令和7年6月23日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和5年(ワ)第70501号特許権侵害差止請求事件口頭弁論終結日令和7年3月24日判決 原告パンテックコーポレーション 同訴訟代理人弁護士松永章吾 同寺前翔平 同丸山悠 同平井佑希 同訴訟代理人弁理士赤羽崇 被告グーグル合同会社 同代表者代表社員グーグル・インターナショナル・エル・エル・シー 同訴訟代理人弁護士根本浩 同濱田慧 同細沼萌葉 同補佐人弁理士田原拓永 主文 1 被告は、別紙被告製品目録記載の製品の譲渡、譲渡の申出(譲渡のための展示を含む。)又は輸入をしてはならない。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 3 この判決の第1項は、原告が被告のために金1000万円の担保を供するときは、仮に執行することができる。 4 この判決に対する控訴のための付加期間を30日と定める。 事実及び理由 第1 請求 主文1項同旨 第2 事案の概要 原告は、別紙特許権目録記載の特許(以下「本件特許」といい、本件特許に係る特許権を「本件特許権」という。また、本件特許の願書に添付された明細書を「本件明細書」といい、本件明細書及び図面を併せて「本件明細書等」という。)を保有している。本件は、原告が、別紙被告製品目録記載の製品(以下「被告 という。また、本件特許の願書に添付された明細書を「本件明細書」といい、本件明細書及び図面を併せて「本件明細書等」という。)を保有している。 本件は、原告が、別紙被告製品目録記載の製品(以下「被告製品」という。) を譲渡等する被告に対し、当該譲渡等の行為が本件特許権の侵害を構成するとして、特許法100条1項に基づき、被告製品の譲渡行為等の差止めを求める事案である。 1 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲各証拠〔枝番の記載は特に付記する場合を除き省略する。〕及び弁論の全趣旨により容易に認められる事 実をいう。)⑴ 当事者(甲1、2、弁論の全趣旨)ア原告は、大韓民国ソウル市に本社を置く会社である。 イ被告は、情報処理サービス業及び情報提供サービス業、ハードウェア及び関連付属品の輸入、販売等を目的とする合同会社である。 ウ GoogleLLC(以下「G社」という。)は、被告のグループ会社である。 ⑵ 本件特許権(甲3)原告は、本件特許権を保有している。 ⑶ 本件特許に係る特許請求の範囲(甲3) 本件特許に係る特許請求の範囲の請求項1、4及び5の記載は、以下のと おりである(以下、請求項1、4を引用する請求項5に係る発明を「本件発明」という。)。なお、請求項1における「直行周波数分割多重」とは、「直交周波数分割多重」の誤記と解される。 ア請求項1複数のPHICH(物理ハイブリッド自動再送要求指示チャネル:A P hysical Hybrid Automatic Repeat Request Indicator Channel)グループにおいて、PHICHをOFDM(直行周波数分割多重:Orthogonal Frequency Division epeat Request Indicator Channel)グループにおいて、PHICHをOFDM(直行周波数分割多重:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)シンボルにマッピングする方法であり、 OFDMシンボルは、複数のリソースエレメントグループを含み、それぞれのリソースエレメントグループは、4つのリソースエレメントを含み、前記方法は、PHICHが送信されるリソースエレメントグループの各周波数位置における第1インデックスを決定し、 前記第1インデックスは、比n′𝑙 𝑖′ /n′0またはn′𝑙 𝑖′ /n′1にセルIDを乗じて得られる値に従って決定され、n′𝑙 𝑖′は、PHICHグループのi番目の反復のPHICHが送信される第2インデックス𝑙′𝑖を有するOFDMシンボルにおける利用可能なリソースエレメントグループの個数であり、iは、0から2までの整数であり、n′0 またはn′1は、サブフレームのインデックス0を有する第1のOFDMシンボルの利用可能なリソースエレメントグループの個数、または、サブフレームのインデックス1を有する第2のOFDMシンボルの利用可能なリソースエレメントグループの個数であり、前記PHICHは、1つ、2つ又は3つのOFDMシンボルにより送信 され、 前記PHICHが1つのOFDMシンボルにより送信される場合は、前記第2インデックス𝑙′𝑖=0であり、前記PHICHが2つのOFDMシンボルにより送信される場合は、前記第2インデックス𝑙′𝑖=(⌊𝑚′/2⌋+ 𝑖+1)𝑚𝑜𝑑2であり、𝑚′は、PHICHを含むPHICHグループのインデックスを表し、 前記PHICHが3つのOFDMシンボル れる場合は、前記第2インデックス𝑙′𝑖=(⌊𝑚′/2⌋+ 𝑖+1)𝑚𝑜𝑑2であり、𝑚′は、PHICHを含むPHICHグループのインデックスを表し、 前記PHICHが3つのOFDMシンボルにより送信される場合は、前記第2インデックス𝑙′𝑖=iであり、利用可能なリソースエレメントグループは、OFDMシンボルのPHICHの送信に使用できるリソースエレメントグループであり、PHICHを前記決定がされる第1インデックスに応じてPHICHを OFDMシンボルにマッピングする方法。 イ請求項4請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の方法を実行し、移動局に多重化された信号を送信する、マルチキャリアセルラ移動通信システムの基地局。 ウ請求項5請求項4に記載の基地局から、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の方法を用いて形成され多重化された信号を受信する、マルチキャリアセルラ移動通信システムの移動局。 ⑷ 本件発明の構成要件 本件発明を構成要件に分説すると、次のとおりである。 ア請求項1A 複数のPHICH(物理ハイブリッド自動再送要求指示チャネル:APhysical Hybrid Automatic RepeatRequest Indicator Channel)グループにお いて、PHICHをOFDM(直行周波数分割多重:Orthogon al Frequency Division Multiplexing)シンボルにマッピングする方法であり、BOFDMシンボルは、複数のリソースエレメントグループを含み、C それぞれのリソースエレメントグループは、4つのリソースエレメントを含み、 D 前記方法は、PHICHが送信されるリソースエレ FDMシンボルは、複数のリソースエレメントグループを含み、C それぞれのリソースエレメントグループは、4つのリソースエレメントを含み、 D 前記方法は、PHICHが送信されるリソースエレメントグループの各周波数位置における第1インデックスを決定し、E 前記第1インデックスは、比n′𝑙 𝑖′ /n′0またはn′𝑙 𝑖′ /n′1にセルIDを乗じて得られる値に従って決定され、F n′𝑙 𝑖′は、PHICHグループのi番目の反復のPHICHが送信される 第2インデックス𝑙′𝑖を有するOFDMシンボルにおける利用可能なリソースエレメントグループの個数であり、iは、0から2までの整数であり、n′0またはn′1は、サブフレームのインデックス0を有する第1のOFDMシンボルの利用可能なリソースエレメントグループの個数、または、サブフレームのインデックス1を有する第2のOFDMシンボルの利用 可能なリソースエレメントグループの個数であり、G 前記PHICHは、1つ、2つ又は3つのOFDMシンボルにより送信され、H 前記PHICHが1つのOFDMシンボルにより送信される場合は、前記第2インデックス𝑙′𝑖=0であり、前記PHICHが2つのOFDM シンボルにより送信される場合は、前記第2インデックス𝑙′𝑖=(⌊𝑚′/2⌋+𝑖+ 1)𝑚𝑜𝑑2であり、𝑚′は、PHICHを含むPHICHグループのインデックスを表し、前記PHICHが3つのOFDMシンボルにより送信される場合は、前記第2インデックス𝑙′𝑖=iであり、 I 利用可能なリソースエレメントグループは、OFDMシンボルのPH ICHの送信に使用できるリソースエレメントグループであり、J PHICHを前記決定がされる第1インデッ 、 I 利用可能なリソースエレメントグループは、OFDMシンボルのPH ICHの送信に使用できるリソースエレメントグループであり、J PHICHを前記決定がされる第1インデックスに応じてPHICHをOFDMシンボルにマッピングする方法。 イ請求項4K 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の方法を実行し、移動局 に多重化された信号を送信する、L マルチキャリアセルラ移動通信システムの基地局。 ウ請求項5M 請求項4に記載の基地局から、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の方法を用いて形成され多重化された信号を受信する、 N マルチキャリアセルラ移動通信システムの移動局。 ⑸ 被告製品の構成及び被告の行為ア被告製品は、LTE通信が可能な通信端末であり、LTE通信は、国際標準化団体3GPP(3rdGenerationPartnershipProject)が定めた標準規格に準拠している。そして、被告製品は当該規格の具体的な内容が記載され た規格書であるTS 36.211 version15.14.0 Release15(以下「本件規格」という。)に準拠している(甲6の3、甲9、弁論の全趣旨)。 イ被告は、業として、被告製品の譲渡、輸入及び譲渡の申出(譲渡のための展示を含む。以下、これらを総称して「譲渡等」という。)をしている(争いがない)。 ウ被告製品の構成は、別紙被告製品説明書(原告の主張)記載のとおりであり(ただし、下線を引いた部分については、後記第3の1のとおり争いがある。)、本件発明の構成要件A、B、C、D、G、I、L及びNを充足することについては、当事者間に争いがない。 ⑹ 原告によるFRAND宣言 原告は、平成25年(2013年) とおり争いがある。)、本件発明の構成要件A、B、C、D、G、I、L及びNを充足することについては、当事者間に争いがない。 ⑹ 原告によるFRAND宣言 原告は、平成25年(2013年)2月4日、LTE規格を定める標準化 団体であるETSI(EuropeanTelecommunicationsStandardsInstitute)が定めるIPRポリシー(IntellectualPropertyRightsPolicy)6.1項に従い、本件特許のファミリーである日本国特許(出願番号2012-037585)をLTE規格の標準必須特許(以下「SEP」ともいう。)として公正かつ合理的で非差別的な(fair, reasonableandnon-discriminatory)条件(以下「FR AND条件」という。)で、取消不能なライセンスを許諾する用意がある旨の宣言(以下「FRAND宣言」という。)をした(甲4、5)。 ⑺ 仮処分の申立てア原告は、令和4年8月17日、被告による被告製品の旧機種に当たるスマートフォン(Pixel 6 Pro、Pixel 6、Pixel 6a)の販売等の行為が、本 件特許権を侵害する旨主張し、東京地方裁判所(以下「東京地裁」という。)に対し、被告による上記販売等の行為の差止めを求める仮処分を申し立てた(東京地裁令和4年(ヨ)第22137号仮処分命令申立事件。以下「先行保全事件」という。)。 これに対し、東京地裁は、令和5年6月30日、先行保全事件において、 被告がFRAND条件によるライセンスを受ける意思を有しているとして、原告の本件特許権に基づく差止請求権の行使は権利濫用に該当すると判断し、原告の申立てを却下する旨の決定をした。(乙1)イ原告は、上記決定を D条件によるライセンスを受ける意思を有しているとして、原告の本件特許権に基づく差止請求権の行使は権利濫用に該当すると判断し、原告の申立てを却下する旨の決定をした。(乙1)イ原告は、上記決定を不服として、知的財産高等裁判所(以下「知財高裁」という。)に対し、即時抗告を申し立てたが、知財高裁は、即時抗告を棄 却する旨の決定をした(知財高裁令和5年(ラ)第10005号)(乙29)。 ⑻ 先行文献本件特許の優先日(平成20年〔2008年〕2月19日)より前に、以下の文献が存在した(乙24、27)。 ア平成20年(2008年)2月15日に3GPPのFTPサーバにアッ プロードされた文献であって、3GPPのRANのワーキンググループ1の第52回ミーティングに際して提出された寄書(乙23、24。以下「乙23寄書」といい、これに記載された発明を「乙23発明」という。)イ平成20年(2008年)2月15日に3GPPのFTPサーバにアップロードされた文献であって、3GPPのRANのワーキンググループ1 の第52回ミーティングに際して提出された寄書(乙24、25。以下「乙25寄書」といい、これに記載された発明を「乙25発明」という。)ウ平成20年(2008年)1月8日に3GPPのFTPサーバにアップロードされた文献であって、3GPPのRANのワーキンググループ1の第51回bis ミーティングに際して提出された寄書(乙26、27。以下 「乙26寄書」といい、これに記載された発明を「乙26発明」という。)⑼ 本件発明に関する技術常識(甲7、8、弁論の全趣旨)ア LTE(LongTermEvolution)とは、スマートフォンなどで用いられている通信方式であり、各通信事業者が設置する基地局とユーザが 件発明に関する技術常識(甲7、8、弁論の全趣旨)ア LTE(LongTermEvolution)とは、スマートフォンなどで用いられている通信方式であり、各通信事業者が設置する基地局とユーザが保有するスマートフォン(移動局)との間で行われる無線通信である。 イ LTE通信における基地局と移動局との間でのデータの送受信は、電波に乗せて行われるが、電波には一定の帯域(周波数の幅)があるため、LTE方式では、送受信するデータを、周波数のどの帯域に、どの時間的なタイミングで配置して通信を行うかというルールを定め、基地局と移動局が当該ルールを共有するという仕組みになっている。 ウ送受信するデータをどのように配置するかは、周波数軸方向と時間軸方向の2軸で表されるマトリックス(一般にリソースグリッドなどという。)で定められ、当該マトリックス上にデータを配置することを「マッピング」などという。また、上記時間軸方向の各行を「OFDMシンボル」と、周波数軸方向の各列を「サブキャリア」と、それぞれいう。時間軸方向の最 小単位である1シンボルと周波数軸方向の最小単位である1サブキャリア で区切られた1つの枠が、上記マトリックスを構成する最小単位であり、「リソースエレメント」(以下「RE」ともいう。)という。LTE通信では、4つのリソースエレメントを1つの「リソースエレメントグループ」(以下「REG」ともいう。)として取り扱っており、リソースエレメントグループ単位でデータの配置を規定する。 なお、OFDMシンボルは、7シンボルで「1スロット」、2スロットで「1サブフレーム」という。 エ ACK/NACKとは、基地局と移動局との間で通信が行われる際に、データを受信した方の局からデータを送信した方の局に対して、「 ボルで「1スロット」、2スロットで「1サブフレーム」という。 エ ACK/NACKとは、基地局と移動局との間で通信が行われる際に、データを受信した方の局からデータを送信した方の局に対して、「データが 正しく受信できた(又はデータが正しく受信できなかった)」ことを伝達するために送信される信号である。LTE方式においても、基地局と移動局との通信の際にACK/NACKが送受信される。ACK/NACKが正しく送受信できないと、通信が正常に行われているかの判別ができなくなり、通信に障害を生じる。そのため、LTE方式では、ACK/NAC Kを3回繰り返して(3箇所にマッピングして)送受信することとして、通信の確実性を高めている。 オ通信において、データが送受信される経路を「チャネル」というが、基 地局から移動局に対して上記エのACK/NACKが送受信される際のチャネルを「PHICH」と呼ぶ(甲3【0021】参照)。 基地局と移動局との間で通信を行う場合、移動局は、PHICHが無線通信に用いるリソースのどこにマッピングされているのかがわからないと、基地局から送信されたACK/NACKを読み取ることができず、基地局 が正常にデータを受信したか否かが分からなくなる。そのため、基地局と移動局との間では、PHICHがリソースのどこにマッピングされているのかを共通ルールとして定めている。 無線通信に用いるリソース上へのマッピングはサブフレームごとに行われるが、PHICHは各サブフレームの先頭に位置する制御領域(1~3 つのOFDMシンボルが割り当てられている。)に配置される(甲8の210〜212頁)。 甲8の211頁の図10.20 2 争点 ⑴ 「𝑚′」(構成要件H、E、F、J、K、M)の充 つのOFDMシンボルが割り当てられている。)に配置される(甲8の210〜212頁)。 甲8の211頁の図10.20 2 争点 ⑴ 「𝑚′」(構成要件H、E、F、J、K、M)の充足性(争点1)⑵ 乙23発明に基づく進歩性の有無(争点2)⑶ 本件特許権に基づく差止請求権の行使が権利濫用に当たるか(争点3)第3 争点に対する当事者の主張 1 争点1(「𝑚′」〔構成要件H、E、F、J、K、M〕の充足性)について(原告の主張)⑴ 被告製品の「𝑚′」(構成要件H)の充足性本件特許の特許請求の範囲の記載によれば、構成要件Hにおける「𝑚′」とは、PHICHを含むPHICHグループのインデックスを意味する。 他方、被告製品の構成は、別紙被告製品説明書(原告の主張)記載のとおりである。すなわち、LTE基地局から被告製品に送信されるPHICHの時間領域インデックスと周波数領域インデックスは別紙被告製品説明書(原告の主張)記載の式のとおりに決定されるところ、「𝑚′」が、PHICHを含むPHICHマッピングユニットのインデックスを表すものだとしても、 通常サイクリックプレフィクス(以下「通常CP」という。)の場合、「𝑚′」は、PHICHグループのインデックスである「𝑚」と同一であるから、構成要件Hを充足する。 ⑵ その余の構成要件の充足性前記⑴のとおり、被告製品は、「𝑚′」を充足するから、これを前提とする 構成要件E、F、J、K及びMを充足する。 ⑶ 被告の主張に対する反論被告は、本件規格よりも前のバージョンの仕様書(3GPPTS36.211version8.3.0、乙19)に係る規格(以下「本件旧規格」という。)では、「𝑚′」が「PHICHグループの番号」と定義されていたが、本件 も前のバージョンの仕様書(3GPPTS36.211version8.3.0、乙19)に係る規格(以下「本件旧規格」という。)では、「𝑚′」が「PHICHグループの番号」と定義されていたが、本件規格(甲9)で は、「𝑚」が「PHICHグループの番号」、「𝑚′」が「PHICHマッピングユニットの番号」と定義されたとして、本件規格における「𝑚′」は本件発明の構成要件Hでいう「PHICHを含むPHICHグループのインデックス」ではないと主張する。しかしながら、LTE通信は、通常CPを用いて行われる場合と、拡張されたサイクリックプレフィクス(以下「拡張CP」 という。)を用いて行われる場合の双方があり、被告が指摘するような規格 の変更が行われたのは、拡張CPに関してである。通常CPについては、本件旧規格から本件規格への変更に際して、通信の方式は何ら変更されていないのであって、本件規格における「𝑚′」は、PHICHグループの番号(本件発明の構成要件Hでいう「PHICHを含むPHICHグループのインデックス」)を指し示している。 これに対し、被告が縷々述べている拡張CPは、本件規格に定められているものの、現在ごく一部の例外を除いて実用化されていないため、被告製品を用いて通常のLTE通信を行う場合は、通常CPが用いられる。すなわち、拡張CPは、LTE通信において、MBSFN送信を除いて実用化されておらず、ユニキャスト送信(通常のインターネット接続やメールの送受信など、 1対1で行われるデータ通信をいう。)においては通常CPが使用されている。このことは被告製品においても同様であり、被告製品が、通常CPを用いた通信を行うことは明らかであり、仮にこれに加えてごく例外的な場合に拡張CPを用いた通信を行うことがあるとし CPが使用されている。このことは被告製品においても同様であり、被告製品が、通常CPを用いた通信を行うことは明らかであり、仮にこれに加えてごく例外的な場合に拡張CPを用いた通信を行うことがあるとしても、それは単なる付加的な構成にすぎず、被告製品の構成要件充足性を否定するものではない。 (被告の主張) ⑴ 構成要件Hの充足性本件発明における「𝑚′」(構成要件H)とは、「PHICHを含むPHICHグループのインデックス」(構成要件H)を表す。ここで、本件明細書(【0030】、【0031】)の記載によれば、「PHICHグループの インデックス」とは、PHICHグループの番号をいうものであり、これは本件旧規格で用いられていた概念と同様である。 他方、被告製品が準拠する本件規格においては、本件旧規格の問題点を解消するために、PHICHマッピングユニットという構成が新たに導入された。その結果、本件旧規格においてPHICHグループの番号を表すものと されていた「𝑚′」は、PHICHマッピングユニットの番号をいうものと定 義され、「𝑚」がPHICHグループの番号をいうものと定義されている。 これを対比すると、本件規格におけるPHICHマッピングユニットとは、固定数の12シンボルで構成され、複数のPHICHがマッピングされるものであり、複数のPHICHがマッピングされる3REG内に未使用のREが生じることを防止することに技術的意義を有するものであり、本件発明に おける「PHICHグループ」とは技術的意義を異にする。したがって、被告製品は、構成要件Hを充足しない。 ⑵ その余の構成要件前記⑴のとおり、被告製品は、「𝑚′」(構成要件H)を充足しないから、「𝑚′」に基づく式「𝑙′𝑖=(⌊𝑚′⁄ ⌋+ 𝑖 たがって、被告製品は、構成要件Hを充足しない。 ⑵ その余の構成要件前記⑴のとおり、被告製品は、「𝑚′」(構成要件H)を充足しないから、「𝑚′」に基づく式「𝑙′𝑖=(⌊𝑚′⁄ ⌋+ 𝑖+ 1)𝑚𝑜𝑑2」を用いて導出される時間領域 インデックス「𝑙′𝑖」(構成要件H)、これを有するOFDMシンボルにおける利用可能なリソースエレメントグループの個数である「𝑛𝑙′𝑖」(構成要件E、F)を備えないことになる。したがって、これを前提とした構成要件E、F、J、K、Mも充足しない。 ⑶ 原告の主張に対する反論 原告は、本件規格において、通常CPの場合に、PHICHマッピングユニットのインデックスを表す「𝑚′」にPHICHグループのインデックスを表す「𝑚」を代入する「𝑚′=𝑚」という記載があることを根拠として、通常CPの場合、PHICHマッピングユニットに与えられるインデックスである「𝑚′」は、PHICHグループのインデックスを表しているから、本件規格 に準拠する被告製品は、構成要件Hを充足する旨主張する。しかしながら、原告の主張は、単に「𝑚′」というパラメータに入力される値が結果として等しくなる場合があることを指摘するものにすぎず、本件発明における「𝑚′」と本件規格における「𝑚′」という構成自体が、技術的意義の異なる別の構成であることを看過している。 本件規格においては、下記のとおり、通常CPの場合にも、本件発明にお ける「PHICHグループ」とは技術的意義を異にする新たな構成として、PHICHマッピングユニットにPHICHグループをマッピングするという手順が追加されている以上、本件規格と本件旧規格とで、通常CPの場合の通信方式は変更されていないという原告の主張は誤っている。 甲9(141頁よ グユニットにPHICHグループをマッピングするという手順が追加されている以上、本件規格と本件旧規格とで、通常CPの場合の通信方式は変更されていないという原告の主張は誤っている。 甲9(141頁より抜粋、下線は当裁判所が付記したもの。)6.9.3 Mappingtoresourceelements[…]PHICHgroupsaremappedtoPHICHmappingunits.Fornormalcyclicprefix, themappingofPHICHgroupmtoPHICHmappingunit'misdefinedby)()(~)()('nynypmpm= wheregroupPHICHgroupPHICH'0,1,..., forframestructuretype 1 andtype0,1,..., forframestructuretypeimmNmN==−−,andwhereimisgivenbyTable 6.9-1.(訳:6.9.3 リソースエレメントに対するマッピング[…]PHICHグループはPHICHマッピングユニットにマッピングされる。通常のサイクリックプレフィクスの場合、PHICHマッピングユニットm´に対するPHICHグループmのマッピングは、)()(~)()('nynypmpm= で定義される。ここで、groupPHICHgroupPHICH'0,1,..., forframestructuretype 1 andtyp nypmpm= で定義される。ここで、groupPHICHgroupPHICH'0,1,..., forframestructuretype 1 andtype0,1,..., forframestructuretypeimmNmN==−− である。) 2 争点2(乙23発明に基づく進歩性の有無) について (被告の主張)⑴ 引用発明乙23寄書には、乙23発明につき、次の構成が記載されている。 23-a:複数のPHICHグループにおいて、PHICHをOFDMシンボルにマッピングする方法であり、 フレーム構造タイプ1及びタイプ3用フレーム構造タイプ2用 23-b:OFDMシンボルは、複数のリソースエレメントグループを含み、23-d:前記方法は、PHICHが送信されるリソースエレメントグループの周波数領域インデックス𝑘𝑖′を決定し、23-e:前記インデックス𝑘𝑖′は、セルIDに従って決定され、23-g:前記PHICHは、1つ、2つ又は3つのOFDMシンボルによ り送信され、23-h:前記PHICHが1つのOFDMシンボルにより送信される場合は、PHICHが送信されるリソースエレメントグループの時間領域インデックス𝑙′𝑖=0であり、前記PHICHが2つのOFDMシンボルにより送信される場合は、前記インデックス𝑙′𝑖=(⌊𝑚′⁄ ⌋+ 𝑖+ 1)𝑚𝑜𝑑2であり、𝑚′は、PHICHを含むPHICHグループの番号を表し、前記PHICHが3つのOFDMシンボルにより送信される場合は、前記インデックス𝑙′𝑖=iであり、23-i:利用可能なリソースエレメントグループは、OFDMシンボル HICHグループの番号を表し、前記PHICHが3つのOFDMシンボルにより送信される場合は、前記インデックス𝑙′𝑖=iであり、23-i:利用可能なリソースエレメントグループは、OFDMシンボルのPHICHの送信に使用できるリソースエレメントグループであり、 23-j:決定される周波数領域インデックス𝑘𝑖′に応じてPHICHをOFDMシンボルにマッピングする方法。 23-k:構成乙23-aないし構成乙23-jに記載の方法を実行し、移動局に多重化された信号を送信する、23-l:E-UTRAシステムの基地局。 23-m:基地局から、構成乙23-aないし構成乙23-jに記載の方法を用いて形成され多重化された信号を受信する、23-n:E-UTRAシステムの移動局。 ⑵ 対比本件発明と乙23発明とを対比すると、以下の相違点を除き、その構成は 共通する。 ア相違点1本件発明においては、リソースエレメントグループは、4つのリソースエレメントを含む(構成要件C)のに対し、乙23発明では、リソースエレメントグループがいくつのリソースエレメントを含むのかが特定されていない点。 イ相違点2本件発明においては、PHICHが送信されるリソースエレメントグループの周波数領域インデックスを、インデックス0を有する第1のOFDMシンボルの利用可能なリソースエレメントグループの個数に対するPHICHグループの𝑖番目の反復のPHICHが送信されるOFDMシンボ ルで利用可能なリソースエレメントグループの個数の比にセルIDを乗じた数、又は、インデックス1を有する第2のOFDMシンボルの利用可能なリソースエレメントグループの個数に対するPHICHグループの𝑖番目の反復のPHICHが送信されるO プの個数の比にセルIDを乗じた数、又は、インデックス1を有する第2のOFDMシンボルの利用可能なリソースエレメントグループの個数に対するPHICHグループの𝑖番目の反復のPHICHが送信されるOFDMシンボルで利用可能なリソースエレメントグループの個数の比にセルIDを乗じた数のいずれかに従っ て決定している(構成要件E、F)のに対し、乙23発明では、PHICHが送信されるリソースエレメントグループの周波数領域インデックスを決定する際、セルIDに上記の比を乗じているのか明らかではない(構成要件23-e)点。 ⑶ 容易想到性 ア相違点1乙25寄書には、リソースエレメントグループには少なくとも4つのリソースエレメントが含まれることが記載されている。 そして、乙25寄書は、乙23寄書と同様に3GPPのRANのワーキンググループ1(WG1)の第52回ミーティングに際して提出された寄 書である。また、乙23寄書には、引用文献として乙25寄書の記載があ り、かつ、乙23寄書は、乙25寄書に記載された事項を修正する提案をしており、作成者も共通している。 そうすると、乙23発明に、乙25発明を適用する動機付けが存在するところ、乙23発明に乙25発明を適用すると、リソースエレメントグループには少なくとも4つのリソースエレメントが含まれる構成とすること ができる。したがって、乙23発明に乙25発明を適用することで相違点1は容易に想到できる。 イ相違点2乙26寄書には、OFDMシンボルによって、PHICHの送信に利用可能なREQ(リソースエレメントグループと同義)数が異なってい ることを前提とし、2又は3つのOFDMシンボルでPHICHを繰り返し送信する場合、1番目のOFDMシンボルのみでPHI に利用可能なREQ(リソースエレメントグループと同義)数が異なってい ることを前提とし、2又は3つのOFDMシンボルでPHICHを繰り返し送信する場合、1番目のOFDMシンボルのみでPHICHを送信する場合と同一の周波数ダイバーシチ利得を得るために、上記2又は3つのOFDMシンボルでPHICHを送信する際の周波数領域(REQの位置)を、1番目のOFDMシンボルのみでPHICHを送信する場 合と同一になるように調整すること(以下「タイムシフトアプローチ」という。)、及び、周波数ダイバーシチ利得を得るためにPHICHを送信するREQを帯域全体に分散させることが記載されている。 そして、乙26寄書は、乙23寄書と同様、3GPPのRANのワーキンググループ1(WG1)のミーティングに際して提出された寄書で ある。また、乙23発明と乙26発明は、1ないし3つのOFDMシンボルでPHICHを送信すること、PHICHの送信に利用可能なREGの数がOFDMシンボルによって異なること、周波数ダイバーシチ利得を得るためにPHICHをマッピングするREGを帯域全体に分散させるという点で共通している。 したがって、乙23発明に、乙26発明を適用する動機付けが存在す るところ、乙23発明に乙26発明を適用すると、1ないし3つのOFDMシンボルでPHICHを送信する際、PHICHをマッピングするREGを帯域全体に分散させるために、乙26寄書に記載された技術、すなわち、2又は3つのOFDMシンボルでPHICHを送信する際の周波数領域(REQの位置)を、1番目のOFDMシンボルのみでPH ICHを送信する場合と同一になるように調整する構成とすることができる。 また、乙23発明に、乙26発明を適用する場合、乙23寄書に 領域(REQの位置)を、1番目のOFDMシンボルのみでPH ICHを送信する場合と同一になるように調整する構成とすることができる。 また、乙23発明に、乙26発明を適用する場合、乙23寄書に示される以下の式(以下「式8」という。)のセルID部分に、1番目のOFDMシンボルで利用可能なREG数とPHICHを送信するOFDM シンボルで利用可能なREG数との比を乗算すればよいことは、乙26寄書に接した当業者が乙23発明に対して適宜行う設計事項にすぎない。 乙23寄書より抜粋(式8)8)上記ステップ5において、周波数領域インデックス𝑘𝑖′を、番号𝑛̄𝑖を割り当てられたリソースエレメントグループに設定する。ここで、𝑛̄𝑖は、以下の式で与えられる。 ()()()=++=++=+= 'mod ' ' 'mod '' 'mod'innmNinnmNinmNniicellIDiicellIDicellIDi==== ' ' ininini したがって、乙23発明に乙26発明を適用することで相違点2は容易に想到できる。 (ア) 原告の主張について 原告は、乙23発明に乙26寄書に記載されている周波数インデックスの決定方法(タイムシフトアプローチ)を組み合わせても本件発明に至らない、乙23発明に乙26発明を適用するためには、乙23寄書が提案している式8を更に修正する必要があり、これは乙23寄書の修正 提案を撤回し、別の修正提案をすることにほかならないから、乙23発明に乙26発明を適用することには、 めには、乙23寄書が提案している式8を更に修正する必要があり、これは乙23寄書の修正 提案を撤回し、別の修正提案をすることにほかならないから、乙23発明に乙26発明を適用することには、阻害要因があるなどと主張する。 しかしながら、被告は、乙26寄書に記載されたタイムシフトアプローチそのものを乙23発明に適用することを主張しているのではなく、乙26寄書に記載された技術、すなわち、「2又は3つのOFDMシン ボルでPHICHを送信する際の周波数領域(REQの位置)を、1番目のOFDMシンボルのみでPHICHを送信する場合と同一になるように調整する技術」を乙23発明に適用することが容易であると述べた上で、上記技術を乙23発明に適用する場合に、乙23寄書の式8のセルID部分に、1番目のOFDMシンボルで利用可能なREG数とPH ICHを送信するOFDMシンボルで利用可能なREG数との比を乗算すればよいこと(すなわち、スケールが異なる2つの値が存在する場合において、一方のスケールの値を他方のスケールの値で表現するためには、スケールの比率を乗算すればよいこと)は、設計事項であると主張しているのであるから、原告の反論は当たらない。 ⑷ 結論以上によれば、本件特許は無効審判により無効とされるべきものである。 (原告の主張)⑴ 乙23発明の構成、本件発明と乙23発明との対比及び相違点については争わない。 ⑵ 容易想到性ア相違点1被告は、乙23発明に乙25発明を適用する動機付けがあると主張する。 しかしながら、乙23寄書と乙25寄書は、いずれも同日付けで提出された既存の規約の修正提案であり、互いに並列の関係に立つから、このよう な修正提案を相互に組み合わせる動機付けは存在しない。また、被告は がら、乙23寄書と乙25寄書は、いずれも同日付けで提出された既存の規約の修正提案であり、互いに並列の関係に立つから、このよう な修正提案を相互に組み合わせる動機付けは存在しない。また、被告は、 乙25寄書が乙23寄書において引用文献として記載されていることを指摘するが、乙23寄書と乙25寄書は同日付けで提出されていることからすれば、これらを相互に組み合わせることができるか、相互に組み合わせた場合に通信方法として問題なく機能するかなどを検討した上でこのような記載がされたものではないことは明らかである。したがって、当該記載 から乙23発明に乙25発明を適用する動機付けが生じるものではない。 さらに、乙23寄書には、「この寄書では、TS36.211[3](乙25寄書のこと)への現在のCRに対し、セルIDに応じたPHICHマッピングの、単純なREグループレベルのシフトを実現する変更文章を提案する。」という記載があり、仮に組み合わせについての何らかの動機付 けが生じ得るとしても、それは乙25発明に乙23発明を適用することが動機付けられるにすぎない。 イ相違点2(ア)乙26発明の内容乙26発明におけるREQが乙23発明におけるREGと同義である ことのほか、被告が指摘する乙26寄書の記載内容については争わない。 なお、乙26寄書が提案する「タイムシフトアプローチ」というのは、OFDMシンボル1を基準として周波数インデックスを決定した上で、それを他のOFDM方向にシフトさせるというものである。すなわち、OFDMシンボル2や3にマッピングする場合には、REGのナンバリ ングルールの特性を利用して、OFDMシンボル1と同じような周波数位置にマッピングするというものであり、各OFDMシンボルにおける利用 ンボル2や3にマッピングする場合には、REGのナンバリ ングルールの特性を利用して、OFDMシンボル1と同じような周波数位置にマッピングするというものであり、各OFDMシンボルにおける利用可能なREGの個数にも、各OFDMシンボルにおける利用可能なREGの個数を用いた「比n′𝑙 𝑖′ /n′0またはn′𝑙 𝑖′ /n′1」にも全く着目していない(より正確に言えば、乙26発明のマッピング方法を利用するのであ れば、これらに着目する必要がない。)。当然のことながら、当該比を セルIDに乗じるということは全く開示も示唆もされていない。したがって、乙26発明の内容は、本件発明のマッピング方法とは全く異なるものである。 (イ)動機付けがないこと乙23発明は、周波数インデックスを式8に従って決定するものであ り、ここで、「𝑛𝑖′」はOFDMシンボル𝑖においてPCFICHに割り当てられていないREGの数を指すから、各OFDMシンボルにおける周波数インデックスは、各OFDMシンボルにおいてPCFICHに割り当てられていないREGの数を基準に決定されるというものである。 【式8】 これに対し、乙26発明は、前記(ア)のようなマッピング方法を採 用するものであり、乙23発明に乙26発明を適用するためには、乙23寄書自身が提案している式8をさらに修正する必要がある。それは、乙23寄書で自ら行なっている修正提案を撤回し、別の修正提案をすることになるのであって、乙23発明に乙26発明を適用することには阻害要因があり、又は少なくともそのような動機付けはないといわざるを 得ない。 加えて、乙23寄書に記載されているとおり、乙23寄書は「隣接セル間」におけるPHICHリソースの衝突のラン は阻害要因があり、又は少なくともそのような動機付けはないといわざるを 得ない。 加えて、乙23寄書に記載されているとおり、乙23寄書は「隣接セル間」におけるPHICHリソースの衝突のランダム化又は回避を可能とすることを目的とした修正提案であるのに対し、乙26寄書は同一のセル内の異なるOFDMシンボル間の衝突等を回避することを目的とし た修正提案であって、両者はその目的を異にしている。この点からして も、乙23発明に乙26発明を適用する動機付けはない。 (ウ)組み合わせても本件発明に至らないこと仮に、乙23発明に乙26発明を適用したとしても、本件発明には至らない。すなわち、本件発明においては、周波数インデックス(「第1のインデックス」)は、「比n′𝑙 𝑖′ /n′0またはn′𝑙 𝑖′ /n′1にセルIDを乗じて得 られる値に従って決定され」るものであるが(構成要件E)、上記のような周波数インデックスの決定方法は、乙23発明及び乙26発明のいずれにも開示も示唆もされていない。 まず、セルIDについて、乙23寄書では隣接するセル間でのPHICHリソースの衝突等を回避する目的でセルIDを使用することは開示 されているが、これを複数のOFDMシンボル間での周波数ダイバーシチ利得を得るために用いることは開示されていないし、乙26発明では、周波数インデックスの決定方法にセルIDは登場すらしていない。 次に「比n′𝑙 𝑖′ /n′0またはn′𝑙 𝑖′ /n′1」については、乙23寄書にも乙26寄書にも開示も示唆もない。上記比のうち「n′𝑙 𝑖′」は、𝑖番目のPHICHが マッピングされるOFDMシンボル位置におけるPCFICHに割り当てられていないREGの数を指すところ、乙23寄書にも乙26寄 唆もない。上記比のうち「n′𝑙 𝑖′」は、𝑖番目のPHICHが マッピングされるOFDMシンボル位置におけるPCFICHに割り当てられていないREGの数を指すところ、乙23寄書にも乙26寄書にもこの値は開示も示唆もされていない。 そして、乙26発明の周波数インデックスの決定方法は、OFDM1における利用可能なリソースエレメントグループの個数(𝑛0′ )を基準と して、その略1/3の間隔でPHICHをマッピングするというものである。したがって、乙26発明の周波数インデックスの決定方法を採用するのであれば、OFDM2における利用可能なリソースエレメントグループの個数(𝑛1′ )や、𝑖番目のPHICHが割り当てられることになるOFDMにおける利用可能なリソースエレメントグループの個数(𝑛𝑙𝑖′′ ) を考慮する必要もない。乙26発明の周波数インデックスの決定方法で は、OFDM1における利用可能なリソースエレメントグループの個数(𝑛0′ )しか考慮する必要がないのであって、「比n′𝑙 𝑖′ /n′0またはn′𝑙 𝑖′ /n′1」を採用するに至ることはない。 したがって、乙23発明に乙26発明を組み合わせたところで、本件発明に至ることはない。 (エ)被告の主張について被告は、乙23寄書の式8のセルID部分に、1番目のOFDMシンボルで利用可能なREG数とPHICHを送信するOFDMシンボルで利用可能なREG数との比を乗算すればよいことは、乙26寄書に接した当業者が乙23発明に対して適宜行う設計事項にすぎないと主張する が、本件発明に接した上での後知恵の説明にすぎない。 3 争点3(本件特許権に基づく差止請求権の行使が権利濫用に当たるか)について(被告の主張)⑴ 本件特許が 項にすぎないと主張する が、本件発明に接した上での後知恵の説明にすぎない。 3 争点3(本件特許権に基づく差止請求権の行使が権利濫用に当たるか)について(被告の主張)⑴ 本件特許がFRAND宣言の対象であること 原告は、標準化団体であるETSIに対して、本件特許及びそのファミリー特許について、FRAND宣言をしている。被告及びG社は、本件特許を含むLTE規格の標準必須特許について「ライセンスを受ける意思」を有するから、本件特許権に基づく被告に対する差止請求権の行使は、権利の濫用(民法1条3項)に当たり許されない。 ⑵ 被告及びG社が「ライセンスを受ける意思」を有することア交渉経緯についてG社は、原告の令和2年6月12日付けのレターに対し、同年7月7日にFRAND条件でライセンスを受ける意思を明確に表明し、また、原告の令和3年11月2日付けの本提案(ライセンス条件概要書をいい、以下 「原告当初提案」という。)を受け、令和4年3月4日に上記提案の算定 根拠の不合理性を説明しつつ対案(以下「G社対案」という。)の提案を行っているのであり、G社は各段階において原告との交渉を円滑に進めるために速やかな対応を行っている。もっとも、原告当初提案からG社対案の提案まで4か月を要しているが、クリスマスや年末年始休暇、G社対案を行うためのビデオ会議の日程調整も含まれていた以上、極めて速やかな 対応といえる。 むしろ本件の交渉がある程度時間を要した原因の大半は、原告側にある。 すなわち、原告は、規格書の番号の提示、クレームチャートの送付、原告当初提案の提示を速やかに行わなかったことに加え、特許リストやクレームチャートといった一定の検討時間を要する資料を散発的に送付した。他 方、G社は、ク 番号の提示、クレームチャートの送付、原告当初提案の提示を速やかに行わなかったことに加え、特許リストやクレームチャートといった一定の検討時間を要する資料を散発的に送付した。他 方、G社は、クレームチャート等の資料の検討を極めて合理的な期間内に行ったのに対し、原告は、G社対案について実質的な議論を行おうとせず、G社からの求めにもかかわらず、既存のライセンス契約を開示しようとせず、かつ、開示した内容も断片的なものにとどまっていた。 本件訴訟提起後も、G社又は被告は、ドイツのマンハイム地方裁判所で 係属している訴訟(以下「ドイツ訴訟」という。)の訴訟代理人を通じるなどして、原告とのライセンス交渉を継続した。そして、G社又は被告は、ドイツ訴訟係属後、原告から複数回ライセンス料の提案を受けたが、そもそも原告当初提案は、後記ウ(ア)のとおり、FRAND条件とは到底いえない極めて不合理な内容である上、G社又は被告が指摘したにもかかわ らず、原告当初提案がFRAND条件であるといえる合理的な根拠は示されず、実質的に原告当初提案と変わらない内容の提案が繰り返され、未だFRAND条件とはいえない極めて高額かつ不合理な提案が維持されている。これに対し、G社は、後記ウ(イ)のとおり、FRAND条件の提案を行い、その算定の合理性について説明を尽くすなど、誠実に交渉を継続 している。 なお、原告は、令和6年9月20日付けで、比較可能なライセンス契約として甲41ないし甲43を提出するが、審理計画に明らかに反するものであり、時機に後れた攻撃防御方法として却下されるべきである。この点を措いても、これらは比較可能なライセンス契約であるとはいえない。 このように、G社又は被告は、原告の上記のような交渉態度にもかかわ らず、誠実 た攻撃防御方法として却下されるべきである。この点を措いても、これらは比較可能なライセンス契約であるとはいえない。 このように、G社又は被告は、原告の上記のような交渉態度にもかかわ らず、誠実に交渉を継続しているのであり、一連の交渉経緯から、被告がライセンスを受ける意思を有することは明らかである。 イ秘密保持契約(以下「NDA」という。)に関する交渉原告は、NDA交渉を介在させたことはホールドアウト行為に当たると主張する。しかしながら、G社は、交渉が進めばいずれNDAの締結の必 要性が生じる上、より充実した率直な議論を行えるようにするためにNDAの締結を提案したものであり、NDAを締結しなければ協議を進めないなどとは言っていない。現に、NDAを締結するまで実質的な交渉に応じなかったという事実はない。また、NDAに関する実質的な交渉期間も約5か月間にすぎないし、NDAの交渉に時間を要したのも具体的な条項に ついての実質的な議論が継続していたからである。したがって、G社は、不要なNDAの交渉を介在させて本件の交渉を遅れさせたものではない。 ウ双方の提案内容について原告当初提案は到底FRAND条件といえるものではなく、他方でG社対案はFRAND条件であるから、G社対案の内容はG社にライセンスを 受ける意思がないことを根拠付けるものではない。なお、原告は、準備書面(原告その5)において、被告が提示した和解案の問題点を指摘するが、同書面及びこれとともに提出された甲34ないし甲46号証は審理計画に反して提出されたものであり、時機に後れた攻撃防御方法として却下されるべきである。 (ア)原告の提案内容がFRAND条件ではないこと 原告当初提案は、以下のとおり、販売価格の0.74%をライセンス料 り、時機に後れた攻撃防御方法として却下されるべきである。 (ア)原告の提案内容がFRAND条件ではないこと 原告当初提案は、以下のとおり、販売価格の0.74%をライセンス料率として提案するものである。 ①LTE規格の累積実施料率27%×②原告のSEP保有数 22件③LTE規格の実質的SEP数 800件≒0.74%しかしながら、上記算定は、原告に都合のいい数字を用いた恣意的なものである。すなわち、①については、令和元年(2019年)のIAMの記事(乙9)に依拠したものであるが、同数値は10年以上前の古 い文献に依拠したものであり、現時点では当該文献を確認することができないなど、その根拠が薄弱である。また、別の論文(乙10)は、上記①について、実際の累積ロイヤリティの上限額を反映するものではないと指摘している。②は、平成25年(2013年)のサイバー創研の調査報告書(乙15)における原告の平成24年(2012年)当時の LTE通信規格に対応する必須宣言特許の推定保有ファミリー数を採用したものであり、③は、UnwiredPlanet.vHuawei の英国高等法院判決において、「RelevantSEPs」の総数とされた800という数字に依拠したものである。上記サイバー創研の調査結果は、情報自体が古く、現時点では各権利者の保有するLTE規格の標準必須特許の割合は全く異なっ ている。この点を措くとしても、サイバー総研の調査結果に基づいて、②を採用するなら、③についても同調査結果記載の3005件という数字を用いるべきであるのに、別の裁判例で当該事件に限り採用された数字を持ち出しているなど様々な問題がある。 (イ)G社又は被告の提案内容がFRAND条件であること G社対案の内容は、 う数字を用いるべきであるのに、別の裁判例で当該事件に限り採用された数字を持ち出しているなど様々な問題がある。 (イ)G社又は被告の提案内容がFRAND条件であること G社対案の内容は、以下のとおり、1台当たり●(省略)●ドルをロイヤリティ額として提示するものである。 ①1台当たりのSEP累積ロイヤリティ額●(省略)●ドル× ②パンテックのSEPシェア率●(省略)●%=●(省略)●ドル後記のとおり、このような提案内容は合理的なものである。また、G社は、既に、InterDigital等の多数の特許権者との間で、上記算定方法に基づいて算出されたロイヤリティ額で標準必須特許に係るライセンス契約を締結しており、比較アプローチの観点からもG社対案の内容はFRAND条件である。 すなわち、①は、HoulihanLokey.Inc(以下「HL社」という。)が、G社の依頼を受けて行った分析結果(令和元年〔2019年〕10月付け。乙17の1)に基づく額である。HL社は、平成29年(2017年)時点における平均的なスマートフォンの価格●(省略)●ドルに、スマートフォン全体のコストに対するベースバンド プロセッサの価格の割合(●(省略)●%)を乗じて、上記①の●(省略)●ドルを算出した(●(省略)●ドル×●(省略)●%≒●(省略)●ドル)。上記算定方法は、ベースバンドプロセッサという部品が、スマートフォンにおいてLTE通信等を含む通信機能を司っていることから、LTE通信等を含む通信機能がスマートフォン全体に寄与する割合 は、スマートフォン全体のコスト(スマートフォンを構成する各部品全体の価格)に対するベースバンドプロセッサの価格の割合を超えないと考えるのが自然であることを根拠とするものである。なお、HL は、スマートフォン全体のコスト(スマートフォンを構成する各部品全体の価格)に対するベースバンドプロセッサの価格の割合を超えないと考えるのが自然であることを根拠とするものである。なお、HL社の調査結果によれば、ベースバンドプロセッサの平均販売価格は年々減少傾向にあることが確認されており、スマートフォンに搭載される通信技術 の相対的な価値は、時間の経過とともに低下しているから、累積ロイヤリティの額は、現時点ではさらに小さくなると考えられる。②は、HTS.LLCが、令和4年(2022年)2月17日、G社の委託を受けて ETSIのデータベースに基づいて調査した結果に基づく数値である(乙18)。上記データベースによれば、存続している4G規格の宣言特許のファミリーの件数は2万0257件であるのに対し、原告が保有する宣言特許ファミリーの件数は32件であり、その割合は0.16%であった。ここから米国で登録された特許を含むファミリーや、コア技 術に関するものなど適切な条件を満たす特許を抽出すると、条件を満たす特許ファミリーの総数は●(省略)●件であるのに対し、原告が保有する特許ファミリーの件数は●(省略)●件であり、その割合は●(省略)●%(●(省略)●件÷●(省略)●件≒●(省略)●%)となる。 他方、原告が、5G規格に係る標準必須特許ファミリーを保有している とは確認できなかったことから、4G規格に係る標準必須特許と5G規格に係る標準必須特許の重み付け(重要性評価)を行い、4G規格につき●(省略)●%、5G規格につき●(省略)●%として算出すると、●(省略)●%(●(省略)●%×●(省略)●%+●(省略)●%×●(省略)●%)となる。 後記エのとおり、G社対案及びこれを踏まえた被告提示の和解案(以下 (省略)●%として算出すると、●(省略)●%(●(省略)●%×●(省略)●%+●(省略)●%×●(省略)●%)となる。 後記エのとおり、G社対案及びこれを踏まえた被告提示の和解案(以下「被告和解案」という。)の内容は、知財高裁平成25年(ネ)第10043号平成26年5月16日判決(アップル対サムスン事件知財高裁大合議判決。以下「大合議判決」という。)の算定方法とは異なるものであるが、そのような算定方法を採用したことによってFRAND条 件であることが否定されるものではない。 エ被告和解案について(ア)被告は、裁判所からの和解勧告を受けて、令和6年9月6日付けで、以下の内容の和解案(被告和解案)を提示した。被告和解案は、ライセンス対象製品をG社及びその関連会社(被告を含む。)の製品、ライセ ンス対象特許を原告の全世界の特許、リリース対象をG社及びその関連 会社(被告を含む。)の販売分、スマートフォン1台当たりのロイヤリティ額を●(省略)●ドル(1台当たりの累積ロイヤリティ額●(省略)●ドルに原告の保有する標準必須特許のシェア率として●(省略)●%を乗じた額)とすることを前提に、一括払いのロイヤリティ額を提示するものである。 ライセンス期間一括払い額2026年末まで●(省略)●ドル原告の各特許の存続期間まで●(省略)●ドル被告和解案は、大合議判決の算定の考え方と整合的である。すなわち、被告和解案は、多機能化が進むスマートフォンにおいて、製品の売上高に対し、ライセンス対象特許の技術が貢献している部分がそのごく一部にとどまることに鑑み、このような貢献をしていると認められる部分をもってロイヤリティ算定の基礎としており、この点で売上高に対する規 格の貢献割合を考慮する大 術が貢献している部分がそのごく一部にとどまることに鑑み、このような貢献をしていると認められる部分をもってロイヤリティ算定の基礎としており、この点で売上高に対する規 格の貢献割合を考慮する大合議判決の考え方と整合する。 (イ)被告和解案は、算定方法の点において、大合議判決の算定方法と一致するものではないが、仮にPixelPhoneを対象として大合議判決の算定方法に基づいて累積ロイヤリティの額を算定すると、下記のとおり、被告和解案における累積ロイヤリティの額(1台当たり●(省 略)●ドル)と大きな差はなく、むしろ、被告和解案のほうが原告にとって有利内容となる。 記【大合議判決による算定方法】大合議判決算定式による計算対象製品の販売台数×対象製品の販売価格×規格に準拠していることが対象製品の売上げに貢献した部分の割合(30%)×標準必須特許の累積ロイヤリティ率(5%)×原告が保有する標準必須特許のシェア=1台当たりの「規格に対する累積ロイヤリティ」額【被告による当てはめ】PixelPhoneを大合議判決算定式に当てはめた場合の計算PixelPhone の販売台数×PixelPhoneの平均販売価格●(省略)●ドル×30%×5%×原告が保有する標準必須特許のシェア(●(省略)●%)=1台当たりの累積ロイヤリティ額●(省略)●ドル以上(ウ)被告和解案は、1台当たりの累積ロイヤリティ額を基礎とする点で、 対象製品の実際の売上高にロイヤリティ率を乗じて累積ロイヤリティ額を算定する大合議判決の算定方法とは異なるものである。しかしながら、大合議判 、1台当たりの累積ロイヤリティ額を基礎とする点で、 対象製品の実際の売上高にロイヤリティ率を乗じて累積ロイヤリティ額を算定する大合議判決の算定方法とは異なるものである。しかしながら、大合議判決は、2つの対象製品の損害賠償額の算定が問題となったため に上記のような算定方法を採用したものである。 これに対し、本件で問題となっているのは、将来の販売分も含むグローバルでのライセンス条件であり、大合議判決の算定方法を採用することは、ロイヤリティ額の算定を過度に複雑にすることになる。また、近時、スマートフォンの高機能化・多機能化により、スマートフォン全体 に対してモバイル通信機能が寄与する割合は小さくなっている。すなわち、4Gや5Gの通信技術が売上げに貢献する部分はモデルによって大きな違いはない一方、当該部分の販売価格に対する割合はモデルの仕様や機能によって大きく異なる。したがって、多種多様なモデルを対象としたライセンス契約におけるFRANDロイヤリティを算定する場合に おいて、平均的なスマートフォンを基準として算定した金額を全モデル共通の1台ごとの累積ロイヤリティ額(固定額)とするのは合理的である。現に、被告の販売するPixelPhoneシリーズをみても、通信機能は基本的に同じであり、それ以外の仕様や機能によって価格差が生じているものであるから、累積ロイヤリティを各端末の販売価格に比 例して増額させることは不合理である。 (原告の主張)⑴ 判断基準FRAND条件は、SEP保有者と実施者が互いに誠実交渉を尽くした結果導かれる幅のあるものであるから、実施者のライセンスの意思の有無は、 SEP保有者の提案及び実施者の対案の内容それ自体から判断するのではなく、相対的に実施者が誠実交渉を尽くしたかという た結果導かれる幅のあるものであるから、実施者のライセンスの意思の有無は、 SEP保有者の提案及び実施者の対案の内容それ自体から判断するのではなく、相対的に実施者が誠実交渉を尽くしたかという交渉過程の行動により判断されるべきである。そのため、実施者にライセンスを受ける意思があるか否かは、交渉経緯における各当事者の行動のみに基づいて判断されるべきである。 以下のとおり、G社又は被告の交渉経緯から、被告が本件特許についてF RAND条件によるライセンスを受ける意思を有しないことは明らかであるから、本件差止請求権の行使は、権利濫用に当たらない。 ⑵ 原告及びG社との交渉経緯ア当事者間での交渉経緯原告は、当初から一貫して誠実に交渉していたが、G社は、ライセンス を受ける意思の表明をすると同時にNDAを締結することを協議の条件として要求し、その後実際にNDAが締結されるまで、NDAの締結前や協議開始前に存在していた事実をも秘密保持義務や目的外利用禁止の対象にするという理不尽な要求を固持して、実質的なFRAND交渉の開始を遅れさせた。そもそも、規格と特許の比較等を中心に協議が行われる交渉の 初期段階においてはNDAを締結する合理的な必要性はないし、実施者側がこの時点でこのような提案をすること自体異例である。これに対し、原告は、円滑な交渉のために提案に応じ、誠実に交渉していたが、NDAに関する交渉がまとまる目途が全くつかない状況をみかねて、令和3年(2021年)1月13日、ライセンス交渉を進めることを申し入れ、ライセ ンス条件概要書(原告当初提案。乙3)をG社に送付した。しかしながら、G社は、同年(2021年)12月13日にNDAが締結されるまで、クレームチャートを要求するばかりで、実質的なライ ライセ ンス条件概要書(原告当初提案。乙3)をG社に送付した。しかしながら、G社は、同年(2021年)12月13日にNDAが締結されるまで、クレームチャートを要求するばかりで、実質的なライセンス交渉に応じなかった。 また、G社は、自ら要求して原告から開示を受けたクレームチャートに ついても、令和4年(2022年)3月4日にビデオ会議でG社対案を提示するまで、検討に時間が掛かると回答するのみで何の検討結果も示さなかった。このようなG社の一連の対応からすると、G社が、開示を受けたクレームチャートについて真摯に検討していなかったことは明らかであるし、この間、クレームチャートの追加要求(令和3年10月6日。甲18 の1、25、乙4の4)を行ったことや、既に提供を受けていた特許リス トを1つにまとめて送り直すことを要求したこと(同月18日。甲18の1、25)は、明らかな遅延戦術である。 さらに、G社は、令和4年(2022年)3月4日、ビデオ会議の際にG社対案を提示したものの、NDAの締結から対案の準備を4か月も放置した上、原告当初提案がFRAND条件でないと批判することに終始し、 自身の案について客観的な根拠も示さないなど、極めて不誠実な交渉遅延行為を行った。 このようなG社の一連の行為は、ホールドアウト行為にほかならず、不誠実交渉を行ったことは明らかである。 ドイツ訴訟係属後も、原告は、ライセンス契約の締結に至るべく、原告 当初提案から譲歩をしたり追加提案をしたりして、積極的に誠実交渉を続けた。これに対し、G社は、実質的に同一条件の対案を提示しただけであり、一貫して形式的な応答を繰り返すのみであった。なお、被告は、原告が比較可能な既存のライセンスをなかなか開示しなかったとして批判するが、各ラ 対し、G社は、実質的に同一条件の対案を提示しただけであり、一貫して形式的な応答を繰り返すのみであった。なお、被告は、原告が比較可能な既存のライセンスをなかなか開示しなかったとして批判するが、各ライセンシーからライセンス契約の開示の承諾が得られておらず、 また、得られる見込みがなかったためであり、それをもって原告の交渉態度が不誠実であるということにはならない。 イ本件訴訟における交渉経緯被告は、裁判所から「被告において、仮にライセンスを受ける意思がある場合には、知財高裁大合議判決の基準(最終製品の価格を算定の出発点 とするもの)を踏まえ、被告にいう比較アプローチをも参酌し、改めて和解案を提案することを求める。」との訴訟指揮を受けたにもかかわらず、G社対案を維持した内容の和解案を提示し、裁判所の訴訟指揮に応じなかった。そして、被告和解案は、原告のグローバルSEPポートフォリオを実施する自社製品の販売価格及び販売数量を一切開示しないものであり、 裁判所と原告に対し、算定根拠を検証する機会を与えないものであった。 もとより原告は、被告和解案に対する対案を提示する予定であったが、被告が裁判所の訴訟指揮に従った和解案の提案を拒絶したため、これが不可能となった。 そもそも、自社製品の販売価格と販売数量を算定の出発点としないFRAND交渉など実務上あり得ず、これらを開示しないのであれば、大合議 判決の基準に依拠するまでもなく、被告にライセンスを受ける意思がないことは明白である。 これに対し、被告は、裁判所の和解勧告に応じなかった理由について合理的根拠のない主張をし続けた挙句、自社製品の販売価格と販売数に基づいて算定した提案を拒絶したものであり、このような被告の行為は、本件 訴訟の口頭弁論終結前に被告 に応じなかった理由について合理的根拠のない主張をし続けた挙句、自社製品の販売価格と販売数に基づいて算定した提案を拒絶したものであり、このような被告の行為は、本件 訴訟の口頭弁論終結前に被告製品がモデル落ちして販売終了するのを待ち、差止判決を奏功させなくするための時間稼ぎにほかならず、極めて背信的かつ不当な訴訟遅延行為である。そして、被告は、原告当初提案の内容が大合議判決の考え方と整合しないなどと批判し、他方で自社製品の販売価格と販売数量を開示しないまま、G社の提案は整合するなどと理由なく強 弁するが、このような交渉態度は、極めて典型的なホールドアウト行為である。 ウ小括以上のように、原告が誠実に交渉を進めてきた一方で、G社及び被告は不当なホールドアウト行為を繰り返した挙句、裁判所の訴訟指揮に基づく 和解案の提出を拒否したものであり、被告にライセンスを受ける意思がないことは明白である。 ⑶ 双方の提案内容ア被告和解案の問題点被告和解案は、以下の点において大合議判決の趣旨に反するものである。 (ア)大合議判決は、対象製品の売上高合計(販売台数×販売価格)をラ イセンス料算定の出発点としているのに対し、被告和解案は、製品ごとの販売台数を開示せず、これを意図的に秘匿して対案を提示するものである。 (イ)被告和解案は、2017年時点の平均的なスマートフォンの販売価格(●(省略)●ドル)を算定に用いている点で、対象製品の販売台数 と販売価格を出発点とする大合議判決に全く整合しない。 (ウ)被告和解案は、被告の主張によれば、SEPを実施している部品代をSEPの累積ロイヤリティ額の上限とするものであるが何の法的根拠もない。他方、大合議判決は、対象製品の売上高を算定基礎として、規格に準拠 告和解案は、被告の主張によれば、SEPを実施している部品代をSEPの累積ロイヤリティ額の上限とするものであるが何の法的根拠もない。他方、大合議判決は、対象製品の売上高を算定基礎として、規格に準拠していることが寄与した割合等をこれに乗じること、当該割合 の算定に当たり、ベースバンドチップの価格等の諸般の事情を考慮することを判示しているのであり、部品代を上限とするとは一切判示していない。 (エ)被告和解案は、累積ロイヤリティを固定額の●(省略)●ドルとするものであり、大合議判決に照らして著しく不適切である。すなわち、 ①大合議判決は、3G規格に関する標準必須特許の累積ロイヤリティを端末価格(iPhone第3世代及びiPad第2世代)の5%と認定するものであるし、②4G及び5G規格においては、3Gと比較して通信速度その他の通信性能が格段に向上しておりユースケース(活用領域)も拡大していることから、端末に実現している標準必須特許の技術的経 済的価値が増大していることは明らかである。また、③通信性能及び機能の向上に鑑み、4G規格端末及び5G規格端末の各価格も、3G規格端末と比較して高額化していることも看過してはならない。 ●(省略)●このように、累積ロイヤリティが固定額の●(省略)●ドルであるとする被告の主張は、約10年前に大合議判決が認定した5%の累積ロイ ヤリティと比較して著しく不均衡であり、合理性がないことは明らかで ある。 (オ)被告和解案は、原告の保有する標準必須特許のシェアについても恣意的な算定を行っている。 イ原告の提案の合理性原告は、令和5年(2023年)6月30日の提案(甲29)において、 欧州、英国、日本、韓国及び米国におけるSEP及びNon-SEPを組み合わせたロイヤリ っている。 イ原告の提案の合理性原告は、令和5年(2023年)6月30日の提案(甲29)において、 欧州、英国、日本、韓国及び米国におけるSEP及びNon-SEPを組み合わせたロイヤリティ料率を0.75%から0.65%に引き下げる申出をしたが、これらのランニングロイヤリティの内容は、原告による締結済みの各ライセンス契約条件(甲41ないし44)に照らして、G社に不利なものではないから、比較アプローチによっても原告の申出がFRAN D条件であることは明らかである。 なお、被告は、上記の主張に係る原告の準備書面(原告その5)に基づく主張及び甲34ないし46号証が時機に後れた攻撃防御方法として却下されるべきであると主張するが、これらの主張立証は、裁判所からの和解勧告を受けて、合理的な和解をするために不可欠の資料として、訴訟の進 行状況に応じて適時に提出したものであり、かつ、訴訟の完結を遅延させるものでもない。 第4 当裁判所の判断 1 本件発明の内容証拠(甲3)によれば、本件明細書等には、次のとおりの記載があることが 認められる。 ⑴ 技術分野【0001】本発明は、セルラ直交周波数分割多重(OFDM)無線パケット通信システムにおけるダウンリンクで伝送される信号の周波数及びOFDMシンボル 領域に対するマッピング方法に関する。 ⑵ 背景技術【0007】しかしながら、従来の物理ハイブリッド自動再送要求指示チャネル(PHICH:PhysicalHybridARQIndicatorChannel)のマッピング方法では、図1に示すように、隣接セル間のPHICHグループはコリジョン(collision)を避 けることが困難であるという問題点があった。 【図1】⑶ 発 Channel)のマッピング方法では、図1に示すように、隣接セル間のPHICHグループはコリジョン(collision)を避 けることが困難であるという問題点があった。 【図1】⑶ 発明が解決しようとする課題【0008】したがって、上記問題点を解決するために考案された本発明の目的は、O FDMシンボルごとに異なる利用可能なリソースエレメントを考慮することによって、PHICHの反復が隣接セルID間で干渉を起こさないようなPHICHのマッピング方法を提供することにある。 ⑷ 課題を解決するための手段 【0009】 本発明の目的は、物理ハイブリッドARQ指示チャネル(PHICH:PhysicalHybridARQIndicatorChannel)のマッピング方法を提供することにより達成され、この方法は、PHICHグループが伝送されるOFDMシンボルのインデックスを決定し、決定されたOFDMシンボルにおける使用可能なリソースエレメントグループの数と1番目または2番目のOFDMシンボ ルにおける使用可能なリソースエレメントグループの数との比率に従って、前記PHICHグループの反復パターンが伝送されるリソースエレメントグループのインデックスを決定し、該決定されたインデックスに従って前記PHICHグループをマッピングするPHICHのマッピング方法である。 【0010】 好ましくは、PHICHは複数のPHICHグループ単位で伝送され、𝑚′がPHICHグループのインデックスを表す場合、i番目の反復パターンが伝送されるOFDMシンボルのインデックスは、下記の式で定義することができる。 【0011】 【数1】 【0012】好ましくは、前 目の反復パターンが伝送されるOFDMシンボルのインデックスは、下記の式で定義することができる。 【0011】 【数1】 【0012】好ましくは、前記比率にセルIDを乗算して得られる値に従って、前記リソースエレメントグループのインデックスを決定してもよい。 【0013】【数2】 好ましくは、前記リソースエレメントグループのインデックスは、下記の式で決定してもよい。 ここで、𝑁𝐼𝐷𝑐𝑒𝑙𝑙はセルIDを表し、i は反復パターンのインデックスを表し、𝑛′𝑙’𝑖𝑛′0⁄はOFDMシンボル𝑙′𝑖内の利用可能なリソースエレメントグループ の個数と1番目のOFDMシンボル内の利用可能なリソースエレメントグループの個数との比率を表し、𝑚′はPHICHグループのインデックスを表す。 【0015】好ましくは、前記PHICHは、各々が4個のリソースエレメントからなる複数のPHICHグループ単位で伝送されてもよい。 【0016】好ましくは、前記PHICHは、各々が2個のリソースエレメントからなる複数のPHICHグループ単位で伝送されてもよい。 【0017】【数3】 好ましくは、前記リソースエレメントグループのインデックスは、下記の式で決定してもよい。 ここで、𝑁𝐼𝐷𝑐𝑒𝑙𝑙はセルIDを表し、iは反復パターンのインデックスを表し、𝑛′𝑙’𝑖𝑛′1⁄はOFDMシンボル𝑙′𝑖内の利用可能なリソースエレメントグループの個数と2番目のOFDMシンボル内の利用可能なリソースエレメントグループの個数との比率を表し、𝑚′はPHICHグループのインデックスを表す。 ⑸ 発明の効果 【0018】本発明の実施例 の個数と2番目のOFDMシンボル内の利用可能なリソースエレメントグループの個数との比率を表し、𝑚′はPHICHグループのインデックスを表す。 ⑸ 発明の効果 【0018】本発明の実施例によれば、PHICH伝送においてOFDMシンボルに応じて変化する使用可能なリソースエレメントを考慮することによって効率的なマッピングを行うことにより、PHICHの反復が隣接セルID間に干渉を起こすのを防止し、性能が向上するという効果が得られる。 ⑹ 発明を実施するための形態【0021】OFDM無線パケット通信システムのダウンリンクを通じてデータを伝送する時に、ACK/NACK信号を伝送するチャネルを物理ハイブリッド自動再送要求指示チャネル(PHICH:PhysicalHybridARQIndicatorChannel) と呼ぶ。 【0022】特に、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP:ThirdGenerationPartnershipProject)の長期高度化システム(LTE:LongTermEvolution)でPHICHは、ダイバーシティ利得を得るために3回反復して伝送され る。(中略)PHICHが1つのOFDMシンボルで伝送される場合、3回反復されるPHICHが1つのOFDMシンボルの周波数帯域に均等に分布されなければならない。PHICHが3個のOFDMシンボルで伝送される場合、各反復は、対応するOFDMシンボルにマッピングされる。 【0023】図2及び図3は、PHICHがマッピングされるリソースエレメントグループ(REG)を示す図である。 【図2】 【図3】 【0030】【数4】【0031】PHICHグループのイ CHがマッピングされるリソースエレメントグループ(REG)を示す図である。 【図2】 【図3】 【0030】【数4】【0031】PHICHグループのインデックスは𝑚′=0を初期値として持つ。𝑚′でのシンボルクワドループレットz(p) (i)は、(k′,l′)i のREGにマッピングされ る。ここで、𝑙′𝑖はPHICHグループのi番目の反復が伝送されるOFDMシンボルのインデックスであり、𝑘′𝑖は周波数ドメインのインデックスである。 【0032】PHICHが、2つのOFDMシンボルを通じて伝送される場合には、伝送されるPHICHグループに従って、1番目のOFDMシンボルに2回反 復され、2番目のOFDMシンボルに1回反復される。逆に、1番目のOFDMシンボルに1回反復され、2番目のOFDMシンボルに2回反復されるようにしてもよい。これは、下記の式1で表される。 【0033】【数5】 【0034】式1において、𝑙′𝑖は、PHICHグループのi番目の反復が伝送されるOFDMシンボルのインデックスを表し、𝑚′は、PHICHグループのインデックスを表し、iは、PHICHの反復回数を表す。PHICHが3回反復 される場合、iは0、1、2の値を持つこととなる。 【0037】PHICHは、データが受信されたか否かを示すACK/NACK信号を伝送する重要なチャネルであるから、可能な限り安定に伝送されなければならない。さらに、ACK/NACK信号はセル境界にあるユーザにも伝送さ れなければならないので、他のチャネルに比べて大きいパワーが使われる。 したがって、PHICHを伝送する位置を各セルで同一にすると、隣接セル間においてPHICH伝送によって生じ ーザにも伝送さ れなければならないので、他のチャネルに比べて大きいパワーが使われる。 したがって、PHICHを伝送する位置を各セルで同一にすると、隣接セル間においてPHICH伝送によって生じる干渉によりPHICH伝送性能が劣化する恐れがある。したがって、各セルでPHICHの伝送位置を異ならせれば、隣接セル間においてPHICH伝送によって生じる干渉は減少する。 その結果、PHICHの伝送性能を向上させることができる。すなわち、セルIDに従ってPHICHのマッピング位置を定めると、このような問題を解決することができる。また、PHICHはダイバーシティ利得を得るために3回反復して伝送される。ダイバーシティ利得を大きくするためには、各反復が全周波数帯域にわたって均等に分布されなければならない。 【0038】 上記の条件を満たすために、PHICHグループは、4個のリソースエレメントで構成されるREG単位で伝送される。このPHICHの伝送開始REG位置はセルIDによって指定され、PHICHの各反復は、伝送開始REGを基準に伝送可能なREGの個数を3つに分けて得られる値の間隔で配置される。しかし、このようなPHICHの反復が多数のOFDMシンボル にわたって伝送される場合、各OFDMシンボルでPHICH伝送に使用できるREGの個数が異なってくる。これは、1番目のOFDMシンボルの場合、制御チャネルのために用いられるOFDMシンボルの個数を含む情報を伝送する制御チャネル構成指示チャネル(PCFICH)が伝送され、伝送アンテナの個数によって1番目と2番目のOFDMシンボルに伝送される基 準信号が異なるためである。このようにPHICHが互いに異なるREGを持っている様々なOFDMシンボルを通して伝送される場合 ンテナの個数によって1番目と2番目のOFDMシンボルに伝送される基 準信号が異なるためである。このようにPHICHが互いに異なるREGを持っている様々なOFDMシンボルを通して伝送される場合、各OFDMシンボルにおけるREGの個数が異なるため、各PHICHの反復が周波数帯域全体に均等に分布できなくなる。セルIDによって1番目のREGの位置を指定し、1番目のREGのインデックスを基準に一定間隔で反復パターン を割り当てなければならない。ところが、各OFDMシンボルにおけるREGの個数によって、インデックスに応じた周波数位置の解像度が異なるため、基準位置が変わるという問題がある。 【0039】したがって、PHICHが多数のOFDMシンボルを通して伝送される場 合、最初の開始シンボルのREGの他のシンボルのREGに対する比を考慮して、セルIDによる開始位置を定めれば、上記の問題を解決できる。1個または3個のOFDMシンボルを通じてPHICHが伝送される場合、最初の開始シンボルの位置は常に最初のOFDMシンボルとなる。しかし、2個のOFDMシンボルを通じてPHICHが伝送される場合には、最初のPH ICHグループが2番目のOFDMシンボルから始まることになる。したが って、REGの比を考慮する場合、基準となるシンボルを変えなければならない。 【0043】PHICHが2番目のOFDMシンボルからマッピングされる場合、n′𝑙 𝑖′ /n′0をn′𝑙 𝑖′ /n′1に変更すればよい。(省略) 2 争点1(「𝑚′」〔構成要件H、E、F、J、K、M〕の充足性)について⑴ 被告製品の充足性について本件発明の構成要件Hは、PHICHが2つのOFDMシンボルにより送信される場合について、第2インデ 1(「𝑚′」〔構成要件H、E、F、J、K、M〕の充足性)について⑴ 被告製品の充足性について本件発明の構成要件Hは、PHICHが2つのOFDMシンボルにより送信される場合について、第2インデックスを𝑙′𝑖=(⌊𝑚′/2⌋+ 𝑖+ 1)𝑚𝑜𝑑2という式に従って決定することを規定しているところ、本件発明の構成要件の記載 によれば、「𝑚′は、PHICHを含むPHICHグループのインデックスを表し」(構成要件H)と規定されている。そして、本件明細書等には、「好ましくは、PHICHは複数のPHICHグループ単位で伝送され、𝑚′がPHICHグループのインデックスを表す場合」(【0010】)、「𝑚′は、PHICHグループのインデックスを表し」(【0034】)と記載されて いる。 上記構成要件及び本件明細書等の各記載によれば、本件発明の「𝑚′」とは、PHICHグループのインデックスをいうものと解するのが相当である。 これを被告製品についてみると、被告製品が通常CPにて動作するものであることにつき、当事者間に争いはない。そして、前記前提事実に加え、証 拠(甲9)及び弁論の全趣旨によれば、被告製品が準拠している本件規格においては、2つのOFDMシンボルで送信される場合の時間領域インデックス𝑙′𝑖は、「𝑙′𝑖=(⌊𝑚′/2⌋+ 𝑖+ 1)𝑚𝑜𝑑2」という式に従って決定される旨規定されているところ、上記における𝑚′とは、PHICHマッピングユニットの番号をいうものであって、通常CPの場合、PHICHグループ𝑚のPHICH マッピングユニット𝑚′へのマッピングにおいては、𝑚′=𝑚と定義されている ことが認められる。そうすると、被告製品において、通常CPの場合、𝑙′𝑖の算出に当たり、𝑚′の数値は、常にPHICHグループの ニット𝑚′へのマッピングにおいては、𝑚′=𝑚と定義されている ことが認められる。そうすると、被告製品において、通常CPの場合、𝑙′𝑖の算出に当たり、𝑚′の数値は、常にPHICHグループの番号と等しくなることが認められる。 そうすると、被告製品の「𝑚′」は、「PHICHグループの番号」を正に示すものであるから、「PHICHグループのインデックス」を表すものと して、本件発明の𝑚′を充足するものと認めるのが相当である。 ⑵ 被告の反論について被告は、被告製品が準拠している本件規格における𝑚′は、PHICHマッピングユニットの番号をいうものであり、PHICHグループの番号ではないから、当該構成要件を充足しない旨主張する。 しかしながら、本件発明は、特許請求の範囲の記載から明らかなとおり、PHICHのOFDMシンボルへのマッピング方法を規定したものであり(構成要件A)、その具体的なマッピング箇所の特定として、PHICHが2つのOFDMシンボルにより伝送される場合の第2インデックス𝑙′𝑖の決定方法を「𝑙′𝑖=(⌊𝑚′/2⌋+ 𝑖+ 1)𝑚𝑜𝑑2」と規定し、当該式における「𝑚′」の値に ついて、「𝑚′は、PHICHを含むPHICHグループのインデックスを表し」と規定したものである(構成要件H)。そして、本件明細書の記載(【0011】、【0032】、【0033】)からも明らかなとおり、上記式の意味は、2つのOFDMシンボルを使う場合に、特定のPHICHグループの𝑖番目の反復パターンがどのOFDMシンボルにマッピングされるかにつ いて、𝑚′が1増えるごとに、𝑖=0の場合、𝑙′0が1、1、0、0、1、1、0、0…と繰り返されること、𝑖=1の場合、𝑙′1が0、0、1、1、0、0、1、1、…と繰り返されること かにつ いて、𝑚′が1増えるごとに、𝑖=0の場合、𝑙′0が1、1、0、0、1、1、0、0…と繰り返されること、𝑖=1の場合、𝑙′1が0、0、1、1、0、0、1、1、…と繰り返されること、𝑖=2の場合、𝑙′2が1、1、0、0、1、1、0、0…と繰り返されること、以上を示したものであって、そのようなマッピング方法を上記式の形式で示したものにすぎない。そうすると、被告 製品が準拠している本件規格においても、PHICHが2つのOFDMシン ボルにより伝送される場合の𝑙′𝑖の決定方法として、構成要件Hと同様の式が用いられており、かつ、少なくとも通常CPの場合には、𝑚′に代入される数値がPHICHグループの番号と同一の数値となる以上、仮に𝑚′の概念に若干の違いがあったとしても、同一のマッピング方法を示すものとして、本件発明と被告製品とは、その構成において同一であると認めるのが相当である。 したがって、被告の主張は、採用することができない。 ⑶ その他に、上記において説示したところは、構成要件E、F、J、K及びMについても同様に当てはまるものであるから、被告製品はこれらの構成要件を充足するものと認めるのが相当である。 3 争点2(乙23発明に基づく進歩性の有無)について ⑴ 乙23発明の構成については、当事者間に争いがなく、被告の主張(前記第3の2)のとおりであると認められる。また、本件発明と乙23発明との対比及び相違点についても、当事者間に争いがなく、相違点は、以下のとおりであると認められる。 ア相違点1 本件発明においては、リソースエレメントグループは、4つのリソースエレメントを含む(構成要件C)のに対し、乙23発明では、リソースエレメントグループがいくつのリソースエレメントを含むの 本件発明においては、リソースエレメントグループは、4つのリソースエレメントを含む(構成要件C)のに対し、乙23発明では、リソースエレメントグループがいくつのリソースエレメントを含むのかが特定されていない点。 イ相違点2 本件発明においては、PHICHが送信されるリソースエレメントグループの周波数領域インデックスを、インデックス0を有する第1のOFDMシンボルの利用可能なリソースエレメントグループの個数に対するPHICHグループの𝑖番目の反復のPHICHが送信されるOFDMシンボルで利用可能なリソースエレメントグループの個数の比にセルIDを乗じ た数、又は、インデックス1を有する第2のOFDMシンボルの利用可能 なリソースエレメントグループの個数に対するPHICHグループの𝑖番目の反復のPHICHが送信されるOFDMシンボルで利用可能なリソースエレメントグループの個数の比にセルIDを乗じた数のいずれかに従って決定している(構成要件E、F)のに対し、乙23発明では、PHICHが送信されるリソースエレメントグループの周波数領域インデックスを 決定する際、セルIDに上記の比を乗じているのか明らかではない(構成要件23-e)点。 ⑵ 相違点1の容易想到性について証拠(乙25)によれば、乙25寄書には、サブフレームの1番目のスロットの1番目のOFDMシンボルでは、2つのリソースエレメントグループ がそれぞれ6のリソースエレメントから構成される旨の記載があること、サブフレームの1番目のスロットの2番目のOFDMシンボルでは、3つのリソースエレメントグループがそれぞれ4つのリソースエレメントから構成される、又は、2つのリソースエレメントグループがそれぞれ6つのリソースエレメントから構成され 番目のOFDMシンボルでは、3つのリソースエレメントグループがそれぞれ4つのリソースエレメントから構成される、又は、2つのリソースエレメントグループがそれぞれ6つのリソースエレメントから構成される旨の記載があること、サブフレームの1番目のス ロットの3番目のOFDMシンボルでは、3つのリソースエレメントグループがそれぞれ4つのリソースエレメントから構成される旨の記載があること、以上の事実が認められる。そうすると、乙25寄書には、相違点1に係る構成であるリソースエレメントグループには少なくとも4つのリソースエレメントが含まれている旨の記載があるといえる。 そして、証拠(乙23、25)及び弁論の全趣旨によれば、乙23寄書には、「現在のCRTS36.211におけるPHICHマッピングに関する記述を、以下の提案文書の通り変更することを提案する。」として、「CRTS36.211」、すなわち、乙25寄書を引用し、その記載事項の変更を提案する旨の記載があることが認められる。そうすると、乙23発明 は、乙25発明の構成を前提としたものであるから、乙23発明に乙25寄 書の技術事項を組み合わせることは容易であると認められ、これを阻害する事由も見当たらない。 したがって、乙23発明に、乙25発明を適用する動機付けが認められ、乙23発明に乙25発明を適用すれば、相違点1に係る構成に至ることが認められる。 以上によれば、乙23発明に乙25発明を適用することによって、相違点1は、容易に想到することができるものといえる。 ⑶ 相違点2の容易想到性について証拠(乙26)及び弁論の全趣旨によれば、乙26寄書には、制御チャネル(PHICHを含む。)について、可能な限り周波数ダイバーシチを利用 するために、制御チ ⑶ 相違点2の容易想到性について証拠(乙26)及び弁論の全趣旨によれば、乙26寄書には、制御チャネル(PHICHを含む。)について、可能な限り周波数ダイバーシチを利用 するために、制御チャネルを構成するREQ(REGと同義)を、帯域全体に分散させることが推奨されるとして、2つ又は3つのOFDMシンボルでPHICHを送信する際の周波数領域へのマッピング方法の調整手段を提案する旨の記載があること、その内容として、タイムシフトアプローチ、すなわち、1つのOFDMシンボルにPHICHグループをマッピングする際の 周波数領域インデックスを決定し、その上で、2つ又は3つのOFDMシンボルにマッピングする際には、上記決定されたインデックスの位置をREQのナンバリングルール(時間優先のナンバリングルール)を利用してシフトさせ、シフトさせたREQにPHICHグループの繰り返しを配置するという構成が開示されていること、以上の事実が認められる。 しかしながら、上記構成は、PHICHが送信されるリソースエレメントグループの周波数領域インデックスを決定する際、セルIDにOFDMシンボルごとの利用可能なREGの個数の比を乗じた数に従って周波数領域インデックスを決定するという相違点2に係る構成を開示するものではない。 そうすると、被告が副引例として指摘する乙26寄書には、相違点2に係 る構成が開示されているとはいえないことからすると、乙23発明に乙26 発明を適用したとしても、そもそも本件発明の構成に至るものとはいえない。 のみならず、本件明細書の記載(【0008】)によれば、本件発明は、PHICHの反復が隣接セルID間で干渉を起こさないようなPHICHのマッピング方法を提供するという課題を解決するために、OFDMシンボル らず、本件明細書の記載(【0008】)によれば、本件発明は、PHICHの反復が隣接セルID間で干渉を起こさないようなPHICHのマッピング方法を提供するという課題を解決するために、OFDMシンボルごとの利用可能なREGの個数に着目するものであるのに対し、乙26発明 は、これに着目するものではない。そうすると、仮に乙23発明に乙26発明を適用したとしても、そもそもREGの個数に着目する構成にはならないため、相違点2に係る構成に更に想到するための示唆を明らかに欠くものといえるから、上記構成の技術的内容に照らしても、単なる設計事項であるともいえない。 したがって、そもそも乙23発明に乙26発明を適用したとしても相違点2に係る構成には至らず、相違点2に想到する動機付けが存在するともいえない。 以上によれば、乙23発明に乙26発明を適用することによって、相違点2は、容易に想到することができるものとはいえない。 ⑷ 小括以上によれば、本件発明は、進歩性を欠くものとはいえず、被告の主張は、上記の説示に照らし、いずれも採用することができない。 4 争点3(本件特許権に基づく差止請求権の行使が権利濫用に当たるか)について ⑴ 判断基準標準規格に準拠した製品の製造等に実施が必須となる特許(標準必須特許)を有する者が標準必須特許に対しFRAND宣言をした場合(以下、当該者を「必須宣言特許権者」という。)、上記製品の製造等をする者(以下「必須特許実施者」という。)は、標準必須特許についてFRAND条件による ライセンスを受けられることを前提として、上記製造等をすることになる。 それにもかかわらず、必須宣言特許権者が、上記ライセンスを受けられるものと信頼している必須特許実施者に対し、標準必須特許に基づ スを受けられることを前提として、上記製造等をすることになる。 それにもかかわらず、必須宣言特許権者が、上記ライセンスを受けられるものと信頼している必須特許実施者に対し、標準必須特許に基づく差止めを請求することは、必須特許実施者の合理的な信頼を著しく損なうことになり、正義・公平の理念に反するものといえる。 他方、必須宣言特許権者は、上記ライセンスに係る実施料相当額を取得で きることを前提として自らFRAND宣言をしたのであるから、上記実施料相当額を取得することができる場合には、必須特許実施者に対し差止請求をする必要性及び相当性を明らかに欠くものといえる。 そうすると、必須宣言特許権者が必須特許実施者に対し標準必須特許に基づく差止めを請求することは、必須特許実施者がFRAND条件によるライ センスを受ける意思を有しないという特段の事情がない限り、権利の濫用として許されないというべきである。 ⑵ 認定事実これを本件についてみると、前記前提事実に加え、証拠(甲18のほか後掲各証拠)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実を認めることができる(以 下、日本国外における事実関係についても和暦で表示し、西暦の記載は省略する。)。 ア原告は、G社に対し、令和2年6月12日付けレターによって、G社が、原告保有の本件特許を含む593件の特許(いずれも3G又は4G〔LTE〕の通信方式に対応するもの)に係る発明を現在使用しているか、将来 使用することになるとして、これらの特許発明に係るライセンスの交渉(以下、ライセンスをするか否か及びライセンス条件についての交渉を単に「ライセンス交渉」という。)を提案した。上記レターには、上記各特許のリストが添付されていたものの、上記各特許のクレームチャートや上記各特許に対応す するか否か及びライセンス条件についての交渉を単に「ライセンス交渉」という。)を提案した。上記レターには、上記各特許のリストが添付されていたものの、上記各特許のクレームチャートや上記各特許に対応する規格書の番号は記載されていなかった。(甲19) イ G社は、原告に対し、令和2年7月7日付けレターを送付し、同レター において、原告が保有する標準必須特許についてFRAND条件でライセンスを受ける意思があると表明するとともに、NDAを締結することを提案し、同レターに秘密保持契約書のドラフト(以下「G社NDA案」という。)を同封した。(乙5)ウ原告及びG社は、上記イの後、G社NDA案9条の「PatentR elatedMaterials」の範囲をめぐって意見が対立したことから、修正案を相互に送付し合うなどして、その交渉を行った。上記9条においては、原告及びG社間で開示される「PatentRelatedMaterials」が、米国法又はこれに類似する法律の適用下において、侵害通知又はG社の認識を構成しないものとし、原告が、司法、 行政等の手続において、「PatentRelatedMaterials」や、G社による「PatentRelatedMaterials」の考察又は分析を、適用される法の下において、上記のような侵害通知又はG社の認識を立証する証拠として使用せず、使用する権利を放棄することが規定されていた。(乙8) エ G社は、令和2年11月19日、原告に対し、G社NDA案9条に関する原告の案には応じられない旨をメールで伝えるとともに、その時点におけるG社NDA案に署名したものを同メールに添付して送付した上、他に問題がなければ同案に署名するように求めた。 オ原告は、令和3年1月1 案には応じられない旨をメールで伝えるとともに、その時点におけるG社NDA案に署名したものを同メールに添付して送付した上、他に問題がなければ同案に署名するように求めた。 オ原告は、令和3年1月13日、G社に対し、NDAの交渉に長期間を要 し、ライセンス交渉が遅延しているとして、NDAを締結せずにライセンス交渉を進めることを提案するとともに、以下の内容のライセンス条件概要書(原告当初提案)並びに合計66件のLTE規格の標準必須特許等及びこれに対応する規格書の番号が記載されたリストを送付した。なお、原告当初提案には、ロイヤリティ料率の算定根拠は記載されていなかった。 (乙3、4の1) 【原告当初提案の内容】・ライセンス対象特許全てのLTE標準必須特許及び現在パンテックに譲渡されている非標準必須特許・ライセンス対象製品LTE機能付き携帯電話非標準必須特許を侵害する携帯電話・契約期間2021年1月1日~2025年12月30日・ライセンス付与/ロイヤリティ米国、欧州、日本及び韓国:販売価格の0.75%それ以外の地域:販売価格の0.4%カ原告は、令和3年2月8日、G社に対し、6件の米国特許(LTE規格の標準必須特許以外の特許も含む。)のクレームチャートを開示した。(乙4の1)キ原告は、令和3年5月14日、G社に対し、原告の子会社においてSignalTrust社(以下「S社」という。)が保有していたLTEの 通信方式に対応する特許を含む特許ポートフォリオを承継取得したため、同ポートフォリオについてもライセンスを提供する旨を述べ、G社は、同月19日、原告に対し、S社から承継取得された特許のクレームチャートを要求した。そこで、原告は、同年6月4日、G社に対し、S社から取得し トフォリオについてもライセンスを提供する旨を述べ、G社は、同月19日、原告に対し、S社から承継取得された特許のクレームチャートを要求した。そこで、原告は、同年6月4日、G社に対し、S社から取得した特許のうち22件のクレームチャートを送付した。なお、G社は、令 和2年にS社から上記22件のクレームチャートを受領していたが、その当時、G社においては、いまだS社のクレームチャートについて詳細な検討を行う必要が生じていなかったものである。 ク原告は、令和3年7月7日付けレターにより、原告及び原告の子会社が 保有する特許(前記キのとおり承継取得したものをいう。)の多くが、5Gの通信方式の標準必須特許でもあるとして、それらについてもライセンス交渉することを提案した(第2回目の提案となる。)。上記レターには、上記各特許及び各特許に対応する規格書の番号を記載した表が掲載されていた。(甲20) ケ原告は、令和3年8月4日、G社に対し、前記クの各特許のうち、5件の5G規格の標準必須特許のクレームチャートを送付した。 コ G社は、令和3年10月18日、原告に対し、G社が販売等する製品について原告がライセンス交渉の対象とした各特許に係る発明の技術的範囲に属するか等の検討を終えたため、原告の提案するロイヤリティ料率の算 定根拠を教えてほしい旨を連絡した。 サ原告は、令和3年11月2日、G社との間でビデオ会議を開催し、ライセンス条件概要書に記載したライセンス料率の算定根拠の説明を行った。 (甲21)シ G社は、令和3年11月15日、原告に対し、再度、NDAを締結する ように求め、NDA締結に向けた交渉を開始した。 ス G社及び原告は、令和3年12月13日、G社がG社NDA案の9条を削除することに応じたことから、N 日、原告に対し、再度、NDAを締結する ように求め、NDA締結に向けた交渉を開始した。 ス G社及び原告は、令和3年12月13日、G社がG社NDA案の9条を削除することに応じたことから、NDA締結に至った。 セ G社は、令和4年3月4日、原告との間でビデオ会議を開催し、前記サのライセンス料率の算定根拠が、14年前の古い資料を基に計算されてい るなど不合理な点が多く、その結果、ライセンス料率が不当に高額になっていることなどを指摘し、直近のスマートフォン向け標準必須特許の情報を踏まえたライセンス料率の提案(G社対案)を行った。G社対案の内容は、以下のとおりである。原告は、G社対案に係る説明を聞いたものの、その根拠に関する質問をすることなくビデオ会議を終了した。G社は、同 会議における原告の対応から、原告はG社との取引の可能性に興味がない ものと認識し、原告に対し、G社対案のプレゼンテーション資料を送付しなかった。その後、G社は、原告からの要請を受け、同月15日、G社対案のプレゼンテーション資料をメールで送付した。(乙4の2、乙6)【G社対案の内容】・スマートフォンに係るセルラー標準必須特許の累積ロイヤリティ●(省略)●ドル・4G/5Gのセルラー標準必須特許スタックに係るパンテックのシェア●(省略)●% /●(省略)●%・パンテックの全体シェア●(省略)●%・ユニットごとのFRANDオファー●(省略)●ドル・一括払いの例一括払い ●(省略)●ドル条件 5年間(2021年7月~2026年6月)ライセンス対象製品全ての製品ライセンス対象特許全ての特許ソ原告は、令和4年3月24日、G社に対し、G社対案について、①SEPファミリー数、ロイヤリティスタックの 2026年6月)ライセンス対象製品全ての製品ライセンス対象特許全ての特許ソ原告は、令和4年3月24日、G社に対し、G社対案について、①SEPファミリー数、ロイヤリティスタックの数字が誤っており、トップダウ ン手法に基づく適切なFRAND分析ではない、②ロイヤリティスタックについて、Release11 が2013年に凍結されたことを考えると、それ以降に必須とされた特許は実際にモバイル機器に実装されるLTEにとってほとんど重要でないものであり1台●(省略)●ドルとするのは恣意的であるし、ロイヤリティスタックを●(省略)●%未満とする事実上の根拠 もなく不合理であるなどと指摘するとともに、「PantechIntellectualPropertyLicensingProgra m」と題する資料をメールで送信した。上記資料は、令和3年(2021年)12月までの被告製品の販売状況を反映したとされるものであったが、そこに示されたライセンス料率は、原告当初提案のライセンス料率を維持するものであった。なお、原告は、G社からの原告当初提案の不合理性に関する指摘についての説明はしなかった。(甲23) タ G社は、令和4年4月4日、原告に対し、G社は原告の保有する標準必須特許につきFRAND条件でライセンスを受ける意思があることや、原告はこれまでFRAND条件に沿う提示をしていないことを述べるとともに、原告が、G社対案について協議したい場合や、FRAND条件に沿う対案を示したい場合は連絡をするよう求めた。(乙4の3) チ原告は、令和4年7月8日、G社に対し、原告当初提案はFRAND条件を満たすことや、G社対案はFRAND条件を満たさないことを主張しつつ、G社が真剣にライセンスを受ける意思があ の3) チ原告は、令和4年7月8日、G社に対し、原告当初提案はFRAND条件を満たすことや、G社対案はFRAND条件を満たさないことを主張しつつ、G社が真剣にライセンスを受ける意思があるとは思えない旨連絡した。 ツ原告は、令和4年8月17日、東京地裁に対し、先行保全事件の申立て (令和4年(ヨ)第22137号)をした。東京地裁は、令和5年6月30日、上記申立てを却下する旨の決定をした。(乙1)原告は、知財高裁に対し、上記決定を不服として即時抗告の申立て(令和5年(ラ)第10005号)をした。これに対し、知財高裁は、令和5年12月25日、原告の上記抗告を棄却する旨の決定をした。(乙29) テ G社は、令和5年2月15日、原告に対し、ドイツ訴訟の代理人を通じて、G社のスマートフォンの過去の販売数量の情報を収集していること、過去の販売分とライセンス契約が締結されるまでの期間に対応するFRANDロイヤリティをカバーするための担保金を提供する予定であることを内容とするレターを送付し、同年3月14日、G社のLTEスマートフォ ンの過去のグローバルの販売数量を開示した。(乙63、65) ト原告は、令和5年6月30日、ドイツ訴訟の代理人を通じて、再度、ライセンス条件を提案(以下「原告再提案①」という。)した(甲28、29)。また、ドイツ訴訟における秘密保持の制度を利用して、G社と同じく携帯端末を製造販売するハンドセットメーカーに対する比較可能な既存のライセンス契約を証拠として提出した。原告再提案①の内容は、ライセ ンス対象特許を、SEPのみとする場合と非SEPを含む場合とに分けた上、ライセンス条件概要書のロイヤリティ料率を基準として、これを値下げする内容であった(甲28、29)。 ナ原告 、ライセ ンス対象特許を、SEPのみとする場合と非SEPを含む場合とに分けた上、ライセンス条件概要書のロイヤリティ料率を基準として、これを値下げする内容であった(甲28、29)。 ナ原告は、令和5年8月17日、本件訴訟を提起した。 ニ原告とG社は、令和5年9月12日、ビデオ会議を行った(甲28)。 G社は、ビデオ会議において、原告の提案の算定内容には問題があることのほか、原告から提示を受けた既存のライセンス契約が比較可能なものとはいえないことを指摘した。また、G社は、ライセンス有効期間中の予測を含む最新の販売数量を提供したところ、原告は、これをもとに一括提案を作成することを希望した。 ヌ原告は、令和5年9月21日、G社に対し、前記ニのやり取りを受けて、一括払いによるロイヤリティ額の提案(以下「原告再提案②」という。)を行った。その内容は、原告再提案①(前記ト)で提案したライセンス料率を維持したまま、支払方法として一括払いを提案するものであった。(甲28、30) ネ G社は、令和5年9月25日、原告再提案②(前記ヌ)に対し、原告の提案するライセンス料率がFRAND条件ではないなどと指摘し、追って対案を提示する予定である旨回答した。(甲28)ノ原告は、令和5年10月9日、G社に対し、代理人間協議において、ロイヤリティの一部支払とG社保有特許の譲渡を組み合わせるような提案が あれば検討することを伝えた。(甲31) ハ G社は、令和5年11月、原告とビデオ会議を開催し、対案(以下「G社再提案」という。)を提示した。G社再提案の内容は、令和8年末までの一括払金額を●(省略)●ドル、特許の存続期間までの一括払金額●(省略)●ドルとするものであったが、同案は、G社対案(前記セ)の基準額 提案」という。)を提示した。G社再提案の内容は、令和8年末までの一括払金額を●(省略)●ドル、特許の存続期間までの一括払金額●(省略)●ドルとするものであったが、同案は、G社対案(前記セ)の基準額を維持した上、G社の製品の販売見込み額が変わったことを受けて一時金 の支払金額を増額するとともに、10%ロイヤリティを増額させたものであった。(甲28、32)ヒ原告は、令和6年2月10日、G社再提案(前記ハ)は、売上予測の調整によるものでその基礎となる算定方法は変わっていないなどとして、これを拒絶した。(甲28) フ当裁判所は、令和6年7月23日、本件の第3回弁論準備手続期日において、当事者双方に対し、侵害の心証を開示した上、和解勧告をし、日本の裁判所においてグローバルSEPポートフォリオを前提とした和解協議を行う意向があるかどうかを確認し、被告に対し、日本の裁判所において和解協議を行う意向がある場合には、同年9月6日までに、G社再提案の 内容を維持するかどうかも含め和解の方向性について検討し、具体的な案を提案するように求めた。これに対し、原告及び被告は、上記期日後、本件訴訟手続においてグローバルSEPポートフォリオを前提とした和解手続を行う意向がある旨を回答した。(顕著な事実)ヘ被告は、上記フの当裁判所からの指示を受けて、被告の和解案を提示し た。被告の和解案の内容は、端末1台当たりのロイヤリティ額●(省略)●ドルにG社及びその関連会社によるPixelPhone(全てのモデルを含む)の過去及び将来における想定販売台数の合計数を乗じて得られた額を基準とした一括払を提案するものであり、その金額はG社再提案と実質的に同一であった。(顕著な事実) ホ当裁判所は、令和6年9月30日、本件の第4回弁論 販売台数の合計数を乗じて得られた額を基準とした一括払を提案するものであり、その金額はG社再提案と実質的に同一であった。(顕著な事実) ホ当裁判所は、令和6年9月30日、本件の第4回弁論準備手続期日にお いて、被告に対し、ライセンスを受ける意思がある場合には、大合議判決が示した算定方式(最終製品の売上高を算定の出発点とするものをいい、以下「大合議方式」という。)を踏まえ、比較アプローチをも参酌し、改めて和解案を提案するように求めた。(顕著な事実)マ被告は、上記ホの当裁判所からの指示を受けて、G社内で検討を重ねた が、裁判所から提案を受けた方法に基づいて更なる和解案を提出することは困難であるとし、その理由として、①本件は、大合議判決の事案とは異なり、対象製品であるG社の4G、5Gの製品群には遥かに多様なモデルが含まれているため、大合議方式をそのまま適用することは、算定を過度に複雑にするものであること、②被告和解案における提案内容は、大合議 方式に基づいた場合の案と同等であるか、むしろ、原告にとってより有利な内容であるなどと述べて、各侵害品の種類に応じた販売額及び販売数を一切開示しなかった。(顕著な事実)ミ当裁判所は、令和6年12月6日、本件の第5回弁論準備手続期日において、被告において裁判所が勧告した和解案を提出することはできないと 述べたことから、和解協議を打ち切った。(顕著な事実)⑶ 当てはめア前記認定事実によれば、原告の提案内容は、一貫して、侵害品の売上高を基準とし、これに標準必須特許の実施に対し受けるべき料率を乗じた上、原告の標準必須特許の保有割合を乗ずる算定方式を採用していたのに対し、 G社の提案内容は、一貫して、侵害品の販売台数を基準とし、これに一般的なスマート 許の実施に対し受けるべき料率を乗じた上、原告の標準必須特許の保有割合を乗ずる算定方式を採用していたのに対し、 G社の提案内容は、一貫して、侵害品の販売台数を基準とし、これに一般的なスマートフォン1台当たりの累積ロイヤリティ額一律●(省略)●ドルの固定額を乗じた上、原告の標準必須特許の保有割合を乗ずる算定方式を採用していたため、当事者双方が提示するライセンス条件に係る数値等に互換性がなかったことから、これ以上の調整が困難となり、原告及び被 告はライセンスの合意に至らなかったことが認められる。 そして、前記認定事実によれば、上記算定方式の相違に鑑み、裁判所は、当事者双方に対し、本件特許権侵害の心証を示した上、原告のグローバルSEPポートフォリオを対象とする和解を勧告したところ、当事者双方は、当該和解協議を日本の裁判所で行うことに同意したため、裁判所は、当事者双方が提示するライセンス条件に係る数値等に互換性がなかったことか ら、最終製品の売上高を算定の出発点とする大合議判決を基準として、上記和解協議を調整することとし、被告に対し、ライセンスを受ける意思がある場合には、大合議方式を踏まえ、和解案を提示するよう求めたことが認められる。 しかしながら、被告は、裁判所に対し、大合議方式によれば、算定が過 度に複雑になるため、和解案を提示することはできないと回答し、侵害品の販売額及び販売台数すら一切開示しなかったことが認められる。 そうすると、被告は、裁判所の和解勧告に同意したにもかかわらず、侵害品の販売額及び販売台数の開示を拒み、大合議方式による和解案を提示することなく、自らライセンス交渉の余地をなくしたのであるから、裁判 所による上記求めの文字どおり、被告には、ライセンスを受ける意思があるものと認め の開示を拒み、大合議方式による和解案を提示することなく、自らライセンス交渉の余地をなくしたのであるから、裁判 所による上記求めの文字どおり、被告には、ライセンスを受ける意思があるものと認めることはできない。 これらの事情の下においては、被告はFRAND条件によるライセンスを受ける意思を有しないという特段の事情があるものと認めるのが相当である。 したがって、原告が被告に対し本件特許権に基づく差止めを請求することは、権利の濫用として許されないということはできない。 イこれに対し、被告は、被告和解案の提示には合理性があるなどとして、ライセンスを受ける意思を有しないという特段の事情があるとはいえないと主張するため、以下検討する。 (ア)被告は、裁判所の求めに従って大合議方式に従った和解案を提示し なかった理由につき、G社の4G、5Gの製品群には多様なモデルが含まれている以上、大合議方式を適用した場合には、ロイヤリティ額の算定が過度に複雑となるとして、被告が大合議方式を基準とする和解協議を拒んだことに、合理的な理由がある旨主張する。 しかしながら、被告は、モデルの種類、価格の違いなどについて明ら かにしておらず、そもそも、どの程度算定が複雑となるのかについて具体性のある説明をするものではない。そして、原告の主張を前提とすれば、G社製品のうち、3G規格、4G(LTE)規格及び5G規格を採用し、原告のグローバルSEPポートフォリオを実装しているスマートフォン端末は、派生モデルを含めても全28製品程度にすぎず、大合議 方式を適用した場合に算定に手間が掛かること自体は否めないとしても、製品ごとの販売価格及び販売数量を確認しさえすれば、算定自体が困難であるということはできない。そうすると、被告が大合議 合議 方式を適用した場合に算定に手間が掛かること自体は否めないとしても、製品ごとの販売価格及び販売数量を確認しさえすれば、算定自体が困難であるということはできない。そうすると、被告が大合議方式を基準とする和解協議を拒んだことに合理的な理由を認めることはできない。 (イ)被告は、被告和解案の内容は大合議方式によるよりも原告にとって 有利な条件を提示するものであり、大合議判決の趣旨にも整合するから、被告の対応は何ら不合理なものではない旨主張する。 しかしながら、被告は、大合議方式を基準とする和解協議すら拒んだのであるから、大合議判決の趣旨にも整合するという被告の主張は、明らかに根拠を欠くというほかない。そして、被告は、裁判所からの求め にもかかわらず、侵害品の販売額及び販売台数の開示を拒み、裁判所に対し、被告和解案が原告にとって有利かどうかを実際に検討する余地すら与えなかったのであるから、被告の主張は、失当というほかない。 のみならず、被告和解案自体を検討しても、前記認定事実(セ、ハ、ヘ)及び証拠(乙17)並びに弁論の全趣旨によれば、G社又は被告は、 自社製品に限定されない一般的なスマートフォンの平均価格を前提とし て1台当たりの累積ロイヤリティ額を算出したものであり、G社又は被告の対象製品の実際の販売台数と販売価格を反映したものではない点において、大合議判決の趣旨に整合するものとはいえない。また、被告が主張する大合議方式と被告和解案との比較(前記第3の3(被告の主張)⑵エ)についても、被告製品への当てはめはPixelPhone の平均販売価格 を前提として算定するものであり、当該価格が実際の販売状況を反映させて算出されたものかどうか直ちに明らかではなく、各価格帯における販売数量の差異を反映 はPixelPhone の平均販売価格 を前提として算定するものであり、当該価格が実際の販売状況を反映させて算出されたものかどうか直ちに明らかではなく、各価格帯における販売数量の差異を反映するものではないことからしても、被告和解案が、大合議方式で算出した場合と比較して原告にとって有利な条件であるといえるかどうかは、不明といわざるを得ない。 (ウ)被告は、本件のように多種多様なモデルを対象としたライセンス契約においては、平均的なスマートフォンの価格を基準として、製品1台当たりの累積ロイヤリティ額(固定額)を算出することも十分に合理的であるなどとして、自らの提示する案の正当性を主張する。 しかしながら、当事者双方が提示するライセンス条件に係る数値等に 互換性がなかったことから、これ以上の調整が困難となっていたという経過等に鑑み、当事者双方が裁判所の和解勧告に応じたことをも踏まえ、裁判所において大合議方式に基づく和解案の提示を求めていたという本件の事情の下では、たとえ被告の提案内容に一定の合理性があったとしても、被告は自らライセンス交渉の余地をなくしたというほかなく、被 告の主張は、前記認定を左右するものとはいえない。 (エ)被告は、その他にも、大合議方式によることが困難な理由や被告和解案は大合議判決の考え方と整合するものであることも含め、対案の算定根拠等について適時に説明義務を尽くしてきたなどと縷々主張する。 しかしながら、被告和解案が、実際の被告の販売状況を反映するもの ではない点において大合議判決の考え方と整合しないことは、前記にお いて説示したとおりであり、他方、被告が、裁判所の和解勧告に一旦応じながらも、和解案を提示すること自体不可能ではなかったのに、裁判所からの求めにかかわらず、 と整合しないことは、前記にお いて説示したとおりであり、他方、被告が、裁判所の和解勧告に一旦応じながらも、和解案を提示すること自体不可能ではなかったのに、裁判所からの求めにかかわらず、その提示を拒んだという事情を踏まえると、適時に説明を尽くしてきたという上記の被告の主張は、上記認定に係る被告の不誠実な対応に照らすと、明らかに前提を欠くものである。 (オ)したがって、被告の主張は、いずれも採用することができない。 ウなお、原告は、当事者間での交渉経緯のみからもG社の不誠実な交渉態度は明らかであり、G社がFRAND条件によるライセンスを受ける意思を有しないという特段の事情がある旨主張するため、念のため、この点についても簡潔に判断を示しておくこととする。 前記認定事実に加え、証拠(乙9、15)及び弁論の全趣旨によれば、①G社は、原告に対し、FRAND条件によるライセンスを受ける意思の表明と同時にNDA締結に向けての交渉を申し入れ、令和2年11月19日までの間、継続的に原告と交渉をしたこと(同イないしエ)、②G社と原告は、G社NDA案9条についての見解が相違したため早期にNDAを 締結することができなかったものの、G社は、NDAの交渉が中断している間も、原告から開示を受けたクレームチャート等の検討をし、令和3年10月18日にはその検討を終えていること(同エ、コ)、③G社は、原告当初提案を受け、同提案が合理的なものであるとはいえない理由を、根拠を示しつつ指摘し、G社対案を提示していること(同セ)、④G社が行 った上記③の指摘自体は、その内容において特段不合理なものとは認められないこと、⑤原告は、G社の上記④の指摘に対して何ら説明をすることなく、原告当初提案のライセンス料率を維持し、G社の製品の販売状況 った上記③の指摘自体は、その内容において特段不合理なものとは認められないこと、⑤原告は、G社の上記④の指摘に対して何ら説明をすることなく、原告当初提案のライセンス料率を維持し、G社の製品の販売状況を反映した提案をするのみであったこと(同ソ)、⑥原告は、G社にライセンスを受ける意思がないと判断した旨連絡し、仮処分の申立てをするに至 っているが、G社の上記④の指摘に対して誠実に回答するなど交渉を進め るために取り得る方策を必ずしも果たしたとはいい難いこと(同ツ)、⑦G社は、その後も、本件訴訟手続と並行して原告と交渉を継続し、原告からのライセンス条件の提示に対応し、自らも複数回ライセンス条件の提示を行ったこと(同ト、ニないしヒ)、以上の事実が認められる。 上記認定事実によれば、G社及び被告は、原告からライセンスを受ける よう求められた際、速やかに真摯に協議する意思があることを表明して以降、NDAの締結、ライセンス対象となる特許の特定、当該特許の充足性及び有効性の確認、5G規格との対応関係の確認、ライセンス条件の確認ないし交渉その他の事情により時間を要したものの、原告とのライセンス交渉に対し、できる限りの対応をしていたといえる。そして、このような 交渉にもかかわらず、原告とG社又は被告が、ライセンスの合意に至らなかったのは、当事者双方が提示するライセンス条件に係る数値等に互換性がなかったことから、これ以上の調整が困難となったことを理由とするものであることは、前記において説示したとおりである。 これらの事情の下においては、少なくとも当事者間での交渉経緯のみに よっては、被告がFRAND条件によるライセンスを受ける意思を有しないという特段の事情があるものと認めることはできない。 したがって、原告の主張は、採用 少なくとも当事者間での交渉経緯のみに よっては、被告がFRAND条件によるライセンスを受ける意思を有しないという特段の事情があるものと認めることはできない。 したがって、原告の主張は、採用することができない。 5 その他被告は、原告の準備書面(原告その5)及び甲34号証ないし甲46号証の 提出について、民訴法157条に基づき、時機に後れて提出した攻撃又は防御の方法として却下されるべきであると主張するものの、前記において説示したところによれば、上記主張立証は、前記判断を左右するものではなく、訴訟の完結を遅延させることとなるものではないため、被告の主張は、採用の限りではない。 その他に、原告のビジネスにおける本件特許権の重要性及び迅速な権利実現 の必要性、本件特許権の存続期間、その執行により被告が被る不利益の程度、本件訴訟の審理経過、本件訴訟追行の態様その他の本件に現れた個別的諸事情を総合考慮すれば、職権で仮執行宣言を付するのが相当であるものの、被告が被る不利益に鑑み、原告が主文第3項掲記の担保を立てる限度でこれを認めるのが相当である。 第5 結論よって、原告の請求は理由があるからこれを認容することとし、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第40部 裁判長裁判官 中島基至 裁判官 武富可南 裁判官 坂本達也 (別紙)被告製品目録 以下の製品名のスマートフォンPixel 7 坂本達也 (別紙)被告製品目録 以下の製品名のスマートフォンPixel 7 以上 (別紙)特許権目録⑴ 特許番号特許第6401224号⑵ 発明の名称物理ハイブリッド自動再送要求指示チャネルのマッピング方法⑶ 出願日平成28年11月2日 ⑷ 原出願日平成21年2月13日⑸ 優先日平成20年2月19日⑹ 登録日平成30年9月14日以上 (別紙)被告製品説明書(原告の主張)a 複数のPHICHグループにおいて、PHICHをOFDMシンボルにマッピングする方法であり、bOFDMシンボルは、複数のリソースエレメントグループを含み、 c それぞれのリソースエレメントグループは、4つのリソースエレメントを含み、d 前記方法は、PHICHが送信されるリソースエレメントグループの周波数領域インデックスを決定し、e 前記周波数領域インデックスは、𝑁𝐼𝐷𝑐𝑒𝑙𝑙・n𝑙 𝑖′/n′0又は𝑁𝐼𝐷𝑐𝑒𝑙𝑙・n𝑙 𝑖′/n1に従って決定され、𝑁𝐼𝐷𝑐𝑒𝑙𝑙はセルIDであり、 f n𝑙 𝑖′は、PHICHグループのi番目の反復のPHICHが送信される時間領域インデックス𝑙′𝑖を有するOFDMシンボルにおける利用可能なリソースエレメントグループの個数であり、iは、0から2までの整数であり、n0またはn1は、サブフレームのインデックス0を有する第1のOFDMシンボルの利用可能なリソースエレメントグループの個数、または、サブフレームのインデック ス1を有する第2のOFDMシンボルの利用可能なリソースエ フレームのインデックス0を有する第1のOFDMシンボルの利用可能なリソースエレメントグループの個数、または、サブフレームのインデック ス1を有する第2のOFDMシンボルの利用可能なリソースエレメントグループの個数であり、g 前記PHICHは、1つ、2つ又は3つのOFDMシンボルにより送信され、h 前記PHICHが1つのOFDMシンボルにより送信される場合は、前記時間領域インデックス𝑙′𝑖=0であり、前記PHICHが2つのOFDMシンボル により送信される場合は、前記時間領域インデックス𝑙′𝑖=(⌊𝑚′/2⌋+ 𝑖+1) 𝑚𝑜𝑑2であり、𝑚′は、PHICHを含むPHICHグループのインデックスを表し、前記PHICHが3つのOFDMシンボルにより送信される場合は、前記時間領域インデックス𝑙′𝑖=iであり、 i 利用可能なリソースエレメントグループは、OFDMシンボルのPHICHの 送信に使用できるリソースエレメントグループであり、j 前記決定がされる周波数領域インデックスに応じてPHICHをOFDMシンボルにマッピングする方法。 k 構成a〜jの方法を実行し、スマートフォンに多重化された信号を送信する、l マルチキャリアセルラ移動通信システムの基地局。 m 構成k、lの構成を備える基地局から、a〜jの方法を用いて形成され多重化された信号を受信する、n マルチキャリアセルラ移動通信システムのスマートフォン。 以上
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