主文 1 本件各控訴をいずれも棄却する。 2 控訴費用は,控訴人らの負担とする。 事実及び理由 第1 当事者の求める裁判 1 控訴人ら(1) 原判決を次のとおり変更する。 被控訴人らは,連帯して,控訴人らに対し,各4707万1935円ずつ及びこれに対する平成8年1月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2) 訴訟費用は,第1,2審とも,被控訴人らの負担とする。 2 被控訴人ら主文と同旨第2 当事者の主張当事者らの主張は,次のとおり付加する(なお,次の1,3の主張は当審における主張である。)ほか,原判決の「事実」,「第2 当事者の主張」に記載のとおりであるから,これを引用する。 1 原判決19頁6行目の「これを拒否した。」の次に「なお,本件訴訟では,Aが所属していた●年●組32名の生徒らが回答したアンケート用紙だけが書証(乙イ第19号証)として提出されたが,これを見た限りでも,回答した生徒自らが現認し,あるいはA本人から聞いた事実として,Aが,パンを購入しに行かされていたこと,昼食を食べないことがあったこと,よく呼び出されていたこと,金銭を取られていたこと,椅子に画鋲を置かれていたこと,殴ったり蹴られたりしていたこと等のいじめの事実が記載されており,城島中学校の教師らは,アンケート用紙を回収した時点で,これらの情報を把握していた。」を加える。 2 原判決22頁10行目から11行目にかけての「明らかである。」の次に行を改めて「 そして,上記(1)ウ記載のとおり,平成6年以降だけでも現に多数のいじめによる自殺事件が発生し,いじめ問題の深刻さ,重大さが一般にも認識されるところとなり,文部省や福岡県教育委員会が,昭和60年以降,自殺をも招来 )ウ記載のとおり,平成6年以降だけでも現に多数のいじめによる自殺事件が発生し,いじめ問題の深刻さ,重大さが一般にも認識されるところとなり,文部省や福岡県教育委員会が,昭和60年以降,自殺をも招来する恐れのある深刻な問題として,いじめの早期発見と自殺防止に取り組むよう,多数回にわたる指導,通知を行ってきたことを考えれば,教育専門家たる城島中学校の教師らにおいて,Aの心身に深刻な影響を及ぼすような重大ないじめが生じ得ることを予見することが可能であった以上,Aの自殺についても,十分に予見可能性があったというべきである。」を加える。 3 原判決23頁5行目から6行目にかけての「報告しなかった。」の次に「上記(1)カ記載のとおり,城島中学校の教師らが,いじめの実態調査としては不十分ながら実施した無記名式のアンケート結果からだけでも,Aに対する具体的ないじめ,あるいはいじめを疑わせるに足りる事実が浮かび上がってきていたのであるから,アンケートに回答した生徒らのプライバシーに配慮しつつも,これらのアンケート結果を控訴人らに開示することは十分可能であったし,そうすべきであったのに,その開示すらしていない。なお,アンケート結果に記載された事実が,規範的に「いじめ」の定義に該当するか否かといった問題は,城島中学校の教師らにおいてこれを判断して開示の当否を決すべきことではなく,単に生徒たちが経験し,あるいは見聞きした一般常識としてのいじめの事実を報告すれば足りるのであるから,城島中学校の教師らが,アンケート結果に記載された事実を「いじめ」か否か直ちに判断し得なかったことをもって,その報告義務を免れられるものではない。」を加える。 4 原判決26頁10行目の「不知。」の次に「なお,城島中学校においては,そもそも控訴人らが主張するところの<ア>を中心 得なかったことをもって,その報告義務を免れられるものではない。」を加える。 4 原判決26頁10行目の「不知。」の次に「なお,城島中学校においては,そもそも控訴人らが主張するところの<ア>を中心としたBグループの生徒らが,不良グループであるという事実はなく,<ア>が教師に反抗的であるとか,問題視されていたという事実もなかった。したがって,Aが,<ア>を恐れていたということもなかった。多数の者の警察における供述調書中に,<ア>がいかにも不良少年であり,Aが<ア>を非常に恐れていたかのような記載がなされているのは,当時の警察が,Aの自殺という結果の重大性や,マスコミの報道状況からして,どうしても<ア>や<イ>を,恐喝事件の非行少年として立件せざるを得ない状況に置かれていたために,ことさらに,<ア>が誰からも恐れられた不良少年で,Aが<ア>を恐れていたという,真実とかけ離れた内容の調書を生じさせてしまったためである。」を加える。 5 原判決33頁14行目の「予見可能性はなかった。」の次に「Aは,自殺の直前まで,高校進学に向かって前向きに受験勉強に取り組み,学校でも特段いつもと異なる言動を見せたこともなく,多少違う点があるとすれば,クラス当番ではないのに他の生徒が嫌がる牛乳瓶の後片づけの仕事を行っていたことくらいであったが,それは他の生徒らに押しつけられたものではなく,自ら進んで実行していたものであって,何ら不審な行動ではなかったし,元気がないとか,ふさいでいるといった様子は一切うかがえず,それは家庭においても同様で,控訴人らやAの兄弟らにおいても,Aにいつもと違う様子があったことはまったく気付いていなかったのであるから,Aが自殺を意図するような心境にあったことを,城島中学校の教師らにおいて予見可能であったはずはなく,かかる予見義務を ても,Aにいつもと違う様子があったことはまったく気付いていなかったのであるから,Aが自殺を意図するような心境にあったことを,城島中学校の教師らにおいて予見可能であったはずはなく,かかる予見義務を負わせることは不可能を強いることに他ならない。」を加える。 6 原判決別紙「文部省のいじめ問題対応一覧表」3の欄記載の「甲58」を「甲77」と改める。 第3 当裁判所の認定する事実当裁判所が認定した事実は,次のとおり付加,訂正,削除するほか,原判決の「理由」,「1 事実関係」記載のとおりであるから,これを引用する。 1 原判決37頁2行目の「1年時」の次に「(平成5年4月から平成6年3月まで)」を加える。 2 原判決39頁3行目から4行目にかけての「男子生徒の多数から「●●人」と呼ばれたり,殴る蹴る等の暴行を受けるなどした。」を「複数の男子生徒から「●●人」と呼ばれたり,殴る蹴る等の暴行を受けたことがあった。」と,同12行目の「第159号証,第201号証」を「第159号証,第198号証,第201号証,乙イ第18号証の22,第19号証の20,第19号証の26」とそれぞれ改め,同21行目の「<3>に対して」の次に「,「自分が,力の強い者からいじわるをされたり,言われたりしたらどうか」等と述べて」を加える。 3 原判決40頁16行目の「2年時」の次に「(平成6年4月から平成7年3月まで)」を加え,同21行目の「出れなかった。」を「出られなかった。」と改める。 4 原判決41頁2行目の「全体の練習に入れず」を「全体の練習に入れてもらうことができず,また自ら全体の練習に入っていくこともできずに」と,同4行目の「その都度」を「それに気付いた都度」と,同20行目の「受けたりした。」を「受けたことがあった。」とそれぞれ改め,同21行目の「 ができず,また自ら全体の練習に入っていくこともできずに」と,同4行目の「その都度」を「それに気付いた都度」と,同20行目の「受けたりした。」を「受けたことがあった。」とそれぞれ改め,同21行目の「40号証」の次に「,乙イ第19号証の31」を加える。 5 原判決42頁7行目の次に行を改めて「 なお,Aの2年時の担任は,C教諭であり,同教諭は,生徒指導主事も務めていた。」を,同12行目の「3年時」の次に「(平成7年4月から平成8年1月まで)」を,同21行目の「感じていた。」の次に「また,遅くとも3年のころには,Aは,昼食時にパンを購入に行かされる等のいわゆる使い走りや,他の生徒が嫌がる給食後の牛乳瓶の整理,後片づけの仕事をさせられていた。」をそれぞれ加える。 6 原判決43頁2行目の「第162号証」の次に「,乙イ第18号証の21,第18号証の23,第19号証の1,第19号証の10,第19号証の14,第19号証の18,第19号証の19,第19号証の20,第19号証の22,第19号証の23,第19号証の26」を,同15行目の「第197号証」の次に「,第198号証」をそれぞれ加える。 7 原判決44頁2行目の「第39号証」の次に「,第197号証,第198号証」を加え,同10行目の「要求するなどした。」を「要求して取り上げるなどした。」と改める。 8 原判決46頁14行目の次に行を改めて「 また,Aは,必ずしも時期は判然としないが,少なくとも3年時には,給食以外の日には昼食を食べずに,早めに教室を出ていったりすることが何度もあった。(乙イ第19号証の7,第19号証の18,第19号証の20,第19号証の22)」を加える。 9 原判決55頁11行目から12行目にかけての「が,それ以外に,Aに対していじめがあったことを明示的に イ第19号証の7,第19号証の18,第19号証の20,第19号証の22)」を加える。 9 原判決55頁11行目から12行目にかけての「が,それ以外に,Aに対していじめがあったことを明示的に記載しているものはなかった」を削除する。 10 原判決56頁5行目の次に行を改めて「 また,当時のマスコミでは,Aの自殺の原因は,城島中学校内のいじめにあることを報じる記事が大きく報道されていた。」を,同6行目の「甲第3号証の2」の次に「,第4号証,第5号証,第6号証」を,同行目の「第165号証の2」の次に「,第192号証」をそれぞれ加える。 11 原判決58頁19行目の「休んだことがあった。D教諭及びC教諭は」を,「休んだことがあり,C教諭と<41>の担任であったE教諭が<ア>に乱暴なことや金を貸してくれということは今後一切しないようにと説諭したことがあった。D教諭は」と改め,同20行目の「この事件後」の次に「,同年11月に愛知県西尾市でいじめを苦に中学2年生の生徒が自殺する事件が起こって文部省よりいじめに関する総点検等が指示されたこともあり」を加える。 12 原判決59頁11行目の「10円,20円単位で」を「10円,50円単位で」と改める。 13 原判決61頁15行目の次に行を改めて「ウなお,被控訴人らは,Aの2年,3年時に合計4回実施されたいじめに関する無記名アンケート調査でも,いじめやいじめを疑わせるような特異な回答はなかったと主張し,原審C証人の証言やその陳述書(乙イ第14号証)中にはこれに沿う供述もあるけれども,D教諭,E教諭の各司法警察員に対する供述調書(甲第154号証,第161号証)には,Aの2年時の2学期に実施したいじめに関するアンケートで,「50円をとられた,100円をとられた,机に落書きされた,足を ,E教諭の各司法警察員に対する供述調書(甲第154号証,第161号証)には,Aの2年時の2学期に実施したいじめに関するアンケートで,「50円をとられた,100円をとられた,机に落書きされた,足を蹴られた」「金を持ってこいと言われた,たたかれた」等の回答があった旨具体的な記載がなされており,これらの記述は当時のD教諭,E教諭らが自発的に供述しない限り,当時の警察官において誘導できたとは到底思われないこと,現に,<ア>は,<イ>に手伝わせて,2年時の2学期ころから,給食のない日に,パン売り場で他の生徒らから,パン購入の釣り銭を取り上げたり,CD等を他の生徒に売りつけるなどして,小遣いの足しにしていたのであり,かかる行為が,他の生徒らにとって金銭的なトラブル,あるいはいじめの一環として記憶されることはむしろ当然といえることを考慮すると,少なくとも,2年時のアンケートにおいても,いじめを疑わせる記載が何もなかったとするC証人の証言及び陳述書は,容易に採用することができない。」を加える。 第4 当裁判所の判断 1 Aに対する「いじめ」の有無及びいじめと自殺との因果関係(1) 「いじめ」とは,「自分より弱い立場にある者に対して一方的に身体的・心理的な攻撃を継続的に加え,相手に深刻な苦痛を感じさせているもの」と定義されているものである。 上記認定事実のとおり,Aは,入学式当日の<3>の暴行に始まり,1年時には<3>を中心とした同じクラスの生徒らから,何回か殴る蹴る等の暴行を受けたり,「●●人」等のあだ名で呼ばれたり,2年時からは,<4>を始めとする同学年の生徒らから,やはり複数回に及ぶ殴る蹴る等の暴行や,椅子に画鋲を置かれる,侮蔑的なあだ名で呼ばれる等の嫌がらせを,また●●部の練習では,ボールを蹴り付けられる,全体の練習 <4>を始めとする同学年の生徒らから,やはり複数回に及ぶ殴る蹴る等の暴行や,椅子に画鋲を置かれる,侮蔑的なあだ名で呼ばれる等の嫌がらせを,また●●部の練習では,ボールを蹴り付けられる,全体の練習から取り残される,といった嫌がらせを受けるようになり,3年時には,やはり同学年の生徒らから,しばしば殴る蹴る等の暴行を受けたり,椅子に画鋲を置かれる等の嫌がらせを受けたほか,●●部の後輩からも後片づけを手伝わされるなど,同学年生,場合によっては下級生からもいわれなく侮蔑的あるいは冷笑的な態度で接せられ,3年の2学期後半からは,十数回にわたって<ア>,<イ>らによる金員等の恐喝被害をも受けるようになり,1年時の5月,同月末の家庭訪問時及び9月ころに,当時の担任であったD教諭に<3>からの嫌がらせ行為等について相談したものの,教師に相談しても有効な対処はしてもらえないとの諦めを抱くに終わり,その後はこれらの被害事実について教師らに告げることなく,卒業を約2か月後に控えた平成8年1月22日に自殺したものである。 もっとも,Aの約2年10か月間の中学生活のうち,上記殴る蹴る等の暴行行為自体は,月に何度もというほど頻回なものであったとまでは認め難く(警察による前記いじめ事案調査報告書(甲第12号証)によっても,月に何度もというほどの暴行事実は報告されていないうえ,城島中学校において,Aの自殺が知らされた翌日に記載された生徒らによる感想文の一部(乙イ第18号証の1ないし33),平成8年1月31日に実施された生徒らに対するアンケート結果の一部(乙イ第19号証の1ないし32)の記述にも,Aに対する直接的な暴行行為を指摘するものは多いとはいえない。),またAが頻繁にけがをしたという兆候はないこと(家人もAの身体的な異変には気付いていないし,Aがけが 号証の1ないし32)の記述にも,Aに対する直接的な暴行行為を指摘するものは多いとはいえない。),またAが頻繁にけがをしたという兆候はないこと(家人もAの身体的な異変には気付いていないし,Aがけがを理由に保健室に出向いたことは2回だけである。)に照らすと,各回の暴行の態様の多くは,けがをさせるほど激しいものではなかったことが認められるが,これらの暴行,乱暴な悪ふざけを含めた様々な嫌がらせ行為は,必ずしも特定の生徒のみによって引き起こされたものではなく,学年が移りクラスのメンバーが替わっても,止むことなく複数の生徒らによって断続的に実行され続けており,かかる事実を現認していたそれ以外の生徒らにおいても,これを止めたり,かばったり,あるいは教師,保護者等に告げる等これを積極的に防止しようとしなかったのであって,Aは,かえって一つ一つの暴行,嫌がらせ等は,単なるいたずらや悪ふざけ程度のものとしか認識してもらえず,一方では侮蔑的なあだ名で呼ばれたり,甘んじて使い走りや牛乳瓶の後片づけをさせられるなど,多くの生徒から軽んじた扱いを受け続けたとして,他にいじめを打ち明ける気持ちを阻喪し,その尊厳とプライドを傷つけられ,もともとは明るく,積極的な性格であったにもかかわらず,その自信を失い,次第次第に精神的に追い詰められていったことは推認するに難くない。そして,3年の2学期後半からは,Aの弱者的立場を認識した<ア>,<イ>らによって,Aに対して,十数回に及ぶ金員等の恐喝行為が行われ,その挙げ句,前示のとおりAは自殺するに至ったのであるから,一連の上記暴行,嫌がらせ及び恐喝行為等のAに対する各行為は,自分より弱い立場にある者に対して,一方的に身体的・心理的な攻撃を継続的に加え,相手に深刻な苦痛を感じさせる言動として,まさしく「いじめ」に当たるという 嫌がらせ及び恐喝行為等のAに対する各行為は,自分より弱い立場にある者に対して,一方的に身体的・心理的な攻撃を継続的に加え,相手に深刻な苦痛を感じさせる言動として,まさしく「いじめ」に当たるというべきである。 そして,Aは,3年時までのこのような一連のいじめによって相当程度精神的に追い詰められていたところ,最終的には<ア>,<イ>による金員等の要求に応じきれなくなって自殺したものであり,Aの自殺の直接的なきっかけとなったのは,<ア>,<イ>らによる恐喝行為であったとしても,それに加えて,それ以前からの一連のいじめ行為も,前記説示のとおり,Aを精神的に追い詰め,<ア>,<イ>らに対する抵抗心や,教師,家族らに対して相談する心のゆとりさえも失わせて,たった2か月後の卒業を待つことすらできず,いじめから永久的に逃れる手段として,自殺という選択を余儀なくさせることとなったのであるから,前示いじめは,自殺との因果関係を有すると認めるのが相当である。 (2) これに対して,被控訴人らは,Aに対するいじめを現認し得なかった等と主張するので,以下検討する。 アまず,被控訴人らは,中学1年時における<3>とAとの間のトラブルは,<3>がAにちょっかいを出してAがこれに感情的に反発したという程度のものに過ぎず,決して深刻なものではなかったし,少なくとも,<3>からAに対する一方的な暴力や頻回の暴力というものはなく,D教諭も,1年の5月末の家庭訪問以前にはAから<3>とのトラブルの相談を受けてはいないし,9月時点の相談の際にも,Aから,背中を突き飛ばされるといった<3>の暴力行為に関する訴えはなかったと主張し,原審におけるD教諭の証人尋問や同人の陳述書(乙イ第11号証)中にはこれに沿う供述もある。 しかし,Aは,その遺書(甲第 飛ばされるといった<3>の暴力行為に関する訴えはなかったと主張し,原審におけるD教諭の証人尋問や同人の陳述書(乙イ第11号証)中にはこれに沿う供述もある。 しかし,Aは,その遺書(甲第1号証)中に,<3>を名指しして「中1の初めの日に・・後ろからつつからたり蹴られたりされて・・泣かされたその日からずっと1年間泣かされつづけた。何回か先生に言ったら<3>もおこったが,僕が口が悪いと言われた。」と記載していること,警察が,Aの死亡から2か月足らずの期間中に,A所属の●年●組の生徒36名,これを除く●●部の3年生9名,これを除くAと同じ塾に通っていた3年生15名,その他合計88名の生徒らからの事情聴取を踏まえて作成した,いじめ事案調査報告書(甲第12号証)によれば,<3>によるAに対する入学式当日及び平成5年4月以降の殴る蹴る等の暴行については,複数の生徒がこれを現認又は聞知したものとして供述しているところ,上記事情聴取の時点では,既に2年前後も昔のこととなるAの1年生当時の暴行行為等に関する説明は,必然的に相当程度曖昧なものとならざるを得ないはずだが,それでも暴力行為に関する指摘がなされていること,<3>本人も,Aに対して1年時に入学式の際以外にも2回は暴力を振るい,あるいはけんかをしたことを認める供述をしているところ,当時の<3>は,Aの自殺に対する何らかの責任を問われかねない状況下にあったのであるから,暴行,嫌がらせ等の回数,態様については,実際よりも過小に供述した可能性を否定できないこと,またクラスが別々となり,<3>としては,Aと仲良くなったと表現している3年時(平成7年11ないし12月ころ)においてすら,<3>が何の理由もなくいきなりAを蹴りつけたことがあるのを<イ>等が目撃していること(甲第40号証,第58号 は,Aと仲良くなったと表現している3年時(平成7年11ないし12月ころ)においてすら,<3>が何の理由もなくいきなりAを蹴りつけたことがあるのを<イ>等が目撃していること(甲第40号証,第58号証,第65証),D教諭の司法警察員に対する供述調書(甲第154号証)によれば,D教諭は,Aの自殺が判明した翌日である平成8年1月24日の時点で,城島警察署における事情聴取に際し,1年生時の5月の家庭訪問の前に,Aから,<3>からつつかれる,方言をからかわれる等の相談を受けて,<3>とAの言い分を聞き,仲直りするよう指導し,9月ころにも,Aから「<3>から・・背中を突き飛ばされたり・・意地悪されて困っている。」との相談を受けたので,<3>に「自分が,力の強い者からいじわるをされたり,言われたりしたらどうか」等と諭した旨供述し,その供述調書の内容を読み聞かされた上で,誤りがない旨申し立てて署名押印していること,他方で,原審におけるD教諭の証人尋問や陳述書における同人の供述は,いじめの事実があったことや,教師らに不都合と思われる事実ばかりをことさらに否定して回るだけでなく,警察での事情聴取に関しても,明らかにD教諭自身が積極的に述べない限り,警察官から誘導尋問することは到底できないと思われるような事実まで,これを警察官の誤導もしくは記載間違いによるものだとか,自らの記憶違いであった等として否定するなど(例えば,D教諭の警察での供述調書には,同教諭が,Aの自殺が判明した当日である平成8年1月23日午後10時ころに,F教諭から,Aは『2年生からもなめられていたところがあった。下級生の2年生からボール運びを言われて,刃向かうことが出来ず,黙ってボール運び等していたのを見かけた』等と聞いた旨の記載や,2年時にいじめに関するアンケートを実施し,その際に いたところがあった。下級生の2年生からボール運びを言われて,刃向かうことが出来ず,黙ってボール運び等していたのを見かけた』等と聞いた旨の記載や,2年時にいじめに関するアンケートを実施し,その際には『50円をとられた。100円をとられた。机に落書きされた。足を蹴られた。』等の回答があった,という具体的な記述があるが,かかる事実はD教諭から積極的に発言しない限り,この段階(1月24日時点)の警察官には到底分からない事情であったのに,D教諭は,原審における証人尋問では,ボール運びをさせられるAを,F教諭自身が見たとは発言していないとか,自らの記憶違いであった等と述べてこれらを否定している。),上記各証拠に照らして,容易には信用できないこと,一般に,嫌がらせ等の被害を受けた生徒児童も,被害の度毎にこれを教師,保護者らに申告,相談するとは考えにくく,むしろその事実を隠そうとする傾向すらあるといわれているところ,Aは,1年時に,担任であるD教諭に対し,<3>からの暴行事実を含めた嫌がらせ行為のことを,3度にもわたって相談していること等を総合して検討すれば,Aが,1年時,<3>から,断続的に,殴る蹴る等の暴行行為を含めた種々の嫌がらせを受け続けていたことは明らかであるというべきである。 そもそも,G校長は,平成8年3月14日に,被控訴人城島町の教育委員会に対し,Aの自殺をめぐる顛末について,自ら実情報告書(甲第165号証の2)を作成して提出し,その中で,Aが「1年生の時にいじめを受けており,その際にいじめをやめることについての指導は行ったが,その後もいじめが行われていた事実があったにもかかわらず,それをつかみきれなかった」等と記載しているのであって,同報告書が,G校長の,城島中学校の責任者として,Aの自殺に対する当時の城島中学校として の後もいじめが行われていた事実があったにもかかわらず,それをつかみきれなかった」等と記載しているのであって,同報告書が,G校長の,城島中学校の責任者として,Aの自殺に対する当時の城島中学校としての認識を,正確に報告したはずの文書であり,また当然そうあるべきであったことを考えると,被控訴人らが,本訴において,同報告書の当該記載部分は,Aの自殺の原因がいじめにあったことは当然の前提であるような当時の風潮に抗しきれずに,あえて真実と異なる記載をしたに過ぎない等として,これが虚偽の記載である旨主張している点は,合理性に欠け,到底採用することができない。そうすると前記説示のとおり,少なくとも平成8年3月当時,城島中学校の教師らとしても,Aに対し,1年時から一定のいじめがなされてきたことは十分認識し得る状況にあったはずである。 イまた,被控訴人らは,城島中学校においては,<ア>を中心としたBグループの生徒らが不良グループであったり,<ア>が教師に反抗的であったり,問題視されていたという事実はなく,Aが<ア>を恐れていたということもなく,Aが<ア>や<イ>に金員等を交付した心情がどのようなものだったかは分からない等と主張する。 しかし,Aが,金銭の要求に伴って<ア>から身体に対する直接的な暴行を受けたとは認められず,<イ>からも,何度かこづく,はたく,胸ぐらをつかんで揺さぶるといった程度の暴行を受けたことはあるにしても,それほど強い暴力をふるわれたとは認められないにもかかわらず,ただ<ア>からの要求であるということを<イ>から告げられたというだけで,中学生にとっては相当高額と思われる金員の要求という理不尽な行為にほとんど抵抗することができずに,やがては自殺にまで追いつめられるほど苦しみながら,度々金員等を交付させられていた れたというだけで,中学生にとっては相当高額と思われる金員の要求という理不尽な行為にほとんど抵抗することができずに,やがては自殺にまで追いつめられるほど苦しみながら,度々金員等を交付させられていたという事実そのもの,また,<イ>自身も,<ア>から,何度か要求されてこれに抗えずに金員を交付したことがあったり,Aに対する今回の恐喝を指示されてこれに一切反抗することなく,現に恐喝行為を実行したうえ,脅し取った金員のほとんどを<ア>に渡していたこと,参考人として事情聴取された<64>,<69>の司法警察員に対する各供述調書(甲第197号証,第198号証)などでも,通常の生徒らの<ア>に対する一般的な畏怖の気持ちが供述されていること,<ア>が中学2年時から正規の学生服を着用しなかったり,髪を茶色く染めていたことは,<ア>の母親や<61>の司法警察員に対する供述調書(甲第195号証,第197号証),また<ア>自身の司法警察員に対する供述調書(甲第19号証)からも明らかであること,G校長,C教諭,D教諭,H教諭その他の各教諭らの各司法警察員に対する供述調書(甲第152号証ないし第158号証,第161号証ないし第164号証)においても,<ア>を中心としたBグループが,教師ら及び他の生徒らの間でも不良少年グループとして認識されていて,特にその中心的存在である<ア>は,教師に反抗的で,服装,髪型に乱れがあり,度々の遅刻,喫煙等の問題行動があって,他の生徒に威圧感を与えており,城島中学校を牛耳っている等ということを認めていること,これに対して,Bグループが不良グループであることを否定するG校長,D教諭,C教諭,F教諭,H教諭の原審各証人尋問においても,<ア>について,その服装や頭髪の乱れ,喫煙,遅刻,教師をにらみつけるといった個々的な問題行動があったこ ループであることを否定するG校長,D教諭,C教諭,F教諭,H教諭の原審各証人尋問においても,<ア>について,その服装や頭髪の乱れ,喫煙,遅刻,教師をにらみつけるといった個々的な問題行動があったことまでは認めているのであり,これらの言動を前提にしていながら,ことさら<ア>を非行性のある生徒としては認識していなかったと異口同音に評価する同人らの証言は,容易には採用できないことに鑑みれば,<ア>が,不良グループの中心的な存在として,服装,頭髪の乱れ,遅刻,喫煙,教師に対する反抗的態度等により教師らの間でも問題視されており,またAを含めた多くの生徒らからおそれられる存在であったことは明らかであって,これに反する被控訴人らの主張は,かえって,城島中学校の教師らが,<ア>に対する指導等を十分に行っておらず,<ア>によるいじめ等の事実を看過していたことを自認するに等しく,採用することができない。 ウさらに,被控訴人らは,仮にAに対する何度かの暴行行為や何らかの嫌がらせ行為があったとしても,これらはすべて単発的,偶発的な出来事であって,「いじめ」にはあたらず,Aの自殺も「いじめ」を苦にしたものとは考え難いと主張し,その根拠として,教師らが,具体的にAに対する暴行や嫌がらせ行為等を現認したことがなく,A自身も,2,3年時には教師らや家族らにいじめについての相談をしておらず,元気がない,登校を嫌がる,授業をさぼる等のいじめを疑わせる言動も示さず,むしろ高校進学の意欲に燃えていたこと,その他の生徒らからもAのいじめに関する積極的な報告がほとんどなかったこと等の事情を指摘する。 しかしながら,原判決別紙文部省いじめ問題対応一覧表記載のとおり文部省等が多数回にわたって発した通知や提言等(甲第7号証の2)においても度々指摘されているよう ったこと等の事情を指摘する。 しかしながら,原判決別紙文部省いじめ問題対応一覧表記載のとおり文部省等が多数回にわたって発した通知や提言等(甲第7号証の2)においても度々指摘されているように,いじめは,一般に外からは見えにくい形で行われることが多く,いじめられる側はいじめられることを恥ずかしいと思ったり,仕返しを恐れるあまり,いじめの事実について積極的に相談し助けを求めるどころか,むしろいじめの事実を問われても自ら否定するなどしてこれを隠そうとすることも多いとされ,現に被控訴人福岡県の教育委員会が平成7年9月に取りまとめた本件手引(甲第8号証)においても,「多くの教師が「いじめ」に気付かなかったといっている」「いじめが解消したと判断した事例からも自殺者が発生している」「いじめであるか否かは・・いじめられている児童生徒がいじめる側の児童生徒に対して反抗・反撃や拒否等をできないことが重要なポイント」「短期間であっても,軽微なものと考えられるものであっても,本人がいじめられたと感じていれば,まずいじめとして理解すること」「いじめの多くは次のような四つの層からなっています。「いじめられている子」「いじめている子」「いじめを喜んで見ている子」「いじめを見て見ぬ振りをしている子」」等と摘示しているところであり,また平成6年10月から12月ころにかけて城島中学校で実施されたいじめに関するアンケート調査結果でも,その回答として,いじめを見たら黙ってその場を離れるが5割,見ないふりをするが2割,助ける及び先生に報告するがいずれも少数であった(甲第155号証,証人C)というのであるから,被害者や加害者以外の生徒らからも,教師側の積極的な働きかけがされることなしには,いじめの事実が報告されることを一般に期待することはできないことが分かるのであっ 55号証,証人C)というのであるから,被害者や加害者以外の生徒らからも,教師側の積極的な働きかけがされることなしには,いじめの事実が報告されることを一般に期待することはできないことが分かるのであって,かかる「いじめ」の特徴を考えれば,被控訴人らが掲げる上記事情等は,城島中学校の教師らがAに対するいじめの存在に気付き得なかったという事実を明らかにするものとはなっても,それゆえに客観的にAに対するいじめがなかったことの証左となるものではない。 そして何よりも,Aの遺書(甲第1号証)には,1年時,2年時にそれぞれ<3>から泣かされ続け,あるいは<4>から殴られ続けたことを指摘したうえ,3年の1学期が過ぎると,<イ>や「つよい人」から金員等を取られ続け,既に30万円位取られていて,「またお金をようきゅうされたしかしそのお金がないので死にます。」と,はっきりとした自殺の動機というべきものが記載されているのであって,Aに対する一連の暴行や嫌がらせ等の行為は「いじめ」ではなかったし,その死の原因が「いじめ」にあったとは考え難いという被控訴人らの主張は,Aに対するいじめの事実を直視しないものであって,到底採用することはできない。 (3) 上記のとおり,被控訴人らの主張はいずれも理由がなく,城島中学校においては,Aに対するいじめがあり,かかるいじめとAの自殺との間には,相当因果関係が存すると認められる。 2 被控訴人城島町の責任(1) 被控訴人城島町の安全配慮義務について次のとおり訂正するほかは,原判決「理由」,「2 判断」,「(2) 城島町の責任」,「ア安全配慮義務について」に記載のとおりであるから,これを引用する。 ア原判決63頁14行目の「いうものではなく」を「いうものではないが」と,同行目から15行目 2) 城島町の責任」,「ア安全配慮義務について」に記載のとおりであるから,これを引用する。 ア原判決63頁14行目の「いうものではなく」を「いうものではないが」と,同行目から15行目にかけての「生徒はもとより」を「生徒を始め」とそれぞれ改める。 イ原判決64頁2行目の「どの程度かにつき検討するに」を「どの程度か,その場合には,いかなるいじめ防止措置を取るべきであったかにつき検討するに,前記認定事実のとおり」と,同7行目の「D教諭」から65頁3行目までを「D教諭としては,遅くとも同年9月ころには,Aに対するいじめの存在を疑うべきであったから,Aから具体的な暴行,嫌がらせの内容,回数,そのきっかけ,相手等について詳しい事情を聞き,相手からもまたその言い分を聞くのは当然ながら,それだけではなく,いじめ等の現場ないしその近くにいたと思われる生徒や,Aの親しい友人その他の第三者からも,いじめ等とAの学校生活に関する情報を広く収集して,まずはその客観的な事実関係を明らかにするよう努め,これらの具体的な事実関係を,生徒の規律・生活指導や安全指導等を任務とする生徒指導委員会や,職員会議その他の会合の場において,積極的に他の教師らに知らしめて,担任教師だけではなく,他の授業,部活動,生活指導等の担当教師や,養護教諭ら,Aと接する機会のあるすべての教師らにおいて,Aとその周辺の動向に留意するよう要請し,必要に応じて控訴人らにも連絡を取って,Aの態度や日常生活への注意を促すと共に,Aが少しでもいじめの内容等について話し辛そうな様子がある場合には,両親である控訴人らからも,Aにいじめ等の実情を詳しく聞き取ってもらうなどして,事実関係やAの気持ちの動きを一層正確に把握できるよう努力し,今後何らかの異変が感じられることがあれば,速やかに には,両親である控訴人らからも,Aにいじめ等の実情を詳しく聞き取ってもらうなどして,事実関係やAの気持ちの動きを一層正確に把握できるよう努力し,今後何らかの異変が感じられることがあれば,速やかに教師らに通知してもらえるよう協力関係を築くといった,組織的かつきめ細やかな対応をすべきだったのであり,D教諭がこれらの全部とはいわないまでも,相当程度の行為を尽くしていれば,Aに対するいじめがあることを認識することが可能だったはずである。そして,このころには,Aに対するいじめ等は,<3>以外の複数の男子からも行われていたのであるから,<3>を始めとしたいじめた側の生徒らに対しては,自らの行為の違法性,非人間性を厳しく説いて,いじめ等を絶対に繰り返すことのないよう粘り強く指導するほか,クラス全体で,いじめをより身近な問題として捉え,直接いじめを行い,これに加担する以外の生徒らに対しても,いじめを傍観し,見て見ぬふりをすることは,いじめられる側を一層追い詰める行動に他ならないことをよく説明して,Aに対するもののみならず,一切のいじめ行為は決して許されず,放置し得ない問題であることを生徒らに徹底して認識させると共に,いじめられた生徒だけでなく,いじめを現認し,あるいは聞き知った生徒らにおいても,積極的にこれを教師らに報告し易くなるような環境作りに努めるべきであったといえる。 また,前記認定事実のとおり,Aの1,2年時に,その所属する●●部の顧問をしていたF教諭においても,2年時にはAが練習中に部員の一人から尻を蹴られて泣いているところを現認して,Aはいじめられているのかもしれないとの認識を持ったし,3年時には下級生に言われてボールの後片付けをしているところを目撃し,Aは下級生からも侮られていると感じていたというのであるから,これらは, ,Aはいじめられているのかもしれないとの認識を持ったし,3年時には下級生に言われてボールの後片付けをしているところを目撃し,Aは下級生からも侮られていると感じていたというのであるから,これらは,単なる偶発的な,一過性の出来事とは言い難く,少しの配慮をすることにより,安易に見逃すことなく,Aや,かかる行為を行った生徒らからよく事情を聞き,Aに対するいじめ等が行われていないかを慎重に確認,調査することも可能であった。とりわけAが2年時であった平成6年4月には,「いじめ加配教諭」としてI教諭が新たに配属され,同年10月から12月ころには,城島中学校の2年生に対し2度にわたって実施されたいじめに関するアンケートの結果,Aは,教師らの間においても,城島中学校内でいじめられ易い立場にある生徒として認識されていたし,同年11月には,愛知県西尾市で中学2年生がいじめを苦に自殺したことが全国的に話題となり,同年12月にはこれを受けた文部省より緊急アピールと各種通知(甲第7号証の2)が発されて,「いじめがあるのではないかとの問題意識を持って,全ての学校において,直ちに学校を挙げて総点検を行うとともに,実情を把握し,適切な対応をとること」等が指示され,城島中学校においても,平成7年1月に,まさしくいじめの早期発見とその対策を講ずるためにこそ,いじめ対策委員会が新たに設置されたはずなのであるから,F教諭としては,自らが現認した事実が,いかに些細なことに思われたにしても,これらの具体的な事実関係を,せめていじめ対策委員会に報告して,その判断を仰ぐべきであったし,いじめ対策委員会に属していた教師ら(校長,教頭,教務主任,生徒指導主事,各学年の生徒指導部教諭2名及び養護教諭)としても,かかる具体的な報告事例に接した場合には,まずは他の教師らに対し,Aの生活 いじめ対策委員会に属していた教師ら(校長,教頭,教務主任,生徒指導主事,各学年の生徒指導部教諭2名及び養護教諭)としても,かかる具体的な報告事例に接した場合には,まずは他の教師らに対し,Aの生活態度等からして他にいじめを疑わせる事情がないか否か,広く情報を求め,当然,同委員会のメンバーでもある養護教諭たるH教諭からは,Aが膝をすりむくなどしてしばしば保健室を訪れていたことが,すぐにも報告されたはずであるし,D教諭からは,改めて1年時における<3>からのいじめについてのAの相談内容等が報告される可能性もあり,これらの事実も併せ考慮したとき,前述の1年時におけるD教諭と同様,Aに対するいじめの存在を疑って,担任教師や養護教諭等,Aや,いじめた側と疑われる生徒ら,また目撃者たる生徒らにとって,心情的に最も近しい教師らをして,詳しい事情を聴取させる等して正確な事実関係の把握に努め,他の教師らとの連携を図って様々な角度からAとその周辺の動向を引き続き観察し,必要に応じて控訴人らとの協力体制を樹立するといった,組織的対応を取ることが可能であったし,またそうすべきであった。 さらに,3年時には,担任であるD教諭において,より注意力をもってAを観察していれば,Aが,給食以外の日にはよく昼食を食べないことがある,他の生徒の分もよくパンを買ってきている,牛乳瓶の後片付けをよくしている等の事実に気付くことができたはずであるから,それらが自らの自由意思により行っているものなのかどうかを,詳しく事情聴取する契機とすることは可能であった。 一方で,前示1(3)記載のとおり,平成6年10月ころか12月ころには,J教諭において,<63>から,城島中学校の卒業生2名が,3年生の不良グループを通じて,<63>ほか1名くらいの気の弱 一方で,前示1(3)記載のとおり,平成6年10月ころか12月ころには,J教諭において,<63>から,城島中学校の卒業生2名が,3年生の不良グループを通じて,<63>ほか1名くらいの気の弱い生徒から金を集めており,現に<63>は7000円から8000円の被害に遭ったという話を聞いており,同じく同年10月ころには,<41>が,<ア>から金銭を要求され,これを断ると弁当のおかずを床に落とされ,これをきっかけとして3日間学校を休むという事件が発生し,この事件後に城島中学校が2年生に対して2度にわたって実施したアンケートでも「50円を取られた。」「100円を取られた。」「足を蹴られた。」「金を持ってこいと言われた。」「叩かれた。」等の回答が寄せられ,金をたかられた相手として,<ア>,<10>,<23>といったいわゆるBグループに属する生徒の名が挙げられており,平成6年の2学期中には,C教諭に対し,生徒から「<55>が,10円,50円単位で,他の生徒から金を要求されている。」との申告がなされた経緯があったのであるから,これらの事件については,平成7年1月に新設されたいじめ対策委員会において,改めて検討し,必要に応じて再調査し,あるいは被害にあい,また事件に関与したと疑われる生徒について,引き続き慎重な観察を継続すべき事柄であったが,実際には,7000円から8000円の被害を受けたという<63>に対しては,J教諭が今度金を出すよう言われたら教師らに申告するよう指導し,<41>に金銭を要求して弁当のおかずを落とした<ア>に対しては,C教諭とE教諭が今後かかる行動をしないよう説諭し,アンケート結果に表れた事実については,取り立てて追加的な調査,指導がなされることもなく,10円,50円の単位で金を要求されていた<55>に対しては,C教諭が事 が今後かかる行動をしないよう説諭し,アンケート結果に表れた事実については,取り立てて追加的な調査,指導がなされることもなく,10円,50円の単位で金を要求されていた<55>に対しては,C教諭が事実関係を確認し,金銭は返還されたとの返答を受けただけで,おのおのそれ以上の積極的な対応がなされることはなく,「いじめがあるのではないかとの問題意識を持って・・直ちに学校を挙げて総点検を行う」ために新設されたはずのいじめ対策委員会においても,これらの事件が報告,検討されたことはまったくうかがわれない。 いじめ対策委員会において,これらの事件についても具体的な報告,検討がなされ,少額ながら,<ア>,<10>,<23>といったいわゆるBグループに属する生徒らによる,金銭のたかり行為等について,その事実関係,背景事情等を詳しく調査し,併せて既述のAに対するいじめの疑い,あるいは昼食を食べない,他の生徒のパンまで買いに行く,牛乳瓶の後片付けをする,といった行動の背景事情に不審の念を持って,A本人や,同人と親しい友人等からの事情聴取を行っていれば,A自身,あるいは平成7年10月以降2学期終了までに5回位Aから<ア>や<イ>による恐喝行為について相談を受けていた<69>から,このころ以降A自殺までの間に十数回にわたって行われたAに対する恐喝行為についても,その事実を知り,あるいはこれを未然に防止することが可能であったものといわなければならない。」とそれぞれ改める。 ウ原判決65頁17行目の「主張し,」から同18行目の「認められないが」までを「主張するが,前記認定事実のとおり,平成6年10月から12月ころに2年生に対して2度にわたって実施されたアンケートの中では,具体的ないじめ及びいじめを疑わせる回答が複数認められ,金銭のたかり行為を行 張するが,前記認定事実のとおり,平成6年10月から12月ころに2年生に対して2度にわたって実施されたアンケートの中では,具体的ないじめ及びいじめを疑わせる回答が複数認められ,金銭のたかり行為を行った者としても,<ア>,<10>,<23>の名が挙げられていたのであるし,確かに3年時に2度実施されたアンケートでは,加害者,被害者の氏名等を特定するような形で,いじめがあることを明示した回答があったと認めることはできないが」と改める。 (2) 自殺の予見可能性についてAに対するいじめ等とAの自殺との間には因果関係があること,また城島中学校の教師らが,その過失によってAに対するいじめ等の存在に気づき得ず,これを止めさせ,あるいは予防することができなかったことは前示1,2(1)のとおりであるが,被控訴人らがAの自殺についても損害賠償責任を負うとするには,城島中学校の教師らが,Aに対するいじめ等によりAが自殺することを,予見し又は予見することが可能な状況にあったことが必要である。 ところで本件においては,前示1(1)記載のとおり,Aに対して,入学式の当日からその自殺まで,約2年10か月間の中学生活を通じて,断続的にいじめ等が続いており,その期間は相当長期間に及んでいるし,特に,最終的にAを自殺にまで追い詰める直接的な契機となった3年時10月以降の恐喝行為は,悪質重大なものであるというほかない。しかしながら,前記のとおり,かかる恐喝行為においてすら,その脅迫の態様自体は,基本的に,<イ>からAに対して,<ア>が金を要求している,という事実を告知するだけのものであることが多く,<ア>自身は金員喝取のために直接Aに暴行を振るったとは認められず,<イ>においては,Aが金を持っていない等としてその交付に抵抗する態度を示した際に,こづく 実を告知するだけのものであることが多く,<ア>自身は金員喝取のために直接Aに暴行を振るったとは認められず,<イ>においては,Aが金を持っていない等としてその交付に抵抗する態度を示した際に,こづく,はたく,胸ぐらをつかんで揺さぶるといった程度の暴力を振るったことはあったにしても,客観的に見た場合,それも格別に執ようで傷害の結果を伴うような苛酷な暴行であったとは認め難いし,それ以前のいじめ等においても,暴行行為の回数は,月に何度もというほど頻回なものではなく,その暴行の態様も,けがをするほど激しいものは多くなかったのであり,加えて,A自身の言動について見れば,自殺直前の平成8年1月9日及び16日のテストの日に,休み時間の合間をぬって何度も職員室の前の廊下をうろうろしていた(甲第161号証)という点は,常とは異なる行動と認められるけれども,その一方で,Aは,自殺の直前まで,高校進学に向かって前向きに受験勉強に取り組み,学校を欠席したり,登校を嫌がる,遅刻するといったこともなく,学校のみならず家庭においても,元気がないとか,ふさぎ込んでいるといった様子はうかがえなかったのであるし,控訴人らやAの兄弟らにおいても,Aについて何ら異変の兆しを感じ取ることはできなかったというのであるから,本件当時,文部省に対し,平成7年度に,6000を超える中学校で,2万9000件を超える多数のいじめが発生している旨の報告(特殊教育諸学校での発生件数を含む。甲第7号証の1)があり,また,平成6年12月以降平成8年1月までだけでも,全国でいじめと関連がある,又はいじめとの関連を示唆された自殺が21件に上るとされ,いじめ問題の深刻さ,重大さが一般にも知られるところとなって,文部省や被控訴人福岡県の教育委員会においても,城島中学校を始めとする福岡県下の全中学校に対 の関連を示唆された自殺が21件に上るとされ,いじめ問題の深刻さ,重大さが一般にも知られるところとなって,文部省や被控訴人福岡県の教育委員会においても,城島中学校を始めとする福岡県下の全中学校に対し,いじめによる自殺防止に取り組むよう多数回の指導,通知等がなされ,城島中学校においても,いじめに対する対応を講ずるべきとの認識のもとに,いじめ加配教師の配置やいじめ対策委員会の設置といった措置が取られていたことを考慮しても,なお平成8年1月ころの時点で,城島中学校の教師が,Aが自殺することについての予見可能性があったとは認め難いといわざるを得ない。 よって,被控訴人城島町について,城島中学校の教師らが,その過失によって,Aに対するいじめ等を中止させ,あるいはこれを防止し得なかったことによって,Aが受けた精神的,肉体的苦痛に対する損害賠償責任は認められるが,その自殺したことによる損害の賠償責任を認めることはできない。 (3) 調査報告義務についてア一般に,公立中学校の設置者である地方公共団体と在学する生徒及びその親権者との間には,公法上の法律関係である公立中学校の在学関係が存在し,かかる在学関係の中で,教師らは,学校における教育活動及びこれに密接に関連する生活関係において生徒らを指導するのであり,その過程において,生徒の生命,身体,精神等に重大な影響を及ぼし,あるいはその恐れのある事故等が発生した場合には,当該事故等について,一定の調査等をすべきであり,当該事故等の当事者である当該生徒の親権者等から,調査の内容あるいは結果の開示が求められた場合には,当該事故等の具体的態様,経過等の事実関係はもとより,学校側の対応及び今後の対策等調査の内容あるいは結果等を報告すべき責務を負うと解するのが相当であり,これに反して,必要な調査 求められた場合には,当該事故等の具体的態様,経過等の事実関係はもとより,学校側の対応及び今後の対策等調査の内容あるいは結果等を報告すべき責務を負うと解するのが相当であり,これに反して,必要な調査を怠り,あるいはその報告をしなかった場合には,国家賠償法1条1項所定の違法な行為として,損害を賠償すべきである。そして,本件においては,Aが,その自殺に際し,遺書(甲第1号証)を残し,そこに記載された内容からして,その自殺の原因は,城島中学校の内外における複数の生徒らによるいじめにあったことが,当初より強く疑われ,城島中学校の教師らも,Aが自殺したという事実が判明した翌日には,当該遺書の写しを入手することにより,Aの自殺が,学校における教育活動又はこれに密接に関連する生活関係内で発生した事件であることを認識したのであるし,控訴人らから,その調査内容や調査結果についての報告を求められたのであるから,同教師らや被控訴人城島町の教育委員会としては,控訴人らに対し,少なくともAの自殺の原因になったと思われるいじめの存否,その態様等を調査し,これに対する教師らの対応等について,具体的に報告する義務を負うものと認めるのが相当である。 もっとも,公立中学校は捜査機関ではなく教育機関であるから,教師ら及び教育委員会としては,教育機関として必要かつ可能な方法において調査を実施すれば足りるし,また公立中学校は,教育機関として,常に当該生徒のみならず,他の生徒らに対する関係でも,全人格的な教育を全うし,その健全な成長を図り,教師らと生徒らの間の相互信頼関係を維持育成することが要請されており,他の生徒らのプライバシーも尊重し,規律ある学校運営を維持する必要があり,同時に当該事故等について,司法の見地から捜査権限を有する警察や検察庁が現に捜査を開始し,あるいは捜 することが要請されており,他の生徒らのプライバシーも尊重し,規律ある学校運営を維持する必要があり,同時に当該事故等について,司法の見地から捜査権限を有する警察や検察庁が現に捜査を開始し,あるいは捜査をする予定がある場合には,その障害となるようなことは慎むべきであるという一般的な制約があるから,その調査内容あるいは調査結果についても,このような範囲内において,報告すれば足りるというべきである。 イそこで,当裁判所が認定した事実に基づいて,城島中学校の教師ら及び被控訴人城島町の教育委員会に,具体的な調査報告義務違反があったか否かについて検討するに,まずその事実経過として,城島中学校においては,Aの自殺について報告があった平成8年1月23日に,C教諭及びK教諭が,Aの自殺との関係を申告してきた<ア>から事情を聴取し,翌24日には,G校長が,全校生徒に対して,Aの自殺に関して知っている事実があれば報告するように呼び掛けるとともに,2,3年生全員に対してAの自殺に関する感想文を書かせ,K教諭及びC教諭らが<ア>,<イ>,<1>,<3>及び<4>らAの遺書に名前が挙げられていた生徒から事情聴取をし,同月31日には,3年生全員に対して,アンケート形式で,Aの自殺に関することについて回答をさせ,同年2月3日には,Aの自殺について事情を知っていると思われる3年生の生徒38名から面接方式で事情聴取をしている。そして,同月11日には,G校長が,控訴人らに対し,城島中学校の調査結果の途中経過の概略を口頭報告する一方,同年3月14日付けで,被控訴人城島町の教育委員会教育長に対し,別紙「生徒死亡事故に関する実情報告書」(甲第165号証の2)記載のとおりの報告書を提出した。その間,同年1月23日から城島警察署による教師らの取調べ等の捜査が始まって 町の教育委員会教育長に対し,別紙「生徒死亡事故に関する実情報告書」(甲第165号証の2)記載のとおりの報告書を提出した。その間,同年1月23日から城島警察署による教師らの取調べ等の捜査が始まっており,また,私立高校及び公立高校の入試が実施された。なお,当時のマスコミでは,Aの自殺の原因は,城島中学校内のいじめにあることを報じる記事が大きく報道されていた。 そして,その後,被控訴人城島町の教育委員会及び城島中学校の教師らは,控訴人らに対し,本件回答書(甲第2号証)記載のとおりの回答をしている。 ウ以上によれば,まずAの自殺に関する調査については,城島中学校の教師らは,並行して行われた警察の捜査や,私立高校及び公立高校の入試の準備等によって制約された時間の中で,事実関係を知る生徒らに対する自己申告の呼びかけ,2,3年生全員に対する感想文作成,3年生全員に対するアンケート実施,関係生徒38名を中心とする生徒らからの面接等の方法による事情聴取,Aの遺書において特に名指しされたと思われる生徒らからの個別的事情聴取を行った結果,<ア>,<イ>による恐喝行為や,<3>,<4>による暴行行為のほかにも,アンケート結果上では,Aが,パンを買いに行かされる等の使い走りをさせられていたとか,椅子に画鋲を置かれていた等のいじめもしくはいじめを疑わせる事実が複数指摘されたことが認められるけれども,それ以上に,いじめ,もしくはいじめを疑わせる行為を実際に行っていた生徒の氏名を特定したり,当該行為者自身から更に詳しい事実関係や反論等を聞き取る等の調査を行ったという経緯はうかがえないところである。しかしながら,かかる調査が行われた時期が,高校受験期という,他の生徒らの進路指導においても最も重要な時期であったことや,調査を受ける生徒らにも,受験 を行ったという経緯はうかがえないところである。しかしながら,かかる調査が行われた時期が,高校受験期という,他の生徒らの進路指導においても最も重要な時期であったことや,調査を受ける生徒らにも,受験によるストレス以外に,Aの自殺及びその原因が学校内でのいじめにある旨報道されたこと等から生ずる,相当な精神的動揺,負担が生じていたものと推測されることからすれば,まずは,自己申告や,上記感想文,アンケート等により,Aの自殺に何らかの原因を与え,あるいはかかる事実関係を知っていると思われる生徒らを把握し,これらの生徒に対しては,面接による個別的事情聴取を行う一方で,その余の生徒らからは,逐一事情を聴取することはしないこととしたのも,決して不相当な判断とはいえないし,学校が,生徒らの不法行為責任ないし非行事実の追及をする場ではなく,またそうすることが相当でもないことを考えれば,かかる調査方法によって学校側が把握できた事実関係が,結果的にはAに対するいじめ等の実態の一部に過ぎなかったとしても,それ故にその調査方法,内容が直ちに不十分であったとすることはできないから,前示調査方法及び調査内容をもって,直ちに城島中学校の教師ら及び被控訴人城島町の教育委員会に,調査義務違反があったと認めることはできない。 エまた,Aの自殺に関する調査結果の報告内容について検討するに,本件回答書には,いじめ問題に対する城島中学校の従前の指導,対応や今後の取り組みについては相当程度詳細な報告がなされているのに対し,Aに対するいじめの具体的内容,原因等については,遺書に名前が記されていた<ア>,<イ>,<3>及び<4>等からの事情聴取の結果が簡潔に記載されているだけで,その他のいじめの事実は記載されていない。 しかしながら,前記説示のとおり,この時期の城島 が記されていた<ア>,<イ>,<3>及び<4>等からの事情聴取の結果が簡潔に記載されているだけで,その他のいじめの事実は記載されていない。 しかしながら,前記説示のとおり,この時期の城島中学校の教師らにとって,これ以上に,事実関係を調査し,真相を解明することは困難であったと思われること,学校においてこれら事実関係を完全には把握せず,Aに対するいじめの存否及びその具体的内容等の未だ確定していない段階において,これをすべて開示することは,その開示した内容が既成事実として取り扱われる可能性を否定できず,それはまたAの遺書に名指しされた生徒ら以外の生徒らに対しても,更なる精神的な動揺を与える可能性を否定できないことを考えると,本件回答書において,Aに対する具体的いじめの態様,原因などに関する記載が,同書程度にとどまったこともまたやむを得ないものというべきであり,Aの自殺に関する調査結果の報告の点においても,城島中学校の教師ら及び被控訴人城島町の教育委員会に,控訴人らに対する報告義務違反があったということはできない。 オよって,結局,城島中学校の教師らに調査報告義務違反があったとする控訴人らの主張には理由がない。 3 被控訴人福岡県の責任被控訴人福岡県は,D教諭を含む城島中学校の教師らの俸給,給与その他の費用を負担する公共団体であるから,上記のとおり被控訴人城島町が国家賠償法1条に基づく損害賠償責任を負うものである以上,同法3条1項に従って,被控訴人城島町とともに,その賠償責任を負うものである。 被控訴人福岡県は,いじめ問題の解消に向けて各種の取組をしてきた旨を主張するが,国家賠償法1条1項及び3条1項は,加害公務員が負うべき損害賠償責任を国又は公共団体が代わって責任を負うとする規定であるから,被控訴 県は,いじめ問題の解消に向けて各種の取組をしてきた旨を主張するが,国家賠償法1条1項及び3条1項は,加害公務員が負うべき損害賠償責任を国又は公共団体が代わって責任を負うとする規定であるから,被控訴人福岡県がいじめ問題解消に向けて一般的な取組を尽くしたことが免責事由となるものではなく,その主張は失当である。 4 損害原判決「理由」,「2 判断」,「(3) 損害について」に記載のとおりであるから,これを引用する。 5 過失相殺について原判決「理由」,「2 判断」,「(4) 過失相殺について」に記載のとおりであるから,これを引用する。 6 結語よって,控訴人らの請求を,各500万円及びこれに対する不法行為後であることが明らかな平成8年1月22日(A死亡の日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払請求の限度で認容した原判決は相当であって,控訴人らの控訴は理由がないから,これを棄却することとし,訴訟費用の負担について民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 福岡高等裁判所第4民事部裁判長裁判官星野雅紀 裁判官近下秀明裁判官荻原弘子
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