昭和56(オ)1202 建物収去土地明渡等

裁判年月日・裁判所
昭和58年4月14日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 高松高等裁判所 昭和53(ネ)9
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【DRY-RUN】主    文      本件上告を棄却する。      上告費用は上告人の負担とする。          理    由  上告代理人中西一宏、同堀井茂の上告理由第一点について  原審が適法に確定した事

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判決文本文2,748 文字)

主文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理由 上告代理人中西一宏、同堀井茂の上告理由第一点について原審が適法に確定した事実関係によれば、(一) 上告人は、昭和二五年二月当時その所有する本件土地上に本件建物を所有していたが、同月一〇日本件土地のみにつき株式会社D銀行のために根抵当権を設定し、その旨の登記を経由した、(二)その後右D銀行によつて根抵当権の実行がされ、昭和二六年七月一八日株式会社E供給所(以下「訴外会社」という。)が本件土地を競落してその所有権を取得し、同年八月二日所有権移転登記を経由した、(三) 被上告人は、昭和四〇年八月六日訴外会社から売買によつて本件土地の所有権を取得し、同月一一日所有権移転登記を経由した、(四) 本件建物は右根抵当権設定当時未登記であつたが、昭和二五年八月九日上告人の養母Fが上告人に無断で本件建物に自己名義の所有権保存登記を経由した、(五) ところが右Fが昭和二六年九月一二日死亡したので、上告人は、本件建物につき石F名義の登記を前提として昭和四八年八月二二日右Fから昭和二六年九月一二日相続した旨の所有権移転登記を経由した、というのである。 そして、右事実関係のもとにおいては、訴外会社において本件土地の所有権を競落により取得するとともに本件土地について上告人のため法定地上権が成立するに至つたことが明らかである。しかしながら、昭和四一年法律第九三号による改正前の建物保護に関する法律(以下「建物保護法」という。)一条により地上権者がその地上権を第三者に対抗しうるためには、その地上権者がその土地上に自己名義で所有権保存登記等を経由した建物を所有していることが必要であつて、その地上権者が他人名義で所有権移転登記等を経由した建物を所有す 上権を第三者に対抗しうるためには、その地上権者がその土地上に自己名義で所有権保存登記等を経由した建物を所有していることが必要であつて、その地上権者が他人名義で所有権移転登記等を経由した建物を所有するにすぎない場合には、- 1 -その地上権を第三者に対抗することができないものであると解すべきことは、当裁判所の判例(昭和三七年(オ)第一八号同四一年四月二七日大法廷判決・民集二〇巻四号八七〇頁)の趣旨に徴して明らかであるところ、上告人は、被上告人が競落人である訴外会社から本件土地の所有権を取得してその所有権移転登記を経由する前に本件建物について自己名義の所有権保存登記等を経由していなかつたというのであるから、右地上権をもつて被上告人に対抗することができないものといわなければならない。所論引用の昭和一五年七月一一日大審院判例は、相続人が地上建物について相続登記をしなくても、建物保護法一条の立法の精神から対抗力を与えられる旨判示するが、右は、自己の借地上に有効な自己名義の建物所有権取得登記を有する者が死亡し、相続によつて右借地権と建物所有権とを承継した者がいまだ相続による建物の所有権取得登記を経由していなかつた事案に関するものであつて、本件とは全く事案を異にするものであるから、両者の場合を同一に論じ、本件土地の借地権者でもなく、また、建物の所有者でもない亡F名義の無効な所有権保存登記の存在をもつて、同人の共同相続人の一人である上告人の固有の右建物所有権を公示するに足りるものとし、ひいて上告人の有する地上権につき建物保護法による対抗力を肯定することは、とうてい許されないというべきである。なお、上告人は昭和四八年八月二二日に至つてFから本件建物を相続した旨の所有権移転登記を経由しているが、右事実をもつて前記判断を覆しうるものではない。 それゆえ とうてい許されないというべきである。なお、上告人は昭和四八年八月二二日に至つてFから本件建物を相続した旨の所有権移転登記を経由しているが、右事実をもつて前記判断を覆しうるものではない。 それゆえ、上告人は、被上告人に対し右法定地上権をもつて対抗しえないとする原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、独自の見解に基づいて原判決を論難するものにすぎず、採用することができない。 同第二点について本件における被上告人の請求は、本件土地を競落してその所有権を取得した訴外- 2 -会社から売買により本件土地の所有権を取得した被上告人がその所有権に基づいて右土地を占有する上告人に対しその明渡を求めるものであるところ、上告人において右土地の占有正権原として法定地上権を主張するためには、上告人のため本件土地に法定地上権が成立したこととあわせて右地上権をもつて被上告人に対抗しうることを主張立証すべき必要があるものと解するのが相当であるから、これと結論を同じくする原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、判決に影響を及ぼさない原判決の説示部分を論難するか、又は独自の見解に基づいて原判決の不当をいうものにすぎず、採用することができない。 同第三点及び第四点について記録にあらわれた本件訴訟の経過及び本件事案の内容に鑑みれば、原審が上告人に対し本件土地についての占有正権原を主張するには法定地上権の成立とそれについて対抗要件を具備していることを主張立証する必要がある旨をその法的根拠を具体的に示して指摘し、その主張立証の機会を与えなかつたとしても、そのことのゆえをもつて判決の結論に影響を及ぼすような釈明義務違背、審理不尽等所論の違法があるとは認められない。論 旨をその法的根拠を具体的に示して指摘し、その主張立証の機会を与えなかつたとしても、そのことのゆえをもつて判決の結論に影響を及ぼすような釈明義務違背、審理不尽等所論の違法があるとは認められない。論旨は、採用することができない。 同第五点について本件記録によれば、上告人が取得した法定地上権の対抗力との関連において、被上告人が本件土地の所有権を取得する前に上告人からF又はその共同相続人に本件建物の所有権が移転しその後上告人がFから相続により本件土地の所有権を取得したという所論のごとき事実は原審において被上告人から主張された形跡が窺われないから、論旨は、ひつきよう、原審において主張認定を経ない事実に基づいて原判決の不当をいうものにすぎず、採用することができない。 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主- 3 -文のとおり判決する。 最高裁判所第一小法廷裁判長裁判官和田誠一裁判官団藤重光裁判官藤崎萬里裁判官中村治朗裁判官谷口正孝- 4 -

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