昭和32(う)638 関税法物品税法違反被告事件

裁判年月日・裁判所
昭和32年9月10日 東京高等裁判所 棄却
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【DRY-RUN】主    文      本件控訴はこれを棄却する。      当審における訴訟費用は全部被告人の負担とする。          理    由  本件控訴の趣意は末尾添附の弁護人高橋正雄提出の控訴趣意書

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判決文本文2,110 文字)

主文 本件控訴はこれを棄却する。 当審における訴訟費用は全部被告人の負担とする。 理由 本件控訴の趣意は末尾添附の弁護人高橋正雄提出の控訴趣意書記載のとおりであるからここにこれを引用する。これに対する当裁判所の判断は左のとおりである。 控訴趣意第一、二点について。 <要旨第一>憲法第二九条は一般に財産権の不可侵を認めつつ、しかもこれを絶対的のものとせず、公共の福祉のために</要旨第一>は制限を受けるものであることを認め、更にこれを公共のために用いる場合には正当な補償をもつてしなければならないことを保障した規定であり、関税法第一一八条第二項は同条第一項と相俟つて同法第一〇九条から第一一一条までの犯罪に係る貨物を没収し、又は没収することのできない場合においてその物の犯罪の行われた時の価格に相当する金額を追徴する旨を規定しているもので、その趣旨は、国が同法第一〇九条乃至第一一一条の犯罪に係る貨物又はこれに代るべき価格が犯人の手に存在することを禁止し、もつて右各法条による取締を励行しようとするに出たものであるから、同法第一一八条第二項の規定するところは憲法第二九条の保障<要旨第二>する範囲外の事項に関するものであり、なんら同条に違反するものではない、又関税法第一一八条第二項の規</要旨第二>定する没収しないものの犯罪が行われた時の価格とは、そのものの犯罪が行われた当時における国内卸売価格をいうものと解すべきであるから、没収しない犯罪貨物が物品税法所定の課税物件であり、しかも物品税法に違反して物品税を免がれているものであるときは、その物品税相当額をも加算してその犯罪が行われた時の価格を算定すべきことは当然であつて、原判決が被告人の判示一、の所為はいずれも関税法第一一〇条第一項第一号(関税を免 を免がれているものであるときは、その物品税相当額をも加算してその犯罪が行われた時の価格を算定すべきことは当然であつて、原判決が被告人の判示一、の所為はいずれも関税法第一一〇条第一項第一号(関税を免かれる罪)同法第一一一条第一項(許可を受けないで輸入する罪)及び物品税法第一八条第一項第二号前段(物品税を免かれる罪)の各罪の想像的競合の関係にある所為であると認め、右関税法違反の罪の犯罪貨物の価格を追徴するにあたり、そのものの物品税相当額をも加算した金額によつて追徴金額を算定しているのは、関税法第一一八条第二項の規定の趣旨とするところに従つて追徴を科しているものというべく、なんら、その趣旨を逸脱しているもの認められないから、原判決は憲法第二九条に違反するものではなく、又関税法、物品税法の解釈適用を誤つたものでもない。しからば原判決には所論のような違法はなく論旨は理由がない。 同第四点について。 関税法第一一八条第二項の規定する没収しないものの犯罪が行われた時の価格とは前記のようにそのものの犯罪が行われた当時における国内卸売価格をいうものと解すべきであるから、その犯罪貨物が許可を受けないで輸入した貨物である場合におけるそのものの犯罪が行われた時の価格は、その貨物の到着価格に関税及び物品税を合算した額にその一定の割合による利潤を加算して算定するを相当とし、単にその貨物の到着価格、関税、及び物品税の合計額によるべきものではない。そして原判決は判示事実を認定する証拠として大蔵事務官作成の鑑定表を挙示しており、この鑑定表には被告人が所定の許可なくして譲受けた原判示一、の貨物の国内卸売価格として、その貨物の到着価格関税、及び物品税を合算した額に更に利潤としてその二割を加算した額を相当額として鑑定する旨の記載があることが認められるので、原判決の被告人 た原判示一、の貨物の国内卸売価格として、その貨物の到着価格関税、及び物品税を合算した額に更に利潤としてその二割を加算した額を相当額として鑑定する旨の記載があることが認められるので、原判決の被告人に科した追徴金額はこの鑑定表によつたものとみることができるのであるが、原審第二回公判調書によれば、右鑑定表は同公判期日において被告人並びに弁護人がこれを証拠とすることに同意した書面であることが認められるのみならず、鑑定の対象となつた原判示一、の貨物の品質、性能、国内需要度、国内に対する供給量等からみて二割の利潤を加算することは、適正利潤の範囲を超えないものと認められるのであるから、原判決が右鑑定表により原判示一、の貨物の犯罪が行われた時の価格を認定し、これに相当する金額を被告人に対する追徴金額としているのは、相当であるといわねばならない。そこでこの原判決の引用した右鑑定表による原判示一、の貨物の国内卸売価格を合算するにその合計額は金一五万一七四〇円となること算数上明らかであるから、原判決が関税法第一一八条第二項により、被告人に対し、右金額に相当する金額の追徴を言渡していることは正当であり、原判決にはなんら所論のような理由のくいちがいはなく、論旨は理由がない。 (その余の判決理由は省略する。)(裁判長判事加納駿平判事吉田作穂判事山岸薫一)

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