令和5刑(わ)710 詐欺

裁判年月日・裁判所
令和6年1月10日 東京地方裁判所
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判決文本文3,665 文字)

令和6年1月10日東京地方裁判所刑事第17部宣告令和5年刑第710号、第973号、第1217号詐欺被告事件 主文 被告人を懲役6年に処する。 未決勾留日数中180日をその刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、貨物自動車運送事業等を営む株式会社A(以下「A社」という。)の代表取締役として、倉庫業及び貨物自動車運送事業等を営むB株式会社(以下「B社」という。)が電気通信事業等を営むC株式会社(以下「C社」という。)から委託さ れ、A社がB社から再委託された基地局建設用コンクリート柱(以下「コンクリート柱」という。)の輸送業務全般を管理するなどの業務に従事していたものであるが、C社の基地局設置統括部基地局建設企画本部物流管理部長(当時)として、C社の電気通信事業における基地局建設用部材の保管及び輸送等の業務全般を管理するなどの業務に従事していたDと共謀の上、B社からC社に対しコンクリート柱輸送 費等を請求するに当たり、コンクリート柱輸送費等の名目でC社から現金をだまし取ろうと考え、第1 真実は、A社がコンクリート柱の輸送のために延べ3997台のトラックを確保していた事実がないのに、これがあるように装い、かつ、コンクリート柱輸送費の名目でC社に請求する金額の一部は前記Dに還流する意図であるの にこれを秘し、令和3年7月1日、千葉県流山市(住所省略)所在の倉庫E(当時。同倉庫は、同年8月頃「F」と名称変更したが、以下、名称変更の前後を問わず「G」という。)の事務所において、情を知らないB社担当者に、延べ3997台のトラックを確保したことに伴うコンクリート柱輸送費等として4億3225万500円を請求することなどを含むB社名義の請求書を電子メ )の事務所において、情を知らないB社担当者に、延べ3997台のトラックを確保したことに伴うコンクリート柱輸送費等として4億3225万500円を請求することなどを含むB社名義の請求書を電子メ ールでC社に送信させるなどし、同年7月16日、C社財務経理本部購買部副 部長Hに、C社が前記請求書記載の代金をB社に支払う義務があるものと誤信させて支払を承認させ、同月21日、I銀行株式会社J支店に開設されたC社名義の普通預金口座から、株式会社K銀行L支店に開設されたB社名義の当座預金口座に前記コンクリート柱輸送費を含む24億9757万7893円を振込入金させ、 第2 真実は、A社がコンクリート柱の輸送のために延べ3745台のトラックを確保していた事実がないのに、これがあるように装い、かつ、コンクリート柱輸送費の名目でC社に請求する金額の一部は前記Dに還流する意図であるのにこれを秘し、令和3年8月3日、前記Gの事務所において、情を知らないB社担当者に、延べ3745台のトラックを確保したことに伴うコンクリート柱 輸送費等として4億597万1060円を請求することなどを含むB社名義の請求書を電子メールでC社に送信させるなどし、同月17日、前記Hに、C社が前記請求書記載の代金をB社に支払う義務があるものと誤信させて支払を承認させ、同月25日、前記C社名義の普通預金口座から、前記B社名義の当座預金口座に前記コンクリート柱輸送費を含む24億1351万6522 円を振込入金させ、第3 真実は、A社がコンクリート柱の輸送のために延べ3652台のトラックを確保していた事実がないのに、これがあるように装い、かつ、コンクリート柱輸送費の名目でC社に請求する金額の一部は前記Dに還流する意図であるのにこれを秘し、令和3年9月2日、前記Gの 2台のトラックを確保していた事実がないのに、これがあるように装い、かつ、コンクリート柱輸送費の名目でC社に請求する金額の一部は前記Dに還流する意図であるのにこれを秘し、令和3年9月2日、前記Gの事務所において、情を知らないB 社担当者に、延べ3652台のトラックを確保したことに伴うコンクリート柱輸送費等として3億9497万1720円を請求することなどを含むB社名義の請求書を電子メールでC社に送信させるなどし、同月6日、前記Hに、C社が前記請求書記載の代金をB社に支払う義務があるものと誤信させて支払を承認させ、同月24日、前記C社名義の普通預金口座から、前記B社名義の 当座預金口座に前記コンクリート柱輸送費を含む23億9307万5758 円を振込入金させ、第4 真実は、A社がコンクリート柱の輸送のために延べ3997台のトラックを確保していた事実がないのに、これがあるように装い、かつ、コンクリート柱輸送費の名目でC社に請求する金額の一部は前記Dに還流する意図であるのにこれを秘し、令和3年10月1日、前記Gの事務所において、情を知らない B社担当者に、延べ3997台のトラックを確保したことに伴うコンクリート柱輸送費等として4億3274万3740円を請求することなどを含むB社名義の請求書を電子メールでC社に送信させるなどし、同月14日、前記Hに、C社が前記請求書記載の代金をB社に支払う義務があるものと誤信させて支払を承認させ、同月25日、前記C社名義の普通預金口座から、前記B社名義 の当座預金口座に前記コンクリート柱輸送費を含む25億3254万5373円を振込入金させ、もってそれぞれ人を欺いて財物を交付させた。 (量刑の理由)本件は、被害会社の基地局設置事業に絡んで、被害会社の物流部門の責任者であ 費を含む25億3254万5373円を振込入金させ、もってそれぞれ人を欺いて財物を交付させた。 (量刑の理由)本件は、被害会社の基地局設置事業に絡んで、被害会社の物流部門の責任者であ る共犯者と取引先業者の代表者である被告人が結託し、共犯者において私腹を肥やすため、共犯者への多額のキックバックを上乗せして被害会社への請求を行うこととし、具体的には、同事業における基地局建設を円滑迅速に行うために建設資材であるコンクリート柱輸送用のトラックを一定数確保するとして、その分は実際の稼働に関わらず費用が支払われる枠組みを作った上、同トラックを確保していないの に確保したかのように装って架空請求に及び、4回にわたり、コンクリート柱輸送費等の名目で被害会社から多額の現金をだまし取った、という詐欺の事案である。 被告人及び共犯者は、それぞれその立場を悪用して、被害会社から金銭を詐取するスキームを作り上げ、さらに、共犯者へのキックバックが明るみにならないように複数のトンネル会社を介して法人名義の預金口座に振り込むようにするといった 隠蔽工作をとることで、犯行を継続してきた。本件各犯行の態様は巧妙で、被害会 社の信頼を裏切る悪質なものである。 本件被害額は巨額であり、被告人が関与していない部分やコンクリート柱輸送費のうち実走分を除外した、A社が得た粗利に相当する損害のみを見ても、合計約4億2800万円にのぼる。今後法的手続を経て一定額の弁済がなされる見込みがあることを考慮しても、被害結果は重大というほかない。 被告人は、A社がコンクリート柱輸送用のトラックを確保したように装い、B社経由で被害会社に対しコンクリート柱輸送費を請求したことに加え、前記トンネル会社を用いた隠蔽工作を発案するなど、本件各犯行に主体的に関与しており、 クリート柱輸送用のトラックを確保したように装い、B社経由で被害会社に対しコンクリート柱輸送費を請求したことに加え、前記トンネル会社を用いた隠蔽工作を発案するなど、本件各犯行に主体的に関与しており、本件において必要不可欠な役割を果たしている。共犯者よりはかなり少ないものの、前記のとおりA社は多額の利得を得ており、役員報酬の形で被告人自身も相当の個人 的利得を得たものと推察される。もっとも、本件各犯行は共犯者のキックバックの要求に端を発しており、被害会社への請求額は共犯者が決めていたこと、被告人は、共犯者の要求を断れば、被害会社関連の業務が全てなくなるのではないかと考え、共犯者の要求を断れなかった面があることなどに照らせば、共犯者に従属する立場にあったといえる。 以上によれば、被告人の刑事責任は、共犯者と比較すれば相当軽いものの、なお重いというべきである。 他方で、被告人は、捜査段階から詳細な事実関係を供述するなど、本件の事案解明に協力し、今後も被害弁償に努めたいと述べるなど、本件について反省の態度を示している。また、被告人の兄が出廷して監督を誓約していること、被告人に古い 異種前科を除けば前科はないこと等の被告人のために酌むべき事情もある。 そこで、以上の事情を総合考慮の上、主文の刑を量定した。 (求刑懲役9年)令和6年1月10日東京地方裁判所刑事第17部 裁判長裁判官薄井真由子 裁判官大伴慎吾 裁判官遠藤優

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