等の災害防止に関する基準を満たしていない。 エ法33条1項8 条件とされた30㎝ごとの締め固めが履践されていない,という問題点がある。したがって,本件開発許可は,法33条1項7号所定の崖崩れ等の災害防止に関する基準を満たしていない。 エ法33条1項8号違反の有無について法33条1項8号,施行令23条の2によると,開発区域内に急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律3条1項所定の急傾斜地崩壊危険区域内の土地を含んではならないものとされている。ところが,本件開発区域には,急傾斜地崩壊危険区域内の土地が含まれているから,本件開発許可は,法33条1項8号所定の要件を満たしていない。 オ法33条1項9号違反の有無について法33条1項9号によると,開発区域における植物の生育の確保上必要な樹木の保存,表土の保全その他の必要な措置が講ぜられるように設計が定められていることが必要であるとされているが,本件開発区域のような良好な自然環境を何の配慮もなく破壊することは許されないし,本件では,樹木の保存その他の必要な措置が採られていない。したがって,本件開発許可は,法33条1項9号所定の要件を満たしていない。 カ法33条1項12号違反の有無について本件開発行為の許可申請者であるP12の資金計画は,借入金23億円で費用を賄い,本件許可申請前から利息の返済を始め,最終支払日に元本を一括返済すると いうものであるところ,このような資金計画には無理があり不健全であるから,P12には本件開発行為を行うために必要な資力がない。また,P12には,本件開発行為と同程度の規模以上の事業の実績がないから,開発許可申請者の信用力について定めた本件運用基準第32の3の(4)の要件を満たしていない。したがって,本件開発許可は法33条1項12号所定の要件を満たしていない。 キ法33条1項13号違反の 開発許可申請者の信用力について定めた本件運用基準第32の3の(4)の要件を満たしていない。したがって,本件開発許可は法33条1項12号所定の要件を満たしていない。 キ法33条1項13号違反の有無について本件開発行為に係る工事の施行者であるP16は,下請を使わずに施工する能力がなく,一般建設業の許可しか受けていないため,下請発注額が3000万円までに制限されるところ,上記工事が3000万円未満の下請金額で完了するはずがない。また,P16は,本件開発行為の10分の1程度の規模の工事を行った実績しか有していないから,工事施行者の能力について定めた本件運用基準第33の(4)の要件を満たしていない。P16に代わって施行者となったP17も,本件許可申請時には,本件開発行為の20分の1にも満たない規模の開発実績しかない。したがって,本件開発許可における施行者は,工事を完成するために必要な能力がないから,本件開発許可は法33条1項13号所定の要件を満たしていない。 ク法30条及び33条違反の有無について本件許可申請は,当初P12が予定していた私立小学校の建設計画を含まないものであるから,申請書の記載事項を定めた法30条に違反する。また,このような事実と異なる内容の許可申請に係る開発行為が法の規定する許可基準に適合することはあり得ないから,本件開発許可は,法33条にも違反する。 ケ開発区域の隣地所有者の財産権侵害開発行為の許可に当たっては,開発区域内の各土地の測量が適切にされ,かつ周辺地との境界が厳に定められていなければならない。ところが,本件開発許可は,本件開発区域内の道路(里道)の実測が行われず,隣接地との境界の確認も行わずにされたものであるから,申請書の記載事項を定めた法30条1項1号に違反する。 (被 ころが,本件開発許可は,本件開発区域内の道路(里道)の実測が行われず,隣接地との境界の確認も行わずにされたものであるから,申請書の記載事項を定めた法30条1項1号に違反する。 (被告の主張)ア道路に関する基準違反(法33条1項2号違反等)の有無について(ア) 接続先道路の幅員について法33条1項2号,施行令25条4号によると,開発区域内の主要な道路は,開発区域外の相当規模の道路に1か所でも接続していれば足りるのであって,2か所以上で接続すべき旨が定められているわけではない。また,本件運用基準第24の1は,施行令25条1号についての運用基準を定めたものであって,同条4号に関するものではない。したがって,開発区域内の主要な道路が2か所以上で幅員6. 5m以上の区域外の道路に接続していなければならないとする原告らの主張は,そもそも法令上の根拠を欠くものであって,失当である。 本件開発区域の主要な道路は,○号道路ではなく,○号道路から○号道路へ続く道路及び○号道路の途中で分岐する○号道路(別紙「道路位置図」の赤斜線部分)である。本件開発許可においては,開発区域外の幅員6mの既存道路と平行する形で開発区域内に幅員3mの○号道路を設置することによって上記既存道路の幅員を9mに拡幅するものとされており,本件開発区域の主要な道路である上記道路は,これに接続しているから,法33条1項2号,施行令25条4号所定の幅員要件を満たしている。また,本件開発区域内の道路は,2か所で開発区域外の道路に接続しているから,本件運用基準第24の1所定の要件も満たしている。 (イ) 工事車両の幅及び通行等について道路法や車両制限令の規定は,開発行為の許可要件とは無関係である。仮に車両制限令違反の事実があったとしても,本件開発許可が違 所定の要件も満たしている。 (イ) 工事車両の幅及び通行等について道路法や車両制限令の規定は,開発行為の許可要件とは無関係である。仮に車両制限令違反の事実があったとしても,本件開発許可が違法となるわけではない。 (ウ) 開発区域内道路の勾配について○号道路において縦断勾配が9.58%となる区間は,もともと傾斜地であり,本件開発区域内の道路の総延長約2000mのうち約50mにすぎない。上記区間については,「地形等によりやむを得ないと認められる場合は,小区間に限り,12%以下とすることができる。」とする施行規則24条3号ただし書を満たしてい るから,何ら法令違反はない。 イ法33条1項3号違反の有無について雨水は,道路の両側に設置された排水路(側溝)に流れ込むため,調整池に流れる雨水が本件開発区域の南側に流れ出ることは想定し難い。 本件においては,本件開発区域が宅地造成工事規制区域内に存在することから,本件技術指針で定められた雨量強度(毎時72㎜)を上回る毎時80㎜という厳しい前提の下に流量計算を行っている。本件開発区域に最も近い場所に設置された雨量計では,1時間当たり80㎜を超える雨量が計測されたことはないし,仮に毎時80㎜を超える雨が降ったとしても,排水路の安全率(水路の排水能力を表す許容流量を,降水量や地形等を考慮に入れた上で想定した雨水の量である総排水量で割った数値)は1.00を大きく上回っているから,直ちに洪水が起こることは考え難い。また,流出係数(降雨が排水施設に流れ込む割合)については,宅地造成規制区域内では通常0.7とされているが,本件許可申請では,大部分の排水路についてこれを上回る0.9という厳しい数値を用いて流量計算が行われている。宅地においては,雨水の地面吸収分等を考慮すべきである 制区域内では通常0.7とされているが,本件許可申請では,大部分の排水路についてこれを上回る0.9という厳しい数値を用いて流量計算が行われている。宅地においては,雨水の地面吸収分等を考慮すべきであるから,流出係数を1.0とするのは相当ではない。集水枡についても,その構造上,摩擦による排水能力への影響は軽微であるから,何ら問題はない。 ウ法33条1項7号違反の有無について本件開発許可は,法33条1項7号所定の要件を満たしている。 なお,本件開発区域の傾斜はなだらかであり,擁壁設置箇所では地耐力の確認をしているから,部分的に急傾斜地崩壊危険箇所が含まれているからといって,直ちに危険であるということはできない。急傾斜地崩壊危険箇所は,愛知県が設定した条件に合致する箇所を抽出しただけのものであり,開発行為について法的な規制がされるわけではない。本件開発行為においては,宅地造成等規制法施行令で定める技術的基準に従い,擁壁の設置が必要な箇所に,当該基準を満たす強度及び性能を有する擁壁が設置される計画である。また,締め固めの実行等は実際に行われた工 事内容の問題であり,本件開発許可の適否とは無関係である。 エ法33条1項8号違反の有無について本件開発区域には,急傾斜地崩壊危険区域内の土地は含まれていない。 オ法33条1項9号違反の有無について本件開発行為では,一定規模の緑地を保全する計画となっており,自然環境に対して一定の配慮がされている。法33条2項を受けて同条1項9号の技術的細目を定める施行令28条の2第1号ただし書によると,樹木又は樹木の集団について保存等の措置を行わないことができる場合もあるとされているのであり,全ての樹木が保存されなかったからといって,法33条1項9号に違反するわけではない。 カ法 によると,樹木又は樹木の集団について保存等の措置を行わないことができる場合もあるとされているのであり,全ての樹木が保存されなかったからといって,法33条1項9号に違反するわけではない。 カ法33条1項12号違反の有無について処分行政庁は,本件開発許可に先立ち,P12は資金調達が可能であること,法人税の滞納や過去に誠実に事業を遂行しなかった前歴がなく,約2ha の規模の開発行為の実績が複数あることを確認し,P12には本件開発行為を行うために必要な資力及び信用があると判断したものである。したがって,本件開発許可は法33条1項12号に違反するものではない。 キ法33条1項13号違反の有無について処分行政庁は,P16及びP17について,本件開発と同程度以上の規模の開発行為の実績は有してはいなかったが,開発行為の実績を複数有しており,本件運用基準第33に照らして総合的に勘案した結果,本件開発行為に係る工事を完成するために必要な能力があると判断したものである。 したがって,本件開発許可は法33条1項13号に違反するものではない。 ク法30条及び33条違反の有無について処分行政庁は,宅地開発のみを目的とする開発行為に係る本件許可申請の内容を審査し,開発許可の基準を満たしていることが確認できたことから本件開発許可をしたものである。P12が私立小学校の建設計画を検討したことがあったとしても,本件開発許可の適法性とは何ら関係がない。したがって,本件開発許可は,法 30条及び33条に違反するものではない。 ケ開発区域の隣地所有者の財産権侵害について開発許可申請書には,開発区域の位置,区域及び規模を記載しなければならないことから(法30条1項1号),開発区域を確定するため区域全体の土地についての測量は必要であ 地所有者の財産権侵害について開発許可申請書には,開発区域の位置,区域及び規模を記載しなければならないことから(法30条1項1号),開発区域を確定するため区域全体の土地についての測量は必要であるが,当該区域内における各筆土地についての測量までは求められておらず,隣地との境界が確定していることも要求されていない。したがって,本件開発許可は法30条1項1号に違反するものではない。 第3 当裁判所の判断 1 審査請求前置の有無(本案前の争点)について(1) 法29条1項に基づく開発行為の許可の取消しを求める訴えは,当該許可についての審査請求に対する開発審査会の裁決を経た後でなければ,提起することができないところ(法50条1項,52条),前記前提事実のとおり,別紙原告目録2記載の原告らは,本件開発許可について開発審査会に対する審査請求をしていない。 (2) 訴えを提起するについて不服申立手続の前置が定められている場合においては,原則として,訴えを提起する者(以下「訴訟提起者」という。)自身が上記不服申立ての手続を経ていることが予定されているものと解するのが相当であり,訴訟提起者自身がその手続を経由していない以上,たまたま他の者が当該処分について訴訟提起者の主張と同一の理由に基づいて審査請求を経ていたとしても,両者が当該処分に対し一体的な利害関係を有し,実質的にみれば,その者のした審査請求は同時に訴訟提起者のための審査請求でもあるといえるような特段の事情が存しない限り,訴訟提起者の訴えについて当然に審査請求の手続が経由されたと同視して,これを適法な訴えと解することはできないというべきである(最高裁昭和58年(行ツ)第75号同61年6月10日第三小法廷判決・裁判集民事148号159頁)。 (3) この点について,原告らは,①別 これを適法な訴えと解することはできないというべきである(最高裁昭和58年(行ツ)第75号同61年6月10日第三小法廷判決・裁判集民事148号159頁)。 (3) この点について,原告らは,①別紙原告目録2記載の原告らのうち,原告P 13協議会以外の原告らは,本件審査請求を行った別紙原告目録1記載の原告らの近隣に居住する者であり,また,これら原告らと同様に原告P13協議会の会員であるから,本件審査請求を経た原告らと一体的な利害関係を有する,②原告P13協議会についても,その代表者である原告P2が本件審査請求を経ているから,同原告と一体的な利害関係を有する旨主張する。 しかしながら,本件訴えは,原告らが自己のそれぞれの個別的な利益を本件開発許可によって侵害されるおそれがあるとして,その取消しを求めるものであり,その主張からも明らかなように,本件審査請求をした原告らそれぞれの利益は,別紙原告目録2記載の原告らそれぞれの利益とは別個のものであって,両者の間にその内容や性質等において密接な関連性があるわけではない。そうすると,別紙原告目録記載2の原告らが本件審査請求を経た原告らの近隣に居住しているとか,同原告らと同じ団体に所属する会員であって,当該団体の代表者が既に本件審査請求を経ているとかといった事情のみでは,別紙原告目録記載2の原告らが本件開発許可に関して本件審査請求を経た原告らと一体的な利害関係を有し,実質的にみれば,本件審査請求は同時に別紙原告目録記載2の原告らのための審査請求でもあるといえるような特段の事情があるということはできない。したがって,原告らの上記主張は,採用することができない。 (4) 以上によると,本件訴えのうち,別紙原告目録2記載の原告らの請求に係る部分は,審査請求を前置していない不適法なものであるか ない。したがって,原告らの上記主張は,採用することができない。 (4) 以上によると,本件訴えのうち,別紙原告目録2記載の原告らの請求に係る部分は,審査請求を前置していない不適法なものであるから,却下を免れない。 2 原告適格の有無(本案前の争点)について(1) 行政事件訴訟法(以下「行訴法」という。)9条は,取消訴訟の原告適格について規定するが,同条1項にいう当該処分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」とは,当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され,又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうのであり,当該処分を定めた行政法規が,不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず,それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきもの とする趣旨を含むと解される場合には,このような利益もここにいう法律上保護された利益に当たり,当該処分によりこれを侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者は,当該処分の取消訴訟における原告適格を有するものというべきである。 そして,処分の相手方以外の者について上記の法律上保護された利益の有無を判断するに当たっては,当該処分の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく,当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮し,この場合において,当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たっては,当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌し,当該利益の内容及び性質を考慮するに当たっては,当該処分がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案すべきものである(行訴法9条2項参照。以上につき,最高裁平成1 ては,当該処分がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案すべきものである(行訴法9条2項参照。以上につき,最高裁平成16年(行ヒ)第114号同17年12月7日大法廷判決・民集59巻10号2645頁参照)。 (2) 法33条1項2号についてア法33条1項2号は,開発区域内に設置すべき道路,公園,広場その他の公共の用に供する空地(消防に必要な水利が十分でない場合に設置する消防の用に供する貯水施設を含む。)が,環境の保全上,災害の防止上,通行の安全上又は事業活動の効率上支障がないような規模及び構造で適当に配置され,かつ,開発区域内の主要な道路が,開発区域外の相当規模の道路に接続するように設計が定められていることを開発許可の基準としている。この規定は,空地の確保が不十分な状態又は開発区域内の主要な道路が開発区域外の相当規模の道路と接続しない状態のまま開発行為が行われると,消防活動等の災害防止措置等に支障が生じ,開発区域のみならず開発区域に近接する一定範囲の地域に居住する住民の生命,身体が脅かされるおそれがあることに鑑み,そのような被害を防止するために,開発許可の段階で,開発行為の設計内容を十分に審査し,上記のような設計が定められている場合 にのみ許可をすることとしているものと解される。このような同号の趣旨・目的,同号が開発許可を通して保護しようとしている利益の内容,性質等に鑑みると,同号は,空地の確保や開発区域外への道路の接続が不十分な場合に,火災等による被害が直接的に及ぶことが想定される開発区域内外の一定範囲の地域の住民の生命,身体の安全等を個々人の個別的利益としても保護する趣旨を含むものと解すべきである。そうすると,開発区域内の空地の確保や開発 害が直接的に及ぶことが想定される開発区域内外の一定範囲の地域の住民の生命,身体の安全等を個々人の個別的利益としても保護する趣旨を含むものと解すべきである。そうすると,開発区域内の空地の確保や開発区域外への道路の接続が不十分な場合には,火災等による災害の直接的な被害に及ぶことが想定される開発区域内外の一定範囲の地域に居住する者は,開発許可の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として,その取消訴訟における原告適格を有するというべきである。 イこの点について,原告らは,法33条1項2号は開発行為に伴う交通量の増加によって大気汚染,騒音,振動,通行の危険等の被害を受けるおそれのある周辺住民に対し,そのような被害を受けないという利益を個々人の個別的利益として保護する趣旨を含む旨主張するけれども,法や施行令,施行規則その他関係法令の規定をみても,法33条1項2号が原告らの主張するような利益を個々人の個別的利益として保護する趣旨まで含むものと解することはできない。 ウ一方,被告は,法33条1項2号は開発区域内の住民の利益を保護する規定であり,開発区域外の住民の利益を個別的利益として保護する趣旨を含むものではない旨主張する。 確かに,法33条1項2号は,「自己の居住の用に供する住宅の建築の用に供する目的で行う開発行為」の場合には適用されないものとされているけれども,上記の場合には,居住者等の利益を保護する必要が乏しい上,開発区域の規模が小さく,予定建築物等も小規模なものにとどまるのが通常であることから,消防活動等の災害防止のために同号所定の基準を満たすことを要求するまでもないとされたものと解される。そうすると,法33条1項2号が「自己の居住の用に供する住宅の建築の用に供する目的で行う開発行為」の場合に適用されないからといって,それ の基準を満たすことを要求するまでもないとされたものと解される。そうすると,法33条1項2号が「自己の居住の用に供する住宅の建築の用に供する目的で行う開発行為」の場合に適用されないからといって,それのみで直ちに同号が専ら開発区域内の住民の利益を保護する趣旨に出たものと解す ることはできない。したがって,被告の上記主張は,採用することができない。 エそこで,本件についてこれをみるに,前記前提事実及び証拠(甲3,64,97,124の1・2,乙5,32)によると,①本件審査請求を経た別紙原告目録1記載の原告らのうち,原告P1,原告P4,原告P5,原告P6,原告P7,原告P8,原告P9及び原告P10は,いずれも本件開発区域の西側隣接地上の本件開発区域との境界から約10m程度離れた場所に建設されているP19に,原告P2及び原告P3は,本件開発区域の東側隣接地上の本件開発区域との境界から約10m程度離れた場所に建設されている居宅に,原告P11は,本件開発区域から幅員6mの道路を隔てた場所にそれぞれ居住していること,②他方,別紙原告目録1記載の原告のうち,原告P26は本件開発区域から約50m,原告P24は本件開発区域から約120m,原告P29は本件開発区域から約600m,原告P30は本件開発区域から約450m,原告P31は本件開発区域から約4㎞,原告P32は本件開発区域から約6㎞それぞれ離れた場所に居住していることが認められる。 上記原告らの居住場所と本件開発区域との位置関係に加え,本件開発区域の規模や予定建築物等の用途,戸数等を併せ考慮すると,原告P1,原告P2,原告P3,原告P4,原告P5,原告P6,原告P7,原告P8,原告P9,原告P10及び原告P11は,本件開発区域内において火災等による災害が発生した場合に直接的な被害を受け と,原告P1,原告P2,原告P3,原告P4,原告P5,原告P6,原告P7,原告P8,原告P9,原告P10及び原告P11は,本件開発区域内において火災等による災害が発生した場合に直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に居住しているということができるから,本件開発許可の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として,その取消訴訟における原告適格を有するというべきであり,他方,原告P26,原告P24,原告P29,原告P30,原告P31及び原告P32については,上記の地域に居住しているということはできないから,法33条1項2号を根拠として本件開発許可の取消訴訟における原告適格を肯認することはできないといわざるを得ない。 (3) 法33条1項3号について ア法33条1項3号は,排水路その他の排水施設が,開発区域内の下水を有効に排出するとともに,その排出によって開発区域及びその周辺の地域に溢水等による被害が生じないような構造及び能力で適当に配置されるように設計が定められていることを開発許可の基準としている。この規定は,排水路その他の排水施設が必要な排水能力を備えないまま開発行為が行われると,溢水等による被害が発生して,開発区域のみならず開発区域に近接する一定範囲の地域に居住する住民の生命,身体の安全等が脅かされるおそれがあることに鑑み,そのような被害を防止するために,開発許可の段階で,開発行為の設計内容を十分審査し,排水施設が必要な排水能力を備えるように設計が定められている場合にのみ許可をすることとしているものと解される。このような同号の趣旨・目的,同号が開発許可を通して保護しようとしている利益の内容,性質等に鑑みると,同号は,排水施設が必要な排水能力を有していない場合に,溢水等による被害が直接的に及ぶことが想定され のような同号の趣旨・目的,同号が開発許可を通して保護しようとしている利益の内容,性質等に鑑みると,同号は,排水施設が必要な排水能力を有していない場合に,溢水等による被害が直接的に及ぶことが想定される開発区域内外の一定範囲の地域の住民の生命,身体の安全等を個々人の個別的利益としても保護する趣旨を含むものというべきである。そうすると,開発区域における溢水等による直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に居住する者は,当該開発許可の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として,その取消訴訟における原告適格を有するというべきである。 イそこで,本件についてこれをみるに,前記前提事実及び証拠(甲3,14,15,17,22ないし24,46,63,64,97,114の2,118,124の1・2・3,乙1,5,19,30の1・2,32)によると,①本件開発区域内の土地は,本件開発行為の後は,南北方向では北から南へ,東西方向では北西から南東へかけてなだらかに傾斜するようになるように設計されていること,②本件審査請求を経た別紙原告目録1記載の原告らのうち,原告P11の居宅は,本件開発区域の南西部分から幅員6mの道路を挟んだ場所に位置し,本件開発区域よりもやや低地にあること,③他方,原告P1,原告P4,原告P5,原告P6,原告P7,原告P8,原告P9及び原告P10の居住するP19は,本件開発区域よ りも高い場所にあり,原告P2及び原告P3の居宅も,本件開発区域の土地よりも高い場所にあるため,いずれも本件開発区域内の排水が流入するような位置関係にはないことが認められる。 上記認定事実に加え,前記(2)エで認定した原告らの居住場所と本件開発区域との位置関係を併せ考慮すると,原告P11は,本件開発区域からの下水の排出によって溢水等が発 にはないことが認められる。 上記認定事実に加え,前記(2)エで認定した原告らの居住場所と本件開発区域との位置関係を併せ考慮すると,原告P11は,本件開発区域からの下水の排出によって溢水等が発生した場合に直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に居住しているということができるから,本件開発許可の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として,その取消訴訟における原告適格を有するものというべきであり,他方,本件審査請求を経た別紙原告目録1記載の原告らのうちその余の原告らについては,上記の地域に居住しているということはできないから,法33条1項3号を根拠として本件開発許可の取消訴訟における原告適格を肯認することはできないといわざるを得ない。 (4) 法33条1項7号についてア法33条1項7号は,地盤の沈下,崖崩れ,出水その他による災害を防止するため,開発区域内の土地について,地盤の改良,擁壁又は排水施設の設置その他安全上必要な措置が講ぜられるように設計が定められていることを開発許可の基準としている。この規定は,このような土地において安全上必要な措置を講じないまま開発行為が行われると,崖崩れ等の災害が発生して,人の生命,身体の安全等が脅かされるおそれがあることに鑑み,そのような災害を防止するために,開発許可の段階で,開発行為の設計内容を十分審査し,上記措置が講ぜられるように設計が定められている場合にのみ許可をすることとしているものと解される。このような同号の趣旨・目的,同号が開発許可を通して保護しようとしている利益の内容,性質等に鑑みると,同号は,崖崩れ等による被害が直接的に及ぶことが想定される開発区域内外の一定範囲の地域の住民の生命,身体の安全等を個々人の個別的利益としても保護する趣旨を含むものと解すべきである。そう 等に鑑みると,同号は,崖崩れ等による被害が直接的に及ぶことが想定される開発区域内外の一定範囲の地域の住民の生命,身体の安全等を個々人の個別的利益としても保護する趣旨を含むものと解すべきである。そうすると,開発区域内の土地が同号にいう崖崩れのおそれが多い土地等に当たる場合には,崖崩れ等による直接 的な被害を受けることが予想される範囲の地域に居住する者は,開発許可の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として,その取消訴訟における原告適格を有すると解するのが相当である(最高裁平成6年(行ツ)第189号同9年1月28日第三小法廷判決・民集51巻1号250頁)。 イそこで,本件についてこれをみるに,前記前提事実及び証拠(甲2,3,63,64,97,124の1・2,乙1,5,32)によると,①本件開発区域内の土地は,本件開発行為の後は,南北方向では北から南へ,東西方向では北西から南東へかけてなだらかに傾斜することになるように設計されており,本件開発区域外の土地との高低差は僅かなものにとどまること,②本件審査請求を経た別紙原告目録1記載の原告らのうち,原告P11,原告P2及び原告P3は,本件開発区域の隣接地に居住するものの,本件開発区域と上記各原告らの居住地との高低差は僅かなものにとどまり,その勾配はゆるやかであること,③原告P26の居宅は,本件開発区域から約50m離れた場所にあり,その間にはほぼ平坦な私有地が広がっていること,④原告P1,原告P4,原告P5,原告P6,原告P7,原告P8,原告P9及び原告P10の居住するP19は,擁壁上に建築されており,本件開発区域から土砂が流れ込むような位置関係にはないことが認められる。 上記認定事実に加え,前記(2)エで認定した原告らの居住場所と本件開発区域との位置関係を併せ考慮すると,別 建築されており,本件開発区域から土砂が流れ込むような位置関係にはないことが認められる。 上記認定事実に加え,前記(2)エで認定した原告らの居住場所と本件開発区域との位置関係を併せ考慮すると,別紙原告目録1記載の原告らは,いずれも崖崩れ等による直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に居住するものということはできないから,法33条1項7号を根拠として本件開発許可の取消訴訟における原告適格を肯認することはできないといわざるを得ない。 (5) 法33条1項9号についてア原告らは,法33条1項9号は開発区域における緑地の破壊によって良好な環境を享受する利益に直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に居住する周辺住民に対し,そのような被害を受けないという利益を個々人の個別的利益としても保護する趣旨を含むから,同号を根拠に本件訴えの原告適格が認められるべ きである旨主張する。 イしかしながら,法33条1項9号は,政令で定める規模以上の開発行為にあっては,開発区域及びその周辺の地域における環境を保全するため,開発区域における植物の生育の確保上必要な樹木の保存,表土の保全その他の必要な措置が講ぜられるように設計すべきことを定めるものであるところ,その趣旨は,自然環境の保全を図ることによって,良好な都市環境を確保しようとすることにあるものと解される。一般に,開発区域において上記措置が講じられないことにより開発区域外の周辺住民にもたらされる可能性がある影響は,周辺地域における植物や樹木の減少等という広い意味での生活環境の悪化であって,これによって直ちに周辺住民等の生命,身体の安全や健康が脅かされたり,その財産に著しい被害が生じたりすることまでは想定し難いところである。そして,このような生活環境に関する利益は,基本的 であって,これによって直ちに周辺住民等の生命,身体の安全や健康が脅かされたり,その財産に著しい被害が生じたりすることまでは想定し難いところである。そして,このような生活環境に関する利益は,基本的には公益に属する利益というべきであって,法令に手掛かりとなることが明らかな規定がないにもかかわらず,法が周辺住民において上記のような影響を受けないという利益を個々人の個別的利益として保護する趣旨を含むと解するのは困難といわざるを得ない(最高裁平成20年(行ヒ)第247号同21年10月15日第一小法廷判決・民集63巻8号1711頁参照)。ところが,法33条1項9号,同号の基準を適用するについて必要な技術的細目として同条2項に基づいて定められた施行令28条の2は,一定の高さ,規模以上の健全な樹木又はその集団の保存の措置が講ぜられていることや,一定の高さ,規模を超える切土又は盛土を行う場合には,当該切土等を行う部分について表土の復元,客土,土壌の改良等の措置が講ぜられていることを求める一方で,開発行為の目的,開発区域の規模,周辺の状況,開発区域内の土地の地形等と当該樹木等の位置とを勘案してやむを得ないと認められる場合等については,上記措置を不要としているのであって,その内容等に照らして,上記利益を周辺住民の個別的利益として保護する趣旨を含むものと解することはできない。また,原告らの指摘する生物多様性基本法,環境基本法,都市緑地法,名古屋市環境基本条例等は,いずれも環境又は生物多様性につい ての基本理念や環境保全のための社会的責務等を宣明するものにとどまるから,これらを参酌してみても,上記利益を周辺住民の個別的利益として保護する趣旨を含むものと解することはできない。 したがって,原告らについて,法33条1項9号を根拠として本件開発許可の取 まるから,これらを参酌してみても,上記利益を周辺住民の個別的利益として保護する趣旨を含むものと解することはできない。 したがって,原告らについて,法33条1項9号を根拠として本件開発許可の取消しを求める原告適格を肯認することはできない。 (6) 土地所有権の保護規定についてア原告らは,憲法が定める財産権の保障や,法が採用する開発許可制度の趣旨ないし目的等に照らすと,法は,開発行為の周辺住民に対し,その土地所有権が開発行為によって侵害されないという利益を個々人の個別的利益として保護すべきものとする趣旨を含むから,本件開発区域との境界が確定していないために本件開発行為によって所有地を侵害されるおそれのある原告P2及び原告P3については,本件訴えの原告適格が認められるべきである旨主張する。 イしかしながら,法や施行令,施行規則において,開発区域の周辺住民の土地所有権を保護する趣旨を含むと解される規定は見当たらず,その他関係法令を参酌してみても,法が周辺住民の土地所有権を個々人の個別的利益として保護する趣旨を含むものと解することはできない。 したがって,原告らの上記主張は,採用することができない。 (7) 小括以上によると,本件審査請求を経た別紙原告目録1記載の原告らのうち,原告P1,原告P2,原告P3,原告P4,原告P5,原告P6,原告P7,原告P8,原告P9,原告P10及び原告P11については,本件開発許可の取消しを求める原告適格を有するけれども,原告P26,原告P24,原告P29,原告P30,原告P31及び原告P32については,本件開発許可の取消しを求める原告適格を肯認定することができないから,上記原告らの本件訴えは,不適法なものとして却下を免れない。 3 本件開発許可の適法性(本案の争点)について 2については,本件開発許可の取消しを求める原告適格を肯認定することができないから,上記原告らの本件訴えは,不適法なものとして却下を免れない。 3 本件開発許可の適法性(本案の争点)について (1) 道路に関する基準違反(法33条1項2号違反等)の有無についてア接続先道路の幅員について(ア) 原告らは,法33条1項2号,施行令25条4号,本件運用基準第24の1によれば,開発区域内の主要な道路は2か所以上で幅員6.5m以上の開発区域外道路に接続していなければならないにもかかわらず,本件開発区域における主要な道路である○号道路と○号道路(別紙「道路位置図」参照)が接続している開発区域外道路は,いずれも幅員が6mしかないから,本件開発許可は違法である旨主張する。 (イ) しかしながら,法33条2項を受けて同条1項2号の技術的細目を定める施行令25条4号では,開発区域内の主要な道路は,開発区域外の幅員9m(主として住宅の建築の用に供する目的で行う開発行為にあっては,6.5m)以上の道路(開発区域の周辺の道路の状況によりやむを得ないと認められるときは,車両の通行に支障がない道路)に接続していることを要するとされているにすぎず,開発区域内の主要な道路が開発区域外の道路に2か所以上で接続すべき旨が定められているわけではない。 他方,本件運用基準第24の1は,施行令25条1号により道路の機能が有効に発揮するために,開発区域の面積が0.3ha 以上の開発行為においては,原則として開発区域内の道路が開発区域外の道路に2か所以上で接続するよう設計することを要する旨を定めているだけで,施行令25条4号に定める「開発区域内の主要な道路」に関する運用基準を定めたものではない。 以上のとおり,施行令25条4号所定の「開発区域内の 続するよう設計することを要する旨を定めているだけで,施行令25条4号に定める「開発区域内の主要な道路」に関する運用基準を定めたものではない。 以上のとおり,施行令25条4号所定の「開発区域内の主要な道路」が開発区域外の幅員9m(主として住宅の建築の用に供する目的で行う開発行為にあっては,6.5m)以上の道路に接続し,また,本件運用基準第24の1によって開発区域内の道路が開発区域外の道路に2か所以上で接続していれば,法33条1項2号所定の道路に関する許可要件を満たすというべきである。 そうすると,開発区域内の主要な道路が2か所以上で幅員6.5m以上の開発区 域外の道路に接続していなければならないとする原告らの主張は,独自の見解というほかはない。 (ウ) そして,証拠(甲3,15,123,乙1,32)及び弁論の全趣旨によると,①本件開発行為は,専用住宅の建築(宅地分譲)の用に供する目的で行われるものであること,②本件許可申請においては,本件開発区域の中央をほぼ南北に貫くように○号道路が設置される設計となっていること,③○号道路は,総延長が170.7mに及び,本件開発区域内の道路がこれに接続するように設計されていること,④○号道路は,その南端で本件開発区域内の○号道路に接続するとともに,途中で○号道路に分岐して同じく○号道路に接続するものとされていること,⑤○号道路は,本件開発区域外の幅員6mの既存道路と平行に設置され,これによって上記既存道路の幅員を9mに拡幅することが予定されていること,⑥他方,○号道路は,本件開発区域の北側に設置される総延長112.3mの道路であり,その北端で幅員6mの本件開発区域外の道路と接続するように設計されていること,⑦本件開発区域に最も近い幹線道路は,市道γ線第○号であるところ,本件開発区域か 設置される総延長112.3mの道路であり,その北端で幅員6mの本件開発区域外の道路と接続するように設計されていること,⑦本件開発区域に最も近い幹線道路は,市道γ線第○号であるところ,本件開発区域から市道γ線第○号に出るには,○号道路からその延長である○号道路又は○号道路の途中で分岐する○号道路(別紙「道路位置図」の赤斜線部分参照)を経由して,○号道路及びこれと平行に走る既存道路に出るのが最も便利であること,⑧これに対し,○号道路から市道γ線第○号に出るには,本件開発区域の西側を大きく迂回しなければならないこと,⑨本件開発区域内の道路は,上記⑤の○号道路の接続箇所,上記⑥の○号道路の接続箇所のほか,○号道路の南東端において,本件開発区域外の道路と接続するように設計されていることが認められる。 上記認定事実によると,本件開発区域のほぼ中央を南北に貫く○号道路,その延長である○号道路及び○号道路の途中で分岐する○号道路(別紙「道路位置図」の赤斜線部分参照)が施行令25条4号所定の本件開発区域内の主要な道路に当たることは明らかである。そして,上記認定事実によると,本件開発許可においては,開発区域外の幅員6mの既存道路と平行する形で本件開発区域内に幅員3mの○号 道路を設置することによって上記既存道路の幅員を9mに拡幅するものとされており,本件開発区域内の主要な道路である上記道路は,これに接続しているというのであるから,本件開発許可は,上記(イ)で説示した法33条1項2号,施行令25条4号所定の許可要件を満たしているというべきである。他方,上記認定事実によると,本件開発区域内の道路は,3か所で本件開発区域外の道路に接続しているというのであるから,上記(イ)で説示した本件運用基準第24の1所定の要件も満たすことは明らかである。 ( 記認定事実によると,本件開発区域内の道路は,3か所で本件開発区域外の道路に接続しているというのであるから,上記(イ)で説示した本件運用基準第24の1所定の要件も満たすことは明らかである。 (エ) なお,原告らは,上記既存道路の拡幅工事は行われていないことや,拡幅工事を実施しないことを前提とする変更許可がされたことを指摘して,本件開発許可が違法である旨主張するけれども,本件訴えにおける審判の対象は,本件開発許可自体が違法であるかどうかという点である。本件開発許可を受けた後にその内容どおりの工事が行われたかどうかは,本件開発許可が違法かどうかとは別個の問題であり,また,その後に行われた本件開発許可とは別個の行政処分たる変更許可が違法なものであるかどうかによって,本件開発許可の適法性が左右されるものではない。したがって,原告らの上記主張は,採用することができない。 イ工事車両の幅及び通行等について(ア) 原告らは,本件開発許可に係る工事の開始後,本件開発区域の進入路には,道路法47条,車両制限令5条2項所定の車幅制限を超える工事車両が道路法47条の2所定の通行許可を受けずに車両制限令9条所定の制限に違反する状態で多数走行しているから,本件開発行為は違法である旨主張する。 (イ) しかしながら,道路法や車両制限令の規定は,開発行為の許可要件とは無関係であり,仮に原告らの主張するような事実が存在したとしても,これによって本件開発許可が違法となるわけではないから,原告らの上記主張は,失当というほかはない。 ウ開発区域内道路の勾配について(ア) 原告らは,法33条2項,施行令29条,施行規則24条3号によれば,道 路の縦断勾配は9%以下でなければならないにもかかわらず,○号道路は半分以上の区間で縦断勾配が9.58 いて(ア) 原告らは,法33条2項,施行令29条,施行規則24条3号によれば,道 路の縦断勾配は9%以下でなければならないにもかかわらず,○号道路は半分以上の区間で縦断勾配が9.58%となっているから,本件開発許可は違法である旨主張する。 (イ) しかしながら,施行規則24条3号ただし書によると,地形等によりやむを得ないと認められる場合は,小区間に限り,縦断勾配を12%以下とすることができるとされている。そして,証拠(甲3,4,15,乙1,32)及び弁論の全趣旨によると,①本件開発区域内の土地は,もともと北から南へ傾斜しており,○号道路において縦断勾配が9.58%となる区間は,北側の傾斜地であった場所に位置すること,②上記区間は,約50mにすぎず,本件開発区域内の道路の総延長(2130.5m)に占める割合は,約2.3%にとどまることが認められるから,本件開発区域の道路が施行規則24条3号ただし書の要件を満たすことは明らかである。 エ小括以上によると,道路に関する基準違反(法33条1項2号違反等)に関する原告らの主張は,いずれも採用することができず,本件開発許可に上記基準違反の違法の廉はないというべきである。 (2) 法33条1項3号違反の有無についてア法33条1項3号,施行令26条1号,施行規則22条1項によると,排水施設の管渠の勾配及び断面積は,5年に1回の確率で想定される降雨強度値以上の降雨強度値を用いて算定した計画雨水量並びに生活又は事業に起因し,又は付随する廃水量及び地下水量から算定した計画汚水量を有効に排出することができるように定めなければならないとされているところ,証拠(甲15,22ないし24,乙1,9,10ないし18)及び弁論の全趣旨を総合すると,①本件開発区域内には,道路の両側に を有効に排出することができるように定めなければならないとされているところ,証拠(甲15,22ないし24,乙1,9,10ないし18)及び弁論の全趣旨を総合すると,①本件開発区域内には,道路の両側に沿って側溝が設置され,本件開発区域内の中央南西側に調整池が設けられるほか,地中にはコンクリート管や塩ビ管(排水路)及び集水枡が複数設置される計画であること,②本件開発区域の排水施設は,5年に1回の確率で想定 される降雨強度(毎時50㎜)のみならず,20年に1回の確率で想定される降雨強度(毎時73.7㎜)をも上回る降雨強度(毎時80㎜)を用い,大部分の水路について流出係数を0.9として流量計算が行われ,これによって算定された計画雨水量を有効に排出することができるように計画されていること,③一般に,安全率が1を上回れば,溢水が発生することはないとされているところ,本件開発区域の排水路は,いずれも安全率が1を上回っていること,④本件開発区域の調整池の容量は,上記流量計算によって必要とされる容量(1916㎥)を大幅に超える3179㎥とされていること,⑤名古屋市上下水道局は,集水枡の標準構造を策定しているところ,本件開発区域に設置される集水枡は,上記標準構造を満たしていること,⑥本件開発区域では,道路に沿って下水管が設置され,本件開発区域の南側で区域外の放流管に接続される計画になっており,上記下水管については,計画下水量の算定結果に基づき,取付管の内径が100㎜,本管の内径が200㎜とするものとされたことが認められるから,本件開発区域の排水施設は,法等が定める技術的基準を満たしているというべきである。 イこれに対し,原告らは,①雨水が調整池に流入せずに,本件開発区域の南側に流れ出る可能性がある,②本件開発区域周辺では,1時間当たりの最大雨量 定める技術的基準を満たしているというべきである。 イこれに対し,原告らは,①雨水が調整池に流入せずに,本件開発区域の南側に流れ出る可能性がある,②本件開発区域周辺では,1時間当たりの最大雨量が本件開発区域に設置される排水路の放流能力を超えた年があり,また,10分当たりの最大雨量はほぼ毎年16㎜を超えているところ,この数値は,本件許可申請が前提としている降雨強度(毎時80㎜)を10分当たりに換算した数値(13.3㎜)を上回っているから,毎時80㎜の降雨強度では不十分である,③流量計算に当たっては,流出係数を1.0とすべきである,④本件許可申請では,排水路を流れる雨水が集水枡を経る際,水平な流れから垂直な流れに変化するのに伴う摩擦が考慮されていない,⑤○号道路と○号道路及び○号道路と○号道路の各接続地点については,複数の排水管が合流することによって発生する問題点が想定されていない旨主張する。 しかしながら,上記①の点については,これを認めるに足りる証拠はなく,かえ って,証拠(甲2,3,22,乙1,11ないし13)及び弁論の全趣旨によると,設計上,本件開発区域の側溝には,調整池への流入を導くのに必要な勾配が設けられていることが認められるから,この点に関する原告らの上記主張は,採用することができない。 上記②の点については,本件開発区域において毎時80㎜を超える雨量が観測されたことがあることを認めるに足りる証拠はないから,この点に関する原告らの上記主張は,採用することができない。 上記③の点については,本件技術指針では,宅地造成規制区域内における流出係数は通常0.7とされており,本件運用基準においては,流出係数は0.9とされており,本件開発区域の排水施設がこれらに適合するように設計され,安全率も1を上回っていること 造成規制区域内における流出係数は通常0.7とされており,本件運用基準においては,流出係数は0.9とされており,本件開発区域の排水施設がこれらに適合するように設計され,安全率も1を上回っていることは,前記アで認定したとおりである。したがって,流出係数を1.0とすべき旨の原告らの主張は,独自の見解であって,採用することができない。 上記④の点については,本件開発区域に設置される集水枡が標準構造に適合したものであることは,前記アで認定したとおりであり,本件全証拠によっても,集水枡の構造や設置方法に問題があることをうかがわせる証跡は見当たらない。したがって,この点に関する原告らの主張は,採用することができない。 上記⑤の点については,○号道路と○号道路及び○号道路と○号道路の各接続地点において,排水能力に問題があることを認めるに足りる証拠はないから,この点に関する原告らの上記主張は,採用することができない。 ウ小括以上によると,法33条1項3号違反に関する原告らの主張は,いずれも採用することができず,本件開発許可に上記基準違反の違法の廉はないというべきである。 (3) 法33条1項7号違反の有無についてア法33条1項7号は,開発区域内の土地について,地盤の改良,擁壁又は排 水施設の設置その他安全上必要な措置が講ぜられるように設計が定められており,かつ,宅地造成工事規制区域内の土地については,開発行為に係る工事の計画が宅地造成等規制法9条の規定に適合していることという許可基準を定め,宅地造成等規制法9条は,宅地造成工事は擁壁等の設置その他宅地造成に伴う災害を防止するために必要な措置が講ぜられたものでなければならない旨規定しているところ,証拠(甲2,乙9,30の1及び2,31,51ないし53)及び弁論の全趣旨に 事は擁壁等の設置その他宅地造成に伴う災害を防止するために必要な措置が講ぜられたものでなければならない旨規定しているところ,証拠(甲2,乙9,30の1及び2,31,51ないし53)及び弁論の全趣旨によると,本件開発区域においては,地盤の改良,擁壁及び排水施設の設置等が施されており,法及び宅地造成等規制法等が定める地盤に関する基準に適合していることが認められる。 イこれに対し,原告らは,①本件開発区域の西側隣接地に設置されている既存擁壁が,本件開発許可に係る工事の影響で倒壊して崖崩れが発生するおそれがある,②本件開発区域の土地は,N値が1に近い軟弱な地盤で,砂防指定地及び宅地造成規制区域に指定されている上,本件開発行為によって傾斜角度の急な箇所が出現する予定であるから,本件開発区域やその周辺で崖崩れ等が発生するおそれがある,③本件開発区域には,急傾斜地崩壊危険箇所が含まれるにもかかわらず,この点が考慮されていない,④本件開発許可に係る工事においては,本件開発許可の許可条件とされた30㎝ごとの締め固めが履践されていない旨主張する。 しかしながら,上記①の点については,これを認めるに足りる証拠はなく,かえって,証拠(甲2,63,64,97,124の1,乙1,5)によると,原告らの指摘する既存擁壁が設置されている西側隣接地は,本件開発区域内の土地よりも地盤高が高く,本件開発行為後においても,本件開発区域内の土地よりも低地となる箇所は存在しないこと,既存擁壁は,宅地造成等規制法9条所定の基準に従って必要な許可を得た上で設置されたものであることが認められるから,この点に関する原告らの上記主張は,採用することができない。 上記②の点については,本件全証拠によっても,本件開発行為によって傾斜角度の急な箇所が出現するとは認められず,かえって, められるから,この点に関する原告らの上記主張は,採用することができない。 上記②の点については,本件全証拠によっても,本件開発行為によって傾斜角度の急な箇所が出現するとは認められず,かえって,証拠(甲15,26,27,乙 1)及び弁論の全趣旨によると,本件開発区域内の土地は,傾斜がなだらかであって,地盤の強度等に問題のある箇所は存在しないことが認められるから,この点に関する原告らの上記主張は,採用することができない。 上記③の点については,証拠(乙8)及び弁論の全趣旨によれば,急傾斜地崩壊危険箇所とは,愛知県が勾配や斜面の長さ等の基準を定めてこれに当てはまる箇所を土砂災害情報マップに掲載したものにすぎず,急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律3条1項に基づき指定される急傾斜地崩壊危険区域とは異なり,開発行為について法的な規制を受けるものではないことが認められる。そして,開発区域内の土地の傾斜や斜面の高さに伴う崖崩れ等の危険については,法や施行令,施行規則等により設けられた開発許可の基準により審査がされるのであるから,本件開発区域内に急傾斜地崩壊危険箇所があるからといって,崖崩れ防止に必要な措置が採られていないということはできない。したがって,この点に関する原告らの上記主張は,採用することができない。 上記④の点については,本件訴えにおける審判の対象は,本件開発許可自体が違法であるかどうかという点であるところ,本件開発許可を受けた後にその内容どおりの工事が行われたかどうかは,本件開発許可が違法かどうかとは別個の問題であるから,この点に関する原告らの主張は,失当というほかはない。 ウ小括以上によると,法33条1項7号違反に関する原告らの主張は,いずれも採用することができず,本件開発許可に上記基準違反の違法の ら,この点に関する原告らの主張は,失当というほかはない。 ウ小括以上によると,法33条1項7号違反に関する原告らの主張は,いずれも採用することができず,本件開発許可に上記基準違反の違法の廉はないというべきである。 (4) 法33条1項8号違反の有無についてア原告らは,本件開発区域には,施行令23条の2により開発区域に含めるべきではない急傾斜地崩壊危険区域内の土地が含まれているから,本件開発許可は違法である旨主張する。 イしかしながら,本件開発区域に急傾斜地崩壊危険区域内の土地が含まれてい ることを認めるに足りる証拠はない。また,急傾斜地崩壊危険箇所が急傾斜地崩壊危険区域とは異なり,法的規制を受けるものでないことは,前記(3)イで認定,説示したとおりである。 ウしたがって,法33条1項8号違反に関する原告らの主張は,いずれも採用することができず,本件開発許可に上記基準違反の違法の廉はないというべきである。 (5) 法33条1項9号違反の有無についてア法33条1項9号によると,開発区域における植物の生育の確保上必要な樹木の保存,表土の保全その他の必要な措置が講ぜられるように設計が定められていなければならないとされているところ,証拠(甲2,46,乙1,6)及び弁論の全趣旨によると,本件開発区域においては,施行令28条の2第1号及び同条2号に基づき,一定の限度で樹木の保存や表土の保全等を行う措置が施されており,法等が定める樹木の保存等に関する基準に適合していることが認められる。 イこれに対し,原告らは,本件開発区域のような良好な自然環境を破壊することは許されず,樹木の保存等の措置が採られていない旨主張する。 しかしながら,法33条1項9号,同号の基準を適用するについて必要な技術的細目と らは,本件開発区域のような良好な自然環境を破壊することは許されず,樹木の保存等の措置が採られていない旨主張する。 しかしながら,法33条1項9号,同号の基準を適用するについて必要な技術的細目として同条2項に基づいて定められた施行令28条の2は,1号において,一定の高さ,規模以上の健全な樹木又はその集団の保存の措置が講ぜられていることを要するとしつつ,ただし書において,開発行為の目的,開発区域の規模,周辺の状況,開発区域内の土地の地形等と当該樹木等の位置とを勘案してやむを得ないと認められる場合には,この限りではないとしているのであるから,原告らの上記主張のうち,本件開発区域における開発行為がおよそ許されない旨をいうかのような部分は,独自の見解といわざるを得ない。 また,証拠(甲2,46,乙1,5,6)及び弁論の全趣旨によると,①本件開発区域では,そのほぼ全域にわたって樹木が生育していたこと,②本件開発行為は,本件開発区域における宅地造成を目的とするものであること,③本件開発区域 の周辺は,既に宅地化されており,宅地造成によって形成された住宅街が広がっていること,④本件開発行為においては,本件開発区域内の土地(総面積4万9256.69㎡)のうち,2万9495.16㎡(59.88%)が宅地,1万1243.67㎡(22.83%)が道路,4302.67㎡(8.74%)が緑地,1128.79㎡(2.29%)が公園として利用される計画であること,⑤緑地として利用されるのは,本件開発区域の北端から東側にかけての一帯であり,なだらかな傾斜地上の森林を保全した上で森林造成等も施すことが計画されていること等が認められる。これら諸点に照らすと,本件開発区域の樹木等の保存が部分的なものにとどまったことをもって,違法であるということもできないから, 林を保全した上で森林造成等も施すことが計画されていること等が認められる。これら諸点に照らすと,本件開発区域の樹木等の保存が部分的なものにとどまったことをもって,違法であるということもできないから,原告らの上記主張は,採用することができない。 ウしたがって,法33条1項9号違反に関する原告らの主張は,いずれも採用することができず,本件開発許可に上記基準違反の違法の廉はないというべきである。 (6) 法33条1項12号違反の有無についてア法33条1項12号は,申請者に開発行為を行うために必要な資力及び信用があることを許可の基準としているところ,証拠(乙21,33ないし35,40ないし43)及び弁論の全趣旨によれば,①本件開発行為の申請者であるP12は,本件開発行為の収支を賄うのに必要な資金計画を立てた上,平成20年3月7日,株式会社P33銀行から,返済期日を平成22年3月8日,利率又は保証利率を年2.875%,翌月分の利息の支払日を前月末日又は翌営業日とする約定で14億円の証書貸付を受けたこと,②P12は,法人税等を滞納したことはなく,平成12年10月から平成13年9月にかけて面積1万9990㎡の宅地造成事業を受注して完成させ,平成18年2月から同年11月にかけて面積2万1749㎡の宅地造成事業を受注して完成させた受注実績を有していたことが認められるから,P12は,法の定める申請者の資力等に関する基準に適合しているというべきである。 イこれに対し,原告らは,①P12の資金計画は無理のある不健全なものであるから,P12には本件開発行為を行うために必要な資力がない,②P12には,本件開発行為と同程度の規模以上の事業の実績がないから,本件運用基準第32の3の(4)の要件を満たしていない旨主張する。 しかしなが 2には本件開発行為を行うために必要な資力がない,②P12には,本件開発行為と同程度の規模以上の事業の実績がないから,本件運用基準第32の3の(4)の要件を満たしていない旨主張する。 しかしながら,上記①の点については,P12の返済能力に問題があることを認めるに足りる証拠はないから,この点に関する原告らの主張は,採用することができない。 上記②の点については,本件運用基準第32の3は,同(4)の要件を必要不可欠なものとして定めているわけではないから,この点に関する原告らの主張は,採用することができない。 ウしたがって,法33条1項12号違反に関する原告らの主張は,いずれも採用することができず,本件開発許可に上記基準違反の違法の廉はないというべきである。 (7) 法33条1項13号違反の有無についてア原告らは,P16及びP17には本件開発許可に係る工事を完成するのに必要な能力がないから,本件開発許可は違法である旨主張する。 イしかしながら,前記前提事実のとおり,本件許可申請において工事施行者とされていたのは,株式会社P15であり,これを前提として本件開発許可が行われ,その後,平成22年5月28日に,工事施行者を株式会社P15からP16へ変更する旨の変更許可が,さらに平成23年5月11日には,工事施行者をP16からP17へ変更する旨の変更許可がそれぞれ行われたというのである。本件訴えにおける審判の対象は,本件開発許可の違法性の有無であり,株式会社P15の法33条1項13号適合性が問題となるにすぎないから,P16及びP17が同号の要件を満たさない旨の原告らの上記主張は,そもそも失当というほかはない。 そして,弁論の全趣旨によれば,本件許可申請において工事施行者とされた株式会社P15には,本件開発許可に係る工事を完 同号の要件を満たさない旨の原告らの上記主張は,そもそも失当というほかはない。 そして,弁論の全趣旨によれば,本件許可申請において工事施行者とされた株式会社P15には,本件開発許可に係る工事を完成するために必要な能力があること が認められるから,法33条1項13号に適合しているものというべきである。 ウしたがって,法33条1項13号違反に関する原告らの主張は,いずれも採用することができず,本件開発許可に上記基準違反の違法の廉はないというべきである。 (8) 法30条及び33条違反の有無についてア原告らは,①本件許可申請は,P12が当初予定していた私立小学校の建設計画を含まないから,申請書の記載事項を定めた法30条に違反するものであり,②このような事実と異なる内容の許可申請に係る開発行為が法の規定する許可基準に適合することはあり得ないから,本件開発許可は法33条にも違反する旨主張する。 イしかしながら,本件開発許可は,本件許可申請に基づいて行われるものであるから,申請者であるP12が本件許可申請に係る計画とは別に何らかの計画を検討したことがあったとしても,本件開発許可の適否とは何ら関係がないというほかはない。 ウしたがって,原告らの上記主張は,失当というべきである。 (9) 開発区域の隣地所有者の財産権侵害についてア原告らは,開発行為の許可に当たっては,開発区域内の各土地の測量が適切にされ,かつ周辺地との境界が定められていなければならないにもかかわらず,本件開発許可は,本件開発区域内の道路(里道)の実測が行われず,隣接地との境界の確認も行わずにされたものであるから,法30条1項1号に違反する旨主張する。 イしかしながら,法令上,開発区域内の各土地について測量が行われていることや,周辺地 測が行われず,隣接地との境界の確認も行わずにされたものであるから,法30条1項1号に違反する旨主張する。 イしかしながら,法令上,開発区域内の各土地について測量が行われていることや,周辺地との境界が確定していることは,開発許可の許可要件とされておらず,法30条1項所定の申請書の記載事項ともされていないのであるから,原告らの上記主張は,失当というべきである。 ウしたがって,原告らの上記主張は,採用することができない。 (10) 小括以上によると,本件開発許可は適法というべきである。 第4 結論以上の次第で,本件訴えのうち,①別紙原告目録1記載の原告らの中の原告P26,原告P24,原告P29,原告P30,原告P31及び原告P32の訴えは,いずれも原告適格を欠き不適法であるからこれを却下し,②別紙原告目録2記載の原告らの訴えは,いずれも審査請求前置を欠き不適法であるからこれを却下し,③別紙原告目録記載1の原告らの中の原告P1,原告P2,原告P3,原告P4,原告P5,原告P6,原告P7,原告P8,原告P9,原告P10及び原告P11の請求は,いずれも理由がないからこれを棄却すべきである。 よって,主文のとおり判決する。 名古屋地方裁判所民事第9部 裁判長裁判官福井章代 裁判官笹本哲朗 裁判官沖本尚紀 別紙関係法令の定め 第1 都市計画法(ただし,平成23年法律第105号による改正前のもの。以下「法」という。)29条1項都市計画区域又は準都市計画区域内において開発行為をしようとする者は,あらかじめ,国土交通省令で定め 画法(ただし,平成23年法律第105号による改正前のもの。以下「法」という。)29条1項都市計画区域又は準都市計画区域内において開発行為をしようとする者は,あらかじめ,国土交通省令で定めるところにより,都道府県知事(地方自治法252条の19第1項の指定都市,同法252条の22第1項の中核市又は同法252条の26の3第1項の特例市(以下「指定都市等」という。)の区域内にあつては,当該指定都市等の長。以下この節において同じ。)の許可を受けなければならない。 (ただし書以下省略)30条1項前条1項又は2項の許可(以下「開発許可」という。)を受けようとする者は,国土交通省令で定めるところにより,次に掲げる事項を記載した申請書を都道府県知事に提出しなければならない。 1号開発区域(開発区域を工区に分けたときは,開発区域及び工区)の位置,区域及び規模2号開発区域内において予定される建築物又は特定工作物(以下「予定建築物等」という。)の用途3号開発行為に関する設計(以下この節において「設計」という。)4号工事施行者(開発行為に関する工事の請負人又は請負契約によらないで自らその工事を施行する者をいう。以下同じ。)5号その他国土交通省令で定める事項30条2項前項の申請書には,32条1項に規定する同意を得たことを証する書面,同条2 項に規定する協議の経過を示す書面その他国土交通省令で定める図書を添付しなければならない。 33条1項都道府県知事は,開発許可の申請があつた場合において,当該申請に係る開発行為が,次に掲げる基準(括弧内省略)に適合しており,かつ,その申請の手続がこの法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反していないと認めるときは,開発許可をしなければならない。 1号( 係る開発行為が,次に掲げる基準(括弧内省略)に適合しており,かつ,その申請の手続がこの法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反していないと認めるときは,開発許可をしなければならない。 1号(省略)2号主として,自己の居住の用に供する住宅の建築の用に供する目的で行う開発行為以外の開発行為にあつては,道路,公園,広場その他の公共の用に供する空地(消防に必要な水利が十分でない場合に設置する消防の用に供する貯水施設を含む。)が,次に掲げる事項を勘案して,環境の保全上,災害の防止上,通行の安全上又は事業活動の効率上支障がないような規模及び構造で適当に配置され,かつ,開発区域内の主要な道路が,開発区域外の相当規模の道路に接続するように設計が定められていること。この場合において,当該空地に関する都市計画が定められているときは,設計がこれに適合していること。 イ開発区域の規模,形状及び周辺の状況ロ開発区域内の土地の地形及び地盤の性質ハ予定建築物等の用途ニ予定建築物等の敷地の規模及び配置3号排水路その他の排水施設が,次に掲げる事項を勘案して,開発区域内の下水道法2条1号に規定する下水を有効に排出するとともに,その排出によつて開発区域及びその周辺の地域に溢水等による被害が生じないような構造及び能力で適当に配置されるように設計が定められていること。この場合において,当該排水施設に関する都市計画が定められているときは,設計がこれに適合していること。 イ当該地域における降水量 ロ前号イからニまでに掲げる事項及び放流先の状況4号ないし6号(省略)7号地盤の沈下,崖崩れ,出水その他による災害を防止するため,開発区域内の土地について,地盤の改良,擁壁又は排水施設の設置その他安全上必要な措置が 項及び放流先の状況4号ないし6号(省略)7号地盤の沈下,崖崩れ,出水その他による災害を防止するため,開発区域内の土地について,地盤の改良,擁壁又は排水施設の設置その他安全上必要な措置が講ぜられるように設計が定められていること。この場合において,開発区域内の土地の全部又は一部が宅地造成等規制法3条1項の宅地造成工事規制区域内の土地であるときは,当該土地における開発行為に関する工事の計画が,同法第9条の規定に適合していること。 8号主として,自己の居住の用に供する住宅の建築又は住宅以外の建築物若しくは特定工作物で自己の業務の用に供するものの建築又は建設の用に供する目的で行う開発行為以外の開発行為にあつては,開発区域内に建築基準法39条1項の災害危険区域,地すべり等防止法3条1項の地すべり防止区域,土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律8条1項の土砂災害特別警戒区域その他政令で定める開発行為を行うのに適当でない区域内の土地を含まないこと。ただし,開発区域及びその周辺の地域の状況等により支障がないと認められるときは,この限りでない。 9号政令で定める規模以上の開発行為にあつては,開発区域及びその周辺の地域における環境を保全するため,開発行為の目的及び2号イからニまでに掲げる事項を勘案して,開発区域における植物の生育の確保上必要な樹木の保存,表土の保全その他の必要な措置が講ぜられるように設計が定められていること。 10号及び11号(省略)12号主として,自己の居住の用に供する住宅の建築の用に供する目的で行う開発行為又は住宅以外の建築物若しくは特定工作物で自己の業務の用に供するものの建築若しくは建設の用に供する目的で行う開発行為(当該開発行為の中断により当該開発区域及びその周辺の地域に出水, 的で行う開発行為又は住宅以外の建築物若しくは特定工作物で自己の業務の用に供するものの建築若しくは建設の用に供する目的で行う開発行為(当該開発行為の中断により当該開発区域及びその周辺の地域に出水,崖(がけ)崩れ,土砂の流出等による被害が生じるおそれがあることを考慮して政令で定める規模以上のものを除く。)以外 の開発行為にあつては,申請者に当該開発行為を行うために必要な資力及び信用があること。 13号主として,自己の居住の用に供する住宅の建築の用に供する目的で行う開発行為又は住宅以外の建築物若しくは特定工作物で自己の業務の用に供するものの建築若しくは建設の用に供する目的で行う開発行為(当該開発行為の中断により当該開発区域及びその周辺の地域に出水,崖(がけ)崩れ,土砂の流出等による被害が生じるおそれがあることを考慮して政令で定める規模以上のものを除く。)以外の開発行為にあつては,工事施行者に当該開発行為に関する工事を完成するために必要な能力があること。 14号(省略)33条2項前項各号に規定する基準を適用するについて必要な技術的細目は,政令で定める。 35条の2第1項開発許可を受けた者は,30条1項各号に掲げる事項の変更をしようとする場合においては,都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし,変更の許可の申請に係る開発行為が,29条1項の許可に係るものにあっては同項各号に掲げる開発行為,同条2項の許可に係るものにあっては同項の政令で定める規模未満の開発行為若しくは同項各号に掲げる開発行為に該当するとき,又は国土交通省令で定める軽微な変更をしようとするときは,この限りでない。 35条の2第4項31条の規定は変更後の開発行為に関する工事が同条の国土交通省令で定める工事に該当する場合について,32条 土交通省令で定める軽微な変更をしようとするときは,この限りでない。 35条の2第4項31条の規定は変更後の開発行為に関する工事が同条の国土交通省令で定める工事に該当する場合について,32条の規定は開発行為に関係がある公共施設若しくは当該開発行為若しくは当該開発行為に関する工事により設置される公共施設に関する事項の変更をしようとする場合又は同条の政令で定める者との協議に係る開発行為に関する事項であつて政令で定めるものの変更をしようとする場合について, 33条,34条,前条及び41条の規定は1項の規定による許可について,34条の2の規定は1項の規定により国又は都道府県等が同項の許可を受けなければならない場合について,47条1項の規定は1項の規定による許可及び3項の規定による届出について準用する。(後段省略)52条50条1項に規定する処分の取消しの訴え(前条1項の規定により公害等調整委員会に裁定の申請をすることができる事項に関する訴えを除く。)は,当該処分についての審査請求に対する開発審査会の裁決を経た後でなければ,提起することができない。 第2 都市計画法施行令(昭和44年政令第158号。以下「施行令」という。)23条の2法33条1項8号(括弧内省略)の政令で定める開発行為を行うのに適当でない区域は,急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律3条1項の急傾斜地崩壊危険区域とする。 23条の3法33条1項9号(括弧内省略)の政令で定める規模は,1ヘクタールとする。 ただし,開発区域及びその周辺の地域における環境を保全するため特に必要があると認められるときは,都道府県は,条例で,区域を限り,0.3ヘクタール以上1ヘクタール未満の範囲内で,その規模を別に定めることができる。 25条法33条2項( 環境を保全するため特に必要があると認められるときは,都道府県は,条例で,区域を限り,0.3ヘクタール以上1ヘクタール未満の範囲内で,その規模を別に定めることができる。 25条法33条2項(括弧内省略)に規定する技術的細目のうち,法33条1項2号(括弧内省略)に関するものは,次に掲げるものとする。 1号道路は,都市計画において定められた道路及び開発区域外の道路の機能を阻害することなく,かつ,開発区域外にある道路と接続する必要があるときは,当該道路と接続してこれらの道路の機能が有効に発揮されるように設計されているこ と。 2号及び3号(省略)4号開発区域内の主要な道路は,開発区域外の幅員9メートル(主として住宅の建築の用に供する目的で行う開発行為にあつては,6.5メートル)以上の道路(開発区域の周辺の道路の状況によりやむを得ないと認められるときは,車両の通行に支障がない道路)に接続していること。 5号ないし8号(省略)26条法33条2項に規定する技術的細目のうち,同条1項3号(括弧内省略)に関するものは,次に掲げるものとする。 1号開発区域内の排水施設は,国土交通省令で定めるところにより,開発区域の規模,地形,予定建築物等の用途,降水量等から想定される汚水及び雨水を有効に排出することができるように,管渠(きょ)の勾配及び断面積が定められていること。 2号及び3号(省略)28条の2法33条2項に規定する技術的細目のうち,同条1項9号(括弧内省略)に関するものは,次に掲げるものとする。 1号高さが10メートル以上の健全な樹木又は国土交通省令で定める規模以上の健全な樹木の集団については,その存する土地を公園又は緑地として配置する等により,当該樹木又は樹木の集団の保存の措置が講ぜら 1号高さが10メートル以上の健全な樹木又は国土交通省令で定める規模以上の健全な樹木の集団については,その存する土地を公園又は緑地として配置する等により,当該樹木又は樹木の集団の保存の措置が講ぜられていること。ただし,当該開発行為の目的及び法33条1項2号イからニまで(括弧内省略)に掲げる事項と当該樹木又は樹木の集団の位置とを勘案してやむを得ないと認められる場合は,この限りでない。 2号高さが1メートルを超える切土又は盛土が行われ,かつ,その切土又は盛土をする土地の面積が1000平方メートル以上である場合には,当該切土又は盛 土を行う部分(道路の路面の部分その他の植栽の必要がないことが明らかな部分及び植物の生育が確保される部分を除く。)について表土の復元,客土,土壌の改良等の措置が講ぜられていること。 29条25条から前条までに定めるもののほか,道路の勾配,排水の用に供する管きょの耐水性等法33条1項2号から4号まで及び7号(括弧内省略)に規定する施設の構造又は能力に関して必要な技術的細目は,国土交通省令で定める。 第3 都市計画法施行規則(昭和44年建設省令第49号。以下「施行規則」という。)22条1項令(施行令を指す。以下同じ。)26条1号の排水施設の管渠(きょ)の勾配及び断面積は,5年に1回の確率で想定される降雨強度値以上の降雨強度値を用いて算定した計画雨水量並びに生活又は事業に起因し,又は付随する廃水量及び地下水量から算定した計画汚水量を有効に排出することができるように定めなければならない。 23条の228条の2第1号の国土交通省令で定める規模は,高さが5メートルで,かつ,面積が300平方メートルとする。 24条令29条の規定により定める技術的細目のうち,道路に関するものは,次に の228条の2第1号の国土交通省令で定める規模は,高さが5メートルで,かつ,面積が300平方メートルとする。 24条令29条の規定により定める技術的細目のうち,道路に関するものは,次に掲げるものとする。 1号及び2号(省略)3号道路の縦断勾配は,9パーセント以下であること。ただし,地形等によりやむを得ないと認められる場合は,小区間に限り,12パーセント以下とすることができる。 4号ないし7号(省略) 第4 道路法47条1項道路の構造を保全し,又は交通の危険を防止するため,道路との関係において必要とされる車両(人が乗車し,又は貨物が積載されている場合にあつてはその状態におけるものをいい,他の車両を牽(けん)引している場合にあつては当該牽(けん)引されている車両を含む。以下本節及び第8章中同じ。)の幅,重量,高さ,長さ及び最小回転半径の最高限度は,政令で定める。 47条2項車両でその幅,重量,高さ,長さ又は最小回転半径が前項の政令で定める最高限度をこえるものは,道路を通行させてはならない。 47条の2第1項道路管理者は,車両の構造又は車両に積載する貨物が特殊であるためやむを得ないと認めるときは,前条2項の規定又は同条3項の規定による禁止若しくは制限にかかわらず,当該車両を通行させようとする者の申請に基づいて,通行経路,通行時間等について,道路の構造を保全し,又は交通の危険を防止するため必要な条件を附して,同条1項の政令で定める最高限度又は同条3項に規定する限度をこえる車両の通行を許可することができる。 第5 車両制限令5条1項市街地を形成している区域(以下「市街地区域」という。)内の道路で,道路管理者が自動車の交通量がきわめて少ないと認めて指定したもの又は一方通 することができる。 第5 車両制限令5条1項市街地を形成している区域(以下「市街地区域」という。)内の道路で,道路管理者が自動車の交通量がきわめて少ないと認めて指定したもの又は一方通行とされているものを通行する車両の幅は,当該道路の車道の幅員(歩道又は自転車歩行者道のいずれをも有しない道路で,その路肩の幅員が明らかでないもの又はその路肩 の幅員の合計が1メートル未満(トンネル,橋又は高架の道路にあつては,0.5メートル未満)のものにあつては,当該道路の路面の幅員から1メートル(トンネル,橋又は高架の道路にあつては,0.5メートル)を減じたものとする。以下同じ。)から0.5メートルを減じたものをこえないものでなければならない。 5条2項市街地区域内の道路で前項に規定するもの以外のものを通行する車両の幅は,当該道路の車道の幅員から0.5メートルを減じたものの2分の1をこえないものでなければならない。 9条歩道,自転車道又は自転車歩行者道のいずれをも有しない道路を通行する自動車は,その車輪が路肩(路肩が明らかでない道路にあつては,路端から車道寄りの0.5メートル(トンネル,橋又は高架の道路にあつては,0.25メートル)の幅の道路の部分)にはみ出してはならない。 第6 下水道法2条この法律において次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定めるところによる。 1号下水生活若しくは事業(耕作の事業を除く。)に起因し,若しくは付随する廃水(以下「汚水」という。)又は雨水をいう。 (2号以下省略) 第7 宅地造成等規制法1条この法律は,宅地造成に伴う崖崩れ又は土砂の流出による災害の防止のため必要な規制を行うことにより,国民の生命及び財産の保護を図り,もつて公共の福祉に 下省略) 第7 宅地造成等規制法1条この法律は,宅地造成に伴う崖崩れ又は土砂の流出による災害の防止のため必要な規制を行うことにより,国民の生命及び財産の保護を図り,もつて公共の福祉に 寄与することを目的とする。 3条1項都道府県知事(地方自治法252条の19第1項の指定都市(以下「指定都市」という。),同法252条の22第1項の中核市(以下「中核市」という。)又は同法252条の26の3第1項の特例市(以下「特例市」という。)の区域内の土地については,それぞれ指定都市,中核市又は特例市の長。24条を除き,以下同じ。)は,この法律の目的を達成するために必要があると認めるときは,関係市町村長(特別区の長を含む。以下同じ。)の意見を聴いて,宅地造成に伴い災害が生ずるおそれが大きい市街地又は市街地となろうとする土地の区域であつて,宅地造成に関する工事について規制を行う必要があるものを,宅地造成工事規制区域として指定することができる。 9条1項宅地造成工事規制区域内において行われる宅地造成に関する工事は,政令(その政令で都道府県の規則に委任した事項に関しては,その規則を含む。)で定める技術的基準に従い,擁壁,排水施設その他の政令で定める施設(以下「擁壁等」という。)の設置その他宅地造成に伴う災害を防止するため必要な措置が講ぜられたものでなければならない。 9条2項前項の規定により講ずべきものとされる措置のうち政令(同項の政令で都道府県の規則に委任した事項に関しては,その規則を含む。)で定めるものの工事は,政令で定める資格を有する者の設計によらなければならない。 第8 砂防法2条砂防設備ヲ要スル土地又ハ此ノ法律ニ依リ治水上砂防ノ為一定ノ行為ヲ禁止若ハ制限スヘキ土地ハ国土交通大臣之ヲ指定ス 定める資格を有する者の設計によらなければならない。 第8 砂防法2条砂防設備ヲ要スル土地又ハ此ノ法律ニ依リ治水上砂防ノ為一定ノ行為ヲ禁止若ハ制限スヘキ土地ハ国土交通大臣之ヲ指定ス 第9 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律3条1項都道府県知事は,この法律の目的を達成するために必要があると認めるときは,関係市町村長(特別区の長を含む。以下同じ。)の意見をきいて,崩壊するおそれのある急傾斜地で,その崩壊により相当数の居住者その他の者に危害が生ずるおそれのあるもの及びこれに隣接する土地のうち,当該急傾斜地の崩壊が助長され,又は誘発されるおそれがないようにするため,7条1項各号に掲げる行為が行なわれることを制限する必要がある土地の区域を急傾斜地崩壊危険区域として指定することができる。
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