令和4(行ヒ)150 納骨堂経営許可処分取消、納骨堂経営変更許可処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
令和5年5月9日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 大阪高等裁判所 令和3(行コ)77
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判決文本文8,960 文字)

- 1 -令和4年(行ヒ)第150号納骨堂経営許可処分取消、納骨堂経営変更許可処分取消請求事件令和5年5月9日第三小法廷判決 主文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理由 上告代理人夏住要一郎、同高坂佳郁子、同増田拓也の上告受理申立て理由について 1 本件は、大阪市長が、宗教法人であるA寺(以下「本件法人」という。)に対し、墓地、埋葬等に関する法律(以下「法」という。)10条の規定により、納骨堂の経営の許可(以下「本件経営許可」という。)及びその施設の変更の許可(以下「本件変更許可」といい、本件経営許可と併せて「本件各許可」という。)をしたところ、同納骨堂の周辺に居住する被上告人らが、上告人を相手に、本件各許可の取消し(被上告人X5及び同X6にあっては本件変更許可の取消しを除く。 以下同じ。)を求める事案である。 2 原審の適法に確定した事実関係等の概要は、次のとおりである。 法10条は、1項において、墓地、納骨堂又は火葬場(以下「墓地等」という。)を経営しようとする者は、都道府県知事(市又は特別区にあっては、市長又は区長。以下同じ。)の許可を受けなければならない旨を規定し、2項において、1項の規定により設けた墓地の区域又は納骨堂若しくは火葬場の施設(以下「墓地の区域等」という。)を変更しようとする者も、同様とする旨を規定する。 墓地、埋葬等に関する法律施行細則(昭和31年大阪市規則第79号。以下「本件細則」という。)8条は、本文において、市長は、法10条の規定による許可の申請があった場合において、当該申請に係る墓地等の所在地が、学校、病院及び人- 2 -家の敷地からおおむね300m以内の場所にあ 」という。)8条は、本文において、市長は、法10条の規定による許可の申請があった場合において、当該申請に係る墓地等の所在地が、学校、病院及び人- 2 -家の敷地からおおむね300m以内の場所にあるときは、当該許可を行わないものとすると規定し、ただし書において、市長が当該墓地等の付近の生活環境を著しく損なうおそれがないと認めるときは、この限りでないと規定する。 本件法人は、平成28年4月、大阪市a区所在の土地(以下「本件土地」という。)を購入した。 大阪市長は、本件法人の申請を受けて、平成29年2月27日付けで、本件法人に対し、法10条1項の規定により、本件土地において鉄筋コンクリート造地上6階建て(高さ24.5m、建築面積281.32㎡)の納骨堂(以下「本件納骨堂」という。)を経営することを許可した(本件経営許可)。 そして、大阪市長は、本件法人の申請を受けて、令和元年11月26日付けで、本件法人に対し、法10条2項の規定により、本件納骨堂の施設を変更すること(納骨堂の面積の拡張等)を許可した(本件変更許可)。 被上告人らは、いずれも、本件土地から直線距離で100m以内に所在する建物に居住している者である。 3 原審は、本件納骨堂からおおむね300m以内の人家に居住する被上告人らは本件各許可の取消しを求める原告適格を有すると判断し、第1審判決のうち被上告人らの訴えを却下した部分を取り消して、同部分につき本件を第1審に差し戻した。所論は、原審の上記判断には、法令の解釈適用の誤り及び判例違反があるというものである。 行政事件訴訟法9条は、取消訴訟の原告適格について規定するが、同条1項にいう当該処分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」とは、当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され、又は必 訟法9条は、取消訴訟の原告適格について規定するが、同条1項にいう当該処分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」とは、当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され、又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうのであり、当該処分を定めた行政法規が、不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず、それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には、このような利益もここにいう法律上保護された利益に当たり、当該処- 3 -分によりこれを侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者は、当該処分の取消訴訟における原告適格を有するものというべきである。 そして、処分の相手方以外の者について上記の法律上保護された利益の有無を判断するに当たっては、当該処分の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮し、この場合において、当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たっては、当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌し、当該利益の内容及び性質を考慮するに当たっては、当該処分がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案すべきものである(同条2項、最高裁平成16年(行ヒ)第114号同17年12月7日大法廷判決・民集59巻10号2645頁参照)。 上記の見地に立って、被上告人らが本件各許可の取消しを求める原告適格を有するか否かについて判断する。 ア法は、墓地等の管理及び埋葬等が、国民の宗教的感情に適合し、かつ、公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障なく行われることを目的とし(1条)、 しを求める原告適格を有するか否かについて判断する。 ア法は、墓地等の管理及び埋葬等が、国民の宗教的感情に適合し、かつ、公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障なく行われることを目的とし(1条)、10条において、墓地等を経営し又は墓地の区域等を変更しようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない旨を規定する。同条は、その許可の要件を特に規定しておらず、それ自体が墓地等の周辺に居住する者個々人の個別的利益をも保護することを目的としているものとは解し難い(最高裁平成10年(行ツ)第10号同12年3月17日第二小法廷判決・裁判集民事197号661頁参照。以下、この判決を「平成12年判決」という。)。 もっとも、法10条が上記許可の要件を特に規定していないのは、墓地等の経営が、高度の公益性を有するとともに、国民の風俗習慣、宗教活動、各地方の地理的条件等に依存する面を有し、一律的な基準による規制になじみ難いことに鑑み、墓地等の経営又は墓地の区域等の変更(以下「墓地経営等」という。)に係る許否の- 4 -判断については、上記のような法の目的に従った都道府県知事の広範な裁量に委ね、地域の特性に応じた自主的な処理を図る趣旨に出たものと解される。そうすると、同条は、法の目的に適合する限り、墓地経営等の許可の具体的な要件が、都道府県(市又は特別区にあっては、市又は特別区)の条例又は規則により補完され得ることを当然の前提としているものと解される。 そして、本件細則8条は、法の目的に沿って、大阪市長が行う法10条の規定による墓地経営等の許可の要件を具体的に規定するものであるから、被上告人らが本件各許可の取消しを求める原告適格を有するか否かの判断に当たっては、その根拠となる法令として本件細則8条の趣旨及び目的を考慮すべきである。 イ本件細則8 的に規定するものであるから、被上告人らが本件各許可の取消しを求める原告適格を有するか否かの判断に当たっては、その根拠となる法令として本件細則8条の趣旨及び目的を考慮すべきである。 イ本件細則8条本文は、墓地等の設置場所に関し、墓地等が死体を葬るための施設であり(法2条)、その存在が人の死を想起させるものであることに鑑み、良好な生活環境を保全する必要がある施設として、学校、病院及び人家という特定の類型の施設に特に着目し、その周囲おおむね300m以内の場所における墓地経営等については、これらの施設に係る生活環境を損なうおそれがあるものとみて、これを原則として禁止する規定であると解される。そして、本件細則8条ただし書は、墓地等が国民の生活にとって必要なものであることにも配慮し、上記場所における墓地経営等であっても、個別具体的な事情の下で、上記生活環境に係る利益を著しく損なうおそれがないと判断される場合には、例外的に許可し得ることとした規定であると解される。 そうすると、本件細則8条は、墓地等の所在地からおおむね300m以内の場所に敷地がある人家については、これに居住する者が平穏に日常生活を送る利益を個々の居住者の個別的利益として保護する趣旨を含む規定であると解するのが相当である。 ウしたがって、法10条の規定により大阪市長がした納骨堂の経営又はその施設の変更に係る許可について、当該納骨堂の所在地からおおむね300m以内の場所に敷地がある人家に居住する者は、その取消しを求める原告適格を有するものと- 5 -解すべきである。所論引用の平成12年判決は、周辺に墓地及び火葬場を設置することが制限される施設の類型や当該制限を解除する要件につき、条例中に本件細則8条とは異なる内容の規定が設けられている場合に関するものであって、事案を異にし、 年判決は、周辺に墓地及び火葬場を設置することが制限される施設の類型や当該制限を解除する要件につき、条例中に本件細則8条とは異なる内容の規定が設けられている場合に関するものであって、事案を異にし、本件に適切でない。 なお、原審は、納骨堂の構造設備の基準として周囲に塀を設けること等を規定する本件細則10条2号の趣旨及び目的をも参酌して、納骨堂の周辺に居住する者が上記許可の取消しを求める原告適格を有するとするが、同号は、納骨堂が静穏な環境の下で死者を追悼する施設となることを確保し、これを利用する者の利益を保護する趣旨の規定であると解されるから、納骨堂の周辺に居住する者に上記原告適格を認める根拠となるものではない。 エ前記事実関係等によれば、被上告人らは、いずれも、本件納骨堂の所在地からおおむね300m以内の場所に敷地がある人家に居住している者に当たるから、本件細則8条を根拠として、本件各許可の取消しを求める原告適格を有するものということができる。 5 以上のとおりであるから、被上告人らが本件各許可の取消しを求める原告適格を有するとした原審の判断は、結論において是認することができる。論旨は採用することができない。 よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。なお、裁判官林道晴の補足意見、裁判官宇賀克也の意見がある。 裁判官林道晴の補足意見は、次のとおりである。 私は、多数意見に賛同するものであるが、宇賀裁判官の意見があることを踏まえ、多数意見の趣旨につき補足して意見を述べておきたい。 本件において、被上告人らの原告適格を肯定するため平成12年判決を変更する必要がないことの理由は、直接的には、多数意見の指摘するとおり、平成12年判決で問題となった条例と本件細則8条の規定ぶりが異なることにあるが、実質的にみれば、平成12 るため平成12年判決を変更する必要がないことの理由は、直接的には、多数意見の指摘するとおり、平成12年判決で問題となった条例と本件細則8条の規定ぶりが異なることにあるが、実質的にみれば、平成12年判決が平成16年法律第84号による行政事件訴訟法の改正前- 6 -の事案であることを見逃すことはできない。上記改正により、取消訴訟の原告適格について規定した同法9条に2項が追加されたところ、同項は、国民の権利利益の救済範囲の拡大を図る観点から、処分又は裁決の相手方以外の者(以下「第三者」という。)の原告適格が適切に判断されることを一般的に担保するため、裁判所が考慮すべき事項を法定したものである。被上告人らのような第三者の原告適格については、上記改正後は、上記のような同項が追加された趣旨を踏まえ、より柔軟な判断が求められることになったというべきである。 なお、宇賀裁判官は、訴訟の入口である原告適格の問題を判断するためだけに数年単位の期間を費やすことは望ましくない旨を指摘するところ、この点については傾聴に値するというべきであろう。第三者の原告適格については、前記のとおり、行政事件訴訟法9条2項が追加された趣旨を踏まえた適切な判断が求められるところであって、審理を担当する裁判所としては、そのような判断に必要な限度を超えた主張立証が漫然と継続されることのないよう、十分に留意すべきである。 裁判官宇賀克也の意見は、次のとおりである。 私は、被上告人らが本件各許可の取消しを求める原告適格を有するとする多数意見の結論に賛成するものであるが、その理由を異にするので、以下、意見を述べる。 1 多数意見は、墓地の周辺住民の原告適格を否定した平成12年判決について、本件とは事案を異にするので、変更する必要はないという前提に立つ。 しかし、本件で平成12年判 ので、以下、意見を述べる。 1 多数意見は、墓地の周辺住民の原告適格を否定した平成12年判決について、本件とは事案を異にするので、変更する必要はないという前提に立つ。 しかし、本件で平成12年判決を変更せず、専ら本件細則の解釈により原告適格の有無を判断すると、今後、他の地方公共団体における墓地経営等の許可につき取消訴訟が提起された場合、その都度、条例又は規則の規定の仕方に応じた解釈を要することとなり、訴訟の入口である原告適格の判断だけのために数年争われ、本案審理に更に数年を要するという非生産的な事態は解消されない。そして、規定の僅かな表現の差異という立法上の偶然(同じことを念頭に置いていても「公衆衛生」と表現するか「付近の生活環境」と表現するか等)により、あるいは、同じ内容が定められていても、それが条例や規則で定められているか要綱で定められているか- 7 -の違いにより、「当該法令と目的を共通にする関係法令」(行政事件訴訟法9条2項)に当たるかに差異が生じ、地方公共団体ごとに原告適格の有無が異なるという事態が生じ得る。 2 私は、取消訴訟の原告適格について、当審の判例とされているいわゆる法律上保護された利益説の立場に立っても、(なお、私は、本件のような特定施設の周辺住民が不利益を被っていると主張して取消訴訟を提起する事案において、個別保護要件を設けること自体に懐疑的であるが、ここでは、そのことはおくとしても)以下の理由により、法10条自体が周辺住民の個別的利益を保護しており、周辺住民に墓地経営等の許可の取消しを求める原告適格は認められると考える。 許可制度を設けるということは、申請に対して諾否の応答を行政庁が義務付けられることを意味するので(行政手続法2条3号)、諾否の応答の基準を想定しない許可制度はあり得ないといえよう。本来、 考える。 許可制度を設けるということは、申請に対して諾否の応答を行政庁が義務付けられることを意味するので(行政手続法2条3号)、諾否の応答の基準を想定しない許可制度はあり得ないといえよう。本来、許可制度を設けながら、許可の要件を法律に全く規定しないことは、法律の留保における規律密度の観点から問題であり、地方の実情に配慮した柔軟な要件とすることが望ましい場合であっても、骨格的な要件は法律自体に明示すべきであるといえる。しかし、それが明示されていないゆえに、法10条は、墓地経営等による不利益を被る者の原告適格を認めていないと解するとすれば、いわゆる法律上保護された利益説は、いわゆる(裁判上)保護に値する利益説からの批判に耐えることはできなくなると思われる。取り分け、法10条は、許可要件を条例に委任しているわけではないので、都道府県又は市若しくは特別区が、条例又は規則で許可要件を定めず、審査基準を要綱等のように、法令としての性格を有しないもので定めるにとどまることもあり得るのであり、その場合には、行政事件訴訟法9条2項の「関係法令」として原告適格を認めることが困難になると思われる。 したがって、墓地経営等の許可について、法は要件を一切定めていないが、法の合理的解釈により、法1条の目的に合致しない申請、すなわち、国民の宗教的感情に適合せず又は公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障を及ぼすおそれがある申- 8 -請は許可しないという要件が存在していると解するべきである(このような考え方につき、最高裁昭和57年(行ツ)第149号同60年12月17日第三小法廷判決・裁判集民事146号323頁参照)。 法1条の「国民の宗教的感情」について、墓地等の経営が許可されることにより宗教的感情に影響を受けるのは、何よりも周辺住民であり、また、「公衆衛生 三小法廷判決・裁判集民事146号323頁参照)。 法1条の「国民の宗教的感情」について、墓地等の経営が許可されることにより宗教的感情に影響を受けるのは、何よりも周辺住民であり、また、「公衆衛生その他公共の福祉の見地」から支障が生ずるおそれがあるのも、周辺住民である。我が国の近代墓地法制の嚆矢を成す「墓地及埋葬取締規則」(明治17年10月4日太政官布達第25号)の施行方法細目標準(同年11月18日内務省達乙第40号)2条が、墓地は人家から約60間以上の距離をとらなければならないと定めていたことも、墓地法制の目的となる公衆衛生とは、周辺住民の衛生にほかならないことを物語っている。 このように、墓地経営等の許可により個別具体的な影響を受けるのは周辺住民であるから、周辺住民の利益を一般的公益の中に吸収解消して周辺住民の原告適格を否定すべきではない。法10条が保護する利益について公益と称することがあるとしても、それは周辺住民の個別的な利益の集積、総合であって、一般的公益に吸収解消されるものではないのである。念のために付言すれば、墓地等の公益性は、本案の判断に当たって考慮要素になるものの、誰が許可処分を争うことができるかという原告適格の判断で問題になる公益とは異なるものである。 3 平成12年判決が周辺住民の原告適格を否定する根拠の一つは、当時の大阪府墓地等の経営の許可等に関する条例7条1号が、周辺に墓地及び火葬場を設置することが制限されるべき施設を住宅、事務所、店舗を含めて広く規定していることである。平成12年判決は、同号が定める学校、病院については原告適格を否定する説示において言及していないので、学校、病院のように少数の限定された施設については、当該施設の設置者の有する個別的利益を特に保護しようとする趣旨と解し得るが、住宅、事務所、店 ては原告適格を否定する説示において言及していないので、学校、病院のように少数の限定された施設については、当該施設の設置者の有する個別的利益を特に保護しようとする趣旨と解し得るが、住宅、事務所、店舗のように広範に存在するものについては、一定の広がりのある地域の良好な風俗環境を一般的に保護しようとする趣旨と解したものと- 9 -思われる。しかし、このような考え方によれば、墓地等の周辺300m以内に学校又は病院が存在しない場合には、法1条の目的に反する墓地等の経営が違法に許可された場合であっても、誰もそれを訴訟で争うことができないという法治国家にあるまじき状態が生ずることになってしまう。同条例が、そのような事態を想定して、7条1号を設けたと解するのは不合理である。 また、平成12年判決は、上記条例7条1号が「ただし、知事が公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障がないと認めるときは、この限りでない。」と定めていることは、制限の解除が専ら公益的見地から行われることを意味するから、同号が個別的利益を保護する趣旨とはいえないとしている。しかし、「公衆衛生その他公共の福祉」という文言を個別的利益と離れた公益を保護する趣旨と解すること自体が問題であることは、先に述べたとおりである。したがって、同号ただし書も、知事が、周辺住民の個別的利益が害されるおそれがないと認めるときに例外的に許可する趣旨の規定と解すべきであり、知事が、この点に関する判断を誤り、周辺住民の宗教的感情や衛生状態を害するような墓地等の経営を許可すれば、周辺住民には、その取消しを求める原告適格が認められなければならない。 4 以上に述べたように、平成12年判決は、法令の文言の形式的解釈に拘泥し紛争の実質を考慮していないものといわざるを得ず、取り分け平成16年法律第84号による改正後の が認められなければならない。 4 以上に述べたように、平成12年判決は、法令の文言の形式的解釈に拘泥し紛争の実質を考慮していないものといわざるを得ず、取り分け平成16年法律第84号による改正後の行政事件訴訟法9条2項により「当該処分又は裁決の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく」解釈することが義務付けられた現在においては、変更を免れないものと考えられる。 5 原告適格が認められる者の範囲は、詳細な主張立証を経ることなく簡明な方法で判定すべきであるから、その判断に当たっては、各地方公共団体の条例、規則、要綱の定めを参考にすべきである。本件各許可についていえば、本件細則8条において、申請に係る墓地等の所在地が学校、病院及び人家の敷地からおおむね300m以内の場所にあるときは、法10条の規定による許可を行わないものとすると規定されていることに鑑み、上記人家に居住する者については、その取消しを求- 10 -める原告適格を認めてよいと考える。 (裁判長裁判官林道晴裁判官宇賀克也裁判官長嶺安政裁判官渡惠理子裁判官今崎幸彦)

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