平成27(ワ)11185 特許権侵害差止等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成29年1月31日 東京地方裁判所
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判決文本文25,012 文字)

- 1 -平成29年1月31日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成27年(ワ)第11185号特許権侵害差止等請求事件口頭弁論終結日平成28年11月22日判決原告新日鉄住金マテリアルズ株式会社原告日鉄住金マイクロメタル株式会社上記両名訴訟代理人弁護士川合弘造島田まどか宍戸充濱野敏彦新村綾子同補佐人弁理士香島拓也林博樹被告田中電子工業株式会社同訴訟代理人弁護士末吉亙高橋元弘佐藤安紘田路至弘青木晋治工藤良平- 2 -同補佐人弁理士入交孝雄主文原告らの請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実 及び理由第1請求 被告は,別紙被告製品目録記載の各製品(以下「被告製品」と総称する。)を製造し,使用し,譲渡し,貸し渡し,輸出し,輸入し,又は譲渡若しくは貸渡しの申出(譲渡又は貸渡しのための展示を含む。)をしてはならない。 被告は,被告製品を廃棄せよ。 被告は,原告らに対し,5億5000万円及びこれに対する平成27年5月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2事案の概要本件は,原告らが被告に対し,被告による被告製品の製造等が原告らの特許権を侵害すると主張して,特許法100条1項に基づき被告製品の製造等の差止めを,同条2項に基づき被告製品の廃棄を,民法709条及び特許法102条2項に基づき損害賠償金5億5000万円(一部請求)及びこれに対する不法行為の後である平成27年5月14日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 前提となる事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全 平成27年5月14日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 前提となる事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)当事者ア原告新日鉄住金マテリアルズ株式会社(以下「原告マテリアルズ社」という。)は,半導体用原料等及び電子部品用材料等の製造並びに販売等を業とする株式会社である。原告日鉄住金マイクロメタル株式会社は,半導体用結線,接続材料等の電子工業用金属製品の製造,加工及び販売等を業- 3 -とする株式会社である。 イ被告は,電子工業用金属の精密加工,鍍金加工等を業とする株式会社である。 原告らの特許権ア原告マテリアルズ社は次の及びの特許権の特許権者であり,原告らはの特許権を共有している(以下,これらの特許権を順に「本件特許権1」などという。また,その特許を順に「本件特許1」などと,それぞれの特許出願の願書に添付された明細書及び図面を順に「本件明細書1」などという。)。 本件特許権1発明の名称半導体用ボンディングワイヤ特許番号第4868694号出願日平成13年9月18日(特願2002-527565号)登録日平成23年11月25日優先日①平成12年9月18日優先日②平成12年12月19日優先日③平成13年4月17日本件特許権2発明の名称半導体装置用ボンディングワイヤ特許番号第4672373号出願日平成17年1月5日(特願2005-638号)登録日平成23年1月28日本件特許権3発明の名称半導体用ボンディングワイヤ特許番号第4886899号- 4 -出願日平成22年2月12日(特願2010-525154号)登録日平成23年12月16日 本件特許権3発明の名称半導体用ボンディングワイヤ特許番号第4886899号- 4 -出願日平成22年2月12日(特願2010-525154号)登録日平成23年12月16日優先日平成21年3月17日イ本件特許権1の特許請求の範囲請求項1の記載は次のとおりであり(以下,この発明を「本件発明1」という。),下記の構成要件(以下,それぞれを「構成要件1A」などという。)に分説される。 「導電性を有する第1の金属としてPd,Cu,Ni,Feから選ばれる1種または該第1の金属を主成分とする合金からなる芯線と,前記芯線の第1の金属とは異なる導電性を有する第2の金属として,Pt,Pdから選ばれる1種または該第2の金属を主成分とする合金からなる外周部,さらにその芯線と外周部の間に,前記第1の金属と前記第2の金属の少なくとも一方を3%以上の濃度で含有する厚さ0.05~2μmの拡散層を有することを特徴とする半導体用ボンディングワイヤ。」記1A:導電性を有する第1の金属としてPd,Cu,Ni,Feから選ばれる1種または該第1の金属を主成分とする合金からなる芯線と,1B:前記芯線の第1の金属とは異なる導電性を有する第2の金属として,Pt,Pdから選ばれる1種または該第2の金属を主成分とする合金からなる外周部,1C:さらにその芯線と外周部の間に,前記第1の金属と前記第2の金属の少なくとも一方を3%以上の濃度で含有する厚さ0.05~2μmの拡散層を有する1D:ことを特徴とする半導体用ボンディングワイヤウ本件特許権2の特許請求の範囲請求項1の記載は次のとおりであり(以- 5 -下,この発明を「本件発明2」という。),下記の構成要件(以下,それぞれを「構成要件2A」などという。)に分説される。 「銅を主成分とする芯 求の範囲請求項1の記載は次のとおりであり(以- 5 -下,この発明を「本件発明2」という。),下記の構成要件(以下,それぞれを「構成要件2A」などという。)に分説される。 「銅を主成分とする芯材と,該芯材の上に芯材と異なる組成の導電性金属の表皮層を有するボンディングワイヤであって,前記表皮層の主成分が,金,パラジウム,白金,ロジウム,銀又はニッケルから選ばれる2種以上の主要金属(以下「表皮主要金属」という。)であり,前記表皮層の表面に接する側に第1の表皮主要金属と第2の表皮主要金属とが濃度勾配を形成する第1の濃度勾配領域を有し,第1の濃度勾配領域において深さ方向に第1の表皮主要金属は濃度が減少するとともに第2の表皮主要金属は濃度が増加し,表皮層の表面は第1の表皮主要金属を含有するとともに第2の表皮主要金属を12mol%以上含有し,前記表皮層の芯材側に第2の表皮主要金属と芯材成分とが濃度勾配を形成する第2の濃度勾配領域を有し,第2の濃度勾配領域において深さ方向に第2の表皮主要金属は濃度が減少するとともに芯材成分は濃度が増加し,表皮層と芯材との境界は第2の表皮主要金属の濃度が10mol%となる位置であり,前記第1の濃度勾配領域と第2の濃度勾配領域との間については,単一金属領域を有し該単一金属領域の主成分は第2の表皮主要金属であるか,第3の濃度勾配領域を形成するか,又は第1の濃度勾配領域と第2の濃度勾配領域が接しているかのいずれかであり,前記第3の濃度勾配領域においては前記第1の表皮主要金属と第2の表皮主要金属と芯材成分を含有し,深さ方向に第1の表皮主要金属は濃度が減少するとともに芯材成分は濃度が増加していることを特徴とする半導体装置用ボンディングワイヤ。」記2A:銅を主成分とする芯材と,該芯材の上に芯材と異なる組成の導電性金 第1の表皮主要金属は濃度が減少するとともに芯材成分は濃度が増加していることを特徴とする半導体装置用ボンディングワイヤ。」記2A:銅を主成分とする芯材と,該芯材の上に芯材と異なる組成の導電性金属の表皮層を有するボンディングワイヤであって,- 6 -2B:前記表皮層の主成分が,金,パラジウム,白金,ロジウム,銀又はニッケルから選ばれる2種以上の主要金属(以下「表皮主要金属」という。)であり,2C:前記表皮層の表面に接する側に第1の表皮主要金属と第2の表皮主要金属とが濃度勾配を形成する第1の濃度勾配領域を有し,第1の濃度勾配領域において深さ方向に第1の表皮主要金属は濃度が減少するとともに第2の表皮主要金属は濃度が増加し,表皮層の表面は第1の表皮主要金属を含有するとともに第2の表皮主要金属を12mol%以上含有し,2D:前記表皮層の芯材側に第2の表皮主要金属と芯材成分とが濃度勾配を形成する第2の濃度勾配領域を有し,第2の濃度勾配領域において深さ方向に第2の表皮主要金属は濃度が減少するとともに芯材成分は濃度が増加し,表皮層と芯材との境界は第2の表皮主要金属の濃度が10mol%となる位置であり,2E:前記第1の濃度勾配領域と第2の濃度勾配領域との間については,(2E-1)単一金属領域を有し該単一金属領域の主成分は第2の表皮主要金属であるか,(2E-2)第3の濃度勾配領域を形成するか,(2E-3)又は第1の濃度勾配領域と第2の濃度勾配領域が接しているかのいずれかであり,前記第3の濃度勾配領域においては前記第1の表皮主要金属と第2の表皮主要金属と芯材成分を含有し,深さ方向に第1の表皮主要金属は濃度が減少するとともに芯材成分は濃度が増加している2F:ことを特徴とする半導体装置用ボンディングワイヤエ本件特許権3の特許請求の範囲請求 要金属と芯材成分を含有し,深さ方向に第1の表皮主要金属は濃度が減少するとともに芯材成分は濃度が増加している2F:ことを特徴とする半導体装置用ボンディングワイヤエ本件特許権3の特許請求の範囲請求項1の記載は次のとおりであり(以下,この発明を「本件発明3①」という。),下記の構成要件(以下,そ- 7 -れぞれを「構成要件3A」などという。)に分説される。 「Cu,Au,Agの1種以上の元素を98mol%以上含有する芯材と,前記芯材の上に,残部が前記芯材を構成する元素からなり,Pdの検出濃度が50mol%以上の部位から表面の領域であるPd外層からなる外層と,または,Cuを98mol%以上含有する芯材と,前記芯材の上に,残部が前記芯材を構成する元素からなり,Pdの検出濃度が50mol%以上の部位から表面の領域であるPd外層と当該Pd外層の表面側に設けられたAg,Auのうち1種以上の濃化層とからなる外層とを有する半導体用ボンディングワイヤであって,前記ワイヤ全体に含まれる総計の水素濃度が0.0001~0.0078mass%の範囲であり,前記水素濃度の内,100~300℃/hの昇温速度で測定される昇温脱離ガス分析において,150~500℃の温度範囲で検出される水素濃度の全測定温度範囲で検出される総計の水素濃度に対する比率が50%以上であることを特徴とする半導体用ボンディングワイヤ。」記3A-1:Cu,Au,Agの1種以上の元素を98mol%以上含有する芯材と,前記芯材の上に,残部が前記芯材を構成する元素からなり,Pdの検出濃度が50mol%以上の部位から表面の領域であるPd外層からなる外層と,3A-2:または,Cuを98mol%以上含有する芯材と,前記芯材の上に,残部が前記芯材を構成する元素からなり,Pdの検出濃度が50m ol%以上の部位から表面の領域であるPd外層からなる外層と,3A-2:または,Cuを98mol%以上含有する芯材と,前記芯材の上に,残部が前記芯材を構成する元素からなり,Pdの検出濃度が50mol%以上の部位から表面の領域であるPd- 8 -外層と当該Pd外層の表面側に設けられたAg,Auのうち1種以上の濃化層とからなる外層と3B:を有する半導体用ボンディングワイヤであって,3C:前記ワイヤ全体に含まれる総計の水素濃度が0.0001~0. 0078mass%の範囲であり,3D:前記水素濃度の内,100~300℃/hの昇温速度で測定される昇温脱離ガス分析において,150~500℃の温度範囲で検出される水素濃度の全測定温度範囲で検出される総計の水素濃度に対する比率が50%以上である3E:ことを特徴とする半導体用ボンディングワイヤオ本件特許権3の特許請求の範囲請求項2,3及び19の記載は次のとおりである(以下,これらの発明を順に「本件発明3②」,「本件発明3③」,「本件発明3⑲」という。なお,本件発明3③及び⑲として原告らが主張するのは請求項1を引用するものである。)。 本件発明3②「前記水素濃度が0.0001~0.004mass%の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の半導体用ボンディングワイヤ。」本件発明3③「前記水素濃度が,昇温脱離ガス分析(ThermalDesorptionSpectromrtry:TDS)により測定した前記ボンディングワイヤに含まれる水素濃度であることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体用ボンディングワイヤ。」本件発明3⑲「ボンディングワイヤ中の,Pd濃度に対するAg,Auを総計した濃度の比率が0.001~0.4の範囲であることを特徴とする請求項1又は13に記載の半導体用ボンデ ンディングワイヤ。」本件発明3⑲「ボンディングワイヤ中の,Pd濃度に対するAg,Auを総計した濃度の比率が0.001~0.4の範囲であることを特徴とする請求項1又は13に記載の半導体用ボンディングワイヤ。」- 9 -被告の行為ア被告は,被告製品の少なくとも一部を国内で製造している。 イ別紙被告製品目録記載1及びの製品(以下,順に「被告製品1」などという。)は,芯線(芯材)をCu(銅)とし,外周部(表皮層,外層)にPd(パラジウム)及びAu(金)を含有する半導体(装置)用ボンディングワイヤである。 オージェ分析(甲35~39,53,乙1)オージェ分析(オージェ電子分光法)とは,電子線を試料に照射し,試料表面から発生する電子(オージェ電子)を検出することにより,試料表面の元素の種類及び量を同定する手法である。オージェ分析により試料の深さ方向の組成を分析する方法として,ライン分析(試料の断面を露出させ,その断面を線状に微小電子ビームで走査すること),スパッタリング(高速イオンの照射により試料表面の原子をはぎ取るスパッタリングと,露出面のオージェ分析を繰り返すこと)等がある。 原告らによる被告製品の分析原告らは,外部機関(後記ア,エ)又は関連会社(後記イ,ウ)に依頼して,被告製品につき以下の分析を行った。 ア線径18μm,20μm,23μm及び25μmの被告製品について,スパッタリングを併用するオージェ分析により,最表面及び表面から200nmとされる深さまでの成分の分析を行った(甲14~17。以下,その報告書を「本件オージェ分析報告書」と総称し,これら報告書中のデプスプロファイル(電子濃度換算表示)を「オージェ図」という。)。 イ線径18μm及び20μmの被告製品について,昇温脱離ガス分析(以下「TDS分析」という。) 報告書」と総称し,これら報告書中のデプスプロファイル(電子濃度換算表示)を「オージェ図」という。)。 イ線径18μm及び20μmの被告製品について,昇温脱離ガス分析(以下「TDS分析」という。)によるガス成分の種類等の調査を行った(甲25~27。以下,その報告書を「本件ガス分析報告書」と総称する。)。 ウ線径18μmの被告製品について,オージェ分析による表面被覆成分の- 10 -面分布調査を行った(甲69。以下,その報告書を「本件表面オージェ分析報告書」という。)。 エ線径18μmの被告製品について,表面の凹凸形状及び粗さに関する解析を行った(甲78。以下,その報告書を「本件表面粗さ報告書」という。)。 争点 被告製品1の本件発明1の技術的範囲への属否(構成要件1C「厚さ0. 05~2μmの拡散層」の充足性。なお,被告はこれ以外の構成要件の充足性を争わない。)被告製品1の本件発明2の技術的範囲への属否(原告マテリアルズ社は構成要件2E-2及び2E-3の充足性を主張しない。また,被告は後記ア~ウ以外の構成要件の充足性を争わない。)ア構成要件2C「表皮層の表面に接する側に・・・第1の濃度勾配領域を有し」の充足性イ構成要件2D「第2の濃度勾配領域」の充足性ウ構成要件2E-1「第1の濃度勾配領域と第2の濃度勾配領域の間に・・・単一金属領域を有し」の充足性被告製品1(被告製品1のうち線径が17~21μmのもの。原告らは同線径のものについてのみ本件特許権3の侵害を主張する。)の本件発明3①の技術的範囲への属否(原告らは構成要件3A-1の充足性を主張しない。また,被告は後記ア及びイ以外の構成要件の充足性を争わない。なお,被告製品1が後記ア又はイの構成要件を充足しないとすれば,被告製品1は本件発明3②,③及び⑲の技術的 3A-1の充足性を主張しない。また,被告は後記ア及びイ以外の構成要件の充足性を争わない。なお,被告製品1が後記ア又はイの構成要件を充足しないとすれば,被告製品1は本件発明3②,③及び⑲の技術的範囲にも属しないこととなる。)ア構成要件3A-2「濃化層」の充足性イ構成要件3C「総計の水素濃度が0.0001~0.0078mass%の範囲」の充足性- 11 -別紙被告製品目録記載2の被告製品(以下「被告製品2」という。)の本件各特許権の侵害の成否本件特許1の無効理由の有無(本件特許権1の行使の可否。特許法104条の3第1項)ア特開昭62-97360号公報(以下「乙5公報」という。)に記載された発明(以下「乙5発明」という。)に基づく進歩性の欠如(特許法29条2項)イサポート要件(同法36条6項1号)及び実施可能要件(平成14年法律第24号による改正前の特許法36条4項)の違反本件特許2の無効理由の有無(本件特許権2の行使の可否)アWO02/23618号公報(以下「乙9公報」という。)に記載された発明(以下「乙9発明」という。)に基づく新規性及び進歩性の欠如(特許法29条1項3号及び2項)イサポート要件及び実施可能要件(同法36条4項1号)の違反本件特許3の無効理由の有無(本件特許権3の行使の可否)ア特開2006-190763号公報(以下「乙14公報」という。)に記載された発明(以下「乙14発明」という。)等に基づく進歩性の欠如イサポート要件及び実施可能要件(同法36条4項1号)の違反原告らの損害額 争点に関する当事者の主張 争点 (構成要件1C「厚さ0.05~2μmの拡散層」の充足性)について(原告マテリアルズ社の主張)ア本件オージェ分析報告書によれば,被告製品1には,Cuを主成分とする芯線と,P 事者の主張 争点 (構成要件1C「厚さ0.05~2μmの拡散層」の充足性)について(原告マテリアルズ社の主張)ア本件オージェ分析報告書によれば,被告製品1には,Cuを主成分とする芯線と,Pdからなる外周部の間に,芯線から外周部に向けてCuの濃度が減少するとともにPdの濃度が増加している拡散層が存在し,その- 12 -厚さは0.063~0.134μmであって,全て0.05~2μmの範囲に含まれている。 イオージェ分析は表面近傍の深さ方向の濃度勾配の分析をする上で一般的かつ確立した方法である。オージェ分析に一定の誤差が存在するとしても,本件オージェ分析報告書のオージェ図における分解能を考慮すると,被告製品1には実際に濃度勾配が存在し,拡散層が存在する。また,被告製品の表面や界面の凹凸は,オージェ図における拡散層の幅に比べると極めて小さく,複数回行った分析結果によるばらつきも小さいため,表面粗さに起因して見掛け上の濃度勾配が形成されているということもない。 ウ本件明細書1の記載(段落【0052】等)は,測定方法の具体例を説明した記載にすぎず,本件発明1の構成要件の解釈に直接影響を及ぼすものではない。本件明細書1ではライン分析を行っているのに対し,本件オージェ分析報告書ではスパッタリングを用いて深さ方向分析を行っているが,スパッタリングによる方法の方が精度が高い。 また,同報告書ではSiO2換算値を用いているが,多くの特許出願や分析機関ではスパッタリングを併用したオージェ分析においてSiO2換算値を利用しているのであり,これを用いることは技術常識である。 エ金属を密着させた状態で熱処理を加えると拡散が生じるところ,被告製品は,被告の主張によれば,Cuの芯材にPdを被覆し,更にPd表面にAuの被覆をした後,ひずみ取り熱処理工程を は技術常識である。 エ金属を密着させた状態で熱処理を加えると拡散が生じるところ,被告製品は,被告の主張によれば,Cuの芯材にPdを被覆し,更にPd表面にAuの被覆をした後,ひずみ取り熱処理工程を経て製品とするものであるから,拡散層が存在する。 (被告の主張)アオージェ分析では,拡散層がない場合でも,装置や測定方法,試料に起因する理由によって見掛け上の濃度変化が生じる。そのため,本件オージェ分析報告書のオージェ図では拡散層の存在を立証したことにならないし,拡散層が存在するといえるような濃度変化が「0.05~2μm」の数値- 13 -範囲に収まるような結果を確認することはできない。 イ被告製品1は,その製造過程でひずみ取り熱処理以外の熱処理は行っておらず,構成要件1Cに規定する拡散層は生じていない。 争点 ア(構成要件2C「表皮層の表面に接する側に・・・第1の濃度勾配領域を有し」の充足性)について(原告マテリアルズ社の主張)ア本件オージェ分析報告書によれば,被告製品1は,その表面と表面から数nmの深さとの間でAuとPdとが濃度勾配を形成しており,表面から深さ方向に向けてAu(第1の表皮主要金属)の濃度が減少するとともにPd(第2の表皮主要金属)の濃度が増加している。したがって,被告製品1は,前記の構成要件1Cを充足するのと同様の理由により,構成要件2Cを充足する。 イ被告は,被告製品1の最表面にPdが露出している旨主張するが,被告が保有する特許権の特許公報(甲44)では,伸線加工によってはAuがはげないことが明確に記載されている。そして,本件オージェ分析報告書では,10個の被告製品1について,それぞれ3か所でオージェ分析を行った結果,その全てでAuが検出されたのであるから,被告製品1の最表面にAuが存在すること ている。そして,本件オージェ分析報告書では,10個の被告製品1について,それぞれ3か所でオージェ分析を行った結果,その全てでAuが検出されたのであるから,被告製品1の最表面にAuが存在することは明らかである。本件表面オージェ分析報告書の画像上は黒く見える部分も若干存在するが,同報告書のオージェスペクトル及び本件オージェ分析報告書の全ての箇所でAuが検出されていることも考慮すれば,当該部分にも少量のAuは存在している。万一,仮に被告製品1の表面にAuの存在しない微小な部分が存在するとしても,Auの存在する部分をもって「金の層」をなしていれば構成要件2Cを充足することに変わりがない。 なお,被告の関連会社による発表資料(甲55)には,被告製品の最表面に「薄い金層」が存在し,それを有するために被告製品には様々な品質- 14 -上の利点があると記載されている。 (被告の主張)ア本件発明1の関係で主張したとおり,オージェ分析では,実際には濃度が変化していないのに見掛け上濃度が変化しているように観察されることがあるから,本件オージェ分析報告書は被告製品1に濃度勾配領域があることを示すものではない。 イ「表皮層」とは,少なくとも,第1の濃度勾配領域が全周にわたって形成されているものをいう。 被告製品1は,伸線時のダイス摩耗防止のために伸線加工前には必要最低限のAuが被覆されているが,伸線加工によって最表面のAuがはがれ縞状にしか存在しなくなり,その結果としてPdが最表面に露出し,Auは全周にわたっては存在しないことになる。したがって,原告らの主張のようにAuが第1の表皮主要金属に,Pdが第2の表皮主要金属に該当し,これらの金属が第1の濃度勾配領域を形成していたとしても,この濃度勾配領域が全周にわたって形成されていないため,「表皮層 の主張のようにAuが第1の表皮主要金属に,Pdが第2の表皮主要金属に該当し,これらの金属が第1の濃度勾配領域を形成していたとしても,この濃度勾配領域が全周にわたって形成されていないため,「表皮層」が存在しない。 争点 イ(構成要件2D「第2の濃度勾配領域」の充足性)について(原告マテリアルズ社の主張)本件オージェ分析報告書によれば,被告製品1は,芯材側にPd(第2の表皮主要金属)とCu(芯材成分)とが濃度勾配領域を形成しており,当該領域においては,深さ方向に向かってPdの濃度が減少するとともにCuの濃度が増加している。したがって,被告製品1は構成要件2Dを充足する。 (被告の主張)上記報告書のオージェ図が被告製品1に濃度勾配領域が存在していることを示すものではない点は,前記アにおいて主張したとおりである。 - 15 - 争点 ウ(構成要件2E-1「第1の濃度勾配領域と第2の濃度勾配領域の間に・・・単一金属領域を有し」の充足性)について(原告マテリアルズ社の主張)本件オージェ分析報告書によれば,AuとPdとの濃度勾配領域(第1の濃度勾配領域),PdとCuの濃度勾配領域(第2の濃度勾配領域)との間に,Pd(第2の表皮主要金属)を主成分とする単一金属領域が存在する。 したがって,被告製品1は構成要件2E-1を充足する。 (被告の主張)被告製品1に第1の濃度勾配領域及び第2の濃度勾配領域が存在しないことは前記及びで述べたとおりであり,被告製品1は構成要件2E-1を充足しない。 争点 ア(構成要件3A-2「濃化層」の充足性)について(原告らの主張)ア本件オージェ分析報告書によれば,被告製品1の芯材はCuを98mol%以上含有し,芯材の表面側にはPdが50mol%以上の部位から表面の領域であるPd外層が存在し,当該P て(原告らの主張)ア本件オージェ分析報告書によれば,被告製品1の芯材はCuを98mol%以上含有し,芯材の表面側にはPdが50mol%以上の部位から表面の領域であるPd外層が存在し,当該Pd外層の表面側にAuの濃化層(Auの濃度が近傍に比較して高くなっている部分)が存在し,当該Pd外層は,Pd及びAuに加えて,芯材を構成するCuからなっている。 したがって,被告製品1は構成要件3A-2の「濃化層」を充足する。 イ被告製品1の最表面にAu層が存在することは,被告製品1の関係で原告マテリアルズ社が主張したとおりである。 (被告の主張)アオージェ分析では,実際には濃度が変化していないのに見掛け上連続的に濃度が変化しているように観察されることがあることは,本件発明1及び2の関係で主張したとおりであり,被告製品1にAuの濃化層があるとはいえない。 - 16 -イ「Ag,Auのうち1種以上の濃化層」とは,Ag(銀)又はAuの濃化した箇所が全周にわたって形成されているものをいうところ,被告製品 について述べたとおり,被告製品1はPdが最表面に露出しており,全にわたってAuが存在するものではないから,構成要件3A-2を充足しない。 争点 イ(構成要件3C「総計の水素濃度が0.0001~0.0078mass%の範囲」の充足性)について(原告らの主張)本件ガス分析報告書によれば,被告製品1のTDS分析による総計水素濃度は0.000160~0.000196mass%又は0.000142~0.000198mass%である。したがって,被告製品1は構成要件3Cを充足し,さらに,本件発明3②の構成要件Fも充足する。なお,被告による水素濃度の測定は,TDS分析ではなく,融解熱伝導法によるものであり,不適切である。 (被告の主張) 被告製品1は構成要件3Cを充足し,さらに,本件発明3②の構成要件Fも充足する。なお,被告による水素濃度の測定は,TDS分析ではなく,融解熱伝導法によるものであり,不適切である。 (被告の主張)被告製品1の見掛け上の水素濃度が0.0001mass%以上となるのは,水分や潤滑剤といった表面に付着した水素に起因するものである。Au被覆までの工程で検出される被告製品1の水素濃度は0.0001mass%であり,この後の工程ではボンディングワイヤ内部に水素は含有され得ないから,被告製品1の内部に含まれる水素濃度が0.0001mass%以下であることは明らかである。 争点 (被告製品2の本件各特許権侵害の成否)について(原告らの主張)前記~で述べたところによれば,被告製品2も本件の各発明の技術的範囲に属する。仮に本件の各発明の技術的範囲に属さないとしても,被告製品2は被告製品1及びの半製品であり,伸線の後に被告製品1等とし- 17 -て販売されるものであるから,被告製品1等の「生産にのみ用いる物」に当たる。したがって,被告製品2の生産については本件各特許権の間接侵害(特許法101条1項)が成立する。 (被告の主張)被告製品2はひずみ取り熱処理を行わない半製品であり,本件の各発明の技術的範囲に属しない。また,被告は被告製品2を海外に輸出するものであるから,間接侵害は成立しない。 争点 (本件特許1の無効理由の有無)についてア乙5発明に基づく進歩性の欠如(被告の主張)本件特許1の優先日前に頒布されていた乙5公報には,Cuからなる芯線とPdからなる外周部を有するボンディングワイヤに関する発明が開示されている。乙5発明は本件発明1のような拡散層を有するか不明な点で本件発明1と相違するが,拡散層を形成することにより芯材と被覆 芯線とPdからなる外周部を有するボンディングワイヤに関する発明が開示されている。乙5発明は本件発明1のような拡散層を有するか不明な点で本件発明1と相違するが,拡散層を形成することにより芯材と被覆層との密着性を高めることは周知技術(乙6~8)であって,拡散層厚を最適化することは当業者にとって容易であるから,本件発明1は進歩性を欠く。 (原告マテリアルズ社の主張)乙5公報その他被告引用の文献に開示された発明の解決課題は本件発明1とは根本的に異なり,本件発明1の課題解決手段の開示も示唆もない。 イサポート要件及び実施可能要件の違反(被告の主張)本件明細書1には,拡散層の厚さが0.05μm以上であれば十分な効果が得られる旨の記載があるが,実施例は2μmと0.5μmのものしか存在しない。また,中間層の断面2次モーメントに関する記載内容にも不明な点が多い。したがって,本件発明1はサポート要件及び実施可能要件に違反する。 - 18 -(原告マテリアルズ社の主張)本件明細書1の実施例の記載によれば,サポート要件を満たしており,当業者が実施可能な程度に明確かつ十分な記載があるから,実施可能要件も満たしている。 争点 (本件特許2の無効理由の有無)についてア乙9発明に基づく新規性及び進歩性の欠如(被告の主張)本件特許2の出願日前に頒布されていた乙9公報には,第1及び第2の濃度勾配領域を有する複層ボンディングワイヤに関する発明が開示されているところ,乙9発明と本件発明2との相違点は技術的意義がない部分に関するものであり,実質的な相違点といえないから,本件発明2は新規性及び進歩性を欠く。 (原告マテリアルズ社の主張)乙9発明と本件発明2とはワイヤの構成が異なる。また,両発明の相違点に係る本件発明2の構成は,樹脂封止時のワイヤ変形を低減させると 本件発明2は新規性及び進歩性を欠く。 (原告マテリアルズ社の主張)乙9発明と本件発明2とはワイヤの構成が異なる。また,両発明の相違点に係る本件発明2の構成は,樹脂封止時のワイヤ変形を低減させるという技術的意義を有するものである。 イサポート要件及び実施可能要件の違反(被告の主張)本件発明2は,第1の濃度勾配領域の厚さ等を規定しておらず,「第2の表皮主要金属を12mol%以上含有」することについては,実施例においても技術的意義が何ら記載されていないから,サポート要件及び実施可能要件を充足しない。 (原告マテリアルズ社の主張)「第2の表皮主要金属を12mol%以上含有」する場合の実施例は,本件発明2の課題を解決するものとなっている。また,表皮層の表面に「第2の表皮主要金属を12mol%以上含有」させることは当業者に容- 19 -易であり,第1の濃度勾配領域の厚さも適宜設定することができる程度の事柄である。したがって,本件発明2はサポート要件及び実施可能要件を満たしている。 争点 (本件特許3の無効理由の有無)についてア乙14発明に基づく進歩性の欠如(被告の主張)本件特許3の優先日前に頒布されていた乙14公報には,Cuからなる芯材の上にPd外層と当該Pd外層の表面側に設けられたAu濃化層を有するボンディングワイヤに関する発明が開示されているところ,乙14発明と本件発明3①,②及び③は水素濃度やその測定方法に関する限定の有無が相違する。また,本件発明3⑲は,水素濃度やその比率が不明である点で乙9発明と相違する。しかし,水素の吸収によって金属材料が脆化する現象は周知の技術的課題であり,水素濃度の範囲やボンディングワイヤ全体に含まれる総計の水素濃度,水素濃度の測定方法はいずれも周知技術を前提として当業者が適宜なしうる設計事項であ て金属材料が脆化する現象は周知の技術的課題であり,水素濃度の範囲やボンディングワイヤ全体に含まれる総計の水素濃度,水素濃度の測定方法はいずれも周知技術を前提として当業者が適宜なしうる設計事項である。したがって,本件発明3①,②,③及び⑲は進歩性を欠く。 (原告らの主張)本件発明3①,②,③及び⑲は,Pdで被覆された複層ワイヤにおいて水素濃度が需要な因子であることを見いだしたものである。被告が主張する周知技術はボンディングワイヤに関するものではないか,又はボンディングワイヤのうち単層ワイヤに関するものであるから,本件発明3①,②,③及び⑲の課題を解決するものではない。水素濃度の測定方法も,周知技術に基づく設計事項とはいえない。 イサポート要件及び実施可能要件の違反(被告の主張)本件明細書3の実施例等を見ても,水素濃度の上限値や下限値,水素濃- 20 -度の範囲,Pd濃度に対するAg,Auを総計した濃度の比率に関する作用効果が明らかではないため,本件発明3①,②,③及び⑲は,サポート要件及び実施可能要件を満たさない。 (原告らの主張)本件明細書3には水素濃度の上限値や下限値,水素濃度の範囲,Pd濃度に対するAg,Auを総計した濃度の比率についての記載があり,当業者はこれらの記載に基づいて上記の各値を調整することができるから,本件発明3①,②,③及び⑲はサポート要件及び実施可能要件を満たす。 争点 (原告らの損害額)について(原告らの主張)ア平成24年4月23日から平成27年4月22日までの被告製品の売上げは合計88億2239万7131円を下らず,被告製品の利益率は11%を下らないから,被告は同期間において9億7046万3684円の利益を得ており,原告らは同額の損害を被った(特許法102条2項)。よって,原告らは被告に対し, 1円を下らず,被告製品の利益率は11%を下らないから,被告は同期間において9億7046万3684円の利益を得ており,原告らは同額の損害を被った(特許法102条2項)。よって,原告らは被告に対し,本件各特許権の侵害に係る損害金としてその一部である5億円の支払を求める。 イ本件訴訟と因果関係のある弁護士費用の額は,5000万円を下らない。 (被告の主張)争う。 第3当裁判所の判断 争点 (構成要件1C「厚さ0.05~2μmの拡散層」の充足性)について原告マテリアルズ社は,本件オージェ分析報告書のオージェ図によれば被告製品1には芯線と外周部の間にCuとPdを共に含有する厚さ0.063~0.134μmの拡散層が存在しているから,構成要件1Cの「厚さ0. 05~2μmの拡散層」(以下「本件拡散層」という。)を充足する旨主張- 21 -するので,以下,検討する。 本件発明1の特許請求の範囲の記載によれば,本件拡散層は,芯線と外周部の間に存在するものとされ,所定の濃度及び厚さを有することが規定されているが,その意義及び測定方法に関する記載はない。 本件明細書1(甲8)の発明の詳細な説明の欄には,拡散層に関して以下の趣旨の記載がある。 ア本件発明1は,半導体素子上の電極と外部リードを接合するために使用される半導体ボンディングワイヤに関する。ボンディングワイヤを高強度化する手段の一つとして,芯線と外周部が異なる金属からなる2層ボンディングワイヤが提案されていた。(発明の属する技術分野,段落【0001】。従来の技術,段落【0009】)イ従来の2層ボンディングワイヤにおいては,量産する上で製造技術,品質管理等が非常に困難であり,芯線と外周部の密着性が低下するなど,多くの問題が残されていた。芯線と外周部が異なる金属を主成分とする場合,異種材 ボンディングワイヤにおいては,量産する上で製造技術,品質管理等が非常に困難であり,芯線と外周部の密着性が低下するなど,多くの問題が残されていた。芯線と外周部が異なる金属を主成分とする場合,異種材が単に接触しているだけであったので,界面での密着性に関する不具合が多く認められた。本件発明1は,高強度で高曲げ剛性であり,高い接合性を有し,工業的な量産性等にも優れた半導体素子用ボンディングワイヤを提供することを目的とする。(発明が解決しようとする課題,段落【0012】~【0014】,【0021】)ウ上記目的を達成するための本件発明1の要旨は,特許請求の範囲に記載のとおりである。(課題を解決するための手段,段落【0022】)エ拡散層とは,芯線と外周部を構成する原子が互いに反対方向に移動する相互拡散を起こすことにより,これら元素が混合された領域であり,それらの元素が固溶された状態をしている。(発明の実施の形態,段落【0025】,図1(a))オ拡散層の測定にはEPMA,EDX,オージェ分光分析法,透過型電子- 22 -顕微鏡等を利用することができ,ワイヤの断面研磨において芯線と外周部の界面を挟んでのライン分析を行うことにより,拡散層の厚さ,組成等を知ることができる。その測定方法について具体例で説明すると,実際に拡散層を観察する一つの手法としてライン分析を行うことが有効であり,この分析結果における拡散層の境界付近の濃度プロファイルは,濃度が不連続に変化する場合と連続的に変化する場合に分けられる。オージェ分光法によるワイヤ断面のライン分析は,ワイヤの長手方向と垂直に断面研磨した試料を用い,芯線と外周部の界面に形成された拡散層を横切るように,分析ラインに沿って分析を行う。オージェ分光分析を用いた理由は,微小領域の分析に適しており,拡散層が ヤの長手方向と垂直に断面研磨した試料を用い,芯線と外周部の界面に形成された拡散層を横切るように,分析ラインに沿って分析を行う。オージェ分光分析を用いた理由は,微小領域の分析に適しており,拡散層が薄い試料の分析等に有効であるためである。比較として,拡散層が形成されていないワイヤの測定結果をみると,界面近傍で濃度の連続的な変化が生じているが,これは見掛け上濃度が変化したように観察される現象であり,現在の分析の手法,精度等の関係上,こうした連続的な濃度変化が観察されるのを避けることは困難である。一方,拡散層を形成したワイヤの分析結果からは,拡散層をワイヤ断面の分析における濃度変化として検出できるので,拡散層を識別することが十分可能となる。分析の精度を向上したいときは,ライン分析の分析間隔を狭くすること,点分析を行うことが有効であり,また,ワイヤを斜め研磨し,拡散層の厚さを拡大させて測定することも可能である。(同,段落【0049】~【0054】,図2及び3の各(a)及び(b))カ拡散層を形成するためには,界面での拡散を促進する拡散熱処理が必要である。単純にワイヤを加熱すれば必要な拡散層が形成されるわけでなく,目指す拡散層の形成などを意識した熱処理の条件の適正化が重要となる。 通常のワイヤ製造工程では加工ひずみとり焼鈍,伸びを出すための焼鈍等が施される場合が多いが,これらの焼鈍のみでは本件発明1の拡散層を適正に形成させ,それに伴う特性を発現させることは困難である。(同,段- 23 -落【0055】,【0062】)キ本件発明1の実施例を示す表1に記載の拡散層の厚さ,濃度等は,ワイヤを断面研磨し,芯線と外周部の界面に形成された拡散層をオージェ分光装置又はEPMA装置で測定した結果である。(実施例,段落【0097】,【0103】,【010 に記載の拡散層の厚さ,濃度等は,ワイヤを断面研磨し,芯線と外周部の界面に形成された拡散層をオージェ分光装置又はEPMA装置で測定した結果である。(実施例,段落【0097】,【0103】,【0107】)特許請求の範囲及び本件明細書1の上記各記載によれば,被告製品1が本件発明1のボンディングワイヤに当たるというためには,芯線と外周部の間に本件拡散層,すなわち,芯線のCuと外周部のPdが相互拡散により混合された領域であり,少なくとも一方を3%以上の濃度で含有し,厚さを0. 05~2μmとする層が存在すると認められることを要する。 本件オージェ分析報告書のオージェ図に,被告製品1の芯線と外周部の間に0.063~0.134μmの厚さでCu及びPdをそれぞれ3%以上含有する領域が存在する旨示されていることは原告マテリアルズ社の主張するとおりであるが(甲14~17,28参照),一方,後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 アオージェ分析による試料表面から深さ方向の分析(甲35~39,53,乙1,24)オージェ分析そのものにより得られる情報は試料の極めて浅い部分に関するものに限られるので,深さ方向の分析のためには試料の内部を露出させる必要がある。そのための方法に,試料を切断又は研磨して断面を露出させること,スパッタリングを併用することなどがある。 ライン分析は,断面を露出させ,その断面を微小電子ビームで線状に走査して分析し,深さ方向の組成を求める方法であり,分解能が高いとはいえないが,厚みの絶対値を得られるという利点がある。 スパッタリングは深さ方向の分析をする場合に広く用いられ,深さはスパッタリングに要した時間から置き換えて示される。スパッタリング- 24 -速度はイオンビームの条件,試料の組成,構造等によって異なるこ ッタリングは深さ方向の分析をする場合に広く用いられ,深さはスパッタリングに要した時間から置き換えて示される。スパッタリング- 24 -速度はイオンビームの条件,試料の組成,構造等によって異なることから,深さをより正確に表示するためには,表面に酸化膜のついたシリコンウエハー(SiO2)等の厚さ既知の標準試料を使用し,所定のイオンビーム条件でのスパッタリング速度を決定した上で,元素ごとのスパッタリング速度のデータを用いて補正するなどの手法が採用される。 スパッタリングを併用する場合の深さ分解能は,アトミックミキシング(イオン照射により表面原子が内部へ叩き入れられ,試料原子が混合されること),スパッタリングによる表面粗さの成長等のスパッタリングに起因する要因や,オージェ電子の脱出深さ,試料の表面粗さ等の分析法及び試料に起因する要因により影響される。そのため,ある層とこれに接する層が急峻な界面を有するようにして接している場合でも,前者の層の成分割合が徐々に減少し,後者の層の成分割合が徐々に増加するような分析結果が示されることがある。 イ本件オージェ分析報告書における深さ方向の分析(甲14~17)本件オージェ分析報告書における被告製品の深さ方向の分析は,測定条件(電子線加速)を5kV,測定領域をワイヤの長手方向20μm×円周方向1μm,スパッタレートを約5nm/分(SiO2換算,2kV。ただし,装置状況や試料状況により変動する可能性があり,この値は目安である。)として,10本の被告製品1につき各3か所行われた。その結果を示すオージェ図によれば,計30か所の測定領域の全てにおいて,表面から深さ方向へPdの濃度が減少するとともにCuの濃度が増加し,そのいずれか一方を3%以上含有する領域が存在しており,その厚さは0. 063~0.134μmの 計30か所の測定領域の全てにおいて,表面から深さ方向へPdの濃度が減少するとともにCuの濃度が増加し,そのいずれか一方を3%以上含有する領域が存在しており,その厚さは0. 063~0.134μmの範囲内にあるとされている。 ウ被告製品の表面粗さ(甲78,乙47)本件表面粗さ報告書によれば,線径18μmの被告製品の表面5か所の測定範囲2μm×2μm,測定点数512×512における算術平均粗さ- 25 -は2.41~3.49nmであった。また,同報告書中のAFM像によれば,最大高さは少なくとも25nm程度あるとみられる。 上記認定事実によれば,被告製品1の芯線と外周部の間にCu及びPdの双方が存在する領域が存在することがうかがわれる。しかし,スパッタリングを併用するオージェ分析による深さ方向の分析結果が試料の表面粗さ等の各種要因により影響を受けることからすれば,芯線と外周部の間にCu及びPdが共に存在する領域が存在せず,又はその領域の厚さが0.05μm未満の場合にも,そのような領域が0.05μm以上存在するとの分析結果が示されるというのである。 また,本件オージェ分析報告書の測定結果は表面から所定の深さにおける測定領域内全体の元素の存在割合を示すと解されるところ,CuとPdが共に存在する領域が存在しなくても,測定領域内の箇所ごとのワイヤ表面から界面までの距離に0.05μm以上の差があるとすれば,測定領域内全体をみた場合にはこの差に相当する厚さの範囲でCuとPdが共に存在するとの分析結果が示されることになる。そして,本件オージェ分析報告書における測定領域がワイヤの長手方向では20μmの長さに及ぶことに照らすと,上記のような差が存在することは十分に考えられる。 これに加え,本件オージェ分析報告書のオージェ図に示されたPd及びCuの双方を る測定領域がワイヤの長手方向では20μmの長さに及ぶことに照らすと,上記のような差が存在することは十分に考えられる。 これに加え,本件オージェ分析報告書のオージェ図に示されたPd及びCuの双方を含有する領域の厚さは,試料がSiO2であると仮定した場合に1分後に分析される深さが試料の表面から約5nmであるとみて,スパッタリングに要した時間を距離に換算したものであり(乙36参照),Cu及びPdという組成の相違を勘案した場合にいかなる数値になるかを示す証拠はない。 したがって,上記オージェ図から,被告製品1の芯線と外周部の間にCuとPdが共に存在する領域が存在するとも,上記領域の厚さが0.063~0.134μmの範囲内にあるとも認めることはできない。 - 26 -以上によれば,被告製品1に本件拡散層が存在すると認めるに足りる証拠はないから,被告製品1が本件発明1の技術的範囲に属するとは認められないと判断するのが相当である。 これに対し,原告マテリアルズ社は,①オージェ分析に誤差が存在するとしても,被告製品1の表面粗さ等に照らせば,本件オージェ分析報告書のオージェ図をもって見掛け上の濃度勾配ということはできない,②深さ方向の分析にスパッタリングを併用すること及びSiO2換算値を利用することは技術常識である,③被告製品1にはその製造過程で加えられたひずみ取り熱処理により拡散層が生じている旨主張する。 そこで判断するに,上記①について,本件オージェ分析報告書のオージェ図をもって被告製品1に本件拡散層が存在すると認めることができないことは上記説示のとおりである。 上記②について,証拠(甲84~91。なお,枝番の記載は省略する。)及び弁論の全趣旨によれば,本件発明1の属する技術分野においては,スパッタリングを併用したオージェ分析により深 説示のとおりである。 上記②について,証拠(甲84~91。なお,枝番の記載は省略する。)及び弁論の全趣旨によれば,本件発明1の属する技術分野においては,スパッタリングを併用したオージェ分析により深さ方向の分析をすること及びこの場合に深さをSiO2換算値で示すことが一般的に行われていると認められる。そして,例えば,本件特許3においては,請求項4等に外層等の厚さがμm単位で規定されている一方,本件明細書3(甲12)には,実施例につき,オージェ分析による深さ分析ではスパッタリングをしながら測定を行い,深さの単位はSiO2換算で表示した旨の記載があるので(段落【0119】),特許請求の範囲に記載の厚さもSiO2換算で示されていると解する余地がある(特許法70条2項参照)。しかし,本件特許1においては,本件明細書1には専らライン分析による方法が記載されており,SiO2換算に関する記載又は示唆は見当たらないのであるから,本件特許3と同列に論じることはできない。 上記③について,証拠(甲43,乙4,10)及び弁論の全趣旨によれば,- 27 -二つの異なる金属を互いの表面が接するようにして加熱した場合には,各金属の原子が互いに他方に移動して拡散が生じること,被告製品1の製造工程は,芯材であるCuにPd及びAuを順に被覆して伸線した後にひずみ取り熱処理を行うものであることが認められる。そうすると,被告製品1の芯線と外周部の間に拡散層が存在する可能性があるということができるが,前記カの本件明細書1の記載によれば,ひずみ取り熱処理をするだけでは本件拡散層が形成されるというに足りない。 したがって,原告マテリアルズ社の上記主張はいずれも採用することができない。 争点 ア(構成要件2C「表皮層の表面に接する側に・・・第1の濃度勾配領域を有し」の充 が形成されるというに足りない。 したがって,原告マテリアルズ社の上記主張はいずれも採用することができない。 争点 ア(構成要件2C「表皮層の表面に接する側に・・・第1の濃度勾配領域を有し」の充足性)について本件発明2の特許請求の範囲の記載によれば,「第1の濃度勾配領域」とは,表皮層の表面に接する側に存在し,第1の表皮主要金属と第2の表皮主要金属が濃度勾配を形成する領域であり,この領域においては第1の表皮主要金属の濃度が減少するとともに第2の表皮主要金属の濃度が増加するとされている。原告マテリアルズ社は,本件オージェ分析報告書のオージェ図を根拠に,被告製品1はAu(第1の表皮主要金属)の濃度が減少するとともにPd(第2の表皮主要金属)の濃度が増加する第1の濃度勾配領域を有する旨主張するものである。 そこで判断するに,上記オージェ図に,被告製品1の表面から0.070~0.144μmの深さにかけてAuの濃度が減少するとともにPdの濃度が増加する領域の存在が示されていることは原告マテリアルズ社の主張するとおりである(甲14~17,52参照)。しかし,前記1に判示したとおり,スパッタリングを伴うオージェ分析の結果は各種要因に影響され,急峻な界面を有する場合でも成分割合が徐々に変化するような分析結果が現れ得ること,本件オージェ分析報告書の測定結果は表面から所定の深さにおけ- 28 -る測定領域内全体の元素の存在割合を示すにとどまることに鑑みれば,上記オージェ図をもって直ちに濃度勾配の存在を認めるに足りないと解すべきである。 これに加え,特許請求の範囲の記載によれば,本件発明2のボンディングワイヤは芯材の上に表皮層を有するものであるところ(構成要件2A),「層」とは一般に「重なること。重なり」を意味する用語であるから,表皮層は円周状を 求の範囲の記載によれば,本件発明2のボンディングワイヤは芯材の上に表皮層を有するものであるところ(構成要件2A),「層」とは一般に「重なること。重なり」を意味する用語であるから,表皮層は円周状をなす芯材の表面全体に重ねられたものであり,表皮層のワイヤの表面に接する側に形成される第1の濃度勾配領域もワイヤの全周にわたって存在するものと解される。また,表皮層の表面は,第1の表皮主要金属を含有するとともに第2の表皮主要金属を12mol%以上含有するとされている(構成要件2Cの後半部分)。さらに,本件明細書2(甲10)の発明の詳細な説明の欄をみても,表皮層ないし第1の濃度勾配領域がワイヤ表面の一部に形成されていれば足りる旨の記載ないし示唆は見当たらない。 そうすると,被告製品1にAuを第1の表皮主要金属,Pdを第2の表皮主要金属とする第1の濃度勾配領域が存在するというためには,ワイヤ表面の全周にわたってAuがPdと共に含有されていると認められることを要する。 そこで,被告製品1の表面の組成について検討すると,証拠(甲69,乙4)及び弁論の全趣旨によれば,被告製品1は線径の太いワイヤをダイヤモンドダイスにより伸線したものであること,伸線する前のワイヤの表面にはAuが全周にわたり存在しているが,伸線の過程でAuが削られていくこと,本件表面オージェ分析報告書は,線径18μmの被告製品1の表面の観察範囲を約9μm×約12μmとする視野3か所につき,オージェ電子分光装置を用いてSEM観察を行い,Au,Pd及びCuのマッピングをして表面被覆成分の分布を確認したものであり,このうちAuのマッピング写真には3か所とも強度が最低であることを示す黒い色が広く不均一に分布し- 29 -ていること,2視野目のAu及びCuの各マッピング写真を比較すると,写 確認したものであり,このうちAuのマッピング写真には3か所とも強度が最低であることを示す黒い色が広く不均一に分布し- 29 -ていること,2視野目のAu及びCuの各マッピング写真を比較すると,写真上の右端付近及び中央よりやや左側のそれぞれ幅約2μmの範囲のうち相当部分ではAuより芯材であるCuの強度が高いことが認められる。そうすると,被告製品1の表面にはAuを含有しない領域や,AuよりCuを多く含有する領域が少なからず存在するということができるから,被告製品1のワイヤ表面におけるAuの分布は不均一なものであって,本件の関係各証拠上,ワイヤ表面の全周にわたってAuが含有されているとは認められないと解すべきものとなる。 以上によれば,被告製品1につき第1の濃度勾配領域の存在を認めることはできないから,被告製品1は本件発明2の技術的範囲に属しないと判断するのが相当である。 これに対し,原告マテリアルズ社は,①被告は伸線過程でAuがはがれない発明の特許権を保有している,②本件表面オージェ分析報告書のオージェスペクトルにおいて全ての観察箇所からAuが検出されている,③Auが一部に存在しなかったとしても,Auが存在する部分をもって「金の層」が形成されていればよい,④被告の関連会社の発表資料(甲55)には被告製品の表面にAuの層が存在する旨記載されている旨主張する。 そこで判断するに,上記①について,被告製品1が当該特許発明の実施品であるかは明らかでなく,上記主張は前提を欠く。上記②について,オージェスペクトルの分析対象とされた領域には黒い色以外の部分が含まれており(甲69),上記黒い色の部分にAuが存在することの裏付けとならない。 上記③について,前記認定の事実関係によれば,被告製品1の表面に「金の層」が存在すると認めることはできな の部分が含まれており(甲69),上記黒い色の部分にAuが存在することの裏付けとならない。 上記③について,前記認定の事実関係によれば,被告製品1の表面に「金の層」が存在すると認めることはできない。上記④について,上記資料は,証拠説明書によれば,原告ら訴訟代理人がインターネット上の検索により取得した被告の関連会社による技術会議でのプレゼンテーション資料とされるが,被告製品の概略を説明するにとどまるものであって,これをもって- 30 -前記認定判断を覆すに足りない。 したがって,原告マテリアルズ社の上記主張はいずれも失当である。 争点 ア(構成要件3A-2「濃化層」の充足性)について原告らは,被告製品1にAuの「濃化層」があると主張する。 そこで判断するに,構成要件3A-2の「濃化層」は,本件発明3①の特許請求の範囲の記載によれば,Ag又はAuのうち1種以上からなり,芯材の上に設けられる「外層」を「Pd外層」と共に構成するものであって,Pd外層の表面側に設けられるものである。また,「濃化」とはその字義に照らし「濃くなること」を意味すると解され,「層」とは一般に「重なること。 重なり」を意味する用語である。そうすると,「濃化層」とは,Ag又はAuの1種以上をそれ以外の領域に比し高い濃度で含有する領域であって,ワイヤ表面の全周にわたって存在するものをいうと解される。 また,本件明細書3(甲12)の発明の詳細な説明の欄には,濃化層に関して,外層の表面側への濃化層の形成と水素濃度の管理を組み合わせることで,長期保管されたボンディングワイヤでも良好なウェッジ接合性を得ることができるが,これは表面濃化層が水素,酸素等のガス成分のワイヤ表面からの侵入を抑えることによるものと考えられる旨(発明を実施するための形態,段落【0077】),濃化層は水素 ウェッジ接合性を得ることができるが,これは表面濃化層が水素,酸素等のガス成分のワイヤ表面からの侵入を抑えることによるものと考えられる旨(発明を実施するための形態,段落【0077】),濃化層は水素がワイヤ外部に放出されるのを抑える働きをするので,外層の表面側に濃化層を有するボンディングワイヤにおいては,濃化層を持たない外層の場合より水素濃度の管理が重要となる旨(同,段落【0080】)の記載があり,これらは濃化層がワイヤ表面の全周にわたって存在することを前提とするものということができる。 一方,被告製品1のワイヤ表面の全周にわたってAuが含有されていると認められないことは前記2のとおりであり,被告製品1(被告製品1のうち線径17~21μmのもの)についても同様と認められる(本件表面オージェ分析報告書(甲69)は,線径18μmの被告製品1を調査資- 31 -料とするものである。一方,被告による分析報告書(乙4)は,線径18μmのワイヤを伸線加工途中とするが,この点は被告製品1の表面におけるAuの有無に係る認定を左右するものでないと解される。)。 以上によれば,被告製品1が濃化層を有すると認めることはできないから,被告製品1は,本件発明3①の技術的範囲に属するものでなく,したがって,本件発明3②,③及び⑲の技術的範囲にも属しないと判断するのが相当である。 争点 (被告製品2の本件各特許権侵害の成否)について前記1~3で判示したとおり,被告製品1が本件発明1及び2の技術的範囲に属さず,被告製品1が本件発明3①,②,③及び⑲の技術的範囲に属しない以上,被告製品2が本件各発明の技術的範囲に属するものでなく,被告製品2の生産が本件各特許権の間接侵害に該当しないことは明らかである。 以上によれば,その余の点について判断するま 的範囲に属しない以上,被告製品2が本件各発明の技術的範囲に属するものでなく,被告製品2の生産が本件各特許権の間接侵害に該当しないことは明らかである。 以上によれば,その余の点について判断するまでもなく,原告らの請求はいずれも理由がない。 東京地方裁判所民事第46部裁判長裁判官長谷川浩二裁判官林雅子裁判官中嶋邦人- 32 -(別紙)被告製品目録被告の製造及び販売にかかる製品名CLR-1Aと称するボンディングワイヤの全て。ただし、その内訳は以下のとおりである。 被告の製造及び販売にかかる製品名CLR-1Aと称するボンディングワイヤのうち、線径が14~73μmのもの被告の製造及び販売にかかる製品名CLR-1Aと称するボンディングワイヤのうち、線径が17~21μmのもの 被告の製造及び販売にかかる製品名CLR-1Aと称するボンディングワイヤのうち、線径が200~300μmのもの

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