平成20(行ウ)176 行政文書不開示決定処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成20年11月27日 東京地方裁判所 情報公開
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判決文本文12,260 文字)

- 1 -主文 本件訴えのうち,沖縄労働局長が平成20年4月25日付け変更決定により開示した部分に係る訴えを却下する。 原告のその余の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1請求沖縄労働局長が平成19年9月26日付で原告に対してした行政文書不開示決定処分を取り消す。 第2事案の概要本件は,原告が,沖縄労働局長に対し,労働基準監督署が特定の事業場に交付した行政指導の文書の控え等を対象として行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「法」という)に基づく開示請求をしたところ,沖縄労働。 局長が,法5条2号イ,4号及び6号の不開示情報に該当することを理由として,開示請求に係る行政文書の全部を開示しない旨の決定をしたため,原告がその取消しを求めた事案である。 争いのない事実等(証拠等により認定した事実は証拠を末尾に掲記した)。 (1)原告は,沖縄労働局長に対し,平成19年9月10日付けで,法3条,4条1項に基づき「那覇労働基準監督署が平成17年に株式会社A銀行に,交付した,行政指導文書(指導票・是正勧告書)の控え,それに対する是正報告書及び監督復命書の写しすべて」を対象として,行政文書の開示請求をした。 (2)沖縄労働局長は,平成19年9月26日付けで,原告に対し,開示請求の対象とされた文書を,監督復命書2通(乙4,6(以下「本件各監督復)」。),()(,)(「()」命書という指導票控2通乙5 以下本件各指導票控という「那覇労働基準監督署宛報告について」と題する書面(乙8)及。),- 2 -び那覇労働基準監督署長宛て報告書3通(乙9ないし11(以下,乙8な)いし11の書面を「本件各是正報告書」という)と特定し(以上の文書を。 告について」と題する書面(乙8)及。),- 2 -び那覇労働基準監督署長宛て報告書3通(乙9ないし11(以下,乙8な)いし11の書面を「本件各是正報告書」という)と特定し(以上の文書を。 「本件各文書」という,本件各文書には,いずれも法5条2号イ,4号。),,及び6号所定の不開示情報が記載されているとして法9条2項に基づき全部を開示しない旨の決定(以下「本件決定」という)をした(甲1,。 。 乙1)(3)沖縄労働局長は,平成20年4月25日付で,本件処分を変更して,本件各文書について,下記アないしエの各部分を除いて開示する旨の決定をした(以下「本件変更決定」という(乙1,乙4ないし11)。)。 ア本件各監督復命書いずれも「監督種別」欄「労働保険番号」欄「監督重点対象区分」,,欄「参考事項・意見」欄の一部及び「面接者職氏名」欄の記載,イ本件各指導票(控)いずれも「指導事項」欄の一部及び「受領年月日受領者職氏名」欄における受領者職氏名ウ「那覇労働基準監督署宛報告について」と題する書面「1.那覇労基署による指導事項」の一部「2.時間外手当未払分の調,査方法について」全部及び「3.労働時間管理状況改善のための対応策案について」全部エ那覇労働基準監督署長宛て各報告書いずれも事業主代表者の職印の印影貴署指導事項欄の一部及び実,「」「施策」欄の一部 争点 (1)本件各文書には,法5条1号,2号イ,4号又は6号の不開示情報が記載されているか。 (2)本件各文書に不開示情報が記載されている場合に,どの部分が不開示と- 3 -されるべきか。 争点に対する当事者の主張(1)争点(1)(本件各文書には,法5条1号,2号イ,4号又は6号の不開示情報が記載されているか)について。 ( に,どの部分が不開示と- 3 -されるべきか。 争点に対する当事者の主張(1)争点(1)(本件各文書には,法5条1号,2号イ,4号又は6号の不開示情報が記載されているか)について。 (被告の主張)ア本件各監督復命書及び本件各指導票(控)は,労働基準監督官が臨検を行った事業場に対する監督指導の内容や結果等が記載された文書であり,本件各是正報告書は,指導を受けた事業場が監督機関に対して是正,改善状況を報告するために提出する文書である。 そして,本件各文書が明らかになった場合には,労働基準監督官が指摘した法令違反や改善を要する事項の個別具体的な内容やこれに対する事業場の対応のみならず,当該事業場にとって秘匿すべき内部管理に関する情報もそのまま公になるが,監督指導は,当該事業場に任意の改善を促すという意味で行政指導として行ったに過ぎないものであるのに,これを公にすることは明らかに過酷な制裁を課すものであるから,本件各文書は,いずれも法5条2号イの不開示情報に当たる。 イまた,本件各文書を公にすれば,公表を怖れた事業主が臨検監督に非協力的になり,違法不当な行為を発見することが困難になるおそれがあり,また,労働基準関係に違反する犯罪行為が隠蔽されるなどして,犯罪の予防等に悪影響を及ぼすおそれが認められるから,本件各文書は,法5条6号イ及び4号の不開示情報に当たる。 ,,ウそして本件各監督復命書の面接者職氏名は面接した相手方の職氏名が本件指導票(控)の受領者職氏名は,指導票を受領した相手方の職氏名が記載されており,この部分は,法5条1号の不開示情報に当たる。 エなお,本件各文書は,それぞれが文書全体として1個の独立した一体的な情報であり,上記ア,イのとおり,法5条2号イ,4号及び6号イの情- 4 -報が記載されているから, 号の不開示情報に当たる。 エなお,本件各文書は,それぞれが文書全体として1個の独立した一体的な情報であり,上記ア,イのとおり,法5条2号イ,4号及び6号イの情- 4 -報が記載されているから,本件各文書を部分開示する義務はない。 仮に,本件変更決定後の不開示部分について個別に検討するとしても,本件各監督復命書の「労働保険番号」欄は法5条2号イの,本件各監督復命書の参考事項・意見欄本件各指導票控の指導事項欄那「」,()「」,「覇労働基準監督署宛報告について」と題する書面並びに那覇労働基準監督署長宛て報告書中の「貴署指摘事項」欄及び「実施策」欄は5条2号イ,4号及び6号イの不開示情報にそれぞれ当たる。 (原告の主張)ア株式会社A銀行(以下「本件銀行」という)は,行政指導の概要を自。 ら公表しており,本件各文書を公にしても競争上の地位その他の正当な利益を害するおそれはないから,本件各文書は,いずれも法5条2号イの不開示情報に当たらない。 イまた,本件各文書は行政指導に関する文書であるから,いずれも法5条4号の不開示情報に当たらない。 ウそして,自ら行政指導を受けた事実を公表した会社の監督復命書及び指導票(控)は開示されているが,これによって労働基準監督署が他の事業,,場について行う行政指導に不都合が生じたことはないから本件各文書は法5条6号の不開示情報に当たらない。 エさらに,本件各監督復命書中の「労働保険番号」欄は,別件の情報公開・個人情報保護審査会の答申により開示すべきであるとされた情報であるから「労働保険番号」欄を不開示とした本件処分は違法である。 ,また,本件各監督復命書の「参考事項・意見」欄,本件指導票(控)の「指導事項」欄「那覇労働基準監督署宛報告について」と題する書面,,那覇労 労働保険番号」欄を不開示とした本件処分は違法である。 ,また,本件各監督復命書の「参考事項・意見」欄,本件指導票(控)の「指導事項」欄「那覇労働基準監督署宛報告について」と題する書面,,那覇労働基準監督署宛報告書中の「貴署指摘事項」欄及び「実施策」欄の各記載を,本件銀行に意見照会をすることなく不開示とした本件処分は不当である。 - 5 -(2)争点(2)(本件各文書に不開示情報が記載されている場合に,どの部分が不開示とされるべきか)について。 (被告の主張),,,,本件各文書の記載はそれぞれの文書ごとにいずれも作成者作成目的記載内容が相互に関連した一体的な内容を記載したものであるから,それぞれの文書は,文書全体の記載内容が1個の独立した一体的な情報であると解すべきであり,それぞれの文書に不開示情報の記載がある以上は,処分行政庁は,それをさらに細分化してその一部を不開示とし他の部分を開示する義務はなく,本件各文書全体をそれぞれ不開示とすべきである。 (原告の主張)争う。 第3争点に対する判断 原告は,開示請求に係る行政文書の全部を開示しない旨の本件決定の取消しを求めて本訴を提起したが,沖縄労働局長は,平成20年4月25日付の本件変更決定により,本件各文書のうちの前記第2の1(3)のアないしエ記載の各部分を除いて開示する旨の決定をしたから,本件訴えのうち,本件変更決定により開示された部分に係る訴えは,訴えの利益が失われ,不適法である。 そこで,以下,本件各文書のその余の記載事項について検討する。 争点(1)(本件各文書は,法5条1号,2号イ,4号又は6号の不開示情報に当たるか)について(1)本件各監督復命書及び本件各指導票(控)の記載事項についてア法5条2号イ該当性について(ア)法5条2号イは「公にす は,法5条1号,2号イ,4号又は6号の不開示情報に当たるか)について(1)本件各監督復命書及び本件各指導票(控)の記載事項についてア法5条2号イ該当性について(ア)法5条2号イは「公にすることにより,当該法人等又は当該個人,の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」を不開示情報として定めている。これは,そもそも法は,国民主権の理念にのっとり,政府の諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにす- 6 -ることを目的とする(法1条参照)ものであることから,行政文書は原則開示とする(法5条参照)ものの,他方で,法人その他の団体や事業を営む個人の当該事業に関する権利利益を適切に保護する必要があることから,情報を開示することの利益と開示しないことの利益とを衡量した上で,事業者の各種権利や公正な競争関係における地位,さらにはノウハウや信用等の法人の運営上の正当な利益を害するような情報は,開示しない情報としたものである。そして,このような権利や利益を「害するおそれ」があるかどうかについては,単なる確率的な可能性ではなく法的保護に値する蓋然性が必要であると解すべきである。 (イ)そこで検討すると,証拠(乙4ないし7)及び弁論の全趣旨によれば,本件各監督復命書には,いずれも,労働基準監督官が,本件銀行に臨検し,従業員の労働時間の管理について問題があるとして,指導票を交付したこと,労働基準監督官は「要是正報告」としたい旨の意見を,付したことなどが記載されており,また,本件各指導票(控)には,いずれも,労働基準監督官が本件銀行に対し,本件銀行においては,時間外労働割増賃金の支払いがされた時間以上の時間外労働がされている実態が見受けられることから,本店及び全支店を対象として,本件銀行が認めた時間外労働以外に認めるべ 銀行に対し,本件銀行においては,時間外労働割増賃金の支払いがされた時間以上の時間外労働がされている実態が見受けられることから,本店及び全支店を対象として,本件銀行が認めた時間外労働以外に認めるべき時間外労働の有無を調査し,その時間数を報告すると共に,労働時間管理の状況を改善するための具体的対策を講じることなどを指導したことが記載されていることが認められる。 ,,,,これらの各記載はいずれも臨検調査を行った労働基準監督官が本件銀行には,時間外割増賃金(労働基準法37条)が支払われた時間以上の時間外労働がされている実態があり,そうした状態が生じた背景には本件銀行における従業員の労働時間の把握,管理の体制に問題がある旨を指摘し,本件銀行に改善を求めたという内容のものであり,こう- 7 -した内容が公表されれば,本件銀行が,労働基準法を遵守せず,あるいは軽視して経営を行っており,従業員の労働時間の管理の体制に問題がある銀行であるという評価がされ,本件銀行の社会的な信用が低下することは避けられないというべきである。そして,特に近時においては,一般に法令を遵守した経営が強く求められており,法令不遵守を理由とする社会的信用の低下は,預金者をはじめ本件銀行の取引関係にも悪影響を生じさせることになると考えられ,本件銀行の競争上の地位を害する客観的な蓋然性があると認められる。 他方で,本件各監督復命書及び本件各指導票(控)は,労働基準監督官が行政指導を行ったにすぎない時点で作成されたものであるところ,労働基準法等には,労働基準監督官が特定の事業場に対してそのような行政指導を行った場合に,その事実や内容を一般に公表する旨の規定は見当たらないのであって,本件銀行は,法令上,前記の指導の事実や内容を公表されることによって社会的信用が低下する 場に対してそのような行政指導を行った場合に,その事実や内容を一般に公表する旨の規定は見当たらないのであって,本件銀行は,法令上,前記の指導の事実や内容を公表されることによって社会的信用が低下すること等の不利益を甘受しなければならない理由はないというべきである。 そうすると,本件各監督復命書及び本件各指導票(控)の上記記載内容は,いずれも公にすることにより本件銀行の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると認められ,これらの情報は,いずれも法5条2号イの不開示情報に当たるというべきである。 ,,,,(ウ)この点原告は本件銀行は行政指導の概要を自ら公表しており本件各文書を公にしても競争上の地位その他の正当な利益を害するおそれはないと主張する。 しかし,証拠(甲7)によれば,たしかに本件銀行は,行政指導を受けたことについて概括的に公表していることが認められるものの,本件各監督復命書及び本件各指導票(控)に記載されていることが推認される時間外労働の具体的かつ詳細な実態については公表していない- 8 -のであって,本件銀行が行政指導について概括的な公表を行ったことによって,前記のような競争上の地位その他の正当な利益を害するおそれが消失したとは到底いえず,この点についての原告の主張は採用できない。 イ法5条6号及び法5条4号該当性について(ア)労働基準法は,同法及び関係法規の規制の実効確保のため,監督機関として厚生労働省に労働基準主管局を,また各都道府県に都道府県労働局を置き,さらに各都道府県管内に労働基準監督署を置き,これらの監督機関に専門職の監督行政官である労働基準監督官を置くこととしている(労働基準法97条。そして,労働基準監督官には,臨検,書類)提出要求及び尋問の権限が与えられ(同法101条,速やかに労働基 の監督機関に専門職の監督行政官である労働基準監督官を置くこととしている(労働基準法97条。そして,労働基準監督官には,臨検,書類)提出要求及び尋問の権限が与えられ(同法101条,速やかに労働基)準法等違反の事実について是正を図るよう監督することが求められているが,労働基準監督官が早期に正確な事実を把握するためには,臨検した事業場の関係者から,任意の協力を得て,事実調査を行うことが重要となる。 (イ)他方,証拠(甲4,6,乙4,6)によれば,監督復命書には,労働基準監督官が臨検した事業場の特定に関する事項,調査の結果判明した当該事業場における労働基準法等に違反する行為や労働基準法等に照らして不相当な行為(以下「違反行為等」という,労働基準監。)督官が当該事業場に対してした是正勧告や指導の措置の内容,当該事業場に対する今後の方針についての労働基準監督官の意見等が記載されていることが認められる。また,証拠(甲4,6,乙5,7)によれば,指導票(控)には,労働基準監督官が指摘した労働基準法等に照らして不相当な行為,これに対する改善の状況の報告を求める旨の記載等が記載されていることが認められる。そうすると,これらの記載が将来公になるということになれば,事業者が,自らの事業場で労- 9 -働基準法等の法令に違反したことを行っていた事実が公になることを避けるために,労働基準監督官の調査に任意に協力することを拒んだり,資料を改ざんしたり,隠ぺいしたりするなどのおそれが十分にあると解される。 (ウ)このように,監督復命書や指導票(控)が公開されるならば,公開されることをおそれた事業主が労働基準監督官が行う調査等に非協力的な態度を示したり,かえって資料を改ざん,隠ぺいしたりするおそれがあり,そうなると,労働基準監督官が,早期に労働基 されるならば,公開されることをおそれた事業主が労働基準監督官が行う調査等に非協力的な態度を示したり,かえって資料を改ざん,隠ぺいしたりするおそれがあり,そうなると,労働基準監督官が,早期に労働基準法に違反する事実が存するか否かについて正確な事実を把握することが困難になり,労働基準法違反の行為を取り締まる監督機関としての役割が十分に果たせないことになりかねないから,本件各監督復命書及び本件各指導票(控)記載の上記の各情報が開示されるならば,法5条6号イにいう「検査及び取締りに関する事務に関し,正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし,若しくはその発見を困難にするおそれ」があると認められる。 (エ)また,労働基準監督官は,労働基準法違反の罪について,刑事訴訟法に規定する司法警察官の職務を行うとされているところ(労働基準),,()法102条上記のとおり本件各監督復命書及び本件各指導票控記載の上記各情報の開示がされることにより,公開されることを怖れた事業主が,資料を改ざんしたり隠ぺいするなどして,労働基準法違反の罪(同法13章)に当たる事実の存在を隠ぺいするおそれがあると認められるから,沖縄労働局長が,これらの情報を公にすることにより,犯罪の予防等に支障が及ぶおそれもあると判断したことには相当な理由があり,本件各監督復命書及び本件各指導票(控)記載の上記の各情報は5条4号の不開示情報に当たるというべきである。 (オ)これらの点につき,原告は,自ら行政指導を受けた事実を公表した- 10 -,(),会社については監督復命書及び指導票控の開示がされているがそのことによって労働基準監督署が他の事業場について行う臨検や調査等に不都合が生じたことはないから,本件各文書は,法5条6号の不 ,会社については監督復命書及び指導票控の開示がされているがそのことによって労働基準監督署が他の事業場について行う臨検や調査等に不都合が生じたことはないから,本件各文書は,法5条6号の不開示情報に当たらないと主張する。 しかしながら,自ら行政指導を受けた事実を公表した会社について,当該会社が公表した事実の範囲で監督復命書及び指導票(控)の部分開示決定がされたことがあったとしても,そのことは,一般に,監督復命書や指導票(控)の公開を怖れた事業主が,労働基準監督官が行う調査等に非協力的な態度を示したり,資料を改ざんしたり,隠ぺいしたりするおそれがあることとは全く無関係なことがらであって,この点に関する原告の主張は採用できない。 また,原告は,本件は行政指導の文書であるから,法5条4号の不開示情報に当たらないと主張するが,監督復命書及び指導票(控)が公開されれば,労働基準法違反の犯罪の予防等に支障が及ぶおそれもあると沖縄労働局長が判断したことには相当な理由があることは,前記,。 (エ)記載のとおりでありこの点に関する原告の主張も採用できないウ法5条1号該当性について本件各監督復命書の面接者職氏名欄には面接した相手方の職及び氏名が,本件各指導票(控)の受領者職氏名欄には,指導票を受領した相手方の職及び氏名がそれぞれ記載されているものと推認され,いずれも法5条1号の個人識別情報に当たるものと解されるから,上記職及び氏名はいずれも法5条1号の不開示情報に当たる。 ⑵本件各是正報告書について証拠(乙5,7,8ないし11)によれば,本件各是正報告書は,いずれも本件銀行が作成した那覇労働基準監督署宛の報告書面であり「那覇労働,基準監督署宛報告」と題する書面(乙8)には「1.那覇労基署による指導- 11 -事項」の,那覇労働基準 是正報告書は,いずれも本件銀行が作成した那覇労働基準監督署宛の報告書面であり「那覇労働,基準監督署宛報告」と題する書面(乙8)には「1.那覇労基署による指導- 11 -事項」の,那覇労働基準監督署長宛の報告書3通には「貴署指摘事項(乙」9ないし11)の各記載があるが,これらの記載は,労働基準監督官が本件銀行に対して交付した指導票に記載された指導事項をまとめて記載したものであることが認められるから,それらの部分の記載は,本件各指導票(控)で検討したのと同様の理由によりに,法5条2号イ,4号及び6号イの不開示情報に当たると解される。 争点(2)(本件各文書に不開示情報が記載されている場合に,どの部分が不開示とされるべきか)について。 (1)法6条1項は,行政機関の長は,開示請求に係る行政文書の一部に不開示情報が記録されている場合において,不開示情報が記録されている部分を容易に区分して除くことができるときは,開示請求者に対し,当該部分を除いた部分につき開示しなければならないと規定している。この規定は,その文言上,法5条各号に定める不開示情報が記載されている場合に,当該不開示情報を除いた部分の開示について規定しているものの,ある独立した一体的な情報を更に細分化し,その一部を非公開とし,その余の部分を公開すべきことを実施機関に義務付けているものと解することはできないと言わざるを得ない(最高裁判所第三小法廷平成13年3月27日判決・民集55巻2号530頁参照。また,法6条2項が,法5条1号にいう「特定の個人を)識別することができる」情報について,その情報のうち,特定の個人を識別することができることとなる記述等以外の部分については,法5条1号の不開示情報に含まれないものと「みなして,同号の規定を適用する旨定めて」いることからす について,その情報のうち,特定の個人を識別することができることとなる記述等以外の部分については,法5条1号の不開示情報に含まれないものと「みなして,同号の規定を適用する旨定めて」いることからすれば,法6条は,法5条1号のいわゆる個人識別情報を除いては,情報単位で開示するか不開示するかを決定すべきであることを定めており,独立した一体的な情報を更に細分化して,開示不開示を定めることを求めるものではないと解すべきである。 ,,,そして独立した一体的な情報に当たるか否かは当該文書の作成の名義- 12 -趣旨,目的,作成時期,内容等を総合考慮の上,法の不開示情報に関する規定の趣旨に照らし,社会通念に従って判断されるべきものと解される。そこで,本件各文書について,それぞれ独立した一体的な情報であると解すべき範囲について検討する。 (2)本件各監督復命書についてア監督復命書は,労働基準監督官が,労働基準監督行政の実施機関である,,労働基準監督署長の命を受け特定の事業場について臨検等の調査を行いその結果判明した違反行為等の内容を明らかにし,それに対して労働基準監督官が行った行政上の措置や,当該事業場に対するその後の方針についての労働基準監督官の意見等を記載して,労働基準監督署長に報告するものであり,これにより,労働基準監督行政の適切な実行と労働基準法の実効性を確保することを企図するものであると解される。そして,監督復命,,,書の上記の記載内容はたとえば労働基準監督官がいかなる調査を行いその結果いかなる具体的な違反行為等が判明したのか,その判明した違反行為等の内容等に照らして,いかなる行政措置が相当と判断し,実施したのか,そして,それらの諸事情を総合して,その後,当該事業場に対していかなる方針で臨むのが相当と考えたのかという ,その判明した違反行為等の内容等に照らして,いかなる行政措置が相当と判断し,実施したのか,そして,それらの諸事情を総合して,その後,当該事業場に対していかなる方針で臨むのが相当と考えたのかというように,相互に有機的に関係し連繋した記載内容となっており,それぞれ個々の記載ではなく,記載内容全体によって,労働基準監督行政の適切な実行と労働基準法の実効性を確保するという目的に資するものであると解される。したがって,監督復命書の記載内容は,原則として,全体として独立した一体の情報であるというべきである。 イそして,証拠(乙4,6)及び弁論の全趣旨によれば,本件各監督復命書は,いずれも定型の様式を用いて作成された一通の行政文書であり,労働基準監督官が,特定の事業場について臨検等の調査を行い,その結果判明した違反行為等の内容を明らかにし,それに対して労働基準監督官が行- 13 -った行政上の措置や,当該事業場に対するその後の方針についての労働基準監督官の意見等を記載したものであると認められ,本件各監督復命書の記載内容についてのみ上記と異別の解釈をすべき理由は見出し難いから,本件各監督復命書の記載は,社会通念上,それぞれ全体として独立した一体の情報であると解すべきである。 ウそうすると,本件各監督復命書については,前記第3の2(1)で検討したとおり,法5条2号イ,4号及び6号イにそれぞれ該当する記載が存在するのであるから,本件各監督復命書の記載は,全体として1つの不開示情報に該当し,法6条1項によってそれぞれの文書の記載全部が不開示とされるべきことになる。 (3)本件各指導票(控)について,,,ア指導票は労働基準監督官署の労働基準監督官等が事業主等に対してその事業所で行われていた違反行為等を指摘し,これに対する改善措置を,, とになる。 (3)本件各指導票(控)について,,,ア指導票は労働基準監督官署の労働基準監督官等が事業主等に対してその事業所で行われていた違反行為等を指摘し,これに対する改善措置を,,求めると共に改善の状況の報告を求める旨記載して交付するものでありこれにより,具体的な違反行為等の是正を図り,労働基準法の実効性を確保することを企図するものであると解される。そして,指導票の上記の記,,,載内容は違反行為等の具体的内容と共にそれに対する改善措置を求め改善の状況について報告を求めるというもので,相互に有機的に関係し連繋した記載内容となっており,これらの個々の記載ではなく,記載内容全体によって,具体的な違反行為等の是正を図り,労働基準法の実効性を確保するという目的に資するものであると解される。したがって,指導票の記載内容は,社会通念上,原則として,全体として独立した一体の情報であるというべきである。 ,(,),()イそして証拠乙57及び弁論の全趣旨によれば本件各指導票控,,はいずれも定型の様式を用いて作成された一通の行政文書の控えであり那覇労働基準監督署の労働基準監督官が,事業主等に対して,その事業所- 14 -で行われていた違反行為等を指摘し,これに対する改善措置を求めると共,,に改善の状況の報告を求める旨記載して交付したものであると認められ本件各指導票(控)の記載内容についてのみ上記と異別の解釈をすべき理由は見出し難いから,本件各指導票(控)の記載は,社会通念上,それぞれ全体として独立した一体の情報であると解すべきである。 ウそうすると,本件各指導票(控)については,前記第3の2(1)で検討したとおり,法5条2号イ,4号及び6号イにそれぞれ該当する記載が存在するのであるから,本件各指導票(控)の と解すべきである。 ウそうすると,本件各指導票(控)については,前記第3の2(1)で検討したとおり,法5条2号イ,4号及び6号イにそれぞれ該当する記載が存在するのであるから,本件各指導票(控)の記載は,それぞれ全体として1つの不開示情報に該当し,法6条1項によってそれぞれの文書の記載全部が不開示とされるべきことになる。 (4)本件各是正報告書についてア証拠(乙8ないし11)及び弁論の全趣旨によれば,本件各是正報告書は,本件銀行が,労働基準監督官から受けた指導事項に対し,その改善措置とその実施状況を記載して,労働基準監督署長に対して報告した文書であると認められるところ,労働基準監督官の指導事項及びこれに対する改善措置と実施状況は,相互に有機的に関係し連繋した記載内容となっており,社会通念上,本件各是正報告書の記載は,それぞれ全体として独立した一体の情報であるというべきである。 イそうすると,本件各是正報告書については,前記第3の2(1)で検討したとおり,法5条2号イ,4号及び6号イにそれぞれ該当する記載が存在するのであるから,本件各指導票(控)の記載は,それぞれ全体として1つの不開示情報に該当し,法6条1項によってそれぞれの文書の記載全部が不開示とされるべきことになる。 第4 結論 以上によれば,本件訴えのうち,本件変更決定により開示された部分に係る訴えは不適法であるから却下し,その余の部分については,いずれも不開示と- 15 -した被告の処分は適法であるから原告の請求を棄却することとし,訴訟費用については,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第3部裁判長裁判官定塚誠裁判官中山雅之裁判官佐々木健二 訟法61条を適用して主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第3部裁判長裁判官定塚誠裁判官中山雅之裁判官佐々木健二

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