平成21(ワ)5042 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
平成24年7月31日 横浜地方裁判所
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判決文本文20,503 文字)

平成24年7月31日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成21年第5042号損害賠償請求事件口頭弁論終結日平成24年6月5日判決(当事者の表示省略)主文 1 被告は,原告に対し,2312万8932円及びこれに対する平成17年6月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用は,これを2分し,その1を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。 4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。事 実 及 び 理 由第1 請求被告は,原告に対し,4998万8283円及びこれに対する平成17年6月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。第2 事案の概要本件は,被告運転の自動車(以下「被告車両」という。)と原告運転の自転車(以下「原告自転車」という。)とが衝突した交通事故(以下「本件事故」という。)について,原告が,被告に対し,人身損害については自動車損害賠償保障法(以下「自賠法」という。)3条に基づき,物的損害については民法709条に基づき,損害の賠償と本件事故日からの遅延損害金を請求する事案である。 1 争いのない事実 本件事故の発生ア日時平成17年6月8日午前7時40分ころイ場所神奈川県海老名市a×××番地先の十字路交差点(以下「本件交差点」という。)ウ関係車両被告車両自家用普通乗用自動車(車両番号湘南×××○×××)エ事故態様被告は,被告車両を運転中,本件交差点において,左 差点」という。)ウ関係車両被告車両自家用普通乗用自動車(車両番号湘南×××○×××)エ事故態様被告は,被告車両を運転中,本件交差点において,左方向から進行してきた原告自転車と衝突した。 責任原因被告は,被告車両の保有者であり,また,左方向の安全確認を怠って本件交差点に進入したなどの過失があるから,自賠法3条及び民法709条に基づき,本件事故により原告に生じた損害を賠償する責任を負う。 2 争点及び当事者の主張 事故態様及び過失相殺(被告の主張)ア本件交差点には信号機が設置されておらず,原告においても,本件交差点に進入する際,右方からの車両の動静に注意すべき義務がある。原告は同義務を怠り,漫然と本件交差点に進入したため,本件事故が発生した。イ原告が走行していた歩道は,自転車の通行が禁止されていた。ウ以上から,25%の過失相殺がされるべきである。(原告の主張)ア被告車両が走行していた道路には一時停止の標識がある。本件交差点には,4方向を確認するミラーが2か所設置されている。被告車両からみて,本件交差点の左側には保育園があり,また,左側の見通しが悪い。イ被告は,本件交差点に進入する際,一時停止をして,本件交差点の左右の状況を注視すべき義務を負うが,同義務を怠り,漫然と時速10㎞で本件交差点に進入した過失がある。ウ本件交差点付近の車道の幅は3mしかなく,大型車両が頻繁に通行していたため,自転車で走行する者は,やむを得ず歩道を走行していた。エ本件事故は,上記イの被告の一方的な過失で発生したものであり,過失相殺すべきではない。 原告は本件事故によって ていたため,自転車で走行する者は,やむを得ず歩道を走行していた。エ本件事故は,上記イの被告の一方的な過失で発生したものであり,過失相殺すべきではない。 原告は本件事故によって脳脊髄液減少症を発症したか,症状固定時及び後遺障害等級(原告の主張)原告は,日本脳神経外傷学会による「外傷に伴う低髄液圧症候群」の診断基準によっても,脳脊髄液減少症を発症したと認められる。原告には,①脳脊髄液減少症の症状である起立性頭痛があり,②RI脳槽シンチグラフィー検査等で髄液漏れの所見が認められ,③ブラットパッチによる症状の改善が認められる。なお,ブラットパッチにより髄液漏れは止まっているものの,原告の症状が慢性化して持続しているのは,減少した髄液量が均等に増加しないことや,損なわれた神経系が回復しないことが原因であって,ブラットパッチの施術結果は脳脊髄液減少症を否定するものではない。症状固定日は,平成23年11月30日である。後遺障害等級は,自賠法施行令別表第二第9級10号である。(被告の主張)脳脊髄液減少症の診断基準として,脳脊髄液減少症研究会の「ガイドライン2007」は適切ではない。原告には,①起立性頭痛が認められず(事故後約4か月間に頭痛の訴えがなく,b病院初診時[平成18年4月27日]にも,起立性頭痛は認められない。),②RI脳槽シンチグラフィーは診断基準として信用性が低く,これによって髄液漏れがあるとは判断できず,③ブラットパッチの効果が認められたのは1回目と4回目のみであり,その効果も一過性のものであったから,効果があったとは認められない。症状固定日は,平成18年10月末とするのが相当である。後遺障害等級は,自賠法施行 は1回目と4回目のみであり,その効果も一過性のものであったから,効果があったとは認められない。症状固定日は,平成18年10月末とするのが相当である。後遺障害等級は,自賠法施行令別表第二第14級9号である。 損害(原告の主張)ア治療関係費 治療費 176万5000円(平成18年11月1日以降の治療費) 入院雑費 4万8000円(平成18年11月1日以降の入院雑費)b病院での入院(平成19年7月30日~同年8月10日,平成20年7月23日~同月31日及び同年8月18日~同月19日),c病院での入院(平成20年11月29日~同年12月4日及び平成22年6月1日~同月3日)の入院時の雑費1500円×32日 交通費 14万2220円(平成18年11月1日以降の交通費)1400円×54日(b病院への車通院を除く54日分の交通費)+1万5000円(b病院駐車場代)+1万6800円(共済未払分)+2180円×13日(c病院への交通費)+420円×8日(dクリニックへの交通費)+3120円(e病院への交通費)イ休業損害 本件事故日~f株式会社の退職時(平成17年11月30日)170万4080円(g共済協同組合から支払済み) 平成17年12月1日~平成19年12月13日9071円(賃金センサス平成20年男子大学・大学院卒20歳~24歳の平均賃金331万1100円を日額で算出した額)×100%×743日=673万9753円 平成19年12月14日(原告が25歳となる日)~平成20年1月17日1万2055円(賃金セン 日額で算出した額)×100%×743日=673万9753円 平成19年12月14日(原告が25歳となる日)~平成20年1月17日1万2055円(賃金センサス平成20年男子大学・大学院卒25歳~29歳の男子労働者の平均賃金440万0100円を日額で算出した額)×100%×35日=42万1925円ウ逸失利益2620万6775円(計算式)440万0100円(賃金センサス平成20年男子大学・大学院卒25歳~29歳の男子労働者の平均賃金)×35%×17.0170(67歳-28歳=39年のライプニッツ係数)エ慰謝料入通院慰謝料 300万円後遺症慰謝料 700万円オ物損 自転車(2万6800円)+シャツ(1000円)+ズボン(4000円)+靴(6000円)=3万7800円カ損害の填補上記イの170万4080円キ弁護士費用 454万円ク合計 4990万1473円(なお,前記第1の請求金額と異なるのは,前記アの治療費の額について,原告の主張が,185万1810円から176万5000円に変更されたためである。)(被告の主張)ア否認ないし争う。イ休業損害のうち,イは認め,イ,は争う。ウ逸失利益は争う。後遺障害の等級は14級9号であり,労働能力喪失率は5%,喪失期間は3年間が相当である。エ慰謝料は争う。オ物損は不知。カ損害の填補は認める。キ弁護士費用は争う。第3 裁判所の判断 1 過失相殺の可否について 前記争いのな 。エ慰謝料は争う。オ物損は不知。カ損害の填補は認める。キ弁護士費用は争う。第3 裁判所の判断 1 過失相殺の可否について 前記争いのない事実に証拠(甲2,16,18,乙1,原告本人[第1回])及び弁論の全趣旨を総合すると,次の事実が認められる。ア本件交差点は,h方面とi方面に伸びる道路(以下「道路A」という。)とj方面とk方面に伸びる道路(以下「道路B」という。)が交差する十字路交差点であり,信号機は設置されていない。道路Aは車線の別がある片側1車線の道路であり,各車線の幅は約3mで,両側に約1.4mの歩道がある。同歩道での自転車の通行は不可とされている。ただし,道路Aの車道の交通量が多いため,多くの自転車運転者は,歩道を走行していた。道路Bは幅員約4.8mの道路である。いずれの道路からも左右の見通しは悪いが,別紙図面の「カーブミラー」と記載された位置にはカーブミラーが設置されている。道路B上には,別紙図面の「止まれ」と記載されている位置に,一時停止線がある。イ被告車両は,j方面からk方面へ道路Bを走行し,上記一時停止線で一時停止した後,本件交差点に進入したところ,左方向から道路Aの東方面にある歩道上を走行してきた原告自転車と,別紙図面の地点で,衝突した。原告は,ブレーキをかけないまま,原告自転車を本件交差点に進入させ,進入直後に被告車両と衝突した。 被告は,陳述書(乙1)で,上記一時停止線で一時停止したと供述しているところ,証拠(甲2)によると,被告車両は,本件事故発生した地点から約0.6m離れた地点で停止しているから,本件事故当時,被告車両の速度はほとんど出ていなかっ 止したと供述しているところ,証拠(甲2)によると,被告車両は,本件事故発生した地点から約0.6m離れた地点で停止しているから,本件事故当時,被告車両の速度はほとんど出ていなかったと認められる。このことからすると,本件交差点に進入する手前で一時停止した旨の被告の上記供述は信用することができる。 したがって,被告車両は,本件交差点に進入する手前で一時停止したものと認められる。これに対し,原告は,被告車両が一時停止していないと主張し,陳述書(甲18)及び本人尋問において,別紙図面のBの位置辺りで,カーブミラーを見て確認したところ,被告車両はいなかったと供述するが,この供述から直ちに被告車両は一時停止していないと認めることはできず,他に,被告車両は本件交差点に進入する手前で一時停止したとの上記認定を左右するに足りる証拠はない。 以上の事故態様からすると,原告車両は,自転車の通行が禁止されている歩道上を左方向から進行してきたのであるから,原告にも過失があるということができ,25%の過失相殺をするのが相当である。 2 原告は脳脊髄液減少症を発症しているか 証拠(甲1,甲3の5・10,甲4,6,7,甲8の2・7・19・21・23・30・36・38・39・51,甲9の2の1・2・6・30,甲9の3,甲9の4の4,甲10の2・3・6・8・9・11・17・24・29・34・38・51,甲14の1~3,甲17の1~6,甲18,21,25,26,甲27の1,甲31の1~8,乙2,5,乙6の1~12,乙7,証人l[以下「l」という。],原告本人[第2回])及び弁論の全趣旨によると,次の事実が認められる。ア m病院 原告は,平成17年6月8日,本件事故により頚 乙7,証人l[以下「l」という。],原告本人[第2回])及び弁論の全趣旨によると,次の事実が認められる。ア m病院 原告は,平成17年6月8日,本件事故により頚部を負傷し,その直後に意識を失い,直ちに,m病院へ救急搬送された。原告は,同日,頭痛や右後頚部痛を訴えていた。同日,CT検査が行われたが,異常はなかった。同月9日の通院時,原告は,首筋の痛み(頚部痛)を訴えたが,頭痛はないと述べていた。同病院の医師は,同日,脳震盪症,頚椎捻挫と診断した。イ nメディカルプラザ原告は,平成17年6月9日,nメディカルプラザへの通院を開始した。 初診時において,原告は,後頚部痛及び背部痛を訴えていたが,頭痛は訴えていなかった。レントゲン検査が行われたが,異常はなかった。原告は,同年7月28日,ひどい頭痛があると訴えた。同年9月8日のカルテ(甲10の24)には,「かなり改善してきた。 motionも良くなってきている。リハしている。肩こりのみ」との記載がある。同月26日,同病院の医師は,外傷性頚部捻挫と診断した。原告は,同年11月2日,同病院の整形外科の問診票において,小指及び薬指のしびれを訴えているが,頭痛は訴えていない。同病院の医師は,平成18年1月13日,外傷性頚部捻挫に加え,末梢神経障害と診断した。原告は,平成18年2月3日,右手の指の痺れや右側の肩こり,頭痛等を訴えた。同病院には,平成20年2月28日まで通院した。ウ o病院原告は,平成17年7月19日,同病院のリハビリテーション科に通院し,運動療法等のリハビリを開始した(疾病名は外傷性頚部捻挫)。 2月28日まで通院した。ウ o病院原告は,平成17年7月19日,同病院のリハビリテーション科に通院し,運動療法等のリハビリを開始した(疾病名は外傷性頚部捻挫)。同年7月25日のカルテ(甲10の8)には,「症状は落ち着いてきて いる」との記載があるが,原告は,同月28日,右の首筋の痛みを訴えている。エ b病院 原告は,平成17年12月19日,b病院の脳神経外科を受診し,同病院への通院を開始した。 同病院ではMRI検査が行われたが,MRI上,低髄液圧症の所見は認められず,器質的病変も認められなかった。しかし,低髄液圧症様の症状が持続するため,同病院の麻酔科のp医師(以下「p医師」という。)は,平成18年11月9日,1回目のブラッドパッチを施行した。これにより,低髄液圧症様の症状は著明に改善した。しかし,その後,症状が再発したため,原告は,平成19年2月1日に頚部に,同年5月24日に腰部に,それぞれ,ブラッドパッチを受けたものの,症状は一過性に軽減するのみであった。原告は,平成19年7月30日から同年8月10日まで,b病院に入院し,その間に,頚部に頚部硬膜外持続ブロックの施術を受けた。これにより,一定期間,症状が軽減したが,再び症状が悪化した。p医師は,平成19年11月15日,自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書(甲6)を作成した。同診断書には,傷病名として,頸腕症候群のほか,低髄液圧症候群の疑いがある旨が記載されており,また,自覚症状として,立位で出現し臥位で軽快する頭痛が持続していたことや,ブラッドパッチにより症状が改善したこと,その後症状が悪化したことなどが記載されている。 p医 載されており,また,自覚症状として,立位で出現し臥位で軽快する頭痛が持続していたことや,ブラッドパッチにより症状が改善したこと,その後症状が悪化したことなどが記載されている。 p医師は,平成18年8月24日,原告を診察しているが,この診察時の「外来麻酔科経過記録」(甲9の2の1・18頁)には,頭痛について,「臥位でも軽減なし」の記載がある。同年10月5日の診察時の「外来麻酔科経過記録」(甲9の2の1・25頁)には,「天候により頭痛,呕気横になっているとよくなる」との記載が,同年11月9日の診察時の「外来麻酔科経過記録」(甲9の2の1・29頁)には「臥位で30分程度で改善」との記載が,平成19年3月22日の診察時の「外来麻酔科経過記録」(甲9の2の1・39頁)には「日によって症状大きく異なる。朝起床してすごく痛いことがよくある」との記載が,同年6月21日の診察時の「外来麻酔科経過記録」(甲9の2の1・47頁,48頁)には「臥位で・・・よくなる」との記載がある。また,平成19年6月26日の診察時の「外来初診記録続紙」(甲9の4の4・2頁)には,安静にしていても頭痛があり,動くとこれらが増大する旨の記載がある。なお,平成19年3月29日の診察時の「外来初診記録続紙」(甲9の3・1頁,2頁)には,同病院神経内科のq医師の診断として,横になっても頭痛がなくならない旨や,「ハッキリとした起立性H/A(頭痛)ではないが・・・」との記載がある。 原告は,同病院で,平成20年8月18日,RI脳槽シンチグラフィー検査を受け,6時間後及び25時間後の状態を撮影した。しかし,p医師は,髄液漏れの所見はないと判断しており,同病院のr医師も,髄液漏れを示唆するRIの異 成20年8月18日,RI脳槽シンチグラフィー検査を受け,6時間後及び25時間後の状態を撮影した。しかし,p医師は,髄液漏れの所見はないと判断しており,同病院のr医師も,髄液漏れを示唆するRIの異常集積は認められないと判断している。オ c病院 平成19年7月に原告が作成した,c病院のl医師の診療予約申込書(甲8の2)には,「常に頭痛がする」「頭が重い」という項目には○が付けられているものの,「起き上がっているときのみ頭痛がする」という項目には○が付けられていない。原告は,平成20年11月5日から,c病院への通院を開始し,l医師の治療を受けた。 原告は,平成20年11月29日,MRミエログラフィー検査を受けた。 原告は,平成20年12月1日,頭部のMR検査を受けた。同検査において,硬膜の肥厚増強効果の所見は認められず,小脳扁桃の位置にも異常は認められないと診断された。 原告は,平成20年12月1日,RI脳槽シンチグラフィー検査を受けた。同検査によると,RI注入から1時間後に膀胱内にRI集積がみられたほか,3時間後及び6時間後の画像上,腰椎部からRIが滲み出ている様子が映し出されている。また,RI残存率は,24時間後で17.2%であった。 原告は,平成20年12月2日に,ブラッドパッチを受けた。その後,原告の症状は改善傾向にあり,l医師は,平成21年3月2日,原告について,復職可能である旨の診断書を書いた。 原告は,平成21年6月29日及び同年12月28日に,MRミエログラフィー検査を受けた。 原告は,平成22年1月6日,ブラッドパッチを受けたが,症状は,軽減しなかった。 原告は,平成22年6 月29日及び同年12月28日に,MRミエログラフィー検査を受けた。 原告は,平成22年1月6日,ブラッドパッチを受けたが,症状は,軽減しなかった。 原告は,平成22年6月2日,RI脳槽シンチグラフィー検査を受けたが,同検査においては,膀胱内のRI集積は注入6時間後に見られ,髄液漏出の所見はなく,24時間後のRI残存率は31%であった。カ s接骨院・dクリニック原告は,平成17年9月29日から平成18年10月31日まで,頚部捻挫及び右前腕部挫傷のため,s接骨院に通った。また,原告は,平成21年10月23日から,dクリニックに通院している。キ等級認定等原告は,平成20年7月16日,g共済協同組合により,自賠法施行令別表第二第14級9号「局部に神経症状を残すもの」に該当すると判断された。ク勤務状況等 原告は,昭和57年12月14日に生まれ,t大学を卒業し,平成17年4月にf株式会社に入社して,工作機械を使って金属を削る等の仕事をしていた。原告は,本件事故後,同社を休職し,同年9月22日に出勤したものの,痛みにより,翌日から再び休職した。その後,平成17年11月30日付けで,f株式会社を退職した。原告は,平成19年に,レンタルビデオ店で,約2か月間,週に3回,1回約6時間,DVD等の貸出しや返却等のアルバイトをした。原告は,就職活動をし,平成20年1月21日,株式会社uに入社し,当初は鎮痛剤で痛みを抑えて仕事をしていたものの,梅雨になって頭痛等の症状が悪化し,また,薬の副作用による倦怠感等があり,平成20年6月30日ころから同社を休職した。平成21年5月25日に復職した 当初は鎮痛剤で痛みを抑えて仕事をしていたものの,梅雨になって頭痛等の症状が悪化し,また,薬の副作用による倦怠感等があり,平成20年6月30日ころから同社を休職した。平成21年5月25日に復職したが,平成21年10月27日ころに再び休職し,平成22年11月30日付けで,休職期間満了のため,同社を退職した。上記休職の後,原告の症状に特段の改善はなく,働いていない。 原告は,b病院で,痛みを抑えるため,星状神経ブロック及び頚部硬膜外ブロックによる治療を受けていた。原告は,b病院で,麻薬性の鎮痛剤であるリン酸コデインの処方を受けていたが,痛みの増大により,c病院でモルヒネの処方を受け,その後,平成23年8月からは,モルヒネより鎮痛作用がかなり強いフェンタニルの処方を受けている。 平成23年9月16日時点の原告の症状は,拍動性頭痛(脈の動きで感じる頭痛),緊張性頭痛(常に肩が凝って起きる頭痛),光による頭痛(不意に光を見たときに起こる頭痛),耳なり,後頚部痛,あごの違和感,背痛,腰痛などである。ケ脳脊髄液減少症の診断基準 脳脊髄液減少症ないし低髄圧症候群は,硬膜から髄液が漏れ出し,頭蓋内圧が低下し,又は脳組織が下方変位し,頭痛等が生ずるという病態である。立位では髄液漏出が増大するため,頭痛が悪化し,臥位では症状が改善する(起立性頭痛)のが一般的である。 国際頭痛学会が発表した国際頭痛分類のうち,特発性低髄液圧性頭痛(髄液漏れの原因が不明なもの)の診断基準(以下「国際頭痛分類基準」という。)は,別紙1のとおりである。 日本脳神経外傷学会は,髄液漏出の診断方法が医師によって異なっていたことから,科学的根拠に基づ 因が不明なもの)の診断基準(以下「国際頭痛分類基準」という。)は,別紙1のとおりである。 日本脳神経外傷学会は,髄液漏出の診断方法が医師によって異なっていたことから,科学的根拠に基づく診断基準等を確立するため,「頭部外傷に伴う低髄液圧症候群作業部会」を設置し,同部会は,別紙2の外傷に伴う低髄液圧症候群の診断基準(以下「脳神経外傷学会基準」という。)を発表した。 l医師を委員長とする「脳脊髄液減少症研究会ガイドライン作成委員会」は,別紙3の診断基準(以下「ガイドライン基準」という。)を作成した。 厚生労働省の研究班である「脳脊髄液減少症の診断・治療法の確立に関する研究班」は,脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)が頭頚部外傷後に続発すると報告されたことに端を発し,あたかもむち打ち症の患者のすべてが脳脊髄液減少症であるかのごとく誤解されるなどの事象が生じており,その原因は,医師ごとに独自の診断基準を用いていたことにあるとして,厚生労働科学研究費補助金障害者対策総合研究事業として,脳脊髄液減少症の研究を行い,平成23年10月ころ,その中間報告を行った。同中間報告には,暫定的な診断基準(内容は別紙4のとおり。 以下「厚労省中間報告基準」という。)が含まれている。 原告は,本件事故により脳脊髄液減少症を発症したと主張し,その証拠としてl医師の意見書(甲19)を提出し,また,l医師は,証人尋問において,同旨の証言をしている。そこで,まず,同意見書及び証言について検討する。ア l医師は,ガイドライン基準に基づき,①受傷後まもなく起立性頭痛等の症状があったこと,②画像所見として,平成20年11月のRI脳槽シンチグラフィー検査において注入から1時間後に膀胱内にRIの集積が見られたこ ガイドライン基準に基づき,①受傷後まもなく起立性頭痛等の症状があったこと,②画像所見として,平成20年11月のRI脳槽シンチグラフィー検査において注入から1時間後に膀胱内にRIの集積が見られたこと,3時間後及び6時間後には腰椎部から明瞭な髄液漏出像が認められたこと,24時間後のRI残存率は13.8%と低いこと,平成22年6月のRI脳槽シンチグラフィー検査においては膀胱内にRIが集積したのは注入から6時間を経過した後であり,髄液漏出像はなく,24時間後のRI残存率は31%と正常であったこと,③ブラッドパッチに一定の効果があったことを主な根拠として,原告が脳脊髄液減少症を発症したと判断している。イ ①症状について前記ア,イによると,原告は,m病院及びnメディカルプラザにおいて,頭痛を訴えた時と訴えなかった時があり,前記エ,によると,b病院において,原告は,起立性頭痛があると診断されている(甲6)ものの,その診療録には,臥位でも頭痛は軽減しない旨の記載などもあり,原告の頭痛が起立性頭痛であるかどうかは,必ずしも明確でない点がある。ウ ②RI脳槽シンチグラフィー検査の結果等についてRI脳槽シンチグラフィー検査とは,腰から脊髄腔を穿刺し,RI(放射性同位元素のイリジウムでラベルされた放射性物質)を脊髄腔に注入して,RIの漏出や膀胱内におけるRIの集積状況等を検査するものである(乙7・96頁)。ガイドライン基準が早期(RI注入後3時間以内)の膀胱内のRIの集積を脳脊髄液の漏出とする理由は,脳脊髄液が上矢状洞と呼ばれる血管から吸収されて血液循環に入り,腎臓を経て,尿となって膀胱に到達するには約4~6時間かかるため,3時間以内のRIの膀胱集積は,硬膜外に漏れたRIを 漏出とする理由は,脳脊髄液が上矢状洞と呼ばれる血管から吸収されて血液循環に入り,腎臓を経て,尿となって膀胱に到達するには約4~6時間かかるため,3時間以内のRIの膀胱集積は,硬膜外に漏れたRIを含む脳脊髄液が周囲の毛細血管から血中に吸収され,腎臓そして膀胱へと移行した結果である,という点にある(乙7・96頁)。そして,前記オのとおり,本件では,RI注入から1時間後に膀胱内にRIが集積していることが認められている。しかし,脳脊髄液は脊髄腔からも吸収されるのであって,RI販売業者の医薬品情報では,RIの血中濃度は,投与後3時間で最高値を示すとのデータも存在する(乙7・97頁)。また,証拠(甲21,26)によると,2.5時間以内の早期膀胱内でのRI集積は,正常者でも高頻度で認められ,後記のとおり重要な基準であると考えられる厚生省中間報告基準においても,正常所見との境界が明確ではないため,参考所見に留まるとされていることが認められる。したがって,RI注入から1時間後の原告の膀胱内にRIが集積していることは,直ちには,脳脊髄液の漏出を示すものとは認められないものの,参考所見とはなるということができる。次に,腰椎部からの脳脊髄液漏出像について検討する。証拠(甲8の19,証人l)によると,l医師が脳脊髄液漏出像と述べているのは,RI注入から3時間後及び6時間後の画像において,腰椎部付近に,ほぼ左右対称の丸味を帯びたぎざぎざ様の画像がある部分であるところ,証拠(乙7・88頁)によると,腰椎部には神経根に沿って髄腔がつぼみ上に膨らんでいる部分があり,ここにRIが溜まっている場合は,同様の画像となること,また,RI検査における脊髄腔穿刺の時にできた針穴(穿刺部)から漏れている可能性があることが認められる。 らんでいる部分があり,ここにRIが溜まっている場合は,同様の画像となること,また,RI検査における脊髄腔穿刺の時にできた針穴(穿刺部)から漏れている可能性があることが認められる。さらに,証拠(甲21,26)によると,腰部両側対称性のRIの集積は,穿刺部からの漏出の可能性等を排除できないため,厚生省中間報告基準においては,参考所見とするに留められている。これらのことからすると,本件における腰椎部付近におけるRI集積を示す画像は,直ちには,脳脊髄液の漏出を示すものとは認められないものの,参考所見とはなるということができる。次に,24時間後のRI残存率が低いことについては,証拠(甲21,26,乙7・107頁)によると,放射性同位元素の血中への移行の早さ及び体外排泄の早さは個人差が大きいと考えられ,RI残存率が低いからといって,この点から脳脊髄液の漏出があったとはいい難く,厚生省中間報告基準においても,RI残存率は診断基準とされていないことが認められる。したがって,RI残存率が低いことから原告が脳脊髄液減少症であると認めることはできない。l医師は,本件において,MRIで頭蓋骨内の静脈が拡張した所見が認められることも,脳脊髄液減少症の理由の1つとしている。証拠(甲21,26,乙7,証人l)によると,頭蓋内の容積は一定であり,何かが減少すると,それと同じ容積の何かが増加する必要がある(モンロー・ケリーの法則)ため,脳脊髄液が減少した場合,それに伴って,拡張し易い静脈や毛細管等の容積が拡大することから,静脈拡大は脳脊髄液減少症を示す特徴とされているが,その判定は難しく,厚生省中間報告基準においても,静脈拡大については,客観的判断が難しいことから,低髄液圧症の参考所見とされていることが認められる。また, は脳脊髄液減少症を示す特徴とされているが,その判定は難しく,厚生省中間報告基準においても,静脈拡大については,客観的判断が難しいことから,低髄液圧症の参考所見とされていることが認められる。また,証拠(甲8の23)によると,v医師は,同様の造影による頭部のMR検査において,頭蓋骨内に明らかな異常は見られないと診断しており,静脈拡大を指摘していないことが認められる。以上のことからすると,上記のl医師による静脈の拡張の所見から,脳脊髄液減少症を発症していると直ちに認めることはできないものの,l医師が,MRIで頭蓋骨内の静脈が拡張した所見が認められるとしていることは,参考所見とはなるということができる。また,l医師は,証人尋問において,MRミエログラフィー検査の結果を指摘している。同検査の所見は脳脊髄液減少症を示す重要な所見であると認められるが(甲21,26),l医師は,同検査の結果については,漏れている可能性があると証言するに留まっており,証拠(甲8の30)によると,平成20年12月12日の時点でも,MRミエログラフィー検査では明らかな漏出所見は見られないと診断していると認められる。これらの事実からすると,原告のMRミエログラフィー検査の結果から直ちに脳脊髄液漏出があるとは認められない。エブラッドパッチの効果についてブラッドパッチとは,硬膜外腔に自家血を注入することで,脊髄の硬膜外の圧を上昇させ,髄液腔と硬膜外との間の厚さにより漏出していた脳脊髄液漏出を止める治療方法であり,長期的には血液による硬膜外腔の組織に癒着が生じて漏出部位を閉鎖させることが期待される(甲21,乙7)。前記エ,オ・によると,原告は,5回にわたり,ブラッドパッチを受けていること,そのうち症状が る硬膜外腔の組織に癒着が生じて漏出部位を閉鎖させることが期待される(甲21,乙7)。前記エ,オ・によると,原告は,5回にわたり,ブラッドパッチを受けていること,そのうち症状がかなり改善したのは1回目(平成18年11月9日)及び4回目(平成20年12月2日)であること,しかし,その効果は,長続きしなかったこと,他の3回は,目立った効果はなかったことが認められる。したがって,原告の症状が,ブラッドパッチにより,長い期間にわたって顕著に改善したとまでは認められないものの,一定の効果はあったと認められる。また,前記オのとおり,平成20年12月1日のRI脳槽シンチグラフィー検査によると,RI注入から1時間後に膀胱内にRI集積がみられたほか,3時間後及び6時間後の画像上,腰椎部からRIが滲み出ている様子が映し出されているところ,前記オのとおり,平成22年6月2日のRI脳槽シンチグラフィー検査においては,膀胱内のRIの集積が注入から6時間後に初めて認められ,髄液漏出の所見はなかったものであって,このことは,この間にブラッドパッチにより脳脊髄液の漏出が止まったことの一つの根拠とはなるということができる。 証拠(甲21,26)によると,厚生省中間報告基準における画像診断基準は,脳神経外傷学会基準を作成した日本脳神経外傷学会を含め,複数の学会が了承・承認した基準であると認められ,中間報告の段階であるものの,現段階において重要な診断基準であると考えられる。原告の症状を厚生省中間報告基準に当てはめると,前記のとおり,複数の参考所見となるものが見られるものの,それを超える所見があるとまでは認められない。その余の基準(国際頭痛分類基準,脳神経外傷学会基準,ガイドライン基 に当てはめると,前記のとおり,複数の参考所見となるものが見られるものの,それを超える所見があるとまでは認められない。その余の基準(国際頭痛分類基準,脳神経外傷学会基準,ガイドライン基準)は,いずれも厚生省中間報告基準より前に作成されたものであって,その信頼性は,厚生省中間報告基準には及ばないと考えられるが,起立性頭痛を脳脊髄液減少症の症状としていることなど参考となる点はあるということができる。 以上によると,原告が脳脊髄液減少症を発症したと確定的に認めることまではできないものの,b病院において起立性頭痛であると診断されていること,厚生省中間報告基準における参考所見が複数見られること,ブラッドパッチが一定程度効果があったことからすると,原告について,脳脊髄液減少症の疑いが相当程度あるということができる。 3 症状固定日自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書(甲6)には,症状固定日を平成20年1月17日とする記載があるところ,前記2認定の原告の症状・治療経過等によると,同日を原告の症状固定日とすることが相当であると認められる。 4 後遺障害の内容,程度前記2で認定した本件事故後の原告の症状・治療経過等によると,原告には,本件事故により,頚部受傷後の頭痛,後頚部痛,背痛などの神経症状が残存したことが認められる。そして,前記2クによると,原告は,平成21年10月27日ころに休職した以降は,仕事をすることができず,また,鎮痛作用のかなり強い鎮痛剤を継続的に使用しているのであって,その痛みの程度は著しいと考えられる。前記2のとおり,原告は,脳脊髄液減少症を発症した疑いが相当程度あるから,原告の上記症状は,脳脊髄液減少症による可能性が相当程度ある。また,仮に,そうでないとし の痛みの程度は著しいと考えられる。前記2のとおり,原告は,脳脊髄液減少症を発症した疑いが相当程度あるから,原告の上記症状は,脳脊髄液減少症による可能性が相当程度ある。また,仮に,そうでないとしても,原告の現在の神経症状が上記のとおり重いものであることは明らかであり,原告には,本件事故前に既往症があったとは認められないことや前記2アのとおり本件事故の態様は,原告が意識を失うようなものであったことなどを総合すると,原告の現在の神経症状は,本件事故によるものと認めることができる。その程度については,その症状の内容からすると,自賠法施行令別表第二第9級10号「神経系統の機能又は精神に障害を残し,服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」に該当すると認めるのが相当である。 5 損害 治療関係費 治療関係費は,平成20年1月17日の症状固定までの分については,本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。前記2のとおり,原告には,脳脊髄液減少症の疑いが相当程度ある上,既に認定した原告の症状や治療経過からすると,脳脊髄液減少症の治療関係費に限っては,症状固定日以降のものについても,将来の治療費として認めることが相当である(原告の主張は,その旨のものと善解することができる)。 ア治療費(平成18年11月1日以降) b病院証拠(甲9の1の1,甲32の1・2)と弁論の全趣旨によると,原告は,平成19年11月19日及び同年12月27日に,脳神経外科で治療を受け,その費用等は8610円であったことが認められる。同額を必要かつ相当な治療費と認める。証拠(甲9の2の1,甲27の1)と弁論の全趣旨によると,原告は,平成23年10月12 治療を受け,その費用等は8610円であったことが認められる。同額を必要かつ相当な治療費と認める。証拠(甲9の2の1,甲27の1)と弁論の全趣旨によると,原告は,平成23年10月12日まで,麻酔科で通院治療を受けたこと,平成18年11月以降に支払った治療費は,17万8295円であったことが認められる。証拠(甲9の2の1)と弁論の全趣旨によると,平成20年1月17日以降の同麻酔科での治療は,脳脊髄液減少症に関する治療であったと認められる。これらのことに照らすと,上記17万8295円については,必要かつ相当な治療費と認める。証拠(甲9の4の3,甲9の4の4,甲27の4)と弁論の全趣旨によると,原告は,平成19年6月26日~平成22年7月8日(通院日数49日),精神科で治療を受け,その費用等は7万9885円であったこと,平成20年1月17日以降の治療は,脳脊髄液減少症に伴う不眠等の症状の緩和のための治療であったことが認められる。これらのことに照らすと,上記7万9885円については,必要かつ相当な治療費と認める。証拠(甲9の3,甲33)と弁論の全趣旨によると,原告は,平成19年3月29日~同年4月21日,神経内科で治療を受け,その費用は1万4880円であったと認められる。同額を必要かつ相当な治療費と認める。証拠(甲9の5の1,甲34)と弁論の全趣旨によると,原告は,平成19年9月14日,眼科で治療を受け,その費用は1万0250円であったと認められる。同額を必要かつ相当な治療費と認める。証拠(甲9の6,甲35の1~4)と弁論の全趣旨によると,原告は,平成20年9月18日,同年10月1日,同月23日及び平成21年4月23日,耳鼻科で治療を受け,その費用は 証拠(甲9の6,甲35の1~4)と弁論の全趣旨によると,原告は,平成20年9月18日,同年10月1日,同月23日及び平成21年4月23日,耳鼻科で治療を受け,その費用は,1万1910円であったこと,これらの治療は,脳脊髄液減少症に関する治療であったことが認められる。これらについては,必要かつ相当な治療費と認める。証拠(甲9の2の2,甲27の2,甲27の3[枝番をすべて含む])と弁論の全趣旨によると,原告は,平成19年7月及び8月並びに平成20年7月及び8月に,麻酔科で入院治療を受けたこと,平成20年1月17日以降の入院治療は,硬膜外ブロック治療及びRI脳槽シンチグラフィー検査のための入院治療であり,脳脊髄液減少症及びそれに伴う症状のための治療であること,これらの治療等の費用の合計額は44万7490円であり,健康保険による支払分を控除した残額は17万1200円であることが認められる。同額を必要かつ相当な治療費と認める。 b病院関連の薬剤費証拠(甲28の1~31,甲28の32の1・2)と弁論の全趣旨によると,原告は,平成19年6月以降,薬剤費の一部負担金として,合計35万6150円を支出したこと,平成20年1月17日以降に処方された薬剤は,脳脊髄液減少症に関する治療のための薬剤であったと認められる。したがって,同額を必要かつ相当な薬剤費と認める。 s接骨院同接骨院での施術が必要であると認めるに足りる十分な証拠はない。 したがって,損害とは認められない。 e病院証拠(甲36の1~3)によると,原告は,平成20年9月及び10月に,e病院での治療の費用として1870円を支出したことが認められるが,この治療が脳脊髄液減少 。 e病院証拠(甲36の1~3)によると,原告は,平成20年9月及び10月に,e病院での治療の費用として1870円を支出したことが認められるが,この治療が脳脊髄液減少症に関する治療であったと認めるに足りる証拠はない。したがって,損害とは認められない。 c病院証拠(甲8の7,甲30の1~11)と弁論の全趣旨によると,原告が支出した脳脊髄液減少症に関する治療のための通院治療費は,16万0895円であると認められる(別紙7のとおり。)。証拠(甲8の9,甲30の1・6)と弁論の全趣旨によると,原告は,平成20年11月及び12月と平成22年6月に,脳脊髄液減少症及びそれに伴う症状の治療のため入院し,その費用として,32万8540円を支払ったと認められ,同額を必要かつ相当な治療費と認める。 dクリニック証拠(甲31の1~8)によると,原告は,dクリニックに通院したことが認められるが,その治療の内容が明らかでないから,同クリニックの治療費は,相当因果関係のある損害とは認められない。イ入院雑費(平成18年11月1日以降)証拠(甲8の9,甲9の1の1,甲30の6)によると,原告は,b病院では①平成19年7月30日~同年8月10日(12日間),②平成20年7月23日~同月31日(9日間),③同年8月18日~同月19日(2日間),c病院では④同年11月29日~同年12月4日(6日間),⑤平成22年6月1日~同月3日(3日間),それぞれ,入院したと認められる。また,前記ア,のとおり,上記①~の入院は,脳脊髄液減少症の治療等のための入院であると認められる。以上より,入院雑費は,4万8000円と認める(1 それぞれ,入院したと認められる。また,前記ア,のとおり,上記①~の入院は,脳脊髄液減少症の治療等のための入院であると認められる。以上より,入院雑費は,4万8000円と認める(1500円×32)。ウ交通費(平成18年11月1日以降) b病院下記の証拠等によると,通院日は下記のとおりであり,通院期間は合計99日と認められる。記・脳神経外科平成19年11月19日,同年12月27日(甲32の1・2)・麻酔科別紙5のとおり(甲27の1)・精神科別紙6のとおり(甲27の4)・神経内科平成19年3月29日,同年4月12日,同月21日(甲33)・眼科平成19年9月14日(甲34)・耳鼻科平成20年9月18日,同年10月1日,同月23日,平成21年4月23日(前記ア)証拠(原告本人[第2回])と弁論の全趣旨によると,原告は,母親の運転する自家用車でb病院に通院しており,原告の症状や交通費の額等に照らすと,自家用車で通院することは相当であったと認められる。原告の自宅(神奈川県綾瀬市w×-××-××。甲9の1の1)からb病院(相模原市x×丁目××番×号。甲9の1の1)までの距離は約15㎞であり(裁判所に顕著な事実),1㎞当たりのガソリン代は約15円であり,同病院での駐車場代300円である(弁論の全趣旨)ことに照らすと,1回の往復の交通費は750円(15×15円×2+300円)であると認める。同額を相当な交通費と認める。したがって,7万4250円を通院交通費と認める(750円×99) c病院 は750円(15×15円×2+300円)であると認める。同額を相当な交通費と認める。したがって,7万4250円を通院交通費と認める(750円×99) c病院証拠(甲8の7・37,甲30の5・7~11)によると,原告は,脳脊髄液減少症に関する治療のため,同病院に11日通院したことが認められる。証拠(甲8の1・2)と弁論の全趣旨によると,原告の自宅(上記住所)と同病院(静岡県熱海市y町××-×)までの間の往復の交通費は,原告が主張する2180円を下回らないと認められる。したがって,2万3980円を通院交通費と認める(2180円×11)。 dクリニック及びe病院前記ア,のとおり,これらの病院での治療が必要な治療であると認めるに足りる証拠はないから,同治療のための通院交通費は損害と認められない。エ治療関係費合計 146万6845円 休業損害ア f株式会社の退職まで170万4080円(争いがない)。イ平成17年12月1日~平成20年1月17日(症状固定日) 平成17年12月1日~平成18年12月31日前記2で認定した本件事故後の原告の症状・治療経過等によると,同期間については,100%の労働能力喪失を認める。そうすると,次のとおりとなる。8832円(賃金センサス平成18年男子大学・大学院卒20歳~24歳の平均賃金322万4000円を日額で算出した額)×100%×396日=349万7472円 平成19年1月1日~平成19年12月13日(原告が25歳となる前日) 歳の平均賃金322万4000円を日額で算出した額)×100%×396日=349万7472円 平成19年1月1日~平成19年12月13日(原告が25歳となる前日)前記2認定の原告の症状・治療経過等(原告は,平成19年には,レンタルビデオ店で働いたことがあったこと,その他,原告の症状,治療経過等)からすると,80%の労働能力喪失を認める。そうすると,次のとおりとなる。8911円(賃金センサス平成19年男子大学・大学院卒20歳~24歳の平均賃金325万2700円を日額で算出した額)×80%×347日=247万3693円 平成19年12月14日(原告が25歳となる日)~平成20年1月17日と同様に80%の労働能力喪失を認める。そうすると,次のとおりとなる。1万1968円(賃金センサス平成19年男子大学・大学院卒25歳~29歳の男子労働者の平均賃金436万8500円を日額で算出した額)×80%×35日=33万5104円 逸失利益前記4認定のとおり,原告には,後遺障害が認められる。そして,それは,脳脊髄液減少症によるとの相当程度の疑いがあるものの,前記2エのとおり,ブラッドパッチにより脳脊髄液の漏出が既に止まっている可能性がある。 また,脳脊髄液減少症ではない可能性もあり,その意味では,原因が必ずしも明確でないということができる。これらのことからすると,原告の症状は,改善の可能性があるということができ,逸失利益については,35パーセントの労働能力喪失を10年間に限って認める。そうすると,次のとおりとなる。440万0100円(賃金センサス平成20年男子大学・大学院卒25 いうことができ,逸失利益については,35パーセントの労働能力喪失を10年間に限って認める。そうすると,次のとおりとなる。440万0100円(賃金センサス平成20年男子大学・大学院卒25歳~29歳の男子労働者の平均賃金)×35%×7.7217(10年のライプニッツ係数)=1189万1688円 慰謝料前記2の原告の治療経過によると,原告の入通院慰謝料は,200万円をもって相当と認める。また,原告の後遺障害慰謝料は,690万円をもって相当と認める。 ~の合計額 3026万8882円 過失相殺前記1のとおり,25%の過失相殺をすると,残額は,2270万1662円となる。 損益相殺原告がg共済協同組合から170万4080円の支払を受けたことについては当事者間に争いがなく,原告は,同支払を不法行為時の損害元本に充当して請求しているから,これを,上記2270万1662円から控除する。 そうすると,残額は,2099万7582円となる。 物損証拠(甲5)と弁論の全趣旨によると,物損は,自転車(2万6800円),シャツ(1000円),ズボン(4000円)及び靴(6000円)の合計3万7800円と認められる。これに,25%の過失相殺をすると,残額は,2万8350円となる。 弁護士費用人損部分につき,210万円を,物損部分につき3000円を相当と認める。 総合計人損部分 2309万7582円物損部分 3万1350円合計 2312万8932円第4 結論よって,原告の請求は,自賠法3条に基づく損害賠償2309万7582円及び不法 人損部分 2309万7582円物損部分 3万1350円合計 2312万8932円第4 結論よって,原告の請求は,自賠法3条に基づく損害賠償2309万7582円及び不法行為に基づく損害賠償3万1350円並びにこれらに対する平成17年6月8日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金を請求する限度で理由があるから,その限度で認容することとして,主文のとおり判決する。横浜地方裁判所第6民事部裁判長裁判官森義之裁判官竹内浩史裁判官橋本政和(別紙図面省略)(別紙5ないし別紙7 省略)

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