平成18(ワ)10559 建物収去土地明渡請求事件

裁判年月日・裁判所
平成19年10月18日 大阪地方裁判所
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判決文本文18,079 文字)

- 1 -主文 被告は,原告に対し,別紙物件目録4及び5記載の各建物を収去して同目録1ないし3記載の各土地部分を明け渡せ。 被告は,原告に対し,平成19年10月1日から前項の各土地部分の明渡済みまで1日につき436円の割合による金員を支払え。 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は,被告の負担とする。 この判決は,第2項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1請求 主文1項と同旨 被告は,原告に対し,34万1904円及びこれに対する訴状送達の日の翌日(平成18年10月25日)から支払済みまで年14.6パーセントの割合による金員を支払え。 被告は,原告に対し,平成18年10月25日から1項の各土地部分の明渡済みまで1日につき436円の割合による金員を支払え。 第2事案の概要,(「」本件は別紙物件目録1ないし3記載の各土地部分以下本件各土地部分という)を所有し,これを被告に賃貸していた原告が,本件各土地部分上に。 同目録4及び5記載の建物(以下「本件各建物」という)を所有し,これを。 暴力団事務所として使用している被告に対し,善管注意義務違反ないし用法遵守義務違反,賃料不払い,信頼関係破壊などを理由に賃貸借契約を本件訴状により解除するとして,賃貸借契約の終了に基づき,本件各建物を収去して本件各土地部分の明渡しを求めるとともに,未払賃料合計34万1904円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成18年10月25日から支払済みまで約定の年14.6パーセントの割合による遅延損害金並びに不法行為による- 2 -損害賠償請求権に基づき1日当たり436円の賃料相当損害金の支払を求めている事案である。 前提となる事実(証拠を付さない事実は,当事者間に争いがない)。 損害金並びに不法行為による- 2 -損害賠償請求権に基づき1日当たり436円の賃料相当損害金の支払を求めている事案である。 前提となる事実(証拠を付さない事実は,当事者間に争いがない)。 ( ) 当事者 ア原告は,地方自治法上の普通地方公共団体である。 イ被告は,指定暴力団6代目山口組甲組乙会(以下「乙会」という)の。 会長である(甲6の2。 )( ) 原告の土地所有及び被告の建物所有 ア原告は,昭和24年から昭和27年にかけて,a地区復興土地区画整理事業実施に伴い,安治川土地株式会社ほか3者から,大阪市a区bc丁目d番eの土地(以下「本件土地」という。本件各土地部分は,いずれも本件土地の一部である)を含む周辺一帯の土地約247万3000平方メ。 ートルを賃借権付土地として譲り受け現在も本件土地を所有している甲,(1,5。 )なお,原告は,昭和48年4月以前は,土地賃借人との間で,賃貸借契約という形ではなく,原告側の使用承認という形式で事務を進めていた。 イ被告は,本件各土地部分上に本件各建物を所有し,本件各土地部分を占有しており,本件各建物を乙会の組事務所として使用している。 ( ) 賃借人の名義変更及び使用継続の許可 ア別紙物件目録1記載の土地部分(以下「本件1号地」といい,同目録記載の他の土地についても同様に「本件○号地」という)について。 (ア)被告は,昭和50年10月ころ,Aから,本件1号地上に存在した建物を譲り受け,原告に対して賃借権の譲渡承認申請を行い,これに対して同年12月25日に原告の決済が行われた結果,原告と被告との間で本件1号地についての賃貸借契約が成立した(以下「本件第1賃貸借契約」という。その契約内容の概要は,以下のとおりである(甲90。)- 3 -の1,2,甲91の1 われた結果,原告と被告との間で本件1号地についての賃貸借契約が成立した(以下「本件第1賃貸借契約」という。その契約内容の概要は,以下のとおりである(甲90。)- 3 -の1,2,甲91の1,2。 )なお,上記地上建物(大阪市a区f町g丁目h番地のi所在,構造木造瓦葺2階建,床面積1階40.71平方メートル,2階38.43平,,方メートルの一棟の建物のうち家屋番号同所h番i-j建物の番号1種類車庫,居宅,構造木造瓦葺2階建,床面積1階16.64平方メートル,2階17.18平方メートルの専有部分の建物(以下「本件1号建物」という。甲90の7)は,昭和51年6月10日付けで,本件2号地上のf町g丁目h所在,種類専住長屋,構造木造瓦葺2階建,床面積44.67平方メートルの建物(以下「本件2号建物」という。甲9),(「」2の8と合体して別紙物件目録4記載の建物以下本件4号建物という)となっている(甲3の1,2,乙7。 。 )①賃料月額3958円後記②期間中の各年度の4月1日から9月30日までについては当該年度の6月30日まで,同年度の10月1日から翌年3月31日までについては当該年度の12月31日までにそれぞれ6か月分を併せて支払う。 ②期間昭和50年12月25日から平成7年12月25日まで③大阪市賃貸借条件の遵守原告は普通地方公共団体たる大阪市であるところ,本件1号地は原告の普通財産であるから,被告との間で,その貸付けに際し,大阪市財産条例及び大阪市財産規則を遵守することを確認した。 なお,普通財産を貸し付けた場合は,貸付料を納付期限後3月以上経過してなお納入しないときはその契約を解除することができる大,(阪市財産条例13条( ) 。 1 )また,普通財産の借受人が貸付料を期限までに納入しな 付けた場合は,貸付料を納付期限後3月以上経過してなお納入しないときはその契約を解除することができる大,(阪市財産条例13条( ) 。 1 )また,普通財産の借受人が貸付料を期限までに納入しないときは,納入期限の翌日から納入する日までの日数に応じ,貸付料(1000- 4 -円未満の端数があるときは,これを切り捨てる)につき年14.6。 パーセントの割合で計算した遅延損害金を徴収する。ただし,貸付料が2000円未満であるとき,遅延損害金の額が500円未満である,()。 ときはこの限りではない大阪市財産条例11条及び同規則28条④無条件解除及び無償原状回復原告の事業上必要を生じたときは,被告は,直ちに無条件で契約解除に応じ,無償で地上物件を撤去して原状に回復する。 (イ)原告は,平成7年12月25日,被告に対し,本件第1賃貸借契約に基づき,本件1号地の使用の継続を認めた(甲5。 )イ本件2号地について(ア)被告は,昭和51年5月1日,本件2号地上に本件2号建物を共同所有していたB及びCから同建物(なお,前記ア(ア)のとおり,昭和51年6月10日付けで,本件1号建物と合体し,本件4号建物となった(甲3の1,2,乙7)を譲り受け(甲92の3,昭和52年4月)。 )22日,本件2号地の賃借人の名義変更を申請し(甲92の1,同年)5月17日に原告の決済が行われ,原被告間に賃貸借契約(以下「本件第2賃貸借契約」という)が成立した(甲5。 。 )その契約内容の概要は,以下のとおりである(甲91の1,2,甲92の1,2。 )①賃料月額4594円支払時期については,本件第1賃貸借契約に同じ②期間昭和52年5月17日から平成9年5月17日まで③大阪市賃貸借条件の遵守内容は本件第1賃貸借契約に同じ④無条件解除 賃料月額4594円支払時期については,本件第1賃貸借契約に同じ②期間昭和52年5月17日から平成9年5月17日まで③大阪市賃貸借条件の遵守内容は本件第1賃貸借契約に同じ④無条件解除及び無償原状回復内容は本件第1賃貸借契約に同じ(イ)原告は,平成9年5月17日,被告に対し,本件第2賃貸借契約に基づき,本件2号地の使用の継続を認めた(甲5。 )- 5 -ウ本件3号地について(ア)被告は,昭和62年7月7日,本件3号地上に別紙物件目録5記載の建物(以下「本件5号建物」という)を所有していたDから同建物。 を譲り受け甲93の1本件3号地の賃借人の名義変更を申請し甲(),(94の1,同月17日,原告の決済が行われ,原被告間に賃貸借契約)(以下「本件第3賃貸借契約」という)が成立した(甲2,5。 。 ),(,,,その契約内容の概要は以下のとおりである甲2 甲94の15,6。 )①使用目的非堅固建物敷地②賃料月3562円(ただし,平成5年4月1日以降は月額4544円に改定されている)。 支払時期については,本件第1賃貸借契約に同じ③期間昭和62年7月17日から平成5年3月31日まで④無催告解除特約原告は,次の各号の1に該当するときは賃貸借期間中といえども本契約を解除することができる。 (中略)( ) 被告が本契約の条項に違反したとき ⑤延滞損害金被告は,納入期限までに賃貸賃料を納入しないときは,当該納入期限の翌日から納入するまでの日数に応じ,年14.6パーセントの割合で算定した延滞損害金を原告に支払わなければならない。この場合の計算方法は年365日の日割計算とする。 (イ)原告は,平成5年4月1日,被告に対し,本件第3賃貸借契約に基づき,本件3号地の使用継 で算定した延滞損害金を原告に支払わなければならない。この場合の計算方法は年365日の日割計算とする。 (イ)原告は,平成5年4月1日,被告に対し,本件第3賃貸借契約に基づき,本件3号地の使用継続を認めた(甲5。 )( ) 本件第1ないし第3賃貸借契約の解除の意思表示 - 6 -原告は,被告に対し,平成18年10月24日到達の本件訴状をもって,本件各土地部分の暴力団事務所の敷地としての使用の事実,度重なる賃料支払の遅滞,賃料及び延滞損害金の不払いは賃貸借契約の継続を著しく困難ならしめる背信行為に該当することを理由として,本件第1ないし第3賃貸借契約(以下「本件各賃貸借契約」という)をいずれも解除する旨の意思表。 示をした。 争点に対する当事者の主張( ) 本件各賃貸借契約の解除の有効性について(被告に本件各賃貸借契約上の 債務不履行ないしは信義則上の義務違反が存在するか)ア賃料不払いに基づく解除の可否(原告の主張)(ア)本件第1賃貸借契約についてa被告は,別紙土地賃貸料・延滞損害金滞納状況記載のとおり,平成9年以降に限っても19回の支払のうち18回賃料の支払を遅滞し,その平均遅延日数は約395日であって,少なくとも6万3300円の延滞損害金が発生しているが,平成18年9月30日現在までにわずか7800円しか支払っていない。 b被告は,平成18年6月30日を支払期限とする賃料2万3748円について支払っておらず,平成18年9月30日現在における遅延日数は92日に及ぶ。 (イ)本件第2賃貸借契約についてa被告は,別紙土地賃貸料・延滞損害金滞納状況のとおり,平成9年以降に限っても19回の支払のうち18回賃料の支払を遅滞し,その平均遅延日数は約517日であって,少なくとも9万3600円の延滞損害金が発生してい 紙土地賃貸料・延滞損害金滞納状況のとおり,平成9年以降に限っても19回の支払のうち18回賃料の支払を遅滞し,その平均遅延日数は約517日であって,少なくとも9万3600円の延滞損害金が発生しているが,平成18年9月30日現在までにわずか7700円しか支払っていない。 - 7 -b被告は,平成17年12月31日を支払期限とする賃料2万7564円及び平成18年6月30日を支払期限とする賃料2万7564円,合計5万5128円について支払っておらず,その平均遅延日数は約181日に及ぶ。 (ウ)本件第3賃貸借契約についてa被告は,別紙土地賃貸料・延滞損害金滞納状況のとおり,平成9年以降に限っても19回の支払のうち18回賃料の支払を遅滞し,その平均遅延日数は約417日であって,少なくとも7万6200円の延滞損害金が発生しているが,平成18年9月30日現在までにわずか9100円しか支払っていない。 b被告は,平成17年12月31日を支払期限とする2万7264円及び平成18年6月30日を支払期限とする2万7264円,合計5万4528円について支払っておらず,その平均遅延日数は約181日に及ぶ。 (エ)これらの賃料の遅滞は,本件各賃貸借契約の債務不履行にあたり,その回数,程度,金額等に照らせば,信頼関係を破壊する程度に及んでおり,無催告解除の理由となりうる。 (被告の主張)被告の滞納額については正確には判らないから答弁としては否認するが,直ちに原告の主張どおりの全額を支払う意思はある。 本件各賃貸借契約の解除の効力については,争う。滞納金額からしても無催告解除の原因となるほど重大なものではない。 イ善管注意義務違反及び用法遵守義務違反に基づく解除の可否(原告の主張)(ア)被告は,本件各賃貸借契約に基づき,善管注意義務及び用法遵守義 ても無催告解除の原因となるほど重大なものではない。 イ善管注意義務違反及び用法遵守義務違反に基づく解除の可否(原告の主張)(ア)被告は,本件各賃貸借契約に基づき,善管注意義務及び用法遵守義務,すなわち,社会通念上許される態様において非堅固建物敷地として- 8 -適正に使用するよう留意しなければならない義務を負っている。本件各賃貸借契約においては,賃貸人たる原告が住民の福祉の増進を図る役割を担う地方公共団体であるという性格に由来して,賃借人たる被告は,住民の福祉の増進に明白にあるいは著しく反する方法,態様での本件各土地部分の使用は許されない。 (イ)本件各土地部分が暴力団事務所の敷地として使用されることにより,同土地部分の経済的価値が大きく減殺されるばかりでなく,暴力団事務所が存在することにより,その周辺の土地建物の換価・利用価値もまた,相応に減殺されることになる。 (ウ)暴力団事務所は,ひとたび暴力団抗争が発生した場合には,まさに攻撃対象であり防御の砦ということになるのであって,地上建物が暴力団事務所として使用されていることにより,近隣の住民等が暴力団抗争に巻き込まれて生命,身体的及び財産的被害を受けるなどの著しい危険を発生させている。 (エ)賃貸人である原告は,本件各土地部分が暴力団事務所の敷地として使用されることにより,近隣の土地所有者から土地価格の下落による損害賠償を請求されたり,抗争等の巻き添えになった被害者から損害賠償を請求されるなどの法的リスクを負い,社会的非難を浴びている。 (被告の主張)(ア)善管注意義務及び用法違反は土地の利用に対しての義務であって,土地上の建物の利用方法は関係がない。また,賃貸人が地方公共団体であることが解除理由を容易にするとは考え難い。 (イ)否認ないし争う。 ,,(ウ) 用法違反は土地の利用に対しての義務であって,土地上の建物の利用方法は関係がない。また,賃貸人が地方公共団体であることが解除理由を容易にするとは考え難い。 (イ)否認ないし争う。 ,,(ウ)被告は本件各建物を暴力団事務所として34年間使用しているがこれまで一度も抗争に巻き込まれたことはない。また,我が国は,結社としての暴力団を違法としておらず,組事務所の存在を規制する法を定- 9 -。 ,,めていない唯一暴力団員による不当な行為の防止に関する法律では抗争時において組事務所としての建物使用を禁止することができることを定めるのみである。 。 ,,(エ)原告に法的リスクなどない被告は本件各賃貸借契約締結時から本件各建物を組事務所として使用しており,原告は,そのことを承知の上で34年間本件各賃貸借契約を維持してきたのであるから,本件各建物の利用について了解済みであった。被告は,近隣住民との関係でも悪い付き合いはしておらず,苦情等も聞いたことがない。 ウ信頼関係破壊に基づく解除の可否(原告の主張)アに対する原告の主張(ア)ないし(ウ)及び同イに対する原告の主張(イ)ないし(エ)記載のとおり(被告の主張)アに対する被告の主張及び同イに対する被告の主張(イ)ないし(エ)記載のとおり( ) 未払賃料及び遅延損害金の支払請求の可否 (原告の主張)争点( )アに対する原告の主張(ア)ないし(ウ)記載のとおり (被告の主張)争点( )アに対する被告の主張記載のとおり ( ) 損害の発生及びその額 (原告の主張)平成18年10月25日以降の本件各土地部分の賃料相当損害金は,1日当たり計436円である。 (被告の主張)全て否認し争う。 - 10 -第3争点に対する判断 本件各賃貸借契約の解除の有効性について( 0月25日以降の本件各土地部分の賃料相当損害金は,1日当たり計436円である。 (被告の主張)全て否認し争う。 - 10 -第3争点に対する判断 本件各賃貸借契約の解除の有効性について( ) 賃借人に賃貸借契約の当事者相互の信頼関係を裏切って賃貸借関係の継続 を著しく困難ならしめるような不信行為があった場合には,賃貸人は,催告を要することなく直ちに賃貸借契約を解除することができると解することが相当である(最判昭和27年4月25日民集6巻4号451頁参照。 )( ) 本件各土地部分の賃料及び延滞損害金の滞納状況 賃貸借契約において,賃料の支払義務は賃借人の最も基本的な債務であるから,これを怠ることは,契約当事者相互間の信頼関係を揺るがせる行為と言うべきである。そこで,本件において,被告の賃料の延滞の程度が賃貸借関係の継続を著しく困難ならしめるようなものであるか否か検討する。 ア滞納の金額証拠(甲4,5,17の1ないし3,26の1,被告本人)によれば,被告は,本件訴え提起前の平成18年9月30日当時,原告に対し,本件1号地については,平成18年6月30日期限の賃料2万3748円及び遅延損害金5万5500円を,本件2号地については,平成17年12月31日及び平成18年6月30日を支払期限とする各2万7564円の賃料合計5万5128円及び遅延損害金8万5900円を,本件3号地については,平成17年12月31日及び平成18年6月30日を支払期限とする各2万7264円の賃料合計5万4528円及び遅延損害金6万7100円を,それぞれ支払っていなかったことが認められる。 イこれに対し,被告は,滞納に係る賃料及び遅延損害金の金額は低額であり,無催告解除の原因となるほど重大なものではない旨主張する。 しかし,賃料の滞納が賃貸借契約の解除 ていなかったことが認められる。 イこれに対し,被告は,滞納に係る賃料及び遅延損害金の金額は低額であり,無催告解除の原因となるほど重大なものではない旨主張する。 しかし,賃料の滞納が賃貸借契約の解除原因となりうるか否かは,単に滞納に係る賃料及び遅延損害金の金額の多寡のみならず,遅滞の回数,期間,賃料額と滞納額との比較,滞納の理由,督促の経緯,賃借人の支払能- 11 -力等を考慮して判断することが相当である。 (ア)滞納の回数,期間証拠(甲5,17の1ないし3)によれば,被告は,本件各賃貸借契約につき,平成9年以降に限っても19回到来した支払期限のうち18回賃料の支払を遅滞していることが認められる。 しかも,前記前提となる事実( )のとおり,本件各賃貸借契約の賃料 の支払時期は半年ごとであるところ,上記証拠によれば,平均遅延日数は,本件第1賃貸借契約については約494日,本件第2賃貸借契約については約586日,本件第3賃貸借契約については約429日であって,全体の平均遅滞日数は約14か月以上の長期にわたっている。 このように,被告は平成9年以降本件各賃貸借契約の賃料の支払をほ,。 ぼ毎回延滞しており延滞期間も長期に及んでいるといわざるを得ない(イ)滞納額と賃料額との比較前記前提となる事実( )のとおり,本件各土地部分の賃料は,本件1 号地については1か月当たり3958円,本件2号地については1か月当たり4594円,本件3号地については1か月当たり4544円であるところ,本件各賃貸借契約の賃料額を基準とすると,未払の賃料及び遅延損害金の合計金額は,本件第1賃貸借契約については20か月分以上,本件第2賃貸借契約については30か月分以上,本件第3賃貸借契約については26か月分以上に相当するものであって,絶対的な滞納金額自体は高額 の合計金額は,本件第1賃貸借契約については20か月分以上,本件第2賃貸借契約については30か月分以上,本件第3賃貸借契約については26か月分以上に相当するものであって,絶対的な滞納金額自体は高額であるとまではいえないとしても,賃料額と比較すると決してわずかなものであるとはいえない。 (ウ)滞納の理由,催告の経緯証拠(甲19の1ないし6)及び弁論の全趣旨によれば,原告は,被,,告に対し年4回の頻度で賃料等の支払を催告しているにもかかわらず被告は,上記(ア)のとおり,賃料等の滞納を繰り返してきたことが認め- 12 -られる。 被告は,本人尋問において,服役の際,事務所の若い者に対し,賃料の支払を頼んでおいたが,同人が支払を遅れた旨述べるのであるが,それ自体何ら合理的な理由とは認められないばかりか,被告が服役していたのは平成10年8月までの約8か月程度にすぎないのであるから(被告本人,それ以降の賃料の滞納についての理由とはなり得ない。 )したがって,被告は,原告からの度重なる催告にもかかわらず,何ら合理的な理由なく,恒常的に賃料の滞納を繰り返してきたものといわざるを得ない。 (エ)被告の支払能力証拠(甲55)によれば,平成13年11月当時,乙会の構成は,副会長1名,若頭代行1名,舎弟8名,相談役2名,若頭補佐3名,常任,,,,,幹事2名幹事7名当番1名部屋住1名合計27名であったこと乙会の会費の金額は,副会長は20万円,舎弟は10万円,相談役は20万円,若頭補佐は7万円,常任幹事は2万円,幹事は1万円であったこと,上記会費の中から,乙会は,山口組総本部に対し50万円,組長運転手に対し25万円,当番に対し15万円,部屋住みに対し6万円が支払われていたことが認められる。 これらの事情からすれば,被告の毎月の収入 上記会費の中から,乙会は,山口組総本部に対し50万円,組長運転手に対し25万円,当番に対し15万円,部屋住みに対し6万円が支払われていたことが認められる。 これらの事情からすれば,被告の毎月の収入は,20万円×1名+10万円×8名+20万円×2名+7万円×3名+2万円×2名+1万円×7名=172万円であり,他方,主だった支出は50万円+25万円+15万円+6万円=46万円であったのであるから,残額は76万円であり,これは本件各土地部分の賃料合計1万3096円の約60倍で,,あってこの中から賃料を支払うことは十分に可能であったと認められ他に,被告において,本件各賃貸借契約の賃料を支払うことが経済的に困難であったことを窺わせる事情はまったく存しない。 - 13 -(オ)小括以上を総合すれば,被告は,十分な支払能力があるにもかかわらず,かつ,原告から再三の催告を受けながらも,比較的低廉な賃料の滞納を恒常的に繰り返し,滞納額は賃料額の20か月分ないし30か月分の金額に及んでいたものであり,その滞納については合理的な理由があったということはできないから,滞納の程度が決して軽微であるとはいうことができない。 したがって,この被告による賃料滞納の事実自体,本件各賃貸借契約における当事者相互の信頼関係を裏切って賃貸借関係の継続を著しく困難ならしめるような不信行為であると認めることも十分可能であるというべきである。 ウ未払賃料等の供託についてなお,証拠(乙2ないし4の各1,2,乙14ないし16の各1,2)及び弁論の全趣旨によれば,①被告は,原告に対し,本件訴訟の提起後である平成18年12月27日の弁論準備手続期日において,本件各賃貸借契約に係る別紙土地賃貸料・延滞損害金滞納状況記載の各滞納賃料及び遅延損害金並びに平成18年10月1日か に対し,本件訴訟の提起後である平成18年12月27日の弁論準備手続期日において,本件各賃貸借契約に係る別紙土地賃貸料・延滞損害金滞納状況記載の各滞納賃料及び遅延損害金並びに平成18年10月1日から平成19年3月31日までの間の賃料として合計43万4055円の弁済の提供をしたが,原告はその,,,,受領を拒否したこと②被告は平成19年1月18日大阪法務局に被供託者を原告として,供託番号平成18年度金第21713号ないし21715号をもって,上記金員を上記債務の弁済のために供託したこと,③被告は,平成19年6月14日,原告から本件各土地部分の明渡請求があり,予め賃料を受領拒否され,現在係争中のため,受領しないことが明らかであることを理由に,大阪法務局に,被供託者を原告として,供託番号平成19年度金第4839号,4840号及び4842号をもって,合計7万8576円を本件各土地部分の平成19年4月分ないし9月分の- 14 -賃料債務の弁済のために供託したことが認められる。 しかしながら,上記弁済供託がなされたのは,いずれも原告による本件各賃貸借契約の解除の意思表示がなされた後のことであって,上記供託の事実が契約解除の効力に何らの影響を及ぼすものではない。 ( ) 地上物件の無断改造及びその利用方法 ア被告が本件各土地を6代目山口組甲組乙会の暴力団組事務所の敷地として使用していることについては,当事者間に争いがない。 原告は,これが原告に対する重大な不信行為であり,本件各賃貸借契約上の信義則違反行為に該当する旨主張するので,以下,検討する。 イ認定事実(,,,,,,, 証拠 甲35ないし11 22ないし24 84,92ないし94,被告本人)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 る。 イ認定事実(,,,,,,, 証拠 甲35ないし11 22ないし24 84,92ないし94,被告本人)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 (ア)暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(以下「暴対法」という)によれば,暴力団とは「その団体の構成員(その団体の構成。 ,団体の構成員を含む)が集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行。 うことを助長するおそれがある団体」をいい(2条2号,都道府県公)安委員会は,一定の要件に該当する暴力団を特に上記のおそれが大きい暴力団として指定することとなっているが(3条,6代目山口組は,)暴対法第3条の指定を受けた,全国で最大の勢力範囲(1都1道2府41県)及び構成員数(約2万人)を有する指定暴力団であり,乙会は,その中の有力組織である甲組の傘下組織であって,6代目山口組の第3次団体に位置する暴力団組織である。 (イ)被告は,乙会の会長であり,平成9年6月30日,大阪市k区内における暴力団事務所建設反対運動のリーダーを脅したとして,暴力行為等処罰に関する法律違反で逮捕され,平成10年1月20日,大阪地方- 15 -裁判所において懲役1年の実刑判決を受けている(甲8,9,84。 )また,平成13年11月2日には,乙会の幹部であったEが,週末で混雑していたJR三宮駅構内において,捜査員2名に対し,38口径の回転式短銃を2発発射するという発砲事件を起こしたが,その際の捜査で,本件各建物から約200メートルしか離れていないEの自宅から,短銃3丁と実弾139発等が押収された(甲10,11。 )なお,警視庁保安2課覚せい剤事犯取締本部は,昭和54年7月,乙会が組織ぐるみで大韓民国から5年にわたり約100キログラムもの大量の覚せい剤を違法 丁と実弾139発等が押収された(甲10,11。 )なお,警視庁保安2課覚せい剤事犯取締本部は,昭和54年7月,乙会が組織ぐるみで大韓民国から5年にわたり約100キログラムもの大量の覚せい剤を違法に輸入,販売していたとして,暴力団組員13名を逮捕し,被告を含む4名を指名手配し,被告はその後,同年8月に逮捕された。 (ウ)暴力団事務所は,暴力団の活動の拠点となっている施設又は区画された部分をいい(暴対法15条1項,暴力団員による違法活動におけ)る組織の指揮命令・連絡の機能的中枢としての役割を果たしており,外部的には,他の暴力団や一般市民に対して組織の勢力を誇示するものであるが,ひとたび対立抗争事件が発生すると,反目する暴力団からの攻,。 撃の対象となり同時にそれらの攻撃からの防御の砦となるものである(エ)被告は,当初から本件各建物を暴力団事務所として利用する意図で各所有者から譲り受けたにもかかわらず,地主である原告に対しては,その意図を伏して,本件各建物の種類が専住長屋,居宅等であるとする証明書を提出するに止まり,これまでに本件各建物を暴力団事務所として使用する旨を申告したことはなかった。 原告は,本件各土地部分が被告に対する賃貸開始前は暴力団事務所の敷地として使用されていなかったにもかかわらず,被告が賃借権を譲り受けた後,いつの間にか暴力団事務所の敷地として利用されていたことにつき,長年気付かなかったが,そのことに気づいた後も,そのような- 16 -状況につき看過し得ないものとは認識していたものの,賃貸借契約が存する以上,やむを得ないものと判断し,特段の対応を取らなかった。 しかしながら,平成18年1月21日,被告が原告からの借地上で本件各建物を暴力団事務所として使用していることが新聞紙上で取り上げられて一般市民に明らかに ないものと判断し,特段の対応を取らなかった。 しかしながら,平成18年1月21日,被告が原告からの借地上で本件各建物を暴力団事務所として使用していることが新聞紙上で取り上げられて一般市民に明らかになったことから,暴力団排除の一般市民の声を背景に,原告においても,市有財産の適正な管理の観点から,何らかの対応策を取ることを検討し,事実関係を調査した結果,本件訴訟に至った。 (オ)被告は,原告に断りなく,昭和51年6月10日付けで,本件1号建物と本件2号建物と合体し,本件4号建物とする旨の登記手続をしているほか,建物自体にも以下のような変更を加えている。 a本件4号建物の出入り口から見て左側の壁には元々窓があったが,外部から板が打ち付けられた上にモルタル塗装されて,いわゆる「はめ殺し」の状態とされており,窓としての機能は果たしていない(また,1階正面には窓自体が存在しない。 。)b本件4号建物の玄関扉は鉄製のものに取り替えられており,壁面には監視カメラが4台(本件4号建物の玄関左上に1台,正面の右側上下に各1台,2階正面左上に1台)やサーチライトが5台(いずれも本件4号建物正面)が設置されている。 (カ)本件4号建物の内部は,出入口のすぐ右にカウンターがあり,カウンターの内側の机には,パソコン,電話機,ファクシミリ,カラープリンタなどの機器がおかれており,正面の壁の代紋の下付近には,監視用カメラのモニターが設置されており,モニターは4分割の表示がなされていて,4つの監視カメラの映像を同時に確認することができるようになっている。 建物内では,常時,組員が待機しており,四六時中交替で電話番やモ- 17 -ニターの監視を行っている。 ウ検討(ア)地上建物の増改築等禁止a証拠(甲2,乙9の1)によれば,本件第3賃貸借契約には, は,常時,組員が待機しており,四六時中交替で電話番やモ- 17 -ニターの監視を行っている。 ウ検討(ア)地上建物の増改築等禁止a証拠(甲2,乙9の1)によれば,本件第3賃貸借契約には,被告は,あらかじめ,書面による原告の承認を得なければ,地上物件の増改築,大修繕又は新築をすることができない旨の条項があり(甲2の10条3号参照,特約条項として,①本件3号土地の貸付けは,)共有持分表示により貸し付け,分割貸付は認めない旨,②本件土地の売却についても,共有貸付地全体を1区画として評価し,分割売却は認めない旨,③今後の市有地賃借人名義の書換えに際しては,上記①,②の事項を条件として本市は承認するので,地上建物を第三者に譲渡する場合は共有土地であることを十分納得させる旨の特約条項があることが認められる。 そして,本件第1及び第2賃貸借契約については,賃貸借契約書が作成されていないが,それは契約書の作成に必要な図面の整備が完了していなかったためであると認められ(甲5,地方公共団体である)原告としては,同種の賃貸借契約を締結する場合には同種の契約内容とすることが通常であると考えられるところ,原告が本件第1及び第2賃貸借契約に関して上記各条項を契約内容から除外する意思を有していたと認めるに足りる証拠はないことからすれば,本件第1及び第2賃貸借契約においても,上記各条項が契約内容となっていると認めることが相当である。 b窓のはめ殺しや鉄製扉への変更,監視カメラやサーチライトの設置は,外敵からの襲撃に対する防御等を主要な目的とした設備であり,暴力団同士の抗争等の事態を念頭に,暴力団事務所として防御的機能を果たすことを意図した改造であると認めることができる。そして,- 18 -特に窓のはめ殺しは,本件4号建物の専住長屋ないし であり,暴力団同士の抗争等の事態を念頭に,暴力団事務所として防御的機能を果たすことを意図した改造であると認めることができる。そして,- 18 -特に窓のはめ殺しは,本件4号建物の専住長屋ないし居宅等としての機能を減殺するものであって,建物の維持保存のための補修としての合理的範囲を超えていることからすると,地上建物の無断改築に匹敵するものということができる。 以上のように,被告が本件1号建物と本件2号建物とを合体して本件4号建物とし,これを暴力団事務所として使用し,その用途に合わせて窓のはめ殺し等の改造を施した行為は,本件各賃貸借契約における地上建物の増改築禁止条項の趣旨に反するものであり,賃貸人である原告の予想を裏切るものである。 (イ)土地の使用態様と信義則違反,,,aそもそも地方自治法上の普通地方公共団体である原告は法律上「住民の福祉の増進を図ることを基本として,地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担」っており(地方自治法1条の2第1項「その事務を処理するに当たっては,住民の福祉の増進),に努め」なければならない(同法2条14項。したがって,公の財),,産である市有地を第三者に賃貸する場合賃貸人である原告において上記の「住民の福祉の増進」という目的に適った賃借人に対し,その目的に適った内容の契約を締結すべき行政上の責務が存する一方,その反射的効果として,賃借人においても,公の財産である賃借物の使用方法,使用態様において,上記目的による一定の制約を受けるものというべきであり,これに著しく反するような利用を行うことは,市有財産(普通財産)を目的とする賃貸借契約に求められる信義則上の義務に反するものというべきである。 bこれを本件についてみるに,上記イにおいて認定したとおり,賃借人である うな利用を行うことは,市有財産(普通財産)を目的とする賃貸借契約に求められる信義則上の義務に反するものというべきである。 bこれを本件についてみるに,上記イにおいて認定したとおり,賃借人である被告は,我が国最大の暴力団組織を構成する有力団体の長であり,組織ぐるみで犯罪を行うばかりか,自身も違法行為を繰り返し- 19 -行っているのであるが,本件各土地を,本件各賃貸借契約締結当初に賃貸人に説明していた単なる住居専用長屋の敷地として使用するのではなく,暴力団事務所の敷地として使用しているのであるから,かかる土地の利用方法は,以下のとおり「住民の福祉の増進」に適うも,のとは到底認められない。 すなわち,暴力団事務所は,上記イ(ウ)のとおり,本来的に,暴力団員による違法活動にかかる組織の指揮命令,連絡の機能的中枢としての役割を有しており,また,一旦対立抗争が発生すると対立する組織からの攻撃の対象となる一方,防御の砦となるものであり,上記イ(オ)(カ)のとおり,本件各建物もその内部及び外部とも,そのような事態を想定してこれに対応した機能を備えたものとなっている。 また,ひとたび抗争事件が発生すると,近隣住民や一般市民がその巻き添えにあうことは少なくはなく,平穏に生活をしている周辺住民にとっては極めて危険な存在となる(被告は,これまで一度も抗争に巻き込まれたことはないとして危険性など存しない旨主張するが,これまではそうであっても,今後巻き込まれないという保証はなく,現に,被告自身,上記イ(オ)(カ)のとおり,抗争があった場合に備えて本件各建物を改造しているのであるから,被告の上記主張は採用できない。 。)さらに,そのような影響もあって,暴力団事務所が存在することによって,当該土地の経済的価値が減殺されるだけでなく,その周辺の不動産 改造しているのであるから,被告の上記主張は採用できない。 。)さらに,そのような影響もあって,暴力団事務所が存在することによって,当該土地の経済的価値が減殺されるだけでなく,その周辺の不動産の換価価値や利用価値が減殺される結果となる(甲16。 )その上,近時,暴力団は重武装化しつつあり,暴力団員による発砲事件が多発しており,一般市民が巻き添えにあって被害を受けることが少なくないため,暴力団による違法,不当行為を予防,排除する機運が高まり,社会的趨勢となっていることも考慮する必要がある(甲- 20 -32ないし42ないし47,57ないし60,62ないし82,85ないし88。 )c以上の結果,被告が本件各土地を暴力団事務所の敷地として使用することは,本件各賃貸借契約から派生する信義則に反するものと認めるのが相当である。 これに対し,被告は,建物の利用方法と土地の利用方法とは区別されるべきである旨主張する。しかしながら,建物は土地の上に存在する以上,建物の利用形態は土地の利用形態に必然的に影響を及ぼすことから,両者をまったく分けて考えるのは相当ではなく,被告の上記主張は採用できない。 dなお,被告は,本件各建物の近隣住民から乙会について苦情が出たり,トラブルがあったりしたと聞いたことはない旨の主張をし,当該主張に沿う証拠として,夏祭りの際に子供たちが世話になったり,寄付をしてもらったりして感謝している旨の記載のされた本件各建物が存在する町会の町会長であるF及び本件各建物の近隣で飲食店を経営しているG作成の各陳述書(乙5,6)及び夏祭りの際の写真(乙18の1ないし6)を提出している。 しかし,平成19年2月20日付けのFの上記陳述書は,本件訴訟について全く知らされず,証拠として提出されることも聞かされないまま作成されたもので りの際の写真(乙18の1ないし6)を提出している。 しかし,平成19年2月20日付けのFの上記陳述書は,本件訴訟について全く知らされず,証拠として提出されることも聞かされないまま作成されたものであること,上記陳述書作成後の同年4月11日に作成された陳述書(甲61)において,被告が本件4号建物を収去し,本件各土地部分を明け渡してくれるのであれば,それに越したことはない旨,被告の事務所が存在するだけで何か起きないかという気持ちになり,また,最近は知らない人も出入りしており,不安になる旨,住民も面と向かっては言いにくいでしょうが,本音は出て行ってもらいたいと思っているはずであり,少なくとも反対する住民はいな- 21 -い旨の記載がされていることからすれば,同年2月20日付けのFの陳述書(乙5)は採用することはできない。 そして,前記( )イ(イ)のとおり,被告は,暴力団追放運動のリー ダーに対し,集団的脅迫をしたことがあったこと,しかもGの経営する店舗は本件4号建物の隣に位置すること(甲22,乙6,Gの陳)述書の作成経緯も不明であることからすれば,Fと同様に,Gももし被告に不利益な陳述をしたならば後にいかなる不利益を被るかを危惧して真意を陳述していない可能性がないとはいえず,Gの陳述書の信用性についても疑問が払拭できない。 また,証拠(乙18の1ないし6)によれば,夏祭りの際に本件各建物前の路上で西瓜が振る舞われ,夏祭りに参加する小学生くらいとおぼしき子供たちがこれを食べている事実が認められるが,このくらいの年齢の児童らが暴力団の本質,実態について十分な認識を有しておらず,当該事実のみをもって,被告と近隣住民との関係が良好であるとは必ずしも認めることができない。 したがって,以上の証拠をもって,被告と近隣住民との関係が良好である 態について十分な認識を有しておらず,当該事実のみをもって,被告と近隣住民との関係が良好であるとは必ずしも認めることができない。 したがって,以上の証拠をもって,被告と近隣住民との関係が良好であるとは必ずしも認めることができず,他に被告と近隣住民との関係が良好であることを認めるに足りるない。 ( ) 以上の各事情を総合すると,被告には,賃貸借契約当事者相互の信頼関係 を裏切って賃貸借関係の継続を著しく困難ならしめるような不信行為があるということができるから,本件各賃貸借契約の解除は,いずれも有効であると認められる。 未払賃料及び遅延損害金の支払請求の可否及び損害の発生並びにその額について( ) 前記1( )アのとおり,被告が,別紙土地賃貸料・延滞損害金滞納状況記 載のとおり,原告に対する賃料及び遅延損害金の支払を怠ったことが認めら- 22 -れる。 また,弁論の全趣旨によれば,平成18年10月25日以降の本件各土地部分の賃料相当損害金は,1日当たり計436円であることが認められる。 ( ) しかし,前記1( )ウのとおり,被告が,平成19年1月18日及び同年 6月14日,大阪法務局に,被供託者を原告として,本件各賃貸借契約にかかる別紙土地賃貸料・延滞損害金滞納状況記載の各未払賃料及び遅延損害金,平成18年10月1日から平成19年3月31日までの間の賃料相当損害金,並びに本件各土地部分の平成19年4月分ないし9月分の賃料を供託したことが認められる。 ( ) したがって,被告の本件各賃貸借契約の賃料債務及び遅延損害金支払義務 並びに平成19年9月30日までの賃料相当損害金の支払義務は上記供託により消滅しているということができるが,滞納の金額,回数,期間,理由,催告の経緯等や,弁済供託が本件訴訟の提起を受けてされたもので 並びに平成19年9月30日までの賃料相当損害金の支払義務は上記供託により消滅しているということができるが,滞納の金額,回数,期間,理由,催告の経緯等や,弁済供託が本件訴訟の提起を受けてされたものであることなど被告の賃料滞納状況に鑑みれば,同年10月1日以降の賃料相当損害金については,予めその支払を請求する必要があるということができる。 結論 以上によれば,原告の請求は,本件各建物を収去し本件各土地部分の明渡しを求めるとともに平成19年10月1日以降明渡済みまでの賃料相当損害金の支払を求める限度で理由があるからこれらを認容し,その余は理由がないから,,,いずれも棄却し訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条64条ただし書を仮執行宣言については同法259条1項をそれぞれ適用して(ただし,建物収去土地明渡しを求める部分については相当でないからこれを付さないことする,主文のとおり判決する。 。)大阪地方裁判所第24民事部- 23 -裁判長裁判官村岡寛裁判官岩松浩之裁判官中村海山(別紙物件目録省略)

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