【DRY-RUN】主 文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事 実 原告は、「被告が原告に対し昭和二六年七月四日付でした裁決を取消す。訴訟費 用は
主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 原告は、「被告が原告に対し昭和二六年七月四日付でした裁決を取消す。訴訟費用は被告の負担とする。」旨の判決を求め、その請求の原因として、原告は、昭和二六年四月二三日施行の山口県熊毛郡a村議会議員一般選挙に当選し、同日同村選挙管理委員会から右当選の告知を受け、爾来同村議会議員としてその職務を遂行しているものであるが、訴外Aは、原告の右当選の効力に関し同村選挙管理委員会に異議を申立て、該申立が棄却されたので、更に被告に対し訴願したところ、被告は同年七月四日右選挙における原告の当選を無効とする旨の裁決をした。しかしてその裁決理由は、右選挙の選挙人訴外B、C、Dの各投票は選挙人の現在場所における代筆による不在者投票であるから、各投票用封筒の表面に代筆者の住所氏名を記載するを要するにもかかわらず、その記載がなく、又同選挙の選挙人訴件Eの不在者投票はその実子訴外Fが右訴件人の投票の如く装つてしたものであるから、いづれも無効であつて、且つ以上の四票は何人に対する投票かその所属不明の所謂潜在無効投票であるから、これを各当選者の得票数から順次控除してみると、原告の得票数は最高位落選者訴外Gの得票数以下となるので、原告を当選者と決定できず、右選挙における原告の当選を無効とすべきであるというにある。しかし同選挙における選挙人訴外B、C、Dはいづれも老齢あるいは疾病等のため歩行が困難であることを理由に各その現在場所における不在者投票をしたもので、原告は、それぞれ右訴外人等の依頼によつて投票の代筆をしたが、各投票用封筒の表面に代筆者としての原告の住所氏名等を記載しなかつたのは、当時選挙管理委員会等から何等の注意なくこの点について知識がないため右 、それぞれ右訴外人等の依頼によつて投票の代筆をしたが、各投票用封筒の表面に代筆者としての原告の住所氏名等を記載しなかつたのは、当時選挙管理委員会等から何等の注意なくこの点について知識がないため右の記載を遺脱したものであり、且つ同村選挙管理委員会も右各投票を受理したのであるから、今更如上の手続上の遺漏を理由にこれ等投票を無効とすべきではない。しかして又、仮りに原判決理由のように同選挙においては右三票のほか選挙人訴外Eの投票も無効であるとしても、以上四票は帰属不明の投票というべきであるから、かかる無効投票は当選者の得票にのみ含まれ、落選者の得票中に存しないとは言明できず、従つて当選者のみならず落選者の得票数からもこれを控除すべきである。よつて、右選挙においては、その最下位当選者である原告の得票数は八五票、最高位落選者である訴外Gの得票数は八三票であるから、それぞれ両者から右四票を控除してみると、前者は八一票、後者は七九票となり、両者を比較するも、原告が当選者であることにかわりないので、原告の当選を無効とするいわれはない。以上いづれの点からみるも、原裁判は失当というべきであるから、その取消を求めるため本訴に及ぶと陳述し、被告主張事実のうち、訴外Cが文盲であるることは認めるが、訴外Dも文盲であるとの点を否認すると答え、証拠として証人Hの尋問を求めた。 被告代表者は、主文同旨の判決を求め、答弁として、原告主張事実のうち、原告がその主張の選挙に当選したものとして右a村選挙管理委員会から当選の告知を受けたこと、原告の右当選の効力に関し原告主張の異議申立、これに対する決定、訴願、裁決があつたこと、訴外B、C、Dが右選挙の選挙人であつたこと、右選挙において原告が得票八五票を以て最下位当選者とされ、訴外Gが得票八三票を以て最上位落選者となつたことは認 これに対する決定、訴願、裁決があつたこと、訴外B、C、Dが右選挙の選挙人であつたこと、右選挙において原告が得票八五票を以て最下位当選者とされ、訴外Gが得票八三票を以て最上位落選者となつたことは認めるが、その余の事実を否認する。しかして右選挙において訴外B、C、Dの投票は同訴外人がしたものとされているが、右各訴外人は全々該投票に関与せず、又仮りに同訴外人三名が右選挙において選挙人の現在場所における代筆による不在者投票の方法で投票したとするも、右各投票はいづれもその有効要件である投票用封筒の表面に代筆者の住所氏名が記載されなかつたのみならず、訴外Bは当時身体の故障によつて自ら候補者の氏名を記載することができなかつた選挙人ではなかつたし、訴外C、Dはいづれも文盲であるから、これ等いづれの点からするも右訴外人三名の投票は無効である。 次に、同選挙における選挙人訴外Eのしたものとされた不在者投票はその実子訴外Fが右訴外人の投票の如く装つてしたものであるから、この投票も無効である。 ところが、以上の無効投票四票のうち、訴外B、C、Dの投票はいづれも原告に対し投票されたものであるので、これを原告の得票数から差引くべく、又訴外Eの投票はその所属不明の潜在無効投票であるから、各当選者の得票数から順次控除すべきであつて、この方法によつて計算してみると、原告の得票八五票は八一票となり、訴外Gの得票八三票より少数となるから原告を当選者と決定できず、同選挙における原告の当選は無効とすべきである。故に原裁決は相当であつて、本訴請求は理由がないと述べ、証拠として、証人B、C、D、Eの尋問を求めた。 理由 原告が原告主張の本件選挙に当選したものとして山口県熊毛郡a村選挙管理委員会から当選告知を受けたこと、原告の右当選の効力に関し原告主張の異 C、D、Eの尋問を求めた。 理由 原告が原告主張の本件選挙に当選したものとして山口県熊毛郡a村選挙管理委員会から当選告知を受けたこと、原告の右当選の効力に関し原告主張の異議申立これに対する決定、訴願裁決がなされたこと、訴外B、C、D、Eが本件選拳の選挙人であること、本件選挙において原告が得票八五票を以て最下位で当選したものとされ、訴外Gが得票八三点で最高位落選者とされたことは、当事者間に争いがない。 そこでまず本件第一の争点である右選挙人等の投票の効力について考えてみるのであるが、証人B、Eの各証言に弁論の全趣旨を総合すると、訴外B、Eは本件選挙の投票をしなかつたもので、同訴外人等のしたものとされた投票はいづれもこれ等訴外人不知の間に第三者によつて擅にされたものであることが認められ、他に右認定を左右する証拠がないから、この二票は各選挙人の投票意思に基かない第三者のした無効投票というべきである。次に、証人Hの証言によれば、訴外Cが原告主張の方法で投票したことが認められ、この点に関する証人Cの証言部分は措信し難く、他に右認定を覆すに足る資<要旨>料がないが、同訴件人が文盲であることは当事者間に争いのないところである。しかし、選挙人の現在する場</要旨>所における代筆による不在者投票を許される者は公職選挙法施行令第五八条第二項の規定によつて同条第一項の場合において身体の故障に因つて自ら候補者の氏名を記載することができない選挙人に限られ、これに文盲の選挙人を含まないことは公職選挙法第四八条の規定と同法第四九条の規定を比照し、同法施行令第五八条第一、二項の規定の趣旨、文理に徴し明白であるから、文盲である同訴件人の右投票は法令の許容しない方法でされた無効のものといわなければならない。 しかして、当選の効力を定める手続に 同法施行令第五八条第一、二項の規定の趣旨、文理に徴し明白であるから、文盲である同訴件人の右投票は法令の許容しない方法でされた無効のものといわなければならない。 しかして、当選の効力を定める手続においては、以上の如き理由による無効投票についてもそれが何人に対する投票であるかは取調べてはならないものと解すべきであるから、結局右三票はその帰属不明の所謂潜在無効投票というべく、かかる無効投票は各当選者の得票から差引いてみて、最高位落選者より下位になる者があれば、その者を当選者と決定することができず、従つてその当選は無効というべきである。しからば、本件においては、訴外Dの投票の効力その他の争点について判断するまでもなく、本件選挙の最下位当選者とされた原告の得票八五票から敍上の無効投票三票を控除すると八二票となり、最高位落選者訴外Gの得票八三票より下位となるから、原告を当選者と決定することができず、本件選挙における原告の当選は無効というべきである。以上のとおりであるから、これと結論を同じくする原裁決は相当であつて、本訴請求は理由なきに帰するから、これを棄却するものとし、訴訟費用の負担について民事訴訟法第八九条を適用し、主文のとおり判決する。 (裁判長判事植山日二判事宮田信夫判事池田章)
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