平成14(わ)18 贈賄被告

裁判年月日・裁判所
平成14年6月26日 青森地方裁判所
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判決文本文2,893 文字)

(主文)被告人A及び被告人Bをいずれも懲役10月に,被告人Cを懲役9月に,それぞれ処する。 被告人3名に対し,この裁判が確定した日から各3年間,それぞれのその刑の執行を猶予する。 訴訟費用(国選弁護人成田芳造に関する分)は,その2分の1ずつを被告人B及び被告人Cの各負担とする。 (犯罪事実)被告人Aは,株式会社A1の代表取締役,被告人Bは,有限会社B1の代表取締役,被告人Cは,C1株式会社の代表取締役で,いずれも,青森県上北郡a村内に本店を有する土木建築工事等請負業者で構成する建友会の会員であったものであるが,被告人3名は,いずれも前記建友会の会員であった,有限会社E1の代表取締役E,株式会社F1の取締役F,G1株式会社の取締役G,株式会社H1の取締役H,有限会社I1の代表取締役I,J1株式会社の取締役J,株式会社K1の代表取締役K,L1有限会社の代表取締役L,株式会社M1の代表取締役M及び有限会社N1の代表取締役Nの10名と共謀のうえ,平成12年12月1日,同県同郡b町字cd番地e所在のO信用組合Q支店において,a村長として,同村職員を指揮監督し,同村が発注する各種公共工事に関し,指名競争入札における参加者の指名,請負契約の締結等の職務を統括管理していたRに対し,同村発注に係る工事につき,前記13社がそれぞれ指名競争入札参加業者に指名されるなど有利便宜な取計らいを受けたことに対する謝礼及び今後も同様の取計らいを受けたいとの趣旨のもとに,同支店長代理Sを介して,現金2000万円を供与し,もって,前記Rの前記職務に関して賄賂を供与したものである。 (補足説明)なお,被告人Aは,当公判廷において,本件2000万円はRに対し贈与したものではなく,貸与したものである旨述べるが,2000万円が供与された当時,被告人Aら建友会会 したものである。 (補足説明)なお,被告人Aは,当公判廷において,本件2000万円はRに対し贈与したものではなく,貸与したものである旨述べるが,2000万円が供与された当時,被告人Aら建友会会員とRとの間で,借用書や契約書は取り交わされておらず,利息や損害金についても全く言及されていなかったうえ,被告人Aが捜査段階において,建友会会員のうち,2000万円を提供することを拒否しようとした9名の業者が,その提供の前日に話し合ったところ,「R村長が要求する金は,返って来ない金だろう。しかし,R村長が,金を出さない業者にペナルティを与えると言っているなら,金を出さない訳にはいかない。工事を受注できなくなれば,我々業者は飯を食っていけなくなる。」として,「今後もR村長から仕事を割り振ってもうらうためには,同村長から要求された金を出すしかない。」という結論になった旨,具体的かつ詳細に供述していることや,2000万円を提供してから9か月以上も経過した平成13年9月13日ころになって,R村長から,建友会会長であったEを介して,被告人Aに対し,3パーセントの金利を支払う旨の申入れがなされた旨供述していることに照らし,被告人Aの上記供述は到底信用することができない。 (量刑の理由) 1 本件は,a村内の土木建設業者で構成する建友会の会員であった被告人3名が,他の建友会会員10名と共謀のうえ,本来業者間の自由かつ公平な競争により受注されるべき同村発注の公共工事につき,入札参加業者の指名等で有利便宜な取計らいを受け,今後も同様の有利便宜な取計らいを受けようとして,同村村長の地位にあったRに対し,その求めに応じて,2000万円の現金を贈与した事案である。 2 建友会は,R村長に協力し支援する見返りとして,同村長からa村の発注する工事の割振りと工事価格の内報を 村村長の地位にあったRに対し,その求めに応じて,2000万円の現金を贈与した事案である。 2 建友会は,R村長に協力し支援する見返りとして,同村長からa村の発注する工事の割振りと工事価格の内報を受け,会員間で談合することにより,同工事を確実かつ高額で落札するために設けられた団体であり,被告人3名は,いずれも,同会会員として上記方式により繰り返し工事を落札して利益を得ていたところ,今後も同様の方式により工事を落札して利益を得ようとして,R村長に賄賂を供与したものであって,a村政に対する村民らの信頼を著しく失墜させた本件犯行は,厳しく非難されなければならない。 そして,本件賄賂の金額は,2000万円と極めて多額であるうえ,建友会会員は,本件犯行後も,前記方式によりa村発注の工事を重ねて落札して不法な利益を得,a村政の公正な執行を歪曲させており,その弊害は著しいものがあり,被告人3名の刑事責任は重く,厳正な処罰をもって臨む必要がある。 3 しかしながら,被告人3名は,R村長から賄賂を要求された際,一旦はこれを断っていること,ところが,同村長から金を出さないものにはペナルティを与えると強要されたため,これを拒否すればa村の発注する工事を受注できなくなることは勿論,同村の競争入札参加業者の指名からも除外されてしまう虞れがあったことから,やむなくこれに応じたものであること,被告人3名が分担した賄賂は,各41万円であり,本件共犯者の中では,その金額が最も少なく,受注した工事額も,他の建友会会員に比べて少ないこと,本件犯行の露見後,当然のこととはいえ,被告人3名の経営していた各会社ともa村から競争入札参加への指名停止処分を受けていること,いずれの被告人も,捜査段階から本件犯行を認めて反省の情を示し,それぞれの経営する会社の代表取締役を退いているこ 告人3名の経営していた各会社ともa村から競争入札参加への指名停止処分を受けていること,いずれの被告人も,捜査段階から本件犯行を認めて反省の情を示し,それぞれの経営する会社の代表取締役を退いていること,被告人Cについては前科がなく,他の共犯者5名と共に警察署に出頭し,本件犯行を自ら警察官に申告したこと,被告人Aについては,昭和61年に業務上過失傷害により,平成4年に青少年保護育成条例違反により,それぞれ罰金刑に処せられた前科はあるものの,同種前科はないこと,被告人Bについても,昭和53年に業務上過失傷害により罰金刑に処せられた前科はあるものの,同種前科はないこと,被告人Aについてはその妻が,被告人Bについてはその義弟が,被告人Cについてはその妻が,それぞれの被告人について今後再犯に及ばないように監督して行く旨当公判廷で述べていることなど,被告人3名のために酌むべき事情も認められる。 4 そこで,これらの諸事情を総合考慮して,被告人3名に対し,主文掲記の各刑を科したうえ,今回は,いずれもその刑の執行を猶予し,社会内で自力更生する機会を与えることとする。 よって,主文のとおり判決する。 (求刑被告人A及び被告人Bに対し,各懲役1年,被告人Cに対し,懲役10月)裁判長裁判官山内昭善裁判官結城剛行裁判官吉田静香

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