- 1 -主文原判決を破棄する。 被告人A株式会社を罰金400万円に,被告人B及び被告人Cをそれぞれ懲役1年6月に処する。 被告人B及び被告人Cに対し,この裁判が確定した日から3年間それぞれその刑の執行を猶予する。 理由 本件各控訴の趣意は,各被告人の弁護人阿野寛之(主任)及び同清原雅彦連名作成の控訴趣意書記載のとおりであるから,これを引用する。 事実誤認ないし法令適用の誤りの主張について論旨は,採石業等を営む被告人A株式会社(以下「被告会社」ともいう)のa採石所(以下「採石所」という)の工場長として,採石所の業務全般を統括している被告人Bと,採石所の採石業務管理者として,その採石作業を指揮監督する被告人Cとが,共謀の上,被告会社の業務に関し,平成15年8月中旬ころから平成17年8月下旬ころまでの間,原判示の採石所地先海岸において,被告会社が行った採石事業により生じた鉱さい約5556トンを投棄し,もってみだりに廃棄物を捨てた旨認定した原判決について,①被告人B及び被告人C(以下,合わせて「被告人Bら」という)が,採石所地先海岸に投棄した鉱さいとされている岩石(以下「本件岩石」という)は,被告会社が実際に製品として出荷しているひん岩や閃緑岩と同質のものであり,発破やパワーショベルを使用して採石を行う際に,被告会社所有の海岸斜面の土地に土砂等とともに滑落したものであって,直ちに商品として出荷されるものではないものの,その滞留場所が被告会社の所有地であることや,その量が被告会社の出荷量と比較して多量ではないこと,自己利用や有償譲渡の可能- 2 -性が高く,将来的な商品化の見込みや意図があったことなどからすると,本件岩石は,平成17年法律第42号による改正前の廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下,単に「法」ともいう)にいう廃棄 - 2 -性が高く,将来的な商品化の見込みや意図があったことなどからすると,本件岩石は,平成17年法律第42号による改正前の廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下,単に「法」ともいう)にいう廃棄物(不要物)には該当しない,②本件岩石は,法及び廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(以下単に「施行令」という)所定の「鉱さい」に該当しない,③被告人Bらは,本件岩石等を当初から不要物として捨てたものではなく,それらはすべて被告会社の所有地内に留まっている上,周辺住民に健康被害をもたらすなどの弊害は考えられずその管理を放棄していたものでもないことなどからするとみ,,「だりに廃棄物を捨てた」とはいえないから,被告人らは無罪であるのに,被告人らを有罪とした原判決は,法令の解釈適用を誤り,あるいは事実を誤認したものであって,これら法令適用の誤りないし事実誤認が,判決に影響を及ぼすことは明らかであるというのである。 所論にかんがみ記録を調査し,当審における事実取調の結果をも併せ検討する。 (1)所論①(廃棄物該当性)について関係証拠によると原判決の弁護人らの主張に対する判断の項の1(1),「」ないし(3)記載の事実及び以下の事実が認められる(適宜原判決で認定されている事実の要点も付記した)。 ,,,,すなわち被告人Cは被告人Bの了承を得た上作業員らに指示して採石所の土地のうち,山口県知事から認可を受けた岩石採取計画(以下「岩石採取計画」という)による採石区域西側部分の山肌で採石作業を行わせたところ,本件岩石等が,西側の海に面した最大高さ40.1メートル,最大斜度約40度の崖(以下「本件現場」という)に滑落した。本件岩石は,岩石採取計画において,採取する岩石とされた閃緑岩の性質とほぼ同じ性- 3 -質を有するひん岩( た最大高さ40.1メートル,最大斜度約40度の崖(以下「本件現場」という)に滑落した。本件岩石は,岩石採取計画において,採取する岩石とされた閃緑岩の性質とほぼ同じ性- 3 -質を有するひん岩(花崗閃緑斑岩)であると鑑定されている。下関海上保安署による検証が行われた平成17年9月12日当時における本件現場の状況は,採石所の土地の上部から下方の海岸にかけて,茶色の土砂及び灰色ないし白色の岩石が,ほぼ三角形状に相当多量に堆積し,それが海岸にまで達した場所が3か所あった(以下,その3か所を北から南に順に「北側現場「中央現場「南側現場」という)。なお,その岩石は,拳大のものから」」長さ約1.63メートル,幅約1.46メートル,厚さ約0.89メートル程度までのものである。そして,そのいずれの堆積場所についても,その先端が海水に洗われ,上記岩石の一部が海中にまで達していた。北側現場の崖上は,採石所内の道路から最大高さ約3.9メートルまで土砂が壁状に高くなっており(以下,この山肌が壁状に残された部分を「残壁」という),幅約15.5メートルにわたって崖面の土砂がえぐられ,三角形状に堆積した岩石等の状況は,最大幅約15.6メートル,崖の斜面に沿って最大長さ約19.2メートル,堆積した岩石等の深さ約2.1メートルに及んでいた。中央現場の崖上は,採石所内の道路から最大高さ約2.5メートルまで残壁となっており,幅約4.9メートルにわたって崖面の土砂がえぐられ,三角形状に堆積した岩石等の状況は,最大幅約27.2メートル,崖の斜面に沿って最大長さ約25.3メートル,堆積した岩石等の深さ約2メートルに及んでいた。南側現場の崖上は,採石所内の道路から最大高さ約1.7メートルまで残壁となっており,幅約14メートルにわたって崖面の土砂がえぐられ,三角形状に堆積 ル,堆積した岩石等の深さ約2メートルに及んでいた。南側現場の崖上は,採石所内の道路から最大高さ約1.7メートルまで残壁となっており,幅約14メートルにわたって崖面の土砂がえぐられ,三角形状に堆積した岩石等の状況は,最大幅約58.9メートル,崖の斜面に沿って最大長さ約38メートル,堆積した岩石等の深さ約2.3メートルに及んでいた。上記崖部分は,海岸線から崖の中腹あたりまで,岩石採取計画において土地の崩壊,亀裂または- 4 -陥没等を防止するために設けられた保全区域となっていたことから,本件岩石を採取するためには,岩石採取計画の変更の認可を受けて,本件岩石が堆積した場所を保全区域から採取区域に変更する必要があったところ,本件行為当時,そのような岩石採取計画の変更が許されるかどうかは判然としなかった。被告人Bらは,本件岩石等が,岩石採取作業等に伴って本件現場に滑落し続けていることを認識しながら,それを放置し,その防止措置をとろうとはしなかったし,本件岩石等を回収する具体的な計画を立ててもいなかった。 ところで,被告人Cは,原審公判において,本件岩石は,当初から,後日採取するつもりであって,まず残壁部分の土砂を取るために,重機が安全に作業できるようにするための土台を作り,徐々にベンチを下げながら3年くらいかけて,崖部分に堆積した本件岩石を採取する計画があり,その計画については被告人Bとも話し合っていた旨供述している。他方,被告人Bは,原審公判において,本件岩石を採取する方法としては,被告人Cが述べる方法のほかに,海から船で岩石を採る方法もあり,どうしたらよいか考えていたものの,その費用を見積ったことはないし,本件岩石の,採取方法について被告会社の誰かと話したこともなかった旨供述しており。 ,,被告人Bの供述と被告人Cの供述は整合 どうしたらよいか考えていたものの,その費用を見積ったことはないし,本件岩石の,採取方法について被告会社の誰かと話したこともなかった旨供述しており。 ,,被告人Bの供述と被告人Cの供述は整合していないそして被告人Bが原審公判で,海上保安庁や検察庁における取調の際,本件岩石の具体的な回収方法について話したことはなかった旨供述していたことや,同被告人のみならず,被告人Cも,捜査段階において,検察官に対し,本件岩石等を回収することは考えていなかった旨供述していたことも併せ考えると,本件当時,本件岩石を採取するつもりであった旨の被告人Bらの供述は,いずれも信用できない。 - 5 -ところで,法25条1項9号,16条にいう「廃棄物」すなわち法2条1項にいう「不要物」とは,これを占有する者が自ら利用しまたは他人に有償で譲渡することができないために不要になった物をいうと解されるところ,本件岩石が,最大高さ40.1メートル,最大斜度約40度の崖に滑落して,採石所の土地の上部から下方の海岸にかけて堆積しているとい,,,,う形態やその排出の状況に加え原判決が指摘するとおり本件岩石が最初の滑落から2年以上の間,回収や製品化されることなく,堆積されたままの状態に置かれ,管理の措置も何らとられておらず,通常採取される岩石とは取扱いが明らかに異なっていた上,被告会社代表者は,本件岩石等について何の報告等も受けておらず,その存在さえも認識していなかったこと,本件当時,被告人Bらはもとより被告会社においても,本件岩石を回収する計画はなく,その意思もなかったことなどにかんがみると,本件岩石等が,それらを占有する被告会社にとって不要物として扱われていたことは明らかであって,本件岩石等は,同法条にいう「不要物」すなわち「廃棄物」に当たるという もなかったことなどにかんがみると,本件岩石等が,それらを占有する被告会社にとって不要物として扱われていたことは明らかであって,本件岩石等は,同法条にいう「不要物」すなわち「廃棄物」に当たるということができる。 ,,所論は<ア>本件岩石が被告会社の所有地である海岸に留まっている上その量も被告会社が出荷していた砕石・山土等の量に比較して多量とはいえないから,不要物とはいえない,<イ>本件岩石が堆積する保全区域を採取区域に変更することは容易であったから,本件岩石について「今後,採取が許可されるか否かの見通しも立っていなかった」と認定した原判決は事実を誤認している,<ウ>「廃棄物の処理及び清掃に関する法律の施行について」(昭和46年10月16日付け厚生省環境衛生局長通達。以下「局長通達」という)においては,土砂は,法の対象となる廃棄物ではないと明記されているところ,本件岩石は,土砂とともに滑落したものであり,岩- 6 -石と土砂との区別は相対的なもの(粒の大きさ)に過ぎないというべきであるとして,本件岩石について廃棄物性を否定すべきである旨主張する。 しかし,<ア>については,上記認定のとおり,本件岩石が堆積している場所は,被告会社の所有地上とはいえ,急な崖地から海岸にかけての場所であって,何ら管理の措置等が講じられていなかったし,その量も相当に多量であったから,所論指摘の点を考慮しても,本件岩石は不要物ということができる。 <イ>については,たしかに,後記認定のとおり,原判決後,本件岩石が堆積していた保全区域について,採取区域に変更する旨の岩石採取計画変。 ,,更の認可がなされた事実が認められるしかしそうであるからといって本件当時,採取区域への変更が許可されるかどうかの見通しが立っていなかったことは明らかであるから,原判決に 石採取計画変。 ,,更の認可がなされた事実が認められるしかしそうであるからといって本件当時,採取区域への変更が許可されるかどうかの見通しが立っていなかったことは明らかであるから,原判決に事実の誤認はない。 <ウ>については,所論指摘の局長通達が「土砂及びもっぱら土地造成の目的となる土砂に準ずるもの」について,法の対象となる廃棄物ではないとしているのは事実である。しかし,本件岩石のうちには,上記認定のとおり,相当に巨大なものが含まれていて,それらは,土地造成の目的にはそぐわないことが明らかであるから,本件岩石は,局長通達にいう「土砂ないし土砂に準ずるもの」であるとは認められず,本件岩石が法の対象となる廃棄物でないとはいえない。 したがって,所論①は採用できない。 (2)所論②(産業廃棄物性)について原判決は,本件岩石が,施行令2条8号の「鉱さい」に該当するものと認め,その理由として,環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課長作成の「廃棄物の処理及び清掃に関する法律上の疑義について(回- 7 -答)」と題する書面(原審検察官請求証拠番号甲28。以下「本件回答」という)によれば「鉱さい」には,日本標準産業分類における鉱業から排出さ,れる廃棄物が含まれるところ,採石業は鉱業に分類されることから,採石業の事業活動に伴って排出される本件岩石も「鉱さい」に該当するというのである。 しかし,本件回答がその根拠とする「廃棄物の処理及び清掃に関する法律の運用に伴う留意事項について」(昭和46年10月25日付け環整45号厚生省環境衛生局環境整備課長通知。なお本件回答に「昭和45年10月25日付け」とあるのは誤記である。当審検察官請求証拠番号1参照)には,施行令2条8号に掲げる産業廃棄物として「高炉,平炉等の残さい,キューポラのノ 境整備課長通知。なお本件回答に「昭和45年10月25日付け」とあるのは誤記である。当審検察官請求証拠番号1参照)には,施行令2条8号に掲げる産業廃棄物として「高炉,平炉等の残さい,キューポラのノロ,ボタ,不良鉱石,不良石炭,粉炭かす等が含まれるものであること」とされていて,本件回答がいうように,日本標準産業分類における鉱業から排出される廃棄物一般が含まれるとはされていない。また,そもそも「鉱さい」とは,原判決も指摘するとおり,鉱業に伴って排出される「かす」や「くず」を意味するものであって,上記通知に挙げられているものも,その性質上あるいは選別により,商品とはならないものであるということができるところ,本件岩石は,商品になり得る岩石と全く品質が異ならないものが,採石の過程で採取しにくい場所に滑落しただけであるから,原判決が指摘する諸点を考慮に入れても,本件岩石を「か,す」あるいは「くず」であるということは,その本来の字義から考えても無理があり,相当とはいい難い。 そして,産業廃棄物の種類については,事業活動に伴って生ずる廃棄物のうち,特にその処理が環境保全上問題になるものを政令によって指定しているのであって,これは制限列挙であると考えられるから,みだりに類- 8 -推によりその範囲を拡大すべきではないと解されることも考慮すると,本「」,。 ,件岩石を鉱さいに該当するというにはなお疑問の余地がある結局本件岩石を,法2条4項1号,施行令2条8号の「鉱さい」に該当する産業廃棄物であると認定した原判決には,法令の解釈を誤り,ひいては事実。 ,,を誤認した違法があるといわざるを得ない本件においては本件岩石が「」,「」法2条4項の産業廃棄物にあたると解しても法2条1項の廃棄物にあたると解しても,適用 は事実。 ,,を誤認した違法があるといわざるを得ない本件においては本件岩石が「」,「」法2条4項の産業廃棄物にあたると解しても法2条1項の廃棄物にあたると解しても,適用すべき罰条は異ならないものの,一般廃棄物と産業廃棄物とでは,法において,その処理責任,処理体系等につき差異が設けられており,特に,事業活動に伴って生ずる廃棄物については事業者の責任の軽重等につながるものであるから,この事実の誤認は,判決に影響を及ぼすことが明らかである。所論②は理由がある。 (3)所論③(「みだりに捨てた」該当性)について以上認定したとおり,被告人Bらは,本件岩石等を,急な崖地から海岸にかけての場所に,何らの管理の措置等もすることなく,最初の滑落から2年以上の間,堆積されたままの状態に放置していたものであり,その期間,態様等に照らすと,被告人Bらの行為が法16条にいう「みだりに捨て」る行為に当たることは,優に認められる。 所論は,<エ>採石作業の際に滑落していったものであって,当初から不要物として廃棄したものではない,<オ>被告人Bらは,採石作業に際し,本件現場の海岸に人がいないか確認するなど安全に配慮した,<カ>本件岩石は,すべて被告会社の所有地内に留まっている,<キ>本件岩石を被告会社の所有地内に置いたところで,周辺住民に健康被害をもたらすなどの弊害は考えられず,せいぜい考えられるとすれば,崩落の危険か水質汚濁の危険という程度であるが,前者については,本件現場は海岸線に至るまで- 9 -被告会社の土地であるから,本件現場に他人が接近し,その生命・身体に危険が生ずることは考え難いし,後者についても,どの程度の水質汚濁が生ずるか明らかではない,<ク>原判決は,被告人Bらが「本件岩石の管理を放棄し,放置していたと評価すべき が接近し,その生命・身体に危険が生ずることは考え難いし,後者についても,どの程度の水質汚濁が生ずるか明らかではない,<ク>原判決は,被告人Bらが「本件岩石の管理を放棄し,放置していたと評価すべき」であると指摘しているが,他方,同被告人らは,本件岩石が滑落したことを確認するなどしていた旨認定しているから,被告人Bらは,本件岩石を管理対象としていたのであって,本件岩石の管理を放棄していたとするのは誤りである,<ケ>被告会社は,昭和57年ころ,砕石積み降ろしの桟橋を設置したのを契機として,地元漁民の代表であるa協同組合との間で補償契約を締結し,この補償契約は更新を重ね,本件犯行がされたという期間においても効力を有していたから,上記補償契約の存在は,本件の社会的許容性を根拠付ける事情のひとつとなり得るというべきである旨主張する。 しかし,<エ><オ><カ>の各点については,その指摘する事情があるからといって,被告人Bらが,本件岩石の管理をしていたといえないことは,明らかである。<キ>の点は,本件岩石等が堆積されたまま放置されることにより,それらが崩落し,あるいは,本件岩石等が海面に達することにより,周辺海域の水質を汚濁する危険性があり,これが,生活環境の保全及び公衆衛生の向上を妨げることは明らかであって,本件岩石等を本件のような状態で放置することが,社会通念上許容されないことは明白である。<ク>の点は,被告人Bらにおいて,本件岩石が滑落したことを認識していたことをもって,その管理をしていたことにはならないことは多言を要しない。<ケ>の点も,被告会社が,a漁業協同組合との間で,被告会社の砕石事業による漁場の荒廃及び桟橋架設に伴う漁業の制限等による損害補償金として,同組合に対し,1か年150万円を支払うこと等を定める補償契- 10 -約を 社が,a漁業協同組合との間で,被告会社の砕石事業による漁場の荒廃及び桟橋架設に伴う漁業の制限等による損害補償金として,同組合に対し,1か年150万円を支払うこと等を定める補償契- 10 -約を締結したことが認められるところ,同契約が存在するからといって,本件岩石を捨てた行為が,社会的に許容されることにはならない。 所論③を受け入れることはできない。 上記のとおり,原判決が,本件岩石を産業廃棄物である「鉱さい」に該当すると認めた点は,法令解釈に誤りがあり,ひいては事実を誤認したものであって,この誤りが判決に影響を及ぼすことが明らかである。事実誤認ないし法令適用の誤りをいう論旨は,この限度で理由がある。そこで,量刑不当の主張に対する判断を省略し,刑事訴訟法397条1項,382条により原判決を破棄し,同法400条ただし書により直ちに当裁判所において自判すべきものと認め,更に次のとおり判決する。 (罪となるべき事実)被告人A株式会社は,福岡県b市c区d町e番f号に本店を置き,採石業等を営む会社であり,被告人Bは,同社a採石所工場長として同採石所の業務全般を統括するもの,被告人Cは,同採石所の採石業務管理者として,同採石所の採石作業を指揮監督するものであるところ,被告人B及び被告人Cは,共謀の上,同社の業務に関し,平成15年8月中旬ころから平成17年8月下旬こ,,ろまでの間山口県g市h町i丁目j番k号所在のa採石所地先海岸において同社が行った採石事業により生じた廃棄物であるひん岩等の岩石約5556トンをみだりに捨てたものである。 (証拠の標目)原判決の挙示する証拠のとおりである。 (法令の適用)被告会社罰条平成17年法律第42号附則5条により同法による改正前- 11 -の廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「改正前の廃棄 )原判決の挙示する証拠のとおりである。 (法令の適用)被告会社罰条平成17年法律第42号附則5条により同法による改正前- 11 -の廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「改正前の廃棄物処理法」という)32条1号,25条1項9号,16条被告人B及び被告人C罰条刑法60条,改正前の廃棄物処理法25条1項9号,16条(懲役刑選択)刑の執行猶予刑法25条1項(量刑の理由)本件は,採石業等を業とする被告会社の業務として,その工場長と採石業務管理者とが,共謀の上,需要の多い捨て石に適した硬い岩を採取できる場所が限られている上,その生産を急ぐ必要もあったことなどから,手間の掛かる通常の方法を用いず手っ取り早く採石をしようと考え,海に面した山肌部分にその内側から穴を開けて発破をかけ,山を崩して採石する作業を行い,その作業場所や作業方法等から,保全区域である崖や,その下方の海面にまで岩石等が滑落することが十分予想できたのに,作業効率や利益等を優先して,何らの滑落防止措置も取らないまま作業を進め,2年以上もの長期間,合計約5556トンもの多量の岩石等を崖の上から滑落させて捨てたという事案である。その動機は利欲的である。捨てた期間及び捨てた量のいずれをとってもまことに悪質である。その結果,崖面は,土砂がえぐられて地肌がむき出しになり,崩落の危険を生じさせたほか,岩石等の一部は海にまで達してその水質を汚濁したことがうかがわれるのであって,その環境に与えた影響は大きい。 被告人Bは,採石所の所長兼工場長として,採石所における事業全般の責任者の地位にあったものであり,被告人Cは,採石業務管理者として,採石計画や岩石の採取及び災害の防止等を監督する責任を有していたにもかかわらず,いずれも,作業員に指示するなどして,率先して本件犯行に及んだ 地位にあったものであり,被告人Cは,採石業務管理者として,採石計画や岩石の採取及び災害の防止等を監督する責任を有していたにもかかわらず,いずれも,作業員に指示するなどして,率先して本件犯行に及んだものであっ- 12 -て,被告人Bらの責任は重い。しかも,被告人Bらは,原審において,滑落した本件岩石等を回収する計画があったなどと,その犯意を否認していたものである。また,被告会社についても,相応の責任を問うべきである。 しかし,被告会社及び被告人Bには,いずれも相当に古い罰金刑前科を除いては前科がなく,被告人Cは前科がないこと,本件岩石等が堆積した3か所のうち,北側現場及び中央現場については,いずれも被告会社において,種子吹付工事を行った結果,現在では,ほぼ植生により被覆され,崩落や土砂等流出の危険が相当程度減少したと認められること,南側現場については,岩石で覆われているため,植栽ができなかったところ,原判決後,被告会社から山口県知事に対し,岩石採取計画の変更を申請し,平成19年3月5日,その認可を得て,本件現場のほとんどが,保全区域から採取区域ないし作業場区域に変更され,今後,採取区域に洞穴のような穴を開けて,南側現場に残る岩石等を採取することが可能となったことから,同現場についても,いずれ環境が回復されることが見込まれることなどを斟酌して,主文のとおり刑を量定し,被告人B及び被告人Cに対しては,その刑の執行を猶予することとした。 よって,主文のとおり判決する。 平成19年5月15日広島高等裁判所第1部裁判長裁判官楢崎康英裁判官森脇淳一- 13 -裁判官友重雅裕 脇淳一 裁判官友重雅裕
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