平成26年12月24日判決言渡同日原本受領裁判所書記官平成26年(行ケ)第10045号審決取消請求事件口頭弁論終結日平成26年12月3日判決 原告ノバルティスアーゲー 訴訟代理人弁護士片山英二訴訟代理人弁理士小林 浩同日野真美同吉光真紀 被告特許庁長官指定代理人川 口 裕美子同内藤伸一同瀬良聡機同根岸克弘 主文 1 特許庁が不服2013-7030号事件について平成25年9月30日にした審決を取り消す。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求主文と同じ。 第2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯等原告は,平成13年5月9日,発明の名称を「骨代謝疾患の処置のための医薬の製造のための,ゾレドロネートの使用」とする発明について特許出願(特願2001-585739号。パリ条約による優先権主張日:平成12年5月19日,優先権主張国:イギリス,請求項数10。以下「本願」という。)をし,平成20年4月24日付け手続補正書(請求項数14)を提出して特許請求の範囲を補正したところ,平成23年10月28日付けで拒絶理由通知を受けたため,平成24年3月9日付け誤訳訂正書(請求項数10)を提出して特許請求の範囲及び明細書の補正を行ったが,同年12月13日付けで拒絶査定を受けたことから,平成25年4月17日,これに対する不服の審判を請求し,併せて同日付け手 訳訂正書(請求項数10)を提出して特許請求の範囲及び明細書の補正を行ったが,同年12月13日付けで拒絶査定を受けたことから,平成25年4月17日,これに対する不服の審判を請求し,併せて同日付け手続補正書により特許請求の範囲を補正した(請求項数10。以下「本件補正」という。)。(甲4,5,7,8,15~17)特許庁は,前記審判請求を不服2013-7030号事件として審理し,平成25年9月30日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決(以下「本件審決」という。)をし,その謄本は,同年10月15日,原告に送達された。 原告は,平成26年2月10日,本件審決の取消しを求める本件訴訟を提起した。 2 特許請求の範囲の記載本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は,次のとおりである(甲17)。以下,この請求項1に記載された発明を「本願発明」といい,本願に係る明細書(甲8により訂正された甲4)を「本願明細書」という。 【請求項1】2-(イミダゾル-1-イル)-1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸(ゾレドロン酸)又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含む処置 剤であって,ビスホスホネート処置を必要とする患者に4mgのゾレドロン酸を15分間かけて静脈内投与することを特徴とする処置剤。 3 本件審決の理由の要旨 本件審決の理由は,別紙審決書の写しのとおりである。要するに,本願発明は,本願の優先日前に頒布された以下のアの引用例1に記載された発明(以下「引用発明」という。),イの引用例2及びウの引用例3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない,というものである。 ア引用例1:「CancerInvesti 記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない,というものである。 ア引用例1:「CancerInvestigation, Jan 2000, vol.18, no.suppl. 1,p.68-69(邦題:「多発性骨髄腫及び乳癌におけるゾレドロン酸対パミドロン酸の第II 相試験」)」(甲1)イ引用例2:「Cancer, 1997, vol.80, no.8 suppl., p.1699-1701」(甲2)ウ引用例3:「EndocrineReviews, 1998, vol.19, no.1, p.80-100」(甲3) 本件審決が認定した引用発明は,次のとおりである。 ゾレドロン酸を有効成分として含む薬剤であって,乳癌又は多発性骨髄腫のような溶骨性疾患の患者に4mgのゾレドロン酸を5分間かけて点滴することを特徴とする薬剤。 本願発明と引用発明との対比本件審決が認定した本願発明と引用発明との一致点及び相違点は,以下のとおりである。 ア一致点2-(イミダゾル-1-イル)-1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸(ゾレドロン酸)又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含む処置剤であって,ビスホスホネート処置を必要とする患者に4mgのゾレドロン酸を分単位の一定時間をかけて静脈内投与することを特徴とする処置剤。 イ相違点分単位の一定時間が,引用発明では「5分間」であるのに対し,本願発明では「15分間」である点。 4 取消事由相違点に係る容易想到性の判断の誤り(取消事由1)本願発明の効果に係る判断の誤り(取消事由2)第3 当事者の主張 1 取消事由1(相違点に係る容易 15分間」である点。 4 取消事由相違点に係る容易想到性の判断の誤り(取消事由1)本願発明の効果に係る判断の誤り(取消事由2)第3 当事者の主張 1 取消事由1(相違点に係る容易想到性の判断の誤り)について〔原告の主張〕 本件審決は,本願発明と引用発明との相違点について,引用例1は,ゾレドロン酸の第Ⅱ相試験に関する文献であり,該試験の結果,一定の効果を有するものとされたことが記載され,第Ⅲ相試験へ進んでいることも記載されているから,第Ⅲ相試験において,第Ⅱ相試験では出なかった副作用が出ることはあり得るし,それを避けるべく,用法・用量を設定することは当業者が通常行うことであるとの前提に立った上で,引用例3には,ビスホスホネートの静脈内投与においては,急速な点滴が腎不全を招くので,大量の液体でゆっくりと点滴することが好ましい旨の記載があり,また引用例2にはゾレドロン酸が5-30分の点滴で投与され,20分の点滴で血清カルシウムレベルの低下効果があったことが記載されていることから,引用例1ないし3を併せ見た当業者であれば,引用発明の5分間という点滴の時間をゆっくりとしたものにするに当たり,15分間という時間に到達することは,実験的に適宜なし得たことである旨判断した。 引用例2の記載事項の認定の誤りしかし,引用例2には,0.02mg/kg及び0.04mg/kgの投与量で20分間の投与が行われた例と,0.2-8mgの投与量で5分間の投与が行われた例が記載されているにすぎない。4及び8mgの投与量につ いては,20分間の投与は行われていないことが明らかである。 したがって,引用例2にはゾレドロン酸が5-30分の点滴で投与されたことが記載されている,すなわち投与量とは無関係にゾレド いては,20分間の投与は行われていないことが明らかである。 したがって,引用例2にはゾレドロン酸が5-30分の点滴で投与されたことが記載されている,すなわち投与量とは無関係にゾレドロン酸を5-30分で点滴を行うことが記載されているとする本件審決の認定は,明らかに誤りである。 引用例1及び2から本願発明の課題を把握することは困難であることア本願発明の課題は,本願明細書の段落【0006】,【0030】~【0032】によれば,ゾレドロン酸4mgで5分間の静脈内投与に際して腎臓への有害事象の発生が見られることに鑑みて,ゾレドロン酸の静脈内投与において,優れた有効性を維持しつつ,腎臓に対する安全性を改善することであり,本願発明は,当該課題を,用量を変更せずに投与時間を5分から15分に延長することによって,解決したものである。 これに対し,引用例1は,臨床第Ⅱ相試験において,4mgのゾレドロン酸を5分間静脈内投与する際の,多発性骨髄腫患者及び乳癌患者における骨合併症に対する有効性及び安全性を評価したものであり,骨代謝マーカーの1つであるCa/クレアチニンの中央値が記載され,腎臓に対する副作用の指標となるクレアチニンを測定したことを示す根拠があるものの,これに対する言及がない以上,当該試験の結果,当該用法用量において腎毒性は生じていないことが把握できる。したがって,引用例1の記載から,腎臓に対する安全性の改善という課題の存在を認識すること自体が困難であったことは明らかである。 引用例2は,引用例1の更に前段階の臨床第Ⅰ相試験であり,治験薬について臨床安全用量の範囲ないし最大安全量を推定することを目的とし,併せて吸収・排泄等の薬物動態学的検討を行い,第Ⅱ相試験に進み得るか否かの判断資料を得ること 前段階の臨床第Ⅰ相試験であり,治験薬について臨床安全用量の範囲ないし最大安全量を推定することを目的とし,併せて吸収・排泄等の薬物動態学的検討を行い,第Ⅱ相試験に進み得るか否かの判断資料を得ることを目的としている。そして,引用例2には,当該試験における最大投与量である8mgの5 分間投与で,腎臓に対する毒 性が見られなかったことが記載されているのであるから,当該用法用量が最大安全量であることが推定でき,当業者は,当該最大安全量の範囲内である4mgの5分間投与については当然に腎毒性を生じない用量であると理解する。したがって,引用例2においても,ゾレドロン酸4mgの5分間投与について,腎臓に対する安全性の改善という課題を認識することができないことは明らかである。 このように,引用例1及び2に記載の発明は,本願発明の課題を何ら示唆するものではないから,これらを組み合わせても,本願発明の課題を把握することは困難であり,その解決手段たる本願発明に容易に到達することはできない。 イ被告は,この点について,医薬品において,腎毒性を含め様々な安全性についての検討は当然の課題であり,引用例1にはゾレドロン酸とパミドロン酸とが類似する安全性を有することが記載され,引用例2にも腎毒性が検討された旨の記載がある上,パミドロン酸をはじめとするビスホスホネート製剤に腎機能を悪化させるリスクがあることは技術常識であったから,ゾレドロン酸についても,腎機能を悪化させるリスクがあることは当業者に明らかであったとし,当業者にはゾレドロン酸の腎毒性に対する安全性の課題の認識があった旨主張する。 しかし,当業者は,医薬には一般に安全性の課題があり,さらにビスホスホネート製剤には腎機能を悪化させるリスクがあるという認識に立って,ゾレドロン酸 安全性の課題の認識があった旨主張する。 しかし,当業者は,医薬には一般に安全性の課題があり,さらにビスホスホネート製剤には腎機能を悪化させるリスクがあるという認識に立って,ゾレドロン酸について臨床第Ⅰ相試験及び臨床第Ⅱ相試験が行われ,その結果,ゾレドロン酸では腎毒性が問題にならないことが確認されているのであるから,再び一般論に立ち返って腎機能を悪化させるリスクがあるとする被告の主張は,事後分析的であり事実に反する。ゾレドロン酸の腎毒性が,実際にはパミドロン酸よりも高い頻度で発現し,そのため,優れた有効性を維持しつつ,腎臓に対する安全性を改善するという課題があ ることは,その後の第Ⅲ相試験の結果が報告されるまでは,全く予想できなかったのである。被告の上記主張は理由がない。 なお,被告は,第Ⅰ相試験,第Ⅱ相試験の結果にかかわらず,より大人数の患者を対象とする第Ⅲ相試験においても,腎臓に対する安全性が課題として存在するのは当然のことであり,引用例1及2はともに腎臓に対する安全性という課題を前提とするもので,本願発明の課題を把握することに困難はない旨主張する。 しかし,臨床第Ⅲ相試験は,第Ⅰ相試験,第Ⅱ相試験における安全性の検討の結果に基づいて決められた用法・用量について,有効性,安全性を確認する試験であり,用法・用量を変更することは通常行われない。副作用が問題になることが予想される場合には,それを見越して臨床第Ⅱ相試験までの段階で用法用量設定を行った上で臨床第Ⅲ相試験を行うからである。そもそも第Ⅲ相試験では,当初から複数の用法・用量で試験を行うことでさえ避けるべきものとされているのであるから,ましてや第Ⅲ相試験の途中で200名もの大勢の患者に投与した後に,用法用量を変更して再試験を行うなどということは 初から複数の用法・用量で試験を行うことでさえ避けるべきものとされているのであるから,ましてや第Ⅲ相試験の途中で200名もの大勢の患者に投与した後に,用法用量を変更して再試験を行うなどということは,臨床試験に要する期間や費用の増大を含め非常な負担であり,極めて例外的であることは常識である。このような当業者の常識に鑑みれば,臨床第Ⅲ相試験の当初の試験の結果により,用法を変更せざるを得ないほどの腎毒性が発現するなどとは,当業者には予測できなかったことは明らかである。被告の上記主張も理由がない。 引用例1に引用例2を結び付ける動機付けがないこと本件審決は,引用例1の第Ⅱ相試験の結果に,引用例2の第Ⅰ相試験の「5-30分の点滴投与」を組み合わせて本願発明に至ることが容易であるとするものであるが,第Ⅰ相,第Ⅱ相,第Ⅲ相という順番で行われる臨床試験の流れからすれば,引用例1におけるゾレドロン酸4mgの5分間静脈投与は,引用例2の結果を十分に考慮して至適用量として定められたものであるから, 第Ⅱ相試験において腎毒性が発現していない以上,その第Ⅱ相試験に用いられた投与量及び投与方法を,第Ⅰ相試験に用いられた投与時間のみを考慮して変更することは常識では考えられない。実際,引用例2には,ゾレドロン酸について第Ⅱ相試験が開始され,そこで急速静注法の安全性の試験がされることが記載されており,当該試験の結果,安全性に問題がなければ,急速静注法が採用されることが理解できる。そして,第Ⅱ相試験結果の報告である引用例1から把握できるとおり,腎毒性は生じなかったのであるから,引用例1において試験されたゾレドロン酸4mgの5分間点滴投与について,投与時間を延長する動機付けはなく,そのために引用例2を参考にするということも考えられない。 本 かったのであるから,引用例1において試験されたゾレドロン酸4mgの5分間点滴投与について,投与時間を延長する動機付けはなく,そのために引用例2を参考にするということも考えられない。 本件審決は,この点について,第Ⅲ相試験において,第Ⅱ相試験では見られなかった副作用が発現することはあり得ることだし,それを避けるべく,用法・用量を設定することは当業者が通常行うところである旨判断したが,本件審決は,本願優先日後に公開された第Ⅲ相試験において明らかとなった腎毒性の予想外で驚くべき知見・結果に依拠して,事後分析的に本願発明の容易想到性を判断するものであって,後知恵に基づくものであり違法である。 引用例1及び2に引用例3を組み合わせる動機付けがないこと本件審決は,引用例3には,ビスホスホネートの静脈内投与においては,急速な点滴が腎不全を招くので,大量の液体でゆっくりと点滴することが好ましいことが記載されているから,この記載に接した当業者は,引用発明においても5分間という点滴の時間を,よりゆっくりとしたものにすることに格別の創意を要しない旨判断した。 しかし,引用例3の「B.ヒトの副作用」の項には,大量のビスホスホネートの静脈内投与における注意点として急速な点滴が腎不全を招くこと,この変化の原因となるメカニズムは知られていないことが記載されているが,上記記載はその中の参照文献269(甲24)に基づくものであるところ, 当該文献はエチドロネートとクロドロネートの知見に基づく記載である。そして,エチドロネートに関する文献(甲25,甲2)によれば,引用例3にいう「大量」とは1g程度であり,「急速な点滴」とは30分未満の点滴のことであることが明らかであり,引用例3には,1g程度のビスホスホネートについて30分 る文献(甲25,甲2)によれば,引用例3にいう「大量」とは1g程度であり,「急速な点滴」とは30分未満の点滴のことであることが明らかであり,引用例3には,1g程度のビスホスホネートについて30分未満の点滴を行うと,腎不全を招くことが記載されていることが理解できる。 ビスホスホネートは,研究の進展に応じて,第一,第二,第三世代に分類され,初期のビスホスホネートであるエチドロネート及びクロドロネートは第一世代,次に第二世代であるパミドロン酸が開発され,近年開発されたゾレドロン酸は第三世代のビスホスホネートとして知られている。また,ビスホスホネートは,世代間で骨吸収阻害作用に顕著な差があり,第三世代のゾレドロン酸は第一世代のエチドロネートの1万倍以上の活性を有することが知られている。 このような技術常識に照らせば,当業者は,引用例3において,急速な点滴を行うことにより腎不全が懸念されるビスホスホネートとは,1g程度も投与しなければならない初期のビスホスホネート,すなわち第一世代のビスホスホネートであることを当然に理解する。そして,複数の初期のビスホスホネートにおいて見られる腎毒性のメカニズムが不明であることに加え,活性の高い第三世代のビスホスホネートは投与量が非常に少量となることから,ゾレドロン酸には引用例3の上記記載事項は当てはまらないことが明らかである。 このように,引用例3の上記記載事項は,ゾレドロン酸とは無関係であるから,引用例1及び2に,引用例3を組み合わせる動機付けはない。 本願発明の構成の容易想到性の判断の誤り前記のとおり,引用例1ないし3を組み合わせる動機付けは見当たらないが,仮に引用例1ないし3を組み合わせたとしても,これらの引用例により 本願発明の相違点に係る 到性の判断の誤り前記のとおり,引用例1ないし3を組み合わせる動機付けは見当たらないが,仮に引用例1ないし3を組み合わせたとしても,これらの引用例により 本願発明の相違点に係る構成に容易に想到できるものではない。 引用例3には,大量,すなわち1g程度のビスホスホネートの急速点滴による腎不全は,ビスホスホネートの血中における物理的性状によるものであることを示唆する記載がある。これに対し,ゾレドロン酸が血中で固相を形成することを示唆する知見はなく,そもそも投与量が4mgや8mgと,1gに比べて非常に少ないゾレドロン酸が血中で固相を形成するとは考えられない。したがって,引用例3の記載があっても,依然としてゾレドロン酸の投与により腎毒性を発現することは予想外である。 また,腎毒性が発現した場合に,引用例2の記載に基づいて,当該腎毒性を回避するのであれば,4mg/20分という実際には効果も確認されていない記載に基づく点滴時間の延長ではなく,投与量を減量して,引用例2において骨吸収の効果が90mgのパミドロン酸よりも高いことが確認されている2mg/5分を選択するほうが合理的である。 また,引用例3の記載に基づけば,短時間投与(30分未満の投与)により生じた腎毒性を回避するために,数時間程度の長い投与時間を選択することが動機付けられることになると考えられる。 さらには,実際の臨床において,投与時間の長い注射剤は,投与者の拘束時間,投与の管理,ベッド数やベッド使用時間の延長など医療機関にとっても負担が大きく,患者にとっても5分間投与に比べ3倍も長い時間ベッドに拘束されるなど,不利益が多いため,投与時間の延長は,当業者にとって,できるだけ避けるべく検討を行うのが通常であるから,この点でも,投与時 きく,患者にとっても5分間投与に比べ3倍も長い時間ベッドに拘束されるなど,不利益が多いため,投与時間の延長は,当業者にとって,できるだけ避けるべく検討を行うのが通常であるから,この点でも,投与時間を15分とする構成に容易に至ることはできない。 〔被告の主張〕引用例2の記載事項の認定に誤りはないこと原告は,引用例2に,投与量とは無関係にゾレドロン酸を5-30分で点滴を行うことが記載されているとする本件審決の認定は誤りである旨主張す る。 しかし,引用例2の「ゾレドロン酸は,月ごとに短時間点滴(5-30分),0.1-8mgの間の用量で与えられた。」との記載は,冒頭の要約中にある。 引用例2のその後の文章中に記載された実験結果である,0.02mg/kg及び0.04mg/kgの投与量での20分間投与の例と,0.1-8mg/kgの投与量での5分間投与の例は,要約に記載された「短時間点滴(5-30分),0.01-8mg/kg」という範囲の代表的な例として記載されたものと解すべきである。実際に,記載があるにもかかわらず,全ての投与量と全ての投与時間の組合せという多数の実験が記載されていなければ,「短時間点滴(5-30分),0.01-8mg/kg」と認定できないかのような原告の上記主張は理由がない。本件審決は,要約部分及びその他の記載を総合的に判断し,点滴時間に着目して認定したものであり,「ゾレドロン酸が5-30分の点滴で投与されたことが記載され」とした引用例2の認定に誤りはない。 引用例1及び2から本願発明の課題を把握することは困難ではないこと原告は,引用例1及び2に記載の発明は,本願発明の課題を何ら示唆するものではないから,これらを組み合わせても,本願発明の課題を把握することは困難であり,その解決手段たる本 とは困難ではないこと原告は,引用例1及び2に記載の発明は,本願発明の課題を何ら示唆するものではないから,これらを組み合わせても,本願発明の課題を把握することは困難であり,その解決手段たる本願発明にも容易に到達することはできない旨主張する。 しかし,薬とは,作用(効果)と副作用(毒性又は有害反応)の両者を持ち合わせているのが普通であり,腎毒性は,代表的な副作用の一つである。 したがって,腎毒性について特段の記載がない引用例1に接した当業者は,ゾレドロン酸に腎毒性が全くないと考えるのではなく,投与対象者が増える第Ⅲ相試験に進めないような明らかな副作用は見られなかったと考えるものであり,腎毒性を含め,様々な安全性についての検討を怠らず,用法用量の最適化を行うことは,当然,常に課題とするところである。 また,引用例1には,ゾレドロン酸がパミドロン酸と類似する安全性を有することが記載されているところ,パミドロン酸が腎毒性を有することは公知であるから,当業者において,ゾレドロン酸もある程度の腎毒性を有する可能性を予想するのは明らかである。 また,第Ⅰ相試験の結果について記載された引用例2にも,「ゾレドロン酸は優れた耐容性を示した。…試験された最高用量でさえ,腎毒性の証拠はなかった。」と記載され,ゾレドロン酸の開発に当たり,腎毒性が懸念され,腎臓に対する安全性の課題認識があったことがわかる。 さらに,注射の形態のビスホスホネート製剤においては,腎機能が悪化するリスクがあることは,本願優先日における技術常識であり,ゾレドロン酸についても,引用例1に明示的な記載はなくとも,腎機能が悪化するリスクがあり,腎臓に対する安全性という課題を,当業者は当然認識していたといえる。 そして,通常,臨床試験は第Ⅰ相,第Ⅱ相 ロン酸についても,引用例1に明示的な記載はなくとも,腎機能が悪化するリスクがあり,腎臓に対する安全性という課題を,当業者は当然認識していたといえる。 そして,通常,臨床試験は第Ⅰ相,第Ⅱ相及び第Ⅲ相と順に進めて行くものであり,第Ⅰ相試験は,治験薬を初めてヒトに適用する試験で,原則として少数の健康男性志願者を対象とし,第Ⅱ相試験は,適切な疾病状態にある限られた数の患者を対象とし,第Ⅲ相試験は,比較臨床試験及び一般臨床試験により,さらに多くの臨床試験成績を収集する(ただし,第Ⅰ相試験は,例えば一部の抗悪性腫瘍薬などのように,治験薬が健康人に対して明らかに毒性を発現する可能性がある場合や,薬理学的性質のために健康人に対しては使用禁忌である場合など,医薬の特性に合わせて,健康志願者ではなく,患者を対象として行われることもあり,ゾレドロン酸については,引用例2に記載されているように,腫瘍誘発性高カルシウム血症の患者及び溶骨性骨転移患者を対象として,第Ⅰ相試験が行われている。)。このように,第Ⅲ相試験では,第Ⅱ相試験より大人数の患者を対象とするので,第Ⅱ相試験では見られなかった副作用が,第Ⅲ相試験で見られることがあるのは当然である。 また,第Ⅲ相試験は,有効性と安全性及び有用性の確認等を明らかにする試験であるから,安全性に関するデータを集めるのは当然である。 以上によれば,ゾレドロン酸の第Ⅰ相試験において腎臓に対する安全性の課題認識があり,注射のビスホスホネート製剤には腎機能悪化のリスクがあることは本願優先日における技術常識であり,第Ⅲ相試験において,第Ⅰ相,第Ⅱ相試験で見られなかった副作用が見られることもよくあるのだから,第Ⅰ相試験,第Ⅱ相試験の結果にかかわらず,より大人数の患者を対象とする第Ⅲ相試験においても,腎臓に ,第Ⅲ相試験において,第Ⅰ相,第Ⅱ相試験で見られなかった副作用が見られることもよくあるのだから,第Ⅰ相試験,第Ⅱ相試験の結果にかかわらず,より大人数の患者を対象とする第Ⅲ相試験においても,腎臓に対する安全性が課題として存在するのは当然である。したがって,引用例1及び2はともに腎臓に対する安全性という課題を前提とするもので,本願発明の課題を把握することに困難はなく,原告の上記主張には理由がない。 引用例1ないし3を組み合わせる動機付けがあること医薬品の開発において,第Ⅰ相から第Ⅲ相の臨床試験を通して,副作用回避等のため用法・用量の最適化を行うことは,当業者の通常の創作能力の発揮にすぎない。この用法・用量の最適化に当たり,ゾレドロン酸に関して得られた知見だけでなく,類似する作用機序を有する薬物についての知見を参照することは,医薬品の分野において一般的に行われている。引用例3は,「ビスホスホネート:作用機序」との表題の総説であるから,引用例3に接した当業者は,引用例3はビスホスホネート一般について書かれたものと認識し,「ヒト有害事象」の項目に記載された事項も,エチドロネート及びクロドロネートだけでなく,その他の多数のビスホスホネートについても当てはまるものと認識する。 発明においても,腎機能に対する安全性を確保するという課題が存在するのであるから,第Ⅲ相試験を進めるにあたり,腎機能に注意し,腎毒性の発生を察知し,これを回避すべく,用法用量の最適化を行うことは示唆されている。その際,5分と いう引用発明の点滴時間に特定されることなく,引用例3の知見に基づき,投与をゆっくりとしたものとすることは,当業者が容易になし得ることであるし,具体的な用法用量の最適化に当たっては,腎毒性が見られなかった第I相試験の結果が記 されることなく,引用例3の知見に基づき,投与をゆっくりとしたものとすることは,当業者が容易になし得ることであるし,具体的な用法用量の最適化に当たっては,腎毒性が見られなかった第I相試験の結果が記載された引用例2に立ち返って検討し,15分という時間を選択して設定することについては動機付けがある。 したがって,引用発明の5分間という点滴の時間を腎機能に対する安全性等の観点からゆっくりしたものにし,具体的な時間を公知の範囲から設定することが容易になし得るとした本件審決の判断に誤りはない。 本願発明の構成の容易想到性について ロドロネートに限定されず,ゾレドロン酸を含むビスホスホネート一般を対象とするものである。そして,「医療薬日本医薬品集2000年版」(乙4)には,アレンドロン酸又はインカドロン酸の注射剤(投与量10mg),パミドロン酸の注射剤(投与量30~45mg)のいずれについても,「重要な基本的注意」の欄に「投与後は定期的に腎機能検査(血清クレアチニン,BUN等)を行う」との腎障害の可能性が示唆され,インカドロン酸及びパミドロン酸については,副作用として腎毒性が記載され,実際に上記のとおり10~45mg程度の量のビスホスホネートによっても腎障害が起き得るとされているから,本願優先日の技術常識から見て,4mgの投与量のゾレドロン酸についても,腎毒性が起こり得ることは当業者が当然予想することである。 また,本願発明の4mg,15分という投与量及び投与速度は,引用例2において開示された,第I相試験で一応の安全性が確認された「短時間点滴(5-30分),0.1-8mgの間の用量」という範囲の中に含まれ,この範囲内で,効果,副作用,利便性等を考慮し,バランスのとれた最適な値として15分を見出すことは,当業者の通常の創作能力 時間点滴(5-30分),0.1-8mgの間の用量」という範囲の中に含まれ,この範囲内で,効果,副作用,利便性等を考慮し,バランスのとれた最適な値として15分を見出すことは,当業者の通常の創作能力の発揮にすぎない。そ して,引用例1における5分での投与,及び引用例2における5-30分での投与の実績を前提にした当業者であれば,わざわざ患者にとって不便である数時間といった投与時間を採用する理由はない。 さらに,本願優先日においては,mg単位の投与量で投与される,複数の第二世代又は第三世代のビスホスホネートについて,添付文書で指示された投与時間よりも短い時間での投与が検討され,腎臓に関して安全であるとの一定の評価を得ていた(乙5~7)。したがって,第Ⅲ相試験で,腎障害を起こす事例が観察された際に,直ちに数時間といった投与速度にするのではなく,引用例2に記載された「5-30分」程度の範囲でよりゆっくりとした投与とすることは,当業者がまず検討することといえる。 以上のとおり,本願優先日の技術常識から見て,4mgの投与量のゾレドロン酸についても,腎毒性が起こり得ることは当業者が当然予想することであり,15分程度の投与時間であれば,5分の投与時間と比較して患者にかける負担が著しく増加するものではなく,当業者が当然に考慮し得る投与量及び投与速度であり,本願優先日においては,mg単位の投与量で投与される複数の第二世代又は第三世代のビスホスホネートについて,添付文書で指示された投与時間よりも短い時間での投与が検討され,腎臓に関して安全であるとの一定の評価を得ていたのであるから,引用例1ないし3を組み合わせたとしても,本願発明はこれらの引用例により容易に想到できるものではないとする原告の主張には理由がなく,本願発明は引用例1ないし3に との一定の評価を得ていたのであるから,引用例1ないし3を組み合わせたとしても,本願発明はこれらの引用例により容易に想到できるものではないとする原告の主張には理由がなく,本願発明は引用例1ないし3に基づき容易に想到できたものである。 2 取消事由2(本願発明の効果に係る判断の誤り)について〔原告の主張〕本件審決は,本願明細書に記載された「15分かけて注入した4mg用量のゾレドロン酸は,5分の短い注入時間よりも腎臓に対する耐用性に関して安全に優れた効果を発揮する」という本願発明の効果は,引用例2及び3の 記載から当業者が予測し得ることであるし,15分間かけて注入したゾレドロン酸4mgは,2時間かけて注入したパミドロン酸90mgと比較して腎臓に対して同等の耐容性,それぞれ8.8%対8.2%を示したという本願発明の効果は,引用例1及び2の記載から,当業者が予測し得ることであり,本願発明が引用例1ないし3の記載から当業者が予測し得ない優れた効果を奏し得たものとはいえない旨判断した。 しかし,引用例2は第Ⅰ相試験では腎毒性が見られなかったことを記載しているのであり,これをもって投与時間の延長により腎毒性の問題を回避することが容易であったとする本件審決の判断は,本末転倒である。実際,第Ⅲ相試験では,ゾレドロン酸4mg及び8mgの5分間点滴においても腎毒性がパミドロン酸よりも高頻度に発現したが(本願優先日後の甲29),このことは,引用例2からはゾレドロン酸の腎毒性が容易に予測できなかったことを示すものである。 また,引用例3の記載は,前記のとおり,ゾレドロン酸には関係がなく,本願発明によりゾレドロン酸による腎毒性を回避できる旨の効果は,引用例1ないし3から予測できない異質な効果である。 また,引用例3にゾレドロ 記載は,前記のとおり,ゾレドロン酸には関係がなく,本願発明によりゾレドロン酸による腎毒性を回避できる旨の効果は,引用例1ないし3から予測できない異質な効果である。 また,引用例3にゾレドロン酸による腎毒性の発生が示唆されているとしても,引用例3によれば,投与時間を数時間に延長すれば腎毒性を回避できることが示唆されているところ,本願発明のように短時間投与により腎毒性を回避できたことは,当業者の予測の範囲を超えるものである。 さらに,甲29の表7によれば,本願発明の構成を採用することにより,5分間点滴の場合に比べて,「投与前血清カルシウム値が正常な患者群」では25%の減少(12%から9%へ),「投与前血清カルシウム値が異常な患者群」では87%もの減少(30%から4%へ)というように腎毒性発生率が大幅に減少しており,パミドロン酸投与の場合における腎毒性発生率が7ないし9%であることと比較しても,本願発明の上記効果は,予測できない顕 著な効果である。 したがって,本願発明の効果は,引用例1ないし3から予測できない顕著な効果であるから,本件審決の判断は誤りである。 〔被告の主張〕ゾレドロン酸の臨床試験は,第Ⅰ相試験(引用例2)では,20人の腫瘍誘発性高カルシウム血症の患者又は58人の溶骨性骨転移患者を対象として投与され,第Ⅱ相試験(引用例1)では,4mgのゾレドロン酸が67人の患者に投与され(甲1の表1),第Ⅲ相試験は,さらに大規模な患者を対象として行われ,実際に,272人の患者に4mg,5分の投与が,また他の272人の患者に4mg,15分の投与がされている(本願優先日後の甲29)。ところで,パミドロン酸の重大な副作用である急性腎不全は1%未満の確率で起こるから(乙4),類似する作用機序を有するゾレドロン酸 2人の患者に4mg,15分の投与がされている(本願優先日後の甲29)。ところで,パミドロン酸の重大な副作用である急性腎不全は1%未満の確率で起こるから(乙4),類似する作用機序を有するゾレドロン酸についても,同程度の確率で腎障害が現れると考えるのが妥当であり,数十人程度を対象とした第Ⅰ相,第Ⅱ相試験において検出されなくとも,さらに大規模な患者を対象とした第Ⅲ相試験では腎毒性が検出されることは当然想定され得る。 また,前記のとおり,引用例3の短時間点滴が腎不全を招くとの記載は,エチドロネート及びクロドロネートのみならず,その他の多数のビスホスホネートにも当てはまるものと当業者は受け取るから,本願発明の効果は引用例3の効果と異質ではない。 原告は,第Ⅲ相試験のデータ(甲29)から「腎毒性発生率」を算出し,5分間投与の引用発明と比べて15分間投与の本願発明の効果が顕著である旨主張する。 しかし,血清クレアチニンのベースラインが正常な患者の場合,腎機能の悪化が見られなかった患者の割合は5分間投与では88%であるのに対して15分間投与では91%で,改善率は3%にすぎない。また,血清クレア チニンのベースラインが異常な患者については,母集団が少ないし,腎機能の悪化の程度がさまざまな患者が含まれており,より腎機能の悪い患者においては,より高い確率で副作用が起きることが一般的に予想され,そのような患者については,腎機能が正常又は正常に近い患者と比べ,投与時間を延長することによる効果がより強く現れても不自然ではない。 また,アメリカでのゾレドロン酸承認申請時の資料の一部である乙8の記載中,「試験010」は,本願明細書の表7の「試験10」に対応するものと思われるが,比較対象であるパミドロン酸については,同じ投与量,投与 メリカでのゾレドロン酸承認申請時の資料の一部である乙8の記載中,「試験010」は,本願明細書の表7の「試験10」に対応するものと思われるが,比較対象であるパミドロン酸については,同じ投与量,投与時間であっても,重大な腎機能の悪化が認められたのが0.4~1.9%というばらつきのある結果が得られる程度の試験系であるから,効果の顕著性を認めることはできない。また,乙8の「試験011」及び「試験039」は,それぞれ本願明細書の「試験11」及び「試験39」に対応するものと思われるが,どちらの試験においても,むしろ15分間投与の方が5分間投与よりも高い確率で重大な腎機能の悪化が起こっている。 このように,原告の主張する本願発明の効果は,着目するデータによって変わり得るものであるから,軽度な腎機能の悪化までを含めた本願明細書の表7,又は甲29の表7において,4mg15分の投与が,4mg5分の投与よりも多少優れるとしても,4mg15分とすることによる腎毒性発生率の低下という効果が,格別顕著なものであるとはいえない。 なお,パミドロン酸投与の場合における腎毒性発生率が7-9%であることと比較しても,本願発明の効果は,予測できない顕著な効果であるとの原告の主張は,何と何を比較して予測できない顕著な効果があるとするものなのか不明であるし,そもそも引用例1では,「全ての用量におけるZの安全性プロファイルはPと類似していた」とされているのであるから,パミドロン酸と同程度の腎毒性があることは,当然予測されることである。さらに,本件審決は,パミドロン酸の引用例に基づき容易想到であるとしているわけ ではないから,パミドロン酸との比較は意味がない。 以上のとおりであるから,本件審決が,本願発明は引用例1ないし3の記載から当業者が予測し得ない優 に基づき容易想到であるとしているわけ ではないから,パミドロン酸との比較は意味がない。 以上のとおりであるから,本件審決が,本願発明は引用例1ないし3の記載から当業者が予測し得ない優れた効果を奏し得たものとはいえないとした判断に誤りはない。 第4 当裁判所の判断 1 本願発明について本願発明に係る特許請求の範囲は,前記第2の2記載のとおりである。本願明細書(甲8により訂正された甲4)の発明の詳細な説明には,次のとおりの記載がある。 「【0001】本発明は,ビスホスホネート処置を必要とする患者にビスホスホネート,特には2-(イミダゾール-1イル)-1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸(ゾレドロン酸)を静脈内投与する方法に関する。」「【0002】ビスホスホネートは,過剰又は不適切な骨吸収が関与する種々の良性及び悪性の骨性疾患において破骨細胞活性を抑制するために広範に利用されている。…ビスホスホネートの治療有効性は、骨粗鬆症、骨減少症、骨ページェット病、腫瘍による高カルシウム血症(TIH)、そして最近では骨転移(BM)及び多発性骨髄腫(MM)の処置において実証されている…」「【0005】1-ヒドロキシ-2(1H-イミダゾル-1-イル)-ホスホノ-エチルホスホン酸(ゾレドロン酸,ゾロドロネート)は,第3世代のビスホスホネート化合物である。動物モデルにおいて,ゾレドロン酸は,骨形成及び石灰化に影響を与えず,腎機能にも明確な影響を与えることがない用量で,石灰化骨基質に対して高い親和性を示し,そして破骨細胞の骨吸収を早い世代のビスホスホネートよりもより効果的に抑制する。この結果,腎臓への影響に 対する吸収抑制率が改善される(Greenetal., 1994; Gre し,そして破骨細胞の骨吸収を早い世代のビスホスホネートよりもより効果的に抑制する。この結果,腎臓への影響に 対する吸収抑制率が改善される(Greenetal., 1994; Greenetal., 1997)。ゾレドロン酸(ゾメタ(登録商標))は現在,用量設定試験における安全性及び有効性(Vigneronetal., 1995)及び2つの中核の臨床試験(Mulletal.,99; O’Neilletal., 1999)のデータ,更に骨転移した癌患者における他の数種の試験からの安全性を支持するデータ(vanValenetal., 1999; Goasetal., 1999; Borgetal., 1999)に基づいて,腫瘍による高カルシウム血症(TIH)の処置に対して規定された再調査をされている。臨床試験により,破骨細胞の機能亢進を低下させるゾレドロン酸の薬理学的作用の結果,TIH患者の血中での骨吸収及びカルシウム遊離が臨床上効果的に抑制されることが証明された。」「【0006】4mg用量のゾレドロン酸をおよそ15分間かけて静注投与すると1)臨床上の実用性の改善が示され,2)より短時間でより少ない容量を注入するのに対して15分かけて100mlを使用する場合に注入速度がより再現性よくなり得ることが示され,3)現在の標準的な処置である,2-4時間かけて90mgを投与するAredia(登録商標)(パミドロン酸2ナトリウム)に相当する有効性を示し,そして4)4mg/5分間,及び更に高用量のゾレドロン酸/15分間に対して,4mg/15分間で腎臓の安全性が改善されることが見出された。従って1つの実施態様において本発明は,ビスホスホネート処置を必要とする患者に,2-(イミダゾル-1イル) ゾレドロン酸/15分間に対して,4mg/15分間で腎臓の安全性が改善されることが見出された。従って1つの実施態様において本発明は,ビスホスホネート処置を必要とする患者に,2-(イミダゾル-1イル)-1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸(ゾレドロン酸,ゾレドロネート)を投与する方法に関し,当該方法は,当該患者に4mgの2-(イミダゾル-1イル)-1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸又は当量のその薬学的に許容される塩を15分間かけて静脈内投与することを含 む。」「【0016】本発明の方法に使用される静脈内投与製剤は,好ましくは等張水溶液である注射可能な流動体であり,それは例えば活性成分を単独で,又は薬学的に許容される担体と一緒に含有する凍結乾燥した形態から,当分野では周知の方法により使用する前に調製可能である。医薬品は,無菌化されてもよく,及び/又は補助剤,例えば防腐剤,安定剤,湿潤剤,及び/又は乳化剤,溶解剤,浸透圧を調節するための塩及び/又は緩衝液を含有してもよい。好ましい静注溶液は,約15分±約45秒間かけて注入するために約5から最大約200ml,好ましくは約50から最大約100ml,及び更に好ましくは100ml用量の注入溶液中に1回用量当たり4mgのゾレドロン酸を含有する溶液である。」「【0025】実施例9:実施例1に示されるのと同様にして,8mgの組成物を調製する。成分の種類及び量は,4mgの組成物(実施例7)と同様である。ゾレドロン酸及びクエン酸3ナトリウムの量だけ2倍にして,一方マンニトールを150mgに減らす。実施例2に示す組成物を凍結乾燥し,実施例1に示すように再構成してもよい。」「【0026】4mgのゾレドロン酸を100mlの注入溶液中で再構成する 一方マンニトールを150mgに減らす。実施例2に示す組成物を凍結乾燥し,実施例1に示すように再構成してもよい。」「【0026】4mgのゾレドロン酸を100mlの注入溶液中で再構成する。その溶液を15分間かけて注入する。これは,4mg/15分=0.27mg/分=1μモル/分の薬物注入速度に相当する。この15分かけて注入する4mgの用量は,以下で表に示すように,単位時間当たりの質量(mg/分)及び単位時間当たりの分子数(μモル/分)に関してより速い注入速度で非常に長い時間をかけて注入される他のビスホスホネート薬にとって替わるより 実用的な方法となることが示される:」【表3】 「【0027】1. 4mgのゾレドロン酸を含有する100ml容量を点滴静注で15分かけて注入すると,薬物を均一且つ正確な速度で投与することが可能である。例えば5分間で静脈内に流し込むような,ゾレドロン酸のより短い注入時間の臨床利用〔MajorP, LortholaryA, HonJ,etal., Zoledronicacidissuperiortopamidronateinthetreatmentofhypercalcemiaofmalignancy: apooledanalysisoftworandomized, controlledclinicaltrials, JClinOncol 2001; 19:558-567〕は,注入時間がよりばらつく結果となり得る。注入速度の変化は,骨転移した癌患者におけるゾレドロン酸の薬物動態試験において示されるように,到達する血漿濃度のピークに影響を及ぼす。関連するデータが下の図に示されている。」 得る。注入速度の変化は,骨転移した癌患者におけるゾレドロン酸の薬物動態試験において示されるように,到達する血漿濃度のピークに影響を及ぼす。関連するデータが下の図に示されている。」 【表4】 「【0028】個々の患者の血漿濃度対時間曲線,及び薬物の尿中排泄から得られた薬物動態パラメーターが,下の表に示されている。平均Cmax(注入終了時で,測定されたゾレドロン酸の最大値)の差は,統計的に有意差があった。AUC(ゾレドロン酸濃度対時間曲線下面積)及びAe(尿中に排泄された薬物量)の差には,有意差はなかった。」【表5】 「【0029】癌患者における幾つかの対照臨床試験で比較対照としてプラセボ又はビスホスホネートパミドロネートを用ると,4mg用量のゾレドロン酸は臨床上有効であることが示された。ゾレドロン酸がパミドロネートに相当する有効 性及びプラセボに反して優れた有効性を示すことを立証する関連データが,以下に要約されている。」【表6】 「【0030】15分かけて注入した4mg用量のゾレドロン酸は,5分の短い注入時間よりも腎臓に対する耐容性に関して安全に優れた効果を発揮する。15分かけてゾレドロン酸を注入すると,5分よりも腎臓への有害事象の発生が減少することが以下に要約されている。腎臓への有害事象とは,患者の血清クレアチニンのベースラインを超える増加,すなわちベースラインが<1.4mg/dLであれば,≧0.5mg/dLの増加,ベースラインが>1.4mg/dLであれば,>≧1mg/dLの増加,ベースライン値とは関係なく2倍以上の増加として定義される。」 /dLであれば,≧0.5mg/dLの増加,ベースラインが>1.4mg/dLであれば,>≧1mg/dLの増加,ベースライン値とは関係なく2倍以上の増加として定義される。」 【表7】 「【0031】15分間かけて注入したゾレドロン酸4mgは,2時間かけて注入したパミドロネート90mgと比較して腎臓に対して同等の耐容性,それぞれ8. 8%対8.2%を示した。 高用量のゾレドロン酸,8mg及び16mgに対して4mgのゾレドロン酸を15分間かけて注入した結果,驚くべきことに臨床的な有効性を損なうことなく腎臓の安全性は改善された。」「【0032】以上をまとめると,15分間かけて100mLの用量で注入される4mgのゾレドロン酸は,患者の全身循環中への薬物の流入速度が分当たり1μモルとなり,これは正確に投与可能であって,他のビスホスホネート薬に対して用いる注入速度よりもかなり遅い。パミドロネートの2時間に対してゾレドロン酸は15分と,注入持続時間が短くなることにより,臨床の場においてかなりの柔軟性と実用性が与えられる。臨床研究により,5分間のより短い注入時間と対比して,腎臓への有効性は改善されるが臨床的な有効性には影響を与えないという点で,4mg用量のゾレドロン酸の15分間かけた注入という選択に臨床上の有用性が立証され,この有用性は現在の標準的なパミドロネートによる治療に相当して,プラセボよりも優れたものである。」 ビスホスホネート処置を必要とする患者に ゾレドロン酸を静脈内投与する方法に関するものであるところ(段落【0001】),ゾレドロン酸4mgで5分間の静脈内投与においては腎臓への有害事象の発生が見られるとの課題を解決すべく(段落【0006】), ドロン酸を静脈内投与する方法に関するものであるところ(段落【0001】),ゾレドロン酸4mgで5分間の静脈内投与においては腎臓への有害事象の発生が見られるとの課題を解決すべく(段落【0006】),用量を変更することなく投与時間を5分から15分に延長することによって,投与時間が5分の場合よりも腎臓への有害事象の発生が減少し,腎臓に対する耐容性に関して安全に優れた効果を発揮し,2時間かけて注入したパミドロン酸90mgに相当する有効性及び腎臓に対する同等の耐容性を示すだけでなく,注入持続時間が短くなることによって臨床の場における柔軟性と実用性が与えられ,高用量のゾレドロン酸8mg及び16mgと比較しても臨床的な有効性を損なうことがないとの効果を有するものである(段落【0029】~【0032】)ことが認められる。 2 引用例1ないし3について 引用例1(「CancerInvestigation, Jan 2000, vol.18, no.suppl. 1,p.68-69(邦題:「多発性骨髄腫及び乳癌におけるゾレドロン酸対パミドロン酸の第II 相試験」)」,甲1)は,多発性骨髄腫の患者及び乳癌患者に対するゾレドロン酸の第Ⅱ相臨床試験の結果を報告する文献であって,次の記載がある。 「ゾレドロン酸(CGP 42446),第三世代のビスホスホネートは,破骨細胞の機能の強力な阻害剤である。それは,インビトロにおけるマウスの頭蓋冠からの1,25,(OH)2 D3 誘発カルシウム放出の阻害においてパミドロン酸よりも2桁も高い活性であり,副甲状腺摘出ラットのインビボ高カルシウム血症モデルにおいて,パミドロン酸よりも850倍強力である。280人の患者(171人の乳癌と109人の多発性骨髄腫)が二重盲検設計において無作為化され,ゾレド 甲状腺摘出ラットのインビボ高カルシウム血症モデルにおいて,パミドロン酸よりも850倍強力である。280人の患者(171人の乳癌と109人の多発性骨髄腫)が二重盲検設計において無作為化され,ゾレドロン酸(Z)を0.4,2.0もしくは4.0mgで5分間点滴,またはパミドロン酸(P)90mgの2時間点滴を9ヶ月間毎月受けた。評価期間は10ヶ月であった。骨に関する効果を表1に示す。 最初の骨関連事象(SRE±HCM)に至る時間は,0.4ZよりもPが有意に長かった。Zの安全性プロファイルは,全ての用量においてPと同様であった。 結論溶骨性の骨合併症の予防におけるZの4mgの5分間点滴は,少なくともPの90mgと同程度の効果である。Zの用量反応性は溶骨性骨転移患者集団において明らかである。第I 相骨マーカー試験は高用量(>4mg)がより効果的でありうることを示唆しているので,Zの最大限の効力には達していない可能性がある。Zの4及び8mgの用量は,大規模第Ⅲ相骨転移試験でPの90mgと比較が行われている。」 引用例2(「Cancer, 1997, vol.80, no.8 suppl., p.1699-1701」,甲2)は,腫瘍誘発性高カルシウム血症の患者及び溶骨性骨転移患者に対するゾレドロン酸の第I 相臨床試験の結果を報告する文献であって,次の記載がある。 「ビスホスホネートの長期間の投与は悪性乳癌や多発性骨髄腫の病的な骨イベントの頻度を低下させることができる。より活性の強いビスホスホネートの開発が現在の治療計画を単純化し,ビスホスホネート治療の治療有効性を改善するかもしれない。ゾレドロン酸は,最も強力な臨床的に試験された化合物である。それは,幾つかのイン 活性の強いビスホスホネートの開発が現在の治療計画を単純化し,ビスホスホネート治療の治療有効性を改善するかもしれない。ゾレドロン酸は,最も強力な臨床的に試験された化合物である。それは,幾つかのインビボやインビトロ薬理学的試験系において,パミドロン酸よりも100-850倍活性が高い第三世代環状ビスホ スホネートである。 最初のゾレドロン酸の治験は,腫瘍誘発性高カルシウム血症の患者(再水和後の補正カルシウム値[Ca]>2.75mmol/L)に対して実施されている。 多施設第I 相試験において,単回注入は,ゾレドロン酸0.02mg/体重kgの用量レベル,すなわち平均60kgの人間に対し1.2mgおよび2. 4mgで既に有効性を示していた。5患者中5名が0.02mg/kgの投与後,15名のうちの14名(93%)が0.04mg/kgの投与後,正常血漿カルシウムになった。血清カルシウムが正常血漿カルシウムに至る時間の中央値は2日であり,活性持続時間の中央値は33日であったことは,ゾレドロン酸は他の臨床試験されたビスホスホネートよりも即効性があり,より活性が持続することを示唆する。ゾレドロン酸は忍容性が良好である;唯一の副作用は患者の30%における体温上昇であったが,多くの患者においてはおそらく薬剤関連ではなかった。第I 相試験は骨転移を有する患者においても計画されている。ゾレドロン酸は0.1-8mgの用量で月1回の短時間点滴(5-30分)で投与された。鎮痛作用があり,低用量(2mg以上)においても骨吸収の生化学マーカーにおける効果が90mgのパミドロン酸点滴よりも優れるように見受けられた。 これらの初期のヒトデータは,ゾレドロン酸が便利な短時間静脈点滴として投与でき,既存薬によって現在可能な程度より優れかつより長期の骨吸 gのパミドロン酸点滴よりも優れるように見受けられた。 これらの初期のヒトデータは,ゾレドロン酸が便利な短時間静脈点滴として投与でき,既存薬によって現在可能な程度より優れかつより長期の骨吸収抑制をもたらすことができることを示唆する。さらなる試験によって,この非常に強力なビスホスホネートの長期間の治療が骨転移の病的状態においてより高い効果を有することができるか否かを測定しなければならないだろう。」(1699頁1~30行)「ゾレドロン酸の最初の治験は,TIHの患者において,20分の単回点滴として投与された…有効量レベルは,0.02と0.04mg/kgであった。これは平均60kgの個体に対して,1.2及び2.4mgの総用量 である。」(1700頁右欄1~末行)(甲2の翻訳にはないが,本件審決記載の訳文のとおりであることは当事者間に争いがない。)「次に,ゾレドロン酸短時間(5分)静脈点滴でオープンラベル,幅広い用量の試験を正常カルシウム血漿である溶骨性骨転移患者に対して行った(参照4及びノバルティスとの個人的連絡)。評価された用量の範囲は0. 1~8mg(0.1,0.2,0.4,0.8,1.5,2,4及び8mg)であり,点滴は4週間間隔で3回繰り返された。試験は,主に多発性骨髄腫(n=36)又は乳癌(n=19)に罹患した58名の患者,各用量に6~10人で行われた。…腎臓毒性の兆候は,試験された最高用量でもみられなかった。」(1701頁左欄15行~右欄8行) 引用例3(「EndocrineReviews, 1998, vol.19, no.1, p.80-100」,甲3)には,次の記載がある。 「急性ではなく,骨ではない毒性は,通常多くのホスフェートおよびポリホスフェートを投与する場合と , 1998, vol.19, no.1, p.80-100」,甲3)には,次の記載がある。 「急性ではなく,骨ではない毒性は,通常多くのホスフェートおよびポリホスフェートを投与する場合と同様に,最初に腎臓で見られる(271,272)。しかしながら,これは,ヒトにおいて投与されるよりも相当大量の用量の場合にのみ生じる。」(92頁右欄下から11~8行)「動物と同様に,ヒトの試験では,少しの重要な副作用が明らかとなっただけである。おそらく,ビスホスホネートは血中で固相を形成し,そして腎臓で保持されるために,短時間での点滴は腎不全を招くので(269。判決注:Bounameaux 他「Lancet, Vol. 1, 1983, p471」),ビスホスホネートの全ての大量の静脈内投与には注意を払わなければいけない。これらの事象は,多くの液体でゆっくりと点滴することによる全ての大量のビスホスホネートの投与に対する注意を払って以来生じていない。」(93頁左欄6~14行) 引用例3が本文中で引用する参照文献(269)のBounameaux 他「Lancet, Vol. 1, 1983, p471」(甲24)には,次の記載がある。 「静脈内ジホスホネートによる腎障害」(471頁左欄標題,以下は全て471頁の記載である。)「患者は100mlの生理食塩水に溶解した1gのEHDP(判決注:「エチドロネート」を意味する。)を短時間点滴で2日連続して投与された。」(左欄末行~右欄2行)「検死により,カルシウム沈着はないが,単核細胞の顕著な浸潤を伴う尿細管間質性の損傷が確認された。腎機能ははじめは向上したが,脱水なしに進行性の腎障害が生じた。」(右欄5~7行)「彼女は,C2MDP(判決注:「 ム沈着はないが,単核細胞の顕著な浸潤を伴う尿細管間質性の損傷が確認された。腎機能ははじめは向上したが,脱水なしに進行性の腎障害が生じた。」(右欄5~7行)「彼女は,C2MDP(判決注:「クロドロネート」を意味する。)(毎日200-1500mg)を,30日間にわたり,総量19.9gを静脈内投与された。」(右欄11~14行)「高カルシウム血症のため,EHDP(毎日500mg)を5日間投与したら,血清クレアチニンが上昇した。」(右欄23~25行)「これらの3例において,ジホスホネート治療と腎障害の間に時間的関連性がある。ケース1において,組織学的な知見は急性イベントの傾向を示しているので,特に乏尿の突然の発症は,おそらくEHDP静脈内投与であると思われる。他の2例は,投与の際に血清クレアチニン濃度が増加した。」(右欄31~36行)「しかしながら,1日投与量が1g超えない量でゆっくり投与されるべきであり,腎機能をモニターすべきである。」(右欄43~45行) 3 取消事由1(相違点に係る容易想到性の判断の誤り)について原告は,本件審決は,相違点について,引用例1は,ゾレドロン酸の第Ⅱ相試験に関する文献であり,これに続く第Ⅲ相試験において,第Ⅱ相試験では出なかった副作用が出ることはあり得るし,それを避けるべく,用法・用量を設定することは当業者が通常行うことであるとの前提に立った上で,引用例3には,ビスホスホネートの急速な点滴が腎不全を招くので大量の液体でゆっくり と点滴することが好ましいとの記載があり,引用例2にはゾレドロン酸が5-30分の点滴で投与され,20分の点滴で血清カルシウムレベルの低下効果があったことが記載されていることから,引用発明の5分間という点滴の時間をゆっくりとしたもの あり,引用例2にはゾレドロン酸が5-30分の点滴で投与され,20分の点滴で血清カルシウムレベルの低下効果があったことが記載されていることから,引用発明の5分間という点滴の時間をゆっくりとしたものにするに当たり,15分間という時間に到達することは,実験的に適宜なし得ることであると判断したが,①引用例2には4及び8mgの投与量について20分間の投与は行われていないことが明らかであること,②引用例1では,4mgのゾレドロン酸を5分間静脈内投与する際の有効性及び安全性を評価したものであり,当該用法用量において腎毒性は生じていないから,引用例1の記載から腎臓に対する安全性の改善という課題の存在を認識すること自体が困難であったこと,③引用例2は引用例1の更に前段階の臨床第Ⅰ相試験であり,第Ⅱ相試験に進み得るか否かの判断資料を得ることを目的にしているが,最大投与量である8mgの5分間投与で,腎臓に対する毒性が見られなかったことが記載されているから,4mgの5分間投与について,腎臓に対する安全性の改善という課題を認識できないことは明らかであること,④引用例3は,第1世代のビスホスホネートに関するものであり,活性の格段に高い第三世代のビスホスホネートであるゾレドロン酸には引用例3の記載は当てはまらないことが明らかであることから,引用例1及び2に記載の発明は,本願発明の課題を何ら示唆するものでなく,これらを組み合わせても,本願発明の課題を把握することは困難であり,その解決手段たる本願発明に容易に到達することはできず,引用例1ないし3を組み合わせる動機付けは見当たらないと主張するので,以下において判断する。 臨床試験についてアカルシウム血症の患者及び溶骨性骨転移患者に対するゾレドロン酸の第Ⅰ相臨床試験の結果を報告する文献であり,引用例 たらないと主張するので,以下において判断する。 臨床試験についてアカルシウム血症の患者及び溶骨性骨転移患者に対するゾレドロン酸の第Ⅰ相臨床試験の結果を報告する文献であり,引用例1は,これに引き続いて行われた,多発性骨髄腫の患者及び乳癌患者に対するゾレドロン酸の第Ⅱ相臨床試験の結果 を報告する文献である。そして,証拠(甲29)によれば,これに引き続いて,乳癌又は多発性骨髄腫の溶骨性病巣を有する患者の骨格転移の治療におけるゾレドロン酸の第Ⅲ相臨床試験が行われ,その結果が,本願の出願後に発表されていることが認められる。 イ平成4年6月29日付けの各都道府県衛生主管部局長あて厚生省薬務局新医薬品課長通知(薬新薬第43号)の「新医薬品の臨床評価に関する一般指針について」(甲22)によれば,次のことが認められる。 医療用医薬品である新医薬品の承認申請の目的で実施される臨床試験は,通常,第Ⅰ相,第Ⅱ相及び第Ⅲ相と順に進めて行くものである。 第Ⅰ相試験は,治験薬を初めてヒトに適用する試験で,原則として少数の健康男性志願者において,治験薬について臨床安全用量の範囲ないし最大安全量を推定することを目的とし,併せて吸収・排泄等の薬物動態学的検討を行い,第Ⅱ相試験に進み得るか否かの判断資料を得るための試験である。 第Ⅱ相試験は,適切な疾病状態にある限られた数の患者において,治験薬の有効性と安全性とを検討し,適応疾患や,用法・用量の妥当性など,第Ⅲ相試験に進むための情報を収集することを目的とする試験である。 第Ⅲ相試験は,比較臨床試験及び一般臨床試験により,更に多くの臨床試験成績を収集し,対象とする適応症に対する治験薬の有効性及び安全性を精密かつ客観的に明らかにし,治験薬の適応症に対する臨床上の有用性の評価と位置付けを行 試験及び一般臨床試験により,更に多くの臨床試験成績を収集し,対象とする適応症に対する治験薬の有効性及び安全性を精密かつ客観的に明らかにし,治験薬の適応症に対する臨床上の有用性の評価と位置付けを行うことを目的とする試験である。 ただし,第Ⅰ相試験は,例えば一部の抗悪性腫瘍薬などのように,治験薬が健康人に対して明らかに毒性を発現する可能性がある場合や,薬理学的性質のために健康人に対しては使用禁忌である場合など,医薬の特性に合わせて,健康志願者ではなく,患者を対象として行われることもある(甲 高カルシウム血症の患者及び溶骨性骨転移患者を対象として,第Ⅰ相試験が行われている。 以上のような,臨床試験の段階的性格や第Ⅰ相試験,第Ⅱ相試験,第Ⅲ相試験の位置付けに鑑みると,第Ⅰ相試験,第Ⅱ相試験において,当該用法用量で安全性が確認された場合でも,次の第Ⅲ相試験において,更に多くの臨床試験成績を収集し,対象とする適応症に対する治験薬の有効性及び安全性を精密かつ客観的に明らかにし,治験薬の適応症に対する臨床上の有用性の評価と位置付けを行うことが予定されているから,その結果によっては,当該用法用量が安全とはいえなくなり,より安全な用法容量に変更する可能性が存在することは否定できないというべきである。 そして,医薬品の副作用の中でも腎毒性は代表的なものであり(乙3),注射形態のビスホスホネート製剤には腎機能悪化のリスクが知られており(乙4),本件においても,ゾレドロン酸の静脈投与について,第Ⅰ相試験(引用例2)において腎臓に対する安全性を確認した上で,第Ⅱ相試験(引用例1)を経て,さらには次の段階の臨床試験に進んでいるのであるから,腎臓に対する安全性を考慮して,用法用量を変更する可能性があることは,当業者として当然理解していたことと考えら で,第Ⅱ相試験(引用例1)を経て,さらには次の段階の臨床試験に進んでいるのであるから,腎臓に対する安全性を考慮して,用法用量を変更する可能性があることは,当業者として当然理解していたことと考えられる。 引用例1及び引用例2の記載について 用を有する第三世代のビスホスホネートであって,引用例2記載の第Ⅰ相臨床試験において,それまで臨床試験された他のビスホスホネートよりも即効性があり持続性の血清カルシウム低下効果を示し,正常カルシウム血漿の溶骨性骨転移患者合計58名に対する0.1mg,0.2mg,0.4mg,0.8mg,1.5mg,2mg,4mg又は8mgの5分間静脈点滴のいずれにおいても腎毒性の兆候は見られず,また,患者の30%に見られた唯一の副作用の体温上昇もゾレドロン酸との関連は定かではなく,短時間静脈 点滴での安全性が示唆された。 それに続く引用例1記載の第Ⅱ相臨床試験でも,乳癌又は多発性骨髄腫患者合計280名に対する0.4mg,2.0mg又は4.0mgの5分間点滴のいずれにおいても,パミドロン酸90mgの2時間点滴と同程度の安全性を示し,4.0mgゾレドロン酸の5分間点滴は,90mgパミドロン酸と同程度の溶骨性骨合併症の予防効果を奏した。 以上の引用例1及び2に開示されたゾレドロン酸の第Ⅰ相及び第Ⅱ相臨床試験の結果によれば,ゾレドロン酸は,4mgという低用量で従来用いられていたパミドロン酸90mgに匹敵する薬効を奏し,5分間の短時間の静脈点滴で安全性が確保できるものであると理解できる。そうすると,このようⅢ相試験で,当該用法用量による安全性について違った結果が生じて用法用量をより安全性の高いものに変更する可能性があることを考慮しても,第Ⅰ相及び第Ⅱ相臨床試験の段階では,安全性に疑問を呈 ,このようⅢ相試験で,当該用法用量による安全性について違った結果が生じて用法用量をより安全性の高いものに変更する可能性があることを考慮しても,第Ⅰ相及び第Ⅱ相臨床試験の段階では,安全性に疑問を呈するような結果は全く出ていないのであるから,患者の利便性や負担軽減の観点からも,引用例1及び2の記載からは,4mgのゾレドロン酸を5分間かけて点滴するとの引用発明の投与時間を更に延長する動機付けを見出すことは困難であるというべきである。 引用例3の記載についてアた上で,ビスホスホネートは血中で固相を形成し腎臓で保持されるために,短時間での点滴は腎不全を招くので,ビスホスホネートの全ての大量の静脈内投与には注意を払わなければいけないこと,及び多量の液体でゆっくりと点滴することにより有害な事象が回避されることが記載されている。 ネート(EHDP)の投与及びクロドロネート(C2MDP)の投与によ り腎障害が現れたため,1日投与量が1gを越えない量でゆっくり投与し,腎機能をモニターすべきことが記載されているから,引用例3の上記記載は,エチドロネート及びクロドロネートを念頭に置いたものであることは明らかである。 イところで,本願優先日以前に公刊された乙5~7には次の趣旨の記載がある。 乙5(癌と化学療法 26(11): 1623-1628, 1999.「Incadronate 急速投与の安全性と乳癌骨転移に対する臨床的評価」尾浦正二ら)「ビスホスホネートの臨床使用が開始された当初,エチドロネート1gを生理食塩水100mlに溶解し,短時間で静注したところ腎不全が発生し,12日後に死亡した症例が報告されたことから(判決注:同報4)である。),エチドロネート以降に開発上市された種々のビ ネート1gを生理食塩水100mlに溶解し,短時間で静注したところ腎不全が発生し,12日後に死亡した症例が報告されたことから(判決注:同報4)である。),エチドロネート以降に開発上市された種々のビスホスホネートに関しても緩徐な投与が推奨されてきた。しかし,ビスホスホネートは,種類により10000倍程度も骨吸収抑制活性が異なり,より強力なビスホスホネートの場合には,臨床使用量が少量となるため,担癌患者の利便性との兼ね合いから,急速投与の検討がされるようになってきた。」「世界的に最も頻用されるビスホスホネートであるパミドロン酸も初期の頃には,7.5~15mg/時程度の緩徐な投与が行われてきたが,Leyvrazらの報告以降は,1mg/分の急速投与が世界的にも採用されるようになっている。我々もパミドロン酸に関しては,1mg/分の急速投与を多数例に施行してきたが,この投与速度で腎機能障害を認めた症例を経験していない。」「ビスホスホネート投与による腎障害は,急速大量投与されたビスホスホネートの結晶が腎尿細管へ析出して発生することが確認されてい る。しかしながら,エチドロネートでの腎機能障害は,臨床的には1gといった大量のビスホスホネート投与で発生しており,今回我々が検討した第三世代のビスホスホネート剤であるインカドロン酸の10mgとは大きく投与量が異なる。」「さらに,インカドロン酸とほぼ同程度の骨吸収抑制活性を有するアレンドロン酸に関しても,我々は急速投与の検討を行い,今回の検討と同様に10mgの30分投与で問題を認めないことをすでに報告している。」「インカドロン酸の急速投与は10mgを生理食塩水100mlに希釈し,30分かけて点滴静注することにより行ったが,全く腎機能 の30分投与で問題を認めないことをすでに報告している。」「インカドロン酸の急速投与は10mgを生理食塩水100mlに希釈し,30分かけて点滴静注することにより行ったが,全く腎機能に影響を与えないことが判明した。インカドロン酸の急速投与は安全であり,また乳癌の骨転移に対する治療として有効であるものと考えられた。」 乙6(癌と化学療法 26(3): 345-351, 1999.「Alendronate 注射剤急速投与の安全性に関する検討」尾浦正二ら)「骨吸収抑制剤として近年注目を集めているビスホスホネート剤は,悪性腫瘍による高カルシウム血症及び骨粗鬆症等の骨吸収亢進性疾患に対して非常に有用な薬剤である。インビトロにおける骨吸収抑制作用は,パミドロン酸がエチドロネートの100倍とされ,アレンドロン酸及びインカドロン酸はともにエチドロネートの1000倍程度とされる。」「ビスホスホネート剤の至適投与方法が確立していなかった初期の頃に,エチドロネートの急速大量投与による急性腎不全の発症が報告され文献(269)(甲24)である。),エチドロネート以降に開発されたビスホスホネート剤に関しても緩徐な投与がこれまで推奨されてきた。」「しかしながら,治療を要する高カルシウム血症は入院治療を原則 とするものの,疼痛以外の臨床症状を伴わない骨転移は外来治療が可能なことも多い。それゆえ,担癌患者の利便性を考慮した場合,ビスホスホネート剤急速投与の安全性を検討することには,少なからず臨床的意義が存在する。」「それゆえ本邦では,エチドロネートよりも少量投与で効果が期待されるパミドロン酸,アレンドロン酸及びインカドロン酸の3薬剤に関しても,2~4時間の投与速度が標準的投与速度として する。」「それゆえ本邦では,エチドロネートよりも少量投与で効果が期待されるパミドロン酸,アレンドロン酸及びインカドロン酸の3薬剤に関しても,2~4時間の投与速度が標準的投与速度として採用されるに至っている。」「骨転移に対してビスホスホネート剤投与を行う場合には,急速投与を行うことで,担癌患者のqualityoflife の改善に寄与することが期待される。特に,疼痛以外には全く症状がないような乳癌骨移転をビスホスホネート剤で治療する際には,ビスホスホネート剤の急速投与が外来治療を容易にし,担癌患者の利便性を著しく向上させる。」「アレンドロン酸と最も構造が類似するパミドロン酸に関しても,初期の頃は7.5~15mg/時間が至適投与速度とされていた。しかしながら,Leyvrazらの報告以降,欧米では1mg/分が標準的投与速度とみなされるようになっている。」「高カルシウム血症治療に,初期のビスホスホネート化合物であるエチドロネートや,エチドロネートの10倍程度の活性であるクロドロネートを投与する際には,腎機能障害が危惧されていた。しかしながら,エチドロネートの100~1000倍以上の骨吸収抑制活性を有する,パミドロン酸,アレンドロン酸,インカドロン酸などの製剤においては,逆に腎機能障害の改善効果が確認されている。」「アレンドロン酸の急速投与は,10mgを生理食塩水100mlに混和し,30分で点滴静注したが,血清クレアチニン値の悪化を認めた症例は1例も存在せず,逆に血清クレアチニン値が改善した症例が1例 存在した。アレンドロン酸の急速投与は安全であり,骨転移患者の外来治療における利便性向上に寄与するものと思われる。」 乙7(医学のあゆみ 189 チニン値が改善した症例が1例 存在した。アレンドロン酸の急速投与は安全であり,骨転移患者の外来治療における利便性向上に寄与するものと思われる。」 乙7(医学のあゆみ 189(2): 129-129, 1999.「ビスホスフォネート急速投与の安全性」国府育央)「ビスホスホネートの第二世代であるパミドロン酸60mgを1時間で投与しても特に問題なく,4時間投与と同じであるとの報告があり,当初は500mlに溶解し約4時間かけて投与していたが,徐々に点滴時間を速めていき,現在ではパミドロン酸45mgを5%ブドウ糖液250mlに溶解し約30分で点滴静注投与している(判決注:投与速度1.5mg/分に相当する)。当初はカルシウム値,腎機能を検査していたが,カルシウム値は軽度低下例が認められたが特に問題なく,また腎機能は検査例全てが正常であり,現在ではカルシウム値正常例ではパミドロン酸投与に対する特別な検査は行っておらず,定期検査のみ行っているが,現在まで特に問題は発生していない。」「腎機能障害に関しては,現在まで高カルシウム血症の症例,急速投与した症例とも全例に発生しておらず,また急速投与による悪心,嘔吐,静脈炎の発生も全く認めていない。以上のように,ビスホスホネート(パミドロン酸)は副作用も少なく,外来において急速投与を行っても極めて安全であると思われた。」ウ前記イの乙5~7の記載によれば,エチドロネート及びクロドロネートは,初期の臨床試験に用いられていた第一世代のビスホスホネートであり,至適投与方法が確立されていなかった初期の頃に,エチドロネートの短時間投与で腎障害による死亡例が報告されたことが発端となって,その後開発された種々のビスホスホネートに関しても緩徐な投与が推奨される 至適投与方法が確立されていなかった初期の頃に,エチドロネートの短時間投与で腎障害による死亡例が報告されたことが発端となって,その後開発された種々のビスホスホネートに関しても緩徐な投与が推奨されることとなったものであるが,エチドロネートの100倍ないし1000倍の骨吸収抑制作用の薬効を有するパミドロン酸,インカドロン酸及びアレン ドロン酸といった第二世代,第三世代のビスホスホネートは使用量が少量で足りることもあり,患者の利便性との兼ね合いで急速投与が検討され,パミドロン酸は1~1.5mg/分,インカドロン酸及びアレンドロン酸は10mg/30分の急速投与で安全性が確認されただけでなく,これら3つの製剤については逆に腎機能障害の改善効果の報告もあることが認められる。 このような本願優先日当時の第二世代及び第三世代のビスホスホネートの開発の経緯及び急速投与の実績からすれば,当業者としても,引用例3に記載された第一世代のビスホスホネートの急速投与による腎臓への有害事象に関する知見は,第三世代のビスホスホネートであるゾレドロン酸に直ちに当てはまるものではないと理解されるものと認められる。 よりも100ないし850倍も活性が高いビスホスホネートであって,インカドロン酸及びアレンドロン酸よりもさらに骨吸収抑制作用が高く少量投与で足りることも考慮すれば,患者の利便性や負担軽減の観点からも,引用例1及び2において安全性が確認されたゾレドロン酸4mgの5分間投与という投与時間を,更に延長する動機付けがあると認めることは困難である。 小括以上のとおり,ゾレドロン酸の急速投与については,腎臓に対する安全性が課題の一つとされ,引用例2の第Ⅰ相臨床試験でも,その点の確認が行われ,第Ⅱ相試験(引用例1)を経た上で,さらにはそれ 小括以上のとおり,ゾレドロン酸の急速投与については,腎臓に対する安全性が課題の一つとされ,引用例2の第Ⅰ相臨床試験でも,その点の確認が行われ,第Ⅱ相試験(引用例1)を経た上で,さらにはそれに引き続く第Ⅲ相臨床試験において,腎臓に対する安全性の関係で異なる結果が生じることも可能性としては存在したが,引用例1及び2の第Ⅰ相臨床試験,第Ⅱ相臨床試験では,4mg5分間投与で腎臓に対する安全性に疑問を呈する結果は確認されていないこと,引用例3の記載も本願優先日当時,第三世代のビスホス ホネートであるゾレドロン酸に直ちに当てはまるものではないと理解されることからすると,引用例1及び2において安全性が一応確認されたゾレドロン酸4mgの5分間投与という投与時間を更に延長し,これを15分間とする動機付けがあると認めることはできない。 したがって,本願発明は,引用発明に基づき,引用例2及び3を適用して容易に発明することができたとは認められないから,原告主張の取消事由1は理由がある。 4 結論以上によれば,原告主張の取消事由1は理由があるから,取消事由2について検討するまでもなく,本件審決は取消しを免れない。 よって,原告の請求を認容することとし,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第4部 裁判長裁判官富田善範 裁判官大鷹一郎 裁判官田中芳樹
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