昭和24(わ)363 横領被告事件

裁判年月日・裁判所
昭和24年10月22日 東京高等裁判所 棄却
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【DRY-RUN】主    文      本件上告はこれを棄却する。          理    由  弁護人佐久間渡外二名の上告趣意は同人等共同名義の上告趣意書と題する末尾添 附の書面記載の通りである。  <要旨>こ

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判決文本文1,314 文字)

主文 本件上告はこれを棄却する。 理由 弁護人佐久間渡外二名の上告趣意は同人等共同名義の上告趣意書と題する末尾添附の書面記載の通りである。 <要旨>これに対し当裁判所は次の通り判断する。</要旨>刑法第二百五十二条の横領の罪は自己の占有する他人の物(遺失物を除く)を不法に領得することによつて成立する。而して犯人がその占有するに至つた原因は窃盗のような不法行為により占有した場合は別であるが所有者から委託されたによると第三者から委託されたによるとを問わない。またその第三者は事務管理者であると窃盗のような犯人であるとを区別しない(大正六年一〇月二三日大審院判決、録第二三輯一〇九五頁参照)。従つてその占有が合法的であると否とを区別しない。 原判示は所論の通りで、即ちこれによれば被告人は昭和二十一年三月頃判示栃木県上都賀郡a村の山林内に存在したA株式会社B鉱業所所有の航空機用エチール液入ドラム罐百数十本を何等法令の根拠に基かないで設立された第一復員省終戦残存物資調査会の調査員CからDを通じて右ドラム罐の保管命令を受け、これに基き右調査会のため前記山林内において同ドラム罐を保管中そのうち合計八十一本を擅に他に売却したというのである。さて右判示にドラム罐が判示山林内に存在した云々とあるのはドラム罐が偶然その所有者の占有を離れ所謂遺失物になつていたという趣旨でなく、単にその占有の場所を表示したものと解するのが相当である(大正三年一〇月二一日大審院判決、録第二〇輯一九〇一頁参照)。而してドラム罐の占有は依然所有者にもあつたとしても被告人は他人の占有を侵害する意思がなかつたことは記録上明白で、原判示も被告人に該意思がなかつたという趣旨に解するのが相当であるから被告人の判示行為は窃盗犯人の贓品の処分行為として不 もあつたとしても被告人は他人の占有を侵害する意思がなかつたことは記録上明白で、原判示も被告人に該意思がなかつたという趣旨に解するのが相当であるから被告人の判示行為は窃盗犯人の贓品の処分行為として不問に附すべきものでない。また右調査会は法令に基いて設立されたものでないが他人の事務管理としてその調査員Cはドラム罐の保管を被告人に命じたものと解するのが相当である、被告人が右命令に基きこれを保管したのであるが、その保管が合法的のものでないとしてもその保管中擅に他に売却すれば横領罪を構成することは前述の説明で明白である。 従つて原判決を通読して判示の趣旨は判示ドラム罐が判示B鉱業所の所有でそれが遺失物でなく単に山林内においてこれを占有していたのを判示調査員Cが事務管理として被告人に保管を命じ被告人はこれに基いてこれを保管中他人の占有を侵害する意思なく、単に不法領得の意思でこれを他に売却したのであるということが窺知できる以上所論の諸点を判示しなくても原判決は普通横領罪の判示として簡に失するうらみはあるが欠くるところがない。所論のように原判決には理由不備の違法がない。論旨は理由がない。 以上の理由により旧刑事訴訟法第四百四十六条に従い主文の通り判決する。 (裁判長判事吉田常次郎判事保持道信判事鈴木勇)

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