- 1 - 主文 1 原判決を,次のとおり変更する。 (1) 控訴人は,控訴人補助参加人に対し,155万1172円を請求せよ。 (2) 被控訴人らのその余の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は,第1,2審を通じ,補助参加によって生じた部分は,これを10分し,その1を控訴人補助参加人の負担とし,その余を被控訴人らの負担とし,その余の部分は,これを20分し,その1を控訴人の負担とし,その余を被控訴人らの負担とする。 事実 及び理由 第1 当事者の申立て 1 控訴人の控訴の趣旨(1) 原判決中,控訴人敗訴の部分を取り消す。 (2) 前項の部分に関する被控訴人らの請求をいずれも棄却する。 (3) 訴訟費用は,第1,2審を通じ,被控訴人らの負担とする。 2 被控訴人らの答弁(1) 本案前の答弁本件控訴を却下する。 (2) 本案の答弁本件控訴を棄却する。 (3) 控訴費用は,控訴人の負担とする。 第2 事案の概要 1 事案の概要は,当事者及び補助参加人の当審における主張の概要を後記2以下のとおり付加するほかは,原判決「事実及び理由」の「第2 事案の概要」,に記載のとおりであるから,これを引用する。ただし,原判決11頁19行目及び20行目を「郵便料金を切手で支払ったことを証する郵便局発- 2 -行の郵便料金受領証等(甲11。なお,必要がある場合を除き,書証の枝番号の記載を省略する。)が証拠書類として保存されているが,そもそも前記郵便料金受領証等は政務調査費(現金)の支出を証明できないばかりか,このようなものを証拠書類として認めると,郵便料金を現金で支払った場合と異 略する。)が証拠書類として保存されているが,そもそも前記郵便料金受領証等は政務調査費(現金)の支出を証明できないばかりか,このようなものを証拠書類として認めると,郵便料金を現金で支払った場合と異なり,支払に使用した切手の購入に政務調査費(現金)を支出した際の切手代金の領収証を別途証拠書類として整理保存することにより,政務調査費の二重取りが可能となる。したがって,前記郵便料金受領証等を証拠書類として,議員の調査研究に資する経費の支出があったと扱うことはできない。」に改める。 2 控訴人の当審における主張(1) 政務調査費については,地方自治法100条13項が「条例の定めるところにより,その議会の議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として」交付することを定めた上で,「交付の対象,額及び交付の方法は,条例で定めなければならない」としている。本件条例は,政務調査費の使途基準を「議長の定める使途基準」に委ね,これを受けて議長が定めた使途基準たる本件規程別表は,個別項目(広報費,人件費,事務費等)を定めるほか,同別表末尾において「その他の経費」として「各会派において市政に関する調査研究を行うために要する経費で上記以外のもの」という包括的な定めを置いている。そうすると,結局のところ,横浜市会における使途基準は,地方自治法にいう「議会の議員の調査研究に資するため」と同じである。 政務調査費の収支報告書の様式上は,支出を上記別表の各項目ごとに分類することになっているが,ある支出が収支報告書に分類された項目の基準に合致しないとしても,他の個別項目や「その他の経費」の基準に合致していれば,使途基準には違反しない(収支報告書の分類が不適切であるにとどまる。)。広報費以外の項目に該当するという主張がないからその- 3 -点は判断の限りで 目や「その他の経費」の基準に合致していれば,使途基準には違反しない(収支報告書の分類が不適切であるにとどまる。)。広報費以外の項目に該当するという主張がないからその- 3 -点は判断の限りでないという原判決の説示(26頁15行目以下)は,不適切である。 (2) 不当利得返還請求においては,返還請求権の存在を主張する者(本件では被控訴人ら)が利得に「法律上の原因がない」ことの立証責任を負う。 使途基準違反の事実を推認させるような外形的事実の立証もないのに,控訴人に使途基準違反の事実がないことの立証責任があるかのように説示する原判決(31頁19行目以下の「ホームページの掲載内容が,議会活動や市政に関する政策等を市民に周知させるための広報活動としての意義を有するものであったことを認めるに足りる証拠はなく」)は,不適切である。 (3) 封筒購入代金や郵便料金等について,議員後援会宛の領収証しかないものであっても,議員個人が実際に政務調査活動の費用として支出したものは,その支出を使途基準違反とはいえない。政務調査活動に実際に使用されたことは,関係の書証並びに議員の証言及び陳述書で立証されている。 後援会宛の領収証のあるものについて支出者は後援会であると断定した上で,「支出をしたのが同議員ではない以上,同議員が参加人からゆだねられた広報活動を行うために要した経費と認定する余地はない」という原判決の説示(27頁22行目以下)は,不適切である。 広報紙の発行者が議員個人でなく議員後援会であることから,議員個人の支出であることの認定が困難であるとする原判決の説示(29頁末行以下)や,A議員の広報紙の内容の一部が市政と関係がないとする原判決の説示(33頁9行目以下)は,行き過ぎである。 (4) B議員の広報紙やホームページは,政務調査活動とし 原判決の説示(29頁末行以下)や,A議員の広報紙の内容の一部が市政と関係がないとする原判決の説示(33頁9行目以下)は,行き過ぎである。 (4) B議員の広報紙やホームページは,政務調査活動としての意義を有する(乙16,61,63参照)。 (5) C議員の広報紙(D)2006年3月号(乙15)の内容の半分以上は政務調査活動に関するものであり,これを4分の1とした原審認定は誤り- 4 -である。平成17年度の他の号の製作・配布費用につき,広報紙の証拠提出がないことを理由に政務調査に資すると認定しなかった原判決の判断は,不当である。広報紙は全部配り切ったから提出できないのであるし,条例上,領収証はともかく,広報紙そのものを証拠書類として保存することは,義務づけられていない。 また,広報費には,いわゆる広聴費(広く住民の意見を収集,把握,聴取する活動の費用)も含まれる。広報紙ポスティングの際にできる限り住民から市政の感想,問題点,要望などを聴き取ってくる活動が広報活動に当たらないとした原判決の説示(26頁7行目以下)は,不適切である。 3 控訴人補助参加人の当審における主張A議員の広報紙の内容(後記NPO法人主催の市内での講演会や,カンボジアでの学校贈呈式の記事)は,横浜市の推進する国際理解教育の一貫として,海外教育活動支援を行うNPO法人の活動が市立小学校の授業で紹介されていることなどを背景としてみれば,市の教育行政と関連を有する事項であり,これを市政と関係がないとする原判決の説示(33頁6行目以下)は,不適切である。また,議員事務所のインターン生の感想を掲載することも,市政に関する事柄である。 その他の主張は,おおむね2の(3)から(5)までと同旨である。 4 被控訴人らの当審における主張(1) 本案前の答弁に 事務所のインターン生の感想を掲載することも,市政に関する事柄である。 その他の主張は,おおむね2の(3)から(5)までと同旨である。 4 被控訴人らの当審における主張(1) 本案前の答弁について控訴人には控訴の利益がなく,本件控訴は却下されるべきである。 控訴人は,控訴審で勝訴すると,原審で認められた控訴人補助参加人に対する政務調査費332万6239円の返還請求権を失うという不利益が生じる。そもそも,控訴人には,原判決によって受ける不利益がない。 控訴人補助参加人には,独自の控訴権があり,かつ,控訴審で勝訴すれば政務調査費の返還義務を免れるという控訴の利益がある。そのような地- 5 -位にある控訴人補助参加人が控訴をしなかったのに,控訴の利益がない控訴人の控訴が許されることは,不条理である。 (2) 本案について控訴人及び控訴人補助参加人の当審における主張は,争う。これらの点に関する原判決の判断は,適切である。 原判決は,「議員の調査研究に資する」かどうかについて,政務調査費が本来の目的以外に使われた事実の証明があったと判断している。また,控訴人補助参加人以外の他の会派は,領収証のみの保存にとどまらず,政務調査費を使用して作成した成果物等も整理保存している。したがって,原判決に控訴人及び控訴人補助参加人の主張するような不当な点はない。 第3 当裁判所の判断 1 被控訴人らの本案前の答弁について不服の利益は,本案の申立てについては,不服を申し立てた当事者の原審における申立てと原判決主文の内容を形式的に対比し,原審における申立てが原判決主文において排斥された当事者に,その排斥された限度において生じる。 控訴人は,原審において,被控訴人らの請求(原審口頭弁論終結時のもの)に対して請求棄却の判決を し,原審における申立てが原判決主文において排斥された当事者に,その排斥された限度において生じる。 控訴人は,原審において,被控訴人らの請求(原審口頭弁論終結時のもの)に対して請求棄却の判決を求めたところ,原判決は,これを一部排斥した上で,被控訴人ら(一審原告ら)の請求を一部認容した。そうすると,控訴人は,原判決における敗訴部分(控訴人の請求棄却の申立てを一部排斥して,被控訴人らの請求を一部認容した部分)について,当該部分の請求棄却を求めて不服申立て(控訴)をすることができる。 被控訴人らは,原判決によれば控訴人が控訴人補助参加人に332万6239円の返還請求権を有するところ,控訴人の控訴が容れられて控訴人が当該請求権を失う(控訴人の有する財産権の価額が減少する。)とすれば,それは控訴人の不利益であると主張する。しかしながら,申立ての内容の決定- 6 -については各当事者の自由な判断に委ねられており,訴訟の当事者は,その者に帰属することとなる財産権の価額のみならず,その他の様々な有形無形の利益・不利益を総合的に考慮して,訴訟における申立ての内容を決定するものである。控訴人において,控訴人が適法に実行したと考える支出につき返還請求権を有しないと主張することも,前記のような過程を経て決定されたものとみられ,このような申立ての内容についての当事者の決定権は尊重されなければならない。そして,控訴の利益があるかどうかは,当事者に帰属することとなる財産権の価額の増減を実質的に判断して決まるものではなく,その当事者の原審における申立てが原判決によって排斥されたかどうかを形式的に判断して決まるものである。なお,被控訴人ら提出の文献(甲25)にも,被控訴人らが援用する記述(「第一審判決によって不利益を受けた当事者のみに控訴権が認められる」 よって排斥されたかどうかを形式的に判断して決まるものである。なお,被控訴人ら提出の文献(甲25)にも,被控訴人らが援用する記述(「第一審判決によって不利益を受けた当事者のみに控訴権が認められる」とするもの。)の後に,「控訴の利益は,不服の対象たる事項について,申立ての全部または一部が排斥されたときに生じる。」との記述があることは公知の事実であり,この記述によれば,前記のような結論が導かれる。 以上によれば,被控訴人らの本案前の抗弁は,理由がない。 2 争点(1)(政務調査費を本件使途基準に定める広報費として使用することの適否)についての当裁判所の判断は,原判決16頁22行目から同19頁7行目までに記載のとおりであるから,これを引用する。 3 争点(2)(本件各広報費に係る広報活動は本件各会派において行うものと認められるか否か)についての当裁判所の判断は,原判決19頁8行目から同24頁10行目までに記載のとおりであるから,これを引用する。 4 争点(3)(控訴人補助参加人における個別の広報費支出の適否)のうち,次の各項に掲げる点についての当裁判所の判断は,それぞれ当該各項に定める原判決の説示部分のとおりであるから,これらを引用する。 (1) 1000円切手の購入費用の支出額- 7 -原判決24頁16行目から同22行目まで(2) E郵便局の平成17年11月7日付け領収証書に係る支出額原判決34頁15行目から同21行目まで(3) 社会福祉協議会に対する切手代の支出額原判決37頁1行目から同38頁11行目まで 5 争点(3)のうち広報配布料の支出額計193万7000円について(1) この支出は,控訴人において,C議員が,広報紙「D」(C後援会編集発行。平成18年3月号が乙15)の配布及び広聴活動のために平成1 (3)のうち広報配布料の支出額計193万7000円について(1) この支出は,控訴人において,C議員が,広報紙「D」(C後援会編集発行。平成18年3月号が乙15)の配布及び広聴活動のために平成17年にアルバイトに支払った金額の全額であると主張し,被控訴人らが後援会活動のための使用であり,領収証に印紙の貼付がないことや配布の支出があるのに印刷の支出がないことはおかしいと主張するものであるところ,証拠(甲8,乙15,30,33,56から58まで,74,証人C)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ア C議員の後援会であるC後援会は,平成17年当時,月刊の広報紙「D」を毎月編集,発行しており,その印刷費の2分の1及びその配布費の全額(この項で検討する193万7000円)を政務調査費から支出した。政務調査費の収支報告書においては,印刷費は,広報費ではなく,事務費の項目に分類して記載し,配布費は,広報費に分類して記載した。 イ 「D」平成18年3月号(乙15)の内容は,表面の上から5分の3がC議員の宣伝(議員個人の名を含む題字(D)並びに議員の氏名及び顔写真が大書され,議員の経歴,役職及び連絡先等が通常の大きさの活字で記載されて,読者が議員の顔と氏名を強く印象付けられる部分)であり,表面の下部5分の2が議員定数削減問題の記事,裏面の右側5分の2が県会議員からの応援メッセージ並びに旅行会及びミニ集会の募集に関する記事(いずれもC議員の宣伝ないし後援会活動的な要素の強い- 8 -記事)であり,左側5分の3がC議員事務所における学生のインターンシップ活動に関する記事である。平成17年度の他の号は,証拠として提出されておらず,これらの内容の詳細は判然としないが,印刷費の半分が政務調査費(事務費)から支出されていること及び平成 のインターンシップ活動に関する記事である。平成17年度の他の号は,証拠として提出されておらず,これらの内容の詳細は判然としないが,印刷費の半分が政務調査費(事務費)から支出されていること及び平成18年3月号の内容に照らし,同議員の個人宣伝的な側面と市政報告的な側面が混在し,その読者に訴える力はいずれの側面が明らかに強いともいえないような内容のものであると推認される。 ウ C議員に雇われたアルバイトら(イ記載のインターンシップ活動を行う学生ら)が広報配布料193万7000円の受領を対価として行った仕事の内容は,「D」(毎月約1万部)を主に横浜市α町,β町及びγ町の各戸に配布(ポスティング)し,かつ,配布(ポスティング)の際,「C事務所政務調査担当」という肩書きを付した各人名義の名刺を持ち,できる限り,住民から市政に関する感想,要望,意見などを聴いてくることであった。 (2) 以上の事実に基づき判断する。 ア議員の後援会が発行名義人となっている広報紙であっても,その内容の全部又は一部が議員個人の市政報告であるときは,その印刷や配布に要する費用のうち相応の割合については,議員の調査研究に資するための活動の費用として政務調査費を充てることができる。 しかしながら,名前や顔写真の売り込み等の個人宣伝は,政務調査活動とはいえない。政治家の活動の上で広報活動と宣伝活動は紙一重であって,両者を峻別することは実際には困難であるのが通常であるとはいえ,宣伝活動のために政務調査費を利用することを「議員の調査研究に資する」ということは困難であり,納税者の納得も得られないと考えられる。そして,広報紙の内容が,議員本人や後援者たる著名人の顔写真や氏名を目立つ場所に大きく記載するなど,単なる議員個人の宣伝の場- 9 -と化することが珍しくなく, の納得も得られないと考えられる。そして,広報紙の内容が,議員本人や後援者たる著名人の顔写真や氏名を目立つ場所に大きく記載するなど,単なる議員個人の宣伝の場- 9 -と化することが珍しくなく,このような選挙ポスターとあまり変わらない性質のものに政務調査費を充てることには納税者の厳しい目が存在することを考慮すると,印刷費用や配布費用のうち政務調査費を充てることができる割合については,事案ごとに合理的な算定をしていくべきである。 イ 「D」の内容は,C議員の個人宣伝的な側面と市政報告的な側面が混在し,読者に訴える力はいずれの側面が明らかに強いともいえない。このように,読者に訴える力について,宣伝的な側面と市政報告的な側面のいずれかが明らかに強いともいえないような広報活動については,その費用の半額については「議員の調査研究に資する」ものとして政務調査費から支出することができるが,半額を超える部分については「議員の調査研究に資する」ものというには無理があり,政務調査費から支出することはできないと考えられる。 ウ住民から市政に関する感想,要望,意見などを聴くことも,いわゆる広聴活動(広く住民の意見を収集,把握,聴取する活動)として広報活動の一部に属する。広報紙配布(ポスティング)の際に行われた(1)ウ記載の住民からの意見聴取も,広聴活動としての広報活動に当たり,議員の調査研究に資するものであることは,否定できない。 しかしながら,(1)ウ記載の広聴活動は,広聴活動だけを独立して実施したものではなく,広報紙配布(ポスティング)の際に話を聴くことが可能であった住民に対して行われたにとどまる。このような場合,広報紙は対象全戸に配布可能であるのに対して,住民から話を聴くことができる戸数は少数にとどまるのが通常であるから,相当多数の戸数か ことが可能であった住民に対して行われたにとどまる。このような場合,広報紙は対象全戸に配布可能であるのに対して,住民から話を聴くことができる戸数は少数にとどまるのが通常であるから,相当多数の戸数から話を聴くことができるような特段の事情のない限り,広報紙の配布がない場合においても広聴活動が単独で実施されたものと推認することはできない。そして,本件においては,前記特段の事情を認めるに足りる証拠- 10 -はない。そうすると,広報配布料の支出の主要目的は広報紙の配布であって,(1)ウ記載の広聴活動は,単独で実施されたものということができず,広報紙配布の機会を利用して付随的に実施されたにすぎないものというべきである。 「D」の配布費用はその半額を政務調査費から支出することができるにとどまるところ,上記の性質を有する(1)ウ記載の広聴活動が広報紙配布の機会に併せて実施されたとしても,そのような広聴活動の実施を理由として,広報配布料の全額を政務調査費から支出することができるようになるものではないと考えられる。 エ被控訴人らは,配布の対象である広報紙の印刷の支出がないことを指摘するが,(1)アのとおり,政務調査費(事務費)からの支出がある。 また,被控訴人らは,領収証(甲8)に印紙の貼付がないことを指摘するが,金銭の受取書で営業に関しないものは,金額の多寡にかかわらず,印紙税が非課税とされている(印紙税法5条1号,同法別表第1の番号17参照)から,格別不審な点があるとはいえない。 被控訴人らの主張は,採用することができない。 (3) よって,本件広報配布料193万7000円は,その半額(96万8500円)が議員の調査研究に資するための費用に当たるにとどまり,残りの半額(96万8500円)の支出は,議員の調査研究に資するための費 って,本件広報配布料193万7000円は,その半額(96万8500円)が議員の調査研究に資するための費用に当たるにとどまり,残りの半額(96万8500円)の支出は,議員の調査研究に資するための費用に該当するということはできない(本件使途基準のいずれにも該当しない。)。 6 争点(3)のうち領収証等のあて名が後援会である支出額計99万8589円について(1) この支出は,複数の議員に関する封筒の印刷費用又は広報紙の郵送費用であるところ,証拠書類として保存された領収証等が議員の後援会宛であり,後援会が負担すべき後援会活動の費用に政務調査費を充てているから- 11 -違法であると被控訴人らが主張するものであり,証拠(甲9,乙16から21まで,30,32,34から37まで,61,62,64から73まで,証人B,同C,同A)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ア B議員分については,後援会と連名の封筒の印刷代の半額(3万3629円)についての政務調査費の支出が問題とされている。 B議員と同議員の後援会(B後援会)は,共同して,平成17年度に,議員個人及び後援会連名の封筒(乙17)を作成した。その代金として,株式会社Fに,平成17年8月20日に2万1945円,同年9月15日に2万2365円,平成18年1月11日に2万1945円が支払われ,これらと同額のB後援会宛の領収証(甲9の1・5・8)が発行された。B後援会の帳簿(乙62。弁論の全趣旨により,真正に成立したものと認められる。)においては,これらの約半額(1万0972円,1万1683円,1万0972円)を支出した旨の記載がある。作成された封筒は,後援会が半分程度使用し,残りの半分をB議員が同議員編集発行の広報紙(乙16,61)の発送に使用した。 前記広報紙は 1万1683円,1万0972円)を支出した旨の記載がある。作成された封筒は,後援会が半分程度使用し,残りの半分をB議員が同議員編集発行の広報紙(乙16,61)の発送に使用した。 前記広報紙は,その内容の大部分が市政報告の文章であり,議員個人の宣伝的要素を含む部分(議員の氏名や顔写真の記載など)は控え目であって,読者に訴える力は市政報告の部分ほど強くない(宣伝色は比較的弱い)ものである。平成17年4月発行の広報紙(乙61)は,議員の顔写真が目立つ場所に掲載されているが,写真の大きさは,縦が紙面縦全長の5分の1程度,横が紙面横全長の5分の1程度であり,議員の氏名の記載も通常の題字の大きさと同程度であって,宣伝活動の側面が読者に訴える力は,市政報告の側面よりも明らかに弱く,議員本人の同一性確保の目的が強いということができる。したがって,その印刷や発送に要する費用の全額(すなわち,上記封筒の印刷代の半額)に,政務- 12 -調査費を充てることができる。 イ G議員分については,後援会発行の市政報告文書の郵送料の全額(88万4150円)についての政務調査費の支出が問題とされている。 G議員の後援会(G後援会)は,平成17年8月と同年11月の2回,「H」と題するG議員の市政報告文書を編集発行した。その郵送料として,平成17年8月22日に44万7430円,同年11月28日に43万6720円が支払われ,それぞれ同額のG後援会宛の領収証(甲9の2・6)が発行された。G後援会の収支報告書(乙64)には,これらに対応する1件5万円以上の支出の記載がない。平成17年に発行された「H」の内容の詳細は判然としない(乙65から68まで参照)が,平成9年又は10年に発行された「H」(乙18,19)の内容なども併せて考慮すると,議員個人の市政報告の内 ない。平成17年に発行された「H」の内容の詳細は判然としない(乙65から68まで参照)が,平成9年又は10年に発行された「H」(乙18,19)の内容なども併せて考慮すると,議員個人の市政報告の内容が含まれるほか,議員個人の宣伝的要素を含む部分(1枚の紙面に議員の顔写真が複数葉掲載されている部分や個人名を大きく記載した部分)が比較的目立つ位置に大きく記載されており,個人宣伝的な側面と市政報告的な側面のいずれかの読者に訴える力が,他の側面より明らかに強いとはいえないような内容のものであると推認される。 ウ I議員分については,後援会発行の市政報告文書の郵送料の半額(2万3460円)についての政務調査費の支出が問題とされている。 I議員の後援会(I後援会)は,平成17年7月,「J」と題する市政報告文書(乙20)を編集発行した。その郵送料として,平成17年9月9日に4万6920円が支払われ,同額のI後援会宛の郵便料金受領証(甲9の3・4)が発行された。I事務所における現金出納帳(乙72に添付のもの。弁論の全趣旨により,真正に成立したものと認められる。)には,後援会関係,議員個人の政務調査費関係,K党関係の収入支出が渾然一体と記載されているが,上記郵便料金についてはその半額- 13 -(2万3460円)を政務調査費から支出した旨の記載がある。前記「J」には,市政報告の内容が含まれるほか,議員個人の宣伝的要素を含む部分(議員の顔写真や個人名を大きく記載した部分)が比較的目立つ位置に大きく記載され,市政報告の部分にも議員の写真を多数掲載して読者に議員の顔が印象付けられるようになっており,個人宣伝的な側面と市政報告的な側面のいずれかの読者に訴える力が,他の側面より明らかに強いとはいえない。 エ L議員分については,後援会発行の市政報告 者に議員の顔が印象付けられるようになっており,個人宣伝的な側面と市政報告的な側面のいずれかの読者に訴える力が,他の側面より明らかに強いとはいえない。 エ L議員分については,後援会発行の市政報告文書の郵送料の半額(2万8675円)についての政務調査費の支出が問題となる。 L議員の後援会(L後援会)は,平成17年3月,「M」と題する市政報告文書(乙21)を編集発行した。その郵送料として,平成17年12月7日に5万7350円が支払われ,同額のL後援会宛の郵便料金受領証(甲9の7)が発行された。L後援会の収支報告書(乙69)においては,これに対応する1件5万円以上の支出の記載がない。前記「M」には,議員個人の市政報告の内容が含まれるほか,議員個人の宣伝的要素を含む部分(議員の顔写真や個人名を大きく記載した部分,後援会長のあいさつ)が比較的目立つ位置に大きく記載されている。読者に訴える力は,個人宣伝的な側面と市政報告的な側面のいずれかが,他の側面より明らかに強いとはいえない。 (2) 以上の事実に基づき判断する。 ア政務調査費は,議員の公務外の活動のうち議員の調査研究に資するための活動の費用として議員個人が支出したものに対する補助金の性質を有するから,議員の後援会の支出に政務調査費を充てることは,違法である。 また,現在においては,帳簿等の記載の面においても,領収証その他の証拠書類の取得及び保存の面においても,議員個人の支出と議員の後- 14 -援会の支出を峻別して整理しておくことは常識となっているとみられるから,保存されている支出の証拠書類が議員個人宛でなく議員の後援会宛である場合には,当該証拠書類と異なる認定をすべき相当高度な特段の事情がない限り,これを議員個人の支出であると認定することはできない。 しかしながら 出の証拠書類が議員個人宛でなく議員の後援会宛である場合には,当該証拠書類と異なる認定をすべき相当高度な特段の事情がない限り,これを議員個人の支出であると認定することはできない。 しかしながら,本件の平成17年当時は,このような議員個人の支出であっても,後援会と共同の支出であるなどの理由により後援会宛の領収証をもって保存すべき証拠書類としては十分であるという甘い見解もみられたものとうかがわれる。そうすると,平成17年度の支出については,保存されている証拠書類が後援会宛の領収証である場合あっても,当該証拠書類と異なる認定をすべき特段の事情(相当高度な特段の事情である必要はない。)がある場合には,これを議員個人の支出と認定することができないわけではない。 そして,(1)のアについては後援会の帳簿(乙62)には後援会宛領収証記載の金額の全額ではなく半額程度の支出をした記載があること,(1)のイについては後援会が全額又は半額を支出したとすれば後援会の収支報告書に支出の目的,金額,年月日並びに支出を受けた者の氏名及び住所等の記載が必要となる1件5万円以上の支出となるにもかかわらず後援会の収支報告書(乙64)にその記載がないこと,(1)のウについては現金出納帳(乙72)に議員個人と後援会が半額ずつ支出した記載があること,(1)のエについては後援会が全額を支出したとすれば後援会の収支報告書に支出の目的,金額,年月日並びに支出を受けた者の氏名及び住所等の記載が必要となる1件5万円以上の支出となるにもかかわらず後援会の収支報告書(乙69)にその記載がないこと,各議員の陳述書又は証言において控訴人主張のとおりの陳述や証言がされていることからすると,証拠書類が後援会宛の領収証である支出ではあるが,その全- 15 -額(イ)又は半額(ア・ウ・ ないこと,各議員の陳述書又は証言において控訴人主張のとおりの陳述や証言がされていることからすると,証拠書類が後援会宛の領収証である支出ではあるが,その全- 15 -額(イ)又は半額(ア・ウ・エ)について議員個人が支出したことをうかがわせる特段の事情の証明があるものというべきである。 したがって,控訴人の主張額について,議員個人が支出したことの証明がある。 イ B議員とB後援会は,(1)ア記載の封筒を半分程度ずつ使用したものであるところ,後援会使用分の封筒の印刷代には政務調査費を充てることはできないが,議員使用分の封筒については,議員の政務調査に資する使用がされたこと((1)ア参照)から,政務調査費を充てることができる。 したがって,封筒印刷代(合計6万6255円)の半分(3万3128円)については政務調査費を充てることができるが,残りの半分(3万3127円)については政務調査費を充てることができない。 ウ前記5(2)アのとおり,後援会が発行名義人である広報紙であっても,その印刷や配布に要する費用の全部又は一部について,政務調査費を充てることができる場合がある。 (1)で認定したところによれば,(1)のイ・ウ・エ記載の各市政報告文書には,いずれも,議員個人の宣伝に当たる部分が含まれているが,広報活動部分と宣伝活動部分が混在し,いずれかの要素が読者に訴える力が強いともいえないから,郵送料の半額に政務調査費を充てることは使途基準内のものとして許されるが,これを超える部分に政務調査費を充てること((1)のイの残りの半額)は許されないものというべきである。 (3) 保存された証拠書類が後援会宛領収証である支出について,政務調査費からの支出が許されるものを整理すると,次のとおりである。 ア B議員(3万3629円)3万31 のというべきである。 (3) 保存された証拠書類が後援会宛領収証である支出について,政務調査費からの支出が許されるものを整理すると,次のとおりである。 ア B議員(3万3629円)3万3128円(後援会宛領収証の金額の半額)は許されるが,501円は許されない。なお,B後援会の帳簿(乙62)には,2万2365円の半額が1万1182円であるのに,1万1683円と記帳した誤- 16 -りがある。 イ G議員分(88万4150円)半額(44万2075円)は許されるが,残りの半額(44万2075円)は許されない。 ウ I議員分(2万3460円)全額(後援会宛領収証の金額の半額である2万3460円)が許される。 エ L議員分(2万8675円)全額(後援会宛領収証の金額の半額である2万8675円)が許される。 7 争点(3)のうちN株式会社発行のB議員宛領収証に係る支出額計40万8000円について(1) この支出は,B議員の広報紙の印刷・配布費用及びウェブサイト更新等の費用であるところ,議員経営の会社が議員宛に発行した領収証は実質的に自己作成の領収証であって,証拠書類として問題があり,議員経営の会社が議員に代わって印刷会社等に立替払をしたのであれば,議員経営の会社が印刷会社等から議員宛ての領収証の発行を受ける(議員が議員経営の会社に立替金の弁済をするのと引換に領収証の交付を受けて,印刷会社等発行の領収証等を証拠書類として保管する。)べきであると被控訴人らが主張するものであって,証拠(甲10,乙16,22,23,34,61,63,70,証人B,同A)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ア B議員は,平成17年4月に,同議員編集発行の広報紙(乙61。6(1)ア参照)の印刷を株式会社Fに請け負わせ 1,63,70,証人B,同A)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ア B議員は,平成17年4月に,同議員編集発行の広報紙(乙61。6(1)ア参照)の印刷を株式会社Fに請け負わせ,その各戸配布(ポスティング)を友人たちに行ってもらったが,請負代金や各戸配布報酬の支払資金がなかったため,一時的に同議員が専務取締役を務める会社(N株- 17 -式会社)に立替払してもらった。立替金額は,広報紙印刷代が15万1000円,そのポスティング報酬が23万9000円である。 B議員は,平成17年12月3日,前記立替金合計39万円をN株式会社に弁済し,同社から同社発行の同額の領収証(甲10の1。「㈱F立替料として」との付記があるもの)を受領した。 イ B議員は議員個人のウェブサイト(ホームページ)を開設しており,その内容(乙63,平成17年当時もおおむね同程度の内容であったと推認される。)は議員の市政報告的内容の部分もあるが,議員個人の宣伝的部分(議員個人の顔写真,氏名,連絡先のみを記載したホームページや,活動報告と称しながら活動の内容の具体的説明がないまま,議員の写真を多数掲載して,議員の顔が印象付けられる部分)も含まれており,いずれかの部分が他の部分よりも明らかに読者に訴える力が強いとはいえない。B議員は,平成17年7月にウェブサイトの更新,同年12月にパーソナルコンピュータの設定を,いずれも業者(O)に委託して実施したが,その代金合計1万8000円の支払資金がなかったため,一時的に,N株式会社に1万8000円を立替払してもらった。 B議員は,平成17年12月3日,前記立替金合計1万8000円をN株式会社に弁済し,同社から,同社発行の同額の領収証(甲10の2。 「O立替料として」との付記があるもの)を受領した。 (2 た。 B議員は,平成17年12月3日,前記立替金合計1万8000円をN株式会社に弁済し,同社から,同社発行の同額の領収証(甲10の2。 「O立替料として」との付記があるもの)を受領した。 (2) 以上の事実に基づき判断する。 ア議員が,公務外の活動のうち議員の調査研究に資するための活動の費用を支出する際に,議員自身に支払資金がなかったため,一時的に第三者に立替払をしてもらった場合において,その年度中に立替金弁済をするときは,立替金弁済のために政務調査費を使用することは,政務調査費の使途基準に違反しない。また,その場合に証拠書類として保管すべき領収証が,費用の支出先が発行するものでなく,立替払をした第三者- 18 -の発行するものであっても,やむを得ない。もっとも,議員は,納税者への説明責任を果たすためには,可能な限度において,費用の実際の支出先と支出の原因等についても,証拠書類上分かるようにしておくことが望まれる。 イ平成17年4月発行の広報紙は,宣伝活動の部分が読者に訴える力は広報活動の部分よりも明らかに弱いから(6(1)ア参照),その印刷や発送に要する費用の全額に,政務調査費を充てることができる。 ウ B議員のウェブサイト(ホームページ)にはB議員の個人宣伝的な側面と市政報告的な側面が混在し,その読者に訴える力はいずれかが明らかに強いとはいえないから,その更新に要する費用の半額を政務調査費から支出することは許されるが,これを超える部分を政務調査費から支出することは,許されない。 また,パーソナルコンピュータは,その設定費用が収支報告書において広報費に分類されたことをも考慮すると,特段の事情のない限り,議員の調査研究活動と宣伝活動や後援会活動の両方に使用されるものとみるのが経験則にかなうものである。そして,調査 費用が収支報告書において広報費に分類されたことをも考慮すると,特段の事情のない限り,議員の調査研究活動と宣伝活動や後援会活動の両方に使用されるものとみるのが経験則にかなうものである。そして,調査研究活動のみに使用される特段の事情を認めるに足りる証拠はないから,その設定に要する費用の半額は議員の政務調査に資するものと認められるが,残りの半額はそのように認めることができない。 したがって,これらに要した費用(1万8000円)の半額(9000円)を超える部分(9000円)に政務調査費を充てることは許されない。 (3) 以上によれば,N株式会社発行の領収証に係る40万8000円については,9000円を除き,政務調査費を充てることができる。 8 争点(3)のうち切手による郵便料の納付額計76万9230円について(1) この支出は,A議員の広報紙の郵送料であるところ,証拠書類として保- 19 -存された郵便料金受領証(甲11)の内容が,郵便局が現金でなく切手で郵便料金を受領したというものであること(切手購入の領収証と切手による郵便料金支払の領収証を利用して,政務調査費を二重に取得する可能性がある。)及び郵送された「P」(乙13)が自己宣伝文書であることから,政務調査費を充てることが違法であることを被控訴人らが主張するものであって,証拠(甲11,乙13,14,30,32,丙1から18まで,証人A)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ア A議員は,平成17年12月22日及び同月24日,広報紙「P」51号及び52号を郵便により発送して配布し,その郵便料金計50万9430円を同額分の郵便切手により支払った。 イ A議員は,平成18年3月28日,「P」53号から55号までを郵便により発送して配布し,その郵便料金計25万98 送して配布し,その郵便料金計50万9430円を同額分の郵便切手により支払った。 イ A議員は,平成18年3月28日,「P」53号から55号までを郵便により発送して配布し,その郵便料金計25万9800円を同額分の郵便切手により支払った。 ウ 「P」51号には,主としていわゆる受動喫煙問題に関する政策等についての記事が掲載され,同52号には,主として子どもの安全に関する政策等についての記事が掲載され,同53号には,平成17年末に横浜市が発表した「2005年横浜10大ニュース」に採り上げられた政策等についての記事が掲載され,同54号には,主として議会活動や市政に関する政策等についての記事とA議員が理事を務めるNPO法人の理事長による講演会についての記事がそれぞれ同程度に掲載され,同55号には,主として同議員が当該NPO法人理事としてカンボジアを訪問し学校贈呈式に出席したことについての記事が掲載されている(乙13)。 エ 「P」は,表面の上部5分の1の部分が題字部分となっており,その左側4分の3に「P」という題字が大書され,右側4分の1にA議員の顔写真が掲載されているほかは,表面,裏面を通じて,市政に関する報- 20 -告がその内容のほとんどを占めている。題字・顔写真部分に宣伝的要素がないとはいえないが,通常の広報紙における表題部分の域に何とか踏みとどまっている。また,記事のうち写真(特に著名な有力後援者の写真)を多用した部分にも宣伝的要素がないとはいえないが,市政報告中心の編集姿勢が一貫してうかがわれる。そして,全体を総合すると,宣伝的要素が読者に訴えかける力は,市政報告の部分よりも明らかに弱い。 (2) 上記認定事実によれば,まず,「P」51号から55号までの内容は,いずれも主として議会活動,市政に関する政策等を市民に周知さ 的要素が読者に訴えかける力は,市政報告の部分よりも明らかに弱い。 (2) 上記認定事実によれば,まず,「P」51号から55号までの内容は,いずれも主として議会活動,市政に関する政策等を市民に周知させるための広報活動としての意義を有するものと認めることができる。54号及び55号のNPO法人の理事長による講演会の記事やA議員が当該NPO法人理事としてカンボジアにおける学校贈呈式に出席した記事についても,横浜市の教育行政における国際理解教育に関する記事である(丙1から18までにより,そのように認定することができる。)から,市政報告文書であるということを妨げない。 また,被控訴人らは,「P」は,A議員の名前と顔写真を大きく掲載し,自己宣伝に主眼を置いている旨主張する。しかしながら,前記認定のとおり,題字部分などに宣伝的要素が皆無とはいえないが,通常の広報紙における題字部分の範囲に何とか踏みとどまり,議員本人の同一性確保の目的が強いということができ,また,有力後援者との写真は,議員のみならず多数の児童も同時に写真撮影されていて(乙13),活動報告の色彩が強く出ているなど,宣伝的要素が読者に訴えかける力は,市政報告の部分よりも明らかに弱いから,その郵送料の全部を政務調査費から支出することも許される。 なお,前記4(1)のとおり,当裁判所は,1000円切手の購入費用については,本件使途基準に従って適正に使用されたものではないと判断するので,仮に,当該1000円切手が上記郵便料金の納付に用いられたもの- 21 -であるとした場合でも,政務調査費の二重取得は生じない。 被控訴人らの主張は,いずれも採用することができない。 (3) 以上によれば,切手による郵便料の納付額76万9230円については,全額につき政務調査費を充てることができる の二重取得は生じない。 被控訴人らの主張は,いずれも採用することができない。 (3) 以上によれば,切手による郵便料の納付額76万9230円については,全額につき政務調査費を充てることができる。 9 争点(3)のうちQ議員のインターネット関連費用の支出額について(1) この支出は,ホームページは議員の自己宣伝にすぎないからその経費は政務調査費の対象とならないこと,平成16年度分の経費に平成17年度の政務調査費を支出してはならないことを被控訴人らが主張するものであるところ,証拠(甲5,13,19,乙24,30,38)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ア Q議員は,自身のウェブサイト(甲19は,平成18年ころのウェブサイトの一部)をインターネット上に開設し,株式会社Rにウェブサイト更新等の業務を依頼し,同社に対してウェブサイト更新料,ドメイン利用料,ブログ費用を支払ってきた。平成17年度の支払総額は70万7700円で,平成17年3月から平成18年2月までの期間を対象とする支払であった。その全額が,控訴人補助参加人の平成17年度政務調査費のうちの広報費として計上されている。 なお,平成17年3月分のホームページ更新料,ブログ費用及びドメイン利用料の合計額は10万7100円であり,Q議員は,平成17年3月30日に請求を受け,同年4月12日に支払をしている。 イ政治家が開設するインターネット上のウェブサイトは,特に写真や動画を多用する場合には,これを通常人の目から見たとき,宣伝ポスター(議員の顔写真と氏名を大きく掲載したもの)と同一の機能を有し,議員の宣伝的機能を主要な機能の一つとするものとみられるのが普通である。 Q議員のウェブサイトは,同議員の市政報告に当たる部分が一定の部- 22 -分を占めてお たもの)と同一の機能を有し,議員の宣伝的機能を主要な機能の一つとするものとみられるのが普通である。 Q議員のウェブサイトは,同議員の市政報告に当たる部分が一定の部- 22 -分を占めており,市政報告が当該ウェブサイトの重要な目的の一つであることは否定できないが,他方において,議員の氏名を大書し,随所に議員の写真が多数用いられており,通常人の目からこれを見たとき,名前や顔の売り込みという議員の宣伝機能も当該ウェブサイトの主要な目的の一つとなっていることも否定できない。そして,読者に訴えかける力についてみると,市政報告的側面と個人宣伝的側面について,いずれかの側面が明らかに他の側面より強いとはいえない。 (2) 以上の事実に基づいて検討する。 議員のウェブサイト(ホームページ)にはQ議員の個人宣伝的な側面と市政報告的な側面が混在しており,いずれが明らかに多いともいえないから,その更新やドメイン料等に要する費用の全額を政務調査費から支出するのは目的外使用の疑いが濃厚であり,半額の支出が許されるにとどまる。 政務調査費の交付を受けた各会派は,その自律的な判断により,例えば,政務調査費の支出の計上時期を現金の支出時とする基準(現金主義)を採用することも許される。地方自治法その他の関係法令に,そのような取扱いを禁止する定めがないからである。そして,控訴人補助参加人は,このような現金主義を採用しているものとみられる。被控訴人らは,平成16年度に支払時期が到来したものに平成17年分の政務調査費を充てることはできないと主張するが,そのように解すべき法的論拠はない。そうすると,前年度(平成17年3月分)のホームページ更新料,ブログ費用及びドメイン利用料の合計額10万7100円を平成17年4月12日に平成17年度の政務調査費から支出する すべき法的論拠はない。そうすると,前年度(平成17年3月分)のホームページ更新料,ブログ費用及びドメイン利用料の合計額10万7100円を平成17年4月12日に平成17年度の政務調査費から支出することについて,被控訴人らの主張するような違法の問題は生じない。 (3) したがって,インターネット関連費用(70万7700円)のうち,半額(35万3850円)については政務調査費から支出することができるが,これを超える部分(35万3850円)については政務調査費から支- 23 -出することができない。 10 争点(3)のうち控訴人補助参加人による撤回分を上回る広報費支出及び争点(3)の結論について(1) 控訴人が政務調査費収支報告書の支出額に計上されていない広報費の支出を主張することの可否についての当裁判所の判断は,原判決38頁12行目から同41頁1行目までに記載のとおりであるから,これを引用する。 (2) A議員による平成18年3月27日の広報紙発送費用27万円(乙14)についてア証拠(甲1,5,乙13,14,30,32,証人A)及び弁論の全趣旨によれば,A議員は,8の(1)イとは別に,平成18年3月27日,「P」53号から55号までを郵便により発送して配布し,その郵便料金27万円を同額分の郵便切手により支払ったこと,控訴人補助参加人の代表者はこの郵便料金を会派のためのものとして承認していたが,平成17年度における収支報告書の支出額には算入しなかったことが認められる。 イ 8の(1)及び(2)において説示したところによれば,アの27万円は,「議員の調査研究に資する」ものとして,その全額を政務調査費から支出することができる性質のものである。 ウそうすると,控訴人補助参加人の不当利得額を算定するに当たっては,平成17年度 7万円は,「議員の調査研究に資する」ものとして,その全額を政務調査費から支出することができる性質のものである。 ウそうすると,控訴人補助参加人の不当利得額を算定するに当たっては,平成17年度の政務調査費収支報告書記載の支出額のうち不当に利得した額から,この27万円を控除するべきである。 (3) S議員による広報紙の制作費用及び発送代行費用の支出額計158万9250円(乙28,29)についての当裁判所の判断は,原判決41頁13行目から同42頁18行目までに記載のとおりであるから,これを引用する。 そうすると,控訴人補助参加人の不当利得額を算定するに当たっては,- 24 -平成17年度の政務調査費収支報告書記載の支出額のうち不当に利得した額から,この158万9250円を控除するべきである。 (4) 控訴人補助参加人の不当利得額をまとめると,次のとおり155万1172円となる。 ア 1000円切手の購入費用(4(1)) 162万円イ広報配布料・C議員分(5) 96万8500円ウ後援会宛の領収証分(6) 44万2576円エ N社発行の領収証分(7) 9000円オ切手による郵便料金納付・A議員分(8) 0円カ E郵便局領収証書分(4(2)) 1万6500円キインターネット関連費用・Q議員分(9) 35万3850円ク社会福祉協議会からの切手購入(4(3)) 0円ケ(控除分)広報配布料・A議員分(10(2)) -27万円コ(控除分)広報紙制作発送費用・S議員分(10(3))-158万9250円 )) 0円ケ(控除分)広報配布料・A議員分(10(2)) -27万円コ(控除分)広報紙制作発送費用・S議員分(10(3))-158万9250円サ収支報告書の差し引き金額 -4円横浜市は,控訴人補助参加人に対し,前記155万1172円について,不当利得に基づく返還請求権を有しており,控訴人はその行使を違法に怠っているというべきである。 他方,前記各議員において違法な政務調査費を支出したこと自体が控訴人補助参加人の横浜市に対する不法行為に当たるとはいえないから,横浜市が控訴人補助参加人に対し不法行為に基づく損害賠償請求権を有するとは認められず,控訴人がその行使を違法に怠っているとはいえない。 11 争点(4)(公明党市議団における個別の広報費支出の適否)についての当裁判所の判断は,原判決44頁1行目から同49頁1行目までに記載のとおりであるから,これを引用する。 - 25 - 12 よって,被控訴人らの請求は,控訴人に対し,控訴人補助参加人に対して155万1172円の不当利得返還請求をすべき旨を求める限度で理由があり,その余はいずれも理由がないから,その趣旨に従い原判決を変更することとして,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第17民事部 裁判長裁判官南 敏文 裁判官野山 宏 裁判官野村高弘 裁判官 野村高弘
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