平成26年11月28日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成25年(ワ)第24709号特許権侵害差止等請求事件(口頭弁論終結の日平成26年9月12日)判決東京都渋谷区<以下略>原告甲同訴訟代理人弁護士吉澤尚同訴訟復代理人弁護士采木俊憲同訴訟代理人弁理士高梨玲子同播磨里江子同補佐人弁理士白坂一同彦坂恵子東京都渋谷区<以下略>被告株式会社オークファン同訴訟代理人弁護士高橋雄一郎同阿部実佑季 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告は,別紙物件目録記載のシステムを生産し,使用し,譲渡し,貸し渡し,譲渡の申出又は貸渡しの申出をしてはならない。 2 被告は,別紙物件目録記載のシステムを廃棄せよ。 3 被告は,原告に対し,2240万円及びこれに対する平成25年10月5日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要等 本件は,発明の名称を「ネット広告システム」とする特許権を有する原告が,被告の管理運営に係る別紙物件目録(以下,本文中に定義した略語は,同目録 よる金員を支払え。 第2 事案の概要等本件は,発明の名称を「ネット広告システム」とする特許権を有する原告が,被告の管理運営に係る別紙物件目録(以下,本文中に定義した略語は,同目録中でも用いる。)記載のシステム(以下「被告製品」といい,同目録中の被告製品の構成の説明aないしgをそれぞれの記号に従い,「被告構成a」などという。)が,同特許権に係る上記発明の技術的範囲に含まれるなどと主張して,被告に対し,特許法100条1項に基づく差止請求として,被告製品の生産等の禁止(以下「本件請求(1)」ということがある。),同条2項に基づく廃棄請求として,被告製品の廃棄(以下「本件請求(2)」ということがある。),不法行為に基づく損害賠償請求として2240万円(附帯請求として訴状送達の日の翌日である平成25年10月5日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金)の支払を求めた事案である。 1 前提事実(争いのない事実以外は,証拠等を末尾に記載する。)(1) 当事者ア原告は,下記(2)記載の特許権を有する者である。 イ被告は,「aucfan.com(オークファン)」の名称で,インターネットオークションにおける商品及び価格情報の比較・検索・分析等を可能とする情報を提供するウェブサイト(以下「被告サイト」という。 URLは,<略> である。)を運営する株式会社である(甲8,弁論の全趣旨)。 (2) 原告の有する特許権ア原告は,次の特許権を有している(以下「本件特許権」といい,本件特許権に係る特許を「本件特許」という。)。 発明の名称ネット広告システム特許番号第5177727号出願日平成12年12月20日 出願番号特願200 。 発明の名称ネット広告システム特許番号第5177727号出願日平成12年12月20日 出願番号特願2000-387381登録日平成25年1月18日イ本件特許に係る明細書(以下,図面と併せて,「本件明細書」という。 参照の便宜のため,本件特許の特許公報の写し(甲2)を本判決末尾に別添として添付する。)の「特許請求の範囲」における請求項1の記載は,次のとおりである(以下,同項に記載された発明を「本件発明」という。)。 「インターネットに接続可能な端末であるクライアントと,前記クライアントからの要求により該当する商品の広告をネット上で紹介提供する多数の参加企業のホームページが保管された複数のバナーサーバーと,前記バナーサーバーが提供する各前記企業の広告画像情報を予め分類仕分けして保管記憶した商品マスタを備えた店舗サーバーとからなる連携システムにおいて,前記店舗サーバーは,前記クライアントからのアクセスに基づき予めバナー情報マスタに記録保存された前記バナーサーバーのアイコンを含む当該店舗サーバーのホームページを当該クライアントのディスプレイ上に表示すると共に,表示された前記ホームページにおいて所定のバナーサーバーのアイコンが前記クライアントによってクリックされると前記クライアントのディスプレイ上に当該クライアントがクリックしたバナーサーバーから提供された前記広告画像情報を主表示すると共に,各前記企業のカテゴリーとそれに属するアイテムを体系的に記録した前記商品マスタから当該広告画像情報を表示した同一画面上に関連商品の他のバナーサーバーの広告画像情報の一覧表リストを副表示して両者を併記し,前記副表示されたバナーサーバーのアイ ムを体系的に記録した前記商品マスタから当該広告画像情報を表示した同一画面上に関連商品の他のバナーサーバーの広告画像情報の一覧表リストを副表示して両者を併記し,前記副表示されたバナーサーバーのアイコンが前記クライアントによってクリックされると,当該クリックされたアイコンのバナーサーバーから提供された前記広告画像情報を主表示し,且つ同一画面上に関連商品の他のバナーサーバーの広告画像情報の一覧 表リストを副表示することにより,該当する広告以外に他の店舗の商品リストを次々と閲覧可能にすることを特徴とするネット広告システム。」(3) 本件発明の構成要件本件発明を構成要件に分説すると,次のとおりである(以下,それぞれの記号に従い,「構成要件A」などという。)。 A インターネットに接続可能な端末であるクライアントと,B 前記クライアントからの要求により該当する商品の広告をネット上で紹介提供する多数の参加企業のホームページが保管された複数のバナーサーバーと,C 前記バナーサーバーが提供する各前記企業の広告画像情報を予め分類仕分けして保管記憶した商品マスタを備えた店舗サーバーとからなる連携システムにおいて,D 前記店舗サーバーは,前記クライアントからのアクセスに基づき予めバナー情報マスタに記録保存された前記バナーサーバーのアイコンを含む当該店舗サーバーのホームページを当該クライアントのディスプレイ上に表示すると共に,E 表示された前記ホームページにおいて所定のバナーサーバーのアイコンが前記クライアントによってクリックされると前記クライアントのディスプレイ上に当該クライアントがクリックしたバナーサーバーから提供された前記広告画像情報を主表示すると共に,F 各前記企業のカテゴリーとそれに属するアイテムを体系的に記録 と前記クライアントのディスプレイ上に当該クライアントがクリックしたバナーサーバーから提供された前記広告画像情報を主表示すると共に,F 各前記企業のカテゴリーとそれに属するアイテムを体系的に記録した前記商品マスタから当該広告画像情報を表示した同一画面上に関連商品の他のバナーサーバーの広告画像情報の一覧表リストを副表示して両者を併記し,G 前記副表示されたバナーサーバーのアイコンが前記クライアントによってクリックされると当該クリックされたアイコンのバナーサーバー から提供された前記広告画像情報を主表示し,且つH 同一画面上に関連商品の他のバナーサーバーの広告画像情報の一覧表リストを副表示することにより,I 該当する広告以外に他の店舗の商品リストを次々と閲覧可能にすることを特徴とするネット広告システム。 2 争点(1) 本件請求(1)及び(2)に係る本件訴えの適法性(争点1)(2) 侵害の成否(争点2)ア構成要件充足性(争点2-ア)イ複数主体による侵害(予備的主張)の成否(争点2-イ)ウ均等侵害(予備的主張)の成否(争点2-ウ)エ間接侵害(予備的主張)の成否(争点2-エ)(3) 差止め及び廃棄請求の可否(争点3)(4) 損害(争点4) 3 争点に関する当事者の主張(1) 争点1(本件請求(1)及び(2)に係る本件訴えの適法性)について【原告の主張】被告は,本件請求(1)及び(2)に係る本件訴えが不適法である旨主張するが,同訴えは,以下のとおり,適法である。 ア(ア) 「システム」の発明は,特許法上,「物」の発明であるから,その「物」の廃棄は,不能な行為ではない。 (イ) 被告製品を説明したウェブサイトには,被告の開発部において,被告製品のインフラ整備や開発を行っ ステム」の発明は,特許法上,「物」の発明であるから,その「物」の廃棄は,不能な行為ではない。 (イ) 被告製品を説明したウェブサイトには,被告の開発部において,被告製品のインフラ整備や開発を行っていることを示す記載があること(甲13),被告がした特許出願に係る明細書及び図面にも,サーバーとインターネットを介して接続された端末であるクライアントとして管理コンピュータが必要であることが記載されていること(甲9,10) からすれば,被告製品がクライアントを備えていることは明らかであって,その使用を禁止することは,不能な行為ではない。 イ原告において被告製品を入手して分析することが困難であること,このようなシステムがビジネスモデルと密接に関連していることに鑑み,原告は,被告のウェブサイト表示及びビジネスモデルに基づいて,被告製品を特定した。 【被告の主張】ア本件請求(1)及び(2)の対象とされる被告製品(別紙物件目録記載のシステム)には,被告の運営に係るものではない「ユーザー端末1」や「インターネットN」が含まれており(同目録の別紙図面の図5(a)参照),本件事実審の口頭弁論終結後に被告製品が「生産」されることはあり得ない。 したがって,被告製品の「譲渡」,「貸渡し」,「譲渡の申出」又は「貸渡しの申出」並びにその「廃棄」を想起することはできず,本件請求(1)及び(2)に係る本件訴えは,不能な行為の禁止を求めるもので不適法である。 イ本件請求(1)及び(2)は,差止請求及びその付随請求であり,被告製品が特定されていなければならないが,別紙物件目録には,図1にビジネスモデルや収益モデルが掲載されており,これが特定とどのような関係を持つのか不明である。したがって,本件請求(1)及び(2)に係る本件訴えは,対象が不明確で らないが,別紙物件目録には,図1にビジネスモデルや収益モデルが掲載されており,これが特定とどのような関係を持つのか不明である。したがって,本件請求(1)及び(2)に係る本件訴えは,対象が不明確であり,不適法である。 (2) 争点2-ア(構成要件充足性)について【原告の主張】ア被告の侵害態様について被告は,被告により製造された被告製品を使用して被告サイトを運営している。被告は,ヤフー株式会社(以下「ヤフー社」という。)が開催するオークションに関する商品画像情報を,被告製品におけるサーバー11 (以下「被告サーバー」という。)に保存し,開催中のオークションについては,いったんヤフー社のサーバー(以下「ヤフーサーバー」という。)へリンクを張ることにより商品画像を表示している。そして,被告は,落札が終了した過去のオークションについては,あらかじめ被告サーバーに保存しておいた商品画像情報から呼び出した商品画像を表示するようにして,過去のオークションを閲覧させることを有料のサービスとするビジネスモデルを展開している。開催中のオークション情報は,落札終了後には,過去のオークション情報として被告製品のサーバーに保存した張り替え,有料でユーザーに提供される。 このように開催中のオークション及び過去のオークションは密接に関連しており,被告の侵害行為はこれらすべての態様にわたって行われているから,開催中のオークションと過去のオークションは分離独立したサービスではなく,一連の流れとして一体として理解すべきである。 そこで,被告の侵害態様は,①現在開催中のオークションに関するパソコンサイト(以下「PCサイト態様1」という。)及びモバイルサイト(以下「モバイルサイト態様1」という。),②過去に開催されたオークションに関するパソコン は,①現在開催中のオークションに関するパソコンサイト(以下「PCサイト態様1」という。)及びモバイルサイト(以下「モバイルサイト態様1」という。),②過去に開催されたオークションに関するパソコンサイト(以下「PCサイト態様2」という。)及びモバイルサイト(以下「モバイルサイト態様2」という。)により分けられ,それぞれの画面遷移は,PCサイト態様1では別紙物件目録の別紙図面の図2→図3→図4(「→」は左の図に示される画面から右の図に示される画面に遷移することを意味する。以下,同じ。),モバイルサイト態様1では同図面の図6→図7→図8,PCサイト態様2では同図面の図9→図10-1→図11-1,モバイルサイト態様2では同図面の図12→図13-1となる。 また,後述するように,仮に,被告による被告サーバー単体に係る運営をもって本件特許権を侵害するといえないとしても,被告は,ヤフー社と 共同して侵害行為を行っているとみることもできるから,被告サーバー単体に係る運営により本件特許権を侵害する態様の構成(以下「被告が運営する被告サーバー構成」という。)と,被告サーバー及びヤフーサーバーを組み合わせた運営により本件特許権を侵害する態様の構成(以下「組み合わせ構成」という。)との2つの構成が,上記PCサイト態様1及び同2,モバイルサイト態様1及び同2のそれぞれにおいて考えられる。 イ被告製品の構成についての被告の主張に対する反論被告製品の構成についての被告の主張に対する反論は,別紙「被告製品の構成に関する主張の対比」の「原告主張」の欄に記載のとおりである(なお,「原告主張」の欄と「被告主張」の欄において区分線がない箇所は,原告主張及び被告主張において争いのない構成である。)。 ウ本件発明と被告製品との対比(総論)以上を前提 載のとおりである(なお,「原告主張」の欄と「被告主張」の欄において区分線がない箇所は,原告主張及び被告主張において争いのない構成である。)。 ウ本件発明と被告製品との対比(総論)以上を前提に,本件発明の各構成要件と被告製品の各構成とを対比すると,被告製品は,以下のとおり,いずれの侵害態様においても,本件発明の構成要件すべてを充足し,本件発明の技術的範囲に属する(なお,構成要件の解釈等に関する原告の補足的主張については,後述する。)。 [PCサイト態様1](ア) 構成要件AないしCについて本件発明の構成要件Aは,「インターネットに接続可能な端末であるクライアントと」,構成要件Bは,「前記クライアントからの要求により該当する商品の広告をネット上で紹介提供する多数の参加企業のホームページが保管された複数のバナーサーバーと」,構成要件Cは,「前記バナーサーバーが提供する各前記企業の広告画像情報を予め分類仕分けして保管記憶した商品マスタを備えた店舗サーバーとからなる連携システムにおいて」であるところ,被告構成aは,「クライアントとサーバーとで構成されるクライアントサーバモデルを利用したシステムにお いて」である。別紙物件目録の別紙の図1に示すとおり,被告製品のシステム1は,クライアントサーバモデルを利用している。 このモデルには,オークションの販売者・出品者のホームページ等のデータを蓄積するためのサーバー及び蓄積されたデータの商品/価格を企業ごとに比較・検索・分析を可能とするデータベースが存在し,これらは,構成要件Bのバナーサーバー及び構成要件Cの店舗サーバーに該当する。 具体的には,別紙物件目録の別紙の図1,図2に示すとおり,被告製品のシステム1は,クライアントの画面上に,商品情報画像のアイコン2を含む画面3 ーサーバー及び構成要件Cの店舗サーバーに該当する。 具体的には,別紙物件目録の別紙の図1,図2に示すとおり,被告製品のシステム1は,クライアントの画面上に,商品情報画像のアイコン2を含む画面3を表示する。 この商品情報画像のアイコン2は,この商品情報画像に対応する商品を提供する企業の名称とともに表示されており,これら企業の名称と商品情報画像等を対応付けて記憶する部分が存在することは明らかである。 また,被告製品のシステム1は,商品情報画像を企業の名称ごとに分類して表示しており,これら企業の名称と商品情報画像等を分類し保管する部分が存在することは明らかである。 よって,被告構成aは,本件発明の構成要件AないしCを充足する。 (イ) 構成要件Dについて本件発明の構成要件Dは,「前記店舗サーバーは,前記クライアントからのアクセスに基づき予めバナー情報マスタに記録保存された前記バナーサーバーのアイコンを含む当該店舗サーバーのホームページを当該クライアントのディスプレイ上に表示すると共に」であるところ,被告構成bは,「上記サーバー11は,クライアントからの要求に基づいて,商品情報画像のアイコンを含む画面をクライアント端末12の画面上に表示し」である。 別紙物件目録の別紙の図1,図2に示すとおり,サーバー11は,ク ライアント端末12からの要求に基づいて,商品情報画像のアイコン2を含む画面3をクライアントの画面上に表示している。なお,図2では,商品情報画像のアイコンとして,一つのアイコンのみを符号2で示しているが,表示されているアイコンはすべて,構成要件Dのアイコンに該当する。 よって,被告構成bは,本件発明の構成要件Dを充足する。 (ウ) 構成要件Eについて本件発明の構成要件Eは,「表示された前記ホームページに るアイコンはすべて,構成要件Dのアイコンに該当する。 よって,被告構成bは,本件発明の構成要件Dを充足する。 (ウ) 構成要件Eについて本件発明の構成要件Eは,「表示された前記ホームページにおいて所定のバナーサーバーのアイコンが前記クライアントによってクリックされると前記クライアントのディスプレイ上に当該クライアントがクリックしたバナーサーバーから提供された前記広告画像情報を主表示すると共に」であるところ,被告構成cは,「上記サーバー11は,上記アイコンがユーザーによってクリックされると,クライアント端末12の画面上に,当該ユーザーがクリックしたアイコンに対応する商品情報画像を主表示した画面を表示し」である。 別紙物件目録の別紙の図1ないし図3に示すとおり,サーバー11は,アイコン2がユーザーによってクリックされると,クライアントの画面上に,当該ユーザーがクリックしたアイコン2に対応する商品情報画像4を主表示した画面5を表示している。 よって,被告構成cは,本件発明の構成要件Eを充足する。 (エ) 構成要件Fについて本件発明の構成要件Fは,「各前記企業のカテゴリーとそれに属するアイテムを体系的に記録した前記商品マスタから当該広告画像情報を表示した同一画面上に関連商品の他のバナーサーバーの広告画像情報の一覧表リストを副表示して両者を併記し」であるところ,被告構成dは,「同時に,上記サーバーは,上記商品情報画像が主表示された画面と同 一画面上に,上記商品情報画像の商品に関連する,複数の商品の商品情報画像のアイコンのリストを副表示し」である。 別紙物件目録の別紙の図1ないし図3に示すとおり,サーバー11は,商品情報画像4が主表示された画面5と同一画面上に,商品情報画像4の商品に関連する,複数の商品の商品情報画 ストを副表示し」である。 別紙物件目録の別紙の図1ないし図3に示すとおり,サーバー11は,商品情報画像4が主表示された画面5と同一画面上に,商品情報画像4の商品に関連する,複数の商品の商品情報画像のアイコン6のリスト7を副表示している。 よって,被告構成dは,本件発明の構成要件Fを充足する。 (オ) 構成要件Gについて本件発明の構成要件Gは,「前記副表示されたバナーサーバーのアイコンが前記クライアントによってクリックされると,当該クリックされたアイコンのバナーサーバーから提供された前記広告画像情報を主表示し,且つ」であるところ,被告構成eは,「上記サーバー11は,上記副表示されたアイコンがユーザーによってクリックされると,クライアント端末12の画面上に,当該ユーザーがクリックしたアイコンに対応する商品情報画像を主表示する画面を表示し」である。 別紙物件目録の別紙の図1,図3,図4に示すとおり,サーバー11は,副表示されたアイコン6がユーザーによってクリックされると,クライアントの画面上に,当該ユーザーがクリックしたアイコン6に対応する商品情報画像8を主表示する画面9を表示している。 よって,被告構成eは,本件発明の構成要件Gを充足する。 (カ) 構成要件Hについて本件発明の構成要件Hは,「同一画面上に関連商品の他のバナーサーバーの広告画像情報の一覧表リストを副表示することにより」であるところ,被告構成fは,「同時に,上記サーバー11は,上記商品情報画像が主表示された画面と同一画面上に,上記商品情報画像の商品に関連する,複数の商品の商品情報画像のアイコンのリストを副表示する」で ある。 別紙物件目録の別紙の図1,図4に示すとおり,サーバー11は,商品情報画像8が主表示された画面9と同一画面上に,商品情報画 品の商品情報画像のアイコンのリストを副表示する」で ある。 別紙物件目録の別紙の図1,図4に示すとおり,サーバー11は,商品情報画像8が主表示された画面9と同一画面上に,商品情報画像8の商品に関連する,複数の商品の商品情報画像のアイコンのリスト10を副表示している。 よって,被告構成fは,本件発明の構成要件Hを充足する。 (キ) 構成要件Iについて本件発明の構成要件Iは,「該当する広告以外に他の店舗の商品リストを次々と閲覧可能にすることを特徴とするネット広告システム。」であるところ,被告構成gは,「上記構成により,ユーザーは,主表示される商品情報画像以外の商品情報画像を次々と閲覧可能となる。」である。 よって,被告構成gは,本件発明の構成要件Iを充足する。 [モバイルサイト態様1]モバイルサイト態様1との対比については,上記PCサイト態様1における主張のうち,図2を図6に,図3を図7に,図4を図8に読み替える以外は,上記PCサイト態様1における主張と同様である。 [PCサイト態様2]PCサイト態様2との対比については,上記PCサイト態様1における主張のうち,図2を図9に,図3を図10-1,10-2に,図4を図11-1,11-2に読み替える以外は,上記PCサイト態様1における主張と同様である。 [モバイルサイト態様2]モバイルサイト態様2との対比については,上記PCサイト態様1における主張のうち,図2を図12に,図3を図13に読み替える以外は,上記PCサイト態様1における主張と同様である(ただし,原告は,図 4に対応するものについては,主張していない。)。 エ構成要件Aの「クライアント」について争点1(前記(1))において主張したように,被告製品のシステムを説明したウェブサイト 4に対応するものについては,主張していない。)。 エ構成要件Aの「クライアント」について争点1(前記(1))において主張したように,被告製品のシステムを説明したウェブサイトには,被告の開発部において,被告製品のインフラ整備や開発を行っていることを示す記載があること(甲13),被告がした特許出願に係る明細書及び図面にも,サーバーとインターネットを介して接続された端末であるクライアントとして管理コンピュータが必要であることが記載されていること(甲9,10)からすれば,被告製品がクライアントを備えていることは明らかであって,これらは,本件発明の構成要件Aのインターネットに接続可能な端末である「クライアント」に相当する。 オ構成要件Bの「バナーサーバー」及び同Cの「店舗サーバー」を備えていることについて(ア) サーバーの構成についてサーバーを構成するコンピュータ装置は,種々のサーバーソフトウェアを実行することにより,これらサーバーソフトウェアの各々に対応する複数の処理を提供する。 したがって,物理的にサーバー装置が分かれていなくても,機能的に各サーバーが存在しうることは,この技術分野における常識的なサーバーのとらえ方であると考えられる(甲20・図(a))。 本件発明においても,これらサーバーソフトウェアの各々に対応する処理を提供する部分のそれぞれを個別の構成要件として記載するのは当然であるが,これら構成要件の一つ一つがコンピュータ装置として独立して存在するのか,あるいは,これら構成要件の複数が一つのコンピュータ装置に共存するのかについては,限定されていないと解される。 したがって,構成要件Bの「バナーサーバー」と同Cの「店舗サー バー」の解釈としても,これら構成要件の複数が一つのコンピュー 装置に共存するのかについては,限定されていないと解される。 したがって,構成要件Bの「バナーサーバー」と同Cの「店舗サー バー」の解釈としても,これら構成要件の複数が一つのコンピュータ装置に共存するのか(甲20・図(b)),あるいはこれら構成要件の一つ一つがコンピュータ装置として独立して存在するのか(甲20・図(c))については,限定されていないと解するべきであり,被告製品が,本件発明の各構成要件の機能のすべてを有しているのであれば,被告製品における各機能がコンピュータ装置として独立して存在するのか,あるいは,これら機能の複数が一つのコンピュータ装置に共存するのかに関わらず,被告製品を実施する行為は,本件特許を侵害する。 (イ) 「バナーサーバー」を備えること(構成要件B)について被告は,ネット上でオークションを開催するヤフー社が提供するYahoo!オークション,楽天株式会社が提供する楽天オークション,株式会社モバオクが提供するモバオク等の企業のウェブページに掲載された商品のオークション情報を収集しており,被告サーバーは,少なくとも過去に開催されたオークションの広告画像情報を含む取引情報について保管しているから,被告製品は,「バナーサーバー」の機能を有するサーバーを有しており,構成要件Bを充足する。 この点,被告は,過去のオークションの情報は,本件発明とは全く関係ないなどと主張するが,被告製品を利用した被告のビジネスモデルは,過去のオークション情報を参考にして,同カテゴリーに入る商品を検索できるようにして,オークションの取引に誘導するビジネスであり,過去のオークション情報の提供が出品者の商品の広告としての機能を果たしており,ネット広告システムとして機能していることはいうまでもない。 したがって,過去のオークシ 取引に誘導するビジネスであり,過去のオークション情報の提供が出品者の商品の広告としての機能を果たしており,ネット広告システムとして機能していることはいうまでもない。 したがって,過去のオークション情報を「商品の広告」として活用していることは明らかであり,多数の参加企業の「広告画像情報」を過去のオークション商品の画像情報として保管しているバナーサーバーがあ ることは否定できない。 (ウ) 「店舗サーバー」を備えること(構成要件C)について被告製品では,取得した商品データを分類してアイテム名やアイテムコードを付すなどして「マスタ」を作成していると紹介され(甲23参照),「商品マスタ」は,バナーサーバーが提供する各企業の広告画像情報を予め分類仕分けして保管記憶したものであるところ,被告製品は,少なくとも過去のオークションに係る広告画像情報を保管記憶しており,甲29号証の1ないし7の検索画面等から,広告画像情報を出品者ごとにカテゴリーや商品情報等で仕分け分類するマスタ,すなわち「商品マスタ」が存在することは明らかである。 また,「バナー情報マスタ」は,バナーサーバーのアイコンが記録保存されるものであるところ,被告サイトに表示された商品画像情報にはリンクが張られ,クリックするとその情報の詳細が表示されることからすると,これらの商品画像情報はアイコンに相当するものといえる。そして,被告製品は,少なくとも過去のオークションに係る広告画像情報を保管記憶している上,被告サイトでは,商品情報をカテゴリパス,タグ情報に仕分け分類し,店舗情報をデータ化しており,カテゴリパスは,被告サーバー中にヤフー社におけるデータをどのような書式で格納するか(商品マスタにどのような形式で登録するか)を表したものであり,タグ情報は,被告サーバー中に 報をデータ化しており,カテゴリパスは,被告サーバー中にヤフー社におけるデータをどのような書式で格納するか(商品マスタにどのような形式で登録するか)を表したものであり,タグ情報は,被告サーバー中に出品データの検索ワードをどのように区切って格納するか(商品マスタにどのような形式で登録するか)を表したものであり(甲27の1,30),検索は,個別のデータのコードやタグなどによって分類される。 したがって,被告製品には,個別の商品情報をアイテム名やアイテムコードを付してカテゴリーごとにタグなどを付して分類保管・管理するマスタが存在することは明らかである。 (エ) 結論以上から,被告製品は,「店舗サーバー」の機能を有するサーバーを有しており,構成要件Cを充足する。 カ構成要件DないしIについて(ア) 過去のオークション情報を提供する被告製品が構成要件DないしIを備えていることについてⅰ 被告製品は,開催中のオークションから検索を行うページと,落札相場として過去のオークション情報から検索を行うページとがタブにより切り替え可能な構成となっている(甲26)。 そして,過去のオークション情報から検索を行うウェブページでは,画面の主表示に過去のオークションに関する商品が表示され,副表示に開催中のオークションが表示される構成となっており,主表示及び副表示の保存先は,主表示が被告サーバー(<略>),副表示がヤフーサーバー(<略>)となっており,副表示された開催中のオークションをクリックして主表示させると,次のページでは主表示及び副表示ともに開催中のオークションが表示され,この状態が続いていく構成となっている。 ⅱ 出品された情報は,時間が経過すれば,過去のオークション情報に移行される。すなわち,被告は,ヤフー社で開催され 表示ともに開催中のオークションが表示され,この状態が続いていく構成となっている。 ⅱ 出品された情報は,時間が経過すれば,過去のオークション情報に移行される。すなわち,被告は,ヤフー社で開催されているオークションに関する商品画像情報を被告サーバーに保存し,開催中のオークションについては,ヤフーサーバーへリンクを張ることにより商品画像を表示しており,落札が終了した過去のオークション情報については,予め被告サーバーに保存しておいた商品画像情報から呼び出した商品画像を表示するようになっている。被告は,このように過去のオークション情報が検索可能なシステムを有料にて提供し,これを主な収入源としているのである。そして,副表示として,開催中のオー クションを表示するのであるから,過去のオークション情報に関心を持ったユーザーが開催中のオークションの取引へと進むサービスを提供しており,各オークション案件毎にネット広告システムとして機能していることになる。 (イ) 開催中のオークション情報を提供する被告製品が本件発明の構成要件DないしIを備えていることについて仮に,被告製品において主表示及び副表示される広告画像情報が被告サーバーに保存されたものでない場合であっても,後記(3)及び(4)(争点2-イ,ウ)において主張するように,複数主体による侵害行為及び均等論により,直接侵害が認められる。 【被告の主張】ア被告製品の構成について被告製品の構成についての被告の主張は,別紙「被告製品の構成に関する主張の対比」における「被告主張」の欄に記載のとおりである。 なお,別紙物件目録の「「2 符号の説明」における符号は,符号3,4,5,9及び12を除きいずれも否認する。 符号1(図1)が示しているものは「システム」ではなく,ビジネス 記載のとおりである。 なお,別紙物件目録の「「2 符号の説明」における符号は,符号3,4,5,9及び12を除きいずれも否認する。 符号1(図1)が示しているものは「システム」ではなく,ビジネスモデルの説明図であり,符号2(図2)は「商品情報画像のアイコン」ではなく,ヤフーのロゴ(2a),商品の縮小画像,オークション対象商品の説明文及び価格等の各種文字情報の集合体である商品説明(中)である。符号6(図3)は「商品情報画像のアイコン」ではなく,商品の縮小画像,対象商品の説明文及び価格等の各種文字情報の集合体である商品説明(小)であり,符号7(図3)は「商品情報画像のアイコンのリスト」ではなく,商品説明(小)のリストであり,符号8(図4)は「商品情報画像のアイコン」ではなく商品情報画像である。符号10(図4)は「商品情報画像のアイコンのリスト」ではなく,商品説明 (小)のリストである。符号11(図1)が示しているのはサーバーではなくビジネスモデルの説明図の一部である。 また,同別紙の被告製品の構成についての[PCサイト態様1]ないし[モバイルサイト態様2]の各実施態様のいずれにおいても,被告製品の構成eないしg(原告と被告との間で争いがない構成)によれば,被告製品は,少なくとも,構成要件C,D,E,F,G及びHを充足しない。 イ 「バナー情報マスタ」の不存在本件発明の構成要件Fは「・・・同一画面上に関連商品の他のバナーサーバーの広告画像情報の一覧表リストを副表示して両者を併記し」というものであり,構成要件Gは「前記副表示されたバナーサーバーのアイコンが前記クライアントによってクリックされると・・」というものであるから,構成要件Fで副表示される一覧表リスト内のアイテムは「アイコン」である。 そして,構成要件Dには れたバナーサーバーのアイコンが前記クライアントによってクリックされると・・」というものであるから,構成要件Fで副表示される一覧表リスト内のアイテムは「アイコン」である。 そして,構成要件Dには「・・・バナー情報マスタに記録保存された前記バナーサーバーのアイコンを含む・・・」と規定されている。つまり,構成要件Fで「副表示」される「アイコン」は「バナー情報マスタ」に記録保存されている必要がある。 さらに,本件発明の構成要件Hは「同一画面上に関連商品の他のバナーサーバーの広告画像情報の一覧表リストを副表示することにより」というものであり,構成要件Hで「副表示」される「一覧表リスト」も「バナー情報マスタ」に記録保存されている必要がある。 これに対し,被告構成fは,「リスト10中の商品説明(小)の商品の縮小画像はヤフー社のヤフーサーバーに保存されており,被告サーバーはその縮小画像へのリンク情報をクライアントに提供する。被告サーバーは縮小画像自体をクライアントに提供しない。」ものである。 したがって,リスト10中の商品説明(小)中の商品の縮小画像を「広告画像情報の一覧表リスト」にあてはめると,これは被告サーバーには保存されていないから,すべての実施態様において,少なくとも構成要件Hを充足せず,また,「アイコン」を記録保存する「バナー情報マスタ」も存在しないから,構成要件Dも充足しない。 ウ 「商品マスタ」の不存在本件発明においては,構成要件Gで主表示される「バナーサーバーから提供された広告画像情報」を保管するものが「商品マスタ」である。構成要件Cは,「前記バナーサーバーが提供する各前記企業の広告画像情報を予め分類仕分けして保管記憶した商品マスタ」と規定している。 そして,被告が主張する被告構成eは,「被告サーバーは, 」である。構成要件Cは,「前記バナーサーバーが提供する各前記企業の広告画像情報を予め分類仕分けして保管記憶した商品マスタ」と規定している。 そして,被告が主張する被告構成eは,「被告サーバーは,上記副表示された商品説明(小)6の商品の縮小画像がユーザーによってクリックされると,ヤフー社によって一般に公開されているAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェイス〔ApplicationProgrammingInterface〕の略)に接続してヤフーサーバーに対して,③当該ユーザーがクリックした商品の商品情報画像8へのリンク情報,商品説明及び現在価格等を含む商品情報及び④上記商品情報画像8の商品に関連するオークション商品の縮小画像へのリンク情報及び商品説明等を要求し,ヤフーサーバーから送信された③’商品情報画像8へのリンク情報,商品説明及び現在価格等を含む商品情報及び④’上記商品画像8の商品に関連するオークション商品の縮小画像へのリンク情報及び商品説明等を含む商品情報を取得しクライアント端末の画面上に,当該ユーザーがクリックした商品説明(小)6の商品の縮小画像に対応する商品情報画像8と商品説明及び現在価格等を主表示する画面9を表示させる(ただし,商品情報画像8は,ヤフーサーバーに保存されており,被告サーバーは,商品情報画像8へのリンク情報をクライアントに提供するが,商品情報画像8自体をクラ イアントに提供するものではない。)」であり,商品情報画像8は,現在のオークション情報であり,被告サーバーには保管されておらず,ユーザー端末においてヤフーサーバーから取得されるものである。 したがって,構成要件Gで主表示される「バナーサーバーから提供された広告画像情報」を保管する「商品マスタ」に相当する構成は,被告サー ユーザー端末においてヤフーサーバーから取得されるものである。 したがって,構成要件Gで主表示される「バナーサーバーから提供された広告画像情報」を保管する「商品マスタ」に相当する構成は,被告サーバーには存在しない。 原告は,構成要件Gで主表示される「バナーサーバーから提供された広告画像情報」を商品情報画像8に当てはめているが,上記のとおり,これは現在のオークション情報なので被告サーバーには保管されていない。 以上より,被告が運営する被告サーバー及び組み合わせ構成のいずれの実施態様においても,被告製品は,構成要件C,E,F及びGを充足しない。 エ 「複数のバナーサーバー」の不存在原告は,被告サーバーが複数のウェブページを生成してクライアントに表示させることをもって,複数のバナーサーバーがあると主張するが,ウェブページごとにサーバーが存在するのではなく,一つの被告サーバーによって生成される(主表示及び副表示される画像へのリンク情報は,すべてヤフー社によって一般に公開されているAPIに接続してヤフーサーバーから取得するものである)。 原告は,バナーサーバー等は,機能的にみて存在していれば足りる旨の主張もしているが,被告サーバーは一つであり,実体としても,機能的にみても複数存在しない。 したがって,被告サーバーには「複数のバナーサーバー」は存在しない。 オ 「広告」の不存在過去に開催されたオークションの商品画像情報や縮小画像は,もはや落札が終わっている以上,その商品の広告ではないから,「広告画像情報」 には該当し得ない。仮に,過去に開催されたオークションの商品画像を広告画像情報に当てはめると,クライアントの要望に応じた的確な商品を提供することができるとともにクリック単価が廉価となるという本件発明の作用効果は生じ 仮に,過去に開催されたオークションの商品画像を広告画像情報に当てはめると,クライアントの要望に応じた的確な商品を提供することができるとともにクリック単価が廉価となるという本件発明の作用効果は生じなくなる。 カ 「店舗」の不存在原告は,「店舗」に「主表示または副表示される商品画像に係る商品の出品者を含む」として,被告の運営する被告サーバーに「店舗」が存在する旨主張する。 しかし,他の出品者によるオークション対象物も同じヤフー社が開催するオークションサイト「ヤフーオークション」(以下「ヤフーオークション」という。)で入手できるのであり,仕入元が異なる複数の商品が同じ「店舗」で購入できるのと同様である。 したがって,個々の「出品者」を「店舗」に当てはめることはできない。 キ 「店舗サーバー」の不存在本件発明において,構成要件Cは「商品マスタを備えた店舗サーバー」と規定しているところ,上記のとおり,「商品マスタ」に相当する構成は被告サーバーには存在しない。 なお,原告から提出された甲32号証ないし甲42号証には,「ヤフー社の保有する店舗サーバー」の存在は全く記載されていないし,被告サーバーに本件発明の「店舗サーバー」が存在することについての記載もない。 したがって,被告サーバーには「店舗サーバー」は存在しない。 ク以上より,被告が運営する被告サーバー及び組み合わせ構成のいずれにおいても,また,いずれの侵害態様であっても,構成要件BないしIをいずれも充足しない。 (3) 争点2-イ(複数主体による侵害の成否)について【原告の主張】 ア被告は,商品情報画像の画像ファイル自体は被告サーバーではなくヤフーサーバーに保管され,被告サーバーは,ヤフー社によって一般に公開されているAPIに接続してヤフーサーバーから ア被告は,商品情報画像の画像ファイル自体は被告サーバーではなくヤフーサーバーに保管され,被告サーバーは,ヤフー社によって一般に公開されているAPIに接続してヤフーサーバーから取得した商品情報画像へのリンク情報をクライアント端末に提供しているだけである,と主張する。 しかし,構成要件Gは,「前記副表示されたバナーサーバーのアイコンが前記クライアントによってクリックされると当該クリックされたアイコンのバナーサーバーから提供された前記広告画像情報を主表示し,且つ」であり,副表示された広告画像情報の一覧表リストをクリックした際に主表示される広告画像情報のみについて,他のバナーサーバーから提供されることの限定があるにすぎない。この「他のバナーサーバー」については,被告が管理するサーバーであるとの限定はなく,ヤフー社が広告画像を提供する行為についても予定されたものであるといえる。 そして,構成要件充足性の判断においては,行為者として予定されているものが特許請求の範囲に記載された各行為を行ったか否かを判断すれば足り,一つの主体が全構成要件該当行為を行ったか否かは問題にならず,当該システムを誰が支配・管理しているかを基準に判断し,複数行為者の主観的共同を求めず,客観的共同のみで特許侵害を認めるべきである。 被告は,画像のリンク情報については,予めヤフーサーバーから取得しているものと考えられ,この取得方法については,被告が,ヤフー社から,ヤフー社が所有するデータベースの提供を受けているか,あるいは,被告自身が,ヤフー社によって公開されているAPIに接続してヤフー社が所有するデータベースの解析を行い,商品コード等を管理しているものである。甲21号証,甲22号証等からすれば,被告は,ヤフー社などのオークションサイトから商品に関す ているAPIに接続してヤフー社が所有するデータベースの解析を行い,商品コード等を管理しているものである。甲21号証,甲22号証等からすれば,被告は,ヤフー社などのオークションサイトから商品に関するデータの提供を受けており,被告が,このようにヤフー社からヤフー社が所有するデータベースの提供を受けている状況においては,被告は,ヤフー社のデータベースを実質的に支配し, 管理・利用しているものといえる。 イこの点,被告は,「一般に公開されているAPIを利用するというのは,個人が米グーグル社の検索サーバーを用いて検索をするのと同じである。」と反論するが,ヤフー社のAPIガイドライン(甲31)には様々な規定があるところ,被告は,同ガイドラインによって通常許容される範囲を超えてAPI利用をしており,特別な許諾をヤフー社から得た利用形態を行っているものといえ,個人がグーグルの検索サーバーを用いて検索するのとは全く異なる状態で利用している。すなわち,上記ガイドラインには,「リクエスト情報の出力」として,「Yahoo!プロモーション広告APIは,SOAP形式の通信プロトコルがサポートされています。技術的お問い合わせに際して,SOAP形式のリクエスト情報およびリクエストに基づき戻されるレスポンス情報の提供が必要です。アプリケーション実装時には,SOAP形式のリクエスト情報およびレスポンス情報をログ情報として取得・保存できるよう実装してください。」と規定されており,同規定によれば,被告は,SOAP形式のリクエスト情報及びレスポンス情報をログ情報として取得・被告サーバーに保存していることになる。さらに,同ガイドラインには,「データの二次利用の禁止」として,「APIで取得したデータは,API利用者の責任のもと,自社アプリケーションにおいて として取得・被告サーバーに保存していることになる。さらに,同ガイドラインには,「データの二次利用の禁止」として,「APIで取得したデータは,API利用者の責任のもと,自社アプリケーションにおいて一次利用する場合に限り認められます。データの譲渡を目的とした機能および提供方法を実装している場合,APIの利用を停止する場合があります。」との規定が記載されているが,被告製品は,有料会員に対し,ヤフー社のウェブサイトにおける保管期間が終了し,ヤフー社のウェブサイトでは閲覧できない過去の取引データを提供しているのであって,データの二次利用に当たる。被告が,本ガイドラインに違反していないのであれば,被告は,ヤフー社から一次利用を超えて二次利用をすることについて承諾を受けて利用しているものと考えられる。また,同ガイドラインには, 「システムへの負荷の制御」として,「弊社では,APIの利用状況を監視しています。入札や入稿など,利用機能に関わらずシステムに過度な負荷を与えるAPIの利用を禁止します。過度なAPI利用とは,許容されたアクセス頻度およびクォータ数を超える利用のほか,個別に制限を有する機能の過度の利用などが該当します。自動化された機能を実装する場合,制限を超過しないよう,リクエストを制御する機能を実装してください。 また,アプリケーションのバグ等,要因が故意か過失かに関わらず,必要と判断される場合は,弊社の判断に基づき事前の予告なくAPIの利用を停止する場合があります。」との規定が記載されているところ,被告は,ヤフー社が定めたシステム負荷に対応するシステムをヤフー社と連携して構築していると考えられる。 同ガイドラインには,「リバースエンジニアリング」として,「自動化された手段を用いて過度な頻度で繰り返し実行されるAPIリクエス 荷に対応するシステムをヤフー社と連携して構築していると考えられる。 同ガイドラインには,「リバースエンジニアリング」として,「自動化された手段を用いて過度な頻度で繰り返し実行されるAPIリクエストは,リバースエンジニアリング行為とみなされる場合があります。必要と判断される場合は,弊社の判断にもとづき事前の予告なくAPIの利用を停止する場合があります。」との規定も記載されており,被告は,自動化した手段で,ヤフー社のAPIにリクエストを行っており,被告が,本ガイドラインに違反していないのであれば,被告は,ヤフー社より承諾を受けて利用していると考えられる。 【被告の主張】ア原告は,「被告は,ヤフー社のデータベースと連動し,実質的に管理,利用している」と主張するが,ヤフーオークションの出品商品の管理やシステムの運用は,被告が行っているわけではない。 イ原告は,ヤフーサーバーには「バナー情報マスタ」及び「商品マスタ」が存在するとの主張を前提に,被告が共同して本件特許権を侵害している旨主張するが,本件発明における「店舗サーバー」は,構成要件Dないし Hを行う主体であるところ,ヤフーサーバーを「店舗サーバー」に当てはめても,構成要件DないしHを充足しない。 ウ民法719条1項前段の共同不法行為の要件たる「共同の行為」は客観的関連共同性が認められる行為をいうが,客観的関連共同性が認められるには,「共同の行為」と評価できるだけの加害行為の一体性が存在する必要があり,本件では,共同の行為と評価できるだけの加害行為の一体性は存在せず,客観的関連共同性は認められない。また,主観的関連共同も存在しない。 被告は,ヤフー社のAPIガイドラインに従って,他の一般ユーザーと同様にヤフー社のAPIを利用しており,ヤフー社の運営するオー ,客観的関連共同性は認められない。また,主観的関連共同も存在しない。 被告は,ヤフー社のAPIガイドラインに従って,他の一般ユーザーと同様にヤフー社のAPIを利用しており,ヤフー社の運営するオークションの出品商品の管理やシステムの運用は被告が行っているわけではないから,ヤフー社が管理するオークションの商品画像情報を保管するバナーサーバーを道具として被告製品のシステムに利用しているとはいえない。 (4) 争点2-ウ(均等侵害の成否)について【原告の主張】仮に,本件発明における広告画像情報が被告サーバーに保存されたものでない場合であっても,以下のとおり,均等論により直接侵害が認められる。 ア広告画像情報の保存先が被告サーバーではなく,ヤフーサーバーであるという相違部分は,本件発明の本質的部分ではない。 本件発明の構成要件DないしIに記載されたクライアント端末において実現される表示画面は,本件発明特有の作用効果の部分であって,この部分が他の構成に置き換えられるならば,全体として当該特許発明の技術的思想とは別個のものと評価されるような部分であり,発明の本質的部分といえる。一方,広告画像情報の保存先を,被告サーバーからヤフーサーバーに置き換えたとしても,技術的思想は変わらず,この相違部分は本件発明の本質的部分ではない。 イ上記の本件発明との相違部分をヤフーサーバーに置き換えても,本件発明の目的であるワンクリック単価の低い広告システムを提供することを達成することができ,同一の作用効果を奏する。さらに,相違部分をヤフーサーバーに置き換えることは,被告製品の製造等の時点において当該発明の属する分野における通常の知識を有する者にとって容易である。 ウ相違部分をヤフーサーバーに置き換えることは,被告製品のシステム内の バーに置き換えることは,被告製品の製造等の時点において当該発明の属する分野における通常の知識を有する者にとって容易である。 ウ相違部分をヤフーサーバーに置き換えることは,被告製品のシステム内のデータが保管されているシステムから単純に外部システムにリンクを張って呼び出すコードを書き換えるだけの極めて初歩的行為であることから,被告製品の製造等の時点において極めて容易に想到できるものである。 具体的には,相違部分をヤフーサーバーに置き換えることは,当該発明の属する分野における通常の知識を有する者にとっても,リンクを張るだけであることから,リンクを呼び出すコードを書き込めばよいだけで極めて容易である。 したがって,被告サーバーに保存された広告画像情報と,ヤフー社に保存された広告画像情報とは均等物であるから,被告製品は,特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとして,本件発明の技術的範囲に属するものである(最高裁平成6年(オ)第1083号同10年2月24日第三小法廷判決・民集52巻1号113頁参照)。 【被告の主張】ア均等侵害は,大前提として,均等物による置換を主張する構成要件以外の他の構成要件の充足性が認められる場合に認められるものである。 上述のとおり,「バナーサーバー」をヤフーサーバーに当てはめたとしても,ヤフーサーバーにはヤフー社のホームページが保管されているだけで「複数のバナーサーバー」に該当しない。 また,構成要件Fは「他のバナーサーバー」を特定しているところ,ヤフーサーバーにはそのようなものも存在しない。さらに,原告が「店舗 サーバー」に当てはめるところの被告サーバーには,「商品マスタ」や「バナー情報マスタ」に相当する構成は存在しない。原告が「店舗サーバー」をヤフーサーバーに当てはめたとしても,ヤフー サーバー」に当てはめるところの被告サーバーには,「商品マスタ」や「バナー情報マスタ」に相当する構成は存在しない。原告が「店舗サーバー」をヤフーサーバーに当てはめたとしても,ヤフーサーバーに「商品マスタ」に相当する構成が存在するかは不明であるし,「バナー情報マスタ」に相当する構成が存在しないことは,疑いがない。 したがって,組み合わせ構成においても「複数のバナーサーバー」は存在せず,構成要件BないしHを充足しない以上,均等侵害が認められることはない。 イなお,本件明細書の発明の詳細な説明の段落【0015】には,「この発明のネット広告システムは,店舗サーバーのコンピュータによる情報の保管管理によりクライアントの要望に応じた適確な商品を提供することができるとともにクッリク(ママ)単価が廉価となる。」とある以上,本件発明において,店舗サーバーによる情報の保管管理は本質的部分であるから,当該部分を本質的部分ではないとする原告の主張は失当であり,同一の作用効果を奏するという原告の主張も失当である。 (5) 争点2-エ(間接侵害の成否)について【原告の主張】ア仮に,本件発明の構成要件Aの「クライアント」を,ユーザーの端末という意に解し,被告製品がユーザーの端末を備えていない場合であっても,被告製品は,ユーザーの端末と接続されることをもって初めて機能するものであるから,本件発明の広告システムの生産のほかに経済的,商業的ないし実用的等に使用する可能性がない。 よって,被告製品は,本件発明の実施にのみ用いられる物である(特許法101条1号)。 イまた,被告は,少なくとも原告の警告書を受け取った平成25年9月の時点において,本件特許権の存在を知りながら,本件発明の生産に用いる 物であって,その発明による 101条1号)。 イまた,被告は,少なくとも原告の警告書を受け取った平成25年9月の時点において,本件特許権の存在を知りながら,本件発明の生産に用いる 物であって,その発明による課題の解決に不可欠なものを,業として,生産等を行っている。具体的には,「ユーザー端末と,このユーザー端末からアクセスされる被告製品とで構成される広告システム」は,本件発明の構成要件のすべてを充足するものであるところ,被告製品は,顧客がWEBサーバーにアクセスすることによって,上記広告システムの生産に用いるものである。すなわち,被告製品にユーザー端末がアクセスすることにより,当該端末と連携して本件発明の構成要件を充足する広告システムが完成するのであるから,被告製品にアクセスすることは,上記広告システムの生産に当たるものというべきである。本件明細書の発明の詳細な説明における効果の記載によれば,本件発明は,ワンクリック単価の低い広告システムを提供するという課題を,該当する広告以外に他の店舗の商品リストを次々と閲覧可能にすることにより解決したものであるが,「ユーザー端末と,このユーザー端末からアクセスされる被告製品とで構成される広告システム」においては,前記のような構成は被告製品にアクセスすることによってはじめて実現されるのであるから,被告製品は,本件発明による課題の解決に不可欠なものに該当する(特許法101条2号,知財高裁平成17年(ネ)第10040号同年9月30日判決・判例タイムズ1188号191頁参照)。 【被告の主張】争う。 間接侵害が成立するためには「生産」行為による直接侵害の存在が前提となるところ,原告が特定する被告製品では,「生産」する者を観念できない。 (6) 争点3(差止め及び廃棄請求の可否)について【原告の主張】 するためには「生産」行為による直接侵害の存在が前提となるところ,原告が特定する被告製品では,「生産」する者を観念できない。 (6) 争点3(差止め及び廃棄請求の可否)について【原告の主張】被告製品は,本件発明の技術的範囲に属するものであるから,被告が業と して被告製品を製造し,使用する行為は,本件特許権を侵害する行為である。 したがって,原告は,被告に対し,特許法100条1項に基づき,被告による本件特許権の侵害行為の停止を求め,同条2項に基づき,同侵害行為を組成した被告製品の廃棄を求める。 【被告の主張】争う。 (7) 争点4(損害)について【原告の主張】被告は,平成24年10月1日から同年12月31日まで,被告が製造した被告製品を使用したショッピングサイトの運営により,売上高1億7100万円を得ており(甲12・2頁),同年10月1日から平成25年9月末日まで,少なくとも売上高6億1900万円を得ているから(甲8・17頁),同年1月から同年9月まで,少なくとも売上高4億4800万円を得た。 本件特許権が平成25年1月18日に登録されたことを考慮すると,原告が本件発明の実施に対して受けるべき実施料相当額は,被告が,平成25年1月から同年9月まで,被告が製造した被告製品を使用したショッピングサイトの運営による売上高4億4800万円に,実施料率5%を乗じた額2240万円を下らない(特許法102条3項)。 したがって,原告に少なくとも2240万円の損害が発生している。 【被告の主張】争う。 第3 当裁判所の判断 1 争点1(本件請求(1)及び(2)に係る本件訴えの適法性)について被告は,原告が差止め及び廃棄を求めている被告製品には,被告の運営に係るものではない「ユーザー端末1」や「インターネッ の判断 1 争点1(本件請求(1)及び(2)に係る本件訴えの適法性)について被告は,原告が差止め及び廃棄を求めている被告製品には,被告の運営に係るものではない「ユーザー端末1」や「インターネットN」(別紙物件目録の 別紙図面の図5(a)参照)が含まれていることから,被告製品が本件事実審の口頭弁論終結後に「生産」されることはあり得ず,また,被告製品の「譲渡」,「貸渡し」,「譲渡の申出」又は「貸渡しの申出」並びにその「廃棄」を想起することもできないとして,本件請求(1)及び(2)に係る本件訴えが不能な行為の禁止を求めるものであるか,審理の対象としての特定を欠くものであって,不適法である旨主張する。 しかし,被告が被告製品の「生産」,「譲渡」,「貸渡し」,「譲渡の申出」又は「貸渡しの申出」を行うおそれがない旨主張している点は,原告の主張を否認しているにすぎないと解されるし,原告が被告製品を別紙物件目録に記載された構成を有するシステムであると特定している以上,審理対象としての特定性に欠けるところはない。 したがって,本件請求(1)及び(2)に係る本件訴えが不適法であるとはいえず,被告の上記主張は採用することができない。 2 争点2-ア(構成要件充足性)について(1) 被告製品が本件発明の技術的範囲に属するとの原告の主張に対し,被告は,被告製品の構成について争いがないところを前提としても,被告製品は本件発明の技術的範囲には含まれず,本件特許権を侵害しない旨主張するので,以下,検討する(なお,原告は,被告の侵害態様について,開催中のオークション画面のみを対象としたPCサイト態様1及びモバイルサイト態様2,過去のオークション情報から現在開催中のオークション画面に遷移する態様であるPCサイト態様2及びモバイルサイト態様2を主 のオークション画面のみを対象としたPCサイト態様1及びモバイルサイト態様2,過去のオークション情報から現在開催中のオークション画面に遷移する態様であるPCサイト態様2及びモバイルサイト態様2を主張し,それぞれの態様について,被告単体で侵害行為となる構成と,被告及びヤフー社が共同して侵害行為を行う構成が存在することを前提として,構成要件の充足性について主張するが,被告製品の構成が本件発明の技術的範囲に属するか否かに関して争点となっている箇所は,原告の主張に係るいずれの侵害態様及び構成においても共通すると解される(侵害態様及び構成ごとに構成要件 の充足性に関する原告の主張が異なるわけではない。)ため,以下,この前提で判断する。)。 (2) 本件明細書(甲2参照)における特許請求の範囲及び発明の詳細な説明(後に引用する部分のほか,【発明の属する技術分野】,【従来の技術】,【発明が解決しようとする課題】,【課題を解決するための手段】及び【発明の効果】に関する段落【0001】ないし同【0006】,同【0015】を参照。なお,一部の表記を常用漢字に置き換えた。)の記載に鑑みると,各構成要件は,次のように解釈することが相当である。 ア構成要件Aの「クライアント」についてまず,特許請求の範囲には,「インターネットに接続可能な端末であるクライアント」と記載されており,これによれば,「クライアント」とは,自然人である需要者ではなく,その使用するパソコンを指すと解される。 そして,発明の詳細な説明には,「この発明のネット広告システムを図面に基づいて説明する。需要者である複数のクライアント3,3・・の端末が主サーバー5を介して接続可能な店舗サーバー1(ターミナル)には複数のバナーサーバー2,2・・が連結してある。」(段落【000 に基づいて説明する。需要者である複数のクライアント3,3・・の端末が主サーバー5を介して接続可能な店舗サーバー1(ターミナル)には複数のバナーサーバー2,2・・が連結してある。」(段落【0008】),「このクライアント3のディスプレイ上には……従って,クライアント3がA社の商品が希望に合わない時に副表示されている他のバナーサーバー2の企業をアイコンでクリックすることによりそのホームページを閲覧することができる。」(同【0012】),「この発明は,クライアントの一回のクリックにより多数の企業のホームページを閲覧するから図3に示されるようにクリック回数が少なく情報量が多くなりワンクリック単価が低くなる。」(同【0014】)などと記載されていることに照らせば,構成要件Aにいう「クライアント」とは,当該システムを利用して広告の閲覧を行う需要者の使用する端末を意味すると解される。 イ構成要件B及びCの「バナーサーバー」について 特許請求の範囲には,「前記クライアントからの要求により該当する商品の広告をネット上で紹介提供する多数の参加企業のホームページが保管された複数のバナーサーバーと」(構成要件B),「前記バナーサーバーが提供する各前記企業の広告画像情報を予め分類仕分けして保管記憶した商品マスタを備えた店舗サーバーとからなる連携システムにおいて」(構成要件C)と記載されている。 また,発明の詳細な説明には,「需要者である複数のクライアント3,3・・の端末が主サーバー5を介して接続可能な店舗サーバー1(ターミナル)には複数のバナーサーバー2,2・・が連結してある。このバナーサーバー2,2・・には多数の参加企業が格納登録され,それぞれの参加企業のホームページが保管されている。各バナーサーバー2は通常はクライアント3の希望す サーバー2,2・・が連結してある。このバナーサーバー2,2・・には多数の参加企業が格納登録され,それぞれの参加企業のホームページが保管されている。各バナーサーバー2は通常はクライアント3の希望する商品のクリックにより該当商品の企業のホームページまたは商品広告をディスプレイに送信して提供する。」(段落【0008】),「まず,クライアント3は前記バナーサーバー2をクリックすることなく,店舗サーバー1のアイコンをクリックすると,店舗サーバー1のホームページが表れ,このホームページからクライアント3の希望するバナーサーバー2の企業のアイコンをクリックする。該当するA社の広告がクライアント3のディスプレイ上に画像表示される。」(同【0011】),「このクライアント3のディスプレイ上には図2で示されるようにA社の広告を主表示するとともにこのディスプレイ上には他のバナーサーバー2の企業リストが併記され,副表示される。従って,クライアント3がA社の商品が希望に合わない時に副表示されている他のバナーサーバー2の企業をアイコンでクリックすることによりそのホームページを閲覧することができる。」(同【0012】)などの記載がある。 これらの記載に照らせば,構成要件B及びCの「バナーサーバー」は,店舗サーバーに連結されており,ネット上で商品の広告を紹介提供する多 数の参加企業のホームページが保管されているサーバーを意味し,クライアントの利用者が店舗サーバーのアイコンをクリックすると,店舗サーバーのホームページが現れ,同ホームページからクライアントの利用者が希望するバナーサーバーの企業のアイコンをクリックすると,該当する企業の広告がクライアントのディスプレイ上に主表示されるとともに,他のバナーサーバーの企業リストが副表示され,主表示された企業 用者が希望するバナーサーバーの企業のアイコンをクリックすると,該当する企業の広告がクライアントのディスプレイ上に主表示されるとともに,他のバナーサーバーの企業リストが副表示され,主表示された企業の商品がクライアントの利用者の希望に合わないときには,副表示されている他のバナーサーバーの企業のアイコンをクリックすることにより,当該他の企業のホームページを閲覧できる構成となるものと解するのが相当である。 なお,特許請求の範囲に,「前記バナーサーバーが提供する各前記企業の広告画像情報を」(構成要件C)と記載されていることからすれば,構成要件Bにおける「商品の広告」とは,構成要件Cにおける「企業の広告画像情報」と解される。 ウ構成要件Cの「店舗サーバー」について発明の詳細な説明に,「他方,前記店舗サーバー1はバナー情報マスタ6,商品マスタ7,同時購入確率ファイル8,クライアント履歴ファイル9等が記憶保管してあり,常時新しい情報を保管管理し,分類仕分けしてある。」(段落【0009】)と記載されているように,店舗サーバーには,バナー情報マスタ,商品マスタ,同時購入確率ファイル,クライアント履歴ファイル等が保管されており,これらが常時更新され,分類仕分けが行われているものと解される。 この店舗サーバーに保管されている「バナー情報マスタ」は,「各アイテム毎にアイテム名やアイテムコード等が記載されたマスタであり」(同段落),「バナーサーバーが提供する各前記企業の広告画像情報を予め分類仕分けして保管記憶」(構成要件C)するものであると解される。 また,同じく店舗サーバーに保管されている「商品マスタ」は,「店舗 が運営している各企業のすべての企業についてのカテゴリー名とカテゴリコード,及びそれに属するアイテム名とアイテムコードが体 ,同じく店舗サーバーに保管されている「商品マスタ」は,「店舗 が運営している各企業のすべての企業についてのカテゴリー名とカテゴリコード,及びそれに属するアイテム名とアイテムコードが体系的に記載されたマスタ」と記載されている(同段落)。 そして,発明の詳細な説明には,「クライアント3の端末と店舗サーバー1とはインターネット4網によって連結してあり,……」(段落【0010】)と記載され,【図1】には,クライアントと店舗サーバーとは,インターネット網を介して連結されていることが示されている。 上記店舗サーバーが行う処理について,発明の詳細な説明では,「クライアント3は前記バナーサーバー2をクリックすることなく,店舗サーバー1のアイコンをクリックすると,店舗サーバー1のホームページが表れ,このホームページからクライアント3の希望するバナーサーバー2の企業のアイコンをクリックする。該当するA社の広告がクライアント3のディスプレイ上に画像表示される。」(同【0011】),「このクライアント3のディスプレイ上には図2で示されるようにA社の広告を主表示するとともにこのディスプレイ上には他のバナーサーバー2の企業リストが併記され,副表示される。従って,クライアント3がA社の商品が希望に合わない時に副表示されている他のバナーサーバー2の企業をアイコンでクリックすることによりそのホームページを閲覧することができる。」(同【0012】)とされ,「このように次々に関連商品の企業のホームページを簡易に選択することができるからクライアント3の一回のクリックにより,多数の企業リストを(ママ)閲覧が可能となる」(同【0013】)とされている。 このように,店舗サーバーは,店舗サーバーのホームページ上のバナーサーバーの企業のアイコンをクリックして該 クにより,多数の企業リストを(ママ)閲覧が可能となる」(同【0013】)とされている。 このように,店舗サーバーは,店舗サーバーのホームページ上のバナーサーバーの企業のアイコンをクリックして該企業の広告を主表示し,また,主表示とともに副表示された他の企業リストから他の企業を簡易に選択することを可能とし,「クライアントの要望に応じた適確な商品を提供する ことができるとともにクッリク(ママ)単価が廉価となる」(同【0015】)という本件発明の効果について重要な役割を果たしているものと解される。 なお,主表示されたA社の広告とともに表示される他のバナーサーバー2の副表示は,段落【0012】では「企業リスト」とされ,【図2】にも企業リストが副表示されていることが示されており,商品の広告(広告画像情報)を副表示させることについては,本件明細書上,何ら記載されていないが,構成要件Fにおいては,「関連商品の他のバナーサーバーの広告画像情報の一覧表リスト」とされているため,上記の企業リストは,商品の広告(企業の広告画像情報)とも解される。 エ以上を前提に,被告製品の構成要件充足性について判断する。 (ア) 被告製品の構成については,別紙「被告製品の構成に関する主張の対比」のとおり,一部に争いがあるものの,以下の点では当事者間に争いがない。 a 被告サイトにおいて,現在開催中のオークションとして掲載されている画像情報(被告は「商品情報画像」と主張するが,商品の画像を縮小したものという点では原告の主張と一致しており,この意味で単に「画像情報」という。)は,ヤフーサーバーに保存されている。 b 被告サーバーは,現在開催中のオークションに掲載されている画像情報自体をクライアントに提供するものではなく,画像情報へのリンク情報をクラ 像情報」という。)は,ヤフーサーバーに保存されている。 b 被告サーバーは,現在開催中のオークションに掲載されている画像情報自体をクライアントに提供するものではなく,画像情報へのリンク情報をクライアントに提供するにすぎない。 c 被告サーバーには,過去のオークションに掲載された画像情報が保存されている。 d 主表示される画像情報が現在開催中のオークションにおける画像情報であれ,過去に開催されたオークションにおける画像情報であれ,副表示される一覧表リストに表示される画像情報は現在開催中のオー クションにおける画像情報である。 (イ) 以上の争いのない被告製品の構成を前提に,被告製品が本件発明の技術的範囲に属するか否かを判断する。 特許請求の範囲の「前記副表示されたバナーサーバーのアイコンが前記クライアントによってクリックされると,当該クリックされたアイコンのバナーサーバーから提供された前記広告画像情報を主表示し,且つ」(構成要件G)との記載からは,主表示される画像情報は,バナーサーバーから提供される画像情報であることが規定され,「前記バナーサーバーが提供する各前記企業の広告画像情報を予め分類仕分けして保管記憶した商品マスタを備えた店舗サーバーとからなる連携システムにおいて」(構成要件C)との記載から,バナーサーバーが提供する画像情報は,商品マスタに保管記憶されているものであることが規定されている。 そうすると,副表示されたバナーサーバーのアイコンをクリックして,主表示される画像情報(構成要件G参照)は,商品マスタに保管記憶された画像情報であることが必要とされ,商品マスタは,店舗サーバーに保管されていることが明らかであるから(段落【0009】参照),主表示される画像情報は店舗サーバーからの画像情報であることが必要で れた画像情報であることが必要とされ,商品マスタは,店舗サーバーに保管されていることが明らかであるから(段落【0009】参照),主表示される画像情報は店舗サーバーからの画像情報であることが必要である。 これに対し,被告製品において,現在開催中のオークションに掲載されている画像情報は,ヤフーサーバーに保存されていることに争いはない(上記エ(ア)a)から,現在開催中のオークションに掲載されている画像情報を主表示とする場合は,ヤフーサーバーに保存されている画像情報を表示しているにすぎないのであって,被告サーバーに保管された画像情報ではないから,結局,被告製品では,構成要件Cの「店舗サーバー」を構成する「商品マスタ」からの画像情報が提供されているとはいえず,構成要件Cを充足しないものといわざるを得ない。 なお,本件発明において主表示される画像情報は,副表示されるバナーサーバーのアイコンをクリックすると主表示されるものであり(構成要件G参照),被告製品において副表示される一覧表リストに表示される画像情報は,現在開催中のオークションにおける画像情報であることに争いはないから(上記エ(ア)d),被告製品において当初の主表示画面が過去のオークションに掲載された画像情報であっても,次に主表示される画像情報は,現在開催中のオークションにおける画像情報(副表示される一覧表リストからクリックされた画像情報)となり,主表示される画像情報は被告サーバーに保管されたものでないため,どの実施態様においても,上記結論に相違はない。 この点,原告は,過去のオークションに関する画像情報は,被告サーバー内に記憶されているから,被告製品には「商品マスタ」の存在を認めることができる旨主張する。 確かに,被告も,過去のオークションに関する画像情報について のオークションに関する画像情報は,被告サーバー内に記憶されているから,被告製品には「商品マスタ」の存在を認めることができる旨主張する。 確かに,被告も,過去のオークションに関する画像情報については,被告サーバーに保存していることを認めており,保存された過去のオークションに関する画像情報が,何らかの形で分類,仕分けされて被告サーバーに保管されていることは推認される。しかし,上記のとおり,本件発明は,主表示される画像情報は商品マスタから提供されることを必要としており,いいかえれば,本件発明でいう商品マスタには,主表示される画像情報が保管記録されていなければならず,主表示される画像情報には,過去のものだけでなく,現在のオークションにおける画像情報も必要であるから,現在のオークションにおける画像情報が被告サーバーに保存されていない被告製品においては,本件発明にいう商品マスタを備えていないといわざるを得ない。 以上より,被告に製品において過去に開催されたオークションに掲載された画像情報を予め記憶,分類保管したマスタがあるとしても,これ を本件発明にいう「商品マスタ」に該当すると解することはできない。 (ウ) また,特許請求の範囲には,「当該画像情報を表示した同一画面上に関連商品の他のバナーサーバーの広告画像情報の一覧表リストを副表示して」(構成要件F),「同一画面上に……他のバナーサーバーの広告画像情報の一覧表リストを副表示する」(構成要件H)と記載されており,本件発明では,主表示された広告画像情報を表示した同一画面上に関連商品の他のバナーサーバーの広告画像情報の一覧表リストが副表示されることになっているところ,「副表示されたバナーサーバーのアイコンが……クリックされると……広告画像情報を主表示し」(構成要件G)とされて 他のバナーサーバーの広告画像情報の一覧表リストが副表示されることになっているところ,「副表示されたバナーサーバーのアイコンが……クリックされると……広告画像情報を主表示し」(構成要件G)とされており,副表示される関連商品の他のバナーサーバーの広告画像情報の一覧表リストは,バナーサーバーのアイコンである。 一方,バナーサーバーのアイコンは,「バナー情報マスタ」に記録保存されている必要がある(構成要件D参照)ため,結局,副表示されるバナーサーバーのアイコンは,「バナー情報マスタ」に記録保存されていなければならない。 そして,被告製品において,バナーサーバーのアイコンは,副表示される一覧表リストに表示される画像情報であり,現在開催中のオークションにおける画像情報であることに争いはなく(上記エ(ア)d),被告サーバーに保存されていないことにも当事者間に争いはない(上記エ(ア)b)。 したがって,被告製品は,バナーサーバーのアイコンを記録保存する「バナー情報マスタ」を備えておらず,構成要件Dも充足しない。 この点,原告は,副表示される一覧表リストは被告サーバーに保存されている必要はない旨も主張するが,バナーサーバーのアイコン,つまり,副表示される一覧表リストは,バナー情報マスタに記録保存されていることが規定されており(構成要件D参照),バナー情報マスタは, 店舗サーバーを構成するものである(段落【0009】)以上,被告サーバーに保存されている必要はないとの原告の上記主張は採用することができない。 また,原告から提出された甲27号証の1に記載された「オークション>おもちゃ>ゲーム>プラモデル>キャラクター>ガンダム>機動戦士ガンダム」などの表示は,副表示されるバナーサーバーのアイコンを保存するバナー情報マスタの存在を裏付 証の1に記載された「オークション>おもちゃ>ゲーム>プラモデル>キャラクター>ガンダム>機動戦士ガンダム」などの表示は,副表示されるバナーサーバーのアイコンを保存するバナー情報マスタの存在を裏付けるものではない。 なお,本件発明では,「バナー情報マスタ」には,バナーサーバーのアイコンを含む当該店舗サーバーのホームページが記録保存されていなければならない(構成要件D参照)ところ,被告製品において,バナーサーバーのアイコンを含む当該店舗サーバーのホームページが記録保存されていると認めるべき的確な証拠はない。 (エ) さらに,被告製品には,多数の参加企業のホームページが保管された「複数のバナーサーバー」も認められない。 この点,原告は,複数のバナーサーバーは,物理的に存在する必要はなく機能的に存在していればよいと主張するが,特許請求の範囲の記載からも,発明の詳細な説明の記載からも,「バナーサーバー」は物理的な存在として規定されていることは明らかであり,また,「複数の」と明記されている以上,単一のバナーサーバーでは足りないことが明らかである。 なお,原告は,甲32号証に基づき,複数のバナーサーバーはヤフー社に存在し,被告はヤフー社が管理するオークションの商品画像情報を保管するバナーサーバーを道具として利用している旨も主張しているが,同号証によってもヤフー社に複数のバナーサーバーが存在しているとはいえないし,被告がヤフーサーバーを管理していないことについては,後記のとおりである(そもそも,ヤフー社に存在する旨の主張自体,被 告サーバーに複数のバナーサーバーが存在しないことを原告が認めている結果ともいえる。)。 (オ) 原告が主張するように,構成要件Aの「クライアント」に,管理用端末を含むと解すると,クライアントの購買力 ーバーに複数のバナーサーバーが存在しないことを原告が認めている結果ともいえる。)。 (オ) 原告が主張するように,構成要件Aの「クライアント」に,管理用端末を含むと解すると,クライアントの購買力を高め,一回のクリックによって数多くのバナーサーバーの商品広告をクライアントが閲覧可能にする広告システムを提供するという本件発明の目的は達せられないから,被告製品においては,構成要件Aも充足しない。 (カ) 以上からすると,その余の被告構成について判断するまでもなく,主表示された画像情報が現在のオークションに関するものであれ(PCサイト態様1及びモバイルサイト態様1),過去のオークションに関するものであれ(PCサイト態様2及びモバイルサイト態様2),いずれの侵害態様及び構成においても,被告製品が本件発明の技術的範囲に属さないことは,明らかである。 3 争点2-イ(複数主体による侵害の成否)について(1)ア原告は,被告製品におけるバナーサーバーがヤフーサーバーであり,被告がリンク情報のみ提供しているとしても,被告はヤフーサーバーを実質的に支配し,管理・利用しているのであるから,被告による特許権侵害(直接侵害)を認めるべきである旨主張する。 しかし,被告以外にも,ヤフーサーバーを利用している者は,多数存在していることが認められるのであり,以下に詳述するとおり,被告がヤフーサーバーを実質的に支配し,管理・利用しているとは認められない。 イ原告は,甲31号証などを根拠として,被告がヤフーサーバーを実質的に支配管理しているとか,ヤフー社と連携しているなどと主張する。 この点,被告自身も,ヤフー社により一般に公開されているAPIを利用していることは認めているところであるが,これをもって,ヤフーオークションに出品されている商品の管理やシステム るなどと主張する。 この点,被告自身も,ヤフー社により一般に公開されているAPIを利用していることは認めているところであるが,これをもって,ヤフーオークションに出品されている商品の管理やシステムの運用を行っているヤ フーサーバーを被告が管理しているとはいえない。 甲49号証によれば,被告サイトで入札を行うには,ヤフーオークションIDが必要となり,ヤフーオークションIDを登録しなければ入札等ができない仕組みとなっていることが認められるが,このことから,直ちにヤフー社と被告が連携して共同運営を行っていると認めることは困難である。 ウ被告とヤフー社が共同しているか否かにかかわらず,そもそも,ヤフーサーバーにおいて,本件発明の構成要件たる「バナーサーバー」や「バナー情報マスタ」及び「商品マスタ」を備えた「店舗サーバー」が備わっているのかについて,原告は何ら立証していない。 (2) 以上からすると,被告がヤフー社と共同して本件特許権を侵害しているとの原告の主張も認められない。 なお,原告の主張は,ヤフー社の管理するオークションの商品画像情報を保管するサーバーを道具として利用することにより,被告が本件特許権を直接侵害している旨の主張とも解釈し得るが,甲32号証ないし甲44号証を含む本件全証拠によっても,被告が,ヤフー社の管理するオークションの商品画像情報を保管するバナーサーバーを道具として利用しているとは認められない。 4 争点2-ウ(均等侵害の成否)について(1) 特許請求の範囲に記載された構成中に対象製品等と異なる部分が存する場合であっても,①同部分が特許発明の本質的部分ではなく(第1要件),②同部分を対象製品等におけるものと置き換えても,特許発明の目的を達することができ,同一の作用効果を奏するものであって(第2 する場合であっても,①同部分が特許発明の本質的部分ではなく(第1要件),②同部分を対象製品等におけるものと置き換えても,特許発明の目的を達することができ,同一の作用効果を奏するものであって(第2要件),③上記のように置き換えることに,当該発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(当業者)が,対象製品等の製造等の時点において容易に想到することができたものであり(第3要件),④対象製品等が,特許発明の特 許出願時における公知技術と同一又は当業者がこれから当該出願時に容易に推考できたものではなく(第4要件),かつ,⑤対象製品等が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情もないとき(第5要件)は,対象製品等は,特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとして,特許発明の技術的範囲に属する(最高裁平成10年2月24日判決・民集52巻1号113頁)。 (2) 原告は,本件発明の中核をなす特徴的部分は表示態様のみであり,広告画像情報の保存先が被告サーバーでなく,ヤフーサーバーであるという相違部分は,本件発明の本質的部分ではない(第1要件)と主張する。 しかし,本件発明はシステムの発明であり,当該表示態様を実現するための広告画像情報の取得と保存,保存情報間のリンク付け等をいかなる手法・手段で実現するかがその構成として規定されているものである。したがって,表示態様のみが本質的部分であって,広告画像情報の保存先は本質的部分ではないという原告の主張は,採用することができない。 また,主表示や副表示を連携して切替表示するためのサーバーやマスタデータの構成も,本件発明の目的である1回のクリックによって数多くのバナーサーバーの商品広告をクライアントが閲覧可能にする広告システムを提 主表示や副表示を連携して切替表示するためのサーバーやマスタデータの構成も,本件発明の目的である1回のクリックによって数多くのバナーサーバーの商品広告をクライアントが閲覧可能にする広告システムを提供することを達成するためには,極めて重要な部分であるというべきであり,当該構成は,本件発明の本質的部分であるといえる。 さらに,均等侵害は,均等物による置換を主張する構成要件以外の他の構成要件をすべて充足していなければならないところ,本件においては,前記のとおり,原告が均等物による置換を主張する構成要件B,Cのみならず,構成要件A,Dの充足性も認められない。 (3) 以上からすると,原告が均等を主張する構成要件については,少なくとも均等の第1要件を満たしておらず,また,その余の構成要件の充足性も認められないから,原告の主張は採用することができない。 5 争点2-エ(間接侵害の成否)について原告は,仮に,被告製品が構成要件Aの「クライアント」の構成を備えていない場合であっても,被告製品は,本件発明の実施にのみ用いられる物であり,また,本件発明の課題の解決に不可欠なものであるから,被告製品の生産等は,本件発明の間接侵害に該当すると主張する。 しかし,間接侵害の成立については,直接侵害者の存在が前提となるところ,既に説示したところによれば,本件において直接侵害者が存在するとは認められないから,原告の主張は採用することができない。 第4 結語以上から,その余の点について判断するまでもなく,原告の請求はいずれも理由がないから,これらを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第29部 裁判長裁判官嶋末和秀 棄却することとし,主文のとおり判決する。 主文 東京地方裁判所民事第29部 裁判長裁判官 嶋末和秀 裁判官 鈴木千帆 裁判官 西村康夫
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