平成29(ワ)29228 特許権侵害損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
令和2年1月30日 東京地方裁判所
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令和2年1月30日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成29年(ワ)第29228号特許権侵害損害賠償請求事件口頭弁論終結日令和元年11月28日判決 原告 コスモ石油マーケティング株式会社 上記訴訟代理人弁護士 鮫島正洋 同髙見憲 同髙野芳徳 同森下梓 被告 コモタ株式会社 上記訴訟代理人弁護士 田中成志 同板井典子 同山田徹 同澤井彬子 同沖達也 主文 1 被告は,別紙物件目録記載2の製品の製造,販売又は販売の申出をしてはならない。 2 被告は,別紙物件目録記載2の製品から,別紙プログラム目録記載のプログラムを除却せよ。 3 被告は,原告に対し,4億5054万3000円及びうち●(省略)●に対する平成27年10月1日から,うち●(省略)●に対する平成30年9月30日から,うち●(省略)●に対する令和元年6月30日から,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 5 訴訟費用は,これを7分し,その1を被告の負担とし,その余を原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告は,別紙物件目録記載1の製品の製造,販売又は販売の申出をしてはならない。 2 被告は,前項記載の製品を廃 告の負担とし,その余を原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告は,別紙物件目録記載1の製品の製造,販売又は販売の申出をしてはならない。 2 被告は,前項記載の製品を廃棄せよ。 3 被告は,原告に対し,28億1101万5900円及びうち1億円に対する平成27年10月1日から,うち27億1101万5900円に対する平成30年9月30日から,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要等 1 事案の概要 本件は,発明の名称を「流体供給装置及び流体供給方法及び記録媒体及びプログラム」とする特許(特許第4520670号。以下「本件特許」といい,本件特許に係る特許権を「本件特許権」といい,その特許出願の願書に添付された明細書及び図面を「本件明細書」という。)を有する原告が,被告の製造,販売等に係る,給油装置を構成する設定器及びその設定器に保存されるプログラムが本件 特許の請求項1,2,3及び8の発明の技術的範囲に属するため,被告がそれらを製造,販売等することは本件特許権を侵害するものであると主張して,被告に対し,特許法100条1項及び2項に基づく上記の設定器の製造,販売等の差止め及び廃棄並びに民法709条に基づく損害賠償金(一部請求)及び遅延損害金の支払を求める事案である。 2 前提事実(当事者間に争いがない事実及び掲記の証拠により容易に認められる 事実) 原告は,石油類及び石油化学製品等の販売,給油所の維持管理及び給油所関連の電算システムの運営管理に関する事業等を業として行っている。被告は,給油所用機器の製造及び販売等を業として行っている。 原告は,訴外日立オートモティブシステムズメジャメント株式会社(以下「本 件共有者」という 関する事業等を業として行っている。被告は,給油所用機器の製造及び販売等を業として行っている。 原告は,訴外日立オートモティブシステムズメジャメント株式会社(以下「本 件共有者」という。)と,本件特許権を共有している。 ア特許番号特許第4520670号イ発明の名称流体供給装置及び流体供給方法及び記録媒体及びプログラム ウ出願日平成13年7月18日エ登録日平成22年5月28日本件特許権については,本件共有者(平成27年5月21日の登録名義人の 表示の変更前はトキコテクノ株式会社)が100パーセントの持分を保有していたが,平成26年2月20日,本件特許権の50パーセントの持分が訴外コスモ石油株式会社に移転(特定承継)され,平成27年11月17日,当該持分が原告に移転(一般承継)されて,現在は,原告と本件共有者の共有となっている。 なお,本件共有者は,計装機器の開発,製造及び販売,並びに給油所及びエコステーションのプランニング,設計及び施工等を業として行っている。 本件特許権の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明(以下「本件発明1」という。),請求項2に記載された発明(以下「本件発明2」という。),請求項3に記載された発明(以下「本件発明3」という。)及び請求項8に記載さ れた発明(以下「本件発明8」という。)は,以下のとおりである(以下,本件 発明1ないし3及び8を総称して「本件発明」という。)。 ア本件発明1「記憶媒体に記憶された金額データを読み書きする記憶媒体読み書き手段と,前記流体の供給量を計測する流量計測手段と,前記流体の供給開始前に前記記憶媒体読み書き手段により )。 ア本件発明1「記憶媒体に記憶された金額データを読み書きする記憶媒体読み書き手段と,前記流体の供給量を計測する流量計測手段と,前記流体の供給開始前に前記記憶媒体読み書き手段により読み取った記憶媒体の金額データが示 す金額以下の金額を入金データとして取り込むと共に,前記金額データから当該入金データの金額を差し引いた金額を新たな金額データとして前記記憶媒体に書き込ませる入金データ処理手段と,該入金データ処理手段により取り込まれた入金データの金額データに相当する流量を供給可能とする供給許可手段と,前記流量計測手段により計測された流量値から請求すべき料 金を演算する演算手段と,前記流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を前記演算手段により演算させ,当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引き,残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データに加算し,当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む料金精算手段と,を備えたことを特徴とする流体供給装置。」 イ本件発明2「前記入金データ処理手段は,前記流体の供給開始前に前記記憶媒体に記憶された金額データが示す金額よりも少ない金額を入金データとして取り込むと共に,当該記憶媒体の金額データから当該入金データの金額を差し引くことを特徴とする請求項1記載の流体供給装置。」 ウ本件発明3「前記流体の供給前に返金指示があったときは,前記流体の供給前に前記入金データ処理手段により取り込まれた入金データの金額を前記記憶媒体の金額データの金額に加算する第1の返金手段と,前記流体の供給後に返金指示があったときは,前記流量計測手段により計測された流量値に相当する 金額を前記入金データの金額より差し引き,残った差額データの金額を前 金額に加算する第1の返金手段と,前記流体の供給後に返金指示があったときは,前記流量計測手段により計測された流量値に相当する 金額を前記入金データの金額より差し引き,残った差額データの金額を前記 記憶媒体の金額データの金額に加算し,当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む第2の返金手段と,を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の流体供給装置。」エ本件発明8「入金データとして取り込まれた金額データに相当する流量を供給可能 とする流体供給装置で実行されるプログラムであって,コンピュータに,流体の供給開始前に記憶媒体読み書き手段により読み取った記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込むと共に,前記金額データから当該入金データの金額を差し引いた金額を新たな金額データとして前記記憶媒体に書き込ませる第1の手順と,該第1の手順で取り込まれ た入金データの金額データに相当する流量を供給可能とする第2の手順と,流量計測手段により計測された流量値から請求すべき料金を演算する第3の手順と,前記流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を演算させ,当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引き,残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データに加算し,当該加算後の金額デ ータを前記記憶媒体に書き込む第4の手順と,を順次実行させるためのプログラム。」 本件発明の構成要件を分説すると,以下のとおりである。 ア本件発明1(以下,各構成要件を「構成要件1A」又は「1A」などと表記する。本件発明2,3及び8についても同様である。) 1A 記憶媒体に記憶された金額データを読み書きする記憶媒体読み書き手段と,1B 前記流体の供給量を計測する流量 1A」などと表記する。本件発明2,3及び8についても同様である。) 1A 記憶媒体に記憶された金額データを読み書きする記憶媒体読み書き手段と,1B 前記流体の供給量を計測する流量計測手段と,1C1 前記流体の供給開始前に前記記憶媒体読み書き手段により読み取った記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取 り込むと共に, 1C2 前記金額データから当該入金データの金額を差し引いた金額を新たな金額データとして前記記憶媒体に書き込ませる入金データ処理手段と,1D 該入金データ処理手段により取り込まれた入金データの金額データに相当する流量を供給可能とする供給許可手段と, 1E 前記流量計測手段により計測された流量値から請求すべき料金を演算する演算手段と,1F1 前記流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を前記演算手段により演算させ,1F2 当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引き, 1F3 残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データに加算し,1F4 当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む料金精算手段と,1G を備えたことを特徴とする流体供給装置。 イ本件発明2 2A 前記入金データ処理手段は,前記流体の供給開始前に前記記憶媒体に記憶された金額データが示す金額よりも少ない金額を入金データとして取り込むと共に,当該記憶媒体の金額データから当該入金データの金額を差し引くこと2B を特徴とする請求項1記載の流体供給装置。 ウ本件発明33A 前記流体の供給前に返金指示があったときは,前記流体の供給前に前記入金データ処理手段により取り込まれた入金データの金額を前記記憶媒体の金額データの ウ本件発明33A 前記流体の供給前に返金指示があったときは,前記流体の供給前に前記入金データ処理手段により取り込まれた入金データの金額を前記記憶媒体の金額データの金額に加算する第1の返金手段と,3B 前記流体の供給後に返金指示があったときは,前記流量計測手段によ り計測された流量値に相当する金額を前記入金データの金額より差し引 き,残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データの金額に加算し,当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む第2の返金手段と,3C を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の流体供給装置。 エ本件発明88A 入金データとして取り込まれた金額データに相当する流量を供給可 能とする流体供給装置で実行されるプログラムであって,8B1 コンピュータに,流体の供給開始前に記憶媒体読み書き手段により読み取った記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込むと共に,8B2 前記金額データから当該入金データの金額を差し引いた金額を新 たな金額データとして前記記憶媒体に書き込ませる第1の手順と,8C 該第1の手順で取り込まれた入金データの金額データに相当する流量を供給可能とする第2の手順と,8D 流量計測手段により計測された流量値から請求すべき料金を演算する第3の手順と, 8E1 前記流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を演算させ,8E2 当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引き,8E3 残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データに加算し,8E4 当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む第4の手順と, 8F を順次実行させるためのプログラム。 8E3 残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データに加算し,8E4 当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む第4の手順と, 8F を順次実行させるためのプログラム。 被告は,EMGマーケティング合同会社(以下「EMGマーケティング」という。)が石油の元売りとしてガソリン等を供給していたガソリンスタンド(以下「旧EMG系列ガソリンスタンド」という。)に対し,ガソリンスタンドにおける給油装置を構成する設定器(給油すべき量や顧客が支払う方法などを設定 するもの)を製造,販売している(以下,ガソリンスタンドに設置される給油 装置を構成する設定器を単に「設定器」ということがある。)。なお,EMGマーケティングは平成29年1月に東燃ゼネラル石油会社に吸収合併され,同社は,同年4月にJXTGエネルギー株式会社に吸収合併された。 また,被告は,被告が製造,販売する設定器に保存され,給油装置において実行される,電子マネー媒体を用いた料金の精算等を可能とするためのプログ ラムを製造,販売している。 被告が製造,販売した設定器を用いる給油装置には,電子マネー媒体により給油を行い,当該給油に対する料金の精算を行う場合に以下のアないしキの構成を有し,動作を行うものがある(以下の範囲の動作については当事者間に争いがない。)。以下,給油装置にこのような動作を行わせるプログラムを「被告 プログラム」といい,被告プログラムが保存された設定器を「被告設定器」といい,被告設定器を含む給油装置を「被告給油装置」という。 ア一般に,給油装置は,顧客に給油する給油機,給油量を計測した上で単価に給油量を乗じた金額を表示する計量機,給油すべき量や顧客が支払う方法などを設定する設定器などから構成される。被告給油装 ア一般に,給油装置は,顧客に給油する給油機,給油量を計測した上で単価に給油量を乗じた金額を表示する計量機,給油すべき量や顧客が支払う方法などを設定する設定器などから構成される。被告給油装置は,被告設定器と 計量機(以下,被告給油装置を構成する計量機を「被告計量機」という。)とを含む給油装置である。被告設定器はディスプレイ及びリーダー等の構成を有する。 イ電子マネー媒体を用いた給油を行おうとする者(以下,単に「顧客」ということがある。)は,被告設定器のディスプレイ上で電子マネーによる支払 いを選択する。顧客は,被告設定器のディスプレイに表示された指示に従い,電子マネー媒体を被告設定器のリーダーにタッチさせる。被告設定器は,1回目のタッチ動作において電子マネー媒体の残額を読み込んでいる。 ウ被告設定器のディスプレイ上には給油量が記載されたボタンが表示され,顧客はそのボタンを押すことで給油量を選択することができる。このとき, 油(ガソリンや軽油の総称)の単位量当たりの単価に基づき計算された給油 による支払金額(給油量×単価で計算した金額)が前記イで読み込んだ電子マネー媒体の残額を超えるものについては,当該給油量の選択ができないようになっている。被告設定器のディスプレイ上では,各給油量について,選択可又は選択不可の区別が表示されている。 エ顧客は,給油したい給油量を選択した後,再度,電子マネー媒体を被告設 定器のリーダーにタッチさせる。この2回目のタッチ動作により,被告設定器は,電子マネー媒体の残額から,選択された給油量に対応した支払金額を引き去り,電子マネー媒体にその引去後の残額を書き込む。被告設定器のディスプレイ上には,顧客が選択した給油量に対応した支払金額(単価×選択された 媒体の残額から,選択された給油量に対応した支払金額を引き去り,電子マネー媒体にその引去後の残額を書き込む。被告設定器のディスプレイ上には,顧客が選択した給油量に対応した支払金額(単価×選択された供給量)を引き去った旨の表示がなされ,支払金額が引き去られた後 の電子マネー媒体の残額が表示される。 オ上記エの2回目のタッチ動作を行うと,被告設定器のディスプレイ上に給油を開始するよう表示がなされ,選択した給油量(支払金額に相当)の給油が可能な状態になるので,顧客は,給油ノズルを被告計量機から取り出し,車に給油ができるようになる。 給油中,被告計量機のディスプレイ上には,給油された量が表示され,その表示は給油量に応じて変化する。また,被告計量機のディスプレイ上では,給油量の変化とともに,その時点の給油量に応じた支払額が表示される。この支払額は,油の単価と実際に給油された給油量との積である。 カ顧客が,給油を途中で止めて給油ノズルを被告計量機の元の位置に戻した 場合など上記エで選択した給油量に満たない給油量で給油を終了した場合には,被告設定器のディスプレイ上には,上記オのように被告計量機のディスプレイ上に支払額として表示されていたのと同じ金額が購入金額として表示される。このとき,被告設定器のディスプレイ上には,給油しなかった分に相当する額を返金する旨の表示とともに,返金金額が表示される。 顧客が,上記の返金金額が被告設定器のディスプレイ上に表示された状態 で,当該ディスプレイ上の返金を受け取るためのボタンを押すと,被告設定器のディスプレイ上に指示が表示される。それに従い,顧客が電子マネー媒体を被告設定器のリーダーにタッチさせると,被告設定器は,返金前の電子マネー媒体の残額に を受け取るためのボタンを押すと,被告設定器のディスプレイ上に指示が表示される。それに従い,顧客が電子マネー媒体を被告設定器のリーダーにタッチさせると,被告設定器は,返金前の電子マネー媒体の残額に返金金額を加算し,電子マネー媒体の残額が加算後の残額となるように電子マネー媒体に残額を書き込む。被告設定器のディスプレ イ上には,返金金額をチャージした旨の表示がなされ,電子マネー媒体の返金後の残額が表示される。この返金後の残額は,返金前の電子マネー媒体の残額に返金金額を加算した額である。 キ顧客が,電子マネー媒体を被告設定器のリーダーにタッチさせ,給油量の選択を行い,電子マネー媒体を被告設定器のリーダーに再びタッチさせ,被 告設定器のディスプレイ上に給油を開始するよう表示がされた場合でも,その後,そのまま給油しないでいると,被告設定器のディスプレイ上には返金する旨の表示とともに,2回目のタッチ動作による支払金額と同じ金額が返金金額として表示される。この状態のとき,顧客は,被告設定器のディスプレイ上の返金を受け取るためのボタンを押すことができ,これを押すと,上 記カと同様の動作により,電子マネー媒体の残額に2回目のタッチ動作による引去額を加算し,電子マネー媒体の残額が上記引去額を加算した後の残額となるように電子マネー媒体に残額を書き込む。 被告プログラムは,被告設定器に保存され,被告給油装置内において実行される。この被告プログラムは,顧客による操作に対応して,被告給油装置に対 し,上記の動作を行わせるものである。 被告設定器が以下の構成を有することは,当事者間に争いがない(訴状及び答弁書。なお,被告は,訴状の記載のうち,構成要件1Cに関する説明中の被告給油装置が電子マネー媒体の残額よりも少ない額を取り込 被告設定器が以下の構成を有することは,当事者間に争いがない(訴状及び答弁書。なお,被告は,訴状の記載のうち,構成要件1Cに関する説明中の被告給油装置が電子マネー媒体の残額よりも少ない額を取り込むとの部分について「電子マネー媒体の残額以下の額である」と主張して否認した上で,その 余は被告給油装置が構成要件1Cを充足するとの記載を含めて認めた(答弁書 6頁)。原告も被告装置が電子マネー媒体の内部のメモリの金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込む旨を主張しているので,以下の1c1の構成については争いがない。また,被告は,訴状の記載のうち,構成要件2Aに関する説明中の支払金額が引き去り前の電子マネー媒体の残額よりも少ない額であるとの部分について,「支払金額は引き去り前の電子マネー媒 体の金額以下の額である」と主張して否認した上で,その余は被告給油装置が構成要件2Aを充足するとの記載を含めて認めた(同7頁)。原告も被告装置が電子マネー媒体の内部のメモリの金額が示す金額以下の金額を入金データとして取り込む旨を主張しているので以下の2aの構成については争いがない。)。 1a 電子マネー媒体に記憶された金額データを読み書きするリーダーと1b ガソリンや軽油といった油の供給量を計測する給油量計測手段と,1c1 油の供給開始前に前記リーダーによって読み取った電子マネー媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込むとともに, 1c2 前記金額データから当該入金データの金額を差し引いた金額を新たな金額データとして前記電子マネー媒体に書き込ませる入金データ処理手段と,1d 該入金データ処理手段により取り込まれた入金データの金額データに相当する油を供給可能とする供給許可手段と 額を新たな金額データとして前記電子マネー媒体に書き込ませる入金データ処理手段と,1d 該入金データ処理手段により取り込まれた入金データの金額データに相当する油を供給可能とする供給許可手段と 1g を備えたことを特徴とする給油装置2a 入金データ処理手段は,油の供給開始までに電子マネー媒体の金額が示す金額以下の金額を入金データとして取り込むと共に,当該電子マネー媒体から当該入金データの金額を差し引くこと3a 油の供給前に返金指示があったときは,油の供給前に前記入金データ 処理手段により取り込まれた入金データの金額を前記電子マネー媒体の 金額データの金額に加算する返金手段被告プログラムが以下の構成を有することについては,当事者間に争いがない。 8a 入金データとして取り込まれた金額データに相当する油を供給可能とする給油装置で実行されるプログラムであって, 8b 給油装置に,油の供給開始前にリーダーにより読み取った電子マネー媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込むと共に,前記金額データから当該入金データの金額を差し引いた金額を新たな金額データとして前記電子マネー媒体に書き込ませる第1の手順と, 8c 前記第1の手順で取り込まれた入金データの金額データに相当する油を供給可能にする第2の手順と,8f を順次実行させるためのプログラム 被告プログラムが保存された被告設定器を含む被告給油装置の構成1a,1b,1c,1g,2a,3aが,それぞれ本件発明1ないし3の構成要件1A, 1B,1C,1G,2A,3Aを充足することは当事者間に争いがない(訴状,答弁書)。 また,被告プログラムの構成8a,8b,8c,8fが,それぞれ本件発明8の構成要件8A, 構成要件1A, 1B,1C,1G,2A,3Aを充足することは当事者間に争いがない(訴状,答弁書)。 また,被告プログラムの構成8a,8b,8c,8fが,それぞれ本件発明8の構成要件8A,8B,8C,8Fを充足することは当事者間に争いがない(訴状,答弁書)。 3 争点 被告給油装置が本件発明1ないし3の技術的範囲に属するか(争点1)ア文言侵害の有無構成要件1E,1F1の文言侵害構成要件1F2ないし1F4,3Bの文言侵害 イ均等侵害の有無 被告プログラムが本件発明8の技術的範囲に属するか(争点2)ア文言侵害構成要件8D,8E1の文言侵害 構成要件8E2ないし8E4の文言侵害イ均等侵害の有無 被告給油装置についての間接侵害(特許権侵害行為)の有無(争点3)被告に過失が認められるか(争点4)本件発明1に係る特許が特許無効審判により無効にされるべきものか(争点5)ア平成12年12月5日に出願公開された公開特許公報(特開2000-3 35698,以下「乙1公報」という。)に記載された発明(以下「引用発明1」という。)に基づく進歩性欠如の有無(争点5-1)イ平成13年4月10日に出願公開された公開特許公報(特開2001-97498,以下「乙2公報」という。)に記載された発明(以下「引用発明2」という。)に基づく進歩性欠如の有無(争点5-2) ウ平成11年5月18日に出願公開された公開特許公報(特開平11-130198,以下「乙3公報」という。)に記載された発明(以下「引用発明3」という。)に基づく進歩性欠如の有無(争点5-3)本件発明2に係る特許が特許無効審判により無効にされるべきものか 1-130198,以下「乙3公報」という。)に記載された発明(以下「引用発明3」という。)に基づく進歩性欠如の有無(争点5-3)本件発明2に係る特許が特許無効審判により無効にされるべきものか(争点6) ア引用発明1に基づく進歩性欠如の有無イ引用発明2に基づく進歩性欠如の有無ウ引用発明3に基づく進歩性欠如の有無本件発明3に係る特許が特許無効審判により無効にされるべきものか(争点7) ア引用発明1に基づく進歩性欠如の有無 イ引用発明2に基づく進歩性欠如の有無ウ引用発明3に基づく進歩性欠如の有無本件発明8に係る特許が特許無効審判により無効にされるべきものか(争点8)ア引用発明1に基づく進歩性欠如の有無 イ引用発明2に基づく進歩性欠如の有無ウ引用発明3に基づく進歩性欠如の有無 損害の有無及びその額(争点9)ア特許法102条2項に基づく損害額及び同項と同条3項の重畳適用に基づく損害額 イ特許法102条3項に基づく損害額 差止請求及び廃棄請求の対象となる製品の範囲(争点10) 4 争点に関する当事者の主張 被告給油装置が本件発明1ないし3の技術的範囲に属するか(争点1)ア構成要件1E,1F1の文言侵害 (原告の主張)被告給油装置では,油の給油中に,計量機のディスプレイ上の給油量の表示が給油量に応じて変化し,この給油量の変化とともに,その時点の給油量に応じた支払額が被告計量機のディスプレイ上に表示される。その支払額は油の単位量あたりの単価と実際の給油量の積であり,顧客に請求すべき購入 金額と同額である。構成要件1Eでは,演算された「請求すべき料金」が何に用いられる ィスプレイ上に表示される。その支払額は油の単位量あたりの単価と実際の給油量の積であり,顧客に請求すべき購入 金額と同額である。構成要件1Eでは,演算された「請求すべき料金」が何に用いられるのかという用途は限定されていないから,被告給油装置は構成要件1Eを充足する。また,被告給油装置は,構成要件1Eを充足するものであり,当該演算を行わせる手段を有しているといえるから,構成要件1F1を充足する。 仮に,本件明細書の記載等を参酌して,演算された「請求すべき料金」が 何に用いられるのかという点を踏まえた解釈をするとしても,被告給油装置においては,購入金額が被告計量機のディスプレイ上に表示されるという用途を有している。また,被告給油装置は,被告計量機に支払額として表示された額(購入金額)と電子マネー媒体から引き去った金額(支払金額)を前提に,これらの差と同一の計算結果となるよう被告設定器において返金金額 を計算するものであるから,購入金額は返金金額の計算のために用いられている。 したがって,いずれの解釈によっても,被告給油装置は構成要件1Eの「前記流量計測手段により計測された流量値から請求すべき料金を演算する演算手段」を有しているといえる。 (被告の主張)発明の構成要件による分説は,発明を把握するために発明の要素を分解して検討するものであって,それぞれの構成要件が別個に存在するものではない。構成要件1Eの「演算手段」は,構成要件1F1の「流量計測手段により計測された流量値に相当する金額」の演算を行い,その演算結果による金 額が入金データの金額より差し引かれる(構成要件1F2)というものであって,構成要件1Eの演算手段の結果が単に給油結果の表示に用いられれば足りるというものではない。 ,その演算結果による金 額が入金データの金額より差し引かれる(構成要件1F2)というものであって,構成要件1Eの演算手段の結果が単に給油結果の表示に用いられれば足りるというものではない。 被告給油装置の計量機では,計測された実際の給油量に単価を乗じる演算をした値を表示しているが,この値は被告設定器において顧客に返金する金 額が計算される際には用いられていない。被告設定器においては,給油可能量(選択された給油量)から実際の給油量を差し引いて給油されなかった量(残給油量)を求め,これに単価を乗じることにより返金金額を計算している(被告設定器において演算されている)ものである。 被告給油装置は構成要件1Eの「演算手段」によって構成要件1F1の「前 記流量計測手段により計測された流量値に相当する金額」を演算することは していないから,構成要件1E,1F1を充足しない。 イ構成要件1F2ないし1F4,3Bの文言侵害(原告の主張)構成要件1F2の「差し引き」の解釈について,国語的な意味としては特定の減算式を用いることを意味するものではなく,数Xと数Yが与えら れた場合には,「X-Y」と同じ答えになるように行われる任意の計算が含まれる。本件明細書においても「差し引く」という用語は特定の減算式を用いるという意味では用いられていない。本件発明ではプログラム上の演算処理として計算が行われることが前提とされるところ,プログラムの書き方により,外形的に表れる結果から観念される計算の内容とプログラ ム内部の演算処理が異なることは通常生じ得るのであり,本件発明は,そのような場合を念頭に置いて,結論として特定の減算式を用いた場合と同様の結果が得られるような演算を実行する態様を包含する用語として「差し引き」を用 が異なることは通常生じ得るのであり,本件発明は,そのような場合を念頭に置いて,結論として特定の減算式を用いた場合と同様の結果が得られるような演算を実行する態様を包含する用語として「差し引き」を用いている。 したがって,構成要件1F2,1F3は,入金データの金額から構成要 件1Eで演算された料金を減算した金額をそのまま構成要件1F3の「残った差額」とする場合だけでなく,上記減算した金額と同じ答えになるように計算された結果を構成要件1F3の「残った差額」とすることを含むものであると解釈することが相当である。 被告給油装置は,支払金額(電子マネー媒体から引き去った金額)から 購入金額(被告計量機に支払額として表示された額)を減算した金額と同じ答えになるように返金金額の計算を行い,当該返金金額を電子マネー媒体の金額データに加算するものであるから,構成要件1F2,1F3を充足する。 仮に,構成要件1F2の「当該演算された料金を前記入金データの金額 より差し引き」という文言が,「返金額=支払金額-購入金額」の計算を意 味すると解釈されるとしても,被告給油装置における返金額の算出のために「返金額=支払金額-購入金額」の計算を行っていないという被告の主張は不自然であるから,被告設定器は,計量機から購入金額についての通知を受けて上記計算を行っているというべきである。また,被告設定器においては,被告計量機から通知を受けた購入金額を用いなくても,実際の 給油量について計量機から通知を受け,それに油の単価を乗じて別途購入金額を求めることができ,その購入金額と被告設定器に存在する支払金額のデータを用いて独自に「支払金額-購入金額」の計算をすることにより返金額を求めることができるとも考えられる。すなわち,被告設定器は,被 求めることができ,その購入金額と被告設定器に存在する支払金額のデータを用いて独自に「支払金額-購入金額」の計算をすることにより返金額を求めることができるとも考えられる。すなわち,被告設定器は,被告計量機から通知を受けた購入金額のデータを用いることがなかった としても,「返金額=支払金額-購入金額」の計算を行っている可能性が高い。 したがって,被告給油装置は,いずれの解釈によっても構成要件1F2,1F3を充足する。 また,被告給油装置は,返金金額を,返金前の電子マネー媒体の残額の 金額データに加算し,当該加算後の電子マネー媒体の残額の金額データを,電子マネー媒体のメモリに書き込むものであり,これは,「残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データに加算し,当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む」ものである。 したがって,被告給油装置は,構成要件1F4を充足する。 構成要件3Bは,構成要件1F2ないし1F4の構成に相当するものであるから,被告給油装置は構成要件3Bを充足する。 (被告の主張)構成要件1F2の「演算された料金を前記入金データの金額より差し引 き」とは,具体的には,返金額を算出するために,計算①「購入金額=単 価×実際の給油量」及び計算②「返金額=支払金額-購入金額」の計算を行うものである。本件明細書の記載に照らせば,本件発明において返金額を求めるための計算方法は,上記の計算①及び②以外に考えられない。 被告給油装置は,給油可能量(選択された給油量)から実際の給油量を差し引いて給油されなかった量(残給油量)を求め,これに単価を乗じる ことにより返金金額を計算しているのであって,上記の計算①及び②をしていないから,構成要件1F2を充足しない。また,構 油量を差し引いて給油されなかった量(残給油量)を求め,これに単価を乗じる ことにより返金金額を計算しているのであって,上記の計算①及び②をしていないから,構成要件1F2を充足しない。また,構成要件1F3の「残った差額データ」は,構成要件1F2の差引計算によって得られたものであるから,被告給油装置が構成要件1F2を充足しない以上,構成要件1F3も充足しない。 原告は,構成要件1F2の「差し引き」について,入金データの金額から構成要件1Eで演算された料金を減算した金額と同じ答えになるような計算方法を含むものであると主張するが,被告給油装置の演算は,購入金額(被告計量機に支払額として表示された額)を支払金額(電子マネー媒体から引き去った金額より減算した金額と同じ答えになるように返金 金額の計算を行うというものではなく,計算の対象物が異なる別の計算を行うものであり,結果として同じ金額が得られるにすぎないから,上記主張は誤っている。 被告給油装置においては,流量値に相当する金額の計算(単価に流量値を乗じる演算)は行っておらず,また流量値に相当する 金額を入金データの金額から差し引く計算も行っていないから,構成要件3Bを充足しない。 ウ均等侵害の有無(原告の主張)特許請求の範囲に記載された構成中,相手方が製造等をする製品(対象製 品)と異なる部分が存する場合であっても,①同部分が特許発明の本質的部 分ではなく,②同部分を対象製品におけるものと置き換えても,特許発明の目的を達することができ,同一の作用効果を奏するものであって,③上記のように置き換えることに,当該発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(当業者)が,対象製品の製造等の時点において容易に想到 を達することができ,同一の作用効果を奏するものであって,③上記のように置き換えることに,当該発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(当業者)が,対象製品の製造等の時点において容易に想到することができたものであり,④対象製品が,特許発明の特許出願時における公 知技術と同一又は当業者がこれから当該出願時に容易に推考できたものではなく,かつ,⑤対象製品が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情もないときは,同対象製品は,特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとして,特許発明の技術的範囲に属すると解するのが相当である(以下,この項において上 記①ないし⑤の要件を順次「第1要件」ないし「第5要件」という。)。 第1要件被告給油装置は,返金額の算出のために,計算①「購入金額=単価×実際の給油量」及び計算②「返金額=支払金額-購入金額」の計算を行う代わりに,計算ア「残給油量=選択された給油量-実際の給油量」及び計算 イ「返金額=単価×残給油量」の計算を行う点において「異なる構成」を有するに過ぎない。 本件発明1ないし3の特許請求の範囲の記載のうち,従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分とは,カードの記憶媒体に書き込まれている金額以下の金額を入金額として取り込むとともに,当該入 金額を差し引いた金額を新たな金額として記憶媒体に書き込み,かつ,入金額に相当する流量の給油を供給可能とする一方で,給油終了後に入金額に対して差額が残った場合には,その差額をカードの記憶媒体に書き込まれている金額に加算して,加算後の金額をカードの記憶媒体に書き込むように構成したことであり,これにより,給油中に給油装置内にカードが存 在しなくても,給油終 の差額をカードの記憶媒体に書き込まれている金額に加算して,加算後の金額をカードの記憶媒体に書き込むように構成したことであり,これにより,給油中に給油装置内にカードが存 在しなくても,給油終了後に給油量に応じた料金を精算することができる ようにしたことである。他方で,入金額と実際の給油量から返金額を計算するための計算ルートは,特許発明の特許請求の範囲の記載のうちの従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分ではないから本件発明1ないし3の本質的部分に含まれない。 したがって,被告給油装置は,本件発明1ないし3の上記特徴的部分を 備えるものであり,他方で,上記「異なる構成」は特許発明の特許請求の範囲の記載のうちの従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分ではなく本件発明の本質的部分ではないから,第1要件を満たす。 第2要件 被告給油装置でも,給油終了後にカードを挿入してあるのを忘れ,プリペイドカードを置いたまま給油所から退場してしまうおそれを防ぎ,カードが盗難にあうおそれを防ぎ,運転者が計量機から離れられないという問題を解決することができ,かつ,給油中に給油装置内にカードが存在しなくても給油終了後に給油量に応じた料金を精算することができるから,本 件発明1ないし3と同一の作用効果を奏する。したがって,第2要件を満たす。 第3要件被告給油装置は,返金金額を算出するための引き算に用いる計算パラメータを「金額」でなく「油の量」とするものであり,しかも「金額」と「油 の量」の間には「金額=油の単価×油の量」という当業者に自明な関係式が存在する。そうであれば,返金金額を算出するために「残給油量=選択された給油量-実際の給油量」及び「返 かも「金額」と「油 の量」の間には「金額=油の単価×油の量」という当業者に自明な関係式が存在する。そうであれば,返金金額を算出するために「残給油量=選択された給油量-実際の給油量」及び「返金額=単価×残給油量」という計算を行うことは,被告給油装置の製造販売の時点において当業者が容易に想到することができたといえる。したがって,第3要件を満たす。 第4要件,第5要件 被告給油装置が本件発明1ないし3の特許出願時における公知技術と同一又は当業者がこれから当該出願時に容易に推考できたという事情はなく(第4要件),かつ,被告給油装置が本件発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情もない(第5要件)。 (被告の主張) 第1要件本件発明1ないし3は,給油中に給油装置内にカードが存在しなくても給油終了後に給油量に応じた料金を精算することができるようにしたいという課題を解決するための具体的な構成を,構成要件1E,1F1ない し1F4の計算式によって明確にしたことに意義があるのであって,これらの構成が本件発明の本質的部分である。 被告給油装置における演算は,給油されなかった返品すべき油量及び単価に基づき,計算ア「残給油量=選択された給油量-実際の給油量」及び計算イ「返金額=単価×残給油量」の計算を行って給油されなかった返品 すべき油量の代金額(返金額)を計算するものである。他方,本件発明における演算は,構成要件1E,1F1ないし1F3の演算を行って計算①「購入金額=単価×実際の給油量」及び計算②「返金額=支払金額-購入金額」の計算を行うものである。上記の相違は,本件発明1ないし3の本質的部分に関するものである F1ないし1F3の演算を行って計算①「購入金額=単価×実際の給油量」及び計算②「返金額=支払金額-購入金額」の計算を行うものである。上記の相違は,本件発明1ないし3の本質的部分に関するものであるから第1要件を満たさない。 第2要件本件発明1ないし3の作用効果は,計算①「購入金額=単価×実際の給油量」及び計算②「返金額=支払金額-購入金額」の計算を行って,精算を行うというものである。被告給油装置においては,給油されなかった返品すべき油量および単価に基づき,計算ア「残給油量=選択された給油量 -実際の給油量」及び計算イ「返金額=単価×残給油量」の計算を行って, 給油されなかった返品すべき油量の代金額(返金額)を計算するものである。両者は取引対象も演算方法も全く異なる。また,被告給油装置においては,計量機に表示された金額と設定器に表示された金額を一致させるため,給油装置1台ごとに接続する計量機のまるめ計算に合わせた個別の設定が必要になるから,相違部分を対象製品等におけるものと置き換えても 同一の作用効果を奏するものであるとはいえない。したがって,第2要件を満たさない。 第3要件被告給油装置における演算は,周知慣用の予約取引や事前の仮決済取引と同様の計算を行うものではなく,計算の対象物も異なっているから,当 業者が容易に想到することができたとはいえない。したがって,第3要件を満たさない。 第4要件仮に,原告が主張するとおり,計算ア「残給油量=選択された給油量-実際の給油量」及び計算イ「返金額=単価×残給油量」とすることは当業 者が被告給油装置の製造販売の時点において容易に想到することができたのであれば(第3要件),被告給油装置は,特許発明 油量-実際の給油量」及び計算イ「返金額=単価×残給油量」とすることは当業 者が被告給油装置の製造販売の時点において容易に想到することができたのであれば(第3要件),被告給油装置は,特許発明の特許出願時における公知技術と同一又は当業者がこれから当該出願時に容易に推考できたものであるといえるから,第4要件を満たさない。 被告プログラムが本件発明8の技術的範囲に属するか(争点2) ア構成要件8D,8E1の文言侵害(原告の主張)構成要件8Dは,構成要件1Eと同様に,演算された「請求すべき料金」が何に用いられるのかという点は限定されておらず,仮に,当該「請求すべき料金」が何に用いられるのかという点を考慮しても,被告プログラムでは 購入金額を被告計量機のディスプレイ上に表示するために用いているので あるから,被告プログラムは構成要件8Dを充足する。また,被告プログラムは,構成要件8Dを充足し,当該演算を行わせる手段を有しているといえるから,構成要件8E1を充足する。 (被告の主張)構成要件8Dの「請求すべき料金を演算する第3の手順」は,構成要件8 E1における「前記流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を演算」するものであって,ただ給油結果の表示に用いられればよいというものではない。 被告プログラムは,給油可能量(選択された給油量)から実際の給油量を差し引いて給油されなかった量(残給油量)を求め,これに単価を乗じるこ とにより返金金額を計算しているから構成要件8Dを充足しない。また,被告プログラムは,顧客に対して給油可能とした給油量の残額についての代金を計算するものであり,単価に給油量をかける演算を行うことはしておらず,構成要件8 しているから構成要件8Dを充足しない。また,被告プログラムは,顧客に対して給油可能とした給油量の残額についての代金を計算するものであり,単価に給油量をかける演算を行うことはしておらず,構成要件8E1が規定する「計測された流量値に相当する金額を演算」させる手順を有していないから,構成要件8E1を充足しない。 イ構成要件8E2ないし8E4の文言侵害(原告の主張)構成要件1F2,1F3と同様に,構成要件8E2の「差し引き」には2つの数の差と同じ答えになるように行われる任意の計算が含まれる。構成要件8E2,8E3の「…より差し引き,残った差額データの金額を…加算し」 の記載は,「…より減算した金額と同じ答えになるように計算し,当該計算した結果である残った差額データの金額を…加算し」という意味であると解釈することが相当である。 被告プログラムは,支払金額(電子マネー媒体から引き去った金額)から購入金額(被告計量機に支払額として表示された額)を減算した金額と同額 となるように返金金額の処理をするものであるから,構成要件8E2,8E 3を充足する。また,被告プログラムは,返金金額を,返金前の電子マネー媒体の残額の金額データに加算し,当該加算後の電子マネー媒体の残額の金額データを,電子マネー媒体のメモリに書き込むものであり,これは,「残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データに加算し,当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む」ものであるから,構成要件8E4を充 足する。 (被告の主張)構成要件8E2の「演算された料金を前記入金データの金額より差し引き」とは,具体的には,「返金額」を算出するために計算①「購入金額=単価×実際の給油量」及び計算②「返金額=支払金額-購入 の主張)構成要件8E2の「演算された料金を前記入金データの金額より差し引き」とは,具体的には,「返金額」を算出するために計算①「購入金額=単価×実際の給油量」及び計算②「返金額=支払金額-購入金額」の計算を行うもの である。被告プログラムでは,給油可能量(選択された給油量)から実際の給油量を差し引いて給油されなかった量(残給油量)を求め,これに単価を乗じることにより返金金額を計算しているのであって上記の計算①及び②をしていないから構成要件8E2を充足しない。また,構成要件8E3の「残った差額データ」は,構成要件8E2の差引計算によって得られたものであ るから,被告プログラムが構成要件8E2を充足しない以上,構成要件8E3も充足しない。 ウ均等侵害の有無(原告の主張)本件発明8についての均等の主張は,本件発明8が「プログラム」のクレ ームであるという点以外は,「装置」のクレームである本件発明1ないし3についての均等の主張と実質的に相違しない。したがって,本件発明1ないし3と同様の理由により,被告プログラムは,本件発明8と均等であるといえるから,本件発明8の技術的範囲に属する。 (被告の主張) 本件発明1ないし3と同様の理由により,被告プログラムは,本件発明8 と均等であるとはいえず,技術的範囲に属さない。 被告給油装置についての間接侵害(特許権侵害行為)の有無(争点3)(原告の主張)ア特許法101条1号に規定する「物の生産にのみ用いる物」は,その物に社会通念上,経済的,商業的又は実用的な他の用途がないことを意味する。 当該特許発明を実施する機能と実施しない機能の複数の機能を切り替えて使用することが可能な構造になっており,当該発明を実施しない使用方 上,経済的,商業的又は実用的な他の用途がないことを意味する。 当該特許発明を実施する機能と実施しない機能の複数の機能を切り替えて使用することが可能な構造になっており,当該発明を実施しない使用方法が存する場合であっても,当該特許発明を実施しない機能のみを使用し続けながら,当該特許発明を実施する機能は全く使用しないという使用形態が当該物件の経済的,商業的又は実用的な使用形態として認められない限り,当該 物件を製造,販売等することによって侵害行為が誘発される蓋然性が極めて高いことに変わりはないというべきであるから,「その発明の実施にのみ使用する物」に当たる。 被告設定器に,被告給油装置の構成とされる以外の経済的,商業的又は実用的な他の用途は存在しない。また,被告設定器で,電子マネー媒体を用い ない機能のみを使用し続け,電子マネー媒体を用いた機能は全く使用しないという使用形態は,被告設定器の経済的,商業的又は実用的な使用形態として到底考えられない。したがって,被告設定器は,被告給油装置の生産にのみ用いられるものであるといえる。 また,特許法101条の趣旨に照らせば,完成品が文言侵害に該当する場 合だけでなく,完成品が均等侵害する場合にも,特許法101条の適用を認めることが相当である。 イ被告プログラムが既に保存された状態で販売されるか,被告プログラムが保存されていない状態で販売され,事後的に被告プログラムが保存されるかを問わず,被告プログラムが保存されていれば,本件特許権の間接侵害品に 該当する。また,設定器の販売後に顧客ないしガソリンスタンドが行う簡易 な初期設定作業であるアクティベートが必要であるとしても,被告プログラムが保存されていれば本件特許権の間接侵害品であると評価されるべきである。仮 後に顧客ないしガソリンスタンドが行う簡易 な初期設定作業であるアクティベートが必要であるとしても,被告プログラムが保存されていれば本件特許権の間接侵害品であると評価されるべきである。仮に,被告プログラムがアクティベートされている設定器のみが本件特許権の間接侵害品になるとしても,被告プログラムが保存された設定器の97.4パーセントは被告プログラムがアクティベートされることによって 本件特許権の侵害品(被告給油装置)の生産に用いられているのであるから,アクティベート前の設定器の販売についても侵害行為を誘発する蓋然性が高いといえることに加え,被告プログラムが保存された後,アクティベートされない状態で使用された期間は,電子マネー決済のサービスが開始される前の一時的なものにすぎないのであるから,そのような使用態様が経済的, 商業的又は実用的な使用態様であるともいえない。 したがって,被告プログラムが保存された設定器は,販売時に既に被告プログラムが保存されている態様であるか,販売後に被告プログラムが保存される態様であるかにかかわらず,また,アクティベートの有無を問わず,本件特許権の間接侵害品に該当する。 (被告の主張)ア被告設定器は,現金,プリペイドカード,クレジットカードでの支払いを行うためのものとして従前から使用されてきたものである。これらの用途は当該物件の経済的,商業的又は実用的な使用形態であることは明らかであるから,被告設定器は間接侵害品には当たらない。 イ被告は,被告プログラムがアクティベートされた状態で被告設定器を製造,販売していない。そして,被告が,平成27年6月から旧EMG系列ガソリンスタンドに向けて販売している被告設定器は,そこに被告プログラムを保存させたものにすぎず ィベートされた状態で被告設定器を製造,販売していない。そして,被告が,平成27年6月から旧EMG系列ガソリンスタンドに向けて販売している被告設定器は,そこに被告プログラムを保存させたものにすぎず,被告プログラムがアクティベートされない限り電子マネー媒体による決済機能を使用することはできないから,特許法101条 1号の間接侵害品には当たらない。 被告に過失が認められるか(争点4)(原告の主張)被告が被告設定器を販売した行為については過失が推定される(特許法103条)。また,本件特許権は公示されていたのであるから,被告は,被告設定器の販売時点で,そこに被告プログラムを保存すれば本件特許権を侵害する結果 を生じることについて予見可能であったにもかかわらず,それらについての回避措置を講じないまま,被告設定器を販売し,被告プログラムを保存したという過失がある。 (被告の主張)被告は,設定器を製造,販売してきたが,それらは現金,プリペイドカード 及び非接触式のクレジットカードによる支払用の設定器であり,販売当時,設定器に被告プログラムを保存することは予定されていなかった。また,電子マネーに対応することが直ちに本件発明に関係するともいえないから,電子マネーに対応する給油装置について検討がされていたとしても,本件発明の実施行為とは結びつかない。さらに,設定器に被告プログラムが保存されていたとし ても,それを使用できる状態にするのはガソリンスタンドの経営者である。これらの事情に照らせば,本件において被告に過失は存在しない。 本件発明1に係る特許が特許無効審判により無効にされるべきものか(争点5)ア引用発明1に基づく進歩性欠如の有無(争点5-1) (被告の ,本件において被告に過失は存在しない。 本件発明1に係る特許が特許無効審判により無効にされるべきものか(争点5)ア引用発明1に基づく進歩性欠如の有無(争点5-1) (被告の主張) 乙1公報には,以下のとおり分説される引用発明1が記載されている。 1A プリペイドカードに記憶された金額データを読み書きするプリペイドカード読み書き手段と,1B ガソリンの給油量を計測する流量計測手段と, 1C1 前記ガソリンの給油開始前に前記プリペイドカード読み書き手 段により読み取ったプリペイドカードの金額データが示す金額を入金データとして取り込むと共に,1D 該取り込まれた入金データの金額データに相当する流量を給油可能とする給油許可手段と,1E 前記流量計測手段により計測された給油量から請求すべき料金を 演算する演算手段と,1F1 前記流量計測手段により計測された給油量に相当する金額を前記演算手段により演算させ,1F2 当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引き,1F4’ プリペイドカードの金額データを,当該演算された料金を前記 入金データの金額より差し引いた金額に書き換える1G ガソリン給油装置。 これに対し,原告は,乙1公報には構成要件1C1が記載されていないと主張するが,乙1公報において,プリペイドカードの金額データが当該金額によって給油作業内容としての給油量の上限を知るために取り込ま れていることや,顧客が給油作業内容を設定することは,「入金データとして取り込む」ことに該当するといえるから,原告の主張は誤りである。 なお,原告は,被告の主張が乙1公報に記載された従来例に実施例の制御を適用した構成(従来例と実施例を組み合わせた構成)を引 タとして取り込む」ことに該当するといえるから,原告の主張は誤りである。 なお,原告は,被告の主張が乙1公報に記載された従来例に実施例の制御を適用した構成(従来例と実施例を組み合わせた構成)を引用発明とするものであるという前提に立った上で,被告が主張する上記発明を認定す ることはできない,実施例を基にした正しい引用発明と本件発明を対比した場合には他にも相違点が存在することになるなどと主張するが,被告の主張は,乙1の【0004】ないし【0006】の記載(従来例)に基づいてプリペイドカード方式により決済を行う給油装置の構成に関する従来技術を引用発明とするものであり,従来例と実施例を組み合わせた構成 を引用発明とするものではないから,原告の主張は前提に誤りがある。 本件発明1の構成要件と引用発明1の構成は,「記憶媒体に記憶された金額データを読み書きする記憶媒体読み書き手段と,前記流体の供給量を計測する流量計測手段と,前記流体の供給開始前に前記記憶媒体読み書き手段により読み取った記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込むと共に,該取り込まれた入金データの金額データ に相当する流量を供給可能とする供給許可手段と,前記流量計測手段により計測された流量値から請求すべき料金を演算する演算手段と,前記流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を前記演算手段により演算させ,当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引く,流体供給装置」である点で一致する。 他方,本件発明1と引用発明1は,本件発明1が「前記金額データから当該入金データの金額を差し引いた金額を新たな金額データとして記憶媒体に書き込ませ」る(1C2)のに対し,引用発明1は「前記記憶媒体読み書き手段により読み 発明1は,本件発明1が「前記金額データから当該入金データの金額を差し引いた金額を新たな金額データとして記憶媒体に書き込ませ」る(1C2)のに対し,引用発明1は「前記記憶媒体読み書き手段により読み取った記憶媒体の金額データが示す金額を入金データとして取り込」むだけで,記憶媒体に新たな金額データを書き込ん でいない点において相違する(相違点1)。また,本件発明1は,流体の給油後に入金データと請求すべき料金との「差額データの金額を前記記憶媒体の金額データに加算し」(1F3),「当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む」(1F4)ものであるのに対し,引用発明1は,プリペイド金額の全額を予納金額として取り込むものであり,流体の給油開始前 にプリペイド金額を書き換えることはせず,流体の給油後に予納金額より給油金額を減算して残金額を演算し,プリペイド金額を書き換えるものである点において相違する(相違点2)。 これに対し,原告は,構成要件1C1,1D,1F2,1F4の有無についても相違点(相違点3)であると主張するが,上記のとおり,引用 発明1において構成要件1C1等を認定できるから,相違点3は存在しな い。 相違点1及び2に係る構成は,平成11年12月7日に出願公開された公開特許公報(乙8,以下「乙8公報」という。),平成13年4月13日に出願公開された公開特許公報(乙9,以下「乙9公報」という。),平成10年10月27日に出願公開された公開特許公報(乙10,以下「乙1 0公報」という。),平成6年6月24日に出願公開された公開特許公報(乙5,以下「乙5公報」という。)に示されるように料金支払方法における設計事項又は周知慣用技術であり,引用発明1に接した当業者が相違点1及び2に係る本件発明1の 24日に出願公開された公開特許公報(乙5,以下「乙5公報」という。)に示されるように料金支払方法における設計事項又は周知慣用技術であり,引用発明1に接した当業者が相違点1及び2に係る本件発明1の構成とすることは容易に想到し得た。 (原告の主張) 本件発明の課題は,①流体の供給開始時点では最終的な料金(流体の流量値に応じた料金)を確定できず,しかも流体の供給に時間がかかるもの,すなわち,流体の供給作業のような「精算の対象となる作業であって時間のかかる作業」に用いられる流体供給装置(1G)について,②当該流体の供給量に応じた料金を精算するために,顧客に携帯させる形式の記憶媒 体(1A,1C1,1C2,1F3及び1F4)という構成を前提に,流体供給装置の利用中に顧客に携帯させる形式の記憶媒体が紛失したり,盗難されたりすることを防止し,流体の供給中に記憶媒体を利用可能とすることである。すなわち,本件発明の課題は,顧客に携帯させる形式の記憶媒体を利用しつつ,その不便性を改善することである。そして,本件発明 1は,上記の構成に加えて,③流体の供給開始前に記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込むこと(1C1),流体の供給開始前に金額データから当該入金データの金額を差し引いた金額を新たな金額データとして書き込ませること(1C2)及び流体の供給後に残った差額データの金額を記憶媒体の金額データに加算し,当該加算後 の金額データを書き込むこと(1F2ないし1F4)という制御を行うこ とにより,上記課題を解決するものである。 乙1公報の記載は,給油開始前に設定器に挿入されたプリペイドカードを給油終了時まで利用者に返却しない(給油中にプリペイドカードを利用者に返却するこ とにより,上記課題を解決するものである。 乙1公報の記載は,給油開始前に設定器に挿入されたプリペイドカードを給油終了時まで利用者に返却しない(給油中にプリペイドカードを利用者に返却することは記載されていない)ため,給油開始前にプリペイドカードの金額データを入金データとして取り込む必要がないから,給油開始 前に「入金データとして取り込む」こと(1C1)を行っていない。 したがって,乙1公報に基づき,「入金データとして取り込む」ことを前提としている構成要件1C1,1D,1F2,1F4’を認定することはできないから,被告が主張する相違点1,2に加え,構成要件1C1,1D,1F2,1F4’の有無についても相違点とされるべきである(相違 点3)。 被告が主張する引用発明1は,乙1公報の従来例(【0004】ないし【0006】)のみに基づいて認定することはできないから,その一部に乙1公報の実施例を含むものである。そうすると,被告が主張する引用発明1は,顧客にプリペイドカードの携帯を不要とさせることを課題とした 構成・制御を一部に含んでいることになり,そのような引用発明1に顧客に携帯させる形式の記憶媒体を用いた乙8公報,乙10公報,乙5公報を組み合わせることには阻害要因が存在する。 乙8公報では,作業開始時に,料金の精算までの全ての決済を行うことが可能となっているため,決済を作業の終了時まで待つ必要がなく,精算 の対象となる作業であって時間のかかる作業を有する流体供給装置の場合に生じる本件発明の課題が生じることはない。 乙1公報は給油所システムに係るものであるのに対し,乙8公報は洗車機で用いられる決済方法に係るものであり,両者は全く異なる装置や用途を対象にした技術であるから,技術分野が異な ことはない。 乙1公報は給油所システムに係るものであるのに対し,乙8公報は洗車機で用いられる決済方法に係るものであり,両者は全く異なる装置や用途を対象にした技術であるから,技術分野が異なる。 乙1公報は,顧客の不注意によるプリペイドカードの紛失を防止するた めに,顧客にプリペイドカードの携帯を不要とさせることを課題とするのに対し,乙8公報は,洗車機で車形を検出して,利用者から適切な洗車料金を徴収することを課題とするから,両者の間には共通の課題が存在しない。 乙1公報及び乙8公報には,本件発明1の課題が開示されていない。ま た,乙1公報には,乙8公報の決済方法を適用することについての示唆も存在しない。被告が主張する動機付けは,本件特許から知識を得たことにより可能となった後知恵又は事後的分析によるものである。 仮に,乙1公報の記載に乙8公報の記載を組み合わせたとしても,乙8公報は作業が全て終了したタイミングで精算を行うものではないから,流 体の供給作業後に行われる本件発明1の構成要件1F3,1F4に相当する構成は開示されていない。したがって,乙1公報に乙8公報を適用しても,作業が全て終了したタイミングで精算する本件発明1の構成に至らない。 乙10公報では,精算の対象となる作業であって時間のかかる作業が存 在しておらず,作業開始と同時に料金の精算までの全ての決済を行うことが可能となっているため,精算の対象となる作業であって時間のかかる作業を有する流体供給装置の場合に生じる本件発明の課題が生じることはない。 乙1公報は給油所システムに係るものであるのに対し,乙10公報は自 動販売機システムで用いられる決済方法に係るものであり,両者は全く異なる装置(用途)を対象 生じることはない。 乙1公報は給油所システムに係るものであるのに対し,乙10公報は自 動販売機システムで用いられる決済方法に係るものであり,両者は全く異なる装置(用途)を対象にした技術であるから,技術分野が異なる。 乙1公報は,顧客の不注意によるプリペイドカードの紛失を防止するために,顧客にプリペイドカードの携帯を不要とさせることを課題とするのに対し,乙10公報は,非接触データキャリアを用いて自動販売機を利用 する際の操作の煩雑さを解消することを課題とするから,両者の間には共 通の課題が存在しない。 乙1公報及び乙10公報には,本件発明1の課題が開示されていない。 また,乙1公報には,乙10公報の決済方法を適用することの示唆が何ら存在しない。被告が主張する動機付けは,本件特許から知識を得たことにより可能となった後知恵又は事後的分析によるものである。 仮に,乙1公報に乙10公報を組み合わせたとしても,被告主張の引用発明1は給油開始前に設定器に挿入されたプリペイドカードを給油終了時まで利用者に返却しないため,給油開始前にプリペイドカードの金額データを入金データとして取り込むことを必要としない。したがって,乙1公報に乙10公報の決済方法を適用しても,本件発明1の構成要件1C1, 1C2,1F3,1F4には至らない。 乙5公報では,精算の対象となる作業であって時間のかかる作業が存在しておらず,作業開始と同時に,料金の精算までの全ての決済を行うことが可能となっているため,精算の対象となる作業であって時間のかかる作業を有する流体供給装置の場合に生じる本件発明の課題が生じることは ない。 乙1公報は給油所システムに係るものであるのに対し,乙5公報は自動販売機シス 作業であって時間のかかる作業を有する流体供給装置の場合に生じる本件発明の課題が生じることは ない。 乙1公報は給油所システムに係るものであるのに対し,乙5公報は自動販売機システムで用いられる決済方法に係るものであり,両者は全く異なる装置や用途を対象にした技術であるから,技術分野が異なる。 乙1公報は,顧客の不注意によるプリペイドカードの紛失を防止するた めに,顧客にプリペイドカードの携帯を不要とさせることを課題とするのに対し,乙5公報は,非接触データキャリアを用いて自動販売機を利用する際の操作の煩雑さを解消することを課題とするから,両者の間には共通の課題が存在しない。 乙1公報及び乙5公報には,本件発明1の課題が開示されていない。ま た,乙1公報には,乙5公報の決済方法を適用することの示唆が何ら存在 しない。被告が主張する動機付けは,本件特許から知識を得たことにより可能となった後知恵又は事後的分析によるものである。 乙9公報は,デビットカードを用いるものであり,それ自体に金額データを記憶するものではない。乙9公報において金額データを記憶しているのはCPU内のRAMであるが,RAMは,注文データ処理システム(C PU)に搭載されるものであり,顧客に携帯させる形式の記憶媒体ではない。仮に,銀行の預貯金口座の残高を金額データに対応させたとしても金融機関のホストコンピュータ内の記憶手段は金融機関のホストコンピュータに搭載されたものであり,顧客に携帯させる形式の記憶媒体ではない。 いずれにしても,乙9公報では,金額データを記憶するために,顧客に携 帯させる形式の記憶媒体を用いていないため,本件発明の課題とは関係がない。 乙1公報は給油所システムに係るものであるのに対 しても,乙9公報では,金額データを記憶するために,顧客に携 帯させる形式の記憶媒体を用いていないため,本件発明の課題とは関係がない。 乙1公報は給油所システムに係るものであるのに対し,乙9公報は飲食店における注文データ処理システムで用いられる決済方法に係るものであり,両者は全く異なる装置や用途を対象にした技術であるから,技術分 野が異なる。 乙1公報は,顧客の不注意によるプリペイドカードの紛失を防止するために,顧客にプリペイドカードの携帯を不要とさせることを課題とするのに対し,乙9公報は,デビットカードで決済を行おうとする客が会計時まで預貯金口座の残高が不足していることに気付かないのを防止すること を課題とするから,両者の間には共通の課題が存在しない。 乙1公報及び乙9公報には,本件発明1の課題が開示されていない。また,乙1公報には,乙9公報の決済方法を適用することの示唆も存在しない。被告の動機付けは,本件特許から知識を得たことにより可能となった後知恵又は事後的分析によるものである。 仮に,乙1公報に乙9公報を組み合わせたとしても,乙9のデビットカ ードは金額データを記憶するものではなく,CPU内のRAMも金融機関のホストコンピュータ内の記憶手段も「顧客に携帯させる形式の記憶媒体」ではないから,乙9公報は「顧客に携帯させる形式の記憶媒体」を開示するものではない。仮に,乙9公報のCPU内のRAMや金融機関のホストコンピュータ内の記憶手段が本件発明1の「記憶媒体」に対応するとして も,乙9公報は,上記RAMやホストコンピュータ内の記憶手段に対して精算処理を行わないのであるから,乙1公報に乙9公報を組み合わせても本件発明1の構成に至らない。また,被告自身が,乙9公報に,本件 も,乙9公報は,上記RAMやホストコンピュータ内の記憶手段に対して精算処理を行わないのであるから,乙1公報に乙9公報を組み合わせても本件発明1の構成に至らない。また,被告自身が,乙9公報に,本件発明1の構成要件1F3,1F4に相当する構成が記載されていないことを自認しているから,乙1公報に乙9公報を組み合わせても本件発明1の構成 要件1F3,1F4に至らない。 本件発明1は,上記③を備えることで課題を解決するものであり,それにより従来技術に比べて有利な効果を奏するものであって,当該効果は進歩性が肯定されるべき極めて顕著なものである。 被告は,本件発明1との相違点に係る構成が,「乙8~10,5に代表さ れる支払方法周知慣用技術」によって,容易に想到し得るなどと主張するが,その内容は不明確である。分野や課題が異なり,具体的な構成要素も異なる発明の中から,特定の共通する構成のみを都合よく取り出して「周知慣用技術」などとして認定することは許されない。 イ引用発明2に基づく進歩性欠如の有無(争点5-2) (被告の主張) 乙2公報には,以下のとおり分説される引用発明2が記載されている。 1A プリペイドカードに記憶された金額データを読み書きするプリペイドカード読み書き手段と,1B ガソリンの給油量を計測する流量計測手段と, 1C1 前記ガソリンの給油開始前に前記プリペイドカード読み書き手 段により読み取ったプリペイドカードの金額データが示す金額を入金データとして取り込むと共に,1D 該取り込まれた入金データの金額データに相当する流量を給油可能とする給油許可手段と,1E 前記流量計測手段により計測された給油量から請求すべき料金を として取り込むと共に,1D 該取り込まれた入金データの金額データに相当する流量を給油可能とする給油許可手段と,1E 前記流量計測手段により計測された給油量から請求すべき料金を 演算する演算手段と,1F1 前記流量計測手段により計測された給油量に相当する金額を前記演算手段により演算させ,1F2 当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引き,1F4’ プリペイドカードの金額データを,当該演算された料金を前記 入金データの金額より差し引いた金額に書き換える1G ガソリン給油装置これに対し,原告は,乙2公報には構成要件1C1が記載されていないと主張するが,乙2公報においてリライトカードの残金と投入金額との合計金額の表示がなされること,残金の読出しを行っていること,給油可能 油量の表示がなされること,投入金額にて給油可能な油量が表示されることは,「入金データとして取り込む」ことに該当するといえるから,原告の主張は誤りである。 本件発明1と引用発明2は,記憶媒体に記憶された金額データを読み書きする記憶媒体読み書き手段と,前記流体の供給量を計測する流量計測手 段と,前記流体の供給開始前に前記記憶媒体読み書き手段により読み取った記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込むと共に,該取り込まれた入金データの金額データに相当する流量を供給可能とする供給許可手段と,前記流量計測手段により計測された流量値から請求すべき料金を演算する演算手段と,前記流量計測手段により計測 された流量値に相当する金額を前記演算手段により演算させ,当該演算さ れた料金を前記入金データの金額より差し引く,流体供給装置である点で一致する。 と,前記流量計測手段により計測 された流量値に相当する金額を前記演算手段により演算させ,当該演算さ れた料金を前記入金データの金額より差し引く,流体供給装置である点で一致する。 他方,本件発明1と引用発明2は,本件発明1が「前記金額データから当該入金データの金額を差し引いた金額を新たな金額データとして記憶媒体に書き込ませ」る(1C2)のに対し,引用発明2は「前記記憶媒体 読み書き手段により読み取った記憶媒体の金額データが示す金額を入金データとして取り込」むだけで,記憶媒体に新たな金額データを書き込んでいない点において相違する(相違点1)。また,本件発明1は,流体の給油後に入金データと請求すべき料金との「差額データの金額を前記記憶媒体の金額データに加算し」(1F3),「当該加算後の金額データを前記記 憶媒体に書き込む」(1F4)ものであるのに対し,引用発明2は,記憶媒体に記憶されているプリペイド金額の全額を予納金額として取り込むものであり,流体の給油開始前にプリペイド金額を書き換えることはせず,流体の給油後に予納金額より給油金額を減算して残金額を演算し,プリペイド金額を書き換えるものである点において相違する(相違点2)。 これに対し,原告は,構成要件1C1等の有無についても相違点であると主張するが,上記のとおり乙2公報から構成要件1C1を認定できるから,原告の主張は誤りである。 相違点1及び2に係る構成は,乙8公報,乙9公報,乙10公報,乙5公報にも示されるように料金支払方法における設計事項であるから,引用 発明2に接した当業者が相違点に係る本件発明1の構成とすることは容易に想到し得た。その他,被告の主張は,引用発明1についての主張と同様である。 (原告の る設計事項であるから,引用 発明2に接した当業者が相違点に係る本件発明1の構成とすることは容易に想到し得た。その他,被告の主張は,引用発明1についての主張と同様である。 (原告の主張)乙2公報は,給油開始前にはリライトカードの残金と投入金額との合計 金額の表示がされるとともに,給油可能油量の表示がなされるが,給油開 始前の事前の「入金データ」の設定は行われない。乙2公報は,給油開始前に挿入された記憶媒体を給油終了時まで利用者に返却しないことを前提とした発明が記載されているので,給油開始前に入金データを取り込んで記憶媒体の精算を行っておく必要がない。 したがって,乙2公報に基づき,「入金データとして取り込む」ことを前 提としている構成要件1C1,1D,1F2,1F4’を認定することはできないから,被告が主張する相違点1,2に加え,構成要件1C1,1D,1F2,1F4’の有無についても相違点とされるべきである(相違点3)。 乙2公報に記載された従来の給油精算装置では,使用済カードを回収す るため給油開始前に挿入された記憶媒体を給油終了時まで利用者に返却しないことが前提とされており,乙2公報は,そのような従来の給油精算装置についての課題を解決することを目的としているから,従来の給油精算装置と同様に,給油開始前に挿入された記憶媒体を給油終了時まで利用者に返却しないことが前提になる。他方,乙8公報,乙10公報,乙5公 報は,いずれも,各作業開始前に記憶媒体を利用者に返却するか,又は記憶媒体を利用者に保持させたままとするものである。したがって,乙2公報に乙8公報,乙10公報,乙5公報を適用することは,乙2公報の目的に反することになるため,それらを組み合わせることには阻害要因が存在する 利用者に保持させたままとするものである。したがって,乙2公報に乙8公報,乙10公報,乙5公報を適用することは,乙2公報の目的に反することになるため,それらを組み合わせることには阻害要因が存在する。 乙8公報の決済方法は,洗車前に料金選択が行われ,当該料金に対応するプリペイドカードの減額処理が行われるものである。他方,乙2公報には,利用者が給油を行う前に,給油金額を選択ないし決定することは一切開示されていないから,組み合わせる前提を欠く。 仮に,乙8公報の洗車工程と乙2公報の給油とを同視し,乙2公報に対 して乙8公報に開示されたプリペイドカードによる料金精算手段を組み 合わせようとした場合には,まず乙2公報に対して,給油前に給油金額を決定することを特徴とする給油装置に関する技術を適用し,更に乙8公報の開示に基づき,給油前に決定された給油金額の具体的な決済方法として乙8公報のプリペイドカードによる事前決済の技術を適用することを要するが,これはいわゆる「容易の容易」になるから進歩性が否定されるこ とはない。また,乙2公報に乙8公報を組み合わせたとしても,乙8公報は作業が全て終了したタイミングで精算を行うものではなく,流体の供給作業後に行われる本件発明1の構成要件1F3,1F4は開示されていないから,本件発明1の構成には至らない。 乙9公報は,本件発明1の構成要件1F3,1F4を開示するものでは ないから,乙2公報に乙9公報の決済方法を適用できたとしても,本件発明1の構成に至らない。 乙10公報では,精算の対象となる作業であって時間のかかる作業が存在しておらず,作業開始と同時に料金の精算までの全ての決済を行うことが可能となっているため,精算の対象となる作業であって時間のかかる作 報では,精算の対象となる作業であって時間のかかる作業が存在しておらず,作業開始と同時に料金の精算までの全ての決済を行うことが可能となっているため,精算の対象となる作業であって時間のかかる作 業を有する流体供給装置の場合に生じる本件発明の課題が生じることはない。 乙10公報の決済方法は,データキャリアの書き換えの前に,購入金額を選択することが必須である。他方,乙2公報では,給油金額の確定は利用者が給油を行って初めて決定されるものであり,給油前に給油料金を選 択することはできないから,両者を組み合わせる前提を欠く。仮に,乙10公報の商品選択工程と乙2公報の給油とを同視し,両者を組み合わせようとすれば,乙2公報に対して給油前に給油金額を決定するという技術を適用した上,さらに乙10公報の決済方法を適用することとなるが,これはいわゆる「容易の容易」であるから,進歩性は否定されない。 乙2公報は,給油開始前に挿入された記憶媒体を給油終了時まで利用者 に返却しないことを前提としたものであり,給油後に決済をする構成しか開示されておらず,給油開始前に金額データを入金データとして取り込むこと(1C1)をしていない。したがって,乙2公報に乙10公報の決済方法を適用しても,給油後の決済方法として乙10公報記載の非接触データキャリアを用いるという構成にしかなり得ず,本件発明1の構成要件1 C1,1C2,1F3,1F4の構成には至らない。 乙5公報についても,上記と同様の理由から,乙5公報の決済方法を乙2公報に組み合わせても本件発明1の構成要件1C1,1C2,1F3,1F4には至らず,また,乙2公報と乙5公報との間では,精算の対象となる作業であって時間のかかる作業が共通事項として存在しないから,組 み合わせ も本件発明1の構成要件1C1,1C2,1F3,1F4には至らず,また,乙2公報と乙5公報との間では,精算の対象となる作業であって時間のかかる作業が共通事項として存在しないから,組 み合わせの動機付けも存在しない。 その他,乙2公報と乙8公報,乙10公報,乙5公報,乙9公報又は「乙8~10,5に代表される支払方法周知慣用技術」は,技術分野が異なること,共通する課題がないこと,被告の主張する動機付けは後知恵又は事後的分析であること,乙2公報には上記各文献等を組み合わせることの示 唆がないこと等,それらを組み合わせる動機付けが存在しない。また,本件発明1には進歩性を肯定すべき顕著な効果がある。さらに,「乙8~10,5に代表される支払方法周知慣用技術」という被告の主張は不明確である。それらの詳細は,無効理由1についての主張と同様である。 ウ引用発明3に基づく進歩性欠如の有無(争点5-3) (被告の主張) 乙3公報には,以下のとおり分節される引用発明3が記載されている。 1A プリペイドカードに記憶された金額データを読み書きするプリペイドカード読み書き手段と,1B ガソリンの給油量を計測する流量計測手段と, 1C1 前記ガソリンの給油開始前に前記プリペイドカード読み書き手 段により読み取ったプリペイドカードの金額データが示す金額を入金データとして取り込むと共に,1D 該取り込まれた入金データの金額データに相当する流量を給油可能とする給油許可手段と,1E 前記流量計測手段により計測された給油量から請求すべき料金を 演算する演算手段と,1F1 前記流量計測手段により計測された給油量に相当する金額を前記演算手段により演算させ,1F2 量計測手段により計測された給油量から請求すべき料金を 演算する演算手段と,1F1 前記流量計測手段により計測された給油量に相当する金額を前記演算手段により演算させ,1F2 当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引き,1F4’ プリペイドカードの金額データを,当該演算された料金を前記 入金データの金額より差し引いた金額に書き換える1G ガソリン給油装置これに対し,原告は,乙3公報は,一回の料金の精算の中で疑似貨幣及び実貨幣を同時に併用できるようにし,かつ,その際に,疑似貨幣の金額が実金額よりも先に使われるようにした発明であるなどと主張するが,原 告の上記主張は乙3公報の一実施例の記載を基にするものであり,引用発明3は,上記のとおり認定されるべきである。 また,原告は,乙3公報には構成要件1C1が記載されていないと主張するが,乙3公報において,プリペイドカード等の金額データは給油量の上限を知るために取り込まれるのであり,これは「入金データとして取り 込む」ことに該当するといえる。原告の主張はいずれも誤りである。 本件発明1と引用発明3についての一致点と相違点に関する主張及び進歩性についての主張は,引用発明2についての主張と同様である。 (原告の主張) 乙3公報は,給油開始前には,疑似貨幣の疑似金額及び実貨幣の実金額 を加算した予納金額の表示がなされ,仮想給油量の演算がなされるが,そ れだけであり,給油開始前の事前の「入金データ」の設定は行われない。 したがって,乙3公報に基づき,「入金データとして取り込む」ことを前提としている構成要件1C1,1D,1F2,1F4’を認定することはできないから,被告が主張する相違点1,2に 定は行われない。 したがって,乙3公報に基づき,「入金データとして取り込む」ことを前提としている構成要件1C1,1D,1F2,1F4’を認定することはできないから,被告が主張する相違点1,2に加え,構成要件1C1,1D,1F2,1F4’の有無についても相違点とされるべきである(相違 点3)。 乙3公報は,給油料金の精算を効率的に行えるようにした給油装置を提供することを目的とし,このために,一回の料金の精算の中で疑似貨幣及び実貨幣を同時に併用できるようにし,その際,疑似貨幣の金額が実金額よりも先に使われるようにした発明である。これに対し,乙8公報,乙1 0公報,乙5公報には,一回の料金の精算の中で疑似貨幣及び実貨幣を同時に併用できることについての記載はない。したがって,乙3公報に乙8公報,乙10公報,乙5公報の決済方法を適用することは,乙3公報の目的に反することになるためそれらを組み合わせることについては阻害要因が存在する。 乙8公報については,無効理由2と同様,乙3公報と乙8公報を組み合わせる前提を欠き,仮に,両者を組み合わせたとしても「容易の容易」になるから進歩性は否定されず,本件発明1の構成に至ることもない。 乙9公報については,無効理由2と同様,乙3公報と乙9公報を組み合わせたとしても,本件発明1の構成に至らない。 乙10公報については,無効理由2と同様,乙3公報と乙10公報を組み合わせる前提を欠き,仮に,両者を組み合わせたとしても「容易の容易」になるから進歩性は否定されず,本件発明1の構成に至ることもない。また,両者の間には「精算の対象となる作業であって時間のかかる作業」が存在しないから組み合わせの動機付けを欠く。 乙5公報については,無効理由2と同様 ,本件発明1の構成に至ることもない。また,両者の間には「精算の対象となる作業であって時間のかかる作業」が存在しないから組み合わせの動機付けを欠く。 乙5公報については,無効理由2と同様,乙3公報と乙5公報を組み合 わせたとしても本件発明1の構成に至らない。また,両者の間には「精算の対象となる作業であって時間のかかる作業」が存在しないから組み合わせの動機付けを欠く。 その他,乙3公報と乙8公報,乙10公報,乙5公報,乙9公報又は「乙8~10,5に代表される支払方法周知慣用技術」は,技術分野が異なる こと,共通する課題がないこと,被告の主張する動機付けは後知恵又は事後的分析であること,乙3公報には上記各文献等を組み合わせることの示唆がないこと等,それらを組み合わせる動機付けが存在しない。また,本件発明1には進歩性を肯定すべき顕著な効果がある。さらに,「乙8~10,5に代表される支払方法周知慣用技術」という被告の主張は不明確で ある。それらの詳細は,無効理由1,2についての主張と同様である。 本件発明2に係る特許が特許無効審判により無効にされるべきものか(争点6)(被告の主張)本件発明2は,本件発明1と構成要件2Aが異なるだけであり,構成要件2 Aの構成は乙8公報,乙9公報,乙10公報,乙5公報に記載されていることなどから,本件発明1と同様の理由(引用発明1ないし3に基づく進歩性欠如。 前記)により,特許無効審判により無効にされるべきものである。 (原告の主張)ア引用発明1に基づく進歩性欠如 本件発明1は,乙1公報及び乙8公報,乙9公報,乙10公報,乙5公報に記載の事項又はこれらに代表される支払方法についての周知慣用技術に基づき当業者が容易に想到し得るものではな く進歩性欠如 本件発明1は,乙1公報及び乙8公報,乙9公報,乙10公報,乙5公報に記載の事項又はこれらに代表される支払方法についての周知慣用技術に基づき当業者が容易に想到し得るものではないので,請求項1の従属項である請求項2(本件発明2)についても,乙1公報及び乙8公報,乙9公報,乙10公報,乙5公報に記載の事項又はこれらに代表される支払方法周知慣 用技術に基づき当業者が容易に想到し得るものではない。 イ引用発明2に基づく進歩性欠如本件発明1は,乙2公報及び乙8公報,乙9公報,乙10公報,乙5公報に記載の事項又はこれらに代表される支払方法周知慣用技術に基づき当業者が容易に想到し得るものではないので,請求項1の従属項である請求項2(本件発明2)についても,乙2公報及び乙8公報,乙9公報,乙10公報, 乙5公報又はこれらに代表される支払方法周知慣用技術に基づき当業者が容易に想到し得るものではない。 本件発明2については,以下の理由からも引用発明2に基づく無効理由が存在しないことが明らかである。すなわち,給油前に給油量の設定を行わない乙2公報に対して事前に選択した購入金額の決済方法である乙10公報, 乙5公報,乙8公報を組み合わせることは不可能であるし,仮に,乙2公報に乙10公報,乙5公報,乙8公報の決済方法を適用しても,給油終了前に入金データを取り込んで記憶媒体の精算を行う構成には至らないから,給油開始前に記憶媒体に記憶された金額データが示す金額よりも少ない金額を入金データとして取り込む構成(2A)には至らない。また,乙5公報は「記 憶された代金すべてが引き去られるもの」であるから,乙2公報に乙5公報を組み合わせても本件発明2の構成要件2Aの構成には至らない。 ウ引用発明3に基 は至らない。また,乙5公報は「記 憶された代金すべてが引き去られるもの」であるから,乙2公報に乙5公報を組み合わせても本件発明2の構成要件2Aの構成には至らない。 ウ引用発明3に基づく進歩性欠如本件発明1は,乙3公報及び乙8公報,乙9公報,乙10公報,乙5公報に記載の事項又はこれらに代表される支払方法周知慣用技術に基づき当業 者が容易に想到し得るものではないので,請求項1の従属項である請求項2(本件発明2)についても,乙3公報及び乙8公報,乙9公報,乙10公報,乙5公報又はこれらに代表される支払方法周知慣用技術に基づき当業者が容易に想到し得るものではない。 本件発明2については,以下の理由からも引用発明3に基づく無効理由が 存在しないことが明らかである。すなわち,乙3公報は,一回の料金の精算 の中で疑似貨幣及び実貨幣を同時に併用することができるようにし,その際,疑似貨幣の金額が実金額よりも先に使われるようにした発明であるところ,乙3公報には疑似貨幣及び実貨幣を同時に併用した場合の「入金データ」の設定処理が記載されていないのであるから,乙3公報は,給油開始前に「入金データとして取り込む」こと(1C1),疑似貨幣の残額「よりも少ない金 額を入金データとして取り込む」こと(2A)を行わないといえ,乙3公報に乙10公報,乙5公報,乙8公報を組み合わせても構成要件2Aには至らない。また,乙3公報について,疑似貨幣及び実貨幣を同時に併用した場合の「入金データ」の設定の際に疑似貨幣の残額よりも少ない金額を入金データとして取り込む(疑似貨幣の残金を一部残すようにして入金データを取り 込む)ことを行うとすれば,その分だけ疑似貨幣の代わりに実貨幣が取り込まれる(実金額が疑似貨幣の金額より先に使われる) ータとして取り込む(疑似貨幣の残金を一部残すようにして入金データを取り 込む)ことを行うとすれば,その分だけ疑似貨幣の代わりに実貨幣が取り込まれる(実金額が疑似貨幣の金額より先に使われる)ことになり,給油終了後の精算で疑似貨幣の金額が実金額よりも先に使われるようにすることができなくなるため,乙10公報,乙5公報,乙8公報の決済方法を組み合わせた場合には乙3公報の目的に反するという阻害要因が存在する。また,乙 5公報は「記憶された代金すべてが引き去られるもの」であるから,乙3公報に乙5公報を組み合わせても構成要件2Aの構成には至らない。 本件発明3に係る特許が特許無効審判により無効にされるべきものか(争点7)(被告の主張) 本件発明3は,本件発明1と構成要件3Aが異なるだけであり,構成要件3Aの構成は乙10公報に記載されていることなどから,本件発明1と同様の理由()により,特許無効審判により無効にされるべきものである。 (原告の主張) ア引用発明1に基づく進歩性欠如 本件発明1及び2は,乙1公報及び乙8公報,乙9公報,乙10公報,乙5公報に記載の事項又はこれらに代表される支払方法についての周知慣用技術に基づき当業者が容易に想到し得るものではないから,請求項1又は2の従属項である請求項3(本件発明3)についても,乙1公報及び乙8公報,乙9公報,乙10公報,乙5公報に記載の事項又はこれらに代表される支払 方法についての周知慣用技術に基づき当業者が容易に想到し得るものではない。 イ引用発明2に基づく進歩性欠如本件発明1及び2が,乙2公報及び乙8公報,乙9公報,乙10公報,乙5公報に記載の事項又はこれらに代表される支払方法周知慣用技術に基づ き当業者が容易に想 イ引用発明2に基づく進歩性欠如本件発明1及び2が,乙2公報及び乙8公報,乙9公報,乙10公報,乙5公報に記載の事項又はこれらに代表される支払方法周知慣用技術に基づ き当業者が容易に想到し得るものではないから,請求項1又は2の従属項である請求項3(本件発明3)についても,乙2公報2及び乙8公報,乙9公報,乙10公報,乙5公報又はこれらに代表される支払方法についての周知慣用技術に基づき当業者が容易に想到し得るものではない。 ウ引用発明2に基づく進歩性欠如 本件発明1及び2が,乙3公報及び乙8公報,乙10公報,乙5公報又はこれらに代表される支払方法についての周知慣用技術に基づき当業者が容易に想到し得るものではないから,請求項1又は2の従属項である請求項3(本件発明3)についても,乙3公報及び乙8公報,乙9公報,乙10公報,乙5公報又はこれらに代表される支払方法についての周知慣用技術に基づ き当業者が容易に想到し得るものではない。 本件発明8に係る特許が特許無効審判により無効にされるべきものか(争点8)(被告の主張)本件発明8は,本件発明1の装置に係るプログラムであることなどから,本 件発明1と同様の理由(引用発明1ないし3に基づく進歩性欠如。前記 いしウ)により,特許無効審判により無効にされるべきものである。 (原告の主張)本件発明8は,プログラムに関する発明であるという点以外は,装置に関する発明である本件発明1と実質的に相違しないので,本件発明1と同様に当業者が容易に想到し得るものではない。 損害の有無及びその額(争点9)ア特許法102条2項及び同条3項の重畳適用に基づく損害額(原告の主張)特許法102条2項の適用の有 業者が容易に想到し得るものではない。 損害の有無及びその額(争点9)ア特許法102条2項及び同条3項の重畳適用に基づく損害額(原告の主張)特許法102条2項の適用の有無原告は,本件共有者から,本件特許権に基づき本件共有者が被告に対し て行使することのできる損害賠償,不当利得返還,遅延損害金,利息等の各請求権を含む一切の金銭上の請求権を譲り受けている。したがって,被告が被告設定器を製造販売したことにより原告が被った損害は,原告及び本件共有者の双方が受けた損害額を合算したものである。 特許法102条2項の請求をする場合,特許発明の実施までは必要とさ れず,侵害者による特許権侵害行為がなかったならば利益が得られたであろうという事情があれば足りる。 本件共有者は,計量機や設定器を含む給油装置の製造販売や,給油装置の製造販売の際以外にも計量機及び設定器を製造販売している。 原告は,コスモ石油グループのサービスステーションに対して,競合品 である設定器を販売している。また,コスモ石油グループのサービスステーションにおいて本件発明の実施品である給油装置を使用することにより,本件発明の実施品を使用した自然油の販売実績が上昇するという関係にある。 したがって,原告は,本件共有者との間の債権譲渡に基づくものであっ ても,原告自身に基づくものであっても,被告に対して特許法102条2 項に基づく損害額を請求できることになり,上記の債権譲渡によって同項の適用を受ける損害賠償請求権の全てを保有することになるから,損害額の全額を請求できる。 損害額の推定① 被告設定器について a 被告設定器の販売台数1万3521台。なお,この設 とになるから,損害額の全額を請求できる。 損害額の推定① 被告設定器について a 被告設定器の販売台数1万3521台。なお,この設置台数は,本件特許の設定登録時から第1審の口頭弁論終結時までの被告の行為によるものである。 b 被告設定器1台当たりの販売価格70万円(消費税抜) c 被告設定器の販売による被告の利益額被告が受けた利益(消費税抜)は,被告設定器の販売価格の60パーセントを下回ることはない。この利益額に,消費税額(8パーセント)を加えたものが,被告が受けた利益(消費税込)となる。 したがって,被告設定器の販売による損害額は,61億3312万 5600円(1万3521台×70万円×60パーセント×1.08)を下らない。 ② 被告プログラムについて被告プログラムの製造販売により被告が受けた対価は●(省略)●である。そこから外注費●(省略)●を控除し,消費税額(8パーセント) を加えた●(省略)●が,被告が受けた利益(消費税込)となる。 これに対し,被告は,開発社内人件費●(省略)●についても控除すべきであると主張するが,人件費は,被告プログラムの製造,販売等をしたか否かにかかわらず,被告が負担すべき費用であるといえるから,被告の利益額を算定するに当たって控除されるべきものであるとはい えない。 弁護士費用 ●(省略)●を下らない。 推定覆滅事由① 被告は,旧EMG系列ガソリンスタンドと原告の営業とは系列が異な ることが推定覆滅事由に当たると主張するが,上記のとおり,被告によ 略)●を下らない。 推定覆滅事由① 被告は,旧EMG系列ガソリンスタンドと原告の営業とは系列が異な ることが推定覆滅事由に当たると主張するが,上記のとおり,被告による本件特許権の侵害行為がなかった場合には,電子マネー媒体対応のサービスステーションの利用を望む利用者は,コスモ石油グループのサービスステーションを利用するという関係にあるから,被告の主張は誤りである。そもそも上記の主張は,原告との関係で推定覆滅を主張するも のであり,本件共有者との関係では推定覆滅事由にはならない。 また,被告は,ガソリンスタンドでは設定器を含む給油システムを導入すると,その後の機器の更新や追加の購入に当たり,通常,別のメーカーの製造した機器を導入することはないと主張するが,そのように一般化できる事情は存在しない。すなわち,サービスステーションと設定 器のメーカーとの間には通常は資本関係がないし,同様に,サービスステーションと石油元売りとの間にも資本関係がないことが多いから,サービスステーションは石油元売りの系列を変更することが可能である。 ② サービスステーション事業者にとって,電子マネーへの対応は大きな経済的利益を生むから,電子マネー媒体対応の給油装置を使用したいと いう強い希望がある。そして,サービスステーション事業者に電子マネー媒体に対応する設定器を販売しようとする者にとっては本件発明の実施が必須となるから,利益に対する本件発明の寄与は大きい。 原告は,特許法102条2項の推定が一部覆滅した場合には,その覆滅部分について同条3項の重畳適用を主張する。実施料率についての主張は 後記イのとおりである。 (被告の主張) 特許法1 項の推定が一部覆滅した場合には,その覆滅部分について同条3項の重畳適用を主張する。実施料率についての主張は 後記イのとおりである。 (被告の主張) 特許法102条2項の適用の有無原告及び本件共有者は,本件発明を実施していないし,被告設定器の競合品も販売していない。 原告は,原告自身が設定器を販売していると主張するが,仮にそうであ るとしても,それはコスモ石油グループ系列のサービスステーションの専用品であり他の顧客に販売される可能性はない。同様に,被告が製造,販売している設定器を納品し,被告プログラムが動作しているガソリンスタンドに対して他社の設定器が販売されることはないし,他社の設定器に被告プログラムが搭載されることもない。このように,原告が販売する設定 器と被告が販売する設定器は市場が異なり,被告が得た利益と原告が受けた損害との間に相当因果関係は存在しない。また,原告の販売する設定器のシェアはわずかであり,競合品が多く販売されているから,被告が得た利益と原告が受けた損害との間に相当因果関係は存在しない。 損害額の推定 被告は,平成18年から設定器を販売しており,被告プログラムの有無にかかわらず価格その他の条件は同じであるから,被告プログラムを保存した設定器の販売によって追加の利益を受けていない。被告が受けた利益は,被告プログラムの開発委託費用だけであり,その利益額は,被告が被告プログラムの開発費用及び譲渡の対価として支払いを受けた●(省略) ●から,外注費●(省略)●と開発に係る社内人件費●(省略)●を控除した●(省略)●となる。 仮に,設定器の価格を基準として特許法102条2項の損害額を算定する場合,設 省略) ●から,外注費●(省略)●と開発に係る社内人件費●(省略)●を控除した●(省略)●となる。 仮に,設定器の価格を基準として特許法102条2項の損害額を算定する場合,設定器のオプション部分(現金出納機やプリペイドカードリーダーなど)は付属品であるから販売価格に含めるべきでなく,設定器の基本 部分に関する価格は●(省略)●である。設定器の基本部分には,非接触 式のクレジットカードによる決済のための部分と,被告プログラムを動作させて電子マネーを使用する部分があるから,後者の価格としては,●(省略)●とすべきである。 被告設定器の売上げに係る限界利益率は27パーセント程度である。原告は,限界利益率を60パーセント程度であると主張するが,その計算に は保守サービスやネットワークサービスなどに関する営業収入や手数料が含まれており,上記主張は誤っている。 推定覆滅事由① ガソリンスタンドにガソリン等を供給する販売会社(元売り)ごとに系列があるところ,そこで使用されるPOS端末(設定器)には元売り の販売施策の機能が盛り込まれていることや,POS端末には元売りによって定められる帳票等の管理資料に関する機能が含まれていることなどの事情によれば,系列が異なる原告と被告との間で市場が競合することはない。また,ガソリンスタンドでは,設定器を含む給油システムを導入した場合には,通常,その後の機器の更新等において別のメーカ ーが製造した機器を導入することはない。 ② 電子マネーを利用した取引は,電子マネーの記憶媒体や,電子マネーの暗号化,プロコトルの策定などの技術によって実現したものである。 発明の価値という観点から見ると,給油所における取引にかかわる寄与としては小さい を利用した取引は,電子マネーの記憶媒体や,電子マネーの暗号化,プロコトルの策定などの技術によって実現したものである。 発明の価値という観点から見ると,給油所における取引にかかわる寄与としては小さい。 ③ 原告の販売する設定器のシェアはわずかであり,競合品が多く販売されているから,被告が得た利益と原告が受けた損害との間に相当因果関係は存在しない。 イ特許法102条3項に基づく損害額(原告の主張) 原告は,特許法102条2項に基づく損害額が同条3項に基づく損害額を 下回るとされる場合に備えて,同項に基づく損害額を予備的に主張する。 特許法102条3項の「特許発明の実施に対し受けるべき金銭の額」を計算する場合の実施料率は10パーセントを下回らない。 (被告の主張)被告設定器のうち電子マネー媒体に対応する部分の価格を●(省略)●, 被告設定器の稼働台数を●(省略)●,実施料率を3.5パーセント,本件発明の寄与率を30パーセントとした上で,本件特許の価値が低いことに鑑みて0.5を乗じることが相当であり,その場合,特許法102条3項に基づく損害額は●(省略)●となる。 差止請求及び廃棄請求の対象となる製品の範囲(争点10) (原告の主張)製品名「POS21」の設定器(別紙物件目録記載1の設定器)には,被告プログラムが搭載されているから,本件発明の技術的範囲に属する被告給油装置の間接侵害品に該当する。したがって,上記の「POS21」は,差止請求及び廃棄請求の対象になる。 (被告の主張)被告は,平成18年頃から「POS21」を製造,販売しているところ,平成27年5月末までは上記「POS21」には被告プログラムが保存されてお 求の対象になる。 (被告の主張)被告は,平成18年頃から「POS21」を製造,販売しているところ,平成27年5月末までは上記「POS21」には被告プログラムが保存されておらず,現金,クレジットカード,プリペイドカード,非接触式クレジットカードによる支払いにのみ対応したものを製造,販売していた。そのような「PO S21」は本件発明とは関係がないから,差止請求及び廃棄請求の対象にはならない。 第3 争点に対する判断 1 本件発明の概要 本件明細書の記載(甲2) ア発明の属する技術分野 「本発明はプリペイドカードを使用して流体の料金を精算するよう構成された流体供給装置及び流体供給方法及び記録媒体及びプログラムに関する。」(【0001】)イ従来の技術「例えば,セルフサービス方式の計量機が設置された給油所の燃料供給シ ステムでは,運転者(顧客)自身が給油作業の設定,給油作業,給油料金の精算(プリペイドカードまたは現金)を行うようになっている。そのため,給油所の給油エリア(「フィールド」とも言う)には,計量機,設定器(カードリーダ及び,現金支払機を有する)などの機器が設置され,給油所の事務所内には,各機器を管理する管理コンピュータが設置されている。」(【00 02】)「セルフサービス方式の計量機で給油する場合の給油料金の決済方法としては,料金先払い方式のプリペイドカードを用いる方法と,現金(紙幣)を投入する方法とがある。」(【0003】)「ここでは,プリペイドカードを用いた決済方法で給油する場合について 説明する。プリペイドカードを所持して給油所に到着した顧客は,空いている計量機の前に車両を停止させ,プリペイドカードをカードリーダライタに挿入 ドカードを用いた決済方法で給油する場合について 説明する。プリペイドカードを所持して給油所に到着した顧客は,空いている計量機の前に車両を停止させ,プリペイドカードをカードリーダライタに挿入した後,油種選択スイッチで給油する油種(レギュラーガソリン,ハイオクガソリン,軽油の何れか)を指定し,当該指定した油種の給油ノズルを車両の給油口に差し込んで給油を開始する。そして,給油が終了すると,給 油量に応じた給油金額がプリペイドカードに記憶された残金データから差し引かれ,残った金額データがプリペイドカードに書き込まれる。そのため,給油終了後は,残金データが更新されて給油金額が差し引かれたプリペイドカードによる給油料金が支払い済みとなる。」(【0004】)ウ発明が解決しようとする課題 「ところが,従来の燃料供給システムでは,プリペイドカードがカードリ ーダライタに挿入されてしまうと,外部からプリペイドカードが見えないため,給油終了後にプリペイドカードを挿入してあるのを忘れてしまい,プリペイドカードを置いたまま給油所から退場してしまうおそれがあった。」(【0005】)「また,プリペイドカードが給油中の計量機に設けられたカードリーダラ イタに挿入されている場合,例えば,飲み物の自動販売機等にプリペイドカードを挿入して飲み物を購入できず,不便であった。」(【0006】)「さらに,プリペイドカードの一部がカード挿入口からはみ出した状態で給油開始されるように構成された方式では,プリペイドカードがカードリーダライタに挿入されていることが分かるので,給油終了後のカード忘れが防 止される反面,給油中にプリペイドカードを引き抜くことができるので,例えば,運転者が窓拭き等のために車両側へ移動していると,プリペイド 入されていることが分かるので,給油終了後のカード忘れが防 止される反面,給油中にプリペイドカードを引き抜くことができるので,例えば,運転者が窓拭き等のために車両側へ移動していると,プリペイドカードが盗難にあう可能性があり,運転者が計量機から離れられないという問題があった。そこで,本発明は上記課題を解決した流体供給装置及び流体供給方法及び記憶媒体及びプログラムを提供することを目的とする。」(【000 7】)エ課題を解決するための手段「上記請求項1記載の発明は,記憶媒体に記憶された金額データを読み書きする記憶媒体読み書き手段と,流体の供給量を計測する流量計測手段と,記流体の供給開始前に記憶媒体読み書き手段により読み取った記憶媒体の 金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込むと共に,金額データから当該入金データの金額を差し引いた金額を新たな金額データとして記憶媒体に書き込ませる入金データ処理手段と,入金データ処理手段により取り込まれた入金データの金額データに相当する流量を供給可能とする供給許可手段と,流量計測手段により計測された流量値から請求すべき料 金を演算する演算手段と,流量計測手段により計測された流量値に相当する 金額を演算手段により演算させ,当該演算された料金を入金データの金額より差し引き,残った差額データの金額を記憶媒体の金額データに加算し,当該加算後の金額データを記憶媒体に書き込む料金精算手段とを備えてなるため,流体供給中に記憶媒体が抜かれても流体の供給量に応じた料金を精算することができる。」(【0009】) 「また,請求項2記載の発明は,入金データ処理手が,流体の供給開始前に記憶媒体に記憶された金額データが示す金額よりも少ない金額を入金データとして取り込むと ことができる。」(【0009】) 「また,請求項2記載の発明は,入金データ処理手が,流体の供給開始前に記憶媒体に記憶された金額データが示す金額よりも少ない金額を入金データとして取り込むと共に,当該記憶媒体の金額データから当該入金データの金額を差し引くことにより,流体供給中に記憶媒体が抜かれても流体の供給量に応じた料金を精算することができる。また,引き抜かれた記憶媒体に 金額データが残っているので,流体の供給中に流体の精算以外の支払いに記憶媒体を使用することができる。」(【0010】)「また,請求項3記載の発明は,流体の供給前に返金指示があったときは,流体の供給前に入金データ処理手段により取り込まれた入金データの金額を記憶媒体の金額データの金額に加算する第1の返金手段と,流体の供給後 に返金指示があったときは,流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を入金データの金額より差し引き,残った差額データの金額を記憶媒体の金額データの金額に加算し,当該加算後の金額データを記憶媒体に書き込む第2の返金手段と,を備えており,給油前に顧客の気が変わった場合でも記憶媒体の金額データから差し引いた金額データを記憶媒体に戻すこと ができ,顧客の返金指示にも対応することができる。」(【0011】)「また,請求項8記載の発明は,入金データとして取り込まれた金額データに相当する流量を供給可能とする流体供給装置で実行されるプログラムであって,コンピュータに,流体の供給開始前に記憶媒体読み書き手段により読み取った記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データと して取り込むと共に,金額データから当該入金データの金額を差し引いた金 額を新たな金額データとして記憶媒体に書き込ませる第1の手順と,第1の手順 が示す金額以下の金額を入金データと して取り込むと共に,金額データから当該入金データの金額を差し引いた金 額を新たな金額データとして記憶媒体に書き込ませる第1の手順と,第1の手順で取り込まれた入金データの金額データに相当する流量を供給可能とする第2の手順と,流量計測手段により計測された流量値から請求すべき料金を演算する第3の手順と,流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を演算させ,当該演算された料金を入金データの金額より差し引き, 残った差額データの金額を記憶媒体の金額データに加算し,当該加算後の金額データを記憶媒体に書き込む第4の手順と,を順次実行させるものであり,流体供給中に記憶媒体が抜かれても流体の供給量に応じた料金を精算することができる。」(【0016】)オ発明の効果 「上述の如く,請求項1記載の発明によれば,記憶媒体に記憶された金額データを読み書きする記憶媒体読み書き手段と,流体の供給量を計測する流量計測手段と,記流体の供給開始前に記憶媒体読み書き手段により読み取った記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込むと共に,金額データから当該入金データの金額を差し引いた金額を新たな 金額データとして記憶媒体に書き込ませる入金データ処理手段と,入金データ処理手段により取り込まれた入金データの金額データに相当する流量を供給可能とする供給許可手段と,流量計測手段により計測された流量値から請求すべき料金を演算する演算手段と,流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を演算手段により演算させ,当該演算された料金を入金デ ータの金額より差し引き,残った差額データの金額を記憶媒体の金額データに加算し,当該加算後の金額データを記憶媒体に書き込む料金精算 する金額を演算手段により演算させ,当該演算された料金を入金デ ータの金額より差し引き,残った差額データの金額を記憶媒体の金額データに加算し,当該加算後の金額データを記憶媒体に書き込む料金精算手段とを備えてなるため,流体供給中に記憶媒体が抜かれても流体の供給量に応じた料金を精算することができる。」(【0073】)「また,請求項2記載の発明によれば,入金データ処理手が,流体の供給 開始前に記憶媒体に記憶された金額データが示す金額よりも少ない金額を 入金データとして取り込むと共に,当該記憶媒体の金額データから当該入金データの金額を差し引くことにより,流体供給中に記憶媒体が抜かれても流体の供給量に応じた料金を精算することができる。また,引き抜かれた記憶媒体に金額データが残っているので,流体の供給中に流体の精算以外の支払いに記憶媒体を使用することができる。」(【0074】) 「また,請求項3記載の発明によれば,流体の供給前に返金指示があったときは,流体の供給前に入金データ処理手段により取り込まれた入金データの金額を記憶媒体の金額データの金額に加算する第1の返金手段と,流体の供給後に返金指示があったときは,流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を入金データの金額より差し引き,残った差額データの金額を 記憶媒体の金額データの金額に加算し,当該加算後の金額データを記憶媒体に書き込む第2の返金手段と,を備えてなるため,給油前に顧客の気が変わった場合でも記憶媒体の金額データから差し引いた金額データを記憶媒体に戻すことができ,顧客の返金指示にも対応することができる。」(【0075】) 「また,請求項8記載の発明によれば,入金データとして取り込まれた金額データに相当する流量を供給可能とす 体に戻すことができ,顧客の返金指示にも対応することができる。」(【0075】) 「また,請求項8記載の発明によれば,入金データとして取り込まれた金額データに相当する流量を供給可能とする流体供給装置で実行されるプログラムであって,コンピュータに,流体の供給開始前に記憶媒体読み書き手段により読み取った記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込むと共に,金額データから当該入金データの金額を差し引 いた金額を新たな金額データとして記憶媒体に書き込ませる第1の手順と,第1の手順で取り込まれた入金データの金額データに相当する流量を供給可能とする第2の手順と,流量計測手段により計測された流量値から請求すべき料金を演算する第3の手順と,流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を演算させ,当該演算された料金を入金データの金額より差し 引き,残った差額データの金額を記憶媒体の金額データに加算し,当該加算 後の金額データを記憶媒体に書き込む第4の手順と,を順次実行させるため,流体供給中に記憶媒体が抜かれても流体の供給量に応じた料金を精算することができる。」(【0080】) 本件発明の課題,解決手段及び効果本件発明は,プリペイドカードを使用して流体の料金を精算するよう構成さ れた流体供給装置及びプログラムに関するものである。 従来,セルフサービス方式の計量機が設置された給油所の燃料供給システムでは,運転者(顧客)自身が給油作業の設定,給油作業,給油料金の精算(プリペイドカードまたは現金)を行っており,顧客が,プリペイドカードを用いた決済方法で給油する場合には,空いている計量機の前に車両を停止させ,プ リペイドカードをカードリーダライタに挿入した後,油種選択スイッチで給油 金)を行っており,顧客が,プリペイドカードを用いた決済方法で給油する場合には,空いている計量機の前に車両を停止させ,プ リペイドカードをカードリーダライタに挿入した後,油種選択スイッチで給油する油種を指定し,当該指定した油種の給油ノズルを車両の給油口に差し込んで給油を開始し,給油が終了すると,給油量に応じた給油金額がプリペイドカードに記憶された残金データから差し引かれ,残った金額データがプリペイドカードに書き込まれ,返却されていた。 しかし,このような方法では,①プリペイドカードがカードリーダライタに挿入されてしまうと,外部からプリペイドカードが見えないため,給油終了後にプリペイドカードを挿入してあるのを忘れてしまい,プリペイドカードを置いたまま給油所から退場してしまうおそれがあり,②プリペイドカードが給油中の計量機に設けられたカードリーダライタに挿入されている場合,その間に 例えば飲み物の自動販売機等にプリペイドカードを挿入して飲み物を購入するなどの他の用途にプリペイドカードを用いることができず不便であり,③プリペイドカードの一部がカード挿入口からはみ出した状態で給油開始されるように構成された方式では,給油終了後のカード忘れが防止される反面,給油中にプリペイドカードを引き抜くことができるため,プリペイドカードが盗難 にあう可能性があり,運転者が計量機から離れられないという課題があった。 本件発明は,プリペイドカードを使用して流体の料金を精算するよう構成された流体供給装置及びプログラムについて,上記の各課題の解決手段として,流体の供給開始前に,記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込み,金額データから当該入金データの金額を差し引いた金額を新たな金額データとして書き込ませ 課題の解決手段として,流体の供給開始前に,記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込み,金額データから当該入金データの金額を差し引いた金額を新たな金額データとして書き込ませること,入金データに相当する流量を供給 可能とすること,流体の供給後に請求すべき金額を確定し,入金データとして取り込んだ額と上記請求すべき金額との差額の金額を記憶媒体の金額データに加算し,当該加算後の金額データを記憶媒体に書き込むことなどの制御を行うという手段等を採用したものである。 本件発明の効果として,本件発明の構成をとることで,流体供給中に記憶媒 体を抜くことができるようになり,流体供給中に記憶媒体が挿入してあるのを忘れてしまったり,はみ出した状態で挿入された状態となったままとなったりすることを避けることができ,また,流体の供給中に流体の精算以外の支払いに記憶媒体を使用することができるようになる。 2 被告給油装置について,後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の各事実 が認められる。 一般に,給油装置は,顧客に給油する給油機,給油量を計測した上で単価に給油量を乗じた金額を表示する計量機,給油すべき量や顧客が支払う方法などを設定する設定器などから構成される。(弁論の全趣旨)被告給油装置は,被告設定器と被告計量機とを含む給油装置である。被告設 定器はディスプレイ及びリーダー等の構成を有する。 被告給油装置を用いて,電子マネー媒体により給油を行い,当該給油に対す 被告プログラムは,被告設定器に保存され,被告給油装置内において実行される。この被告プログラムは,顧客による操作に対応して,被告給油装置に対 し,上記の動作を被告給油装置に行わせるものである。 被告計 保存され,被告給油装置内において実行される。この被告プログラムは,顧客による操作に対応して,被告給油装置に対 し,上記の動作を被告給油装置に行わせるものである。 被告計量機その他の被告が製造,販売している計量機では,通常,給油料金額の最終計算における小数点以下の端数の処理は「切り捨て」に設定されており,その場合には,計量機に表示される給油金額と設定器に表示される購入金額は同一の金額になる。上記の設定を「四捨五入」に変更した場合には,計量機に表示される給油金額と設定器に表示される購入金額が一致しないことが ある。(乙6,7)被告が旧EMG系列ガソリンスタンドに対して製造,販売している被告給油装置及び被告プログラムにおいては,返金処理をする場合に,その返金金額が,支払金額(電子マネー媒体から引き去った金額)から購入金額(被告計量機に支払額として表示された額)を減算した金額と同額にならないものは存在して いない。 被告給油装置が設置されているガソリンスタンドに配布されている被告給油装置についてのマニュアルには,以下の記載がある。(乙11)ア電子マネーの前払い式支払手段は,基本的に現金での払戻し(換金)が認められていない。 イ前払い式電子マネーの取扱いの場合,顧客は電子マネーで支払った金額分の「給油ができる権利」を購入することになり,支払金額以下の数量で給油を終了した場合には,給油できなかった分の返金として相当金額を電子マネーで顧客に返金する。具体的には,前払い式電子マネーで5000円を入金した場合には,顧客とSSとの間で5000円分の給油ができる権利につい ての売買が成立し,その後の給油の際に3000円分で満タンになった場合には,残りの2000円分の油を顧客からSSが を入金した場合には,顧客とSSとの間で5000円分の給油ができる権利につい ての売買が成立し,その後の給油の際に3000円分で満タンになった場合には,残りの2000円分の油を顧客からSSが買い上げる形で返金処理をすることになる。 旧EMG系列ガソリンスタンドでは,石油元売りであるEMGマーケティングに申請をすることによって,平成27年10月1日から,電子マネー媒体(S uica,Pasmoなどの交通系電子マネーカード,モバイルSuica(S uicaカードと同様の機能を携帯電話に搭載したもの),株式会社セブン・カードサービスが提供するnanacoカード,楽天Edy株式会社が運営する楽天Edyカード等)を用いた料金の精算等が可能になった。(甲5) 被告設定器において電子マネー媒体による決済を可能にするためには,被告設定器に被告プログラムを保存し,被告設定器が設置されているガソリンスタ ンドにおいてアクティベートという作業を行う必要がある。上記のアクティベートは,概要,①給油装置の設定器の操作画面に電子マネー決済についての表示がされるようにし,②電子マネーの設定に関するファイルをダウンロードして,給油制御のプログラムや電子マネー金額計算にかかわるプログラムを書き換え,電子マネー媒体を使用して支払いを行うためのプログラムを動作可能な 状態にし,③非接触クレジットカード用のカードリーダを電子マネー媒体にも使用可能な状態にし,④設定器ごとにIDを割り当てて,カード情報や決済情報等を管理・通信するセンターに当該IDを登録するなどの通信設定を行うことを内容とする作業である。 3 被告給油装置が本件発明1ないし3の技術的範囲に属するか(争点1) 文言侵害の有無についてア構成要 ーに当該IDを登録するなどの通信設定を行うことを内容とする作業である。 3 被告給油装置が本件発明1ないし3の技術的範囲に属するか(争点1) 文言侵害の有無についてア構成要件1E,1F1ないし4,3Bについて構成要件1Eは,「前記流量計測手段により計測された流量値から請求すべき料金を演算する演算手段と,」であり,1F1は,「前記流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を前記演算手段により演算させ,」と いうものであって,流体供給装置において,流量計測手段に基づき流量値に相当する金額を演算する手段を定めている。 ここで,構成要件1F(1F1ないし4)は,「前記流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を前記演算手段により演算させ,当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引き,残った差額データの金額を 前記記憶媒体の金額データに加算し,当該加算後の金額データを前記記憶媒 体に書き込む料金精算手段と」というものであり,構成要件1Eの演算手段によって演算された料金を用いて,これを入金データの金額から差し引くなどして料金の精算を行う手段である。 被告は,被告給油装置は,構成要件1Fの構成を有していないと主張するため,以下において,構成要件1E及び1F1ないし4と,構成要件1F1 ないし4に対応した構成である構成要件3Bについて,まとめて検討することとする。 構成要件1E,1F1ないし1F4① 構成要件1F2は,「当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引き」というものであり,構成要件1F3は「残った差額データ の金額を前記記憶媒体の金額データに加算し」というものである。これらの文言によれば,これらの構成要件は,入金データの金額(支払額) し引き」というものであり,構成要件1F3は「残った差額データ の金額を前記記憶媒体の金額データに加算し」というものである。これらの文言によれば,これらの構成要件は,入金データの金額(支払額)から,流量値から算定される請求すべき料金の額を減ずることを定めていると解するのが自然である。 原告は,上記の「差し引き」の解釈について,特定の減算式を用いる ことを意味せず,例えば,数Xと数Yが与えられた場合には,「X-Y」と同じ答えになるように行われる任意の計算方法が含まれると主張する。 しかし,構成要件1F2の「当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引き」という文言は,「入金データの金額」から「演算され た料金」を差し引くことを明確に特定しているといえるもので,それらがいずれも一義的に意味が明らかな特定の数値といえるものであることなどに照らせば,1F2の「差し引き」とは,上記のような特定の数値(金額)を前提とする特定の減算式を意味していると解すべきであるから,原告の上記主張は採用できない。 ② 原告は,被告給油装置において,(a)被告設定器は計量機から購入金 額についての通知を受けて上記計算を行っている,又は,(b)被告設定器は,計量機から給油量についての通知を受け,その給油量に油の単価を乗じることで購入金額を求め,その購入金額と被告設定器に存在している支払金額のデータを用いて独自に上記計算を行っているとして,被告給油装置が構成要件1F2,1F3を充足すると主張する。 これに対し,被告は,原告の上記主張を否認し,被告給油装置は,被告設定器において給油可能量(選択された給油量)から実際の給油量を差し引き,給油されなかった量(残給油量)を求め,これに油の単価を乗じて返金金額を計 告は,原告の上記主張を否認し,被告給油装置は,被告設定器において給油可能量(選択された給油量)から実際の給油量を差し引き,給油されなかった量(残給油量)を求め,これに油の単価を乗じて返金金額を計算していると主張する。 被告給油装置においては,計量機のディスプレイ上で給油量の表示が 給油量に応じて変化し,その時点の給油量に応じた支払額が表示されて支払額が返金額の計算に使用されることを否認し,また,原告の上記(a),(b)の主張を裏付ける証拠はない。 他方,被告給油装置について,計量機の設定を変えることによって, 計量機に表示される給油金額と設定器に表示される購入金額が一致し給油装置において被告が主張する計算方法がされていることを裏付けるものであると主張する。現に,計量機に表示される給油金額と設定器に表示される購入金額が一致しない場合があり,このような事態が発生 することについての被告の主張に不合理な点がないことなどを考慮すれば,被告が主張するように,被告給油装置は,返金金額の計算の際に計量機に示される数値は使用しておらず,被告設定器において給油可能量(選択された給油量)から実際の給油量を差し引いて給油されなかった量(残給油量)を求め,これに単価を乗じて返金金額を計算している ことを推認することができる。そうすると,被告給油装置においては, 給油後の返金額は,被告が主張する方法(返金額=油の単価×(選択された給油量-実際の給油量))で計算されているのであり,被告給油装置は,上記計算を行うための演算手段を有し,また,その演算手段によって計算された返金額を電子マネー媒体に加算することによって料金の精算を行う料金精算手段を備えていると認められる。 したがって,被告給油装置において,給油後の精算を し,また,その演算手段によって計算された返金額を電子マネー媒体に加算することによって料金の精算を行う料金精算手段を備えていると認められる。 したがって,被告給油装置において,給油後の精算を行うための演算手段,料金精算手段は,「(1e)前記給油量計測手段により計測された給油流量を入金データの金額データに相当する油量から差し引き,残った油量に相当する金額から加算すべき料金を演算する演算手段と,(1f1)前記残った油量に相当する金額を前記演算手段により演算させ, (1f2)当該演算された金額を前記電子マネー媒体の金額データに加算し,(1f3)当該加算後の金額データを前記電子マネー媒体に書き込む料金精算手段」というものであるといえる。 被告給油装置の上記構成は,本件発明1の1E,1F1ないし4において異なるといえるから,被告給油装置は,本件発明1の1E,1F1 ないし4を文言上充足しない。 構成要件3B構成要件3Bは,「前記流体の供給後に返金指示があったときは,前記流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を前記入金データの金額より差し引き,残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額デー タの金額に加算し,当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む第2の返金手段と」である。これは,流体の供給後に返金を行う場合の返金手段の構成であり,本件発明1の構成要件1F2ないし1F4と同様の過被告給油装置は,構成要件1F2ないし1F4を充足する演算手段,料金 精算手段を有しないことに照らせば,構成要件3Bも充足しない。 イ構成要件2Bについて構成要件2Bは,「を特徴とする請求項1記載の流体供給装置」というものであり,本件発明1を引用するところ,被告給油装置は,本件発明1 3Bも充足しない。 イ構成要件2Bについて構成要件2Bは,「を特徴とする請求項1記載の流体供給装置」というものであり,本件発明1を引用するところ,被告給油装置は,本件発明1の1E,1F1ないし4を充足しないから,構成要件2Bを充足しない。 ウ構成要件3Cについて 構成要件3Cは,「を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の液体供給装置」というものであり,本件発明1,2を引用するところ,被告給油装置は,上記のとおり本件発明1及び2の構成要件を充足しないから,構成要件3Cを充足しない。 エ以上によれば,被告給油装置は,構成要件1E,1F1ないし1F4,2 B,3B,3Cを充足しない。 均等侵害の有無ア原告は,被告給油装置について,仮に文言侵害が認められず,特許請求の範囲に記載された構成と被告給油装置に異なる部分があるとしても,均等侵害が認められると主張する。 特許請求の範囲の記載の文言を充足せず,特許請求の範囲に記載された構成中に,相手方が製造等をする製品又は用いる方法(以下「対象製品等」という。)と異なる部分が存する場合であっても,①同部分が特許発明の本質的部分ではなく,②同部分を対象製品等におけるものと置き換えても,特許発明の目的を達することができ,同一の作用効果を奏するものであって,③ 上記のように置き換えることに,当該発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(当業者)が,対象製品等の製造等の時点において容易に想到することができたものであり,④対象製品等が,特許発明の特許出願時における公知技術と同一又は当業者がこれから当該出願時に容易に推考できたものではなく,かつ,⑤対象製品等が特許発明の特許出願手続において ができたものであり,④対象製品等が,特許発明の特許出願時における公知技術と同一又は当業者がこれから当該出願時に容易に推考できたものではなく,かつ,⑤対象製品等が特許発明の特許出願手続において 特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情も ないときは,同対象製品等は,特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとして,特許発明の技術的範囲に属するものと解される(以下,上記①ないし⑤の要件を,それぞれ「第1要件」ないし「第5要件」という。)。 イ被告給油装置は,本件発明1の構成要件1A,1B,1C,1D,1G,,本件発明1ないし3は,給油後の精算に あたって,「供給開始前の入金額-実際の流量値に相当する金額」という計算を行い,そのための演算手段及び料金精算手段である1E,1F1ないし4を備えるものであるのに対し,被告給油装置は,その精算に当たって,「油の単価×(選択された給油量-実際の給油量)」の計算を行い,そのための演算手段とその演算手段により演算された金額を用いた料金精算手段を有し, 「(1e)前記流量計測手段により計測された流量値を入金データの金額データに相当する流量値から差し引き,残った流量値に相当する金額から加算すべき料金を演算する演算手段と,(1f1)前記残った流量値に相当する金額を前記演算手段により演算させ,(1f2)当該演算された金額を前記記憶媒体の金額データに加算し,(1f3)当該加算後の金額データを前記 記憶媒体に書き込む料金精算手段」という構成を備えるものであるから,被告給油装置は,構成要件1E,1F1ないし4を充足しない。 そこで,以下,被告給油装置の上記演算手段,料金精算手段が,本件発明1の演算手段,料金精算手段を有する発明と均等なものといえるか,検討す 告給油装置は,構成要件1E,1F1ないし4を充足しない。 そこで,以下,被告給油装置の上記演算手段,料金精算手段が,本件発明1の演算手段,料金精算手段を有する発明と均等なものといえるか,検討する。 ウ第1要件特許法が保護しようとする発明の実質的価値に照らして,特許発明における本質的部分とは,当該特許発明の特許請求の範囲の記載のうち,従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分であると解される。そして,上記本質的部分は,原則として,特許請求の範囲及び明細書の記載に 基づいて,特許発明の課題及び解決手段とその効果を把握した上で,特許発 明の特許請求の範囲の記載のうち,従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分が何であるかを確定することによって認定される。 本件発明1の課題,解決手段及び効果に照らすと,本件発明1の特許請求の範囲の記載のうち,従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分は,給油所の燃料供給等の流体供給装置において,顧客自身が給油 等の流体の供給作業や給油料金の精算という一連の時間のかかる作業を行う場合に,顧客がその作業を行っている間,プリペイドカード等の記憶媒体を機械に挿入したままにせずに顧客に返却することができるようにすることにより,当該記憶媒体の置き忘れや盗難を防止し,また,その作業が終わるまでの間に顧客が他の用途に当該記憶媒体を使用することを可能にする ことができるよう,給油等の流体の供給開始前に記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込んで,金額データから入金データを差し引いた金額を新たな金額データとして記憶媒体に書き込ませ,入金データに相当する給油等が行えるようにした上で,実際の給油量等の供給量を計測し 入金データとして取り込んで,金額データから入金データを差し引いた金額を新たな金額データとして記憶媒体に書き込ませ,入金データに相当する給油等が行えるようにした上で,実際の給油量等の供給量を計測し,給油等の流体の供給の終了後に,実際に供給した給油量等に基づ いて,給油前に差し引いた金額との精算を行い,その差額のデータを記憶媒体の金額データに加算して書き込む手段を有する点にあると認められる。 被告給油装置では,選択された給油量と実際の給油量との差に基づき給油後に記憶媒体に加算を行っているが,これは,内容的には,給油後に,給油前に差し引いた金額との精算をしているということができるものであり(被 告給油装置のマニュアルにも「返金」,「返金処理」をすることが記載されて告給油装置は,上記の特徴的部分を備えているといえる。本件発明1は,流体の供給後の精算に当たり,供給前の入金データの額から,流量値に相当する金額を差し引き,それらの差額データの金額を金額データに加算している のに対し,被告給油装置においては,選択された給油量と実際の給油量の差 を計測し,それに油の単価を乗じて返金額を求めていて,それぞれの発明においてそれらを行うための演算手段,料金精算手段を有しているが,これらは,流体の供給の終了後の精算に当たり,当初に入金した額と実際に供給された油に相当する額との差額をどのように計算するかについての違いであり,前記に照らして,本件発明1の従来技術に見られない特有の技術的思想 を構成する特徴的部分であるということはできない。 したがって,被告給油装置は,第1要件を充足すると認められる。 エ第2要件本件発明1の作用効果は,本件発明の課題,解決手段及び効果に照らせば,給油終了後にカードを挿入してあるのを忘れ したがって,被告給油装置は,第1要件を充足すると認められる。 エ第2要件本件発明1の作用効果は,本件発明の課題,解決手段及び効果に照らせば,給油終了後にカードを挿入してあるのを忘れ,プリペイドカードを置いたま ま給油所から退場してしまうおそれを防ぎ,カードが盗難にあうおそれを防ぎ,運転者が計量機から離れられないという問題を解決することができ,かつ,給油中に給油装置内にカードが存在しなくても給油終了後に給油量に応じた料金を精算することができるというものである。被告給油装置の構成によっても,それらと同一の作用効果を奏することが認められる。 したがって,被告給油装置は,第2要件を充足すると認められる。 オ第3要件油等の流体の金額について,通常,「金額」と「流体(油)の量」の間には「金額=流体(油)の単価×流体(油)の量」という関係があることは当業者には自明である。本件発明1は,入金データの金額を流量値に相当する金 額から差し引くものであるところ,入金データの金額は,通常,「流体の単価×選択された流体の量」となり,流量値に相当する金額は,「流体の単価×実際に供給された流体の量」である。そうすると,本件発明1では,供給後に記憶媒体に加算される金額は,「流体の単価×選択された流体の量-流体の単価×実際に供給された流体量」で求められているといえる(なお,顧客が 選択するのが流体の量ではなく入金する額であった場合,入金データの金額 は「流体の単価×入金額に応じて選択される流体の量」と等しいともいえるが,流体の単価と流体の量を乗じることには変わりがない。以下,入金データの金額について「流体の単価×選択された流体の量」として検討する。)。 他方,被告給油装置では,「選択された給油量-実際の えるが,流体の単価と流体の量を乗じることには変わりがない。以下,入金データの金額について「流体の単価×選択された流体の量」として検討する。)。 他方,被告給油装置では,「選択された給油量-実際の給油量」を計算した上で返金額を定めていて,返金額を定めるには上記の量に油の単価を乗じて いるといえるから,「油の単価×(選択された給油量-実際の給油量)」」により計算しているといえる。 本件発明1と被告給油装置の精算に当たっての計算式は異なるが,各計算式を単純に変換すれば同じ式となる。このような関係の計算方法について,本件発明1の計算式を被告給油装置の計算式に置き換えることが当業者に とり容易とはいえない事情は認められず,また,本件発明1の上記計算方法に基づく演算手段,料金精算手段を,被告給油装置の計算方法に基づく演算手段,料金精算手段に置き換えることが技術的に当業者にとって容易とはいえない事情も認められない。そうすると,当業者は,被告設定器の製造,販売時点で,演算手段,料金精算手段について,構成要件1E,1F1ないし 4の構成から1e,1f1ないし3の構成に置き換えることを容易に想到できたといえる。 したがって,被告給油装置は,第3要件を充足すると認められる。 カ第4要件,第5要件被告は,第4要件について,給油後の精算に当たっての本件発明1の計算 式から被告給油装置の計算式を容易に推考することができたのであれば,被告給油装置について容易に想到することができたと主張する。しかし,被告給油装置の製造,販売時点において本件発明1における精算方法に関する演算手段,料金精算手段から容易に被告給油装置等における演算手段,料金精算手段を推考することができたとしても,その他の構成を含む被告給油装置 の構成が,本 て本件発明1における精算方法に関する演算手段,料金精算手段から容易に被告給油装置等における演算手段,料金精算手段を推考することができたとしても,その他の構成を含む被告給油装置 の構成が,本件発明1の特許出願時における公知技術と同一又は当業者がこ れから当該出願時に容易に推考できたものであると認められるものではない。また,第5要件についての主張,立証はない。 キ小括以上によれば,被告給油装置は,本件発明1と均等であり,その技術的範囲に属するものと認められる。 技術的範囲に属するものであるから構成要件2Bも充足する。したがって,被告給油装置は,本件発明2の技術的範囲に属する。 Bは給油等の流体の供給後に返金を行う場合の返金手段の構成であり,本件発 明1の構成要件1F2ないし1F4と同様の過程の演算,料金精算を行って返金を行う返金手段であるから,上記に照らして,被告給油装置の返金手段は,構成要件3Bを充足する。また被告給油装置は,本件発明1及び2の技術的範囲に属するから構成要件3Cを充足する,そうすると,被告給油装置は,本件発明3の技術的範囲に属する。 4 被告プログラムが本件発明8の技術的範囲に属するか(争点2)被告プログラムが,本件発明8の構成要件8A,8B,8C,8Fを充足することは当事者間に争いがない。 本件発明8は,プログラムに関する発明であり,本件発明1における入金データ処理手段(構成要件1C1,1C2),演算手段(1E),料金精算手段(構成 要件1F1ないし4)においてされるのと同じ入金データ処理,演算,料金精算動作を実行させるためのプログラムである。 被告給油装置は,演算手段,料金精算手段として,「(1e)前記流量計測手段により計測され 1ないし4)においてされるのと同じ入金データ処理,演算,料金精算動作を実行させるためのプログラムである。 被告給油装置は,演算手段,料金精算手段として,「(1e)前記流量計測手段により計測された流量値を入金データの金額データに相当する流量値から差し引き,残った流量値に相当する金額から加算すべき料金を演 算する演算手段と,(1f1)前記残った流量値に相当する金額を前記演算手段 により演算させ,(1f2)当該演算された金額を前記記憶媒体の金額データに加算し,(1f3)当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む料金精算手段」を有する。被告プログラムは被告給油装置における上記演算,料金精算を実行させるプログラムであるから,被告プログラムは,「(8d)油量計測手段により計測された油量を入金データの金額データに相当する油量から差し引き,残 った油量に相当する金額から加算すべき料金を演算する第3の手順と,(8e1)前記残った油量に相当する金額を演算させ,(8e2)当該演算された金額を前記電子マネー媒体の金額データに加算し,(8e3)当該加算後の金額データを前記電子マネー媒体に書き込む第4の手段」という構成を有する(したがって,と併せ,被告プログラムは,別紙プログラム目録記載の構成を有す る。)。 以上によれば,被告プログラムは,構成要件8D,8E1ないし4を文言上充足しない。しかし,構成要件8D,8E1ないし4は,本件発明1における演算手段(1E),料金精算手段(構成要件1F1ないし4)においてされるのと同じ演算,料金精算動作を実行させるためのプログラムである。そして,被告プログ ラムの8d,8e1ないし4の構成は,被告給油装置の1e,1f1ないし3の演算,料金精算を行わせるものである。構成要件1E,1F1 算動作を実行させるためのプログラムである。そして,被告プログ ラムの8d,8e1ないし4の構成は,被告給油装置の1e,1f1ないし3の演算,料金精算を行わせるものである。構成要件1E,1F1ないし4が被告給油装置の構成1e,1f1ないし3と均等であるといえること(前記)と同様の理由により,被告プログラムの8d,8e1ないし4の構成は,本件発明8の構成要件8D,8E1ないし4の構成と均等であると認められる。 そうすると,被告プログラムは,本件発明8の技術的範囲に属するものと認められる。 5 被告給油装置についての間接侵害(特許権侵害行為)の有無(争点3)直接侵害を生じさせる蓋然性の高い行為を侵害行為とみなすことで特許権の効力の実行性を確保するという間接侵害の規定の趣旨に照らせば,均等侵害 の場合においても,特許法101条の規定を適用し得ると解される。 らの技術的範囲に属する。そして,被告設定器は給油装置を構成するための装置であって,それ以外の用途はなく,それが構成された装置が被告給油装置となるのであり,被告設定器に,被告給油装置を構成するための装置として用いる以外の経済的,商業的又は実用的な使用形態があることを認めるに足りる証 拠はない。 したがって,被告設定器は,被告給油装置の生産にのみ用いる物に該当するといえるから,被告設定器を製造,販売する行為は,特許法101条1号により侵害とみなされる。 被告は,被告が製造,販売する設定器は,現金,プリペイドカード,クレジ ットカードでの支払いを行うためのものとして,従前から使用されてきたものであり,これらの用途は当該物件の経済的,商業的又は実用的な使用形態であるから,「その物の生産にのみ用いる物」には該当しないと主張する。しかしなが を行うためのものとして,従前から使用されてきたものであり,これらの用途は当該物件の経済的,商業的又は実用的な使用形態であるから,「その物の生産にのみ用いる物」には該当しないと主張する。しかしながら,被告が製造,販売した設定器のうち,被告プログラムが保存されて電子マネー媒体に対応することが可能な状態の設定器が被告設定器であり,このよ うな被告設定器は,被告プログラムが保存された一つの製品として販売されている。被告設定器を購入した顧客において,被告プログラムをあえてアンインストールするなどして電子マネー媒体を使用できない状態にすることが被告設定器の経済的,商業的又は実用的な使用形態であるとは認められないから,被告設定器については,その製造,販売が特許法101条1号により侵害とみ なされない旨の被告の主張は採用できない。 被告は,被告設定器は,そこに被告プログラムを保存させたものにすぎず,ガソリンスタンドにおいて被告プログラムがアクティベートされない限り,電子マネー機能を使用することはできないから「その物の生産にのみ用いる物」には該当しないと主張する。しかし,被告設定器には,本件発明8の技術的範 を考慮すると,本件発明1との関係において,アクティベートは設定器を利用する際に顧客ないしガソリンスタンドが行う簡易な設定作業であると評価することが相当なものである。被告設定器は,「その物の生産にのみ用いる物」に該当すると認められる。なお,被告設定器のうち●(省略)●は被告プログラムがアクティベートされている(弁論の全趣旨)。 原告は,設定器の販売時に被告プログラムが保存されていなくとも,その後被告プログラムが保存されていれば,その設定器の販売は間接侵害に該当する旨主張する。 しかし,被告プログラムが 。 原告は,設定器の販売時に被告プログラムが保存されていなくとも,その後被告プログラムが保存されていれば,その設定器の販売は間接侵害に該当する旨主張する。 しかし,被告プログラムが保存されていない設定器が使用されている給油装置について,これが本件発明1ないし3の各構成要件を充足することを認める に足りる証拠はなく,その給油装置が本件発明1ないし3の技術的範囲に属するものとはいえない(均等侵害を含む。)。したがって,被告プログラムが保存されていない設定器を製造,販売する行為が特許法101条1号により侵害とみなされることはない。 なお,設定器が販売された後にその設定器に被告プログラムを保存するとい う行為は設定器の販売行為とは独立した行為である。被告は,ガソリンスタンドに対し,平成27年5月まで,被告プログラムが保存されていない設定器を販売し,同年6月以降,被告プログラムが保存された設定器である被告設定器を販売し,同年7月から9月にEMGマーケティングに対して被告プログラムを販売し,その後,旧EMG系列ガソリンスタンドの設定器に被告プログラム が保存された(後記ィングにおいて電子マネー媒体に対応するという方針があったとしても,同年7月以降の被告プログラムの第三者への販売及びそれに基づく被告プログラムの設定器への保存と,被告プログラムが保存されていない設定器の販売が,特許権侵害の観点から一体の行為であるとは認められない。 以上によれば,被告プログラムが保存されている設定器である被告設定器を 製造,販売する行為については,本件特許権1ないし3について,特許法101条1号により侵害とみなされる。 6 被告に過失が認められるか(争点4)被告が,被告プログラムを製造,販売した行為は,本件 製造,販売する行為については,本件特許権1ないし3について,特許法101条1号により侵害とみなされる。 6 被告に過失が認められるか(争点4)被告が,被告プログラムを製造,販売した行為は,本件特許権8についての直接侵害であり,当該侵害行為について過失が推定される(特許法103条)。ま た,被告が,被告設定器を製造,販売した行為は,上記5で検討したとおり本件特許権1ないし3について特許法101条1号により侵害とみなされるところ,直接侵害を生じさせる蓋然性の高い行為を侵害行為とみなすことで特許権の効力の実行性を確保するという同号の規定の趣旨に照らせば,特許法101条1号による侵害とみなされる行為についても特許法103条が適用されると解され, 上記製造,販売行為について過失が推定される。 被告は,設定器に被告プログラムが保存されていたとしても,それを使用することができる状態にするのはガソリンスタントの経営者であることを理由に被告に過失がない旨主張する。しかし,アクティベートは設定器を利用する際にガソリンスタンド に照らせば,被告の主張する事実は上記推定を覆すものではない。なお,被告の主張中には,被告プログラムが保存されていない設定器の販売についての過失がが侵害とみなされることはない。 以上によれば,被告が被告設定器及び被告プログラムを製造,販売した行為に ついて,被告の過失が認められる。 7 本件発明1に係る特許が特許無効審判により無効にされるべきものか(争点5) 争点5-1(引用発明1に基づく進歩性欠如の有無)についてア乙1公報は,発明の名称を「給油所システム」とする公開特許公報であり,その特許請求の範囲及び明細書の発明の詳細な説明には,以下の記載がある。 (乙1) 特許請求 についてア乙1公報は,発明の名称を「給油所システム」とする公開特許公報であり,その特許請求の範囲及び明細書の発明の詳細な説明には,以下の記載がある。 (乙1) 特許請求の範囲(請求項1)「識別情報が記憶されて給油対象車両に搭載された記憶媒体から無線通信により前記識別情報を受信する給油所内に設置される受信手段と,前記識別情報に対応した予納給油料金額を記憶する精算手段と,前記給油対象車両への給油終了時に当該給油料金を前記受信手段により受信した識別 番号に対応する前記予納給油料金額から差し引いた新たな予納給油料金額を算出し,当該新たな予納給油料金額を前記精算手段に記憶させる演算手段とを有することを特徴とする給油所システム。」発明の詳細な説明① 発明の属する技術分野 「本発明は,ガソリンスタンドに設置される給油所システムに関わり,料金の決済をプリペイド方式とした給油所システムに関する。」(【0001】)② 従来の技術「近年,セルフサービスの給油所が開設され,給油所に来所する顧客 自身が給油や料金精算等を行っている。」(【0002】)「これらセルフサービス給油所においては,給油終了後に顧客が精算所に行き,終了した計量機の番号を伝えることで料金精算を行うポストペイ方式や,給油前に所定の料金を支払っておき,給油終了後に残金を返却してもらうといったプリペイド方式等の多様な精算方法が実施さ れている。」 (【0003】)「なかでも,磁気カードやICカード等で構成される所定金額分のプリペイドカードにより精算を行うことのできるプリペイドカード方式が,給油所の再来所率を高める上で注目されている。」(【0004】)「このプリペイドカード方式は,まず,計量機の 所定金額分のプリペイドカードにより精算を行うことのできるプリペイドカード方式が,給油所の再来所率を高める上で注目されている。」(【0004】)「このプリペイドカード方式は,まず,計量機の前に車両を停止させ た顧客が所望の給油作業内容を設定しておくための設定器にプリペイ ドカードを挿入して給油作業内容を設定した後に,計量機により車両への油液の給油を行う。」(【0005】)「当該計量機による車両への給油が終了すると,顧客は設定器により発行された給油料金伝票と残金の残ったプリペイドカードを受け取ることで給油作業を終了させる。」(【0006】) ③ 発明が解決しようとする課題「しかしながら,磁気カードやICカードを用いた料金の決済方式ではカードリーダにプリペイドカードを読み込ませる等の作業量が多いことや,顧客がカードを紛失した際には,顧客にとってはプリペイド金額を失ってしまう,また,給油所にとっては新たなプリペイドカードを 再発行するコストが増大するといった問題がある。」(【0007】)「また,プリペイドカードを利用した料金の決済方式では使用済みのプリペイドカードは廃却され,顧客は新規にプリペイドカードを購入する必要があり,このプリペイドカードの発行も給油所側にコストがかかる問題がある。」(【0008】) 「さらに,給油終了後のプリペイドカードの取り忘れ等の顧客の不注意により,プリペイドカードが他人の手に渡った場合にはそのプリペイドカードが容易に使用されてしまう問題がある。」(【0009】)「本発明の目的は,給油所側のプリペイドカード発行に伴うコストの増大を防止すると共にプリペイドカードを紛失した場合の損害の発生 を防止することにある。」(【0010】) (【0009】)「本発明の目的は,給油所側のプリペイドカード発行に伴うコストの増大を防止すると共にプリペイドカードを紛失した場合の損害の発生 を防止することにある。」(【0010】)④ 実施例「給油所1においては,複数の計量機2,2,2・・・が設置されており,各計量機2には制御回路3が収納されている。」(【0016】)「各制御回路3は,各計量機2の給油を許可するための給油管理装置 4に接続されており,この給油管理装置4は給油所の事務所に設置され て給油所所員により操作されるようになっている。」(【0017】)「上記給油管理装置4と各制御回路3とは,給油管理装置4と同様に給油所の事務所に設置される販売管理装置5と接続されており,この販売管理装置5は後述する車両識別番号(識別情報)と該車両識別番号に対応するプリペイ金額情報とが格納された顧客情報データベース6を 有している。」(【0018】)「また,計量機2には,制御回路3のほかに,給油終了後に給油料金伝票を発行するためのプリンタ15と,給油料金を予納するために投入された紙幣の金額を読取り,計量機側送受信回路13を介して当該金額情報を販売管理装置5に送信するための紙幣リーダ16と,給油作業内 容を給油前に予め設定するとともに前記紙幣リーダ16で給油料金を予納するための設定を行う設定器17と,販売管理装置5から送信される当該給油所における各種サービス内容を提示するガイダンス装置18とが設けられている。」(【0024】)「また,S15で給油可能である場合には,S17に進み,顧客情報 データベース6から読み出したプリペイド金額によって,S14で設定された給油内容の作業が可能か否か,すなわちプリペイド金額が不足し た,S15で給油可能である場合には,S17に進み,顧客情報 データベース6から読み出したプリペイド金額によって,S14で設定された給油内容の作業が可能か否か,すなわちプリペイド金額が不足していないか否かを判定する。」(【0038】)「S24において給油が完了した場合には,給油制御回路11から給油管理装置4に給油油種,給油量が給油終了信号として出力される。こ の給油終了信号を受け取った給油管理装置4から販売管理装置5に計量機2による給油終了が給油油種,給油量のデータとともに出力されて販売管理装置5が給油終了を認識する。」(【0045】)「S26で車両識別番号が一致している場合には,S28で販売管理装置5は給油終了信号から給油料金の演算を行うとともにその計量機 2を使用した車両識別番号のプリペイド金額から精算処理を実施する と同時に更新された情報,例えば,プリペイド金額,前回給油日,前回給油量等を顧客情報データベース6に書き込む。」(【0049】)「S28の精算処理では販売管理装置4が,今回の給油実績である給油油種,給油量,プリペイド残金より今回の給油料金を差し引いたプリペイド残金を計算し,顧客情報データベース6を更新する。」(【005 0】)イこれらの記載によれば,乙1公報には,従来技術として,セルフサービス給油所において,顧客が,設定器にプリペイドカードを挿入して給油作業内容を設定し,その後,給油を行い,給油終了後に残金の残ったプリペイドカードを受け取る技術が記載されている。そして,乙1公報における請求項及 び実施例に記載された発明は,ガソリンスタンドにおける料金の決済をプリペイド方式とした給油所システムに関するものであり,上記の従来技術では顧客の不注意によるプリペ ,乙1公報における請求項及 び実施例に記載された発明は,ガソリンスタンドにおける料金の決済をプリペイド方式とした給油所システムに関するものであり,上記の従来技術では顧客の不注意によるプリペイドカードの紛失等の問題があるとの課題を解決するため顧客によるプリペイドカードの携帯を不要とするものであり,給油所の事務所に設置されている販売管理装置に含まれる顧客情報データベ ースに顧客のプリペイド金額を記憶し,給油の際に顧客情報データベースからプリペイド金額を読み出し,プリペイド金額によって設定された給油内容の作業が可能か否かを判定し,給油が可能な場合には,給油の完了後にプリペイド残金から給油料金を差し引いた金額を計算して,顧客情報データベースを更新するという精算処理をする手段を有するものといえる。 ウ被告は,乙1公報には「プリペイドカードに記憶された金額データを読み書きするプリペイドカード読み書き手段とガソリンの給油量を計測する流量計測手段と,前記ガソリンの給油開始前に前記プリペイドカード読み書き手段により読み取ったプリペイドカードの金額データが示す金額を入金データとして取り込むと共に,該取り込まれた入金データの金額データに相当 する流量を給油可能とする給油許可手段と,前記流量計測手段により計測さ れた給油量から請求すべき料金を演算する演算手段と,前記流量計測手段により計測された給油量に相当する金額を前記演算手段により演算させ,当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引き,プリペイドカードの金額データを,当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引いた金額に書き換えるガソリン給油装置」の発明が記載されていると主張する。 被告は,乙1公報の従来例(【0002】ないし【0006 ータを,当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引いた金額に書き換えるガソリン給油装置」の発明が記載されていると主張する。 被告は,乙1公報の従来例(【0002】ないし【0006】)の記載から上記の内容の発明を認定できると主張する。しかし,乙1公報の従来技術についての上記箇所には,セルフサービス給油所において,顧客が設定器にプリペイドカードを挿入して給油作業内容を設定し,給油終了後における残金の残ったプリペイドカードを受け取る技術が記載されているが,原告が上記 で主張する具体的な給油許可手段に関する構成や,「当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引き,プリペイドカードの金額データを,当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引いた金額に書き換える」構成についての記載はないのであり,上記箇所に,原告主張の内容の発明が記載されているとか記載されているに等しいとはいえない。 なお,乙1公報の実施例(【0019】,【0027】,【0035】,【0036】,【0038】,【0045】,【0049】,【0050】)に給油許可手段等が記載されているとしても,乙1公報の従来例がプリペイドカードを使用することを前提とするものであるのに対し,実施例はプリペイドカードを使用しないことを前提とするものである。そのような関係にある発明について, 乙1公報にそれらを組み合わせた原告主張の内容の発明についての記載があるということはできない。 乙1公報から原告主張の上記の内容の発明を認定することはできない。上記の内容の発明を前提とした被告の主張は,理由がない。なお,原告が主張する箇所(乙1公報の【0002】ないし【0006】)に記載されている技 術は上記のとおりであり,本件発明1とは大きく異なり,同技術 の発明を前提とした被告の主張は,理由がない。なお,原告が主張する箇所(乙1公報の【0002】ないし【0006】)に記載されている技 術は上記のとおりであり,本件発明1とは大きく異なり,同技術から本件発 明1を当業者が容易に想到できたことの主張,立証はない。 争点5-2(引用発明2に基づく進歩性欠如の有無)についてア乙2公報は,発明の名称を「給油入金精算装置」とする公開特許公報であり,その特許請求の範囲及び明細書の発明の詳細な説明には,以下の記載がある。(乙2) 特許請求の範囲「少なくとも残金データ等の給油可能な有価価値情報が記録されるとともに該有価価値情報を書き換え記録可能とされた記憶媒体が挿入可能とされ,前記有価価値情報の読み出し並びに書き換えを行うリーダライタと,貨幣を投入する貨幣投入口と,該貨幣投入口に連設されて投入される貨幣 の識別および計数を行う貨幣識別計数部と,投入された貨幣の合計金額を算出する算出部と,前記貨幣投入口に貨幣を投入することで該投入金額に相当する有価価値が前記記憶媒体に記録されている有価価値情報に追加される追加入金処理,並びに給油された給油量に相当する金額等の有価価値を前記有価価値情報から減額して新たな残存有価価値情報を算出し,該 新たな残存有価価値情報を前記記憶媒体に更新,記録して利用者に返却する精算処理とを行う制御部と,を具備する給油入金精算装置において,前記制御部は,前記新たな残存有価価値情報が「0」である場合においても挿入されている記憶媒体の返却を行う制御を実施することを特徴とする給油入金精算装置。」(【請求項1】) 発明の詳細な説明① 従来の技術及び発明が解決しようとする課題「近年,ガソリン ている記憶媒体の返却を行う制御を実施することを特徴とする給油入金精算装置。」(【請求項1】) 発明の詳細な説明① 従来の技術及び発明が解決しようとする課題「近年,ガソリンスタンド等の給油施設においては,その省力化およびセルフ給油への移行に伴い,正確でしかも迅速な精算を行うために,プリペイドカードやリライトカード等の残金データ等の有価価値情報 が記憶された磁気カード等の記憶媒体を用い,該記憶媒体に記録されて いる前記有価価値情報を用いて給油した料金の精算処理を行う給油精算装置が使用されるようになってきている。」(【0002】)「これら従来の給油精算装置においては,予め定められた給油可能金額が記録されたプリペイドカード等を用いるものが多く使用されているが,これらプリペイドカードでは,残金がなくなった場合には該カー ドが使用不能になるとともに,これら使用済カードに不正な情報を記録して再度使用可能とする不正を防止する目的から,これら使用済となったカードを返却せずに回収することがなされている。」(【0003】)「これら前記プリペイドカードを用いた精算方法は,迅速かつ正確な精算が実施できる反面,前記記録媒体であるプリペイドカードが使いき りであるために,該プリペイドカードの発行コストが高いものとなってしまうことから,これら発行コストが普及における大きな問題点となっていた。」(【0004】)「このため,これら記録媒体の発行コストを低減させる手法として,前記記録媒体の残金に追加入金を実施することで残金を再度増加させ ることを可能とすることで,同一の記録媒体を長く使用できるようにした追加入金可能な給油精算装置である給油入金精算装置が多く検討されるようになってきているが,これ給油入金精 残金を再度増加させ ることを可能とすることで,同一の記録媒体を長く使用できるようにした追加入金可能な給油精算装置である給油入金精算装置が多く検討されるようになってきているが,これ給油入金精算装置では,現金が少なくなっている場合には同一の記録媒体への入金が可能であるが,従来のように残金が「0」となった場合に記録媒体であるカードを回収してし まうと,これらカードを再度発行する必要があり,前記のような記録媒体の発行コスト低減効果を十分に得ることが出来なくなるばかりか,これら再発行に手間がかかってしまうという問題があった。」(【0005】)② 課題を解決するための手段「前記した課題を解決するために,本発明の給油入金精算装置は,少 なくとも残金データ等の給油可能な有価価値情報が記録されるととも に該有価価値情報を書き換え記録可能とされた記憶媒体が挿入可能とされ,前記有価価値情報の読み出し並びに書き換えを行うリーダライタと,貨幣を投入する貨幣投入口と,該貨幣投入口に連設されて投入される貨幣の識別および計数を行う貨幣識別計数部と,投入された貨幣の合計金額を算出する算出部と,前記貨幣投入口に貨幣を投入することで該 投入金額に相当する有価価値が前記記憶媒体に記録されている有価価値情報に追加される追加入金処理,並びに給油された給油量に相当する金額等の有価価値を前記有価価値情報から減額して新たな残存有価価値情報を算出し,該新たな残存有価価値情報を前記記憶媒体に更新,記録して利用者に返却する精算処理とを行う制御部と,を具備する給油入 金精算装置において,前記制御部は,前記新たな残存有価価値情報が「0」である場合においても挿入されている記憶媒体の返却を行う制御を実施することを特徴としている。この特徴によれば,前 る給油入 金精算装置において,前記制御部は,前記新たな残存有価価値情報が「0」である場合においても挿入されている記憶媒体の返却を行う制御を実施することを特徴としている。この特徴によれば,前記記録媒体に記録される残金デ-タ等である新たな残存有価価値情報が「0」である場合においても,該記録媒体が回収されることなく利用者に返却されること から,これら記録媒体に記録された残存有価価値情報が「0」である記録媒体にも再度追加入金が可能となることから,記録媒体の再発行の手間を大幅に省くことが可能となるとともに,該記録媒体の発行コスト低減効果を十分に得ることもできる。」(【0007】)③ 発明の実施の形態 「本実施例の給油装置1は,図1に示されるような外観を有し,ほぼ一般的な給油装置と同様の外観とされており,主に給油ポンプ7a,7b,7cおよび計量器8a,8b,8cと複数の給油ノズル4a,4b,4c等を備える本体部2と,前記計量器8a,8b,8cにより計量された各油種の油量を表示する計量表示部8と本発明の給油入金精算装 置3とからなる操作部より構成されている。」(【0013】) 「この本実施例の給油入金精算装置3は,図2に示すように,その前面の開閉可能とされた前面パネル9に,貨幣である紙幣を投入可能とされた紙幣投入口11と,残存有価価値情報である残金データが書き換え可能に記憶された記憶媒体としてのリライトカード50を発行または挿入可能とされたカード発行挿入口10と,前記カード発行挿入口10 より投入された紙幣の合計金額(総金額または税引き金額)を逐次表示する金額表示部13と,油種選択スイッチ12a~12d(但し,本実施例では12dのプレミアムは未使用)にて選択された油種の1リッター当りの 入された紙幣の合計金額(総金額または税引き金額)を逐次表示する金額表示部13と,油種選択スイッチ12a~12d(但し,本実施例では12dのプレミアムは未使用)にて選択された油種の1リッター当りの単価が表示される単価表示部14と,前記金額表示部13において表示される金額(リライトカ-ド挿入時に現金を投入した場合には, リライトカ-ドの残金と投入金額との合計金額)に基づき,前記選択した油種において給油可能な油量が表示される給油可能油量表示部15と,前記金額表示部13の表示内容を通常表示と税引き金額とで切り換えを行う表示切換スイッチ12eと,該表示切換スイッチ12eに基づき現在金額表示部13に表示されている内容が通常表示であるか税引 き金額のかを示すインジケ-タ46a,46bと,給油開始時に利用者により操作され,前記選択された油種ノズルのロック解除がなされるとともに,投入された紙幣の残金額への入金が確定されてそれ以降の紙幣投入を受け付けがなされなくなる決定スイッチ12fと,が設けられている。」(【0017】) 「この際,自動車の残油量等に応じて,所望の油量のみ給油を行いたい場合には,前記油種選択スイッチ12a~12cより所望の油種を選択することにより,該選択された油種の1リットル当りの単価が単価表示部14に表示されるとともに,前記投入金額にて給油可能な油量(消費税を含んで給油可能な油量)が給油可能油量表示部15に表示される ようになるため,前記給油可能油量表示部15の表示が所望の油量以上 となるように現金を投入すれば良い。」(【0026】)「前記金額表示部13に表示された残金では,利用者が所望する量の給油を実施できない場合には,利用者は前記紙幣投入口11より所望の金額,例えば1000円紙幣を3 を投入すれば良い。」(【0026】)「前記金額表示部13に表示された残金では,利用者が所望する量の給油を実施できない場合には,利用者は前記紙幣投入口11より所望の金額,例えば1000円紙幣を3枚,3000円を挿入することで,該挿入された紙幣の金種が前記紙幣識別ユニット27に識別されてMP U45に出力され,前記金額表示部13の残金に該投入金額が加算された合計金額が,逐次表示されて前記カードの残金に金額を追加することが可能とされている。」(【0038】)「前記決定スイッチ12fの操作に続く給油処理は,前記現金の投入による処理と同一とされ,例えば利用者が残金である4000円全ての 金額を給油に使用した場合には,前記金額表示部13の表示は「0」となるが,図6(b)に示すように,これら利用により付与された新たな付与価値であるポイントがリライトカード50に記録されて返却されるようになっており,給油による利用額が前記残金よりも少なく,新たな残金が存在する場合には,該新たな残金が利用後残高としてライトカ ード50に記録されて返却される。」(【0042】)「また,前記実施例では,記憶媒体としてリライトカード50を用いているが,本発明はこれに限定されるものではなく,これら記憶媒体を,例えばICカード等のように電気的にデータを記憶,書き換え可能とされものとしても良く(判決注・原文ママ),該記憶データを書き換え可能 なものであれば,これらの記憶媒体は特に限定されるものではない。」(【0046】)イこれらの記載に照らせば,乙2公報の請求項及び実施例に記載された発明は,給油入金精算装置において,従来の技術では,プリペイドカードの残金がなくなった場合には該カードが使用不能になることや再度使用可能とす る不正 ば,乙2公報の請求項及び実施例に記載された発明は,給油入金精算装置において,従来の技術では,プリペイドカードの残金がなくなった場合には該カードが使用不能になることや再度使用可能とす る不正を防止する目的から,これら使用済となったカードを返却せずに回収 することを行ってきたのに対し,記憶媒体の再発行の手間や発行コストの上昇という課題を解決するために,プリペイドの残金が「0」である場合においても挿入されている記憶媒体の返却を行うようにしたものであるといえる。そして,乙2公報には,「リライトカードに記憶された金額データを読み書きするリライトカード読み書き手段と,ガソリンの給油量を計測する流量 計測手段と,前記ガソリンの給油開始前に前記リライトカード読み書き手段によりリライトカードの金額データを読み取る金額データ読み取り手段と,読み取られた金額データに相当する流量を給油可能とする給油許可手段と,前記流量計測手段により計測された給油量から請求すべき料金を演算する演算手段と,前記流量計測手段により計測された給油量に相当する金額を前 記演算手段により演算させ,当該演算された料金を前記金額データの金額より差し引き,リライトカードの金額データを,当該演算された料金を前記金額データの金額より差し引いた金額に書き換える料金精算手段と,を備えたガソリン給油装置」の発明である引用発明2が記載されている。 本件発明1と引用発明2は,「記憶媒体に記憶された金額データを読み書 きする記憶媒体読み書き手段と,前記流体の供給量を計測する流量計測手段と,前記流体の供給開始前に前記記憶媒体読み書き手段により記憶媒体の金額データを読み取る金額データ読み取り手段と,所定の金額データに相当する流量を供給可能とする供給許可手段と,前記流量計測手段 手段と,前記流体の供給開始前に前記記憶媒体読み書き手段により記憶媒体の金額データを読み取る金額データ読み取り手段と,所定の金額データに相当する流量を供給可能とする供給許可手段と,前記流量計測手段により計測された流量値から請求すべき料金を演算する演算手段と,前記流量計測手段によ り計測された流量値に相当する金額を前記演算手段により演算させ,料金精算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む料金精算手段と,を備えた流体供給装置」である点で一致し,以下の点で相違する。 (相違点1)本件発明1は,「前記流体の供給開始前に前記記憶媒体読み書き手段によ り読み取った記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データと して取り込み」(構成要件1C1),「前記金額データから当該入金データの金額を差し引いた金額を新たな金額データとして前記記憶媒体に書き込ませる入金データ処理手段」(構成要件1C2)を有し,供給許可手段が供給可能とする流量が,「該入金データ処理手段により取り込まれた入金データの金額データに相当する流量」(構成要件1D)であるのに対し,引用発明2は そのような構成を有しない点。 (相違点2)本件発明1の料金精算手段は「当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引き」(構成要件1F2),「残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データに加算し」(構成要件1F3),「当該加算後の金額データ を前記記憶媒体に書き込む」(構成要件1F4)ものであるのに対し,引用発明2はそのような構成を有しない点。 ウ被告は,上記の相違点1,2に係る構成について,引用発明2に,乙8公報に記載された技術,乙9公報に記載された技術,乙10公報に記載された技術,乙5公報に記載された技術又は「乙8~10,5に代 ウ被告は,上記の相違点1,2に係る構成について,引用発明2に,乙8公報に記載された技術,乙9公報に記載された技術,乙10公報に記載された技術,乙5公報に記載された技術又は「乙8~10,5に代表される支払方 法周知慣用技術」を組み合わせることにより当業者が容易に想到し得るものであるなどと主張する。 エ乙8公報,乙9公報,乙10公報,乙5公報には,それぞれ以下の記載がある。 乙8公報の記載 【請求項2】「門型状に形成された洗車機本体と自動車とが相対移動して洗車を行う洗車機であって,同一内容の洗車コースの洗車料金が自動車の車種により区分され,該当する洗車コースの該当する車種の洗車料金を前払いして洗車を行う洗車機において,洗車にともない,洗車を行う自動車の車形を 検出する車形検出手段と,前記車形検出手段により検出された車形に基づ いて,洗車を行う自動車の車種を判別する車種判別手段と,前記車種判別手段により判別された車種が,前払いされた洗車料金と異なる洗車料金の車種であるとき,該当する洗車コースの内容と異なる内容の洗車を行う手段を備えたことを特徴とする洗車機。」【請求項6】 「請求項2に記載の洗車機において,洗車を行う自動車の車種が,前払いされた洗車料金より安い洗車料金となる車種である場合,差額分の洗車料金を返却する手段を備えたことを特徴とする洗車機。」「本発明は,門型に形成された洗車機本体内に,自動車に対して洗車作業を施す洗車処理装置を備え,洗車機本体と自動車とを相対移動させて洗 車を行う洗車機に関する。」(【0001】)「ところで,このような洗車機では,例えば利用者が,乗用車に比べて高い洗車料金が設定されているワゴン 機本体と自動車とを相対移動させて洗 車を行う洗車機に関する。」(【0001】)「ところで,このような洗車機では,例えば利用者が,乗用車に比べて高い洗車料金が設定されているワゴン車の洗車を行うとき,乗用車の洗車料金しか支払わずに,乗用車の洗車コースを選択して洗車を行うなど,適正な料金を支払わずに洗車を行うという問題がある。洗車機は,安全で洗 い残しの少ない洗車を行うために,洗車を行う自動車の車形を検出しながら,自動車の車形に適した洗車を行うので,このように洗車を行う自動車と異なった車種の洗車コースを選択したとしても,洗車が行われてしまう。 また,近年のように自動車の形状が多様になってくると,利用者には,洗車を行う自動車がどの車種に該当するのか判断しづらく,洗車機が判断す る車種と違った車種を指定してしまう場合もある。」(【0004】)「このような問題を解決するには,洗車が終了した時点で,洗車機が判断した自動車の車種に合った洗車料金を徴収するようにすればよいが,その場合,利用者が洗車料金を支払わずに帰ってしまい,洗車料金が徴収できないといった問題が生じる。また,洗車料金をプリペイドカードで支払 う場合,洗車の受付時にカードが投入されてから,洗車コースを選択でき るようにするのが一般的であるが,洗車終了後に洗車料金を減額してカードを返却した場合,利用者が,洗車前にカードを投入したことを忘れてしまい,減額されたカードを取り忘れて帰ってしまうといった問題が生じる。」(【0005】)「また,本発明は,門型状に形成された洗車機本体と自動車とが相対移 動して洗車を行う洗車機であって,同一内容の洗車コースの洗車料金が自動車の車種により区分され,該当する洗車コースの該当する車種 「また,本発明は,門型状に形成された洗車機本体と自動車とが相対移 動して洗車を行う洗車機であって,同一内容の洗車コースの洗車料金が自動車の車種により区分され,該当する洗車コースの該当する車種の洗車料金を前払いして洗車を行う洗車機において,洗車にともない,洗車を行う自動車の車形を検出する車形検出手段と,前記車形検出手段により検出された車形に基づいて,洗車を行う自動車の車種を判別する車種判別手段と, 前記車種判別手段により判別された車種が,前払いされた洗車料金と異なる洗車料金の車種であるとき,該当する洗車コースの内容と異なる内容の洗車を行う手段を備える。」(【0007】)「また,本発明は,この洗車機において,洗車を行う自動車の車種が,前払いされた洗車料金より安い洗車料金となる車種である場合,差額分の 洗車料金を返却する手段を備える。」(【0011】)「また,洗車料金を前払いしたときに選択した車種が,洗車機が車形を検出して判断した車種に必要な洗車料金よりも高い料金であるとき,差額分の洗車料金を利用者に返却したり,利用者が選択した洗車コースよりも高い料金が必要な洗車コースの内容で洗車を行うなどして,洗車機の利用 者に損失が生じないようにすることができる。」(【0018】)「なお,前記の実施例では,洗車料金を現金で支払う場合について説明したが,洗車料金をプリペイドカードで支払う場合でも,同様の処理が行える。まず,洗車の受付時に,プリペイドカードを投入し,洗車コース等を選択した後,スタートキーを押たとき(判決注・原文ママ),洗車料金分 を減額してプリペイドカードを返却して,洗車を開始する。洗車中に料金 不足になった時には,洗車を一時中断し,プリペイドカードが投入されるのを待ち き(判決注・原文ママ),洗車料金分 を減額してプリペイドカードを返却して,洗車を開始する。洗車中に料金 不足になった時には,洗車を一時中断し,プリペイドカードが投入されるのを待ち,プリペイドカードが投入されたら,不足分を減額して返却し,洗車を再開する。また,料金を取りすぎて差額分を返却するときは,洗車を一時中断し,プリペイドカードが投入されるのを待ち,プリペイドカードが投入されたら,差額分を増額して返却し,洗車を再開する。」(【007 1】)「以上のように本発明によれば,洗車を行う自動車の車種により洗車料金を区分するとき,実際の車種に適した本来の洗車料金よりも安い料金で洗車しようとしても,洗車を中断して差額分の料金を徴収たり(判決注・原文ママ),乾燥工程を省略するなどように不完全な洗車を行ったり,利 用者が選択した洗車コースよりも安い料金で洗車が行える洗車コースの内容で洗車を行うなどして,洗車機の運用者に損失が生じないようにすることができる。また,実際の車種に適した本来の洗車料金よりも高い料金を前払いしたとき,差額分の洗車料金を利用者に返却したり,利用者が選択した洗車コースよりも高い料金が必要な洗車コースの内容で洗車を行 うなどして,洗車機の利用者に損失が生じないようにすることができる。 このように,洗車を行う自動車の車種により洗車料金を区分するとき,利用者が洗車料金を前払いしたとき選択した車種と,洗車中に洗車機が車形を検出して判断した車種が異なった場合でも,適切な洗車を行うことができる。」(【0073】) 乙9公報の記載「入力部に,デビットカードのカードリーダを設ける。入力部は,デビットカードで決済を行う客の注文時にその客が注文した商品の代金以上の金額 0073】) 乙9公報の記載「入力部に,デビットカードのカードリーダを設ける。入力部は,デビットカードで決済を行う客の注文時にその客が注文した商品の代金以上の金額を預貯金口座からの引落とし金額として決定する。カードリーダにてデビットカードのデータが入力されると,このデビットカードの預貯金 口座がある金融機関に引落とし額の引落としを要求する。記憶管理部は, 金融機関から引落とし成立の応答を受信するとその引き落とされた金額を預かり金額として客別に累積記憶する。決済処理部は,デビットカードで決済を行う客のとき,記憶管理部で記憶している当該客の預かり金額と当該客が注文した全商品の代金とを比較し,預かり金額が全注文商品の代金以上のときその差額を返金額として出力する。」(【解決手段】) 「本願請求項1記載の発明は,客が注文した商品に関するデータを入力する入力部,この入力部から入力されるデータに基づいて客別に商品注文データを記憶管理する記憶管理部,及び,会計を行う客の識別情報入力に応じて記憶管理部から当該客の商品注文データを読出しその商品注文データに基づいて当該客が注文した商品の代金を決済する決済処理部を備 え,代金の決済方法として,カード利用時に預貯金口座から代金を引き落として指定口座に振り替えさせるデビットカードを使用可能な注文データ処理システムにおいて,以下の手段を講じたものである。すなわち,入力部に,デビットカードのカードデータを入力するカード入力手段と,デビットカードで決済を行う客の注文時にその客が注文した商品の代金以 上の金額を預貯金口座からの引落とし金額として決定する引落とし額決定手段と,カード入力手段によりデビットカードのカードデータが入力されるとこの を行う客の注文時にその客が注文した商品の代金以 上の金額を預貯金口座からの引落とし金額として決定する引落とし額決定手段と,カード入力手段によりデビットカードのカードデータが入力されるとこのデビットカードの預貯金口座がある金融機関に引落とし額決定手段により決定された金額の引落としを要求する引落とし要求手段とを設ける。また,記憶管理部に,入力部の引落とし要求手段により引落と しが要求された金融機関から引落とし成立の応答を受信するとその引き落とされた金額を預かり金額として客別に累積記憶する預かり金額記憶手段を設ける。さらに,決済処理部に,会計を行う客がデビットカードで決済を行う客であるとき,記憶管理部の預かり金額記憶手段により記憶している当該客の預かり金額と当該客が注文した全商品の代金とを比較す る比較手段と,この比較手段により当該客の預かり金額が全注文商品の代 金以上であるときその差額を返金額として出力する返金額出力手段とを設けたものである。」(【0008】)「このような手段を講じたことにより,デビットカードで決済を行う客が注文する商品のデータを入力部から入力する際には,この入力部のカード入力手段により上記デビットカードのカードデータも併せて入力する。 そうすると,客が注文する商品の代金以上の金額が引落とし金額として自動的に決定され,この引落とし金額の引落としが当該デビットカードの預貯金口座がある金融機関に要求される。これにより,金融機関では,デビットカードの認証とともに引落とし金額が預貯金口座の残高範囲内であるか否かがチェックされる。そして,カードが認証されるとともに引落と し金額が残高範囲内であることが確認されると,その預貯金口座から引落とし金額分が引き落とされ,指定口座に振り替 高範囲内であるか否かがチェックされる。そして,カードが認証されるとともに引落と し金額が残高範囲内であることが確認されると,その預貯金口座から引落とし金額分が引き落とされ,指定口座に振り替えられる。また,金融機関から引落とし成立の応答が送信され,記憶管理部において,その引落とし金額が預かり金額として客別に累積記憶される。その後,この客の会計時には,決済処理部において,記憶管理部で記憶管理されている当該客の預 かり金額と当該客が注文した全商品の代金とが比較される。そして,当該客の預かり金額が全注文商品の代金以上であるときその差額が返金額として出力される。したがって,デビットカードで決済を行う客に対しては,注文時に当該デビットカードの預貯金口座から注文した商品の代金以上の金額が引き落とされるので,会計時に預貯金残高の不足によりデビット カードでの決済不可が判明することはない。また,注文時に預貯金口座から代金よりも余分に引き落とされた分は,その金額が会計時に出力され,これに基づいて客に返金される。」(【0009】) 乙10公報の記載【請求項1】 「投入金額に応じて販売可能な商品を表示し,前記販売可能な商品が選 択された場合に当該商品を投出する自動販売機において,利用者の購入商品の金額を択一的に受付ける購入金額選択手段と;プリペイド価値付けされた非接触データキャリアの残額を読出すと共に,販売金額を減算した残額を書込む非接触データキャリア用リ-ダライタと;利用者の操作を案内すると共に,必要なデ-タを表示する表示/ガイダンス手段と;前記購入 金額選択手段により購入金額が選択された場合に,前記非接触データキャリア用リ-ダライタによって利用者の非接触データキャリアから当該残額を読出 なデ-タを表示する表示/ガイダンス手段と;前記購入 金額選択手段により購入金額が選択された場合に,前記非接触データキャリア用リ-ダライタによって利用者の非接触データキャリアから当該残額を読出して前記選択された購入金額以上の残額があることが確認されたときに,更新した残額を当該非接触データキャリアに書込むと共に,前記自動販売機に対して前記購入金額を出力し,前記自動販売機より商品の 実販売金額を受取った際に,前記購入金額選択手段により選択された金額及び前記実販売金額を比較して差額がなければ終了し,差額があれば前記非接触データキャリア用リ-ダライタによって利用者の非接触データキャリアに前記差額を演算した残高に更新する制御手段とを具備したことを特徴とする非接触データキャリアを使用したプリペイド対応自動販売 機システム。」【請求項2】「更に前記商品の購入中止を受付ける返却指示手段を備え,前記制御手段が,前記自動販売機に対して前記購入金額を出力した後に返却信号を受けたときには,返却の報知をすると共に,前記利用者の非接触データキャ リアの更新を促して残高の更新を行うようになっている請求項1に記載の非接触データキャリアを使用したプリペイド対応自動販売機システム。」「決済部500では,表示/ガイダンス部530の段階1の表示「上の金額ボタンを押して下さい」が点灯された待機状態となっており,利用者がその表示を見て希望する購入金額選択ボタン110(A円)を押下(図 6の例では「90円」が選択)する」(【0013】) 「利用者が非接触データキャリア30をアクセスエリア523にかざすと,決済部500から非接触データキャリア30に対してリ-ダライタ520を介してID及び残高の読取要求が送られ,その読取要求に 「利用者が非接触データキャリア30をアクセスエリア523にかざすと,決済部500から非接触データキャリア30に対してリ-ダライタ520を介してID及び残高の読取要求が送られ,その読取要求に応じて非接触データキャリア30から決済部100にID及び残高Y(図6の例では1000円)が送られるので,決済部100は商品の販売が可能か否か をチェックする。」(【0013】)「上記チェックにおいて,選択金額>残高で販売不可の場合にはメッセージ欄の「残高が不足しています」を表示し(音声も),最初の待機状態となる。また,選択金額≦残高で販売可能な場合(図6の例では90円<1000円で販売可)には,非接触データキャリア30に対して残高書換え 「Y-A」及び残高照合を指示し,この指示に基いて非接触データキャリア30から決済部500に残高「Y-A」を送る。図6の例では,1000円-90円=910円が残高として送られている。」(【0014】)「表示/ガイダンス部530の案内に従って,ランプ点灯された商品の中から商品B(図6の例では70円)が利用者によって選択されると,自 動販売機部300では商品選択ボタン310の選択信号を入力し,当該商品選択ボタンの商品に対応する金額Bを利用金額データとして決済部500に送ると共に,商品投出部340を介して商品Bを投出する。」(【0015】)「ここにおいて,商品Bの金額が受入金額Aよりも小さく,釣り銭があ る場合には,非接触データキャリア30をアクセスエリア523にかざすように,表示/ガイダンス部530に段階5の「お釣りがありますもう一度タグをかざしてください」を音声と共に表示して利用者に通知する。 図6の例では,受入金額90円に対して70円の商品が選択されている ように,表示/ガイダンス部530に段階5の「お釣りがありますもう一度タグをかざしてください」を音声と共に表示して利用者に通知する。 図6の例では,受入金額90円に対して70円の商品が選択されているので,90円-70円=20円の釣り銭が生じている。この様に釣り銭があ る場合に,利用者が非接触データキャリア30をアクセスエリア523に 再度かざすと上述と同様に,決済部500から非接触データキャリア30に対してID及び残高の読取要求が指示される。・・・ID及び残高「Y-A」が決済部500に送られると,決済部500は非接触データキャリア30に対して残高書換え「Y-B+A」及び残高照合を指示する。図6の場合の残高書換えは910円-70円+90円=930円であり,非接触 データキャリア30から決済部500に残高「Y-B+A」を送る。決済部500は残高「Y-B+A」の照合チェックを行って,表示/ガイダンス部530の残高欄に残高「Y-B+A」を表示する。図6の場合には930円を残高として表示する。」(【0016】)「一方,図5の破線部は商品購入を途中で中止した場合の返金処理を示 しており,利用者が購入金額選択ボタン510を選択して非接触データキャリア30の残高更新処理後に決済部500の返金ボタン511を押下すると,決済部500から自動販売機部300に返金要求が送出されて,商品選択ボタン310の全てのランプが消灯される。そして,自動販売機部300から決済部500に返金A(図6の例では90円)を送り,決済 部500は非接触データキャリア30をアクセスエリア523にかざすように表示/ガイダンス部530に表示して利用者に報知する。ここで,利用者が非接触データキャリア30をアクセスエリア523にかざすと上述と同様に,決 データキャリア30をアクセスエリア523にかざすように表示/ガイダンス部530に表示して利用者に報知する。ここで,利用者が非接触データキャリア30をアクセスエリア523にかざすと上述と同様に,決済部500から非接触データキャリア30に対してID及び残高の読取要求が送出される。このときIDが相違している場合には, 表示/ガイダンス部530のメッセージ欄の「もう一度タグをかざしてください」を表示(音声も)し,タグ受付状態に戻る。IDが一致している場合には,非接触データキャリア30から決済部500に対して残高「Y-A」(図6の例では910円)が送られる。これにより,決済部500は非接触データキャリア30に対して残高書換え「Y-A+A」(図6の例 では1000円)及び残高照合の指示を送り,非接触データキャリア30 から決済部500に残高Y(図6の例では1000円)を送る。決済部500は残高Yの照合チェックを行って,表示/ガイダンス部530の残高欄に残高Yを表示する。」(【0017】) 乙5公報の記載【請求項1】 「非接触式ICカードにより商品を購入し得る自動販売機において,アンテナ,ICカード制御部,自動販売機主制御部を設け,商品購入動作に入ったときアンテナ,ICカード制御部を介してICカードから一定商品価格金額を減算した後商品搬出を行う第1の制御方式と,商品購入動作に入ったときICカードに含まれる金額を自動販売機主制御部に移し,商品 が搬出された後ICカードの精算を行う第2の制御方式とを含み,自動販売機の商品価格が単一のときには第1の制御方式を,複数のときには第2の制御方式をとるように,商品価格の種類に応じていずれか一方の制御方式に切り換え得るようにしたことを特徴とする自動販売 含み,自動販売機の商品価格が単一のときには第1の制御方式を,複数のときには第2の制御方式をとるように,商品価格の種類に応じていずれか一方の制御方式に切り換え得るようにしたことを特徴とする自動販売機の制御方法。」「本発明は,ICカードを非接触式に使用して商品を購入することので きる自動販売機の制御方法に関する。」(【0001】)「自動販売機には,商品を現金で購入できる型のものと,現金の代わりにプリペイドカードを利用する型のものとがある。後者の自動販売機においては,カード挿入口より挿入されたカードはカードリード・ライター内に取り込まれ,購入された商品に応じてカードに含まれる金額が書き直さ れ,商品の搬出と共にカードも搬出される。この従来のカードを利用するものは,現金を必要としない点で利用者にとって便利であるのみならず,自動販売機の管理上も有利である。しかしながら利用者は所持しているカードを取り出して自動販売機に挿入し,商品購入が終了してから搬出されたカードを取り戻すという操作を必要とする点でなお不満足なところが ある。」(【0002】) 「集積回路を内蔵し,集積回路に含まれる情報を無線で外部に取り出し,かつ外部からの情報を無線で書き込むことのできる非接触式のICカードは既に知られている。このICカードを自動販売機に用いることができれば,利用者はカードを取り出すことなく所持した状態で自動販売機を操作し商品を購入することができるようになるから極めて便利である。しか しながら,非接触式のICカードを使用する場合,ICカードは常に利用者が保持し自動販売機内に一時保留もされないという条件と,商品が選択され商品が搬出されて始めて購入金額が定まりICカードに含まれる金額の精算が可能に のICカードを使用する場合,ICカードは常に利用者が保持し自動販売機内に一時保留もされないという条件と,商品が選択され商品が搬出されて始めて購入金額が定まりICカードに含まれる金額の精算が可能になるという条件とがあるため,利用者と自動販売機管理者との双方に損得のない精算をどのように行うかが問題となる。」(【00 03】)「図3bは自動販売機で扱う商品の価格が等しくなく,複数種類の価格(図の例では100円と200円)が存在する場合に用いられる第2の制御方式における制御回路を示すもので,この場合ICカード制御部2の設定器3には価格設定されず,図には「000」で示されている。今ICカ ード12を携帯する利用者が商品を購入すべく自動販売機の前に立ちセット釦5を押すと,自動販売機の制御回路は動作状態に入り,ICカード制御部2はICカード12に含まれる金額を一時預かる形で全額減算せよとの指令をアンテナ4を介してICカード12に伝送する。その結果ICカード12は内容を書き直され,残額0円となる。ここで当初ICカー ド12に含まれていた金額が1000円であったとすると,ICカード制御部2は自動販売機主制御部1に1000円の入金があったことを入力し,これにより自動販売機主制御部1は販売可能な商品に対応する商品選択釦8のランプを点灯させる。利用者が今価格200円の商品の選択釦8を操作すると,自動販売機主制御部1は商品搬出機構10に搬出信号を発 し,選択された商品が商品搬出口11に搬出される。次いで利用者が返金 レバー9を操作すると,自動販売機主制御部1は入金金額と購入金額との差額を計算し返金情報としてICカード制御部2に送り,ICカード制御部2は差額,今の場合1000円-200円=800円を加算せよとの レバー9を操作すると,自動販売機主制御部1は入金金額と購入金額との差額を計算し返金情報としてICカード制御部2に送り,ICカード制御部2は差額,今の場合1000円-200円=800円を加算せよとの指令をアンテナ4を介してICカード12に伝送し,ICカードに返金額800円が書き込まれる。この場合も,利用者が返金レバー9の操作を忘れ ないよう,又その際アンテナの動作域内にとどまるよう,ランプ,ブザー等により利用者の注意を喚起するようにすることが好ましい。」(【0013】)オ乙8公報には,洗車機において,洗車の受付時にプリペイドカードが投入され,そこから洗車料金分を減額してプリペイドカードを返却し,洗車を行 って,前払いされた洗車料金分より安い洗車料金となることが判明した場合には,洗車を一時中断し,再びプリペイドカードが投入されたら,差額分の洗車料金を返却する手段を備えた発明が開示されている。 ここで,乙2発明は,給油開始前に挿入された記憶媒体を給油終了時まで利用者に返却しない給油精算装置について残金がゼロとなったカードを返 却しなかった従来の技術の課題を解決することを目的として,従来の給油精算装置と同様,給油開始前に挿入された記憶媒体を給油終了時まで利用者に返却しないことを前提に,残金がゼロとなったカードを返却するとしたものである。このように,乙2発明は記憶媒体を給油終了時まで返却しない構成を前提とするものであるのに対し,乙8公報に記載された技術は洗車の受付 時にプリペイドカードを返却する構成を前提としているのであって,乙2発明に乙8公報に記載された技術を適用することには阻害要因があり,乙2発明に同技術を適用することによって相違点1,2に係る本件発明1の構成に想到することが容易とはいえない。 しているのであって,乙2発明に乙8公報に記載された技術を適用することには阻害要因があり,乙2発明に同技術を適用することによって相違点1,2に係る本件発明1の構成に想到することが容易とはいえない。 カ乙9公報には,会計時に預貯金残高の不足によりデビットカードでの決済 ができないことを避けることができるように,注文時に客が注文した商品の 代金以上の金額を客のデビットカードの預貯金口座から引き落とし,その後,会計時に代金よりも余分に引き落とされた金額が客に返金される技術が開示されている。 ここで,乙2発明は記憶媒体を給油終了時まで返却しない構成を前提とするものである(前記オ)のに対し,乙9公報に記載された技術は,注文後は 客がデビットカードを保持する構成を前提としているといえるものである。 したがって,乙2発明に対して乙9公報に開示された技術を適用することには阻害要因があるといえ,乙2発明に乙9公報に記載された技術を適用することによって相違点1,2に係る本件発明1の構成に想到することが容易とはいえない。 キ乙10公報には,自動販売機において,プリペイド価値付けされた利用者の非接触データキャリアに対して,利用者が選択した商品の販売金額を控除した額に残高を書き換えるとともに,その後,受け入れ金額より商品の価格が低く釣銭がある場合や利用者が商品購入を途中で中止した場合には,その旨の通知をして,非接触データキャリアが所定の場所にかざされると当該非 接触データキャリアに対して残高の更新を行う技術が記載されている。 ここで,乙2発明は記憶媒体を給油終了時まで返却しない構成を前提とするものである(前記オ)のに対し,乙10公報に記載された技術は,商品の選択時から精算時まで,客が非接触データキャリアを保持 いる。 ここで,乙2発明は記憶媒体を給油終了時まで返却しない構成を前提とするものである(前記オ)のに対し,乙10公報に記載された技術は,商品の選択時から精算時まで,客が非接触データキャリアを保持する構成を前提としている。したがって,乙2発明に乙10公報に開示された技術を適用する ことには阻害要因があるといえ,乙2発明に乙10公報に記載された技術を適用することによって相違点1,2に係る本件発明1の構成に想到することが容易とはいえない。 ク乙5公報には,非接触式ICカードにより商品を購入し得る自動販売機において,商品の購入動作に入った時,自動販売機の商品価格が単一のときは ICカードからその商品価格を減算し,その商品価格が単一でないときはI Cカードに含まれる金額を減算して残額を0とし,商品が搬出された後に入金金額と購入金額との差額を計算して,その差額をICカードに書き込む技術が記載されている。 ここで,乙2発明は記憶媒体を給油終了時まで返却しない構成を前提とするものである(前記オ)のに対し,乙5公報に記載された技術は,商品購入 時から精算時を通じ,客が非接触式ICカードを保持する構成を前提としている。したがって,乙2発明に乙5公報に開示された技術を適用することには阻害要因があるといえ,乙2発明に乙5公報に記載された技術を適用することによって相違点1,2に係る本件発明1の構成に想到することが容易とはいえない。 ケまた,上記オないしクを通じ,本件発明1は,前記「流体供給装置」のように作業開始から精算までに時間のかかる作業を行い,携帯可能な記憶媒体により精算を行う装置において,作業中に記憶媒体を他で利用できるように憶媒体を給油終了時まで返却しない構成を前提とするものであり,乙2公報 には でに時間のかかる作業を行い,携帯可能な記憶媒体により精算を行う装置において,作業中に記憶媒体を他で利用できるように憶媒体を給油終了時まで返却しない構成を前提とするものであり,乙2公報 には上記の本件発明1の課題は記載も示唆もされておらず,乙2公報から本件発明1の上記課題を解決するための相違点1,2に係る本件発明1の構成に想到することが容易とはいえない。そして,以上に述べたところによれば,乙2発明に「乙8~10,5に代表される支払方法周知慣用技術」を適用すれば,相違点に係る本件発明1の構成に想到することが容易であるとの原告 の主張にも理由がない。 争点5-3(引用発明3に基づく進歩性欠如の有無)についてア乙3公報は,発明の名称を「給油装置」とする公開特許公報であり,その特許請求の範囲及び明細書の発明の詳細な説明には,以下の記載がある。 (乙3) 特許請求の範囲 「プリペイドカード及び電子マネー等の疑似貨幣取扱い機と,紙幣及びコインの実貨幣取扱い機と,釣り銭取扱い機と,各機器に接続された精算制御手段とを有する精算装置と,送油用のポンプと,給油量を計量する流量計と,給油用の給油ノズルと,給油量を表示する表示器と,給油開始信号及び給油終了信号を出力するスイッチと,各機器及び前記精算制御手段 に接続された計量制御手段とを有する計量装置とより構成され,前記精算制御手段は,疑似貨幣取扱い機に挿入された疑似金額及び実貨幣取扱い機に挿入された実金額を加算し,加算した予納金額で給油できる仮想給油量を演算し,演算した仮想給油量を前記計量制御手段へ出力し,計量制御手段から入力した実給油量を給油金額に演算し,予納金額より給油金額を減 算して残金額を演算し,実金額が残金額より多い場合は疑似 を演算し,演算した仮想給油量を前記計量制御手段へ出力し,計量制御手段から入力した実給油量を給油金額に演算し,予納金額より給油金額を減 算して残金額を演算し,実金額が残金額より多い場合は疑似貨幣金額を零にして疑似貨幣取扱い機より放出し,残金を釣り銭取扱い機より放出し,実金額が残金額より少ない場合は疑似貨幣金額を書き換えて疑似貨幣取扱い機より放出し,実貨幣を実貨幣取扱い機より放出し,前記計量制御手段は,精算制御手段から仮想給油量を受けて前記計量装置を給油可能状態 にし,給油中は仮想給油量と実給油量とを比較し,両者が一致すると計量装置を停止状態にし,給油が終了したときに実給油量を精算制御手段へ出力することを特徴とする給油装置。」(【請求項1】) 発明の詳細な説明① 従来の技術,発明が解決しようとする課題等 「本発明は,車へ燃料油を供給する給油装置で,特にプリペイドカード及び電子マネー媒体等の疑似貨幣,又は紙幣及びコインの実貨幣のどちらでも精算ができるようにした給油装置に関するものである。」(【0001】)「市中で商品の売買の精算は,プリペイドカード及び電子マネー等の 疑似貨幣,又は紙幣及びコインの実貨幣で行われている。そして,疑似 貨幣で精算ができる給油装置,実貨幣で精算ができる給油装置があるが,どちらでも精算ができる給油装置がなく,両者で精算ができる給油装置の実現が望まれている。」(【0002】)「そこで本発明は,プリペイドカード及び電子マネー等の疑似貨幣,又は紙幣及びコインの実貨幣のどちらででも精算ができるようにして, 給油装置の精算を効率的に行えるようにした給油装置を提供することである。」(【0003】)② 課題を解決するための手段「上記目 コインの実貨幣のどちらででも精算ができるようにして, 給油装置の精算を効率的に行えるようにした給油装置を提供することである。」(【0003】)② 課題を解決するための手段「上記目的を達成するために,本発明は,プリペイドカード及び電子マネー等の疑似貨幣取扱い機と,紙幣及びコインの実貨幣取扱い機と, 釣り銭取扱い機と,各機器に接続された精算制御手段とを有する精算装置と,送油用のポンプと,給油量を計量する流量計と,給油用の給油ノズルと,給油量を表示する表示器と,給油開始信号及び給油終了信号を出力するスイッチと,各機器及び前記精算制御手段に接続された計量制御手段とを有する計量装置とより構成され,前記精算制御手段は,疑似 貨幣取扱い機に挿入された疑似金額及び実貨幣取扱い機に挿入された実金額を加算し,加算した予納金額で給油できる仮想給油量を演算し,演算した仮想給油量を前記計量制御手段へ出力し,計量制御手段から入力した実給油量を給油金額に演算し,予納金額より給油金額を減算して残金額を演算し,実金額が残金額より多い場合は疑似貨幣金額を零にし て疑似貨幣取扱い機より放出し,残金を釣り銭取扱い機より放出し,実金額が残金額より少ない場合は疑似貨幣金額を書き換えて疑似貨幣取扱い機より放出し,実貨幣を実貨幣取扱い機より放出し,前記計量制御手段は,精算制御手段から仮想給油量を受けて前記計量装置を給油可能状態にし,給油中は仮想給油量と実給油量とを比較し,両者が一致する と計量装置を停止状態にし,給油が終了したときに実給油量を精算制御 手段へ出力する。このようにプリペイドカード及び電子マネー等の疑似貨幣,又は紙幣及びコインの実貨幣のどちらででも精算ができるので,給油料金の精算が効率的に行える。また,両者を使用 制御 手段へ出力する。このようにプリペイドカード及び電子マネー等の疑似貨幣,又は紙幣及びコインの実貨幣のどちらででも精算ができるので,給油料金の精算が効率的に行える。また,両者を使用した場合は,疑似貨幣の金額が先に使われるので,疑似貨幣に少ない金額が残ることがない。さらに,精算装置と計量装置の間では量が伝わるので,金額演算機 能を有しない計量装置でも実施できる。」(【0004】)③ 発明の実施の形態「精算装置2の精算制御手段12は,疑似貨幣取扱い機6に挿入された疑似貨幣の疑似金額及び実貨幣取扱い機7に挿入された実貨幣の実金額を加算した予納金額を表示器9に表示し,キーボード8から設定信 号を受けて予納金額で給油できる仮想給油量を演算し,演算した仮想給油量を計量制御手段21へ出力する。そして,計量制御手段21から入力した実給油量より給油金額を演算し,予納金額より給油金額を減算した残金額を表示器9に表示し,キーボード8から釣銭選択信号を受けて実金額と残金額とを比較し,実金額が残金額より多い場合は疑似貨幣金 額を零にして疑似貨幣取扱い機6より放出し,残金を釣り銭取扱い機10より放出し,実金額が残金額より少ない場合は疑似貨幣金額を書き換えて疑似貨幣取扱い機6より放出し,実貨幣を実貨幣取扱い機7より放出する。また,キーボード8から繰入選択信号を受けた場合は,残金を繰り入れて疑似貨幣を疑似貨幣取扱い機6より放出する機能を有して いる。」(【0010】)「次に給油装置の動作を図2,3に基づいて説明する。プリペイドカード及び電子マネー等の疑似貨幣を持っている場合は,それを精算装置2の疑似貨幣取扱い機6に挿入し,疑似貨幣の金額では少ないと思われる場合は,現金を実貨幣取扱い機7に挿入 づいて説明する。プリペイドカード及び電子マネー等の疑似貨幣を持っている場合は,それを精算装置2の疑似貨幣取扱い機6に挿入し,疑似貨幣の金額では少ないと思われる場合は,現金を実貨幣取扱い機7に挿入する。そして,疑似貨幣取扱 い機6又は実貨幣取扱い機7から金額信号が精算制御手段12に入力 すると,(図2 ST1),疑似貨幣取扱い機6及び実貨幣取扱い機7に挿入された金額を合計し,合計した予納金額を表示器9に表示する(図 2 ST2)。このように貨幣を挿入した後に,キーボード8の設定スイッチを押すと(図2 ST3),精算制御手段12は予納金額で給油できる仮想給油量を演算し,演算した仮想給油量を計量装置3へ出力する (図2ST4)。」(【0012】)「一方,実給油量の信号を受けた精算装置2の精算制御手段12は(図 2 ST5),実給油量より給油金額を演算し,予納金額から給油金額を減算して残金額を表示器9に表示する(図2 ST6)。そして,キーボード8の釣銭選択スイッチが押されると(図2ST7),実金額が残金 額より多い場合は(図2 ST8),金額を零にした疑似貨幣が疑似貨幣取扱い機6より放出され,残金額が釣銭取扱い機10より放出され(図 2 ST9),プリンタ11より給油伝票が発行される(図2 ST10)。」(【0015】)「そして,実金額が残金額より少ない場合は(図2 ST8),金額を 書き換えた疑似貨幣が疑似貨幣取扱い機6より放出され,実貨幣取扱い機7に挿入されていた実貨幣が放出され(図2 ST11),プリンタ11より給油伝票が発行される(図2 ST10)。」(【0016】)イこれらの記載に照らせば,乙3公報には,給油装置において,プリペイドカード及び電子マネー等の疑似貨幣とコイン等の実貨幣のど タ11より給油伝票が発行される(図2 ST10)。」(【0016】)イこれらの記載に照らせば,乙3公報には,給油装置において,プリペイドカード及び電子マネー等の疑似貨幣とコイン等の実貨幣のどちらでも使用 することができ,精算を効率的に行えることを課題として,挿入された疑似貨幣と実貨幣の合計金額の範囲において給油ができ,給油後に実給油量から給油金額を計算して,前記合計金額と給油金額との差より実貨幣の金額が多い場合は疑似貨幣金額をゼロにして残金を釣銭取り扱い機から放出し,前記合計金額と給油金額との差より実貨幣の金額が少ない場合は疑似貨幣の金 額を書き換え,実貨幣の金額を釣銭取り扱い機から放出する発明が記載され ており,疑似貨幣と実貨幣を使用するこの発明では,精算に当たり,実貨幣よりも疑似貨幣を先に使用して精算をしているといえる。そして,乙3公報には,疑似貨幣を使用する部分について,「プリペイドカード,電子マネー等の疑似貨幣に記憶された金額データを読み書きする疑似貨幣読み書き手段と,ガソリンの給油量を計測する流量計測手段と,前記ガソリンの給油開 始前に前記疑似貨幣読み書き手段により疑似貨幣の金額データを読み取る金額データ読み取り手段と,読み取られた金額データ全額に相当する流量を給油可能とする給油許可手段と,前記流量計測手段により計測された給油量から請求すべき料金を演算する演算手段と,前記流量計測手段により計測された給油量に相当する金額を前記演算手段により演算させ,当該演算された 料金を前記金額データの金額より差し引き,疑似貨幣の金額データを,当該演算された料金を前記金額データの金額より差し引いた金額に書き換える料金精算手段と,を備えた給油装置」の発明である引用発明3が記載されている。 本件発明1 り差し引き,疑似貨幣の金額データを,当該演算された料金を前記金額データの金額より差し引いた金額に書き換える料金精算手段と,を備えた給油装置」の発明である引用発明3が記載されている。 本件発明1と引用発明3は,「記憶媒体に記憶された金額データを読み書 きする記憶媒体読み書き手段と,前記流体の供給量を計測する流量計測手段と,前記流体の供給開始前に前記記憶媒体読み書き手段により記憶媒体の金額データを読み取る金額データ読み取り手段と,所定の金額データに相当する流量を供給可能とする供給許可手段と,前記流量計測手段により計測された流量値から請求すべき料金を演算する演算手段と,前記流量計測手段によ り計測された流量値に相当する金額を前記演算手段により演算させ,料金精算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む料金精算手段と,を備えた流体供給装置」である点で一致し,以下の点で相違する。 (相違点1)本件発明1は,「前記流体の供給開始前に前記記憶媒体読み書き手段によ り読み取った記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データと して取り込み」(構成要件1C1),「前記金額データから当該入金データの金額を差し引いた金額を新たな金額データとして前記記憶媒体に書き込ませる入金データ処理手段」(構成要件1C2)を有し,供給許可手段が供給可能とする流量が,「該入金データ処理手段により取り込まれた入金データの金額データに相当する流量」(構成要件1D)であるのに対し,引用発明3は そのような構成を有しない点。 (相違点2)本件発明1の料金精算手段は,「当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引き」(構成要件1F2),「残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データに加算し」(構成要件1F3)及び「当該加算 本件発明1の料金精算手段は,「当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引き」(構成要件1F2),「残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データに加算し」(構成要件1F3)及び「当該加算後の金額デ ータを前記記憶媒体に書き込む」(構成要件1F4)ものであるのに対し,引用発明3はそのような構成を有しない点。 ウ被告は,上記の相違点1,2に係る構成について,乙3公報に,乙8公報に開示された技術,乙9公報に開示された技術,乙10公報に開示された技術,乙5公報に開示された技術又は「乙8~10,5に代表される支払方法 周知慣用技術」を組み合わせることにより当業者が容易に想到し得るものであると主張する。 乙8公報,乙9公報,乙であり,そこには同オないしクに記載した技術が記載されている。 エ乙3公報には,給油装置において,プリペイドカード及び電子マネー等の 疑似貨幣とコイン等の実貨幣のどちらも使用することができ,精算を効率的に行えることを課題として,乙3発明がされたことが記載されている。本件プリペイドカードがカードリーダライタに挿入されてしまうと,外部からプリペイドカードが見えないため,給油終了後にプリペイドカードを挿入してあるのを忘れてしまい,プリペイドカード を置いたまま給油所から退場してしまうおそれがあり,②プリペイドカード が給油中の計量機に設けられたカードリーダライタに挿入されている場合,その間に例えば飲み物の自動販売機等にプリペイドカードを挿入して飲み物を購入するなどの他の用途にプリペイドカードを用いることができず不便であり,③プリペイドカードの一部がカード挿入口からはみ出した状態で給油開始されるように構成された方式では,給油終了後のカード忘れが防止 される反面, にプリペイドカードを用いることができず不便であり,③プリペイドカードの一部がカード挿入口からはみ出した状態で給油開始されるように構成された方式では,給油終了後のカード忘れが防止 される反面,給油中にプリペイドカードを引き抜くことができるため,プリペイドカードが盗難にあう可能性があり,運転者が計量機から離れられないという課題があり,それを本件発明1の構成を採用することで解決したものである。乙3公報には,上記の本件発明1の課題について,記載も示唆もないのであり,乙3発明から相違点1,2に係る本件発明1の構成に想到する ことが容易とはいえない。 オ乙8公報に記載された技術は,洗車前にプリペイドカードから洗車料金分を減額してその残額がある場合にはプリペイドカードに残額が残るものである。引用発明3は,実貨幣よりも疑似貨幣を先に使用して精算することにより,疑似貨幣に少ない金額が残ることがないようにしようとするものであ るから(【0004】),少なくとも給油前に読み取られた疑似貨幣の金額データ全額に相当する流量を給油可能とすることを前提とするものである。引用発明3に乙8公報に記載された技術を適用することは引用発明3の前提に反するもので,これを適用して相違点1,2に係る本件発明1の構成に想到することが容易であるとはいえない。 カ乙9公報は,会計時に預貯金残高の不足によりデビットカードでの決済ができないことを避けることができる技術であり,会計前に,デビットカードにリンクされた預貯金口座の残高を知ることができないことを前提として,注文した商品の代金以上の金額を引き落とす技術が記載されている。引用発明3は,給油前に疑似貨幣の金額データを読み取ることが可能であることを 前提としている。引用発明3に乙9公報に記載さ して,注文した商品の代金以上の金額を引き落とす技術が記載されている。引用発明3は,給油前に疑似貨幣の金額データを読み取ることが可能であることを 前提としている。引用発明3に乙9公報に記載された技術を適用することは, 引用発明3の前提に反するもので,これを適用して相違点1,2に係る本件発明1 の構成に想到することが容易であるとはいえない。 キ乙10公報に記載された技術は,利用者が商品を選択した際に非接触データキャリアから商品の販売代金を減額してその残額がある場合には非接触データキャリアに残額が残るものである。引用発明3は,給油前に読み取ら れた疑似貨幣の金額データ全額に相当する流量を給油可能とするものである。引用発明3に乙8公報に記載された技術を適用することは引用発明3の前提に反するもので,これを適用して相違点1,2に係る本件発明1 の構成に想到することが容易であるとはいえない。 ク乙5公報には,非接触式ICカードにより商品を購入し得る自動販売機に おいて,商品の購入動作に入った時,自動販売機の商品価格が単一のときはICカードからその商品価格を減算し,その商品価格が単一でないときはICカードに含まれる金額を減算して残額を0とし,商品が搬出された後に入金金額と購入金額との差額を計算して,その差額をICカードに書き込む技術が記載されている。引用発明3は給油装置に関するものであり,乙5公報 に記載された技術は自動販売機に関するものであるから,技術分野が異なる。 そして,乙5公報に記載された技術は,商品価格が単一である場合と,そうではない場合の双方を含むものであるところ,当業者は,その一部(商品価格が単一でない場合の技術)だけを取り出して,上記のように技術分野が異なる引用発明3に適用しようとは通常考えな である場合と,そうではない場合の双方を含むものであるところ,当業者は,その一部(商品価格が単一でない場合の技術)だけを取り出して,上記のように技術分野が異なる引用発明3に適用しようとは通常考えない。また,引用発明3及び乙5 公報に記載された技術からは,作業開始から精算までに時間のかかる作業を行い,携帯可能な記憶媒体により精算を行う装置において,作業中に記憶媒体を他で利用できるようにする等の有利な効果を予測することはできない。 したがって,引用発明3に乙5公報に記載された技術を適用して,相違点1,2に係る本件発明1 の構成に想到することが容易であるとはいえない。 以上に述べたところによれば,乙3発明に「乙8~10,5に代表される 支払方法周知慣用技術」を適用すれば,相違点1,2に係る本件発明1の構成に想到することが容易であるとの原告の主張にも理由がない。 8 本件発明2,本件発明3に係る特許が特許無効審判により無効にされるべきものか(争点6,7)本件発明2及び本件発明3は,いずれも本件発明1の構成を有するものである ところ,前記7に述べたとおり,当業者は本件発明1の構成に容易に想到することはできない。したがって,本件発明2及び本件発明3は,いずれも,当業者が容易に発明をすることができたとは認められず,本件発明2,本件発明3に係る特許が特許無効審判により無効にされるべきものとは認められない。 9 本件発明8に係る特許が特許無効審判により無効にされるべきものか(争点8) 本件発明8は,プログラムに関する発明であり,本件発明1における入金データ処理手段(構成要件1C1,1C2),演算手段(1E),料金精算手段(構成要件1F1ないし4)においてされるのと同様の入金データ処理,演算,料金精算の手順を実 明であり,本件発明1における入金データ処理手段(構成要件1C1,1C2),演算手段(1E),料金精算手段(構成要件1F1ないし4)においてされるのと同様の入金データ処理,演算,料金精算の手順を実行させるものである。被告は,本件発明1に対するのと同じ文献に基づき本件発明1が進歩性が欠如する旨主張する。本件発明1における入金デー タ処理手段,料金演算手段について,被告が主張する文献に記載された発明によってはそれらの構成を想到することが容易でないところ(前記6),それらにおける手順の実行に関するプログラムについても,同様の理由により,被告が主張する文献に記載された発明によっては容易に想到することができない。 損害の有無及びその額(争点9) 後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の各事実が認められる。 ア被告は,平成18年から平成27年5月まで,旧EMG系列ガソリンスタンドに対し,現金による支払い,クレジットカードによる支払い,プリペイドカードによる支払い及び非接触式クレジットカードによる支払いに対応した設定器を販売した。上記の設定器に被告プログラムは保存されていなか った。 イ被告は,平成27年6月以降,旧EMG系列ガソリンスタンドに対し,被告プログラムが保存されている設定器である被告設定器を販売するようになった。 ウ被告は,平成27年7月から9月までの間に,EMGマーケティング(現在のJXTGエネルギー株式会社)に対して被告プログラムを販売し,当該 会社から旧EMG系列ガソリンスタンドに対して被告プログラムが提供されたことによって,それらのガソリンスタンドの設定器に被告プログラムが保存された。 被告は,EMGマーケティングから被告プログラムの開発費用及び譲渡の対価として●( に対して被告プログラムが提供されたことによって,それらのガソリンスタンドの設定器に被告プログラムが保存された。 被告は,EMGマーケティングから被告プログラムの開発費用及び譲渡の対価として●(省略)●の支払いを受けた。また,被告プログラムの開発に 際し,外注費として●(省略)●を支払った。 エ被告は,平成27年6月1日から同年9月30日までの間に,被告設定器を●(省略)●販売した。その販売金額の合計額は●(省略)●であった。 被告は,平成27年10月1日から平成30年9月30日までの間に,被告設定器を●(省略)●販売した。その販売金額の合計額は●(省略)●で あった。 被告は,平成30年10月1日から令和元年6月30日までの間に,被告設定器を●(省略)●販売した。その販売金額の合計額は●(省略)●の合計)であった。(乙46)オ本件共有者は,給油所等のプランニング,設計及び施工を行っており,少 なくとも平成14年頃から,給油所で用いられる計量機や設定器を販売していた。(甲13ないし18)原告は,電子マネー媒体を用いた精算等に対応するため,コスモ石油(原告)グループのガソリンスタンドに対し,遅くとも平成27年頃から原告が製造,販売する電子マネー媒体対応サービスに対応することが可能な設定器 を販売している。(甲26ないし32) カ旧EMG系列ガソリンスタンドに設置されている設定器の大多数は,被告が販売したものであった。 キ本件共有者は,平成29年9月11日,被告に対し,本件特許権の共有持分権者として,本件共有者が被告及びJXTGエネルギー株式会社に対して同月7日以降将来において行使することができる損害賠償,不当利得返還, 遅延損害金,利息,和解金の各請求権 本件特許権の共有持分権者として,本件共有者が被告及びJXTGエネルギー株式会社に対して同月7日以降将来において行使することができる損害賠償,不当利得返還, 遅延損害金,利息,和解金の各請求権を含む一切の金銭上の請求権を原告に譲渡し,被告に対し,その旨を通知した。(甲8の1ないし3)特許法102条2項に基づく損害額(争点9-1)ア特許法102条2項の適用について原告は,特許法102条2項に基づき,被告が販売した設定器について, 本件特許の設定登録時から口頭弁論終結時までに被告が販売した設定器の台数は1万3521台であり,それらの販売代金は94億6470万円を下らず,その利益率は60パーセントを下回ることはなく,原告の損害は61億3312万5600円(税込)と推定されると主張し,また,被告プログラムについての損害額は●(省略)●と推定されると主張する。 被告が被告設定器を販売等する行為は特許法101条1号により侵害するものとみなされるところ,直接侵害を生じさせる蓋然性の高い行為を侵害行為とみなす同号の規定の趣旨等に照らし,被告設定器の販売による原告の損害については,特許法102条2項を適用し得ると解される。 そして,特許法102条2項が損害額の立証の困難性を軽減する趣旨で設 けられた規定であることなどに照らせば,特許権者に侵害者による特許権侵害行為がなかったならば利益が得られたであろうという事情が存在する場合には特許法102条2項の適用が認められ,また,特許法102条2項の適用に当たり特許権者において当該特許発明を実施していることは要件とはされないと解される。 成する設定器を給 油所等に対して販売し,それにより利益を得ていたのであるから,被告設定器 許権者において当該特許発明を実施していることは要件とはされないと解される。 成する設定器を給 油所等に対して販売し,それにより利益を得ていたのであるから,被告設定器の製造,販売がなかったとすれば,本件共有者及び原告は,自ら,より多数の設定器を販売して利益を得られたであろうという事情があるといえ,特キのとおり,本件共有者は原告に対して本件特許権に関する損害賠償請求権 等の全てを譲渡したから,被告設定器を製造,販売したことについて原告が被告に対して請求できる損害額は,特許法102条2項に基づく原告及び本件共有者の損害額を合算したものとなる。 これに対し,被告は,原告及び本件共有者は本件特許を実施した製品を製造,販売していないと主張するが,特許法102条の適用に当たり権利者が 特許発明を実施していることは要件とはされないと解される。また,被告は,原告が販売する設定器と被告が販売した被告設定器は市場が異なり,被告が得た利益と原告が受けた損害との間に相当因果関係は存在しない旨主張すけた損害との間の相当因果関係が認められる。 イ特許法102条2項に基づく損害額の推定 被告設定器間に,被告が被告設定器を販売したことにより得た販売代金は,合計●(省略)●である(この額について消費税相当額を含まないことを認めるに足 りる証拠はない。)。 原告は,令和元年7月1日から口頭弁論終結時(令和元年11月28日)までの間,被告設定器が一定数,販売されていたことが推認できると主張して,上記期間に販売された被告設定器の販売代金の合計額も損害額の算定の基礎となる旨主張する。しかし,上記期間における被告設定器の販売 や販売台数及びその販売代金の合計額を認めるに足りる証拠はない。 間に販売された被告設定器の販売代金の合計額も損害額の算定の基礎となる旨主張する。しかし,上記期間における被告設定器の販売 や販売台数及びその販売代金の合計額を認めるに足りる証拠はない。 被告設定器の販売により被告が得た利益に関係し,被告における平成28年5月1日から平成31年4月30日までの間の商品の売上額の合計は10億7915万4367円であり,製品の売上額の合計は218億8593万1653円であり(これらの合計は229億6508万6020円),また,期首及び期末の棚卸高を考慮した上記期間の仕入高の合計は 167億4075万3111円である(甲34)。 被告は,被告設定器の限界利益率が27パーセント程度であると主張し,その理由として,上記に記載した売上額,仕入高等を述べ,また,商品の方が被告設定器を含む製品よりも利益率が高く,製品の種類によって利益率が大きく変わらないとことを述べる((229億6508万6020円 -167億4075万3111円)÷229億6508万6020円×100≒27.1)。これに対し,原告は,被告設定器の利益率が50パーセントないし60パーセントを下ることはないと主張する。しかし,その根拠は,被告の損益計算書における商品売上高,製品売上高だけなく相当多額の営業収入・受入手数料などを合算した上で,それを売上原価から控除 した額に基づくものであり,製品と大きく異なり得る利益率の売上に関する金額も基礎としている点で採用できない。そして,上記の売上額や仕入高の金額に,被告が被告設定器の個別の利益率に関する主張をしないことなどを考慮し,被告設定器の利益率は30パーセントであると推認する。 これらを考慮すると,被告設定器の販売により被告が得た特許法101 条2項の利益額は, 個別の利益率に関する主張をしないことなどを考慮し,被告設定器の利益率は30パーセントであると推認する。 これらを考慮すると,被告設定器の販売により被告が得た特許法101 条2項の利益額は,以下のとおり●(省略)●であり,同額が原告の損害額と推定される。 (計算式)●(省略)●×0.3=●(省略)● 被告プログラム 原告は,ガソリンスタンドで使用される設定器を販売しているところ, 設定器は,通常,その性質上,給油等に係る代金を精算するためのプログラムを備えているといえる。そして,設定器の機能はそこで用いられるプログラムと密接な関係にあり,プログラムにより設定器の機能が左右される面があるといえるから,少なくとも,被告プログラムの製造,販売がなければ,原告の設定器の販売機会が増加して原告が利益を得られたという 事情があるといえる。 被告は,被告プログラムの開発費用及び譲渡の対価として●(省略)●の支払いを受け(この額について消費税相当額を含まないことを認めるに足りる証拠はない。),被告プログラムの開発に際して外注費●(省略)●を支出した。特許法102条2項にいう利益 の算定に当たり,上記外注費が控除されることについては当事者間に争いがない。 被告は,社内人件費として●(省略)●を支出しており,これについても上記利益の算定に当たり控除すべきであると主張する。しかし,上記社内人件費がプログラム開発のために追加で要した費用であることを認め るに足りる具体的な主張,立証はないから,これが控除されるべき変動費に当たるとは認められない。 したがって,被告プログラムの販売に係る原告の損害額は,以下のとおり●(省略)●と推定される。 (計算式) ●( が控除されるべき変動費に当たるとは認められない。 したがって,被告プログラムの販売に係る原告の損害額は,以下のとおり●(省略)●と推定される。 (計算式) ●(省略)● 合計以上によれば,特許法102条2項により推定される損害額の合計は●(省略)●となる。 ウ推定覆滅事由 被告は,ガソリンスタンドには,ガソリンスタンドにガソリン等を供給 する販売会社(元売り)ごとに系列があり,ガソリンスタンドの設定器は,当該ガソリンスタンドが属する系列(石油の元売り)が指定する機能や施策を備える必要があり,系列が異なる原告と被告(旧EMG系列ガソリンスタンド)との間で市場が競合することはないこと,ガソリンスタンドでは,従来の設定器を更新して新たな設定器を納入する場合,従前の設定器 と異なるメーカーの製品を導入することはないことなどを挙げて,被告設定器と原告らが製造販売する設定器の市場が異なると主張する。そして,被告が販売により得た利益と原告が受けた損害との因果関係を否定し,また,特許法102条2項に基づく損害の推定が覆滅されると主張する。 後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の各事実が認められる。 ① ガソリンスタンドについては,ガソリンスタンドに対して石油等を販売する元売りと及ばれる会社があり,特定の元売りが石油等を販売するガソリンスタンドがその元売りの系列のガソリンスタンドと呼ばれ,基本的には,そのような系列のガソリンスタンドごとに,一定のブランド名を使用して営業をしている。(弁論の全趣旨) ② EMGマーケティングは,平成26年5月28日,セルフ方式のガソリンスタンドにおいてnanacoカードと呼ばれるカードで非接触I ランド名を使用して営業をしている。(弁論の全趣旨) ② EMGマーケティングは,平成26年5月28日,セルフ方式のガソリンスタンドにおいてnanacoカードと呼ばれるカードで非接触IC決済が行えるよう準備を進めていることを明らかにし,同年10月6日,同月10日から旧EMG系列ガソリンスタンドでnanacoポイントの取り扱い(燃料油1リットルの購入ごとに1ポイント を付与する取り扱い)を開始することを明らかにした。(甲21の8,10)EMGマーケティングの東京第一支店の次長は,平成27年2月19日,同年秋には,旧EMG系列ガソリンスタンドにおいて,nanacoをはじめとする様々な電子マネー決済を開始させることを述べた。 (甲21の12) 平成27年9月24日,旧EMG系列ガソリンスタンドのうちの一部のセルフ方式のガソリンスタンドで,nanaco,楽天Edyのほか,Suicaなどの交通系電子マネーでの決済が開始された。(甲21の13)平成27年10月1日,旧EMG系列ガソリンスタンドの約1100 か所のセルフ方式のガソリンスタンドで電子マネーでの決済が開始された。(甲21の15)③ コスモ石油は,イオン株式会社等とプリペイド型電子マネーであるWAONについての連携を行い,平成24年10月30日にその系列のガソリンスタンドで同電子マネーを利用する決済サービスを開始した。そ して,平成25年12月17日にはその系列の4つのガソリンスタンドで給油代金を同電子マネーで決済することができるようになり,同日時点で,その後,導入するガソリンスタンドを拡大し,平成25年度中に約1000のガソリンスタンドで上記決裁システムを導入することを目指していた。(甲22の2,4) できるようになり,同日時点で,その後,導入するガソリンスタンドを拡大し,平成25年度中に約1000のガソリンスタンドで上記決裁システムを導入することを目指していた。(甲22の2,4) ④ 被告について以下の決算期について,次の事情があった。 平成26年4月期には,その前期に20年ぶりに取引が再開された昭和シェル石油のガソリンスタンド向けの機器の新規の販売が比較的大口で進んだ。 平成27年4月期には,東燃ゼネラル石油が三井石油を買収したこと に伴い,その系列のガソリンスタンドのセルフ化,POSの切り替え需要が発生し,被告の売上が伸びた。 平成28年4月期には,「一社指定」を受けていた旧EMG系列ガソリンスタンド向けの「POS21システム」の販売を継続した。なお,被告の一社指定とは,当該系列のガソリンスタンドにおいては被告の設 定器を採用することとされていることをいうものと解される。また,昭 和シェル系列のガソリンスタンド向けの「e-POS」も順調に販売され,特にセルフ方式のガソリンスタンド向けのシステムは好評で,50パーセント以上の当該ガソリンスタンドで被告の当該POSが選ばれた。 平成29年4月期には,旧EMG系列ガソリンスタンドでは,引き続 き「POS21システム」の一社指定が継続された。また,新たに指定された出光興産や太陽石油の系列のガソリンスタンドに向けた新POSシステムの開発を行った。 平成30年4月期には,旧EMG系列ガソリンスタンドでは,引き続き「POS21」の一社指定が継続された。JXTGエネルギーの系列 のガソリンスタンド向けの「ENERIS-POS」については指定POSメーカー同士での営業展開が過熱 リンスタンドでは,引き続き「POS21」の一社指定が継続された。JXTGエネルギーの系列 のガソリンスタンド向けの「ENERIS-POS」については指定POSメーカー同士での営業展開が過熱した状態であった。また,太陽石油の系列やキグナス石油から受けた指定による販売も順調であった。 (以上につき,甲33の4,5枚目)なお,EMGマーケティングは,平成29年1 月に東燃ゼネラル石油株式会社に吸収合併され,東燃ゼネラル石油株式会社は同年4月にJXTGエネルギー株式会社に吸収合併された。 ⑤旧EMG系列ガソリンスタンドに設置されている設定器の大多数は被告が販売したものであり,その販売は平成18年から開始された(弁論の全趣旨)。 現在,旧EMG系列ガソリンスタンドに設置されている設定器について,原告は,被告プログラムが保存されている設定器(被告設定器)の台数は1万3521台であると主張し,被告は,現在稼働している被告が販売した設定器の台数は●(省略)●であると主張する。 元売りの系列のガソリンスタンドが存在し,同じ系列のガソリンスタンド では,決済方法を含めたサービス等の施策として,元売りにおいて同じ施策を採用し,その施策が一斉に始まることもある。また,系列のガソリンスタンドにおいて,設定器をどの会社から購入するかについて,指定と呼ばれる制度が存在することがあり,旧EMG系列ガソリンスタンドでは被告がその指定を受けていた。 しかし,ガソリンスタンドにおいて,一度特定の会社から設定器を購入すれば,その後,別の会社の設定器を全く採用することができなくなるとか,上記の指定について変更をすることができないといった事情は認められない。かえって,被告が新たに複数の系 定の会社から設定器を購入すれば,その後,別の会社の設定器を全く採用することができなくなるとか,上記の指定について変更をすることができないといった事情は認められない。かえって,被告が新たに複数の系列のガソリンスタンドにおける設定器の販売元として指定されたこと(平成29年4月期等)もあったこ となどに照らせば,指定の追加や変更も一般的に行われていることであると推認できる。被告による被告設定器の販売がなかった場合に被告が前記で記載した内容の指定を継続できていたと認めるに足りる証拠もない。 以上によれば,被告が設定器を販売したガソリンスタンドに対し原告が設定器を販売することが全くできなかったとは認められないから,被告設 定器の販売と原告の損害との間には,相当因果関係があるといえ,被告による被告設定器の販売と原告の損害の全部について相当因果関係が欠けるとはいえない。 もっとも,同じ系列のガソリンスタンドでは,決済方法を含めたサービス等の施策として,元売りにおいて同じ施策を採用し,その施策が一斉に 始まることもあるところ,その実施のために設定器が必要な場合には,その系列のガソリンスタンドでは,それに対応した機能ないし仕様を有する設定器が設置される必要があり,上記の機能ないし仕様に関係なく設定器を販売することができる市場があるとはいえない。また,系列のガソリンスタンドにおいて,設定器をどの会社から購入するかについて,指定と呼 ばれる制度が存在し,指定された会社の設定器がその系列のガソリンスタ ンドに販売される場合がある。そして,指定会社同士の営業が過熱することもあるが,被告は,平成18年から旧EMG系列ガソリンスタンドへの設定器の販売を開始し,EMGマーケティングが吸収合併等されたという大きな事情の変更が ある。そして,指定会社同士の営業が過熱することもあるが,被告は,平成18年から旧EMG系列ガソリンスタンドへの設定器の販売を開始し,EMGマーケティングが吸収合併等されたという大きな事情の変更があったにもかかわらず,平成30年4月までの少なく とも3年以上,旧EMG系列ガソリンスタントとの関係では,被告のみが指定されていた。そして,被告は,現に旧EMG系列ガソリンスタンドに対して相当多数の設定器を販売し,旧EMG系列ガソリンスタンドに設置されている設定器の大多数は被告が販売した。 特許法102条2項の推定は,侵害者が得た利益と特許権者が受けた損 害との相当因果関係を阻害する事情が認められる場合に覆滅すると解される。 上記のようなガソリンスタンドの設定器をめぐる市場の事情に被告と旧EMG系列ガソリンスタントとの営業上の関係等が強いものであったことがうかがえることなどに照らせば,被告が販売した被告設定器と同数 について原告が設定器を販売することができたとは認められず,侵害者が得た利益と特許権者が受けた損害との相当因果関係を阻害する事情があると認められる。そして,上記に述べたところによれば,被告が販売した被告設定器の台数のうち,少なくとも40パーセントの台数販売台数の合計●(省略)●×0.4=●(省略)●)について原告が同 様の設定器を販売することができなかったと認められる。そうすると,それによって,被告が被告設定器を販売したことに基づく特許法102条2項に基づく損害については,40パーセントの割合で覆滅すると認められる。 被告は,電子マネーを利用した取引は,電子マネーの記憶媒体,電子マ ネーの暗号化,プロコトルの策定などの様々な技術によって実現するもの であることを指摘する。 被告設定 る。 被告は,電子マネーを利用した取引は,電子マネーの記憶媒体,電子マ ネーの暗号化,プロコトルの策定などの様々な技術によって実現するもの であることを指摘する。 被告設定器において特定の技術を採用したことを理由として侵害品の売上げが増加したといえるために侵害者が得た利益と特許権者が受けた損害との相当因果関係を阻害する事情があるといえる場合には,被告製品において採用された技術を理由として特許法102条2項の推定の覆滅 が認められるときがあるといえる。被告は,被告設定器において様々な技術が使用されていることを指摘するが,上記を基礎付ける具体的な事情の主張,立証はない。したがって,被告の上記主張により特許法102条2項の推定が覆滅することを認めるに足りない。 また,被告は,原告が販売する設定器のシェアはわずかであることや競 合品が多く販売されていることを指摘するが,これらについて,本件において,侵害者が得た利益と特許権者が受けた損害との相当因果関係を阻害する事情となる事情を認めるに足りる証拠はない。 推定覆滅事由についてのまとめ られる。そうすると,上記イで推定された損害額は,40パーセントの割合で覆滅すると認めることが相当である。 エ特許法102条2項に基づく損害額以上によれば,特許法102条2項による損害額は,以下のとおり,●(省略)●となる。 (計算式)●(省略)●×(1-0.4)+●(省略)●オ特許法102条2項の推定の覆滅と同条3項 原告は,特許法102条2項の推定が覆滅された場合には,当該覆滅部分について同条3項が適用されるべきであると主張する。 被告が販売した被告設定器のうち, 市 同条3項 原告は,特許法102条2項の推定が覆滅された場合には,当該覆滅部分について同条3項が適用されるべきであると主張する。 被告が販売した被告設定器のうち, 市場や販売先との関係等をめぐる要因により,少なくとも40パーセントの台数について原告が同様の設定器を販売することができたとは認められず,推定された損害額が40パーセントの割合で覆滅する。このように推定の覆滅の理由が,権利者が権利者製品を侵害製品の販売数量分は販売することができたとはいえないということに基づく場合,推定が覆滅する 部分に係る数量相当分について,特許法102条3項に基づく損害を請求することができるのが相当と解する。 実施に対して受けるべき料率について,本件において,本件発明の実施許諾契約の存在を認めるに足りず,証拠(乙20)によれば,平成22年8月31日に発行された「ロイヤルティ料率データハンドブック~特許 権・商標権・プログラム著作権・技術ノウハウ~」において,「器械」の実施料率は平均3.5パーセントであり,最大値は9.5パーセント,最小値は0.5パーセントであることが認められる。これらに,原告と被告とは競業関係にあることその他の本件に現れた諸事情を総合的に考慮して,本件における実施に対して受けるべき料率としては5パーセントが相当 であると認める。 本件では,特許法102条2項に基づく損害の推定が覆滅された部分に係る数量相当分について上記の料率に基づく損害を請求することができるところ,その額は,結局,特許法102条2項に基づく損害の推定が覆滅された数量相当分の額に上記の実施料率を乗じたものに等しいから,以 下のとおり,●(省略)●となる。 (計算式)●(省略)●×0.4×0.05=●(省略)● 2項に基づく損害の推定が覆滅された数量相当分の額に上記の実施料率を乗じたものに等しいから,以 下のとおり,●(省略)●となる。 (計算式)●(省略)●×0.4×0.05=●(省略)●カ弁護士費用本件にあらわれた一切の事情に照らせば,本件訴訟における弁護士費用と しては3500万円をもって相当であると認める。 結論 以上によれば,原告の主位的主張による損害額は4億5054万3000円●(省略)● 遅延損害金の起算日については,平成27年9月30日までの被告設定器の販売に係る損害額●(省略)●(特許法102条2項による損害額:●(省略) ●×利益率0.3×推定覆滅割合(1-0.4)=●(省略)●と,同条3項による損害額:●(省略)●×推定覆滅部分0.4×実施料率0.05=●(省略)●の合計)と被告プログラムの販売に係る損害額●(省略)●のうち,原告の請求に基づき●(省略)●については平成27年10月1日を起算日とし,平成27年10月1日から平成30年9月30日までの設定器の販売に係る 損害●(省略)●(特許法102条2項による損害額:●(省略)●×利益率0.3×推定覆滅割合(1-0.4)=●(省略)●と,同条3項による損害額:●(省略)●×推定覆滅部分0.4×実施料率0.05=●(省略)●の合計)と平成27年9月30日までの被告設定器等の販売に係る損害のうち●(省略)●に係る遅延損害金については平成30年9月30日を起算日とし, その余の損害(合計●(省略)●に係る遅延損害金については被告設定器の販売が最後に認定される令和元年6月30日を起算日とする。 なお,原告は,特許法102条3項に基づく予備的主張をするところ,本件における合理的な実施料率は上記のと る遅延損害金については被告設定器の販売が最後に認定される令和元年6月30日を起算日とする。 なお,原告は,特許法102条3項に基づく予備的主張をするところ,本件における合理的な実施料率は上記のとおりであり,特許法102条3項に基づく損害額が上記で認定した損害額を超えるとは認められない。 差止請求及び廃棄請求の対象となる製品の範囲(争点10) 差止請求の対象原告は,製品名「POS21」の設定器(別紙物件目録記載1の設定器)には被告プログラムが搭載されていると主張して,特許法100条1項に基づき上記「POS21」の製造,販売等の差止めを求めている。 しかし,被告設定器の製品名が「POS21」であることは当事者間に争い がないが,被告は,「POS21」との名称の製品の中には,電子マネーに対応せず,本件で問題となる動作をしない製品がある旨主張する。 上記「POS21」の全てに被告プログラムが搭載されていると認めるに足りる証拠はない。上記5のとおり,本件で特許法101条1号に該当するのは被告プログラムが保存された設定器である被告設定器であることに照らせば, 原告の差止請求は,上記「POS21」のうち,被告プログラムが保存された設定器に対するものについて認められる。 廃棄請求の範囲原告は,製品名「POS21」の設定器について,特許法100条2項に基づき廃棄を求めている。 被告プログラムは電子マネー媒体での精算に対応した処理を行うものである。被告プログラムが入っていない設定器に対して被告プログラムが提供されている被告設定器は,その動作するプログラムを被告プログラムから別のプログラムに変更することが可能であり,被告設定器を用いた給油装置は,そのよ うな変 い設定器に対して被告プログラムが提供されている被告設定器は,その動作するプログラムを被告プログラムから別のプログラムに変更することが可能であり,被告設定器を用いた給油装置は,そのよ うな変更によって,本件特許権を侵害しない態様で使用することが可能であると認められる。そこで,上記「POS21」の設定器の廃棄を命じるまでの必要性,相当性はないと認め,原告の廃棄請求については,被告設定器から被告プログラムを除却する限度で認容することとする(これは,特許法100条2項に基づく被告に対する廃棄請求(被告が所持する被告設定器の廃棄請求)に ついて,被告が所持する被告設定器について上記除去の範囲で認容するものである。)。 第4 結論よって,原告の請求は主文掲記の限度で理由があるからその限度で認容し,その余は理由がないからいずれも棄却することとして主文のとおり判決する。なお,事 案に鑑み,仮執行宣言は付さないこととする。 東京地方裁判所民事第46部 裁判長裁判官柴田義明 裁判官安岡美香子 裁判官佐藤雅浩 (別紙)物件目録 1 製品名設定器「POS21」 2 製品名設定器「POS21」(ただし,その設定器に別紙プログラム目録記載のプログラムが保存されているもの) (別紙)プログラム目録 被告が製造,販売する設定器に保存され,当該設定器を含む給油装置において実行される,以下のaないしfの構成を有するプログラム a 入金データとして取り込まれた金額データに相当する油を供給可能とする給油装置で実行されるプログラムであって を含む給油装置において実行される,以下のaないしfの構成を有するプログラム a 入金データとして取り込まれた金額データに相当する油を供給可能とする給油装置で実行されるプログラムであって,b 給油装置に,油の供給開始前にリーダーにより読み取った電子マネー媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込むと共に,前 記金額データから当該入金データの金額を差し引いた金額を新たな金額データとして前記電子マネー媒体に書き込ませる第1 の手順と,c 前記第1の手順で取り込まれた入金データの金額データに相当する油を供給可能にする第2の手順と,d 給油量計測手段により計測された給油量を入金データの金額データに相当 する油量から差し引き,残った油量に相当する金額から加算すべき料金を演算する第3の手順と,e1 前記残った油量に相当する金額を演算させ,e2 当該演算された金額を前記電子マネー媒体の金額データに加算し,e3 当該加算後の金額データを前記電子マネー媒体に書き込む第4の手順, f を順次実行させるためのプログラム (以上は,更正決定の内容を反映させたものである。)

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