令和5刑(わ)650 住居侵入幇助、強盗致傷幇助、強盗未遂幇助、窃盗、詐欺

裁判年月日・裁判所
令和7年7月23日 東京地方裁判所
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判決文本文12,424 文字)

令和7年7月23日東京地方裁判所刑事第4部宣告令和5年刑(わ)第650号、同第1215号、同第1445号、同第1672号、同第2454号、同第2857号、同年合(わ)第302号、令和6年刑(わ)第19号、同第532号住居侵入幇助、強盗致傷幇助、強盗未遂幇助、窃盗、詐欺被告事件 主文 被告人を懲役20年に処する。 未決勾留日数中600日をその刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実)第1(令和5年6月21日付け追起訴状の公訴事実。甲箱事件①、No.1)被告人は、分離前の相被告人N1、N2、N3及び氏名不詳者らと共謀の上、 1 金融庁職員等になりすましてキャッシュカードを窃取しようと考え、平成31年4月10日、氏名不詳者らが、千葉県君津市(住所省略)B方に電話をかけ、同人(当時80歳)に対し、警察官を名のり、キャッシュカードが不正に使用されており、キャッシュカードを使用できないようにする手続のために金融庁職員が前記B方を訪問する旨うそを言い、同日、金融庁職員になりすましたN3が前記B方を訪れ、同所において、同人に同人名義のキャッシュカード2枚を封筒に入れさせた上、同人が目を離した隙に、同封筒を別の封筒とすり替え、同人管理のキャッシュカード2枚を窃取し、 2 前記第1の1の犯行により窃取したキャッシュカードを使用して現金を窃取しようと考え、別表1記載のとおり(別表省略)、同日午後7時12分頃から同月11日午前9時17分頃までの間、同市(住所省略)株式会社O1銀行O2支店O3店ほか2か所において、N3が、各所に設置された現金自動預払機に、前記B名義のキャッシュカード2枚を挿入して各機を作動させ、同支店支店長ほか2名管理の現金合計110万円を引き出してこれを窃取した。 第2( て、N3が、各所に設置された現金自動預払機に、前記B名義のキャッシュカード2枚を挿入して各機を作動させ、同支店支店長ほか2名管理の現金合計110万円を引き出してこれを窃取した。 第2(令和5年5月31日付け追起訴状の公訴事実。甲箱事件②、No.2)被告人は、N1、N2、N3及び氏名不詳者らと共謀の上、 1 金融庁職員等になりすましてキャッシュカードを窃取しようと考え、平成31年4月11日、氏名不詳者らが、埼玉県越谷市(住所省略)C方に電話をかけ、同人(当時75歳)に対し、金融庁職員等を名のり、口座から不正に現金が引き出されており、その救済措置の手続のために金融庁職員が前記C方を訪問する旨うそを言い、同日、金融庁職員になりすましたN3が前記C方を訪れ、同所において、同人に同人名義のキャッシュカード3枚を封筒に入れさせた上、同人が目を離した隙に、同封筒を別の封筒とすり替え、同人管理のキャッシュカード3枚を窃取し、 2 前記第2の1の犯行により窃取したキャッシュカードを使用して現金を窃取しようと考え、別表2記載のとおり(別表省略)、同日午後1時51分頃から同日午後2時56分頃までの間、同市(住所省略)株式会社P1銀行P2支店P3出張所ほか1か所において、N3が、各所に設置された現金自動預払機に、前記C名義のキャッシュカード3枚を挿入して各機を作動させ、株式会社P1銀行P4所長ほか1名管理の現金合計150万円を引き出してこれを窃取した。 第3(令和5年7月14日付け追起訴状の公訴事実。甲箱事件③、No.3)被告人は、N1、N2、N3及び氏名不詳者らと共謀の上、 1 金融庁職員等になりすましてキャッシュカードを窃取しようと考え、平成31年4月11日、氏名不詳者が、埼玉県越谷市(住所省略)D1方に電話をかけ、同人(当時80歳 3及び氏名不詳者らと共謀の上、 1 金融庁職員等になりすましてキャッシュカードを窃取しようと考え、平成31年4月11日、氏名不詳者が、埼玉県越谷市(住所省略)D1方に電話をかけ、同人(当時80歳)に対し、詐欺対策監視局の職員を名のり、キャッシュカードが不正に使用されており、キャッシュカードを新しくする必要があるので、金融庁職員が前記D1方を訪問する旨うそを言い、同日、金融庁職員になりすましたN3が前記D1方を訪れ、同所において、同人からD2名義のキャッシュカード3枚を受け取って封筒に入れた上、前記D1が目を離した隙に、同封筒を別の封筒とすり替え、同人管理のキャッシュカード3枚を窃取し、 2 前記第3の1の犯行により窃取したキャッシュカードを使用して現金を窃取しようと考え、別表3記載のとおり(別表省略)、同日午後1時25分頃から同月12日午前9時56分頃までの間、同市(住所省略)株式会社Q1銀行Q2支店Q3出張所ほか2か所において、N3が、各所に設置された現金自動預払機に、前記D2名義のキャッシュカード3枚を挿入して各機を作動させ、同支店支店長ほか2名管理の現金合計232万1000円を引き出してこれを窃取した。 第4(訴因変更後の令和6年3月7日付け追起訴状の公訴事実。乙箱事件①)1(No.4)被告人は、N1、N4、N5、N6、N7、N8、N9、N10、N11、N12、N13、N14、N15、N16、N17、N18、N19、N20及び氏名不詳者らと共謀の上⑴ 警察官になりすましてキャッシュカードを窃取しようと考え、令和元年11月5日、警察官になりすましたN11及びN12が、東京都墨田区(住所省略)E方に電話をかけ、同人(当時73歳)に対し、同人のキャッシュカードが不正に使用されており、キャッシュカードの封印をす 年11月5日、警察官になりすましたN11及びN12が、東京都墨田区(住所省略)E方に電話をかけ、同人(当時73歳)に対し、同人のキャッシュカードが不正に使用されており、キャッシュカードの封印をする必要があるため、警察官が前記E方を訪問する旨うそを言うとともに、同日、警察官になりすましたN20が、前記E方を訪れ、同所において、同人ほか1名名義のキャッシュカード4枚を封筒に入れさせた上、前記Eが目を離した隙に、同封筒を別の封筒とすり替え、同人ほか1名管理のキャッシュカード4枚を窃取し、⑵ 前記第4の1⑴の犯行により窃取したキャッシュカードを使用して現金を窃取しようと考え、別表4記載のとおり(別表省略)、同日午後3時31分頃から同日午後3時42分頃までの間、東京都江東区(住所省略)R1信用金庫R2支店ほか1か所において、各所に設置された現金自動預払機に前記E名義のキャッシュカードほか3枚を挿入して各機を作動させ、同支店支店長ほか1名管理の現金合計200万円を引き出してこれを窃取した。 2(No.5) 被告人は、N1、N4、N5、N6、N7、N8、N9、N10、N11、N12、N13、N14、N15、N16、N17、N18、N19、N21及び氏名不詳者らと共謀の上、警察官になりすまして現金をだまし取ろうと考え、同日、警察官になりすましたN6らが、東京都杉並区(住所省略)F方に電話をかけ、同人(当時82歳)に対し、同人が保管中の現金が偽札にすり替えられており、偽札を本物の紙幣と交換するため、同人方を訪れる警察官に現金を預けてもらいたい旨うそを言い、さらに、同日、N21が、前記F方において、同人に対し、警察官になりすまし、偽札を本物の紙幣と交換する旨うそを言い、前記Fを、電話の相手が警察官であり、N21が警察官として現金を いたい旨うそを言い、さらに、同日、N21が、前記F方において、同人に対し、警察官になりすまし、偽札を本物の紙幣と交換する旨うそを言い、前記Fを、電話の相手が警察官であり、N21が警察官として現金を預かるものと誤信させ、よって、その頃、同所において、前記Fから現金約3870万円の交付を受け、もって人を欺いて財物を交付させた。 第5(訴因変更後の令和6年1月10日付け追起訴状の公訴事実。乙箱事件②、No.6)被告人は、N1、N4、N5、N6、N7、N8、N9、N10、N11、N12、N13、N14、N15、N16、N17、N18、N19、N22及び氏名不詳者らと共謀の上、 1 警察官になりすましてキャッシュカードを窃取しようと考え、令和元年11月12日、警察官になりすましたN9及びN11が、千葉県我孫子市(住所省略)G方に電話をかけ、同人(当時82歳)に対し、同人のキャッシュカードが不正に使用されており、キャッシュカードを交換する必要があるため、警察官が前記G方を訪問する旨うそを言うとともに、同日、警察官になりすましたN22が、前記G方を訪れ、同所において、同人に同人ほか1名名義のキャッシュカード4枚及びキャッシュローンカード1枚を封筒に入れさせた上、前記Gが目を離した隙に、同封筒を別の封筒とすり替え、同人ほか1名管理のキャッシュカード4枚及びキャッシュローンカード1枚を窃取し、 2 前記第5の1の犯行により窃取したキャッシュカードを使用して現金を窃取し ようと考え、別表5記載のとおり(別表省略)、同日午後4時1分頃から同月13日午前9時17分頃までの間、同県柏市(住所省略)株式会社S1銀行S2支店S3出張所ほか3か所において、各所に設置された現金自動預払機に前記G名義のキャッシュカード3枚を挿入して各機を作動させ、同支店 午前9時17分頃までの間、同県柏市(住所省略)株式会社S1銀行S2支店S3出張所ほか3か所において、各所に設置された現金自動預払機に前記G名義のキャッシュカード3枚を挿入して各機を作動させ、同支店支店長ほか3名管理の現金合計186万8000円を引き出してこれを窃取した。 第6(訴因変更後の令和5年10月10日付け追起訴状記載の公訴事実。乙箱事件③、No.7)被告人は、N1、N4、N5、N6、N7、N8、N9、N10、N11、N12、N13、N14、N15、N16、N17、N18、N23、N19及び氏名不詳者らと共謀の上、 1 警察官になりすましてキャッシュカードを窃取しようと考え、令和元年11月13日、警察官になりすました氏名不詳者らが、東京都町田市(住所省略)H1方に電話をかけ、同人(当時88歳)に対し、同人らのキャッシュカードが不正に使用されており、その使用を停止して保管するため、警察官が前記H1方を訪問する旨うそを言い、同日、警察官になりすましたN23が前記H1方を訪れ、同所において、同人ほか1名名義のキャッシュカード4枚を封筒に入れた上、前記H1が目を離した隙に、同封筒を別の封筒とすり替え、同人管理のキャッシュカード4枚を窃取し、 2 前記第6の1の犯行により窃取したキャッシュカードを使用して現金を窃取しようと考え、別表6記載のとおり(別表省略)、同日午前11時40分頃から同日午前11時44分頃までの間、横浜市(住所省略)株式会社T1銀行T2支店ほか1か所において、各所に設置された現金自動預払機にH2ほか1名名義のキャッシュカード3枚を挿入して各機を作動させ、同支店支店長ほか1名管理の現金合計150万円を引き出してこれを窃取した。 第7(訴因変更後の令和5年11月20日付け追起訴状記載の公訴事実。乙箱事件④、No.8 ード3枚を挿入して各機を作動させ、同支店支店長ほか1名管理の現金合計150万円を引き出してこれを窃取した。 第7(訴因変更後の令和5年11月20日付け追起訴状記載の公訴事実。乙箱事件④、No.8) 被告人は、 1 警察官になりすましてキャッシュカードを窃取しようと考え、N1、N4、N5、N6、N7、N8、N9、N10、N11、N12、N13、N14、N15、N16、N17、N18、N19、N24、N25及び氏名不詳者らと共謀の上、令和元年11月13日、警察官になりすましたN12及び氏名不詳者が、埼玉県富士見市(住所省略)I方に電話をかけ、同人(当時78歳)に対し、同人のキャッシュカードが不正に使用されており、その使用を停止する手続のため、警察官が前記I方を訪問する旨うそを言い、同日、警察官になりすましたN24が、前記I方を訪れ、同所において、同人名義のキャッシュカード2枚を封筒に入れた上、同人が目を離した隙に、同封筒を別の封筒とすり替え、同人管理のキャッシュカード2枚を窃取し、 2 前記第7の1の犯行により窃取したキャッシュカードを使用して現金を窃取しようと考え、N1、N24、N25及び氏名不詳者らと共謀の上、同日午後3時49分頃から同日午後3時50分頃までの間、2回にわたり、東京都豊島区(住所省略)株式会社U1銀行U2支店U3出張所において、同所に設置された現金自動預払機に前記I名義のキャッシュカード2枚を挿入して同機を作動させ、同支店支店長管理の現金合計100万円を引き出してこれを窃取した。 第8(令和5年3月20日付け起訴状記載の公訴事実。丙箱事件)被告人は、分離前の相被告人N26、N1、N27、N28、N29、N30、N31、N32、N33、N34、N35、N36、N37、N38、N39、N40、N41、 起訴状記載の公訴事実。丙箱事件)被告人は、分離前の相被告人N26、N1、N27、N28、N29、N30、N31、N32、N33、N34、N35、N36、N37、N38、N39、N40、N41、N42、N43、N44、N45、N46、N47、N48、N49、N50、N51、N52、N53、N54、N55及び氏名不詳者らと共謀の上、1(No.9)⑴ 警察官等になりすましてキャッシュカードを窃取しようと考え、令和元年11月13日、東京都渋谷区内の別紙記載(別紙省略)のA方に電話をかけ、A(当 時65歳)に対し、警察官等を名のり、A名義の口座が不正に残高照会されているので、口座が悪用されていないか調べるため、キャッシュカードを封筒に入れて保管する必要がある上、封筒の封を確認するために財務局職員が前記A方を訪問する旨うそを言い、同日、財務局職員になりすましたN55が前記A方を訪れ、同所において、Aに対し、A名義のキャッシュカード5枚を封筒に入れさせた上、Aが目を離した隙に、同封筒を別の封筒とすり替え、A管理のキャッシュカード5枚を窃取し、⑵ Aから窃取した同人名義のキャッシュカードを使用して現金を窃取しようと考え、同日午前10時51分頃から同日午前11時4分頃までの間、8回にわたり、東京都品川区(住所省略)株式会社Q1銀行V1出張所において、N55が、同所に設置された現金自動預払機にA名義のキャッシュカード5枚を挿入して同機を作動させ、同銀行V2支店支店長管理の現金合計350万9000円を引き出してこれを窃取し、2(No.10)⑴ 警察官等になりすましてキャッシュカードを窃取しようと考え、同日、東京都足立区(住所省略)J方に電話をかけ、同人(当時76歳)に対し、警察官等を名のり、前記J名義の口座が不正に残高 10)⑴ 警察官等になりすましてキャッシュカードを窃取しようと考え、同日、東京都足立区(住所省略)J方に電話をかけ、同人(当時76歳)に対し、警察官等を名のり、前記J名義の口座が不正に残高照会されているので、暗証番号を変更し、キャッシュカードを封筒に入れて保管する必要があり、封筒に保管したことを確認するために財務局職員が前記J方を訪問する旨うそを言うとともに、同日、財務局職員になりすましたN55が前記J方を訪れ、同所において、同人に同人名義のキャッシュカード2枚を封筒に入れさせた上、同人が目を離した隙に、同封筒を別の封筒とすり替え、同人管理のキャッシュカード2枚を窃取し、⑵ 前記Jから窃取した同人名義のキャッシュカードを使用して現金を窃取しようと考え、同日午後2時18分頃から同日午後2時20分頃までの間、4回にわたり、東京都葛󠄀飾区(住所省略)W1店において、N55が、同所に設置された現金自動預払機に前記J名義のキャッシュカード1枚を挿入して同機を作動さ せ、株式会社W2銀行W3部長管理の現金合計63万3000円を引き出してこれを窃取した。 第9(令和5年12月26日付け追起訴状記載の公訴事実)1(稲城事件)被告人は、N2、N1、N26、N56、N57、N58、N59、N60及び氏名不詳者らが、金品を強奪しようと考え、共謀の上、令和4年10月20日午後4時頃から同日午後4時7分頃までの間、東京都稲城市(住所省略)K1方玄関前において、宅配業者を装ってK2(当時36歳)に玄関ドアを開けさせ、同ドアから前記K1方に侵入し、その頃、同所において、前記K2に対し、はさみを振り上げ、倒れた同人の両肩を手で押さえ付けるなどの暴行脅迫を加え、さらに、K3(当時17歳)及びK4(当時11歳)に対し、両名の手首を粘着テ 侵入し、その頃、同所において、前記K2に対し、はさみを振り上げ、倒れた同人の両肩を手で押さえ付けるなどの暴行脅迫を加え、さらに、K3(当時17歳)及びK4(当時11歳)に対し、両名の手首を粘着テープで緊縛するなどの暴行を加えて、前記K2ら3名の反抗を抑圧した上、前記K1所有又は管理の現金約3541万2000円、ベトナム社会主義共和国約2000万ドン、アメリカ合衆国約1000ドル、商品券約50枚(金額合計約5万円)及び金塊1個等39点在中の金庫2個(時価合計約864万1780円相当)を奪い、前記K2に対する前記暴行により、同人に加療約10日間を要する左下腿打撲傷等の傷害を負わせた際、その情を知りながら、これに先立つ同月中旬頃、フィリピン共和国内において、N26に、同犯行の実行役としてN56及びN59を紹介するなどし、もってN2らの犯行を容易にしてこれを幇助した。 2(岩国事件)被告人は、N2、N1、N26、N61、N57、N58、N59、N62及び氏名不詳者らが、金品を強奪しようと考え、共謀の上、令和4年11月7日午前2時1分頃から同日午前2時24分頃までの間に、山口県岩国市(住所省略)L1方に無施錠の1階掃き出し窓から侵入し、その頃、同人方1階において、L2(当時49歳)に対し、両腕を手でつかむ暴行を加えた上、持っていたカッターナイフを示して「黙れ。」などと言って脅迫し、引き続き、前記L1(当時6 1歳)に対し、前記カッターナイフを示しながら、「殺すぞ。」と言って脅迫した上、その両手を手でつかんで壁に押し当てるなどの暴行を加え、さらに、同人方2階において、L3(当時25歳)に対し、持っていたカッターナイフを示しながら、「静かにしろ。」などと言って脅迫した上、その両手首を結束バンドで緊縛するなどの暴行を加え、前記L2ら 、さらに、同人方2階において、L3(当時25歳)に対し、持っていたカッターナイフを示しながら、「静かにしろ。」などと言って脅迫した上、その両手首を結束バンドで緊縛するなどの暴行を加え、前記L2ら3名の反抗を抑圧して金品を強奪しようとしたが、同人らが抵抗したため、その目的を遂げなかった際、その情を知りながら、これに先立つ同月上旬頃、フィリピン共和国内において、N26に、同犯行の実行役として前記N61を紹介するなどし、もってN2らの犯行を容易にしてこれを幇助した。 3(野方事件)被告人は、N2、N1、N26、N63、N64、N65、N66、N67、N68、N69、N70及び氏名不詳者らが、金品を強奪しようと考え、共謀の上、令和4年12月5日午前10時47分頃、N63及びN64が、東京都中野区(住所省略)M方玄関前において、宅配業者を装って前記Mに玄関ドアを開けさせた上、同人(当時49歳)に対し、その顔面を拳で殴るなどの暴行を加えて同人方に玄関から侵入し、同玄関内において、同人に対し、その顔面を拳で殴るなどの暴行を加え、さらに、同日午前10時54分頃、N63、N64、N65、N66、N67及びN68が、前記M方に、無施錠の玄関から再度侵入し、その頃から同日午前10時57分頃までの間、同人方において、同人に対し、その顔面を拳で殴るなどの暴行を加え、その反抗を抑圧し、同人所有の現金約3200万円を奪い、前記一連の暴行により、同人に全治まで約14日間を要する前額部挫創等の傷害を負わせた際、その情を知りながら、これに先立つ同年10月下旬頃及び同年12月上旬頃、フィリピン共和国内において、N26に、同犯行の実行役としてN66及びN64を紹介するなどし、もってN2らの犯行を容易にしてこれを幇助した。 (法令の適用) 罰条 年12月上旬頃、フィリピン共和国内において、N26に、同犯行の実行役としてN66及びN64を紹介するなどし、もってN2らの犯行を容易にしてこれを幇助した。 (法令の適用) 罰条判示第1の1、同2、第2の1、同2、第3の1、同2、第4の1⑴、同⑵、第5の1、同2、第6の1、同2、第7の1、同2、第8の1⑴、同⑵、同2⑴、同⑵の各所為いずれも刑法60条、令和4年法律第68号441条1項により同年法律第67号による改正前の刑法(以下「旧刑法」という。)235条判示第4の2の所為刑法60条、旧刑法246条1項判示第9の1、3の各所為各住居侵入幇助の点いずれも刑法62条1項、旧刑法130条前段各強盗致傷幇助の点いずれも刑法62条1項、旧刑法240条前段判示第9の2の所為住居侵入幇助の点刑法62条1項、旧刑法130条前段強盗未遂幇助の点刑法62条1項、旧刑法243条、236条1項科刑上一罪の処理判示第9の1、3 いずれも刑法54条1項前段、後段、10条(ただし、同条1項は旧刑法)(重い強盗致傷幇助罪の刑)判示第9の2 刑法54条1項前段、後段、10条(ただし、同条1項は旧刑法)(重い強盗未遂幇助罪の刑)刑種の選択判示第1の1、同2、第2の1、同2、第3の1、同2、第4の1⑴、同⑵、第5の1、同2、第6の1、同2、第7の1、同2、第8の1⑴、同⑵、同2⑴、同⑵の各罪いずれも懲役刑を選択判示第9の1、3の各罪いずれも無期懲役刑を選択法律上の減軽 判示第9の1、3の各罪いずれも刑法63条、旧刑法68条2号(従犯)判示第9の2の罪刑法63条、旧刑法68条3号(従犯) 各罪いずれも無期懲役刑を選択法律上の減軽 判示第9の1、3の各罪いずれも刑法63条、旧刑法68条2号(従犯)判示第9の2の罪刑法63条、旧刑法68条3号(従犯)併合罪の処理旧刑法45条前段、47条本文、10条(ただし、同条2項及び3項は刑法)(刑及び犯情の最も重い判示第9の1の罪の刑に刑法14条2項の制限内で法定の加重)未決勾留日数の算入刑法21条訴訟費用の不負担刑事訴訟法181条1項ただし書(量刑の理由)本件は、①フィリピンに拠点を置く詐欺組織により敢行された被害者合計10名、被害金額合計約5413万円にものぼる特殊詐欺事件(判示第1ないし第8)と、②フィリピンの入国管理施設に収容された後、同じ施設にいたN2、N26らが、携帯電話を用いて実行役に指示するなどして敢行した強盗致傷2件(負傷者合計2名、被害金額合計約7605万円)と強盗未遂1件において、被告人が実行役を指示役らに紹介するなどして幇助した強盗事件(判示第9)である。 本件特殊詐欺事件は、組織のトップとして別格の地位にあったN1の下、「リクルーター」が実行役らをリクルートし、「かけ子」はフィリピンの拠点で指示役の指示やマニュアルに従って被害者方に電話をかけ、日本にいる「受け子」が指示役の指示に従って被害者方に赴いてキャッシュカードを巧みに盗み出し、それを用いてATMから現金を引き出すなどしてそれを「回収役」に渡し、「運搬役」が現金をフィリピンにひそかに運び、あらかじめ定められた約束に従って分け前を分配する、といった手口による犯行の一環として敢行されたものである(判示第4の2は、現金を直接詐取する手口によるものである。)。このように、本件は、匿名化された多数の共犯者が会社のようにシステム化さ 配する、といった手口による犯行の一環として敢行されたものである(判示第4の2は、現金を直接詐取する手口によるものである。)。このように、本件は、匿名化された多数の共犯者が会社のようにシステム化された組織の中で細分化された役割を分担し、いわばビジネスとして敢行されたものといえる。同種の特殊詐欺事件の中でも、組織の拠点が日本の捜査機関の手が及びにくい海外にある点や、高度なシステム化、 匿名化により、一部のメンバーが逮捕等されても、新たなメンバーを調達することで組織として犯罪を続けられる点などにおいて、非常に悪質である。 被告人は、自身が立ち上げにも関与した甲箱の事件(判示第1ないし第3)では、組織の「リクルート」部門のリーダーとして「受け子」らを手配するとともに、被害金の分配について甲箱のオーナーであるN2らと連絡を取り合うなどした。その約7か月後の乙箱事件(判示第4ないし第7)と丙箱事件(判示第8)では、組織の「回収役」のトップとして犯行に関与し、立ち上げにも関与した丙箱の事件では、被害金の2%の分け前を得ていた。詐欺組織において、被告人は、N1の指示を実行し、拠点作りといった組織の維持、拡大のための雑用をこなすなどしてN1の信頼を得て、乙箱事件や丙箱事件の頃には、犯行の利得を現実化する上で重要な役割といえる「回収役」のトップであった。それに加え、N1からフィリピンの拠点にいる共犯者の「給料」分の現金を預かって共犯者に渡したり、相当額の資金を託されて必要な備品の購入等に関する精算をしたりするなど、組織の金を取り扱う重要な役割も任されるようになり、それに見合う高額の固定給も得ていた。以上によれば、被告人は、組織では数少ない、N1と直接仕事の話ができるというN1の側近のような立場で、大きな犯罪組織を円滑に運営し、その活動を継続 れるようになり、それに見合う高額の固定給も得ていた。以上によれば、被告人は、組織では数少ない、N1と直接仕事の話ができるというN1の側近のような立場で、大きな犯罪組織を円滑に運営し、その活動を継続、拡大するために重要な役割を果たしていたといえる。これらを踏まえると、起訴された本件特殊詐欺事件における被告人の刑事責任は非常に重いというほかない。 本件強盗事件では、被告人の供述するところによれば、被告人は、フィリピンの入国管理施設に収容中の身でありながら、借金の肩代わりをしてもらうなどして恩義を感じていたN1らから強盗の実行役の調達を依頼されると、旧知の闇バイト業者を通じるなどして実行役を募り、闇バイトに応募してきた者に「たたき案件」であるなどと伝えた上で、指示役に実行役として複数回紹介したというのである。指示役である正犯者が本件のような強盗事件を連続的に敢行するためには、実行役の継続的な確保が必要であり、被告人の果たした役割は、幇助犯の中では、非常に重要であるというべきである。そうすると、被告人が正犯者と比べると強盗に関する 情報を事前に詳しく知らされてはいなかったことや犯行への積極性が高いとまではいえず、本件の被害金から直接的な分け前を得ていたとは認められないことを十分踏まえても、被告人の刑事責任は相当重い。 このように、被告人は、日本の捜査機関の手が及びにくい海外で、自らの手を直接汚さず、あたかも普通の仕事をするような感覚で常習的、職業的に特殊詐欺事件に関与し、共犯者らが逮捕され、入国管理施設に収容された後も、犯罪と縁を切ろうとせず、強盗事件にまでも連続的に関与し、被害者だけでなく、多くの犯罪者をも生み続けた点でも強い非難に値する。 また、本件は、主犯格が、海外にいながら、秘匿性の高い通信アプリを悪用するなどして、多く せず、強盗事件にまでも連続的に関与し、被害者だけでなく、多くの犯罪者をも生み続けた点でも強い非難に値する。 また、本件は、主犯格が、海外にいながら、秘匿性の高い通信アプリを悪用するなどして、多くの若者らを特殊詐欺や強盗に引き込み、リスクの高い役割を担当させ、実行役らをいわば使い捨てにしながら、我が国の一般市民の住居、財産、身体の安全を脅かすという新しいタイプの重大犯罪であり、同種の犯罪を抑止する観点からしても、強盗事件については幇助犯にとどまる被告人も含めて厳しい処罰が必要である。 他方、被告人は、上位者の関与を具体的に供述するなどして捜査に協力し、特に詐欺組織の組織運営の実態解明に相当貢献している。本件特殊詐欺事件のような組織的で匿名性の高い犯行において、組織の実態を把握している上位者である被告人が捜査に協力し、今後も、共犯者らの裁判において証言することを約束していることは、量刑上、被告人に有利に十分考慮されるべきである。 その他、被告人が公判廷で被害者だけでなく、自分が犯罪に引き込んだ実行役らに対しても謝罪の言葉を述べていることなど、被告人にとって酌むべき事情を十分踏まえても、併合罪全体の被告人の刑事責任の重さからすると、懲役15年では到底不十分であり、主文の刑期は免れない(なお、弁護人は、判示第9の1、3の各罪の刑種の選択において無期懲役刑を選択すべき事案ではなく、有期懲役刑を選択した上で、法律上の減軽、併合罪の処理をして、懲役3年から15年までの幅で刑を決めるべきであると主張する。しかし、併合罪全体の被告人の刑事責任の重さを 考慮して、懲役3年から15年までの幅では不十分であると判断される場合には、判示第9の1、3の各罪について、無期懲役刑を選択した上で、懲役7年から30年までの幅の中で刑を決めることも法律上許さ 考慮して、懲役3年から15年までの幅では不十分であると判断される場合には、判示第9の1、3の各罪について、無期懲役刑を選択した上で、懲役7年から30年までの幅の中で刑を決めることも法律上許されるというべきであるから、弁護人の主張は採用できない。)。 (求刑懲役23年、弁護人の科刑意見懲役11年)令和7年7月23日東京地方裁判所刑事第4部 裁判長裁判官板津正道 裁判官中村光一 裁判官平出久里子

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