平成7(ワ)18760 損害賠償等請求

裁判年月日・裁判所
平成15年11月5日 東京地方裁判所
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判決文本文91,024 文字)

平成15年11月5日判決言渡同日原本領収裁判所書記官花谷義久平成7年(ワ)第18760号損害賠償等請求事件口頭弁論終結の日平成15年7月30日判決 主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1章請求第1 原告B,同C,同D,同Eと被告との間で,同原告らが被告の給与規定に基づく一般職標準本俸表の適用を受ける雇用関係上の地位にあることを確認する。 第2 被告は, 1 原告Aに対し,5724万6780円,及び内3757万0580円に対する平成7年7月20日から,内1967万6200円に対する平成9年1月31日から,各支払済みまで年5分の割合による金員, 2 同Bに対し,6292万7295円,及び内3054万4995円に対する平成7年7月20日から,内634万1700円に対する平成9年3月20日から,内777万円に対する平成11年2月20日から,内834万0400円に対する平成13年3月20日から,内596万6300円に対する平成14年7月20日から,内396万3900円に対する平成15年7月20日から,各支払済みまで年5分の割合による金員, 3 同Cに対し,6120万1135円,及び内3111万8535円に対する平成7年7月20日から,内648万6000円に対する平成9年3月20日から,内755万8200円に対する平成11年2月20日から,内656万3500円に対する平成13年3月20日から,内543万0300円に対する平成14年7月20日から,内373万5000円に対する平成15年7月20日から,各支払済みまで年5分の割合による金員, 4 同Dに対し,6164万0095円,及び内3105万4695円に対する平成7年7月20日から,内650万8600円に対する平成9年3月2 年7月20日から,各支払済みまで年5分の割合による金員, 4 同Dに対し,6164万0095円,及び内3105万4695円に対する平成7年7月20日から,内650万8600円に対する平成9年3月20日から,内758万3700円に対する平成11年2月20日から,内669万1900円に対する平成13年3月20日から,内553万3200円に対する平成14年7月20日から,内395万8400円に対する平成15年7月20日から,各支払済みまで年5分の割合による金員, 5 同Eに対し,5338万6115円,及び内2506万4515円に対する平成7年7月20日から,内601万8600円に対する平成9年3月20日から,内738万7100円に対する平成11年2月20日から,内676万1000円に対する平成13年3月20日から,内485万5000円に対する平成14年7月20日から,内329万9900円に対する平成15年7月20日から,各支払済みまで年5分の割合による金員 6 同Fに対し,2327万1990円,及び内1886万0890円に対する平成7年7月20日から,内441万1100円に対する平成8年7月31日から,各支払済みまで年5分の割合による金員,をそれぞれ支払え。 第2章事案の概要第1 事案の要旨原告B(以下,個別原告については単に姓のみで表示する。),同C,同D,同Eは,被告の社員であり,原告A,同F(旧姓H)は,被告の社員であった者である(いずれも女性の事務職)。 本件は,被告に対し,原告らが,①原告らと同期の一般職の男性社員との間に賃金格差があるのは,違法な男女差別によるものである,②被告は,平成元年8月から定年を57歳から60歳に延長するのと併せて55歳に達した事務職を専任職に転換させその賃金を引き下げたが,これは違法な年齢及び 差があるのは,違法な男女差別によるものである,②被告は,平成元年8月から定年を57歳から60歳に延長するのと併せて55歳に達した事務職を専任職に転換させその賃金を引き下げたが,これは違法な年齢及び男女差別である(対象者は原告A),③被告は,平成9年4月から55歳に達した社員の調整給及び付加給を引き下げたが,これは違法な年齢及び男女差別である(対象者は原告B,同C,同D),と主張して,(1)一般職の男性社員に適用されている一般職標準本俸表の適用を受ける地位にあることの確認(請求者は被告に在職中の原告ら),(2)アこれが適用された場合の原告らと同年齢の一般職の標準本俸(月例賃金,一時金)及び退職金と原告らが現に受領した本俸(月例賃金,一時金)との差額及び退職金との差額の支払(本俸の差額請求者は原告ら全員,退職金の差額請求者は原告A,同F。),イ定年延長に伴う55歳からの月例賃金引き下げについて引き下げ前との差額の支払(請求者は原告A),ウ55歳からの調整給及び付加給引き下げについて引き下げ前との差額の支払(請求者は原告B,同C,同D),(3)慰謝料及び弁護士費用の支払(請求者は原告ら全員),(4)付帯請求として遅延損害金の支払を,各求めている事案である(差額分は賃金又は賃金相当額の損害賠償金として請求。請求期間は平成4年4月から平成15年7月まで。ただし,被告を退職した者については退職時まで。)。 第2 争いのない事実等(証拠によって認定した事実は,該当個所に証拠を摘示した。争いのない事実であっても,参照の便宜のため証拠を摘示した部分もある。なお,以下,証拠として書証を摘示する場合,枝番のある書証は,特に断らない限り,枝番をすべて含む。) 1 当事者等(1) 被告(乙27,28,53の(1),167,244ないし246 ある。なお,以下,証拠として書証を摘示する場合,枝番のある書証は,特に断らない限り,枝番をすべて含む。) 1 当事者等(1) 被告(乙27,28,53の(1),167,244ないし246,252,253)被告は,明治22年創業の総合商社であり,平成15年3月末現在の資本金は194億7300万円,従業員数は608名(総合職男子354名,女子6名,一般職男子87名,女子13名,事務職男子1名,女子147名)であり,神戸市に本店を,東京に本社を置き,国内に7箇所,海外に約40箇所の海外法人・事務所を擁している。平成9年1月1日当時の被告の資本金は410億1666万円であり,平成10年3月末日当時の従業員は2149人(うち総合職・一般職は合計1665人,事務職は484人)であった。 被告は,平成11年5月から「構造改革計画」を実施し,収益力の向上及び財務体質の強化を図り,平成13年4月からは「新中期経営計画」を実施して経営基盤の強化を図るなどしている。 被告は,昭和42年4月に江商株式会社(以下「江商」という。)と合併し,商号を「兼松江商株式会社」としたが,平成2年1月に再び商号を「兼松株式会社」に変更して今日に至っている(合併以前の被告を「旧兼松」ともいい,合併から平成元年12月までの被告を「兼松江商」ともいう。)。 被告の組織は,平成11年4月現在(構造改革の直前),経営会議の下に,直属のスタッフ部門(法務室,秘書室,監査室,広報室)のほかは,職能部門と営業部門が置かれ,前者は人事・総務,業務,財務,経理,審査・関連事業,運輸の各グループに分かれ,後者は,繊維第1,繊維第2,食糧,食品,エネルギー,化学品・紙パルプ,機械,電子機器・半導体,情報通信・航空機,鉄鋼・住建の各本部に分かれていた。構造改革実施後は,財務と経理が グループに分かれ,後者は,繊維第1,繊維第2,食糧,食品,エネルギー,化学品・紙パルプ,機械,電子機器・半導体,情報通信・航空機,鉄鋼・住建の各本部に分かれていた。構造改革実施後は,財務と経理が統合されて財経部となり,審査・関連事業と法務室が機能別に再編成され,不動産事業部,事業管理部,システム開発室が新たに置かれている。 (2) 原告らア原告A(甲22,64,乙16の(1),50の(1),251の(1),(8))原告A(昭和12年1月11日生)は,昭和32年3月短大を卒業後,同年5月22日旧兼松に入社し,東京支店繊維部織物課勤務となり,昭和33年3月同部官需課勤務,昭和44年10月東京運輸部内繊運輸課勤務,昭和46年5月東京本社運輸部国内運輸課勤務,昭和54年9月同部輸入第2課勤務,昭和58年3月同部輸入課勤務,昭和62年6月同部物流管理課勤務,平成8年4月同部輸入国内課勤務(その後同部は,運輸保険部と組織変更された。)を経て,平成9年1月31日60歳の定年により退職した。この間,入社時は,準社員であったが,昭和44年7月1日に社員となり,昭和60年1月15日事務職事務2級,同年7月1日同事務1級,昭和63年4月1日同事務主任,平成4年2月1日専任職事務主任待遇となった。 イ原告B(甲80,乙16の(2),50の(2),251の(2),(8))原告B(昭和18年9月19日生)は,昭和37年3月高校卒業,昭和38年9月高等職業技術校英文タイプ科修了後,昭和38年10月1日江商に入社し,人事部長付きとなり,昭和39年1月東京支社紙パルプ部受渡課勤務,昭和40年1月同部化繊パルプ課勤務,昭和42年4月同部パルプ課勤務,昭和49年4月東京本社紙パルプ部紙業課勤務,平成4年11月物資本部勤務,平成9年4月紙パルプ・物資本部 社紙パルプ部受渡課勤務,昭和40年1月同部化繊パルプ課勤務,昭和42年4月同部パルプ課勤務,昭和49年4月東京本社紙パルプ部紙業課勤務,平成4年11月物資本部勤務,平成9年4月紙パルプ・物資本部勤務,平成12年4月ライフサイエンス統括室勤務,平成12年6月ライフサイエンス業務管理チーム勤務,平成13年4月エネルギー業務管理チーム勤務,平成14年4月ライフサイエンス・エネルギー業務管理チーム勤務を経て現在に至っている。この間,入社時は,見習生であったが,昭和42年4月1日に準社員となり,昭和47年1月1日社員になり,昭和60年1月15日事務職事務2級,昭和61年4月1日同事務1級となった。 ウ原告C(乙16の(3),50の(4),251の(3),(8))原告C(昭和22年2月25日生)は,昭和40年3月高校を卒業後,同年4月1日江商に入社し,東京支社人事部長付きとなり,同年7月東京支社肥料部肥料課勤務,昭和42年4月食糧第3部肥料課勤務,昭和43年9月畜産肥飼料部肥料課勤務,昭和51年4月東京本社畜産肥飼料部肥料課勤務,昭和54年4月飼料油脂部肥料課勤務,昭和55年4月同部飼料第3課勤務,昭和56年10月穀物部肥料米穀課勤務,昭和58年4月食料物資非鉄統括営業経理チーム勤務,昭和60年5月飼料油脂部油脂課勤務,昭和62年4月穀物油脂部油脂課勤務,平成元年8月同部農産課勤務,平成2年4月食品農産部食品第3課勤務,平成10年食品第1部食品第3課勤務,平成12年4月食品業務管理チーム勤務,平成14年7月食料部門業務管理チーム勤務を経て現在に至っている。この間,入社時は,見習生であったが,昭和42年4月1日に準社員となり,昭和48年7月2日社員になり,昭和60年1月15日事務職事務2級,同年7月1日同事務1級となった。 エ原告 在に至っている。この間,入社時は,見習生であったが,昭和42年4月1日に準社員となり,昭和48年7月2日社員になり,昭和60年1月15日事務職事務2級,同年7月1日同事務1級となった。 エ原告D(乙16の(4),50の(3),251の(4),(8))原告D(昭和22年4月23日生)は,昭和41年3月高校を卒業後,同年3月15日旧兼松に入社し,鉄鋼輸出部第1課勤務となり,昭和44年10月東京支社鉄鋼輸出部鋼板課勤務,昭和49年10月東京本社鉄鋼輸出部鋼板第1課勤務,昭和50年10月鉄鋼輸出第1部鋼板第1課勤務,昭和55年4月鉄鋼貿易第1部鋼板第1課勤務,昭和63年5月鉄鋼統括室(以下「統括室」という。なお,統括室は,被告の組織変更により,平成8年4月に「鉄鋼・建設・木材統括室」と名称変更された。)勤務,平成11年9月特殊鋼部第2課勤務,平成11年10月鉄鋼貿易部第2課勤務,平成12年4月鉄鋼業務管理チーム勤務を経て現在に至っている。この間,入社時は,準社員であったが,昭和49年7月1日に社員となり,昭和60年1月15日事務職事務2級,同年7月1日同事務1級となった。 オ原告E(甲13,乙16の(5),50の(5),251の(5),(8))原告E(昭和32年9月22日生)は,昭和55年3月大学を卒業後,同年4月1日被告に入社し,東京本社鉄鋼貿易第1部鋼板第2課勤務となり,昭和56年10月同部鋼板第1課勤務,平成3年4月同部鋼材課勤務,平成4年4月同部第3課勤務,平成7年4月同部鋼管建材課勤務,平成8年4月鋼材第1部1課勤務,平成11年10月鉄鋼貿易部第3課勤務,平成12年4月鉄鋼業務管理チーム勤務を経て現在に至っている。この間,入社時は,準社員であったが,昭和59年7月1日に社員となり,昭和60年1月15日事務職事務2 成11年10月鉄鋼貿易部第3課勤務,平成12年4月鉄鋼業務管理チーム勤務を経て現在に至っている。この間,入社時は,準社員であったが,昭和59年7月1日に社員となり,昭和60年1月15日事務職事務2級,同年7月1日同事務1級となった。 カ原告F(乙16の(6),50の(6),251の(6),(8))原告F(昭和36年10月11日生)は,昭和57年3月専門学校を卒業後,同年4月1日被告に入社し,東京本社畜産部畜産第1課勤務となり,同年11月同部畜産第3課勤務,昭和58年6月畜水産部畜産第1課勤務,平成4年10月同部畜産第2課勤務,平成7年4月畜産部畜産第3課勤務を経て平成8年7月10日自己都合で退職した。この間,入社時は,準社員であったが,昭和60年1月15日事務職事務3級,同年7月1日同事務2級,平成元年4月1日同事務1級となった。 (3) 労働組合被告には,ユニオンショップ制をとっている兼松労働組合(被告の社名が兼松江商株式会社の時は,労働組合の名称も「兼松江商労働組合」であった。以下,単に「組合」ともいう。)があり,原告らはいずれもその組合員である(ただし,原告A及び同Fは退職と同時に組合を脱退している。)。 2 人事制度及び賃金制度の概要(1) 職掌別人事制度導入(昭和60年1月)以前ア旧兼松(甲6の(1),(2),95の(1),乙1の(1),(2),19,23)旧兼松の就業規則及びその付属規定である「従業員資格決定ならびに変更内規」では,従業員の資格及び採用につき,「従業員の資格は,参与,社員,見習社員,準社員,傭員とする。新たに採用する従業員の資格は,見習社員,準社員,傭員,嘱託とする。社員,見習社員の採用の採否は常務席において決定する。準社員,傭員採用の場合は,予め採用人員につき常務席の許可を得た上 ,傭員とする。新たに採用する従業員の資格は,見習社員,準社員,傭員,嘱託とする。社員,見習社員の採用の採否は常務席において決定する。準社員,傭員採用の場合は,予め採用人員につき常務席の許可を得た上,各営業所長及び本店総務部長が採否を決定する。大卒の見習社員は1年以内,高卒の見習社員は2年以内に,社員に昇格する。準社員は,一定の勤務年数(高卒者は8年,大卒者は4年)経過後,考査により社員に資格を変更することができる。」旨規定していた(就業規則6条,49条,上記内規1条ないし3条)。 旧兼松の給与規則では,「雇入れの従業員の本棒は,中卒,高卒,大卒の別により決定する。昇給額は各人の能力,技能,勤怠成績その他の資格を判定して決定する。」旨規定していた(給与規則1条,4条)。 旧兼松では,見習社員を経て社員となる従業員のほとんどすべてが男性であり,準社員を経て社員となる従業員のすべてが女性であった。このため,旧兼松では,見習社員を経て社員となる従業員に適用される賃金体系を「男子」,準社員を経て社員となる従業員に適用される賃金体系を「女子」と呼んで区別していた。 旧兼松では,例えば昭和41年度で「男子」に適用される賃金体系と「女子」に適用される賃金体系を比較すると,「男子」のほうが年数が高くなるにつれて「女子」よりも賃金が高く設定されていた。 イ江商(甲6の(1),95の(1),乙2,20,24,91)江商の就業規則では,従業員の身分及び資格につき,「従業員とは,社員,準社員,雇員又は見習生としての身分を持つものをいう。見習生の期間は6ヶ月以内とし,学歴,能力,職種等に基づき銓衡の上,社員,準社員,雇員に任命し,雇員並びに準社員は,勤務年数及び勤務成績により銓衡の上,準社員又は社員に昇格することができる。」旨規定していた(就業規則2条) とし,学歴,能力,職種等に基づき銓衡の上,社員,準社員,雇員に任命し,雇員並びに準社員は,勤務年数及び勤務成績により銓衡の上,準社員又は社員に昇格することができる。」旨規定していた(就業規則2条)。 江商の給与規定では,見習生の初任本棒は,大卒者と高卒者で異なり,見習生より社員又は準社員,雇員に任命する場合の初任本棒も,社員に任命する場合と準社員又は雇員に任命する場合とでは異にされていたほか,社員に任命する場合も大卒者と高卒者では異にされていた(給与規定1条)。 江商の賃金体系は,社員と準社員とで異なっていたが,社員はすべて男子であり,準社員はすべて女子であった。 江商では,例えば昭和41年度で社員に適用される賃金体系と準社員に適用される賃金体系を比較すると,社員のほうが年数が高くなるにつれて準社員よりも賃金が高く設定されていた。 ウ合併後(甲6の(2),7ないし9,95の(2),96,乙3,6,21,25,202,206)合併後の被告の就業規則及びその付属規定である「資格の決定ならびに昇格に関する規定」では,従業員の資格及び採用につき,「従業員の資格は,参与,社員,見習社員,準社員,傭員とする。新たに採用する従業員の資格は,本人入社後の職種に応じ,見習社員,準社員,傭員等とし,大卒の見習社員は1年以内,高卒の見習社員は2年以内に,社員に昇格する。準社員は,一定の勤務年数(高卒者は8年,短大卒者は6年,大卒者は4年)経過後,考査により,社員に資格を変更する。」旨規定していた(就業規則6条,7条,上記規定2ないし4条)。 合併後の被告の給与規定では,「社員,見習社員,準社員,傭員については,給与として,給料(本棒及び手当)及び臨時給与金を支給する。本棒昇給額は,各人の能力,技能,勤怠成績その他資格を判定して決定する。」 後の被告の給与規定では,「社員,見習社員,準社員,傭員については,給与として,給料(本棒及び手当)及び臨時給与金を支給する。本棒昇給額は,各人の能力,技能,勤怠成績その他資格を判定して決定する。」旨規定していた(給与規定2条以下,8条)。 合併後の被告の賃金体系は,A体系,B体系に区分された(後にC体系が設けられた。)。A体系は見習社員及び見習社員から昇格した社員に,B体系は準社員及び準社員から資格変更された社員・傭員に(後,傭員については別にC体系が設けられた。),それぞれ適用され,従前の「男子」,「女子」の呼称は廃止されたが,見習社員から昇格した社員のほとんどは男性であり,準社員から資格変更された社員はすべて女性であったことから,前者は「男子社員」,後者は「女子社員」と呼称されていた。 また,江商の「社員」,「準社員」の各賃金体系は,それぞれA体系,B体系に該当するものとされた。 合併後の被告では,各年度ごとの給与年齢に応じた本俸額は,被告と組合との労使交渉を介して決定されるが,例えば昭和59年度でA体系とB体系を比較すると,A体系のほうが年数が高くなるにつれてB体系よりも賃金が高く設定されていた。 (2) 職掌別人事制度の導入(昭和60年1月)(甲1,3の(2),10の(2),24,95の(3),乙4,22,33,43,44)ア被告は,商社活動の高度化,多様化が要請されている中で,従業員の能力開発とその活用を通じ,企業として将来に亘る発展の基盤を作り,同時に従業員の労働条件の維持・改善と,その経済的・社会的地位の向上を図ることを目的として,昭和59年12月12日,兼松労働組合との間で,「人事制度改定に関する協定」(以下「昭和59年協定」という。)を締結し,協定書を取り交わした。また,両者は,同日,人事制度改定に伴う とを目的として,昭和59年12月12日,兼松労働組合との間で,「人事制度改定に関する協定」(以下「昭和59年協定」という。)を締結し,協定書を取り交わした。また,両者は,同日,人事制度改定に伴う移行措置に関して合意をし,覚書を取り交わした。昭和59年協約の内容は,①職掌制度を導入し,社員の職掌を,管理職・一般職・事務職・特務職とする,②職能資格制度を導入し,管理職に参与・参事・参事補・主事の,一般職に主事補・一般1級,一般2級・一般3級の,事務職に事務主任・事務1級・事務2級・事務3級の各職能資格を設ける,③一般職・事務職・特務職については,現行通り年次別標準本俸体系とし,年次別標準本俸は労使協議の上取り決める,一般1級・2級及び事務1級・2級に資格手当を新設するなどというものである。 これを受けて,被告は,昭和60年1月,就業規則を改定して,「職掌に関する規定」を新設して職掌別人事制度を導入し,社員を「管理職」,「一般職」,「事務職」,「特務職」の職掌別に区分し,管理職,一般職,事務職の各職掌ごとにそれぞれ職能資格を設けた。職能資格の種類とその資格要件は別紙1のとおりであり,一般職の職能資格は,主事補,一般1級,一般2級,一般3級から成り,事務職の職能資格は,事務主任,事務1級,事務2級,事務3級から成る(就業規則6条ないし8条,上記職掌に関する規定2条)。 従前の,A体系適用の参与,主事以上の男子社員は管理職に,A体系適用の主事補以下の者(主事補以下の男子社員,見習社員)は一般職に,B体系適用の者(女子社員,準社員)は事務職に,C体系適用の傭員は特務職に,それぞれ編入された。これは,上記兼松労働組合との移行措置に関する合意と同一内容である。また,被告は,従来の「男子社員」,「見習社員」,「女子社員」,「準社員」の呼称を廃 体系適用の傭員は特務職に,それぞれ編入された。これは,上記兼松労働組合との移行措置に関する合意と同一内容である。また,被告は,従来の「男子社員」,「見習社員」,「女子社員」,「準社員」の呼称を廃止し,「社員」に統一した。 イ被告は,併せて職掌転換制度(以下「旧転換制度」という。)も設けた(上記兼松労働組合との移行措置に関する合意では,職掌転換制度については別途労使で協議するとされており,被告が設けた職掌転換制度はこの協議に基づくものである。)。これは,一般職から管理職への転換,事務職から一般職への転換,一般職から事務職への転換を認める制度であり,一般職から管理職への転換が認められる者は,「主事補資格として一定の実務経験を有し,能力・実績優秀と認定された者」であり,事務職から一般職への転換が認められる者は,「①事務1級資格者として能力・実績優秀な者,②一般3級研修必須履修科目終了者,の2要件を満たし,かつ本人が希望する場合で,転換試験に合格した者」であり,一般職から事務職への転換が認められる者は,「本人の希望があった場合,ないし将来にわたり一般職の業務を遂行することが不可能な場合で,事務職としての適性を認定された者」である(上記職掌に関する規定3条)。 被告は,旧転換制度における事務職から一般職に転換する場合の運用として,事務1級昇格後最低2年間を経過し,一定の評価を得ている者のうち,一般3級研修必須科目である財務,経理,運輸,審査及び情報システムの実務検定試験に合格した者が一般職への転換を希望している場合に,本部長の推薦を経て職掌転換試験として筆記試験(一般職採用時使用程度のもの。英語,一般常識,職業適性検査の予定であったが,小論文と一般常識,職業適性検査で運用した。)を行った上,人事部による面接により転換後の勤務条件を確認し 験として筆記試験(一般職採用時使用程度のもの。英語,一般常識,職業適性検査の予定であったが,小論文と一般常識,職業適性検査で運用した。)を行った上,人事部による面接により転換後の勤務条件を確認していた。 事務職から一般職への転換が認められた場合,転換後は一般2級に格付けされ,本俸は一般2級初年度に位置づけられていた。 なお,一般職から事務職への転換が認められた場合,転換後の格付けと給与はその都度決定される。 ウ職掌別人事制度の導入に伴い,給与規定では,「社員については,給与として,給料(本棒及び手当)及び夏季給与並びに年末給与を支給する。本棒昇給額は,各人の能力,技能,勤怠成績その他資格を判定して決定する。管理職・一般職2級以上・事務職2級以上の社員には,職能資格に応じ資格手当を,本棒を受けるものにつき調整手当(本棒の15パーセント。100円未満の端数は100円に切り上げ。)を,それぞれ支給する。」旨規定され(給与規定2条以下,8条,12条,13条),標準本棒表も職掌ごとに作成された。 標準本俸表は,各年度(毎年4月1日から翌年3月31日まで)ごとに職掌別に給与年齢に応じて被告が決定した標準年俸の表であり,一般職には一般職標準本俸表が,事務職には事務職標準本俸表が適用される。標準年俸表の各人の職掌及び給与年齢に相当する金額が最低賃金として被告の従業員に保障され,この金額に各人の昇給額を加算した金額が本人の本俸額となる。したがって,被告の従業員の給料(月例賃金)は,この本俸額と調整手当その他の諸手当の合計額である。 被告では,一般職標準本俸表と事務職本俸標準表とを比較すると,前者の本俸額のほうが後者の本俸額に比べ年齢が高くなるについて高くなっている。 夏季給与は前年10月からその年の3月までの,年末給与は,その年の4月か 職標準本俸表と事務職本俸標準表とを比較すると,前者の本俸額のほうが後者の本俸額に比べ年齢が高くなるについて高くなっている。 夏季給与は前年10月からその年の3月までの,年末給与は,その年の4月から9月までの,各勤怠及び勤務成績その他を考慮して支給額が定められる。毎年その支給係数を決定し,これに各人ごとの本俸額及び調整手当を加算した金額を乗じた額を基準とした上,被告が定めた金額を各人の勤怠等を考慮して加減して決定される。この夏季給与及び年末給与が一時金である。 なお,被告における給料は,毎月月末締めの当月20日払いであり,夏季給与は毎年6月に,年末給与は毎年12月に支給される(給与規定7条,26条,27条)。 (3) 定年延長制度等の実施(平成元年8月)(甲1の(1),21ないし23,乙9,45,203,208,242,243,証人I)ア被告の従業員の定年は57歳であったが,60歳定年制を定める「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(以下「高年齢者雇用安定法」という。)が平成元年10月1日施行されることとなり,60歳定年制の導入を行う必要が生じたことなどから,被告は,同年7月11日,組合との間で「定年延長並びに人事制度に関する覚書」(以下「平成元年覚書」という。)を締結し,定年延長並びに人事制度の改定について合意し,就業規則等を改定して,これを同年8月1日から実施した。その主要な内容は以下のとおりである。 (ア) 定年を現行の満57歳から満60歳に延長する。 (イ) 現行の職掌制度に「地域特定職」,「専任職」,「地域専任職」,「専門職」を新設する。専任職の区分基準は,「満55歳以上の社員で,それまでの職掌・役職・資格にとらわれず,各自の能力・適性に従い長年蓄積した知識・経験を駆使して,会社が必要とする業務分野の中で,特定された分 を新設する。専任職の区分基準は,「満55歳以上の社員で,それまでの職掌・役職・資格にとらわれず,各自の能力・適性に従い長年蓄積した知識・経験を駆使して,会社が必要とする業務分野の中で,特定された分野・役割について業務のプロとして役職にはつかずに,スタッフ又は担当業務に従事する社員層。なお,勤務地は業務ニーズによって決まり将来にわたり特定されない。但し,転換前の職掌が事務職・特務職の場合は,勤務地の変更はない。」とする。 (ウ) 一般職・管理職・事務職・特務職の社員で満55歳の誕生日を迎えた者は翌月より専任職に転換する。専任職の給与(月棒)は,専任職に転換する直前の(本棒+調整手当+資格手当)の額の80パーセントとし,住宅手当の額も現行の約80パーセント(扶養家族を有する者は3万6800円,独立生計者は2万7700円,これら以外の者は1万0100円)とする(以下,この給与減額措置を「専任職賃金カット」という。)。 (エ) 退職金及び退職年金制度を従来の本棒リンク方式から累積ポイント方式に変更する。 累積ポイント方式とは,勤続年数と職能資格別に定められた点数(ポイント)を退職金計算の基礎に置く方式である。被告は,平成元年3月時点で,平成元年ベースの本俸により各社員の退職金を計算し,これをポイント単価(1万0600円)で除して得られるポイント数を各人の平成元年3月31日時点の持ち点とし,同年4月1日以降退職時まで,勤続部分,職能資格部分ごとに定めた一定のポイントを勤続期間中毎年累積し,退職時までに累積されたポイントにポイント単価を乗した額を退職金額とするとした。なお,専任職となった後もポイントは退職時まで累積される。 イこれに伴い,被告は,就業規則,給与規定を改定し,平成元年覚書のとおり,定年延長,職掌の新設,専任職への転換,専任職の 金額とするとした。なお,専任職となった後もポイントは退職時まで累積される。 イこれに伴い,被告は,就業規則,給与規定を改定し,平成元年覚書のとおり,定年延長,職掌の新設,専任職への転換,専任職の月俸等を定めるとともに,住宅手当も上記ア(ウ)のとおり減額した(給与規定11条)。 なお,被告と組合は,平成元年9月13日,平成元年覚書を一部修正して(ただし,その内容に大きな変動はない。),「定年延長並びに人事制度改定に関する協定」,「組合員の範囲に関する協定」,「退職金の支給に関する協定」,「早期退職援助制度に関する協定」,「退職年金の支給に関する協定」,「『定年延長並びに人事制度の一部改定に伴う移行措置』に関する覚書」を締結し,これに伴い,平成元年覚書は失効した。 ウ原告Aは,平成4年1月11日に満55歳に達し,平成元年覚書及び改定された就業規則等の適用を受けて,同年2月1日に専任職掌・事務主任待遇として発令され,同月の賃金から,専任職賃金カットを受けて,本棒及び調整手当,資格手当の合計額の80パーセント相当額を専任職給与として支給され,住宅手当もそれまでの1万5500円からその80パーセント相当額の1万2400円に減額された(その後,原告Aの住宅手当額は,平成4年4月以降1万3600円,独立生計者とみなされた平成6年7月以降4万5600円となっている。)。 (4) 新人事制度の導入(平成9年4月)(甲84,乙160,163,165,204)ア被告は,創造的活動により高い価値をおいた人事処遇制度,職務の価値と発揮能力に見合う処遇(実力主義の徹底),国際社会に通用するシステムを構築することを目的として,平成9年3月25日,組合との間で「人事制度に関する協定」(以下「平成9年協定」という。)を締結し,新人事制度の導入について合意した の徹底),国際社会に通用するシステムを構築することを目的として,平成9年3月25日,組合との間で「人事制度に関する協定」(以下「平成9年協定」という。)を締結し,新人事制度の導入について合意した上,就業規則等を改定し,同年4月からこれを実施した。 イ新人事制度の主な内容は以下のとおりである。なお,平成9年協定では,新人事制度とは,「1995年12月14日付「人事制度改定案(骨子),1996年12月6日付「新人事制度最終実行案」,1997年1月17日付「新人事制度最終実行案の追加・訂正」の各文書によって被告より提案されたものに基づき,労使間で確認された内容をさすものとする。」とされている。 (ア) 職掌の再編と職務等級制度の導入職掌を,従来の「管理職」,「一般職」,「事務職」,「専任職」から「総合職掌」,「特定総合職掌」,「一般職掌」,「事務職掌」,「専任職掌」に再編し,各職掌ごとに職務等級を設定する。各職掌の区分基準,職務等級及びその要件は,別紙2の(1),(2)のとおりである。 専任職掌は総合職の社員についてのみ存続させ,一般職,事務職については従来の専任職制度は廃止する。この一般職,事務職についての専任職制度の廃止により,専任職賃金カットはなくなった(ただし,後記(イ)のとおり,給与制度も変更されている。)。 なお,既に転換済みの事務専任職は,被告が新人事制度の導入を組合に提案した平成7年12月14日以降に専任職に転換した者が新人事制度の事務職掌事務1級への転換試験に合格した場合を除き,そのまま専任職として処遇する。 (イ) 人事考課制度,給与制度の変更基本考課と業績考課を柱とする目標管理制度を人事考課の基本に位置づけた。 総合職Aは年俸制とし,総合職B,C,一般職掌,事務職掌には,基本給に付加給,調整給等を加算 事考課制度,給与制度の変更基本考課と業績考課を柱とする目標管理制度を人事考課の基本に位置づけた。 総合職Aは年俸制とし,総合職B,C,一般職掌,事務職掌には,基本給に付加給,調整給等を加算したものを給料として支給し,ほかに夏季一時金及び年末一時金を支給する。 基本給は,旧制度の本俸,調整手当,資格手当及び住宅手当の一部(非独立生計者に支給されていた住宅手当額。以下「住宅手当最低支給額」ともいう。)を組み込んだものとし,各職務等級ごとに標準年齢に応じた基本給テーブルを設定する。これにより決まる職務等級別基準給に基本考課に基づいた加減分(考課メリット)を加え,基本給を具体的に決定する。 付加給は,旧制度の住宅手当のうち基本給に組み入れなかった額に扶養家族を有する者について一律月額5200円(家族手当廃止に伴う措置)を加算した額とする。付加給の支給対象者は,総合職B,C,一般職掌,事務職掌の独立生計者全員55歳未満とする。 調整給として,新人事制度での当該社員の基本給が従前の制度で決定された月例給(本俸,調整手当,資格手当,住宅手当,家族手当の合計額)よりも下回る場合,その差額を支給する。調整給の支給対象者は,総合職B,C,一般職掌,事務職掌の全員55歳未満とする。 夏季一時金は基本給に支給月数を乗じたものに業績評価を加減して決定し,年末一時金は基本給に支給月数を乗じた額とする。 (ウ) 職掌転換基準の変更職掌転換制度を改定した(以下,改定後の職掌転換制度を「新転換制度」という。)。一般職掌から総合職掌へ,事務職掌から一般職掌への職掌転換制度の概要は,別紙3のとおりである。事務職掌から一般職掌への職掌転換については,対象者は従来同様事務1級以上であるが,「能力・実績優秀と認定された者」との要件は外され,従来の運用で 掌への職掌転換制度の概要は,別紙3のとおりである。事務職掌から一般職掌への職掌転換については,対象者は従来同様事務1級以上であるが,「能力・実績優秀と認定された者」との要件は外され,従来の運用であった本部長の推薦も不要とされた。また,転換試験の内容も改められた。 ウ新人事制度の導入により,従来の管理職のうち,参事は総合職Aに,参事補は総合職B1級に,主事は総合職B2級に,従来の一般職のうち,主事補は総合職C1級に,一般1級は総合職C2級に,一般2級は一般1級に,入社2年目以上の一般3級は一般2級に,入社1年目の一般3級は一般3級に,従来の事務職のうち,事務主任は事務特級に,事務1級は事務1級に,入社2年目以上の事務3級及び事務2級は事務2級に,入社1年目の事務3級は事務3級に,それぞれ格付けされた。 エ原告Bは平成10年9月19日に,同Cは平成14年2月25日に,同Dは同年4月23日に,いずれも満55歳に達し,満55歳に達した月の翌月からの月例給について付加給及び調整給の支給を打ち切られた(以下「付加給・調整給カット」という。)。 3 原告らの月例賃金,一時金,退職金と同年齢の「男性」のそれとの差額(甲33,36,180ないし185,186,191,192,224,乙35ないし40,76,92)原告らに平成4年4月以降平成14年7月まで支払われた月例賃金及び一時金と同時期に「男性」に支払われた月例賃金及び一時金との差額,原告B,同C,同Dの付加給カット額,原告A,同Fの「男性」との退職金差額は,それぞれ別表1の「請求金額一覧表」の「月例賃金差額」,「一時金差額」,「付加給カット額」,「退職金差額」の各欄記載のとおりであり,その内訳の詳細は,別表1の各原告別の「賃金差額一覧表」,「付加給カット額表」,「退職金差額表」のとおり 月例賃金差額」,「一時金差額」,「付加給カット額」,「退職金差額」の各欄記載のとおりであり,その内訳の詳細は,別表1の各原告別の「賃金差額一覧表」,「付加給カット額表」,「退職金差額表」のとおりである。また,原告B,同C,同D,同Eに平成14年8月以降平成15年7月まで支払われた月例賃金及び一時金と同時期に「男性」に支払われた月例賃金及び一時金との差額,付加給カット額は,それぞれ同各原告別の別表2の「賃金差額表(1)ないし(4)」のとおりである。 なお,ここにいう「男性」とは,各原告と同年齢の一般職ないし一般職掌の男性をいい,その男性の月例賃金は,一般職の本俸賃金テーブルに基づく本俸+調整手当(本俸の15パーセント)+資格手当+住宅手当最低支給額の合算額であり,一時金は本俸と調整手当の合計額に係数を乗じた額であり,退職金はその男性の有するポイント数にポイント単価を乗じた額である。平成9年4月以降新人事制度が導入された後のその男性の基本給は,それまでの一般職の本俸賃金テーブルに基づく本俸+調整手当(本俸の15パーセント)+資格手当+住宅手当最低支給額で計算されたものである。一時金は,一時金支給基準に基づいて計算されたものである。 第3 争点 1 原告B,同C,同D,同Eの,被告給与規定に基づく一般職標準本俸表の適用を受ける雇用関係上の地位にあることの確認を求める訴えに確認の利益があるか。 2 被告において,男性労働者と女性労働者との間に賃金格差があるか。あるとして,それが性別を理由とする差別的取扱いであるか。 3 原告Aに対する専任職賃金カットは違法か。 4 原告B及び同C,同Dに対する付加給・調整給カットは違法か。 5 原告らに差額賃金等の請求権があるか。 6 原告らに差額賃金等相当損害金の請求権があるか。 7 原告らに慰謝料及び弁護 ットは違法か。 4 原告B及び同C,同Dに対する付加給・調整給カットは違法か。 5 原告らに差額賃金等の請求権があるか。 6 原告らに差額賃金等相当損害金の請求権があるか。 7 原告らに慰謝料及び弁護士費用の請求権があるか。 第3章争点に関する当事者の主張(要旨)第1 争点1(確認の利益)について(原告B,同C,同D,同E) 1 昭和60年の職掌別人事制度における一般職・事務職別の賃金体系は,後記第2における原告らの主張のとおり,労働基準法(以下「労基法」という。)4条の男女同一賃金の定めに違反する差別賃金体系である。同法13条は,同法に定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は,その部分を無効とし,同法で定める基準によるとしているから,原告らは,性による差別がなければ,一般職本俸表の適用を受け,一般職主事補ないし一般職1級として処遇されていたはずであった。 したがって,被告に在職している原告B,同C,同D,同Eは,被告給与規定の定める一般職標準本俸表の適用を受ける権利を有する。 平成9年4月導入された新人事制度のもとでも,少なくとも平成8年度一般職標準本俸表の適用を受ける権利を有している。 しかるに,被告はこれを争っている。 2 被告においては,各年度ごとの給与年齢に応じた本俸額は,被告と組合との労使交渉を介して決定されるから,将来分の差額請求は不可能とならざるを得ないが,それでは紛争の抜本的解決にはならない。 紛争の抜本的解決のためには,原告B,同C,同D,同Eと被告との法律関係,すなわち同原告らが一般職標準本俸表の適用を受ける雇用関係上の地位にあることについて確認することが,最も有効適切かつ必要不可欠な手段であるから,同原告らの地位確認の訴えには確認の利益がある。 (被告)被告において,各年度ごとの給与年齢に応じた本俸額 係上の地位にあることについて確認することが,最も有効適切かつ必要不可欠な手段であるから,同原告らの地位確認の訴えには確認の利益がある。 (被告)被告において,各年度ごとの給与年齢に応じた本俸額が被告と組合との労使交渉を介して決定されることは認めるが,その余は争う。 第2 争点2(差別の有無及び違法性)について(原告ら) 1 男女差別の賃金体系(1) 職掌別人事制度導入以前の賃金体系ア旧兼松旧兼松においては,本俸賃金体系は男子・女子の給料表に区別され,初任給から格差があった上,女性の昇給額は男性に比較して著しく低額に設定され,勤続年数を重ねるに従い昇給額は低額に抑制されていた。 イ江商江商においては,社員・準社員別の賃金表であったが,社員はすべて男性であり,準社員はすべて女性であったから,男女別の賃金表であった。そして,この男女別の賃金も,高卒初任給で男女格差があり,その後の昇給額は女性のほうが著しく低額で男女間格差は勤続を重ねるごとに拡大していた。 ウ合併後合併後,被告は,傭員を除く男性社員(男子社員,見習社員)にはA体系賃金を適用し,女性社員(女子社員,準社員)にはB体系賃金を適用した。両者の賃金体系は,男性については基本給の昇給額が勤続年数に応じて増額されるのに対し,女性については昇給額が低額に抑制されている。 エ旧兼松,江商,合併後の賃金体系の男女差別性旧兼松,江商,合併後を通じて,男女で業務の内容に差はなかったから,上記の賃金体系は性の違いにより女性を差別する男女差別の賃金体系である。 (2) 職掌別人事制度導入後被告は,昭和60年1月,職掌別人事制度を導入したが,同制度は以下のとおり女性に対する差別賃金格差を温存・拡大する意図の下に導入・運用された違法な制度である。 ア職掌区分の定めの不 事制度導入後被告は,昭和60年1月,職掌別人事制度を導入したが,同制度は以下のとおり女性に対する差別賃金格差を温存・拡大する意図の下に導入・運用された違法な制度である。 ア職掌区分の定めの不合理性職掌別人事制度の定める職掌区分の定め(別紙1「職能資格の種類とその資格要件」)には,以下のとおり合理性がない。 (ア) 商社の業務を基幹業務と事務的・秘書的業務に区分する基準が明確でなく,恣意的評価を許容する不明確なものである。同制度導入に際し,社員が担当してきた職務が基幹業務,事務的・秘書的業務のいずれに該当するのか検討された経過はなく,商社の業務が多様であって各社員が担当する職務も多岐にわたることに照らすと,実態としても,当該社員の担当する職務によって事務職と一般職とに区分することはできない。 (イ) 事務職の基準である「基幹業務推進者を補佐」するという,「補佐」の意味も明確でない。 (ウ) 職掌区分では将来の「期待」を基準としているが,こうした期待要素は,社員の振り分けに際して性に基づく偏見や固定観念によって女性を一般職としての処遇から排除する根拠となるし,制度導入に際して「期待」とは何かについて検討された経過もなく,この基準は客観性を欠いた恣意的かつ曖昧な基準である。 (エ) 商社の場合,異なる支店や業務を経験することによってキャリア形成されることはなく,転居を伴う転勤をしない社員も少なくないから,将来の転勤の可能性で事務職と一般職の職掌を区分する合理性,必然性はない。 イ男女による一律の振り分けの不合理性被告は,職掌への振り分けに当たり,一律に,女性社員・準社員(全員女性)を事務職に,非管理職の男性社員・見習社員(全員男性)を一般職に振り分けたが,振り分けに際して各社員が担当している職務については全く検討しておらず, 分けに当たり,一律に,女性社員・準社員(全員女性)を事務職に,非管理職の男性社員・見習社員(全員男性)を一般職に振り分けたが,振り分けに際して各社員が担当している職務については全く検討しておらず,しかも,男性社員については一般職にするに際し,そのキャリアに応じて格付けを行っているのに対し,女性についてはキャリアに無関係に一律に「事務2級」としており,このような振り分けは不合理である。 ウ差別賃金を引き継ぎさらに格差を拡大させたことの不合理性職掌別人事制度の下においても,従前の男女別賃金体系であるA体系・B体系の標準本俸表が一般職体系と事務職体系に呼称を変えたまま適用された。これは,従前の男女の賃金体系の格差をそのまま引き継いだものである上,被告は,職掌別人事制度導入後,女性については賃金を抑制し,他方男性については昇給幅を上げ,管理職ではさらに賃金を高くするという賃金政策をとり,男女の賃金体系の格差を拡大させている。 エ旧転換制度の不合理性旧転換制度における事務職から一般職に転換する基準は,それ自体極めてハードルが高いものである。また,事務1級になる者は最短で27歳であるため29歳以下では転換に応募できないこと,上司の推薦を必要とするため,女性一般職を部下に必要ないとする上司の下では転換できないこと,転換希望者が公募されたことはなく,その機会があることも示されなかったこと,転換後の一般職としての職階は一般職の最も下に格付けされることなどからすると,旧転換制度は,一般職への転換を不可能にする不合理な制度である。 オ小括以上のとおり,職掌別人事制度は,一般職と事務職とを区分し,女性を事務職として,これに一般職標準本俸表より低額である事務職標準本俸表を適用するとするもので,男女差別賃金であり,憲法14条,労基法4条,民法 とおり,職掌別人事制度は,一般職と事務職とを区分し,女性を事務職として,これに一般職標準本俸表より低額である事務職標準本俸表を適用するとするもので,男女差別賃金であり,憲法14条,労基法4条,民法1条ノ2,90条,我が国が批准した国際法(ILO男女同一価値労働同一報酬条約,国際人権規約,国連女性差別撤廃条約)に反して違法・無効である。 仮に職掌別人事制度自体が違法とはいえないとしても,その実施に当たり,女性を一律に事務職として事務職標準本俸表を適用することは,女性であることを理由として賃金において不利益な取扱いをしたものであるから,同様に,上記各法条に反して違法・無効である。 昭和59年協定は,不利益を被る女性社員の意見が組合の意思決定に反映される手続がとられることなく,職掌別人事制度導入及び女性を一律に事務職にすることを合意しているから,上記各法条に違反するもので,事務職である原告らには適用されない。 なお,昭和59年協定は,制度の骨組みの一部を定めるのみで,その条項それ自体が原告らの労働条件の基準を示すものではないから,昭和59年協定という労働協約の規範的効力によって原告らの労働条件が決定されるわけではなく,原告らの労働条件を決定するには就業規則による必要がある。このことは,以下の労働協約についても同様である。 (3) 新人事制度導入後ア平成9年の新人事制度の導入により,事務職事務1級であった原告B,同C,同D,同Eは,いずれも事務職掌事務1級に格付けされたが,新人事制度は,それまでの管理職を総合職掌と,一般職を一般職掌と,事務職を事務職掌と改めたにすぎないものであるから,従来の男女別処遇をそのまま引き継ぎ,拡大させたものである。別紙4のとおり,新人事制度の下では,事務職掌の賃金は頭打ちであり,一般職掌から総合職掌 事務職を事務職掌と改めたにすぎないものであるから,従来の男女別処遇をそのまま引き継ぎ,拡大させたものである。別紙4のとおり,新人事制度の下では,事務職掌の賃金は頭打ちであり,一般職掌から総合職掌へと昇格するほとんどの男性との賃金格差はそれまで以上に拡大している。 被告は,新人事制度の設計に当たって職務を分析する作業は行っておらず,旧制度(職掌別人事制度)による職掌・資格に対応して社員を新職掌・資格に自動的に移行させ,これにより職掌別人事制度の差別性をも新人事制度に移行させたものである。 イ新転換制度は,従前と同様,事務職から一般職への転換ルートが設定されているだけで,一般職から事務職への転換ルートは設定されていないこと,事務職から一般職に転換する者は,さらに一般職から総合職への転換をクリアしなければ,旧制度の一般職本俸テーブルによるより低額な賃金に抑制されること,一般職になった者は資格・能力を問わず男性であるが故に一般職になっているのに,女性である事務職に資格要件の具備を求めていること,被告が新転換制度を恣意的に運用していることなど到底合理的な内容とはいえない。 ウ新人事制度の下において,従前の家族手当や住宅手当といった属人給は本給に組み入れられることになったが,その組み入れ額は一般職1万7000円,事務特級2万円,事務1級8000円と,事務特級を除き,事務職は大幅に低額な金額に抑制されたが,これは,旧制度における低額かつ例外的な女性に対する属人給支給差別をそのまま承継したもので,女性差別である。 エしたがって,新人事制度も,同様に,労基法4条,民法90条等の上記各法条に反して違法・無効である。 (4) まとめ以上のとおり,被告においては,賃金について,男性労働者と女性労働者との間に格差があり,その格差は性別を理由とする 労基法4条,民法90条等の上記各法条に反して違法・無効である。 (4) まとめ以上のとおり,被告においては,賃金について,男性労働者と女性労働者との間に格差があり,その格差は性別を理由とする差別的取扱いである。 なお,昭和60年実施の職掌別賃金制度は,職掌区分・職能資格要件を協定化して実施されたものではないし,平成9年実施の新賃金制度及び調整給・付加給不支給の取扱いは,平成9年協定が対象とした文書では労働条件が特定されていないから,いずれも労働協約によるものではない。 2 賃金格差は担当業務の違いによるとの被告の主張について(1) 基幹業務・補助業務の区別の不存在被告には,業務を基幹業務と補助業務に分けて,各業務を担当する社員で処遇を異にする旨の労働契約や人事制度は存在しなかった。 被告においては,各人の担当する業務が基幹業務であるか補助業務であるかやその基準及び具体的範囲が客観的に明確になっていたわけではないし,業務の担当は流動的で上司のその都度の判断によって割り振られるもので,客観的かつ明確な基準に基づいて基幹業務を担当する社員と補助業務を担当する社員とが振り分けられたものでもない。商社の業務は多様であり,同一の業務に従事する社員はいないし,担当する業務を基幹業務と補助業務に分けることや,基幹業務担当の社員は補助業務に従事せず,補助業務担当の社員は基幹業務に従事しないといった雇用管理を実施することは不可能である。 (2) 被告主張の労働契約の不存在原告らが,定型的・事務的補助業務を担当する者として業務や職種を合意して被告と労働契約を締結した事実はない。原告らは,採用時にそのような説明も受けていないし,そのような労働契約を締結する意思もなかった。また,被告の従前の就業規則等の規定上も,基幹的業務と定型的・事務的補 告と労働契約を締結した事実はない。原告らは,採用時にそのような説明も受けていないし,そのような労働契約を締結する意思もなかった。また,被告の従前の就業規則等の規定上も,基幹的業務と定型的・事務的補助業務を定めた規定やこれを遂行する社員を定めた規定はない。 仮に被告が女性を定型的・事務的補助業務担当として採用し,その後も女性は採用時の勤務条件,担当業務の契約内容で拘束されるという人事制度であれば,そのこと自体性差別であり,憲法13条,14条,労基法3条,4条,民法1条ノ2,90条に違反する。 (3) 原告らの業務の内容原告らは,営業部門又は職能部門(運輸・総務)で業務に従事してきたが,例えば営業部門では取引条件の確定や契約書の作成,取引の履行に関する業務,決算に関連する業務を担当し,運輸部門では男性と同様の職務を分担し,総務部門では被告の各部署に対する指導的・管理的役割を発揮するなど,いずれも責任を持ったもので,原告らの従事してきた業務は,到底定型的・補助的業務とはいえない。 (4) 転勤について原告らは,被告との労働契約の締結時に勤務地限定の合意をしたことはないし,被告には転勤のない男性も多くいたこと,被告においては,転勤のない社員も担当業務に従事する中で知識・経験を積み,能力を活かしてきており,転勤の有無と知識・経験,能力は無関係であることからして,転勤の有無は男女賃金差別の合理的な理由とはならない。 (被告) 1 仕事の違いによる社員層の区分(1) 職掌別人事制度導入以前ア使用者には契約締結の自由があるから,いかなる者をいかなる条件で雇用するかは,法律その他による特別の制約がない限り,原則として自由に決定できる。 被告においては,旧兼松,江商,合併後の被告を通じ,原告らの入社当時,商社機能,商社業務の効率的遂行の なる条件で雇用するかは,法律その他による特別の制約がない限り,原則として自由に決定できる。 被告においては,旧兼松,江商,合併後の被告を通じ,原告らの入社当時,商社機能,商社業務の効率的遂行の必要から,会社の業務を分担する社員層として,既に,「商社本来の基幹業務を推進し,かつ将来そのように期待されている社員層」と,「定型的・事務的補助業務を担当する社員層」,運転者や保安・賄い等「特定業務を担当する社員層」とが分化しており,この違いに基づき,採用,教育研修,転勤の有無,業務執行責任の有無等の各面において異なる取扱い,処遇をしていた。例えば,募集・選考・採用に関し,基幹業務担当社員層については,自由応募制で,勤務地の限定なく国内外の移動を可とする条件で,最終の選考として役員面接を経て採用し,定型的・事務的補助業務担当社員層については,採用実績のある高校・短大・専門学校を中心とする学校推薦制で,原則として住居の移転を伴う異動のない職種であることを明示し,人事部長もしくは事業所長の面接を最終選考とする選抜方法で採用していた。入社後の研修については,上記の担当社員層の違いに応じ,研修を担当する業務に資する内容で別個に行ってきたし,基幹業務担当社員層については,勤務地の限定のない条件で採用したから入社後国内外に異動があるの対し,定型的・事務的補助業務担当社員層は,店限採用であって原則として住居の移転を伴う異動がない条件で採用したから,転勤はない。さらに,基幹業務担当社員層は,業務を独自の判断で遂行する権限が与えられるのと引き換えに,業務の遂行の結果が自らの処遇に反映される形で結果を引き受ける責任を負うのに対し,定型的・事務的補助業務担当社員層は,仕事の量・質を評価要素としての考課を受けるのであって,業務計画の達成の度合いとは無関係であり, 自らの処遇に反映される形で結果を引き受ける責任を負うのに対し,定型的・事務的補助業務担当社員層は,仕事の量・質を評価要素としての考課を受けるのであって,業務計画の達成の度合いとは無関係であり,その意味で業務計画遂行の責任を負っていない。 商社における基幹業務とは,商社の業務遂行の過程における商社機能そのものに関する業務であり,具体的には,営業部門でいえば,新規事業・新規取引の創出,新規顧客の開拓,顧客との取引条件・取引スキーム等の折衝・交渉,その取引条件等の可否の判断・決定等の業務であり,職能部門では,会社の事業活動を法律,会計,経理,労務等の専門知識をもってバックアップする業務である。定型的・事務的補助業務とは,例えば,ルーティン化された事務的庶務的業務,データ入力・処理,伝票処理,連絡・取次業務等の定型的ないし基幹業務担当者の指示の下に行う秘書的・補助的業務であり,基幹業務とは自ずと分かれている。 原告らは,いずれも定型的・事務的補助業務担当者として採用され,基幹業務担当者を補佐する立場で定型的・事務的補助業務に従事してきたもので,原告らが採用時の勤務条件,担当業務等の契約内容に拘束されるのは当然である。 旧兼松の就業規則にいう「見習社員」及び江商の就業規則にいう「社員」は前者の社員層のことであり,旧兼松及び江商の就業規則にいう「準社員」は後者の社員層のことであって,旧兼松において準社員が社員になったからといって,社員層に変更はない。合併後の被告の就業規則においても,この社員層の違いにより「見習社員」と「準社員」を区別しており,準社員が社員になっても,担当業務に変更はない。 イ給与体系についても,旧兼松,江商,合併後の被告を通じ,仕事の違いに基づく社員層の区分ごとに別々の体系となっていた。 (2) 職掌別人事制度の導入 準社員が社員になっても,担当業務に変更はない。 イ給与体系についても,旧兼松,江商,合併後の被告を通じ,仕事の違いに基づく社員層の区分ごとに別々の体系となっていた。 (2) 職掌別人事制度の導入職掌別人事制度は,雇用機会均等法の施行を控え,被告において上記(1)で述べた社員層が存在し,担当業務の違いによる雇用管理が行われていた趣旨をより徹底,明確化するために,移行措置の点を含め,労使間の合意を経て導入されたもので,従来からの仕事に違いに基づく社員層の区分を反映した合理的な措置である。 職掌別人事制度は,その内容,職掌への編入,格付,賃金体系及び各賃金テーブルの金額のいずれもが,労働協約である昭和59年協定に定められており,労働協約の規範的効力により組合員である原告らの労働条件もこれにより決定される。 また,被告は,職掌別人事制度の導入に伴う就業規則の改定についても労働組合の同意を得ている。 (3) 新人事制度の導入新人事制度は,従来からの仕事の違いに基づく職掌別人事制度を前提とし,創造的活動により高い価値を置いた人事的処遇制度,職務の価値と発揮能力に見合う処遇(実力主義の徹底),国際社会に通用するシステムを構築するために,労使間の合意を経て導入されたもので,その内容も合理性がある。新人事制度の下で,原告らが事務職としての処遇を受けることに何ら違法はない。 新人事制度は,すべて労働協約である平成9年協定等によって実施されたから,労働協約の規範的効力により組合員である原告らにもその効力が及ぶ。また,被告は,新人事制度の導入に伴う就業規則の改定についても労働組合の同意を得ている。 2 まとめ以上のとおり,原告らは,定型的・事務的補助業務担当者として,また,勤務地が限定された者として採用され,その業務に転勤のないまま従事し 規則の改定についても労働組合の同意を得ている。 2 まとめ以上のとおり,原告らは,定型的・事務的補助業務担当者として,また,勤務地が限定された者として採用され,その業務に転勤のないまま従事してきた者であり,事務職である原告らと一般職である社員との間に賃金の格差があるからといって,それは従事する業務の違いや転勤の有無の違いによるもので,男性労働者と女性労働者との賃金格差ではないし,その格差は性別を理由とするものではない。 第3 争点3(専任職賃金カットの違法性)について(原告A) 1 専任職賃金カットを事務職に適用することの不合理性(1) 平成元年覚書において,定年延長と引き替えに専任職賃金カットがされたのは,被告の説明では,定年延長の阻害要因として,①中高年層の増大による人事の低下など組織の活性化を阻害する,②人件費が増大する,の2点があるためである。しかし,原告Aをはじめとする事務職(全員女性)は役職に就くことはなく,中高年層の増大は管理職,一般職(ほとんど男性)に生じる問題である。また,事務職の賃金自体低額である一方で高賃金の参与については賃金カットされていない。したがって,これら①,②の理由は事務職に当てはまらない。 (2) 原告Aの仕事の内容,労働時間は,専任職になる前後を通じて変わっておらず,被告は,上記(1)の男性中高年管理職用の人件費削減策を,女性の賃金をさらに抑制する目的で合理的根拠のないのに平成元年覚書を締結し,就業規則を改定して,低賃金の事務職に適用したもので,これは,年齢及び性による差別であり,同一価値労働同一賃金を規定した労基法4条に違反するとともに高年齢者雇用安定法の趣旨及び国際的公序(ILO勧告162号「高年齢労働者に対する勧告」,ILO条約158号「使用者の発意による雇用の終了に関する条約」及び同16 規定した労基法4条に違反するとともに高年齢者雇用安定法の趣旨及び国際的公序(ILO勧告162号「高年齢労働者に対する勧告」,ILO条約158号「使用者の発意による雇用の終了に関する条約」及び同166号勧告等),憲法14条,労基法3条,4条の趣旨に反し,民法90条の公序に反する。 2 原告Aの不利益(1) 賃金上の不利益原告Aは,平成元年覚書を適用され,これを受けた就業規則の改定により専任職となったことにより,賃金上専任職制度導入前に比べ,多大の不利益を被った。従来の57歳定年であれば,55歳から57歳まで3年間勤務した場合の原告Aの賃金は合計約1846万円であるが,定年延長及び専任職制度導入により55歳から60歳まで5年間勤務した場合の賃金は合計約2462万円である。結局,原告Aは,3年間多く働いて従来の1年分の年収程度約616万円を得るにすぎず,2年間はいわゆるただ働きである。 (2) 生活上,精神上の不利益また,原告Aは,専任職となった当時,二人目の子供が高校入学時であり,生活上の出費が大きくなる時期であって,貯金を取り崩すなどの生活上の不利益を被ったし,専任職賃金カットにより,自己の従事した仕事に対する誇り,人格を傷つけられ,精神的不利益を被った。 3 平成元年覚書が女性組合員を拘束しない特段の事情上記1のとおり,専任職賃金カットを女性に行う必要は皆無であり,女性組合員がこれに反対していたのに,労使は,女性に対する賃金カットの必要性,合理性について検討することなく,平成元年覚書を締結した。 その過程において,原告ら女性組合員の述べた意見はことごとく無視された上,平成元年覚書の締結を採決した兼松労働組合の代議員総会は,代議員の選出が反対意見の持ち主を排除する形で進められ,代議員総会における女性組合員の比率が少なか 合員の述べた意見はことごとく無視された上,平成元年覚書の締結を採決した兼松労働組合の代議員総会は,代議員の選出が反対意見の持ち主を排除する形で進められ,代議員総会における女性組合員の比率が少なかったこともあってこれを可決した。 若手男性社員にポストを保障し,配分を厚くするという専任職制度は,他方で,原告ら女性社員や中高年管理職男性社員の賃金に重大な不利益を与えるものであるのに,組合の多数及び役員を占める若手男性社員は,組合内少数者である女性の立場を一貫して無視して被告との間で平成元年覚書を妥結したもので,これは,不利益を被る女性組合員との関係では,労働組合の交渉権及び妥結権を濫用したものである。 4 就業規則の不利益変更の不合理性平成元年覚書を受けて被告が改定した就業規則,給与規定は,専任職賃金カット等を含むものであり,これにより原告Aは上記2の不利益を被った。この就業規則の不利益変更は,上記1(2)と同様,労基法4条,民法90条に反し違法,無効であるから,原告Aには効力が及ばない。 5 まとめ以上のとおり,平成元年覚書及びこれを受けて改定された就業規則は原告Aら女性には適用されないから,原告Aは,55歳に到達した後も退職時まで一般職標準本俸表の適用による賃金の支払を受ける権利を有する。 (被告)高年齢者雇用安定法の施行が平成元年10月に予定されたことから,被告では60歳定年制の導入を行う必要が生じたが,当時被告では,60歳定年制に移行した場合には,更なる高齢化,人件費の増大,ポスト不足等の組織の維持・活性化の上での支障が予測されており,定年延長に際しての人事制度上の工夫が必要であった。 平成元年覚書は,被告の置かれた環境の中で,社会的要請である60歳定年延長を果たす制度として,十分に合理的な内容であり,不当な不 測されており,定年延長に際しての人事制度上の工夫が必要であった。 平成元年覚書は,被告の置かれた環境の中で,社会的要請である60歳定年延長を果たす制度として,十分に合理的な内容であり,不当な不利益を従業員に課すものではないし,そうであるからこそ,労働組合も受け入れたものである。労働組合内部でも意見聴取,アンケートの実施,情報提供等を行い,職場討議を経て平成元年覚書を代議員総会で可決したものであり,民主的な手続による意見集約の結果であって,その成立過程には何ら瑕疵はない。したがって,労働協約である平成元年覚書の規範的効力は組合員である原告Aらに及ぶものであり,これを受けて改定された就業規則の変更も,被告の従業員の多数を代表する労働組合との真剣な,また公正な集団的利益代表の下に,交渉・合意を経て行われているから,合理的なものである。 第4 争点4(原告B,同C,同Dに対する付加給・調整給カットの違法性)について(原告B,同C,同D) 1 55歳達齢による付加給・調整給カットの不利益性・違法性(1) 不利益性原告Bは,平成10年10月分以降の賃金について,同Cは平成14年3月分以降の賃金について,同Dは同年5月分以降の賃金について,55歳に到達したことを理由に付加給・調整給カットを受け,従来以上に生計の維持に困難を来した。 (2) 違法性55歳達齢による付加給・調整給カットは,従事する業務の内容に変わりがないことからして,年齢による差別的取扱いである。 また,被告は,新人事制度導入とともに,事務職である女性については35歳を過ぎると昇給打ち止めとして賃金を低額に抑制し,当時支給されていた賃金との差額分を不利益回避と称して調整給等として支給していたのに,これを55歳達齢とともに不支給とした。そのため,カット(不支給)後の金額 と昇給打ち止めとして賃金を低額に抑制し,当時支給されていた賃金との差額分を不利益回避と称して調整給等として支給していたのに,これを55歳達齢とともに不支給とした。そのため,カット(不支給)後の金額は,旧専任職制度による賃金カットと同程度の金額となった。これは,被告が,女性の賃金は高すぎるとの判断の下に,不支給により女性の賃金が自立して生活できないほどに低額に抑制されることを認容しつつ,それでかまわないとして,新人事制度に基づく事務職の賃金テーブルを55歳に到達したときには従来の女性専任職の水準になるように組み直したもので,女性に対する差別である。 以上のとおり,55歳達齢による付加給・調整給カットは,年齢及び性に基づく差別であり,労基法4条に違反し,民法90条の公序に反し違法,無効である。 2 労働協約の効力を否定する特別な事情55歳達齢による付加給・調整給カットのうち,調整給不支給については労働組合から組合員に対する事前の説明はされず,平成9年協定締結後に初めて知らされた。これは,事務職である原告らにはだまし討ちに等しい。 新人事制度によって最も不利益を受けるのは事務職である女性であり,最も利益を受けるのは,事務職賃金が抑制される分厚く賃金の配分を受ける20歳後半から30歳代の男性社員であるが,女性社員の圧倒的多数が新人事制度導入に反対しているにもかかわらず,組合の中で圧倒的多数を占めるこれらの男性社員は異議を唱えなかった。 労働組合が,組合員の中で利害の対立が顕著となる制度の提案に対し,全体として提案を受け入れるかどうか意思決定し,不利益を被る集団に対して一律にその結果を及ぼすこと自体不合理であり,許されないし,これを及ぼすためには,少なくとも,意思決定の過程において不利益を受ける集団に対し意見表明ないし意思決定への 定し,不利益を被る集団に対して一律にその結果を及ぼすこと自体不合理であり,許されないし,これを及ぼすためには,少なくとも,意思決定の過程において不利益を受ける集団に対し意見表明ないし意思決定への参加の機会の確保が格段に配慮されていること,当該集団が被ることになる不利益を考慮した交渉がなされていること,妥結された結果に不利益を緩和する代償措置等が盛り込まれていること,以上の条件が充足されていることが必要であり,これを充足しないまま,妥結された労働協約の効力を不利益を被る集団に一律に及ぼすことは,労働組合の労働協約締結権の濫用として,許されない。 上記のとおり,新人事制度は事務職である女性にはだまし打ちのように妥結されていったものであり,平成9年協定は労基法4条に違反する上,組合員が原資に限りのある賃金の配分にあたり,少数者である女性の賃金を抑制することにより一般職・総合職である男性組合員の賃金配分原資を有利に確保することを意図して締結されたものであるし,平成9年協定の妥結に当たっては,上記の条件も充足していないから,同協定は不利益を被る原告Bらに適用されない。 このことは,被告と組合が合意した上記属人給の本給組み入れ(調整手当,資格手当,住宅手当の一部の基本給への組み入れ。第2の2(4)イ(イ))についても同様である。 3 就業規則不利益変更の不合理性付加給・調整給カットを定めた被告の就業規則,給与規定も,平成9年協定と同様に,民法90条の公序に反し違法,無効であるから,不利益を被る原告B,同C,同Dに効力は及ばない。 (被告) 1 55歳達齢による付加給・調整給カットの合理性平成9年協定の締結に当たり,「付加給」については,事務専任職への転換を廃止し60歳までの事務職として一貫管理することを決めた段階で,極く例外的なケ 55歳達齢による付加給・調整給カットの合理性平成9年協定の締結に当たり,「付加給」については,事務専任職への転換を廃止し60歳までの事務職として一貫管理することを決めた段階で,極く例外的なケース(55歳以降も事務2級に留まる場合等)を除けば,新制度下の55歳以上の月例給は旧制度での月例給を上廻るし,また生計費の統計上も50歳以降の低下(少なくとも55歳以降は大幅な低下)が認められることから,55歳以降は不支給とした。 また,「調整給」は,旧制度からの急激な変更を避ける意味で設けたものであり,60歳まで事務2級に留まる例外者を除き,旧制度より処遇が良化する55歳以上の事務職については,制度変更に伴い新たに「調整給」を設ける根拠(調整すべき対象)がないと考え,労働組合との合意の下で,55歳以降は不支給とした。 2 労働組合との交渉平成9年協定の締結に当たっては,被告は,兼松労働組合との間で約1年にわたり団体交渉を行い,この間,兼松労働組合は,新人事制度問題について,文書で組合員に知らせたほか,職場討論会,人事制度セミナー等を開催するなどして,被告提案の組合員に対する浸透を図るとともに,組合としての対案を提出して検討し,最終的に代議員総会で平成9年協約の締結を可決した。 3 まとめ以上のとおり,付加給及び調整給を55歳以降不支給とした平成9年協定の内容は合理的であるし,労働組合との十分な協議を尽くし,組合内部の民主的手続を経て締結されているから,平成9年協定の効力は組合員である原告B及び同C,同Dに及ぶものであり,同協定を受けて改定された就業規則も合理性があるから,同様に及ぶものである。 第5 争点5(差額賃金等の請求権)について(原告ら) 1 職掌別人事制度における一般職・事務職別の賃金体系は,労基法4条の男女同一賃金の定 れた就業規則も合理性があるから,同様に及ぶものである。 第5 争点5(差額賃金等の請求権)について(原告ら) 1 職掌別人事制度における一般職・事務職別の賃金体系は,労基法4条の男女同一賃金の定めに違反する差別賃金体系である。そして,同法13条は,同法に定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は,その部分を無効とし,同法で定める基準によるとしているから,原告らは,性による差別がなければ,一般職標準本俸表の適用を受け,一般職主事補ないし一般職一般1級として処遇されていたはずであった。したがって,原告らは,被告給与規定の定める一般職標準本俸表の適用を受ける権利を有する。 平成9年4月導入された新人事制度のもとでは,性による差別がなければ原告らが支給を受ける基本給額は,少なくともそれまでの一般職の基本給額(本俸テーブルに基づく本俸+調整手当(本俸の15パーセント)+資格手当+住宅手当最低支給額)を下回ることはないから,原告らは,この支給を受ける権利を有する。 また,原告Aに対する専任職賃金カットは,労基法4条に違反し無効であるから,原告Aは,この専任職賃金カットがないものとしての賃金の支給を受ける権利を有する。 さらに,原告B,同C,同Dに対する調整給カットも,同様に労基法4条に違反し無効であるから,同原告らは,調整給カットがないものとしての賃金の支給を受ける権利を有する。 2 よって,原告らは,被告に対し,労基法13条に基づき,原告らと同年齢の男性一般職の賃金額及びこれをもとにして算出される一時金額と,原告らが現実に受領した賃金額及び一時金との差額賃金(平成14年7月分までは別表1の「請求金額一覧表」の「賃金差額」欄の「合計」欄の金額。その詳細は,別表1の各原告別の「賃金差額一覧表」のとおり。平成14年8月分からは別表2の各原告 時金との差額賃金(平成14年7月分までは別表1の「請求金額一覧表」の「賃金差額」欄の「合計」欄の金額。その詳細は,別表1の各原告別の「賃金差額一覧表」のとおり。平成14年8月分からは別表2の各原告別の「賃金差額表(1)ないし(4)」の「月例賃金」欄及び「一時金」欄のとおり。)とこれに対する支払日の後である各起算日(平成7年7月分までは同月20日,平成7年8月分から平成9年3月分までは同月20日(ただし,原告Aは退職日である同年1月31日,原告Fは退職日の後である平成8年7月31日),平成9年4月分から平成11年2月分までは同月20日,平成11年3月分から平成13年3月分までは同月20日,平成13年4月分から平成14年7月分までは同月20日,平成14年8月分から平成15年7月分までは同月20日)から各支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 また,原告A及び同Fは,同原告らが一般職標準本俸表の適用を受ける地位にあるとした場合に支払われるべき同原告らと同年齢の者(男性)の退職金額と,同原告らが現実に受領した退職金額との差額退職金(別表1の「請求金額一覧表」の「退職金差額」欄の金額。その詳細は,別表1の各原告別の「退職金差額表」のとおり。)と前同様の遅延損害金の支払(起算日は,原告Aは平成9年1月31日,原告Fは平成8年7月31日)を併せて求める。 (原告B,同C,同D) 1 原告B,同C,同Dに対する55歳達齢による付加給カットは,年齢及び性による差別であって違法であるから,同原告らは,付加給カットがされないものとしての賃金の支払を受ける権利を有する。 2 よって,原告B,同C,同Dは,付加給カット額(平成14年7月分までは別表1の「請求金額一覧表」の「付加給カット額」欄の金額。その詳細は,別表1の各原告別の「付 賃金の支払を受ける権利を有する。 2 よって,原告B,同C,同Dは,付加給カット額(平成14年7月分までは別表1の「請求金額一覧表」の「付加給カット額」欄の金額。その詳細は,別表1の各原告別の「付加給カット額表」のとおり。平成14年8月分からは別表2の各原告の「賃金差額表(1)ないし(4)」の「付加給カット額」欄のとおり。)と前同様の遅延損害金の支払(起算日は,付加給カットがされた期間に応じ,上記(原告ら)2と同じ。ただし,原告C,同Dについての,平成12年4月分から平成13年3月分までの付加給カット額に対する遅延損害金の支払を除く。)を併せて求める。 (被告)争う。 第6 争点6(差額賃金等相当損害金の請求権)について(原告ら) 1 不法行為に基づく損害賠償請求被告のした合理性のない性による差別的配置は,憲法14条,労基法3条,4条の趣旨に基づき,民法90条の公序に反するものとして違法・無効であり,民法709条の不法行為を構成する。原告らは,女性であることを理由として賃金において不利益な取扱を受けることなく,同年齢の男性一般職と同額の賃金の支給を受ける権利を有するところ,被告は,原告らが女性であることを理由に,故意又は過失により,原告らには事務職標準本俸表を適用し,また,専任職賃金カット(原告Aに対し),付加給・調整給カット(原告B,同C,同Dに対し)をしてその権利を侵害した。 よって,原告らは,被告に対し,民法709条に基づき,その経済的損失(差額賃金等相当額)について上記第5の原告ら主張の金員と同額の損害賠償金及び遅延損害金の支払を求める。 2 債務不履行に基づく損害賠償請求被告には,原告らに対し,原告らが女性であるか男性であるかにかかわりなく,差別なく公正に取り扱うべき労働契約上の義務がある。にもかかわらず,被告は を求める。 2 債務不履行に基づく損害賠償請求被告には,原告らに対し,原告らが女性であるか男性であるかにかかわりなく,差別なく公正に取り扱うべき労働契約上の義務がある。にもかかわらず,被告は,女性の賃金を低額に抑制することを目的として職掌別人事制度及び新人事制度を導入し,原告らを女性であることを理田として一律に事務職ないし事務職掌とし,また,専任職賃金カット(原告Aに対し),付加給・調整給カット(原告B,同C,同Dに対し)をして,この労働契約上の義務に違反した。 よって,原告らは,民法415条に基づき,これによる損害(差額賃金等相当額)について,上記第5の原告ら主張の金員と同額の損害賠償金及び遅延損害金の支払を求める。 (被告)争う。 第7 争点7(慰謝料,弁護士費用の請求)について(原告ら) 1 慰謝料請求について原告らは,被告に採用されて以降今日に至るまで,重大な差別的賃金格差を強いられてきた。この賃金格差は,採用以降今日に至るまでの過去の分を合計しても莫大な金額に上る上,退職金や退職後に受給する年金にまで反映する。このような差別による精神的苦痛は,差額賃金等が支払われても到底癒されるものではなく,これを慰謝料として金銭に換算すれば,少なくとも,原告ら各人について,平成4年4月から平成7年7月までの差額賃金とほぼ同額と評価できる。 よって,原告らは,民法709条又は415条に基づき,この慰謝料とこれに対する支払期日の後である平成7年7月20日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 2 弁護士費用の請求について原告らは,原告ら訴訟代理人らに対し,本件訴訟の追行につき,各人の請求額の1割に相当する弁護士費用の支払をする旨約した。その額は,平成4年4月から平成7年7月までの差額賃金ない 用の請求について原告らは,原告ら訴訟代理人らに対し,本件訴訟の追行につき,各人の請求額の1割に相当する弁護士費用の支払をする旨約した。その額は,平成4年4月から平成7年7月までの差額賃金ないし損害金と上記1の慰謝料の合計金額の1割を下らない。 よって,原告らは,民法709条又は415条に基づき,この弁護士費用と前同様の遅延損害金の支払を求める。 (被告)争う。 第4章争点に対する判断第1 争点1(確認の利益)について被告は,原告B,同C,同D,同Eの被告の給与規定に基づく一般職標準本俸表の適用を受ける雇用関係上の地位確認請求について,確認の利益を争っている。しかし,仮に同原告らの主張のとおり,被告において,原告ら事務職に適用される賃金体系と一般職に適用される賃金体系に違法な差別があり,この差別がなければ原告らに一般職の賃金体系が適用されるものであるとすれば,被告に在職中の原告B,同C,同D,同Eは,被告の給与規定に基づく一般職標準本俸表の適用を受ける雇用関係上の地位にあるといえることになる。そして,この同原告らの地位は,現在の地位であるし,被告においては,各年度ごとの給与年齢に応じた本俸額は,被告と組合との労使交渉を介して決定されるから(第2章第2の2(1)ウ),同原告らが将来の差額請求を現時点で請求することは不可能であるといえるし,被告が同原告らのこの地位を争っていることからすれば,同原告らの地位に現存する不安定を除去するためには,その地位の確認をすることが有効・適切であると認められる。したがって,同原告らのこの地位確認請求には確認の利益があるというべきである。 第2 争点2(差別の有無及びその違法性)について 1 男女間の賃金格差の有無(1) 被告は,原告らの請求期間において,原告ら事務職と一般職とでは,適用す 請求には確認の利益があるというべきである。 第2 争点2(差別の有無及びその違法性)について 1 男女間の賃金格差の有無(1) 被告は,原告らの請求期間において,原告ら事務職と一般職とでは,適用する賃金体系を異にしている。その経緯は,以下のとおりである(第2章第2の1(2),2(1)ないし(4))。 ア旧兼松では,見習社員を経て社員となる従業員の賃金体系と準社員を経て社員となる従業員の賃金体系とは異なっており,前者の賃金体系の適用を受けるのはほとんど男性であり,後者の賃金体系の適用を受けるのはすべて女性であった。原告A,同Dは旧兼松に入社し,後者の賃金体系の適用を受けていたものである。 江商では,社員の賃金体系と準社員の賃金体系とは異なっており,前者の賃金体系の適用を受けるのはすべて男性であり,後者の賃金体系の適用を受けるのはすべて女性であった。原告B,同Cは江商に入社し,後者の賃金体系の適用を受けていたものである。 旧兼松と江商が合併した後の被告では,見習社員及び見習社員から社員に昇格した従業員の賃金体系と準社員及び準社員から社員に資格変更された従業員の賃金体系とは異なっており,前者であるA体系の賃金体系の適用を受けるのはほとんど男性であり,後者であるB体系の賃金体系の適用を受けるのはすべて女性であった。原告A,同D,同B,同Cは,旧兼松と江商の合併後はB体系の適用を受け,また,合併後の被告に入社した原告E,同FもB体系の適用を受けた。 イ被告は,昭和60年1月職掌別人事制度を導入し,A体系適用の主事補以下の者を一般職に,B体系適用の者を事務職に編入し,適用する標準本俸表も職掌ごとに異にした。 ウ被告は,平成9年4月新人事制度を導入し,職掌を再編するとともに各職掌ごとに職務等級を設定し,従来の一般職のうち,主事補は総合職C の者を事務職に編入し,適用する標準本俸表も職掌ごとに異にした。 ウ被告は,平成9年4月新人事制度を導入し,職掌を再編するとともに各職掌ごとに職務等級を設定し,従来の一般職のうち,主事補は総合職C1級に,一般1級は総合職Cに,一般2級は一般職1級に,入社2年目以上の一般3級は一般職2級に,入社1年目の一般3級は一般職3級に,従来の事務職のうち,事務主任は事務職特級に,事務1級は事務職1級に,入社2年目以上の事務3級及び事務2級は事務職2級に,入社1年目の事務3級は事務職3級に,それぞれ格付けし,職務等級ごとに基本給テーブルを異にした。新人事制度導入以前事務1級であった原告B,同C,同D,同Eは新人事制度の導入により事務職1級に格付けされ,その職務等級の基本給テーブルの適用を受けている。 (2) 新人事制度導入以前の原告ら事務職標準本俸表の適用を受ける事務職社員と一般職標準本俸表の適用を受ける一般職社員との賃金等の格差は,年齢で見れば,概ね別紙4の旧事務職と旧一般職のグラフのとおりであり,新人事制度導入後の各等級ごとの基本給の比較は,概ね別紙4の新事務各級と新一般各級のグラフのとおりであって(甲83,原告B(第1回)),事務職社員と一般職社員との間に相当な格差があると認めることができる。 (3) 以上(1),(2)でみたとおり,原告らの請求期間において,被告においては,ほとんどすべての男性従業員に適用される賃金体系(一般職標準本俸表ないし一般職の基本テーブル)とすべて女子である従業員に適用される賃金体系(事務職標準本俸表ないし事務職の基本テーブル)とは異なっており,両者の間には相当な格差があるから,男性従業員と女性従業員との間では,賃金について格差があるということができる。 2 格差が生じた理由について(1) 検討方針原告らは,この )とは異なっており,両者の間には相当な格差があるから,男性従業員と女性従業員との間では,賃金について格差があるということができる。 2 格差が生じた理由について(1) 検討方針原告らは,この格差は女性差別によるものであると主張するのに対し,被告は,従事する業務の差異によるものであると主張するところ,上記1のように,同年齢の男女の従業員間において賃金について相当な格差がある場合には,その格差が生じたことについて合理的な理由が認められない限り,性の違いによって生じたものと推認することができると解されるから,以下,まずこの格差の生じた理由について検討する。 (2) 事実の認定後掲証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ア被告の業務について(乙28,43,証人I)被告は,大手総合商社の一つであり,売上高が巨額である(平成9年3月の売上高は2兆09000億円であった。),取扱い商品やサービスが繊維,機械,金属,化学品,エネルギー,建設,木材等多種多様である,取引形態が国内取引,輸出入取引,三国間取引など多種多様である,取引機能のほか,事業投資,金融・情報機能,物流機能,プロジェクト組成,リスク負担等多様の機能を営んでいる,グローバルネットワークを有する(平成9年当時は世界58国に143か所のビジネス拠点を有していた。)といった特徴を持っている。 この,総合商社としての基本的特徴は,旧兼松,江商時代も同様であった。 イ従業員の募集・選考・採用について(甲11,12,16,64,77,101,104,122,134,乙8,16ないし18,26,43,48,56,57,69,88,98,99ないし107,112,125,証人I,原告A,同D,同B,同C,同E,同F)(ア) 旧兼松では,従業員の募集・選考・採用形態を,見 6ないし18,26,43,48,56,57,69,88,98,99ないし107,112,125,証人I,原告A,同D,同B,同C,同E,同F)(ア) 旧兼松では,従業員の募集・選考・採用形態を,見習社員と準社員とでは異にしていた。見習社員については,4年制大学卒業見込みの者を対象に自由応募形式で募集し,数回の面接,最終的には役員面接を経た上,その採否を常務席で決定した。準社員については,高等学校,専門学校,女子短期大学及び女子大学のうち過去に採用実績のある学校等に推薦を求める学校推薦方式をとり,推薦された者について営業所長が面接し,営業所長及び本店総務部長が採否を決定した。 原告A,同Dは,このようにして旧兼松に準社員として採用されたが,同原告らは,採用当時,旧兼松において見習社員,準社員の区別があることは知らなかったし,これを知らされることもなかった。 (イ) 江商では,男女とも見習生として採用したが,社員となる者については人事部が採用責任者として全国で採用活動を行い,自由応募制と学校推薦を併用して募集,採用した。準社員となる者については,指定校制度をとり,江商が指定する学校が推薦する学生に試験,面接等を行った上,担当業務が事務職であること,転勤はないこと,初任給等の条件を伝え,各支店長の権限で採用していた。 江商では,高卒者について,社員となる者の筆記試験問題と準社員となる者の筆記試験問題とでは,問題を異にしていた。 原告B,同Cは,このようにして江商に準社員として採用されたが,同原告らは,採用当時,江商において社員,準社員の区別があることは知らなかったし,これを知らされることもなかった。 (ウ)a 合併後の被告の募集,採用方法は,昭和60年の職掌別人事制度導入以前は,旧兼松と基本的に同様であった。 原告E,同Fが採 別があることは知らなかったし,これを知らされることもなかった。 (ウ)a 合併後の被告の募集,採用方法は,昭和60年の職掌別人事制度導入以前は,旧兼松と基本的に同様であった。 原告E,同Fが採用された昭和55年ないし昭和57年当時,被告は,見習社員については,単年度の人員計画並びに中長期的展望に立った人員計画に基づきその年の採用人員案を人事部で策定して経営会議で決定した上,全国の4年生大学卒業予定者に対し,就職雑誌に企業広告を掲載したり,会社が作成した会社案内をダイレクトメールで送付したりして会社のPRを行い,また,採用実績のある4年生大学には求人票を送付して,自由応募形式で応募を受け付け,応募してきた学生に対し,英語の筆記試験,面接,適性検査などを経て最終的に役員面接試験を経て採否を決定したが,見習社員として採用されたのはすべて男性であった。 準社員については,単年度の人員計画に基づき退職による欠員を補充するために必要とされる人数を予測し,その年度の必要人員との差を採用するため採用人員案を策定して経営会議で決定した上,採用する店ごとにその地域で採用実績のある学校に,職種を「一般事務」,応募条件を「親元通勤であること」などとする求人票を送付し,当該学校から推薦があった者について,会社説明会,面接,一般常識の筆記試験,適性試験を経て,最終的には人事部長から権限委譲を受けた東京本社人事部長,大阪支社人事部長及び名古屋支社人事総務部長が面接して採否を決定し,役員面接は行われなかった。準社員として採用されたのはすべて女性であった。なお,被告は,準社員向けの会社案内の内容も,社員向けのものとは異にしていた。 b 被告は,採用内定者に対し採用内定請書の提出を求めたが,同請書には,条件の一つとして,準社員の場合は,「貴社の指示に従い,所定の期 準社員向けの会社案内の内容も,社員向けのものとは異にしていた。 b 被告は,採用内定者に対し採用内定請書の提出を求めたが,同請書には,条件の一つとして,準社員の場合は,「貴社の指示に従い,所定の期日に出社いたします」とされていたが,見習社員の場合は,「貴社の指示に従い,所定の期日及び任地に出社致します」とされていた。 被告は,見習社員として採用する者と準社員として採用する者について,内定式,入社前ガイダンスを両者の別に行い,入社式,導入研修の期間,内容も別にして行い(ただし,見習社員として採用した者と東京本社配属の準社員との入社式は東京本社で合同で行われ,東京本社での入社式当日の研修は,会社の歴史等全従業員に必要な部分は合同で行われた。),配属後の研修も,全従業員に共通して必要なEDPS研修(帳簿システムに関する研修)のほかは,別内容,別日程で行った。 原告E,同Fは,このようにして被告に準社員として採用されたが,同原告らは,採用当時,被告において社員,準社員の区別があることは知らなかったし,これを知らされることもなかった。 (エ) 昭和60年の職掌別人事制度導入後,被告は,一般職については,業務内容や勤務地に限定のないこと等の条件を明示した募集広告又は求人票による公募の形式で募集した。他方,事務職については,採用の実績のある短期大学・高等学校・専門学校等の就職窓口を通じて募集し,学校推薦による応募者についてのみ採用試験を実施していたが,その際には,人事部担当者が,事務職の募集であること,職種が一般事務であること,親元通勤であること,業務の概要,勤務地が一定場所であり変更がないこと等の条件を明示した。 その後被告は,事務職について,一般職と同様に公募の形式をとるようになったが,その際にも,事務職の募集であること,業務の と,業務の概要,勤務地が一定場所であり変更がないこと等の条件を明示した。 その後被告は,事務職について,一般職と同様に公募の形式をとるようになったが,その際にも,事務職の募集であること,業務の概要等の条件を明示していた。 ウ統計調査(甲38,乙212,213,216,217)労働省の賃金構造基本統計調査によれば,昭和40年当時女子の平均勤続年数は10年未満の者が91.1パーセントであったが,昭和50年は82.5パーセント,昭和57年は79パーセントであった。また,被告の女子平均勤続年数は,昭和50年は5.4年であったが,昭和55年以降8年を超えている。 総理府の「婦人に関する意識調査」によれば,「子供ができてもずっと職業を続ける」という考えは女子で12パーセントに止まり,昭和50年の「男女平等に関する世論調査」では,「結婚や出産を機会に勤めを辞めることはよくない」と答えたのは女子で13パーセントに止まるが,既に働きに出ている既婚婦人の勤務継続意思はかなり強く,主婦の6ないし7割が「今の仕事をずっと続けたい」と答えている。 女子の平均勤続年数は,昭和35年(1960年)に4.0年であったのが,昭和55年(1980年)には6.1年,平成7年(1995年)には7.9年となっている。 勤続年数20年以上の女性労働者は,昭和40年で1.1パーセント,昭和55年で3.4パーセントであったが,その後昭和56年は3.8パーセント,昭和57年は4.1パーセント,昭和58年は4.2パーセント,昭和59年は4.6パーセント,昭和60年は5.5パーセントと推移している。 エ原告らが入社後に従事した業務及び原告らが在籍した部署での一般職が従事した業務等(ア) 原告A(甲14,15,64,65,91ないし93,173,174,198,2 ーセントと推移している。 エ原告らが入社後に従事した業務及び原告らが在籍した部署での一般職が従事した業務等(ア) 原告A(甲14,15,64,65,91ないし93,173,174,198,207,乙10,60ないし62,67,72,84ないし87,195,証人J,原告A本人)a 原告Aは,営業部門である繊維部織物課,同部官需課では,官需関係の業務に従事し,契約書や見積書,請求書の作成,集金等を行った。 繊維部織物課では,装丁材料の仕入れ,納品の業務に従事し,仕入れ材料の選定,織物業者からの仕入れ価格の決定,装丁業者への納入価格の決定をしたことがあった。 b その後職能部門である運輸部(同部は,輸出入及び国内取引における物品の輸送,保管,荷役,受渡等に関わる業務全般を行う部である。)に異動し,繊維部門のデリバリーの仕事を担当する内繊運輸課で契約後の履行に関する業務に従事し,国内運輸課,輸入第2課,輸入課でも,同様の業務に従事した。このうち,輸入第2課では,主に商品の通関手続関係の業務に従事し,通関業務を確実にするために,通関にトラブルがあると現場に行ったり,サーベイヤー(海事検定協会の検査員)に連絡するなどし,荷捌き(ヤードでの滞留をなるべく少なくして納入先に迅速に商品を届けること)関係では,コストがかさまないよう,シャーシー,トラック等の手配に努めていた。 c その後原告Aは,運輸部物流管理課に異動した。同課は,各営業部が行う国内物流実務の適正化を目的とし,その管理機能を担う課であり,以下のような業務を行っている。以下の①ないし⑥は国内物流管理業務であり,⑦ないし⑫は各部署に対する支援,協力業務であり,⑬は物流管理課としての収益業務である。 ① 在庫商品,預け品の在庫実査業務社内のストックリストに基づき,在庫の額,滞留期 内物流管理業務であり,⑦ないし⑫は各部署に対する支援,協力業務であり,⑬は物流管理課としての収益業務である。 ① 在庫商品,預け品の在庫実査業務社内のストックリストに基づき,在庫の額,滞留期間,取引内容,取引先の特殊性等を勘案して実査先及び実査商品を選定し,関係先との事前打ち合わせを経て実査先を訪問し,保管状況,商品の確認,情報収集を行い,実査結果は実査報告書として運輸グループ長宛に報告すると共に,関係営業部課に注意,指導を行い,以後の改善状況を把握する業務。 ② 期末在庫照合業務(半期ごとに実施)半期ごとに期末の在庫商品について,在庫先から入手した在庫証明書と社内のストックリストを照合し,不突合部分については,各営業部課から,その明細・理由・処理の説明を受けて内容を確認した上,公認会計士の監査を受ける業務。 ③ 商品代金支払時の受渡書類の確認(事後)及び特認仕入先(社内の取り決めで一定の受渡書類の受領の省略が認められている支払先)の見直し並びに代金支払時の数量査照各営業部が行っている商品の受領,代金支払が社内ルールに沿っているかを受渡書類により事後的に確認して報告書を作成・配付したり,支払額3000万円以上で,かつ,社内ランクで一定ランク以下の取引先に対する支払についての事前の数量チェックをしたり,商品代金支払時に特認仕入先であることを査照したり,特認仕入先の見直しを各営業本部長に要請したり(問題点がある場合には,審査部の意見を聴取した上再検討を要請することもある。)する業務。 ④ 運輸関係業者並びに荷渡指図書及び入庫確認査照の責任者印の各登録関係の手続業務使用する運輸業者について,格付け,期間に応じ,その登録をしたり,各営業部の荷渡指図書及び入庫確認査照の責任者印の登録(印鑑登録書を受領し,関係部署にコピーを配 責任者印の各登録関係の手続業務使用する運輸業者について,格付け,期間に応じ,その登録をしたり,各営業部の荷渡指図書及び入庫確認査照の責任者印の登録(印鑑登録書を受領し,関係部署にコピーを配付するとともに原本を物流管理課でファイルする。)をする業務。 ⑤ 損害保険関係業務(契約,付保額の適正化の指導,求償手続)動産総合保険,運送保険,賠償責任保険についての,付保等の手続,証券類の保管等を行う業務。 ⑥ 社内の事故防止対策連絡会及び随時検査分科会の事務局業務⑦ 各営業部が行なっている国内物流実務に関する情報提供及び助言⑧ 営業部取扱い商品の運輸部関係会社への紹介,運輸部取引先の商品資材等の需要に関する情報の営業部への提供及び助言⑨ 他の部署(監査室等)による調査への協力⑩ 商品管理,損害保険についての社内実務講習⑪ 運輸部通報の作成⑫ 社員の転勤に伴う国内引越業務⑬ 物品販売平成4年4月1日当時,物流管理課は,管理職1名(課長),一般職1名,事務職1名(原告A)から成り,原告Aは,②については,情報システム部から入手したストックリストにより在庫先一覧表を作成した上,「期末在庫照合に関する依頼書」を添付して各営業部に配付し,各営業部のチェックを受けて回収する,在庫先に対し,運輸部長名の在庫証明書の送付依頼状を発送し,回収についての督促等をする,在庫証明書回収後,情報システム部から入手した期末ストックリストとともに各営業部に配付し,営業部での照合,確認を受けて回収する,在庫証明書とストックリストを照合する,といった業務を担当していた。また,公認会計士の棚卸し実査の際には,具体的な数字の意味について原告Aが説明することもあった。また,③について,商品代金支払時の受渡書類の事後確認について,調査対象とされた部署について書類 た。また,公認会計士の棚卸し実査の際には,具体的な数字の意味について原告Aが説明することもあった。また,③について,商品代金支払時の受渡書類の事後確認について,調査対象とされた部署について書類の有無,数量の不突合等をチェックして報告書を作成し,管理職の確認を得て完成させた報告書を関係先に配付したり,ファイリングを行い,支払額3000万円以上で社内ランクで一定ランク以下の取引先に対する支払について,営業部が持ち込む出金伝票,請求書,納品書,受渡書類の有無,数量の確認を行って運輸部印を押印する,特認仕入先について,各営業本部長の承認書をファイルで確認して支払時の査照を行う,特認仕入先の見直しを要請する各営業本部長宛書面の配付等を行い,④について,その登録手続のほか,年3回の登録運輸業者の見直しの際に,登録台帳から期限満了の近づいた業者の一覧表を作成し,管理職の内容確認を経て各部課に回覧する,⑤について,各種保険料・手数料の計算,支払伝票・社内振替伝票の作成,繊維動産総合保険の更新手続に必要な,「動産総合保険限度額一覧」と「動産総合保険申込書」の作成,各年度中の付保対象取引先あるいは付保限度額の変更についての保険会社への変更通知の提出等を行う,⑥について会合出欠者の確認,昼食の手配,⑦,⑧について,そのアドバイスや紹介等,⑨について調査の対象となる資料の取得,コピー等を行い,⑩について基礎講座を担当し,⑫について運輸業者への支払時の出金伝票の作成,⑬について,案内の送付,注文の集計,発送依頼等の手続を行っていた。 原告Aの3000万円以上の商品代金の納入確認業務は,平成6年3月までは原告Aと管理職が分担して行っていたが,同年4月以降は原告Aが専ら行っていた。原告Aが担当した基礎講座について,そのテキスト,レジュメ,テストの模範解答 商品代金の納入確認業務は,平成6年3月までは原告Aと管理職が分担して行っていたが,同年4月以降は原告Aが専ら行っていた。原告Aが担当した基礎講座について,そのテキスト,レジュメ,テストの模範解答は課長の内容確認を得ることとされていたが,そのことは一般職が担当した講座についても同様であった。引っ越し業務については,一般職が休んだ時には原告Aがこの業務を担当することがあったし,トラックを緊急に手配する必要が生じたときの連絡網にも原告Aを含む課員全員の名前が記載されていた。なお,原告Aは平成2年,通関士の試験に合格した。 他方,物流管理課の一般職は,主に①について,実査先選定後の業務(実査先の選定は主に管理職が行う。)を担当した。実査業務は,社内ルールの遵守,事故防止及び在庫圧縮等の観点から,物流管理課では重要な業務と位置づけられ,運輸業務のみならず,実査,経理関係の知識,経験も要求される。実査件数は年間で50数件に達している。その他,一般職は,②は一時期に大量の書類の照合が必要になることから,事務職とともに担当し,棚卸し実査にも立ち会い,⑦,⑧,⑩,⑫も担当し,⑫については,値引き交渉,トラブル処理なども行った。 管理職は,①の業務や,③の特認仕入先の見直し関係,⑤の付保等の手続,証券類の保管等,⑥の会合出席,⑦ないし⑨の業務,⑩の専門講座の担当,⑪の通報,⑫の値引き交渉,トラブル処理を行うほか,管理職として物流管理課の業務全般を統括し,問題がある時の一般職,事務職に対する指示等を行っている。 (イ) 原告B(甲77,168,197,乙14,16,67,71,72,75,83ないし85,87,97,161,181,182,証人K,同L,原告B(第1,2回))a 採用後配属された紙パルプ部受渡課では,営業課で契約した商品の出荷手配, 16,67,71,72,75,83ないし85,87,97,161,181,182,証人K,同L,原告B(第1,2回))a 採用後配属された紙パルプ部受渡課では,営業課で契約した商品の出荷手配,売上計上,諸掛り計算,請求書作成,支払,台帳作成等の受渡業務に従事した。化繊パルプ課に配置換えとなってからは,国内取引に関する業務として,請求書の作成,売上・仕入計上,出金手配,集金,手形による支払などの業務を行い,輸入業務では,契約後のL/C(信用状)の開設から保険の付保業務,通関手続,乙仲業者への出荷の手配,売り先への見積書・請求書の作成,クレーム処理等を担当した。化繊パルプ課では,家庭紙と化繊用パルプについて,成約以外の業務を担当した。クレーム処理や,運送代金や保険料等の諸掛りをいくらにするかを相手方と交渉することもあった。家庭紙については,商品の仕入れや電話での成約業務もすることがあった。 b 昭和49年4月紙業課勤務となり,以後20数年間同課に勤務した。 紙業課の業務内容は,洋紙及び板紙等の国内取引,輸出取引,輸入取引,3国間取引であった。なお,紙業課には,課全体の年間売上総利益のノルマが課せられていたが,このノルマについては課長が全体的責任を負い,課内において各管理職に配分したノルマを課した。 紙業課は,平成4年4月1日現在,管理職3名(うち1名は課長),一般職1名,事務職4名(うち1名が原告B)から成り,原告Bは,①段ボール原紙の国内取引(段ボール原紙メーカーから段ボール原紙を仕入れ,段ボールメーカーに販売する取引),②家庭紙の関係会社への販売取引(被告の関係会社である兼松カネカが特定の家庭紙メーカー(日清紡,大王製紙,カミ商事)から仕入れを行う取引に被告が介在する取引),③段ボールシートの国内販売(段ボールシートメーカーか 会社への販売取引(被告の関係会社である兼松カネカが特定の家庭紙メーカー(日清紡,大王製紙,カミ商事)から仕入れを行う取引に被告が介在する取引),③段ボールシートの国内販売(段ボールシートメーカーから段ボールシートを仕入れ,製缶業者に販売する取引),④段ボール原紙の中芯の輸入取引(国内の特定の販売先に販売するため,台湾の製紙メーカーから段ボール原紙の中芯を輸入するロング取引(仕入れを販売に先行させる取引。在庫取引ともいう。)),⑤洋紙の国内販売取引(主にチラシ用の洋紙をメーカーから仕入れて印刷業者等に販売する取引),⑥新聞用紙の国内販売取引(特定の製紙メーカーと特定の新聞社との新聞用紙取引に介在する取引)及び⑦その他の業務(出張旅費,交通費,接待交際費,雑費などについて支払伝票を作成し,営業経理部に持ち込む)に携わり,他の事務職3名はその他の商品取引(輸出取引,3国間取引)の業務に携わっていた。 原告Bは,①について,成約以後の業務を担当し,仕入先が販売先に段ボール原紙を納入すると同時に仕入先が被告に発行する納品書に基づいて,仕入価格,商品名,数量,販売価格,納入日等をコンピュータにインプットする作業を行い,コンピュータにインプットした結果として自動アウトプットされる請求書,納品書を管理職に提出し,課長の確認を得てそれらを販売先に送付する作業を行った。代金回収は,原告Bが課長の承認を得た領収書発行依頼票を財務部に提出して領収書の発行を受け,管理職がその領収書を持って販売先からの手形集金を行うが,原告Bは,管理職の指示を受けて,手形集金に赴くこともあった。集金後,原告Bは入金伝票を起票し,管理職の確認と課長の確認印を受けて,財務部に提出した。仕入代金の支払は,原告Bが仕入先からの請求書及び納品書に基づき出金伝票を起票し,課長の確認印 こともあった。集金後,原告Bは入金伝票を起票し,管理職の確認と課長の確認印を受けて,財務部に提出した。仕入代金の支払は,原告Bが仕入先からの請求書及び納品書に基づき出金伝票を起票し,課長の確認印を受け,営業経理部に提出した。原告Bは,メーカーからの請求書が遅れ,被告の社内手続上メーカーが求める支払期日に支払ができないときは,メーカーと直接やりとりして,支払期日を繰り延べすることもあった。 ②,③については,集金業務を除き,①と同様の業務を行った。 ④については,成約後管理職が作成した契約台帳に基づいて,その内容を転記して,輸入先に提出するコンファメーション・オブ・パーチェスをこの取引が開始した当初に管理職が作成したものを見本として所定フォームにタイプアップする,輸入紙が入荷した連絡を受けると,パッキングリストから商品名,数量を輸入紙出荷台帳に転記し,併せて入庫伝票を作成する,特定の国内販売先から出荷指図があったときには,管理職不在の場合には,倉庫会社に対して電話で出荷を指示する,電話による出庫指示の後に発行されるデリバリーオーダーの文書は,管理職,課長が確認するが,特定の国内販売先に出荷が行われるごとにその内容を輸入紙出荷台帳に転記して記録する,出庫がなされると倉庫会社から出荷案内書が発行されるので,これに基づいて出庫伝票を作成し,その内容をコンピュータにインプットし,コンピュータからアウトプットされる納品書,請求書を課長の印鑑を受けて客先に発送するといった業務を行った。 ⑤,⑥については,①と同様の業務を行った。⑤につき,原告Bは,担当者が取り決めた大枠の受注枠の中で,業者から注文を取りメーカーに連絡して具体的に成約することもあった。また,原告Bは,平成元年ころに沖縄タイムス,大王製紙と被告の3者間の新聞巻取紙について は,担当者が取り決めた大枠の受注枠の中で,業者から注文を取りメーカーに連絡して具体的に成約することもあった。また,原告Bは,平成元年ころに沖縄タイムス,大王製紙と被告の3者間の新聞巻取紙についての売買契約書を,あらかじめ決められた大枠の取引条件を元に作成したことがあった。 ⑦については,支払伝票の作成に際し,認められる費用かどうかを原告Bが事実上判断したこともあった。なお,取引業務に関し,原告Bは,段ボールメーカーに対する機械の販売による延べ払い業務(数年にわたって契約代金を回収する業務)について毎月の回収,入金伝票処理をしたり,客先からのクレーム処理について対応することもあった。また,原告Bが産休で休んだときは,原告Bの仕事は一般職が担当し,事務職がこれをサポートしていた。 他方,課長は,紙業課の取引全体に関わり,管理し承認しており,課長以外の管理職及び一般職は,商品分野及び取引形態ごとに営業を担当し,いずれも,仕入・販売双方の取引先との交渉を通じて契約を成立させることを主たる業務としており,取引先と連絡を取りながら,価格交渉,取扱い数量に関する交渉等を行っていた。ただし,新人の一般職には,経験を積ませる意味で,事務職の仕事も担当させたことがあった。 c 原告Bは,平成4年11月,物資本部勤務となり物資本部長付となって,①物資本部長の秘書業務(電話の取り次ぎ,週1回の,本部長,部長及び課長の予定表作成及び社内関係先への送付,本部長の出張等の切符の手配,会議室等部屋の予約,旅費,交際費の精算手続,慶弔関係の電報の手配,挨拶状及び礼状のワープロによる清書と送付,経費の振替伝票の起票,本部長の各種書類のファイリング等),②定時的業務(年1回行うものとして,物資本部の業務計画のワープロによる清書と社内関係先への送付,商品ポジション枠 ープロによる清書と送付,経費の振替伝票の起票,本部長の各種書類のファイリング等),②定時的業務(年1回行うものとして,物資本部の業務計画のワープロによる清書と社内関係先への送付,商品ポジション枠と本部内統一ルールのワープロによる清書と社内関係先への送付,為替持高限度枠,自動損切幅申請書のワープロによる清書と社内関係先への送付があり,毎月行うものとして,海外駐在員が送付してくる紙パルプに関する情報の社内関係先,客先への送付とファイリング,海外各店の業績のワープロによる清書と社内関係先への送付とファイリング,月例報告書のワープロによる清書と社内関係先への送付とファイリング,本部連絡会の開催案内状の作成と参加者のチェック,会議室の確保と昼食の手配,コンピュータからアウトプットされる商品ポジション表の関係先への送付とファイリングがある。),③随時行う業務(取引先への挨拶状のワープロ作成と送付,出張,交際費の清算,計画管理資料等のアウトプットデータのファイル,業界誌のコピーの海外店への送付等)を行っていた。 d 平成10年4月,紙パルプ・物資本部は,化学品・紙パルプ本部と組織変更し,原告Bは,東京紙パルプ部部長席付きに異動し,以後2年間,部長の秘書業務,部の総務的業務(以上の業務として,部長のスケジュール調整(出張時の切符の手配など),紙パルプ部門の統計資料作成,海外店への資料送付及び海外店からの資料回収,会議室等部屋の予約,慶弔関係の電報の手配等がある。)及び部内の2つの課の事務職業務に従事した。 (ウ) 原告C(甲101,116,169,196,乙11,93ないし97,185,証人K,原告C)a 食糧第3部肥料課では,兼松肥料株式会社関連の取引担当となり,兼松肥料から送られてくる工場受払日報を元に,使った原料,できた肥料の数量,受注量・納 11,93ないし97,185,証人K,原告C)a 食糧第3部肥料課では,兼松肥料株式会社関連の取引担当となり,兼松肥料から送られてくる工場受払日報を元に,使った原料,できた肥料の数量,受注量・納入量等を集計して,兼松肥料への加工賃,原料代,販売先であるたばこ組合及び農協への配合肥料売上代金を確定して計上し,兼松肥料への支払及び売上代金の集金をしていた。その後,取引方法は,兼松江商が兼松肥料に原料を売却し,できあがった商品を購入してたばこ組合と農協に販売する売り仕切り・買い仕切り方式に変わったが,原告Cは,その処理が簡略化された分,それ以外の肥料の受・発注と集金を分担した。 飼料油脂部飼料第3課では,肥料の受・発注と経理を担当し,顧客から電話で受注し,それに基づき肥料メーカーに発注し,納品を指示し,納品日が来れば納品を確認して売り上げ,請求書を作成・発送した。メーカーへの支払をするよう財務部へ連絡し,また顧客からの手形集金ないし振込金入金確認後の入金帳簿処理もした。納入遅れのトラブルがあった場合には,それに対応することもあった。 肥料米穀課では,種子を輸入する仕事も担当した。同課には,昭和58年4月食糧物資非鉄統括営業経理チームが新設され,原告Cは同チーム員として食糧関係について,営業活動が社内のルールや指示に則って行われているかを経理面からチェックし,査証した。その過程において,営業部への問い合わせ,売掛金の回収督促,問題ある損益処理の是正要求等をすることもあった。 油脂課では,国内取引について,兼松食品との取引を担当するとともに,輸出業務のうち,成約後の船積み手配,売上計上,入出金を担当した。兼松食品との取引では,成約を確認して売上計上し,集金も行っていた。男性社員(一般職)が海外研修で不在となった後は,輸出業務の成約部 輸出業務のうち,成約後の船積み手配,売上計上,入出金を担当した。兼松食品との取引では,成約を確認して売上計上し,集金も行っていた。男性社員(一般職)が海外研修で不在となった後は,輸出業務の成約部分も引き継ぎ,値決めも行った。この仕事は,原告Cが異動したとき男性社員(一般職)に引き継いだ。 農産課では,砂糖関連の業務を担当した。また,輸出入ラードの成約を担当したこともあった。 b 平成2年4月,食品第3課勤務となった。食品第3課の取扱商品は,コーヒー(生豆・製品),砂糖(原糖・精糖),ハチミツ及びロイヤルゼリーであり,年間取扱い額は,コーヒーが最も多かった(平成7年当時で約124億円。砂糖は約35億円,ハチミツ,ロイヤルゼリーが合計約2億7000万円)。コーヒー関係の取引は,コーヒー生豆を中南米及びアフリカ諸国から輸入し,国内のロースター(コーヒー加工業者)へ販売する,ロースターからコーヒー製品を買付け,国内飲料メーカー等へ販売するというものであり,砂糖関係の取引は,日本精糖向けの原糖を東京穀物取引所粗糖市場から買付け,同社に販売する業務と,同社が加工し製品化した精糖を国内の砂糖問屋,飲料メーカー及び菓子メーカー向けに販売する業務とがあり,ハチミツ及びロイヤルゼリー関係の取引は,国内のそれらの製造メーカー向けの原料を中国から輸入して販売するというものである。 食品第3課には課全体の年間売上総利益についてノルマが課されていたが,このノルマについては課長が責任を負い,課内においては,各一般職に配分してノルマが課された。 平成7年4月1日現在,食品第3課は,管理職1名(課長),一般職4名,事務職3名(うち1名が原告C)からなり,原告Cは,一般職1名とともに,①砂糖,②ハチミツ及びロイヤルゼリーの取引業務に携わった。 ①砂糖取引につ 在,食品第3課は,管理職1名(課長),一般職4名,事務職3名(うち1名が原告C)からなり,原告Cは,一般職1名とともに,①砂糖,②ハチミツ及びロイヤルゼリーの取引業務に携わった。 ①砂糖取引について,原糖取引については,一般職が,日本精糖との商談,原糖の東京穀物取引所粗糖市場での買付け,日本精糖への引渡しを行い,原告Cは,取引内容が網羅的に記載された,一般職作成のコンファメーションの内容を,台帳に転記の上,一般職経由で課長に提示し,その承認を得るという業務を行った。精糖取引については,一般職が,各月毎に,日本精糖と販売数量(日本精糖からの購入分と日本精糖への加工委託分の振分を含む。)を決定し,また,砂糖問屋,飲料メーカー,菓子メーカー等のユーザーと価格,販売数量等の取引条件を交渉の上,取引成約を行い,原告Cは,以上により決定された内容の範囲内で,精糖のデリバリー(受渡)の業務(各ユーザーからの電話での出荷依頼を受け,その内容をファックスで日本精糖に取次ぎ,その内容(売先・納入場所・品種・数量・価格)を台帳に転記する作業を行った。なお,原告Cは,台帳の内容のコンピュータヘのインプット作業,契約メモの作成も行なったほか,糖度計算の業務や,農畜産振興事業団関係の手続業務(農畜産振興事業団との取引について同事業団に対して砂糖メーカーが届出をする手続で,取引実行日と数量を連絡する業務)も行った。入出金関係について,支払については,請求書受領後,原告Cが出金伝票を作成し,一般職経由で課長の承認を取得した上,出金伝票を営業経理部に提出し,入金については,財務部での入金確認の後,原告Cが入金伝票を作成し,一般職及び課長の確認を受け,財務部に提出していた。 原告Cは,注文の少ない顧客には多く受注できないか話すこともあり,値入(成約担当者の設定した 財務部での入金確認の後,原告Cが入金伝票を作成し,一般職及び課長の確認を受け,財務部に提出していた。 原告Cは,注文の少ない顧客には多く受注できないか話すこともあり,値入(成約担当者の設定した日経平均に連動させた取引価格を最終的に精糖を受け渡した段階で確認し,数量を確認する仕事)をしたり,注文先から値下げ申入れがあった場合には当初設定された取引価格を下げるよう日本精糖に求めることもあった。また,毎月消化すべき精糖販売の委託枠(日本精糖から3か月ごとに契約価格を決め,かつ納入運賃を日本精糖が負担するとの約定で被告が販売委託されている分)190トンについては,一定数量までは委託枠を使用する顧客のほかは,売り条件が良い取引からこの枠を使用し,円滑な消化に努めていた。 兼松香港に対する輸出業務(月額1000万円程度)については,兼松香港が被告の関連会社であること,取引額が小額であること,業務がパターン化していることなどから,平成3年ころから2年間ほど,それ以前は一般職が成約を担当していたが,原告Cが成約を含めて担当したことがあった(ただし,契約書へのサイン,書類決裁等は課長又は一般職が行った。)。この業務は原告Cの異動後は一般職が引き継いだ。 ②ハチミツ及びロイヤルゼリーの取引について,一般職が中国の購入先及び顧客との直接交渉を経て取引成約を行い,原告Cは,一般職が指示した,商品名,スペック,数量,グレード,船積時期,価格,支払条件等を定型フォームにタイプ(ワープロ)してパーチェス・コントラクト及び顧客との売買契約書を作成するとともに,パーチェス・コントラクトの記載内容を船積台帳に転記した。原告Cは,作成した書類について,何れも一般職経由で課長の承認を得た後,相手方へ発送した。 また,取引関係書類の契約ごとのコピーのファイリングも行った。 ス・コントラクトの記載内容を船積台帳に転記した。原告Cは,作成した書類について,何れも一般職経由で課長の承認を得た後,相手方へ発送した。 また,取引関係書類の契約ごとのコピーのファイリングも行った。輸入手続関係等について,原告Cは,パーチェス・コントラクトに基づき,信用状開設のアプリケーションの作成を行い,作成後,一般職,課長の承認を得て,財務部へ提出する業務を行った。また,原告Cは,船積後,財務部より,インボイス,B/L,パッキング・リスト等を入手して輸入ネゴ書類(T/R伝票)を作成し,一般職の確認,課長の承認を経て,財務部へ提出する業務を行った。原告Cは,貸物到着後の,通関保管業者への荷捌兼通関指示明細書及び荷渡指図書等の作成も行い,一般職及び課長の承認を経て,関係者に配布あるいは送付した。さらに原告Cは,客先への請求書,入金確認後の入金伝票の作成も行った。 原告Cは,平成4年ころ,ミネラルウォーターの仕事を担当したことがあった。 これはポッカコーポレーション(以下「ポッカ」という。)からミネラルウォーターの注文を受け,被告がポッカの輸入代行として,トルコのメーカーに注文し,これをポッカに引き渡すというもので,原告Cはポッカと現地のメーカーとが被告の仲介により取り決めた条件に基づき,船積みやデリバリーに必要な書類作成等を担当し,ポッカからのクレームを取り次いだこともあった。 ③その他に,原告Cは,精糖の販売量の集計を台帳に基づき行い,課内集計表(月報)の作成や業界の関係団体への報告を行ったり,交際費,交通費等の雑費の伝票作成,コピー等の庶務に従事した。 他方,一般職は,砂糖の3国間取引,海外に合弁会社を設置した上での海外の高付加価値砂糖の製造・輸入販売,砂糖に代わる新規利益商材の開拓等に取り組んでいた。そのため平成6年には,業務 務に従事した。 他方,一般職は,砂糖の3国間取引,海外に合弁会社を設置した上での海外の高付加価値砂糖の製造・輸入販売,砂糖に代わる新規利益商材の開拓等に取り組んでいた。そのため平成6年には,業務分担を見直して,上記のとおり,砂糖取引に関し,従来一般職が行っていた原糖代金の請求業務,糖度計算,農畜産事業団関係の手続業務といった業務を事務職である原告Cに担当させたことがあった。 (エ) 原告D(甲134,135,137,138,144ないし147,149,150,170,199,205,乙15,129,131,133,138ないし157,169,186,証人M,原告D)a 鉄鋼輸出部第1課では,鉄鋼メーカーへの支払に関する業務を担当した。貿易取引では,輸出の場合,売上計上基準日をBLDATEとしているが,この時点では基準日以降の金利,船運賃,乙仲チャージなどの諸掛りの請求がされておらず,最終利益を確定することができないため,基準日時点で未払チャージを正確に把握して利益予測を正確にすることが重要であるが(被告のシステムでは,「売り金額-買い金額-見込み利益=未払金チャージ」としてすべての経費を未払金チャージとして処理するため,その把握が必要不可欠である。),原告Dが提案して,契約ごとに定率の費用をミスチャージとして見積もり計上することとし,実際の利益により近い数字を把握できるようになったことがあった。 鋼板課では,一般職が取り決めた契約内容について,成約の履行以後の業務を担当し,契約内容の詳細の確認,高炉メーカーへの発注,船積手配,支払,売上計上,決算に至る仕事を担当した。昭和49年ころから昭和63年までは,鉄鋼需給月報に関するデータの毎月の把握とその提出も担当した。 昭和57年には,部長席付となり,部長のスケジュール管理,取引先と 上,決算に至る仕事を担当した。昭和49年ころから昭和63年までは,鉄鋼需給月報に関するデータの毎月の把握とその提出も担当した。 昭和57年には,部長席付となり,部長のスケジュール管理,取引先とのアポイントメント,メーカーと面談する際の必要な過去の取引実績などのデータ面把握等の秘書業務をした。 昭和63年4月には,条鋼チームで,ネパールやバングラデシュへのパンザーマスト(鋼板組立柱)の輸出について,契約後の履行業務を担当したが,成約担当者が出張で不在の時は,担当者の代わりに対応したこともあった。 b 昭和63年5月統括室勤務となった。統括室は,被告の鉄鋼部門において,営業本部とは別個・独立の,部門長直属の組織であり,鉄鋼部門の営業における支援機能を果たすこと,すなわち,部門長のスタッフとして案を作成したり,部門長・本部長の意向を先回りして把握して資料を整え,案を作成し本部に提出するなどし,鉄鋼部門の長期・短期戦略に関わる一切の事項を視野に入れて,営業を支援することを目的としている。統括室は,具体的には,① 鉄鋼部門全般に係わる方針の立案・その作成等に関し,部門長・本部長を補佐する業務(部門長・本部長が組織の強化改善を検討していく過程において,各部又は取り扱い商品の実態把握のための資料の作成や関係者ヒアリング等の実施と報告を行うこと,部門が抱える問題点(遊休資産や不良債権等)の発見及び対応策を提言すること,組織の改編や人事異動がある場合,その記録・報告書を作成し,社内外への説明報告を行うこと等),② 鉄鋼部門全般の経営・営業活動の把握と部門長及び本部長への報告(業務計画作成にあたって,部門長席・本部長席案及び各部計画立案・作成の援助をすること,鉄鋼部門業務計画の遂行状況を把握し,問題点の発見及び対応策の提言をすること,国内関係会社 門長及び本部長への報告(業務計画作成にあたって,部門長席・本部長席案及び各部計画立案・作成の援助をすること,鉄鋼部門業務計画の遂行状況を把握し,問題点の発見及び対応策の提言をすること,国内関係会社・海外店・海外関係会社の業務計画遂行状況の管理及び報告をすること,各部の商品ポジション(先物・現物の買い持ち・売り持ち)の管理と報告をすること,各部の不良債権を把握し本部長報告の補佐をすること,鉄鋼部門が持つ株式の取得・売却の検討・立案と報告をすること,職務権限移譲ルールを作成すること,「鉄鋼部門の概要」(部門史,組織・人員,業績,内外関係会社紹介等をまとめた冊子で年刊)を作成すること等),③ 鉄鋼業界各種団体との折衝(各部にまたがる高炉ミル(新日本製鉄,日本鋼管,川崎製鉄,住友金属,神戸製鋼,日新製鋼,中山製鋼の7社をいう。)との売買基本契約を締結し,基本契約書を作成すること,高炉ミルヘの被告決算報告・役員人事異勤報告等を行うこと,各種業界団体の会合への出席,会合提出資料の作成を行い,幹事会社となった場合には事務局機能を担うこと),④ その他(業界紙・業界誌等の取材・広告等への対応,国内外の鉄鋼業界情報の収集,整理・保管・回付,鉄鋼部門の関連備品の管理,部門長席及び本部長席の秘書業務,客先の人事異動及び冠婚葬祭時の電報手配等)の業務を行っている。 平成7年4月1日現在,統括室は,管理職2名(うち1名は室長),事務職2名(うち1名が原告D)から成り,原告Dは,① 室長・管理職の指示の下,室長・管理職が取りまとめた資料を整理し,又はワープロ・コンピュータを使用して入力・印刷・コピー及びその配布を行う業務(室長・管理職が立案作成した鉄鋼部門の業務計画をコンピュータに入力する,コンピュータに記録済みの鉄鋼部門業務計画を管理職の指示により取出し ュータを使用して入力・印刷・コピー及びその配布を行う業務(室長・管理職が立案作成した鉄鋼部門の業務計画をコンピュータに入力する,コンピュータに記録済みの鉄鋼部門業務計画を管理職の指示により取出し,一覧表に入力する,室長・管理職が作成し,本部長の承認を得た人員組織図をワープロ入力する,月次の各部・各課及び国内支店の行事表作成に関し,管理職の指示に基づきコンピュータよりデータを取出し,一覧表に入力する,これに管理職が業績のコメントを入れ,室長の承認を得た後,コピーをとり,室長が指示している宛先に配布する,4月1日付組職変更あるいはその後の人事異動に基づいて職務権限移譲通知書をタイプアップ作成する,その他,室長・管理職が統括室の業務遂行上必要とする資料の整理,作成文書の入力等を,その都度指示を受けて行うといった業務,② 上記「鉄鋼部門の概要」の作成につき,過去の各種資料及び集計表を修正し,コピーをとって冊子としての体裁をそろえ,各拠店長に配布する,月次報告として発行される「本部連絡メモ」(各部・各課・支店・海外店の紹介,人事異動,部門長・本部長出張予定等の連絡を内容とするもの)の作成につき,関係先に紹介原稿依頼を行い,また,掲載すべき情報を聴取・チェックし定型フォームにタイプし,室長の承認を得て,宛先に配布する,被告がメンバーとなっている各種業界団体の登録代表者に変動がある場合,変更通知書を作成し,室長の承認を得て関係先に配布する,業界の定期刊行物・業界誌・業界紙を資料作成用に整理し,保存・保管し,管理職の包括的又はその都度の指示の下,各部にコピーを配布する,統括室作成文書等を整理・保管するといった業務,③ 入出金に関する業務として,毎月末又は月初に,各部・各課及び国内支店・出張所への月次賦課金・負担金又は支払金の振替・入出金伝票(記 ピーを配布する,統括室作成文書等を整理・保管するといった業務,③ 入出金に関する業務として,毎月末又は月初に,各部・各課及び国内支店・出張所への月次賦課金・負担金又は支払金の振替・入出金伝票(記入金額は,鉄鋼部門業務計画に基づき決定された額である。)を作成し,室長の承認を受けた後,営業経理部に持ち込む,各種業界団体の会費等の請求につき,定期定例のものについては室長の包括的指示の下,臨時のものについては室長の個別的指示の下,支払伝票及び振替伝票を作成し,いずれの場合も室長の承認を得て,営業経理部に持ち込む,業界団体の一つである鋼材倶楽部への支払につき,営業部の報告数量に基づき,室長の包括的指示の下,4半期毎に支払伝票・振替伝票を作成し,室長の承認を得て営業経理部に持ち込む,ノートに記載された室員の外出交通費立替額を月末に取りまとめ,支払伝票を作成し,室長の承認を得て営業経理部に持ち込む,室長・管理職の立替にかかる統括室運営経費(会議費,接待費,事務費,広告費等)につき,その指示の下に支払伝票を作成し,室長の承認を得て営業経理部に持ち込むといった業務,庶務的業務として,毎朝,関係先から受信したファックス・郵便物・テレックス等を受け取り関係者に配布する,室長・管理職の指示を受けて,会議室使用の予約・手配をし,会議出席者に資料を配布する,毎月初に,統括室の出勤簿の交換を行う,統括室の備品,文房具の管理,管理職接客の際のお茶出し等といった業務を行った。 これらのうち,「本部連絡メモ」に登載する各部課長からのコメントを聴取して文章化する作業は,従前管理職が担当していたが,原告Dがこれを引き継ぎ,平成11年に原告Dが異動した後は再び管理職が担当した。また,原告Dが担当していた鉄鋼連絡メモ(鉄鋼部門の国内海外関係各社に対する広報),鉄鋼部門の 前管理職が担当していたが,原告Dがこれを引き継ぎ,平成11年に原告Dが異動した後は再び管理職が担当した。また,原告Dが担当していた鉄鋼連絡メモ(鉄鋼部門の国内海外関係各社に対する広報),鉄鋼部門の組織図作成,一覧表の作成等については,原告Dの異動後は総合職が担当した。 また,原告Dは,統括室の費用負担となる投資や融資についての経費の計算を行ったり,川崎製鉄がまとめ役であるブラジル製鉄所の投資保険について,時間的余裕のないときに,本来川崎製鉄が行うべき保険料,保険金額の変更手続を自ら行ったり,昭和63年9月に対キューバ滞留債権約40億円を統括室に移管する際には,各課ごとの各勘定の中からキューバ関連債権を抜き出し,決済繰延計画に従って新期日に組み替えて統括室の各勘定に付け替えることにも携わった。また,原告Dは,被告の子会社である兼松総合ファイナンスとのリース物件について,あらかじめ決められた値段に基づき,契約やこれに基づくリース料(年2回)の支払時期を何時にするかを担当したこともあった。また,販売費把握のためのコンピュータのシステム化を兼松コンピュータシステムがする場合に,実務に精通しているユーザー側として意見を述べたことがあった。 他方,管理職は,統括室の上記業務全体に関わるが,その業務の重要性から,社内外の人的・組織的交流によって形成された人間関係及び高度の業務知識・業界知識・商品知識に裏打ちされた総合的判断力を有する者が配属された。 c 原告Dは,平成11年9月鉄鋼貿易部第2課に異動し,1年目は欧米向けの条鋼の輸出業務について,2年目以降は東南アジア向けのステンレスの条鋼形鋼の輸出業務について,成約後の履行に関する業務を行った。 (オ) 原告E(甲122ないし124,127ないし133,171,201の(1),乙12,114な 以降は東南アジア向けのステンレスの条鋼形鋼の輸出業務について,成約後の履行に関する業務を行った。 (オ) 原告E(甲122ないし124,127ないし133,171,201の(1),乙12,114ないし122,126ないし128,187,証人N,原告E)a 原告Eは,入社以来一貫して鉄鋼輸出業務に携わり,主に成約後の履行業務,具体的には,採算の見積もり,契約内容を確定し,客先へは売り契約書,メーカー宛には注文書を作成して交付し,為替予約,保険付保,信用状に関連する業務を行うほか,船積み手配,検査手配,荷揃いに関する業務,出荷に関する業務,売上計上,入出金処理,諸掛りのチェック,決算業務を行った。 入社後の鋼板第2課では,成約担当の男性社員と組んで主にインドネシア向けの鋼板輸出業務を担当し,2年目から東南アジア・中国向けの鋼板輸出と厚板の仕事を担当し,昭和61年4月から鋼管チームで配管器材を担当し,昭和62年からは,配管器材以外の鋼管の履行業務も担当し,平成3,4年ころには,中南米向けのブリキ,建材条鋼の3国間取引等も担当した。平成11年からは,鋼管ブリキの仕事に加え,鋼板建材条鋼,新日本製鉄への支払,3国間取引も担当した。 b 原告Eが担当した具体的な業務について,平成7年当時の鋼管・建材課でいえば以下のとおりである。 鋼管・建材課の業務内容は,鋼管・配管器材・条鋼類の輸出取引(日本の鉄鋼メーカーの製品を海外店経由で海外客先向けに輸出する取引),ビレット(鋼片)及び条鋼類の3国間取引(海外で生産された鉄鋼製品を他国に販売する取引),鋼管の国内取引(国内鉄鋼メーカーの製品を国内の需要家に販売する取引)並びに鋼管継手の輸入取引(海外から日本の鉄鋼製品需要家向けに必要な鉄鋼製品を輸入する取引)であった。 平成7年当時,鋼管・建材課は 国内取引(国内鉄鋼メーカーの製品を国内の需要家に販売する取引)並びに鋼管継手の輸入取引(海外から日本の鉄鋼製品需要家向けに必要な鉄鋼製品を輸入する取引)であった。 平成7年当時,鋼管・建材課は,管理職2名(うち1名は課長),一般職2名,事務職2名(うち1名が原告E),寄留者1名(他社からの出向受入者)から成り,原告Eは,鋼管の輸出,輸入及び国内取引の業務に従事した。鋼管・建材課には年間売上のノルマが課され,これは課長が責任を負ったが,課内の他の管理職,一般職にも配分の上ノルマが課された。 原告Eが従事した輸出取引に関する業務としては,引合,契約書の作成,船積み,支払,入金がある。引合に関し,原告Eは,海外店から受信したテレックス又はファックスを一般職の各担当者,管理職,課長又は部長に配布し(テレックスやファックスに記載されているオファーに対する返事には関与しない。オファーに対する返事は,管理職や一般職の各担当者が自分でテレックスを打って行う。),管理職,一般職が作成したファックス文書をファックスで取引先等に送信する業務を行った。 契約書の作成に関し,原告Eは,管理職・一般職が行った取引交渉で成約に至ったものについて,一般職が作成したオーダーコンファメーション(商品,スペック,サイズ,数量,船積時期,サプライヤー(鉄鋼メーカー),客名,仕入価格,売価格,支払条件等を記載した書類)に基づき,船積台帳にオーダーコンファメーションに記載されている事項を転記し,その後,オーダーコンファメーションと船積台帳を管理職に提示し,承認を得た後,オーダーコンファメーションの記載内容をコンピュータにインプットする。このインプット作業により,鉄鋼メーカーとの電送による最終オーダー確認,最終のオーダー確認後の電送による鋼鉄メーカーへの注文,客とのセ ーコンファメーションの記載内容をコンピュータにインプットする。このインプット作業により,鉄鋼メーカーとの電送による最終オーダー確認,最終のオーダー確認後の電送による鋼鉄メーカーへの注文,客とのセールスコントラクトの作成,契約メモ(会計処理)の作成がされるが,このインプット作業の際,原告Eは,鉄鋼メーカーから入手する書類(鉄鋼メーカーとの電送による最終のオーダー確認のためのインプット時には成約確認リスト,最終のオーダー確認後の電送による鉄鋼メーカーへの注文のためのインプット時には注文内容チェックリスト)とインプット事項とを照合し,管理職へ提示してその確認を得て,自動アウトプットされた契約書を一般職へ提出して一般職のチェックを受け,課長より渡された捺印済みの契約書を客先へ送付する。 船積みに関し,契約書,注文書,オーダーコンファメーション,信用状等の取引関係書類のコピーがファイルされた船積みホルダーを作成し,一般職のチェックを受けた船積みホルダーを運輸部へ提出する(船積書類の作成,通関のほか,船積関連業務は,運輸部が行う。輸出代金,ネゴに関する書類は,運輸部から財務部へ渡り,営業部では,関与しない。)。そして,運輸部からインボイスのコピーを受領後,船積台帳にインボイスに基づく数量を記載し,インボイスを添付し,一般職の確認,管理職の承認を得た後,入出庫伝票をインプットする。これにより入出庫処理がコンピュータで自動的になされる。 支払に関し,メーカーから請求書を受領した場合は,その内容を確認して出金伝票を作成し,一般職の確認,課長,部長の承認を得た後,営業経理部へ提出する。 入金に関し,財務部からの入金確認後,入金伝票を作成し,一般職,課長の確認を得た後,財務部へ提出する。 原告Eが従事した輸入取引業務,国内取引業務も,輸出取 を得た後,営業経理部へ提出する。 入金に関し,財務部からの入金確認後,入金伝票を作成し,一般職,課長の確認を得た後,財務部へ提出する。 原告Eが従事した輸入取引業務,国内取引業務も,輸出取引業務で述べたところと同様である。 原告Eは,その他に,各種資料及び伝票,帳票のファイル(日本の輸出統計等の業界資料,輸出組合,特定商品輸出組合からの資料,社内資料,メーカーからの通知,月報等をコピーし,所定のホルダーにファイルしたり,伝票・帳票をファイルする。),庶務(接待交際費や交通費等の雑費の伝票作成,コピー等)業務も行った。 原告Eは,成約の段階で諸掛りを計算し,採算見積もりをした。また,一般職の作成したオーダーコンファメーションに基づきコンピュータにインプットする際には,オーダーコンファメーションが,細かいところは従前の取引のとおりであるとして記載されていないところもあったため,同一商品の注文でも,納入する工場や製品のサイズによって鋼管の管端保護が違ったり,サイズごとの寸法公差を割り出す必要があったり,高炉メーカーへの注文の際の注文書の内容はすべてコード化されているが,注文書のフォーム,コードがそれぞれ違う関係でこれらを確認する必要があったりして,注文書,契約書の作成に苦労することがしばしばあり,成約担当者が外出等して急場に間に合わないときは,客先と内容確認のやりとりをすることもあった。また,荷が客先の要求に合っているかを確認したり,客先の要求に応じることが可能かどうかについてメーカー担当者と確認することもあった。 船積みについても,荷揃いが契約どおりにできるよう,メーカーに進捗状況を確認したり督促したり,客先に確認したりすることがあり,検査の手配について調整したり,注文数量とメーカーの製品数量が異なる場合には,客先と被 ても,荷揃いが契約どおりにできるよう,メーカーに進捗状況を確認したり督促したり,客先に確認したりすることがあり,検査の手配について調整したり,注文数量とメーカーの製品数量が異なる場合には,客先と被告の契約内容により受渡許容の範囲内であるときは原告Eが回答したり,その範囲を超えて客先の了解が必要なときは海外店に原告Eが確認することもあった。また,平成11年までは,客先からの代金は外貨入金,メーカーへの支払は外貨建てでの円決済であったので,為替の問題が生じる(精算日(出荷日から一定の日)の為替レートで円の支払がされる。)ため,精算日及びそれを決定する出荷日のチェックとそれに関連して被告財務部に連絡したり,精算日を客先に伝える事務を行うこともあった。支払については,請求に係る諸掛かりが見積もりどおりかどうか点検し,違いがあるときは実際の諸掛かりの請求に間違いがないかも確認していた。 昭和62年にはバルブメーカーとの成約を担当したこともあった。 与信については,1990年代以降,減員のため,与信枠範囲内であるかどうかの確認も行っていたが,これは従前一般職が担当していた業務であった。 決算においては,被告では66チャージと称して諸掛りを一括管理していたため,決算時にこれを会計基準に則って費目ごとに金額を確定する必要があり,原告Eは,その作業に労力を要した。 原告Eは,昭和63年ころ,メーカーや被告のシステム開発について,実務担当者として意見を述べたことがあった。 他方,一般職や管理職は,期初に課において策定した業務計画に従い,個々に業務目標を設定し,課の業務計画の達成のために,方針を定め,戦略を練って営業(販売)活動を行っていた。例えば,輸出取引における成約業務は,一般職又は管理職が,海外客先から海外店経由や直接テレックスないし 目標を設定し,課の業務計画の達成のために,方針を定め,戦略を練って営業(販売)活動を行っていた。例えば,輸出取引における成約業務は,一般職又は管理職が,海外客先から海外店経由や直接テレックスないしファックスで引合を入手した後,これを分析検討し,その引合に最も適当な鉄鋼メーカーを選定し,最善の売り条件を引き出すために,メーカーに出向いて交渉を行い,その後に被告としての売り条件を海外店にテレックスで伝え,売り条件,買い条件が合致するまで客先とあるいは鉄鋼メーカーと交渉を行い,被告にとってより高い利益率で成約する,という過程をたどるが,そのためには,交渉力,語学力,商品知識,情報収集力が相当程度必要であった。なお,一般職は,採算見積もり,荷揃い,検査申請,与信管理も行っていた。 (カ) 原告F(甲18,104ないし107,117ないし121,172,195,202,乙13,108ないし111,113,184,証人O,原告F)a 入社後の畜産部畜産第1課では,馬肉チームとなり,ブラジル産馬肉の輸入業務を担当し,契約貨物の船積み等についての海外店とのテレックスのやりとり,船積み書類のチェック,通関予定についての通関業者との連絡,顧客との荷渡しや為替予約についての打ち合わせ,海外店との貨物代金決済処理,契約書,請求書の作成,売上の計上,入出金業務,手形の集金,決算資料の作成等契約締結後終了までを担当した。その後チキンチームの輸入業務も担当した。 昭和57年11月に配属された畜産第3課での担当業務もほぼ畜産第1課時と同様であった。なお,原告Fは,畜産第3課への異動に当たり,担当業務のうち馬肉関連業務は男性社員(一般職)に,チキンチームの仕事は女性社員(事務職)に引き継いだ。 その後昭和58年6月に再度畜産第1課に異動となり,羊肉チームの仕事を 課への異動に当たり,担当業務のうち馬肉関連業務は男性社員(一般職)に,チキンチームの仕事は女性社員(事務職)に引き継いだ。 その後昭和58年6月に再度畜産第1課に異動となり,羊肉チームの仕事を担当し,その後チキンチームや馬肉チームの仕事も兼任した。 平成4年10月羊肉チームごと畜産第2課に異動となり,一時牛肉チームの仕事もした後,平成7年4月羊肉チームごと畜産第3課に異動し,平成8年7月の退職まで羊肉チームの仕事をした。 b 平成7年4月当時,畜産第3課の業務内容は,冷凍・冷蔵豚肉及び冷凍・冷蔵羊肉等の輸入取引(海外から日本の畜肉商品取扱需要家向けに畜肉商品を輸入し販売する取引)及び国内取引(需要家からの引合いのうち,同課で取り扱っていないブランドあるいは在庫のない商品の場合に,国内の他社から買い取りそれを販売する取引)であった。このうち,国内取引は,需要家に対するサービスの側面があり,同課の業務としては,損益面では大きな影響はなかった。 課には年間売上総利益のノルマが課せられ,課長が責任を負ったが,課内においては,ノルマが分配の上一般職に配分された。当時,畜産第3課は,管理職1名(課長),一般職4名,事務職3名(うち1名が原告F),寄留者1名(派遣社員)から成り,原告Fは,一般職1名とともに羊肉商品取引業務に従事していたが,その具体的内容は,以下のとおりである。 ①輸入取引に関する業務について,契約書の作成に関しては,課長及び一般職が輸入客先との輸入取引及び国内販売先との販売取引を同時平行して交渉し,輸入と国内販売の両方の取引について成約に至ったものについて,一般職が商品名,スペック,数量,仕入先,客先,船積時期,ブランド,仕入価格,売単価及び支払条件等を記載して作成した「成約表」に基づき,契約台帳に成約表の内容を転記す ついて成約に至ったものについて,一般職が商品名,スペック,数量,仕入先,客先,船積時期,ブランド,仕入価格,売単価及び支払条件等を記載して作成した「成約表」に基づき,契約台帳に成約表の内容を転記するとともに,成約表に基づいて契約内容をコンピュータにインプットし,自動アウトプットされた「契約書」を成約表とともに,一式書類として一般職に提出し,一般職の確認後,さらに課長に提出して捺印された契約書を国内販売客先に送付するという業務を行った。船積みに関しては,海外からの船積み案内がテレックス又はファックスで一般職宛てに送られ,一般職が確認後原告Fに回されるので,その内容を船積台帳に転記し,その後,被告社内に常駐している通関代行業者の担当者に船積み案内の書類を渡して連絡をする。輸入決済に関しては,海外への支払は,海外からの書類の到着が銀行から被告外国為替課経由で連絡が入るので,その後に原告Fが一般職が作成した成約メモに記載された支払条件に基づいた決済方法で支払伝票を起票し,一般職及び課長の確認印を受けた後,外国為替課に提出するという業務を行った。商品デリバリーに関しては,原告Fは,商品の通関,入庫があったときに,その明細を船積台帳に転記し,一般職が取引先とデリバリーの日程等を決めた後,その指示を受けて,デリバリーの明細を記載した「受渡し明細書,荷渡し依頼書」を作成し,この書類を倉庫会社にファックスする,また,デリバリーに関する情報をコンピュータにインプットし,自動アウトプットされる請求書及び荷渡依頼書に一般職及び課長の確認を受けた後,請求書は取引先に,荷渡依頼書は倉庫会社に送付するという業務を行った。代金回収に関しては,財務部から入金確認の連絡を受けた後,入金伝票を起票し,一般職,課長の確認後,財務部へ提出するという業務を行った。なお,為替 に,荷渡依頼書は倉庫会社に送付するという業務を行った。代金回収に関しては,財務部から入金確認の連絡を受けた後,入金伝票を起票し,一般職,課長の確認後,財務部へ提出するという業務を行った。なお,為替予約に関しては,契約条件により予約リスクを被告が負担する場合と顧客が負担する場合とがあり,後者の場合は顧客の判断に従って処理していたが,前者の場合は為替をいつの時点のレートでとるかは一般職が判断していた。しかし,それについて原告Fが助言することもあった。 ② 国内販売に関する業務については,在庫販売及び定期的な国内販売に関し,定期的に注文のある決まった取引先については,売り単価は市場の値段と同一なので,取引先からの注文があった場合は,一般職又は原告Fが受けていた。原告Fが,注文を受けた後にデリバリーに関する業務,請求書及び入金伝票等の起票,コンピュータ入力及びアウトプットの作業を行うことは輸入取引業務の場合と同様であった。定期的でない国内販売の注文に関しても,原告Fが注文を受けることがあったが,この場合も売り単価は市場の値段と同一なので,値段について格別の交渉を要することはなかった。特定の仕入先(1社)から仕入れ,特定の客先(2社)に売り渡す国内業務があるが,これは,一般職が,仕入先及び販売先と交渉して成約に至ったものについて,商品名,スペック数量,納期,仕入価格,売価格及び支払条件等を,原告Fに提示し,以後,原告Fが,輸入取引業務の場合と同様,契約内容をコンピュータにインプットする作業,デリバリーに関する業務,契約書,請求書及び入金伝票の起票を行った。 ③ その他に,原告Fは,取引周辺業務として,諸掛出金(主に倉庫の保管料で,倉庫会社から請求書を受領し,チェックの上出金伝票を起票して,一般職及び課長の確認を受ける。),各種伝票,帳票の を行った。 ③ その他に,原告Fは,取引周辺業務として,諸掛出金(主に倉庫の保管料で,倉庫会社から請求書を受領し,チェックの上出金伝票を起票して,一般職及び課長の確認を受ける。),各種伝票,帳票のファイル,商品ポジション表(被告札幌支店に対して畜産第3課が有する羊肉商品の在庫を連絡するために,予め定められた書式で毎月2回,その時点での在庫内容をまとめた資料。船積台帳とストックリストを照合して作成する。)の作成,為替ポジション表(輸入取引に伴う外貨決済の予定をまとめた表。成約表に基づき随時作成する。)の作成,残高確認(決算期に各取引先に対する売掛債権の残高が営業経理部から連絡されるので,この内容を畜産第3課の資料と照合する作業)を行っていた。 原告Fは,平成5年に,一般職が出張で不在のため,被告札幌支店の依頼を受けて,オーストラリアの業者と直接ファックスで連絡し,買い希望値段,売り希望値段を連絡して,成約にこぎつけたことがあった。 また,牛肉取引に関し,在庫と売掛金があわない問題が生じ,実際の在庫と帳簿上の在庫の差の理由,客先への架空売り上げの有無等の調査に原告Fも携わったことがあった。 なお,原告Fは平成8年7月に被告を退職したが,原告Fが担当していた業務の大半は,派遣会社からの派遣社員が引き継いで行った。 他方,一般職は,3名が豚肉商品の商品取引,1名が羊肉商品の商品取引を担当し,期初に課において策定した業務計画に基づき,個々に業務目標を設定し,課の業務計画達成のために,方針・戦略を考えたり,プロジェクト計画の際は,一般職と課長とで取り組み営業を行ったりしていた。なお,配属間もない一般職が,将来の経験のため,事務職の仕事をしたこともあった。 オ関連する事柄(甲43,44,78,79,125,135,175,200,乙 長とで取り組み営業を行ったりしていた。なお,配属間もない一般職が,将来の経験のため,事務職の仕事をしたこともあった。 オ関連する事柄(甲43,44,78,79,125,135,175,200,乙46,182,原告D,原告B(第2回))(ア) メカトロニクス第1部第1課に勤務していた渋谷玲子は,ロシア向けファクシミリ等の輸出案件について,平成2年ころから,一般職の指導の下に成約業務を担当したことがあった。この案件は,合計数十万円から数百万円の小規模なもので,仕入先も売先も確実なものであった。また,ロシアからの来客のアテンド業務も担当した。 豚肉輸入・国内販売業務に従事していた池田悦子は,豚肉の輸入や国内取引について成約を担当し,数量や価格を決めたことがあった。 (イ) 昭和57年当時,被告東京本社総務部では,総務の仕事を男女(一般職と事務職)が分担していた。 平成8年当時,被告東京本社運輸部国際物流課では,男女(一般職と事務職)が混在して本船のブッキングの仕事をしていた。 (ウ) 被告の東京本社新規事業開発部では,平成元年4月にL&L(レディース・ライフ&リビング)チームを発足させ,女性事務職に女性の感性を生かせる商品の企画・販売・集金等を実施させたことがあった。同チームでは,上司の承認の下に女性事務職3人が1年間これらの業務に従事した。 (エ) 被告においては,例えば,商社勤務者の基礎知識と位置づけられていた日商簿記検定試験の結果は,一般職と事務職の間で遜色はなく,最低限必要とされる社内常識と位置づけられている社内実務検定試験(財務・経理運輸,審査A,審査B)の結果も同様であった。 (オ) 被告においては,一般職の中には転勤しない者もいた。 カ被告の人事制度改定の経緯等(甲1,3ないし5,19,20,24ないし29,30ない 経理運輸,審査A,審査B)の結果も同様であった。 (オ) 被告においては,一般職の中には転勤しない者もいた。 カ被告の人事制度改定の経緯等(甲1,3ないし5,19,20,24ないし29,30ないし32,34,35,38ないし42,46,47,48,50,54,56,57,60,61,63,67,68,70ないし76,83,85ないし89,111,112,139,140,152ないし154,159ないし165,167,223,乙4,9,22,31ないし33,43ないし45,49,51,52,64,77ないし82,158ないし165,168,170,171,175,189ないし194,203,204,208ないし227,233ないし236,242,243,254,255,257,証人I,同P,同Q,原告A,原告B(第2回))(ア) 被告は,昭和53年10月19日,「資格と役職の分離」と「役職制度の簡素化」を根幹とする人事制度を導入し,全員戦闘体制の確立を期するとして,組合に職掌分類制度,職能資格制度,新役職制度,資格と役職の分離等からなる新人事制度を提案し,組合と交渉した結果,最終的に,被告と組合は,昭和54年4月,管理職についての職能資格制度と新役職制度の新設を内容とする人事制度の改定に合意し,被告は同年5月からこれを実施した。 なお,被告は,組合との交渉において,昭和52年5月には,「いわゆる『男女間の給与格差』の存在する理由は,一般的にはそれぞれの業種,又は企業において男女夫々に求められる職種,或は職務内容が違うからではないかと考えております。各商社業務が複雑多岐にわたっていることから,これらを分類区分することは非常に困難な作業でありますが,漸次明確化すべく研究努力中である。」(甲40),昭和54年3月には,「一般職と事務 ております。各商社業務が複雑多岐にわたっていることから,これらを分類区分することは非常に困難な作業でありますが,漸次明確化すべく研究努力中である。」(甲40),昭和54年3月には,「一般職と事務職の仕事の違いが格段に違い,その範疇を超えられないものではなく,重複している部分もある。」(甲39)などと説明,発言していた。 (イ)a 被告は,昭和57年ころから人事制度の改定を検討し,昭和58年11月25日,組合に対し,職掌別人事制度の導入を提案した。これは,被告の考えでは,当時被告の実態として,男性社員と女性社員とで担当する業務に差異があり,賃金もこれに応じて異なっていたが,その差異が性の違いによるものか仕事の違いによるものかが明確でなかったため,仕事の違いによるものであることを明らかにするためであった。 昭和60年,「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等女性労働者の福祉の増進に関する法律」(以下「旧均等法」という。)が制定され,同法では,募集,採用,配置,昇進等雇用における男女差別の規制は努力義務に止められた(配置,昇進については,8条において,「事業主は,労働者の配置及び昇進について,女子労働者に対して男子労働者と均等な取扱いをするよう努めなければならない。」としていた。)が,被告の職掌別人事制度の導入は,この旧均等法も意識したものであった。 なお,被告においては,それまでの10年間に,会社の危機的状況やコンピュータによる機械化により女性社員の新規採用を抑制する方法で女性社員の数を半分以下にしており,女性社員は入社後約半数が5年以内に,10年以内に約90パーセントが退職していたが,当時は相対的に長期勤続の女性社員の比率も増えつつあり,それに対処する必要もあった。 b 被告は,書面の配付,説明会の実施を行う 約半数が5年以内に,10年以内に約90パーセントが退職していたが,当時は相対的に長期勤続の女性社員の比率も増えつつあり,それに対処する必要もあった。 b 被告は,書面の配付,説明会の実施を行うなどして社員に職掌別人事制度導入の必要性を説明し,他方,組合は,組合ニュースを配付したり,アンケートや職場討議を実施して職掌別人事制度導入の可否について組合員の意見を聴取し,被告と合計8回にわたる団体交渉をした。導入の過程における組合との交渉や社員への説明に当たり,被告は,導入理由等について,「従来男女の性の違いと密接に結びついていた雇用管理,人事管理の枠組みを『将来にわたっての仕事』の違いによる枠組みに徹底させてゆくもの」である(甲3の(2)),「女子社員層の短期就労を前提とした現行の人事制度に代え,長期勤続者にも対応できる人事制度を確立」するものである(甲3の(1))などと説明していた。 女性社員の中には,職掌別人事制度の導入に反対していた者も少なからずいたが,組合は,昭和59年12月10日,組合の最高議決機関である全代議員総会において,賛成多数(87名中72名の賛成)で改定を承認し,第2章第2の2(2)のとおり,昭和59年12月12日,被告との間で,人事制度改定に関する協定を締結し,被告は,就業規則を改定して職掌別人事制度を導入し,これを昭和60年1月から実施し,併せて旧転換制度を設けた。 c 旧転換制度に基づき事務職から一般職に転換した者は,昭和62年10月に初めての転換者が出て以来平成7年7月までの間に9名であった。被告では,社内の実務講座があり,事務職も希望すれば勤務時間中に一般職と同一内容の講座を受講できたが,原告らは,旧転換制度が求める要件の一つである一般研修必須履修科目の履修はしてない。他方,職掌別人事制度の導入により 務講座があり,事務職も希望すれば勤務時間中に一般職と同一内容の講座を受講できたが,原告らは,旧転換制度が求める要件の一つである一般研修必須履修科目の履修はしてない。他方,職掌別人事制度の導入により男性社員は一般職に位置づけられたが,その中には一般研修必須履修科目を履修していない者もいた。 なお,被告は,人事考課についても,職掌別に評定要素,着眼点を定めた。 d 被告は,職掌別人事制度導入後,一般職,事務職について男女の別なく募集したが,一般職女子の採用については各部門で受入体制があることが前提であった。同制度導入後,事務職の採用は女子のみであり,一般職の採用は,平成10年までに女性8名,男性約260名であった。なお,被告は,平成9年,平成11年,平成12年には事務職を採用しなかった。 職掌別人事制度導入後も,被告の各課に配られた書類の中には,計画人員等について男女別にしたものがあった。 e 職掌別人事制度導入後,管理職,一般職は,勤務地について,「業務ニーズによって決まり,将来にわたり特定されない」とされたが,現実には転勤を伴う異動をしないままの者も少数いた。 (ウ)a 組合は,昭和57年定年延長問題を取り上げ,以後被告とこの問題を協議していたが,被告は,高年齢者雇用安定法が事業主が雇用労働者の定年を定めた場合には,特段の事情がない限り,60歳を下回ることができない旨に改正され,それが昭和61年10月1日に施行されたこと,他の総合商社6社(三井物産,三菱商事,伊藤忠商事,丸紅,ニチメン,トーメン)が60歳定年制を導入していたこと,被告も昭和62年2月公共職業安定所からも定年延長の要請を受けるなど,定年を60歳とすることが企業に対する社会的要請であったことから,その導入を図ることとした。しかし,被告では,人事制度,給与制度を改 告も昭和62年2月公共職業安定所からも定年延長の要請を受けるなど,定年を60歳とすることが企業に対する社会的要請であったことから,その導入を図ることとした。しかし,被告では,人事制度,給与制度を改定しないまま定年を60歳に延長した場合,ベースアップを織り込まないでも年間平均7億5000万円の原資が必要となり,被告の経営体力からその負担に耐え難かったこと,被告の人員構成上,57歳定年のままでも今後数年間で45歳以上の中高年層が40パーセントを超えることが予想されており,定年延長により,高齢化した一般職,管理職がさらに増え,上位ポストが空かなくなり,人材の活用や組織活力の維持向上に支障を来すことなどから,定年延長の導入と併せて,職掌制度の改定,55歳以上の社員の専任職への転換制度,退職金及び退職年金制度の改定を行うこととし,昭和63年8月20日,その旨を組合に提案した。 55歳以上の社員を専任職に転換させることとしたのは,例えば57歳から転換させるとすると,賃金の減額幅が大幅になる(その場合は40パーセントの減額となる。)こと,専任職として仕事をするためには3年程度は必要と考えたことによるものであった。 退職金及び退職年金制度を累積ポイント方式に変更したのは,従来の方式ではベースアップと退職金が連動したため,功労報償,老後保障の意味合いもある退職金とはなじまない面があるとし,これを切り離し,勤続年数のみならず職能資格に応じた部分を退職金及び退職年金に反映させるためであった。 当時,被告の同業他社では,定年延長導入とともに,50歳から52歳の間に専任職担当コースを選択すれば以後60歳まで90パーセントないし80パーセントの給与を支給するとする制度,57歳以降給与の60パーセントを支給する制度,58歳以降給与の50パーセント ら52歳の間に専任職担当コースを選択すれば以後60歳まで90パーセントないし80パーセントの給与を支給するとする制度,57歳以降給与の60パーセントを支給する制度,58歳以降給与の50パーセント又は65パーセントを支給する制度などがとられていた。なお,被告は,提案に当たり,定年選択制導入についても検討したが,異なる定年の社員が社内に存在するのは好ましくないこと,57歳定年を残すのは定年法の趣旨からして適切でないことから,これを提案しなかった。 b 被告の提案を受けて,組合は,被告と団体交渉を行うとともに,組合員に対し,職場説明会を開いたり,アンケートを実施したり,団体交渉の内容を知らせたり,質問状を被告に提出したりし,被告は,説明資料を配付したりした。 団体交渉においては,事務職から,「専任職が役職を外れることは事務職には当てはまらず,仕事の内容は変わらないのに給与だけが下がるのは納得できない。」との意見があったが,被告は,「3年間の雇用を延長することとのトータルのメリットと比較して判断してほしい。」と回答していた。 組合は,平成元年7月10日の全国代議員総会で被告の提案を賛成多数で可決し(70名のうち賛成は54名),第2章第2の2(3)のとおり,翌11日被告と平成元年覚書を締結した。当時,組合の本部,支部役員には若手や男性が多く,代議員も20代の者や男性が多かった。この状況は,後記(エ)の平成9年協定締結時も同様であった。 c 被告は,平成元年覚書の締結を受けて,就業規則等を改定し,同年8月1日から,それまでの定年57歳を定年60歳に延長する定年延長制度や専任職転換制度の新設,退職金制度の改定等を実施した。その内容は,第2章第2の2(3)ア,イのとおりである。 なお,専任職転換制度に関し,平成元年覚書では,管 定年60歳に延長する定年延長制度や専任職転換制度の新設,退職金制度の改定等を実施した。その内容は,第2章第2の2(3)ア,イのとおりである。 なお,専任職転換制度に関し,平成元年覚書では,管理職についても専任職に転換することとされていたが,被告は,被告の業務上重大な支障を来すとして一部管理職を専任職に転換させなかったため,組合の指摘を受けて改めて組合との間で,平成2年10月,本部長役職者及び参与を専任職転換の例外とする旨改定する旨の協定を締結した。 d 専任職転換制度実施後,専任職賃金カット額が多すぎるとの不満が組合員の中から生じ,平成4年9月,組合もこれを問題提起したが,女性組合員の有志も反対活動をした。その後,平成9年4月,専任職賃金カットは廃止された。 なお,原告Aが57歳で定年となった場合と,55歳で専任職賃金カットを受け60歳で定年となった場合とを比較すると,前者の場合は,後者の場合に比べ,3年多く働いて約616万円の増収になる(55歳以降57歳まで100パーセントの賃金を取得した場合の総賃金は約1846万円,55歳以降60歳まで80パーセントの賃金を取得した場合の総賃金は約2462万円)。 e 原告Aら6名は,平成5年9月14日,職掌別賃金体系は,男女差別の賃金体系であり,男性に適用されている一般職本俸体系が事務職にも適用されるべきであるとして,東京都の「職場における男女差別苦情処理委員会」に苦情の申立てをした。同委員会は,平成7年4月5日,双方に歩み寄る余地はなく,調整不能であるとして苦情処理を打ち切った。 (エ)a 被告は,創造的活動により高い価値をおいた人事処遇制度等を目的として,平成7年12月14日,組合に対し,人事制度の改定(新人事制度)を提案した。なお,組合も,現行の職掌別人事制度には問題がある 被告は,創造的活動により高い価値をおいた人事処遇制度等を目的として,平成7年12月14日,組合に対し,人事制度の改定(新人事制度)を提案した。なお,組合も,現行の職掌別人事制度には問題があるとして改革を求めていた。 この被告の提案を受けて,組合は,説明会やセミナーを開催したり,組合としての対案を作成したりして約1年3か月にわたり被告と交渉した。 b この被告の新人事制度の提案について,原告B,同Dらは,新人事制度では女性事務職が冷遇されるとして,平成9年1月中旬ころ「人事制度を考える会」を結成し,同年2月中旬ころには134名の反対署名を組合委員長ら宛に提出するなどの反対活動を行い,組合本部委員会でもオブザーバーとして反対意見を述べるなどした。 c 被告は,人事制度協議会における労使の検討成果をもとに,当初の提案を修正して,平成8年12月6日,新人事制度の最終実行案(その内容は,第2章第2の2(4)イのとおりである。)を提示した。この最終提案は,①一般職・事務職からの専任職への転換制度の廃止,②事務職から一般職への転換制度の変更,③事務特級と事務1級の考課母集団の同一化,④考課制度の公開と本人への結果通知,⑤移行時本人の月例給を新制度後も保証することといった組合の提案を受け入れたものであり,⑥付加給については55歳以降は支給されないこと,調整給の調整として55歳以降は不支給となることも記載されていた。 これを受けて,組合は,被告の最終実行案を組合ニュースで伝えるなどしたが,上記①ないし⑤のような組合提案に係る修正が組合員の大きな関心事であったことなどから,55歳からの付加給・調整給カットについて組合員に具体的な説明を十分にすることはしなかった。 組合は,平成9年2月15日,全国代議員総会を開催し,賛成多数(63名 な関心事であったことなどから,55歳からの付加給・調整給カットについて組合員に具体的な説明を十分にすることはしなかった。 組合は,平成9年2月15日,全国代議員総会を開催し,賛成多数(63名のうち賛成52名)で可決した。なお,原告Bらは,この代議員大会にオブザーバーとして参加し,意見を述べた。原告B,同Dらは,組合は,非組合員や事務職,一般職の意見を尊重するために全従業員の投票結果を踏まえて全国代議員大会に諮るべきであると主張していたが,組合の容れるところとならなかった。 d 第2章第2の2(4)アのとおり,組合は,平成9年3月25日,被告との間で平成9年協定を締結し,これを受けて被告は,就業規則等を改定し,同年4月からこれを実施した。 新人事制度の主な内容は第2章第2の2(4)イのとおりである。 このうち,付加給は,属人的要素の強い給与体系を是正していこうとする新人事制度の考え方に基づき,旧住宅手当を廃止する代替措置として設けられたものであり,調整給は,新人事制度の下で,賃金が下がることになる者に対して従来の賃金を保証する趣旨で設けられたものであった。被告が付加給の支給対象者を55歳未満としたのは,付加給は生活補助的手当であるところ,従来の専任職制度を廃止し60歳まで一貫管理していく新人事制度の下では,55歳以降も事務2級に止まる者等の例外的な場合を除き,これを55歳以上の者に支給しなくても給与面で不利益変更にならない,また,生活費の統計上50歳以降は生活費が低下し,55歳以降は大幅に低下するという一般的な傾向からすれば,55歳以上の者に支給しなくても支障がないと考えられる,という考え方によるものであった。また,被告が調整給の支給対象者を55歳未満としたのは,55歳以上の者は旧制度で専任職となる場合に比べ給与が下 5歳以上の者に支給しなくても支障がないと考えられる,という考え方によるものであった。また,被告が調整給の支給対象者を55歳未満としたのは,55歳以上の者は旧制度で専任職となる場合に比べ給与が下がることはないから,調整する対象がないとの考え方によるものであった。 なお,総務庁統計局による平成7年の世帯類型別一世帯当たり収入と支出(1か月平均)では,夫が世帯主である世帯で,50歳ないし54歳では実支出が52万3082円と各年層で最大であるのに対し,55歳ないし59歳では47万0977円と減少していた。 e 被告と組合は,平成11年2月19日,付加給の廃止及び人事制度の一部改定について協定し,付加給は平成11年3月31日で廃止し,一般職及び事務職について平成11年度1年間は同年3月末日現在支給している付加給額と同額を調整給として支給し,平成12年度,平成13年度での2年間で基本給に組み込むとした。そして,付加給は平成13年3月31日をもって廃止された。 この付加給の基本給組み入れにより,例えば,一般職1級の基本給テーブルの26歳から30歳までの者は,平成12年4月1日付けで1万1000円が,平成13年4月1日付けで6000円が基本給に組み入れられるが,事務職特級の基本給テーブルの者は,平成12年4月1日付けで1万8000円が,平成13年4月1日付けで2000円が,事務職1級の基本給テーブルの者は,平成12年4月1日付けで7000円が,平成13年4月1日付けで1000円が,それぞれ基本給に組み入れられることになった。 f 新人事制度の下では,第2章第2の2(4)イ(ウ)のとおり,職掌転換制度も改定された。新転換制度の下では,事務職から一般職への転換試験受験資格は最短で27歳で取得することができ,8月末の試験を経て,転換者は10月 では,第2章第2の2(4)イ(ウ)のとおり,職掌転換制度も改定された。新転換制度の下では,事務職から一般職への転換試験受験資格は最短で27歳で取得することができ,8月末の試験を経て,転換者は10月1日以降に一般職一般1級に転換する。ちなみに,一般職で入社した社員が一般1級となるのは最短で27歳である。新転換制度に基づき事務職から一般職に転換した者は,平成14年4月までの間に合計16名であった。新転換制度において事務職から一般職への転換に際し満たすことが要求される昇級要件は,現在の一般職在職者は全て満たしている。 なお,被告は,平成13年4月からは,組合と合意の上,事務職から一般職への転換について,対象者をそれまでの「事務1級以上」から「事務1級以上かつ考課評点AB以上」とし,転換試験受験資格要件の一つであった「TOEIC600点以上」は削除し,転換後の配属についても「転換時に職務の変更を人事部が確認する。(他部門への異動も含む)」を付け加えた。 キ均等法の成立平成9年6月,旧均等法を改正した「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」(以下「均等法」という。)が成立し,平成11年4月1日から施行された。均等法では,「事業主は,労働者の募集及び採用について,女性に対して男性と均等な機会を与えなければならない。」(5条),「事業主は,労働者の配置,昇進及び教育訓練について,労働者が女性であることを理由として,男性と差別的取扱いをしてはならない。」(6条)とされ,それまでの努力義務の規制が強行規定・禁止規定とされた。 (3) 検討上記(2)の認定事実に基づき,検討する。 ア賃金格差の生じた理由について(ア) 被告は,取引機能を中心に,多様な機能をもつ総合商社である((2)ア)。 総合商社は,業者と業者 。 (3) 検討上記(2)の認定事実に基づき,検討する。 ア賃金格差の生じた理由について(ア) 被告は,取引機能を中心に,多様な機能をもつ総合商社である((2)ア)。 総合商社は,業者と業者との取引に介在し,両者をつなぐことによって利益を上げることを基本とする企業であるから,総合商社においては,業者と業者をつなぐ契約を成立させること,すなわち成約業務が中心的業務であるということができる。 そして,成約業務においては,上記(2)エ(イ)b,(ウ)b,(エ)a,(オ)b,(カ)bのように,交渉力,語学力,商品知識等が要求されるものであるから,一般的にみて,処理の困難度の高い業務であるということができる。 被告は,営業部門においては,この成約業務を一般職社員に担当させ,事務職社員については成約後の取引完了に至るまでの契約履行に関する様々な業務に従事させている((2)エ)。 なお,原告Aは,繊維部織物課において,仕入れ,納品の業務に従事し,仕入材料の選定,仕入価格や納入価格の決定業務に従事していたことがあり((2)エ(ア)a),原告Cは飼料油脂部飼料第3課で肥料の受・発注業務に,油脂課で兼松食品との取引業務,農産課で輸出入ラードの成約を,食品第3課において兼松香港との成約を((2)エ(ウ)a,b),原告Fは,羊肉取引において成約を担当したことがあったし((2)エ(カ)b),他にも成約業務に携わった事務職もいた((2)オ(ア))が,これらは少額ないし予め定められた一定範囲内の成約又は一時的に成約に関与したもので,成約業務を広範囲にわたって恒常的に行っていたものではないから,これらのことから被告が営業部門において成約業務を一般職社員に担当させているとの上記の判断を覆すに足りない。 また,被告においては,営業部門に 範囲にわたって恒常的に行っていたものではないから,これらのことから被告が営業部門において成約業務を一般職社員に担当させているとの上記の判断を覆すに足りない。 また,被告においては,営業部門における業務のみならず様々な部門における業務があるが,これらの業務をみると,多種多様であり,その中には高度の専門的知識・能力を必要とするものから,そのような知識・能力をそれほど必要としないものまで様々なものが存在しているということができる((2)エ,オ)。また,原告らの担当した業務と一般職が担当した業務を比較すると,被告が重要度の高い業務と位置づけた業務は一般職に,それほど重要度が高くないと位置づけた業務は事務職に担当させていたともいうことができる((2)エ)。 被告は,これをとらえて,一般職には基幹業務を,事務職には定型的・補助的業務を担当させていたと主張する。しかしながら,原告らが担当した業務の中においても,上記(2)エで認定した原告らの業務の例(例えば,原告Aについては,通関業務,300万円以上の商品代金の納入確認業務等,原告Bについては,支払期日の繰り延べ,倉庫会社への出庫指示等,原告Cについては,兼松食品や兼松香港との取引担当等,原告Dについては,統括室勤務における業務等,原告Eについては,契約書の作成等,原告Fについては,在庫と売掛金が合わない問題の調査等)にみられるとおり,貿易実務や経理実務についての知識・経験が必要とされるものが相当あるのであって,原告らが単なる定型的・補助的業務ばかりに従事していたとは到底いえないし,事務職が担当した成約後の履行に関する業務も,取引を円滑に完了させ,被告の信用につなげるという意味では重要な業務であるといえること,一般職が担当していた業務を事務職に担当させたことがあること((2)エ(ウ)a, した成約後の履行に関する業務も,取引を円滑に完了させ,被告の信用につなげるという意味では重要な業務であるといえること,一般職が担当していた業務を事務職に担当させたことがあること((2)エ(ウ)a,b),逆に,新人とはいえ,事務職の仕事を一般職に担当させたことがあること((2)エ(イ)b)などからすれば,被告の行う業務について,被告主張のように基幹的業務と定型的・補助的業務とを明確かつ截然と区別することは困難であり,被告においては,処理の困難度の高いものから低いものまで,その程度が異なるものが様々あるという程度で,両者の差異は相対的なものというべきである。 結局,被告は,一般職については営業部門における成約業務を中心とする比較的処理の困難度の高い業務に,事務職についてはそれ以外の業務を中心とする比較的処理の困難度の低い業務に,それぞれ従事させてきたということはできるが,両者の境目は明らかではなく,またその一部は重なり合っていたと認めることができる。 (イ) 被告は,原告らの採用に当たり,原告らに対して,原告らが従事する業務が定型的・補助的業務であると説明したわけではない((2)イ(ア)ないし(ウ))。 (ウ) 以上(ア),(イ)からすれば,原告らを定型的・補助的業務に従事するものとして採用したとの被告の主張は,それが原告らを同業務のみに従事するものとして採用したというのであれば,とり得ないというべきである。 (エ) しかしながら,被告は,従業員の募集,採用においては,男性と女性とでは,募集方法を異にし,男性は役員面接を行った上採用していたのに対し,女性は支店長ないし人事部長等限りでの面接によって採用し,勤務地も女性は親元通勤であることなどの条件を示していた。また,採用後の研修においても,男女では異なる内容としている 上採用していたのに対し,女性は支店長ないし人事部長等限りでの面接によって採用し,勤務地も女性は親元通勤であることなどの条件を示していた。また,採用後の研修においても,男女では異なる内容としている((2)イ(ア)ないし(ウ))。 これからすれば,被告は,男性社員と女性社員とで職務内容が異なることを明らかにして採用をしたわけではないが,少なくとも勤務地については男女を区別しているということができる。したがって,この募集,採用により,原告らと被告との労働契約は,勤務地を一定地域とする勤務地に限定のあるものとして締結されたと認めるのが相当であり,このことは,採用後の配置において,原告らについても,東京で勤務しており((2)エ),全国的な異動の対象とはされていないことからも認められる。 (オ) 以上のような,男性社員,女性社員の募集,採用条件,採用後の配置,異動状況のほか,採用後の男女の研修体系が異なっていること,商社としての活動上全国又は海外への異動をするものとして予定されているもの(男性社員)と勤務地に限定のある者(女性社員)とでは積む経験,知識も自ずから異なると考えられること,原告らが入社当時の女子の平均勤続年数は短かったこと((2)ウ)を併せ考えると,被告は,当時の社会情勢を踏まえた企業としての効率的な労務管理を行うため,男性社員については,総合商社の中心的業務である成約業務を中心とする主に処理の困難度の高い職務を担当し,将来幹部社員に昇進することが予定される者として処遇し,また,その勤務地も限定しないものとし,女性社員については,そのような処遇をすることを予定せず,主に成約以後の履行を中心とする処理の困難度の低い業務に従事する者として処遇し,また勤務地を限定することとしたものというべきであり,社員の採用にあたっても,このよう ような処遇をすることを予定せず,主に成約以後の履行を中心とする処理の困難度の低い業務に従事する者として処遇し,また勤務地を限定することとしたものというべきであり,社員の採用にあたっても,このように男女で異なった処遇をすることを予定していたことから,男女別に異なった募集,採用方法を取っていたものと認められる。 したがって,被告は,社員につき,被告主張のようにまず職種の違いがあることを前提としてではなく,男女の性による違いを前提に男女をコース別に採用し,その上でそのコースに従い,男性社員については主に処理の困難度の高い業務を担当させ,勤務地も限定しないものとし,他方,女性社員については,主に処理の困難度の低い業務に従事させ,勤務地を限定することとしたものと認めるのが相当である。 そして,その結果,被告の賃金体系(社員,準社員の別,A体系とB体系の別,一般職標準本俸表と事務職標準本俸表の別等。第2章第2の2)から明らかなように,被告においては,入社後の賃金についても,その決定方法,内容が男女のコース別に行われていたもので,それに伴い,賃金格差も生じていたということができる。 イ格差の合理性について(ア) 上記ア(オ)のとおり,被告は,原告らの入社当時,男女をコース別に採用,処遇していたもので,このような採用,処遇の仕方は,性によって採用,処遇を異にするというものであるから,法の下の平等を定め,性による差別を禁止した憲法14条の趣旨に反するものである。 しかしながら,憲法14条は,私人相互の関係を直接規律することを予定したものではなく,民法90条の公序良俗規定のような私的自治に対する一般的制限規定の適用を介して間接的に適用があるに止まると解するのが相当である。そして,性による差別待遇の禁止は,民法90条の公序をなしている はなく,民法90条の公序良俗規定のような私的自治に対する一般的制限規定の適用を介して間接的に適用があるに止まると解するのが相当である。そして,性による差別待遇の禁止は,民法90条の公序をなしていると解されるから,その差別が不合理なものであって公序に反する場合に違法,無効となると言うべきである。以下,この見地から検討する。 (イ) 原告らが入社した当時,性による差別を禁じた実体法の規定としては,労基法4条があり,「使用者は,労働者が女性であることを理由として,賃金について,男性と差別的取扱いをしてはならない。」と定めている(当時の文言は,「女性」,「男性」ではなく,「女子」,「男子」)。また,同法3条は,「使用者は,労働者の国籍,信条又は社会的身分を理由として,賃金,労働時間その他の労働条件について,差別的取扱いをしてはならない。」と定めている。 労基法3条は,その文言から明らかなように,性による差別の禁止を規定したものではなく,また,労働条件についての差別的取扱いを禁止しているに止まる。募集,採用に関する条件は労働条件に含まれないから,被告のとった男女のコース別採用,処遇が同条に違反するとはいえない。 また,労基法4条は,性による賃金差別を禁止しているに止まるから,採用,配置,昇進などの違いによる賃金の違いは,同条に違反するものではなく,被告が行った男女のコース別の採用,処遇の違いにより男女間に賃金に差が生じても,それは,採用,配置,その後の昇進の違いによるものであるから,同条に直接違反するともいえない。 なお,上記(2)カ(イ)a,同キのとおり,昭和60年に制定された旧均等法は,募集,採用,配置,昇進についての男女の差別的取扱いに関して規定しているが,それをしないことを使用者の努力義務に止めており,その禁止が使用者の イ)a,同キのとおり,昭和60年に制定された旧均等法は,募集,採用,配置,昇進についての男女の差別的取扱いに関して規定しているが,それをしないことを使用者の努力義務に止めており,その禁止が使用者の法的義務にまで高められたのは均等法(平成9年6月制定。平成11年4月1日より施行)になってからである。 (ウ) 原告らが入社した当時において,被告が従業員の募集,採用について,男性については,主に処理の困難度の高い職務を担当し,将来幹部従業員に昇進することが予定される者であることから,勤務地に限定のない者として,他方,女性については,主に処理の困難度の低い業務に従事することが予定される者であることから,勤務地に限定のある者として,男女別に行ったことは,女性に男性と均等の機会を与えなかった点で男女を差別するもので,法の下の平等に反するものとして公序に反するのではないかが問題となる。 しかしながら,上記(イ)のとおり,従業員の募集,採用に関する条件は,労基法3条の定める労働条件ではなく,また,上記ア(ウ)のような形態の男女のコース別の採用,処遇が労基法4条に直接違反するともいえないこと,原告らの入社当時,募集,採用,配置,昇進についての男女の差別的取扱いをしないことを使用者の努力義務とする旧均等法のような法律もなかったこと,企業には労働者の採用について広範な採用の自由があることからすれば,被告が,原告らの入社当時,従業員の募集,採用について男女に均等の機会を与えなかったからといって,それが直ちに不合理であるとはいえず,公序に反するものとまではいえない。 (エ) 被告は,採用後も男女従業員について異なる処遇をしているのであるが,原告らの採用時にその旨の説明はしていない((2)イ)。 しかしながら,使用者である企業は,労働者を雇用する い。 (エ) 被告は,採用後も男女従業員について異なる処遇をしているのであるが,原告らの採用時にその旨の説明はしていない((2)イ)。 しかしながら,使用者である企業は,労働者を雇用するに当たり,個別労働者と労働契約を締結するのであるから,企業が当該労働者に対して説明義務を負う範囲は,当該労働者との労働契約の内容となる労働条件に止まると解するのが相当であり,当該労働者に対し,他の労働者の労働条件についてまで説明する義務があるとすることはできない。原告らは,その職種を「事務職」,「一般事務」とし,勤務地に限定のある社員とする募集に応じて採用されたものであり(旧兼松時代に採用された原告A,同Dについても,合併後の被告の募集,採用方法からしてそのように推認することができる。),その後も事務業務に従事し,勤務地に限定のある社員として処遇されているから,その処遇について,原告らが締結した労働契約との間に違いはない。 (オ) 使用者である企業は,採用後の従業員の処遇についても広範な労務管理権を有しているから,従業員に区分を設け,その区分に応じた処遇を行うことができると解されるが,上記のような形態での男女別の採用,処遇をすることは,性別に基づくものであって,少なくとも均等法が施行された平成11年4月以降において,このような男女のコース別に従業員を採用した上,男女に区分して処遇をすることが合理的であるということはできないから,被告が均等法施行後においてこの採用,処遇をすることは,均等法に違反すると同時に,公序に反するものとして違法であることは明らかである。 しかしながら,原告らが入社した当時は,企業においては,女性の勤続年数が短く((2)ウ),一般的にみて,女性について全国的な異動や海外赴任を行うことは考え難かったといえるから,企 らかである。 しかしながら,原告らが入社した当時は,企業においては,女性の勤続年数が短く((2)ウ),一般的にみて,女性について全国的な異動や海外赴任を行うことは考え難かったといえるから,企業においても効率的な労務管理を行うためには,女性従業員の採用,処遇についても,そのことを考慮せざるを得ず,これを考慮した被告の男女のコース別の採用,処遇が,原告らの入社当時において,不合理な差別として公序に反するとまでいうことはできない。また,上記ア(ア)のように,男性と女性では,その従事する業務は一部重なり合っていたものの,大半は異なっていたのであるから,このような被告のした男女のコース別の採用,処遇が労基法4条に違反し,不合理な差別であって公序に反するとまでいうこともできない。 (カ) その後被告は,昭和60年から人事制度を改め,一般職と事務職の区別を設けているが,男性従業員のほとんどは管理職・一般職に,女性従業員は事務職に位置付けているのであるから,被告の男女のコース別の処遇が人事制度の改定によって変わったとすることはできない。被告の人事制度の改定は,昭和60年に旧均等法が制定され,昭和61年4月から施行されることから,これに対処し,男女のコース別の処遇を引き続き維持するため,一般職,事務職の区別を設けたにすぎないと認めるのが相当である。 ところで,この間の違法とまではいえない男女のコース別の処遇により,事務職と一般職とでは,その担当した業務により,積まれた知識,経験に差が生じたことは否定できないから,この男女のコース別の処遇による格差を解消するために,事務職から一般職への転換制度が設けられ,その内容が合理的なものであれば,そのことは被告の人事制度が女性差別とはいえないことの証左となり得ると解される。 そこで旧転換制度の内容 消するために,事務職から一般職への転換制度が設けられ,その内容が合理的なものであれば,そのことは被告の人事制度が女性差別とはいえないことの証左となり得ると解される。 そこで旧転換制度の内容をみるのに,昭和60年の人事制度の改定の際に設けられた旧転換制度(第2章第2の2(2)イ)は,事務職・一般職相互間の転換を認める制度とはなっているものの,事務職から一般職への転換は,対象者が「事務1級資格者として能力・実績優秀な者」とされているのみで,その要件自体抽象的である上,本部長の推薦があってはじめて転換対象者となるとされていることからすれば,事務職が一般職への転換を希望しても,本部長の推薦がない限り転換試験そのものも受験できず,転換の機会それ自体を奪われることになっているのであるから,そのことだけをみても,事務職に属する女性社員に対して特別の条件を課するものといわざるを得ず,配置に関する被告の労務管理権を考慮しても,旧転換制度の存在により配置における男女の違いが正当化されるとすることはできない。 しかしながら,旧均等法は,上記(イ)のとおり男女で差別的取扱いをしないことを努力義務に止めているのであり,上記(オ)で述べたところを併せ考えると,旧均等法が制定,施行されたからといって,被告の男女のコース別の処遇が公序に反して違法であるとまでいうことはできない。したがって,昭和59年協定がこの点において違法であり,原告らに適用されないとの原告らの主張も採用できない。 (キ) 被告は,その後平成9年に再度人事制度を改め,一般職を総合職掌及び一般職掌に,事務職を事務職掌とし,その職務内容等を規定しているが,そこにいう基幹的業務と定型的・補助的業務との区別が相対的なものにすぎないことは上記ア(ア)のとおりであり,被告は,従来の一般職社員 掌に,事務職を事務職掌とし,その職務内容等を規定しているが,そこにいう基幹的業務と定型的・補助的業務との区別が相対的なものにすぎないことは上記ア(ア)のとおりであり,被告は,従来の一般職社員は一般職掌ないし総合職掌に,従来の事務職社員はすべて事務職掌に振り分けているのであるし,その際にそれぞれの職掌の職務を分析したことを認めるに足りる証拠もないから,これらの改定から見る限り,従来の男女のコース別の処遇が改められたとはいえない。もっとも,上記(カ)のとおり,この間の違法とまではいえない男女のコース別の処遇により,事務職と一般職とでは,その担当した業務により,積まれた知識,経験に差が生じたことは否定できないから,労働者の配置,昇進等について,女性であることを理由とする差別の取扱いを禁止した均等法6条との関係上,この差を解消する方法として事務職から一般職への転換を認める被告の新転換制度の内容が合理的であってはじめて,被告の人事制度が女性差別として違法なものとはいえなくなるものとなると解するのが相当である。 新転換制度の内容は別紙3のとおりであり,新転換制度では,事務職から一般職への職掌転換について,対象者を従来同様事務1級以上としたが,旧転換制度における「能力・実績優秀な者」との要件はなくなり,本部長の推薦は不要とされ,本人の希望と「一般職実務検定全教科合格,日商簿記3級,日商ワープロ3級,TOEIC600点以上」の昇級要件を満たすこととされ,転換試験の内容も従来の「小論文,一般常識,職業適性検査」から「適性検査(一般職新卒採用時に実施しているものと同一),小論文,役員面接」と改められている(第2章第2の2(2)イ,(4)イ(ウ))。この昇級要件は,現在の一般職在職者は全て満たしているものである((2)カ(エ)f)。 この しているものと同一),小論文,役員面接」と改められている(第2章第2の2(2)イ,(4)イ(ウ))。この昇級要件は,現在の一般職在職者は全て満たしているものである((2)カ(エ)f)。 この改定後の新転換制度は,専ら本人の希望と一定の資格要件を満たせば職掌転換試験が受けられるもので,転換試験の内容も,一般職新卒採用時に実施しているのと同一の適性検査があるほかは,小論文,役員面接であって,一般職から総合職への転換試験の内容と同一内容である。事務職から一般職に職掌転換された者は人事部が全社的観点から配属先を決定するとしている。 この新転換制度は,上記のコース別人事制度の下において,職掌間の転換を可能とするもので,その内容も合理的であるということができる。原告らは,男性は資格・能力を問わず一般職になっているのに対し,事務職である女性のみに資格要件の具備を求めるのは不当である旨主張するが,職掌があり,それに伴い積む知識・経験が異なった者についてその転換をする以上,一定の資格要件の具備を求めるのはやむを得ないと考えられるから,原告らの主張は採用できない。 もっとも,この新転換制度では,転換対象者として「事務1級以上」とされ,転換後の基本給は原則として一般1級初年度の水準を適用されるところ,事務1級になるのは早くても27歳であり,一般1級への転換は最短で28歳になるのに対し,一般職の社員の一般1級の初年度は早くて27歳であるから(第2の2(2)カ(エ)f),職種転換しても直ちにそれまでの賃金格差がなくなるわけではないが,上記のとおり,一般職と事務職では転換までの間の知識,経験が異なると考えられることからすれば,そのような差があることを考慮しても,この転換制度が不合理であるということはできない。 なお,原告らは,事務職が総 一般職と事務職では転換までの間の知識,経験が異なると考えられることからすれば,そのような差があることを考慮しても,この転換制度が不合理であるということはできない。 なお,原告らは,事務職が総合職になるには,事務職から一般職になった後さらに総合職への転換制度をクリアしなければ旧制度の一般職本俸テーブルによるより低額な賃金に抑制される旨主張するが,一般職が総合職になる場合でも総合職への転換制度をクリアしなければならないのであるから,そのことにより事務職のみが低額な賃金に抑制されているとはいえず,原告らの主張は採用できない。また,原告らが主張するように,被告が新転換制度を恣意的に運用していることを認めるに足りる十分な証拠はない。 以上によれば,新転換制度は,職掌間の転換を可能なものとする合理的な制度であるといえるから,原告ら主張のように,被告の賃金体系が民法90条の公序に反する違法な女性差別であるとはいえない。 なお,新転換制度は,平成13年4月に改定され,事務職から一般職への転換について,対象者がそれまでの「事務1級以上」から「事務1級以上かつ考課評点AB以上」とされ,転換試験受験資格要件の一つであった「TOEIC600点以上」が削除され,転換後の配属も「転換時に職務の変更を人事部が確認する。 (他部門への異動も含む)」が付け加えられているが((2)カ(エ)f),配属部分の改定は転換対象者にとって特段不利益とはいえないこと,「TOEIC600点以上」が削除されたことはより転換を容易にするものといえること,「考課評点AB以上」が加えられたからといって,それまでの知識,経験を異にする一般職への転換に当たり,事務職としての一定の能力を要求することが不合理とはいえないことからすると,この改定された新転換制度もまた,職掌の転換の 加えられたからといって,それまでの知識,経験を異にする一般職への転換に当たり,事務職としての一定の能力を要求することが不合理とはいえないことからすると,この改定された新転換制度もまた,職掌の転換のための合理的なものということができる。 (ク) 新人事制度の下において,旧住宅手当を廃止する代替措置として設けられた生活補助的手当である付加給は本給に組み入れられることになったが,その組み入れ額は,平成12年と平成13年の合計で一般職1万7000円,事務職特級2万円,事務職1級8000円である((2)カ(エ)d,e)。この組み入れ額は労使が合意して決定されたものであるし(同e),事務職特級も女性であることからすれば,事務職1級への組み入れ額が低額となったからといって,直ちにこの組み入れ額の決定が女性差別であるとはいえなから,これを女性差別であるとする原告らの主張は採用できない。 (ケ) 以上によれば,被告における一般職と事務職との賃金格差が違法であるとする原告らの主張は理由がないといわざるを得ない。 第3 争点3(専任職賃金カットの違法性)について 1 専任職賃金カット決定の経緯等被告は,組合との間で平成元年覚書を締結した上,就業規則等を改定し,平成元年8月1日,定年をそれまでの57歳から60歳に延長するに際し,専任職賃金カット等をした。被告では,人事制度,給与制度を改定しないまま,定年を60歳に延長すれば,被告の経営体力から賃金の負担(人件費の増大)に耐え難く,また,被告の人員構成上,高齢化した一般職や管理職がさらに増え,上位ポストが空かなくなり,組織活力の維持向上の支障を来すことなどから,定年延長の導入と合わせて,退職金制度等の改定を行うとともに,専任職制度を設け,55歳に到達した者は翌月より専任職に転換することとし,その給与 かなくなり,組織活力の維持向上の支障を来すことなどから,定年延長の導入と合わせて,退職金制度等の改定を行うとともに,専任職制度を設け,55歳に到達した者は翌月より専任職に転換することとし,その給与を従前の額の80パーセントとすることとした。組合員である原告Aは,満55歳に達した翌月から専任職に転換となり,専任職賃金カットを受けていたもので,その賃金は,従来の57歳定年であれば55歳から57歳までの3年間勤務した場合の賃金が合計約1846万円になるのに対し,定年延長及び専任職制導入により55歳から60歳までの5年間勤務した場合の賃金は約2462万円であり,3年間多く働くものの,約616万円多くなるに過ぎない。原告Aは専任職になっても仕事の内容は変わっていない。原告Aは,専任職になった当時,2人目の子供が高校入学時であり,貯金を取り崩すなどの対応をせざるを得なかった。(以上第2章第2の2(3),第3章第2の2(2)カ(ウ),原告A本人) 2 平成元年覚書の原告Aへの適用の有無(1) 労働協約は,組合員の個々の労働契約について規範的効力を有するものであり(労働組合法16条),その変更内容が組合員に不利益を及ぼす場合であっても,当該協約が締結されるに至った経緯,使用者の経営状態,変更内容に照らし,同協約が特定の又は一部の組合員をことさら不利益に扱うことを目的として締結されたと認められる特段の事情がない限り,不利益を及ぼされた組合員にも効力が及ぶものである(最高裁第一小法廷平成9年3月27日判決労働判例713号27頁)。 (2) これを本件についてみるのに,平成元年覚書は,それが書面化されていること及びその内容から労働者の労働条件を定めているといえることからして(第2章第2の2(3)ア),労働協約であると認められる。平成元年覚書は,専任職賃金カ のに,平成元年覚書は,それが書面化されていること及びその内容から労働者の労働条件を定めているといえることからして(第2章第2の2(3)ア),労働協約であると認められる。平成元年覚書は,専任職賃金カット等を内容とするものであるから,同覚書は専任職転換の対象となる原告Aらに不利益をもたらすものであるが,一般に労働協約の変更は労使間の利益を調整して行われるものであるから,その内容には組合員に有利なものと不利なものとがあり得ること,同覚書は,定年延長という社会的要請に応じるためのものであったこと,一般に,定年延長は,年功賃金による人件費の負担増加を伴うのみならず,中高年労働者の役職不足を深刻化し,企業活力を低下させる要因ともなるから,定年延長に伴う人件費の増大,人事の停滞等を抑えることは経営上必要なことといえること,現に被告においては,中高年齢社員が多く,今後さらに高齢化が進み,役職不足も拡大する見通しである反面,経営体力が十分とはいえない状況にあったこと(第2の2(2)カ(ウ)a),以上のことからすれば,被告においては,従前の定年である57歳以降の賃金水準等を見直し,これを変更する必要性すなわち専任職賃金カットの必要性があったといえるし,専任職賃金カットの内容も,同業他社のカットの内容と遜色はないといえるものである(第2の2(2)カ(ウ)a)。 なお,原告Aをはじめとする事務職は役職に就くことはないから,被告が定年延長に当たり考慮した中高年齢社員の役職不足の問題は事務職には生じないが,定年延長に伴う人件費の増大は事務職にも当てはまるものであるから,そのことを理由に事務職の賃金水準等の見直しの必要性がなかったとはいえない。 以上のことからすれば,専任職賃金カットを含む平成元年覚書は,定年延長に際し,被告の経営状態を踏まえ,定年延長に伴 ら,そのことを理由に事務職の賃金水準等の見直しの必要性がなかったとはいえない。 以上のことからすれば,専任職賃金カットを含む平成元年覚書は,定年延長に際し,被告の経営状態を踏まえ,定年延長に伴う人件費の増大等を抑制するために締結されたものといえるから,これが年齢及び性による差別であり,民法90条に反し違法であるとする原告らの主張は採用できない。 また,平成元年覚書の締結に至るまでには,被告と組合との間で交渉が重ねられるとともに,組合は,職場説明会やアンケートの実施などを行い,また反対意見も踏まえた上,全国代議員総会で被告の提案を可決したのであるから(第2の2(2)カ(ウ)b),女性組合員が専任職賃金カットに反対し,平成元年覚書締結の過程においてその意見が容れられなかったからといって,組合が平成元年覚書を締結したことが,組合員から与えられた授権の範囲を逸脱し,労働組合の交渉権や労働協約締結権を濫用したものとはいえない。組合の中では女性組合員は少数であり,代議員に20代の者が多かったことや,本部・支部役員に男性が多かったからといって,この判断を左右するに足りない。 (3) 以上(1),(2)によれば,平成元年覚書が特定の又は一部の組合員をことさら不利益に扱うことを目的として締結された特段の事情,すなわち平成元年覚書が女性組合員を拘束しない特段の事情があるとはいえないから,専任職賃金カットを定めた同協約は原告Aにも効力が及ぶもので,同協約が原告Aに適用されないとの同原告の主張は採用できない。 3 就業規則不利益変更の合理性について上記2のとおり,専任職賃金カット等の就業規則変更(第2章第2の2(3)ア,イ,第4章第2の2(2)カ(ウ))は,被告の社員全員で組織されている組合との交渉,合意を経て労働協約を締結した上で行われたものであ とおり,専任職賃金カット等の就業規則変更(第2章第2の2(3)ア,イ,第4章第2の2(2)カ(ウ))は,被告の社員全員で組織されている組合との交渉,合意を経て労働協約を締結した上で行われたものであるから,変更された就業規則の内容は労使間の利益調整がされた結果としての合理的なものであると一応推測することができるというべきである。 そして,上記2で判断したところによれば,定年延長の高度の必要性を肯定することができるし,定年延長に伴い,55歳以降の賃金水準等の見直し・変更をする必要性も高度なものであったということができる。また,その変更内容も同業他社と遜色のないものであること,定年が57歳から60歳に延長されたことに伴い,その間社員の地位にあることにより被告の福利厚生制度も適用されることは定年延長に伴う賃金面での不利益を一定程度緩和するものということができること,定年延長に伴う賃金制度の見直し・変更は統一的かつ画一的に処理すべき労働条件に係るものであるから,就業規則による一体的な変更を図ることが望ましいこと,以上を総合すれば,被告がした専任職賃金カットを含む平成元年8月の就業規則の変更は合理性があるというべきであるから,この変更された就業規則は原告Aをも拘束するというべきである。 なお,この就業規則の変更が民法90条に違反するといえないことは上記2のとおりである。 第4 争点4(付加給・調整給カットの違法性)について 1 付加給・調整給カットの経緯等被告は,組合との間で平成9年協定を締結した上,就業規則等を改定し,平成9年4月1日,55歳達齢による付加給・調整給カットを含む新人事制度を導入した。被告が55歳達齢による付加給・調整給カットの措置をとることとしたのは,付加給は旧住宅手当・家族手当を廃止する代替措置として設けられたもの 歳達齢による付加給・調整給カットを含む新人事制度を導入した。被告が55歳達齢による付加給・調整給カットの措置をとることとしたのは,付加給は旧住宅手当・家族手当を廃止する代替措置として設けられたものであるが,一般職,事務職について従来の専任職制度を廃止し60歳まで一般職,事務職として一貫管理することとした結果,55歳以上でも事務2級である者等例外の者を除き,55歳以降支給しなくても給与面で不利益にならないこと及び55歳以降生活費は大幅に低下するとする生活費に関する統計から支給しなくてもは支障がないと考えたためであり,調整給は新人事制度の導入による新たな基本給が従前の制度での月例給を下回る場合に差額を支給して従前の制度での月例給を下回ることのないよう保証するものであるが,55歳以上の者は旧制度で専任職となる場合に比べ給与が下がることはなく,調整の対象がないとすることによるものであった。(以上第2章第2の2(4)イ(イ),第4章第2の2(2)カ(エ)) 2 平成9年協定の原告B,同D,同Cへの適用の有無(1) 平成9年協定は,それが書面化されていること及びその内容から労働者の労働条件を定めているといえることからして(第2章第2の2(4)イ),労働協約であると認められる。55歳達齢による付加給・調整給カットを含む平成9年協定は同カットを受ける原告Bらに不利益をもたらすものであるが,上記1でみたところによれば,このカットには一定の合理性があるといえるから,人件費の節減を図るために被告にはこのカット措置をとる必要性があったということができるし,賃金をどのように定めるかは労使の交渉の結果により決定されるものであることも併せ考えると,従事する業務の内容に変わりがないのに55歳到達により付加給・調整給カットをしたからといって,それが年齢を理由とする不 のように定めるかは労使の交渉の結果により決定されるものであることも併せ考えると,従事する業務の内容に変わりがないのに55歳到達により付加給・調整給カットをしたからといって,それが年齢を理由とする不合理な差別であるとまではいえない。また,このカットは,総合職,一般職,事務職を問わず55歳に到達することにより行われるものであることからすれば,性別を理由とする不合理な差別であるともいえない。 これが民法90条の公序に反し違法・無効であるとの原告らの主張は採用できない。 (2) また,平成9年協定の締結に至るまでには,被告と組合との間で約1年間交渉を重ねるとともに,組合は,職場説明会やアンケートの実施などを行い,組合としても対案を出すなどし,原告Bらの平成9年協定締結への反対意見をも踏まえた上,全国代議員総会で被告の最終実行案を可決したのであるから(第2の2(2)カ(エ)aないしc),組合は,組合員全体の利益を公平に調整するための努力をしたものということができる。 原告らは,調整給不支給については労働組合から組合員に対する事前の説明はされておらず,平成9年協定締結はだまし討ちに等しいと主張するが,組合は,55歳からの付加給・調整給カットについて具体的な説明は十分組合員にしなかったものの,組合ニュースには55歳以降は不支給とする旨の会社側の最終実行案を掲載しているから(第2の2(2)カ(エ)c),組合から組合員に対する事前の説明がなかったとはいえず,同カットが原告らに対するだまし討ちであるとまではいえないから,これをいう原告らの主張は採用できない。 女性社員の圧倒的多数が新人事制度に反対しているにもかかわらず,組合の中で圧倒的多数を占める男性社員が,新人事制度に異議を唱えなかったからといって,上記第3の2(1)のとおり,労働協約の変 い。 女性社員の圧倒的多数が新人事制度に反対しているにもかかわらず,組合の中で圧倒的多数を占める男性社員が,新人事制度に異議を唱えなかったからといって,上記第3の2(1)のとおり,労働協約の変更内容には組合員に有利なものと不利なものとがあり得ること,組合は,これら反対意見も踏まえた上,平成9年協定を締結していることからすれば,そのことを理由に平成9年協定が原告Bらに効力が及ばないとすることはできない。 原告らは,労働組合が組合員の中で利害対立が顕著となる制度の提案に対し,全体として提案を受け入れるかどうかを意思決定することは許されない旨主張するが,上記のとおり,一般に労働協約の変更は労使間の利益を調整して行われるものであるから,その内容には組合員に有利なものと不利なものとがあり得るのであり,これらを一体として交渉し,団体交渉における相互譲歩の結果一体として妥結に至ることも当然あり得るというべきである。原告らの主張は採用できない。 原告らは,不利益を受ける集団に対して労働協約の効力を及ぼすためには,不利益を受ける集団が意見表明等の機会の確保が格段に配慮されていることなどの諸条件を充足することが必要であると主張するところ,労働組合が有する協約締結権限にも組合員の授権の下での制約があるから,組合員全体の利益を公正に調整する努力をする必要があるとはいえるが,原告らの主張する諸条件をすべて充足しなければ不利益を受ける集団に労働協約の効力を及ぼすことができないとまではいえない。この点に関する原告らの主張も採用できない。 (3) 以上(1),(2)によれば,女性組合員が付加給・調整給カットに反対し,平成9年協定締結の過程においてその意見が容れられなかったからといって,平成9年協定が特定の又は一部の組合員をことさらに不利益に扱うことを目的とし によれば,女性組合員が付加給・調整給カットに反対し,平成9年協定締結の過程においてその意見が容れられなかったからといって,平成9年協定が特定の又は一部の組合員をことさらに不利益に扱うことを目的として締結されたと認められる特段の事情があるとはいえず,また,組合が平成9年協定を締結したことが,組合員から与えられた授権の範囲を逸脱し,労働組合の交渉権や労働協約締結権を濫用したものともいえない。 したがって,平成9年協定が女性組合員を拘束しない特段の事情があるとはいえないから,付加給・調整給カットを定めた同協定の効力は原告Bらに対しても効力が及ぶものである。 3 就業規則不利益変更の合理性について上記第2章第2の2(4)ア,第4章第2の2(2)カ(エ)のとおり,この就業規則変更は,被告の社員全員で組織されている組合との交渉,合意を経て労働協約を締結した上で行われたものであるから,その内容は一応合理的なものであると推測することができる。 そして,専任職制度が廃止されたことによる60歳までの一貫管理の下では,55歳達齢による専任職賃金カットはなくなることからすれば,55歳達齢による付加給・調整給のカットは全体としてみれば対象者に不利益とはいえず,専任職制度の廃止に伴う賃金水準等の見直し・変更の一環として,付加給・調整給カットをする必要性があるといえること,55歳で専任職とされることがないことは,付加給・調整給カットを緩和する措置といえること,新人事制度の導入に伴う賃金制度の見直し・変更は統一的かつ画一的に処理すべき労働条件に係るものであるから,就業規則による一体的な変更を図ることが望ましいこと,以上を総合すれば,被告がした付加給・調整給カットを含む平成9年4月の就業規則の変更は合理性があるというべきであるから,この変更された就業規 ,就業規則による一体的な変更を図ることが望ましいこと,以上を総合すれば,被告がした付加給・調整給カットを含む平成9年4月の就業規則の変更は合理性があるというべきであるから,この変更された就業規則は原告Bらをも拘束するというべきである。 原告らは専任職賃金カットが違法であることを前提として,新人事制度の下で旧制度の専任職給与を下回らないとしたこと自体を問題とするが,専任職賃金カットが違法とはいえないことは上記第3で判断したとおりであり,そうである以上,新人事制度の一貫管理の下で,旧制度の専任職給与と新人事制度下の給与を比較して後者が前者を下回らないことを調整給カットの理由としたことが不当とはいえないから,原告らの主張は採用できない。 なお,この就業規則の変更が民法90条に違反するといえないことは上記2のとおりである。 第5 争点5(差額賃金等の請求権)について上記第2において判断したとおり,被告の賃金体系が女性差別であるとはいえないから,原告らが原告ら主張の一般職標準本俸表の適用を受ける権利を有するということはできず,また,原告らの差額賃金等の請求は理由がない。 第6 争点6(差額賃金等相当損害金の請求権)について 1 上記第2において判断したとおり,被告の賃金体系が女性差別であるとはいえないから,被告に原告ら主張の不法行為があるとはいえない。 2 原告らは,被告には男女を差別なく公正に取り扱うべき労働契約上の義務があり,被告はこの義務に違反したとも主張するが,労働契約は,使用者と労働者との個別の契約であり,原告らと被告との労働契約の内容(第2の2(3)イ(エ))からすれば,原告らが被告と締結した労働契約において,労働契約上の具体的な法的義務として,使用者である被告に男女を公正に取り扱う義務があるとすることがその内容になっ 内容(第2の2(3)イ(エ))からすれば,原告らが被告と締結した労働契約において,労働契約上の具体的な法的義務として,使用者である被告に男女を公正に取り扱う義務があるとすることがその内容になっていたとするのは困難である上,被告にそのような公正取扱い義務があるとしても,上記第2において判断したところからすれば,被告がこの義務に違反したとすることもできない。 第7 結論以上によれば,その余の争点について判断するまでもなく,原告らの請求はいずれも理由がないからこれを棄却すべきである。 よって,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第19部裁判長裁判官山口幸雄裁判官渡邉弘裁判官木野綾子は差し支えにつき署名押印できない。 裁判長裁判官山口幸雄

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