【DRY-RUN】主 文 本件抗告を棄却する。 理 由 本件抗告の趣旨および理由は、抗告申立人作成名義の抗告申立書記載のとおりで あるから、これを引用する。 所論は、原決定は
主 文 本件抗告を棄却する。 理 由 本件抗告の趣旨および理由は、抗告申立人作成名義の抗告申立書記載のとおりで あるから、これを引用する。 所論は、原決定は、本人が「犯罪的」という言葉を使用している点をとらえて 「暴言」と解しているが、その「犯罪的」という言葉自体は破廉恥的要素を少しも 含んでいないのであるから、その言葉を使用したからといつて、原決定がいうよう に、その発言が「暴言」にあたるものとは、とうてい解せられないだけでなく、そ のとき本人は自己の思想的立場を表現したものであつて、その表現をするにあたつ て使用した「犯罪的」なる言葉は、本人の思想と抜きがたく結びついていて、他の 用語ではその思想が適切に表現できない関係にあつたのであるから、若しその言葉 を使用してなされた本人の発言が制裁の対象となるということになると、憲法第一 九条で保障されている思想および良心の自由に対し不当な圧力を加える結果となる ので、その意味においても、「暴言」と解することは相当でなく、また仮に本人の 発言が「暴言」にあたり、そのために裁判の威信が害されたとしても、その威信は 法文にいう「著しく」という程度にまでは害されていないのであるから、原決定に は法律の解釈、適用を誤つた違法が存するというものである。 しかしながら、原決定が本人に対し監置五日の制裁を科するにあたり確定した事 実によると、本人は昭和四五年一月一二日東京地方裁判所刑事第七〇一号法廷で開 かれた本人ほか一六名に対する兇器準備集合等被告事件の第二回公判期日におい て、公訴事実に対する意見の陳述をするに際し、大要「本件公訴事実はデツチあげ であり、逮捕、勾留、公訴提起は我々の正当な行動の圧殺をはかつてなされたもの である。」との趣旨の発言に引続き「裁判そのものが手続的な意味でも、形式的 の陳述をするに際し、大要「本件公訴事実はデツチあげ であり、逮捕、勾留、公訴提起は我々の正当な行動の圧殺をはかつてなされたもの である。」との趣旨の発言に引続き「裁判そのものが手続的な意味でも、形式的に 見ても、内容的に見ても、あるいは人間的に見ても、全くまちがつている。あるい はその存在基盤そのものが、もはや歴史的に見て極めて犯罪的なものである。」な どと発言し、右「犯罪的」なる暴言に対し、裁判長が注意を与え、取消しを勧告し たのに、これに応ぜず、もつて裁判の威信を著しく害したものであるというのであ つて、本人は裁判長から公開の法廷において、右「犯罪的」という用語が暴言にあ たると注意され、その取消しを勧告されたにもかかわらず、これに応じなかつたと いうのであるから、右「犯罪的」なる発言に先だちなした本人の発言内容をもあわ せて考察するときは、それらの言動が法廷等の秩序維持に関する法律第二条第一項 にいう暴言少くとも不穏当な言動であつて、しかもそれらの言動により裁判の威信 を著しく害した場合にあたると解せられるのであつて、これと同趣旨のもとに本人 の前記所為について右法条を適用した原決定は相当であり、原決定には所論法律の 解釈、適用を誤つた非違は、こう<要旨>も存しない。所論は、「犯罪的」という言 葉自体には、破廉恥的な意味合いが少しも含まれていないのであるか</要旨>ら、そ の言葉を使用したからといつて、原決定のように、その発言が「暴言」にあたると 解することはとうてい納得できないと主張するけれども、たとえ使用した言葉自体 が倫理的に非難さるべき意味合いをもつていなくても、他の言葉とのつながり方そ の他その言葉が使用された時、所、ふんい気等のいかんによつては、裁判の威信を 著しく害し、前記法条にいう「暴言」となることがありうるのであり、本件はまさ に右の場合に該当するの 他の言葉とのつながり方そ の他その言葉が使用された時、所、ふんい気等のいかんによつては、裁判の威信を 著しく害し、前記法条にいう「暴言」となることがありうるのであり、本件はまさ に右の場合に該当するのであるから、所論はとうてい採用できない。また所論は、 自己の思想的立場を表現する際に用いた用語をとらえて、制裁を科することは、思 想、良心の自由に対し不当な圧力を加えることとなるので、「犯罪的」なる言葉を 使用したことをもつて、「暴言」と解するのは相当でないと主張するけれども、右 の言葉を「暴言」と解したからといつて、所論のように、思想、良心の自由に対し 不当の圧力を加えたものとはとうてい解せられないのであるから、所論は採用でき ない。なお所論は、仮に本人の発言が「暴言」にあたるとしても、裁判の威信を 「著しく」害したことにはならないと主張するけれども、原決定の確定した事実に 徴すると、前記のとおり、本人の暴言少くとも不穏当な言動があり、そのため裁判 の威信を著しく害したと認めるを妨げないのであるから、所論は容認できない。論 旨は、理由がない。 よつて、本件抗告は理由がないから、法廷等の秩序維持に関する規則第一八条第 一項により、これを棄却することとして、主文のとおり決定する。 (裁判長判事 山田鷹之助 判事 目黒太郎 判事 中久喜俊世)
▼ クリックして全文を表示