昭和63(行コ)29 法人税更正処分等無効確認請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
平成元年2月22日 大阪高等裁判所 租税
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【DRY-RUN】○ 主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 ○ 事実 第一 当事者双方の申立 一 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 (主位的請求) 被控訴人が昭和五九年六月三〇日付をもつてし

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判決文本文33,329 文字)

○ 主文本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 ○ 事実第一当事者双方の申立一控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 (主位的請求)被控訴人が昭和五九年六月三〇日付をもつてした訴外神戸枝肉荷受株式会社に対する法人税更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分がいずれも無効であることを確認する。 (予備的請求)前項記載の各処分をいずれも取り消す。 3 訴訟費用は一、二審とも被控訴人の負担とする。 との判決を求める。 二控訴の趣旨に対する答弁主文同旨の判決を求める。 第二当事者双方の主張次のとおり訂正し、また、附加するほか、原判決事実摘示のとおりであるからこれを引用する。 一原判決の訂正 1 原判決二枚目裏末行の「所得金額」とあるのを、「欠損金額」と改める。 2 同三枚目表初行の「納付すべき」とあるのを、「控除すべき所得」と改める。 3 同一〇枚目表五行目の「訴外会社が」から同七行目の「争わないが」までを、「訴外会社が昭和五九年一月三日に清算を結了したものとして、同年六月二一日にその登記を経由したことは認めるが」と改める。 4 同表一一行目の「明らかに争わないが」とあるのを、「認めるが」と改める。 5 同一一枚目表五行目の「会社は、」から同八行目の「いうべきであつて、」までを、「清算の結了により株式会社の法人格が消滅したというためには、商法四三〇条一項、一二四条所定の清算事務が終了しただけでは足りず、清算人が決算報告書を作成してこれを株主総会に提出し、その承認を得ることを要するものであり(最高裁昭和五九年二月二四日第二小法廷判決・刑集三八巻四号一二八七頁参照)、清算事務が終了しただけでは清算が結了しないのであるから、仮に残余財産を株主に分配し、全株主にこれを引渡し終つた時に清算事務が終了すると仮定しても、それだけでは、 ・刑集三八巻四号一二八七頁参照)、清算事務が終了しただけでは清算が結了しないのであるから、仮に残余財産を株主に分配し、全株主にこれを引渡し終つた時に清算事務が終了すると仮定しても、それだけでは、清算が終了し、株主会社の法人格が消滅するものではない。逆に、商法四三〇条一項、一三四条は、この株主総会の承認後、一定の期間内に清算結了登記をすることを義務づけているのであり、この登記を怠れば過料に処せられるのであるから(商法四九八条一項一号)、清算人は、右承認後、必ずこの登記をしなければならず、また、この承認のない限りは清算結了登記をすることはできないのであるから、右株主総会の承認決議によつて清算は終了し、株式会社の法人格は消滅するというべきであつて、」と改める。 二当事者双方の主張の附加(控訴人) 1 代表清算人でなく、また、残余財産の現実の引渡しをしなかつた清算人でも、残余財産の分配等が清算人会の決議に基づくときは、その決議に賛成した清算人は、右分配等をしたものとみなし、また、右決議の議事録に異議をとどめなかつた清算人は、その決議に賛成したものと推定される(国税通則法基本通達三四一五)。 控訴人は、昭和五九年一月二三日にされた残余財産の分配の承認決議において、その議事録に記名捺印して異議をとどめていないのであるから、右通達により、決議に賛成したものとみなされ、あるいは推定されて、第二次納税義務者としての納税告知を受けるおそれのあるものというべく、したがつて、行政事件訴訟法九条にいう「処分の取消を求めるにつき法律上の利益を有する者」に該当する。 2 法人税の更正処分については、当該法人の本店所在地に宛て、納税者である右法人に対して更正処分の通知書を送達すべきであつて、代表者である個人に宛ててその住所地に送達をしたところで、このような送達が有 法人税の更正処分については、当該法人の本店所在地に宛て、納税者である右法人に対して更正処分の通知書を送達すべきであつて、代表者である個人に宛ててその住所地に送達をしたところで、このような送達が有効とはいえない。 本件更正処分等の送達は、訴外会社のもと代表清算人であつたAの住所に宛てて、同人に対し、書留郵便によつてされたものに過ぎず、これによつて訴外会社に対する本件更正処分等の送達があつたとはいえない。 したがつて、本件更正処分等は、その内容の瑕疵を問うまでもなく、その通知を欠くものとして手続きの瑕疵により無効である。 (被控訴人) 1 本件補償金八三〇〇万円の全額が訴外会社に対して支払われたものであることはさきに主張したとおりであり、したがつて、訴外会社の本件事業年度における所得金額の算定の内訳は別表(一)記載のとおりとなる。右内訳金額のうち補償金収入計上漏れ四五〇〇万円は、訴外会社が神戸市から支払われた補償金の一部(四五〇〇万円)を預り金として経理していたので、被控訴人は、これを当期の所得金額に加算したものであり、前期から繰り越した欠損金額七五二万一二九三円は、訴外会社の昭和五七年四月一日から昭和五八年三月三一日までの事業年度に生じた欠損金額を、本件事業年度の所得金額の計算上、損金の額に算入したものである(法人税法五七条)。 また、法人税法二条一〇号に規定する同族会社は、同法六七条の規定により、各事業年度の留保金額が留保控除額を超える場合には、その超える部分の金額に一定の割合を乗じて計算した金額を各事業年度の所得金額に対する法人税の額に加算することとされている。 訴外会社は右同族会社に該当するので、被控訴人は、本件更正処分後の留保所得金額を基礎として法人税法六七条の規定に従つて留保金額に対する税額を算定したところ、別表(二)記載のとお こととされている。 訴外会社は右同族会社に該当するので、被控訴人は、本件更正処分後の留保所得金額を基礎として法人税法六七条の規定に従つて留保金額に対する税額を算定したところ、別表(二)記載のとおりとなる。 被控訴人は、訴外会社が提出した確定申告書記載の所得金額等が被控訴人の調査したところと異なつていたので、さきに主張したとおり本件更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分をしたが、その計算の根拠は、別表(三)記載のとおりである。 2 本件予備的請求については、被控訴人の本案前の抗弁が認められないとすれば、被控訴人は、その実体審理につき原審に差戻しを求めることなく、当審において実体審理されることに同意する。 第三証拠(省略)○ 理由一訴外会社が、枝肉の荷受け及び売買の斡旋を業とする株式会社であり、昭和五八年五月三一日に株主総会で解散決議をし、同年四月一日から五月三一日までの事業年度(本件事業年度)の法人税につき、法定の申告期限内である同年七月二七日に、欠損金額を五五一万八一一五円、控除すべき所得税額を五万七五〇〇円、翌期に繰り越す欠損金を一三〇三万九四〇八円とする確定申告をしたこと、右申告に対し、被控訴人が、昭和五九年六月三〇日付で、所得金額を三一九六万〇五九二円、納付すべき税額を一四一八万四七〇〇円とする法人税更正処分(本件更正処分)及び過少申告加算税額を七〇万九〇〇〇円とする過少申告加算税賦課決定処分(右両処分を合わせて本件課税処分という。)をしたこと、本件課税処分に対し、訴外会社が、法定の期限内である昭和五九年七月二八日に被控訴人に対する異議申立をし、被控訴人は、同年一一月六日付で右異議申立をいずれも棄却するとの決定をしたこと、右異議棄却決定に対し、訴外会社が、法定の期限内である昭和五九年一一月二〇日に国税不服審判所長に対して審 異議申立をし、被控訴人は、同年一一月六日付で右異議申立をいずれも棄却するとの決定をしたこと、右異議棄却決定に対し、訴外会社が、法定の期限内である昭和五九年一一月二〇日に国税不服審判所長に対して審査請求をし、同所長は、昭和六一年四月七日付で右審査請求を棄却するとの裁決をしたことは、いずれも当事者間に争いがない。 二主位的請求 1 訴えの利益(原告適格)行政事件訴訟法三条所定の無効等確認訴訟の訴えの利益(広義)は、原告適格の面においては取消訴訟の場合と同じく、当該処分もしくは裁決の存否又は効力の有無の確認を求めるにつき、法律上保護された利益を有する者に限つて認められるものというべく、右法律上保護された利益とは、当該処分等が違反するとされている実定法規が原告の個人的利益を保護する趣旨で行政権の行使を制約している場合をいい、これとは異なり、他の目的、特に公益の実現を目的として行政権の行使を規制している結果としてたまたま原告が一定の利益を受ける場合においては、単なる法の反射的利益あるいは事実上の利益の侵害があるに過ぎないとして無効等確認訴訟の原告適格を認めるに由ないものと解するのが相当である(最高裁昭和五三年三月一四日第三小法廷判決・民集三二巻二号二一一頁参照)。 また、行政事件訴訟法三六条によれば、無効等確認訴訟については、さらにその訴えの具体的利益と必要性が、一つには、係争処分の続行処分によつて原告に損害が生じる危険が切迫しているために、これを阻止する予防的利益が肯定される場合と、第二には、原告の利益が、処分の無効を前提とした現在の権利関係に関する訴訟に還元して保護を求めるには適さない場合との、二つの場合に制限されるとともに、右続行処分により損害を受けるおそれがある場合には、現在の法律関係に関する訴えを提起することが可能であるというだけ る訴訟に還元して保護を求めるには適さない場合との、二つの場合に制限されるとともに、右続行処分により損害を受けるおそれがある場合には、現在の法律関係に関する訴えを提起することが可能であるというだけでは無効等確認の訴えの提起が否定されるものではないというべきである(最高裁昭和五一年四月二七日第三小法廷判決・民集三〇巻三号三八四頁参照)。 いま、これを本件についてみるのに、前記争いのない事実に各成立に争いのない甲第一六、第一八ないし第二〇号証、第二六号証、弁論の全趣旨により各成立の認められる同第一四、第一七号証、第二一号証の一ないし四二、第二二号証の一ないし四九、第二三、第二四号証、当審における控訴本人尋問の結果並びに弁論の全趣旨を総合すると、訴外会社は、昭和五八年五月三〇日に開催された第二一回定時株主総会において、翌五月三一日付をもつて解散するとの特別決議をするとともに、A、B、C及び控訴人の四名を清算人として選任し、同人らは即日就任することを承諾し、その後、清算人会においてAが代表清算人に選任されたこと、Aは、同年六月二三、二五、二八日の三回にわたつて官報により、右解散及び同年八月二三日を期限とする債権申出催告の公告をし、同年六月二五日開催の臨時株主総会において、本件事業年度の決算報告書を提出してその承認決議を得たこと、また、同年一二月七日及び八日に、株主に対する残余財産の第一次分配金として一株につき一〇〇円の割合による合計八六〇万二〇〇〇円を支払い、さらに、昭和五九年一月二三日に同第二次分配金として一株につき二一円九二銭九厘の割合による合計一八八万六三七〇円を支払い、右一月二三日開催の清算結了株主総会において、昭和五九年六月一日から同年一二月三一日までの決算報告書を提出して以上二回にわたる残余財産の分配及びこれによつて訴外会社の残余 八八万六三七〇円を支払い、右一月二三日開催の清算結了株主総会において、昭和五九年六月一日から同年一二月三一日までの決算報告書を提出して以上二回にわたる残余財産の分配及びこれによつて訴外会社の残余財産が零となつたことを含めその承認決議を得たこと、控訴人は、右残余財産の分配につき清算人会においてこれに賛成していること、訴外会社は、本件事業年度の法人税につき、法定の申告期限内である昭和五八年七月二七日に、別表(四)記載のとおり確定申告をしたところ、被控訴人は、右申告に対し、昭和五九年六月三〇日付で、別表(三)記載のとおりの本件課税処分をしたことがそれぞれ認められ、右認定を左右するに足りる証拠はない。 ところで、国税徴収法三四条は、法人が解散した場合において、その法人が結果的に納付しなければならない国税を納付しないで、清算人が残余財産の分配をしたため、その法人に対して滞納処分を執行してもなお徴収すべき税額に不足すると認められるときは、分配をした清算人は、分配に係る財産の価額を限度として主たる納税者の滞納国税の全額について第二次納税義務を負うと定めているところ、右分配が清算人会の決議に基づいて行われたときは、決議に賛成した清算人はその分配をしたものとみなすのが相当である。 このような国税徴収法の定める第二次納税義務は、主たる納税義務が申告又は決定もしくは更正等(以下、「主たる課税処分等」という。)により具体的に確定したことを前提として、その確定した税額につき本来の納税義務者の財産に対して滞納処分を執行してもなお徴収すべき額に不足すると認められる場合に、租税徴収の確保を図るため、本来の納税義務者と同一の納税上の責任を負わせても公平を失しないような特別の関係にある第三者に対して、納付告知により補充的に課される義務であつて、その納付告知は、形式的に 租税徴収の確保を図るため、本来の納税義務者と同一の納税上の責任を負わせても公平を失しないような特別の関係にある第三者に対して、納付告知により補充的に課される義務であつて、その納付告知は、形式的には独立の課税処分ではあるけれども、実質的には、右第三者を本来の納税義務者に準ずるものとみてこれに主たる納税義務についての履行責任を負わせたものにほかならず、この意味において、第二次納税義務の納付告知は、主たる納税義務の徴収手続上の一処分としての性格を有し、右納付告知を受けた第二次納税義務者は、あたかも主たる納税義務について徴収処分を受けた本来の納税義務者と同様の立場にあるものというべきである。したがつて、主たる課税処分等が不存在又は無効でないかぎり、主たる納税義務の確定手続における所得誤認等の瑕疵は、第二次納税義務の納付告知の効力に影響を及ぼすものではなく、第二次納税義務者は、右納付告知の取消訴訟においては、右の確定した主たる納税義務の存否又は数額を争うことができない(違法性の承継の否定)ものといわなければならない(最高裁昭和五〇年八月二七日第二小法廷判決・民集二九巻七号一二二六頁参照)。 そして、右説示のとおりの主たる課税処分等と第二次納税義務の告知処分との関係及びその間に違法性の承継が認められないことなどに照らすと、第二次納税義務者は、主たる課税処分等そのものを争うについて、前記説示にかかる法律上の利益を有する者にあたるとともに、行政事件訴訟法三六条所定の係争処分の後続処分によつて自己に損害が生じる危険が切迫しているために、これを阻止する予防的利益を有すると認められる場合に該当するものというべく、したがつて、第二次納税義務者の救済のために、主たる課税処分等そのものに対して第二次納税義務者が無効確認訴訟を提起することができるものと解するのが を有すると認められる場合に該当するものというべく、したがつて、第二次納税義務者の救済のために、主たる課税処分等そのものに対して第二次納税義務者が無効確認訴訟を提起することができるものと解するのが相当であり、この理は、第二次納税義務を課されるおそれがある者が現実に納付告知を受けるまでの間においても、これを別異に解する要をみないものというべきである。 本件において、前記認定にかかる事実によれば、控訴人は、国税徴収法三四条により、本来の納税義務者である訴外会社に対する本件課税処分に係る税額の徴収について第二次納税義務を課されるおそれがある者であることが明かであり、したがつて、以上説示したところにより、本件課税処分そのものにつき無効確認訴訟を提起することができるものというべきである。 右説示に反する被控訴人の本案前の主張は理由がなく、これを採用することができない。 2 本件課税処分の無効事由(一) 控訴人は、本件課税処分が訴外会社の法人格消滅後に行われたものであるから、その内容において重大かつ明白な瑕疵があり無効であると主張する。 しかしながら、株式会社は、その解散決議によつて直ちに法人格を失つて消滅するものでないことはもとより、清算人が商法四二七条の定めるところに従い清算事務が終了したとして決算報告書を作成し、これを株主総会に提出してその承認決議を得あるいは清算結了の登記を経由しても、その清算が結了するまでは、会社は、清算中の法人として清算の目的の範囲内においてはなお存続し、その法人格は消滅しないものというべきである。 控訴人引用の判例は所論の点についての判断を説示したものとはいえず、控訴人の法人格消滅の時期に関する法律上の主張は、独自の見解をいうものに過ぎないから採用することができない。 すなわち、清算中の株式会社は、会社の全資産を処分する いての判断を説示したものとはいえず、控訴人の法人格消滅の時期に関する法律上の主張は、独自の見解をいうものに過ぎないから採用することができない。 すなわち、清算中の株式会社は、会社の全資産を処分するとともに全ての負債を支払い、残余財産があるときはこれを株主に分配し終わつた時に清算が結了し、その法人格が消滅するものというべきところ、右負債の中に株式会社に課されるべき国税又は納付すべき国税債務が含まれることはいうまでもないから、会社が右国税を完納しないのに株主総会による前記承認決議があり、清算結了の登記が経由されても、会社は、右清算のために必要な範囲においてなお存続し、右課されるべき国税又は納付すべき国税もまた消滅しないというべきである。 控訴人は、前記認定のとおり、訴外会社が本件事業年度の法人税額が零であるとの確定申告をし、これに対し、被控訴人は、その後、訴外会社の株主総会における前記承認決議あるいは清算結了の登記が経由されるまでに本件課税処分をしなかつたから、訴外会社の本件事業年度の法人税額は、その確定申告により零に確定したものというべきであると主張するものの如くであるが、申告納税方式を採る法人税は、納付すべき税額が納税者のする申告によつて確定することを原則とするけれども、その申告のない場合又はその申告に係る税額の計算が法人税に関する法律に従つていなかつた場合その他当該税額が税務署長等の調査したところと異なる場合には、税務署長等の処分(更正、決定、再更正)によつて確定するものであつて(国税通則法一六条)、前記認定事実によれば、訴外会社の納付すべき本件事業年度に係る法人税は、本件更正処分がされたことにより、訴外会社の確定申告によつて税額零に確定したものとは断定し得ないことになつたものというべく、したがつて、控訴人のこの点に関する主張も理由 本件事業年度に係る法人税は、本件更正処分がされたことにより、訴外会社の確定申告によつて税額零に確定したものとは断定し得ないことになつたものというべく、したがつて、控訴人のこの点に関する主張も理由がない。なお、会社債権者に対する催告の規定(商法四二一条)は、国税債権には適用がないものと解するのが相当である。 以上のとおり、本件更正処分がされた当時において、訴外会社の納付すべき本件事業年度に係る法人税が存在せず、したがつて、また、訴外会社の清算が結了し、その法人格が消滅していたとの控訴人主張事実を認めるに足りる証拠はなく、右主張事実が存することを前提として、本件課税処分にはすでに消滅した法人に対してされた内容上の瑕疵があるとの控訴人主張もまた理由がないことに帰し、採用することができない。 (二) 控訴人は、本件課税処分には適法な送達がされていない手続上の瑕疵があり無効であると主張する。 しかしながら、Aが訴外会社の代表清算人に選任されたことは前記認定のとおりであるところ、成立に争いのない甲第三八号証並びに弁論の全趣旨によれば、本件課税処分は、その名宛人である訴外会社の代表清算人たる同人に対しその住所に送達されていることが認められ、右認定を左右するに足りる証拠はない。 右事実によれば、本件課税処分はその名宛人である訴外会社に対して適法に送達されていることが明らかであつて、控訴人の主張は理由がなく、採用することができない。 控訴人の主張は、本件課税処分当時すでに訴外会社の法人格が消滅していたことを前提にAの代表権が消滅していたことに基づくとみる余地がないではないが、右前提が肯認できないことは前記説示のとおりである。 三予備的請求 1 原告適格及び裁決前置行政事件訴訟法九条所定の行政処分等の取消訴訟において原告適格を有する者は、当該処分もしくは ではないが、右前提が肯認できないことは前記説示のとおりである。 三予備的請求 1 原告適格及び裁決前置行政事件訴訟法九条所定の行政処分等の取消訴訟において原告適格を有する者は、当該処分もしくは裁決の取消を求めるにつき、法律上保護された利益を有する者に限られるものというべく、また、右法律上保護された利益とは、当該処分等が違反するとされている実定法規が原告の個人的利益を保護する趣旨で行政権の行使を制約している場合をいい、これとは異なり、他の目的、特に公益の実現を目的として行政権の行使を規制している結果として、たまたま原告が一定の利益を受ける場合においては、単なる法の反射的利益あるいは事実上の利益の侵害があるに過ぎないとして原告適格を認めるに由ないものと解するのが相当である(前掲最高裁昭和五三年三月一四日第三小法廷判決・民集三二巻二号二一一頁参照)。 本件につき、訴外会社は、昭和五八年五月三〇日に開催された第二一回定時株主総会において、翌五月三一日付をもつて解散するとの特別決議をするとともに、A、B、C及び控訴人の四名を清算人として選任し、同人らは即日就任を承諾し、その後、清算人会においてAが代表清算人に選任されたこと、Aは、同年六月二三、二五、二八日の三回にわたつて官報により、右解散及び同年八月二三日を期限とする債権申出催告の公告をし、同年六月二五日開催の臨時株主総会において、本件事業年度の決算報告書を提出してその承認決議を得たこと、また、同年一二月七日及び八日に、株主に対する残余財産の第一次分配金として一株につき一〇〇円の割合による合計八六〇万二〇〇〇円を、さらに、昭和五九年一月二三日に同第二次分配金として一株につき二一円九二銭九厘の割合による合計一八八万六三七〇円を各支払い、右一月二三日開催の清算結了のための株主総会において、昭和五 万二〇〇〇円を、さらに、昭和五九年一月二三日に同第二次分配金として一株につき二一円九二銭九厘の割合による合計一八八万六三七〇円を各支払い、右一月二三日開催の清算結了のための株主総会において、昭和五九年六月一日から同年一二月三一日までの決算報告書を提出して、以上二回にわたる残余財産の分配及びこれによつて訴外会社の残余財産が零となつたことを含めその承認決議を得たこと、控訴人は、右残余財産の分配につき清算人会においてこれに賛成していること、訴外会社は、本件事業年度の法人税につき、法定の申告期限内である昭和五八年七月二七日に、別表(四)記載のとおり確定申告をしたところ、被控訴人が、右申告に対し、昭和五九年六月三〇日付で、別表(三)記載のとおりの本件課税処分をしたことがそれぞれ認められることは、前記認定のとおりである。 また、国税徴収法三四条は、法人が解散した場合において、その法人が結果的に納付しなければならない国税を納付しないで、清算人が残余財産の分配をしたため、その法人に対して滞納処分を執行してもなお徴収すべき税額に不足すると認められるときは、右分配をした清算人は、分配にかかる財産の価額を限度として主たる納税者の滞納国税の全額につき第二次納税義務を負うと定めるところ、右分配が清算人会の決議に基づいて行われたときは、決議に賛成した清算人はその分配をしたものとみなすのが相当であること、このような国税徴収法の定める第二次納税義務は、主たる納税義務が申告又は主たる課税処分等により具体的に確定したことを前提として、その確定した税額につき本来の納税義務者の財産に対して滞納処分を執行してもなお徴収すべき額に不足すると認められる場合に、租税徴収の確保を図るため、本来の納税義務者と同一の納税上の責任を負わせても公平を失しないような特別の関係にある第三者に対し 対して滞納処分を執行してもなお徴収すべき額に不足すると認められる場合に、租税徴収の確保を図るため、本来の納税義務者と同一の納税上の責任を負わせても公平を失しないような特別の関係にある第三者に対して納付告知により補充的に課される義務であつて、その納付告知は、形式的には独立の課税処分ではあるけれども、実質的には、右第三者を本来の納税義務者に準ずるものとみてこれに主たる納税義務についての履行責任を負わせたものにほかならず、この意味において、第二次納税義務の納付告知は、主たる納税義務の徴収手続上の一処分としての性格を有し、右納付告知を受けた第二次納税義務者は、あたかも主たる納税義務について徴収処分を受けた本来の納税義務者と同様の立場にあるものというべきこと、したがつて、主たる課税処分等が不存在又は無効でないかぎり、主たる納税義務の確定手続における所得誤認等の瑕疵は、第二次納税義務の納付告知の効力に影響を及ぼすものではなく、第二次納税義務者は、右納付告知の取消訴訟においては、右の確定した主たる納税義務の存否又は数額を争うことができない(違法性の承継の否定)ものといわなければならないこと、そして、右説示のとおりの主たる課税処分等と第二次納税義務の告知処分との関係及びその間に違法性の承継が認められないことなどに照らすと、第二次納税義務者は、主たる課税処分等そのものの取消を求めるについて、前記説示にかかる法律上の利益を有する者にあたるものというべく、したがつて、第二次納税義務者の救済のために、主たる課税処分等そのものに対して第二次納税義務者が取消訴訟を提起することができるものと解するのが相当であり、この理は、第二次納税義務を課されるおそれがある者が現実に納付告知を受けるまでの間においても、これを別異に解する要をみないものというべきことは、前記無効等 することができるものと解するのが相当であり、この理は、第二次納税義務を課されるおそれがある者が現実に納付告知を受けるまでの間においても、これを別異に解する要をみないものというべきことは、前記無効等確認訴訟について説示したところと同様である。 さらに、第二次納税義務者が右取消訴訟を提起する場合の不服申立ないし出訴期間の起算点については、主たる課税処分に対する時機に遅れた取消訴訟の提起を許すことが、徴税の安定と能率を害するおそれがあることを考慮すると、主たる課税処分が主たる納税義務者に告知された時をもつて基準とするのが相当であり、また、右主たる課税処分につき行政事件訴訟法八条一項ただし書所定の、法律に当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消の訴えを提起することができない旨の定め(裁決前置の定め)があるときにおいても、右裁決前置が要求されるのは、行政処分に対する司法審査の前に、当該処分の当否につき、一応行政庁に反省の機会を与え、その自主的解決を期待するところにあることからすれば、主たる納税義務者又は第二次納税義務者のいずれかによつて審査請求・裁決(異議申立・決定等を含む。)が経由されることをもつて訴訟要件としての裁決前置は充たされるものというべきである。 本件における前記認定にかかる事実によれば、控訴人は、国税徴収法三四条により、本来の納税義務者である訴外会社に対する本件課税処分にかかる税額の徴収について第二次納税義務を課されるおそれがある者であることが明らかであることは前記無効等確認訴訟の場合について説示したとおりであり、したがつて、以上説示したところにより、控訴人は、本件課税処分そのものにつき取消訴訟を提起することができるものと解するのが相当である。 また、国税通則法七五条、一一五条一項によれば、本件課税処分の取 したがつて、以上説示したところにより、控訴人は、本件課税処分そのものにつき取消訴訟を提起することができるものと解するのが相当である。 また、国税通則法七五条、一一五条一項によれば、本件課税処分の取消訴訟を提起するには異議申立に対する決定及び審査請求に対する裁決を経由することを要するところ、訴外会社が各法定の期間内に本件課税処分に対する異議申立・決定及び右決定に対する審査請求・裁決を経由したことは前記認定のとおりであり、第二次納税義務者である控訴人が本件課税処分の取消訴訟を提起するについての裁決前置がこれをもつて足りることは前記説示のとおりである。 以上のとおりであつて、控訴人の本件予備的請求に係る訴えは適法であり、被控訴人の本案前の主張はいずれも理由がなく、これを採用することができない。 2 本件課税処分の適法性(一) 前記説示のとおり、本件予備的請求に係る訴えは適法であり、これを不適法として訴えの却下をした原判決は相当でないから、民訴法三八八条の規定の趣旨に照らし、特段の事情のない限り、これを取り消して事件を原審に差し戻すべきものであり、当裁判所自ら請求の当否を審理し、実体判決をすることは許されないというべきである。 ところで、控訴人の本件控訴の趣旨のうち予備的請求に係る部分は、原判決を取り消して請求認容の実体判決を求めるというものであり、また、被控訴人は、控訴人の本件予備的請求に係る訴えが適法と認められるときは、事件を原審に差し戻すことなく当審において実体審理されることにつき合意している。 思うに、当事者に保証された審級の利益自体は私益的なものであるから、当事者の任意の放棄を認めることに支障はなく、したがつて、訴えを却下した第一審判決が不相当である場合にあつても、当事者が合意する限り、その控訴審においてこれを取り消し実体判断をするこ のであるから、当事者の任意の放棄を認めることに支障はなく、したがつて、訴えを却下した第一審判決が不相当である場合にあつても、当事者が合意する限り、その控訴審においてこれを取り消し実体判断をすることも、必ずしも民訴法三八八条の趣旨に反するとはいえない。殊に、本件においては、原審において、実体に関する多数の書証が提出され、これについて証拠調がなされていることは本件記録上明らかであるから、当審で実体判断をすることも、許されて然るべきものと解するのが相当である。 (二) そこで案ずるに、これまでに認定した事実に前掲甲第一四、第一七、第二〇号証、第二一号証の一ないし四二、第二二号証の一ないし四九、第二四号証、各成立に争いのない甲第一〇、第二五号証、乙第二、第三、第五、第六号証、当審における控訴本人尋問の結果により成立の認められる甲第一一号証、弁論の全趣旨により成立の認められる甲第一二号証、右控訴本人尋問の結果並びに弁論の全趣旨を総合すると次のとおり認められる。 (1) 訴外会社は、昭和三七年五月に設立された枝肉の荷受け及び売買の斡旋を業とする株式会社であり、神戸市が昭和四〇年五月に開設した神戸市中央卸売市場食肉市場(現西部市場)において神戸市から事務室を借り受け、枝肉の卸売業を営んでいたが、その後、神戸市は、同市場における食肉の卸売業者の数を一社と定め、これに伴い既存の卸売業者を統合すべく神戸中央畜産荷受株式会社が設立され、同社が昭和四一年一一月、卸売市場法一五条一項による農林水産大臣の営業許可を受け、同市場における食肉の卸売業務を行つてきた。 訴外会社は、神戸市の右措置を不満として、統合の呼掛けに応じようとせず、同市場における営業の継続を認めることを同市に要望し、これに対して神戸市は、訴外会社の営業廃上と市場からの立退きを迫り、両者は、折衝を重 は、神戸市の右措置を不満として、統合の呼掛けに応じようとせず、同市場における営業の継続を認めることを同市に要望し、これに対して神戸市は、訴外会社の営業廃上と市場からの立退きを迫り、両者は、折衝を重ねたが合意に至らず、訴外会社は、昭和五七年六月二日、神戸市を相手方として神戸簡易裁判所に対し調停の申立(同裁判所昭和五七年(ノ)第一三五号)をした。 (2) 右調停においては、神戸市の代理人弁護士奥村孝と訴外会社の代理人弁護士Cとの間で折衝が続けられた結果、昭和五七年八月一九日の期日に、訴外会社は、調停成立後六カ月以内に営業を廃止して前記市場内の事務室を明け渡すこと、神戸市は、訴外会社に補償金として八三〇〇万円を支払うことを骨子とする合意が成立するめどがつき、神戸市議会の承認決議を経て、同年一一月二日の第六回調停期日に、(1)訴外会社は、昭和五八年五月一日限り前記市場における一切の業務を廃止して使用している事務室を神戸市に対して明け渡す、(2)訴外会社が業務を廃止し、事務室を明け渡した日から一カ月以内に、神戸市は、訴外会社に対し、その業務廃止の補償金として八三〇〇万円を支払うとの調停(本件調停)が成立した。 (3) 神戸市は、昭和五八年五月七日、本件調停に基づく補償金八三〇〇万円を訴外会社に対して支払つた。 (4) 訴外会社は、昭和五八年七月二七日、本件事業年度における所得金額を別表(四)記載のとおり欠損金五五一万八一一五円として確定申告したが、右算定は、補償金八三〇〇万円のうち四五〇〇万円につき、これが株主に対して支払われた補償金を預かつたものに過ぎないとの訴外会社の主張に基づくものであつて、前記のとおり訴外会社に対する補償金であると認められる右八三〇〇万円の全額を所得に算入すると、訴外会社の本件事業年度における所得金額、これに対する法人税 ないとの訴外会社の主張に基づくものであつて、前記のとおり訴外会社に対する補償金であると認められる右八三〇〇万円の全額を所得に算入すると、訴外会社の本件事業年度における所得金額、これに対する法人税額、差引納付すべき税額、国税通則法六五条一項の規定による過少申告加算税等は、別表(三)記載のとおりとなる。 以上のとおり認められ、この認定とあい容れない前記控訴本人の供述の一部は直ちには採用することができず、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。 もつとも、前掲甲第一〇、第一一、第一七、第二〇号証、第二一号証の一ないし四二、第二四、第二五号証、乙第五号証、当審における控訴本人尋問の結果によれば、(1)前記昭和五七年八月一九日の調停期日において、本件調停のような内容の合意が成立するめどがついた後、本件調停成立の同年一一月二日までの間に、訴外会社代理人である貞松弁護士及び神戸市の代理人である奥村弁護士作成に係る覚書(甲第一一号証)が交わされているところ、右覚書には、神戸市が訴外会社に支払う八三〇〇万円のうち株式相当額(四五〇〇万円)は、訴外会社が前記市場における業務を廃止のうえ、解散するにあたり、訴外会社株主に対する営業上の損失並びに出資金の補償として、株主に支払われることを含むものであるとの記載があること、(2)訴外会社の決算報告書には、右四五〇〇万円は、神戸市の会社株主に対する補償金の預り金として会社が受け取つたものとして、これ以外の三八〇〇万円は、訴外会社に対する補償金として支払いを受けたものとしてそれぞれ記載されていること、(3)株主が昭和五八年一二月七日、八日の両日にわたり第一次分配金として一株六〇〇円の割合で訴外会社から支払いを受けた金員のうち一株五〇〇円の割合による部分は他と区別されており、決算報告書にも分配金として計上されていない 二月七日、八日の両日にわたり第一次分配金として一株六〇〇円の割合で訴外会社から支払いを受けた金員のうち一株五〇〇円の割合による部分は他と区別されており、決算報告書にも分配金として計上されていないことがそれぞれ認められる。 しかしながら、神戸市が訴外会社の株主に対して補償金を支払うべき合理的な理由は本件においてこれを見出しがたいのみならず、前掲甲第一〇号証、乙第六号証によれば、前記神戸市議会の本件調停についての承認決議及びこれに基づく本件調停条項のいずれにおいても、右四五〇〇万円が会社株主に支払われるべき補償金であるなどのその性質、根拠等に関する特段の留保は、明示あるいは黙示のいずれを問わず附されていないことが認められ、右認定事実に前掲乙第五号証によつて認められる前記覚書作成に至る経緯などの事情を併せ勘案すると、右覚書の内容は、せいぜい調停成立までの過程において、税金対策のため訴外会社側が神戸市に希望したところを文書にしたものに過ぎないのではないかとの疑いを払拭することができないし、前記(1)ないし(3)の事実も未だ前記八三〇〇万円が調停条項記載のとおり全額につき訴外会社自体に対する補償金として支払われたものであるとの認定を左右するに足りないというべきである。 されば、本件課税処分は適法であつて、その取消を求める控訴人の予備的請求も理由がなく棄却を免れない。 四以上の次第で、原判決中、控訴人の主位的請求を棄却した部分は相当であつて、右部分に関する本件控訴は理由がないからこれを棄却すべく、また、控訴人の予備的請求に係る訴えを却下した部分は、相当でないからこれを取り消したうえ、前記説示のとおり右請求を棄却すべきところであるが、本件においては、原判決の右部分について控訴人のみが控訴し、被控訴人は控訴していないから、いわゆる不利益変更禁止の法 ないからこれを取り消したうえ、前記説示のとおり右請求を棄却すべきところであるが、本件においては、原判決の右部分について控訴人のみが控訴し、被控訴人は控訴していないから、いわゆる不利益変更禁止の法理(民訴法三八五条参照)により、本件控訴を棄却するにとどめざるをえないというべきである(最高裁昭和三〇年四月一二日第三小法廷判決・民集九巻四号四八八頁、同六一年七月一〇日第一小法廷判決・判例タイムズ六二三号七七頁各参照)。 よつて、本件控訴を棄却することとし、控訴費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民訴法九五条、八九条に従い、主文のとおり判決する。 (裁判官後藤勇東條敬横山秀憲)(原裁判等の表示)○ 主文一原告の主位的請求を棄却する。 二本件訴えのうち、原告の予備的請求にかかる部分を却下する。 三訴訟費用は原告の負担とする。 ○ 事実第一当事者の求めた裁判一請求の趣旨 1 主位的請求(一) 被告が昭和五九年六月三〇日付をもつて訴外神戸枝肉荷受株式会社に対してなした法人税更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分がいずれも無効であることを確認する。 (二) 訴訟費用は被告の負担とする。 2 予備的請求(一) 主位的請求(一)記載の各処分をいずれも取消す。 (二) 主位的請求(二)に同じ。 二請求の趣旨に対する答弁 1 本案前の答弁(一) 本件訴えをいずれも却下する。 (二) 訴訟費用は原告の負担とする。 2 本案の答弁(一) 原告の請求をいずれも棄却する。 (二) 訴訟費用は原告の負担とする。 第二当時者の主張一請求原因 1 原告は、訴外神戸枝肉荷受株式会社(以下「訴外会社」という。)の清算人であり、したがつて、訴外会社に対して課税処分がなされた場合、国税徴収法三四条所定の第二次納税義務者として納付告知処分を受けるおそれ 告は、訴外神戸枝肉荷受株式会社(以下「訴外会社」という。)の清算人であり、したがつて、訴外会社に対して課税処分がなされた場合、国税徴収法三四条所定の第二次納税義務者として納付告知処分を受けるおそれがあり、また、訴外会社の株主(以下「訴外株主」という。)に対する違法な第二次納税義務の発生を防止する義務がある。よつて、原告は、訴外会社に対する課税処分につき、その無効確認請求ないし取消請求を求める訴えの利益を有する者である。 2 訴外会社は、枝肉の荷受及び売買の斡旋を業とする会社であるが、昭和五八年五月三一日に株主総会の解散決議を行ない、同年四月一日から同年五月三一日までの事業年度(以下「本件事業年度」という。)の法人税につき、法定の申告期限内である同年七月二七日に、所得金額を五五一万八一一五円、納付すべき税額を五万七五〇〇円、翌期に繰り越す欠損金を一三〇三万九四〇八円とする確定申告を行なつた。 3 被告は、右申告に対し、昭和五九年六月三〇日付で、所得金額を三一九六万〇五九二円、納付すべき税額を一四一八万四七〇〇円とする旨の法人税更正処分及び過少申告加算税額を七〇万九〇〇〇円とする旨の過少申告加算税賦課決定処分(以下、右法人税更正処分を「本件更正処分」、右両処分を合わせて「本件課税処分」という。)をした。 4 訴外会社は、本件課税処分に対し、昭和五九年七月二八日被告に異議申立をしたところ、被告は、同年一一月六日付で右異議申立をいずれも棄却する旨の異議決定をした。 5 訴外会社は、被告のなした右異議決定に対し、昭和五九年一一月二〇日付で国税不服審判所長に審査請求をしたところ同所長は、昭和六一年四月七日付で、右審査請求を棄却する旨の裁決をした。 6 しかし、訴外会社は、昭和五九年一月二三日に清算を結了し、同年六月二一日に清算結了の登記を経由したも に審査請求をしたところ同所長は、昭和六一年四月七日付で、右審査請求を棄却する旨の裁決をした。 6 しかし、訴外会社は、昭和五九年一月二三日に清算を結了し、同年六月二一日に清算結了の登記を経由したものであつて、本件課税処分がなされた同年六月三〇日にはすでに法人格を失つて消滅しており、本件課税処分は、存在しない法人に対してなされたのであつて、重大かつ明白な瑕疵を有し、無効であるというべきである。 7 仮に本件課税処分が無効とまではいえないとしても、本件課税処分は、訴外会社がその貸借対照表に計上した預り金四五〇〇万円が訴外会社が神戸市から受領した同社の補償金収入であるとの認定のもとに行なわれたものであるところ、右金額部分は、神戸市から訴外株主に直接支払われるべき金員を訴外会社がその解散まで一時的に預かつていたものであつて、訴外会社の収入ではなく、これを同社の収入であるとしてなされた本件各処分は違法であつて、取消を免れない。 8 よつて、原告は、主位的に本件課税処分の無効確認を、予備的にその取消を求める。 二被告の本案前の主張 1 原告は、本件課税処分の無効確認及び同処分の取消を求めるにつき何ら法律上の利益を有しないから行政事件訴訟法九条、三六条に照らし本件訴えを提起する適格を欠くばかりでなく、取消請求については法定の前審手続を経ていないものである。したがつて、本件訴えは主位的及び予備的各請求とも不適法であり却下されるべきである。 すなわち、処分の取消しの訴え及び無効等確認の訴えに関しては当該処分の無効又は取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者に限り提起することができるのであり(行政事件訴訟法九条、三六条)、原告適格を有するといえる者とは訴えの対象である処分によつて法律上保護される権利、利益につき具体的な侵害をこうむつた者でなければならな り提起することができるのであり(行政事件訴訟法九条、三六条)、原告適格を有するといえる者とは訴えの対象である処分によつて法律上保護される権利、利益につき具体的な侵害をこうむつた者でなければならないというべきである。 この点に関し、原告は、訴外会社の清算人であるから被告がなした本件課税処分により自ら国税徴収法三四条に規定する第二次納税義務者として告知処分を受けるおそれがあること及び同会社の株主をして第二次納税義務の発生を防止する義務があることを理由として本件課税処分の無効確認及び取消請求をなす訴えの利益がある旨述べているだけであるところ、後者の理由についてはそれにより何ら法律上保護される権利、利益につき具体的な侵害がないことは明らかである上、前者の理由については第二次納税義務者は被処分者ではなく、主たる納税義務者に対する課税処分により直接の権利又は利益の侵害を受けておらず、ただ主たる納税者が滞納すれば自己に対する告知処分があり得るという可能性があるにすぎないものである。したがつて、原告は自らが第二次納税義務者として告知処分を受けるおそれがあることを理由としては、いまだ本件課税処分の無効確認ないし取消を請求する原告適格を有しないというべきである。 2 また、本件課税処分の取消しを求めるためには異議申立てについての決定及び審査請求についての裁決をそれぞれ経た後でなければ、提起することができないところ(国税通則法一一五条一項)、本件課税処分についての異議申立て及び審査請求は、いずれも訴外会社によつてなされ、その決定及び裁決もいずれも訴外会社に対してなされているのであるから原告は本件更正処分に関し異議申立てについての決定及び審査請求についての裁決をいずれも経ていないので、本件更正処分の取消しを求める訴えを提起することができない。 三被告の本案 されているのであるから原告は本件更正処分に関し異議申立てについての決定及び審査請求についての裁決をいずれも経ていないので、本件更正処分の取消しを求める訴えを提起することができない。 三被告の本案前の主張に対する原告の反論 1 原告適格について(一) 主位的請求における原告適格行政事件訴訟法三六条にいう「現在の法律関係に関する訴え」とは、処分の無効等を前提とする公法上の当事者訴訟(同法四条)又は争点訴訟(同法四五条)を指すものである。これは、行政訴訟特例法下においてこれらの訴えで必要性を超えて無効確認等の訴えが認められているという批判に対してなされた特別の制約にすぎず、公権力の行使に対する抗告訴訟(同法三条一項)に対してまで国民の出訴権を不当に制限しようとするものではないからである。ところで、本件における予備的請求である取消訴訟は、抗告訴訟であつて、現在の法律関係に関する訴えに該当しない。したがつて、原告は、取消訴訟によつてその目的を達することができるか否かにかかわらず、無効確認の訴えを提起することができる。 また、同法三六条は、原告適格の要件として「当該処分又は裁決に続く処分により損害を受けるおそれのある者」をあげているが、これに該当する者については、同条の「現在の法律関係に関する訴えによつて目的を達することができないもの」という文言による制限は受けないものと解すべきである。すなわち、同条の文理からすれば、右文言は、(イ)「当該処分又は裁決に続く処分により損害を受けるおそれのある者」にも、(ロ)「その他当該処分又は裁決の無効確認を求めるにつき法律上の利益を有する者」にもかかるようにも見える。しかし、後続処分により損害を受けるおそれがある場合は、現在の法律関係に関する訴えによつて目的を達しえない場合の典型的な場合であつて、それ自体自足 法律上の利益を有する者」にもかかるようにも見える。しかし、後続処分により損害を受けるおそれがある場合は、現在の法律関係に関する訴えによつて目的を達しえない場合の典型的な場合であつて、それ自体自足的な例示と解釈すべきである。したがつて、同条において、前記文言は、(ロ)の者のみにかかり、(イ)の者にはかからないと解すべきである。原告は、国税徴収法三四条により、本件課税処分の後続処分としての納付告知処分を受け、これによつて損害を受けるおそれのある者、すなわち右(イ)の者に該当し、前記文言の制限を受けることなく無効確認の訴えを提起しうる。 (二) 予備的請求における原告適格行政事件訴訟法九条にいう「当該処分又は裁決の取消を求めるにつき法律上の利益を有する者」とは、当該処分の名宛人たる被処分者を含むことは当然であるが、これに限られるものではない。会社に対する課税処分についていえば、当該会社の清算人、株主等もまた、同条にいう法律上の利益を有する者に該当する。これらの者は、右の処分により、当該法人に対して滞納処分を執行してもなおその徴収すべき額に不足ありと認められる限り、その滞納にかかる国税につき第二次納税義務を負う者であるが(国税徴収法三四条)、残余財産のない解散会社の場合には、必ず納付告知処分を受け、滞納処分をなされる者であつて、右処分によつて当該法人が負う第一次的な納税義務が取消によつて効力を失わない限り第二次納税義務を免れることはできず、したがつて、右の処分の取消によつてその地位を免れうる法律上の利益を有している。国税徴収法三四条は、第二次納税義務の発生について、当該法人に対する滞納処分等の執行を前提としているが、これは、第二次納税義務者にその義務を負わしめたるための当然の手続を指しているものにすぎず、また、これらの処分は、第二次納税義 務の発生について、当該法人に対する滞納処分等の執行を前提としているが、これは、第二次納税義務者にその義務を負わしめたるための当然の手続を指しているものにすぎず、また、これらの処分は、第二次納税義務者に対する告知処分の決定制限期間(国税通則法七〇条)を経過しない限り処分庁において任意にこれを決定できるのであつて、もし当該法人に対する滞納処分や第二次納税義務者に対する告知処分がなされない限り当該法人の清算人や株主に法律上の利益が生じないものとすれば、処分庁は、行政事件訴訟法一四条所定の取消訴訟の出訴期間である三か月の経過後に右滞納処分や告知処分をすることにより、第二次納税義務者の出訴権を容易に剥奪しうることになる。したがつて、行政事件訴訟法九条は、当該法人自体に対する滞納処分や第二次納税義務者に対する告知処分の前後を問わず、第二次納税義務者たるべき者に無効確認の訴えにおける原告適格を認めているものというべきである。 また、会社に対する課税処分においては、当該会社の清算人は、第二次納税義務者としてばかりでなく、その固有の利益として行政事件訴訟法九条の定める法律上の利益を有している。清算人は、善良なる管理者として清算事務を行なう義務があり、第三者たる当該会社の株主に対して損害賠償責任を負う者である(商法四一九条、四三〇条二項、二五四条の三、二六六条の三)。したがつて、会社に対する違法な課税処分に対してその取消を求めることは、当該会社の清算人たる者の義務であるというべきである。もとより、被処分者である当該法人自体にもまた法律上の利益があり、これが存続するかぎり、その解散後においても代表清算人によつて取消訴訟を提起しうることは明らかである。しかしそのことは、清算人が固有の法律上の利益を有していることとは別問題である。特に、本訴においては、訴えの提 るかぎり、その解散後においても代表清算人によつて取消訴訟を提起しうることは明らかである。しかしそのことは、清算人が固有の法律上の利益を有していることとは別問題である。特に、本訴においては、訴えの提起時にはすでに被処分者たる訴外会社は存在せず、その代表清算人も存在していなかつた。かかる場合に、訴外会社に対する課税処分が違法であることが明らかであるにもかかわらず訴外会社の清算人にその取消訴訟の提起が認められないとすれば、訴外株主は第二次納税義務者としての納税義務を免れず、ひいては、右清算人も訴外株主の右納税義務負担による損害を賠償すべき危険にさらされることになる(商法二六六条の三)。よつて、原告のごとき漬算人も、会社に対する課税処分の取消を求めるにつき、その固有の法律上の利益を有する者であつて、単に当該会社が課税処分の取消を受けることの反射的利益を有するにとどまる者ではない。 2 審査請求前置主義との関係について右の点に関する被告の主張は、行政事件訴訟法九条にいう法律上の利益を有する者を被処分者に限るとの誤つた解釈に立ち、国税通則法一一五条一項及び行政事件訴訟法八条を原告適格に関する規定と混同しているものである。 国税通則法一一五条一項において不服を申立てることができる者は、被処分者及びその地位の承継者に限られるところ、会社に対する課税処分において当該会社の清算人がこれに該当しないことは明らかであつて、清算人が独立して不服申立人となることは不可能である。同項の定める不服申立の前置手続は、処分の取消を求める行政訴訟提起のための要件ではあるが、原告適格の要件ではない。もしこれを原告適格の要件と解するときは、処分の取消の訴えが認められるのは被処分者又はその地位の承継人に限られ、同法九条の「取消につき法律上の利益を有する者」という明文の規定に反す の要件ではない。もしこれを原告適格の要件と解するときは、処分の取消の訴えが認められるのは被処分者又はその地位の承継人に限られ、同法九条の「取消につき法律上の利益を有する者」という明文の規定に反することになる。したがつて、不服申立人において適法に不服申立手続を経ていれば、原告適格者が取消訴訟を提起しうるのはいうまでもないことである。してみれば、本件課税処分においては適法な不服申立人により適法に不服申立手続が履践されているのであり、何ら訴訟要件に欠けるところはない。 四請求原因に対する認否 1 請求原因1は否認する。 2 同2ないし5はいずれも認める。 3 同6のうち、訴外会社が昭和五九年六月二一日に清算結了登記を経由したことは認め、訴外会社が同年一月二三日に清算を結了したことは明らかに争わないが、その余は争う。 4 同7のうち、本件課税処分が、訴外会社がその貸借対照表の計上した預り金四五〇〇万円が訴外会社が神戸市から受領した同社の補償金収入であるとの認定のもとに行なわれたものであることは明らかに争わないが、その余は争う。 五原告の本案の主張 1 主位的請求について本件課税処分に重大かつ明白な瑕疵があるとする理由は、次のとおりである。 (一) 訴外会社は、昭和五八年六月一日から清算手続に入り、解散公告の上、全財産の換価とともに全債務を完済し、昭和五八年一二月六日及び同月七日の両日にわたり、訴外株主に、一株あたり残余財産中預り金五〇〇円及び配当金一〇〇円の合計額である六〇〇円を第一次分配金として交付した。そして、昭和五九年一月二三日に至り、不良債権等の処理がすベて終り、知れたる債務がすべて完済されたことを確認し、これによつて最終的な残余財産が確定したので、商法四二七条により株主総会を開催し、清算結了の報告とともに決算報告書を提出し、一株あたり の処理がすベて終り、知れたる債務がすべて完済されたことを確認し、これによつて最終的な残余財産が確定したので、商法四二七条により株主総会を開催し、清算結了の報告とともに決算報告書を提出し、一株あたり二一円九〇銭になる旨の最終の残余財産分配額を示してその承認決議を得た。そして、同年二月二〇日、右決算報告書を被控訴人に提出し、同年六月二一日清算結了の登記をなした。 (二) しかるに、本件課税処分は、訴外会社がすでに清算を結了し、清算結了の登記も経由された後になされたものである。そして、会社は、第三者に対しては清算結了の登記によつて法人格を喪失し、消滅するのであり、右清算結了の登記には、商法一二条により、一般的効力としての対抗的効力が認められるというべきであつて、本件課税処分は、すでに消滅した会社に対してなされたものということができる。 (三) また、被告は、訴外会社が清算結了の登記をなす前に、再三にわたり法人税の修正申告をするように指導したものであり、訴外会社は課税されるべき租税があることを知りながらあえて清算結了の登記を行なつたので、手続的に被告に対抗しえないというが、かかる課税されるべき租税は存在せず、また、訴外会社が被告より修正申告をするように指導を受けたことは一度もない。訴外会社は本件課税処分の対象となつた本件事業年度の法定申告期限内に法人税の確定申告をしているので、これにより当該事業年度の法人税額は確定している。課税されるべき租税とは、納税義務が成立し、しかもその税額が確定していない租税を指すのであつて、無申告の場合は納税義務が成立しているにもかかわらず税額が確定していないので、更正処分がなくても課税すべき租税が存在するが、確定申告がなされたならば、これにより税額も確定するので、更正処分がなされない限り、これ以外に課税されるべき るにもかかわらず税額が確定していないので、更正処分がなくても課税すべき租税が存在するが、確定申告がなされたならば、これにより税額も確定するので、更正処分がなされない限り、これ以外に課税されるべき租税は存在しないのである(国税通則法一五条、一六条)。訴外会社は、解散の手続にあたり、決算報告書と源泉徴収義務者としての解散届出書を添えて解散した旨を告知し、更に、三度にわたつて解散公告をしているにもかかわらず、被告は、約一年間これを放置し、訴外会社の清算が結了し、株主総会の決議を経て昭和五九年二月二〇日に清算確定申告書が提出された後の同年三月二三日になつてはじめて調査に着手し、同年四月一六日にこれを終えた。そして、訴外会社は、その調査の最終日に、その会計処理の説明と、それが正しい旨の文書を被告に提出している。それ以後、本件課税処分の通知があるまで、被告からは何の調査もなく、訴外会社は被告がこれを是認してくれたものと信じていたものである。清算結了の登記が遅れたのは、被告が所得税の還付を延引したからであつて、訴外会社には何ら手続的不正は存在しない。 (四) さらに被告は、更正、決定等の期間制限(国税通則法七〇条)は除斥期間であるとし、その期間内はいかなる会社に対しても更正処分をなし得るから、納税義務は存続し、かかる納税義務の存する間は、仮に清算結了の登記をなしても法人格は消滅しないとするが、国税通則法では、その第五条において相続について、第六条においては合併法人について、第七条においては法人格なき社団の財産を承継した法人について、それぞれ、その国税の納付義務の承継を認めているが、その承継にあたつては、明文で納税義務の確定や更正等の期間制限の適用を除外しているのであつて(同法五条一項)、これによれば、死者や消滅法人にまで納税義務を認めているのでは 義務の承継を認めているが、その承継にあたつては、明文で納税義務の確定や更正等の期間制限の適用を除外しているのであつて(同法五条一項)、これによれば、死者や消滅法人にまで納税義務を認めているのではないことは明らかである。このことは、同法に規定がなく、納税義務の承継など存在しないその他の消滅法人についても当然の理である。法人格が存在するからすべての権利義務が存在するのであつて、納税義務が存在する間は法人格は消滅しないというのは、誠に奇妙な見解である。もし、かかる期間被告がいつでも更正処分をなしうるとすれば、清算人としては、いつ、どのような処分があるかわからず、第二次納税義務を課されないため、少なくとも三年間清算結了を控え、残余財産の分配をしないようにしなければならず、誠に不合理である。 2 予備的請求について仮に以上の主張が認められないとしても、本件課税処分にあたり被告が訴外会社の補償金収入であると認定した四五〇〇万円は、以下に述べるとおり、神戸市から訴外株主に支払われた補償金を訴外会社が一時的に預かつていたものにすぎず、訴外会社の収入たる性質を有するものではない。 (一) 訴外会社設立の経緯訴外会社は、昭和三七年五月二八日、肉牛仲買人及び食肉販売業者五十数名によつて設立され、荷受業務を開始した。 その設立の趣旨は、昭和三六年、生鮮食料品の流通改善のため新卸売市場が開設され、神戸市も農林省より四億円の補助金の交付を受けたが、右補助金の交付については、従来の個々の卸売人制度を廃止し、卸売業を目的とする荷受会社を設立することが条件とされていたところ、当時の有力な食肉卸売人がこぞつて右荷受会社の設立に反対したため、神戸市は困り果て、肉牛仲買人であつた故Dに懇請したところ、同人が中心となり、新制度による肉牛の供給、価格の安定による仲買業界の利益 当時の有力な食肉卸売人がこぞつて右荷受会社の設立に反対したため、神戸市は困り果て、肉牛仲買人であつた故Dに懇請したところ、同人が中心となり、新制度による肉牛の供給、価格の安定による仲買業界の利益を説き、併せて、神戸市の窮状を救おうとして、訴外株主に働きかけてこれを設立したものである。 (二) 神戸市の背信行為とその後の経過神戸市は、右訴外会社の設立の趣旨に照らし、当然訴外会社に荷受会社としての許可を与えるべきところ、新卸売市場が開設されるや、反対勢力の食肉卸売人が訴外会社に対抗して設立した神戸食肉荷受会社と結び、自らがこれに三割の出資をし、右会社の名称を神戸中央畜産荷受株式会社と改称して、農林省を通じ自らこれに許可を与え、しかも、荷受会社はこれを一社に限る旨の条例を制定し、訴外会社を非合法会社として、その業務の廃止と解散を求めるに至つた。 神戸市がかかる背信行為をとり、また、神戸中央畜産荷受株式会社と訴外会社を一本化することという農林省の許可条件を無視したことに対し、訴外株主はこれに猛烈に反発し、神戸市に対して、条例を変更して卸売業者を二社とするか、神戸中央畜産荷受株式会社と訴外会社とを対等合併せしめ、訴外会社の役員を合併後の新会社の役員として受け入れることにより卸売業者の一本化を図ることを強硬に主張し、法廷闘争も辞さない態度で業務を継続した。 これに対し、神戸市も一時は態度を軟化させたが、その後、訴外会社の要求に応じる動きはいつの間にか立ち消えとなり、以来、食肉卸売市場は、約二〇年間、右両社が反目を続ける中で事実上二社の卸売業者によつて運営されてきた。 (三) 訴外会社の解散と補償金の支払の合意右状況下において、昭和五七年三月三一日ごろから、訴外会社の解散を条件として、神戸市から訴外会社及び訴外株主に補償金を支払う旨の話が現実化し、訴 れてきた。 (三) 訴外会社の解散と補償金の支払の合意右状況下において、昭和五七年三月三一日ごろから、訴外会社の解散を条件として、神戸市から訴外会社及び訴外株主に補償金を支払う旨の話が現実化し、訴外会社は弁護士Cを、神戸市は同奥村孝をそれぞれ代理人として、神戸簡易裁判所昭和五七年(ノ)第一三五号調停事件において調停を行ない、同年九月一八日の調停期日に次のとおりの内容の調停条項が作成された。 (1) 訴外会社は、この調停成立後六か月以内に、食肉市場における一切の業務を廃止し、市場内事務室を神戸市に明渡す。 (2) 神戸市は、訴外会社が右業務を廃止し、事務室を明渡した日から一か月以内に、業務廃止の補償金として金八三〇〇万円を訴外会社代理人に支払う。 (3) 訴外会社と神戸市は、前二項に記載した以外、相互に何らの債権債務のないことを確認する。 (四) 本件補償金の性質についての覚書の作成と調停の成立しかし、右条項の(2)は、訴外会社の要望とは異なるものであつた。すなわち、訴外株主は、神戸市の懇請によつて訴外会社の株主となつたものであり、訴外会社の廃業・解散の最低限の条件として、少なくとも訴外会社設立当初の払込金である一株あたり五〇〇円の返還を受けられるような補償を求めていたからである。ところが、右調停当時、訴外会社は業務の減少による欠損に加え多額の不良債権を抱えており、仮に神戸市が提示する右八三〇〇万円の補償金(以下「本件補償金」という。)を受領したとしても、これに対し、法人税、法人事業税、及び法人市民税を課せられる結果、実際の補償額はその半額にも満たないことになり、さらに、債務を完済すれば、訴外株主に対する残余財産の分配は皆無となる可能性があつた。本件補償金は、訴外会社がその業務を廃止し、事務室を明渡さない限り支払われないもの、すなわち、訴 ないことになり、さらに、債務を完済すれば、訴外株主に対する残余財産の分配は皆無となる可能性があつた。本件補償金は、訴外会社がその業務を廃止し、事務室を明渡さない限り支払われないもの、すなわち、訴外会社が解散せざるをえない状況に立ち至つてはじめて支払われるものであり、したがつて、本来本件補償金を受領すべきは訴外株主であつて、解散を決定づけられた一時的存在にすぎない訴外会社ではない。さらに、元来、このような補償金は、売上収益の代替としてなされるものではなく、解散に対する出資補償金であつて、課税の対象とすべきではない性質のものである(法人税法二二条二項、五項)が、訴外会社は、被告との間において法人税法上の解釈を巡つて紛争が生じることのないよう、本件補償金中株式相当額である四五〇〇万円は、訴外会社に対する補償金としてではなく、訴外株主に対する出資補償金としてこれを訴外株主に直接支払うよう要望していたのである。 そこで、右要望に応じるため、前記昭和五七年九月一八日の調停期日後、前記両代理人の間で、右条項(2)について、同条項が本件補償金のうち株式相当額である四五〇〇万円は訴外株主に対する補償金として直接訴外株主に支払われる趣旨のものであるとする旨の覚書(以下「本件覚書」という。)を作成し、その後、同年一一月二日の調停期日に、調停条項(2)を右覚書記載どおりの趣旨のものとする合意のもとに、文言上前記条項(1)ないし(3)と同内容の調停(以下「本件調停」という。)が成立した。 したがつて、本件補償金八三〇〇万円のうち、四五〇〇万円は訴外株主に対する出資補償金、三八〇〇万円は訴外会社に対する借家権その他の補償金として支払われる趣旨のものであることは明らかである。 六原告の本案の主張に対する被告の反論 1 主位的請求について(一) 清算結了の登記と会 金、三八〇〇万円は訴外会社に対する借家権その他の補償金として支払われる趣旨のものであることは明らかである。 六原告の本案の主張に対する被告の反論 1 主位的請求について(一) 清算結了の登記と会社の消滅の有無会社は、その清算が結了したときは、清算結了の登記をしなければならない(商法一三四条)。したがつて、清算結了の登記がなされた会社は既に消滅したものと一応推定することができる。 しかし、清算結了の登記は、一般の商業登記と同様に事実を公示する効力を有するのみであつて、事実を作出する効力を持たない。つまり、会社の設立登記は会社の成立用件であつて創設的効力を有するが、清算結了の登記には会社の法人格を消滅させる効力はない。したがつて、事実上清算が結了していなければ会社は消滅せず、清算が結了するまでは、会社の人格はなお存続する。 (二) 納税義務の成立及び納付すべき税額の確定(1) 納税義務の成立法人税においては、当該法人の事業年度の終了の時点で、その事業年度の法人税につき、課税要件が充足することになるから、納税義務も、この時点で成立するのである(国税通則法一五条二項三号)。 したがつて、本件においても訴外会社の本件事業年度の納税義務は、本件事業年度末日である昭和五八年五月三一日が経過した時点で成立している。 (2) 納付すべき税額の確定各国税の根拠法の定めるところにより成立した抽象的納税義務は、納付すべき税額を確定する手続を経ることにより具体的に確定する。 ただし、この場合の「確定」とは、判決の確定力などという場合の確定とは性格を異にし、いつたん確定した税額が、その前提となる抽象的、客観的な納税義務の内容と相違するという理由で、更正等の除斥期間内は、更に二回、三回と重畳的に変更確定されうるものである。 法人税は、申告納税方式を採用している(法 した税額が、その前提となる抽象的、客観的な納税義務の内容と相違するという理由で、更正等の除斥期間内は、更に二回、三回と重畳的に変更確定されうるものである。 法人税は、申告納税方式を採用している(法人税法七四条一項)から、納付すべき税額は、第一義的には納税者のする申告により確定する(国税通則法一六条一項一号)。しかし、右の申告がない場合又は申告に係る税額の計算が国税に関する法律の規定に従つていなかつた場合その他当該税額が税務署長等の調査したところと異なる場合に限り税務署長等の処分により納付すべき税額が第二義的に確定する(国税通則法一六条一項一号、同法二四条)のである。この意味において、納付すべき税額とは、納税者が結果的に納付しなければならないこととなる全ての租税をいうのである。 したがつて、本件についてみると、訴外会社の納付すべき税額は、被告の本件更正処分により、第二義的に確定したのである。 (三) 結論本件更正処分により、訴外会社の本件事業年度の納付すべき税額は、第二義的に確定したのであるから、訴外会社の清算事務は事実上結了していなかつたことになり、清算事務が結了していない以上、同社は消滅しておらず、租税債務の納付という清算事務の範囲内でなお存続するのである。 したがつて、本件更正処分は、訴外会社の清算結了の登記後になされたものであつても、同社は未だ消滅していなかつたのであるから、この点に何らの瑕疵はなく、ましてや重大かつ明白な瑕疵はない。 2 予備的請求について本件補償金は、次に述べるとおり、その全額が訴外会社に帰属するものである。 (一) 地方公共団体が調停を成立させるためには、議会の議決を経ることを要するものであるところ(現行の地方自治法九六条一項一二号)、本件調停によれば、訴外会社が神戸市中央卸売市場西部市場における業務を廃止し 地方公共団体が調停を成立させるためには、議会の議決を経ることを要するものであるところ(現行の地方自治法九六条一項一二号)、本件調停によれば、訴外会社が神戸市中央卸売市場西部市場における業務を廃止し事務室を明け渡すことを条件に、神戸市が訴外会社に対して業務廃止補償金として八三〇〇万円を支払うというものであり、その支払方法は、「相手方(神戸市を指す。)は、申立人(訴外会社を指す。 )に対し、・・・・持参し又は送金して支払うこと。」とされており、神戸市が訴外株主個人に支払うとの調停条項はなく、調停の内容は神戸市が訴外会社に対し本件補償金を支払うものであることは明白である。 (二) ところで、本件覚書は、作成月日の記載がないばかりか、本来本件覚書は、調停内容の疑義をなくし明確にするものに過ぎないから、本件覚書をもつて本件調停の明文の条項を変更するような解釈をすることは許されない。このことは、議会の議決を必要とする地方公共団体を当事者とする調停の場合には、特に要請されることである。 しかるに、原告は、要するに本件覚書によつて、本件補償金のうち四五〇〇万円についての受取人を訴外会社から訴外株主に変更したものであると主張するものであつて、かかる主張は、調停条項の重要部分について、その明文に反する解釈を求めるものであり、失当であるというべきである。 (三) また、仮に、本件覚書により本件補償金のうち四五〇〇万円の受取人を訴外株主とする調停が成立したと解されるとしても、本件覚書は調停に関する代理権の範囲を超えて作成されたものであるから神戸市の意思表示とはなり得ず、効力を有するものではない。 第三証拠(省略)○ 理由一主位的請求について 1 被告の本案前の抗弁について無効等確認訴訟の原告適格に関する行政事件訴訟法三六条の法意を検討するに、「当該処分 効力を有するものではない。 第三証拠(省略)○ 理由一主位的請求について 1 被告の本案前の抗弁について無効等確認訴訟の原告適格に関する行政事件訴訟法三六条の法意を検討するに、「当該処分又は裁決に続く処分により損害を受けるおそれのある者」は、そのこと自体により無効等確認訴訟の原告適格を有するものと解するのが相当である。 そして、被告が訴外会社に対して本件課税処分をなしたことは当事者間に争いがなく、原告が訴外会社の清算人であることは弁論の全趣旨によりこれを認めることができるところ、訴外会社の清算人たる原告は、訴外会社に対する本件課税処分の結果、国税徴収法三四条により本件課税処分の後続処分としての納付告知処分を受け、これによつて損害を受けるおそれのある者として、行政事件訴訟法三六条の「現在の法律関係に関する訴えによつて目的を達することができ」るか否かにかかわらず、無効確認の訴えを提起しうる。 以上に反する主位的請求についての被告の本案前の主張はこれを採用することができない。 2 そこで、本件課税処分における重大かつ明白な瑕疵の存否について判断するに、本件課税処分がすでに法人格を失つた訴外会社に対してなされたものであるとはいえず、したがつて重大かつ明白な瑕疵を有しないことは、被告主張のとおりである。 すなわち、法人は、その解散により直ちに法人格を失つて消滅するものではなく、その清算が結了するに至るまでは、清算中の法人としてなおその法人格が存続するのであり、清算結了の登記が経由されれば、外形的には清算事務が終了し、会社が消滅したものとの推定を受けるが、清算が結了したかどうかは事実問題であつて、清算結了登記の有無のみをもつて、法人格を喪失したか否かを判断することはできない。清算中の法人は、すべての資産を処分するとともにすべての負債を支払い けるが、清算が結了したかどうかは事実問題であつて、清算結了登記の有無のみをもつて、法人格を喪失したか否かを判断することはできない。清算中の法人は、すべての資産を処分するとともにすべての負債を支払い、残余財産を株主に分配し終つた時に清算が結了するのであり、右すべての負債の支払に納税義務の履行が含まれることは当然であつて、たとえ清算結了の登記が経由されたとしても、当該法人にかかる法人税の徴収手続がその財産につき完全に終了するまでは、その限りにおいてその法人の清算は結了せず、なお法人格が存続するものといえる。 そして、法人税の納税義務の範囲は、抽象的に成立した租税と具体的に確定した租税のすべてにわたるものであつて、納税義務の成立及び納付すべき税額の確定について被告が主張するところはいずれも妥当であり、訴外会社が本件事業年度について納付すべき税額は被告の本件更正処分によつて確定し、したがつて、訴外会社の納税義務は本件更正処分時において存在し、訴外会社の法人格はその限りにおいてなお存続していたものということができる。 よつて、本件課税処分が訴外会社において清算結了登記を経由した後になされたことをもつて、本件課税処分がすでに消滅した法人に対してなされたとはいえず、そのことは、たとえ原告主張にかかる各事実が認められたとしても何ら異なるものではなく、本件課税処分が重大かつ明白な瑕疵を有する無効の処分であるということはできない。 以上に対し、原告が清算結了登記の法的性質や納税義務の存否について縷々延べるところは、いずれもその独自の見解に基づくものにすぎず、当裁判所としてこれを採用することはできない。 二予備的請求について行政処分の取消訴訟において原告適格を有する者は、当該処分の取消を求めるにつき法律上の利益を有する者に限られ(行政事件訴訟法九条)右に 所としてこれを採用することはできない。 二予備的請求について行政処分の取消訴訟において原告適格を有する者は、当該処分の取消を求めるにつき法律上の利益を有する者に限られ(行政事件訴訟法九条)右にいう「法律上の利益を有する者」とは、当該処分の法的効果として自己の権利利益を侵害され、又は侵害されるおそれのある者である。このことを本件についてみるに、まず国税徴収法に定める第二次納税義務は、主たる納税義務が申告又は決定もしくは更正等(以下「主たる課税処分等」という。)により具体的に確定したことを前提として、その確定した税額につき本来の納税義務者の財産に対して滞納処分を執行してもなお徴収すべき額に不足があると認められる場合に、租税徴収の確保を図るため、本来の納税義務者と同一の納税上の責任を負わせても公平を失しないような特別の関係にある第三者に対して補充的に課される義務であつて、その納付告知は、形式的には独立の課税処分であるけれども、実質的には、右第三者を本来の納税義務者に準ずる者とみて、これに履行責任を負わせたものであり、第二次納税義務の納付告知は、主たる納税義務が確定したことを前提として行われるその徴収手続上の処分にほかならない(最高裁第二小昭和五〇年八月二七日判決民集二九巻七号一二二六頁参照)。そうしてみると、法人税の更正処分は、主たる納税義務者に対し、納税義務を確定させる法的効果を及ぼすものの、国税徴収法三四条の定める第二次納税義務者に対しては、それのみによつて、本来の納税義務者とは別個独立の納税義務を負担させ確定させるものではないのであつて、すなわち、法人税の更正処分の法的効果は、本来的には、主たる納税義務者にのみ及び、第二次納税義務者には及ばないものということができる。したがつて原告は、本件更正処分によつて、その本来的な効果として すなわち、法人税の更正処分の法的効果は、本来的には、主たる納税義務者にのみ及び、第二次納税義務者には及ばないものということができる。したがつて原告は、本件更正処分によつて、その本来的な効果として自己の権利利益を侵害され、または侵害されるおそれがある者ということができない。 もつともこのように考えるとしても、原告には、本件更正処分によつて第二次納税義務の履行責任を負担しなければならなくなるおそれが生じることは否めないし、本件のような、主たる納税義務者が不服申し立てをしなかつたためにその納税義務が確定した場合に、もし本件更正処分に適法な金額を越えて所得を認定した違法があるならば、清算人においては、右の適法な金額の範囲を越えて第二次納税義務の履行責任を負担させられ、もつて憲法の保障する財産権の侵害を受けるといえないではないから、そのようなことのないよう、法人税及び国税徴収法三四条の関係法規が、行政権の行使に一定の制約を課しているか否かを検討すると、主たる納税義務が申告により確定する場合に、清算人は国税通則法二三条の更正の請求ができないうえに、主たる課税処分を清算人に通知すべきものとされていない。のみならず、解散前に課税処分がなされた場合には当該法人が解散するに至るか、解散の場合には誰が第二次納税義務者に就任するかは未確定であり、同条の第二次納税義務が発生するか否かすら未確定であるといわざるを得ないのである。したがつて主たる課税処分の根拠法規が、主たる納税義務者が不服申立をしなかつたために、主たる納税義務が適法な金額を越えて確定した場合において、清算人が右適法な金額を越えて第二次納税義務を負担させられ、もつて憲法の保障する財産権の侵害を受けることがないよう、行政権の行使に一定の制約を課しているものとはたやすく断定することはできない。 これら 人が右適法な金額を越えて第二次納税義務を負担させられ、もつて憲法の保障する財産権の侵害を受けることがないよう、行政権の行使に一定の制約を課しているものとはたやすく断定することはできない。 これらの諸点からすると、国税徴収法三四条の関係では主たる納税義務の確定の結果第二次納税義務者が前示の履行責任を負担しなければならない危険を負うのはいわば主たる課税処分確定の反射的な効果に過ぎないものといわざるを得ない。 もつとも、本来の納税義務者の納税義務を確定した課税処分等が不存在、又は無効である場合は、前示のところがそのまま妥当するものではないが、本件課税処分が不存在又は無効であるとはいえないことは、先に説示したとおりである。 よつて原告は本件課税処分等につき訴外会社から独立してその取消を求める法律上の利益を有するものということはできず、右訴訟における原告適格を有しないというほかない。 三結論以上のところによれば、原告の主位的請求は理由がないことからこれを棄却し、また、本件訴えのうち原告の予備的請求にかかる部分は不適法な訴えであるからこれを却下することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条を適用して主文のとおり判決する。

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