平成12(ネ)2577等 カンタスエアーウェイズリミテッド雇止

裁判年月日・裁判所
平成13年6月27日 東京高等裁判所
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判決文本文33,569 文字)

主文 1 原判決を次のとおり変更する。 (1) 控訴人らが被控訴人との間の労働契約上の地位にあることを確認する。 (2) 被控訴人は,控訴人らに対し,それぞれ別紙債権目録の控訴人氏名欄記載の控訴人らに対応する賃金額欄記載の各金員及びこれに対する平成10年6月26日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 (3) 控訴人P1及び同P2を除く控訴人らのその余の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は,第1,2審とも,被控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 控訴人らが被控訴人との間の労働契約上の地位にあることを確認する。 3 被控訴人は,控訴人らに対し,それぞれ別紙請求債権目録の控訴人氏名欄記載の控訴人らに対応する請求額欄記載の各金員及びこれに対する平成10年6月26日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 4 訴訟費用は,第1,2審とも,被控訴人の負担とする。 第2 事案の概要本件は,航空会社である被控訴人(被控訴会社)の客室乗務員であったが,雇止めをされた控訴人らが,被控訴会社に対し,雇止めが無効であるとして,労働契約上の地位にあることの確認並びに未払賃金及びこれに対する弁済期後の遅延損害金の支払を求めた事案である。 原審は,雇止めが有効であるとして,控訴人らの請求を全部棄却したので,控訴人らが控訴した。 1 争いのない事実等(1) 被控訴会社は,オーストラリア国シドニー市に本店を置くオーストラリア国会社法に基づいて設立された国際航空運送業等を営む外国株式会社であり,東京都に日本における支店(以下「日本支社」という。)を有している。 (2) 被控訴会社が客室乗務員として雇用している日本人には,オーストラリア本社で管理されている者(オーストラリアベース客室乗務員)と 都に日本における支店(以下「日本支社」という。)を有している。 (2) 被控訴会社が客室乗務員として雇用している日本人には,オーストラリア本社で管理されている者(オーストラリアベース客室乗務員)と日本支社で管理されている者(日本ベース客室乗務員)がいる。 被控訴会社との間で,オーストラリアベース客室乗務員は,現在,期間の定めのない雇用契約を締結しており,また,日本ベース客室乗務員も,かつては,すべて期間の定めのない雇用契約を締結していた。 (3) 控訴人らの生年月日,被控訴会社入社前の職歴,被控訴会社入社時期等は,別表「控訴人ら」記載のとおりである(甲51~62)。 (4) 日本ベースで雇用された客室乗務員のうち,以前にオーストラリアベースでの勤務経験がない者の雇用契約をめぐる状況は,次のとおりである。 ア控訴人P1,同P3,同P4,同P5,同P6及び同P7(以下,この6名を総称して「控訴人P1ら」という。)は,昭和62年8月に行われた面接試験を受けた上で,被控訴会社に雇用された。 イ控訴人P1らは,雇用されるに当たって,被控訴会社から,別紙1の*1のような記載のある文書(交付書)を受け取り,その後も,別表「契約書等一覧」記載のとおり,別紙1の*2から*10までの各記載のある文書を受け取った(ただし,各書面の原文は英文。争いのある訳について必要な場合はその都度判断する。)。 ウ控訴人P1らは,*4,*5以降の各文書について,その内容を理解しかつ遵守する旨の同意書を提出した(乙1~6の各1~5)。 (以下,上記イの*2以降の各文書を「契約書」と呼ぶこととする。)(5) 日本ベースで雇用された客室乗務員のうち以前にオーストラリアベースでの勤務経験がある者の雇用契約をめぐる状況は,次のとおりである。 ① 控訴人P8,同P9,同P2,同P11 呼ぶこととする。)(5) 日本ベースで雇用された客室乗務員のうち以前にオーストラリアベースでの勤務経験がある者の雇用契約をめぐる状況は,次のとおりである。 ① 控訴人P8,同P9,同P2,同P11,同P12(以下,この5名を総称して「控訴人P8ら」という。)及び控訴人P13は,オーストラリアベース客室乗務員として,被控訴会社に雇用された。 ② 被控訴会社が,日本人である控訴人P8らを雇用したのは,増便が予定されていた日本便に対応するためであり,被控訴会社が控訴人P8らを雇用するに当たって控訴人P8らに渡した採用通知にも,8週間に最低4回日本便に乗務しなければならない旨明記されていた(採用通知内容は甲8の1)。 ③ 控訴人P8らについてア控訴人P8らは,平成3年9月から平成4年1月にかけて,被控訴会社に対し,オーストラリアベース客室乗務員から日本ベース客室乗務員に移ることを申し込み,被控訴会社は,控訴人P8らと話し合い,その結果,控訴人P8らは,平成3年9月から平成4年1月にかけて,順次オーストラリアベース客室乗務員から日本ベース客室乗務員に移った。 イ控訴人P8及び控訴人P11は,被控訴会社とオーストラリアベース客室乗務員に移った件について話し合った後に,被控訴会社から別紙2の*a,*bのとおりのメモランダムを受け取った。 ウ控訴人P8らは,オーストラリアベース客室乗務員から日本ベース客室乗務員に移った際に,被控訴会社との間で別紙2の*c,*c1,*c2,*c3の文書を受け取り,その後も,別表「契約書等一覧」記載のとおり,別紙2の*dから*iまでの各記載のある文書を受け取った(ただし,各書面の原文は英文。争いのある訳について必要な場合はその都度判断する。)。 エ控訴人P8らは,その都度,各文書について,その内容を理解しかつ遵守する *iまでの各記載のある文書を受け取った(ただし,各書面の原文は英文。争いのある訳について必要な場合はその都度判断する。)。 エ控訴人P8らは,その都度,各文書について,その内容を理解しかつ遵守する旨の同意書を提出した(乙7~11の各1~5)。 (以下,上記ウの各文書を「契約書」と呼ぶこととする。)④ 控訴人P13についてア控訴人P13は,平成4年2月23日,被控訴会社に対し,オーストラリアベース客室乗務員から日本ベース客室乗務員に移ることを申し込み,被控訴会社は控訴人P13と話し合い,その結果、控訴人P13は,オーストラリアベース客室乗務員から日本ベース客室乗務員に移った。 イ控訴人P13は,オーストラリアベース客室乗務員から日本ベース客室乗務員に移った際,被控訴会社から,別紙3の*jの記載のある文書を受け取り,その後も,別表のとおり,別紙3の*kから*pまでの各記載のある文書を受け取った(ただし,各書面の原文は英文。争いのある訳について必要な場合はその都度判断する。)。 ウ控訴人P13は,その都度,各文書について,その内容を理解しかつ遵守する旨の同意書を提出した(乙12の1~5)。 (以下,上記イの各文書を「契約書」と呼ぶこととする。)(6) 被控訴会社は,平成9年7月10日付けで,控訴人らを含む23名に対し,「契約客室乗務員の新労働条件について」と題する書面(記載内容は別紙4の*11のとおり)を配布したが,控訴人らはこれに応募しなかった。 (7) 被控訴会社は,控訴人らとの間で締結した雇用契約に定めた契約期間が満了したとの理由で,平成10年4月18日に控訴人P13を,平成9年11月20日にその余の控訴人らを雇止めにした(本件雇止め)。 (8) 控訴人らの賃金のうち,前月1日から末日までの基本給,超過勤務手当,家族手当及び住宅 成10年4月18日に控訴人P13を,平成9年11月20日にその余の控訴人らを雇止めにした(本件雇止め)。 (8) 控訴人らの賃金のうち,前月1日から末日までの基本給,超過勤務手当,家族手当及び住宅手当は当月25日限り,前月1日から末日までのODTA(海外出張手当)及びADTA(国内出張手当)は当月20日前後に,食事手当は各乗務の際に,それぞれ支払われている。 2 争点に関する当事者の主張当審における主張を次のとおり付加するほか,原判決の「事実及び理由」第二の三に摘示のとおりであるから,これを引用する。 (ただし,原判決を次のとおり改める。 ① 原判決106頁4行目の「被告のP14人事・総務部長は二次試験において」を「二次試験(面接試験)においては,被控訴人のP15副支社長及びP14人事・総務部長が立ち会い,その席で,P14人事・総務部長は」に改める。 ② 同108頁9行目の「P14部長は二次試験において」を「二次試験(面接試験)においては,被控訴人のP15副支社長及びP14人事・総務部長が立ち会い,その席で,P14人事・総務部長は」に改める。 ③ 同110頁2行目の「P14部長は二次試験及び三次試験において」を「二次試験及び三次試験においては,被控訴人のP15副支社長及びP14人事・総務部長が立ち会い,その席で,P15副支社長は」に,5行目の「P14部長」を「P15副支社長」にそれぞれ改める。 ④ 同135頁3行目の「アの事実は否認する。」を「アのうち,控訴人らの労働条件が雇用期間以外の点で正社員とほぼ同一であること,控訴人らが正社員と同様に社員持株制度による株式譲渡を受けていることは認め,その余は否認する。」に,4行目の「支社長や」を「支社長,P15副支社長及び」にそれぞれ改める。)(1) 本件雇用契約の性質及び解雇の法理の適用ない 員持株制度による株式譲渡を受けていることは認め,その余は否認する。」に,4行目の「支社長や」を「支社長,P15副支社長及び」にそれぞれ改める。)(1) 本件雇用契約の性質及び解雇の法理の適用ないし類推適用の有無について① 控訴人らア被控訴会社が控訴人らとの間で締結した雇用契約(本件雇用契約)は,1年後ごとに「会社の利益を妨げる行為をする」ことという解除条件に該当する事実の有無が審査され,5年ごとに「会社の利益を妨げる行為をする」こと又は「医学的に支障がある」ことという解除条件に該当する事実の有無が審査され,同解除条件のいずれかに該当する事実が存在する場合には,その審査の時点で雇用契約は解除条件の成就のために終了するが,同解除条件に該当する事実が存在しない限り,雇用契約が存続することを内容とする期間の定めのない雇用契約であり,特段の事情のない限り,平成4年4月1日以降は,被控訴会社における60歳定年制の実施に伴い,60歳まで雇用契約が継続することを前提としていた。また,1年又は5年という期間内にあっても,控訴人らの退職は自由で,一切の制限されていなかったのである。このように,本件雇用契約においては,1年又は5年という期間の定めは,控訴人らを雇用契約に拘束する性質を一切有していなかったのであり,控訴人らは,正社員と全く同様の扱いを受けていた。 イしたがって,被控訴会社が本件雇用契約を終了させた本件雇止めについては,解雇に関する法理が適用されるものと解すべきである。 ウ仮に,本件雇用契約が1年の有期契約であるとしても,1年という契約期間は,雇用契約を確定的に終了させるためのものとはいえず,控訴人らにおいて,1年という契約期間満了後も雇用契約が継続すべきものと期待することに合理性があるものとして,解雇に関する法理が類推適用されるものと 雇用契約を確定的に終了させるためのものとはいえず,控訴人らにおいて,1年という契約期間満了後も雇用契約が継続すべきものと期待することに合理性があるものとして,解雇に関する法理が類推適用されるものというべきである。 ② 被控訴会社ア控訴人らは,被控訴会社との間で,有期の雇用契約であることが明瞭な契約書をもって本件雇用契約を締結したのであるから,契約書の明文に反して,期間の定めのない雇用契約と解する余地はなく,勿論,控訴人らを正社員と同様に扱う余地も全くない。 イ被控訴会社は,控訴人らに対し,本件雇用契約継続中の各年の各更新時に,更新後の期間を1年とする契約締結の際,控訴人らに個別に,更新限度での残存更新回数又は残存期間若しくは最終終了日を,その都度書面により必ず伝達し,これに対する控訴人らの承諾書を受領してきている。 ウしたがって,本件雇用契約の定める更新限度の契約期間の満了により,本件雇用契約が当然に終了するものであることについては,何らの疑問もなく,更に更新されることが予定されている事情など一切ないのである。 (2) 本件雇止めの効力について① 控訴人らア被控訴会社は,本件雇止めの実行された1997(平成9)年の時点でも,その後でも,未曾有の利益を出しているのである。 すなわち,被控訴会社が控訴人らをも含む株主宛に配付していた報告書によれば,次の事実が明かなのである。なお,以下で表示するオーストラリアドルの東京外国為替市場における為替相場は,2000年6月7日午前の時点で,売りが64円程度,買いが60円程度である。このように換算の幅が大きいため,オーストラリアドルを日本円に換算してもあまり意味がないので,換算表示は行わないが,概ね60~70倍程度すれば,日本円相当額となる。 (ア) 1993(平成5)年には,営業利益が329 が大きいため,オーストラリアドルを日本円に換算してもあまり意味がないので,換算表示は行わないが,概ね60~70倍程度すれば,日本円相当額となる。 (ア) 1993(平成5)年には,営業利益が3290万オーストラリアドルしかなく,税引前の経常損失として4億2250万オーストラリアドルを計上していた。 (イ)しかし,1994(平成6)年以降は,年を重ねる毎に,営業利益,税引前純利益,税引後純利益が大幅拡大している。 (ウ) このため,本件雇止めの発生した1997(平成9)年6月30日締切の1年間に関して,株主宛報告書に記載されている会長の報告では,その冒頭に「税引き後,諸掛前の利益は2億6050万オーストラリアドルです。前年より5.6%増加しています。」と高々と成果が記述されている。 (エ) 最近の1999(平成11)年6月30日締切の1年間に関して,株主宛報告書の会長の報告では,その冒頭に「税金及び諸掛前の営業利益は6億0170万オーストラリアドルです。前年より25.9%増加しています。」と,さらに高々と成果が記述されている。 イ(ア) 本件においては,被控訴会社は,1997(平成9)年時点で,このように高売上げ,高利益を上げていたにもかかわらず,1992ないし1993(平成4ないし)年時点での方針,すなわち「1年契約で5回でプシュッと理由如何を問わず辞めて貰う」という方針を貫徹して,本件雇止めを実行したのである。 (イ) このように被控訴会社が高利益を上げていたことに照らしても,本件雇止めには,合理性がないので無効である。 (ウ) また,仮に,本件雇用契約が期間の定めのあるものであるとしても,被控訴会社が高利益を上げていたことは,雇用継続を期待させる重要な事実であると同時に,契約関係上の信義則に照らし,雇用関係を打ち切るべき合理的な理由が 件雇用契約が期間の定めのあるものであるとしても,被控訴会社が高利益を上げていたことは,雇用継続を期待させる重要な事実であると同時に,契約関係上の信義則に照らし,雇用関係を打ち切るべき合理的な理由が存在しないことを示すものである。 ② 被控訴会社ア本件雇用契約が締結された当初である平成4年前後及びそれ以降の被控訴会社の損益などの推移は,次のとおりである(単位は豪ドル,△は損失)。 西暦経常損益諸経費・税引後損益89/90年度 △1億1970 121090/91年度 △1億5860 443091/92年度  1億0260  1億376092/93年度 3290 △3億768093/94年度  3億0180  1億5610(注)89/90,90/91各年度に経常損益が欠損を計上しているにもかかわらず諸経費・税引後損益が利益を計上しているのは,機材の売却による営業外特別利益を計上したことによる。 イ前記のとおり,本件契約締結の直前である1990年(平成2年)6月決算期(平成元年7月~2年6月)から1993年(平成5年)6月決算期(平成4年7月~5年6月)にかけては,91/92年度を除き,経常損益又は諸経費・税引後損益のいずれかが大幅な赤字を計上している上,航空業界全体の厳しい環境を踏まえて,被控訴会社は,「期間を1年とする有期契約。ただし,5年を限度として1年契約の更新を保証する。」旨の本件雇用契約の締結を控訴人らに申し込み,控訴人らは,その内容を完全に理解してこれを承諾し,その上,更新の都度残余の期間若しくは期間満了日についての被控訴会社からの確認に対し,何らの異議もなく同意してきたものである。 そして,平成4年11月に前記内容の本件雇用契約が有効に成立した以上,改めてこれを変更する合意がさ しくは期間満了日についての被控訴会社からの確認に対し,何らの異議もなく同意してきたものである。 そして,平成4年11月に前記内容の本件雇用契約が有効に成立した以上,改めてこれを変更する合意がされない限り,本件雇用契約が所定の満了日をもって終了することは当然であり,控訴人らが主張する平成9年6月期,平成11年6月期の被控訴会社の業績などは,約定の満了日(平成9年11月20日)に契約が終了して雇用関係が消滅することを含む本件雇用契約の効力には,何らの消長をも来さないものである。 (3) 未払賃金額について① 控訴人ら控訴人らの雇止め前3か月間の平均賃金は,別紙「賃金計算書」記載のとおりである(ただし,控訴人P7は,平成7年12月4日から平成8年2月6日まで出産休暇を取得し,同年5月3日以降出産休暇及び育児休暇を取得したので,各休暇前の賃金による。)。 ② 被控訴人ら控訴人らの雇止め前3か月間の平均賃金は,別紙「原告らの賃金計算書に対する認否一覧表」記載の限度で認める。 第3 当裁判所の判断当裁判所は,控訴人らの本訴請求は主文第1項(1)及び(2)の限度で理由があるので認容すべきであるが,その余は理由がないので棄却すべきものと判断する。その理由は,次のとおりである。 1 争点(1)(本件雇用契約の性質及び解雇の法理の適用ないし類推適用の有無)について(1) 本件雇用契約につき,控訴人らは,形式的には期間の定めのある「5年契約」であるが,実質的には期間の定めのない雇用契約である旨主張するのに対し,被控訴会社は,契約書に明記されているとおりの期間の定めのある雇用契約である旨主張するので検討する。 ①ア控訴人P1らについて(ア) 控訴人P1らに交付された書面(契約書)の文言について前記「争いのない事実等」に記載のとおり,本件雇 りの期間の定めのある雇用契約である旨主張するので検討する。 ①ア控訴人P1らについて(ア) 控訴人P1らに交付された書面(契約書)の文言について前記「争いのない事実等」に記載のとおり,本件雇用契約に係る契約書又は交付書には,すべて契約期間が明記されていて,文言上,期間の定めのないものと解することはできない。なお,原文の翻訳について争いがあるもののうち,expireは「期間の満了」,renewalは「更新」と解するのが相当である。すなわち,*1は,当該任命(theappointment)は,健康診断(medicalexamination)の結果が申し分のないことを条件とするものであるが,その根拠となる契約は,平成4年9月12日をもって期間が満了する(expire)とされ,*2は,期間は不定としながらも,教育訓練終了日から5年を超えない期間とされ,*4は,期間は1年であり,勤務成績が良好である限り,5年間にわたって毎年更新されるというものであり,以後,いずれの契約書にも,1年の契約期間が明記されており,最後の*10では,平成9年11月20日をもって期間が満了すると明記されているのである。 控訴人らは,1年又は5年は,appointment(任命,地位,任務)に基づく期間であって,契約に基づく期間ではないなどと主張するが,appointmentという文言がそれを基礎付ける契約と無関係なものと解することはできないから,採用することができない。なお,dependingonsatisfactoryserviceを「会社の利益を妨げる行為をすること」と訳すべきものとしても,本件雇用契約が期間の定めのないものであると解することはできない。 (イ) 採用当時の被控訴会社の事情証拠(乙104,証人P16)によれば,被控訴会社が控訴人 をすること」と訳すべきものとしても,本件雇用契約が期間の定めのないものであると解することはできない。 (イ) 採用当時の被控訴会社の事情証拠(乙104,証人P16)によれば,被控訴会社が控訴人P1らを日本ベース客室乗務員として採用した事情は,次のとおりであったことが認められる。 昭和62年当時,日本路線の乗客の需要が急増して,日本路線の客室乗務員の増員配置が必要になった。ところが,日本語を話せる客室乗務員をオーストラリアベース客室乗務員の中から獲得することは困難であった。そこで,日本語の堪能な者を採用することになるが,オーストラリアベース客室乗務員の間では,日本路線に対する人気が高く,日本ベース客室乗務員の増員や欠員の補充については,被控訴会社とオーストラリアベース客室乗務員で組織する労働組合との合意が必要とされていた。そのため,日本ベース客室乗務員を正社員(期間の定めのない雇用契約)として採用するのは,労働組合との関係で困難であったので,正社員ではなく,被控訴会社としては初めて,契約社員(期間の定めのある雇用契約)として配置することにした。 上記の事情からすれば,被控訴会社は,控訴人P1らを期間の定めのない雇用契約(正社員)として採用したのではなく,契約社員として採用したことは明らかである。 (ウ) 後記のとおり,控訴人P1らは,採用面接試験において,被控訴会社の面接担当者から,5年経過後も心配するなとか,更新を保障するとかの発言があった旨供述する。 しかし,証拠(甲14の1・2,51~56)によれば,控訴人P1らは,面接の際に,被控訴会社の面接担当者から,日本ベースに配属される者は期間を5年とする契約社員であり,これに対し,オーストラリアベースに配属される者は正社員である旨の説明を受けており,これに関連した控訴人P1らの質 控訴会社の面接担当者から,日本ベースに配属される者は期間を5年とする契約社員であり,これに対し,オーストラリアベースに配属される者は正社員である旨の説明を受けており,これに関連した控訴人P1らの質問も,一応5年の期間のあることを前提としたものであったのであるから,当初の契約が期間の定めのないものであると認めることはできない。 (エ) 正社員化を要求する労使交渉について平成4年の労使交渉は,控訴人らを正社員化するための交渉であり,控訴人らの雇用契約が期間の定めのあるものであったことが前提であったのである。 イ控訴人P8らについて(ア) 契約書の記載について控訴人P8らについては,別紙2のとおりの各契約書が交付され,これについても,前記アに述べたのと同様であり,期間の定めのないものと読むことはできない。 (イ) 移籍の事情について後に説示するとおり,控訴人P8らは,オーストラリアベースから日本ベースへ移籍するに当たって,被控訴会社の人事担当者から,近い将来正社員化されるとの説明を受けたことは認められるが,契約書作成時点では,契約社員として採用されることを認識していたことが認められる。 (ウ) 正社員化を要求する労使交渉について前記ア(エ)と同じウ控訴人P13について(ア) 契約書の記載について控訴人P13については,別紙3*j~*pのとおりの各契約書が交付され,これはいずれも期間の定めがあることが明記されている。 (イ) 移籍の事情について後に説示するとおり,控訴人P13は,オーストラリアベースから日本ベースへの移籍に当たって,被控訴会社の人事担当者から,5年後は更に5年継続される旨の説明を受けたのであるが,この事実によっても,期間の定めのない契約であるとは認められない。 なお,控訴人P13については,被控訴会社か て,被控訴会社の人事担当者から,5年後は更に5年継続される旨の説明を受けたのであるが,この事実によっても,期間の定めのない契約であるとは認められない。 なお,控訴人P13については,被控訴会社からの組合宛文書(甲87)に「permanent・・・status」と記載されているが,控訴人P13と被控訴会社の関係は,それより後に作成された契約書によって定まるものというべきところ,これには期間の定めのある契約であることが記載されているから,被控訴会社の組合宛の前記文書を根拠に,控訴人P13の契約が期間の定めのないものであると解することはできない。 (ウ) 正社員化を要求する労使交渉について前記ア(エ)と同じ② 証拠(甲106の1~3)によれば,被控訴会社の日本支社空港マネージャーであったP17は,平成9年4月16日,本社客室乗務員管理部のP18に宛て,P16総務人事部長に相談した結果として,控訴人らの雇用を終了させなければならない,そうでないと,彼らが正社員になりかねない(mayforcethempermanentstatus)旨の文書を送信していること,同文書添付の別表には,「PERMANENTDATEOFJOIN」と「CONTRACTDATEOFJOIN」の欄があり,前者には,控訴人らの入社年月日(控訴人P1らについて昭和62年,控訴人P8ら及び控訴人P13について平成3年~平成5年)が記載され,後者には,控訴人らの1年の期間を定めた各契約書の作成年月日が記載されていることが認められる。これに対し,被控訴会社は「PERMANENTDATEOFJOIN」の欄は退職金計算期間の起算点を便宜的に記載したものであるなどと主張するが,文言とはかけ離れた不自然なものであって,採用することができない。 これによれば RMANENTDATEOFJOIN」の欄は退職金計算期間の起算点を便宜的に記載したものであるなどと主張するが,文言とはかけ離れた不自然なものであって,採用することができない。 これによれば,被控訴会社は,上記別表作成時点である平成8年7月時点において,控訴人らが期間の定めのない正社員(permanent)として入社したものと取り扱っていたものと認められる。しかし,これによっても,控訴人らの雇用が,当初から期間の定めのないものであったことまで認めることはできない。 ③ 以上によると,控訴人らと被控訴会社の契約は,雇用期間を1年間とし,更新の期間を5年間と区切った,期間の定めのある雇用契約であるというべきであるから,期間の定めのない雇用契約であることを前提として,本件雇止めについて,解雇に関する法理が適用されるべきであるとする控訴人らの主張は,採用することができない。 (2) 控訴人らは,仮に,本件雇用契約が1年の有期契約であるとしても,1年という契約期間は,雇用契約を確定的に終了させるためのものとはいえず,控訴人らにおいて,1年という契約期間満了後も雇用契約が継続すべきものと期待することに合理性があるものとして,解雇に関する法理が類推適用されるものというべきである旨主張し,被控訴会社は,そのように解する余地はない旨主張する。 ① 前記(1)において認定,説示したとおり,控訴人らの雇用契約は,期間の定めのある雇用契約であると認められる。したがって,控訴人P1らについては,別紙1*10の,控訴人P8らについては,別紙2*iの,控訴人P13については,別紙3の*pの契約をそれぞれ最後に,別紙「控訴人ら」の「本件雇止め」欄記載の日に本件雇用契約の期間が満了したのてある。 しかし,期間の定めのある契約であっても,期間の満了毎に当然更新を重ね ては,別紙3の*pの契約をそれぞれ最後に,別紙「控訴人ら」の「本件雇止め」欄記載の日に本件雇用契約の期間が満了したのてある。 しかし,期間の定めのある契約であっても,期間の満了毎に当然更新を重ねて実質上期間の定めのない契約と異ならない状態にあり,採用,雇止めの実態,仕事内容,採用時及びその後における労働者に対する使用者の言動等により,単に期間が満了したという理由だけでは使用者において雇止めを行わず,労働者もまたこれを期待,信頼し,そのような相互関係のもとに労働契約関係が存続・維持されてきたような事情がある場合には,雇止めの効力を判断するに当たっては,解雇に関する法理を類推し,経済事情の変動により剰員を生じるなど使用者においてやむを得ない特段の事情がない限り,期間満了を理由として雇止めをすることは信義則上許されないものと解するのが相当である(最高裁昭和49年7月22日第1小法廷判決・民集28巻5号927頁参照)。 ② 前記の観点から,本件雇止めについて,解雇に関する法理が類推適用されるべきものか否かについて検討する。 ア控訴人P1らについて(ア) 証拠(甲14,51~56,68,69,84の2,乙104,控訴人P3,控訴人P4,証人P16)及び弁論の全趣旨に争いのない事実を総合すれば,次の事実が認められる。 a 被控訴会社に採用される前の控訴人P1らの経歴被控訴会社に雇用されるまで,控訴人P1は,ノースウェスト航空の機内通訳であった者,控訴人P4は,シンガポール航空を退職し,ユナイテッド航空の客室乗務員の採用試験に合格したが,訓練期間は開始されていなかった者,控訴人P3は,キャセイパシフィック航空の客室乗務員(フライトパーサー)であった者,控訴人P5はキャセイパシフィック航空に,控訴人P6は東亜国内航空に,それぞれ客室乗務員とし 始されていなかった者,控訴人P3は,キャセイパシフィック航空の客室乗務員(フライトパーサー)であった者,控訴人P5はキャセイパシフィック航空に,控訴人P6は東亜国内航空に,それぞれ客室乗務員として勤務していた者,控訴人P7は,大学生であった者である(甲51~56,控訴人P3,控訴人P4)。 b 被控訴会社の求人募集広告と控訴人P1らの認識控訴人P4,控訴人P3,控訴人P5及び控訴人P7は,昭和62年7月20日付けのジャパンタイムズに掲載された被控訴会社の求人募集広告を見て応募することにしたが,その広告には,契約社員であることを示すcontract,temporaryという文言は記載されていなかったことや,当時,客室乗務員を契約社員として募集することは一般的でなかったこともあり,期間の定めのある雇用契約として客室乗務員を募集しているとは思わずに,正社員の募集であると考えて被控訴会社の採用試験に臨んだ(甲14,51~56)。 c 面接試験における控訴人P1らと被控訴会社担当者のやり取り控訴人P1らは,面接試験の際,被控訴会社の面接担当者から,オーストラリアベースは正社員で期間の定めのない雇用契約であるが,日本ベースは契約社員(臨時社員)で5年の期間の定めのある雇用契約(5年契約)であることを知らされたが,その際のやり取りは,次のとおりであった(甲51~56,控訴人P3,同P4)。 (a) 控訴人P1は,P15日本副支社長,P14人事・総務部長らの立ち会った面接試験で,P15から「5年契約の日本ベースと無期限のオーストラリアベースとのどちらを希望しますか。」と質問され,日本ベースを希望する旨答えたところ,「ノースウエスト航空の機内通訳から移ってきた人が何人かいます。皆さんとてもよく働いています。長く勤務して下さい。」と言われた。控訴人 希望しますか。」と質問され,日本ベースを希望する旨答えたところ,「ノースウエスト航空の機内通訳から移ってきた人が何人かいます。皆さんとてもよく働いています。長く勤務して下さい。」と言われた。控訴人P1はこれによって,5年経過後も希望すれば雇用されるものと判断し,契約制については質問しなかった(甲53)。 (b) 控訴人P3は,P15,P14らの立ち会った2次試験(面接試験)で,P14から,「急にシドニーから連絡が入り,今回はオーストラリアベースと日本ベースを採用することになった。日本ベースは5年契約にすることにした。日本ベースで採用された場合でも,いつでもオーストラリアベースに移転できる。日本ベースと同時にオーストラリアベースも採用しているが,どちらを希望するか。」と聞かれ,「日本ベースを希望します。」と答えた。控訴人P3は,この場で初めて,日本ベースは5年契約であると知ったが,P14から「働き続けたいのであれば,オーストラリアベースで正社員としてのポジションもあるので,いつまでもカンタスのフライトホステスとして働くことはできる。」との説明があり,一応安心した。 3次試験は,P19との個別面接で,控訴人P3は,希望どおり日本ベースで採用されることを知らされたので,日本ベースの仕事と昇進の有無について質問したところ,P19は,そのままでは昇進はないが,オーストラリアベースに移れば昇進があると回答した。次いで,控訴人P3が,「5年で契約が切れるのが分かっていれば,今のポジションを捨ててまで日本に帰るのは躊躇するので,5年後契約はどうなるか。」と尋ねたのに対し,P19は,「いつでもオーストラリアベースに移ることができるし,日本で働き続けたいのであれば,追々話し合っていきましょう。オーストラリア人は話の分からない人種ではありません。心配しな 尋ねたのに対し,P19は,「いつでもオーストラリアベースに移ることができるし,日本で働き続けたいのであれば,追々話し合っていきましょう。オーストラリア人は話の分からない人種ではありません。心配しないでください。」などと答えた(甲51)。 (c) 控訴人P4は,P15,P14らの立ち会った面接試験で,「急にシドニーから連絡が入り,今回はオーストラリアベースと日本ベースを採用することになった。日本ベースは5年契約で,オーストラリアベースは正社員である。オーストラリアベースで採用されても,いつでも日本ベースに移転できる。」旨の説明を受けたが,契約制とは思いもよらなかったので,即答を避けた。その後の最終試験で,控訴人P4は,P19から,「日本ベースは5年契約で日本とオーストラリアの往復だが,時にはホノルル便に乗務してもらうこともあるかも知れない。オーストラリアベースなら正社員で世界中を飛べる。どちらを希望するか。」と問われ,「どちらでも構わない。」と答えた。同控訴人は,一旦はオーストラリアベースで採用された(甲52)。 (d) 控訴人P7は,P15,P14らの立ち会った面接試験において,「急にシドニーから連絡が入り,今回はオーストラリアベースと日本ベースを採用することになった。日本ベースは5年契約で,オーストラリアベースは正社員である。オーストラリアベースで採用されても,いつでも日本ベースに移転できる。」旨の説明を受け,東京とシドニーのどちらがよいかと質問されたが,日本ベースで採用されてもいつでもオーストラリアベースに移ることができるなら,雇用継続面で心配はないと考え,どちらでもよいと答えたが,契約制については質問しなかった(甲54)。 (e) 控訴人P6は,P15,P14らの立ち会った面接試験で,「日本ベースは5年契約で,オーストラリアベー 心配はないと考え,どちらでもよいと答えたが,契約制については質問しなかった(甲54)。 (e) 控訴人P6は,P15,P14らの立ち会った面接試験で,「日本ベースは5年契約で,オーストラリアベースは正社員である。」との説明をされた上,いずれを希望するかを尋ねられ,迷わずオーストラリアベースを希望したが,日本ベースでの合格となった。正社員でないのは心外であったが,3次試験の際,P19から「長く勤務してください。」と言われ,入社を決意した(甲52)。 (f) 控訴人P5は,P15,P14らの立ち会った面接試験で,「日本ベースは5年契約で,オーストラリアベースは正社員である。」と知らされ,いずれを希望するか尋ねられて,どちらでもよいと答えた。その後,同控訴人は,P19に対し,日本ベースを希望する旨述べた上で,日本ベースを希望すると5年で辞めなければならないかと質問したところ,P19はこれを否定し,「いつでもオーストラリアベースに移ることができる。」と答え,控訴人P5がずっと東京にいたいと言うと,P19は,日本ベースかオーストラリアベースかは後で連絡するが,会社の決めたことに異議があれば,P14に相談するよう述べた(甲56)。 d 訓練段階における日本ベースへの変更控訴人P1ら及び同期で採用となった者合計17名について,シドニーで訓練が行われたが,日本便に優先的に乗務できるわけではないことが分かり,控訴人P4が抗議したところ,P15から,オーストラリアベース予定の7名は,全員一致してオーストラリアベースに残るか日本ベースに変更するかを決断するように指示され,日本ベースに移る場合の契約書を示された。ところが,この契約書には,契約期間が2年と記載されていたので,同じ日本ベースで期間に違いがあるのはおかしいと抗議したところ,その場で5年に訂正さ 指示され,日本ベースに移る場合の契約書を示された。ところが,この契約書には,契約期間が2年と記載されていたので,同じ日本ベースで期間に違いがあるのはおかしいと抗議したところ,その場で5年に訂正された。しかし,7人の結論が一致しなかったので,P15が「取りあえず今回は全員日本ベースになって欲しい。その後,希望すればいつでもオーストラリアベースになれる。」と述べたので,全員日本ベースに移ることに合意した(甲51,52,55)。 e 就労後のP14人事・総務部長の発言(a) 従前,客室乗務員は,被控訴会社がスポンサー(保証人)になることにより,オーストラリアでの永住ビザ(オーストラリアベースで就労するために必要な在留資格)を取得することができたが,控訴人P1らが就労を開始後暫くして,この制度がなくなり,その情報が,日本ベース客室乗務員の間に拡がった。そのため,控訴人P1らは,いつでもオーストラリアベースに移ることができる道が断たれたのではないか,との不安を持った。 (b) そこで,控訴人P3が,P14に対し,このまま日本ベースで勤務を続けた場合,5年後にどうなるのかと質問したところ,P14は,「日本人客室乗務員の重要性と日本ベースの必要性は確固たるものであり,雇用に関しては何の心配も要らない。 5年の契約満了時には正社員になれるであろう。」と答え,控訴人P4及び同P7も,別の機会にP14に同様の質問をし,同じく正社員になれるであろうとの回答を得た(控訴人P7)。また,控訴人P5も,5年契約について不安を覚え,P14に何度も5年後のことを質問したところ,P14から,上記と同様の回答を得,その際,「地上職も同じように1年であるが,正社員になるであろう。」と言われ,実際にそのとおり正社員になっていたこともあり,P14の発言を信じていた。このP1 ろ,P14から,上記と同様の回答を得,その際,「地上職も同じように1年であるが,正社員になるであろう。」と言われ,実際にそのとおり正社員になっていたこともあり,P14の発言を信じていた。このP14の発言は,控訴人P1及び控訴人P6にも伝えられた(甲51~56)。 (c) 控訴人P1らと同様に,昭和62年に日本ベースで採用された者2名(P20,P21)は,現に平成9年の時点でオーストラリアベースに移籍しており,その際,被控訴会社は,オーストラリアベースへの新規採用ではなく,日本ベースでの10年間についても勤務期間として認めた。 f 控訴人P1らの勤務実態(a) 控訴人P7は,平成9年の期間満了時を超えて出産休暇を与えられていた。また,控訴人P6は,平成4年の期間満了時には出産休暇中であり,期間満了時点である平成4年9月より後の平成4年10月に復帰するか,平成5年5月に復帰するか選択するように言われていた。 (b) 控訴人P1らには,平成4年まで,正社員のものと同じ就業規則が配付されており,賃金,諸手当,労働時間,職名,休暇,持ち株制度,社内研修,旅行優待制度,社会保険などすべての労働条件が正社員と同一であった(甲68,69,証人P16,弁論の全趣旨)。 (c) 契約社員について,契約満了期間を超えてフライトが組まれていた(弁論の全趣旨)。 (d) 契約更新に当たり,契約書は,期間が経過してから送られてきたが,更新後の勤務は,契約書が送られてくる前も,予定どおり行われていた(甲74)。 g 控訴人P1らの職務内容控訴人P1らの客室乗務員の仕事は,正社員と同じで,内容的にも乗客の安全や高度な知識,経験に裏付けられた専門性を要する職種であって,臨時性は薄い。 h 5年契約と被控訴会社の言動の背景事情(a) 本件雇用契約当時,日本における好況 正社員と同じで,内容的にも乗客の安全や高度な知識,経験に裏付けられた専門性を要する職種であって,臨時性は薄い。 h 5年契約と被控訴会社の言動の背景事情(a) 本件雇用契約当時,日本における好況及び旅行ブームにより,顧客サービスのため,日本路線に日本語を話せる客室乗務員を配置する必要が出てきたので,被控訴会社としては,日本路線に日本語を話せる客室乗務員を増員する必要があったが,オーストラリアベース客室乗務員を配置することは,直ちにはできない状況であった。一方,日本路線への就労は手当が高く,偏りがあるのは不平等であるとの不満もあったので,オーストラリアベース客室乗務員の労働組合から,被控訴会社に対し,不平等の改善を申し立てられたりしていた。そこで,日本支社採用の客室乗務員を増員することが決められた(乙104)。 (b) 被控訴会社では,当時,日本ベース客室乗務員は正社員のみであったが,その増員や欠員補充には組合の同意を得ることが必要であったため,増員する客室乗務員を正社員として採用することが困難であったので,被控訴会社は,契約社員として採用することにした。なお,被控訴会社が有期雇用契約社員を雇うのは初めてであった(乙104,証人P16)。 (c) しかし,もし5年後に契約更新ができないというのであれば,応募者が見込めず採用が困難であることが予想されたので,応募者に更新の希望を持たせて採用する必要があった。そこで,被控訴会社は,被控訴会社代理人P22と相談した上,契約社員であるが更新が保障されるかのような期待を持たせ,一方では,期間満了による雇止めを正当化できるよう周到に計画した上で,前記各契約書を作成した(甲84の2)。 i その後の契約更新等の経過控訴人P1らに交付された契約書は次のとおりである。 交付年月日更新(保障)期間 めを正当化できるよう周到に計画した上で,前記各契約書を作成した(甲84の2)。 i その後の契約更新等の経過控訴人P1らに交付された契約書は次のとおりである。 交付年月日更新(保障)期間別紙1平成4年11月 5年 *4平成4年12月 5年 *5平成5年9月  5年 *6平成5年11月 4年 *7平成6年11月「前回合意した期間」 *8平成7年11月「最後の契約は,平成9年11月満了」*9平成8年11月「最後の更新。平成9年11月満了」*10j 契約書の文言控訴人P1らに交付された契約書の末尾には,期間や給与などが記載された下に,次のような文言が記載されていた(甲1の3~8,2の2~5,3の3~8,4の2~6,5の4~10,6の4~9)。 (a) 平成4年11月11日付け契約書「貴方のカンタス航空への貢献に対し謝意を表すと同時に,引き続きカンタスとの関わり合いを満喫して下さい。」(b) 平成5年9月11日付け契約書「貴方が会社とともに,将来にわたって成功を収めることを信じます。」(c) 平成5年11月22日付け及び平成6年11月21日付け各契約書(a)に同じ。 (d) 平成7年11月17日付け及び平成8年11月14日付け各契約書「カンタス航空は弛まなく成長していますが,日本ベース客室乗務員の職務は,社内において益々重要になってきています。チャレンジ精神を持って一緒にカンタス航空の一員として会社の発展に貢献しましょう。」k 労働協約における正社員化検討の約束カンタス航空労働組合は,平成7年及び平成8年の要求事項として,日本人客室乗務員(JFA)の正社員化を掲げ,被控訴 の一員として会社の発展に貢献しましょう。」k 労働協約における正社員化検討の約束カンタス航空労働組合は,平成7年及び平成8年の要求事項として,日本人客室乗務員(JFA)の正社員化を掲げ,被控訴会社は,労働協約において,検討することを約している(乙86~89)。 l 被控訴会社内部の取扱い前記のとおり,被控訴会社は,平成8年7月時点(甲106号証の1別表の作成時点)において,控訴人P1らにつき,正社員(permanent)で入社したものとして取り扱っていた。 (イ)a 前記(ア)に認定した事実によれば,次のような事情を指摘することができる。 (a) 控訴人P4,同P3,同P5及び同P6は,いずれも他の航空会社において正社員として勤務していた者である(特に控訴人P3はフライトパーサーの地位にあった。)から,特段の事情がない限り,被控訴会社に就職するに当たり,安定した地位を捨てて,敢えて期間の定めのある雇用契約という不安定な地位に移ることは考えられないところであるから,正社員としての募集広告であると考えて応募し,面接試験において,被控訴会社の担当者から継続して雇用するような言動がされたため,被控訴会社に入社するに至ったのであり,被控訴会社の採用担当者も,このことを十分承知していたこと。 (b) 控訴人P1らの採用に当たり,オーストラリアベースが正社員,日本ベースが契約社員という説明はされていたものの,被控訴会社の幹部,特にP15及びP14は,5年契約の終了後も,その更新,継続を保障するような発言をして,控訴人P1らに継続雇用の期待を持たせたこと。 (c) 一旦オーストラリアベースとなった者が全員一致して日本ベースに変更されたが,これには被控訴会社の意向が強く反映していたのであり,控訴人P1らの正社員と契約社員の区別が曖昧なものであるこ 。 (c) 一旦オーストラリアベースとなった者が全員一致して日本ベースに変更されたが,これには被控訴会社の意向が強く反映していたのであり,控訴人P1らの正社員と契約社員の区別が曖昧なものであることの認識を強める結果となったこと。 (d) 控訴人P1らの就労後,P14人事部長が,5年又は契約期間の経過後も,雇用契約が継続することが確実であるかのような期待を持たせる言動を度々しており,控訴人P1らは,正社員と労働条件を同じくし,契約期間が満了するにもかかわらず,出産休暇や年次休暇を取り,あるいはフライトを組むなどしていたのであって,被控訴会社も,契約書に記載されているとおりに期間満了により雇用契約が終了するものとは予定していなかったものと窺えること。 (e) 控訴人P1らの職務内容は,正社員と同じで,内容的にも専門性を要する臨時性の薄い職種であり,控訴人らにおいて,更新が継続されるとの期待を持つことにつき,相当の理由があったものということができること。 (f) 組合が正社員化を求めて団体交渉をし,被控訴会社も団体交渉を踏まえて,控訴人P1らの雇用問題について,協約に盛り込んできたこと。 (g) 前記のような背景事情から,被控訴会社としても,控訴人P1らの更新の期待を予想していたものであり,期間満了により直ちに契約が終了されることを予定していたものではないと窺えること。 (h) 1年毎に新契約書を交わしていたという実態があるが,必ずしも期間満了の都度,直ちに契約書が送付されていたわけではなく,契約書の作成日付が契約期間の始期より遅い場合もあり,契約が形式上中断することになるのに,予定どおり勤務させていたり(*6と*7),前の契約書の期間満了の2か月も前に契約書を作成したり(*4,*5と*6),更新保障の期間が,当初5年となっていたにもかかわらず 上中断することになるのに,予定どおり勤務させていたり(*6と*7),前の契約書の期間満了の2か月も前に契約書を作成したり(*4,*5と*6),更新保障の期間が,当初5年となっていたにもかかわらず,その翌年にも更に5年となったりしていること(*4と*6)などから,契約書どおり契約期間が遵守されているものではなく,契約書の存在から直ちに新契約の締結とみることには疑問があること。 (i) 控訴人P1らには5年契約の枠があったのであるから,1年の契約期間が満了しても,その後の契約更新を期待し得る状況にあったこと。 (j) 被控訴会社の契約書には,当初は,被控訴会社への貢献に対する謝意と引き続き関係を満喫して欲しい旨の希望が述べられていたに過ぎないのに,最後から2番目の契約書には,契約終了が間近であることのほか,控訴人P1らの職務の重要性を指摘し,今後も会社の発展への貢献を期待するとの文言が現れ,最後の契約書には,「最後の更新である」との厳粛な宣言に引き続いて,上記同様の文言が繰り返されているところ,契約終了間近に殊更会社への帰属意識を煽るような文言が記載されているのは不自然であって,控訴人P1らからみれば,それまでの継続を保障するとの言明と相俟って,今後も契約が継続されるとの期待を抱かせるものであること。 (k) 被控訴会社が保証人となるオーストラリアでの永住ビザの取得の制度がなくなったことから,控訴人P1らが途中でオーストラリアベースへの移籍を希望しても,これが実現することは困難となったこと。 b 以上のような事情に照らせば,形式的な同意書面が整えられたからといって,控訴人らが5年で雇止めをされるような地位にあることを予想していたものとは考えられないというべきであり,被控訴会社において,期間が満了したというだけで,当然に雇止めを行うものとは考 たからといって,控訴人らが5年で雇止めをされるような地位にあることを予想していたものとは考えられないというべきであり,被控訴会社において,期間が満了したというだけで,当然に雇止めを行うものとは考えておらず,また,控訴人P1らも,正社員と同様に雇用関係が継続されるとの期待,信頼を抱いていたものということができ,そのような相互関係のもとに,労働契約関係が維持・継続されてきた実態があるものというべきである。したがって,雇止めの効力を判断するに当たっては,解雇の法理が類推適用されると解するのが相当である。なお,控訴人らの雇用契約が真実被控訴会社の主張するようなものであったとしたときには,就職先を退職して被控訴会社に就職した控訴人らについてはもとより,学校を卒業して新たに被控訴会社に就職した者についても,そのことに気付いた時点で元に戻ろうとしても,既に従前の就職先に戻るわけには行かず,あるいは,被控訴会社に就職しなければ就けたであろう他の雇用先に就職するわけにも行かず,その意味で,引き返しのできない立場に置かれて被控訴会社に就職したものであることも,上記の判断に当たっては十分考慮しなければならないというべきである。 イ控訴人P8らについて(ア)証拠(甲7・8・10の各1~8,9の1~7,11の1~6,57~63,72~83,84の1~3,乙86~89,104,控訴人P2,証人P16)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 a オーストラリアベースから日本ベースへの移籍の経緯控訴人P8らは,いずれも,オーストラリアベースで採用される際,日本語を生かすことのできる日本便に何度も乗務できる〔具体的には,1ロスター(56日間)に4回日本便に乗務するなど〕との説明を受け,これを期待して入社したが,実際には,被控訴会社と客室乗務員組合との 語を生かすことのできる日本便に何度も乗務できる〔具体的には,1ロスター(56日間)に4回日本便に乗務するなど〕との説明を受け,これを期待して入社したが,実際には,被控訴会社と客室乗務員組合との合意により,先任権の高い者(在籍期間の長い者)から乗務する路線を選択できるとのシステムが採用されていたため,控訴人らは,被控訴会社の言明したところとは異なり,日本便乗務がほとんどできなかった。 b 各控訴人の移籍の事情及びその際の被控訴会社幹部とのやり取り等(a) 控訴人P8は,昭和63年8月,被控訴会社のオーストラリアベースに採用されて勤務し,平成3年7月,被控訴会社のシドニーでの担当者P23から,日本ベースに移籍可能との連絡を受け,日本ベースへの移籍を希望し,同月23日にP23から説明を受け,同年8月16日,別紙2*aの記載のあるメモランダムを交付され,オーストラリアベースを辞職する旨の書類にサインした。その際,契約社員となること等詳しい労働条件については説明がなく,また,上記メモランダムにも日本ベースでの契約についての記載がない上,控訴人P8も日本ベースの契約社員の存在は知らなかったので,オーストラリアベースでの正社員としての地位が日本ベースでも続くものと考えていた。 控訴人P8は,平成3年9月23日に日本に帰国し,同月27日に東京支社でP24と面談した際,契約書を見せられた。これには,給料は勤続年数のとおり3年目からとなっていたほか,契約社員であり,期間は平成3年9月23日から1年間で,5年間更新を保障する旨記載されていた。これについて,P24は,「来年(平成4年),昭和62年に日本ベースで採用になった者が正社員になるので,控訴人P8らはその後に正社員になれるであろう。40歳になった場合は更新がないとの記載については,定年も間もなく延 は,「来年(平成4年),昭和62年に日本ベースで採用になった者が正社員になるので,控訴人P8らはその後に正社員になれるであろう。40歳になった場合は更新がないとの記載については,定年も間もなく延長されるので大丈夫である。」と説明した。そこで,控訴人P8は,5年以降も契約が継続するものと信じた(甲57)。 (b) 控訴人P9は,昭和63年12月,被控訴会社のオーストラリアベースに採用されて勤務し,平成3年初め頃,P23に日本ベースへの移籍の希望を出したところ,これが受け入れられた。その際,P23からメモランダムの交付を受けたが,これには契約社員であることは記載されておらず,P23も,これまでの雇用継続が考慮されて東京での給与は勤続3年目からとなること,有給休暇日数も勤続年数を考慮して決定されること,社員証を継続して使用することなどの説明をした。同控訴人は,日本ベースに契約社員がいることを知らなかったので,正社員としての地位が継続するものと考えて,オーストラリアベースを辞職する旨の書類にサインした。 控訴人P9は,平成3年8月に日本に帰国し,同月27日,東京支社において,控訴人P8とともにP24と面談し,前記(a)のとおりの説明を受け,5年以降も契約が継続するものと信じた(甲58)。 (c) 控訴人P2は,昭和63年12月に被控訴会社のオーストラリアベースに採用されて勤務し,被控訴会社と日本便への乗務を求めて交渉していたが,平成3年8月,日本ベースへの移籍が可能であることを聞き知り,クルーセンターのマネージャーであるP25に相談の上,移籍の希望を出していたところ,同人から,欠員が出た旨の確認が取れたので,日本ベースへの移籍のためにオーストラリアベースを辞するとの書面に署名した。同控訴人は,日本ベースには契約社員がいたことを知っていたので 出していたところ,同人から,欠員が出た旨の確認が取れたので,日本ベースへの移籍のためにオーストラリアベースを辞するとの書面に署名した。同控訴人は,日本ベースには契約社員がいたことを知っていたので,署名の際,身分についてP25に確認したところ,同人は,即答ができず,後に,控訴人P11が後記のとおり,P25の部下であるP26に質問したところ,正社員である旨の回答を得たので安心した。 ところが,控訴人P2は,平成3年11月に東京に戻り,P24と面接した際に交付された契約書には,契約社員で期間は5年と記載されていたので,P24に説明を求めたところ,シドニー本社からの説明では正社員とするように言われたが,5年契約の社員の契約書書換が翌年であるので,その契約継続を待って正社員化する旨の回答を得て,5年以降も契約が継続するものと考えた(甲59)。 (d) 控訴人P11は,昭和63年12月に被控訴会社のオーストラリアベースに採用されて勤務し,平成3年に日本ベースヘの移籍者がいることを聞き知って移籍を希望したが,男性であることを理由に一旦断られたので,最高経営者であるP27に手紙を書いたところ,移籍は可能である旨の回答を得たが,この手紙には,日本ベース客室乗務員は契約社員であるとは記載されていなかった(甲63)。 控訴人P11は,日本ベースには契約社員もいることを知っていたので,人事担当者P26に正社員(permanent)か契約社員(contract)かを確認したところ,P26は,正社員である旨回答し,その際,「contract」と書かれていないことも指摘した。そこで,控訴人P11は,オーストラリアベースを辞する手続をした。 ところが,控訴人P11は,同P2が東京から持ち帰った契約書に期間5年と記載されていたので,同控訴人に確認したところ,同控訴人 た。そこで,控訴人P11は,オーストラリアベースを辞する手続をした。 ところが,控訴人P11は,同P2が東京から持ち帰った契約書に期間5年と記載されていたので,同控訴人に確認したところ,同控訴人が前記(c)のとおりのP24の説明を伝えたので,5年以降も契約が継続するものと考えた(甲60,81)。 (e) 控訴人P12は,平成元年2月に被控訴会社のオーストラリアベースに採用されて勤務していたが,平成3年に日本ベースへの移籍を希望し,控訴人P11と同様の経過で移籍できることになった。 控訴人P12は,移籍の際,人事担当者P25から移籍の時期の説明を受けたが,契約社員であるとの説明はなく,オーストラリアベースを辞するとの書類を書くよう指示されて署名し,アパートも解約した。 控訴人P12は,平成3年12月末に届いた契約書に期間が1年と記載されていたが,控訴人P2や控訴人P11から,昭和62年に入社した契約社員が5年の契約期間満了後には,控訴人P8らも正社員になれるか,又は同様の契約が続くと言われたので,不安に思わず,平成4年1月13日に日本ベースに移籍した(甲61)。 c その後の契約更新等の経過控訴人P8らに交付された契約書は次のとおりである。 交付年月日更新(保障)期間別紙2平成3年9月  5年 *c平成4年11月 5年 *d平成5年9月  5年 *e平成5年11月 4年 *f平成6年11月 「前回合意した期間」 *g平成7年11月 「最後の契約は,平成9年11月満了」 *h平成8年11月 「最後の更新。平成9年11月満了」  *i上記の各契約書のうち,控訴人 1月 「前回合意した期間」 *g平成7年11月 「最後の契約は,平成9年11月満了」 *h平成8年11月 「最後の更新。平成9年11月満了」  *i上記の各契約書のうち,控訴人P8らの最初の契約書(別紙2*c)は,平成4年9月に期間満了になるのに,同年10月になっても新たな契約書が交付されなかったが,控訴人P8らは,その原因について,先に説明を受けたとおり,昭和62年入社の者の正社員化問題で契約書の作成が遅れているものと考えていた。ところが,同年11月に交付された契約書(別紙2*d)も,再び期間は5年とされており,控訴人P8らは,毎年5年と書き換えることで正社員同様の雇用保障をするものと考えた。更に,平成5年9月に交付された契約書(別紙2*e)にも期間が5年と記載されていたが,同年11月に,期間を4年(期間が1年で,更に3年なので合計4年)とする契約書が正しいものとして交付された。これについて,控訴人P8らは,控訴人P13がP24に聞いたという,5年毎に5年契約が繰り返されるとの説明に合致するものであり,当初の契約からすれば,本来3年とされるべきものが4年となっているので,契約書の期間の記載は重要でないものと考えた(甲58~60)。 なお,控訴人P12が移籍したのは,他の4名と異なり,平成4年1月であるが,他の4名と同じく同年11月に新しい契約書を交付されたので,おかしいとは思ったが,その理由について,被控訴会社から何の説明もなかったので,被控訴会社が契約期間を重視しておらず,実質的には正社員であるものと解釈した(甲61)。 更に,これらの契約書は,必ずしも期間満了時にその都度直ちに交付されていたものではなく,10日から2週間も遅れて送付されたものもあり(甲79),また,契約書の作成日付自体が契約期間の始期より )。 更に,これらの契約書は,必ずしも期間満了時にその都度直ちに交付されていたものではなく,10日から2週間も遅れて送付されたものもあり(甲79),また,契約書の作成日付自体が契約期間の始期より遅い場合もあったが(*f),当該控訴人らの勤務は,契約が更新されることを前提として組まれていた予定どおりに行われていた。 d その後の幹部の言動平成7年5月,被控訴会社の本社から,キャビンクルー担当マネージャーであるP28が来日し,日本ベース客室乗務員と機内サービス向上などについて会議を開催したところ,この会議に出席した控訴人P2は,客室乗務員を代表して記念品を贈呈したが,その際,P29は,日本ベース客室乗務員の重要性を指摘し,これからもずっと被控訴会社で勤務して欲しい旨,及び雇用継続については,安心して欲しい旨を同人に述べた(甲59)。 e 契約書の文言控訴人P8らに交付された契約書の末尾には,期間や給与などが記載された下に,次のような文言が記載されている(甲7・8・10の各3~8,9の2~7,11の2~6)。 (a) 平成4年11月11日付け契約書「貴方のカンタス航空への貢献に対し謝意を表すと同時に,引き続きカンタスとの関わり合いを満喫して下さい。」(b) 平成5年9月23日付け契約書「貴方が会社とともに,将来にわたって成功を収めることを信じます。」(c) 平成5年11月22日付け及び平成6年11月21日付け各契約書 (a)に同じ。 (d) 平成7年11月17日付け及び平成8年11月14日付け各契約書「カンタス航空は弛まなく成長していますが,日本ベース客室乗務員の職務は,社内において益々重要になってきています。チャレンジ精神を持って一緒にカンタス航空の一員として会社の発展に貢献しましょう。」f 労働条件(a) 就業規則 ていますが,日本ベース客室乗務員の職務は,社内において益々重要になってきています。チャレンジ精神を持って一緒にカンタス航空の一員として会社の発展に貢献しましょう。」f 労働条件(a) 就業規則は正社員のものと同じものが交付された。 (b) 控訴人P8及び控訴人P9は,平成9年6月頃,契約書上の雇用期間満了の日である同年11月20日の後である同月29日から同年12月8日までの間の有給休暇を申し込んだが,被控訴会社から契約期間満了であるから有給休暇をとれないとの連絡はなかった(甲57,58)。 (c) 契約社員についても,契約満了期間を超えてフライトが組まれていた(弁論の全趣旨)。 (d) 契約書も期間が経過した後,2週間くらい後に送られてきたが,勤務は予定どおり行われていた(甲79)。 g 控訴人P8らの職務内容控訴人P8らの客室乗務員の仕事は,正社員と同じで,内容的にも乗客の安全や高度な知識,経験に裏付けられた専門性を要する職種であって,臨時性は薄い。 h 労働協約における正社員化検討の約束カンタス航空労働組合は,平成7年及び平成8年の要求事項として,日本人客室乗務員(JFA)の正社員化を掲げ,被控訴会社は,労働協約において,検討することを約していた(乙86~89)。 i 被控訴会社内部の取扱い前記のとおり,被控訴会社は,平成8年7月時点(甲106号証の1別表の作成した時点)において,控訴人P8らが正社員(permanent)として入社したものとして取り扱っていた。 〔前記認定に反するP24の回答書(乙79の1の1~4,同2の1・2)は,被控訴会社代理人の質問に対して英語で回答するという形をとっているものであるところ,P24には,同人との具体的なやり取りが記載された控訴人P1らの陳述書が送付されているのにもかかわらず(P16) ,被控訴会社代理人の質問に対して英語で回答するという形をとっているものであるところ,P24には,同人との具体的なやり取りが記載された控訴人P1らの陳述書が送付されているのにもかかわらず(P16),質問・回答とも,極めて簡単な通り一遍のものであることのほか,控訴人らが,他社での契約上の地位や,オーストラリアベースでの期間の定めのない雇用契約上の地位を捨てて,敢えて期間の定めのある雇用契約という不安定な日本ベース客室乗務員という地位を選択したことについて,納得できる事情が存在するものと窺えないことなどに照らし,にわかに信用することができない。〕(イ)a 前記(ア)の事実によれば,次のとおり指摘することができる。 (a) もともと控訴人P8らは,オーストラリアベースで正社員として勤務していたものであり,日本ベースへの移籍は希望したものの,その年齢に照らし,オーストラリアベースを辞職すれば他社の客室乗務員に正社員として就職することは困難になるものと認められるから,被控訴会社の正社員としての地位を捨てることは,希望しないものと推認されるところ,このような事情は被控訴会社においても知りうるものであるから,もし,雇用保障のない契約社員となるものであれば,被控訴会社の人事担当者から相応の説明があると考えられること。 (b) 被控訴会社は,オーストラリアベース辞職の際には一切その説明はせず,かえって,人事担当者において,正社員であることを確認した者(控訴人P2,控訴人P11)もあり,日本副支社長であるP24からも,同じ契約が続くことや定年が延長される旨説明されていたのであるから,控訴人P8らとしては,日本ベースへの移籍後もその身分は続くと考えるのは無理からぬことであること。 (c) 控訴人P8らは,このような被控訴会社の言動により,従前の正社員として れていたのであるから,控訴人P8らとしては,日本ベースへの移籍後もその身分は続くと考えるのは無理からぬことであること。 (c) 控訴人P8らは,このような被控訴会社の言動により,従前の正社員としての身分に変更はなく,契約社員であっても正社員と同様に扱われるとの期待を抱いたものであり,そのような言動なしには,日本ベースへの移籍を希望しなかったものと推認されること。 (d) 1年毎に新契約書を交わしているのであるが,必ずしも期間満了の都度直ちに契約書が送付されていたわけではなく,契約書の作成日付が契約期間の始期より遅い場合もあり(*e),契約が形式上中断されても予定どおり勤務させていたり(*eと*f),前の契約書の期間満了の約2か月も前に契約書を作成したり(*dと*e),更新保障の期間が,当初平成3年10月は1年で5年保障となっているのに(*c,*c1,*c2,*c3),翌年もまた5年となっており(*d),その2か月後に4年となっているのであって,これについての控訴人P8らの疑問と解釈は頷けるもので,控訴人らに契約期間が形式的なもので毎年更新されていくものとの期待を抱かせるものであること。 (e) その他,前記eないしiのとおり,労働条件,職務内容,労使交渉の経過,契約書末尾の文言,オーストラリアベースへの移籍の困難性などについては,前記アに述べたと同様の問題があること。 b 以上の事情に照らせば,控訴人P8らと被控訴会社との雇用関係は,期間が満了しただけでは,被控訴会社が雇止めを行わず,控訴人P8らも,正社員と同様に雇用関係が継続されるとの期待,信頼を抱いており,そのような相互関係のもとに契約関係が維持・存続されてきた実態が存するものということができるので,前記アにおいて説示したのと同様に,雇止めの効力を判断するに当たっては,解雇の法理 信頼を抱いており,そのような相互関係のもとに契約関係が維持・存続されてきた実態が存するものということができるので,前記アにおいて説示したのと同様に,雇止めの効力を判断するに当たっては,解雇の法理が類推適用されると解するのが相当である。 ウ控訴人P13について(ア) 証拠(甲12の6,30,62,87・原審・当審控訴人P13)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 a 日本ベースへの移籍事情(a) 控訴人P13は,シドニーの旅行代理店で勤務していたが,昭和60年11月に被控訴会社に客室乗務員として就職した。被控訴会社は,昭和62年に先任権により仕事を選択できるシステムを導入したところ,控訴人P13は,既に7年間勤務していたので,高い先任権を持っていた。 (b) 控訴人P13は,平成4年に老齢で病気の両親の世話をするため,日本ベースに移籍したいと思ったが,日本ベースで採用の客室乗務員が5年契約であること,及びオーストラリアベースから日本ベースに移籍した客室乗務員が正社員から5年契約社員になったことを知っていたため,5年後に解雇される事態は避けたいと考えていたので,両者の実態を調べたところ,前者については,形式的には5年とされているが,実際は勤務条件,労働条件,給料待遇の全ての点で正社員と同じであり,入社時に1度契約しただけで毎年契約書を交わしてはいないこと,また,後者については,シドニーでの勤務年数を考慮しつつ,当時の日本ベースの正社員の給与体系に則って給与と有給日数が決められたことを知った。 (c) 控訴人P13は,シドニー本社の人事担当責任者P30に面会して,日本ベースに移籍した場合の待遇について問い合わせたところ,オーストラリアベースから日本ベースに移籍した者と同じになる旨言われた。 (d) 控訴人P13は,P30の指示で 担当責任者P30に面会して,日本ベースに移籍した場合の待遇について問い合わせたところ,オーストラリアベースから日本ベースに移籍した者と同じになる旨言われた。 (d) 控訴人P13は,P30の指示でP24に面会して,5年後にはどうなるのかを尋ねたところ,P24は,「5年継続され,更に5年継続される(another 5 years,thenanother 5 years)」と手を1回,2回と回しながら答え,また,40歳定年は60歳に延長される旨答えた。 (e)控訴人P13は,P24の説明で,5年の契約が何度も繰り返されるとの意味であると理解し,客室乗務員としてオーストラリアベースに復職できること,及び日本ベースで他の部署への配転が可能であることを確認した上で,日本ベースへの移籍希望を伝えたが,当時空き枠がなく移籍できなかった。 (f) 平成5年3月に,被控訴会社から控訴人P13に,日本ベースに移籍できるとの連絡があった。昭和62年入社の客室乗務員は再度5年契約を締結して6年目に入っていたこと,及びP30が1年2か月前に言ったことに変更はない旨明言したことから,控訴人P13は,オーストラリアベースの退社手続をし,日本ベースに移籍した。 b 契約の更新等その後,第1回の契約の雇用保証期間5年が毎年1年ずつ減少する契約書が交付されたが,控訴人P13は,P24の説明どおりであると思った。 c 平成6年入院時のP16とのやり取り控訴人P13は,平成6年9月頃から左肩を痛め医師から手術を勧められ,契約満了日となっている平成5年4月18日の前日17日に入院することにし,疾病休暇を届けたところ,P16部長は,「肩の病気があるので4月19日以後の契約更新はしない。肩が良くなれば契約しよう。」と連絡してきた。控訴人P13は,失業手当を貰いたいとして退 院することにし,疾病休暇を届けたところ,P16部長は,「肩の病気があるので4月19日以後の契約更新はしない。肩が良くなれば契約しよう。」と連絡してきた。控訴人P13は,失業手当を貰いたいとして退社手続を依頼したところ,P16は,健康保険と社会保険を継続するため,退社としないで契約を継続することにしたが,契約書は平成7年7月17日付けで交付された。しかし,被控訴会社は,控訴人P13を退社扱いとせず,平成7年11月には勤続15年で表彰した(甲12の6)。 d その他の言動控訴人P13は,平成8年,正社員P31とともに,被控訴会社から,優良社員に贈られるカスタマーエクセレンスアワードを受賞し,日本地区総支配人のP29,次期日本地区総支配人P32とともに会食し,「日本人は優秀だし,君たち二人は特に優秀なので,これからもカンタスのために頑張って欲しい。」旨激励された(甲30)。 e 組合を通じて示された被控訴会社の意向控訴人P13については,被控訴会社から,オーストラリアの客室乗務員組合(FAAA)に対し,「permanentstatus」で日本に移籍したいとの承認を求める文書が提出されている(甲87)。被控訴会社は,permanentをcontract(契約)やtemporary(臨時)に対する「正社員」の意味で用いている(証人P16)。 〔前記認定に反するP24の回答書(乙79の1・2)は,前記(2)に説示したとおり,にわかに信用することができない。〕(イ) 以上によると,控訴人P13については,P24から,5年契約が繰り返される旨の説明を受けていたこと,被控訴会社も,組合に対し,permanentとして取り扱うよう求めていたこと(もっとも,前記のとおりpermanentは,控訴人との合意の内容にはなっていないのであるから,契約そ を受けていたこと,被控訴会社も,組合に対し,permanentとして取り扱うよう求めていたこと(もっとも,前記のとおりpermanentは,控訴人との合意の内容にはなっていないのであるから,契約そのものを期間の定めのないものと解することはできないが,被控訴会社としては,形式的に契約社員であるとしても,その契約は,少なくとも期間満了後も継続することを想定していたことを示すものと解することができる。)から,雇止めの効力を判断するに当たっては,解雇の法理が類推適用されると解するのが相当である。 2 争点(2)(本件雇止めの効力)について前記のとおり,本件雇止めには,解雇に関する法理が類推され,特段の事情がない限り,期間が満了したということだけを理由として雇止めをすることは,信義則上許されないものというべきである。そこで,特段の事情の有無について判断する。 (1) 被控訴会社は,平成4年に締結された5年契約の直前である決算期(平成元年7月~平成2年6月)から平成5年決算期(平成4年7月~平成5年6月)にかけての経常損益又は諸経費・税引後損益のいずれもが,大幅な赤字を計上しており,航空業界全体の厳しい環境を踏まえて被控訴会社は5年を限度として1年契約の更新を保障する締結をした旨主張する。 しかし,証拠(甲85の1~4)によれば,平成5年に被控訴会社の営業利益は3290万オーストラリアドルで税引前経常損失として4億1350万オーストラリアドルを計上していたが,平成6年以降は,年々営業利益,税引前純利益,税引後純利益が大幅に拡大していること,被控訴会社の会長による株主宛の年度報告では,平成9年に,税引後諸掛前の利益は2億6050万オーストラリアドルで,前年より5.6パーセント増加している旨,平成11年に,税金及び諸掛前の利益は6億0170万オー 会長による株主宛の年度報告では,平成9年に,税引後諸掛前の利益は2億6050万オーストラリアドルで,前年より5.6パーセント増加している旨,平成11年に,税金及び諸掛前の利益は6億0170万オーストラリアドルで前年より25.9パーセント増加している旨それぞれ報告していることが認められる。 (2) 被控訴会社は,控訴人らと被控訴会社の契約では,約定の満了日は平成9年11月20日であるから,前記平成9年6月期以降の被控訴会社の営業は関係ない旨主張する。 しかし,既に説示したとおり,被控訴会社の控訴人らに対する雇止めが信義則上許されるための特段の事情の有無は,当該雇止めの時点において判断すべきところ,被控訴会社が本件雇止めをしたのは,控訴人P13については平成10年4月18日,その余の控訴人らについては平成9年11月20日であるから,前記認定のこの時期における被控訴会社の経営状況に照らせば,被控訴会社について,前記特段の事情があるものとは認められないというべきである。 (3) 以上のとおりであるから,本件において前記特段の事情があるものとは認められず,他に特段の事情の存在について主張立証がないので,期間が満了したということだけで本件雇止めをすることは,信義則上許されないものというべきであるから,本件雇止めはその効力を生じないものというべきである。したがって,控訴人らの地位確認請求はいずれも理由がある。 なお,被控訴会社の平成9年7月10日付け「契約客室乗務員の新労働条件について」と題する書面(別紙4の*11)記載の内容は,控訴人らの従前の賃金の大幅な減額等を伴う新たな雇用契約締結の勧誘というべきものであるから,控訴人らがこれに従って応募しなかったからといって,前記の判断を左右するものではない。 3 争点(3)(未払賃金額)について控訴 幅な減額等を伴う新たな雇用契約締結の勧誘というべきものであるから,控訴人らがこれに従って応募しなかったからといって,前記の判断を左右するものではない。 3 争点(3)(未払賃金額)について控訴人らが被控訴会社から支払を受けていた過去3か月の平均賃金については,別紙債権目録の各控訴人らの「月額賃金」欄記載の限度では当事者間に争いがなく,控訴人らがこれを超える賃金の支払を受けていたことを認めるに足りる証拠はない。そうすると,控訴人らが被控訴会社に対して請求することのできる未払賃金額は,前記「月額賃金」欄記載の金額に,同目録記載の請求期間(控訴人P13については1か月と30分の12か月,その余の控訴人らについては6か月と30分の10か月)の数値を乗じて算出された同目録「賃金額」欄記載の各金額ということになる。 よって,控訴人らの請求は,主文の限度で理由があるから認容し,その余は理由がないから棄却すべきであり,これと異なる原判決を上記のとおり変更することとして,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第11民事部裁判長裁判官瀬戸正義裁判官遠山廣直裁判官河野泰義債権目録 控訴人氏名月額賃金(円)  賃金額(円)P 1  513,784  3,253,965P3  476,297  3,016,547P4  451,162  2,857,359P5  443,886  2,811,278P6  448,348  2,839,537P7  485,684  3,075,998月額賃金は過去3か月の平均請求期間; h9/11/21~ h10/5末11月分端数10日分は30分の10で計算 控訴人氏名月額賃金(円)  賃金額(円)P8  443,394  2,808,162P9  422,90 /21~ h10/5末11月分端数10日分は30分の10で計算 控訴人氏名月額賃金(円)  賃金額(円)P8  443,394  2,808,162P9  422,908  2,678,417P2  475,070  3,008,776P11 484,988  3,071,590P12 468,813  2,969,149月額賃金は過去3か月の平均請求期間; h9/11/21~ h10/5末11月分端数10日分は30分の10で計算 控訴人氏名月額賃金(円)  賃金額(円)P13 480,121  672,169月額賃金は過去3か月の平均請求期間; h10/4/19~ h10/5末4月分端数12日分は30分の12で計算

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