1 令和5年1月17日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官令和3年(ワ)第23881号 損害賠償請求等事件口頭弁論終結日 令和4年10月18日判 決主 文51 被告は、原告に対し、220万円及びこれに対する令和3年5月1日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は、これを18分し、その17を原告の負担とし、その余は被告の負担とする。 104 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。 事実及び理由第1 請求1 被告は、原告に対し、3300万円及びこれに対する令和3年5月1日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 152 被告は、原告に対し、被告が運営する「選択」と題するウェブサイト(アドレス https://www.sentaku.co.jp/)における別紙1の記事を削除せよ。 3 被告は、原告に対し、別紙2記載の謝罪広告を、原告発行の「日本経済新聞」朝刊及び被告発行の月刊誌「選択」に別紙3の掲載条件で、被告が運営する「選20択」と題するウェブサイト(アドレス https://www.sentaku.co.jp/)上に別紙4の掲載条件で、掲載せよ。 第2 事案の概要等1 事案の概要本件は、原告が、被告の発行する月刊誌「選択」(以下「本件雑誌」という。)25に掲載された記事及び被告の運営する「選択」と題するウェブサイト(アドレス2 https://www.sentaku.co.jp/。以下「本件ウェブサイト」という。)に掲載された記事(以下、これらの記事を併せて「本件記事」という。)により名誉を毀損されたと主張して、被告に対し、不法行為に基づく損害賠償請 aku.co.jp/。以下「本件ウェブサイト」という。)に掲載された記事(以下、これらの記事を併せて「本件記事」という。)により名誉を毀損されたと主張して、被告に対し、不法行為に基づく損害賠償請求として、3300万円及びこれに対する不法行為の日である令和3年5月1日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払並び5に名誉回復処分として謝罪広告の掲載を求めるとともに、人格権に基づく妨害排除請求として、本件ウェブサイトからの記事の削除を求める事案である。 2 前提事実(後記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認めることができる事実)⑴ 当事者ア 原告は、日本経済新聞(以下「日経新聞」という。)等の日刊新聞の制作、10発行及び販売を営むこと等を目的とする株式会社である。日経新聞の朝刊の発行部数は、令和2年12月時点で約200万部であり、デジタル有料購読数は約76万部、無料登録を含む電子版会員数は約515万人である。(甲3、4)イ 被告は、本件雑誌(毎月1日発刊)を発行する株式会社であり、本件ウェ15ブサイトを管理している。被告によれば、本件雑誌の発行部数は約6万部である。(甲5、6)⑵ 本件記事の内容ア 被告は、令和3年5月1日、本件雑誌及び本件ウェブサイトに、令和3年5月号の記事として、「『広告・協賛金』狙いで歪む報道 日経新聞『脱炭素20商売』の無節操」との見出し(以下「本件見出し」という。)で、本件記事を掲載した。本件記事の内容は、別紙1のとおりである。(弁論の全趣旨)イ 本件記事には、原告に関し、別紙5記述目録記載1ないし6の記述がある(以下、これらの記述を順に「本件記述1」などという。)。(甲1、2)3 争点25⑴ 本件記事につき名誉毀損に イ 本件記事には、原告に関し、別紙5記述目録記載1ないし6の記述がある(以下、これらの記述を順に「本件記述1」などという。)。(甲1、2)3 争点25⑴ 本件記事につき名誉毀損による不法行為が成立するか3 ⑵ 原告に生じた損害及びその額⑶ 本件ウェブサイト上に掲載されている本件記事の削除の要否⑷ 謝罪広告掲載の要否4 争点に関する当事者の主張⑴ 争点⑴(本件記事につき名誉毀損による不法行為が成立するか)について5ア 本件記述1について 本件記述1が原告の社会的評価を低下させるかa 原告の主張本件記述1は、「原告が令和3年3月29日付け日経新聞の朝刊の1面に掲載した『石炭火力 輸出支援を停止 首相、来月にも表明 脱炭10素で米欧と歩調』と題する記事(以下「本件日経記事1」という。)は誤報であった」との事実を摘示するものであり、一般の読者に対して、原告の編集局で編集される日経新聞の記事は営業部門の脱炭素ビジネスにより歪められているため現に誤報が生じているとの印象を与えるものであるから、原告の社会的評価を低下させる。 15b 被告の主張本件記述1が本件日経記事1は誤報であったとの事実を摘示していることは争わないが、不法行為と評価されるほどに原告の社会的評価を低下させるものではない。 本件記述1について違法性阻却事由が認められるか20a 被告の主張⒜ 公共性及び公益目的について本件記事は、我が国の経済、社会に大きな影響力を有する原告の取材の杜撰さ、性急な脱炭素に世論を誘導する恣意的な報道等について問題提起したものであって、これを本件雑 公益目的について本件記事は、我が国の経済、社会に大きな影響力を有する原告の取材の杜撰さ、性急な脱炭素に世論を誘導する恣意的な報道等について問題提起したものであって、これを本件雑誌及び本件ウェブサイトに25掲載した行為は、公共の利害に関する事実に係り、かつ、専ら公益を4 図る目的に出たものである。 ⒝ 真実性についてA内閣官房長官(以下「A官房長官」という。)は、本件日経記事1が報じられた当日午前の定例会見において、海外で新設される石炭火力発電に対する政府支援を全面停止する検討に入った事実はないと5述べ、B経済産業大臣(以下「B経産大臣」という。)も、本件日経記事1が報じられた翌日の閣議後の記者会見において、A官房長官と同様に上記事実はないと述べた。 本件日経記事1の中には、「米国主催で22日に開く『気候変動サミット』で表明する段取りを描く。」との記載があるが、実際には、気10候変動サミットにおいて、C首相(以下「C首相」という。)が輸出支援停止の政府方針を表明した事実はない。 これらのことからすると、本件日経記事1は誤報であったとの摘示事実は真実である。 ⒞ 真実相当性について15内閣官房に設置された経協インフラ戦略会議は、令和2年7月9日、「インフラ海外展開に関する新戦略の骨子」(以下、単に「新戦略の骨子」という。)を策定し、同年12月10日、「インフラシステム海外展開戦略2025」を決定した(以下「新戦略」という。)。これらでは、石炭火力発電の輸出支援に関する従来の要件を厳格化しつつも継20続するとされていたところ、原告の記事は、「石炭火力、輸出支援を『原則禁止』 政府方針」(令和2年 新戦略」という。)。これらでは、石炭火力発電の輸出支援に関する従来の要件を厳格化しつつも継20続するとされていたところ、原告の記事は、「石炭火力、輸出支援を『原則禁止』 政府方針」(令和2年7月8日付け)、「石炭火力輸出支援せず 政府、国際批判受け修正」(同月9日付け)などと、従来の要件を厳格化したことを的確に報じておらず、被告の取材先や意見交換先においては、原告が不正確な見出しを付けてでも世論を脱炭素に誘25導しようとの意図があると認識されていた。そうした背景の下、本件5 日経記事1は、新戦略が決定されてからわずか数箇月で「輸出支援停止」を首相が表明するという内容であったため、被告の取材先ではいずれも当惑と驚きをもって受け止められていたところに、前記⒝のとおりのA官房長官やB経産大臣の発言があったものであり、これらのことからすると、本件記事の執筆者であるD(以下「D」という。)は5もちろん、本件記事の発行主体である被告においても、本件日経記事1は誤報であることが真実であると信じるにつき相当な理由があったといえる。 b 原告の主張⒜ 真実性について10本件日経記事1が報じられた当時、首相官邸において、石炭火力発電の輸出支援の停止の検討に入ったことは、当時首相官邸が関係官庁に対して示した官邸ペーパー及び他紙の報道からも明らかである。 また、本件日経記事1の見出しには、「来月にも」と記載し、C首相が表明する時期を令和3年4月と特定したものではなく、C首相は、15同年6月のG7サミットにおいて、海外で新設される石炭火力発電に対する政府支援を年内で終了すると表明しているため、本件日経記事1は誤報であるとの事実は真実ではない。 ⒝ 真実相 15同年6月のG7サミットにおいて、海外で新設される石炭火力発電に対する政府支援を年内で終了すると表明しているため、本件日経記事1は誤報であるとの事実は真実ではない。 ⒝ 真実相当性について石炭火力発電の輸出支援の停止は、原告だけでなく、時事通信社及20び共同通信社においても報道されているにもかかわらず、被告は、B経産大臣の説明のみをもって本件日経記事1は誤報であると決めつけた。なお、本件日経記事1の取材源は複数の政府高官であり、被告は、首相官邸幹部に取材すれば容易に本件日経記事1が誤報でないことを確認することができたはずであるのに、これを怠っている。地球25温暖化対策の所管は内閣に設置された地球温暖化対策推進本部であ6 り、その本部長は内閣総理大臣なのであって、副本部長である経済産業大臣が首相官邸の動きをまだ十分に知らず、あるいは、知ってはいても経済産業省を所管する大臣として経済産業省の従来の立場を強調せざるを得なかった可能性があることは当然想定される。そうである以上、裏付け取材をする必要性があることは、国政を取材・報道す5るジャーナリストとしては常識である。また、C首相は、気候変動サミットでは石炭火力の輸出支援の停止を表明していないものの、その約2箇月後のG7サミットにおいて、海外で新設される石炭火力発電に対する政府支援を年内で終了すると表明しているのであり、被告が丁寧に取材をしていればその議論や調整の動向を確認できたはずで10ある。さらに、新戦略の骨子の内容について、「石炭火力、輸出支援を『原則禁止』 政府方針」や「石炭火力輸出支援せず 政府、国際批判受け修正」と報じることは何ら不適切ではなく、被告の取材先や意見交換先における認識には何ら合理的な根拠はない。 力、輸出支援を『原則禁止』 政府方針」や「石炭火力輸出支援せず 政府、国際批判受け修正」と報じることは何ら不適切ではなく、被告の取材先や意見交換先における認識には何ら合理的な根拠はない。 以上からすると、被告において、本件日経記事1は誤報であるとの15事実が真実であると信じるにつき相当な理由があったとは認められない。 イ 本件記述2について 本件記述2が原告の社会的評価を低下させるかa 原告の主張20本件記述2は、「三菱商事株式会社(以下「三菱商事」という。)にとって、ブンアン2は最後の火力発電の案件であり、将来はインドネシアで生産するアンモニアを使い、石炭から燃料転換する計画だが、脱炭素しか報じない原告は、三菱商事の上記計画は一切報じない」との事実を摘示するものであり、一般の読者に対して、日経新聞は報道すべきニュ25ースを報道していないとの印象を与えるものであるから、原告の社会的7 評価を低下させる。 b 被告の主張本件記述2は、本件記事のうち「双日『原料炭撤退』の品性下劣」の小見出しにおける序文にすぎず、「そんなことは日経は報じない。」の直後には「大きく採り上げるのは脱炭素であり」との文章が続き、その後5には、双日株式会社(以下「双日」という。)が日経新聞を逆利用した旨の文章が続く。そうすると、本件記述2は、原告がアンモニアへの燃料転換計画について一切報道しないとの事実を摘示するものではなく、原告が大きく報じるのは脱炭素に関する記事ばかりであるという事実を摘示するとともに、これを前提として原告に対する批判的な意見を表明10したものであるといえるのであって、被告のかかる事実摘示及びこれを前提とする意見表明に 素に関する記事ばかりであるという事実を摘示するとともに、これを前提として原告に対する批判的な意見を表明10したものであるといえるのであって、被告のかかる事実摘示及びこれを前提とする意見表明により原告の社会的評価を低下させるとはいえない。 本件記述2について違法性阻却事由が認められるかa 被告の主張15⒜ 公共性及び公益目的について前記アa⒜のとおり。 ⒝ 真実性、真実相当性及び意見ないし論評の相当性について原告におけるアンモニアを使った火力発電等についての記事は、解説記事等のみで、事実報道の記事はほとんどないから、原告が、アン20モニアを使った火力発電等については、脱炭素と同じような扱いでは報じないとの事実は真実である。また、仮に真実でないとしても、被告において真実であると信じるにつき相当な理由があったといえる。 また、被告の意見表明は、意見ないし論評の相当性を逸脱したものではない。 25b 原告の主張8 ⒜ 真実性について原告は、過去の記事において、三菱商事にとってブンアン2は最後の石炭火力発電の案件であること、三菱商事はインドネシアでアンモニアを生産する計画であること及び三菱商事がブンアン2において将来的にアンモニア混焼で低炭素化を図ろうとしていることを報じ5ているため、三菱商事が石炭から燃料転換する計画を一切報じない旨の本件記述2の摘示事実は真実ではない。 ⒝ 真実相当性について前記⒜で指摘した記事は、原告が三菱商事のアンモニアを使用した燃料転換計画について報じている証拠であり、この記事を、被告が、10本件記事公表当時に確認し ⒝ 真実相当性について前記⒜で指摘した記事は、原告が三菱商事のアンモニアを使用した燃料転換計画について報じている証拠であり、この記事を、被告が、10本件記事公表当時に確認していない以上、原告において三菱商事が石炭から燃料転換する計画を一切報じない旨の本件記述2の摘示事実が真実であると信じるにつき相当な理由があったとは認められない。 ウ 本件記述3について 本件記述3が原告の社会的評価を低下させるか15a 原告の主張本件記述3は、「原告が令和2年12月11日に日経新聞の朝刊の1面に掲載した『日鉄50年に排出ゼロ 水素利用や電炉導入』と題する日本製鉄(以下「日鉄」という。)のE社長(以下「E社長」という。)の談話入り記事(以下「本件日経記事2」という。)が誤報であり、原告20は存在しないE社長の発言をねつ造した」との事実を摘示するものであり、一般の読者に対して、原告の編集局で編集される日経新聞の記事は営業部門の脱炭素ビジネスにより歪められているため現に誤報が生じているとの印象を与えるものであるから、原告の社会的評価を低下させる。 25b 被告の主張9 本件記述3は、本件日経記事2が誤報だったとの事実を摘示するとともに、これを誤報被害と呼び、批判的意見を表明したものであって、かかる事実摘示及びこれを前提とする意見表明は、原告の社会的評価を低下させるとはいえない。 本件記述3について違法性阻却事由が認められるか5a 被告の主張⒜ 公共性及び公益目的について前記アa⒜のとおり。 ⒝ 真実性、真実相当性及び意見ないし論評の相当性について a 被告の主張⒜ 公共性及び公益目的について前記アa⒜のとおり。 ⒝ 真実性、真実相当性及び意見ないし論評の相当性について本件日経記事2が掲載された後、市場や関係者の間では、日鉄が210050年に温暖化ガスの排出をゼロすることを宣言したと受け止められ、日鉄は火消しのための釈明に追われた。また、本件日経記事2には、日鉄は温暖化ガスの排出を実質ゼロにすることを目指す旨のE社長の発言の記載はあるものの、2050年に温暖化ガス排出量を実質ゼロにする旨の発言の記載はなく、その実現が極めて困難であるこ15との理由が列挙されている。加えて、E社長は、令和3年3月5日、中長期経営計画説明会において、2050年までに温暖化ガス排出量実質ゼロを実現するための具体的なマイルストーンは示すことができない旨説明した。 以上のことからすると、本件日経記事2が誤報だったとの事実は真20実であり、仮に真実でないとしても、被告において真実であると信じるにつき相当な理由があったといえる。また、被告が、誤報被害として批判したことは、意見ないし論評の域を逸脱したものではない。 b 原告の主張⒜ 真実性について25本件日経記事2は、日鉄の広報担当者が立ち会ったE社長のインタ10 ビュー内容に基づいたものであり、また、日鉄は、令和3年3月5日に発表した中長期経営計画において、2050年ビジョンとして「ゼロカーボン・スチールへの挑戦」「カーボンニュートラルを目指す」と明確に打ち出している。したがって、本件日経記事2は誤報でねつ造されたものであるとの事実は真実ではない。 5⒝ 真実相当性について原 への挑戦」「カーボンニュートラルを目指す」と明確に打ち出している。したがって、本件日経記事2は誤報でねつ造されたものであるとの事実は真実ではない。 5⒝ 真実相当性について原告は、日鉄が釈明に追われたという事実を確認しておらず、仮に、釈明に追われていたとしても、市場や関係者の受け止め及び解釈への対応と考えられ、被告の誤信の相当性を基礎づけるものとはならない。 また、被告は、本件日経記事2が掲載された11日後に掲載された「水10素製鉄開発 世界で先行」と題する、E社長に対するインタビュー記事を確認すれば、本件日経記事2が誤報でないことは容易に理解できた。 したがって、被告において、本件日経記事2が誤報でねつ造されたものであるとの事実を真実であると信ずるにつき相当な理由があっ15たとは認められない。 エ 本件記述4について 本件記述4が原告の社会的評価を低下させるかa 原告の主張本件記述4は、①原告のF会長(以下「F会長」という。)が編集局に20電話して原稿の修正を一字一句指示していること、②本件日経記事1及び2は誤報であること、③原告が双日に関して提灯記事、すなわち、双日に媚びてこれを持ち上げる記事を掲載したこと、④②及び③記載の事態が発生したのは、原告がF会長の肝煎りで日経カーボンZEROプロジェクトへの協賛を働きかける営業戦略を展開していることが原因で25あることの事実を摘示するものであり、一般の読者に対して、原告の編11 集局はF会長に抵抗できず、原告の編集局で編集される日経新聞の記事は営業部門の脱炭素ビジネスにより歪められているため現に誤報が生じているとの印象を与えるものであるから、原告の社会的評価を低下させる。 b 被 ず、原告の編集局で編集される日経新聞の記事は営業部門の脱炭素ビジネスにより歪められているため現に誤報が生じているとの印象を与えるものであるから、原告の社会的評価を低下させる。 b 被告の主張5原告が事実として摘示されていると主張するもののうち、②の事実は摘示されておらず、③は、双日が単に採掘期限が切れて豪州の原料炭から撤退するだけであるのに、原告は、双日が「脱炭素」のために撤退するかのように持ち上げて報道したことを前提事実として、その不公正な報道姿勢に対する意見を表明したものである。また、④は、F会長が日10常的に編集局へ介入している事実を前提として、原告の記者が不十分な取材しかせずに不正確な報道を行っている背景には、脱炭素に熱心なF会長の影響により、脱炭素関連の記事が掲載されやすいとの傾向があるのではないかとの批判的意見を表明したものである。かかる事実摘示及びそれを前提とする意見表明は、原告の社会的評価を低下させるとはい15えない。 本件記述4について違法性阻却事由が認められるかa 被告の主張⒜ 公共性及び公益目的について前記アa⒜のとおり。 20⒝ 真実性について本件記事の執筆者であるDは、原告の複数の記者から、「F会長が、直接記者に電話をかけて、原稿を一字一句指示される等紙面に介入された。」との情報提供を受けているため、本件記述4のうち、①の事実及び④の前提事実は真実である。また、双日は、豪州に3件の原料炭25権益を有するが、最長でも2042年には終掘となるものであった。 12 原告は、双日から終掘を「脱炭素」として売り込まれ、脱炭素報道に力点を置く余り、「双日 50年までに原 3件の原料炭25権益を有するが、最長でも2042年には終掘となるものであった。 12 原告は、双日から終掘を「脱炭素」として売り込まれ、脱炭素報道に力点を置く余り、「双日 50年までに原料炭含む石炭完全撤退 商社で初」と題する記事(令和3年3月5日付け)などと原料炭からの撤退を称賛する内容の記事を掲載し、その結果として、双日の株価は上昇した。したがって、本件記述4のうち、③の前提事実は真実であ5る。なお、前記bのとおり、②の事実は摘示されていないため、真実性は問題とならない(後記⒞においても同様である。)。 ⒞ 真実相当性についてDは、令和3年4月半ば、原告の社員から、F会長は編集現場で「会長のFTかぶれ」と陰口を叩かれていることを聞いた。また、Dは、10資源業界関係者より、原告においてF会長に物を言える人間がいないこと、及びF会長がフィナンシャルタイムズにならって原告の編集局を改変したとの情報を得た。 当該事情のほか前記⒝の事実によれば、被告において、本件記述4のうち、①の事実並びに③及び④の前提事実が真実であると信じるに15つき相当な理由があったといえる。 ⒟ 意見ないし論評の相当性原告の不正確な報道の背景に、F会長の介入や、日経カーボンZEROプロジェクトの影響があるとする批判的な意見の表明は、意見ないし論評の域を逸脱したものではない。 20b 原告の主張⒜ 真実性についてF会長は、原告における記事の編集システムにアクセスできないため、①の事実は存在しないし、被告が原告の複数の記者から情報の提供を受けた結果を踏まえても、①の事実が真実であることの立証はな25い。また、原 原告における記事の編集システムにアクセスできないため、①の事実は存在しないし、被告が原告の複数の記者から情報の提供を受けた結果を踏まえても、①の事実が真実であることの立証はな25い。また、原告が報じた「双日 50年までに原料炭含む石炭完全撤13 退 商社で初」と題する記事(令和3年3月5日付け)は、令和3年3月5日に双日が発表したニュースリリースを受けた報道であり、双日からの売り込みを受けて報道された提灯記事ではない。さらに、本件日経記事1、2及び上記記事は、日経カーボンZEROプロジェクトとは無関係であるし、そもそも、本件日経記事2は、原告において5カーボンZEROプロジェクトが始められる前の記事である。 したがって、本件記述4において摘示されている①ないし④はいずれも真実ではない。 ⒝ 真実相当性についてDが提供を受けたという情報は、原告関係者に対する取材結果かど10うか明らかではなく、仮にそうであるとしても、本件記述4において摘示されている事実を基礎づけるエピソードは述べられていない。被告は、取材対象者が原告のどの部署に所属している者かも主張しておらず、取材対象者の説明内容の信用性を確認するための裏付け取材も行っていない。 15したがって、被告において、本件記述4において摘示されている①ないし④の事実を真実であると信ずるにつき相当な理由があったとは認められない。 ⒞ 意見ないし論評の相当性仮に、本件記述4のうち、④が論評であるとしても、著しい論理の20飛躍があり、根拠なく原告を中傷するものである。本件雑誌の一般の読者が、本件雑誌に掲載された論評を真に受ける可能性が十分にあることも考慮すれば、被告がいう が論評であるとしても、著しい論理の20飛躍があり、根拠なく原告を中傷するものである。本件雑誌の一般の読者が、本件雑誌に掲載された論評を真に受ける可能性が十分にあることも考慮すれば、被告がいう論評は、人身攻撃と同様に意見ないし論評の域を逸脱したものであることは明らかである。 オ 本件記述5について25 本件記述5が原告の社会的評価を低下させるか14 a 原告の主張本件記述5は、原告は、日経カーボンZEROプロジェクトへの協賛を募るにあたり、企業に対して、協賛しないと当該企業の記事が日経新聞に載りにくくなる可能性があると述べているとの事実を摘示するものであり、一般の読者に対し、日経新聞の記事は原告の営業部門の脱炭5素ビジネスにより歪められており、同部門は恫喝まがいの営業を行っているとの印象を与えるものであるから、原告の社会的評価を低下させる。 b 被告の主張本件記述5は、日経カーボンZEROプロジェクトについて、原告が同プロジェクトに参加しなければ脱炭素関連の記事が日経新聞に載り10にくくなるなど高圧的な営業を行っているとの事実を前提として、これが原告で行われている編集・営業一体の脱炭素ビジネスであると称して批判的意見を表明したものである。かかる事実摘示及びそれを前提とする意見表明により、原告の社会的評価を低下させるとはいえない。 本件記述5について違法性阻却事由が認められるか15a 被告の主張⒜ 公共性及び公益目的について前記アa⒜のとおり。 ⒝ 真実性について関係者への聞き取りによれば、原告は、日経カーボンZEROプロ20ジェクトの協 性及び公益目的について前記アa⒜のとおり。 ⒝ 真実性について関係者への聞き取りによれば、原告は、日経カーボンZEROプロ20ジェクトの協賛企業を募るに際して、「協賛しないと、脱炭素関連記事が日経本紙に載りにくくなるかもしれない」と恫喝まがいの営業を行っていることは事実であるから、本件記述5の前提事実は真実である。 ⒞ 真実相当性について25Dは、資源業界関係者に対する取材により、日経カーボンZERO15 プロジェクトの協賛企業は、CO2を大量排出しない企業ばかりであること、及び原告の担当者から同プロジェクトに協賛してもらえないと脱炭素関連の記事が日経新聞に掲載されにくくなるかもしれないと脅された企業があるとの情報を入手した。したがって、被告において、本件記述5で摘示された事実が真実であると信じるにつき相当な5理由があったといえる。 b 原告の主張Dが入手した情報は、情報提供者が直接体験したものか、日経カーボンZEROプロジェクトに不満を持った担当者からの伝聞情報なのかも分からない。また、記者や報道機関が、関係者から情報提供を受ける10場合、情報についての裏付け取材が必須であるが、それが行われたことは確認されていない。 したがって、本件記述5で摘示された事実は真実ではなく、また、真実であると信じるにつき相当な理由があったとは認められない。 カ 本件記述6について15 本件記述6が原告の社会的評価を低下させるかa 原告の主張本件記述6は、本件記述1ないし5を前提事実として、令和3年11月に行われる国連気候変動枠組条約第26回締約国会 本件記述6が原告の社会的評価を低下させるかa 原告の主張本件記述6は、本件記述1ないし5を前提事実として、令和3年11月に行われる国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)に向けて、原告の編集・営業一体の脱炭素ビジネスは益々加速し、日経20新聞の記事は益々信用できなくなるとの意見ないし論評を表明するものである。 本件記述6は、日経新聞の記事は営業部門の脱炭素ビジネスにより歪められており、今後その傾向は益々加速すると考えられるため、日経新聞の記事は信用できないとの印象を与えるものであり、原告の社会的評25価を低下させる。 16 b 被告の主張本件記述6は、原告の脱炭素関連の記事が不十分な取材に基づき、脱炭素という切り口ばかりに焦点をあてて掲載されたものであるとの事実を前提として、世論を脱炭素等に誘導しようとする原告の意図に翻弄される読者こそ、最大の被害者であると論評したものである。 5かかる事実摘示及びそれを前提とする意見表明により、原告の社会的評価を低下させるとはいえない。 本件記述6について違法性阻却事由が認められるかa 被告の主張⒜ 公共性及び公益目的について10前記アa⒜のとおり。 ⒝ 真実性及び真実相当性について本件記述6の前提事実が真実であること及び真実であると信じるにつき相当な理由があったことは、本件記述1ないし5についての主張のとおりである。 15⒞ 意見ないし論評の相当性本件記述6において記載した論評は、意見ないし論評の域を逸脱したものではない。 b 原告の主 ての主張のとおりである。 15⒞ 意見ないし論評の相当性本件記述6において記載した論評は、意見ないし論評の域を逸脱したものではない。 b 原告の主張⒜ 真実性及び真実相当性について20本件記述6の前提事実である本件記述1ないし5の事実が真実ではないこと及び真実であると信じるにつき相当な理由があったとは認められないことは、本件記述1ないし5についての主張のとおりである。 ⒝ 意見ないし論評の相当性25本件記述6の論評には、著しい論理の飛躍があり、根拠なく原告を17 中傷しているものであるから、意見ないし論評の域を逸脱している。 キ 本件見出しについて 本件見出しが原告の社会的評価を低下させるかa 原告の主張本件見出しは、「原告が企業から脱炭素に関する広告・協賛金を受領5することを狙って日経新聞の報道が歪んでいる」との事実を摘示するものであり、一般の読者に対して、原告が企業から脱炭素に関する広告・協賛金を受領することを狙って日経新聞の報道が歪んでいるとの印象を与えるものであるから、原告の社会的評価を低下させる。 b 被告の主張10本件見出しは、本件記事中に記載した事実をもとに被告の意見ないし論評を表明したものである。本件見出しは、本件記事の内容を示唆するものであるが、本件見出しのみで具体的な事実を摘示するものではなく、原告の名誉を毀損しない。 本件見出しについて違法性阻却事由が認められるか15a 被告の主張⒜ 公共性及び公益目的について前記アa⒜のとおり。 ⒝ 本件見出しについて違法性阻却事由が認められるか15a 被告の主張⒜ 公共性及び公益目的について前記アa⒜のとおり。 ⒝ 真実性及び真実相当性について本件見出しの前提事実が真実であること又は真実であると信じる20につき相当な理由があったことは、本件記述1ないし6についての主張のとおりである。 b 原告の主張本件見出しの摘示事実が真実でないこと及び真実であると信じるにつき相当の理由があったとは認められないことは、本件記述1ないし625についての主張のとおりである。 18 ⑵ 争点⑵(原告に生じた損害及びその額)についてア 原告の主張 本件記事を読んだ読者は、原告は経済や企業の情報を専門的に報道している報道機関でありながら、その経済や企業の報道は、原告の利得目的で歪められており信用できないとの印象を受ける。報道機関において、読者5から、その報道が報道機関の利得目的で歪められており信用できないと判断されることは致命的であり、本件記事は原告の社会的評価を重大に毀損するものである。 また、本件記事は、原告に対する取材も行わず、杜撰な思い込みにより虚偽の報道を行ったものであり、被告は、記事の真実性や原告の社会的評10価の毀損について何の意も払わず、原告が利得目的で報道を歪めているという衝撃的な記事を掲載して本件雑誌の販売を図るという目的で掲載したものといわざるを得ない。本件記事の掲載後も被告からは誠意のある対応はなく、これらの事情に鑑みると、原告の被った無形的損害は3000万円を下らない。 15 原告は、本訴の提起及び追行のために、原告訴訟代理人らに 記事の掲載後も被告からは誠意のある対応はなく、これらの事情に鑑みると、原告の被った無形的損害は3000万円を下らない。 15 原告は、本訴の提起及び追行のために、原告訴訟代理人らに委任したものであるが、本件の被告による名誉毀損行為と相当因果関係のある弁護士費用は、300万円を下らない。 イ 被告の主張否認ないし争う。 20⑶ 争点⑶(本件ウェブサイト上に掲載されている本件記事の削除の要否)についてア 原告の主張本件記事が本件ウェブサイトに掲載され続けると、原告に対する名誉棄損状態が継続ないし拡大するため、本件記事を削除することは、原告の救済に25とって不可欠である。 19 イ 被告の主張争う。 ⑷ 争点⑷(謝罪広告掲載請求の要否)についてア 原告の主張被告による名誉毀損行為によって受けた原告の損害を回復するには、損害5賠償だけでは十分でなく、被告により別紙2の謝罪広告を別紙3及び別紙4記載の条件で掲載させるのが相当である。 イ 被告の主張争う。 第3 争点に対する判断101 認定事実前提事実に各項記載の証拠及び弁論の全趣旨を総合すると、以下の各事実が認められる。 ⑴ 石炭火力発電の輸出支援の停止についてア 内閣官房に設置された経協インフラ戦略会議は、令和2年7月9日、新戦15略の骨子において、石炭火力発電の輸出に対する公的支援の要件を厳格化することを決定した。 このことに関し、原告は、令和2年7月8日、日経新聞電子版に「石炭火力、輸出支援を『原則禁止』 政府方針」と題する記事を掲載し、また、翌9日、日経新聞の朝刊に「石炭火力輸出支援せず た。 このことに関し、原告は、令和2年7月8日、日経新聞電子版に「石炭火力、輸出支援を『原則禁止』 政府方針」と題する記事を掲載し、また、翌9日、日経新聞の朝刊に「石炭火力輸出支援せず 政府、国際批判受け修正20『CO2削減とセット』条件に」と題する記事を掲載した。なお、これらの記事においては、石炭火力の輸出支援を全面的に禁止するとの記載はなく、かえって、石炭ガス化複合発電、バイオマス燃料やアンモニアとの混燃などの技術については輸出支援の対象になる旨が報じられている。 その後、経協インフラ戦略会議は、令和2年12月10日、「インフラシス25テム海外展開戦略 2025」(新戦略)を決定した。新戦略では、エネルギ20 ー政策や環境政策に係る二国間協議の枠組みを持たないなど、我が国が相手国のエネルギーを取り巻く状況・課題や脱炭素化に向けた方針を知悉していない国に対しては、政府として支援を行わないことを原則とするが、その一方で、特別に、エネルギー安全保障及び経済性の観点から、当面石炭火力発電を選択せざるを得ない国に限り、相手国が脱炭素化へ向けた移行を進める5一環として我が国の高効率石炭火力発電へ要請があった場合には、関係省庁の連携の下、我が国から政策誘導や支援を行うことにより、当該国が脱炭素化に向かい、発展段階に応じた行動変容を図ることを条件として、OECDのルールも踏まえつつ、相手国のエネルギー政策や気候変動対策と整合的な形で、超々臨界圧以上であって、我が国の最先端技術を活用した環境性能が10トップクラスのものの導入を支援する旨が言及された。 (以上につき、甲25、乙3、11の1及び2、弁論の全趣旨)イ そうした中、石炭火力発電の輸出に関し、原告は、令和3年3月29日、日経新聞の朝刊の スのものの導入を支援する旨が言及された。 (以上につき、甲25、乙3、11の1及び2、弁論の全趣旨)イ そうした中、石炭火力発電の輸出に関し、原告は、令和3年3月29日、日経新聞の朝刊の1面に、「石炭火力 輸出支援を停止 首相、来月にも表明」と題する記事(本件日経記事1)を掲載した。本件日経記事1では、従15前の石炭火力の輸出支援の経緯について触れつつ、政府が石炭火力発電の輸出支援についての新規案件を全面停止する検討に入った旨及びC首相は日米首脳会談で両首脳の脱炭素に関する認識を擦り合わせた上で、「米国主導で22日に開く『気候変動サミット』で表明する段取りを描く」、すなわち令和3年4月22日に開かれる気候変動サミットにおいて、石炭火力発電の輸20出支援についての新規案件を全面停止するとの政府方針を表明する段取りを描いている旨を「複数の政府高官が明らかにした。」ということが報じられた。 なお、時事通信社は、「石炭火力輸出の支援停止へ=国際世論に配慮、方針転換―政府」(令和3年3月29日付け)との見出しの記事において、共同通25信社は、「政府、石炭火力の輸出停止へ―新規案件、脱炭素化の姿勢明確化」21 (令和3年3月29日付け)との見出しの記事において、それぞれ、政府が石炭火力発電の輸出に対する支援を全面停止する方向で検討を始めた旨を報じた。 (以上につき、甲7、23、24)ウ これに対し、A官房長官は、令和3年3月29日午前に行われた記者会見5において、「まず、昨年12月に経協インフラ戦略会議が開催され、インフラシステム海外展開戦略2025が決定されたところであります。同戦略において世界の実効的な脱炭素化に責任を持って取り組むという観点から、今後新たに計画される石炭火力輸出支援の厳格化を行っ れ、インフラシステム海外展開戦略2025が決定されたところであります。同戦略において世界の実効的な脱炭素化に責任を持って取り組むという観点から、今後新たに計画される石炭火力輸出支援の厳格化を行ったところであります。海外で新設される石炭火力発電に対する政府の支援については、この戦略で定10められた方針に従って対応するというのが政府の方針であり、新規案件を全面停止するという検討に入った事実はございません。また、同時に、相手国のエネルギー政策や気候変動対策に関与を深めることで、脱炭素化を促すという基本方針を踏まえて取り組みを進め、脱炭素社会の実現をリードしていきたいというふうに考えております。なお、一般論として申し上げれば、イ15ンフラ輸出のあり方全般については、国際的な動向を含む諸情勢を踏まえ、不断の検討、見直しを行っているわけであります。こうした姿勢も従来と変わるものではありません。」と、石炭火力発電の輸出支援を全面停止するという検討に入った事実はない旨を述べた。 また、B経産大臣は、令和3年3月30日の閣議後の記者会見において、20「昨年12月に経協インフラ戦略会議で決定されたインフラシステム海外展開戦略2025において、世界の実効的な脱炭素化に責任を持って取り組む観点から、今後新たに計画される石炭火力輸出支援の厳格化というものを行ってきたところであります。海外で新設される石炭火力発電所に対する政府支援については、この戦略で定められた方針に従って対応するというのが25政府の方針であり、新規案件を全面停止するという検討に入ったという事実22 はありません。同時に、相手国のエネルギー政策や気候変動対策に関与を深めることで脱炭素化を促すという基本方針を踏まえて取組を進め、脱炭素社会の実現をリードしてまい 検討に入ったという事実22 はありません。同時に、相手国のエネルギー政策や気候変動対策に関与を深めることで脱炭素化を促すという基本方針を踏まえて取組を進め、脱炭素社会の実現をリードしてまいりたいと思っております。この件に関しては、経済産業省に一切取材はありませんでした。以上です。」と、やはり、石炭火力発電の輸出支援を全面停止するという検討に入った事実はない旨を述べた5(以上につき、乙1、乙2)エ その後、C首相は、令和3年4月22日に開催された気候変動サミットにおいては、石炭火力発電の輸出支援について新規案件を全面停止するとの政府方針を表明しなかったものの、その約2箇月後の同年6月13日に開かれたG7サミットにおいて、政府による新規の石炭火力発電の輸出支援を年内10で終了することを表明した。(甲8、弁論の全趣旨)オ 本件記事を掲載した本件雑誌は、令和3年5月1日に出版されたものであり、本件ウェブサイト上の本件記事も同時期に掲載されたものであるところ、その原稿の執筆者であるDは、同年4月頃、国内大手インフラ企業が社内資料として作成した報道分析資料を入手した。同資料には、原告が、同年3月1529日に本件日経記事1を報じたこと及びB経産大臣が、翌日の閣議後の記者会見において、石炭火力発電の輸出支援についての新規案件を全面停止するという検討に入った事実はないと強い口調で否定していたことが記載されている。他方、同資料には、新戦略の骨子の決定に際して、これを石炭火力発電の輸出を原則支援しない方針であると受け止めるG環境大臣の発言20と、脱炭素移行政策誘導型インフラ輸出支援を推進する方針であると受け止めるB経産大臣の発言が記載されており、両大臣の間でその解釈についての違いがある旨が記載されている。(甲7、乙 大臣の発言20と、脱炭素移行政策誘導型インフラ輸出支援を推進する方針であると受け止めるB経産大臣の発言が記載されており、両大臣の間でその解釈についての違いがある旨が記載されている。(甲7、乙2、15、28、証人D、弁論の全趣旨)⑵ 脱炭素に関する原告の報道について25ア 原告は、令和3年3月5日、日経新聞電子版に「双日 50年までに原料23 炭含む石炭完全撤退 商社で初」と題する記事を掲載した。当該記事は、双日が、同日、「脱炭素社会実現に向けた双日グループの対応方針について~2050年カーボンニュートラルに向けた挑戦~」と題して、脱炭素社会実現に向けた双日グループの対応方針と目標を策定して発表したことに関するものであり、当該発表では、脱炭素に向けた対応方針の一環として、原料5炭権益につき2050年までにゼロにする旨の目標が掲げられていた。(甲15、32)イ 原告がブンアン2やアンモニアを使った燃料転換について触れる記事を掲載したものとして、以下の記事がある。ただし、いずれも基本的には脱炭素に関連した解説記事である。(甲9の1ないし5、10)10 「三菱商事のベトナム石炭火力 Hさんら見直し要請」(令和3年1月30日付け日経新聞電子版) 「火力発電に頼るアジアの憂鬱 救いの手はアンモニア」(令和3年3月17日付け日経新聞電子版) 「三菱商事、インドネシアで燃料アンモニア CO2を地中に」(令和315年3月18日付け日経新聞電子版) 「脱炭素燃料、飛躍の鍵はCO2処理 貯留や植林に活路」(令和3年3月30日付け日経新聞電子版) 「三菱商事、再生エネ発電6割に倍増 政府30年目標受け」(令和3年4月30日付け日経新聞電子版)20ウ Dは、令和 理 貯留や植林に活路」(令和3年3月30日付け日経新聞電子版) 「三菱商事、再生エネ発電6割に倍増 政府30年目標受け」(令和3年4月30日付け日経新聞電子版)20ウ Dは、令和3年4月2日、資源関連企業社員から、双日が権益を有する3つの原料炭炭鉱は遅くとも2042年までには終掘時期が到来する旨の記載がある電子メールを受信した。(乙16、28、証人D、弁論の全趣旨)⑶ 日鉄に関連する報道についてア 原告は、令和2年12月10日、日経新聞電子版に、日鉄が2050年に25温暖化ガスの排出量を実質ゼロにする方針を決めたことを報じる記事を掲24 載し、翌11日、日経新聞の朝刊の1面に、「日鉄50年に排出ゼロ 水素利用や電炉導入」と題する、E社長の談話入り記事である本件日経記事2を掲載した。本件日経記事2では、日鉄が2050年に温暖化ガスの排出量を実質ゼロにする方針を決めたこと、E社長が「政府が掲げる50年のゼロ目標に合わせて、鉄を作る過程で発生しているCO2ゼロを目指す」、すなわち52050年に温暖化ガスの排出量をゼロにするという政府目標に合わせ、鉄を作る過程で発生するCO2の排出量をゼロにすることを目指す旨述べたこと、日鉄が2050年に温暖化ガス排出を実質ゼロにするという目標を初めて設定し、削減の具体策を検討していく方針であると明らかにしたことが報じられた。(甲11、乙19、弁論の全趣旨)10イ また、原告は、令和2年12月22日、日経新聞の朝刊に、「水素製鉄 開発 世界で先行」と題する、E社長に対するインタビュー記事を掲載した。 当該インタビューの中で、E社長は、日鉄は政府目標に合わせ2050年までに鉄を作る過程で発生するCO2の排出実質ゼロを目指し、それに向けた環境分野での施策を経営 に対するインタビュー記事を掲載した。 当該インタビューの中で、E社長は、日鉄は政府目標に合わせ2050年までに鉄を作る過程で発生するCO2の排出実質ゼロを目指し、それに向けた環境分野での施策を経営計画に盛り込むこと、製鉄におけるCO2の排出量15を抜本的に減らすには石炭の代わりに水素を使うしかないが、水素製鉄は実用化されておらず、開発しなければならないこと、水素製鉄法の開発には膨大なコストがかかる上、水素インフラの問題もあり、インフラ整備については政府の協力なしには行うことができないことを述べた。(甲12)ウ 日鉄は、令和3年3月5日、中長期経営計画を発表した。当該中長期経営20計画には、「日本製鉄カーボンニュートラルビジョン2050~ゼロカーボン・スチールへの挑戦」が盛り込まれており、大型電炉での高級鋼の量産製造、水素還元製鉄にチャレンジすることなどが記載されていた。他方、E社長は、IR説明会の中で、2050年にカーボンニュートラルを実現するためには前人未到である水素還元に目処をつけなければならないこと、カーボ25ンニュートラルに向けた研究開発は、実際には世界中どこの鉄鋼メーカーも25 これから開始する段階であり、現時点ではまだ具体的なマイルストーンについて何をいつまでというのは申し上げられないことなどを述べた。(甲13、14、乙4)エ Dは、令和3年4月16日、資源関連企業社員から、本件日経記事2について、「市場や関係者の間では、『日鉄が50年ゼロ宣言をした』と受け止め5られ、日鉄側が火消しに追われたと聞いています。」という内容が記載された電子メールを受信した。(乙19、28、証人D、弁論の全趣旨)⑷ F会長に関する取材についてDは、令和3年4月20日、某企業の広報担当者から、原告が20 いています。」という内容が記載された電子メールを受信した。(乙19、28、証人D、弁論の全趣旨)⑷ F会長に関する取材についてDは、令和3年4月20日、某企業の広報担当者から、原告が2050年までのカーボンニュートラルの実現に向け始動させた「日経カーボンZEROプ10ロジェクト」について、「日経カーボンゼロ企画の高圧的営業について思い出したのですが、『本件をやらないと脱炭素関連の記事が日経本紙に載りにくくなるかもしれない』と脅されたことがあります。ご参考まで。」という内容の電子メールを受信した(甲17、乙18、弁論の全趣旨)。 ⑸ 証人Dは、遅くとも令和3年4月下旬頃までには、本件記事の執筆を終えた。 15(弁論の全趣旨)2 争点⑴(本件記事につき名誉毀損による不法行為が成立するか)について⑴ 判断枠組みア 社会的評価の低下の有無について問題とされている表現が、事実を摘示するものであるか、意見ないし論20評の表明であるかについては、一般の読者の普通の注意と読み方とを基準に、前後の文脈や記事の公表当時に一般の読者が有していた知識又は経験等を考慮して、当該表現が証拠等をもってその存否を決することが可能な他人に関する特定の事項を明示的又は黙示的に主張するものと理解されるときは、当該表現は、上記特定の事項についての事実を摘示するものと25解し、上記のような証拠等による証明になじまない物事の価値、善悪、優26 劣についての批評や議論などは、意見ないし論評の表明に属すると解するのが相当である。 名誉毀損とは、人の社会的評価を低下させることをいうが、ある記事の意味内容が、人の社会的評価を低下させるものであるかどうかは、当該記事についての一般の読者の普通の注意と読み方を基準として判断す 名誉毀損とは、人の社会的評価を低下させることをいうが、ある記事の意味内容が、人の社会的評価を低下させるものであるかどうかは、当該記事についての一般の読者の普通の注意と読み方を基準として判断すべき5である。 イ 違法性阻却事由の有無について事実を摘示しての名誉毀損にあっては、その行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあった場合に、摘示された事実がその重要な部分について真実であることの証明があったと10きには、上記行為には違法性がなく、仮に上記証明がないときにも、行為者において上記事実の重要な部分を真実と信ずるについて相当の理由があれば、その故意又は過失は否定される。 他方、ある事実を基礎としての意見ないし論評の表明による名誉毀損にあっては、その行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が15専ら公益を図ることにあった場合に、上記意見ないし論評の前提としている事実がその重要な部分について真実であることの証明があったときには、人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評の域を逸脱したものでない限り、上記行為は違法性がなく、仮に、上記意見ないし論評の前提としている事実の重要な部分が真実であることの証明がないときにも、行為者において20上記事実の重要な部分を真実と信ずるについて相当の理由があれば、その故意又は過失が否定される。そして、上記事実の重要な部分が何かは、一般の読者の普通の注意と読み方とを基準として決せられるものと解される。 ⑵ 本件記述1について25ア 社会的評価の低下の有無等について27 本件記述1が、「本件日経記事1は誤報であった」との事実を摘示するものであることに争いはなく、当該事実の摘示は、見出しを含めた本件記事全体の文脈からすると、一般 低下の有無等について27 本件記述1が、「本件日経記事1は誤報であった」との事実を摘示するものであることに争いはなく、当該事実の摘示は、見出しを含めた本件記事全体の文脈からすると、一般の読者に対し、原告が行った本件日経記事1についての報道は誤報であり、これは、原告の脱炭素ビジネスによって報道が歪められた結果であるとの印象を与えるものであるから、原告の社会的評価を5低下させるものというべきである。 イ 違法性阻却事由の有無について 真実性についてa 被告は、本件日経記事1が誤報であったことは真実であると主張し、確かに、認定事実⑴によれば、政府は、令和2年12月に一定の厳格な10要件の下で石炭火力発電の輸出支援を継続することを決定していたところ、本件日経記事1は、そのわずか4箇月弱後にその方針を大きく変えて輸出支援を停止する旨を報じていること、本件日経記事1が報じられた当日午前の定例記者会見において、A官房長官が、政府として石炭火力発電の輸出支援についての新規案件を全面停止するという検討に15入った事実はないと本件日経記事1を否定する趣旨の発言をしたこと、翌日の閣議後の定例記者会見において、B経産大臣もA官房長官と同旨の発言をしたこと、本件日経記事1では、見出しに「首相、来月にも表明」と記載され、本文にも、「米国主導で22日に開く『気候変動サミット』で表明する段取りを描く」とされている一方で、C首相は、令和320年4月22日に開催された気候変動サミットでは、石炭火力発電の輸出支援について新規案件を全面停止するとの政府方針を表明しなかったことが認められる。 しかし、本件日経記事1においては、石炭火力発電の輸出支援に関する従前の経緯を踏まえつつ、政府は、石炭火力発電の輸出支 件を全面停止するとの政府方針を表明しなかったことが認められる。 しかし、本件日経記事1においては、石炭火力発電の輸出支援に関する従前の経緯を踏まえつつ、政府は、石炭火力発電の輸出支援について25の新規案件を全面停止する検討に入ったことを「複数の政府高官が明ら28 かにした」と一定の取材源が明らかにされており、原告も首相官邸関係者から示されたとするペーパー(甲22)を証拠提出するなど、一定の取材をした上で本件日経記事1を執筆したことがうかがわれる。そして、認定事実⑴エのとおり、石炭火力発電の輸出支援の停止については、気候変動サミットでは触れられなかった一方、その後2箇月もたたないう5ちに開催された重要な国際会議の場であるG7サミットにおいて、C首相から政府による新規の石炭火力発電の輸出支援を年内で終了することが正式に表明されたことが認められることからすると、本件日経記事1の執筆当時において、石炭火力発電の輸出支援の停止という我が国のインフラ海外展開戦略の変更という重要な事項に関し、政府内での水面10下での検討の動きが全くなかったということは考え難い。また、認定事実⑴イのとおり、石炭火力発電の輸出支援の停止については、時事通信社や共同通信社といった他の報道機関も同様の報道をしているところであって、これらの報道機関が、全く裏付けとなる取材をせずに本件日経記事1を盲信して後追い的に本件日経記事1に沿う記事を公表した15とも考え難い。以上からすると、本件日経記事1の執筆当時、政府は石炭火力発電の輸出支援の停止についての新規案件を全面停止する検討に入っていたこと、すなわち本件日経記事1が真実であることが相当程度裏付けられているというべきである。これに加え、認定事実⑴オのとおり、Dの取材によっても、石炭火 ついての新規案件を全面停止する検討に入っていたこと、すなわち本件日経記事1が真実であることが相当程度裏付けられているというべきである。これに加え、認定事実⑴オのとおり、Dの取材によっても、石炭火力発電の輸出支援の在り方について20は環境省側と経済産業省側で基本的な受け止め方が異なっていたことが明らかになっているのであり、石炭火力発電の輸出支援の停止の是非という我が国のインフラ海外展開戦略の変更という重要な事項については、政府内でも慎重な対応が求められていたことがうかがわれることも併せ考慮すると、そうした機微な事項について、従前の政府の方針を25変更する検討には入っていない旨のA官房長官及びB経産大臣の発言29 があったとしても、その発言の背景等を確認することなく、その内容を額面どおりに捉えて、政府内で石炭火力発電の輸出支援の停止の検討にすら入っていなかったと認めることは困難であるというべきである。 b なお、被告は、本件日経記事1の中には、「米国主催で22日に開く『気候変動サミット』で表明する段取りを描く。」との記載があるが、実5際には、気候変動サミットにおいて、C首相が輸出支援停止の政府方針を表明した事実はないと主張する。しかし、本件日経記事1では、C首相は、日米首脳会談で両首脳の脱炭素に関する認識を擦り合わせた上、気候変動サミットで石炭火力発電の輸出支援の停止を表明するという段取りを描いていると報じているにすぎないのであって、一般の読者の10普通の注意と読み方とを基準とすれば、見出しにある「来月にも」という表現は、諸般の事情を考慮し、早ければ来月にも表明するという意味で用いられていると解されるから、C首相が、令和3年6月13日に開かれたG7サミットにおいて、政府による新規の石炭火力発電の輸出支 いう表現は、諸般の事情を考慮し、早ければ来月にも表明するという意味で用いられていると解されるから、C首相が、令和3年6月13日に開かれたG7サミットにおいて、政府による新規の石炭火力発電の輸出支援を年内で終了すると表明した以上は、本件日経記事1が誤報であった15ことが真実であるとはいえない。 c 以上によれば、本件日経記事1が誤報であったとの事実の摘示が真実であるとは認められない。 真実相当性についてa 被告は、A官房長官及びB経産大臣が、政府として石炭火力発電の輸20出支援についての新規案件を全面停止するという検討に入った事実はないと述べたことから、本件日経記事1が誤報であることが真実であると信ずるにつき相当な理由があったと主張し、確かに、認定事実⑴ウないしオによれば、被告の主張に沿う事実を認めることができ、また、本件記事の執筆時点においては、本件日経記事1における予測とは異なり、25C首相は、気候変動サミットにおいて石炭火力発電の輸出支援の停止に30 ついての表明をしなかったことが認められる。そうすると、被告において、本件日経記事1が誤報であったと考えたことにつき、一定の根拠があるということはできる。 しかし、前記で説示したとおり、原告だけでなく、時事通信社や共同通信社といった他の報道機関も本件日経記事1と同様の報道をして5おり、また、被告においても、政府内において石炭火力の輸出支援の在り方について異なる受け止め方があり、石炭火力発電の輸出支援の停止の是非という我が国のインフラ海外展開戦略の変更は、機微な外交案件であることは認識していたものと解される。こうした状況を踏まえると、たとえA官房長官やB経産大臣の記者会見における発言があったとし10ても、そうし のインフラ海外展開戦略の変更は、機微な外交案件であることは認識していたものと解される。こうした状況を踏まえると、たとえA官房長官やB経産大臣の記者会見における発言があったとし10ても、そうした発言は、政府内での調整が未了である段階でなされた暫定的なものではないかと想定することは容易であり、また、報道機関としてはそのように想定した上で裏付け取材をすることが期待されていたといえる。そうすると、被告としては、A官房長官やB経産大臣の発言を直ちに額面通りに受け止めるのではなく、本件日経記事1の根拠と15なったと考えられる取材源又はそれに近い関係者等に対して裏付け取材等を行った上で、真に本件日経記事1が誤報であったかどうかを慎重に検討すべきであったといえるところ、本件全証拠によっても、被告が本件記述1に関して原告の取材源等を想定した上で裏付け取材を行い、又は行おうとした事実を認めることができない(かえって、Dは、原告20の取材源には特に注意を払わなかったことを認める供述をしている(証人D)。)。そうすると、被告において、本件日経記事1が誤報であると信じたことについて相当な理由があったことを認めることはできない。 b なお、C首相は、令和3年4月22日に開かれた気候変動サミットにおいて、石炭火力発電の輸出支援の停止に関する政府方針を表明しては25いないものの、本件日経記事1の小見出しには、「首相、来月にも表明」31 と記載されており、早ければ来月に表明する可能性があるが、来月以降に表明する可能性も残した書きぶりとなっているのであるから、C首相が気候変動サミットにおいて上記の表明をしなかったことをもって、直ちに、本件日経記事1が誤報であると信じるにつき相当な理由があったと認めることはできない。 5ウ いるのであるから、C首相が気候変動サミットにおいて上記の表明をしなかったことをもって、直ちに、本件日経記事1が誤報であると信じるにつき相当な理由があったと認めることはできない。 5ウ 以上によれば、本件記述1について、違法性阻却事由があるとは認められない。 ⑶ 本件記述2についてア 社会的評価の低下の有無について 本件記述2は、別紙5記述目録2のとおりであるところ、その内容とし10て、石炭火力発電事業からの撤退を決定した三菱商事にとっては「ブンアン2」が最後の石炭火力発電事業の案件であり、将来的にはインドネシアにおいて生産するアンモニアを用いて燃料転換を行うことを計画している旨の記載があり、その直後に、「そんなことは日経は報じない。大きく採り上げるのは脱炭素であり、味噌も糞も一緒の報道が続く中、日経を逆利15用する企業も出てくる。」との記載がある。 これを、一般の読者の普通の注意と読み方とを基準に、前後の文脈等も考慮してみると、本件記述2は、「原告は脱炭素については大きく報じるが、石炭火力発電であるブンアン2においてはアンモニアを用いて石炭からの燃料転換を行う計画があることについては一切報じない」との事実を20摘示するものと認められる。 被告は、本件記述2について、原告がアンモニアを用いた火力発電等については、脱炭素と同様の扱いでは報じない事実を前提として、これに対する批判的意見を表明したものであると主張するが、そのような読み方をすることが困難であるのは上記認定のとおりであり、被告の主張は採用で25きない。 32 そして、前記摘示事実は、本件記事の他の記述部分における文脈も併せ考慮すると、一般の読者に対し、原告は、原告が脱炭素を強調することによって広告・ 主張は採用で25きない。 32 そして、前記摘示事実は、本件記事の他の記述部分における文脈も併せ考慮すると、一般の読者に対し、原告は、原告が脱炭素を強調することによって広告・協賛金を得ることを狙っており、その結果として、脱炭素に関する事項は大きく報道する一方で、三菱商事が将来的にインドネシアでアンモニアを生産し、石炭からの燃料転換を計画していることについては5一切報じないという不公正な報道態度をとっているとの印象を与えるといえるから、本件記述2は、原告の社会的評価を低下させるものというべきである。 イ 違法性阻却事由の有無について本件記述2の摘示事実は、前記アのとおり、「原告は脱炭素については大10きく報じるが、石炭火力発電であるブンアン2においてはアンモニアを用いて石炭からの燃料転換を行う計画があることについては一切報じない」というものであるところ、認定事実⑵イのとおり、原告は、ブンアン2やアンモニアを使った燃料転換について触れる記事を掲載していたと認められる。そうすると、本件記述2の摘示事実が真実であるとは認められず、また、それ15が真実であると信じたことについて相当な理由があると認めることもできない。 ウ 以上によれば、本件記述2について、違法性阻却事由があるとは認められない。 ⑷ 本件記述3について20ア 社会的評価の低下の有無について本件記述3は、別紙5記述目録3記載のとおりであり、これを一般の読者の普通の注意と読み方を基準に、前後の文脈等も考慮してみると、本件記述3は、「『日鉄 50年に排出ゼロ 水素利用や電炉導入』との大見出しを含む本件日経記事2が誤報であった」との事実を摘示するものと認め25られる。 33 これに対し、原告は、 述3は、「『日鉄 50年に排出ゼロ 水素利用や電炉導入』との大見出しを含む本件日経記事2が誤報であった」との事実を摘示するものと認め25られる。 33 これに対し、原告は、本件記述3において、上記の摘示事実に加え、「原告は存在しないE社長の発言をねつ造した」との事実も摘示されていると主張する。確かに、本件記述3には、「日鉄は夕刻から『社長はそんな発言はしていない』と火消しに追われたのだ。」との記載はあるものの、一般の読者の普通の注意と読み方とを基準として、前後の文脈を加味しても、原5告が、誤報を超えて、「ねつ造」、すなわち、存在しないE社長の発言を事実として存在するかのように作り上げたという事実まで摘示しているとは解することができず、原告のかかる主張は採用できない。 他方、被告は、本件記述3は、本件日経記事2が誤報だったとの事実を摘示するとともに、これを誤報被害と呼び、批判的意見を表明したもので10あると主張するが、本件記述3全体をみた場合、「誤報被害」とは誤報の事実の言換えにすぎず、これをもって事実の摘示のほかに意見の表明があったとみることはできないから、被告の主張は採用することができない。 そして、前記摘示事実によれば、本件記述3は、報道機関である原告が誤報をしたとの印象を与えるものであるから、原告の社会的評価を低下さ15せるものというべきである。 イ 違法性阻却事由の有無について 被告は、本件日経記事2が報道された後、市場や関係者の間で、日鉄が2050年に温暖化ガスの排出をゼロとすることを宣言したと受け止められ、日鉄は火消しのための説明に追われたのであるから、本件日経記事202は誤報であったと主張し、認定事実⑶エによれば、Dは、資源関連企業社員から ガスの排出をゼロとすることを宣言したと受け止められ、日鉄は火消しのための説明に追われたのであるから、本件日経記事202は誤報であったと主張し、認定事実⑶エによれば、Dは、資源関連企業社員から、その旨に沿う内容のメールを受信したことが認められる。 しかし、認定事実アのとおり、本件日経記事2の内容は、日鉄が温暖化ガスの排出量をゼロにする時期を初めて具体的に明言したことに主眼が置かれており、かつ、記事本文中で引用されているE社長の発言につい25ては、「政府が掲げる50年のゼロ目標に合わせて、鉄を作る過程で発生34 しているCO2ゼロを目指す」との記載があることからすると、本件日経記事2は、「日鉄が、温暖化ガスの排出量をゼロにする目標時期を2050年に設定し、それに向けて具体策を今後検討していく方針であること」を内容とするものであるといえる。そして、認定事実⑶アないしウによれば、本件日経記事2の内容は、日鉄のE社長に対して実際にインタビュー5した内容に基づいていること、日鉄は、令和3年3月5日には、本件日経記事2に沿う内容の中長期経営計画を発表したことが認められるから、本件日経記事2は、カーボンニュートラルに関する日鉄の今後の方針について、E社長に対するインタビューの内容どおりに報じたものであると認められる。そうすると、本件日経記事2が誤報であったことが真実であると10は認められない。 なお、Dが受信した上記メールも、日鉄がカーボンニュートラルに関する今後の方針を示したことを報じた本件日経記事2の内容を、日鉄が2050年にカーボンニュートラルを達成する旨の宣言をしたと誤解した者が一定数いたために、日鉄がそのような事実まではない旨の訂正をしたと15いう出来事があったとも解することができる内容であることからすると にカーボンニュートラルを達成する旨の宣言をしたと誤解した者が一定数いたために、日鉄がそのような事実まではない旨の訂正をしたと15いう出来事があったとも解することができる内容であることからすると、本件日経記事2が誤報であることを裏付けるものではない。 そして、前記で説示したところによれば、Dが資源関連企業社員から受信したメールの内容によっても、本件日経記事2が誤報であることが真実であると信じたことについて相当な理由があったとは認められず、その20ほかの被告の主張を検討しても、被告において本件記述3の摘示事実が真実であると信じたことについて相当な理由があったとは認められない。 ウ 以上によれば、本件記述3について、違法性阻却事由があるとは認められない。 ⑸ 本件記述4について25ア 社会的評価の低下の有無について35 摘示事実についてa 本件記述4の内容は、別紙5記述目録4のとおりであるところ、ここで、「F会長が原告における原稿の編集について、日常的に細かな介入を行っている」との事実が摘示されていることについて争いはない。 b また、本件記述4のうち、「経産省が鼻白む誤報」という記載は、一般5の読者の普通の注意と読み方とを基準に、前後の文脈等も考慮してみると、本件記述1の中に、本件日経記事1に関し「案の定、誤報だった。 同省幹部は鼻白む。」と同趣旨の記述があることからして、本件日経記事1が誤報であることを指していると理解されるから、本件記述4においては、「本件日経記事1は誤報であった」との事実も摘示されている10と解すべきである。なお、原告は、本件日経記事1が誤報であったことに加え、本件日経記事2が誤報であったことも事実として摘示されていると主張するが、 1は誤報であった」との事実も摘示されている10と解すべきである。なお、原告は、本件日経記事1が誤報であったことに加え、本件日経記事2が誤報であったことも事実として摘示されていると主張するが、「経産省が鼻白む誤報」という表現に照らし、採用することができない。 c さらに、本件記述4のうち、「双日の提灯記事」という記載は、前後の15文脈に照らすと、被告は、双日が豪州に保有する3件の原料炭権益は2042年に終掘となり、双日は製鉄用の原料炭を含む石炭権益から撤退せざるを得ない状況であったにもかかわらず、原告が、双日が鉄を作る過程で発生するCO2ゼロを目指すために撤退するかのように報じたことを捉えて「双日の提灯記事」と記載したものと理解されるから、本20件記述4においては、「被告は、双日が2042年には製鉄用の原料炭を含む石炭権益から撤退せざるを得ない状況であったにもかかわらず、原告が、双日が脱炭素のために撤退するかのように報じたこと」を前提事実として、かかる原告の報道内容が双日に媚びてその業績を誇張して宣伝する記事であるとの意見ないし論評も表明しているというべきで25ある。 36 d 加えて、本件記述4のうち、「F会長の肝煎りで、脱炭素に熱心な企業に広告、記事広告、シンポジウムへの協賛を働き掛ける営業戦略が展開されている。」という記載は、証拠等をもってその存否を決することが可能な事項であると解されるから、「原告が、F会長の肝煎りで脱炭素に熱心な企業に対して、広告、記事広告及びシンポジウムへの協賛を働5き掛ける営業戦略を展開している」との事実を摘示するものというべきである。 e その上、本件記述4は、前記aないしdを前提事実として、本件日経記事1の誤報がされたり双日に対する提灯記 き掛ける営業戦略を展開している」との事実を摘示するものというべきである。 e その上、本件記述4は、前記aないしdを前提事実として、本件日経記事1の誤報がされたり双日に対する提灯記事が掲載されたりした原因は、F会長が原稿の編集について日常的に細かな介入を行っており、10また、原告が、F会長の肝煎りで脱炭素に熱心な企業に対して営業戦略を展開していることにあるとする被告の意見ないし論評が表明されているというべきである。 社会的評価の低下について以上の摘示事実及び意見ないし論評は、全体として、一般の読者に対し、15原告における原稿の編集や原告における営業戦略には、F会長の影響が及んでおり、原告における報道は、営業部門の脱炭素ビジネスという営業戦略により歪められているとの印象を与えるものであるから、本件記述4は、原告の社会的評価を低下させるものというべきである。 イ 違法性阻却事由の有無について20 被告は、Dが、令和3年4月半ば、取材の中で原告の記者から、F会長が直接原告の記者に電話をかけて、原稿を一字一句指示される等紙面に介入されたとの情報提供を受けた主張し、その裏付けとして取材ノート(乙17)を提出し、また、D自身も同旨の供述をする(乙28、証人D)。 しかし、上記取材ノート(乙17)は、飽くまでもD自身が作成したメ25モであり、その前提となる取材が実際に行われたのか、行われたとして取37 材ノートに記載されたとおりの発言が取材対象者からされたのかについて、これを客観的に裏付ける証拠はない、また、上記取材ノートの記載内容自体をみても、前記の記載以上に具体的なエピソードは記載されておらず、Dの供述内容(乙28、証人D)を踏まえても、F会長が原告における原 を客観的に裏付ける証拠はない、また、上記取材ノートの記載内容自体をみても、前記の記載以上に具体的なエピソードは記載されておらず、Dの供述内容(乙28、証人D)を踏まえても、F会長が原告における原稿の編集について、日常的に細かな介入を行っていることが真実であ5るとまで認めることはできず、他にこれを認める証拠はない。 以上のことからすると、「F会長が原告における原稿の編集について、日常的に細かな介入を行っている」との事実が真実であると認めることはできず、また、被告において、これが真実であると信ずるにつき相当な理由があったと認めることはできない。 10 本件日経記事1が誤報であったことについての真実性及び真実相当性が認められないことは、前記⑵イのとおりである。 被告は、双日が豪州に有する3件の原料炭炭鉱は最長でも2042年には終堀となるから、双日は、製鉄用の原料炭を含む石炭権益から撤退せざるを得なかったと主張し、認定事実⑵ウによれば、双日が権益を有する315件の原料炭炭鉱は遅くとも2042年には終堀時期が到来することが認められる。しかし、双日が石炭権益の維持確保をもくろむのであれば、新たな石炭権益を取得する(買い受ける、あるいは新たな開発に参加する。)こともあり得るところ、認定事実⑵アのとおり、双日は、令和3年3月5日、「脱炭素社会実現に向けた双日グループの対応方針について~205200年カーボンニュートラルに向けた挑戦~」と題して、脱炭素社会実現に向けた双日グループの対応方針と目標を策定して発表し、当該発表では、脱炭素に向けた対応方針の一環として、原料炭権益につき2050年までにゼロにする旨の目標が掲げられていたのであるから、双日による前記対応方針の発表は、当時保有していた原料炭炭鉱の終掘時期 発表では、脱炭素に向けた対応方針の一環として、原料炭権益につき2050年までにゼロにする旨の目標が掲げられていたのであるから、双日による前記対応方針の発表は、当時保有していた原料炭炭鉱の終掘時期が2050年よ25りも前に到来することが一つのきっかけとなったかもしれないにせよ、新38 たに原料炭炭鉱の権益を取得しないことを含め、脱炭素社会実現に向けて、石炭権益から撤退することを発表したものといえる。そうすると、「被告は、双日が2042年には製鉄用の原料炭を含む石炭権益から撤退せざるを得ない状況であったにもかかわらず、原告は、双日が脱炭素のために撤退するかのように報じたこと」が真実であるとは認められず、また、被告5において、これが真実であると信ずるにつき相当な理由があったと認めることはできない。 被告は、「原告が、F会長の肝煎りで脱炭素に熱心な企業に対して、広告、記事広告及びシンポジウムへの協賛を働き掛ける営業戦略を展開している」という事実摘示についての真実性及び真実相当性について具体的明10示的な主張をしていない。また、被告が、「F会長が原告における原稿の編集について、日常的に細かな介入を行っていること」などを前提に、上記事実摘示は真実である、あるいはこれを真実であると信じたことについて相当な理由があったと主張しているものと善解するとしてもF会長による日常的な介入という事実自体が認められないことは前記のとおりで15あり、そのほか、本件全証拠によっても、上記摘示事実が真実であり、または、被告においてこれが真実であると信ずるにつき相当な理由があったと認めることはできない。 ウ 以上によれば、本件記述4について、摘示事実(意見ないし論評の前提事実でもある)が真実であると認めることはできず、また 真実であると信ずるにつき相当な理由があったと認めることはできない。 ウ 以上によれば、本件記述4について、摘示事実(意見ないし論評の前提事実でもある)が真実であると認めることはできず、また、これが真実である20と信じたことについて相当な理由があると認めることもできないから、違法性阻却事由があるとは認められない。 ⑹ 本件記述5についてア 社会的評価の低下の有無について 本件記述5の内容は、別紙5記述目録5のとおりであるところ、これを25一般の読者の普通の注意と読み方とを基準に、前後の文脈等も考慮してみ39 ると、「原告が、日経カーボンZEROプロジェクトへの協賛を募るにあたり、企業に対して、協賛しなければ当該企業の記事が日経新聞に載りにくくなる可能性があると述べている」との事実を摘示するとともに、かかる事実を前提事実として、このような営業手法は恫喝まがいの営業であるとの意見ないし論評を表明するものと解すべきである。 5 そして、本件記述5は、一般の読者に対し、原告は企業に対し、恫喝まがいの営業を行い、半ば強制的に日経カーボンZEROプロジェクトへの協賛をさせているとの印象を与えるものであるから、原告の社会的評価を低下させるというべきである。 イ 違法性阻却事由の有無について10 被告は、原告は、日経カーボンZEROプロジェクトへの協賛を募るにあたり、企業に対して、協賛しなければ当該企業の記事が日経新聞に載りにくくなる可能性があると述べていると主張し、認定事実⑷イによれば、Dは、某企業の広報担当者から、被告の主張に沿う内容の電子メールを受信したことが認められる。 15しかしながら、上記メールは、「日経カーボンゼロ企画の高圧的営業について思い出 実⑷イによれば、Dは、某企業の広報担当者から、被告の主張に沿う内容の電子メールを受信したことが認められる。 15しかしながら、上記メールは、「日経カーボンゼロ企画の高圧的営業について思い出したのですが、『本件をやらないと脱炭素関連の記事が日経本紙に載りにくくなるかもしれない』と脅されたことがあります。ご参考まで」というごく簡単なものであり、かつ、その信憑性を裏付ける客観的な証拠を欠くものであり、これをもって、被告が主張する事実が真実であ20ると認めることはできず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。 以上によれば、「原告が、日経カーボンZEROプロジェクトへの協賛を募るにあたり、企業に対して、協賛しなければ当該企業の記事が日経新聞に載りにくくなる可能性があると述べている」との摘示事実が真実であると認めることはできず、また、被告において、これが真実であると信ず25るにつき相当な理由があったとは認めることができない。 40 ウ 以上によれば、本件記述5について、違法性阻却事由があると認めることはできない。 ⑺ 本件記述6についてア 社会的評価の低下の有無について 本件記述6の内容は、別紙5記述目録6のとおりであるところ、これを5一般の読者の普通の注意と読み方とを基準に、前後の文脈等も考慮してみると、本件記述1ないし5を総括する役割を果たしていると認められ、本件記述1ないし5の摘示事実を前提事実として、原告の編集、営業一体の脱炭素ビジネスは一段と加速し、世論を脱炭素等に誘導しようとする原告の意図に翻弄される読者こそ最大の被害者であるとの意見ないし論評を10表明するものというべきである。 そして、本件記述6は、一般の読者に対し、原告の記事は営業部門の脱炭素ビジネス の意図に翻弄される読者こそ最大の被害者であるとの意見ないし論評を10表明するものというべきである。 そして、本件記述6は、一般の読者に対し、原告の記事は営業部門の脱炭素ビジネスにより歪められており、今後その傾向は益々加速すると考えられることから、原告の記事は信用できないとの印象を与えるものであるから、原告の社会的評価を低下させるというべきである。 15イ 違法性阻却事由の有無について本件記述6の前提事実である本件記述1ないし5の摘示事実が真実である、あるいはこれを真実であると信じたことにつき相当な理由があったと認めることができないことについては、前記ないしのとおりである。 ウ 以上によれば、本件記述6に関しては、違法性阻却事由があるとはいえな20い。 ⑻ 本件見出しについてア 社会的評価の低下の有無について 本件見出しの内容は、「『広告・協賛金』狙いで歪む報道 日経新聞『脱炭素商売』の無節操」というものであり、本件記事の内容の要旨を伝える25ものであるところ、一般の読者の普通の注意と読み方とを基準に、本件記41 事の内容等も考慮してみると、本件見出しは、原告は、企業からの脱炭素に関する広告や協賛金による収入を狙って報道を行っているとの事実を摘示しつつ、これを前提として、原告の報道内容は、そうした態度のために一貫せず、かつ不正確なものになっているとの意見ないし論評を表明したものであると解すべきである。 5 そして、本件見出しは、一般の読者に対し、原告が企業から脱炭素に関する広告や協賛金による収入を狙っているため、その報道内容が不正確なものとなっているとの印象を与えるものであるから、原告の社会的評価を低下させるというべきである。 者に対し、原告が企業から脱炭素に関する広告や協賛金による収入を狙っているため、その報道内容が不正確なものとなっているとの印象を与えるものであるから、原告の社会的評価を低下させるというべきである。 イ 違法性阻却事由の有無について10前記⑵ないし⑺のとおり、本件記述1ないし6の摘示事実が真実である、あるいはこれを真実であると信じたことにつき相当な理由があったと認めることができないことに照らせば、原告が、企業からの脱炭素に関する広告や協賛金による収入を狙って報道を行っているとの摘示事実が真実である、あるいはこれを真実であったと信じたことについて相当な理由があると認15めることはできず、また、本件見出しで示された意見ないし論評の前提事実についても、真実である、あるいはこれを真実であると信じたことについて相当な理由があったと認めることはできない。 ウ 以上によれば、本件見出しについて、違法性阻却事由があるとは認められない。 20⑼ 小括以上によれば、本件記述1ないし6及び本件見出しは、いずれも原告の社会的評価を低下させるものであり、また、いずれについても違法性阻却事由があるとは認められないから、被告が本件記事を本件雑誌及び本件ウェブサイトに掲載する行為について、不法行為が成立するものというべきである。 253 争点⑵(原告に生じた損害及びその額)について42 ⑴ 原告は、一般の読者が本件記事を読めば、原告の経済や企業に関する報道が利得目的で歪められており信用できないとの印象を受けるもので、報道機関としてそのような印象を抱かれることは致命的であるから、本件記事は原告の社会的評価を重大に毀損するものであると主張する。 まず、前提事実⑴イによれば、被告は、本件雑誌を6万部も で、報道機関としてそのような印象を抱かれることは致命的であるから、本件記事は原告の社会的評価を重大に毀損するものであると主張する。 まず、前提事実⑴イによれば、被告は、本件雑誌を6万部も発行していると5いうのであり、被告の発行する本件雑誌等の刊行物は読者から信頼ができるものとして一定の評価を受けているものといえる。そして、本件記事の記載内容に照らして、その内容が一見して事実無根のものであると理解されるようなものではないことからすると、本件雑誌の読者は、本件記事の内容について、相応の信用性があるものと受け取るものといえる。 10そして、本件記事は、その見出しにおいて、「『広告・協賛金』狙いで歪む報道」、「日経新聞『脱炭素商売』の無節操」といった一見して原告の報道内容が信用できないことを意味する文言が掲載され、また、本件記事全体として、被告が、原告の報道内容について、脱炭素ビジネスにより歪められているという印象を与える構成となっており、読者の目を引くような見出しや文章を並べて15いる。そして、本件記事が、原告の社会的評価を低下させる内容であることは前記2での認定判断のとおりである。 他方で、本件記事の内容を読むと、その根底には、原告の報道姿勢に偏りがあるのではないかという問題意識があることがうかがわれる。また、本件記事が掲載されたことにより、実際に日経新聞の読者その他一般市民等から多くの20苦情が寄せられて新聞社としての業務に差し障りがあったり、日経新聞の購読者数や発行部数が低下したり、取材の相手方から本件記事を理由に取材を拒否されるなどして取材が困難になるなど、具体的な業務上の支障が生じたことを認めるに足りる証拠はない。また、前提事実⑴アのとおり、原告が発刊している日経新聞の発刊数や及びインターネット上での 取材を拒否されるなどして取材が困難になるなど、具体的な業務上の支障が生じたことを認めるに足りる証拠はない。また、前提事実⑴アのとおり、原告が発刊している日経新聞の発刊数や及びインターネット上でのオンラインサービスの会員25者数からすると、原告自身やその報道姿勢に対する社会的評価はある程度確立43 されているといえ、本件記事が原告の社会的評価を毀損するものであったとしても、これによる原告の社会的評価の低下は大きなものであったとまではいえないというべきである。 ⑵ 以上の検討にその他本件に現れた一切の事情を加味すると、本件記事の掲載により原告が被った損害は200万円と認めるのが相当であり、また、被告の5不法行為と相当因果関係のある弁護士費用相当額の損害としては20万円を相当と認める。 そうすると、原告の損害賠償請求は、220万円及びこれに対する本件雑誌の刊行日である令和3年5月1日から支払済みまで年3分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。 104 争点⑶(本件ウェブサイト上に掲載されている本件記事の削除の要否)について原告は、本件記事が本件ウェブサイトに掲載され続けると、原告に対する名誉毀損状態が継続ないし拡大するため、本件記事を削除することは、原告の救済にとって不可欠であると主張し、人格権に基づく妨害排除請求として本件ウェブサ15イト上の本件記事の削除を求めている。 しかし、原告において、本件記事の掲載により具体的な業務上の支障が生じたとは認められないなど、前記3で検討した諸事情に加え、原告は「日経新聞」等の日刊新聞、ウェブサイト等を通じて様々な情報を発信しており、必要があれば、自ら日経新聞等において、原告の被告に対する名誉毀損訴訟で原告の請求が認め20ら した諸事情に加え、原告は「日経新聞」等の日刊新聞、ウェブサイト等を通じて様々な情報を発信しており、必要があれば、自ら日経新聞等において、原告の被告に対する名誉毀損訴訟で原告の請求が認め20られたこと等を報道することが可能であることも考慮すると、原告の本件記事が掲載され続けることによる不利益が極めて大きいものであるとはいえず、本件ウェブサイト上に掲載されている本件記事を削除することが、法的に必要不可欠であるとはいうことができない。 したがって、原告の本件記事の削除請求は、理由がない。 255 争点⑷(謝罪広告掲載の要否)について44 原告は、被告の名誉毀損行為によって受けた損害を回復するには、損害賠償だけでは十分でないと主張して、民法723条に基づく謝罪広告の掲載を求めている。 しかし、前記のとおり、本件記事自体は、原告の報道姿勢に偏りがあるのではないかとの問題意識から制作されたことがうかがわれること、原告は自らが制作5する新聞やウェブサイトを通じて、自ら名誉回復措置をとることも可能であること、そのほか前記3及び4において検討した事情を考慮すると、名誉回復のために謝罪広告の掲載を命じなければならないとは認められない。 したがって、原告の謝罪広告の掲載請求は、理由がない。 第4 結論10以上によれば、原告の請求は、主文記載の限度で理由があるからこれを認容し、その余はいずれも理由がないからこれらを棄却することとして、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第7部 15裁判長裁判官 野 村 武 範 裁判官 髙 木 晶 大20 裁判官 海 﨑 新一朗 45 別紙5 記述目録 1平素穏やかな人が、この日は口吻に棘が 官 野 村 武 範 裁判官 髙 木 晶 大20 裁判官 海 﨑 新一朗 45 別紙5 記述目録 1平素穏やかな人が、この日は口吻に棘があった。 「そういう検討の事実はありません。経済産業省には一切取材はありませんでした」三月三十日、同省のB大臣は閣議後の会見席上、日本経済新聞の前日朝刊一面トップの報道を全否定した。大向こうを唸らせる大見出しが躍っていたのだ。 <石炭火力 輸出支援を停止 首相、来月にも表明 脱炭素で米欧と歩調>記事は、二酸化炭素(CO2)を大量排出する石炭火力発電所の発展途上国向け輸出について、政府が新規案件から低利融資を停止する検討に入ったという内容。 C首相が四月二十二日開幕の「気候変動サミット」で表明するとしており、共同通信は慌てて追随した。が、昨年末、相手国の条件付きで継続する政府方針が決まったばかり。他紙は、B経産相の発言を見守っていたが、案の定、誤報だった。同省幹部は鼻白む。 「誤報はブンアン2への圧力だろう。この案件を阻止したい政府関係者は少なくないが、日経はお先棒を担いで何の得があるのか」2ブンアン2とは、三菱商事が主導し、国際協力銀行の低利融資を受けてベトナムに建設する計画の石炭火力。出力百二十万キロワットは、CO2排出を抑制する最新鋭の超々臨界圧設備で発電され、二〇一七年、停電に悩む同国との日越共同声明に謳われた経済協力プロジェクトである。同様の案件は、丸紅、住友商事も進めているが、着工済みであり、これから建設するブンアン2が環境派議員・官僚らの標的となっているのだ。 すでに石炭火力から撤退を決めている三菱商事にとっては最後の新規案件。将来はインドネシアで生産するアンモニアを使い、石炭から燃料転換する計画だが、そんなこ 派議員・官僚らの標的となっているのだ。 すでに石炭火力から撤退を決めている三菱商事にとっては最後の新規案件。将来はインドネシアで生産するアンモニアを使い、石炭から燃料転換する計画だが、そんなことは日経は報じない。大きく採り上げるのは脱炭素であり、味噌も糞も一緒の報道が続く中、日経を逆利用する企業も出てくる。 3実は日鉄も日経の誤報被害に遭っている。昨年十二月十一日付朝刊の一面トップ記事がそれだ。 <日鉄、50年の温暖化ガス排出ゼロ 水素利用や電炉導入>という大見出しと、E社長の談話入りの記事は反響を呼び、「日鉄もついに脱炭素か」と産業界や株式市場は大騒ぎになった。記事は前日、日経電子版が先取り報道しており、日鉄は夕刻から「社長はそんな発言はしていない」と火消しに追われたのだ。 4この脱炭素を社論とするFT(判決注:フィナンシャル・タイムズ)に、入れあ 46 げているのが日経のF会長。 [中略]「原稿が通らない」日経の現場記者のストレスは募っている。F氏は自ら編集局へ電話し、原稿の修正を一字一句指示しているという。口癖は「FTはこうだ」。 [中略]日経カーボンZEROプロジェクト―。F氏の肝煎りで、脱炭素に熱心な企業に広告、記事広告、シンポジウムへの協賛を働き掛ける営業戦略が展開されている。 経産省が鼻白む誤報も双日の提灯記事も、背景は明確ではないか。 5しかし、日経は「協賛いただけないと、貴社の記事は本紙に載りにくくなるかもしれません」と、恫喝まがいの営業も仕掛けてくるという。 6十一月のCOP26に向け、日経の編集・営業一体の脱炭素ビジネスは一段と加速するだろう。幻惑される読者こそ最大の被害者にほかならない。 47 別紙1ないし同4につき記載省略 に向け、日経の編集・営業一体の脱炭素ビジネスは一段と加速するだろう。幻惑される読者こそ最大の被害者にほかならない。 47 別紙1ないし同4につき記載省略
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