主文 1 京都府知事が平成29年9月30日付けで原告に対してした分限免職処分を取り消す。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求主文同旨第2 事案の概要本件は,平成29年4月1日付けで被告に条件付採用され(以下「本件条件付採用」という。),京都府A課に勤務していた原告が,京都府知事から同年9月3 0日付けで分限免職処分(以下「本件分限免職処分」という。)を受けたことから,これを不服として,被告に対し,本件分限免職処分には裁量権の行使を誤った違法があると主張し,行政事件訴訟法3条2項に基づき,本件分限免職処分の取消しを求める事案である。 1 関係法令等の定め 本件に関係する法令等の定めは,別紙1のとおりである。 2 前提事実(争いのない事実及び後掲証拠から容易に認めることができる事実)⑴ 当事者ア原告は,平成28年10月,京都府上級職(大卒程度)の環境職技師としての採用が内定したのち,平成29年4月1日付けで,地方公務員法(平成 29年法律第29号による改正前のもの。以下同じ。)22条1項によって条件付採用され(本件条件付採用),同日以降,京都府A課に勤務していた京都府職員である。 イ被告は,地方公共団体である。なお,被告においては,地方公務員法29条の2第2項にいう条件付採用期間中の職員の分限に関する条例は制定さ れていない。 ⑵ 本件条件付採用前後の経緯ア原告は,本件条件付採用に先立つ平成28年当時,B大学(以下「B大学」という。)に在籍していた4回生であったが,同年7月12日付けで,B大学から,B大学の他の学生3名とともに,B大学の学生に対する懲戒処分としての停学(無期)処分(以下「本件 ,B大学(以下「B大学」という。)に在籍していた4回生であったが,同年7月12日付けで,B大学から,B大学の他の学生3名とともに,B大学の学生に対する懲戒処分としての停学(無期)処分(以下「本件無期停学処分」という。)を受け,同日以 降,その状態は継続していた。 イ原告は,平成28年10月頃までに被告に提出した身上書には,B大学を平成29年3月に卒業見込みである旨を記載していたが,同月末時点で,B大学を卒業しなかったため,B大学に無期停学中で在籍したままで本件条件付採用となった。 ウ被告の人事課(以下,単に「人事課」という。)は,遅くとも平成29年6月中旬頃に実施した原告との面談において,原告に対し,地方公務員に課せられた職務専念義務との関係から,速やかに退学手続をとるように指導をし,その後の同年8月下旬頃に実施した面談でも同趣旨の指導をしたが(ただし,その指導の一貫性等については,当事者間に争いがある。),原告は退学手続 をとることはなかった。 エ原告は,平成29年7月25日付けで,B大学から,本件無期停学処分を受けた前記アの学生3名とともに,B大学の学生に対する懲戒処分としての放学処分を受けた(以下「本件放学処分」という。ただし,原告が本件放学処分の存在を認識した時期等については争いがある。)。 その後の同年9月1日,原告は,人事課に対し,本件放学処分がされたことを証する放学証明書(乙12)を提出した。 ⑶ 原告に対する訓告京都府知事は,平成29年9月22日付けで,原告に対し,別紙2のとおり,職務専念義務を果たせるよう退学手続を求めた被告の指導に対して原告が虚 偽を述べて人事課職員を欺き,不誠実な対応を取り続けたものとして,被告に おける矯正措置としての訓告をした(以下「本 務専念義務を果たせるよう退学手続を求めた被告の指導に対して原告が虚 偽を述べて人事課職員を欺き,不誠実な対応を取り続けたものとして,被告に おける矯正措置としての訓告をした(以下「本件訓告」という。乙1)。 ⑷ 原告に対する本件分限免職処分京都府知事は,平成29年9月30日付けで,原告に対し,同日をもって本件条件付採用を取り消す旨の分限免職処分をした(本件分限免職処分。甲1)。 ⑸ 原告による本件訴訟の提起 原告は,平成29年12月26日,本件分限免職処分を不服として,京都地方裁判所に対し,本件分限免職処分の取消しを求める本件訴訟を提起した(当裁判所に顕著な事実)。 3 争点本件の争点は,本件分限免職処分に取り消すべき違法があるといえるか否かで ある。 第3 争点に対する当事者の主張(原告の主張) 1 判断枠組みについて⑴ 地方公務員である条件付採用期間中の職員に対する分限事由には,人事院規 則11-4(以下「本件人事院規則」という。)10条が準用されること公務員の条件付採用制度の趣旨,目的は,職員の採用に当たり行われる競争試験又は選考の方法が,なお,職務を遂行する能力を完全に実証するとはいい難いことに鑑み,試験等により一旦採用された職員の中に適格性を欠く者があるときは,その排除を容易にし,もって,職員の採用を能力の実証に基づいて 行うとの成績主義(能力実証主義)の原則を貫徹しようとすることにある。かかる条件付採用制度の趣旨,目的に加えて,条件付採用期間中の職員にも適用される国家公務員法33条1項,地方公務員法15条が「職員の任用は,この法律の定めるところにより,受験成績,人事評価その他の能力の実証に基づいて行わなければならない。」と規定し,国家公務員法 も適用される国家公務員法33条1項,地方公務員法15条が「職員の任用は,この法律の定めるところにより,受験成績,人事評価その他の能力の実証に基づいて行わなければならない。」と規定し,国家公務員法74条1項,地方公務員法 27条1項が「すべて職員の分限及び懲戒については,公正でなければならな い。」と規定することからすれば,条件付採用期間中の職員の分限事由は,「職務遂行能力の実証に基づき,公務員としての適格性を欠くと認められた場合」に限定されるものである。 ここで,国家公務員の条件付採用期間中の職員の分限については,国家公務員法81条2項を受けた本件人事院規則10条が,上記の「職務遂行能力の実 証に基づき,公務員としての適格性を欠くと認められた場合」を同条2号から4号までに類型化して規定している。他方,地方公務員たる条件付採用期間中の職員の分限については,地方公務員法29条の2は「条例で必要な事項を定めることができる。」と規定するところ,その条例が制定されていない場合でも,本件人事院規則10条の規定に準じて分限事由を考えることが,公務員法 の目的・精神及び条件付採用制度の意義に照らして相当であり,条件付採用期間中の職員は,本件人事院規則10条各号所定の分限事由に該当しない限り,分限を受けないという保障を受けるものである。 したがって,地方公務員法29条の2所定の条例を定めていない被告において,条件付採用期間中の職員に対する分限事由は,本件人事院規則10条が準 用され,同条1号に該当するほかは,同条2号ないし4号に該当し,「条件付採用期間中の職務遂行能力の実証に基づき,公務員としての適格性を欠くと認められた場合」に限定されるものと解すべきである。 ⑵ 条件付採用期間中の職員に対する分限事由の存否の判断に に該当し,「条件付採用期間中の職務遂行能力の実証に基づき,公務員としての適格性を欠くと認められた場合」に限定されるものと解すべきである。 ⑵ 条件付採用期間中の職員に対する分限事由の存否の判断についての任命権者の裁量は,比較的幅の狭いものとなること 条件付採用期間中の職員に対する分限処分については,任命権者に相応の裁量が認められるものの,純然たる自由裁量ではなく,その判断が合理性を持つものとして許容される限度を超えた不当なものであるときは,裁量権を誤った違法なものとなる。 そして,本件人事院規則10条各号に準じた前記⑴の分限事由の存否の判断 についても,任命権者に裁量権が認められるものの,その裁量の幅は狭いもの である。特に,本件人事院規則10条2号ないし4号の各前段が規定する事由については,任命権者が人事評価の基準及び方法に関する事項その他必要な事項を定め(地方公務員法23条の2第2項),人事評価を公正に行わなければならない(同法23条1項)ものとされていることから,上記各事由の内容及び有無の判断について任命権者に認められる裁量権の幅は,狭いものとなる。 2 本件分限免職処分には裁量権の行使を誤った違法があること⑴ 本件訓告を受けた原告が勤勉手当等の成績区分で下位に分類されることをもって人事評価を行ったとする被告の主張は,そもそも失当であること以下のとおり,本件訓告を受けた原告が勤勉手当等の成績区分で下位に位置付けられることをもって低い人事評価とする被告の評価手法は,地方公務員法 15条所定の人事評価ではなく,能力の実証を行ったものではない。したがって,本件訓告の理由とされた事実関係に立ち入るまでもなく,原告に分限事由があるとはいえず,本件分限免職処分には取り消されるべき違法 5条所定の人事評価ではなく,能力の実証を行ったものではない。したがって,本件訓告の理由とされた事実関係に立ち入るまでもなく,原告に分限事由があるとはいえず,本件分限免職処分には取り消されるべき違法がある。 ア人事評価とは,「任用,給与,分限その他の人事管理の基礎とするために,職員がその職務を遂行するに当たり発揮した能力及び挙げた業績を把握し た上で行われる勤務成績の評価」をいい(地方公務員法6条1項),一般に,国家公務員の人事評価は,「能力評価」(職員が勤務を遂行する中で,標準職務遂行能力の類型として,任命権者が定める項目ごとに,当該職員が発揮した能力の程度を評価したもの)と「業績評価」(職員が職務を遂行するに当たり挙げた業績を評価したもの)に大別され,さらに,本件人事院規則10条 2号は,国家公務員である条件付採用期間中の職員の職務遂行能力の実証について,「特別評価」による能力評価によって行うものとされている。 ここで,被告の人事評価制度においては,「職務行動評価」(評価分野毎に,職員が京都府職員として期待される職務行動を行っているかを評価すること)及び「目的達成努力評価」(組織目標の達成に向けた職員の努力を評価す ること)により人事評価を行うものとされており,「職務行動評価」が能力評 価に,「目的達成努力評価」が業績評価にそれぞれ相当する(なお,被告では,条件付採用期間中の職員について,本件人事院規則10条2号所定の「特別評価」に相当する人事評価は行われていない。)。 そして,「職務行動評価」は平成29年4月1日から平成30年3月31日までを評価期間として実施されるため,評価期間の途中であった原告は, 「職務行動評価」を受けたことがない。そして,被告では,本件人事院規則10条2号にい 成29年4月1日から平成30年3月31日までを評価期間として実施されるため,評価期間の途中であった原告は, 「職務行動評価」を受けたことがない。そして,被告では,本件人事院規則10条2号にいう「特別評価」に相当する人事評価を行っていないのであるから,条件付採用期間中の職員の能力評価に当たっては,客観的に定められた基準,方法等による能力評価によって行われなければならないが,原告に対して上記の意味での能力評価が行われたことはない。このように,原告は, 条件付採用期間中に,職務遂行能力に欠けるとの評価を受けたことはない(なお,「目的達成努力評価」については,平成29年4月1日から同年9月30日を評価期間とするが,原告に対して評価結果は開示されていない。)。 イこれに対して,被告は,条件付採用期間中に本件訓告を受けた原告は被告における人事評価上,勤勉手当にあっては「良好でない」,査定昇給にあって は「やや不良」との成績区分とするなど低い評価となることから,本件訓告を受けた原告は条件付採用期間中に「その職務を良好な成績で遂行した」(地方公務員法22条1項)と認めることはできないなどと主張する。 しかしながら,被告の人事評価制度では,職務行動評価及び目的達成努力評価は,それぞれの評価項目につき基準,方法などを具体的に定めて,絶対 評価を行うものとされているところ,訓告がなされたことは,いずれの評価項目にもなっておらず,原告には,職務行動評価及び目的達成努力評価のいずれの評価もされていない。そして,上記人事評価制度では,絶対評価による人事評価の結果を相対化して,給与(勤勉手当,査定昇給)査定上の成績区分にあてはめ,給与に反映させるものとしているが,訓告を受けた者を給 与査定上の「良好でない(B)」 度では,絶対評価による人事評価の結果を相対化して,給与(勤勉手当,査定昇給)査定上の成績区分にあてはめ,給与に反映させるものとしているが,訓告を受けた者を給 与査定上の「良好でない(B)」あるいは,「やや不良(B)」の成績区分にあ てはめていることは,職員の給与に関する条例等で定められたところを,便宜上,記載したものにすぎず,人事評価の結果以外の事由を給与に反映させたものにすぎない。訓告がなされたことは,地方公務員法6条を受けて定められた被告の人事評価,すなわち勤務成績の評価ではなく,能力の実証を行ったものではない。そうすると,原告の本件訓告がなされ,勤勉手当等の成 績区分において下位に分類されることになるからといって,人事評価制度上,条件付採用期間中の職員の能力評価がおこなわれたものとはいえず,これにより,職務遂行能力の実証がなされなかったことにはならない。 ウまた,仮に,訓告がなされたことにより勤勉手当及び査定昇給の成績区分で下位に分類されることが,人事評価ないしは能力の実証に当たるとしても, これに基づき,原告が公務員としての適格性に欠け,「その官職に引き続き任用しておくことが適当でないと認められる場合」(本件人事院規則10条2号ないし4号各後段参照)と評価することは,合理性を持つものとして許容される裁量の限度を超えた不当な判断である。なぜなら,そもそも訓告は,地方公務員法29条に定める懲戒処分ではなく,懲戒処分に至らない程度の 職員の義務違反に対し,反省を求め,将来の改善を促す矯正措置なのであるから,仮に,訓告がなされたことにより勤勉手当及び査定昇給において下位の成績区分に分類されることが,人事評価ないしは能力の実証に当たるとしても,これをもって,直ちに公務員としての適格性を欠くと評価 から,仮に,訓告がなされたことにより勤勉手当及び査定昇給において下位の成績区分に分類されることが,人事評価ないしは能力の実証に当たるとしても,これをもって,直ちに公務員としての適格性を欠くと評価することに合理性はないからである。そして,本件訓告後わずか1週間で,本件訓告を 理由に本件分限免職処分を行うことは,将来の改善を促す矯正措置である訓告の制度趣旨にも反しているというべきである。 ⑵ 本件訓告には事実誤認と評価の誤りが存在するため,原告が本件訓告を受けるべき理由はないこと前記⑴の点をおくとしても,被告が本件分限免職処分の前提とする本件訓告 には,以下のとおり,その理由とされた事実関係につき事実誤認や評価の誤り が存在しており,原告には本件訓告を受けるべき理由がない。したがって,この点からしても,原告には分限事由が存在しないものといえ,本件分限免職処分は取り消されるべき違法がある。 ア本件訓告には事実誤認が存在すること 被告は,平成29年4月以降,原告に対し,地方公務員に課せられた職 務専念義務との関係から速やかに退学手続をとるよう繰り返し指導したと主張する。 しかしながら,平成29年4月17日に原告が人事課に対して学費の関係でいまだ在学中であり,中退予定であるが退学の手続に1年かかる旨を述べた際には,人事課は,在籍期間証明の早期提出を指示したのみであっ た。また,同月18日に原告がB大学の在学証明書を人事課へ持参提出し,学費と単位の関係でB大学を卒業できない,中退は平成30年3月の見込みとなる旨を述べた際にも,人事課は,中退が決まり次第直ちに報告するよう指示したにとどまるものであった。これらの人事課の指示をもって,速やかに退学手続をとるようにとの指導がされていたとはいえない 込みとなる旨を述べた際にも,人事課は,中退が決まり次第直ちに報告するよう指示したにとどまるものであった。これらの人事課の指示をもって,速やかに退学手続をとるようにとの指導がされていたとはいえない。 また,人事課が原告に対して職務専念義務違反の可能性を示唆して,退学手続を求める指導を始めたのは,平成29年6月13日頃の面談であった。そして,人事課は,同面談では,原告に対して退学届を出すように求めていたが,同月23日頃の面談で,平成30年3月末にB大学を学費の滞納により除籍となるのを待ちたいとの原告を了承していたにもかかわ らず,それから1か月半以上も原告に連絡をしないまま経過した後の平成29年8月16日頃の面談に至って方針を変更し,やはり平成30年3月末の除籍までは待てないなどと述べ,原告に対して速やかに退学手続をとるよう求めるに至ったのである。 したがって,被告が,原告に対し,平成29年4月以降,速やかに退学 手続をとるよう繰り返し指導した事実はない。 被告は,原告が本件無期停学処分を受けているためB大学を自主退学できないにもかかわらず,そうした事実を隠し,学費の滞納により除籍となるのを待つしかないなどと虚偽の事実を述べたなどと主張する。 しかしながら,原告は,過去に複数回,B大学の教員又は事務職員から,無期停学中であっても自主退学はできると繰り返し聞いており,そのよう に認識していた。そして,原告は,平成29年6月下旬,学費を滞納したままでは退学届が受理されないことをB大学に確認し,その旨を人事課に報告して,「来年3月の除籍を待ちたい」と申し出たものである。 したがって,原告が,上記の被告主張のような事実を隠したことも,被告の職員に対して虚偽の事実を述べたこともな に確認し,その旨を人事課に報告して,「来年3月の除籍を待ちたい」と申し出たものである。 したがって,原告が,上記の被告主張のような事実を隠したことも,被告の職員に対して虚偽の事実を述べたこともない。 被告は,原告がB大学を平成29年7月28日に本件放学処分となったことを人事課に速やかに報告せず,同年8月29日の面談で尋ねられた際にもきちんと回答せず,同年9月1日に放学証明書を提出するまで,人事課に本件放学処分を秘匿し続けたと主張する。 しかしながら,原告がB大学から本件放学処分が出されることを知った のは,原告が同年8月21日にB大学に電話をしたときである。また,B大学からの本件放学処分の通知書は,大阪府豊中市の原告の当時の住所地には送付されておらず,原告は同通知書を受け取っていない。ただし,原告は,同年7月末日頃,友人から,原告以外の他の学生に対してB大学が本件放学処分をした旨を聞いていたため,人事課との同年8月16日頃の 面談で,「学籍問題が進展する可能性があるので,B大学に問い合わせる」と述べたものである。 そして,原告は,同月29日の面談で,B大学から学籍を失った証明書が出されると述べてB大学の学籍を失った旨を報告し,その後にB大学から放学証明書を取得して人事課に提出した。ここで,原告が上記面談で「放 学証明書」ではなく「学籍を失った証明書」と表現したのは,原告が,当 時,本件放学処分に納得しておらず,B大学から発行される予定であった証明書の様式及び内容が不明であったからにすぎない。また,被告にとっても,原告がB大学の学籍を失えば職務専念義務の問題は解消するのであるから,学籍を失った理由が除籍か放学かは重要な事実ではなかったはずである。 からにすぎない。また,被告にとっても,原告がB大学の学籍を失えば職務専念義務の問題は解消するのであるから,学籍を失った理由が除籍か放学かは重要な事実ではなかったはずである。 したがって,原告が本件放学処分となったことについて「速やかに報告せず」「きちんと回答せず」「秘匿し続けた」事実はない。 イ本件訓告には評価にも誤りがあること 被告は,本件訓告において,人事課が原告に対して平成29年4月以降,職務専念義務を果たせるように退学手続を求める指導を一貫して行った と評価するが,人事課は,同年6月23日頃の面談では,原告がB大学を除籍となるのを待つことに了承しながら,同年8月16日頃の面談で「方針を変更した」として退学手続を求めるに至ったものである。また,上記の方針変更の理由は,職務専念義務ではなく,学費を滞納して除籍を待つのは公務員としてふさわしくないというものであっ たのであるから,人事課の指導は一貫したものではなかった。 被告は,本件訓告において,原告が虚偽の事実を述べて人事課職員を欺原告は,虚偽の事実を述べたことはなく,人事課職員を欺くことなどしていない。 被告は,本件訓告において,原告が被告に対して不誠実な態度を取り続 けた告は,本件放学処分がされたことを確認した後,速やかに,人事課との面談で学籍を失ったことを報告し,放学証明書を提出したのであるから,誠実な対応をしていたものであり,不誠実な対応をとったことはない。 (被告の主張) 1 判断枠組み ⑴ 条件付採用期間中の職員に対する分限事由には限定がなく,任命権者が広範な裁量権を有すること地方公務員にあっては,臨時的任用又は非常勤職員の任用の場合を除き,職員の 判断枠組み ⑴ 条件付採用期間中の職員に対する分限事由には限定がなく,任命権者が広範な裁量権を有すること地方公務員にあっては,臨時的任用又は非常勤職員の任用の場合を除き,職員の採用は,全て条件付きのものとされ,その職員がその職において六月を勤務し,その間その職務を良好な成績で遂行したときに正式採用になる(地方公 務員法22条1項)。それゆえ,条件付採用期間中の職員は,いまだ正式採用されておらず,身分保障の適用がなく(地方公務員法29条の2第1項1号),法律で定める事由がなくても分限処分をすることができるとされ(同法27条2項の適用排除),勤務実績不良,心身の故障,適格性の欠如などに該当しなくても免職することができるものとされている(同法28条1項の適用排除)。 ところで,地方公務員法29条の2第2項は,条件付採用期間中の職員の分限について「条例で必要な事項を定めることができる」と規定している。この規定は,条件付採用期間中の職員については,正式採用された職員の分限に関する規定の適用がないとするのが法の原則であるところ,法の原則に対する例外として,分限の事由などを定めることを許容する規定である。このため,上 記規定に基づき,分限の基準を条例で定める場合でも,正式採用の職員の分限事項を定めた法の規定よりも緩やかであることが必要であり,正式採用の職員と同等の分限事由を定めるような場合には,適格性を欠く者の排除を容易にするという法の趣旨に反するので許されないことになるというべきである。そして,上記規定の趣旨に照らせば,地方公共団体が分限事由を限定する条例を設 けないことは,もとより自由であるといえる。したがって,分限事由を限定する条例を設けていない地方公共団体においては,条件付採用期間中の職員に対す ば,地方公共団体が分限事由を限定する条例を設 けないことは,もとより自由であるといえる。したがって,分限事由を限定する条例を設けていない地方公共団体においては,条件付採用期間中の職員に対する分限処分について,分限事由は限定されていない。 ⑵ 裁量権の行使の範囲は広範であること前記⑴のとおり,条件付採用期間中の職員に対する分限処分について,分限 事由を限定する条例を制定していない地方公共団体にあっては,分限事由に限 定はない。この場合に,分限事由を限定しないからといって,分限処分が恣意的であってよいわけでないことは当然であるから,「その職務を良好な成績で遂行した」といえるかについては,本件人事院規則10条が掲げる事由を参照して客観的に検討することは相当である。しかしながら,上記条例を制定せず分限事由を限定しないとした地方公共団体の意思に照らせば,同地方公共団体 における条件付採用期間中の職員に対する分限事由の内容として,本件人事院規則10条各号の規定よりも分限事由を緩やかに運用することは当然許容されるものであり,本件人事院規則10条各号がそのまま準用されるわけではなく,同条各号の規定に該当しない場合でも分限事由として合理性が認められる場合があるのは当然である。 したがって,条件付採用期間中の職員に対する分限処分について,分限事由を限定する条例を設けていない地方公共団体にあっては,分限事由は限定されず,分限事由の内容及びその有無の判断には,任命権者に広範な裁量権が認められ,任命権者の上記判断は,客観的に合理性を持つものとして許容される限度を超えた不当なものと認められる場合に限り,その裁量権の行使を誤った違 法があることになる。 2 原告に対する本件分限免職処分が適法であること⑴ 合理性を持つものとして許容される限度を超えた不当なものと認められる場合に限り,その裁量権の行使を誤った違 法があることになる。 2 原告に対する本件分限免職処分が適法であること⑴ 本件訓告を受けた原告は,人事評価上,「その勤務を良好な成績で遂行した」ものとはいえないこと以下のとおり,本件訓告を受けた原告は,被告における人事評価上,勤勉手 当及び査定昇給の成績区分において低い評価とされ,かつ,その低い評価を変更すべき事情も存在しなかったことから,「その職務を良好な成績で遂行した」(地方公務員法22条1項)と認めることができないとした京都府知事の判断は正当であり,本件分限免職処分は適法である。 ア訓告がなされた者は,被告における人事評価上,勤勉手当にあっては「良 好でない」との成績区分に,査定昇給にあっては「やや不良」との成績区分 に分類されなど,低い評価とすることとされている(乙3)。このため,上記の低い評価を変更すべき特段の事情がない限り,訓告を受けた条件付採用期間中の職員については,「その勤務を良好な成績で遂行した」とは認めないこととなる。そして,上記特段の事情とは,訓告がもたらす人事上の低評価を打ち消すに足りる格別の事実が特に存する場合ということになる。 被告は,本件訓告がなされた原告については,人事評価上,「良好でない」あるいは「やや不良」との評価となり,かつ,上記の低い評価を変更すべき特段の事情も存在しなかったことから,「その職務を良好な成績で遂行した」とは認めなかったものである。したがって,被告は,原告については,条件付採用期間にわたり「その職務を良好な成績で遂行した」(地方公務員法2 2条1項)と認めることができない合理的理由があるため,正式採用しな たものである。したがって,被告は,原告については,条件付採用期間にわたり「その職務を良好な成績で遂行した」(地方公務員法2 2条1項)と認めることができない合理的理由があるため,正式採用しないこととし,本件分限免職処分としたものである。 イこれに対し,原告は,被告が原告に対して行ったとする「評価」は,人事評価とは無関係な勤勉手当や査定昇給を決めるための成績区分上の分類にすぎず,勤務成績の評価に基づく能力の実証ではないと主張する。 しかしながら,地方公務員法において,人事評価とは,「任用,給与,分限その他の人事管理の基礎とするために,職員がその職務を遂行するに当たり発揮した能力及び挙げた業績を把握した上で行われる勤務成績の評価をいう」と規定されるものであり(同法6条),被告の人事評価制度も,この法律の規定に基づいて実施しているものである(乙3参照)。すなわち,人事評価 は,給与査定のためのものと分限のためのものとが別個に存在するのではなく,「任用,給与,分限その他の人事管理の基礎」として共通して行われるものである。そして,被告の原告に対する人事評価は,原告が条件付採用期間中に本件訓告を受けたことから,「その職務を良好な成績で遂行した」とは認められないとしたものである。 したがって,被告の行う人事評価と分限処分の判断の基礎となる能力評価 とは全く関係がないとする原告主張は誤りである。 ウまた,原告は,訓告は懲戒処分ではなく,反省を求めて将来の改善を促す矯正措置の制度であるから,本件訓告後僅か1週間で本件訓告を理由に免職処分を行うことは制度趣旨に反すると主張する。 しかしながら,被告の人事評価上,懲戒処分だけでなく訓告以上の矯正措 置を受けた者についても低い成績区分とするこ 間で本件訓告を理由に免職処分を行うことは制度趣旨に反すると主張する。 しかしながら,被告の人事評価上,懲戒処分だけでなく訓告以上の矯正措 置を受けた者についても低い成績区分とすることが定められている(乙3)。 成績主義は,「能力」という目に見えないものを基準のない主観で評価するものではなく,「成績」(受験成績及び勤務後の人事評価)という結果に基づいて実証的に評価を行い,受験成績や人事評価が良い者は能力がある者として扱い,それらが良くない者は能力に欠ける者として扱うという原則である。 したがって,訓告を受けた者について,人事評価上「良好でない」(勤勉手当),あるいは,「やや不良」(査定昇給)という成績区分とされていることに照らし,原告が条件付採用期間中に「その職務を良好な成績で遂行した」と認めなかったことが訓告の制度趣旨に反するということはない。 ⑵ 本件訓告には事実誤認も評価の誤りも存在せず,原告は本件訓告を受けるべ き理由があること原告は,本件訓告には事実誤認や評価の誤りが存在するとして,自らには本件訓告を受けるべき理由がない旨を主張するが,以下で述べるとおり,本件訓告に事実誤認や評価の誤りは存在せず,原告には本件訓告を受けるべき理由があったのであるから,原告が本件訓告を受けたことを前提とする本件分限免職 処分は適法である。 ア本件訓告に事実誤認は存在しないこと 原告は,本件訓告の理由とされた事実関係のうち,人事課から職務専念義務や退学手続の話題が出たのは平成29年6月13日の初回の面談以降であり,同年4月以降ではない旨主張する。 しかしながら,人事課は,原告に対し,同年4月17日にB大学の卒業 証明書の提出を求めたところ,原告から「学費の関 回の面談以降であり,同年4月以降ではない旨主張する。 しかしながら,人事課は,原告に対し,同年4月17日にB大学の卒業 証明書の提出を求めたところ,原告から「学費の関係でいまだ在学中であり,中退予定であるが,退学の手続に1年かかる」旨の回答を得たため,在籍期間証明の早期提出を指示した。翌日である同月18日に,原告が在学証明書を提出し,「学費と単位の関係で卒業できない。中退は平成30年3月の見込み」と述べたことから,人事課は,原告に対し,中退が決ま り次第直ちに報告するよう指示した。このように,人事課は,原告がB大学を卒業せず,本件条件付採用後もいまだB大学に在籍していることを知った平成29年4月の時点から,職務専念義務との関係で中退の手続をとるよう指示していた。 また,原告は,人事課が同年6月23日の面談で除籍を待ちたいとする 原告の申出を了承したにもかかわらず,同年8月16日の面談では方針を変更して退学手続を求めるに至ったとして,人事課が原告に対して退学手続をするよう繰り返し指導した事実はないとも主張する。 しかしながら,人事課において,原告の除籍を待つことを承認した事実も方針を変更した事実もない。同年6月23日の面談で,原告が学費の滞 納による平成30年3月末での除籍を待つほかないなどと述べたことから,人事課は,職務専念義務があるので何とか退学できないかをB大学の薬学部事務室に問い合わせてもよいかを原告に尋ねた。これに対し,原告は,学費を払わないといけなくなるかもしれないし,B大学とは縁を切りたいと思っているので,人事課からB大学に直接連絡をするのはやめてほ しいなどと答えたため,人事課は,原告の思いは分かったが,上司に報告・調整の上でまた連絡する旨の指 いし,B大学とは縁を切りたいと思っているので,人事課からB大学に直接連絡をするのはやめてほ しいなどと答えたため,人事課は,原告の思いは分かったが,上司に報告・調整の上でまた連絡する旨の指示をしたものである。そして,人事課では,原告の思いを上司に報告して協議したが,原告が希望する平成30年3月末の除籍までは待てないとの結果になったため,平成29年8月16日の面談でその旨を伝え,速やかに学費の滞納を解消して退学手続をするよう 指示したものである。 また,原告は,本件訓告の理由とされた事実関係のうち,本件無期停学処分のために自主退学できないということはなかったのであり,学費滞納のために退学できないと人事課に述べた内容に虚偽はないと主張する。 しかしながら,B大学の学生に対する懲戒処分としては停学(無期)処分が放学処分に次いで重い処分であることからすれば,その処分継続中に 自主退学できないことは原告も当然に知っていたと考えられるし,仮に明確には知らなかったとしても,退学手続に密接に関係する重大な事実であることは認識していたはずである。人事課が,職務専念義務との関係から退学手続をとるよう繰り返し指導していた中で,原告が本件無期停学処分を受けていることを伝えなかったことは,意図的な事実の秘匿であり,学 費滞納だけが自主退学を妨げているかのように説明したことは虚偽というほかない。 さらに,原告は,本件訓告の理由とされた事実関係のうち,自分以外の学生に対する本件放学処分については平成29年7月末日頃に友人から聞いたが,自分にも本件放学処分がされたことを知ったのは同年8月21 日になってからであるので,同年9月1日に放学証明書を提出するまで本件放学処分の存在を人事課に秘匿し 年7月末日頃に友人から聞いたが,自分にも本件放学処分がされたことを知ったのは同年8月21 日になってからであるので,同年9月1日に放学証明書を提出するまで本件放学処分の存在を人事課に秘匿し続けたものではないと主張する。 しかしながら,B大学は平成29年7月25日付けで決定した本件放学処分を同年7月28日に原告に通知したとして放学証明書(乙12)を作成していること,本件放学処分は原告を含む4名のB大学の学生について 共通の行為を原因として同時にされたものであり,原告が同年7月下旬に自分以外の学生に対する放学処分だけを知り,自分自身に対する放学処分だけを知らなかったということは考えられない。同年8月16日の面談において,それ以前には除籍を待つほかないと述べていた原告が「何かうまい道があると思うので」「方針が変わっているかもしれない」などと言い 出したことや,同月29日の面談において,原告が「7月末で除籍に出来 ないか調整していて,承認されていると思う」「7月末頃,B大学事務室から連絡があって,除籍扱いに出来るかもしれないと言われた」などと述べたことは,原告が同年7月下旬には本件放学処分の通知を受けていた事実及び本件放学処分を秘匿しようとしていた事実を示すものである。 このように,原告が平成29年7月下旬には自らに本件放学処分がされ たことを知ったにもかかわらず,同年9月1日の放学証明書提出に至るまで同処分の事実を秘匿し続けていたことは明白である。 イ本件訓告には評価の誤りも存在しないこと 原告は,本件訓告のうち,人事課が原告に対して職務専念義務を果たせるよう退学手続を求めた指導を一貫して行っていたとの評価を争うが,前 とおり,人事課が原告の除籍を待つことを こと 原告は,本件訓告のうち,人事課が原告に対して職務専念義務を果たせるよう退学手続を求めた指導を一貫して行っていたとの評価を争うが,前 とおり,人事課が原告の除籍を待つことを承認したことはなく,原告への指導の方針を変更したこともないから,原告の批判は当たらない。 原告は,本件訓告のうち,原告が虚偽の事実を述べて人事課職員を欺いていたとの評価を争うが,とおり,原告が本件無期停学処分を受けているという重要な事実を秘匿し,学費滞納だけが自主退学できない 理由であるかのごとく繰り返し述べたことは,虚偽の説明により人事課職員を欺いたものと評価すべきものである。 原告は,本件訓告のうち,原告が不誠実な態度を取り続けたとの評価も争うが,原告が,平成29年7月下旬には本件放学処分を受けたことを知っていたにもかかわらず,直ちにこれを人事課に報告 せず,同年8月16日頃及び同月29日の各面談でも「何かうまい道がある」「7月末で除籍扱いにできる」などの発言に終始し,結局,同年9月1日に放学証明書を提出するまで本件放学処分を伝えなかったのであるから,これらの原告の態度は不誠実な態度と評価されるほかない。 第4 当裁判所の判断 1 前記第2の2の前提事実に加え,証拠(甲1,甲3ないし7,甲8の2,3, 5及び6,甲9,乙1ないし3,乙5ないし15,証人C,原告本人)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実を認めることができる。 ⑴ 被告における人事評価制度についてア人事評価制度の導入の経緯や特長被告は,職員の職務遂行能力や目標達成に向けた努力を適正に評価し,こ れを人材育成や業績の進捗管理にいかすとともに,人事評価結果に基づいた適切な人事配置や処遇を行うことにより 導入の経緯や特長被告は,職員の職務遂行能力や目標達成に向けた努力を適正に評価し,こ れを人材育成や業績の進捗管理にいかすとともに,人事評価結果に基づいた適切な人事配置や処遇を行うことにより,職員の意欲向上と組織力の強化を目指して,平成24年度から新たな人事評価制度(以下,単に,「被告の人事評価制度」という。)を導入した。そして,被告は,地方公務員法23条の2を受け,人事評価の実施に関し必要な事項として,京都府職員(一般職員) に係る人事評価実施要綱(甲5)を定め,同要綱や人事評価制度手引書(甲6)に基づき,この人事評価制度を運用している。 被告の人事評価制度は,透明性,公平性,納得性,合理性をより高い次元で実現するため,国家公務員における評価制度の導入状況や民間企業における評価制度の見直し状況等も参考にして,①職務上の具体的な行動や努力・ 過程を評価すること,②面談を重視すること,③評価者研修制度を充実すること,④苦情処理制度を整備すること,⑤給与反映の際の成績区分を独自に設定することに特長があるものとされている。(甲6,7)イ被告の人事評価制度の内容被告は,職員の人事評価として,職務行動評価及び目標達成努力評価の2 つの評価を行っている(ただし,再任用職員及び臨時的任用職員にあっては,目標達成努力評価のみである。)(甲5,6)。 なお,国家公務員の人事評価は,いわゆる能力評価(職員がその職務を遂行するに当たり発揮した能力を把握した上で行われる勤務成績の評価)及び業績評価(職員がその職務を遂行するに当たりあげた業績を把握した上で行 われる勤務成績の評価)により行う定期評価と,条件付採用を正式なものと するか否かの判断のために行う特別評価(能力評価により行う。)との2つ するに当たりあげた業績を把握した上で行 われる勤務成績の評価)により行う定期評価と,条件付採用を正式なものと するか否かの判断のために行う特別評価(能力評価により行う。)との2つの方法により行われているところ(甲3),被告における職務行動評価は能力評価に,目標達成努力評価は業績評価にそれぞれ相当するものであるが,被告においては,特別評価に相当する人事評価は実施されていない。 被告の人事評価における絶対評価の考え方 一般に,人事評価の際の評価方法としては,被評価者ごとに求められる水準を設定し,当該被評価者の具体的行動・努力を,その水準に照らして評価する「絶対評価」と,評価対象となっているグループ全員に同一に評価水準を適用して評価し,能力・実績が相対的に高いと評価された者から順に,分布率に基づき上位の評点に決定する「相対評価」が存在する。 被告は,上記の2つの評価方法のうち,評価者と被評価者が相互に客観的に評価結果を確認できるメリットがあり,被評価者の行動や努力が実際に評価に反映される点で人材育成につながり,かつ,昇任・昇格や人事配置等に総合的に活用できることから,「絶対評価」を採用している。 このため,被告の人事評価は,職務行動評価及び目標達成努力評価のい ずれも,被評価者本人の職種,職位,勤続年数,配属年数,分担業務内容等を考慮して,当該職員に求められる職務行動,努力の水準を定めて,これと実際の職務行動や目標達成努力状況を比較し,評価基準に基づき絶対基準で評価するものであり,他の職員の行動や状況との比較や,所属における相対的位置付けにより評価するものではないものとされている。そし て,被評価者の職務行動・努力が当該職員に求められる水準以上であれば4点以上の評点,水準と同等程度で 況との比較や,所属における相対的位置付けにより評価するものではないものとされている。そし て,被評価者の職務行動・努力が当該職員に求められる水準以上であれば4点以上の評点,水準と同等程度であった場合には3点の評点,水準に満たない場合には2点以下の評点となるものとしている。(甲6,7)職務行動評価職務行動評価は,職員が京都府職員として期待される職務行動(日常業 務における仕事の進め方や勤務態度等)を行っているかを評価対象とし, 実際の評価に当たっては,被評価者が評価対象期間中に職務遂行の過程において行った,特定の具体的な職務行動に着目して評価するものである。 職務行動評価は,職位(職名),職種等の別により設定された5つの分野の評価項目ごとに,上司が1点から5点までの評点をつけ,総合評点を算出するものである。なお,原告のような技師に関しては,職務行動評価の 評価項目は,「業務遂行」,「対人関係」,「業務管理」,「勤務態度」及び「組織的行動」の5つであった。 平成29年度の職務行動評価は,平成29年4月1日から平成30年3月31日までを評価対象期間とする通年実施であった。(甲5,6)目標達成努力評価 目標達成努力評価は,組織目標とその達成状況を分析した上で,評価対象期間中の業務遂行における被評価者の努力内容を明らかにし,その努力した度合いを評価するものであり,業務遂行における職員の努力,すなわち過程を評価の対象とするものである。 目標達成努力評価の評価方法は,被評価者との面談を通じて,被評価者 が業務遂行に当たり努力した度合いを絶対評価し,上司が1点から5点までの評点をつけるものである。 平成29年度の目標達成努力評価は,平成29年4月1日から同年9月30日までの 被評価者 が業務遂行に当たり努力した度合いを絶対評価し,上司が1点から5点までの評点をつけるものである。 平成29年度の目標達成努力評価は,平成29年4月1日から同年9月30日までの上半期と同年10月1日から平成30年3月31日までの下半期とを評価対象期間とする年2回の実施であった。(甲5,6) ウ人事評価結果の活用被告において,人事評価の結果は,これを記録し,被評価者の人材育成,業務の進捗管理,昇任・昇格,人事異動に活用するほか,下記エのとおり,給与への反映等のために活用されている(甲6)。 エ給与への反映(人事評価結果の相対化) 被告における人事評価結果の給与への反映の考え方 被告は,人事評価の結果を給与に反映させるに当たり人事評価結果の相対化という考え方を採用しているところ,これは,絶対評価による人事評価の結果を勤勉手当及び査定昇給に反映するに当たり,所属ごと又は部局ごとに,上記人事評価の結果(総合評点)の高い者から順に,あらかじめ定められた分布率に沿って,上位の成績区分に決定することをいう(甲6)。 なお,一般的な相対評価であれば,評価の対象となっているグループ全員に同一の評価水準を適用し,能力・実績が相対的に高いと評価された者から順に分布率に基づき上位の成績区分に決定されることになるが,被告の人事評価結果の相対化の考え方は,上記のとおり,絶対評価による評点の順番に並べ,分布率に沿って成績区分を決定するものである(甲7)。 給与へ反映する人事評価の結果勤勉手当においては,被評価者の人事評価のうち,直近1回分の目標達成努力評価(5点満点)を使用する。 また,査定昇給においては,被評価者の人事評価のうち,直近1回分 する人事評価の結果勤勉手当においては,被評価者の人事評価のうち,直近1回分の目標達成努力評価(5点満点)を使用する。 また,査定昇給においては,被評価者の人事評価のうち,直近1回分の職務行動評価及びこれと同期間の2回分の目標達成努力評価(職務行動評 価は通年のため,総合評点を2倍した上で,2回分の目標達成努力評価の総合評点と合算する。合計20点満点)を使用する。(甲6) 勤勉手当の成績区分勤勉手当の成績区分は,「特に優秀(SS)」,「優秀(S)」,「良好(A)」,「良好に準ずる(A-)」,「良好でない(B)」に区分される。そして,原 告のような技師の場合には,所属ごとに,総合評点の成績順に上位15%に順位を付し,各所属で順位を付された者の中から,部局の対象人数の15%に当たる人数が「S」候補(なお,その中から「SS」区分に相応しい勤務状況であった者がいる場合には,当該部局の対象人数の5%以内で「SS」候補とする。)とされ,総合評点が一定未満の者などあらかじめ定 められた要件に該当する者が「A-」又は「B」候補とされ,これ以外の 者(分布率としては85%)が「A」候補となる。 このうち,勤勉手当の成績区分が「良好でない(B)」に該当する要件は,①懲戒処分・矯正措置(訓告以上)を受けた者,②総合評点が1点の者(割り当てられた職務を遂行しない者,協調性に欠け同僚等とのトラブルが絶えないなど,常に指導を要する者,又は分限処分も検討せざるを得 ない者)と定められている。(甲6)査定昇給の成績区分査定昇給の成績区分は,「特に優秀(SS)」,「優秀(S)」,「良好(A)」,「良好に準ずる(A-)」,「やや不良(B)」,「不良(C)」に区分される。 そして,原告のよ )査定昇給の成績区分査定昇給の成績区分は,「特に優秀(SS)」,「優秀(S)」,「良好(A)」,「良好に準ずる(A-)」,「やや不良(B)」,「不良(C)」に区分される。 そして,原告のような技師の場合には,所属ごとに,総合評点の成績順に 上位15%に順位を付し,各所属で順位を付された者の中から,部局の対象人数の15%に当たる人数が「S」候補(なお,その中から「SS」区分に相応しい勤務状況であった者がいる場合には,当該部局の対象人数の5%以内で「SS」候補とする。)とされ,総合評点が一定未満の者などあらかじめ定められた要件に該当する者が「A-」,「B」又は「C」候補と され,これ以外の者(分布率としては85%)が「A」候補となる。 このうち,査定昇給の成績区分が「やや不良(B)」に該当する要件は,①矯正措置(訓告以上)を受けた者,②総合評点が8点未満6点以上の者(割り当てられた職務を遂行しない者,協調性に欠け同僚等とのトラブルが絶えないなど,常に指導を要する者)と定められており,また,成績区 分が「不良(C)」に該当する要件としては,①懲戒処分を受けた者,②総合評点が6点未満の者(割り当てられた職務を遂行しない者,協調性に欠け同僚等とのトラブルが絶えないなど,指導によっても改善されず,分限処分も検討せざるを得ない者)と定められている。(甲6)⑵ 原告とB大学との関係について ア原告は,平成21年4月1日,B大学に入学し,本件放学処分を受けるま で,B大学の薬学部薬科学科に所属していた(乙12)。また,原告は,少なくとも平成27年度には,B大学全学自治会同学会の中央執行副委員長の立場にあり,その学生運動に関与していた(乙14)。 イ B大学は,平成28年7月12日付けで いた(乙12)。また,原告は,少なくとも平成27年度には,B大学全学自治会同学会の中央執行副委員長の立場にあり,その学生運動に関与していた(乙14)。 イ B大学は,平成28年7月12日付けで,原告を含むB大学の学生4名につき,平成27年10月27日にB大学全学自治会同学会の学生運動として 行われたB大学D号館のバリケード封鎖に関与し,多くの学生の授業を受ける権利を著しく侵害し,教職員の執務を著しく妨害し,かつ,平穏な教育研究環境を著しく阻害したなどとして,本件無期停学処分とした(乙13)。 ウ B大学は,平成29年7月25日付けで,本件無期停学処分とした原告を含むB大学の学生4名につき,B大学が定める停学期間中の行動基準を無視 して構内に立ち入り,職員による構内からの退去勧告に応じず,集会への参加やビラ配りを行うなどしたほか,停学中の復学に向けた面談に全く応じない又は一度は応じたものの自己の主張を繰り返すことに終始し,次回以降の面談については期日を設定しようとする部局の試みに対し,はぐらかすような対応を繰り返し面談が実施できない状況であったとして,本件放学処分と した(乙11)。 なお,B大学における放学処分は,B大学の学生に対する懲戒処分としては,最も重い処分であった。 エ原告は,無期停学中である平成29年4月1日に本件条件付採用され,同日以降,B大学に学籍を残したままで被告での勤務を開始したが,本件分限 免職処分を受けた同年9月30日までの被告での勤務期間において,B大学に立ち入ったり,B大学全学自治会同学会の学生運動に関与したりしたことはなかった。 ⑶ 本件訓告までの経緯ア原告は,平成28年8月,B大学に在学中に京都府上級職採用試験に合格 し,同年10月に京都府環境職技師と 治会同学会の学生運動に関与したりしたことはなかった。 ⑶ 本件訓告までの経緯ア原告は,平成28年8月,B大学に在学中に京都府上級職採用試験に合格 し,同年10月に京都府環境職技師としての採用が内定した。なお,原告は, 上記合格から採用内定までの間に被告に提出した身上書には,最終学歴として,B大学薬学部薬科学科を平成29年3月に卒業見込みである旨を記載していた。 イ原告は,採用手続書類の提出期限が平成29年2月17日とされていたが,同日時点で,B大学に在学中で卒業証明書を提出できないとして,同年3月 27日にB大学の卒業証明書を提出予定である旨を申告していた。 なお,原告は,遅くとも平成29年3月頃には,B大学を卒業できないことが確定したが,その旨を被告には伝えていなかった。 ウ原告は,平成29年4月1日,B大学に学籍を残したまま,被告に条件付採用された。人事課は,同月17日頃,原告に対し,最終学校の卒業証明書 を提出するよう電話で督促したところ,原告は,学費を滞納していること,B大学にいまだ在学していることなどを回答し,翌日である同月18日,人事課にB大学の在学証明書を提出した。なお,原告は,上記の人事課とのやり取りにおいて,自らがB大学から本件無期停学処分を受けており,B大学を無期停学中であることを申告しなかった。 エ人事課は,平成29年6月13日頃,原告からB大学の在学証明書は提出されたものの,卒業証明書はいまだ提出されていない状況であったことから,原告との間で面談を実施した。 同面談において,人事課職員は,原告に対し,被告の職員に採用され,地方公務員となった以上,職務専念義務があるのでB大学に籍が残っていると 職務に専念できないことがあり得るため,速 た。 同面談において,人事課職員は,原告に対し,被告の職員に採用され,地方公務員となった以上,職務専念義務があるのでB大学に籍が残っていると 職務に専念できないことがあり得るため,速やかに中退の手続をしてほしい旨を依頼した。これに対し,原告は,人事課職員に対し,中退の手続の趣旨は理解したが,自分としては単位を取って卒業したいこと,家族などと相談する時間が欲しいこと,現在まで3期連続(平成28年度前期・後期,平成29年度前期)で学費が未払となっており,平成29年後期分の学費を支払 わないと除籍となるが,学費の算段が付いたらB大学を卒業したいことなど を伝えた。これを受けて,人事課職員は,原告に対し,同月中には結論を出すように依頼した。(乙5)オ人事課は,平成29年6月23日頃,原告の退学手続の状況を確認するため,原告との間で面談を実施した。 同面談において,人事課職員が原告の退学手続の状況を確認したところ, 原告は,退学手続についてB大学の薬学部事務室に確認したところ,学費の滞納がある場合には退学できない旨の回答をもらったなどと述べた。また,原告は,今年度末である平成29年3月末で学費滞納によりB大学を除籍となり,B大学の籍もなくなるので,それまで待ってほしいこと,働きながらB大学の単位も取って卒業するのは無理だと思うようになったこと,卒業で きないのであれば,金銭的に余裕がないので,滞納している学費を払って今すぐ退学するよりも,支払わずに年度末に除籍となることとしたいことなどを述べた。人事課職員が,人事課から薬学部事務室に対して事実確認を行ったり,原告がB大学を退学できるよう何とかならないかなどの事情を伝えたりしてもよいかを尋ねたところ,原告は,B大学とは縁を切りたいと思って 事課職員が,人事課から薬学部事務室に対して事実確認を行ったり,原告がB大学を退学できるよう何とかならないかなどの事情を伝えたりしてもよいかを尋ねたところ,原告は,B大学とは縁を切りたいと思って いるので,人事課から直接B大学に連絡をするのはやめてほしい旨を述べた。 上記面談の最後に,人事課職員は,原告に対し,原告の思いは分かったが,上司に報告,調整の上でまた連絡する旨を伝えた。(乙6)カ原告は,平成29年7月25日付けで,B大学を本件放学処分となった。 この時点で,原告は,B大学から,本件放学処分に関する正式な通知等を受 理していなかったが,同月末日頃には,自分自身も放学処分になったのだろうという認識を抱くようになった。しかしながら,原告は,こののちも後記クまで,B大学に対し,自らに対する本件放学処分の有無を確認することをしなかった。 キ被告は,平成29年8月16日頃,原告と面談を実施した。 同面談において,人事課職員は,同年6月23日の面談における原告から の依頼(平成29年度末の除籍まで待ってほしい旨の依頼)について,人事課の中で協議していたが,同年3月末までは待てないという結論になったこと,速やかにB大学の薬学部事務室に退学手続を進めてもらって同年8月中にはB大学の中退証明書又は退学証明書を被告に提出してほしいことなどを伝えた。これに対して,原告は,薬学部に相談してみる,退学に向けた手 続がうまくいっているかもしれない,退学手続をとれる当てがある,学費を払わなくてもいけそうな気がする,などと述べ,上記面談後に電話で連絡してみる旨を伝えた。 上記面談後の午後5時20分頃,原告は,電話で,人事課に対し,B大学の薬学部事務室に電話したものの担当者がお盆で休みであったこと,明日に どと述べ,上記面談後に電話で連絡してみる旨を伝えた。 上記面談後の午後5時20分頃,原告は,電話で,人事課に対し,B大学の薬学部事務室に電話したものの担当者がお盆で休みであったこと,明日に 上記事務室に再度電話してみて明日の午後5時15分までに人事課に連絡することなどを伝えた。(乙7)ク原告は,平成29年8月17日,人事課に対し,B大学の薬学部事務室に電話したがつながらなかった旨の連絡をしたが,同日以降,人事課に対し,B大学への確認状況等について連絡をすることはなかった。 ケ人事課は,平成29年8月21日,原告がB大学ともめて学籍がなくなったのではないかとの匿名の通報を受けた(甲8の6)。また,原告は,遅くとも同日頃には,B大学に対して連絡を取り,B大学から本件放学処分を受けたことを確認した(原告本人)。 コ人事課は,平成29年8月29日,同月21日の匿名の通報を踏まえて, 原告との間で面談を実施した。 同面談において,人事課は,同月16日頃の面談以降の状況について原告に確認したところ,原告は,人事課に対し,学費を支払わずに除籍もしくは放学として特例として取り扱う方法がある,そのことについてB大学の薬学部事務室が本部に問い合わせているがその回答がまだ来ていない,B大学に は同年7月末頃に除籍の関係での証明書を出してもらうよう依頼している, などとの説明をした。また,人事課は,原告に対し,同月21日の匿名の通報に係る事実の真偽(原告がB大学ともめて学籍がなくなったか否か)を確かめたところ,原告は,人事課に対し,ここで全部言うのは難しいので全ては話せない,B大学からは同年7月末に除籍になるだろうということを言われた,B大学からこのように言われた後に何も対応していないのでお めたところ,原告は,人事課に対し,ここで全部言うのは難しいので全ては話せない,B大学からは同年7月末に除籍になるだろうということを言われた,B大学からこのように言われた後に何も対応していないのでおそらく 除籍になったと思われる,どういう理由で除籍になったのかは証明書を見ないとわからない,などと話した。これらの説明を受けて,人事課は,原告に対し,証明書がいつ取得できるかをB大学に確認して教えてほしい旨を伝えて,面談を終えた。(乙8)サ原告は,平成29年9月1日,人事課に対し,自らが同年7月28日にB 大学から本件放学処分を受けたことを証明する同年8月29日付けの放学証明書(乙12)を提出した。 人事課は,上記放学証明書を受領すると,B大学のホームページを閲覧して,原告の本件放学処分に関する記事を確認するとともに(乙11),同記事において言及されていた本件無期停学処分に関する記事を見付けた(乙1 3)。 シ人事課は,平成29年9月4日,原告から提出を受けた放学証明書(乙12)を踏まえ,原告と面談を実施した。 同面談において,人事課は,原告に対し,これまで学費を滞納していて除籍になると聞いていたにもかかわらず,今回提出された証明書が除籍の証明 書ではなく放学の証明書であることを指摘し,原告がB大学を除籍ではなく放学処分となった理由を聞いたところ,原告は,同年8月29日の前回の面談後にB大学に問い合わせたところ同年7月に本件放学処分とされていたことを知った,自分ではなぜ放学処分されたのかはよくわかっていない状況である,B大学からの通知等は自分の携帯電話や現在住んでいる住所には来 ていない,などと回答した。また,人事課が,原告に対し,今回の顛末を顛 末書にまとめるよう求めたとこ いない状況である,B大学からの通知等は自分の携帯電話や現在住んでいる住所には来 ていない,などと回答した。また,人事課が,原告に対し,今回の顛末を顛 末書にまとめるよう求めたところ,原告は,本件条件付採用がされた同年4月に入ってから,B大学ともめて放学処分になったのであれば顛末書を書く必要はあると思うが,実際には,同月以降にB大学と関わりを持っていない中で,自分の知らないところで勝手に放学処分が下ったのであるから,顛末書を書く必要はない旨を述べ,顛末書の作成を拒んだ。(乙9) ス被告は,平成29年9月11日,B大学に対し,原告に対する本件無期停学処分や本件放学処分についての事実確認を行った(甲8の5)。 そして,被告は,平成29年4月以降の人事課からの働き掛けに対する原告の一連の行動について,被告の懲戒処分指針を踏まえて,非違行為の内容や行為の過失の度合い,過去の類似の処分事例などを総合的に勘案し,被告 の服務管理担当の参与からの意見を聴取した上で,矯正措置としての訓告とするのが適当であるとの判断に至った(甲8の2)。 そして,京都府知事は,平成29年9月22日,原告に対し,本件訓告をした(乙1,2,10)。 なお,被告において,矯正措置としては,軽いものから順に,譴責,訓告, 訓戒の3種類がある。 ⑷ 本件訓告から本件分限免職処分までの経緯ア人事課職員は,平成29年9月27日,原告の本件条件付採用につき,その採用を取り消す旨の分限免職処分をすることとする原案を作成し,同月28日に決裁を得た(甲8の3)。 これは,本件訓告がなされた原告は,被告における人事評価上,勤勉手当にあっては「良好でない」との成績区分に,査定昇給にあっては「やや不良」との成績区分になり,これらの (甲8の3)。 これは,本件訓告がなされた原告は,被告における人事評価上,勤勉手当にあっては「良好でない」との成績区分に,査定昇給にあっては「やや不良」との成績区分になり,これらの低い評価を変更すべき特別の事情も存在しなかったことから,地方公務員法22条1項の「その職務を良好な成績で遂行した」とは認められないとの判断に基づくものであった。 イ京都府知事は,平成29年9月30日,原告に対し,本件分限免職処分を した(甲1)。 2 以上の認定事実を前提に,以下,原告に対する本件分限免職処分の適法性について判断する。 ⑴ まず,本件の判断枠組みとして,条件付採用期間中の職員に対する分限処分が違法となるのはいかなる場合であり,その分限事由をいかに解するべきかな どについて検討する。 ア地方公務員法22条1項は,地方公務員の採用につき,臨時的任用又は非常勤職員の任用の場合を除き,職員の採用は全て条件付のものとし,その職員がその職において6月を勤務し,その間その職務を良好な成績で遂行したときに正式採用になる旨規定し,いわゆる条件付採用制度を採ることとして いるが,この制度の趣旨,目的は,職員の採用に当たり行われる競争試験又は選考の方法(同法17条の2。以下「試験等」という。)が,なお,職務を遂行する能力を完全に実証するとはいい難いことに鑑み,試験等により一旦採用された職員の中に適格性を欠く者があるときは,その排除を容易にし,もって,職員の採用を能力の実証に基づいて行うとの成績主義の原則(同法 15条)を貫徹しようとするにあると解される。したがって,条件付採用期間中の職員は,いまだ正式採用に至る過程にあるものということができるのであって,当該職員の分限につき正式採用の職員の分限 15条)を貫徹しようとするにあると解される。したがって,条件付採用期間中の職員は,いまだ正式採用に至る過程にあるものということができるのであって,当該職員の分限につき正式採用の職員の分限に関する同法の適用がないこととされているのも(同法29条の2第1項1号),このことを示すものにほかならない。 しかし,条件付採用期間中の職員といえども,既に試験等という過程を経て,現に給与を受領し,正式採用されることに対する期待を有するものであるから,条件付採用期間中の職員に対する分限処分については,上記条件付採用制度の趣旨,目的に照らして,任命権者に相応の裁量権が認められるものであるものの,これは純然たる自由裁量ではなく,その判断が合理性を持 つものとして許容される限度を超えた不当なものであるときは,裁量権の行 使を誤った違法なものとなるというべきである(最高裁昭和51年(行ツ)第48号同53年6月23日第三小法廷判決・判タ366号169頁参照。 なお,国家公務員に関するものとして,最高裁昭和47年(行ツ)第89号同49年12月17日第三小法廷判決・裁判集民事113号629頁参照)。 イところで,地方公務員法は,条件付採用期間中の職員の分限につき具体的 な分限事由を設けておらず,単に同法29条の2第2項において,条例で必要な事項を定めることができる旨を規定して,条例の制定及び分限の事由,手続等一切を各地方公共団体の自律的制定に委ねているところ,前記第2の2の前提事実⑴イのとおり,被告ではその条例が制定されていない。しかしこの場合でも,同法が被告に全く無限定な分限を許したものでないことは, 適用除外を規定した同法29条の2第1項が同法27条1項の規定を外し,条件付採用期間中の職員の分限につ れていない。しかしこの場合でも,同法が被告に全く無限定な分限を許したものでないことは, 適用除外を規定した同法29条の2第1項が同法27条1項の規定を外し,条件付採用期間中の職員の分限についても公正であることを地方公務員法が要求していることからも知ることができる。そして,国家公務員法が,条件付採用期間中の職員の分限につき,同法81条2項の規定で,人事院規則で必要な事項を定めることができる旨を定め,これを受けた本件人事院規則 10条各号がその分限事由を定めていることに照らすと,正式採用職員の分限に関し国家公務員法78条所定の分限事由と同等の事由を定める地方公務員法(同法28条1項)の下における条件付採用期間中の職員についても,本件人事院規則10条各号の規定に準じて分限事由を考えることが,我が国の公務員法の目的・精神,条件付採用制度の意義に照らして相当である。 ウ以上によれば,地方公務員たる条件付採用期間中の職員に関して,本件人事院規則10条に準じた分限事由がないにもかかわらず分限処分がされた場合には,その判断は合理性を持つものとして許容される限度を超えた不当なものとして,裁量権の行使を誤った違法があると解するのが相当である。 そして,本件の原告については,本件人事院規則10条各号のうち,1号及 び3号に準じた分限事由が存在しないことは明らかであるから,以下では, 2号及び4号に準じた分限事由(勤務実績が不良なことその他客観的事実に基づいてその官職に引き続き任用しておくことが適当でないと認められる場合)の存否が問題となるところ,原告が「その職務を良好な成績で遂行した」(地方公務員法22条1項)とはいえないと判断して本件分限免職処分をした旨の被告の主張も,上記の分限事由該当性をいうものとして検討 )の存否が問題となるところ,原告が「その職務を良好な成績で遂行した」(地方公務員法22条1項)とはいえないと判断して本件分限免職処分をした旨の被告の主張も,上記の分限事由該当性をいうものとして検討を進 める。 ⑵ そこで,まず,分限事由の存否判断の前提として,原告に本件訓告を受けるべき理由がないといえるか否かについて検討する。 ア前記1の認定事実⑶によれば,①原告は,被告から採用内定を受けた平成28年10月当時は本件無期停学処分による無期停学中であり,本件条件付 採用前に被告に提出した身上書にはB大学の薬学部薬科学科を平成29年3月卒業見込みである旨記載していたものの,B大学を卒業しなかったために,B大学に在籍したままでの本件条件付採用となったこと,②原告は,本件条件付採用後の同年6月13日頃に実施された面談では,地方公務員に課せられた職務専念義務との関係から速やかに退学手続をとるようにとの人 事課の指導に対して,自分としては単位を取って卒業したい,学費を滞納中で平成29年度後期分の学費を払えないと除籍となるが学費の算段がついたら卒業したいなどと述べ,その後の同月23日頃の面談では,学費を滞納したままでは退学届が受理されないことをB大学で確認したなどと報告し,働きながら単位を取って卒業するのは無理であり,卒業できないのであれば 金銭的に余裕がないので,学費滞納による除籍の手続をとりたい旨の意向を示したほか,人事課に対してB大学と直接に連絡を取ることはやめてほしいなどと述べたが,上記2回の面談を通じて,原告が,人事課に自らが本件無期停学処分を受けて無期停学中であることを申告することはなかったこと,③原告は,同年7月末頃には自らがB大学を放学処分となったであろうこと を認識したにもかかわらず, が,人事課に自らが本件無期停学処分を受けて無期停学中であることを申告することはなかったこと,③原告は,同年7月末頃には自らがB大学を放学処分となったであろうこと を認識したにもかかわらず,その後もB大学に自らの放学処分の存否を確か めることなく,その後の同年8月16日頃の面談では,人事課から,除籍の手続までは待てないので早急に退学手続をとるように再度求められた際には,退学に向けた手続がうまくいっているかもしれない,退学手続をとれる当てがあるなどと述べていたこと,④原告は,遅くとも同月21日頃にはB大学から本件放学処分を受けたことを確認したにもかかわらず,同月29日 の面談で,人事課から本件放学処分の有無を尋ねられた際も,ここで全部言うのは難しいので全ては話せないなどと述べ,どういう理由で除籍になったのかは証明書を見ないとわからないなどと述べ,本件放学処分の存在について言及しないまま飽くまで自らがB大学を除籍となったことを前提とする発言を行ったこと,⑤原告は,同年9月1日に放学証明書を提出して,初め て被告に本件放学処分の存在を伝えるに至ったこと,以上の事実が認められる(なお,B大学において,無期停学処分を受けている学生が退学手続をとることができない制度となっているか否かについては,本件証拠上は明らかでないことから,無期停学処分を受けて退学手続をとることができないことまでを原告が隠していたとは認められない。)。 イ前記アの認定を前提とすると,人事課が,原告との複数回の面談を通じて,本件条件付採用後もB大学に在籍したままの原告に退学手続をとるよう指導を行う中で,原告のB大学での学籍等の処遇状況を含めて確認したい意向を有していたことは明らかであり,このことは被面談者である原告も当然に認識していたこと に在籍したままの原告に退学手続をとるよう指導を行う中で,原告のB大学での学籍等の処遇状況を含めて確認したい意向を有していたことは明らかであり,このことは被面談者である原告も当然に認識していたことが推認される。そうであるにもかかわらず,原告は,人事 課がB大学と直接連絡を取ることを拒む一方で,自らが本件無期停学処分を受けて無期停学中であったことを人事課には一切申告しなかったのであるから,かかる事実を人事課に秘匿し続けていたものと評価するのが相当である。また,原告は,平成29年7月末頃には自らに放学処分が下ったであろうことを認識していたのであるから,これをB大学に確認して,自らの学籍 等の状況について被告に報告すべきであったにもかかわらず,同年8月21 日まで確認をせずに漫然と放置したほか,同日に本件放学処分の存在を確認したのちの同月29日に実施された面談においても,人事課に対し,本件放学処分の存在について言及しないまま飽くまで自らがB大学を除籍となったことを前提とする発言をするに終始したのであるから,原告が本件放学処分の存在についても人事課に秘匿し続けていたものと評価するのが相当で ある。 以上の人事課との面談を通じた原告の対応からすれば,原告は,人事課からの退学手続を求める指導に応じないまま本件無期停学処分及び本件放学処分を秘匿し,人事課職員に対して真実を述べずに自らの状況をはぐらかすような発言に終始し,不誠実な対応を取り続けたものといわざるを得ないの であるから,全体として,被告が原告を本件訓告としたことには理由があるものであったというべきである。 ウ以上によれば,被告が原告を本件訓告としたことには理由があり,本件訓告には,原告が本件訓告を受けるべき理由がないものといえるほどの事実誤認及び評 には理由があるものであったというべきである。 ウ以上によれば,被告が原告を本件訓告としたことには理由があり,本件訓告には,原告が本件訓告を受けるべき理由がないものといえるほどの事実誤認及び評価の誤りが存在するものとはいえない。 ⑶ そこで進んで,本件訓告を受けた原告について,本件人事院規則10条2号又は4号に準じた分限事由(勤務実績が不良なことその他客観的事実に基づいてその官職に引き続き任用しておくことが適当でないと認められる場合)が存在するか否かについて,検討する。 アまず,被告は,被告の人事評価制度の下では訓告を受けた職員が勤勉手当 等の成績区分で下位に分類されることをもって,本件訓告を受けた原告の人事評価は原則として低い評価になるものとし,かつ,原告にはこれを変更すべき特段の事情もなかったとして,原告に対して本件分限免職処分を行っているのであるから(前記1の認定事実⑷ア),かかる判断手法の当否が,原告の分限事由の存否と関連して問題となる。 ここで,前記1の認定事実⑴によれば,被告の人事評価制度においては, 人事評価は職務行動評価と目的達成努力評価によって行うものとされ,これらの評価方法はいずれも,それぞれの被評価者ごとに求められる職務行動,努力の水準を設定し,当該被評価者の具体的な行動・努力を評価水準に照らして判定する絶対評価によって行われるところ,これらの人事評価結果の活用の一つとして被告で行われている人事評価結果の給与への反映に当たっ ては,上記の絶対評価による人事評価の評点を順番に並べ,分布率に沿って成績区分を決定するという形で,人事評価結果の相対化が行われているが,訓告以上の矯正措置を受けた者については,上記の分布率とは関わりなく,勤勉手当の成績区分においては「良好 番に並べ,分布率に沿って成績区分を決定するという形で,人事評価結果の相対化が行われているが,訓告以上の矯正措置を受けた者については,上記の分布率とは関わりなく,勤勉手当の成績区分においては「良好でない(B)」,査定昇給の成績区分においては「やや不良(B)」と分類されていることが認められる。 このような被告の人事評価制度の仕組みに照らせば,訓告以上の矯正措置を受けた職員が勤勉手当及び査定昇給の成績区分で下位に分類されることは,これらの矯正措置を受けたことのない他の職員との比較において,勤勉手当や査定昇給といった給与の成績区分上は下位に分類されるにすぎないものであって,絶対評価による人事評価の評点を順番に並べた結果としての 「SS」ないし「A-」の成績区分の分類とは,相対評価の前提が異なるものというべきである。すなわち,訓告以上の矯正措置を受けたことに伴う勤勉手当及び査定昇給の成績区分での下位の分類は,矯正措置を受けていない者との相対評価の結果であって,絶対評価による人事評価の相対化の結果ではないのであるから,矯正措置を受けたことに伴う給与上の成績区分をもっ て,人事評価としての勤務成績の評価,すなわち能力の実証が行われたものということはできない。また,訓告を受けたことがその理由となる非違行為の内容等に照らして絶対評価による人事評価で不利に扱われることはあり得るとしても,被告が主張するような,訓告の理由となった所為の如何を問わず,訓告を受けた職員が勤勉手当等の成績区分で下位に分類されることを もって,当該職員の勤務成績の評価を一律に原則として低いものとする人事 評価を行うとすれば,それは,人事評価の実施それ自体と実施された人事評価結果の反映とを倒錯したものといわざるを得ない。 員の勤務成績の評価を一律に原則として低いものとする人事 評価を行うとすれば,それは,人事評価の実施それ自体と実施された人事評価結果の反映とを倒錯したものといわざるを得ない。 この点について,確かに,被告においては,特別評価は実施されておらず,条件付採用期間中の職員を正式採用するか否かの人事評価の実施に当たっては,被告の裁量的な運用に委ねられていることは否定できない。しかしな がら,前記⑴アのとおり,条件付採用制度の趣旨,目的が職員の採用を能力の実証に基づいて行うとの成績主義の原則の貫徹にあることからすれば,条件付採用期間は,試験等では完全に検証できない職務遂行能力や公務員への適性の有無を現実の執務を通じて確認するための期間というべきものであるから,実地の勤務による能力の実証が行われなければならない。そうする と,絶対評価による人事評価が採用されている被告の人事評価制度の下では,本来であれば,原告の条件付採用期間中の能力の実証には,絶対評価による勤務成績の評価が用いられるべき筋合いであるものといえ,そうであるにもかかわらず,勤勉手当等の成績区分上の分類をもって人事評価を行ったとする被告の判断手法は,先の説示で指摘した問題点をも踏まえれば,能力の実 証に基づいて採用を行うとする条件付採用制度の上記趣旨,目的に沿うものとはいい難い。そして,被告は,原告について本件訓告を受けたことに伴う低い評価を変更すべき特段の事情がなかった否かを検討し,それらの事情がなかったというが(証人C),能力の実証として,いかなる項目でどのような検討が行われたのかは何ら明らかではなく,この点においても,被告の本件 分限免職処分に係る判断手法は,能力の実証との観点から疑問がある。 したがって,被告の本件分限免職処 どのような検討が行われたのかは何ら明らかではなく,この点においても,被告の本件 分限免職処分に係る判断手法は,能力の実証との観点から疑問がある。 したがって,被告の本件分限免職処分に係る判断手法をもって,原告の勤務成績が良好でなかったものとして原告に本件人事院規則10条2号及び4号に準じた分限事由が存在すると認めることは,相当ではない。 イもっとも,本件訓告の理由となった原告の所為,すなわち,原告が,B大 学から本件無期停学処分を受けていることを秘匿し続けたほか,条件付採用 期間中に更に本件放学処分を受けたことをも秘匿し続け,人事課からの指導に対して誠実に対応しなかったことについては,責任感,協調性といった面で勤務成績や公務員としての適性に関係し得るところであるから(証人C),本件人事院規則10条2号及び4号に準じた分限事由の存否との関係では,なお検討を要する。 ここで,地方公共団体が,職員の採用に当たり,適当な者を選択するために,当該職員となろうとする者に対して必要な事項の開示を期待し,秘匿等の所為のあった者について,信頼に値しない者であるとの人物評価を加えることは当然であるが,右の秘匿等の所為がかような人物評価に及ぼす影響の程度は,秘匿等にかかる事実の内容,秘匿等の程度およびその動機,理由の いかんによって区々であり,それがその者の公務員としての勤務成績の不良や適性の欠如を裏付けるものとして分限事由となり得るかについても,一概にこれを論ずることはできない。また,秘匿等に係る事実の如何によっては,秘匿等の有無にかかわらずそれ自体で上記適性を否定するに足りる場合もあり得る。そこで,原告による本件無期停学処分及び本件放学処分の秘匿や これらの各処分の理由となった学 事実の如何によっては,秘匿等の有無にかかわらずそれ自体で上記適性を否定するに足りる場合もあり得る。そこで,原告による本件無期停学処分及び本件放学処分の秘匿や これらの各処分の理由となった学生運動参加の事実等について,それらが分限事由となり得るものか否かを判断するに当たっては,秘匿の動機,理由に関する事実関係や,秘匿等に係る学生運動参加の内容,態様及び程度といったものを個別的に検討する必要がある。 そこで,本件について上記の観点から検討するに,まず,本件無期停学処 分及び本件放学処分の秘匿等の動機,理由として,原告は,本件放学処分とされたことには納得しておらず,人事課に対して自分に不利益になるようなものは敢えて言うべきではないと思ったなどの様々な理由によるものであった旨供述するところ,条件付採用期間中の職員にある者がいわゆる学生運動関与とそれに関わる大学からの懲戒処分といった事実が正式採用に向け て不利に作用するものと憶測するのは自然の情であるものといえ,上記秘匿 をもって勤務成績や公務員としての適性を殊更に否定する事情とまではならないというべきである。次に,秘匿等に係る本件無期停学処分及び本件放学処分の理由となった学生運動の内容等をみるに,その運動内容はバリケード封鎖に関与したというもので必ずしも穏当な行動とはいえず,当時,中央執行副委員長の立場にあった原告には上記運動への一定程度の関与があっ たものと推認されるところではあるが,上記学生運動は飽くまで,本件条件付採用の1年半以上も前の平成27年10月に原告がB大学との関係で行ったものであり,被告とは無関係のものである。そして,被告での勤務を開始した平成29年4月以降に,原告がB大学全学自治会同学会の学生運動に関与したことはなく,また,本件全証拠を がB大学との関係で行ったものであり,被告とは無関係のものである。そして,被告での勤務を開始した平成29年4月以降に,原告がB大学全学自治会同学会の学生運動に関与したことはなく,また,本件全証拠を検討しても,原告が,条件付採用 期間中の京都府A課での勤務において,勤務成績や適性の面で問題視されるような行動をとったことをうかがわせる証拠も存在しない。これらの事実関係に加え,原告の秘匿行為が被告の公務に関わるものでないことや,被告においても原告を懲戒処分とせずに矯正措置としての訓告をするにとどめたことをも併せて考慮すれば,原告が本件無期停学処分及び本件放学処分を秘 匿し誠実な対応を取らなかったことは,責任感,協調性といった面での勤務成績や公務員としての適性の判断として殊更に重視して低く評価すべき要因たり得ないのであるから,原告を今後引き続き任用しておくことが適当でないと評価するまでには至らないものである。 したがって,本件訓告の理由となった原告の所為をもって,本件人事院規 則10条2号及び4号に準じた分限事由が存在すると認めるのは相当ではない。 ウ以上によれば,本件訓告を受けた原告について,本件人事院規則10条2号及び4号に準じた分限事由(勤務実績が不良なことその他客観的事実に基づいてその官職に引き続き任用しておくことが適当でないと認められる場 合)が存在するとは認められない。 3 以上に見たところによれば,本件分限免職処分は,原告に分限事由がないにもかかわらず行われたものとして,裁量権の行使を誤った違法があるというべきであり,その取消しを免れない。 第5 結論よって,本件分限免職処分の取消しを求める原告の請求は理由があるからこれ を認容することとし,主文のとおり判決す の行使を誤った違法があるというべきであり,その取消しを免れない。 第5 結論よって,本件分限免職処分の取消しを求める原告の請求は理由があるからこれ を認容することとし,主文のとおり判決する。 京都地方裁判所第6民事部 裁判長裁判官藤田昌宏 裁判官柴田憲史 裁判官伊藤渉 別紙1 関係法令等の定め 1 地方公務員法(平成29年法律第29号による改正前のもの)6条(任命権者)1項地方公共団体の長,議会の議長,選挙管理委員会,代表監査委員,教育委員会,人事委員会及び公平委員会並びに警視総監,道府県警察本部 長,市町村の消防長(特別区が連合して維持する消防の消防長を含む。)その他法令又は条例に基づく任命権者は,法律に特別の定めがある場合を除くほか,この法律並びにこれに基づく条例,地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い,それぞれ職員の任命,人事評価(任用,給与,分限その他の人事管理の基礎とするために,職員が その職務を遂行するに当たり発揮した能力及び挙げた業績を把握した上で行われる勤務成績の評価をいう。以下同じ。),休職,免職及び懲戒等を行う権限を有するものとする。 15条(任用の根本基準)職員の任用は,この法律の定めるところにより,受験成績,人事評価その 他の能力の実証に基づいて行わなければならない。 22条(条件付採用及び臨時的任用)1項臨時的任用又は非常勤職員の任用の場合を除き,職員の採用は,全て条件付のものとし,その職員がその職において6月を勤務し,その間その職務を良好な成績で遂行したときに正式採用になるものと 任用)1項臨時的任用又は非常勤職員の任用の場合を除き,職員の採用は,全て条件付のものとし,その職員がその職において6月を勤務し,その間その職務を良好な成績で遂行したときに正式採用になるものとする。この 場合において,人事委員会等は,条件付採用の期間を1年に至るまで延長することができる。 23条(人事評価の根本基準)1項職員の人事評価は,公正に行われなければならない。 2項任命権者は,人事評価を任用,給与,分限その他の人事管理の基礎と して活用するものとする。 23条の2(人事評価の実施)1項職員の執務については,その任命権者は,定期的に人事評価を行わなければならない。 2項人事評価の基準及び方法に関する事項その他人事評価に関し必要な事項は,任命権者が定める。 23条の3(人事評価に基づく措置)任命権者は,前条第1項の人事評価の結果に応じた措置を講じなければならない。 27条(分限及び懲戒の基準)1項すべて職員の分限及び懲戒については,公正でなければならない。 2項職員は,この法律で定める事由による場合でなければ,その意に反して,降任され,若しくは免職されず,この法律又は条例で定める事由による場合でなければ,その意に反して,休職されず,又,条例で定める事由による場合でなければ,その意に反して降給されることがない。 3項職員は,この法律で定める事由による場合でなければ,懲戒処分を受 けることがない。 28条(降任,免職,休職等)1項職員が,次の各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは,その意に反して,これを降任し,又は免職することができる。 1号人事評価又は勤務の状況を示す事実に照らして,勤務実績がよくな い場合2号 の各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは,その意に反して,これを降任し,又は免職することができる。 1号人事評価又は勤務の状況を示す事実に照らして,勤務実績がよくな い場合2号心身の故障のため,職務の遂行に支障があり,又はこれに堪えない場合3号前2号に規定する場合のほか,その職に必要な適格性を欠く場合4号職制若しくは定数の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生 じた場合 29条の2(適用除外)1項次に掲げる職員及びこれに対する処分については,第27条第2項,第28条第1項から第3項まで,第49条第1項及び第2項並びに行政不服審査法(平成26年法律第68号)の規定を適用しない。 1号条件附採用期間中の職員 2号臨時的に任用された職員2項前項各号に掲げる職員の分限については,条例で必要な事項を定めることができる。 49条(不利益処分に関する説明書の交付)1項任命権者は,職員に対し,懲戒その他その意に反すると認める不利益 な処分を行う場合においては,その際,その職員に対し処分の事由を記載した説明書を交付しなければならない。 2項職員は,その意に反して不利益な処分を受けたと思うときは,任命権者に対し処分の事由を記載した説明書の交付を請求することができる。 3項前項の規定による請求を受けた任命権者は,その日から15日以内に, 同項の説明書を交付しなければならない。 4項第1項又は第2項の説明書には,当該処分につき,人事委員会又は公平委員会に対して審査請求をすることができる旨及び審査請求をすることができる期間を記載しなければならない。 2 国家公務員法 78条(本人の意に反する降任及び免職の場合)職員が,次の各号に掲げる場合の 査請求をすることができる旨及び審査請求をすることができる期間を記載しなければならない。 2 国家公務員法 78条(本人の意に反する降任及び免職の場合)職員が,次の各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは,人事院規則の定めるところにより,その意に反して,これを降任し,又は免職することができる。 1号人事評価又は勤務の状況を示す事実に照らして,勤務実績がよくな い場合 2号心身の故障のため,職務の遂行に支障があり,又はこれに堪えない場合3号その他その官職に必要な適格性を欠く場合4号官制若しくは定員の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合 81条(適用除外)1項次に掲げる職員の分限(定年に係るものを除く。次項において同じ。)については,第75条,第78条から前条まで及び第89条並びに行政不服審査法(平成26年法律第68号)の規定は,適用しない。 1号臨時的職員 2号条件付採用期間中の職員2項前項各号に掲げる職員の分限については,人事院規則で必要な事項を定めることができる。 3 人事院規則11-4(職員の身分保障)人事院は,国家公務員法に基き,職員の身分保障に関し次の人事院規則を制定 する。 10条(条件付採用期間中の職員の特例)条件付採用期間中の職員は,次に掲げる場合には,いつでも降任させ,又は免職することができる。 1号法第78条第4号に掲げる事由に該当する場合 2号特別評価の全体評語が下位の段階である場合又は勤務の状況を示す事実に基づき勤務実績がよくないと認められる場合において,その官職に引き続き任用しておくことが適当でないと認められるとき。 3号心身に故障がある場合にお が下位の段階である場合又は勤務の状況を示す事実に基づき勤務実績がよくないと認められる場合において,その官職に引き続き任用しておくことが適当でないと認められるとき。 3号心身に故障がある場合において,その官職に引き続き任用しておくことが適当でないと認められるとき。 4号前2号に掲げる場合のほか,客観的事実に基づいてその官職に引き 続き任用しておくことが適当でないと認められる場合以上 別紙2 本件訓告の理由あなた(引用者注:原告のこと。以下同じ。)は,採用前に提出した身上書に「B大学を平成29年3月卒業見込」と記載していたが,卒業をしなかったため,同大学に在籍したままでの採用となった。 そこで,平成29年4月以降,地方公務員に課せられた職務に専念する義務と の関係から速やかに退学手続きを取るよう繰り返し指導したことに対し,実際には無期停学処分を受けているため自主退学ができないにもかかわらず,そうした事実を隠し,学費を滞納しているから所定期間の経過により除籍となるのを待つしかないなどと虚偽の理由を述べた。そして,同年7月28日に同大学を放学処分となったことについても速やかに報告せず,同年8月29日の人事課職員との 面談で尋ねられてもきちんと回答せず,同年9月1日に放学証明書を提出するまで秘匿し続けた。 以上の一連の行動は,職務専念義務を果たせるよう退学手続きを求めた指導に対し,虚偽を述べて人事課職員を欺き,不誠実な対応を取り続けたものであって,京都府職員として極めて不適切であると言わざるを得ず,全体の奉仕者たる公務 員として相応しくないものである。 よって,強く反省を求めるとともに,このようなことがないよう訓告する。 以上 府職員として極めて不適切であると言わざるを得ず,全体の奉仕者たる公務員として相応しくないものである。よって,強く反省を求めるとともに,このようなことがないよう訓告する。以上
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