主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告が原告に対してした平成12年11月21日付け懲戒免職処分は無効であることを確認する。 2 被告は,原告に対し,773万6024円及び平成13年12月以降,本判決確定に至るまで,毎月21日限り月額28万8700円をそれぞれ支払え。 3 被告は,原告に対し,別紙第1項記載のとおりの謝罪広告を,朝日新聞,佐賀新聞,西日本新聞,毎日新聞,読売新聞の佐賀県地方版朝刊に,別紙第2項記載のとおりの条件で1回掲載せよ。 4 訴訟費用は被告の負担とする。 5 仮執行宣言(第2項につき)第2 事案の概要本件は,伊万里市に地方公務員として採用され,平成12年11月21日付けで被告から懲戒免職処分を受けた原告が,同処分には処分理由の不存在又は過度に重い処分であるという瑕疵があり,違法なものであるとして,その無効確認を求めるとともに,同処分日以降の給与(期末勤勉手当を含む)及び慰謝料等の支払並びに謝罪広告の掲載を求めた事案である。 1 争いのない事実等(1) 当事者ア原告は,平成8年4月1日,伊万里市に地方公務員として採用され,同月から平成12年11月21日まで伊万里市建設部下水道課浄化センター(以下「浄化センター」という。)配属の技術職員(水質管理に関する事,委託業務の指導・監督に関する事,松島雨水ポンプ場,伊万里津中継ポンプ場及び栄町中継ポンプ場の管理運営に関する事等を分掌事務とした。)であったものである(甲二四・四六,乙一)。 なお,平成12年11月21日当時における原告の給与額は,基本給24万3200円,交通費その他諸手当4万5500円の合計28万8700円であり,その他,期末勤勉手当が年間合計で基本給の4.8か月分支給されていた。 イ被告 1日当時における原告の給与額は,基本給24万3200円,交通費その他諸手当4万5500円の合計28万8700円であり,その他,期末勤勉手当が年間合計で基本給の4.8か月分支給されていた。 イ被告は,伊万里市長である。 (2) 懲戒処分被告は,原告に対し,平成12年11月21日,地方公務員法29条1項に基づき,同日付けで懲戒免職とする旨の処分(以下「本件処分」という。)を行った(甲四〇・四一)。 本件処分の理由は,原告の下記各行為が地方公務員法32条及び33条の規定に違反するものと認められるということにある。 記① 平成11年4月ころから平成12年8月までの間,浄化センターの燃料を自分の自家用車に使用した行為② 平成12年10月4日に浄化センターA重油貯蔵用地下タンク(以下「A重油地下タンク」という。)の鍵を破損し,軽油を投入した行為③ 水処理日報,法定週1回地下タンク残量及び漏洩検知管点検表,公用車運転日誌等の公文書を所在不明とした行為(3) 原告は,本件処分につき,平成12年12月6日付けで,伊万里市公平委員会に対し審査請求をした(甲一)。 2 争点(1) 本件処分理由①の存否(被告の主張)ア原告による油類の購入及び管理原告は,浄化センターに勤務した直後から上司より浄化センターで使用する油類の購入及び管理を命ぜられ,それは原告が懲戒免職となる(本件処分)まで続いた。 購入の方法は,以下のとおりとなっていた。 まず,支出負担行為券,請求明細書及び受領書の3種の券が1枚になっている通称「給油券」(以下「給油券」という。)に下水道課長が捺印の上,これを浄化センターに交付する。浄化センターでは,油類購入の都度,その種類,数量,使途を各券に記入し,責任者が割印の上,請求明細書及び受領書を油類販売業者に交付し,支出負担行為券は浄化セン 印の上,これを浄化センターに交付する。浄化センターでは,油類購入の都度,その種類,数量,使途を各券に記入し,責任者が割印の上,請求明細書及び受領書を油類販売業者に交付し,支出負担行為券は浄化センターで保存する。請求明細書は,油類販売業者が伊万里市にその料金を請求する際,証拠として添付するものであり,受領書は業者の控である。 原告は,平成10年度までは浄化センター長の割印を得て給油券を行使していたが,平成11年度からは新たに着任したA浄化センター長の許可を得て給油券に自己の割印をした上,これにより油類の購入をしていた。 イ原告による油類の大量購入の発覚軽油の購入量は,平成10年度までは年間多くとも100リットル台であったところ,平成11年度では1811リットルに達した。浄化センターで軽油を使用するのはホイルローダーのみであり,このように多量の軽油を使用するはずはないことから,伊万里市の下水道課長Bは,原告に対し,軽油の使用量が多すぎる旨警告するとともに,軽油の使途について調査に入った。 そうしたところ,平成12年8月末,原告が,同年5月12日に市内のC石油店に対し,重油3000リットルの給油券を交付し,これと引換に軽油1633リットルの預かり券を取得するとともに,同預かり券を使用して同月15日から同年8月28日にかけて合計1048リットルの軽油を入手し,さらに,そのころ浄化センターの6000リットルの重油券と引換に2580リットルのガソリンの預かり券を入手していることが判明した。 ウ原告の弁解及びその不合理性(ア) Bは,前記ガソリンの預かり券及び軽油の預かり券の未使用分585リットル並びに原告が保管していた軽油200リットルを押収し,原告にかかる行為に及んだ理由を問い質したところ,原告は,平成12年9月6日,書面にて「軽油はホイ り券及び軽油の預かり券の未使用分585リットル並びに原告が保管していた軽油200リットルを押収し,原告にかかる行為に及んだ理由を問い質したところ,原告は,平成12年9月6日,書面にて「軽油はホイルローダーに使用していたものであるが,平成11年度の使用量が多いとの指摘を受けたところから軽油の確保を行うためにA重油から軽油への転用を考えた」旨回答した。 しかし,浄化センターのホイルローダーは平成3年5月24日に購入したものであるが,ホイルローダーを使用すべき作業のほとんどを平成6年5月以降外注に回したので,ホイルローダーの使用量は同月18日以降急激に少なくなっている。 ホイルローダーの運転開始以来,平成6年5月17日までの総運転時間は401. 9時間であるところ,その軽油消費量は1時間当たり2リットルであるから,その間の軽油の総使用量は約802リットルである。そして,平成13年1月23日現在の運転時間は602.3時間であるから,平成6年5月18日以降平成13年1月23日までの運転時間は200.4時間となり,その間の軽油使用量は400. 8リットルである。よって,平成11年度に1811リットル,平成12年度の8月までで848リットルをホイルローダーの燃料として使用したとする原告の弁解は到底措信できない。 また,原告は,「ガソリンを公用車,耕耘機,動噴機に使用していたが,平成11年度に軽油の使用量についての例があったところから,ガソリンについても必要なときに給油ができるよう,A重油からガソリンへの転用を考えた。転用については,伊万里市において日常的に行われていると理解していた」旨,さらに,「伊万里市では重油,軽油等油の種類により予算が定められているので,油間の予算の流用はやむを得ないものである」旨弁解している。しかしながら,伊万里市においては,油 ていると理解していた」旨,さらに,「伊万里市では重油,軽油等油の種類により予算が定められているので,油間の予算の流用はやむを得ないものである」旨弁解している。しかしながら,伊万里市においては,油類は全て一括して燃料費として予算がつけられているのであって,油の種類によって予算がつけられているのではないから,原告の弁解は不合理である。軽油の使用量についてたしなめられたところから,A重油を購入した如く見せて軽油及びガソリンを購入し,私的に使用ないし使用しようとしたとみるほかない。 さらに,原告は,「ガソリンの預かり券を入手したものの,予想よりも多量に流用してしまった」旨述べているが,原告は平成8年以降重油およびガソリンの購入に当たってきているのであるから,その価格を知らないはずはなく,また,ガソリンの年間使用量は最大で300リットル余(平成11年度の300リットル台並びに平成6年度及び平成12年度の100リットル台を除けば,他はいずれも二桁台である。)であるから,原告の弁解は措信できない。 (イ) 原告は,平成12年9月7日,軽油の使途について追加報告をし,「浄化センター内に設置されているA重油地下タンクの漏洩検査が平成8年に行われた際,点検作業員から,重油タンク底部に長年コールタールやスラッジ状になった粘性の高い重油が多量に沈殿している,さらに,これの解決方法として軽油を投入することにより,沈殿重油分を希釈する作用が期待できるとの指導,助言を受けた。その後,平成9年度以降,少しずつ軽油の投入を行っていたが,A重油地下タンクから重油を一時貯蔵する小出槽より取り出した重油がかなりの粘性を持っていることが分かった。そこで,平成11年度以降,本格的な軽油投入を始めた」旨弁解した。 しかしながら,この点に関する原告の弁解も以下に述べるとおり不合理であり 槽より取り出した重油がかなりの粘性を持っていることが分かった。そこで,平成11年度以降,本格的な軽油投入を始めた」旨弁解した。 しかしながら,この点に関する原告の弁解も以下に述べるとおり不合理であり,措信することはできない。 ① A重油地下タンクの点検は,微加圧試験または微減圧試験によるものである。 その方法を要約すると,タンク内の液面からタンク上端までの気相部の高さが400ミリメートルを下らないことを確認した上,開口部を密封してタンクの気相部に微加圧,または微減圧を加え,一定時間内の圧力の変化を見てタンクの異常の有無を検査するものである(この方法には,タンク内の危険物(重油)を貯蔵したまま実施することが可能な利点がある。)。浄化センターにおけるA重油地下タンクの点検は以上の方法で為されるのであって,点検に当たった作業員はタンクの底にスラッジがあるかどうかを知り得る立場にはない。 ② さらに,危険物貯蔵所であるA重油地下タンクは,重油以外の物である軽油を併せて貯蔵することを消防法10条3項,11条の4,43条1項2号,危険物の規制に関する政令24条1号,9号により禁止され,これに違反したときは3か月以下の懲役,または罰金20万円以下の刑に処せられるか,あるいはこれを併科させられるのである。浄化センターにあるA重油地下タンクに保存される危険物の類品名は第4類第3石油類となっており,第4類とは消防法別表にある引火性液体のことであり,第3石油類とは備考15に記載するように重油クレオソート等,1気圧における引火点が70度以上200度未満のものをいう。軽油は備考14に記載するように第2石油類であって,1気圧における引火点が21度以上70度未満となっている。このように,重油と軽油は引火点が異なり,これを混合して貯蔵することは危険であるため,禁止されて 備考14に記載するように第2石油類であって,1気圧における引火点が21度以上70度未満となっている。このように,重油と軽油は引火点が異なり,これを混合して貯蔵することは危険であるため,禁止されている。したがって,作業員が消防法に違反して軽油を投入することを指導するはずはなく,原告の弁解は不合理であって措信することはできない。 なお,消防法13条3項によれば,危険物貯蔵所において危険物取扱の有資格者以外の者は,甲種または乙種の危険物取扱の有資格者が立ち会わなければ危険物を取り扱ってはならないとされ,これに違反した者は同法42条5項により6か月以下の懲役または罰金30万円以下の刑に処せられる。浄化センターには,所長ほか1名の職員以外に,委託業者である有限会社D社の作業員16名中,昼間5ないし6名,夕方5時から8時まで1名,夜間2名が作業に当たっており,現場での作業は全てこの委託業者から派遣された作業員が行っている。そして,これら作業員のうち,乙種危険物取扱の有資格者は2名存在し,原告が軽油をA重油地下タンクに投入しようとするならば,これら有資格者の立会を求めなければならないが,原告が立会を求めた形跡はなく,むしろ,仮に原告が立会を求めたとすれば,消防法違反として投入を阻止されるはずである。 ③ さらに,原告が主張するように軽油をA重油地下タンクに投入したとすれば,貯蔵重油の量は投入した分だけ上昇するはずである。貯蔵重油量の記録は「水処理日報」及び「法定週1回地下タンク残量及び漏洩検知管点検表」に記載されている(このうち,「水処理日報」は毎日の動きを示すものであるが,原本は紛失しており,1枚のコピーのみが残存する。)。「法定週1回地下タンク残量及び漏洩検知管点検表」は週1回作業員がタンクの検知管から計量尺を差し入れてタンクから重油が漏洩し を示すものであるが,原本は紛失しており,1枚のコピーのみが残存する。)。「法定週1回地下タンク残量及び漏洩検知管点検表」は週1回作業員がタンクの検知管から計量尺を差し入れてタンクから重油が漏洩していないかを検査(A重油地下タンクの構造は,地下にコンクリート製の容器を設置してその中のコンクリート製の台上に重油タンクを安置するところ,その下は間隙になっており,そこに乾燥砂を充填しているので,検知管から計量尺を差し入れると重油が漏出しているか否かが判明するのである。)するとともに,タンク計量口から計量尺を差し入れて貯蔵重油の残量を計り,さらに重油が投入された際は受け入れ量を記入して,これらを基にして使用量を記入するものである。 この「法定週1回地下タンク残量及び漏洩検知管点検表」を見ても,暖房を必要とする時期以外には重油が受け入れられた形跡はない(浄化センターに設置された発電機は,停電等非常の際発電するものであり,管理棟内のボイラーは暖房用であるから,冬場以外はほとんど重油を必要とせず,したがって,暖房を必要とする時期以外にはほとんどA重油地下タンクの重油を投入することはない。)。 この点,原告は,注入した軽油の量に相当する重油をドレーンを通じて抜き取ったというものの如くであるが,そのような形跡は全くない(前記発電機及びボイラーの上部に設置された小出槽は,A重油地下タンクから重油の供給を受け,必要に応じて自然落下で発電機あるいはボイラーに重油を供給するものであるが,小出槽を掃除する際は戻し管で小出槽内の重油をタンクに戻して行うのであるから,ドレーンから重油を取り出す必要はなく,そのため,これらの設備を設置して以来,ドレーンを開けて重油を取り出したことはないし,ドレーンを開けた形跡もない。)。 なお,これに関連して,原告は,「平成11年3月ころか ら重油を取り出す必要はなく,そのため,これらの設備を設置して以来,ドレーンを開けて重油を取り出したことはないし,ドレーンを開けた形跡もない。)。 なお,これに関連して,原告は,「平成11年3月ころから平成12年8月ころまで,伊万里市浄化センターから出る廃油を回収した。1回に40リットルから60リットル,おそらく月に5,6回程回収していたので,回収総量は2000リットルから3000リットルになるのではないかと思う」旨のE自動車整備工場(有田町所在)作成の平成12年10月4日付け意見書(乙二五)を被告に提出している。 しかしながら,浄化センターから出る廃油はマシンオイルの廃油で,僅かなものであり,しかも,それはF石油に引き取ってもらっているのであって,E自動車整備工場とは取引はない。原告が重油をどこから取り出し得たかは不明であるが,仮に小出槽下のドレーンから取り出し得たとすれば,その重油は発電機の燃料となる重油であって,廃油ではないし,A重油地下タンクの中に廃油と称せられる部分が仮にあったとしても,原告がこれを取り出し得たはずはない。 この点,伊万里市職員がE自動車整備工場を訪れて,前記意見書(乙二五)の真偽を尋ねたところ,経営者E’は,「パソコンによる書き込みであるが,当方にはパソコンはない。原告が意見書を役所に出す必要があると持ってきた文書に判を押したものである」と答えている(原告とE’は,原告がスーパーオサダに勤めていたころ,E’も出入りしていて知り合いになったとのことである。)。 ④ 原告は,平成11年度の軽油購入に当たって,給油券にその使途を全て「ホイルローダー用」としており,原告が主張するようにA重油地下タンクに投入するためのものであるとは書いていない。 ⑤ 仮に,原告がA重油地下タンクの底にスラッジ等が沈殿していると考えるならば 全て「ホイルローダー用」としており,原告が主張するようにA重油地下タンクに投入するためのものであるとは書いていない。 ⑤ 仮に,原告がA重油地下タンクの底にスラッジ等が沈殿していると考えるならば,上司に報告してその許可を得,予算をつけてもらって重油を汲み上げ,底に溜まったスラッジ等を除去すべきである。その費用は約20万円であって,原告の疑いに妥当性があるならば,上司はこれを拒絶することはない。さらに,タンクの底にスラッジ等が溜まっているか否かは週1回計量口から計量尺を底まで達するように差し入れている作業員達が最もタンクの底の状況を知っているはずであるから,上司に相談するに当たっては作業員の見解が尊重されるはずである。しかるに,そのような手続は全く取らず,上司にも秘密で軽油の投入を続けたとする原告の主張は理解しうべきものではない。 エまとめ以上より,原告が浄化センターの軽油2000リットル以上を不正に領得した事実は明らかである。原告が不正に領得した軽油を他に売却したとも考えられるが,平成9年4月から平成12年10月17日まで,原告は軽油を燃料とするステーションワゴンを所有し,平成12年9月11日以降,ガソリンを燃料とするBMW乗用車を所有しており,このことから原告が自家用車の燃料として浄化センターの軽油を不法領得し,ガソリンを不法領得しようとしたものと認定できる(もっとも,懲戒免職処分の本質は,原告が伊万里市所有の軽油を不法に領得し,あるいは領得しようとし,またガソリンを不法に領得しようとした点にあるのであって,その使途にあるのではない。)。 (原告の主張)ア原告が,本件処分理由①に記載されたとおり,浄化センターの燃料を自己の自家用自動車に使用したことは一切ない。 イ原告は私有車を公用車登録しており,勤務場所に配置された公用車の 。 (原告の主張)ア原告が,本件処分理由①に記載されたとおり,浄化センターの燃料を自己の自家用自動車に使用したことは一切ない。 イ原告は私有車を公用車登録しており,勤務場所に配置された公用車のエンジンがかからない場合や,酷暑にエアコンが効かない場合等に公用車登録を行った私有車を使用して公務を行っていたが,その際の燃料は原告が負担していた。それにもかかわらず,原告は,平成12年10月10日,公用車登録をしている自家用車に公用を目的として給油する燃料の「公用としての転用」を行ったという限度で認めたことがあったが,これは被告が原告に対し,被告が原告を訴え,それにより警察が原告の取調べや職場及び周辺住民などへの聞き込み等を行えば,居住地域に住めなくなってしまう旨脅され,原告においてそれを真に受けてしまったこと及び原告は当時,被告が提示した内容は法的に問題がないと考えていたため,被告が不明燃料使用のこじつけ先を探しているのであれば,自己を犠牲にしてもよいという精神から,被告の提示内容を認めたのである。なお,原告は,被告が自らの意図とは異なり,原告が燃料を私的使用に横領したとの解釈をしていることを知ったため,同月12日,被告が勝手な解釈によって誤解を招かないように,「前言の撤回宣言文」(甲二五)を伊万里市総務課長Gに提出したが受理されなかったため,同月22日付け内容証明郵便をもって事実無根である旨を被告に通知している(甲二五・二七)。 ウ被告は,原告が燃料の管理を上司より命ぜられていた旨主張するが,原告は燃料の管理を命ぜられていないし,管理も行っていない。したがって,平成10年度までは浄化センターにおける軽油購入量が年間多くても100リットル台であったのに,平成11年度は1811リットルに達したなどという被告の主張については,不知である( いない。したがって,平成10年度までは浄化センターにおける軽油購入量が年間多くても100リットル台であったのに,平成11年度は1811リットルに達したなどという被告の主張については,不知である(原告が行っていたのは燃料の単なる購入運搬作業のみである。原告は,油がなくならないよう油類の購入が必要な都度,上司から給油券に購入数量等の必要事項を記入するよう指示を受け,委託業者もしくは原告が油の購入及び運搬を行っていた。)。 また,被告は,原告がA浄化センター長に対して原告が割印を押すことを願い出た結果,そのような許可が出たかの如き主張をするが,実際はA浄化センター長が,油類の購入に際して割印の決裁を求めた原告に対し,「面倒くさいから,君の判子で押しなさい。その他の浄化センターの業務全般も君の判断でやっていいから。」と指導したものである。 エ原告は,B課長から軽油の使用量が多すぎる旨警告を受けたことはない。また,被告は,平成12年8月末,原告が,重油の給油券と引換に入手した軽油の預かり券を用いて軽油を入手した事実が発覚したと主張するが,否認する。同年9月4日,原告がB課長から「貴様が油類の管理者であって,管理責任も負う必要がある。」といきなり一方的に責任を押しつけられ,「給油券の転用についても随分前から転用の事実を知っていたが,わざと泳がせていたんだ。」とまくし立てられたという経緯があるのみである。そして,原告は,B課長から要求があったので,A浄化センター長が管理保管していた給油券を,棚の引き出しから出して,B課長に渡したのである。 原告が,同月6日付け文書を提出したことは認める。ただ,文書表現や内容については,B課長の監修の下に作成されており,事実とは異なる。また,被告が指摘するように,原告が軽油をホイルローダーの使用のみに限定し,購入し 日付け文書を提出したことは認める。ただ,文書表現や内容については,B課長の監修の下に作成されており,事実とは異なる。また,被告が指摘するように,原告が軽油をホイルローダーの使用のみに限定し,購入していたとは述べていない。原告は,燃料の管理者ではないので,保管量や使用先の詳細については知りようがなく,把握もしていない。 また,原告は,同月7日に,被告が主張するような軽油の使途についての追加報告などしてはいない。 オ被告は,ホイルローダーの運転時間等に基づく計算をしているが,原告は,以前委託業者より,「ホイルローダーの『運転時間計』はエンジン回転数が2000~3000回転以下の場合にはカウントしない。」との説明を受けたことがあり,ホイルローダーのエンジン回転数が2000~3000回転以下の時間が総運転時間に占める割合を換算しないと正確な運転時間を算出することはできないはずである。 カガソリンを公用車に使用していた事実は認めるが,耕耘機,動噴機に使用してはいない。 キ原告は,「油間の予算の流用はやむを得ないものである」旨弁解してはいない。原告は,予算に直結する燃料費の枠決めなど知りうる立場にはないところ,本来の管理者であるA浄化センター長が職務怠慢であったため,原告は分からないなりに種類別の数量の枠決めがあるものと自分なりに理解し,だからこそ燃料の転用が必要であると解して転用を行ったのである。 ク原告が,「ガソリンの預かり券を入手したものの,予想よりも多量に流用してしまった」旨述べたという点は概ねそのとおりだが,その真意は次のとおりである。すなわち,原告は,過去A重油からの転用を実施していたが,いずれも1キロリットル=1000リットル単位の発券を行っていたので,ガソリンへの換算に関して計算機等を使って正確に換算しなかったことから,予想 なわち,原告は,過去A重油からの転用を実施していたが,いずれも1キロリットル=1000リットル単位の発券を行っていたので,ガソリンへの換算に関して計算機等を使って正確に換算しなかったことから,予想よりも多量に転用してしまっただけである。原告は,多量に発券してしまったため,ガソリンの預かり券を取り消すか,量を減らして換算し,預かり券を切り直すべきかを検討していたのであり,これらのガソリンの預かり券を実際の給油には一切使用していない。 ケ被告は,点検方法に鑑み,A重油地下タンクの点検作業員がタンク底にスラッジがあるかどうかは知り得ないなどと主張するが,原告が,タンク点検業者や佐賀県内の地下タンク設置業者に尋ねたところ,タンク内の液面等を計測する際にはA重油地下タンク内部に検尺棒(透明なビニール管)を差し入れて計測するとのことであり,その際には,油の詰まったビニール管の最下端にタンク最底部の重油が含まれ,その粘性につき,目視もしくは触れて確認ができるはずである。原告が点検業者よりスラッジについて説明を受けたことは事実である。 コ A重油地下タンクの貯蔵量についてのデジタル目盛りは「100リットル」単位の表示であり,100リットル以下の投入数字は現れることはない。 サ被告は,ドレーンを開けて重油を取り出したことも,その形跡もないなどと主張するが,原告は日常的にドレーンの排出口に抜き取った油が廃油受けの20リットル油缶に,常に3ないし4分目ほど溜まっていた事実を確認しており,この抜き取った廃油溜まりこそ,ドレーンを開けた形跡である。 シ原告は,E自動車整備工場に電話を入れ,廃油の引き取り実績について電話にて意見聴取し,その聴取内容をワープロで打ち出し,E自動車整備工場にて内容を確認してもらった上で捺印をもらい,被告に提出した。浄化センターから出 整備工場に電話を入れ,廃油の引き取り実績について電話にて意見聴取し,その聴取内容をワープロで打ち出し,E自動車整備工場にて内容を確認してもらった上で捺印をもらい,被告に提出した。浄化センターから出る廃油がマシンオイルの廃油だけであるかは定かではないが,決して僅かなものではなく,年間ドラム缶1本(200リットル)程度はあった。原告は,委託業者の総括責任者であるHより,「F石油にいつも廃油の引き取りをお願いしているが,なお大量であるので,他に廃油の引き取り手がないか探してもらいたい。」と打診を受けたことから,E自動車整備工場に廃油の引き取りを依頼したのである。 ス原告が,平成11年度の軽油購入に当たって,給油券にその使途を「ホイルローダー用」として記載したのは,過年度の前例に従ったからである。 (2) 本件処分理由②の存否(被告の主張)原告は,平成12年10月4日,A重油地下タンクの検知管に軽油を投入したが,多量に入れることはできなかった(原告はA重油地下タンクの投入口から軽油を投入しようとしたが,鍵がかかっていたので検知管が地下重油タンクに通じていると思い,タンク内への軽油の投入を図ったものとみられる。この点,検知管はタンク内には通じていないのであるから,かかる行為自体原告のタンク構造についての無知を示したものといえる。)。 そこで,原告は,同日午後7時30分ころ,伊万里市内のI石油店から自費で軽油300リットルを購入し,浄化センターの重油タンクにこれを投入した。投入に当たって,注入口は前記のとおり施錠されていたので,原告がこれを破壊し,注油を強行した(原告はタンクローリー車に同行し,注油に当たっては人目に付かないよう慎重に行うことをI石油店の作業員に命じていた。)。 原告が,法令違反を犯し,施錠を壊してまで自己の費用で軽油の投入をした 強行した(原告はタンクローリー車に同行し,注油に当たっては人目に付かないよう慎重に行うことをI石油店の作業員に命じていた。)。 原告が,法令違反を犯し,施錠を壊してまで自己の費用で軽油の投入をしたのは,被告がA重油地下タンクの重油の成分を分析し,軽油投入の事実がないことを確認するのを恐れたためとみるのが合理的である。 この点,原告は,軽油投入の事実は認めつつも,その趣旨を否認し,道義的責任からしたことである,あるいは無意識のうちにしたことであると主張するが,到底措信できるものではない。 (原告の主張)ア原告が,本件処分理由②に記載されたとおり,浄化センターA重油地下タンクの鍵を破損し,軽油を投入したことはない。 イ原告は,一貫して被告の主張する事実を否認している。 原告は,A重油地下タンクに軽油を投入したこと自体は認めているが,これはA浄化センター長から得ていた「原告の判断にて作業を行ってよい」という許可に基づくものであり,問題とされることはない。 原告が,かような行為に及んだのは不明燃料を誰がどう負担するかを一人で悩んだ挙げ句に孤立化し,精神的に不安定な状態に陥ったためであり,原告の行動に悪意も違法性もない。 原告は,道義的責任を取るということと,A重油地下タンク清掃を行うという意味において,燃料給油を実施したのである。すなわち,原告は,ドレーンから抜き取った廃油は有価物であるため賠償責任がある旨G総務課長から追及を受けていたので,当時本来の責任がA浄化センター長にあることを知らず,悩んだ挙げ句に石油店に赴き,道義的責任を取る考えにおいて,およその量の重油を投入しようと考えたが,当該ガソリン店には,当時「重油」が貯蔵されていない旨の返事を得たので,タンク清掃に役立つ「軽油」を自費で購入し,投入したものである。 ウ原告は,当時,軽 ,およその量の重油を投入しようと考えたが,当該ガソリン店には,当時「重油」が貯蔵されていない旨の返事を得たので,タンク清掃に役立つ「軽油」を自費で購入し,投入したものである。 ウ原告は,当時,軽油を投入した検知管がA重油地下タンク内部に通じていると理解しており,そこに軽油を投入した事実は認める。 エ原告は,後日,被告側の誘導的発言により,いかにも当時,重油タンクに鍵がかかっていたかの如く思い込まされたが,原告は施錠状態を目視確認していない。 むしろ軽油投入の際,注油口は施錠されておらず,原告が鍵を破壊したということもない。 (3) 本件処分理由③の存否(被告の主張)ア原告は,上司に命ぜられ保管していた「水処理日報」,「法定週1回地下タンク残量及び漏洩検知管点検表」,「公用車運転日誌」を所在不明にした。 イ 「水処理日報」は,地下重油タンクの貯蔵量等を自動的に記録するものであり,「公用車運転日誌」は伊万里市庁用自動車管理規定に基づいて作成されるもので,自動車の運行の明細,所要燃料,その他細部にわたって記入されるものである(「法定週1回地下タンク残量及び漏洩検知管点検表」については前記第2の2(1)(被告の主張)ウ(イ)③に記載したとおりである。)。 これらの書類のうち,「水処理日報」及び「法定週1回地下タンク残量及び漏洩検知管点検表」は所長の命により作業員が作成して原告に提出し,原告が保管するものであり,「公用車運転日誌」は公用車を運転の都度記入し,所長の命により原告が保管してきたものであるが,平成12年10月6日,これらの書類がいずれも紛失していることが判明した(甲四九号証,五〇号証は紛失の数日前,B課長が原本から取ったコピーであるが,その時は所定の場所に整然と保管されていた。)。 原告は,他の書類と誤って焼却したかもしれないと言うが していることが判明した(甲四九号証,五〇号証は紛失の数日前,B課長が原本から取ったコピーであるが,その時は所定の場所に整然と保管されていた。)。 原告は,他の書類と誤って焼却したかもしれないと言うが,現に使用されている書類であるから,誤って焼却するはずはない。原告が主張する軽油の地下重油タンクへの投入の有無を判別するには「水処理日報」及び「法定週1回地下タンク残量及び漏洩検知管点検表」は重要な書類であり,「公用車運転日誌」も原告の行動を知り,またガソリンの消費量を知る上で重要な書類であるから,原告がこれらの資料により真実が明らかにされることを恐れ,所在不明にしたと見るべきである。 (原告の主張)ア原告が,本件処分理由③に記載されたとおり,「水処理日報」,「法定週1回地下タンク残量及び漏洩検知管点検表」,「公用車運転日誌」等の公文書を所在不明としたことはない。 イ伊万里市文書規定(甲一五)に定めるとおり,仮に所在不明の文書があるのであれば,その管理責任を問われるべきは文書主任に任命されているA浄化センター長である。 ウ当時,被告が結託して原告に公文書の管理責任を押しつけようと追及してきた際,そのやりとりの中でJ調整室長が,「何かの偶然で,焼却する書類に混ざってしまう可能性がないとも言い切れないやろうもん」と発言したので,可能性の問題として「A浄化センター長若しくは共犯者が,原告を陥れる目的において,焼却用書類入れの中に廃棄してはならない書類を故意に混入させた場合においては,ゴミ焼却や掃除をする委託業者ないし誰かが誤って焼却してしまう可能性がないとも言えない」との意味において,見解を示したことはある。しかし,通常の業務遂行の中で,原告が重要な書類を焼却することはあり得ない。 (4) 本件処分は適法か否か(原告の主張)ア前記のとおり いとも言えない」との意味において,見解を示したことはある。しかし,通常の業務遂行の中で,原告が重要な書類を焼却することはあり得ない。 (4) 本件処分は適法か否か(原告の主張)ア前記のとおり,本件処分理由①ないし③は事実無根である。 イ仮に被告主張の処分理由①ないし③の事実が認められたとしても,被告の処分は,行為との均衡を著しく欠いた極めて不公平な処分である。 すなわち,被告は,①住居侵入の上,下着窃盗により現行犯人逮捕された伊万里市役所課長職職員に対して停職6か月の処分を,また,②飲酒運転の上,検挙された際に処分を免れるべく伊万里市職員である身分を故意に偽って農協職員であると記載し,伊万里市役所に対しても警察より指摘が為されるまでの間,飲酒運転行為の隠蔽を図った職員に対して停職4か月の処分をそれぞれ下しているところ,前記各行為の悪質性に照らすと原告についてのみ懲戒免職処分とするのは均衡を著しく欠いている(近時なされた他の市町村における地方公務員の懲戒事例や,国家公務員に対する懲戒事例に比しても,本件処分が均衡を欠いていることは明らかである。)。 以上に照らすと,被告の本件処分は裁量の範囲を逸脱し,違法である。 (被告の主張)前記のとおり,原告は本件処分理由①ないし③の各行為を行ったと認められるところ,これらの行為は公務員として許すべからざるものであり,地方公務員法32条及び33条に違反するのであって,被告が同法29条1項の規定により原告を懲戒免職にしたのは当然のことである。 原告は,被告が認定した原告の違法行為の有無を争いつつ,処分の妥当性についても争って各種事例を主張するが,原告の行為は一時の気の迷いではなく,約1年半の長期にわたり為されたものであり,かつ,原告は自己の行為を否認し,あるいは正当性を主張して全く反省するところが 性についても争って各種事例を主張するが,原告の行為は一時の気の迷いではなく,約1年半の長期にわたり為されたものであり,かつ,原告は自己の行為を否認し,あるいは正当性を主張して全く反省するところがない。 かかる原告を伊万里市の吏員として迎え入れることは再犯の恐れもあり,到底できるものではなく,したがって,被告の本件処分に不合理な点はなく,裁量の範囲の逸脱も認められない。 (5) 被告が本件処分を公表した行為が不法行為を構成するか(原告の主張)被告は,平成12年11月21日の朝,伊万里市役所内記者室において,多数の記者を前にして,本件処分を発表した。この結果,本件処分理由①ないし③の各事実を原告が行った旨,さらには原告が私的使用を認めているなどと新聞,テレビに報道され,原告の社会的名誉が著しく傷つけられ,原告は多大な精神的苦痛を被った(すなわち,被告が行った記者発表に端を発した事実無根の誹謗報道により,地域住民等から原告及びその家族は心ない噂や誹謗中傷に晒され,当時の住所地に居住し続けることができなくなった。)。 被告の悪意による前記各行為は不法行為を構成し,これによって原告の被った精神的苦痛を慰謝するには少なくとも200万円を要するというべきである。 (被告の主張)被告が原告主張の日時・場所において,記者らを前にして原告を懲戒処分にした旨の発表を行ったことは認め,その余は否認する。原告は,伊万里市の吏員として公共の利益を守るべき立場にあったにもかかわらず,業務上保管していた伊万里市所有の軽油を1年半にわたって着服し続け,その総量は2000リットル以上に達した。かかる行為は到底許されないところであって,原告の行為及びこれに対する被告の処分を市民に開示するために記者発表を行ったのは当然のことであり,何ら不法行為を構成するものではない。 ( ル以上に達した。かかる行為は到底許されないところであって,原告の行為及びこれに対する被告の処分を市民に開示するために記者発表を行ったのは当然のことであり,何ら不法行為を構成するものではない。 (6) 謝罪広告掲載の要否(原告の主張)原告の名誉を回復するためには謝罪広告の掲載が必要である。 (被告の主張)争う。 第3 争点に対する判断原告の本訴請求のうち,本件処分の無効確認を求める訴えの部分は,「・・・確認を求めるにつき法律上の利益を有する者」で,本件処分の「効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができないものに限り,提起することができる」(行訴法36条)ものであるところ,本件において,原告は,審査請求に対する裁決がないことを根拠にして本件無効確認の訴えを提起しており,かつ,被告はその訴えの適否を何ら争っていないことがうかがえるから,これらの事情に鑑みると,本件は,上記要件を充足しているものというべきである。よって,以下順次検討する。 1 争点1(本件処分理由①の存否)について(1) 証人Bの証言及び後掲項目毎の各証拠並びに弁論の全趣旨によれば,以下の各事実が認められる。 ア伊万里市においては,油類の購入に際して給油券を使用していたところ,原告は,平成10年度までは浄化センター長の割印を得て給油券を使用していたが,平成11年度以降はA浄化センター長の了解の下,給油券に自ら「X」の印鑑をもって割印をし,その発行をするようになった。 浄化センターにおける軽油の使用量は,平成6年度は138リットル,平成7年度及び平成8年度は各36リットル,平成9年度は259リットル,平成10年度は284リットルであったところ(乙六[甲五一と同一],二八の1~21),原告は,平成11年度において,前記方法により軽油 度及び平成8年度は各36リットル,平成9年度は259リットル,平成10年度は284リットルであったところ(乙六[甲五一と同一],二八の1~21),原告は,平成11年度において,前記方法により軽油に関して合計1811リットルもの給油券を発行し(乙二三の1~10[甲七三と同一]),当該給油券は現実に行使された(乙二八の22~31)。 イ平成11年から平成12年当時,浄化センターに勤務する市職員は,A浄化センター長及び原告のみであり,その他には伊万里市が浄化センターの運転管理業務を委託していたD社の職員が勤務していた(乙一・三六)。 ウ原告は,平成12年5月12日,伊万里市内のC石油店に対して重油3000リットルの給油券を交付し,これと引換に軽油1633リットルの預かり券を入手した。そして,原告は,当該預かり券を使用して,同月15日に307リットル,同年6月29日に301リットル,同年8月13日に340リットル,同月28日に100リットルの軽油をそれぞれ入手した(乙七[甲五二と同一]・八[甲五三と同一]・九の1~5[甲五四と同一])。さらに,原告は,同年9月4日,浄化センターの重油6000リットルの給油券と引換に2580リットルのガソリンの預かり券を入手した(乙八・九の6。なお,前記1633リットルの軽油の預かり券中,未使用の585リットルの預かり券及び前記ガソリンの預かり券については,平成12年9月4日,B課長により回収されている。乙三五,証人B[第5回口頭弁論]33項)。 以上のとおり,原告は,平成11年度において,平成6年度から平成10年度における軽油の使用量を大幅に超える1811リットルもの軽油の給油券を発行しており,当該給油券中,例年使用する量に相当する給油券については,原告がD社社員に交付をした可能性もあるが(乙三六,2頁参 における軽油の使用量を大幅に超える1811リットルもの軽油の給油券を発行しており,当該給油券中,例年使用する量に相当する給油券については,原告がD社社員に交付をした可能性もあるが(乙三六,2頁参照),少なくともそれを超える部分の大量の給油券については原告が行使して軽油を入手した事実を推認することができ,また,平成12年度においても,軽油の預かり券を行使して1048リットルもの軽油を入手した事実を推認することができる。 なお,原告は,「X」の割印のある給油券(乙二三の1~10)の全てにつき,自らが割印をして給油券の発行をしたか確定できない,A浄化センター長等による印鑑の盗用の可能性があるという趣旨の供述をしているが(原告本人尋問[第8回口頭弁論]114・115・119~121項),原告以外で唯一の市職員であるA浄化センター長については,給油券の本来の発行権限が同人に属することに照らし採用しがたく,他に前記第3の1(1)アの認定を覆すに足る証拠はない。 (2) 原告は,明確な供述はさけるものの,上記の入手した軽油の使途につき,①原告自身によるA重油地下タンクへの希釈のための投入及び②ホイルローダーの燃料として委託業者が給油して使用したぐらいではないかという旨の原告の主張に沿う供述をするので(原告本人尋問[第8回口頭弁論]10~14項),その供述の信用性について検討する。 ア軽油がホイルローダーの燃料として使用されたとする点について(ア) 関係各証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の各事実が認められる。 浄化センターにおいて,軽油は,ホイルローダーの燃料としてのみ使用されていた(乙三六)。 ホイルローダーは,平成3年5月24日,伊万里市によって購入され(乙一〇の1[甲五五と同一]),同年6月下旬ころ,浄化センターに配備された。ホイルローダ の燃料としてのみ使用されていた(乙三六)。 ホイルローダーは,平成3年5月24日,伊万里市によって購入され(乙一〇の1[甲五五と同一]),同年6月下旬ころ,浄化センターに配備された。ホイルローダーが配備されたのは,浄化センター内で発生する汚泥を有効利用すべく,汚泥の天日乾燥を行い,肥料として農地へ還元する,いわゆる汚泥のコンポスト化の作業を行うためであった(乙三六)。 しかし,その後,汚泥発生量が増加し,浄化センター内では処理できなくなったことから,伊万里市では平成6年5月12日以降,汚泥処理を外部業者であるK株式会社に委託するようになり(乙二七・四〇~四二),ホイルローダーの使用量は急激に減少した(ちなみに,ホイルローダーの平成6年5月17日までの総運転時間は401.9時間(乙一九の1・2[甲六七と同一])であるところ,平成13年1月23日時点の総運転時間は602.3時間(乙一〇の2)である。)。 (イ) 以上の事実関係によれば,平成11年度におけるホイルローダーの使用量が急激に増加したとは認められず,原告の供述するところを前提とすれば,前記のとおり原告が入手した大量の軽油のうち,過去数年度から想定される浄化センターでの通常使用量を超える部分については,原告がA重油地下タンクへ投入して費消したと考えざるを得ない(原告自身,A重油地下タンクへの軽油の投入を,平成11年度から本格化した旨供述している(原告本人尋問[第8回口頭弁論]139項)。)。 イ希釈のためにA重油地下タンクへ軽油を投入したとする点についてそこで,次に,かかる観点から,軽油をA重油地下タンクへ投入したという原告の供述の信用性につき検討する。 (ア) 関係各証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の各事実が認められる。 ① A重油地下タンクに貯蔵されたA重油は,停電等非常の際 A重油地下タンクへ投入したという原告の供述の信用性につき検討する。 (ア) 関係各証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の各事実が認められる。 ① A重油地下タンクに貯蔵されたA重油は,停電等非常の際に使われる発電機及び管理棟内のボイラーの燃料としてのみ用いられ,浄化センターにおいては,冬季以外ほとんどA重油を必要とはしなかった。 なお,A重油地下タンクの貯蔵量については,1時間毎にその推移を記録する「水処理日報」(乙四[甲四九と同一]。原本は紛失)のほか,作業員が週に1回タンク計量口から計量尺を差し入れて貯蔵重油の残量を計るとともに,重油が投入された際は受け入れ量を記入して,これらを基にして使用量を記入する「法定週1回地下タンク残量及び漏洩検知管点検表」(乙五[甲五〇と同一])が記録として残されていた。 ② A重油地下タンクについては,伊万里市から委託を受けた業者により,微加圧試験または微減圧試験(タンク内の液面からタンク上端までの気相部の高さが400ミリメートルを下らないことを確認した上,開口部を密封してタンクの気相部に微加圧または微減圧を加え,一定時間内の圧力の変化を見てタンクの異常の有無を検査する方法)にて点検が行われていた(平成8年11月25日については微減圧試験であり[乙二〇。甲六八と同一],平成12年1月29日については微加圧試験である[乙二一。甲六九と同一]。)。 ③ A重油地下タンクに保存される危険物の類品名は第4類第3石油類であり(乙二の1・2),第4類とは消防法別表にある引火性液体を指し,第3石油類とは備考15に記載するように重油クレオソート等,1気圧における引火点が70度以上200度未満のものである。他方,軽油は,備考14に記載するように第2石油類であって,1気圧における引火点が21度以上70度未満であり,危険物貯蔵 重油クレオソート等,1気圧における引火点が70度以上200度未満のものである。他方,軽油は,備考14に記載するように第2石油類であって,1気圧における引火点が21度以上70度未満であり,危険物貯蔵所であるA重油地下タンクに,重油以外の物である軽油を併せて貯蔵することは消防法10条3項,11条の4,43条1項2号(平成14年法律第30号による改正前のもの),危険物の規制に関する政令24条1号,9号により禁止され,違反した場合の罰則規定も設けられている。 ④ A重油地下タンクからA重油が送油されてくる発電気室所在の小出槽下ドレーンには,3つのバルブが付いており,第1のバルブは小出槽とドレーンを繋ぐもの,第2のバルブは小出槽の重油をA重油地下タンクに戻すための戻し管に繋ぐもの,第3のバルブはドレーンから外に排出するためのものであるが,ドレーンから重油を抜くためにはかかる3つのバルブ全てを操作する必要があった(乙四三の3)。 (イ) 原告は,「平成8年度に,A重油貯蔵タンク点検を行った際に専門の重油タンク点検作業員から『重油タンク底部に,長年沈殿し,コールタールやスラッジ状になった粘性の高い重油が多量に沈殿している。』との報告を受け,その解決方法としては,簡易的方法として『重油揮発性から言っても,最も近い成分であるところの軽油を投入することによりコールタールやスラッジ状になった沈殿重油分を希釈する作用が期待できる。』との指導助言を得た。いきなり多量の軽油を投入するのはトラブルの原因になるかもしれないと考え,平成9年度以降,少しずつ軽油の投入を行った。」(乙一八[甲六三と同一],三九の2,原告本人尋問[第8回口頭弁論]138項),「おそらく平成11年度から本格的に軽油の投入を始めたと思う。」(原告本人尋問[第8回口頭弁論]139項),「ドレーン 」(乙一八[甲六三と同一],三九の2,原告本人尋問[第8回口頭弁論]138項),「おそらく平成11年度から本格的に軽油の投入を始めたと思う。」(原告本人尋問[第8回口頭弁論]139項),「ドレーンから重油を取り出したことがある。小出槽の下のバルブを開けて,下にはプラスチックのうまいとこ汚れないような何か枠がしてあったので,そこからすくい出すというようなことをやっていた。」(原告本人尋問[第8回口頭弁論]50・51項)などと供述している。 しかしながら,① まず,平成11年度については,前記第3の1(2)ア(イ)のとおり,ホイルローダーの燃料として使用が想定される軽油の量に鑑み,原告は大量の軽油をA重油地下タンクに投入したことになるはずのところ,「法定週1回地下タンク残量及び漏洩検知管点検表」(乙五)には原告の投入に対応した貯蔵量の増加が全く窺われない。 ② また,そもそも,前記のとおりA重油地下タンクの点検は微加圧試験または微減圧試験で行われており(平成8年11月分については微減圧試験),原告が供述する如く点検に当たった作業員がタンク底部にスラッジが沈殿しているか否か知り得る可能性は極めて低いといえる。加えて,危険物取扱者としての資格を有する点検作業員(乙二〇)が,重油貯蔵所たるA重油地下タンクに軽油を投入するという消防法違反の行為を勧めるということ自体,そもそも考え難い。 ③ さらに,小出槽下のドレーンからA重油を外部に排出するには,そこに設置された3つのバルブを全て操作せねばならず,装置に関して知識を有しない者にとっては困難な作業であり,逆に多数回にわたって操作を繰り返し体験した者にとってはその操作方法の概要は記憶に残るであろうところ,原告は,「(その数個のバルブのどれを開けたのかという問いに対し)何年もたつので,ちょっと正確な ,逆に多数回にわたって操作を繰り返し体験した者にとってはその操作方法の概要は記憶に残るであろうところ,原告は,「(その数個のバルブのどれを開けたのかという問いに対し)何年もたつので,ちょっと正確な記憶がない。(バルブを1個開けたか2個開けたか,それぐらいのことは分からないかという問いに対し)正確に記憶していない。いい加減なことを言いたくないので分からない。」と供述するのみで(原告本人尋問[第8回口頭弁論]55~57項),不自然である。 ④ 加えて,原告は,「(A重油地下タンクへの軽油の投入を行っていたのは)日中であると思う。夜とかではない。」と供述するが(原告本人尋問[第8回口頭弁論]127項),D社社員は誰一人として原告が軽油を投入する姿を目撃したことがない(乙三六)上,原告が自認するとおり電気関係の専門家でありながら,「(平成11年度にどれくらいの軽油を投入しようか)特に詳しく考えていなかった。具体的な量,目標等あるいは数値的な考えは詳しくはなかった。燃料のこととか溶かせばいいとかいう漠然としたことを機械的にやっていた。」(原告本人尋問[第8回口頭弁論]123~125項)などと供述すること自体不自然である。 ⑤ 原告の供述は,「平成11年度にA重油地下タンクに投入した軽油の総量については記録をしていないから分からない(原告本人尋問[第8回口頭弁論]17項)」,「全体の買入れ量の何割ぐらいを投入したかも記録をつけていないので分からない(原告本人尋問[第8回口頭弁論]18項)」,「月に何回ぐらい投入していたか記録がないので分からない(原告本人尋問[第8回口頭弁論]23項)」,「相当回数を入れたか,分からない(原告本人尋問[第8回口頭弁論]26項)」,「(ドレーン管から重油を取り出した回数につき,何回か何十回か何百回かぐらい分からない 尋問[第8回口頭弁論]23項)」,「相当回数を入れたか,分からない(原告本人尋問[第8回口頭弁論]26項)」,「(ドレーン管から重油を取り出した回数につき,何回か何十回か何百回かぐらい分からないかとの質問に対し)記録がないので,不確定なことは言いたくないので分からない(原告本人尋問[第8回口頭弁論]45項)」といったように,A重油地下タンクへの軽油の投入回数等についての供述につき全く具体性がない。 その上,重油を抜いた部位等複数の点につき,供述を変遷させている(平成14年6月7日に浄化センターで行われた進行協議の際,小出槽前において,原告は,自らが重油を抜いた部位とまでは明確にしなかったものの他者がウイングポンプから重油を抜くのを見たことがあると述べた上,引き続きウイングポンプから重油を排出することに固執し,しばらくの間はドレーン付近のバルブ操作による重油の排出には全く言及しなかったにも関わらず,その場でD社の社員からウイングポンプが重油を排出する装置ではなく,重油を吸引する装置[乙三三の1~2参照]である旨指摘されたのを受け(なお,被告代理人も同旨の指摘をしている。),裁判所・当事者が小出槽前から移動する直前になって,自らが重油を排出したのはドレーン管からであると付加し[乙三〇],その後は一貫してバルブ操作によってドレーン管から重油を排出したという供述に変更している。進行協議の模様を撮影したビデオテープ[乙三〇]の発電気室における原告の指示内容参照。)。 (ウ) 以上によれば,軽油をA重油地下タンクへ投入した旨の原告の供述は到底採用できない。 そうすると,原告は,前記のとおり平成11年4月から平成12年8月までに入手した大量の軽油についての使途を明らかにしておらず,むしろ,原告が平成9年4月28日から平成12年10月18日まで軽油を 。 そうすると,原告は,前記のとおり平成11年4月から平成12年8月までに入手した大量の軽油についての使途を明らかにしておらず,むしろ,原告が平成9年4月28日から平成12年10月18日まで軽油を燃料とする自家用乗用自動車を所有していたこと(乙一五。甲六〇と同一),原告がガソリンを燃料とする自家用乗用自動車を取得した平成12年9月11日(乙一六。甲六一と同一)に近接した同月4日,突如として浄化センターの重油6000リットルの給油券と引換に2580リットル分ものガソリン預かり券を入手するという行動に及んでいること,さらには原告自身一度は軽油の私的流用を認めていること(乙四四の1・2[22頁])に照らすと,原告が平成11年4月ころから平成12年8月までの間に入手した浄化センターの軽油を自己の自家用車に使用するなどして私的に流用したと認めるのが相当である(なお,原告は,本訴提起前に被告に対し,自己の主張を裏付ける資料として,平成11年3月ころより平成12年8月ころまで浄化センターより出る廃油を回収した旨のE自動車整備工場の意見書[乙二五]を提出しているが,これは乙三九の2記載の原告の発言[28頁]等に照らすとたやすく措信しがたく,他に前記の認定を覆すに足る証拠はない。)。 2 争点2(本件処分理由②の存否)について(1) 乙三五~三八,三九の1・2,証人B及び同Lの証言,原告本人の供述並びに弁論の全趣旨によれば,以下の各事実が認められる。 ア Bは,平成12年9月7日,原告から軽油の使途としてA重油地下タンクへ投入をした旨聴取したことから,原告に対し,今後の軽油の投入を禁止した(証人B[第5回口頭弁論]42・43項)。 イ総務課長G及び総務課長補佐Mは,同年10月3日,BよりA重油地下タンクへの軽油投入禁止を命ぜられたと述べる原告に 告に対し,今後の軽油の投入を禁止した(証人B[第5回口頭弁論]42・43項)。 イ総務課長G及び総務課長補佐Mは,同年10月3日,BよりA重油地下タンクへの軽油投入禁止を命ぜられたと述べる原告に対し,A重油地下タンク内重油の成分分析をする可能性があることを告げた(乙三九の2[39頁])。 ウ原告は,同月4日の昼間,A重油地下タンクの検知管(なお,検知管は地下燃料タンク本体とはつながっていない。)に軽油を投入し,その後,同日午後7時30分ころ,I石油店から私費で軽油300リットルを購入した上,同店伊万里給油所からタンクローリー車に同行して浄化センターA重油地下タンクに赴き,原告自ら注入口より軽油を投入した。 なお,原告は,同行したI石油店作業員のLに対し,浄化センターの敷地に入る門付近において,犬猫が出るのでライトを消すように指示し,また,A重油地下タンク付近において,大きな声を出さず静かにするように指示をした。 エ D社の社員は,同月5日,業務報告の整理をしている際,同月4日の午後7時から午後8時までの間にA重油地下タンクの残量が300リットル増加(乙四)していることに気付き,原因究明のため機器点検及びA重油地下タンクの調査を行ったところ,漏洩検知管の周囲に油類がこぼれており,さらに従前より付されていた地下タンク給油口の錠が別のものに変わっていることを発見した。 (2) 前記認定事実及び前記第3の1の認定事実を総合すると,被告によりA重油地下タンク内の成分分析がなされ,それによってA重油地下タンクに軽油を投入して費消した旨の自己の弁解が否定されるのを恐れた原告が,被告による前記成分分析を妨げるべく,平成12年10月4日,浄化センターA重油地下タンクの鍵を破損した上,軽油を投入したものと推認するのが相当である。 原告は,本人尋問におい されるのを恐れた原告が,被告による前記成分分析を妨げるべく,平成12年10月4日,浄化センターA重油地下タンクの鍵を破損した上,軽油を投入したものと推認するのが相当である。 原告は,本人尋問において,A重油地下タンクへの軽油の投入は認めつつ,①Gから不明燃料があると聞いていたので,費用弁済,道義的な責任をとってことを丸く収めようと重油を投入することを思いついたが,給油所に重油が常備されていなかったため,タンク清掃に役立つと聞いていた軽油を投入した(第7回口頭弁論53~58項),②平成12年当時,A重油地下タンクには鍵はかかっておらず,前任者からの引継の時もかかっていないということであった(第7回口頭弁論48~52項,第8回口頭弁論142~144項)旨,自己の主張に沿う供述をする。 しかしながら,原告が,前記のとおり軽油の投入を禁止された状況の下,ことさら勤務時間外の夜間になって,浄化センターの誰にも告げず,目立たぬよう注意を払いながら軽油を投入していること及び懲罰委員会議事録(甲六,10・11・16頁)において自ら施錠がなされていたことを認めていることに照らし,原告の前記各供述部分は採用し難い(原告は,関連して乙三九の1・2につき,テープ録音がなされたのは10月6日である旨主張するが,聴取内容からして原告によるA重油地下タンクへの軽油の投入前の時点における録音であることは明らかであり,原告の主張は採用できない。)。 3 争点3(本件処分理由③の存否)について(1) 甲七,乙四・五・三五・三七,証人Bの証言及び弁論の全趣旨によれば,以下の各事実が認められる。 ア浄化センターにおいては,平成12年当時,「水処理日報」,「法定週1回地下タンク残量及び漏洩検知管点検表」及び「公用車運転日誌」(自動車の運行明細,所要燃料,その他の事項が記 事実が認められる。 ア浄化センターにおいては,平成12年当時,「水処理日報」,「法定週1回地下タンク残量及び漏洩検知管点検表」及び「公用車運転日誌」(自動車の運行明細,所要燃料,その他の事項が記載される。乙一二)が継続的に作成され,浄化センター管理棟内事務室に設置されたキャビネットの上部ないし内部に保管されていた。 イ Bは,同年9月19日,浄化センター内において,上記の「法定週1回地下タンク残量及び漏洩検知管点検表」をコピー機により複写した(乙五。甲五〇と同一)。 ウ Bは,同年10月5日昼過ぎころ,A浄化センター長より前夜A重油地下タンクに何者かによって何らかのものが投入された旨連絡を受けた。 エ Bは,同月6日昼ころ,浄化センターに赴き,「水処理日報」中,同月4日分をコピー機により複写した(乙四)。そして,同人は,同月5日及び6日と年次休暇を取っていた原告に対し呼出をかけて,同日午後5時30分ころ,浄化センターに出勤させ,Gらによって原告に対する事情聴取がなされた。そうしたところ,Bは,同日午後6時ないし午後7時ころ,「水処理日報」,「法定週1回地下タンク残量及び漏洩検知管点検表」が所在不明となっていることを知った(証人B[第6回口頭弁論]31・32項)。そして,「公用車運転日誌」も所在不明となった。 (2) 前記認定事実によれば,「水処理日報」,「法定週1回地下タンク残量及び漏洩検知管点検表」及び「公用車運転日誌」は,継続的に記録・使用されることが予定され,偶発的に紛失するということは考えがたいところ,これらの公文書は原告が当時主張していた弁解を排斥する根拠資料となりうるものであり,前記認定事実並びに前記第3の1及び第3の2で認定した事実を総合すると,原告がこれらの公文書を所在不明にしたと認めるのほかない。 なお,原告本人は していた弁解を排斥する根拠資料となりうるものであり,前記認定事実並びに前記第3の1及び第3の2で認定した事実を総合すると,原告がこれらの公文書を所在不明にしたと認めるのほかない。 なお,原告本人は,同月5日及び6日は年次休暇を取っており,出勤していないことから当該公文書を所在不明にすることは不可能である旨,原告の主張に沿う供述をするが(原告本人[第7回口頭弁論]73~87項),原告が供述する年次休暇取得の事実は前記認定の事実関係と必ずしも矛盾するものではなく,前記認定を左右しない。 4 争点4(本件処分は適法か否か)について原告は,本件処分理由①ないし③の各事実はなく,仮にこれらの事実が認められたとしても,他の伊万里市職員による非違行為に対する処分等と比較した場合,本件処分は重きに失し,裁量の範囲を逸脱した違法がある旨主張する。 しかしながら,およそ公務員として勤務する者は,国民の血税に由来する公財産について厳正な取扱いが要求され,いやしくもこれを私的に領得するがごときは厳に戒められなければならず,原告においてもかかる事柄は十分認識していたはずであると解されるところ,それにも拘わらず,1年4か月もの長きにわたり継続的に伊万里市の燃料を領得し,しかも,かかる所為が露見するや,原告の弁解を排す根拠資料となるべき公文書を所在不明にし,さらには,A重油地下タンクへ軽油を投入して故意に被告の調査・裏付けを妨害するという行為に及んだというべきであるから,その行動は極めて悪質であり,本件処分が社会通念上著しく妥当性を欠き懲戒権の濫用があるとすることはできない。また,原告の主張にかかる他の公務員に対する懲戒事例と比較して公平を失する不利益な取扱いであるとすることもできない。 よって,原告の主張は採用できない。 5 争点5(被告が本件処分を公表した行 い。また,原告の主張にかかる他の公務員に対する懲戒事例と比較して公平を失する不利益な取扱いであるとすることもできない。 よって,原告の主張は採用できない。 5 争点5(被告が本件処分を公表した行為が不法行為を構成するか)及び争点6(謝罪広告掲載の要否)について前記第3の1ないし3の認定事実によれば,被告が,原告によって本件処分理由①ないし③の各行為がなされたこと及びそれに対して本件処分を行ったことを記者会見において公表することにつき,何ら違法性がないのは明らかであり,当然にして謝罪広告を掲載する必要性も認められない。 第4 結論以上によれば,その余の点について判断するまでもなく,原告の請求はいずれも理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。 佐賀地方裁判所民事部裁判長裁判官榎下義康裁判官森喜史裁判官坂主勉は差し支えにより署名押印できない。 裁判長裁判官榎下義康別紙 1 謝罪広告伊万里市長川本明は,平成11年11月21日付で,新聞,テレビのマスメディアに対し,当時伊万里市役所,建設部,下水道課,浄化センター勤務の男性市職員について「公費軽油をマイカーに流用した」「鍵を壊した」「悪質な隠ぺい工作を行った」「公文書を所在不明にした」「男性市職員は市側の主張を認めている」などといった事実無根の記事発表を行い,その結果,翌平成11年11月22日付朝刊において,同様の見出しで記事が掲載される事となりました。 これら記事は事実無根である上,伊万里市のねつ造記事である事は既に証明されているもので,伊万里市長川本明の報道発表により,同男性市職員の名誉を著しく毀損し多大のご迷惑をおかけしました。 よって,ここに深くお詫び申し上げます。 ,伊万里市のねつ造記事である事は既に証明されているもので,伊万里市長川本明の報道発表により,同男性市職員の名誉を著しく毀損し多大のご迷惑をおかけしました。 よって,ここに深くお詫び申し上げます。 伊万里市長川本明 2 掲載条件紙面第3面に,縦四段抜き,横8センチメートル。 字画見出し部分及び被告名は三号活字,本文は六号偏平活字
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